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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20220728BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220728BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220728BHJP
   H01L 25/16 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H05K1/02 L
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
A61B5/1455
H01L25/16 B
H05K1/02 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018081119
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019192702
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】依田 惇人
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-279061(JP,A)
【文献】特開2008-099890(JP,A)
【文献】特開2012-134272(JP,A)
【文献】特開平05-317295(JP,A)
【文献】特表2015-513880(JP,A)
【文献】特開2017-104252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
A61B 5/1455
H01L 25/16
A61B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性部材からなるリング型部材と、前記リング型部材の外周面に固着された半導体装置と、を有し、
前記半導体装置は、可撓性を有する配線基板と、前記配線基板に実装された半導体部品を含む電子部品と、を備え、
前記半導体装置には、前記配線基板に前記電子部品が実装された部品実装部と、前記配線基板に前記電子部品が実装されていない部品非実装部とが、前記半導体装置の長手方向に交互に配置され、
前記部品非実装部は、前記リング型部材の外周面に沿って湾曲しているセンサモジュール。
【請求項2】
前記リング型部材は、ウレタンゴム、アクリルゴム、又はシリコーンからなる請求項1に記載のセンサモジュール
【請求項3】
前記リング型部材は、偏平率の高い領域と、偏平率の低い領域と、を備え、
前記偏平率の高い領域上に位置する前記配線基板の外周面には、前記電子部品の中で平面視における面積が最も大きな電子部品が実装されている請求項1又は2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記電子部品はCPUを含み、
前記最も大きな電子部品は前記CPUである請求項に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記電子部品は、発光素子及び受光素子を含み、
前記偏平率の高い領域上に位置する前記配線基板の内周面には、前記発光素子又は前記受光素子の一方が実装され、
前記リング型部材の空間部を介して前記発光素子又は前記受光素子の一方と対向する位置にある前記配線基板の内周面には、前記発光素子又は前記受光素子の他方が実装されている請求項又はに記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記リング型部材には第1貫通孔及び第2貫通孔が設けられ、
前記発光素子は前記第1貫通孔内に位置し、前記発光素子の出射面は前記第1貫通孔から外部に露出し、
前記受光素子は前記第2貫通孔内に位置し、前記受光素子の入射面は前記第2貫通孔から外部に露出している請求項に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記配線基板は、複数の配線層が絶縁層を介して積層された多層配線基板であり、
前記多層配線基板は、前記絶縁層を介して上下に隣接する前記配線層同士を電気的に接続するビア配線を有し、
前記ビア配線は、偏平率の高い領域のみに配置されている請求項乃至の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記部品実装部の少なくとも1つでは、前記電子部品が前記半導体装置の短手方向に一列に配列されている請求項1乃至の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
人体から各種の生体情報を検出する様々なセンサモジュールが開発されている。このようなセンサモジュールの一例として、発光部と受光部とを備えるプローブを被験者の指に装着し、光を指に向けて投光し、指を経由した光の光量変化を測定し、CPUを含む制御回路で血中酸素飽和度の時間変化を求めるパルスオキシメータが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-105316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のセンサモジュールでは、発光部、受光部、及び制御回路を含む計測に用いる電子部品を一枚の配線基板に実装して指先に装着する形態は実現できていなく、例えば、指先を含めた指全体に装着する形態であった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、計測に用いる電子部品が一枚の配線基板に実装され、無理なく指先に装着できるセンサモジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本センサモジュールは、弾性部材からなるリング型部材と、前記リング型部材の外周面に固着された半導体装置と、を有し、前記半導体装置は、可撓性を有する配線基板と、前記配線基板に実装された半導体部品を含む電子部品と、を備え、前記半導体装置には、前記配線基板に前記電子部品が実装された部品実装部と、前記配線基板に前記電子部品が実装されていない部品非実装部とが、前記半導体装置の長手方向に交互に配置され、前記部品非実装部は、前記リング型部材の外周面に沿って湾曲していることを要件とする。