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特許7112892車車間通信装置、車車間通信システムおよび車車間通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】車車間通信装置、車車間通信システムおよび車車間通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20220728BHJP
   H04W 4/46 20180101ALI20220728BHJP
   H04W 72/08 20090101ALI20220728BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220728BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W4/46
H04W72/08 110
H04W84/12
G08G1/09 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018113558
(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2019216386
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 由一
(72)【発明者】
【氏名】田中 友教
(72)【発明者】
【氏名】武藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】木村 亘
(72)【発明者】
【氏名】竹嶋 真
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-135831(JP,A)
【文献】特開2003-298674(JP,A)
【文献】国際公開第2012/026318(WO,A1)
【文献】特表2018-528683(JP,A)
【文献】特開平3-206739(JP,A)
【文献】LG Electronics,Considerations on the co-channel coexistence of multiple RATs for V2X[online], 3GPP TSG-RAN WG1#86b R1-1609185,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86b/Docs/R1-1609185.zip>,2016年10月01日
【文献】Revisiting of long term co-channel coexistence solution between IEEE802.11p/DSRC and LTE-V2X[online],3GPP TSG RAN WG2 #96 R2-168094,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_96/Docs/R2-168094.zip>,2016年11月04日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
G08G1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車車間通信の電波を送受信する車車間通信部と、
前記車車間通信部が他車両から受信したメッセージを解読する車車間通信方式制御部と、
GPS受信部と、
移動体通信の直接通信の電波を送受信する移動体通信装置との接続インターフェース部と、
を含み、
前記GPS受信部は1秒あたり1回発生する基準信号を生成し、
前記車車間通信方式制御部は、前記基準信号に同期した100msecパルスを生成し、前記メッセージの受信タイミングと、前記100msecパルスとが一致した場合に一致信号を前記移動体通信装置へ出力する、
ことを特徴とする車車間通信装置。
【請求項2】
請求項に記載の車車間通信装置を含む車車間通信システムであって、
前記移動体通信装置には、前記車車間通信装置が出力する前記一致信号に同期して所定の時間の計時を開始するタイマー部が含まれ、
前記移動体通信装置は、前記タイマー部の計時満了時に空きチャネルを検出すると、移動体通信の信号を出力する、
ことを特徴とする車車間通信システム。
【請求項3】
請求項に記載の車車間通信システムであって、
前記移動体通信装置のタイマー部は、IEEE802.11p方式のキャリアセンス多重アクセス方式で用いられるアクセス待ち時間を前記所定の時間として計時する、
ことを特徴とする車車間通信システム。
【請求項4】
請求項に記載の車車間通信システムであって、
前記移動体通信装置のタイマー部は、IEEE1609.4の複数チャネル動作に用いられる制御チャネル送信周期を前記所定の時間として計時する、
ことを特徴とする車車間通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車車間通信装置、車車間通信システムおよび車車間通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、再表2016-136493号(特許文献1)がある。この文献には、「特定の宛先を指定しないディスカバリー信号を無線端末間で直接的に伝送する移動通信システムにおいて用いられる基地局であって、前記ディスカバリー信号の送信又は受信のために割り当てられた無線リソースからなるリソースプールを無線端末に送信する送信部を備え、前記送信部は、前記リソースプールについて前記ディスカバリー信号のメッセージ長を指定するためのパラメータを前記無線端末にさらに送信する基地局」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】再表2016-136493号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術では、移動通信端末は、基地局から無線リソースの割り当てを受けた後に、端末と端末との直接通信を開始するものであり、移動体通信網の無線リソース管理や、基地局の通信ソフトウェアに依存しなければならない。
