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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】温湿度計
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20220728BHJP
   G01D 7/02 20060101ALI20220728BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20220728BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
G08B21/24
G01D7/02
G01D7/00 Z
G08B21/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018067096
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179327
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 勝宏
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206159(JP,A)
【文献】特開2013-145224(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202664(JP,U)
【文献】特開平08-167091(JP,A)
【文献】特開2002-071176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/01
5/05-5/0538
5/24-5/398
G01D7/00-7/12
G01K1/00-19/00
G06Q50/22
G08B1/00-9/20
19/00-31/00
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温湿度計の周囲の温度を検知する温度センサと、
前記温湿度計の周囲の湿度を検知する湿度センサと、
前記温湿度計の動作を制御するプログラムを格納する記憶部と、
前記記憶部から前記プログラムを読み込んで実行するプロセッサと、
前記プロセッサによる処理結果を出力する出力部と、を備え、
前記プロセッサは、前記温度センサによって検知された温度の情報と前記湿度センサによって検知された湿度の情報とを用いて、周囲環境の危険であるか否か判断し、危険である場合には、予め用意された複数の報知モードの何れか1つの報知モードによって、前記出力部を介してユーザに危険性を報知
前記プロセッサは、前記危険性を前記ユーザに報知した後の前記周囲の温度の変化勾配と傾き開始時間とを算出し、前記周囲の温度の変化勾配がそれに関する閾値以上であるか、前記傾き開始時間がそれに関する閾値以下であるかを判断し、当該判断の結果に基づいて前記報知モードを別の報知モードに変更する、温湿度計。
【請求項2】
温湿度計の周囲の温度を検知する温度センサと、
前記温湿度計の周囲の湿度を検知する湿度センサと、
前記温湿度計の動作を制御するプログラムを格納する記憶部と、
前記記憶部から前記プログラムを読み込んで実行するプロセッサと、
前記プロセッサによる処理結果を出力する出力部と、を備え、
前記プロセッサは、前記温度センサによって検知された温度の情報と前記湿度センサによって検知された湿度の情報とを用いて、周囲環境の危険であるか否か判断し、危険である場合には、予め用意された複数の報知モードの何れか1つの報知モードによって、前記出力部を介してユーザに危険性を報知し、
前記プロセッサは、前記危険性を前記ユーザに報知した後の前記周囲の湿度の変化勾配と傾き開始時間とを算出し、前記周囲の湿度の変化勾配がそれに関する閾値以上であるか、前記傾き開始時間がそれに関する閾値以下であるかを判断し、当該判断の結果に基づいて前記報知モードを別の報知モードに変更する、温湿度計。
【請求項3】
温湿度計の周囲の温度を検知する温度センサと、
前記温湿度計の周囲の湿度を検知する湿度センサと、
前記温湿度計の動作を制御するプログラムを格納する記憶部と、
前記記憶部から前記プログラムを読み込んで実行するプロセッサと、
前記プロセッサによる処理結果を出力する出力部と、を備え、
前記プロセッサは、前記温度センサによって検知された温度の情報と前記湿度センサによって検知された湿度の情報とを用いて、周囲環境の危険であるか否か判断し、危険である場合には、予め用意された複数の報知モードの何れか1つの報知モードによって、前記出力部を介してユーザに危険性を報知し、
