(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】仮設足場及び接続部材
(51)【国際特許分類】
E04G 7/22 20060101AFI20220728BHJP
E04G 7/20 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
E04G7/22 B
E04G7/20 A
(21)【出願番号】P 2022068055
(22)【出願日】2022-04-18
【審査請求日】2022-04-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516288044
【氏名又は名称】株式会社クリス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 龍男
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-127014(JP,A)
【文献】登録実用新案第3152380(JP,U)
【文献】特開2020-172757(JP,A)
【文献】特開2017-203375(JP,A)
【文献】特開2021-139192(JP,A)
【文献】特開2013-002095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の規格に基づいて製造された第1の足場構成部材と、
前記第1の規格とは異なる第2の規格に基づいて製造された第2の足場構成部材と、
前記第1の足場構成部材と前記第2の足場構成部材との間に介在し、前記第1の足場構成部材と前記第2の足場構成部材とを接続する接続部材とを備えた仮設足場であって、
前記接続部材は、前記第1の足場構成部材が有する被接続部が接続される第1の接続部と、前記第2の足場構成部材が有する被接続部が接続される第2の接続部とを有し、
前記第1の接続部の形状は、前記第1の足場構成部材の被接続部の形状に対応した形状とされ、
前記第2の接続部の形状は、前記第1の接続部の形状とは異なるとともに、前記第2の足場構成部材の被接続部の形状に対応した形状とされ
、
前記第1の接続部は、前記第1の足場構成部材の被接続部を構成するクサビが差し込まれるポケットであり、
前記第2の接続部は、前記第2の足場構成部材の被接続部を構成するクサビが差し込まれる差込孔であることを特徴とする仮設足場。
【請求項2】
第1の規格に基づいて製造された第1の足場構成部材と、前記第1の規格とは異なる第2の規格に基づいて製造された第2の足場構成部材との間に介在し、前記第1の足場構成部材と前記第2の足場構成部材とを接続する接続部材であって、
前記第1の足場構成部材が有する被接続部が接続される第1の接続部と、前記第2の足場構成部材が有する被接続部が接続される第2の接続部とを有し、
前記第1の接続部の形状は、前記第1の足場構成部材の被接続部の形状に対応した形状とされ、
前記第2の接続部の形状は、前記第1の接続部の形状とは異なるとともに、前記第2の足場構成部材の被接続部の形状に対応した形状とされ
、
前記第1の接続部は、前記第1の足場構成部材の被接続部を構成するクサビが差し込まれるポケットであり、
前記第2の接続部は、前記第2の足場構成部材の被接続部を構成するクサビが差し込まれる差込孔であることを特徴とする接続部材。
【請求項3】
請求項
2に記載の接続部材において、
支柱と、
前記支柱に取り付けられるクランプとを有し、
前記クランプには、前記第1の接続部と前記第2の接続部とが設けられていることを特徴とする接続部材。
【請求項4】
請求項2に記載の接続部材において、
支柱を有し、
前記支柱には、前記第1の接続部と前記第2の接続部とが設けられていることを特徴とする接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば支柱、布材、足場板等の足場構成部材によって構築される仮設足場及び足場構成部材同士を接続する接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば各種建築物の建設現場や補修作業現場、土木工事現場等では、その建築物の規模や構造等に応じた仮設足場が構築される。一般的な仮設足場は、複数本の支柱、支柱同士を連結する布材、足場板、筋交い、手摺等を組み合わせて構築されている。
【0003】
仮設足場の中でも、階上の足場板の設置に先行して階下から手摺を取り付けることができるように構成された、いわゆる先行手摺を備えた仮設足場がある。先行手摺を備えている仮設足場は一般的に次世代足場等と呼ばれており、安全性及び施工性に優れているため、多くの現場で採用されている(例えば特許文献1~4参照)。
【0004】
特許文献1、2の仮設足場の支柱には、布材等が有するクサビを差し込んで連結するための複数のポケットが上下方向に間隔をあけて設けられている。特許文献1では、4つのポケットが同一高さにおいて放射状に設けられる一方、特許文献2では、2つのポケットが水平方向で互いに反対に突出し、その2つのポケットのすぐ下で別の2つのポケットが上の2つのポケットとは異なる方向に突出するように設けられている。
【0005】
また、特許文献3、4の仮設足場の支柱にはフランジが設けられており、このフランジに、クサビを差し込んで連結するための4つの差込孔が周方向に間隔をあけて形成されている。
【0006】
また、特許文献5には、単管を支柱とする足場と建枠足場とを隣接して構築した場合に両者の床板の高さを揃えることが可能に構成された足場が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-47119号公報
【文献】特開2021-50490号公報
【文献】特開2012-215033号公報
【文献】実用新案登録第3222737号公報
【文献】特開2017-14803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
次世代足場といっても、支柱にポケットを設けたもの(特許文献1、2)と、支柱にフランジを設けたもの(特許文献3、4)とがあり、ポケットについては同一高さに4つ設けたもの(特許文献1)と、高さの異なるポケットを設けたもの(特許文献2)とがある。また、フランジの差込孔の形状についても複数種ある。つまり、多くのメーカーが独自の規格に基づいて次世代足場を開発・販売しており、その規格の数は十数種以上に及ぶが、現場で仮設足場を構築する際には、1つのメーカーの1つの規格の足場構成部材を用いることになる。規格が異なると組合わせることができないからである。
【0009】
ところが、例えば災害復旧等のように緊急を要する非常時や、工期の短い大規模な現場等では、仮設足場を構築する会社が所有している足場構成部材(あるいはリース会社が所有している足場構成部材)では数が揃わずに足場の構築が遅れてしまうことが起こり得る。
【0010】
1つの規格の足場構成部材では数が揃わなかったとしても、例えば特許文献1の足場構成部材と特許文献3の足場構成部材を組み合わせれば、必要な数を揃えることができる場合が想定される。
【0011】
ところが、足場構成部材の規格が異なれば、クサビの連結部分の高さや形状が異なるので、異なる規格の足場構成部材を組み合わせて足場を構築することは困難であった。足場板の高さを揃える技術として、特許文献5に開示されている技術が知られているが、高さを揃えるためには、一般的な長さとは異なる長さの支柱が大量に必要となる。長さの異なる支柱を大量に準備し、保有しておくことは効率的ではないという問題があった。
【0012】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、異なる規格の足場構成部材を組み合わせて1つの仮設足場を構築できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、第1の規格に基づいて製造された第1の足場構成部材と、前記第1の規格とは異なる第2の規格に基づいて製造された第2の足場構成部材と、前記第1の足場構成部材と前記第2の足場構成部材との間に介在し、前記第1の足場構成部材と前記第2の足場構成部材とを接続する接続部材とを備えた仮設足場を前提することができる。また、接続部材を発明の対象とすることもできる。
【0014】
前記接続部材は、前記第1の足場構成部材が有する被接続部が接続される第1の接続部と、前記第2の足場構成部材が有する被接続部が接続される第2の接続部とを有している。前記第1の接続部の形状は、前記第1の足場構成部材の被接続部の形状に対応した形状とされ、また前記第2の接続部の形状は、前記第1の接続部の形状とは異なるとともに、前記第2の足場構成部材の被接続部の形状に対応した形状とされている。
