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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】通信システム、および、通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/20 20090101AFI20220728BHJP
   H04W 28/08 20090101ALI20220728BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20220728BHJP
【FI】
H04W48/20
H04W28/08
H04W92/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017031932
(22)【出願日】2017-02-23
(65)【公開番号】P2018137666
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 国際研究開発・実証プロジェクト/コファンド事業 日本-イスラエル研究開発事業/パブリックセーフティ向け自律分散型LTE無線通信システムの研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】勝又 貞行
(72)【発明者】
【氏名】寺田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】田部井 康
(72)【発明者】
【氏名】前田 智志
【合議体】
【審判長】廣川 浩
【審判官】中木 努
【審判官】圓道 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-12841(JP,A)
【文献】特開2014-236507(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141228(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ネットワークに対してパケットを送信する移動端末と、
前記移動端末と接続可能な無線機能部と、当該移動端末を前記外部ネットワークに接続させるネットワーク機能を提供するEPC機能部と、自装置の通信装置と他の通信装置を接続する通信機能部と、を備える通信装置が複数であり、前記複数の通信装置のうち少なくとも2つのLeaderの通信装置を決定して前記Leaderの前記移動端末のベアラの確立を管理する通信装置を冗長化する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、前記複数の通信装置のうちの前記Leaderの通信装置の処理負荷が予め定められた所定の閾値を超えたと判断した場合に、当該通信装置に接続する前記移動端末から送信される第1の制御信号の処理を実行可能な、前記少なくとも2つのLeaderの通信装置より一のLeaderの通信装置を決定し、
前記通信機能部は、前記自装置が前記少なくとも2つのLeaderの通信装置でない場合、移動端末が送信した前記外部ネットワークに接続するための第2の制御信号を、前記少なくとも2つのLeaderの通信装置より決定された一のLeaderの通信装置に対して転送し、前記移動端末宛のベアラを確立するための信号を、当該移動端末に転送し、
前記移動端末は、前記少なくとも2つのLeaderの通信装置より決定された一のLeaderの通信装置を介して、前記外部ネットワークと接続する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記移動端末は、前記少なくとも2つのLeaderの通信装置のうち、自装置に物理的または論理的な距離が近い通信装置を介して、前記外部ネットワークと接続する
ことを特徴とする請求項に記載の通信システム。
【請求項3】
前記移動端末は、前記少なくとも2つのLeaderの通信装置のうち、処理負荷が低い通信装置を介して、前記外部ネットワークと接続する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記少なくとも2つのLeaderの通信装置の各々は、管理する前記移動端末に関する情報を相互に通知し合う
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか記載の通信システム。
【請求項5】
前記少なくとも2つのLeaderの通信装置の前記EPC機能部に含まれるMME機能部が、前記移動端末の加入者情報と、当該移動端末から送信される前記第1の制御信号とに基づいて、当該制御信号の処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記複数の通信装置の各々に備わる前記EPC機能部が提供する前記ネットワーク機能は、ソフトウェアにより構築される仮想マシンを用いて仮想的に運用可能である
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の通信システム。
【請求項7】
パケットを送信する移動端末と接続可能な無線機能部と、当該移動端末を外部ネットワークとを接続させるネットワーク機能を提供するEPC機能部と、自装置の通信装置と他の通信装置を接続する通信機能部と、を備える通信装置が複数であり、前記複数の通信装置のうち少なくとも2つのLeaderの通信装置を決定して前記Leaderの前記移動端末のベアラの確立を管理する通信装置を冗長化する制御装置と、が備えられ、
前記制御装置は、前記複数の通信装置のうちの前記Leaderの通信装置の処理負荷が予め定められた所定の閾値を超えたと判断した場合に、当該通信装置に接続する前記移動端末から送信される第1の制御信号の処理を実行可能な、他の前記少なくとも2つのLeaderの通信装置より一のLeaderの通信装置を決定する第1のステップと、
前記決定された少なくとも2つのLeaderの通信装置の各々が、他の通信装置に接続する前記移動端末から送信される第2の制御信号の処理を実行する第2のステップと、
を含み、
前記通信機能部は、前記自装置が前記少なくとも2つのLeaderの通信装置でない場合、移動端末が送信した前記外部ネットワークに接続するための第3の制御信号を、前記少なくとも2つのLeaderの通信装置より決定された一のLeaderの通信装置に対して転送し、前記移動端末宛のベアラを確立するための信号を、当該移動端末に転送し、