前記プロセッサは、前記周囲の温度の情報および前記周囲の湿度の情報に基づいて暑さ指数を算出し、前記危険性を前記ユーザに報知した後の前記暑さ指数の変化勾配と傾き開始時間とを算出し、前記暑さ指数の変化勾配がそれに関する閾値以上であるか、前記傾き開始時間がそれに関する閾値以下であるかを判断し、当該判断の結果に基づいて前記報知モードを別の報知モードに変更する、温湿度計。
【請求項4】
請求項1からの何れか1項において、
前記プロセッサは、音声、画像、および光の少なくとも1つを用いて前記出力を介して前記ユーザに危険性を報知する、温湿度計。
【請求項5】
請求項1からの何れか1項において、
前記予め用意された複数の報知モードは、音声による報知に関し、丁寧口調、標準口調、および命令口調を異なるモードとして含む、温湿度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温湿度計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温度や湿度等の環境データを検出し、その検出結果に基づいて、熱中症、食中毒、ダニ・カビの発生、あるいはインフルエンザの危険性を報知する温湿度計が考案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5409496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱中症、食中毒、ダニ・カビの発生、あるいはインフルエンザなどの危険性がある環境下では、ユーザが適切なアクション(例えば、エアコンの室温設定を変更するなど)を起こさせることが可能であることが望ましい。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるような温湿度計では、単に熱中症、食中毒、ダニ・カビの発生、あるいはインフルエンザなどの危険性を報知するだけに留まっており、この報知の効果を最大限発揮するという観点が欠けている。
【0006】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、熱中症、食中毒、ダニ・カビの発生、あるいはインフルエンザなどの危険性がある環境下において、ユーザに適切なアクションを起こさせることが可能な温湿度計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(i)上記課題を解決するために、本開示による指温湿度計は、温湿度計の周囲の温度を検知する温度センサと、温湿度計の周囲の湿度を検知する湿度センサと、温湿度計の動作を制御するプログラムを格納する記憶部と、記憶部から前記プログラムを読み込んで実行するプロセッサと、プロセッサによる処理結果を出力する出力部と、を備える。プロセッサは、温度センサによって検知された温度の情報と湿度センサによって検知された湿度の情報とを用いて、周囲環境の危険であるか否か判断し、危険である場合には、予め用意された複数の報知モードの何れか1つの報知モードによって、出力部を介してユーザに危険性を報知する。
【0008】
(ii)本実施形態において、プロセッサは、危険性をユーザに報知した後の周囲の温度の変化と温度に関する閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、報知モードを別の報知モードに変更する。より具体的に、プロセッサは、危険性を前記ユーザに報知した後の周囲の温度の変化勾配と傾き開始時間とを算出し、周囲の温度の変化勾配がそれに関する閾値以上であるか、傾き開始時間がそれに関する閾値以下であるかを判断し、当該判断の結果に基づいて報知モードを別の報知モードに変更する。
【0009】
(iii)本実施形態において、プロセッサは、危険性を前記ユーザに報知した後の周囲の湿度の変化と湿度に関する閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、報知モードを別の報知モードに変更する。より具体的に、プロセッサは、危険性をユーザに報知した後の周囲の湿度の変化勾配と傾き開始時間とを算出し、周囲の湿度の変化勾配がそれに関する閾値以上であるか、傾き開始時間がそれに関する閾値以下であるかを判断し、当該判断の結果に基づいて報知モードを別の報知モードに変更する。
【0010】