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、計測に用いる電子部品が一枚の配線基板に実装され、無理なく指先に装着できるセンサモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する図である。
図2】第1の実施の形態に係る半導体装置を構成する配線基板を例示する断面図である。
図3】第1の実施の形態に係るセンサモジュールの機能ブロックを例示する図である。
図4】第1の実施の形態に係るセンサモジュールについて説明する図である。
図5】リング型部材の偏平率について説明する図である。
図6】第1の実施の形態の変形例1に係るセンサモジュールについて説明する図である。
図7】センサモジュールに用いるリング型部材の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1の実施の形態〉
(半導体装置)
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA-A線に沿う断面図である。
【0011】
図1を参照するに、半導体装置1は、配線基板10と、電子部品20とを有している。
【0012】
配線基板10は可撓性を有するコアレス基板であり、図2に示すように複数の配線層が絶縁層を介して積層された多層構造(例えば、5層)により構成されている。ここで、可撓性とは、曲げや撓みを持たせることができる性質を指す。
【0013】
図2の例では、配線基板10は、配線層101と、絶縁層102と、配線層103と、絶縁層104と、配線層105と、絶縁層106と、配線層107と、絶縁層108と、配線層109と、ソルダーレジスト層110とが順次積層された構造とされている。但し、配線層と絶縁層の積層数は必要に応じて適宜決定することができる。
【0014】
なお、本実施の形態では、便宜上、配線基板10のソルダーレジスト層110側を上側又は一方の側、配線層101側を下側又は他方の側とする。又、各部位のソルダーレジスト層110側の面を一方の面又は上面、配線層101側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板10は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を配線基板10の一方の面10a(ソルダーレジスト層110の上面)の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を配線基板10の一方の面10a(ソルダーレジスト層110の上面)の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0015】
配線層101は、配線基板10の最下層に形成されている。配線層101は、例えば、金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜、及び銅(Cu)膜を、金(Au)膜が下側となるように、この順番で順次積層した構造とすることができる。但し、配線層101において、パラジウム(Pd)膜やニッケル(Ni)膜は形成しなくてもよい。
【0016】
配線層101の下面(上記の場合、金(Au)膜の下面)は絶縁層102の下面から露出しており、上面(配線層103との接続部を除く)及び側面は絶縁層102に覆われている。配線層101の下面は、例えば、絶縁層102の下面と面一とすることができる。配線層101の厚さ(配線層101を構成する各膜の総厚)は、例えば、10~20μm程度とすることができる。配線層101は、電子部品20の端子と接続されるパッドとして用いることができる。
【0017】
絶縁層102は、配線層101を覆うように形成されている。絶縁層102の材料としては、例えば、ヤング率が低く可撓性を有する絶縁性樹脂(例えば、熱硬化性)を用いることができる。ヤング率が低く可撓性を有する絶縁性樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂等を主成分とする絶縁性樹脂が挙げられる。絶縁層102の厚さは、例えば20~45μm程度とすることができる。絶縁層102は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0018】
配線層103は、絶縁層102の一方の側に形成されており、配線層101と電気的に接続されている。配線層103は、絶縁層102を貫通し配線層101の一方の面を露出するビアホール102x内に充填されたビア配線、及び絶縁層102の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール102xは、絶縁層104側に開口されている開口部の径が配線層101の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きくなる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール102xの開口部の径は、例えば、60~70μm程度とすることができる。
【0019】