前記移動端末は、前記少なくとも2つのLeaderの通信装置より決定された一のLeaderの通信装置を介して、前記外部ネットワークと接続する通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システム、および、通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、基地局の機能とEPC(Evolved Packet Core)の機能とが一体化された通信装置を介して、移動端末が通信する技術が研究・開発されている。特許文献1は、基地局の機能とEPCの機能とが一体化された複数の通信装置に関する技術を開示する。特許文献1には、基地局の機能とEPCの機能とが一体化された複数の通信装置のうち、ヘッドとなる通信装置を決定し、ヘッド以外の通信装置の機能を休止することにより、エンティティを集中し、計算資源及び電力の有効活用を図ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-012841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、複数の通信装置のうちヘッドとなる通信装置以外の通信装置の機能は休止しているが、場合によっては、複数の通信装置を同時に運用する必要が生じる。例えば、複数の通信装置によって広範囲の領域をカバーする場合には、ヘッドとなる通信装置以外の他の通信装置も運用する必要がある。また、移動端末の数が多い場合にも、複数の通信装置を用いて当該移動端末の通信を処理する必要が生じる。
【0005】
このように、複数の通信装置を同時に運用する場合、当該複数の通信装置の各々の連携を図ることが必要となる。特に、複数の通信装置の一部しか外部ネットワークと接続していない場合には、当該複数の通信装置の各々を連携させなければ、外部ネットワークと接続できない場合が生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、基地局の機能とEPCの機能とが一体化された複数の通信装置を同時に運用する場合に、当該複数の通信装置を連携させることにより、外部ネットワークとの通信を実行可能にする通信システム、および、通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、外部ネットワークに対してパケットを送信する移動端末と、当該移動端末と接続可能な無線機能部と、当該移動端末を当該外部ネットワークに接続させるネットワーク機能を提供するEPC機能部とを備える複数の通信装置と、を含み、当該複数の通信装置のうち、所定の条件に基づいて、他の通信装置に接続する当該移動端末から送信される制御信号の処理を実行可能な、少なくとも2つの一の通信装置を決定することを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態に係る通信システムにおいて、当該移動端末は、当該少なくとも2つの一の通信装置のいずれかを介して、当該外部ネットワークと接続することが特徴であってもよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る通信システムにおいて、当該移動端末は、当該少なくとも2つの一の通信装置のうち、自装置に物理的または論理的な距離が近い通信装置を介して、当該外部ネットワークと接続することが特徴であってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る通信システムにおいて、当該移動端末は、当該少なくとも2つの一の通信装置のうち、処理負荷が低い通信装置を介して、当該外部ネットワークと接続することが特徴であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る通信システムにおいて、当該少なくとも2つの一の通信装置の各々は、管理する当該移動端末に関する情報を相互に通知し合うことが特徴であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、当該複数の通信装置のうち、所定の条件に基づいて、当該少なくとも2つの一の通信装置を決定する制御装置をさらに含むことが特徴であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、当該一の通信装置の当該EPC機能部に含まれるMME機能部が、当該移動端末の加入者情報と、当該移動端末から送信される当該制御信号とに基づいて、当該制御信号の処理を実行することが特徴であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る通信システムは、当該複数の通信装置の各々に備わる当該EPC機能部が提供する当該ネットワーク機能は、ソフトウェアにより構築される仮想マシンを用いて仮想的に運用可能であることが特徴であってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る通信方法は、パケットを送信する移動端末と接続可能な無線機能部と、当該移動端末を外部ネットワークとを接続させるネットワーク機能を提供するEPC機能部を備える複数の通信装置から、所定の条件に基づいて、少なくとも2つの一の通信装置を決定する第1のステップと、当該決定された少なくとも2つの一の通信装置の各々が、他の通信装置に接続する当該移動端末から送信される制御信号の処理を実行する第2のステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基地局の機能とEPCの機能とが一体化された複数の通信装置を同時に運用する場合に、当該複数の通信装置を連携させることにより、外部ネットワークとの通信を実行可能な通信システム、および、通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態における、通信システム1の構成例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態における、通信装置2の機能ブロックを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態における、通信装置2の構成例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態における、移動端末3の構成例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態における、通信システム1の動作例を示すシーケンス図である。
