(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】ピストンロッドの制御されない戻りに対する安全装置を有するガスシリンダアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16F 9/02 20060101AFI20220728BHJP
F16F 9/36 20060101ALI20220728BHJP
F16F 9/32 20060101ALI20220728BHJP
F16F 7/09 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
F16F9/02
F16F9/36
F16F9/32 U
F16F7/09
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018025958
(22)【出願日】2018-02-16
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】102017000018002
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102017000051549
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511212815
【氏名又は名称】スペシャル・スプリングス・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】SPECIAL SPRINGS S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Nardi, 124/A 36060 ROMANO D‘EZZELINO(Prov. of Vicenza) ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ フィオレーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ファンティナート
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ ボルディン
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-050373(JP,A)
【文献】米国特許第09046146(US,B2)
【文献】特表2012-524875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00- 9/58
F16F 7/00- 7/14
F15B 20/00- 21/12
F15B 15/00- 15/28
B30B 15/00- 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンロッドの制御されない戻りに対する安全装置を有するガスシリンダアクチュエータ(10,110,210,310,410)であって、
1つのチューブ状の容器ジャケット(11,111,211,311,411)と、
チューブ状の前記ジャケット(11,111,211,311,411)を封止するための反対側にある2つの頭部(12,13,412,413)であって、第1の頭部(12,412)には、ピストンロッド(15,115,215,315,415)用の通路である、軸(X)に対する移動ガイド用の貫通孔(14,414)が設けられており、反対側に第2の頭部(13,413)が設けられている、反対側にある2つの頭部と、
1つのロッド部(16,116,216,316,416)および1つのピストン部(17,117,217,317,417)を備える、1つのピストンロッド(15,115,215,315,415)と、
チューブ状の前記ジャケット(11,111,211,311,411)と、前記2つの頭部(12,13,412,413)と、前記ピストンロッド(15,115,215,315,415)との間に規定される、圧縮ガス用のチャンバ(18、418)と、
を備え、
前記ガスシリンダアクチュエータ(10,110,210,310,410)は、前記第1の頭部(12,412)と前記ピストン部(17、117,217,317,417)との間に、1つのブッシング(20,120,220,320,420)
および密封手段(23,123,223,323,423)を備え、当該ブッシングは前記軸(X)に対する移動を阻止するための手段を用いてチューブ状の前記ジャケット(11,111,211,311,411)に連結され、そして前記ピストン部(17,117,217,317,417)に当たるように設計されており、
当該密封手段(23,123,223,323,423)は、前記第1の頭部(12,412)と前記ブッシング(20,120,220,320,420)との間に、前記ロッド部(16,116,216,316,416)に対して作用するように配設されており、