配線層103の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層103を構成する配線パターンの厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。配線層103は、ラインアンドスペース(以降、ライン/スペースと略す)が10μm/10μm~20μm/20μm程度の微細配線とすることができる。なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが10μm/10μmと記載されていた場合、配線幅が10μmで隣り合う配線同士の間隔が10μmであることを表す。
【0020】
絶縁層104は、絶縁層102の一方の面に、配線層103を覆うように形成されている。絶縁層104の材料や厚さは、例えば、絶縁層102と同様とすることができる。絶縁層104は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0021】
配線層105は、絶縁層104の一方の側に形成されており、配線層103と電気的に接続されている。配線層105は、絶縁層104を貫通し配線層103の一方の面を露出するビアホール104x内に充填されたビア配線、及び絶縁層104の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール104xは、絶縁層106側に開口されている開口部の径が配線層103の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きくなる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール104xの開口部の径は、例えば60~70μm程度とすることができる。配線層105の材料、配線層105を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層103と同様とすることができる。
【0022】
絶縁層106は、絶縁層104の一方の面に、配線層105を覆うように形成されている。絶縁層106の材料や厚さは、例えば、絶縁層102と同様とすることができる。絶縁層106は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0023】
配線層107は、絶縁層106の一方の側に形成されており、配線層105と電気的に接続されている。配線層107は、絶縁層106を貫通し配線層105の一方の面を露出するビアホール106x内に充填されたビア配線、及び絶縁層106の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール106xは、絶縁層108側に開口されている開口部の径が配線層105の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きくなる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール106xの開口部の径は、例えば60~70μm程度とすることができる。配線層107の材料、配線層107を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層103と同様とすることができる。
【0024】
絶縁層108は、絶縁層106の一方の面に、配線層107を覆うように形成されている。絶縁層108の材料や厚さは、例えば、絶縁層102と同様とすることができる。絶縁層108は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有しても構わない。
【0025】
配線層109は、絶縁層108の一方の側に形成されており、配線層107と電気的に接続されている。配線層109は、絶縁層108を貫通し配線層107の一方の面を露出するビアホール108x内に充填されたビア配線、及び絶縁層108の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール108xは、ソルダーレジスト層110側に開口されている開口部の径が配線層107の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きくなる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール108xの開口部の径は、例えば60~70μm程度とすることができる。配線層109の材料、配線層109を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層103と同様とすることができる。
【0026】
ソルダーレジスト層110は、絶縁層108の一方の面に、配線層109を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層110は、例えば、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の感光性樹脂等から形成することができる。ソルダーレジスト層110の厚さは、例えば15~35μm程度とすることができる。
【0027】
ソルダーレジスト層110は、開口部110xを有し、開口部110x内には配線層109の上面の一部が露出している。開口部110xの平面形状は、例えば、円形とすることができる。必要に応じ、開口部110x内に露出する配線層109の上面に金属層を形成したり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0028】
開口部110x内に露出する配線層109は、電子部品20の端子と接続されるパッドや信号波形を確認するためのパッドとして用いることができる。
【0029】