【0015】
すなわち、第1の足場構成部材が例えば特許文献1、2のようなポケットによってクサビを連結する規格であり、また第2の足場構成部材が例えば特許文献3、4のようなフランジに形成された差込孔にクサビを連結する規格であったとすると、第1の足場構成部材と第2の足場構成部材とを直接連結して1つの仮設足場を構築することは困難であるが、本開示によれば、第1の足場構成部材と第2の足場構成部材との間に接続部材が介在しているので、第1の足場構成部材と第2の足場構成部材とを接続部材を介して連結して1つの仮設足場を構築することが可能になる。
【0016】
本開示の他の態様では、特に限定されるものではないが、前記第1の接続部は、前記第1の足場構成部材の被接続部を構成するクサビが差し込まれるポケットであってもよく、また前記第2の接続部は、前記第2の足場構成部材の被接続部を構成するクサビが差し込まれる差込孔であってもよい。これにより、クサビを有する第1の足場構成部材と、第1の足場構成部材とは異なる形状のクサビを有する第2の足場構成部材とを接続部材を介して連結できる。
【0017】
本開示の他の態様では、前記第1の接続部は、前記第1の足場構成部材の被接続部を構成する被接続管部が差し込まれる筒状であってもよく、また前記第2の接続部は、前記第2の足場構成部材の被接続部を構成する被接続管部に差し込まれる筒状であってもよい。例えば第1の足場構成部材及び第2の足場構成部材がそれぞれ異なる規格に基づいて製造された支柱であるとした場合、第1の足場構成部材の被接続管部を第1の接続部に差し込み、また第2の足場構成部材の被接続管部に第2の接続部を差し込むことで、規格が異なる支柱同士を連結することができる。
【0018】
本開示の他の態様に係る接続部材は、支柱と、前記支柱に取り付けられるクランプとを有していてもよい。この場合、前記クランプには、前記第1の接続部と前記第2の接続部とを設けることができる。クランプは、支柱の高さ方向の任意の位置に固定することができるので、仮設足場の構築自由度が向上する。
【0019】
本開示の他の態様に係る接続部材は、支柱を有しており、この支柱には、前記第1の接続部と前記第2の接続部とが設けられていてもよい。例えば支柱に、第1の接続部としてポケットを設け、第2の接続部としてフランジに形成された差込孔を設けることができる。
【0020】
本開示の他の態様に係る接続部材は、布材を有しており、布材の一端部には、前記第1の接続部を構成するクサビが設けられ、布材の他端部には、前記第2の接続部を構成するクサビが設けられていてもよい。この場合、第1の足場構成部材と、第2の足場構成部材とを水平方向に離して設置した場合に、接続部材によって連結して1つの仮設足場を構築できる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、第1の規格に基づいて製造された第1の足場構成部材と、第2の規格に基づいて製造された第2の足場構成部材とを接続部材を介して連結できるので、資材の数が不足する部分を例えば単管で補う必要がなく、良好な施工性及び高い安全性を維持しながら、異なる規格の足場構成部材を組み合わせて1つの仮設足場を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態1に係る仮設足場の正面図である。
【
図14】本発明の実施形態2に係る仮設足場の正面図である。
【
図15】本発明の実施形態3に係る仮設足場の正面図である。
【
図16】実施形態3に係る接続用支柱の側面図である。
【
図18】実施形態3に係る接続用支柱の平面図である。
【
図19】実施形態3の変形例1に係る接続用支柱の側面図である。
【
図20】クランプが取り付けられた部分を拡大して示す接続用支柱の側面図である。
【
図21】実施形態3に係る接続用支柱の平面図である。
【
図22】実施形態3の変形例2に係る接続用支柱の側面図である。
【
図23】実施形態3の変形例2に係る接続用支柱の平面図である。
【
図24】実施形態3の変形例3に係る接続用支柱の側面図である。
【
図25】実施形態3の変形例3に係る接続用支柱の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る仮設足場1の正面図である。仮設足場1は、各種建築物の建築現場や土木作業現場において、その作業内容や作業規模等に応じて構築されるものである。建設作業以外にも、メンテナンス作業、各種作業時等にも仮設足場1が構築される。
図1では、正面から見た仮設足場1の一例を示しており、建築物の規模や構造等に応じて様々な高さ、形状となるように構築される。図示する仮設足場1は、2階以上の多層型であるが、多層型に限られるものではなく、単層型であってもよい。
図1では仮設足場1が5階である場合を示しているが、5階以上の階数を有する仮設足場1に本発明を適用することもできる。また、
図1の左右方向を仮設足場1の幅方向と定義するが、これは説明の便宜を図るためだけであり、仮設足場1の方向を限定するものではない。
【0025】
仮設足場1は、クサビによって足場構成部材を連結するクサビ緊結式足場であり、異なる規格の足場構成部材を組み合わせて構築されたものである。仮設足場1のうち、1階から3階までの部分が第1の規格に基づいて製造された第1の足場構成部材で構築された第1の足場Aであり、4階及び5階の部分が第1の規格とは異なる第2の規格に基づいて製造された第2の足場構成部材で構築された第2の足場Bである。各足場A、Bの階数は特に限定されるものではなく、何階であってもよい。
【0026】
先行手摺を備えた仮設足場の規格としては、例えばクサビをポケットに差し込む規格、クサビをフランジの差込孔に差し込む規格に大別され、さらにクサビをポケットに差し込む規格であっても、クサビの構造、ポケットの大きさや形状、位置等が異なる複数の規格に別れており、またクサビをフランジの差込孔に差し込む規格であっても、クサビの構造、差込孔の大きさや形状等が異なる複数の規格に別れている。規格は、製造会社(メーカー)ごとに異なっている場合がある。
【0027】
図1に示す形態では、第1の足場A及び第2の足場Bは、共に、クサビをポケットに差し込んで連結する規格であるが、第1の足場Aと第2の足場Bとでは、クサビの構造、形状が異なっているので、ポケットの大きさ及び形状が異なっている。
【0028】
以下、具体的に説明する。第1の足場Aは、第1の支柱10、第1の足場板11、第1の先行手摺12、第1の先行筋交い13、第1の布材(図示せず)、壁つなぎ(図示せず)、階段(図示せず)、幅木(図示せず)等を備えている。第1の支柱10は、地盤面Cに設置される円形断面の鋼管等で構成されている。複数の第1の支柱10が、仮設足場1の幅方向に互いに間隔をあけて設けられるとともに、奥行方向にも互いに間隔をあけて設けられる。奥行方向に間隔をあけて設けられた第1の支柱10同士は、図示しない第1の布材(水平材)によって連結される。
【0029】
図2に示すように、第1の支柱10には、複数の第1のポケット10aが設けられている。第1のポケット10aは、例えば鋼板で構成されており、第1の支柱10の外周面に溶接により固定されている。第1の規格では、4つの第1のポケット10aが同一高さで、かつ第1の支柱10の周方向に90゜間隔で配置されている。4つの第1のポケット10aの組は、上下方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。
【0030】
第1の支柱10は、必要に応じて上下に接続される。すなわち、
図3に示すように、第1の支柱10の上部には、被接続部を構成する被接続管部10bが設けられている。被接続管部10bは、第1の支柱10における被接続管部10bよりも下側部分と比較して小径な円筒状をなしており、別の第1の支柱10の下部に差し込み可能に形成されている。被接続管部10bが相対的に小径であることから、第1の支柱10における被接続管部10bの下端部に対応する部分には段部10cが形成されることになる。
【0031】