図6】本発明の第1の実施形態の変形例における、通信システム1の構成例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態の変形例における、通信システム1の動作例を示すシーケンス図である。
図8】本発明の第2の実施形態における、通信システム1の構成例である。
図9】本発明の第2の実施形態における、EMS6の構成例を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態における、EMS6の動作例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第3の実施形態における、通信システム1の構成例を示す図である。
図12】本発明の第3の実施形態における、移動端末3と通信装置2との接続関係を説明するための図である。
図13】通信装置2に含まれる機能を仮想マシン等のソフトウェアで運用した場合の、通信装置2の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
(通信システム1の構成例)
図1は、第1の実施形態における通信システム1の構成例を示す図である。図1は、LTE(Long Term Evolution)の通信システムを例示するが、本発明の通信システムは図1の例に限定されない。本発明の通信システム1は、GPRS(General Packet Radio Service)、UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等にも適用可能である。
【0020】
図1に示すように、第1の実施形態における通信システム1は、通信装置2と、移動端末3と、外部ネットワーク4を含む。
【0021】
通信装置2は、基地局(eNB)機能と、EPC(Evolved Packet Core)機能とを含む。通信装置2は、例えば、1つの筐体内に、基地局機能と、EPC機能とを含み、該基地局機能により移動端末3と接続し、該EPC機能により該移動端末3をインターネット等の外部ネットワークに接続させることができる。なお、EPCは、移動端末3がインターネット等の外部ネットワークと通信するためのバックボーンネットワークである。
【0022】
移動端末3は、例えば、スマートフォンや携帯電話、モバイルルータ、PC(Personal Computer)など、通信機能を備える装置である。また、移動端末3は、スマートデバイス(例えば、スマートメータ、スマートテレビ)や、M2M(Machine to Machine)デバイス、ウェアラブル端末などであってもよい。M2Mデバイスは、例えば、上記のデバイスの他、種々の産業機器、ヘルスケア機器、自動車、家電などを含む。
【0023】
移動端末3は、例えば、所定の無線通信により、通信装置2と接続可能である。移動端末3は、例えば、通信装置2を介して外部ネットワーク4と接続し、所定のデータを送受信可能である。
【0024】
外部ネットワーク4は、例えば、インターネットなどの通信網である。
【0025】
図1に示すように、第1の実施形態において、通信システム1は、複数の通信装置2を含んでいてもよい。また、通信システム1は、複数の移動端末3を含んでいてもよい。複数の移動端末3は、複数の通信装置2のいずれかと接続し、外部ネットワーク4に接続する。なお、図1の例では、通信システム1には、通信装置2が4つ含まれているが、通信装置2の数は4つに限られず、いくつであってもよい。また、通信システム1において、複数の通信装置2の各々は1つの移動端末3と接続しているが、通信装置2が接続する移動端末3の数は1つに限られず、いくつであってもよい。また、所定のタイミングにおいて、通信装置2に接続する移動端末3が存在しない状態があってもよい。
【0026】
移動端末3は、複数の通信装置2の各々に接続可能である。移動端末3は、通信装置2等の指示に基づいて、複数の通信装置2のいずれかに接続する。移動端末3は、例えば、距離が近い通信装置2と接続する。また、移動端末3は、一の通信装置2と接続している状態から、他の通信装置2と接続する状態に、ハンドオーバすることもできる。
【0027】
図1に示すように、第1の実施形態の通信システム1において、複数の通信装置2の少なくとも1つが、“Leader”の通信装置2として設定されている。“Leader”の通信装置2は、複数の通信装置2のうち、外部ネットワーク4と接続している通信装置2である。また、“Leader”の通信装置2は、他の通信装置2を管理する通信装置2である。図1の例では、“Leader”の通信装置2Aが、他の通信装置2B乃至2Dの各々を管理する。
【0028】
また、“Leader”の通信装置2は、他の通信装置2に接続する移動端末3の通信を管理する。例えば、“Leader”の通信装置2は、移動端末3のベアラの確立に関する処理を管理する。また、“Leader”の通信装置2は、移動端末3の課金に関する処理を管理する。また、“Leader”の通信装置2は、移動端末3のハンドオーバ処理を管理する。
【0029】
図1の例では、“Leader”の通信装置2Aが、移動端末3A乃至3Dの各々を管理する。“Leader”の通信装置2A以外の通信装置2B乃至2Dの各々は、移動端末3からネットワークへの接続を要求する制御信号(例えば“Attach Request”)を受信した場合に、該“Leader”の通信装置2Aに対して、当該制御信号を転送する。“Leader”の通信装置Aは、他の通信装置2B乃至2Dの各々に接続する移動端末3からネットワークへの接続を要求する制御信号を受信し場合、当該制御信号に対する応答として、ベアラの確立に関する信号を、移動端末3が接続する通信装置2に対して通知する。
【0030】
例えば、“Leader”の通信装置2Aは、通信装置2Dが接続する移動端末3Dからネットワークへの接続を要求する制御信号を受信した場合、当該制御信号に対する応答であるベアラの確立に関する信号を、当該通信装置2Dに対して通知する。通信装置2Dは、“Leader”の通信装置2Aから受信したベアラの確立に関する信号に基づいて、移動端末3Dのベアラを確立する。
【0031】
(通信装置2の構成例)