配線基板10では、各ビア配線上に配置される各配線層の上面は平坦であり凹部が形成されないため、図2に示すようにビア配線が垂直に積層されたスタックビア構造を実現することができる。これにより、配線基板10の配線層の密度を向上させることができると共に、各配線層間におけるビア配線を介した電気的接続の信頼性を向上させることができる。但し、スタックビア構造を有しない形態としてもよい。
【0030】
図1の説明に戻り、配線基板10の一方の面10a(ソルダーレジスト層110の上面)及び他方の面10b(絶縁層102の下面)には各々複数の電子部品20が実装されている。
【0031】
電子部品20は、半導体部品及び受動部品を含む。半導体部品としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、フォトダイオード(PD:Photo Diode)等が挙げられる。受動部品としては、例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタ、アンテナ、コネクタ等が挙げられる。なお、アンテナは電子部品として搭載してもよいし、配線パターンにより形成してもよい。
【0032】
電子部品20のうち主要な部品について符号を付して説明する。半導体装置1は、例えば、CPU21、コネクタ22、LED23、及びPD24を備え、計測対象物から所定情報を取得する機能を有する。CPU21は、半導体装置1の全体を制御する。CPU21は、半導体装置1に実装された電子部品20の中で平面視における面積が最も大きな電子部品である。コネクタ22は、CPU21等に供給する電源を外部から入力する端子となる。LED23は、CPU21に制御されて所定波長域の光(例えば、赤色光や赤外光)を計測対象物に出射する発光素子である。PD24は、LED23の出射光に対する計測対象物からの反射光や透過光を受光して電気信号に変換しCPU21に受け渡す受光素子である。
【0033】
図1の例では、CPU21及びコネクタ22は配線基板10の一方の面10aに実装されている。又、LED23及びPD24は、配線基板10の他方の面10bに実装されている。LED23は、例えば、配線基板10を介してCPU21と対向する位置に実装することができる。
【0034】
半導体装置1には、配線基板10に電子部品20が実装された部品実装部Mと、配線基板10に電子部品20が実装されていない部品非実装部N(図1中の破線で囲んだ領域)とが、半導体装置1の長手方向に交互に配置されている。
【0035】
半導体装置1は、長手方向の複数箇所で折り曲げてリング型に変形させて使用することを想定して設計されている。半導体装置1において、部品実装部Mと部品非実装部Nとを交互に配置することで、各部品非実装部Nを折り曲げて容易にリング型に変形させることができる。
【0036】
又、複数の部品実装部Mのうち全部又は一部において、電子部品20が半導体装置1の短手方向に一列に配列されていることが好ましい。これにより、部品実装部Mの幅を狭くできるため、半導体装置1を容易にリング型に変形させることができる。
【0037】
なお、各配線層を構成する配線パターンは、部品実装部Mと部品非実装部Nの何れに配置してもよいが、ビア配線(例えば、図2に示すスタックビア)は部品実装部Mのみに配置される。全く曲がらないか殆ど曲がらない部品実装部Mのみにビア配線を配置することで、部品非実装部Nを折り曲げる際にビア配線にクラックが入ることを防止できる。
【0038】
(センサモジュール)
次に、半導体装置1を用いたセンサモジュール3について説明する。ここでは、センサモジュール3が動脈血酸素飽和度(SPO)を計測するウェアラブルデバイスである場合について説明する。但し、これは一例であり、センサモジュール3は動脈血酸素飽和度以外を計測対象としてもよい。動脈血酸素飽和度以外の計測対象としては、例えば、脈拍や体温が挙げられる。
【0039】
図3は、第1の実施の形態に係るセンサモジュールの機能ブロックを例示する図である。図3に示すように、センサモジュール3は、機能ブロックとして、制御部301と、発光部302と、受光部303と、通信部304とを有している。センサモジュール3は、必要に応じて他の機能ブロックを有しても構わない。
【0040】
制御部301は、例えば、CPU21、ROM、RAM、メインメモリ等を含む構成とすることができる。この場合、制御部301の各種機能は、ROMに記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPU21により実行されることによって実現できる。但し、制御部301は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。制御部301は、センサモジュール3の外部に配置された電池30から電源供給を受けて動作することができる。
【0041】
発光部302は、制御部301の制御により赤外光又は赤色光を発光する機能を有する。発光部302は、例えば、赤外光を出射する発光ダイオードであるIRLEDと、赤色光を出射する発光ダイオードであるREDLEDを1チップ化したLED23により実現することができる。
【0042】
受光部303は、発光部302から計測対象物に照射された光の透過光を受光し電気信号に変換する機能を有する。受光部303は、例えば、PD24により実現することができる。受光部303が受光し電気信号に変換された情報は、CPU21に送られる。
【0043】
通信部304は、無線により、制御部301と、センサモジュール3の外部に配置された情報処理装置40との間で情報の送受信を行う機能を有する。情報処理装置40は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末である。通信部304は、例えば、図示しない通信デバイスとアンテナにより実現することができる。通信部304は、例えば、制御部301が受光部303の出力に基づいて算出したSPOのデータを情報処理装置40に送信することができる。
【0044】