(iv)本実施形態において、プロセッサは、周囲の温度の情報および周囲の湿度の情報に基づいて暑さ指数を算出し、危険性をユーザに報知した後の暑さ指数の変化と暑さ指数に関する閾値とを比較し、当該比較の結果に基づいて、報知モードを別の報知モードに変更する。より具体的に、プロセッサは、危険性をユーザに報知した後の暑さ指数の変化勾配と傾き開始時間とを算出し、暑さ指数の変化勾配がそれに関する閾値以上であるか、傾き開始時間がそれに関する閾値以下であるかを判断し、当該判断の結果に基づいて報知モードを別の報知モードに変更する。
【0011】
(v)報知形態は、音声、画像、および光の少なくとも1つを用いることができる。例えば、音声による報知の場合、丁寧口調、標準口調、および命令口調を異なるモードとして含むようにしてもよい。
【0012】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになる。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0013】
本開示の温湿度計によれば、熱中症、食中毒、ダニ・カビの発生、あるいはインフルエンザなどの危険性がある環境下において、ユーザに適切なアクションを起こさせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の実施形態による温湿度計100の内部構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態による温湿度計100によって実行される危険性判断処理および報知処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
図3】各報知モードでユーザに報知(注意喚起)した後の環境変化プロファイル例を示す図である。図3Aは、熱中症の可能性がある環境下(温度35℃、湿度70%、暑さ指数33℃)における、報知後の温度変化を示す。図3Bは、同環境下における、報知後の湿度変化を示す。図3Cは、同環境下で、報知後の暑さ指数変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態は、熱中症、熱中症、インフルエンザ、カビ・ダニの発生、および食中毒等のリスクが高い環境温度・湿度であることを検出し、画像・光・音などで報知する温湿度計に関し、複数の報知モード(報知パターン)が用意され、どの報知手段および報知モードで報知した際にユーザが温度・湿度を適正値に戻そうとする試みを早く・強く意識したかを温度・湿度変化の勾配と傾き始めた時間で判定し、有効な報知手段および報知モードに最適化する温湿度計について開示する。
【0016】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った具体的な実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0017】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0018】
<温湿度計の構成例>
図1は、本開示の実施形態による温湿度計100の内部構成例を示すブロック図である。
【0019】
温湿度計100は、プロセッサ101と、温度センサ102と、湿度センサ103と、通信部104と、記憶部105と、入力部106と、出力部107と、を備える。
【0020】
プロセッサ101は、記憶部105あるいは他のメモリ(図示せず)から各種プログラム(図2のフローチャートに対応するプログラムを含む)を読み込み、内部メモリ(図示せず)に各種プログラムを展開して実行する。
【0021】
温度センサ102は、温湿度計100の周囲の温度(環境温度)を測定する。測定された温度の情報は、定期的にあるいは随時プロセッサ101によって取得される。湿度センサ103は、温湿度計100の周囲の湿度(環境温度)を測定する。測定された湿度の情報は、定期的にあるいは随時プロセッサ101によって取得される。本実施形態では、温湿度計100に搭載するセンサの種類として、温度センサ102と湿度センサ103のみが示されているが、これらに限定される趣旨ではなく、別のセンサ(例えば、明暗センサや音センサなど)を備えていてもよい。
通信部104は、ローカルネットワークあるいはインターネットを介して、外部機器と通信し、所定の情報を取得するデバイスである。
【0022】
記憶部105は、各種プログラムや各種パラメータを格納する。また、例えば、記憶部105は、温度センサ102によって測定された温度と湿度センサ103によって測定された湿度に対応する暑さ指数(WBGT(Wet Bulb Globe Temperature):湿球黒球温度)の情報を格納している。
【0023】