第1の支柱10を上下に接続する際には、下側に位置する第1の支柱10の被接続管部10bを上側に位置する第1の支柱10にその下方から差し込むことによって接続する。接続すると、上側に位置する第1の支柱10の下端部が下側に位置する第1の支柱10の段部10cに当接して上側に位置する第1の支柱10の高さ方向の位置決めがなされる。このとき、図示しないロック機構によって下側に位置する第1の支柱10の被接続管部10bが上側に位置する支柱10の下部に固定されて、上側に位置する支柱10から抜けないようになっている。尚、ロック機構は、外部から操作可能な操作部(図示せず)によってロック解除可能に構成されている。このロック機構及び操作部は、従来から周知である。
【0032】
第1の足場板11は、作業者の作業床を構成する部材であり、例えばアンチ等とも呼ばれている。第1の足場板11の両端部には、下方へ突出するクサビ11aが設けられている。クサビ11aを支柱10のポケット10aに上方から差し込むことで、第1の足場板11を第1の支柱10に連結することができるようになっている。
【0033】
図1に示す第1の先行手摺12及び先行筋交い13は、階上の第1の足場板11の設置に先行して階下から取付可能に構成されたものである。第1の先行手摺12及び先行筋交い13の取付要領については、従来から周知であるため、詳細な説明は省略する。第1の先行手摺12及び先行筋交い13を構成する部材には、第1の足場板11のクサビ11aと同様な大きさ及び形状のクサビ(図示せず)が設けられている。第1の先行手摺12及び先行筋交い13のクサビを第1の支柱10のポケット10aに上方から差し込むことで、第1の先行手摺12及び先行筋交い13を第1の支柱10に連結することができるようになっている。第1の足場Aを構成する第1の支柱10、第1の足場板11、第1の先行手摺12、第1の先行筋交い13及び第1の布材は、第1の規格に基づいて製造された第1の足場構成部材である。
【0034】
第2の足場Bも、第1の足場Aと同様に、第2の支柱20、第2の足場板21、第2の先行手摺22、第2の先行筋交い23、第2の布材(図示せず)、壁つなぎ(図示せず)、階段(図示せず)、幅木(図示せず)等を備えている。通常、第2の足場Bは、第1の足場Aと同様に地盤面Cに設置されるが、本実施形態では、第1の足場Aの上に設置されて第1の足場Aと共に1つの仮設足場1を構成している。
【0035】
図2に示すように、第2の支柱20は、第1の支柱10と同様に同一高さに配置された4つのポケット20aを備えているが、第1の足場Aのポケット10aとは形状及び大きさが異なっている。第2の支柱20も第1の支柱10と同様に上下に必要に応じて上下に接続される。すなわち、第2の支柱20の上部には、中間部及び下部に比べて小径な小径部(図示せず)が設けられている。小径部は、第2の支柱20の下部に差し込み可能に形成されている。第2の支柱20を上下に接続する際には、下側に位置する第2の支柱20の小径部を上側に位置する第2の支柱20にその下方から差し込むことによって接続する。つまり、第2の支柱20の下部には、被接続部を構成する被接続管部20bが設けられている。
【0036】
第2の支柱20の被接続管部20bには、ロック機構20cが設けられている。ロック機構20cによって下側に位置する第2の支柱20の小径部が上側に位置する支柱20の被接続管部20bから抜けないようになっている。尚、ロック機構20cは、外部から操作可能な操作部(図示せず)によってロック解除可能に構成されている。このロック機構20c及び操作部は、従来から周知であるが、規格が違っているため、第1の支柱10のロック機構及び操作部とは異なっている。
【0037】
第2の先行手摺22の端部には、下方へ突出するクサビ22aが設けられており、また第2の先行筋交い23の端部にも下方へ突出するクサビ23aが設けられている。クサビ22a、23aをそれぞれ第2の支柱20のポケット20aに上方から差し込むことで、第2の先行手摺22及び先行筋交い23を第2の支柱20に連結することができるようになっている。また、第2の足場板21にも同様なクサビ(図示せず)が設けられており、第2の支柱20のポケット20aに上方から差し込むことで第2の足場板21を第2の支柱20に連結することができるようになっている。第2の足場Bを構成する第2の支柱20、足場板21、第2の先行手摺22、第2の先行筋交い23及第2のび布材は、第2の規格に基づいて製造された第2の足場構成部材である。
【0038】
上述したように、第1の足場Aと第2の足場Bとは規格が異なっているので、そのままの状態で1つの仮設足場1を構築することは困難である。本実施形態では、
図3及び
図4に示す接続部材30を用いることにより、規格の異なる第1の足場Aと第2の足場Bとを組合わせて1つの仮設足場1を構築可能にしている。
【0039】
すなわち、接続部材30は、第1の足場構成部材(具体的には支柱10)と第2の足場構成部材(具体的には支柱20)との間に介在し、第1の足場構成部材10と第2の足場構成部材20とを接続するための部材である。より具体的には、
図3にも示すように、接続部材30は、全体として上下方向に延びる円筒状をなしており、全体が鋼材等の強度の高い材料で構成されている。接続部材30の下側部分は、第1の支柱10が有する被接続管部10bが接続される第1の接続部31とされている。第1の接続部31の形状は、第1の支柱10の被接続管部10bの形状に対応した形状、即ち、第1の支柱10の被接続管部10bが差し込まれる円筒状をなしている。したがって、第1の接続部31の内径は、第1の支柱10の被接続管部10bの外径よりも若干大きめに設定されており、被接続管部10bを容易に差し込むことができるようになっている。第1の接続部31の外径は、第1の支柱10における被接続管部10b以外の部分の外径と略同じに設定されている。被接続管部10bが差し込まれた状態で、第1の接続部31の下端部が第1の支柱10の段部10cに当接するようになっている。
【0040】
第1の接続部31には、第1の支柱10の被接続管部10bが差し込まれた状態で第1の接続部31から抜けないようにロックするためのロック機構31cが設けられている。このロック機構31cは、第1の支柱10に設けられているロック機構と同じであり、同様な操作部31d(
図4に示す)も有している。よって、第1の支柱10のロックが可能になっている。
【0041】
一方、接続部材30の上側部分は、第2の支柱20が有する被接続管部20bが接続される第2の接続部32とされている。第2の接続部32の形状は、第1の接続部31の形状とは異なるとともに、第2の支柱20の被接続管部20bの形状に対応した形状、即ち、第2の支柱20の被接続管部20bに差し込まれる円筒状をなしている。したがって、第2の接続部32の外径は、第2の支柱20の被接続管部20bの内径よりも若干小さめに設定されており、第2の接続部32を被接続管部20bに容易に差し込むことができるようになっている。
【0042】
第2の接続部32には、ロック孔32cが形成されている。このロック孔32cと同様なロック孔が、第2の支柱20の上部の小径部にも設けられている。第2の支柱20の被接続管部20bに設けられているロック機構20c(
図2に示す)は、第2の接続部32のロック孔32cに対してロックピン等を差し込むことができるように構成されている。よって、第2の支柱20のロック機構20cを利用して第2の接続部32の抜けを抑制することができる。
【0043】
接続部材30における第1の接続部31と第2の接続部32との間の部分は、中間部33とされている。中間部33の外径は、第1の接続部31の外径と同じであり、第2の接続部32と比較して大径となっている。このため、接続部材30における第2の接続部32と中間部33との境界部分には、段部30cが形成されることになる。第2の接続部32が第2の支柱20の第2の接続部20bに差し込まれた状態で、第2の支柱20の下端部が接続部材30の段部30cに当接するようになっている。
【0044】
中間部33の外周面には、ポケット30aが設けられている。ポケット30aは、第2の支柱20に設けられているポケット20aと同じ形状及び大きさである。つまり、中間部33のポケット30aは、第2の規格に合致するように構成されている。
図4に示すように、4つのポケット30aが同一高さで、かつ中間部33の周方向に90゜間隔で配置されている。
【0045】
したがって、
図2に示すように、第2の先行筋交い23のクサビ23aを接続部材30のポケット30aに上方から差し込むことで、第2の先行手摺22を接続部材30に連結することができる。また、接続部材30を設置する高さによっては、第2の足場板21のクサビや、第2の先行手摺22のクサビ22aを接続部材30のポケット30aに差し込んで連結することもできる。
【0046】