前記ブッシング(20,120,220,320,420)は、前記ピストンロッド(15,115,215,315,415)の前記制御されない戻りによる、前記ピストン部(17,117,217,317,417)による衝撃の場合に、少なくとも変形し、こうして前記ピストン部(17,117,217,317,417)の通路を可能とし、そして前記ピストンロッド(15,115,215,315,415)と前記密封手段(23,123,223,323,423)と前記貫通孔(14,414)との間にガス排出通路の形成を可能とするようになっており、前記ブッシング(20,320,420)は前記軸(X)に向かって延伸する第1の内側径方向突出部(30,330,430)を有している、
ことを特徴とするガスシリンダアクチュエータ。
【請求項2】
前記軸(X)に対する移動を阻止する前記手段は、前記ブッシング(20,120,220,320,420)の外側に設けられている外側環状陥凹部(26,126,326,426)と、当該環状陥凹部に対応し、当該環状陥凹部に収容される前記ジャケット(11,111,211,311,411)の内側に設けられている内側環状突出部(27,127,327,427)とによって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項3】
前記ブッシング(20,320,420)は、第1の環状部分(28,328,428)を有し、当該第1の環状部分は、前記ピストン部(17,317,417)の外径(D3,D8)より大きな第1の内径(D1,D6)を有し、そして前記ブッシングは、第2の環状部分(29,329,429)を有し、当該第2の環状部分は、前記ピストン部(17,317,417)の外径(D3,D8)より小さな第2の内径(D2,D7)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項4】
前記ブッシング(420)は、前記第1の環状部分(428)と前記第2の環状部分(429)との間に円錐状の内部形状を有した移行部を備えることを特徴とする、請求項3に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項5】
前記第2の環状部分(29,329,429)の前記第2の内径(D2,D7)は、前記ロッド部(16,316,416)の内径(D4,D9)より大きく、そして前記第2の環状部分(29,329,429)と前記ロッド部(16,316,416)との間には隙間(34,334,434)があることを特徴とする、請求項3に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項6】
請求項3に記載のガスシリンダアクチュエータにおいて、
前記第1の内側径方向突出部(30,330,430)は 前記ブッシング(20,320,420)の前記第1の環状部分(28,328,428)の端部に設けられ、
前記第1の内側径方向突出部は、前記ピストン部(17,317,417)が通り抜けられるように変形することによって、あるいは前記ブッシング(20,320,420)の残りの部分から破断されて分離されることによって、前記ピストン部(17,317,417)による衝撃を吸収するように設計されている、
ことを特徴とするガスシリンダアクチュエータ。
【請求項7】
請求項6に記載のガスシリンダアクチュエータにおいて、
前記第1の内側径方向突出部(30,330)と、前記第1の環状部分(28,328)と前記第2の環状部分(29,329)との間を接続する中間環状部分(31,331)と、の間に、前記ブッシング(20,320)は、少なくとも1つの第2の内側径方向突出部(32,332)を有し、
前記第2の内側径方向突出部は、前記ピストン部(17,317)が通り抜けられるように変形することによって、あるいはブッシング(20,320)の残りの部分から破断されて分離されることによって、前記ピストン部(17,317)による衝撃を吸収するように設計されている、
ことを特徴とするガスシリンダアクチュエータ。
【請求項8】
前記ピストンロッド(15,115)には、軸方向の陥凹部(35,135)および径方向の孔(36,136)が設けられており、これらは、当該径方向の孔(36,136)が全体または少なくとも一部で前記密封手段(23,123)と対向している場合に、前記ロッド部(16,116)と前記密封手段(23,123)との間の圧縮ガスを排出することを可能とするように適合されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項9】
前記密封手段(23,123,223,323,423)は、前記ロッド部(16,116,216,316,416)の外側表面(37,437)とこれに対向する前記ジャケット(11,111,211,311,411)の内側表面(38,438)との間で押圧される環状ガスケットから構成されていることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項10】
