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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】アラームシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/332 20210101AFI20220728BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220728BHJP
   A61B 5/361 20210101ALI20220728BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220728BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
A61B5/332
A61B5/00 102C
A61B5/361
A61B5/33 120
G08B21/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017020727
(22)【出願日】2017-02-07
(65)【公開番号】P2017209482
(43)【公開日】2017-11-30
【審査請求日】2019-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2016050647
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016102663
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 博一
(72)【発明者】
【氏名】松村 文幸
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/127218(WO,A1)
【文献】特表2014-502448(JP,A)
【文献】特開2015-073809(JP,A)
【文献】特開平11-019057(JP,A)
【文献】特開2006-110180(JP,A)
【文献】特開2002-219109(JP,A)
【文献】特開2012-254121(JP,A)
【文献】米国特許第5544661(US,A)
【文献】特開2004-258761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
A61B 5/00
A61N 1/00-1/44
G08B 21/00-25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な検出装置と、
前記検出装置と通信可能な通信端末と、を備え、
前記検出装置は、
使用者の体表面に貼り付けられた状態で心電図を計測することが可能な計測部と、
前記心電図内に不整脈を示す異常波形が含まれているか否かを解析する解析部と、
前記解析部が前記異常波形を検出した場合、使用者の周囲の通信端末に向けて前記異常波形が検出された旨を示す検出信号を送信する送信部と、を備え、
前記通信端末は、
前記検出装置の前記送信部から送信された前記検出信号を受信する受信部と、
前記検出信号を受信した場合にアラームを発する端末アラーム部と、
を有し、
前記通信端末は、携帯型の情報通信端末であり、
前記情報通信端末は、前記検出信号を他の端末機器に自動転送する転送部を備えている、
アラームシステム。
【請求項2】
携帯可能な検出装置と、
前記検出装置と通信可能な通信端末と、を備え、
前記検出装置は、
使用者の体表面に貼り付けられた状態で心電図を計測することが可能な計測部と、
前記心電図内に不整脈を示す異常波形が含まれているか否かを解析する解析部と、
前記解析部が前記異常波形を検出した場合、使用者の周囲の通信端末に向けて前記異常波形が検出された旨を示す検出信号を送信する送信部と、
前記異常波形が検出された場合、前記使用者に除細動のための電気的刺激を与える除細動部と、
前記除細動に必要な電力を供給可能な電源部と、を備え、
前記通信端末は、
前記検出装置の前記送信部から送信された前記検出信号を受信する受信部と、
前記検出信号を受信した場合にアラームを発する端末アラーム部と、
前記検出装置を遠隔的に操作する遠隔操作部と、を備え、
前記遠隔操作部は、前記検出装置の除細動部を操作して、前記電気的刺激を前記検出装置の使用者に与える、
アラームシステム。
【請求項3】
携帯可能な検出装置と、
前記検出装置と通信可能な通信端末と、を備え、
前記検出装置は、
使用者の体表面に貼り付けられた状態で心電図を計測することが可能な計測部と、
前記心電図内に不整脈を示す異常波形が含まれているか否かを解析する解析部と、
前記解析部が前記異常波形を検出した場合、使用者の周囲の通信端末に向けて前記異常波形が検出された旨を示す検出信号を送信する送信部と、