入力部106は、各種スイッチやボタン、キーボード(簡易的なキーボード)、タッチパネル、マイクなどの入力手段の何れかあるいはこれらの組み合わせによって構成される。出力部107は、音声を出力するスピーカやディスプレイ部などによって構成される。
【0024】
以上の構成を備える本実施形態による温湿度計100は、周囲の環境情報(温度や湿度など)を各種センサによって取得し、当該環境情報に基づいて、周囲の環境が熱中症、食中毒やインフルエンザに罹患しやすい環境か否か、および/またはダニ・カビが発生しやすい環境か否かについて判定し、もしそのような環境である場合にはユーザに報知する。また、温湿度計100は、危険性を知らせる報知に対するユーザの反応(アクション対応)が予め決められた基準よりも遅い場合、次に報知する際のモードを変更する。報知モード(報知パターンと同義)の変更例としては、報知の口調(メッセージを読み上げる口調)を丁寧口調(例:お手数ですが、温度と湿度を下げて下さると幸いです)→標準口調(例:温度と湿度を下げてください)→命令口調(例:温度と湿度を下げろ)などのように変更することが考えられる。
【0025】
<危険性判断および報知処理の内容>
図2は、本実施形態による温湿度計100によって実行される危険性判断処理および報知処理の詳細を説明するためのフローチャートである。本実施形態では、プロセッサ101を動作主体として説明する。また、図2においては、温度センサ102と湿度センサ103の測定結果のみを用いているが、他のセンサによる測定結果を追加して処理するようにしてもよい。
【0026】
(i)ステップ201
プロセッサ101は、温度センサ102によって測定された温度の情報および湿度センサ103によって測定された湿度を取得する。取得のタイミングは、所定間隔(例えば、5分)毎でもよいし、常に温度や湿度を監視するようにしてもよい。
【0027】
(ii)ステップ202
プロセッサ101は、温度センサ102から取得した温度と予め決められている温度の閾値とを比較し、湿度センサ103から取得した湿度と予め決められている湿度の閾値とを比較する。また、プロセッサ101は、記憶部105に格納されている暑さ指数テーブル(図示せず;温度と湿度に対応する暑さ指数を示すテーブル)を参照して、取得した温度と湿度に対応する暑さ指数を取得し、当該暑さ指数と予め決められた暑さ指数の閾値とを比較する。そして、プロセッサ101は、周囲の環境が危険な状態か、つまり、熱中症、食中毒やインフルエンザに罹患しやすい環境か否か、および/またはダニ・カビが発生しやすい環境か否かについて評価(判定)する。周囲の環境が危険な状態か否かは、例えば、温度、湿度、および暑さ指数の何れかがそれぞれについて予め決められた閾値よりも大きい(以上でもよい)場合に危険であると判断してもよいし、3つのうち2つ以上の要素が上記閾値よりも大きい(以上でもよい)場合に危険であると判断してもよい。
【0028】
周囲の環境が危険な状態であると判断された場合、処理はステップ203に移行する。一方、周囲の環境が危険な状態ではないと判断された場合、処理はステップ201に移行し、各センサによる環境のモニタリング状態に戻る。
【0029】
(iii)ステップ203
プロセッサ101は、温度を調節するように音声および/または表示を用いて、所定の報知モードで報知する。ここで、所定のモードとは、例えば、丁寧口調モード、標準口調モード、および命令口調モードである。初期設定は、例えば、丁寧口調モードとなっている。熱中症の危険性がある場合には、例えば、エアコンを点けることや設定温度を下げることを促すような報知(例:お手数ですが、設定温度を下げて頂けると幸いです(丁寧口調))をする。食中毒の危険性がある場合には、例えば、食べ物の確認をすることや食べ物をテーブルの上などに報知せず冷蔵庫に入れることを促すような報知(例:食べ物はきちんと冷蔵庫にしまいましょう(標準口調))をする。インフルエンザの危険性がある場合には、例えば、予防行為を促すような報知(例:うがい・手洗いをしっかりしろよ(命令口調))をする。ダニ・カビが発生しやすい環境となっている場合には、例えば、湿気を除去するための対策をすることを促すような報知(例:還気や除湿をして下さい(標準口調))をする。
【0030】
(iv)ステップ204
プロセッサ101は、周囲環境温度が変化し始めた時刻(周囲環境温度変化の開始時刻)を取得し、報知時刻と周囲環境温度変化の開始時刻とに基づいて、報知から温度変化開始までの時間間隔(傾き開始の時間(経過時間))と、周囲環境温度の変化勾配(温度差/経過時間)を算出する。ここでは、温度の変化勾配と傾き開始時間を用いた制御について説明しているが、湿度や暑さ指数についても同様に変化勾配と傾き開始時間を算出してもよい。