【0005】
本発明の目的は、近似する周波数帯を用いるIEEE802.11p方式の車車間通信装置と、直接移動体通信端末との混在において、効率よく時分割多重のチャネルアクセスを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係る車車間通信装置は、移動体通信の直接通信の電波を送受信する移動体通信部と、車車間通信の所定の制御チャネルが空きチャネルであるか否かの閾値を格納する閾値記憶部と、上記所定の制御チャネルの電波強度が上記閾値より大きい場合に所定の検出信号を出力するレベル検出器と、上記レベル検出器が出力する上記検出信号に応じて計時を開始し所定の時間の計時が満了すると上記レベル検出器へタイマー満了信号を送信するタイマー部と、を含み、上記移動体通信部は、上記レベル検出器が上記タイマー満了信号を受信した時、上記所定の制御チャネルの電波強度が上記閾値を越えない場合に上記移動体通信の直接通信の電波を送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、近似する周波数帯を用いるIEEE802.11p方式の車車間通信装置と、直接移動体通信端末との混在下において、効率よく時分割多重のチャネルアクセスを実現することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一の実施形態に係る車車間通信装置の構成例を示す図である。
図2】車車間通信装置の信号例を示すタイミングチャートである。
図3】第一の実施形態に係る通信シーケンス例を示す図である。
図4】車車間通信装置が用いる周波数チャネルのスペクトラムの例を示す図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係る車車間通信装置の構成例を示す図である。
図6】車車間通信装置の信号例を示すタイミングチャートである。
図7】第二の実施形態に係る通信シーケンス例を示す図である。
図8】本発明の第三の実施形態に係る車車間通信装置の構成例を示す図である。
図9】車車間通信装置を配置する車両の運転席の例を示す図である。
図10】車車間通信装置の信号例を示すタイミングチャートである。
図11】第三の実施形態に係る通信シーケンス例を示す図である。
図12】第四の実施形態に係るLTE-V2X無線部の構成例を示す図である。
図13】第六の実施形態に係るCCH対応表のデータ構造の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0010】
安全な交通社会の実現を目的とした自動車の走行支援装置が実用化されつつある。その一つに、車両に無線通信装置を搭載し、車両間あるいは路上に設置された路側機との間で5850MHz(メガヘルツ)~5925MHzの電波(5.9GHz帯)を用いる車車間通信装置による802.11pの走行支援システムが有る。
【0011】
この車車間通信装置の技術規格は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.:米国電気電子学会)から通信物理層の標準技術規格が、ETSI(European Telecommunications Standards Institute:欧州電気通信標準化機構)から通信メッセージの標準技術規格が、それぞれ発行されている。
【0012】
このような車車間通信システムでは、車両のGPS(Global Positioning System)受信機が測位した緯度経度と、自車の速度、進行方位、加速度、車両サイズなどの所定の情報を、周辺車両へ無線信号で報知する。周辺車両が、これらの情報を受信する事で、運転者に安全運転のための警告音声を伝えたり、表示により注意を促したりして、車車間協調走行を実現する。
【0013】
一方で、移動体通信の標準国際規格団体3GPP(Third Generation Partnership Project)は、標準技術規格3GPP Release14(2017-04)を策定した。この技術規格には、移動体通信端末と移動体通信端末とが、基地局および移動体通信網を介さずに通信する、所謂直接通信方式が記載されている。この直接通信を実現するための従来技術として、上記の特許文献1の技術が有る。
【0014】
[第一の実施形態]図1は、本発明の第一の実施形態に係る車車間通信装置の構成例を示す図である。車車間通信装置1は、LTE-V2X(Long Term Evolution V2X)無線部2と、LTE-V2X及びLTE制御部3と、LTEの電波(例として1.7GHz帯)を送受信するLTE無線部26と、を備える。また、LTE-V2X及びLTE制御部3は、車載ネットワークを通じて走行支援制御部4と通信可能に接続される。なお、走行支援制御部4は、車車間通信装置1から受信した情報を用いて上述した車車間協調走行のための走行支援の制御を行う。
【0015】
LTE-V2X無線部2には、5.9GHz(ギガヘルツ)帯(5.85GHz~5.925GHz)アンテナ12が接続されており、LTE無線部26には1.7GHz帯アンテナ27が接続されており、それぞれの無線部はアンテナを介して、他の装置との無線通信を行う。LTE-V2X無線部2は、いわゆる移動体通信の直接通信を端末間で実現する、移動体通信部である。
【0016】
LTE-V2X無線部2には、モデム部11と、5.9GHz帯アンテナ12と接続されたアンテナスイッチ13と、アンテナスイッチ13と接続されるLNA(低雑音受信器)14および送信時に用いられるHPA(送信高出力増幅器)37と、LNA14に接続されるダイレクトコンバージョン方式の周波数ミキサ15と、周波数シンセサイザ16と、周波数ミキサ15からの信号を受け付けるIF増幅器17と、IF増幅器17から出力される信号のLPF(ローパスフィルタ)18と、IF信号(RSSI)19のレベル検出器21と、空きCHスレッショルド設定部22と、を備える(送信系回路は存在するが図示せず)。