スピーカ部を備え、
前記通信端末は、
前記検出装置の前記送信部から送信された前記検出信号を受信する受信部と、
前記検出信号を受信した場合にアラームを発する端末アラーム部と、
前記検出装置を遠隔的に操作する遠隔操作部と、を備え、
前記遠隔操作部に入力された音声が、前記スピーカ部を介して出力される、
アラームシステム。
【請求項4】
前記検出装置はさらに、
前記異常波形が検出された場合にアラームを発するアラーム部を備える、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のアラームシステム。
【請求項5】
前記アラームには、不整脈が発生した旨を示す音声メッセージが含まれる、
請求項に記載のアラームシステム。
【請求項6】
前記不整脈は、心室細動または心房細動であり、
前記異常波形は、前記心室細動または心房細動を示す波形であり、
前記解析部は、前記心電図内に心室細動または心房細動を示す異常波形が含まれているか否かを解析する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のアラームシステム。
【請求項7】
前記検出装置は使用者の体表面に装着された状態で携帯可能な形状である、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のアラームシステム。
【請求項8】
前記端末アラーム部が発する前記アラームには、不整脈が発生した旨を示す音声メッセージが含まれる、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のアラームシステム。
【請求項9】
前記通信端末は、点灯部を有し、
前記端末アラーム部が発する前記アラームには、前記点灯部が点灯することが含まれる、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のアラームシステム。
【請求項10】
前記通信端末は、自動体外式除細動器である、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のアラームシステム。
【請求項11】
前記通信端末は、居室内に設置され、前記居室内の居住者の活動量を計測することが可能な活動量計測装置である、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のアラームシステム。
【請求項12】
前記通信端末は、前記計測部で測定された心電図、又は前記解析部で解析された結果が表示される表示部を備える、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のアラームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不整脈を検出することが可能な検出装置及び当該検出装置を備えるアラームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓発作の懸念がある者をモニタリングするシステムとしては、例えば、医用テレメータシステムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-78974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、不整脈に起因する心臓発作の救命率は未だに低いのが現状である。例えば、救命の処置が遅れてしまった心臓発作のケース全体のうち、在宅中に心臓発作が発生したケースの割合は約70%であるという調査報告がある。これは、不整脈に起因して心臓発作が発生した際に、患者の周囲の者(家族等)が気づかずに対処が遅れてしまったり、患者の周囲に人が居なかったために対処が遅れてしまったケースが多いためと考えられる。
【0005】
本発明の目的は、発生した不整脈に対して迅速に対処するよう促すことが可能な検出装置および当該検出装置を備えるアラームシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の検出装置は、
携帯可能な検出装置であって、
使用者の体表面に貼り付けられた状態で心電図を計測することが可能な計測部と、
前記心電図内に不整脈を示す異常波形が含まれているか否かを解析する解析部と、
前記解析部が前記異常波形を検出した場合、使用者の周囲の通信端末に向けて前記異常波形が検出された旨を示す検出信号を送信する送信部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、検出装置を装着した使用者の心臓で不整脈が発生した場合、検出装