ここで、SPOの計測原理について説明する。SPOは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているかを示す値である。ヘモグロビンは酸素と結合すると赤色系の色になるが、酸素と結合していないときは黒色系の色になる。これは、ヘモグロビンは酸素と結合すると赤色光を透過し易く、酸素と結合していないと赤色光を含めた可視光全般を透過しにくいことを示している。なお、赤外光は、ヘモグロビンが酸素と結合しているか否かにかかわらず、透過し易い。
【0045】
そこで、指先に発光部302のREDLEDから赤色光を照射すると、ヘモグロビンと酸素が多く結合している場合は、赤色光が透過する割合が高くなるため、受光部303が受光する赤色光の量は多くなる。これに対して、ヘモグロビンと酸素の結合が少ない場合は、赤色光が透過する割合が低くなるため、受光部303が受光する赤色光の量は少なくなる。
【0046】
一方、指先に発光部302のIRLEDから赤外光を照射すると、ヘモグロビンと酸素が多く結合しているか否かにかかわらず、赤外光が透過する割合が高くなるため、受光部303が受光する赤外光の量は常に多くなる。
【0047】
すなわち、赤色光を照射した場合に受光部303が受光する赤色光の量と、赤外光を照射した場合に受光部303が受光する赤外光の量との比率を求めることにより、SPOを計測することができる。例えば、制御部301が、赤色光の量と赤外光の量との比率に基づいてSPOを算出することができる。
【0048】
図4は、第1の実施の形態に係るセンサモジュールについて説明する図である。図4(a)~図4(e)はセンサモジュール3を計測対象物である指500に装着した状態を示しており、図4(b)は平面図、図4(a)は左側面図、図4(c)は右側面図、図4(d)は底面図、図4(e)は図4(b)のB-B線に沿う断面図である。又、図4(f)は、センサモジュール3を計測対象物である指500に装着する前の状態を示す断面図であり、図4(e)に対応する断面を示している。なお、ここでは、掌を爪側から視た図を平面図としている。
【0049】
図4に示すように、センサモジュール3は、半導体装置1とリング型部材2とを有している。ここで、リング型とは、所定方向から視たときに中央に空間部を有する閉じた輪状の形をいい、例えば、円形や楕円形等を含む。但し、所定方向から視たときに中央に空間部を有する閉じた輪状の形であれば、円形や楕円形でなくてもよく、例えば、直線状の部分が含まれてもよい。又、リング型は、閉じた輪状の形の一部が開放された形(例えば、アルファベットのCの字に近似した形)も含む。これについては、変形例として別途説明する。
【0050】
半導体装置1は、CPU21が外側を向くように、リング型部材2の外周面に固着されており、半導体装置1の部品非実装部N(図1参照)はリング型部材2の外周面に沿って湾曲している。半導体装置1は、リング型部材2の外周面の全体に固着されてもよいし、図4(e)に示すようにリング型部材2の外周面の一部に固着されてもよい。
【0051】
リング型部材2は、偏平率の高い領域と偏平率の低い領域とを備えている。リング型部材2は、人間の指500に装着することを想定して設計されているため、指500の爪側(背側)及びそれに対向する指500の腹側は指の形状に合わせて相対的に偏平率の高い領域とされている。ここで、偏平率は、所定の範囲Lにおいてリング型部材2の外周面の最低点から最高点までの高さHを求めたときのL/Hと定義する。例えば、図5に示す高さHの領域の偏平率はL/Hであり、高さH(H>H)の領域の偏平率はL/Hである。図5に示す高さHの領域は相対的に偏平率の高い領域であり、高さHの領域は相対的に偏平率の低い領域である。なお、偏平率の高い領域とは、例えば、平面視で指500の爪と重なる領域である。
【0052】
リング型部材2の偏平率の高い領域上に位置する配線基板10の外周面には、電子部品20の中で平面視における面積が最も大きな電子部品であるCPU21が実装されている。これにより、実装効率を向上することができる。
【0053】
又、電子部品20が実装された部品実装部M(図1参照)は、全く曲がらないか殆ど曲がらない。そこで、電子部品20の中で平面視における面積が最も大きな電子部品を実装する部品実装部Mを、大きく曲げる必要のないリング型部材2の偏平率の高い領域上に配置することにより、センサモジュール3全体の曲げやすさを妨げることを防止できる。又、大きく曲げる必要のないリング型部材2の偏平率の高い領域にのみビア配線を設けてもよく、これによってビア配線にクラックが入ることを防止できる。
【0054】
なお、電子部品20の中で平面視における面積が最も大きな電子部品がCPU21であるとしたのは一例であり、平面視における面積が最も大きな電子部品をリング型部材2の偏平率の高い領域上に位置する配線基板10の外周面に実装すれば上記の効果が得られる。
【0055】
コネクタ22はCPU21等に供給する電源を外部から入力する端子であり、例えば、電池30と線材等で接続されたコネクタ35と嵌合するように構成されている。電池30は例えばボタン型電池であり、手首等に装着することができる。なお、電池30は、センサモジュール3専用のものを用いてもよいが、センサモジュール3以外のセンサモジュールが人体に装着されている場合は、他のセンサモジュールと共用の電池を用いてもよい。
【0056】
リング型部材2には貫通孔2x及び2yが設けられている。配線基板10の他方の面10bに実装されたLED23は貫通孔2x内に位置し、LED23の出射面は貫通孔2xから外部に露出し指500に接する位置にある。又、配線基板10の他方の面10bに実装されたPD24は貫通孔2y内に位置し、PD24の入射面は貫通孔2yから外部に露出し指500に接する位置にある。
【0057】
LED23は偏平率の高い領域上に位置する配線基板10の他方の面10bに実装され、PD24はリング型部材2の空間部200を介してLED23と対向する位置に実装されている。LED23の出射光は、リング型部材2の空間部200に挿入された指500を透過してPD24で受光することができる。