【0017】
モデム部11は、信号の多重分離や変復調を処理する。具体的には、モデム部11は、LTE-V2X及びLTE制御部3からLTE-V2Xの送信データTxDt28を受け付けて処理し、LTE-V2X及びLTE制御部3へLTE-V2Xの受信データRxDt29を受け渡す。アンテナスイッチ13は、送信と受信とを時分割で切り替える。空きCHスレッショルド設定部22は、記憶部に空きチャネルを検出するためのRSSIの閾値を格納する。
【0018】
LTE-V2X及びLTE制御部3には、計時を行うタイマー部25が含まれる。
【0019】
LTE無線部26は、LTEの受信データを1.7GHz帯アンテナ27により受け付けると、LTE-V2X及びLTE制御部3に対して、LTEの受信データであるRx1.7Dt36を受け渡す。また、LTE無線部26は、LTE-V2X及びLTE制御部3からLTEの送信データであるTx1.7Dt35を受け付けると、1.7GHz帯アンテナ27を介して送信する。
【0020】
また、レベル検出器21は、RF(Radio Frequency)を検出したことを示す検知信号であるRF_Det23をLTE-V2X及びLTE制御部3に対して受け渡し、タイマーが満了した事を示すTimer_OVF24をLTE-V2X及びLTE制御部3から受け付ける。
【0021】
図2は、車車間通信装置の信号例を示すタイミングチャートである。本チャートでは、車車間通信装置1を搭載した車両が有るエリアの5890MHz帯(CCH:Control Channel)電波31と、車車間通信装置1が出力するLTE-V2X無線部5.9GHz(5890MHz)RF出力32と、5870MHz帯(SCH)電波33と、RF_Det23及びTimer_OVF24と、が示されている。
【0022】
ところで、IEEE802.11p方式は、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)方式であるが、周波数チャネルが指定されている。例えば、制御情報の送受信には制御チャネル用の5890MHz(米国のチャネル番号178)が割り当てられ、サービス情報の送受信には5870MHz(同様に番号174)、5880MHz(番号176)、5900MHz(番号180)、5910MHz(番号182)が割り当てられている。なお、LTE-V2Xと、802.11pとは、5.9GHz帯の近似する周波数の電波を用いて無線通信を行う。
【0023】
さらに、制御チャネルでは、UTC(Coordinated Unversal Time)の1秒基準信号である1PPS(Pulse Per Second)を基にして10倍の速さの100msec(ミリ秒)間隔で送信するように定められている(IEEE Standard for Wireless Access in Vehicular Environments (WAVE)- Multi-Channel Operation, IEEE Std 1609.4-2016)。そして、サービスチャネルである5870MHz帯(SCH)電波33は、5890MHz帯(CCH)電波31を基準に50msec後に送信するように定められている。
【0024】
図1及び図2において、LTE-V2X無線部2は、車車間通信の5890MHz帯(CCH)電波31をモニターしている。レベル検出器21は、5890MHz帯(CCH)電波31に含まれる所定のIF信号19が、予め空きCHスレッショルド設定部22に格納されている閾値のレベルを超えると、RF_Det23をLTE-V2X及びLTE制御部3に出力する。
【0025】
LTE-V2X及びLTE制御部3は、RF_Det23が入力されると、タイマー部25に、CCHの周期である1PPSを基にした10倍の速さの100msec間隔の計時を開始させる。
【0026】
タイマー部25は、100msec経過してタイマーが満了すると、Timer_OVF24をLTE-V2X無線部2へ出力する。レベル検出器21はTimer_OVF24が入力されると、その時点で受信しているIF信号19が空きCHスレッショルド設定部22に設定されているレベルを越えたか否かを検出する。
【0027】
図2における例を用いると、5890MHz帯(CCH)電波31の最初の立ち上がりでは「Car#1」が同帯域を使用しているため、これによりRF_Det23がレベル検出器21により出力される。そして、タイマー部25がタイマーをスタートさせ、タイマーが満了したタイミング(100msec後)でTimer_OVF24が出力される。このタイミング(5890MHz帯(CCH)電波31の二つ目の立ち上がり)では、自車両でない他の車両「Car#2」が同帯域を使用している。そのため、チャネルは空いておらず、所定以上のレベルのIF信号19が検出され、レベル検出器21は再びRF_Det23をLTE-V2X及びLTE制御部3へ出力する。
【0028】
これがタイマーの周期である100msecごとに繰り返され、次のTimer_OVF24(5890MHz帯(CCH)電波31の三つ目の立ち上がりタイミング)では、5890MHz帯(CCH)電波31は使用されておらず、空きCHスレッショルド設定部22の閾値以下であるため、LTE-V2X無線部2は、LTE-V2X無線部5.9GHz(5890MHz)RF出力32を出力することができる。なお、図2において、この無線信号は同時に、5890MHz帯(CCH)電波31としても現れるが、点線で記してある。
【0029】
このように動作する事で、802.11p方式の車車間通信が時分割多重で行われているエリアにおいて、LTE-V2X無線部2は802.11p方式の制御チャネルに同期して、他のLTE-V2X方式の車車間通信装置へ、メッセージを送信できる。
【0030】
図3は、第一の実施形態に係る通信シーケンス例を示す図である。本発明の車車間通信装置1を搭載した自車両41と、周辺車両D43aと、周辺車両E43bとは、いずれもLTE-V2Xにより車車間通信を行う。一方で、周辺車両A42aと、周辺車両B42bと、周辺車両C42cは各々、自車両41の周辺で802.11p方式で送受信している車両である。