置は、計測中の心電図内に不整脈を示す異常波形が含まれていることを検出して、検出信号を使用者の周囲の通信端末に向けて送信する。このため、使用者が不整脈により意思疎通が困難な状態であったとしても、検出信号を受信した通信端末を通じて、使用者の周囲の人に注意を促し、不整脈に対して迅速に対処するよう促すことができる。また、比較的に自覚しにくい不整脈に対しても、使用者の周囲の人や本人に対して注意を促し迅速に対処するよう促すことができる。
【0008】
また、本発明のアラームシステムは、
上記の検出装置と、
前記検出装置と通信可能な通信端末と、
を備え、
前記通信端末は、
前記検出装置の前記送信部から送信された前記検出信号を受信する受信部と、
前記検出信号を受信した場合にアラームを発する端末アラーム部と、
を有する。
【0009】
上記構成によれば、検出装置を装着した使用者の心臓で不整脈が発生した場合、検出装置は、計測中の心電図内に不整脈を示す異常波形が含まれていることを検出して、検出信号を使用者の周囲の通信端末に向けて送信する。そして、検出信号を受信した通信端末は、周囲に対してアラームを発する。このため、使用者が不整脈により意思疎通が困難な状態であったとしても、通信端末が発するアラームを通じて、使用者の周囲の人に注意を促し、不整脈に対して迅速に対処するよう促すことができる。また、比較的に自覚しにくい不整脈に対しても、使用者の周囲の人や本人に対して注意を促し迅速に対処するよう促すことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の検出装置及びアラームシステムによれば、発生した不整脈に対して迅速に対処するよう促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るアラームシステムの構成図である。
図2】検出装置の外観を示す図である。
図3】検出装置の本体部の機能ブロック図である。
図4】(a)は心室細動時の心電図の一例であり、(b)は心房細動時の心電図の一例である。
図5】通信端末の機能ブロック図である。
図6】アラームシステムの動作を説明する図である。
図7】アラームシステムの動作を説明する図である。
図8】アラームシステムの変形例を示す図である。
図9】検出装置の変形例を示す図である。
図10】通信端末の変形例を示す図である。
図11】アラームシステムの変形例を示す図である。
図12】アラームシステムの変形例の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、アラームシステム1は、検出装置10と、スマートフォンやタブレット等で構成される携帯型の情報通信端末20(通信端末の一例)と、パソコン30Aや携帯型の情報通信端末30B等で構成される端末機器30と、を備えている。
【0013】
検出装置10は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の短距離型の無線通信の技術により、情報通信端末20と通信可能である。情報通信端末20は、インターネット等のネットワークを介して、例えば遠方に位置する端末機器30と通信可能である。
【0014】
検出装置10は、図2図3に示すように、本体部11と、シート部18と、を備えている。シート部18は、例えば長尺状の薄型のシートであり、第一面S1と、第一面S1とは反対側の第二面S2とを有している。第一面S1には本体部11が固定されていて、第一面S1とは反対側の第二面S2には、本体部11と連携して計測部として機能することが可能な一対の電極12が固定されている。第二面S2は、使用者の体表面に直接貼り付けられる部位であり、第二面S2の最表面は、粘着性のある材料で形成されている。一対の電極12は、第二面S2が使用者の体表面に貼り付けられた状態において、その使用者の心電図を計測することが可能なセンサ素子として機能するものであり、本体部11と電気的に接続されている。
【0015】
本体部11は、受信部19と、解析部13と、アラーム部14と、電源部15と、記憶部16と、送信部17と、を備えており、例えば、心電図解析専用の半導体チップで構成されている。
【0016】
受信部19は、解析部13と接続されている。受信部19は、電極12から送られてきた心電図を受信して、解析部13へと送信することが可能である。
【0017】
解析部13は、本体部11内の各部と接続されている。解析部13は、例えば、受信部19から取得した心電図内に不整脈を示す異常波形が含まれているか否かを解析可能である。異常波形の一例としては、心室細動W1(VF)が発生しているときに計測される心電図中の波形(図4(a)参照)、心房細動W2(AF)が発生しているときに計測される心電図中の波形(図4(b)参照)等がある。解析部13は、例えば、単位時間当たりの心拍数が所定の値を超過、異常波形の外形やピーク間隔のばらつき等の特徴因子に基づいて予め設計された判別アルゴリズムを利用して、心電図に対して解析を行う。
【0018】
解析部13は、解析の結果、計測中の心電図内に異常波形を検出した場合、異常波形を検出した旨を示す検出信号を生成する。生成された検出信号は、アラーム部14や送信部17に向けて送信される。