図2は、本発明の第1の実施形態における通信装置2の機能ブロックを示す図である。図2に示すように通信装置2は、基地局機能部20と、EPC機能部21と、通信機能部25を備える。
【0032】
基地局機能部20は、移動端末3と接続するための機能を提供する。基地局機能部20は、所定の周波数を用いて、移動端末3と無線による接続を行う。所定の周波数は、例えば、ライセンスを受けた周波数帯域である。また、所定の周波数は、例えば、アンライセンスドバンドの周波数帯域であってもよい。
【0033】
基地局機能部20は、移動端末3から受信した制御信号(Control-Plane)やデータ信号(User-Plane)を、EPC機能部21に転送する。また、基地局機能部20は、所定の指示に基づいて、移動端末3から受信した制御信号やデータ信号を通信機能部25に転送する。
【0034】
EPC機能部21は、所定の信号処理を実行する機能を提供する。図2に示すように、EPC機能部21は、MME(Mobility Management Entity)機能部22と、SGW(Serving Gateway)機能部23と、PGW(PDN Gateway)機能部24を含む。なお、EPC機能部は、これらの機能以外に、例えばHSS(Home Subscribe Server)機能部などを含んでいてもよい。
【0035】
MME機能部22は、制御信号を処理する機能(Control-Plane機能)を含む。また、MME機能部22は、HSSと接続して、通信システム1の加入者情報を管理する機能を含む。なお、MME機能部22の機能は、これらに限られない。
【0036】
SGW機能部23は、パケットを処理する機能(User-Plane機能)を含む。また、SGW機能部23は、制御信号を処理する機能(Control-Plane機能)を含む。なお、SGW機能部23の機能は、これらに限られない。
【0037】
PGW機能部24は、パケットを処理する機能(User-Plane機能)を含む。また、PGW機能部24は、通信に応じた課金状態を管理する機能(PCEF:Policy and Charging Enforcement Function)を含む。また、PGW機能部24は、QoS等のポリシーを制御する機能(PCRF:Policy and Charging Rule Function)を含む。なお、PGW機能部24の機能は、これらに限られない。
【0038】
MME機能部22は、移動端末3が送信したネットワークに接続するための制御信号(例えば、“Attach Request”)を、基地局機能部20を介して受信する。MME機能部22は、自装置が“Leader”の通信装置2の場合には、通信システム1の加入者情報に基づいて、ネットワークに接続するための制御信号を送信してきた移動端末3の接続を許可するか否かを決定する。MME機能部22は、移動端末3が通信システム1の加入者である場合には、当該移動端末3のベアラの確立に関する信号を、当該移動端末3に通知する。なお、MME機能部22は、移動端末3が自装置の基地局機能部20に接続している場合には、当該基地局機能部20を介して、当該移動端末3に対して、ベアラの確立に関する信号を送信する。一方、MME機能部22は、移動端末3が他の通信装置2に接続している場合には、通信機能部25を介して、当該他の通信装置2を介して、当該移動端末3に対してベアラの確立に関する信号を送信する。
【0039】
また、MME機能部22は、自装置が“Leader”の通信装置2でない場合には、“Leader”の通信装置2に対して、移動端末3から受信したネットワークに接続するための制御信号を転送する。MME機能部22は、例えば、通信機能部25を介して、移動端末3から受信したネットワークに接続するための制御信号を転送する。また、MME機能部22は、例えば、基地局機能部20に対して、移動端末3から受信したネットワークに接続するための制御信号を、“Leader”の通信装置2に転送させてもよい。
【0040】
SGW機能部23およびPGW機能部24は、移動端末3との間でベアラを確立し、当該移動端末3から受信するパケットを外部ネットワーク4に送信する。また、SGW機能部23およびPGW機能部24は、外部ネットワーク4から受信したパケットを、移動端末3との間で確立したベアラを用いて、当該移動端末3に送信する。なお、PGW機能部24は、移動端末3から受信したパケットを、通信機能部25を介して、外部ネットワーク4に送信する。また、PGW機能部24は、通信機能部25を介して、外部ネットワーク4から移動端末3宛の制御信号やパケットを受信してもよい。
【0041】
通信機能部25は、通信装置2と、外部ネットワーク4との間を接続する機能を提供する。また、通信機能部25は、自装置(通信装置2)と、他の通信装置2との間を接続する機能を提供する。
【0042】
通信機能部25は、自装置が“Leader”の通信装置2でない場合、移動端末3が送信したネットワークに接続するための制御信号を、MME機能部22および/または基地局機能部20から受信し、“Leader”の通信装置2に対して転送する。また、通信機能部25は、自装置が“Leader”の通信装置2でない場合、“Leader”の通信装置2から受信した、移動端末3宛のベアラを確立するための信号を、MME機能部22および/または基地局機能部20を介して、当該移動端末3に転送する。また、通信機能部25は、自装置が“Leader”の通信装置2でない場合、“Leader”の通信装置2から転送されてきた移動端末3宛のパケットを、PGW機能部24およびSGW機能部23を介して、当該移動端末3に転送する。
【0043】
通信機能部25は、自装置が“Leader”の通信装置2の場合、移動端末3が送信したパケットをPGW機能部24から受信し、外部ネットワーク4に転送する。通信機能部25は、自装置が“Leader”の通信装置2の場合、移動端末3宛のパケットを外部ネットワーク4から受信し、PGW機能部24およびSGW機能部23を介して、当該移動端末3に転送する。
【0044】
図3は、本発明の第1の実施形態における通信装置2の構成例を示す図である。図3に示すように、通信装置2は、通信インターフェース(通信IF)26と、制御部27と、記憶媒体28を含む。通信装置2は、例えば、制御部27が、記憶媒体28に記憶されたプログラムを読み出し、読み出した当該プログラムを実行することによって、図2に例示する通信装置2の複数の機能部を実現する。また、通信装置2は、通信IF26を用いて、図2に例示する通信に関する機能を実現する。なお、通信IF26は、通信に関する機能ごとに設けられていてもよく、その場合通信IF26は複数であってもよい。