【0058】
図4(f)に示すように、指500に装着していない状態のセンサモジュール3の断面形状は、装着が想定される指500の高さH図4(e)参照)よりも空間部200の高さHが低くなるように形成しておくことが好ましい。又、リング型部材2は、弾力性を有する材料により構成することが好ましい。リング型部材2に用いる弾力性を有する材料の具体例としては、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーン等が挙げられる。ここで、弾力性とは、弾性変形後に初期状態に回復する材料の能力を指す。
【0059】
高さHよりも高さHが低くなるように形成し、リング型部材2が弾力性を有することにより、高さHがばらついた場合でも、指500への装着時にリング型部材2の弾性力によりセンサモジュール3が図4(f)の矢印方向(高さ方向)に伸びる。その結果、LED23の出射面とPD24の入射面を確実に指500に接触させることが可能となり、PD24の受光量が増えるため、計測精度を向上できる。
【0060】
又、リング型部材2は、誘電率が既知の材料により構成することが好ましい。リング型部材2を誘電率が既知の材料により構成することで、アンテナの設計を容易に行うことができる。
【0061】
センサモジュール3を構成する半導体装置1では、微細配線を備えた多層構造の配線基板10に電子部品20を高密度に実装している。そのため、発光部、受光部、及び制御回路を含む計測に用いる電子部品を一枚の配線基板10に実装してもセンサモジュール3を小型化することができる。又、センサモジュール3を構成する半導体装置1では、部品実装部Mと部品非実装部Nとを交互に配置している。そのため、各部品非実装部Nを指の形状に合わせて折り曲げて容易にリング型とすることができる。
【0062】
すなわち、センサモジュール3は小型で折り曲げやすく、容易にリング型とすることができる。そのため、従来のように指の全体に装着するのではなく、無理なく指先のみに装着することができる。例えば、センサモジュール3を指の第1関節よりも指先側のみに装着することで、装着後も容易に指を曲げることができるため、装着感の少ないウェアラブルデバイスを実現できる。
【0063】
又、配線基板10にアンテナを搭載することで、外部の情報処理装置40との無線通信が可能となるため、有線で通信する場合と比べて装着感の少ないウェアラブルデバイスを実現できる。
【0064】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、第1の実施の形態とは半導体装置の配線基板に実装される一部の電子部品の配置が異なる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0065】
図6は、第1の実施の形態の変形例1に係るセンサモジュールについて説明する図であり、指に装着する前の断面図である。
【0066】
図6に示すセンサモジュール3Aは、半導体装置1が半導体装置1Aに置換された点が、センサモジュール3(図4(f)参照)と相違する。半導体装置1Aは、LED23とPD24の実装位置が反対になった点が、半導体装置1と相違する。すなわち、PD24は配線基板10を介してCPU21と対向する位置に実装されており、LED23はリング型部材2の空間部200を介してPD24と対向する位置に実装されている。このような配置としても、LED23の出射光は、リング型部材2の空間部200に挿入された指を透過してPD24で受光することができる。
【0067】
PD24の出力はアナログ信号であり外部ノイズの影響を受けやすい。PD24を配線基板10を介してCPU21と対向する位置に実装することにより、PD24とCPU21とを接続する配線パターンの配線長を短縮できるため、PD24の出力するアナログ信号がノイズの影響を受け難くすることができる。その結果、センサモジュール3Aの計測精度を向上できる。
【0068】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、第1の実施の形態とはリング型部材の形状が異なる例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0069】
図7は、センサモジュールに用いるリング型部材の他の例を示す斜視図である。図7に示すリング型部材2Bは、閉じた輪状の形の一部が開放された形の一例であり、側方に開放部201が設けられてアルファベットのCの字に近似している。又、空間部200を介して開放部201と対向する位置に屈曲部202が設けられている。
【0070】
このように、リング型部材2Bを開放部201及び屈曲部202を有する略C字型とすることにより、屈曲部202を支点としてリング型部材2Bの開放部201側が矢印方向に容易に往復移動できるため、センサモジュールを容易に指に装着することができる。
【0071】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0072】
1、1A 半導体装置
2、2B リング型部材
2x、2y 貫通孔
3、3A センサモジュール
10 配線基板
10a 一方の面
10b 他方の面
20 電子部品
21 CPU
22、35 コネクタ
23 LED
24 PD
30 電池
40 情報処理装置
101、103、105、107、109 配線層
102、104、106、108 絶縁層
102x、104x、106x、108x ビアホール
110 ソルダーレジスト層
110x 開口部
200 空間部
201 開放部
202 屈曲部
301 制御部
302 発光部
303 受光部
304 通信部
500 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7