前記ブッシング(120,320)は、前記制御されない戻りの場合に、当該ブッシング(120,320)が、前記ピストン部(117,317)によって前記軸(X)の方向に外側に押圧された時に、前記密封手段(123,323)を損傷するように構成された軸方向の突出部(150,350)を有していることを特徴とする、請求項1に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項11】
前記ロッド部(216)は、連続した、すなわち径方向の孔を有しない円筒体で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項12】
前記ピストンロッド(315,415)は、前記ロッド部(316,416)の外側表面上に、長手方向の陥凹部(360,435)を有し、当該長手方向の陥凹部は、当該長手方向の陥凹部(360,435)が、部分的に前記ブッシング(320,420)に対向し、そして部分的に前記密封手段(323,423)に対向している場合に、前記ロッド部(316,416)と前記密封手段(323,423)との間の圧縮ガスを排出することを可能とするような長さで、軸方向に延伸していることを特徴とする、請求項1に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項13】
前記ピストンロッド(415)の運動エネルギーは、主に前記ピストン(417)と前記ブッシング(420)の前記移行部の円錐状の表面との間の摩擦によって消散されることを特徴とする、請求項4に記載のガスシリンダアクチュエータ。
【請求項14】
ピストンロッドの制御されない戻りに対する安全装置を有するガスシリンダアクチュエータ(110,210)であって、
1つのチューブ状の容器ジャケット(111,211)と、
チューブ状の前記ジャケット(111,211)を封止するための反対側にある2つの頭部(12,13,412,413)であって、第1の頭部(12,412)には、ピストンロッド(115,215)用の通路である、軸(X)に対する移動ガイド用の貫通孔(14,414)が設けられており、反対側に第2の頭部(13,413)が設けられている、反対側にある2つの頭部と、
1つのロッド部(116,216)および1つのピストン部(117,217)を備える、1つのピストンロッド(115,215)と、
チューブ状の前記ジャケット(111,211)と、前記2つの頭部(12,13,412,413)と、前記ピストンロッド(115,215)との間に規定される、圧縮ガス用のチャンバ(18、418)と、
を備え、
前記ガスシリンダアクチュエータ(110,210)は、前記第1の頭部(12,412)と前記ピストン部(117,217)との間に、1つのブッシング(120,220)
および密封手段(123,223)を備え、当該ブッシングは前記軸(X)に対する移動を阻止するための手段を用いてチューブ状の前記ジャケット(111,211)に連結され、そして前記ピストン部(117,217)に当たるように設計されており、
当該密封手段(123,223)は、前記第1の頭部(12,412)と前記ブッシング(120,220)との間に、前記ロッド部(116,216)に対して作用するように配設されており、
前記ブッシング(120,220)は、前記ピストンロッド(115,215)の前記制御されない戻りによる、前記ピストン部(117,217)による衝撃の場合に、少なくとも変形し、こうして前記ピストン部(117,217)の通路を可能とし、そして前記ピストンロッド(115,215)と前記密封手段(123,223)と前記貫通孔(14,414)との間にガス排出通路の形成を可能とするようになっており、
前記ブッシング(120,220)は、外側環状陥凹部(126)に外側径方向突出部(140)を有し、当該外側径方向突出部は、当該ブッシングが前記ピストン部(117,217)と共に移動することができるように変形することによって、あるいは当該外側径方向突出部が当該ブッシング(120,220)の残りの部分から破断されて分離されることによって、当該外側径方向突出部は、当該ピストン部(117,217)による当該ブッシング(120,220)の衝撃を吸収するように設計されている、
ことを特徴とするガスシリンダアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンロッドの制御されない戻りに対する安全装置を有するガスシリンダアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスシリンダアクチュエータは、一般的にチューブ状のガス容器ジャケットによって外形が規定され、この容器ジャケットは一端で第1の頭部によって密封封止されており、この第1の頭部には、ピストンのロッドが通るための孔が設けられており、この孔はこのロッドがこのジャケット内で移動するためのガイドとなっている。そしてこの容器ジャケットは他端で、ガス充填バルブが設けられている第2の頭部によって封止されている。このジャケットおよびこれら2つの頭部は、ピストンの移動空間を規定し、ここでまさにこのピストンそのものは、上記のジャケットおよび上記の第2の頭部と共に、加圧ガス用のチャンバを規定する。