【0045】
通信IF26は、各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信IF26は、1つのインターフェースで複数の機能を提供してもよいし、複数の機能ごとにそれぞれ設けられていてもよい。
【0046】
制御部27は、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ(microprocessor)、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)である。なお、第1の実施形態において、制御部27は、これらに限定されない。
【0047】
記憶媒体28は、例えば、通信装置2が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する。記憶媒体28は、HDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)など各種の記憶媒体により実現される。なお、第1の実施形態において、記憶媒体28は、これらに限定されない。
【0048】
(移動端末3の構成例)
図4は、本発明の第1の実施形態における移動端末3の構成例を示す図である。図4に示すように、移動端末3は、端末通信インターフェース(端末通信IF)30と、端末制御部31と、端末記憶媒体32を備える。
【0049】
端末通信IF30は、端末制御部31が送信する制御信号やパケットを、通信装置2に対して送信する。また、端末通信IF30は、通信装置2から制御信号やパケットを受信する。
【0050】
端末制御部31は、制御信号やパケットを生成し、端末通信IF30を介して、通信装置2に送信する。また、端末制御部31は、通信装置2から制御信号やパケットを受信し、受信した該制御信号やパケットに基づいて、種々の処理を実行する。端末制御部31は、中央処理装置やマイクロプロセッサ、ASIC、FPGAである。なお、第1の実施形態において、端末制御部31は、これらに限定されない。
【0051】
端末記憶媒体32は、移動端末3が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種データを記憶する。端末記憶媒体32は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAM、ROMなど各種の記憶媒体により実現される。なお、第1の実施形態において、端末記憶媒体32は、これらに限定されない。
【0052】
(通信システム1の動作例)
図5は、本発明の第1の実施形態における、通信システム1の動作例を示すシーケンス図である。なお、図5の例は、移動端末3が、パケットを外部ネットワーク4に送信する場合の動作例である。
【0053】
移動端末3の端末制御部31は、端末通信IF30を介して、“Leader”の通信装置2に対して、ネットワークに接続するための制御信号(例えば、“Attach Request”)を送信する(S101)。
【0054】
“Leader”の通信装置2のEPC機能部21は、基地局機能部20を介して、“Attach Request”を受信する(S102)。
【0055】
EPC機能部21のMME機能部22は、受信した“Attach Request”および加入者情報に基づいて、移動端末3の通信の可否を判断する(S103)。そして、MME機能部22は、通信可能と判断した場合、SGW機能部23およびPGW機能部24を用いて、移動端末3と外部ネットワークを接続するためのベアラを確立する(S104)。
【0056】
移動端末3は、確立されたベアラを用いて、パケットを外部ネットワーク4に送信する(S105)。具体的には、移動端末3が送信したパケットは、“Leader”の通信装置2の基地局機能部20、EPC機能部21、通信機能部25を介して、外部ネットワーク4に送信される。
【0057】
例えば移動端末3が移動した場合、該移動端末3の端末制御部31は、“Leader”の通信装置2以外の他の通信装置2に対して、“Attach Request”を送信する(S106)。
【0058】
他の通信装置2のEPC機能部21は、基地局機能部20を介して、“Attach Request”を受信する(S106)。EPC機能部21のMME機能部22は、受信した“Attach Request”を、通信機能部25を介して、“Leader”の通信装置2に転送する(S107)。
【0059】
他の通信装置2の通信機能部25から送信された“Attach Request”は、“Leader”の通信装置2の通信機能部25で受信される(S108)。“Leader”の通信装置2のMME機能部22は、通信機能部25を介して、“Attach Request”を受信する(S109)。
【0060】
MME機能部22は、受信した“Attach Request”および加入者情報に基づいて、移動端末3の通信の可否を判断する(S110)。そして、MME機能部22は、通信可能と判断した場合、通信機能部25を介して、移動端末3に関する“ベアラの確立に関する信号”を、他の通信装置2に対して送信する(S111)。
【0061】
他の通信装置2のEPC機能部21のMME機能部22は、通信機能部25を介して、移動端末3に関する“ベアラの確立に関する信号”を受信する(S112)。他の通信装置2のMME機能部22は、通信可能と判断した場合、SGW機能部23およびPGW機能部24を用いて、移動端末3と外部ネットワークを接続するためのベアラを確立する(S113)。
【0062】
移動端末3は、確立されたベアラを用いて、パケットを外部ネットワーク4に送信する(S114)。具体的には、移動端末3が送信したパケットは、他の通信装置2の通信装置2の基地局機能部20、EPC機能部21、通信機能部25を介して、“Leader”の通信装置2の通信機能部25に転送される。そして、当該パケットは、“Leader”の通信装置2の通信機能部25から、外部ネットワーク4に送信される。
【0063】
上記のとおり、本発明の第1の実施形態において、“Leader”の通信装置2が、他の通信装置2に接続する移動端末3の通信を管理する。なお、図4の動作例は、“Leader”の通信装置2が、パケットを外部ネットワーク4に送信する移動端末3を管理する場合の例であるが、当該“Leader”の通信装置2は、移動端末3のハンドオーバの処理や課金処理などを管理・制御してもよい。