【0019】
アラーム部14は、解析部13や記憶部16と接続されており、後述するアラーム音や音声メッセージを出力することが可能なスピーカとして機能するものである。アラーム部14は、例えば、検出信号を受信した場合に動作する。
【0020】
電源部15は、本体部11内の各部と接続されており、動作に必要な電力を供給する。
記憶部16は、解析部13やアラーム部14と接続されており、上述の判別アルゴリズム、アラーム音、音声メッセージなどを記憶している。アラーム音としては、周囲に対して注意を喚起するような音量や音調のものが好ましい。また、音声メッセージとしては、「心臓発作が発生しました」等の不整脈の発生を知らせるメッセージ、「心臓マッサージして下さい」等の迅速な処置を促すメッセージ、「近くにAEDはありませんか?」等の自動体外式除細動器(AED)の使用を促すメッセージ等が含まれる。
【0021】
送信部17は、例えば、NFCやBluetooth(登録商標)等の短距離型の無線通信の技術により、情報通信端末20に向けて検出信号を送信可能である。
【0022】
情報通信端末20は、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯型の通信機器である。情報通信端末20は、図5に示すように、受信部21、制御部22、送信部23、表示部24、アラーム部25(端末アラーム部の一例)、点灯部26と、電源部27と、記憶部28と、を備えている。
【0023】
受信部21は、制御部22と接続されており、検出装置10の送信部17から無線通信で送信されてきた検出信号を受信して、制御部22へと送信することが可能である。
【0024】
制御部22は、情報通信端末20の本体部内の各部と接続されており、各部の動作を制御する。例えば、制御部22は、受信部21から検出信号を受信した場合、記憶部28に予め記憶された転送先リスト等を参照して、送信部23に対して、検出信号を転送先リスト内の所定の宛先に送信するよう命令することが可能である。転送先リストの宛先としては、例えば、使用者の家族が所有するパソコン30Aのメールアドレス、当該家族が所有する情報通信端末30Bの電話番号やメールアドレス、使用者を担当する主治医等の医療従事者が使用するパソコンのメールアドレス等が含まれる。
このように、制御部22は、受信部21、記憶部28、送信部23と連携して、検出信号を他の端末機器に自動転送する転送部として機能することが可能である。
【0025】
表示部24は、制御部22や記憶部28と接続されており、例えば、薄型のタッチパネルディスプレイで構成されている。表示部24は、例えば、情報通信端末20が有するアプリケーションを起動させるための操作が可能な画面を表示することが可能である。表示部24は、例えば、検出信号を受信した制御部22からの命令に従って、不整脈が発生した旨を示すメッセージを含むアラーム画面を表示可能である。
【0026】
アラーム部25は、制御部22や記憶部28と接続されており、アラーム音や音声メッセージを出力することが可能なスピーカとして機能するものである。アラーム部25は、例えば、検出信号を受信した制御部22からの命令に従って、アラーム音や音声メッセージを出力する。
【0027】
点灯部26は、制御部22や記憶部28と接続されており、例えば、所定の点灯パターンで点灯するアラーム灯として機能するものである。点灯部26は、例えば、検出信号を受信した制御部22からの命令に従って、肉眼で眩しいと感じる程度の光を繰り返し点滅して、情報通信端末20の周囲に対して注意を喚起させる。
【0028】
電源部27は、情報通信端末20の本体内の各部と接続されており、各部の動作に必要な電力を供給する。
【0029】
記憶部28は、制御部22、表示部24、アラーム部25および点灯部26と接続されており、各機能を実行するためのアプリケーション、自動転送する際の転送先リスト、点灯パターン、アラーム音、音声メッセージなどを記憶している。アラーム音や音声メッセージは、例えば、検出装置10の記憶部16が記憶するものとして例示した内容と同等で良い。
【0030】
次に、アラームシステム1の動作例について説明する。
【0031】
<検出装置10の動作例>
検出装置10を装着した使用者の心臓に心室細動が発生した場合、検出装置10は、以下のように動作する。
【0032】
検出装置10では、電極12から送られてきた心電図に対して解析部13による解析が行われる。
【0033】
解析部13は、上述のように、予め設計された判別アルゴリズムを利用して、心電図に対して解析を行う。本例の場合、解析部13は、心電図内に不整脈(心室細動(VF))を示す異常波形が含まれていることを検出して、異常波形を検出した旨を示す検出信号を生成する。生成された検出信号は、アラーム部14や送信部17に向けて送信される。
【0034】