【0003】
このようなガスシリンダアクチュエータは、それ専用とするものではないが典型的には、成形型や、成型プレス等を用いるような場合に使用され、ここでこのガスシリンダアクチュエータは、損傷を受けやすいような使用条件で使用される。このような損傷は、このガスシリンダアクチュエータを使用不能とし、また交換を必要とし、そしてこれが配備されている機械またはプラントが必然的に停止される。そして、たとえば過圧によってもたらされる破損の場合、あるいは加圧ガスによる予期しない、制御されない押し戻しで生じるピストンの破損およびこのピストンからの離脱によって上記のロッドが飛び出すような場合、すなわち「制御されない戻り」として知られる現象の場合、このような損傷は、たまたまその近傍にいるオペレータに対して傷害を与えかねない。
【0004】
経験に照らせば、最も厳しい状況は、ガスシリンダアクチュエータが作用する成形型が、圧縮状態においてこのガスシリンダアクチュエータに噛み込まれる場合に生じ、そして次にこの成形型の噛み込みが外れる場合、極めて速いピストンロッドの戻りが生じる。これにより極めて大きな運動エネルギーが生じ、たとえば衝突の結果、このピストンロッドを上記のジャケットに保持する孔の開いた頭部の破損、あるいはこのピストンロッドの破損をもたらす。
【0005】
これらの場合には、上記のロッドが力によって飛び出す危険性が非常に高く、この近傍に滞在し得る誰に対しても大きな危険となる。
【0006】
このような欠点を克服するために、今日では上記の制御されないピストンロッドの戻りの現象を克服するための様々な手段および装置が知られている。
【0007】
第1のタイプのこのような装置は、引き抜き防止用の補助的な支持肩部を必然的に有しており、この支持肩部は上記のピストンに近いロッド上に形成されており、こうしてもしこのピストンとロッドとの間でこれら2つの間の結合部に破損がある場合、このロッドは、このような補助的な肩部が、これに対応する上記のガスシリンダアクチュエータの孔の空いた第2の頭部に設けられた支持肩部に対して支持されるおかげで、上記のジャケットの内部に保持される。
【0008】
上記のピストンロッドの制御されない戻りの場合を処理するための安全装置の第2のタイプは、所定の力を受けた結果、このピストンまたはこのロッドの所定部分が必然的に破断するようになっており、そしてこのような部分がこのピストンまたはこのロッドの密封ガスケットに損傷を生じさせるようになっており、こうして圧縮ガスの外部への排出を可能とし、そしてこうしてこのロッドの急激かつ制御されない飛び出しを防止することができる。
【0009】
しかしながら、このガスシリンダアクチュエータが予想した箇所に加えて他の部位で損壊することを防止するために、圧縮ガスを充分速く排出することを確実にするには、上述のタイプの所定の破損(複数)が充分でない場合や、これらの所定の破損がこのピストンロッドの飛び出しを防止するには不充分である場合も起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記のピストンロッドの制御されない戻りに対する安全装置を有するガスシリンダアクチュエータを提供することであり、このガスシリンダアクチュエータは、同様の安全装置を有する現在知られているガスシリンダアクチュエータの欠点を克服することができるものである。
【0011】
この目的において、本発明の課題は、1つのガスシリンダアクチュエータを提供することであり、このガスシリンダアクチュエータにおいては、制御されない戻りの状態で、ピストンロッドの運動エネルギーが消散され、まさにこのガスシリンダアクチュエータの構造そのものの破損がもたらされることにより、このエネルギーが生じない。
【0012】
本発明のもう1つの課題は、上記の制御されない戻りの場合に、上記のピストンロッドを破損すること無しに、圧縮ガスの安全な出口を確保するガスシリンダアクチュエータを提供することである。
【0013】
本発明のもう1つの課題は、上記の制御されない戻りの場合に、上記のピストンロッドまたは上記のばねの他の部分そのものの制御されない飛出しが起こらない、ガスシリンダアクチュエータを提供することである。
【0014】
本発明のさらにもう1つの課題は、同様の従来のガスシリンダアクチュエータの性能レベル以上のガスシリンダアクチュエータを提供することである。
【0015】
本発明のこれらの目的および課題、および後で明瞭となる他の課題は、請求項1に記載の、制御されないピストンロッドに対する安全装置を有するガスシリンダアクチュエータによって、そして従属請求項に記載される任意の追加的な1つ以上の特徴を有するガスシリンダアクチュエータによって解決される。