図2に示すように、接続部材30は、第1足場Aの最上部の足場板11と、第2足場Bの先行筋交い23のクサビ23aと、ポケット30aとが適正な高さ関係になるようにするためのスペーサーとしても機能する。また、接続部材30のポケット30aと、第2の支柱20のポケット20aとの上下方向の離間寸法は、例えば450mm等のように規格によって予め決められた寸法とする。この寸法となるように、中間部33の上下方向の寸法Fを設定すればよい。
【0047】
また、第1の足場Aの最上部の足場板11と、第2の足場Bの先行筋交い23のクサビ23aとが干渉しない範囲で、ポケット30aの高さをなるべく低く設定する。尚、ポケット30aの上下方向の寸法Eは、第2の足場Bの規格によって異なる。
【0048】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態1によれば、所望の規模の仮設足場1を構築する際に、第1の規格に基づいて製造された第1の足場Aの足場構成部材10~13だけでは資材が足りない場合に、第2の規格に基づいて製造された第2の足場Bの足場構成部材20~23を組み合わせることで、所望の規模の仮設足場1を構築することが可能になる。
【0049】
このとき、接続部材30を第1の支柱10と第2の支柱20との間に介在させて第1の支柱10と第2の支柱20とを接続部材30を介して連結することができるので、資材の数が不足する部分を例えば単管で補う必要がない。したがって、良好な施工性及び高い安全性を維持しながら、異なる規格の足場構成部材10~13、20~23を組み合わせて1つの仮設足場1を構築できる。
【0050】
(実施形態1の変形例1)
図5に示す実施形態1の変形例1のように、必要に応じて、ポケット30aを、
図4に示す位置から45°回転させた位置に設けてもよい。また、接続部材30に設けるポケット30aの数は、4つに限られるものではなく、1つ、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。接続部材30に設けるポケット30aの形状及び大きさ、位置は、第2の規格と合致するように設定すればよく、図示したものに限られない。
【0051】
(実施形態1の変形例2)
図6及び
図7は実施形態1の変形例2を示すものである。この変形例2では、
図6に示すように、上記ポケット30aを省略し、ポケットP1~P4を有するクランプ40を中間部33に取り付けるようにしている。したがって、この変形例2の接続部材30は、第1の接続部31、第2の接続部32、中間部33及びクランプ40を備えている。
【0052】
クランプ40は、クサビ緊結式足場用クランプである。すなわち、第1の支柱10のポケット10a、第2の支柱20の20aは、それぞれ、上下方向に例えば450mm間隔で溶接されているので、現場で取り外すことはできないが、クランプ40であれば、必要な高さに、必要な数だけ取り付けることができ、不要なところには取り付けずに済む。よって、足場板11、21を通行中に、作業員がポケット10a、20aやクランプ40に接触するリスクが低くなる。また、不要な箇所にポケット10a、20aやクランプ40が無いので、見た目もきれいな仮設足場1を構築することができる。
【0053】
図7に示すように、クランプ40は、中間部33を径方向に挟持する第1挟持部材50及び第2挟持部材60と、第1挟持部材50及び第2挟持部材60を回動可能に連結する連結部材70と、第1挟持部材50及び第2挟持部材60を締結する締結部材80とを含んでいる。本実施形態では、第1挟持部材50及び第2挟持部材60で中間部33を径方向に挟持するようにしているが、これに限らず、図示しないが、第3挟持部材や第4挟持部材を更に連結し、3つ以上の挟持部材で中間部33を挟持してもよい。
【0054】
第1挟持部材50及び第2挟持部材60は、中間部33の外周面に対して該中間部33の径方向(水平方向)一側及び他側からそれぞれ当接することにより、中間部33を径方向に挟持(クランプ)する部材である。クランプ40は、第2の支柱20のポケット20aと同規格の第1~第4ポケットP1~P4を有している。第1~第4ポケットP1~P4は、全て同じものである。このため、第2の足場Bを構成する足場構成部材のクサビは、第1~第4ポケットP1~P4の任意のポケットに差し込むことができ、ポケットに差し込んだ状態で固定される。
【0055】
第1挟持部材50に第1ポケットP1と第2ポケットP2とが設けられ、また、第2挟持部材60に第3ポケットP3と第4ポケットP4とが設けられている。第1~第4ポケットP1~P4は、中間部33の軸線X周りに等間隔(90°間隔)で配置されている。尚、ポケットの数は4つに限られるものではなく、1つ、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。ポケットの数が1つの場合、第1挟持部材50と第2挟持部材60のいずれか一方にのみポケットを設ければよい。ポケットの数が2つの場合、第1挟持部材50と第2挟持部材60の両方に1つずつポケットを設けてもよいし、第1挟持部材50と第2挟持部材60のいずれか一方にのみ2つのポケットを設けてもよい。ポケットの数が3つの場合、第1挟持部材50と第2挟持部材60のいずれか一方に1つのポケットを設け、他方に2つのポケットを設ければよい。
【0056】
尚、この実施形態の説明では、クランプ40を中間部33に取り付けた状態で、クランプ40の下になる側を単に「下」といい、クランプ40の上になる側を単に「上」というものとする。また、第1挟持部材50及び第2挟持部材60における連結部材70によって連結される側を、第1挟持部材50及び第2挟持部材60の「基端側」といい、第1挟持部材50及び第2挟持部材60における連結部材70によって連結される側とは反対側を、第1挟持部材50及び第2挟持部材60の「先端側」というものとする。第1挟持部材50及び第2挟持部材60の先端側が一端側に相当し、第1挟持部材50及び第2挟持部材60の基端側が他端側に相当する。このようにクランプ40の方向を定義するのは説明の便宜を図るためだけであり、クランプ40の使用状態を限定するものではなく、図示した姿勢以外の姿勢でクランプ40を使用することも可能である。
【0057】
第1挟持部材50は、上下方向に間隔をあけて配置された第1本体板部51と、複数の第1縦板部52とを備えている。第1挟持部材50には、必要に応じて補強用のビード等を設けることができる。また、第1挟持部材50の断面形状は任意に設定することができる。
【0058】
第1本体板部51は、中間部33の外周面を周方向に略半分だけ囲むように形成され、中間部33の軸線Xに対して直交する方向に延びている。第1本体板部51における中間部33の外周面に当接する部分は、該中間部33の外周面に沿って延びる曲面部51aで構成されている。曲面部51aは、周方向に間隔をあけて3つ設けられている。3つの曲面部51aは、中間部33の外径と略同じ径の円弧に近い形状を有している。
【0059】
第1本体板部51の先端側には、第1延出板部51cが設けられている。また、第1本体板部51には、第1ポケットP1を構成する第1切欠部51dと、第2ポケットP2を構成する第2切欠部51eとが形成されている。第1切欠部51dは、先端側寄りの部分に形成され、第2切欠部51eは、基端側寄りの部分に形成されている。
【0060】
第1切欠部51d及び第2切欠部51eは、第1本体板部51における中間部33の外周面に当接する部分に開放されている。第1切欠部51d及び第2切欠部51eの開放部分は、3つの曲面部51aの間に位置している。
【0061】
複数の第1縦板部52は、第1本体板部51の第1切欠部51dの縁部に沿うように配置されるとともに、第2切欠部51eの縁部に沿うように配置されている。そして、複数の第1縦板部52は、上側の第1本体板部51の下面から下側の第1本体板部51の上面まで延びており、上下の第1本体板部51を連結している。
【0062】
第2挟持部材60は、第1挟持部材50と同様に、上下方向に間隔をあけて配置された第2本体板部61と、複数の第2縦板部62とを備えている。第2本体板部61は、中間部33の外周面を周方向に略半分だけ囲むように形成され、中間部33の軸線Xに対して直交する方向に延びている。第2本体板部61における中間部33の外周面に当接する部分は、該中間部33の外周面に沿って延びる曲面部61aで構成されている。
【0063】
第2本体板部61の先端側には、第2延出板部61cが設けられている。また、第2本体板部61には、第3ポケットP3を構成する第3切欠部61dと、第4ポケットP4を構成する第4切欠部61eとが形成されている。第3切欠部61dは、先端側寄りの部分に形成され、第4切欠部61eは、基端側寄りの部分に形成されている。