【0064】
例えば、移動端末3からのハンドオーバに関する制御信号が、他の通信装置2から“Leader”の通信装置2の基地局機能部20および/またはEPC機能部21に転送されることにより、該“Leader”の通信装置2が当該ハンドオーバの処理を実行する。
【0065】
また、“Leader”の通信装置2のEPC機能部21が、他の通信装置2に接続する移動端末3の通信量を管理して、当該移動端末3に対する課金処理を実行してもよい。
【0066】
(第1の実施形態の変形例)
図6は、本発明の第1の実施形態の変形例における、通信システム1の構成例を示す図である。図6に示すように、通信システム1は、衛星通信を提供可能な衛星装置(通信端末)5を含む。
【0067】
衛星装置(通信端末)5は、通信装置2と衛星通信により接続し、移動端末3の通信をオフロード可能である。衛星装置(通信端末)5は、通信システム1に含まれる複数の通信装置2の少なくとも1つと接続し、移動端末3の通信をオフロード可能である。なお、移動端末3の通信をオフロードさせるための装置は、衛星装置5に限られず、オフロードさせるための通信経路を提供可能な想定であれば、どのような装置であってもよい。
【0068】
“Leader”の通信装置2のMME機能部22は、自装置に接続する移動端末3からの制御信号を受信した場合に、当該移動端末3の属性に応じて、当該移動端末3からの通信トラヒックをオフロードするか否かを決定する。
【0069】
MME機能部22は、例えば、移動端末3がM2Mデバイスであることに応じて、当該移動端末3の通信トラヒックをオフロードすると決定する。MME機能部22は、例えば、移動端末3から受信した制御信号(例えば、“Attach Request”)に含まれるIMSI(Internatinal Mobile Subscriber Identity)に基づいて、移動端末3の属性・種別を識別する。IMSIは、移動端末3の識別情報である。
【0070】
“Leader”の通信装置2のMME機能部22は、移動端末3からの通信トラヒックをオフロードすると決定した場合に、基地局機能部20に対して、当該移動端末3からの通信トラヒックのオフロードを指示する。
【0071】
基地局機能部20は、MME機能部22からの指示に応じて、移動端末3からの通信トラヒックをオフロードする。
【0072】
“Leader”の通信装置2のMME機能部22は、他の通信装置2に接続する移動端末3からの制御信号を受信した場合に、当該移動端末3の属性に応じて、当該移動端末3からの通信トラヒックをオフロードするか否かを決定する。
【0073】
MME機能部22は、例えば、他の通信装置2に接続している移動端末3がM2Mデバイスであることに応じて、当該移動端末3の通信トラヒックをオフロードすると決定する。MME機能部22は、例えば、他の通信装置2に接続している移動端末3から受信した制御信号(例えば、“Attach Request”)に含まれるIMSIに基づいて、当該移動端末3の属性・種別を識別する。
【0074】
“Leader”の通信装置2のMME機能部22は、他の通信装置2に接続している移動端末3からの通信トラヒックをオフロードすると決定した場合に、当該他の通信装置2の基地局機能部20に対して、当該移動端末3からの通信トラヒックのオフロードを指示する。
【0075】
他の通信装置2の基地局機能部20は、“Leader”の通信装置2のMME機能部22からの指示に応じて、移動端末3からの通信トラヒックをオフロードする。
【0076】
(通信システム1の動作例)
図7は、本発明の第1の実施形態の変形例における、通信システム1の動作例を示すシーケンス図である。
【0077】
移動端末3の端末制御部31は、“Leader”の通信装置2以外の他の通信装置2に対して、“Attach Request”を送信する(S201)。
【0078】
他の通信装置2のEPC機能部21は、基地局機能部20を介して、“Attach Request”を受信する(S202)。EPC機能部21のMME機能部22は、受信した“Attach Request”を、通信機能部25を介して、“Leader”の通信装置2に転送する(S203)。
【0079】
他の通信装置2の通信機能部25から送信された“Attach Request”は、“Leader”の通信装置2の通信機能部25で受信される(S204)。“Leader”の通信装置2のMME機能部22は、通信機能部25を介して、“Attach Request”を受信する(S205)。
【0080】
MME機能部22は、受信した“Attach Request”および加入者情報に基づいて、移動端末3の通信の可否を判断する(S206)。そして、MME機能部22は、通信可能と判断した場合、受信した“Attach Request”に含まれるIMSIに基づいて、移動端末3の属性・種別を識別し、識別した当該移動端末の属性・種別に基づいて、オフロードの可否を判断する(S207)。
【0081】
MME機能部22は、オフロード可能と判断した場合、他の通信装置2の基地局機能部20に対して、移動端末3からのパケットをオフロードする旨の指示を送信する(S208)。
【0082】
“Leader”の通信装置2の通信機能部25は、オフロードする旨の指示を、他の通信装置2の通信機能部25およびEPC機能部を介して、当該他の通信装置2の基地局機能部20に送信する(S209)。
【0083】
その後、移動端末3が、他の通信装置2に対してパケットを送信した場合(S210)、基地局機能部20は、当該パケットをl、通信機能部25を介して、衛星装置(通信端末)5にオフロードする(S211)。
【0084】
上述したように、本発明の第1の実施形態では、“Leader”の通信装置2が、他の通信装置2に接続する移動端末3が送信する制御信号を処理する。このように、“Leader”の通信装置2が、他の通信装置2および/または移動端末3の管理・制御を実行するため、複数の通信装置が効率よく管理することが可能となる。そのため、基地局の機能とEPCの機能とが一体化された複数の通信装置を同時に運用する場合に、当該複数の通信装置を連携させることにより、外部ネットワークとの通信を実行可能となる。
【0085】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態は、複数の通信装置2から、所定の条件に基づいて、“Leader”の通信装置2を決定する場合の実施形態である。
