(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】ウォータジェット装置およびウォータジェット装置による表面処理方法
(51)【国際特許分類】
B28D 1/00 20060101AFI20220728BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20220728BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
B28D1/00
B26F3/00 H
B26F3/00 L
B26F3/00 S
E04G23/02 Z
(21)【出願番号】P 2018169585
(22)【出願日】2018-09-11
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】518325127
【氏名又は名称】斎藤 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 司
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 文夫
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-107663(JP,A)
【文献】特開2000-045277(JP,A)
【文献】特開平03-267492(JP,A)
【文献】特開平07-247553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/00
B26F 3/00
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧液体を供給する高圧液体供給装置および圧縮空気を供給する空気圧縮装置を有する高圧流体ユニットと、前記高圧液体および前記圧縮空気を吐出させるウォータジェット本体と、前記高圧流体ユニットおよび前記ウォータジェット本体に接続されるホースとを備え、
前記ウォータジェット本体は、
前記高圧液体が流通する内管および前記内管の周囲に配置され前記圧縮空気が流通する外管を有する管状部と、
前記高圧液体を吐出する内側吐出口および前記内側吐出口の周囲に前記圧縮空気を吐出する外側吐出口を有し、前記管状部の先端部に配置されるノズル部と、
前記ホースが接続される被接続部とを有し、
前記ホースは、
前記高圧液体が流通する内側ホース部と、前記内側ホース部の周囲に配置され前記圧縮空気が流通する外側ホース部とを有するホース本体部と、
前記ホース本体部の先端側に配置され、前記被接続部に接続する第1接続部と、
前記ホース本体部の基端側に配置され、前記高圧液体供給装置に接続された高圧液体吐出配管と前記内側ホース部とを接続するとともに、前記空気圧縮装置に接続された圧縮空気吐出配管と前記外側ホース部とを接続する第2接続部とを有
し、
前記ホース本体部は、先端部が前記第1接続部に接続される第1ホース本体部と、基端部が前記第2接続部に接続される第2ホース本体部と、を有し、
前記第1ホース本体部の基端部と前記第2ホース本体部の先端部とは中間連結部により接続される
ことを特徴とするウォータジェット装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のウォータジェット装置において、
前記中間連結部は、前記第1ホース本体部の基端部に接続される第1中間連結部と、前記第2ホース本体部の先端部に接続される第2中間連結部とを有し、
前記第1中間連結部は、
前記第1ホース本体部の前記内側ホース部と接続され前記高圧液体が流通する第1内管部および前記第1ホース本体部の前記外側ホース部と接続され前記圧縮空気が流通する第1外管部を有する第1中間連結部本体と、
前記第1ホース本体部の基端部が接続される第1中間連結部被接続部と、
前記第1ホース本体部を前記第1中間連結部被接続部に接続させる第1カシメ部材と、
前記第1内管部と連通し内周側に前記高圧液体が流通する筒状部と、
前記第1外管部と連通し内周側に前記圧縮空気が流通し、かつ、内周面に雌ねじ部が形成される第1継手部とを有し、
前記第2中間連結部は、
前記第2ホース本体部の前記内側ホース部と接続され前記高圧液体が流通する第2内管部および前記第2ホース本体部の前記外側ホース部と接続され前記圧縮空気が流通する第2外管部を有する第2中間連結部本体と、
前記第2ホース本体部の先端部が接続される第2中間連結部被接続部と、
前記第2ホース本体部を前記第2中間連結部被接続部に接続させる第2カシメ部材と、
前記第2内管部と連通し内周側に前記高圧液体が流通し、かつ、前記筒状部と係合する係合凹部と、
前記第2外管部と連通し内周側に前記圧縮空気が流通し、かつ、内周面に前記雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が形成される第2継手部とを有する