【0016】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明によるガスシリンダアクチュエータの、それに限定されるものではない5つの好ましい実施形態の説明によってより明瞭となるであろう。これらの実施形態は、これに限定する意図のない以下に示す添付した図の例を用いて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明によるガスシリンダアクチュエータの第1の実施形態の、軸方向に沿った垂直断面図を示す。
【
図2】
図1に示すガスシリンダアクチュエータの第1の動作の配置構成の詳細を示す。
【
図4】本発明によるガスシリンダアクチュエータの第2の実施形態の、第1の動作の配置構成の、軸方向に沿った垂直断面図を示す。
【
図6】本発明によるガスシリンダアクチュエータの第3の実施形態の、第1の動作の配置構成の、軸方向に沿った垂直断面図を示す。
【
図8】本発明によるガスシリンダアクチュエータの第4の実施形態の、第1の動作の配置構成の、軸方向に沿った垂直断面図を示す。
【
図10】第2の動作の配置構成を
図8と同様に示す。
【
図11】本発明によるガスシリンダアクチュエータの第4の実施形態の、軸方向に沿った垂直断面図を示す。
【
図12】
図11に示すガスシリンダアクチュエータの第1の動作の配置構成の詳細を示す。
【0018】
これらの図を参照すると、本発明によるピストンロッドの制御されない戻りに対する安全装置を有するガスシリンダアクチュエータは、第1の実施形態においては、参照番号10で示されている。
【0019】
このようなピストンロッドの制御されない戻りに対する安全装置を有するガスシリンダアクチュエータは、以下のものを備える。
-1つのチューブ状の容器ジャケット11。円筒状である。
-反対側にある2つの頭部12および13。これらの各々の頭部は上記のチューブ状のジャケットを封止するために、それぞれ回転体から成っており、第1の頭部12には、ピストンロッド15用の通路である、軸Xに対する移動ガイド用の貫通孔14が設けられており、反対側に第2の頭部13が設けられている。
-1つのピストンロッド。このピストンロッドは、円柱状の1つのロッド部16、および円環状の1つのピストン部17を備える。
-密封手段23。この密封手段は、上記の通路およびガイド用の孔14に配設されて、上記のロッド部16に対して作用する。
-上記のチューブ状のジャケット11と、上記の頭部12および13と、上記のピストンロッド15との間は、圧縮ガス用のチャンバ18となっている。
【0020】
貫通孔14は、この孔14とロッド部16との間に全く隙間が無いような寸法となっており、このおかげでロッド16のガイド孔となっている。
【0021】
本発明によるガスシリンダアクチュエータ10の特徴は、これが、上記の第1の頭部12と上記のピストン部17との間に、1つのブッシング20を備えることである。このブッシングは上記の軸Xに対する移動を阻止するための手段を用いてチューブ状のジャケット11に連結され、そしてピストン部17に当たるように設計されている。
【0022】
このブッシング20は、ピストンロッド15の上記の制御されない戻りによる、ピストン部17による衝撃の場合に、少なくとも変形し、こうしてこのピストン部17の通路を可能とし、そしてピストンロッド15と密封手段23とこの通路とガイド孔14との間のガス排出通路の形成を可能とするようになっている。
【0023】
この第1の実施形態においては、
図1~3に示すように、このブッシング20は、ジャケット11の内面24と少なくとも部分的に接触しているように、外形が形成されている。
【0024】
上記の軸Xに対する移動を阻止する手段は、たとえば上記のブッシング20の外側に設けられている外側環状陥凹部26と、この環状陥凹部に対応し、この環状陥凹部に収容される上記のジャケット11の内側に設けられている内側環状突出部27とによって構成されている。
【0025】
ブッシング20は、第1の環状部分28を有し、この第1の環状部分は、
図1に示すピストン部17の外径D3より大きな第1の内径D1を有する。そしてブッシング20は、第2の環状部分29を有し、この第2の環状部分は、ピストン部17の外径D3より小さな第2の内径D2を有する。
【0026】
第2の環状部分29の第2の内径D2は、ロッド部16の内径D4より大きく、そしてこの第2の環状部分29とロッド部16との間には隙間34がある。
【0027】
ブッシング20は、ロッド部16とこのブッシング20全体との間に隙間があるような寸法となっている。
【0028】
ブッシング20は、第1の環状部分28の端部に第1の内側径方向突出部30を有し、この第1の内側径方向突出部は、対称軸Xに向かって延伸しており、そしてピストン部17が通り抜けられるように変形することによって、あるいは
図3に示すように、ブッシング20の残りの部分から破断されて分離されることによって、このピストン部17による衝撃を吸収するように設計されている。
【0029】