【0086】
本発明の第2の実施形態において、通信システム1の構成例は、図1に示す第1の実施形態の通信システム1の構成例と同様であるため、詳細な説明は省略される。また、通信装置2の構成例は、図2および図3に示す第1の実施形態の通信装置2の構成例と同様であるため、詳細な説明は省略される。さらに、移動端末3の構成例は、図4に示す第1の実施形態の移動端末3の構成例と同様であるため、詳細な説明は省略される。
【0087】
本発明の第2の実施形態において、“Leader”の通信装置2は、通信システム1に含まれる複数の通信装置2のうち、所定の条件に応じて決定される。
【0088】
所定の条件は、例えば、「外部ネットワーク4と接続していること」である。通信システム1に含まれる複数の通信装置2のうち、外部ネットワーク4と接続している通信装置2が、“Leader”の通信装置2と決定される。図1の例では、外部ネットワーク4と接続している通信装置2Aが、“Leader”の通信装置2と決定される。
【0089】
また、所定の条件は、例えば、「接続する他の通信装置2の数が多いこと」である。通信システム1に含まれる複数の通信装置2のうち、他の通信装置2との接続数が多い通信装置2が、“Leader”の通信装置2と決定される。図1の例では、通信装置2Aは、2つの通信装置2Bと2Dと接続している。また、通信装置2Bは、2つの通信装置2Cと2Aと接続している。また、通信装置2Cは、1つの通信装置2Bと接続している。また、通信装置2Dは、1つの通信装置2Aと接続している。そのため、図1の例では、2つの他の通信装置2と接続している通信装置2Aまたは2Bが、“Leader”の通信装置2と決定される。
【0090】
所定の条件は、これらの例に限られず、例えば、複数の通信装置2のうち、処理負荷が少ない通信装置2を、“Leader”の通信装置2と決定してもよい。
【0091】
また、“Leader”の通信装置2は、所定のタイミングで決定される。所定のタイミングは、例えば、所定の周期など、任意のタイミングを指定可能である。
【0092】
また、所定のタイミングは、例えば、“Leader”の通信装置2の処理負荷が所定の閾値を超えたタイミングであってもよい。この場合、現在の“Leader”の通信装置2に代わって、新たな“Leader”の通信装置2が決定される。
【0093】
図8は、本発明の第2の実施形態における通信システム1の他の構成例である。図8に示すように、通信システム1は、複数の通信装置2を制御する制御装置であるEMS(Element Management System)を含む。
【0094】
EMS6は、複数の通信装置2の各々と接続し、当該複数の通信装置2の各々を管理する。EMS6は、所定のタイミングで、複数の通信装置2から、Leader”の通信装置2を決定する。EMS6は、例えば、所定の周期で、複数の通信装置2から、Leader”の通信装置2を決定する。また、EMS6は、例えば、“Leader”の通信装置2の処理負荷を検出し、当該検出した処理負荷が所定の閾値を超えた場合に、複数の通信装置2から、新たなLeader”の通信装置2を決定してもよい。
【0095】
また、EMS6は、所定のタイミングで、複数の通信装置2のうち、外部ネットワーク4と接続している通信装置2を、Leader”の通信装置2として決定する。また、EMS6は、所定のタイミングで、複数の通信装置2のうち、他の通信装置2と接続している数が多い通信装置2を、Leader”の通信装置2として決定する。
【0096】
図9は、本発明の第2の実施形態における、EMS6の構成例を示す図である。図9に示すように、EMS6は、通信IF60と、検出部61と、決定部62を含む。
【0097】
通信IF60は、外部ネットワーク4を介して、複数の通信装置2の各々と接続する機能を有する。なお、通信IF60は、直接、複数の通信装置2の各々と接続してもよい。
【0098】
検出部61は、複数の通信装置2の各々の処理負荷を検出する機能を有する。検出部61は、例えば、複数の通信装置2の各々の制御部27の処理負荷を検出する。また、検出部61は、“Leader”の通信装置2の処理負荷を検出する。検出部61は、“Leader”の通信装置2の処理負荷が、予め定められた所定の閾値を超えたか否かを判定してもよい。
【0099】
決定部62は、複数の通信装置2から、“Leader”の通信装置2を決定する機能を有する。決定部62は、例えば、所定のタイミングで、複数の通信装置2のうち、所定の条件に基づいて、“Leader”の通信装置2を決定する。
【0100】
決定部62は、例えば、検出部61において“Leader”の通信装置2の処理負荷が予め定められた所定の閾値を超えたと判定された場合に、複数の通信装置2から、新たな“Leader”の通信装置2を決定する。決定部62は、例えば、複数の通信装置2のうち、処理負荷が少ない通信装置2を、“Leader”の通信装置2として決定する。
【0101】
図10は、本発明の第2の実施形態における、EMS6の動作例を示すフローチャートである。
【0102】
EMS6の検出部61は、例えば、所定の周期で、Leader”の通信装置2の処理負荷を検出し(S301)、検出した処理負荷が、所定の閾値を超えているか否かを判定する(S302)。
【0103】
EMS6の決定部62は、検出部61において“Leader”の通信装置2の処理負荷が予め定められた所定の閾値を超えたと判定された場合に(S302のYES)、複数の通信装置2から、新たな“Leader”の通信装置2を決定する(S303)。一方、検出部61において“Leader”の通信装置2の処理負荷が予め定められた所定の閾値を超えたと判定されない場合(S302のNO)、処理を終了する。
【0104】
上述したように、本発明の第2の実施形態では、複数の通信装置2から、所定の条件に基づいて、“Leader”の通信装置2を決定することが可能となり、適切な通信装置2を、“Leader”の通信装置2として決定することができる。
【0105】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態は、複数の“Leader”の通信装置2を設定する場合の実施形態である。すなわち、本発明の第3の実施形態は、“Leader”の通信装置2が冗長化される場合の実施形態である。
【0106】
図11は、本発明の第3の実施形態の通信システム1の構成例を示す図である。図11に示すように、通信システム1は、複数の“Leader”の通信装置2を含む。図11の例では、通信装置2Aと通信装置2Bとが、“Leader”の通信装置2である。