【0064】
第3切欠部61d及び第4切欠部61eは、第1本体板部51における中間部33の外周面に当接する部分に開放されている。第3切欠部61d及び第4切欠部61eの開放部分は、3つの曲面部61aの間に位置している。
【0065】
複数の第2縦板部62は、第2本体板部61の第3切欠部61dの縁部に沿うように配置されるとともに、第4切欠部61eの縁部に沿うように配置されている。そして、複数の第2縦板部62は、上側の第2本体板部61の下面から下側の第2本体板部61の上面まで延びており、上下の第2本体板部61を連結している。
【0066】
連結部材70は、連結プレート71と、上下方向に延びる第1連結軸72及び第2連結軸73とを備えている。第1連結軸72は、上側の第1本体板部51の基端側を上下方向に貫通するとともに、連結プレート71を貫通し、さらに下側の第1本体板部51の基端側を上下方向に貫通している。第1連結軸72周りに、第1挟持部材50が回動可能になっている。第1連結軸72の上端及び下端は、図示しないかしめ部や止め輪等によって抜け止めされている。
【0067】
第2連結軸73は、上側の第2本体板部61の基端側を上下方向に貫通するとともに、連結プレート71を貫通し、さらに下側の第2本体板部61の基端側を上下方向に貫通している。第2連結軸73周りに、第2挟持部材60が回動可能になっている。第2連結軸73の上端及び下端は、図示しないかしめ部や止め輪等によって抜け止めされている。
【0068】
従って、連結部材70によって第1挟持部材50の基端側と第2挟持部材60の基端側とが連結されて、第1挟持部材50の先端側と第2挟持部材60の先端側とが互いに接離する方向に回動可能になる。尚、連結部材70の構造は上述した構造に限られるものではなく、1本の連結軸(図示せず)によって連結された構造であってもよい。
【0069】
締結部材80は、締結軸部81、ナット82、支軸83及び係止板84を備えている。締結軸部81の基端部には大径部81aが形成されている。係止板84は、上下方向に延びており、第1延出板部51cに対して溶接等により固定されている。
図6に示すように、係止板84には、締結軸部81を挿入する軸部挿入用切欠部84aが形成されている。軸部挿入用切欠部84aは、係止板84の先端側に向けて開放している。
【0070】
締結軸部81における大径部81a以外の部分は、外周面にネジ溝が連続して形成されたネジ棒で構成されており、例えばボルトの軸部等で構成することができる。ナット82は、締結軸部81に螺合する部材である。
【0071】
支軸83は、締結軸部81の大径部81aを第2挟持部材60の先端側に対して回動可能に支持するための部材である。支軸83は、第1連結軸72と同様に上下方向に延びる丸棒材で構成されており、第2延出板部61cに支持されている。
【0072】
締結軸部81を回動させることにより、締結軸部81を係止板84の軸部挿入用切欠部84aに挿入した状態と、締結軸部81を係止板84の軸部挿入用切欠部84aから抜いた状態(図示せず)とに切り替えることができる。締結軸部81を係止板84の軸部挿入用切欠部84aから抜いた状態にすることで、第1挟持部材50の先端側と第2挟持部材60の先端側とが離れるように、第1挟持部材50と第2挟持部材60を回動させることができる。
【0073】
一方、第1挟持部材50の先端側と第2挟持部材60の先端側とを接近させた状態で、締結軸部81を係止板84の軸部挿入用切欠部84aに挿入することができる。この状態でナット82を締め込むと、第1挟持部材50の先端側と第2挟持部材60の先端側とが接近する方向に締結される。
【0074】
(実施形態1の変形例3)
図8~
図10は、実施形態1の変形例3を示すものである。この変形例3は、第2の支柱20がポケット20aではなく、緊結用のフランジ26を有している例である。フランジ26は、上記実施形態のポケット20aと同様な高さに配置され、第2の支柱20の外周面から当該第2の支柱20の径方向に突出している。フランジ26には、例えば特許文献3、4等に記載されているように、クサビが差し込まれる4つの差込孔(図示せず)が当該フランジ26を上下方向に貫通するように形成されている。4つの差込孔は、第2の支柱20の周方向に90゜間隔となるように配置される。
【0075】
図9及び
図10に示すように、変形例3に係る接続部材30は、第2の支柱20のフランジ26に対応するように、
図3に示しているポケット30aの代わりにフランジ34を備えている。フランジ34は、第2の支柱20のフランジ26と同様に鋼材等からなるものであり、中間部33の外周面から当該中間部33の径方向に突出している。フランジ34には、第2の支柱20のフランジ26と同規格の4つの差込孔34aが当該フランジ34を上下方向に貫通するように形成されている。差込孔34aの数は、1つ、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。また、フランジ34の外形状も、第2の支柱20のフランジ26の形状と同じになっている。尚、差込孔34aの形状及び大きさ、フランジ34の外形状等は、第2の支柱20のフランジ26と同規格であればよいので、図示したものに限られない。
【0076】
(実施形態1の変形例4)
図11に示す実施形態1の変形例4のように、必要に応じて、差込孔34aを、
図10に示す位置から45°回転させた位置に設けてもよい。
【0077】
(実施形態1の変形例5)
図12及び
図13は、実施形態1の変形例5を示すものである。この変形例5は、変形例2のポケットP1~P4を有するクランプ40の代わりに、フランジ型クランプ90を備えた例である。
【0078】
フランジ型クランプ90は、中間部33を径方向に挟持する第1挟持部材91及び第2挟持部材92と、第1挟持部材91及び第2挟持部材92を回動可能に連結する連結部材93と、第1挟持部材91及び第2挟持部材92を締結する締結部材100とを含んでいる。
【0079】
第1挟持部材91に第1差込孔91aと第2差込孔91bとが設けられ、また、第2挟持部材92に第3差込孔92aと第4差込孔92bとが設けられている。第1~第4差込孔91a、91b、92a、92bは、
図10に示す変形例3のフランジ34の差込孔34aと同じであり、軸線X周りに等間隔(90°間隔)で配置されている。第1~第4差込孔91a、91b、92a、92bの形状は、第2の規格に合っていればよいので、図示したものに限られない。尚、差込孔の数は4つに限られるものではなく、1つ、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。差込孔の数が1つの場合、第1挟持部材91と第2挟持部材92のいずれか一方にのみ差込孔を設ければよい。差込孔の数が2つの場合、第1挟持部材91と第2挟持部材92の両方に1つずつポケットを設けてもよいし、第1挟持部材91と第2挟持部材92のいずれか一方にのみ2つの差込孔を設けてもよい。差込孔の数が3つの場合、第1挟持部材91と第2挟持部材92のいずれか一方に1つのポケットを設け、他方に2つのポケットを設ければよい。尚、クランプ90の方向の定義は、変形例2のクランプ40の方向の定義と同じである。
【0080】
第1挟持部材91は、中間部33の外周面を周方向に略半分だけ囲むように形成され、中間部33の軸線Xに対して直交する方向に延びている。第1挟持部材91における中間部33の外周面に当接する部分は、該中間部33の外周面に沿って延びる曲面部91cで構成されている。曲面部91cは、周方向に間隔をあけて3つ設けられている。3つの曲面部91cは、中間部33の外径と略同じ径の円弧に近い形状を有している。第1挟持部材91の先端側には、第1延出板部91dが設けられている。
【0081】
第2挟持部材92も、中間部33の外周面を周方向に略半分だけ囲むように形成され、中間部33の軸線Xに対して直交する方向に延びている。第2挟持部材92における中間部33の外周面に当接する部分は、該中間部33の外周面に沿って延びる曲面部92cで構成されている。曲面部92cは、周方向に間隔をあけて3つ設けられている。3つの曲面部92cは、中間部33の外径と略同じ径の円弧に近い形状を有している。第2挟持部材92の先端側には、第2延出板部92dが設けられている。
【0082】