検出信号を受信したアラーム部14は、周囲に対して注意を喚起するような音量や音調のアラームを出力する。また、上述の「心臓発作が発生しました」等の不整脈の発生を知らせる音声メッセージを出力する。
【0035】
送信部17は、NFCやBluetooth(登録商標)等の短距離型の無線通信の技術により、情報通信端末20に向けて検出信号を送信する。
【0036】
以上のように、検出装置10を装着した使用者の心臓で不整脈が発生した場合、検出装置10は、計測中の心電図内に不整脈を示す異常波形が含まれていることを検出して、検出信号を使用者の周囲の情報通信端末20に向けて送信する。このため、使用者が不整脈により意思疎通が困難な状態であったとしても、検出信号を受信した情報通信端末20を通じて、使用者の周囲の人に注意を促し、不整脈に対して迅速に対処するよう促すことができる。
【0037】
また、上記によれば、検出装置10自体が出力するアラーム音や音声メッセージを介して、使用者の周囲の人や本人に対して注意を促し、不整脈に対して迅速に対処するよう促すことができる。発生した不整脈が重篤度や緊急性の高い心室細動であって、使用者が例えば意思疎通の困難な状態に陥った場合であっても、検出装置10自体が出力するアラーム音や音声メッセージにより、使用者の周囲の人に対して注意を促し迅速に対処するよう促すことができる。
【0038】
<情報通信端末20の動作例>
続いて、検出装置10から検出信号を受信した場合、情報通信端末20は、以下のように動作する。
【0039】
図6に示すように、情報通信端末20において、受信部21から検出信号を受信した制御部22は、表示部24に対して、「緊急事態です。」等の注意喚起のためのメッセージ、「近くにAEDはありませんか?」等の自動体外式除細動器(AED)の使用を促すメッセージ、「心臓マッサージして下さい」等の迅速な処置を促すメッセージを含むアラーム画面G1を表示させる。
【0040】
また、制御部22は、アラーム部25に対して、「心臓発作が発生しました!!」等の周囲に状況を知らせて注意を喚起するための音声メッセージを出力させる。また、制御部22は、点灯部26に対して、周囲の人が注意を引く程の強い光を点滅させる。
【0041】
上記の動作と並行して、制御部22は、記憶部28に予め記憶された転送先リストを参照して、送信部23に対して、検出信号を使用者の家族の所有する端末機器30(30A,30B)に送信するよう命令する。
【0042】
以上のように、検出信号を受信した情報通信端末20は、その周囲に対して、アラーム音や音声メッセージを発する。このため、使用者が不整脈により意思疎通が困難な状態であったとしても、情報通信端末20が発するアラーム音や音声メッセージを介して、使用者の周囲の人に注意を促し、不整脈に対して迅速に対処するよう促すことができる。また、表示部24にアラーム画面G1を表示させることにより、使用者の状況や行うべき処置などの必要な情報を、情報通信端末20を見た人に正確に伝え、迅速な処置をより促すことができる。
【0043】
また、点灯部26の点灯により、使用者の周囲の人や本人に対して更に注意を喚起しやすくなるとともに、不整脈に対して更に迅速に対処するよう促すことができる。
【0044】
<端末機器30(30B)の動作例>
続いて、情報通信端末20から検出信号が転送されて受信した場合、使用者の家族が所有する情報通信端末30Bは、以下のように動作する。
なお、情報通信端末30Bは、情報通信端末20と同等の構成を備えており、図7に示すうに、表示部34、アラーム部35、点灯部36や、図示せぬ制御部等を有している。
【0045】
検出信号が転送されてきた情報通信端末30Bでは、表示部34に、「緊急事態です。」等の注意喚起のためのメッセージ、「至急、お父さんの状況を確認して下さい。」等の迅速な処置を促すメッセージを含むアラーム画面G2が表示される。
【0046】
また、アラーム部35は、「お父さんが心臓発作で倒れている可能性があります!!」等の緊急事態の可能性を知らせる音声メッセージを出力する。また、点灯部36は、情報通信端末30Bを携帯する者が注意を引く程の強い光を点滅させる。
【0047】
以上のように、情報通信端末20に自動転送機能を設定することで、検出信号は、不整脈が発生した使用者が携帯していた情報通信端末20を介して、使用者の家族等が所有する情報通信端末30Bに転送される。このため、使用者の家族等は、遠隔に居る家族は迅速に不整脈発生の旨を知ることができる。また、家族だけでなく、複数の者(医療従事者等)の端末機器30に検出信号を転送してもよい。
【0048】