【0031】
(v)ステップ205
プロセッサ101は、現在用いている報知モードを次回の報知タイミングでも使用するか判断する。具体的には、プロセッサ101は、周囲環境温度の変化勾配がその閾値以上であるか(勾配が閾値よりも急峻か)、および傾き開始の時間がその閾値以下であるか(傾き開始の時間間隔が閾値よりも短いか)判断する。周囲環境温度の変化勾配が閾値以上、かつ傾き開始の時間が閾値以下である場合(現報知モードを継続:ステップ205でYESの場合)、処理はステップ206に移行する。周囲環境温度の変化勾配および傾き開始の時間の少なくとも一方が閾値との比較条件を満たさない場合(現報知モードを変更:ステップ205でNOの場合)、処理はステップ207に移行する。なお、ここでは、周囲環境温度の変化勾配および傾き開始の時間が共に閾値との比較条件を満たす場合にステップ207に移行し、周囲環境温度の変化勾配および傾き開始の時間の少なくとも一方が閾値との比較条件を満たさない場合にステップ206に移行するようにしたが、これに限られず、何れか一方の要素(変化勾配あるいは傾き開始時間の一方)が閾値との比較条件を満たす場合にステップ206に移行し、何れも閾値との比較条件を満たさない場合にステップ207に移行するようにしてもよい。
【0032】
(vi)ステップ206
プロセッサ101は、現在の報知モードが適切である(報知の効果がある)と判断し、現在の報知モードを次の報知タイミングでも使用するように設定する。
【0033】
(vii)ステップ207
プロセッサ101は、現在の報知モードが不適切である(報知の効果がない)と判断し、次の報知タイミングでは別の報知モード(例えば、現行よりも厳しい口調の報知モード)を使用するように設定する。
【0034】
なお、図2では、1回でも報知の効果が無いと判断した場合に報知モードを変更するようにしているが、連続して、あるいは累積で所定回数報知の効果が無いと判断したときに報知モードを変更するようにしてもよい。また、図2では、報知の効果が無いときに報知モードを変更することを示しているが、例えば、命令口調の報知モードにおいて報知の効果があったと判断した場合(1回、あるいは所定回数(連続で、あるいは累積で)周囲環境温度の勾配変化が上記閾値以下の場合)、報知モードを標準モードに変更するようにしてもよい。また、例えば、最初は命令口調でないとユーザにとって一定の効果が得られない場合であっても、徐々に当該ユーザの意識が高まり、標準口調でも同等の効果が期待できる場合が考えられる。そこで、命令口調である程度報知した後、標準口調に戻ることを試みる制御を行ってもよい。
【0035】
<報知後の環境変化プロファイル例>
図3は、各報知モードでユーザに報知(注意喚起)した後の環境変化プロファイル例を示す図である。例えば、図3A図3Cでは、熱中症の可能性がある環境下(温度35℃、湿度70%、暑さ指数33℃)における、報知後の温度変化(図3A)、報知後の湿度変化(図3B)、および報知後の暑さ指数変化(図3C)が示されている。ここでは、ユーザがどれだけ迅速に温度を下げるアクションを起こしたかについて示されているが、温度を上げる場合や湿度を低下させる場合などでも同様である。また、図3A図3Cにおいて、例えば、報知パターン(報知モード)1は丁寧口調の音声メッセージを示し、報知パターン(報知モード)2は標準口調の音声メッセージを示し、報知パターン(報知モード)3は命令口調の音声メッセージを示している。さらに、ここでは、ユーザに報知(注意喚起)後、ユーザが取るアクションとして、空調を稼働させることや換気・除湿を行うことを想定している。
【0036】
図3A図3Cに示されるように、周囲の温度、湿度、および暑さ指数の何れについても、報知パターン3(報知モード3:命令口調による報知)の場合においてユーザはより迅速にアクションを起こし、温度、湿度および暑さ指数の変化勾配が急峻であることが分かる。つまり、報知モード1(丁寧口調)では温度・湿度が低下し始めるのが遅いので、報知の効果は低い。また、報知モード3(命令口調)と報知モード2(標準口調)では同じ時間から温度・湿度が低下しているが、勾配は報知モード3(命令口調)の方が大きいため、報知モード3(命令口調)の方がより低い温度の設定でエアコンを起動させたか、あるいはより強風の設定でエアコンを起動させており、報知の効果が高かったと判断することができる。
【0037】
<変形例>