【0031】
周辺車両A42aは、UTCに同期した1PPSのタイミングで、周辺の車両に対して5890MHzでBSM(Basic Safety Message、走行安全に関するメッセージ)を報知(ブロードキャスト)する。自車両41は、このBSM44をCCHとして受信する。
【0032】
自車両41の車車間通信装置1は、この信号の電波強度をモニターしており、RSSIが閾値を越えたか否かを判定するとともにタイマーをスタートさせる。
【0033】
自車両41の車車間通信装置1は、100msecのタイマーが満了し、再び5890MHz帯(CCH)電波31の強度が閾値を越えたか否かを判定し、超えていない場合は、周辺車両D43aおよび周辺車両E43bへBSMを報知する。
【0034】
このように動作する事で、LTE-V2X無線部2は、802.11p方式の周辺車両A42a、周辺車両B42b、周辺車両C42cと、LTE-V2X方式の周辺車両D43a、周辺車両E43bとが混在する環境下においても、802.11p方式の制御チャネルに同期して、他のLTE-V2X方式の車車間通信装置1へ、メッセージを報知(ブロードキャスト)できる。なお、このメッセージには、ETSIのメッセージの規格に応じて、緯度経度と、自車の速度、進行方位、加速度、車両サイズなどの所定の情報が含まれる。
【0035】
図4は、車車間通信装置が用いる周波数チャネルのスペクトラムの例を示す図である。802.11p方式の制御チャネル(米国チャネル番号178)のスペクトラム51は、10MHz幅であり、5890MHzを中心周波数としている。LTE-V2X方式のスペクトラム52は、6MHz幅であり、5890MHzを中心周波数としている。このように、802.11p方式で送受信している状況に、LTE-V2X方式の送信が追加されると、6MHz幅で干渉して両者ともに通信不能となる。そのため、CCHの100msec単位の同期が取れていないと、CCHの送信タイミングを塞ぐタイミングでLTE-V2X方式の送信がなされると、802.11p側のCCHの送信ができなくなり、伝送効率が著しく下がる。なお、LTE-V2X方式はリソースブロックと言う伝送方式を採用しており、6MHz帯域内の特定の1.4MHz幅だけを用いデータを送信している。
【0036】
[第二の実施形態]次に、本発明の第二の実施形態を説明する。第二の実施形態に係る車車間通信装置1は、基本的に第一の実施形態に係る車車間通信装置1と略同様である。そのため、第一の実施形態に係る車車間通信装置1と異なる部分を中心に説明する。なお、第二の実施形態は、802.11p方式の車車間通信を行う車両がCSMA/CAにより動作している環境において、LTE-V2X方式のメッセージを送信可能とする発明である。
【0037】
図5は、本発明の第二の実施形態に係る車車間通信装置の構成例を示す図である。LTE-V2X及びLTE制御部3は、タイマー部57を備え、タイマー部57は、BSMのメッセージ量を1/2BPSK(Binary Phase Shift Keying,二位相シフト・キーイング)により変調して送信する場合にかかるBSM長(0.12msec)と、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)におけるaSlotTime(13μs)とを足し合わせたスロット待ち時間(0.133msec)を計時し、スロット待ち時間に達するとSlot_OVF56信号を出力する。レベル検出器21は、周波数チャネルの空き/ビジーを示す信号であるRF_Busy55信号をタイマー部57へ通知し、Slot_OVF56をタイマー部57から受け付ける。
【0038】
第一の実施形態と第二の実施形態の相違は、以上であるが、使用環境が異なる場合にいずれかの実施形態あるいはその組み合わせを取りうる。第一の実施形態におけるCCHは、制御チャンネルが独立して存在するマルチバンドが可能な環境において成立するが、そうでない環境(シングルバンド等)ではサービスチャネルと同一バンドを用いる必要がある。また、802.11p方式の車車間通信は、CSMA/CA方式を用いる事がIEEEにより定められている。第二の実施形態では、このような環境を想定しているため、待ち時間の制御が第一の実施の形態と異なる。ただし、第一の実施形態と第二の実施形態にかかる車車間通信装置は、それぞれが独立した装置である必要はなく、並存、混在することがあってもよい。
【0039】
図6は、車車間通信装置の信号例を示すタイミングチャートである。本チャートでは、車車間通信装置1を搭載した車両が有るエリアの5890MHz帯(CCH)電波31と、車車間通信装置1が出力するLTE-V2X無線部5.9GHz(5890MHz)RF出力59と、LTE-V2X無線部2が出力するRF_Busy55及びLTE-V2XおよびLTE制御部3が出力するSlot_OVF56と、が示されている。
【0040】
図5及び図6において、LTE-V2X無線部2は、車車間通信の5890MHz帯(CCH)電波31をモニターしている。レベル検出器21は、5890MHz帯(CCH)電波31に含まれる所定のIF信号19が、予め空きCHスレッショルド設定部22に格納されているレベルを超えると、RF_Busy55をLTE-V2X及びLTE制御部3に出力する。
【0041】
LTE-V2X及びLTE制御部3は、RF_Busy55が入力されると、タイマー部57に、アクセス待ち時間であるBSM長+aSlotTime間隔の計時を開始させる。なお、BSM長はModulationSchemeが1/2BPSKの場合、0.12msecであり、aSlotTimeは、802.11pの10MHzBWの場合、13usecであるため、合計するとアクセス待ち時間は0.133msecとなる。なお、変調方式が異なる場合(QPSK:Quadrature Phase Shift Keyingや16QAM:Quadrature Amplitude Modulationを用いる場合)には、この時間はその通信速度に応じて変化する。
【0042】