なお、以上の動作例では、検出装置10を装着した使用者の心臓に心室細動が発生した場合を想定して説明したが、この例に限られない。例えば、心室細動と比較して緊急度が比較的に低い心房細動が発生した場合にも、本発明を適用することができる。心房細動の場合は、例えば、アラーム画面内に文字メッセージ「心房細動が発生した疑いがあります。病院に行って診断を受けてください」を表示させても良いし、この文字メッセージを音声メッセージとして出力しても良い。自動転送機能に関しても、心室細動の場合と同様に、家族だけでなく、複数の者(医療従事者等)の端末機器30に検出信号を転送して、使用者の健康状態を共有して良い。
【0049】
この構成によれば、心室細動と比較して比較的に自覚しにくい心房細動に対して、使用者の周囲の人や本人に注意を促し迅速に対処するよう促すことができる。
【0050】
また、不整脈の例としては、心室細動や心房細動に限られず、心電図の波形を解析して比較的に精度が高く異常波形の種別を自動判別できるタイプの症状であれば、本発明を適用することは可能である。
【0051】
<変形例1>
上記の例では、検出装置10が検出信号を直接送信する端末として、使用者の情報通信端末20を例に挙げたが、この例に限られない。例えば、図8に示すように、検出装置10は、自動体外式除細動器20Aや活動量計測装置20Bや屋内の火災などの警報装置(図示せず)に対して、無線通信により検出信号を送信する構成であっても良い。
【0052】
自動体外式除細動器20Aは、例えば、使用者H1の住戸内に設置されており、検出信号を検出装置10から受信可能に構成されている。受信信号を受信した自動体外式除細動器20Aは、情報通信端末20と同様に動作可能であり、周囲に対して、「緊急事態です。」等の注意喚起のための音声メッセージ、「AEDはここに有ります!」等の自動体外式除細動器20Aの場所を知らせる音声メッセージ、「心臓マッサージして下さい」等の迅速な処置を促す音声メッセージを出力することが可能である。また、自動体外式除細動器20Aは、点灯部を有して、周囲の人が注意を引く程の強い光を点滅しても良い。AEDからの出力は、何が起きたかを即座に把握できるだけでなく、AEDを探す手間が省ける為、迅速な処置に抜群の効果を発揮する。
【0053】
上記構成によれば、自動体外式除細動器20Aから、その機器20Aが設置された場所を知らせる音声メッセージ等が出力される。このため、同居人H2は、音が聞こえてくる方位や音声メッセージの内容から、自動体外式除細動器20Aを発見しやすくなり、自動体外式除細動器20Aを用いて迅速に対処しやすくなる。
【0054】
また、活動量計測装置20Bは、使用者H1の住戸内に設置されており、検出信号を検出装置10から受信可能に構成されている。活動量計測装置20Bは、使用者H1の活動量を計測するためのセンサを有しており、インターネット等のネットワークを介して、使用者H1の活動量を観察する医療従事者、警備会社の担当者、家族等が使用するパソコン30Aと通信可能に接続されている。
【0055】
活動量計測装置20Bは、情報通信端末20と同様に動作可能であり、周囲に対して、アラーム音、「緊急事態です。」等の注意喚起のための音声メッセージ、「心臓マッサージして下さい」等の迅速な処置を促す音声メッセージ等を出力することが可能である。また、活動量計測装置20Bは、情報通信端末20と同様に検出信号をパソコン30Aに転送しても良い。検出信号を受信したパソコン30Aは、「使用者が心臓発作で倒れている可能性があります!!」等の緊急事態の可能性を知らせる音声メッセージを出力したり、同等の文字メッセージを画面に表示させても良い。
【0056】
上記構成によれば、活動量計測装置20Bや屋内の火災などの警報装置(図示せず)からアラーム音や音声メッセージが発せられることで、同居人H2に迅速に不整脈の発生を知らせることができる。また、パソコン30Aの転送により、遠隔で観察する医療従事者、警備会社の担当者等が迅速に不整脈発生の旨を知ることができる。
【0057】
<変形例2>
図9に、検出装置10の変形例として、検出装置10Aを示す。検出装置10Aは、除細動部40を有している点が検出装置10と異なり、その他の構成は同様である。
【0058】
除細動部40は、解析部13や電源部15と接続されている。検出信号を受信した除細動部40は、電源部15と連携して心室細動に対する除細動のための電気的刺激を生成し、電極12を介して使用者に対して当該電気的刺激を付与可能である。
【0059】
上記構成によれば、発生した心室細動に対して迅速に除細動を行うことができる。
【0060】
<変形例3>
図10に、通信端末の一例である情報通信端末20の変形例として、情報通信端末20Cを示す。情報通信端末20Cは、遠隔操作部29を有する点が情報通信端末20と異なり、その他の構成は同様である。図11に、除細動部40を有する検出装置10Aと、遠隔操作部29を有する情報通信端末20Cと、端末機器30とを備えるアラームシステム1Aを示す。アラームシステム1Aでは、検出装置10Aと情報通信端末20Cや端末機器30とが双方向で通信可能に構成されている。
【0061】