(i)例えば、報知モード3(命令口調)で報知した時のグラフ(図3A図3C参照)で示されるように、温度や湿度等が急激に適正値に戻りつつある場合、つまり温度や湿度等の変化勾配が急である場合には、ユーザが適切なアクション(エアコンを低い温度に設定したり、強風で起動・運転したり、急冷モードに設定するなど)を既に取ったと考え荒れるため、適正値に戻りきる前、即ち熱中症の危険がある温度や湿度の時点で、エアコンを点けることや設定温度を下げることを促すような報知を止めてもよい。
【0038】
(ii)本実施形態では、報知モードとして音声メッセージのバリエーションを例としているが、光(点滅、色など)や画像(文字、アイコン)であってもよい。また、同じ報知モードであっても音量を上げたり、点滅を早くしたり、徐々に命令口調にしたりするといったバリエーションが考えられる。さらに、学習機能によって、音・光・画像のうちどの報知形態が効果的かを比べるようにしてもよい。また、最も有効な組み合わせを判断してもよい。例えば、音と光で報知した場合と音のみで報知した場合の効果が同等であれば、光を用いた報知をしない方が消費電力を考慮すると望ましい。
【0039】
(iii)不在時には温度・湿度を適正値に戻す事が出来ないので、不在か否かを判定する手段があると良い。不在か否かを判定する手段としてはカメラや人感センサ、照度センサといった方法がある。
【0040】
(iv)温湿度計100の通信部104を用いて、有線または無線で報知メッセージの内容や報知モードのアップデート情報を更新・追加するようにしてもよい。報知手段(画像、音など)が増える場合を想定すれば、その情報がユーザにとって価値が高いものか否かを自動で判定し、報知に組み込むことが可能となる。例えば、所定のアニメの温湿度計において、最初はキャラクタ1の画像だけが表示される製品である場合に、その後、キャラクタ2の画像がアップデートして追加する場合、キャラクタ1とキャラクタ2のどちらがユーザにとって報知の効果が高いかを判定し、どちらを多く(どちらをメインに)出現させて報知するか制御することにより、当該ユーザにとって報知効果をより効果的にすることが可能となる。
【0041】
(v)例えば、最初は命令口調でないと一定の効果が得られなくとも、徐々にユーザの意識が高まり、標準口調でも同等の効果が期待できる場合が考えられる。そこで、命令口調である程度報知した後、標準口調に戻る事を試みる制御を行うと良い。
【0042】
(vi)熱中症、インフルエンザ、カビ・ダニの発生、および食中毒のリスクが高い温度・湿度のエリアを所定の基準で予め決め、エリア毎に報知の内容を変えるようにしてもよい。
【0043】
(vii)上述の実施形態では、報知モードを命令口調、標準口調、丁寧口調とした例について説明したが、これ以外の報知モードを採用してもよい。
【0044】
(vii-1)音の例
報知モードにおいては、音を変化させてもよい。例えば、音量大の報知モード~音量小の報知モード、高音(ピピッ)の報知モード~低音(ボボッ)の報知モード、音声の種類(男性の声と女性の声)による報知モード(購入後ユーザ自身で追加した音声でもよい)等である。また、報知内容を変えてもよい。例えば、「インフルエンザにならないように湿度を上げましょう」という音声を出力する報知モードと、「肌のツヤを保つように湿度を上げましょう」という音声を出力するモードなどである。
【0045】
(vii-2)光の例
報知モードにおいては、光を変化させてもよい。例えば、明るい光を放射する報知モード~暗い光を放射する報知モード、高速点滅の報知モード~中速点滅~低速点滅の報知モード、赤色光を放射する報知モード~青色光を放射する報知モード等である。
【0046】
(vii-3)画像の例
第1画像を表示させる報知モード~第2画像を表示させる報知モード(画像はユーザ自身がネットワークなどからダウンロードしたりして読み込んだものであってもよい)で、出力部(表示部)107に表示させる画像を変化させてもよい。
また、大きな画像を表示させる報知モード~小さな画像を捧持させる報知モードで、出力部(表示部)107に表示させる画像を変化させてもよい。
【0047】
<まとめ>
本実施形態による温湿度計においては、時間や適正値からの乖離している度合いによって報知内容を変更するだけでなく、適正値(温度・湿度の適正値)に戻り始める時間や勾配を測定して、当該時間や勾配に基づいて報知内容を変更するように制御してもよい。ユーザが固定の報知内容あるいは報知方法に慣れてしまった場合には報知による結果(報知後にユーザが適切なアクションを起こすか)が悪くなる。このため、報知内容や報知方法を変更することにより、ユーザの慣れ・飽きへの対策にもなる。
【符号の説明】
【0048】
100 温湿度計
101 プロセッサ
102 温度センサ
103 湿度センサ
104 通信部
105 記憶部
106 入力部
107 出力部
図1
図2
図3