連結部材93は、第1挟持部材91の基端側を上下方向に貫通するとともに、第2挟持部材92の基端側を上下方向に貫通している。連結部材93周りに、第1挟持部材91または第2挟持部材92が回動可能になっている。連結部材93の上端及び下端は、図示しないかしめ部や止め輪等によって抜け止めされている。
【0083】
締結部材100は、締結軸部101、ナット102、支軸103及び係止板104を備えている。締結軸部101の基端部には大径部101aが形成されている。係止板104は、上下方向に延びており、第1延出板部91dに対して溶接等により固定されている。係止板104には、締結軸部101を挿入する軸部挿入用切欠部104aが形成されている。軸部挿入用切欠部104aは、係止板104の先端側に向けて開放している。
【0084】
締結軸部101における大径部101a以外の部分は、外周面にネジ溝が連続して形成されたネジ棒で構成されており、例えばボルトの軸部等で構成することができる。ナット102は、締結軸部101に螺合する部材である。
【0085】
支軸103は、締結軸部101の大径部101aを第2挟持部材92の先端側に対して回動可能に支持するための部材である。支軸103は、連結部材93と同様に上下方向に延びる丸棒材で構成されており、第2延出板部92dに支持されている。
【0086】
締結軸部101を回動させることにより、締結軸部101を係止板104の軸部挿入用切欠部104aに挿入した状態と、締結軸部101を係止板104の軸部挿入用切欠部104aから抜いた状態(図示せず)とに切り替えることができる。締結軸部101を係止板104の軸部挿入用切欠部104aから抜いた状態にすることで、第1挟持部材91の先端側と第2挟持部材92の先端側とが離れるように、第1挟持部材91と第2挟持部材92とを回動させることができる。
【0087】
一方、第1挟持部材91の先端側と第2挟持部材92の先端側とを接近させた状態で、締結軸部101を係止板104の軸部挿入用切欠部104aに挿入することができる。この状態でナット102を締め込むと、第1挟持部材91の先端側と第2挟持部材92の先端側とが接近する方向に締結される。
【0088】
(実施形態2)
図14は、本発明の実施形態2に係る仮設足場1を示すものである。この実施形態2の仮設足場1は、第1の足場Aと第2の足場Bとが組み合わされて構成されている点では実施形態1と同じであるが、第1の足場Aと第2の足場Bとが水平方向に並ぶように構築されている点で実施形態1とは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。実施形態2と実施形態1とを組合わせることもできる。
【0089】
図14において左側が第1の足場Aであり、第1の規格に基づいて製造された足場構成部材10~13で構築されている。一方、
図14において右側が第2の足場Bであり、第2の規格に基づいて製造された足場構成部材20~23で構築されている。第1の足場Aと第2の足場Bとは水平方向に間隔をあけて構築され、第1の足場Aと第2の足場Bとの間に、接続用布材300、接続用先行手摺301及び接続用先行筋交い302が介在している。接続用布材300、接続用先行手摺301及び接続用先行筋交い302のそれぞれによって第1の足場Aの足場構成部材10~13と、第2の足場Bの足場構成部材20~23とが接続される。接続用布材300、接続用先行手摺301及び接続用先行筋交い302の長さは規格で定められた長さとされていてもよいし、伸縮可能に構成されていてもよい。
【0090】
接続用布材300は、本発明の接続部材を構成するものである。接続用布材300の一端部(第1の足場A側の端部)には、第1の接続部を構成する第1のクサビ300aが設けられている。第1のクサビ300aは、第1の支柱10のポケット(第1の足場構成部材が有する被接続部)10aの形状に対応した形状とされ、ポケット10aに差し込まれる。これにより、第1の支柱10のポケット10aが第1のクサビ300aに接続される。
【0091】
また、接続用布材300の他端部(第2の足場B側の端部)には、第2の接続部を構成する第2のクサビ300bが設けられている。第2のクサビ300bは、第1のクサビ300aの形状とは異なるとともに、第2の支柱20のポケット(第2の足場構成部材が有する被接続部)20aの形状に対応した形状とされ、ポケット20aに差し込まれる。これにより、第2の支柱20のポケット20aが第2のクサビ300bに接続される。
【0092】
接続用先行手摺301も本発明の接続部材を構成するものである。接続用先行手摺301の一端部(第1の足場A側の端部)には、第1の接続部を構成する第1のクサビ301aが設けられている。第1のクサビ301aは、接続用布材300の第1のクサビ300aと同じであり、ポケット10aに差し込まれる。
【0093】
また、接続用先行手摺301の他端部(第2の足場B側の端部)には、第2の接続部を構成する第2のクサビ301bが設けられている。第2のクサビ301bは、接続用布材300の第2のクサビ300bと同じであり、ポケット20aに差し込まれる。
【0094】
接続用先行筋交い302も本発明の接続部材を構成するものである。接続用先行筋交い302の一端部(第1の足場A側の端部)には、第1の接続部を構成する第1のクサビ302aが設けられている。第1のクサビ302aは、接続用布材300の第1のクサビ300aと同じであり、ポケット10aに差し込まれる。
【0095】
また、接続用先行筋交い302の他端部(第2の足場B側の端部)には、第2の接続部を構成する第2のクサビ302bが設けられている。第2のクサビ302bは、接続用布材300の第2のクサビ300bと同じであり、ポケット20aに差し込まれる。
【0096】
接続用布材300、接続用先行手摺301及び接続用先行筋交い302は、通常の足場構成部材と同様に組み付けることが可能である。組付後は、仮設足場1として所定の強度を確保できる。
【0097】
この実施形態2によれば、第1の足場Aと第2の足場Bとを水平方向に並べた状態で接続用布材300、接続用先行手摺301及び接続用先行筋交い302によって接続して1つの仮設足場1を構築することができる。
【0098】
また、接続用布材300及び接続用先行手摺301を伸縮可能(長さ変更可能)に構成することで、第1の足場Aと第2の足場Bとの距離を自由に設定することができる。
【0099】
(実施形態3)
図15は、本発明の実施形態3に係る仮設足場1を示すものである。この実施形態3の仮設足場1は、実施形態2と同様に、第1の足場Aと第2の足場Bとが水平方向に並ぶように構築されているが、実施形態2に比べて第1の足場Aと第2の足場Bとの間隔が狭くなっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。実施形態3と実施形態1とを組合わせることもできる。
【0100】
図15において左側が第1の足場Aであり、第1の規格に基づいて製造された足場構成部材10~13で構築されている。一方、
図15において右側が第2の足場Bであり、第2の規格に基づいて製造された足場構成部材20~23で構築されている。
【0101】
第1の足場Aと第2の足場Bとの間に、接続用支柱310が介在している。接続用支柱310によって第1の足場Aの足場構成部材10~13と、第2の足場Bの足場構成部材20~23とが接続される。接続用支柱310の長さ及び径は規格で定められた寸法とされている。
【0102】
図16にも示すように、接続用支柱310は本発明の接続部材を構成するものである。
図17及び
図18に示すように、接続用支柱310には、複数の第1のポケット310aと、複数の第2のポケット310bとが設けられている。第1のポケット310aは、第1の規格に基づいて製造された第1の足場板11のクサビ11a、第1の先行手摺12のクサビ12a、第1の先行筋交い13のクサビ13aが差し込まれるものである。また、第2のポケット310bは、第2の規格に基づいて製造された第2の足場板21のクサビ21a、第2の先行手摺22のクサビ22a、第2の先行筋交い23のクサビ23aが差し込まれるものである。
【0103】
本実施形態では、第1の規格に基づくクサビ11a、12a、13aが、第1の足場構成部材が有する被接続部である。第1のポケット310aが第1の接続部であり、クサビ11a、12a、13aの形状に対応した形状とされている。また、第2の規格に基づくクサビ21a、22a、23aが、第2の足場構成部材が有する被接続部である。第2のポケット310bが第2の接続部であり、第1のポケット310aの形状とは異なるとともに、クサビ21a、22a、23aの形状に対応した形状とされている。
【0104】