第1の内側径方向突出部30と、第1の環状部分28と第2の環状部分29との間を接続する中間環状部分31と、の間に、ブッシング20は、
図1~3に示すように、少なくとも1つの第2の内側径方向突出部32を有し、この第2の内側径方向突出部は、ピストン部17が通り抜けられるように変形することによって、あるいは
図3に示すように、ブッシング20の残りの部分から破断されて分離されることによって、このピストン部17による衝撃を吸収するように設計されている。
【0030】
ピストンロッド15には、軸方向の陥凹部35および径方向の孔36が設けられており、これらは
図3に示すように、この径方向の孔36が全体または少なくとも一部で密封手段23そのものと対向している場合に、ロッド部16と密封手段23との間の圧縮ガスを排出することを可能とするように適合されている。
【0031】
密封手段23は、たとえばロッド部16の外側表面37とこれに対向するジャケット11の内側表面38との間で、軸方向Xに押圧される環状ガスケットから構成されている。
【0032】
径方向の孔36は、ピストンロッド15上に設けられており、ガスシリンダアクチュエータ10の通常動作の間は、部分的にさえ密封手段23に向いていないような位置となり、他方上記の制御されない戻りの場合には、上記の内側径方向突出部30および32の内の1つ以上の変形または破断のおかげで、この径方向の孔36が、部分的またはその全部が、この密封手段23に対向するような位置となり、こうして圧縮ガスを排出することができるようになっている。
【0033】
本発明によるガスシリンダアクチュエータの第2の実施形態においては、ガスシリンダアクチュエータは
図4および5に参照番号110で示されており、上記の第1の実施形態に対して説明されたと同様に、上記の移動を阻止する手段は、ブッシング120の外側に設けられている外側環状陥凹部126と、この環状陥凹部に対応し、この環状陥凹部に収容されるように形成され、上記のジャケット111の内側に設けられている内側環状突出部127とによって構成されている。
【0034】
このブッシング120は、唯1つの内径D5を有し、この内径は、ピストン部117の外径D3より小さくなっている。この唯1つの内径D5は、ロッド部116の外径D4より大きくなっており、そしてこのブッシング120とこのロッド部117との間には隙間134がある。
【0035】
ブッシング120は、ロッド部116とこのブッシング120全体との間に隙間があるような寸法となっている。
【0036】
ブッシング120は、外側環状陥凹部126に外側径方向突出部140を有し、この外側径方向突出部は、このブッシングがピストン部117と共に移動することができるように変形することによって、あるいは
図5に示すように、この外側径方向突出部がブッシング120の残りの部分から破断されて分離されることによって、このピストン部117によるブッシング120の衝撃を吸収するように設計されている。
【0037】
この外側径方向突出部140は、たとえば環状である。
【0038】
この第2の実施形態においては、ブッシング120は、上記の制御されない戻りの場合に、このブッシング120が、ピストン部117によって軸Xの方向に外側に押圧された時に、密封手段123、すなわち上記の第1の実施形態で既に説明した環状のガスケットを損傷するように構成された軸方向の突出部150を有している。
【0039】
この軸方向突出部150は、たとえばこのブッシング120本体の他の部分より小さな横方向断面を有するカラー部で構成されている。
【0040】
この第2の実施形態においても、ピストンロッド115には、軸方向の陥凹部135および径方向の孔136が設けられており、これらは
図5に示すように、この径方向の孔136が全体または少なくとも一部で密封手段123そのものと対向している場合に、ロッド部116と密封手段123との間の圧縮ガスを排出することを可能とするように適合されている。
【0041】
第3の実施形態においては、ガスシリンダアクチュエータは
図6および7に参照番号210で示されており、ブッシング220が上記の第2の実施形態で説明されたブッシング120に対応しており、他方ロッド部216は、連続した、すなわち径方向の孔を有しない円筒体で構成されている。
【0042】
この第3の実施形態においては、上記の制御されない戻りの場合には、圧縮ガスは、ピストン部217とジャケット211との間を通り、そして次にブッシング220、密封手段223、およびロッド部219の間を通って逃げ、こうして上述したような第1および第2の実施形態のようにピストンロッドの内側を通る代わりに、外側を通る。
【0043】
第4の実施形態においては、ガスシリンダアクチュエータは
図8,9および10に参照番号310で示されており、ブッシング320は、第1の環状部分328と第2の環状部分329とを有し、この第1の環状部分328はピストン部317の外径D3より大きな内径D1を有し、この第2の環状部分は、ピストン部317の外径D3より小さな内径D2を有する。