タイマー部57は、アクセス待ち時間(0.133msec)が経過してタイマーが満了すると、Slot_OVF56をLTE-V2X無線部2へ出力する。レベル検出器21はSlot_OVF56が入力されると、その時点で受信しているIF信号19が空きCHスレッショルド設定部22に格納されているレベルを越えたか否かを検出する。IF信号19が使用されていない場合(空きCHスレッショルド設定部22の閾値以下である場合)には、LTE-V2X無線部2は、LTE-V2X無線部5.9GHz(5890MHz)RF出力を出力する。すなわち、LTE-V2Xのメッセージの送信を行う。IF信号19が使用されている場合(空きCHスレッショルド設定部22の閾値より大きい場合)には、LTE-V2X無線部2は、LTE-V2Xのメッセージの送信を待ち状態にして、再度タイマー部57からのSlot_OVF56を待つ。
【0043】
図6における例を用いると、5890MHz帯(CCH)電波31の最初の立ち上がりでは「Car#1」が同帯域を使用しているため、これによりRF_Busy55がレベル検出器21により出力される。そして、タイマー部57がタイマーをスタートさせ、タイマーが満了したタイミング(0.133msec後)でSlot_OVF56が出力される。このタイミング(5890MHz帯(CCH)電波31の二つ目の立ち上がり)では、自車両でない他の車両「Car#2」が同帯域を使用している。そのため、チャネルは空いておらず、所定以上のレベルのIF信号19が検出され、レベル検出器21は再びRF_Busy55をLTE-V2X及びLTE制御部3へ出力する。
【0044】
これがタイマーの周期である0.133msecごとに繰り返され、次のSlot_OVF56(5890MHz帯(CCH)電波31の三つ目の立ち上がりタイミング)では、5890MHz帯(CCH)電波31は使用されておらず、空きCHスレッショルド設定部22の閾値以下であるため、LTE-V2X無線部2は、LTE-V2X無線部5.9GHz(5890MHz)RF出力59を出力することができる。なお、図6において、この無線信号は同時に、5890MHz帯(CCH)電波31としても現れるが、点線で記してある。
【0045】
このように動作する事で、802.11p方式の車車間通信がCSMA/CAで行われているエリアにおいて、LTE-V2X無線部2は802.11p方式のCSMA/CAチャネルアクセス信号に同期して、他のLTE-V2X方式の車車間通信装置へ、メッセージを送信できる。
【0046】
また、上記動作において、LTE-V2X及びLTE制御部3は、RF_Busy55が入力された時に、CSMA/CAのバックオフ制御の値(回数)であるランダム2進バックオフの値を、1減じるように制御し、バックオフ制御の値が「0」になった時に送信するようにしてもよい。CSMA/CAでは、ランダム2進バックオフの値だけ発信タイミングを遅らせることで、衝突を回避する。これに合わせることで、ランダムにメッセージ送信のタイミングを分散させることができるため、無駄な検知処理を避けることができ、消費電力の節約になる。
【0047】
図7は、第二の実施形態に係る通信シーケンス例を示す図である。図3に示したシーケンスとの相違点は、自車両41の車車間通信装置1は、BSM長+aSlotTimeのアクセス待ち時間(0.133msec)のタイマーをスタートさせる点である。
【0048】
本発明の車車間通信装置1を搭載した自車両41と、周辺車両D43aと、周辺車両E43bとは、いずれもLTE-V2Xにより車車間通信を行う。一方で、周辺車両A42aと、周辺車両B42bと、周辺車両C42cは各々、自車両41の周辺で802.11p方式で送受信している車両である。
【0049】
周辺車両A42aは、UTCに同期した1PPSのタイミングで、周辺の車両に対して5890MHzでBSMを報知する。自車両41は、このBSM44をCCHとして受信する。
【0050】
自車両41の車車間通信装置1は、この信号の電波強度をモニターしており、RSSIが閾値を越えたか否かを判定するとともにタイマーをスタートさせる。
【0051】
自車両41の車車間通信装置1は、0.133msecのタイマーが満了すると、再び5890MHz帯(CCH)電波31の強度が閾値を越えたか否かを判定し、超えていない場合は、周辺車両D43aおよび周辺車両E43bへBSMを報知する。
【0052】
このように動作する事で、LTE-V2X無線部2は、802.11p方式の周辺車両A42a、周辺車両B42b、周辺車両C42cと、LTE-V2X方式の周辺車両D43a、周辺車両E43bとが混在する環境下においても、802.11p方式のCSMA/CAチャネルアクセス信号に同期して、他のLTE-V2X方式の車車間通信装置1へ、メッセージを報知できる。
【0053】
[第三の実施形態]次に、本発明の第三の実施形態を説明する。第三の実施形態では、802.11p方式の車車間通信を行う車両がCSMA/CAにより動作している環境において、LTE-V2X方式のメッセージを送信するスマートフォンと連携してLTE-V2X方式のメッセージの送信を可能とする発明である。なお、以降の実施形態において、スマートフォンを用いた通信は、車車間での通信に限られず実現可能である。一方で、車車間通信と同様の仕組みをスマートフォン間で実現することにより各実施形態を実現することが可能であるため、いずれも「車車間通信」と表すものとする。したがって、「車車間通信」と表す場合でも、車車間通信装置間、スマートフォンと車車間通信装置間、あるいはスマートフォン同士の通信の意味を含む。
【0054】
図8は、本発明の第三の実施形態に係る車車間通信装置の構成例を示す図である。802.11p方式車車間通信装置5は、802.11p方式の無線通信を実施する装置である。802.11p方式車車間通信装置5には、802.11pの無線通信を行う802.11p無線部61と、802.11p制御部62と、GPS用アンテナ68を有するGPS受信部63と、802.11p5.9GHz帯(5.85GHz~5.925GHz)アンテナ64と、送信と受信とを時分割で切り替えるアンテナスイッチ65と、LNA(低雑音受信器)66と、送信高出力増幅器67と、MicroUSB端子71が含まれる。