図18に示すように、第1のポケット310a及び第2のポケット310bの数は、任意に設定することができる。本実施形態では、第1のポケット310aを2つ設けており、接続用支柱310の周方向に90°の間隔で配置されている。同様に、第2のポケット310bを2つ設けており、接続用支柱310の周方向に90°の間隔で配置されている。
【0105】
図17に示すように、第1のポケット310aと第2のポケット310bとは上下方向に寸法Hだけずれている。寸法Hは、第1の足場Aの規格と、第2の足場Bの規格との相違によって生じるものであり、組み合わせる規格によって異なる寸法になる場合がある。また、寸法Hが0になる可能性もある。
【0106】
この実施形態3によれば、第1の足場Aと第2の足場Bとを水平方向に並べた状態で接続用支柱310によって接続して1つの仮設足場1を構築することができる。尚、足場A用のポケットと足場B用のフランジ、足場A用のフランジと足場B用のフランジでも可能なく仮設足場を構築可能である。
【0107】
(実施形態3の変形例1)
図19は、実施形態3の変形例1に係る接続用支柱310を示すものである。この変形例1では、第1のポケット310a及び第2のポケット310bを省略し、ポケットP11~P14を有するクランプ400(
図20及び
図21にも示す)を備えた構成となっている。したがって、この変形例1の接続部材は、接続用支柱310及びクランプ400を有している。接続用支柱310は、一般的に使用されている単管で構成することができる。
【0108】
クランプ400は、実施形態1の変形例2(
図6及び
図7に示す)のクランプ40と同様なクサビ緊結式足場用クランプである。実施形態3の変形例1のクランプ400は、
図21に示すように、接続用支柱310を径方向に挟持する第1挟持部材450及び第2挟持部材460と、第1挟持部材450及び第2挟持部材460を回動可能に連結する連結部材470と、第1挟持部材450及び第2挟持部材460を締結する締結部材480とを含んでいる。本実施形態では、第1挟持部材450及び第2挟持部材460で接続用支柱310を径方向に挟持するようにしているが、これに限らず、図示しないが、第3挟持部材や第4挟持部材を更に連結し、3つ以上の挟持部材で接続用支柱310を挟持してもよい。
【0109】
第1挟持部材450及び第2挟持部材460は、接続用支柱310の外周面に対して該接続用支柱310の径方向(水平方向)一側及び他側からそれぞれ当接することにより、接続用支柱310を径方向に挟持(クランプ)する部材である。クランプ400は、第1の支柱10のポケット10aと同規格の第1ポケットP11及び第3ポケットP13とを有するとともに、第2の支柱20のポケット20aと同規格の第2ポケットP12及び第4ポケットP14とを有している。第1ポケットP11及び第3ポケットP13は同じであり、第2ポケットP12及び第4ポケットP14は同じである。
【0110】
第1ポケットP11及び第3ポケットP13は、第1の規格に基づいて製造された第1の足場板11のクサビ11a、第1の先行手摺12のクサビ12a、第1の先行筋交い13のクサビ13a(
図15に示す)が差し込まれるものである。また、第2ポケットP12及び第4ポケットP14は、第2の規格に基づいて製造された第2の足場板21のクサビ21a、第2の先行手摺22のクサビ22a、第2の先行筋交い23のクサビ23aが差し込まれるものである。
【0111】
本実施形態では、第1の規格に基づくクサビ11a、12a、13aが、第1の足場構成部材が有する被接続部である。第1ポケットP11及び第3ポケットP13が第1の接続部であり、クサビ11a、12a、13aの形状に対応した形状とされている。また、第2の規格に基づくクサビ21a、22a、23aが、第2の足場構成部材が有する被接続部である。第2ポケットP12及び第4ポケットP14が第2の接続部であり、第1ポケットP11及び第3ポケットP13の形状とは異なるとともに、クサビ21a、22a、23aの形状に対応した形状とされている。つまり、1つのクランプ400に、第1の接続部と第2の接続部とが設けられている。
【0112】
第1挟持部材450に第1ポケットP11と第2ポケットP12とが設けられ、また、第2挟持部材460に第3ポケットP13と第4ポケットP14とが設けられている。第1~第4ポケットP11~P14は、接続用支柱310の軸線X周りに等間隔(90°間隔)で配置されている。
図21では足場A用のポケットと足場B用のポケットが2つずつの場合を図示しているが、それぞれの数は任意に設定することができる。尚、ポケットの数は4つに限られるものではなく、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。ポケットの数が2つの場合、第1挟持部材450と第2挟持部材460の両方に1つずつポケットを設けてもよいし、第1挟持部材450と第2挟持部材460のいずれか一方にのみ2つのポケットを設けてもよい。ポケットの数が3つの場合、第1挟持部材450と第2挟持部材460のいずれか一方に1つのポケットを設け、他方に2つのポケットを設ければよい。尚、クランプ400の方向の定義は、実施形態1の変形例2のクランプ40の方向の定義と同じである。
【0113】
第1挟持部材450は、接続用支柱310の外周面を周方向に略半分だけ囲むように形成され、接続用支柱310の軸線Xに対して直交する方向に延びている。第1挟持部材450における接続用支柱310の外周面に当接する部分は、該接続用支柱310の外周面に沿って延びる曲面部450aで構成されている。曲面部450aは、周方向に間隔をあけて設けられている。曲面部450aは、接続用支柱310の外径と略同じ径の円弧に近い形状を有している。第1挟持部材450の先端側には、第1延出板部450cが設けられている。
【0114】
第2挟持部材460は、第1挟持部材450と同様に、接続用支柱310の外周面を周方向に略半分だけ囲むように形成され、接続用支柱310の軸線Xに対して直交する方向に延びている。第2挟持部材460における接続用支柱310の外周面に当接する部分は、該接続用支柱310の外周面に沿って延びる曲面部460aで構成されている。第2挟持部材460の先端側には、第2延出板部460cが設けられている。
【0115】
連結部材470は、第1挟持部材450の基端側を上下方向に貫通するとともに、第2挟持部材460の基端側を上下方向に貫通している。連結部材470周りに、第1挟持部材450または第2挟持部材460が回動可能になっている。連結部材470の上端及び下端は、図示しないかしめ部や止め輪等によって抜け止めされている。
【0116】
締結部材480は、締結軸部481、ナット482、支軸483及び係止板484を備えている。締結軸部481の基端部には大径部481aが形成されている。係止板484は、上下方向に延びており、第1延出板部450cに対して溶接等により固定されている。係止板484には、締結軸部481を挿入する軸部挿入用切欠部484aが形成されている。軸部挿入用切欠部484aは、係止板484の先端側に向けて開放している。
【0117】
締結軸部481における大径部481a以外の部分は、外周面にネジ溝が連続して形成されたネジ棒で構成されており、例えばボルトの軸部等で構成することができる。ナット482は、締結軸部481に螺合する部材である。
【0118】
支軸483は、締結軸部481の大径部481aを第2挟持部材460の先端側に対して回動可能に支持するための部材である。支軸483は、連結部材470と同様に上下方向に延びる丸棒材で構成されており、第2延出板部460cに支持されている。
【0119】
締結軸部481を回動させることにより、締結軸部481を係止板484の軸部挿入用切欠部484aに挿入した状態と、締結軸部481を係止板484の軸部挿入用切欠部484aから抜いた状態(図示せず)とに切り替えることができる。締結軸部481を係止板484の軸部挿入用切欠部484aから抜いた状態にすることで、第1挟持部材450の先端側と第2挟持部材460の先端側とが離れるように、第1挟持部材450と第2挟持部材460とを回動させることができる。
【0120】
一方、第1挟持部材450の先端側と第2挟持部材460の先端側とを接近させた状態で、締結軸部481を係止板484の軸部挿入用切欠部484aに挿入することができる。この状態でナット482を締め込むと、第1挟持部材450の先端側と第2挟持部材460の先端側とが接近する方向に締結される。尚、
図20における寸法Hは、第1の足場Aの規格と、第2の足場Bの規格との相違によって生じるものである。