【0107】
図11に示すように、“Leader”の通信装置2Aおよび2Bの各々は、外部ネットワーク4と接続する。移動端末3A乃至3Dの各々は、“Leader”の通信装置2Aまたは2Bのいずれかを介して、外部ネットワーク4に接続する。
【0108】
例えば、移動端末3Aおよび3Dは、“Leader”の通信装置2Aを介して、外部ネットワーク4と接続する。また、移動端末3Bおよび3Cは、“Leader”の通信装置2Bを介して、外部ネットワーク4と接続する。
【0109】
なお、通信装置2の構成例は、図2および図3に示す第1の実施形態の通信装置2の構成例と同様であるため、詳細な説明は省略される。さらに、移動端末3の構成例は、図4に示す第1の実施形態の移動端末3の構成例と同様であるため、詳細な説明は省略される。
【0110】
本発明の第3の実施形態において、移動端末3は、複数の“Leader”の通信装置2のうち、所定の条件に基づいて決定された通信装置2により管理・制御される。
【0111】
所定の条件は、例えば、移動端末3に物理的または論理的な距離が近いことである。移動端末3は、複数の“Leader”の通信装置2のうち、当該移動端末3に物理的または論理的な距離が近い通信装置2により管理・制御される。
【0112】
所定の条件は、例えば、処理負荷がより低いことである。移動端末3は、複数の“Leader”の通信装置2のうち、処理負荷が低い通信装置2により管理・制御される。
【0113】
所定の条件は、これらの例に限られず、例えば、ランダムで決定するなど、どのような条件であってもよい。
【0114】
図12は、本発明の第3の実施形態における、移動端末3と通信装置2との接続関係を説明するための図である。図12に示すように、移動端末3の各々は、“Leader”の通信装置2の通信機能部25を介して、外部ネットワーク4に接続する。移動端末3の各々は、当該移動端末3を管理・制御する“Leader”の通信装置2を介して、外部ネットワーク4に接続する。図12の例において、移動端末3Dおよび3Aは、“Leader”の通信装置2Aに管理・制御され、移動端末3Cおよび3Bは、“Leader”の通信装置2Bに管理・制御される。
【0115】
移動端末3Dは、通信装置2Dの基地局機能部20D、EPC機能部21D、通信機能部25D、および、“Leader”の通信装置2Aの通信機能部25Aを介して、外部ネットワーク4に接続する。また、移動端末3Aは、“Leader”の通信装置2Aの基地局機能部20A、EPC機能部21A、および、通信機能部25Aを介して、外部ネットワーク4に接続する。また、移動端末3Bは、“Leader”の通信装置2Bの基地局機能部20B、EPC機能部21B、および、通信機能部25Bを介して、外部ネットワーク4に接続する。さらに、移動端末3Cは、通信装置2Cの基地局機能部20C、EPC機能部21C、通信機能部25C、および、“Leader”の通信装置2Bの通信機能部25Bを介して、外部ネットワーク4に接続する。
【0116】
複数の“Leader”の通信装置2の各々は、自装置が管理する移動端末3に関する情報を交換してもよい。例えば、“Leader”の通信装置2Aは、自装置が管理する移動端末3Dおよび3Aに関する情報を、“Leader”の通信装置2Bに通知してもよい。また、“Leader”の通信装置2Bは、自装置が管理する移動端末3Cおよび3Bに関する情報を、“Leader”の通信装置2Aに通知してもよい。これにより、移動端末3は、“Leader”の通信装置2のいずれかが通信不能となって場合であっても、他方の“Leader”の通信装置2を介して、外部ネットワーク4に接続できる。このように、本発明の第3の実施形態の通信システム1は、“Leader”の通信装置2を冗長化することが可能となる。
【0117】
上述したように、本発明の第3の実施形態では、複数の“Leader”の通信装置2を設けるため、“Leader”の通信装置2を冗長化することが可能となる。
【0118】
なお、上述した各実施形態において、通信装置2は、ソフトウェア等により仮想的に運用されてもよい。そのため、通信装置2において、EPC等のバックボーンネットワークの機能を提供するネットワークノードを、ソフトウェアにより容易かつ低コストで構築することが可能である。
【0119】
図13は、通信装置2に含まれる機能を、仮想マシン等のソフトウェアで運用した場合の構成例である。図13に示すように、通信装置2において、EPC機能部21は、仮想マシン等のソフトウェアにより仮想的に運用される。
【0120】
図13に示すように、EPC機能部21は、処理部210と、仮想ネットワーク機能部211を含む。処理部210は、例えば、ハイパーバイザ(Hypervisor)などの仮想マシンを実現する機能を提供する。仮想ネットワーク機能部211は、仮想マシン上のアプリケーションで運用されるネットワークノードである。ネットワークノードは、例えば、MEEやSGW、PGWなどである。
【0121】
図13に示すように、EPC機能部21が、仮想マシン等のソフトウェアにより仮想的に運用されることにより、当該EPC機能部21に含まれるネットワークノードが、当該仮想マシンの動的なスケールアウト・スケールインにより構築可能となる。そのため、EPC機能部21が処理する通信トラフックの状況に応じて、各ネットワークノードのリソースを動的に変更することができる。そのため、移動端末3と外部ネットワーク4の間の通信トラヒックに対する要求条件(例えば、SLA:Service Level Agreement)を満たすように仮想マシンを起動し、動的にEPC機能部21を構築することが可能となる。
【0122】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 通信システム
2 通信装置
20 基地局機能部
21 EPC機能部
22 MME機能部
23 SGW機能部
24 PGW機能部
25 通信機能部
26 通信IF
27 制御部
28 記憶媒体
210 処理部
212 仮想NW機能部
3 移動端末
30 端末通信IF
31 端末制御部
32 端末記憶媒体
4 外部ネットワーク
5 衛星装置(通信端末)
6 EMS
60 通信IF
61 検出部
62 決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13