【0055】
802.11p無線部61は、802.11p制御部62から802.11pの送信データTxDt74を受け付けて処理し、802.11p5.9GHz帯(5.85GHz~5.925GHz)アンテナ64から送信する。また、802.11p無線部61は、802.11p5.9GHz帯(5.85GHz~5.925GHz)アンテナ64から車車間通信のCCHを受信し802.11p制御部62へ802.11pの受信データRxDt75として受け渡す。このRxDt75には、BSMが含まれる。アンテナスイッチ65は、送信と受信とを時分割で切り替える。
【0056】
802.11p制御部62は、802.11p無線部61から受信したRxDt75を解析してBSMのヘッダとメッセージ内容を解読する。また、802.11p制御部62は、GPS受信部63がGPS信号から生成した1秒基準信号1PPS73を受信し、1PPS73に同期した10倍の速度の100msecパルスを生成する。この100msecパルスのタイミングにおいて、802.11p制御部62は、受信したデータ内容がBSMであった場合、802.11p信号を検出した事を示す11p_Det72を、MicroUSB端子71経由で出力する。つまり、11p_Det72は、UTCに同期したCCHの802.11p信号を受信した事を示す信号として出力される。
【0057】
802.11p方式車車間通信装置5は、MicroUSB端子71を介して、SmartPhone(スマートフォン)6と通信可能に接続される。
【0058】
SmartPhone6は、第一の実施形態の図1に示す車車間通信装置1と略同様の構成を備えるが、一部相違がある。以下、その相違を中心に説明する。
【0059】
SmartPhone6には、MicroUSB端子76と、MicroUSB端子76と接続可能な計時を行うタイマー部77とが含まれる。タイマー部77は、MicroUSB端子76を介して802.11p方式車車間通信装置5から出力された11p_Det72に同期して、チャネルアクセス待ちタイマーを開始する。アクセス待ち時間は、第二の実施形態と同様に、BSM長+aSlotTime=0.133msecである。
【0060】
タイマー部77によりアクセス待ち時間の経過が確認されると、LTE-V2X無線部2は、5890MHz帯(CCH)電波31が所定の閾値を越えたか否か判定する。5890MHz帯(CCH)電波31が使用されていない場合(所定の閾値以下である場合)には、LTE-V2X無線部2は、LTE-V2X無線部5.9GHz(5890MHz)RF出力を出力する。すなわち、LTE-V2Xのメッセージの送信を行う。5890MHz帯(CCH)電波31が使用されている場合(所定の閾値より大きい場合)には、LTE-V2X無線部2は、LTE-V2Xのメッセージの送信を待ち状態にして、再度タイマー部77によるアクセス待ち時間の経過を待つ。
【0061】
図10は、車車間通信装置の信号例を示すタイミングチャートである。本チャートでは、車車間通信装置5およびSmartPhone6を搭載した車両が有るエリアの5890MHz帯(CCH)電波31と、SmartPhone6が出力するLTE-V2X無線部5.9GHz(5890MHz)RF出力92と、802.11p制御部62が受け付けるRx_Dt75と、GPS受信部63から出力される1PPS73と、802.11p制御部62が発生させる100msecパルス91と、802.11p制御部62が発生させる11p_Det72と、が示されている。
【0062】
図10における例を用いると、GPS受信部63から1PPS73が出力されると、これに同期して100msecパルス91が出力される。そして、次の100msecパルス91の立ち上がりでは、5890MHz帯(CCH)電波31は「Car#2」がBSMを送信して同帯域を使用しているため、これにより11p_Det72が802.11p制御部62により出力される。そして、タイマー部77がタイマーをスタートさせる。タイマーが満了したタイミング(0.133msec後)では、自車両でない他の車両「Car#3」がBSMを送信して同帯域を使用している。そのため、チャネルは空いておらず、所定以上のレベルのBSMが検出され、タイマーが満了したタイミングで5890MHz帯(CCH)電波31を確認し、空きがあるため、SmartPhone6のLTE-V2X無線部2はLTE-V2X無線部5.9GHz(5890MHz)RF出力92を行う。そして、出力された信号は周辺車両や歩行者が保有するLTE-V2X対応SmartPhone7へブロードキャストされる。なお、図10において、この無線信号は同時に、5890MHz帯(CCH)電波31としても現れるが、点線で記してある。
【0063】
図9は、車車間通信装置を配置する車両の運転席の例を示す図である。車両内運転席(コックピット)80には、802.11p方式車車間通信装置5と、LTE-V2X対応SmartPhone6と、LTE-V2X対応SmartPhone6を取り付けるホルダー81と、MicroUSB用ケーブル82と、が設けられている。
【0064】
図9において、LTE-V2X対応SmartPhone6は車両内運転席80内へ持ち込まれ、ホルダー81に固定される。MicroUSB用ケーブル82を用いて、802.11p方式車車間通信装置5のMicroUSB端子71と、LTE-V2X対応SmartPhone6のMicroUSB端子76とが接続される。このような構成により、802.11p方式車車間通信装置5と、LTE-V2X対応SmartPhone6とは、連動して動作可能となる。
【0065】
このように動作する事で、802.11p方式の車車間通信が時分割多重で行われているエリア内車両の車両内運転席80に、LTE-V2X対応SmartPhone6が持ち込まれた場合であっても、LTE-V2X対応SmartPhone6は、802.11p方式の制御チャネルに同期して、他のLTE-V2X対応SmartPhone7や、LTE-V2X方式車車間通信装置5へ、メッセージを報知(ブロードキャスト)できる。