【0121】
(実施形態3の変形例2)
図22及び
図23は、実施形態3の変形例2を示すものである。この変形例2は、変形例1のポケットP11~P14を有するクランプ400の代わりに、フランジ型クランプ500を備えた例である。
【0122】
フランジ型クランプ500は、接続用支柱310を径方向に挟持する第1挟持部材510及び第2挟持部材520と、第1挟持部材510及び第2挟持部材520を回動可能に連結する連結部材530と、第1挟持部材510及び第2挟持部材520を締結する締結部材540とを含んでいる。
【0123】
第1挟持部材510に第1差込孔510aと第2差込孔510bとが設けられ、また、第2挟持部材520に第3差込孔520aと第4差込孔520bとが設けられている。第1~第4差込孔510a、510b、520a、520bは、軸線X周りに等間隔(90°間隔)で配置されている。
【0124】
第1差込孔510aと第2差込孔510bは、第1の規格に基づいて製造された足場構成部材のクサビ(図示せず)が差し込まれるものである。また、第3差込孔520aと第4差込孔520bは、第2の規格に基づいて製造された足場構成部材のクサビ(図示せず)が差し込まれるものである。
【0125】
本実施形態では、第1の規格に基づくクサビが、第1の足場構成部材が有する被接続部であり、第1差込孔510aと第2差込孔510bが第1の接続部であり、第1の規格のクサビの形状に対応した形状とされている。また、第2の規格に基づくクサビが、第2の足場構成部材が有する被接続部であり、第3差込孔520aと第4差込孔520bが第2の接続部であり、第1差込孔510aと第2差込孔510bの形状とは異なるとともに、第2の規格のクサビの形状に対応した形状とされている。
図23では足場A用の差込孔と足場B用の差込孔が2つずつの場合を図示しているが、それぞれの数は任意に設定することができる。
【0126】
尚、差込孔の数は4つに限られるものではなく、2つ、3つ、または5つ以上であってもよい。差込孔の数が2つの場合、第1挟持部材510と第2挟持部材520の両方に1つずつポケットを設けてもよいし、第1挟持部材510と第2挟持部材520のいずれか一方にのみ2つの差込孔を設けてもよい。差込孔の数が3つの場合、第1挟持部材510と第2挟持部材520のいずれか一方に1つのポケットを設け、他方に2つのポケットを設ければよい。尚、クランプ500の方向の定義は、実施形態1の変形例2のクランプ40の方向の定義と同じである。
【0127】
第1挟持部材510は、接続用支柱310の外周面を周方向に略半分だけ囲むように形成され、接続用支柱310の軸線Xに対して直交する方向に延びている。第1挟持部材510における接続用支柱310の外周面に当接する部分は、該接続用支柱310の外周面に沿って延びる曲面部510cで構成されている。曲面部510cは、接続用支柱310の外径と略同じ径の円弧に近い形状を有している。第1挟持部材510の先端側には、第1延出板部510dが設けられている。
【0128】
第2挟持部材520も、接続用支柱310の外周面を周方向に略半分だけ囲むように形成され、接続用支柱310の軸線Xに対して直交する方向に延びている。第2挟持部材520における接続用支柱310の外周面に当接する部分は、該接続用支柱310の外周面に沿って延びる曲面部520cで構成されている。第2挟持部材520の先端側には、第2延出板部520dが設けられている。
【0129】
連結部材530は、第1挟持部材510の基端側を上下方向に貫通するとともに、第2挟持部材520の基端側を上下方向に貫通している。連結部材530周りに、第1挟持部材510または第2挟持部材520が回動可能になっている。連結部材530の上端及び下端は、図示しないかしめ部や止め輪等によって抜け止めされている。
【0130】
締結部材540は、締結軸部541、ナット542、支軸543及び係止板544を備えている。締結軸部541の基端部には大径部541aが形成されている。係止板544は、上下方向に延びており、第1延出板部510dに対して溶接等により固定されている。係止板544には、締結軸部541を挿入する軸部挿入用切欠部544aが形成されている。軸部挿入用切欠部544aは、係止板544の先端側に向けて開放している。
【0131】
締結軸部541における大径部541a以外の部分は、外周面にネジ溝が連続して形成されたネジ棒で構成されており、例えばボルトの軸部等で構成することができる。ナット542は、締結軸部541に螺合する部材である。
【0132】
支軸543は、締結軸部541の大径部541aを第2挟持部材520の先端側に対して回動可能に支持するための部材である。支軸543は、連結部材530と同様に上下方向に延びる丸棒材で構成されており、第2延出板部520dに支持されている。
【0133】
締結軸部541を回動させることにより、締結軸部541を係止板544の軸部挿入用切欠部544aに挿入した状態と、締結軸部541を係止板544の軸部挿入用切欠部544aから抜いた状態(図示せず)とに切り替えることができる。締結軸部541を係止板544の軸部挿入用切欠部544aから抜いた状態にすることで、第1挟持部材510の先端側と第2挟持部材520の先端側とが離れるように、第1挟持部材510と第2挟持部材520とを回動させることができる。
【0134】
一方、第1挟持部材510の先端側と第2挟持部材520の先端側とを接近させた状態で、締結軸部541を係止板544の軸部挿入用切欠部544aに挿入することができる。この状態でナット542を締め込むと、第1挟持部材510の先端側と第2挟持部材520の先端側とが接近する方向に締結される。
【0135】
(実施形態3の変形例3)
図24及び
図25は、実施形態3の変形例3を示すものである。この変形例3は、実施形態3の変形例2の4つの差込孔510a、510b、520a、520bのうち、2つの差込孔510a、520aをそれぞれ第1ポケットP21、第2ポケットP22に置き換えた例である。
【0136】
第1ポケットP21と第2ポケットP22は、第1の規格に基づいて製造された足場構成部材のクサビ(図示せず)が差し込まれるものである。また、差込孔510b、520bは、第2の規格に基づいて製造された足場構成部材のクサビ(図示せず)が差し込まれるものである。
【0137】
本実施形態では、第1の規格に基づくクサビが、第1の足場構成部材が有する被接続部であり、第1ポケットP21と第2ポケットP22が第1の接続部であり、第1の規格のクサビの形状に対応した形状とされている。また、第2の規格に基づくクサビが、第2の足場構成部材が有する被接続部であり、差込孔510b、520bが第2の接続部であり、第1ポケットP21と第2ポケットP22の形状とは異なるとともに、第2の規格のクサビの形状に対応した形状とされている。尚、ポケットの数、差込孔の数は、任意に設定することができ、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。尚、
図24における寸法Hは、第1の足場Aの規格と、第2の足場Bの規格との相違によって生じるものである。
【0138】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0139】
以上説明したように、本発明は、異なる規格の足場構成部材を用いて1つの仮設足場を構成する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0140】
1 仮設足場
10 第1の支柱(第1の足場構成部材)
10b 被接続管部
20 第2の支柱(第2の足場構成部材)
20b 被接続管部
30 接続部材
31 第1の接続部
32 第2の接続部
A 第1の足場
B 第2の足場
【要約】
【課題】異なる規格の足場構成部材を組合わせて1つの仮設足場を構築できるようにする。
【解決手段】仮設足場は、第1の規格に基づいて製造された第1の足場構成部材10と、第2の規格に基づいて製造された第2の足場構成部材20とを接続する接続部材30を備えている。接続部材30は、第1の足場構成部材10が有する被接続部10bが接続される第1の接続部31と、第2の足場構成部材20が有する被接続部20bが接続される第2の接続部32とを有している。第1の接続部31の形状は、第1の足場構成部材10の被接続部10bの形状に対応した形状とされている。第2の接続部32の形状は、第1の接続部31の形状とは異なるとともに、第2の足場構成部材20の被接続部20bの形状に対応した形状とされている。
【選択図】
図2