ことを特徴とするウォータジェット装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2に記載されたウォータジェット装置において、
前記高圧液体吐出配管に設けられる高圧液体弁と、
前記ウォータジェット本体に設けられ、前記高圧液体弁と電気的に接続されて前記高圧液体弁の開閉を操作する操作部と、を有する
ことを特徴とするウォータジェット装置。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のウォータジェット装置を用いた対象物の表面処理方法であって、
前記高圧液体を前記内側ホース部で圧送して前記内側吐出口から吐出させるとともに、前記圧縮空気を前記内側ホース部の周囲に配置された前記外側ホース部で圧送して前記外側吐出口から吐出させる吐出工程と、
前記圧縮空気のみを前記外側吐出口から吐出させるエアブロー工程とを備えたことを特徴とするウォータジェット装置による表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータジェット装置およびウォータジェット装置による表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等において、ウォータジェットガンのノズルから高圧水を吐出させ、その水撃力によりコンクリート構造物等の対象物に塗布された塗装を剥離させたり、対象物の素地を調整したりするためのウォータジェット装置が知られている。
【0003】
このようなウォータジェット装置では、ノズルから対象物に向けて吐出された高圧水の水撃力は、空気との摩擦作用により減衰することが知られている。水撃力の減衰は、ノズルからの距離に従って大きくなるので、対象物に対して有効に水撃力を与えるためには、ノズルと対象物との距離を短くする必要がある。そのため、作業者は対象物に接近して作業を行う必要があり、施工性が悪いといった問題があった。
【0004】
このような、高圧水の水撃力の減衰を防ぐ方法として、高圧水用の吐出口の周囲に圧縮空気用の吐出口を配置した二重吐出口構造を有するノズルを使用した従来例がある(特許文献1)。
特許文献1では、高圧水用吐出口の周囲に圧縮空気用吐出口を配置し、吐出させた水噴流を空気噴流によって覆うようにしている。これにより、水噴流の拡散を抑制するとともに、水噴流と空気との摩擦作用を小さくできるので、エネルギー損失を小さくして、水撃力の減衰を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、建設現場等では、作業の対象となる構造物が巨大となることが多い。そのため、作業員はウォータジェットガンを持ち運びながら作業することが多い。
このような場合、特許文献1のような方法では、高圧水とともに圧縮空気を吐出させるために、高圧水用のホースと圧縮空気用のホースとをウォータジェットガンに接続させる必要がある。そのため、作業員は2本のホースが接続されたウォータジェットガンを持ち運びながら作業することになる。そうすると、作業員は、ウォータジェットガンを持ち運ぶ際に、2本のホースが絡まないように手繰り寄せる必要があるので、ウォータジェットガンを持ち運びにくくなり、施工性が悪くなるといった問題があった。
【0007】
本発明の目的は、高圧水の水撃力の減衰を抑制でき、かつ、施工性の高いウォータジェット装置およびウォータジェット装置による表面処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のウォータジェット装置は、高圧液体を供給する高圧液体供給装置および圧縮空気を供給する空気圧縮装置を有する高圧流体ユニットと、前記高圧液体および前記圧縮空気を吐出させるウォータジェット本体と、前記高圧流体ユニットおよび前記ウォータジェット本体に接続されるホースとを備え、前記ウォータジェット本体は、前記高圧液体が流通する内管および前記内管の周囲に配置され前記圧縮空気が流通する外管を有する管状部と、前記高圧液体を吐出する内側吐出口および前記内側吐出口の周囲に前記圧縮空気を吐出する外側吐出口を有し、前記管状部の先端部に配置されるノズル部と、前記ホースが接続される被接続部とを有し、前記ホースは、前記高圧液体が流通する内側ホース部と、前記内側ホース部の周囲に配置され前記圧縮空気が流通する外側ホース部とを有するホース本体部と、前記ホース本体部の先端側に配置され、前記被接続部に接続する第1接続部と、前記ホース本体部の基端側に配置され、前記高圧液体供給装置に接続された高圧液体吐出配管と前記内側ホース部とを接続するとともに、前記空気圧縮装置に接続された圧縮空気吐出配管と前記外側ホース部とを接続する第2接続部とを有することを特徴とする。
【0009】