情報通信端末20Cは、上述のように、遠隔操作部29を有している。遠隔操作部29は、制御部22や送信部23と接続されており、検出装置10Aを遠隔から操作する操作部として機能する。図12に示すように、遠隔操作部29は、例えば、表示部24のタッチディスプレイ上に、検出装置10Aの除細動部40を起動させるための操作画面29A(除細動ON)として構成される。
【0062】
<動作例>
例えば、検出装置10Aから異常波形を検出した旨を示す検出信号を受信した情報通信端末20Cでは、表示部24のアラーム画面G1上に操作画面29Aが表示される。これにより、情報通信端末20Cを見た人は、アラーム画面G1に表示される他の情報や使用者の状態に応じて、除細動が必要であると判断した場合には、操作画面29Aを操作することが可能である。操作画面29Aが操作されると、除細動部40の起動を命令する操作信号が情報通信端末20Cから検出装置10Aに向けて送信される。操作信号を受信した検出装置10Aは、その操作信号に基づいて除細動部40を起動させて、電源部15と連携して心室細動に対する除細動のための電気的刺激を生成し、電極12を介して使用者に対して当該電気的刺激を付与する。
【0063】
上記構成によれば、検出装置10A側で除細動部40が自動的に起動しない場合であっても、情報通信端末20Cを見た人が、アラーム画面G1に表示される他の情報や使用者の状態に応じて、操作画面29Aを操作することで、検出装置10Aの除細動部40を遠隔的に起動させることができる。
【0064】
なお、遠隔操作部29は、情報通信端末20Cと端末機器30とで構成しても良い。言い換えると、遠隔操作部29を有する通信端末を、情報通信端末20Cと端末機器30とで構成しても良い。この場合、端末機器30Aのキーボードや端末機器30Bのタッチディスプレイ等の入力インターフェースを用いて、除細動部40の起動を命令する操作信号を生成し、情報通信端末20Cを介して、検出装置10Aにその操作信号を送信することができる。
【0065】
また、端末機器30や情報通信端末20Cが有するマイク部を遠隔操作部として構成しても良い。例えば、端末機器30のマイク部に入力された音声メッセージを、情報通信端末20Cを介して検出装置10Aに送信して、検出装置10Aが有するスピーカ部から出力させても良い。また、情報通信端末20Cのマイク部に入力された音声メッセージを、検出装置10Aに送信して検出装置10Aが有するスピーカ部から出力させても良い。
【0066】
また、検出装置10Aで計測された心電図や解析部13による解析結果を検出装置10Aから、情報通信端末20Cを介して端末機器30に送信して、端末機器30の表示部に表示させても良い。この場合、端末機器30から検出装置10Aを遠隔的に操作して、心電図や解析結果を取得しても良い。また、検出装置10Aで計測された心電図や解析部13による解析結果を、情報通信端末20Cの表示部24に表示させる構成でもよい。
【0067】
上記のように、検出装置10Aと情報通信端末20Cや端末機器30とを双方向に通信可能に構成し、検出装置10Aを遠隔から操作することが可能にすることで、発生した不整脈に対して種々の方法で迅速に対処することが可能となる。
【0068】
本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0069】
上述の検出装置(10,10A)は、本体部11と、使用者の体表面に貼り付けられるシート部18とで構成され、本体部11に、受信部19と、解析部13と、アラーム部14と、電源部15と、記憶部16と、送信部17等の各部が設けられる例を説明したがこの例に限られない。例えば、使用者の体表面に貼り付けられるシート部18の電極12と連携して計測部として機能する受信部19や送信部17以外の機能については、本体部11から分離して別のデバイス(部品)に設けても良い。一部の機能が分離されるデバイスの態様としては、使用者の体表面に貼り付けない形態を採用して良く、例えば、使用者が衣服のポケットに収容可能な形状であったり、使用者が腰に巻くベルトに引っかけて携帯可能な形状であったり、使用者が装着するペンダントに取り付ける形態で良い。前述のデバイスと、本体部11と、シート部18とが一体となって機能して、上述の検出装置の機能を発揮することができる。
【符号の説明】
【0070】
1,1A:アラームシステム、10,10A:検出装置、11:本体部、12:電極、13:解析部、14:アラーム部、15:電源部、16:記憶部、17:送信部、18:シート部、19:受信部、20:情報通信端末、20A:自動体外式除細動器、20B:活動量計測装置、20C:情報通信端末、21:受信部、22:制御部、23:送信部、24:表示部、25:アラーム部、26:点灯部、27:電源部、28:記憶部、29:遠隔操作部、30:端末機器、30A:パソコン、30B:情報通信端末
図1
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図12