【0044】
第2の環状部分329の第2の内径D2は、ロッド部316の内径D4より大きく、そしてこの第2の環状部分320とロッド部316との間には隙間334がある。
【0045】
ブッシング320は、ロッド部316とこのブッシング320全体との間に隙間があるような寸法となっている。
【0046】
ブッシング320は、第1の環状部分328の端部に第1の内側径方向突出部330を有し、この第1の内側径方向突出部は、対称軸Xに向かって延伸しており、そしてピストン部317が通り抜けられるように変形することによって、あるいは
図10に示すように、ブッシング320の残りの部分から破断されて分離されることによって、このピストン部317による衝撃を吸収するように設計されている。
【0047】
第1の内側径方向突出部330と、第1の環状部分328と第2の環状部分329との間を接続する中間環状部分331と、の間に、ブッシング320は、
図8および10に示すように、少なくとも1つの第2の内側径方向突出部332、たとえば2つの第2の内側径方向突出部332を有し、この第2の内側径方向突出部は、ピストン部317が通り抜けられるように変形することによって、あるいは
図10に示すように、ブッシング320の残りの部分から破断されて分離されることによって、このピストン部317による衝撃を吸収するように設計されている。
【0048】
この中間環状部分331もまた、変形または破断して、第2の内側径方向突出部332による衝撃を吸収するようになっており、この突出部は今度はピストン部317による衝撃によって破断されている。
【0049】
上記の移動を阻止する手段は、ブッシング320の外側に設けられている外側環状陥凹部326、およびこの環状陥凹部に対応し、この環状陥凹部に収容されるように形成されている上記のジャケット311の内側に設けられている内側環状突出部327によって構成されている。
【0050】
中間環状部分331は、外側環状陥凹部326の近傍に設けられている。
【0051】
この第4の実施形態においては、ブッシング320も軸方向の突出部350を有し、この突出部は、組立ての際にブッシング320を位置決めし、そしてさらに、制御されない戻りの後に、このブッシング320がこの制御されない戻りの場合に、ピストン部317によって軸方向で外側に押圧される時に、密封手段323、すなわち上記の第1の実施形態で既に説明した環状ガスケットを損傷するように構成されている。
【0052】
この軸方向突出部350は、たとえばこのブッシング320本体の他の部分より小さな横方向断面を有するカラー部で構成されている。
【0053】
この第4の実施形態においては、ピストンロッド315は、ロッド部316の外側表面上に、長手方向の陥凹部360を有し、この陥凹部は、この長手方向の陥凹部360が、
図10に示すように、部分的にブッシング320に対向し、そして部分的に密封手段323に対向している場合に、ロッド部316と密封手段323との間の圧縮ガスを排出することを可能とするような長さで、軸方向に延伸している。
【0054】
この長手方向の陥凹部360は、たとえばフライス加工によって設けられている。
【0055】
この第4の実施形態においては、ブッシング320は、内径方向突出部330および332と同様に、ピストンロッド315による衝撃により生じるエネルギーを消散するように変形または破断するよう構成された付加部、すなわち中間環状部分331を有する。この中間環状部分の変形および/または破断は、ピストンロッド315の残りの運動エネルギーを低減するのに寄与する。
【0056】
第5の実施形態においては、ガスシリンダアクチュエータは
図11,12および13に参照番号410で示されている。
【0057】
このガスシリンダアクチュエータ410の構成は、円筒状である、チューブ状の容器ジャケット411と、2つの反対側にある頭部412および413であって、各々の頭部がこのチューブ状のジャケット411を封止するために、それぞれ回転体から成っており、第1の頭部412に、ピストンロッド415用の通路である、軸Xに対する移動ガイド用の貫通孔414が設けられ、反対側に第2の頭部413が設けられている、頭部412および413と、 円柱状のロッド部416、および円環状のピストン部417を備える、ピストンロッド415と、 上記の通路およびガイド用の孔414に配設されて、上記のロッド部416に対して作用する密封手段423と、を備える。
【0058】
貫通孔414は、この孔414とロッド部416との間に全く隙間が無いような寸法となっており、このおかげでロッド416のガイド孔となっている。
【0059】
上記のチューブ状のジャケット411と、上記の頭部412および413と、上記のピストンロッド415との間は、圧縮ガス用のチャンバ418となっている。
【0060】
上記の第1の頭部412と上記のピストン部417との間には、1つのブッシング420があり、このブッシングは上記の軸Xに対する移動を阻止するための手段によってチューブ状のジャケット411に連結され、そしてピストン部417に当たるように設計されている。