【0066】
図11は、第三の実施形態に係る通信シーケンス例を示す図である。図3に示したシーケンスとの相違点は、USBケーブルを介した接続処理がある点と、自車両41の車車間通信装置5から802.11pの発信が通知された後(11p_Det72の通知が発生した後)は、LTE-V2X対応SmartPhone6は、BSM長+aSlotTimeのアクセス待ち時間(0.133msec)のタイマーをスタートさせて、RFの空きがあるまで待ち、空きがあると送信する点である。
【0067】
本発明の車車間通信装置5を搭載した自車両41と、周辺車両43とは、いずれもLTE-V2Xにより車車間通信を行う。一方で、他の周辺車両42は各々、自車両41の周辺で802.11p方式で送受信している車両である。
【0068】
図11において、802.11p制御部62は、MicroUSB用ケーブル82を経由して、LTE-V2X対応SmartPhone6へ接続要求を送信する(101)。
【0069】
LTE-V2X対応SmartPhone6の図示しない制御部は、MicroUSB用ケーブル82を経由して、802.11p制御部62へ接続承認を送信する(102)。
【0070】
そして、802.11p制御部62は、LTE-V2X対応SmartPhone6へ、802.11p信号(CCH)に同期して送信する連携動作の要求信号を送信する(103)。
【0071】
LTE-V2X対応SmartPhone6の図示しない制御部は、802.11p制御部62へ連携動作を行う承認信号を送信する(104)
【0072】
802.11p無線部61は、他の周辺車両42から受信したBSMを、802.11p制御部62へ、順次送信する(105)。
【0073】
これと並行して、GPS受信部63は、GPS信号から生成した1PPS信号を、802.11p制御部62へ送信する(106)。
【0074】
802.11p制御部62は、1PPS信号に同期した10倍の速度の100msecパルス91を生成する。
【0075】
802.11p制御部62は、100msecパルス91とBSM受信とが一致した場合に、11p_Det72をLTE-V2X対応SmartPhone6へマイクロUSB用ケーブル82を経由して出力する(107)。
【0076】
LTE-V2X対応SmartPhone6のLTE-V2X対応SmartPhone6のLTE-V2X無線部2は、11p_Det72に同期して、BSM長(の送信時間)+aSlotTime=0.133msecタイマーをスタート(108)し、5890MHz帯(CCH)電波31のRSSIが閾値を越えたか否か確認する。
【0077】
LTE-V2X無線部2は、0.133msecの周期での閾値の判定を繰り返し、5890MHz帯(CCH)電波31が空いていたら、すなわち閾値を越えない場合には、周辺車両43のLTE-V2X方式車車間通信装置あるいはSmartPhone7へ、BSMを報知(ブロードキャスト)する(109)。
【0078】
このように動作する事で、802.11p方式の車車間通信が時分割多重で行われているエリア内車両の車両内運転席80に、LTE-V2X対応SmartPhone6が持ち込まれた場合であっても、LTE-V2X対応SmartPhone6は、802.11p方式の制御チャネルに同期して、歩行者等のLTE-V2X対応SmartPhone7や、LTE-V2X方式車車間通信装置へ、メッセージを報知(ブロードキャスト)できる。
【0079】
なお、上記の第三の実施形態に係る車車間通信装置の説明においては、802.11p方式車車間通信装置5とLTE-V2X対応SmartPhone6とは、MicroUSB用ケーブル82で接続しているが、本発明はMicroUSBに限定するものでは無く、他の有線接続方式であってもよい。
【0080】
[第四の実施形態]次に、本発明の第四の実施形態を説明する。第四の実施形態では、基本的に第一の実施形態と同様の構成のLTE-V2X無線部2について、802.11p方式の車車間通信の制御チャネルの受信と、LTE-V2X方式のメッセージの受信を時分割で行うようにする変形例である。
【0081】
図12は、第四の実施形態に係るLTE-V2X無線部の構成例を示す図である。図1のLTE-V2X無線部2との相違点は、IF増幅器17からの出力をモデム部11およびレベル検出器21に受け渡す経路において、帯域幅6MHzのLPF111と帯域幅10MHzのLPF112とを択一的に選択するIF側スイッチ114およびモデム側スイッチ115を備える点である。IF側スイッチ114およびモデム側スイッチ115は、5890MHz帯(CCH)電波31のRSSIの閾値を越えたか否かに応じたCCH検出期間信号113により、帯域幅6MHzのLPF111と帯域幅10MHzのLPF112のいずれを選択するか決定される。
【0082】
本実施形態に係るLTE-V2X無線部2は、送信前に制御チャネルをモニターするように周波数設定されている。この時、802.11p方式の電波を検出するため、IF信号19の帯域は10MHzとなるため、IF側スイッチ114およびモデム側スイッチ115は帯域幅10MHzのLPF112と導通状態になる必要がある。LTE-V2X及びLTE制御部3は、CCH検出期間信号113をオンにすることで、IF側スイッチ114およびモデム側スイッチ115を帯域幅10MHzのLPF112に切り替える。
【0083】
802.11pの制御チャネルとの同期と空きチャネル検出が完了し、LTE-V2X信号の送信が完了した後、LTE-V2X及びLTE制御部3は、CCH検出期間信号113をオフにして、IF側スイッチ114およびモデム側スイッチ115は帯域幅6MHzのLPF111に切り替える。このようにすると、LTE-V2X無線部は、他車両からのLTE-V2X方式のメッセージを受信できる状態になる。
【0084】
このようにして動作する事で、LTE-V2X無線部2は、近似する5890MHz帯を用いる802.11p方式信号と、LTE-V2X方式信号の両方を、精度高く検出できる。
【0085】
[第五の実施形態]次に、本発明の第五の実施形態を説明する。第五の実施形態に係る車車間通信装置は、基本的に第一の実施形態に示す車車間通信装置1と同様である。そのため、第一の実施形態に係る車車間通信装置1と異なる部分を中心に説明する。図1におけるレベル検出器21は、所定以上のRSSIを有するCCHを最初に検出した時、Rf_Det23を出力する。例えば、その直後により大きいRSSIを有するCCHを検出しても、Rf_Det23を出力しない。
【0086】
これに対し、第五の実施形態に係る車車間通信装置のレベル検出器では、所定以上のRSSIを有するCCHを最初に検出した時にRf_Det23を出力した時点から引き続き、IF信号19をA/D変換して記録し、Timer_OVF24が入力されるまでの間のIF信号19の最大値とその最大値が検出されたタイミングを求める。以降は、このIF信号19の最大値のタイミングを基準として同期を開始する。
【0087】
このように動作させる事で、自車に近い位置にいる車両、すなわち自車のブロードキャストエリア内の重要な受信相手に対して同期できるといえる。換言すれば、遠い車両へのブロードキャストは、相対的に価値が低い(たとえば、車両同士の衝突の蓋然性が近い車両に比べて低い)ため、より近い車両へのブロードキャストを確実に成功させることでLTE-V2XのブロードキャストによるBSM送信等の効果が高まる。
【0088】
[第6の実施形態]次に、本発明の第六の実施形態を説明する。第六の実施形態に係る車車間通信装置は、基本的に第一の実施形態に示す車車間通信装置1と同様である。そのため、第一の実施形態に係る車車間通信装置1と異なる部分を中心に説明する。
【0089】
上記の802.11pに係る通信では、国や地域に応じて、近似する5.9GHz帯の電波であっても使用する周波数が異なることがある。例えば、米国では、車車間通信の制御チャネルは5890MHz(米国のチャネル番号178)が割り当てられ、サービス情報の送受信には5870MHz(同様に番号174)、5880MHz(番号176)、5900MHz(番号180)、5910MHz(番号182)が割り当てられている。
【0090】
一方で、欧州では、制御チャネルは5900MHzが割り当てられ、サービス情報の送受信には5880MHz、5890MHzが割り当てられている。第六の実施形態では、このような国・地域に応じた制御チャネル・サービスチャネル周波数の対応づけの情報をLTE-V2XおよびLTE制御部3が備え、車車間通信装置が搭載された自車位置に応じてモニタリングするCCHの周波数を変更する。
【0091】
より具体的には、第六の実施形態に係るLTE-V2X及びLTE制御部3は、GPS装置と、図13に示すCCH対応表200を格納した記憶領域とを予め保持し、現在自車両がいる場所の緯度経度をGPS装置から取得して当該緯度経度が含まれる地域の制御チャネル周波数を特定する。そして、LTE-V2X及びLTE制御部3は、LTE-V2X無線部2の受信周波数に当該制御チャネル周波数を設定する。
【0092】
図13は、第六の実施形態に係るCCH対応表のデータ構造の例を示す図である。CCH対応表200には、緯度範囲200Aと、経度範囲200Bと、CCH周波数200Cと、が対応付けられて格納されている。
【0093】
そして、LTE-V2X及びLTE制御部3は、GPS装置から取得した緯度経度で示される地点が含まれる緯度範囲200A、経度範囲200Bの組み合わせを特定し、対応するCCH周波数200Cを読み出してLTE-V2X無線部2の受信周波数に当該制御チャネル周波数を設定する。
【0094】
このように動作する事で、車両が国・地域間を移動した場合であっても、適切にメッセージを周辺車両へ報知(ブロードキャスト)できる。
【0095】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0096】
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【0097】
また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0098】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムに応じて演算を実行するソフトウェア制御によって実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納しておき、実行時にRAM(Random Access Memory)等に読み出され、CPU等により実行することができる。
【0099】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0100】
また、上記した各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば別の装置で実行してネットワークを介して統合処理する等により分散システムで実現してもよい。
【0101】
また、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品のような複数の部分に分けられて適用されるようにしてもよい。
【0102】
以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0103】
1・・・車車間通信装置、2・・・LTE-V2X無線部、3・・・LTE-V2X及びLTE制御部、4・・・走行支援制御部、11・・・モデム部、12・・・5.9GHz帯アンテナ、13・・・アンテナスイッチ、14・・・LNA、15・・・ダイレクトコンバージョン方式の周波数ミキサ、16・・・周波数シンセサイザ、17・・・IF増幅器、18・・・LPF、21・・・レベル検出器、22・・・空きCHスレッショルド設定部、26・・・LTE無線部、27・・・1.7GHz帯アンテナ、37・・・HPA。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13