【0061】
このブッシング420は、ピストンロッド415の上記の制御されない戻りによる、ピストン部417による衝撃の場合に、少なくとも変形し、こうしてこのピストン部417の通路を可能とし、そしてピストンロッド415と密封手段423とこの通路とガイド孔414との間のガス排出通路の形成を可能とするようになっている。
【0062】
このブッシング420は、ジャケット411の内面424と少なくとも部分的に接触しているように、外形が形成されている。
【0063】
上記の軸Xに対する移動を阻止する手段は、たとえば上記のブッシング420の外側に設けられている外側環状陥凹部426と、この環状陥凹部に対応し、この環状陥凹部に収容される上記のジャケット411の内側に設けられている内側環状突出部427とによって構成されている。
【0064】
図12に示すブッシング420は、円錐状の内部形状を有し、この内部形状は、
図11に示すピストン部417の外径D8より大きな第1の内径D6を有する第1の環状部分428と、ピストン部417の外径D8より小さな第2の内径D7を有する第2の環状部分429とを有する。
【0065】
第2の環状部分429の第2の内径D7は、ロッド部416の内径D9より大きく、そしてこの第2の環状部分429とロッド部416との間には、
図13に示すように、隙間434がある。
【0066】
ブッシング420は、ロッド部416とこのブッシング420全体との間に隙間があるような寸法となっている。
【0067】
ブッシング420は、第1の環状部分428の端部に第1の内側の径方向突出部430を有し、この第1の内側径方向突出部は、対称軸Xに向かって延伸しており、そしてピストン部417が通り抜けられるように変形することによって、あるいは
図13に示すように、ブッシング420の残りの部分から破断されて分離されることによって、このピストン部417による衝撃を吸収するように設計されている。
【0068】
ブッシング420の上記の円錐状の内部形状は、内径がD6とD7との間で漸進的に小さくなっており、このブッシング420の他の部分とロッド416との間でピストン部417のはまり込みを決定する。
【0069】
ピストンロッド415には、長手方向の陥凹部435が設けられており、これは
図13に示すように、この長手方向の陥凹部435が全体または少なくとも一部で密封手段423そのものと対向している場合に、ロッド部416と密封手段423との間の圧縮ガスを排出することを可能とするように適合されている。
【0070】
密封手段423は、たとえばロッド部416の外側表面437とこれに対向するジャケット411の内側表面438との間で、軸方向Xに押圧される環状ガスケットから構成されている。
【0071】
この長手方向の陥凹部435は、たとえばフライス加工によって設けられている。
【0072】
この陥凹部435は、ピストンロッド415上に設けられており、ガスシリンダアクチュエータ410の通常動作の間は、部分的にさえ密封手段423に向いていないような位置となり、他方上記の制御されない戻りの場合には、上記の内側径方向突出部430の変形または破断のおかげで、この陥凹部435が、部分的またはその全部が、この密封手段423に対向するような位置となり、こうして
図13に矢印436で示されている方向に圧縮ガスを排出することができるようになっている。
【0073】
以上のような本発明によるガスシリンダアクチュエータ10,110,210,310,および410を用いて、ピストンとロッドのガイド部材との間に追加の部材、すなわちブッシングを挿入することによって安全が提供される。
【0074】
ピストンロッドの制御されない戻りに続いて、上記のブッシングの少なくとも変形可能な部分は、破断するまで変形し、そしてこのピストンロッドの運動エネルギーを吸収する。
【0075】
実際に本発明が充分に目的および課題を実現することが分った。
【0076】
特に本発明を用いて、制御されない戻りの場合に、ピストンロッド、あるいはジャケットまたは頭部のようなガスシリンダアクチュエータの他の構造部材が破損することが無い、圧縮ガスの安全な排出を保証するガスシリンダアクチュエータが開発された。
【0077】
さらに本発明を用いて、圧縮/膨張チャンバにおいて起こり得る過圧がピストンロッドの制御されない飛出しを全くもたらさない、ガスシリンダアクチュエータが開発された。
【0078】
また本発明を用いて、同様な従来のガスシリンダアクチュエータの性能に劣らない性能を提供する、ガスシリンダアクチュエータが開発された。
【0079】
以上のように考案された本発明は、多数の改善および変形が可能であり、これら全ては添付する特許請求の範囲に含まれるものである。さらに上記の詳細の全ては、他の技術的に等価な要素と置き換えることが可能である。
【0080】
実際ここで用いられている材質は、特定の使用およびこれに付随する寸法ならびに形状に適合するものであれば、どのような仕様および従来技術のものであってもよい。