この構成の本発明では、ウォータジェット本体は、高圧液体を吐出する内側吐出口と、当該内側吐出口の周囲に圧縮空気を吐出する外側吐出口とを備えたノズル部を備えている。そのため、ノズル部から吐出させた高圧液体を覆うように圧縮空気を吐出させることができる。これにより、吐出させた高圧液体と周囲の空気との摩擦作用を小さくできるので、高圧液体の水撃力が減衰することを抑制できる。そのため、作業員は対象物から離れた場所から作業をしても、対象物に対して高圧液体の水撃力を有効に与えることができ、施工性を高くできる。
【0010】
さらに、高圧液体供給装置および空気圧縮装置を備えた高圧流体ユニットと、ウォータジェット本体とがホースにより接続される。そして、当該ホースは、高圧液体が流通する内側ホースと、内側ホースの周囲に配置され圧縮空気が流通する外側ホースとを有する。これにより、高圧流体ユニットとウォータジェット本体とを1本のホースで接続させることができる。そのため、ウォータジェット本体を持ち運ぶ際に、1本のホースのみを手繰り寄せればよく、また、2本のホースが絡まるおそれもない。したがって、高圧液体用のホースと圧縮空気用のホースとの2本のホースをウォータジェット本体に接続させる場合に比べて、ウォータジェット本体を持ち運びやすくでき、施工性を高くできる。
【0011】
本発明では、前記ホース本体部は、先端部が前記第1接続部に接続される第1ホース本体部と、基端部が前記第2接続部に接続される第2ホース本体部と、を有し、前記第1ホース本体部の基端部と前記第2ホース本体部の先端部とは中間連結部により接続されることが好ましい。
この構成の本発明では、ホース本体部は第1ホース本体部および第2ホース本体部を有し、これらの第1ホース本体部および第2ホース本体部は、中間連結部によって接続される。これにより、高圧流体ユニットから比較的離れた位置で作業を行う場合に、ホース本体部を第1ホース本体部および第2ホース本体部に分割して運び、その後、これらを中間連結部により接続することができる。そのため、作業員は作業場所まで長いホースを運ぶ必要がないので、ホースを運びやすくでき、施工性を高くできる。
【0012】
本発明では、前記中間連結部は、前記第1ホース本体部の基端部に接続される第1中間連結部と、前記第2ホース本体部の先端部に接続される第2中間連結部とを有し、前記第1中間連結部は、前記第1ホース本体部の前記内側ホース部と接続され前記高圧液体が流通する第1内管部および前記第1ホース本体部の前記外側ホース部と接続され前記圧縮空気が流通する第1外管部を有する第1中間連結部本体と、前記第1ホース本体部の基端部が接続される第1中間連結部被接続部と、前記第1ホース本体部を前記第1中間連結部被接続部に接続させる第1カシメ部材と、前記第1内管部と連通し内周側に前記高圧液体が流通する筒状部と、前記第1外管部と連通し内周側に前記圧縮空気が流通し、かつ、内周面に雌ねじ部が形成される第1継手部とを有し、前記第2中間連結部は、前記第2ホース本体部の前記内側ホース部と接続され前記高圧液体が流通する第2内管部および前記第2ホース本体部の前記外側ホース部と接続され前記圧縮空気が流通する第2外管部を有する第2中間連結部本体と、前記第2ホース本体部の先端部が接続される第2中間連結部被接続部と、前記第2ホース本体部を前記第2中間連結部被接続部に接続させる第2カシメ部材と、前記第2内管部と連通し内周側に前記高圧液体が流通し、かつ、前記筒状部と係合する係合凹部と、前記第2外管部と連通し内周側に前記圧縮空気が流通し、かつ、内周面に前記雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が形成される第2継手部とを有することが好ましい。
【0013】
この構成の本発明では、第1カシメ部材により、第1ホース本体部が第1中間連結部の第1中間連結部被接続部に接続される。また、第2カシメ部材により、第2ホース本体部が第2中間連結部の第2中間連結部被接続部に接続される。さらに、第1中間連結部および第2中間連結部は、筒状部が係合凹部に係合した状態で、第1継手部の雌ねじ部に第2継手部の雄ねじ部が螺合されることで接続される。これにより、第1ホース本体部、第2ホース本体部、第1中間連結部および第2中間連結部が確実に接続されるので、中間連結部から高圧液体や圧縮空気が漏出することを防ぐことができる。
【0014】
本発明では、前記高圧液体吐出配管に設けられる高圧液体弁と、前記ウォータジェット本体に設けられ、前記高圧液体弁と電気的に接続されて前記高圧液体弁の開閉を操作する操作部と、を有することが好ましい。
この構成の本発明では、ウォータジェット本体に設けられた操作部により、高圧液体供給装置に設けられた高圧液体弁の開閉を操作することができる。そのため、作業員は作業場所において、ウォータジェット本体から高圧液体を吐出させたり、吐出を停止させたりすることができるので、施工性を高くできる。また、ウォータジェット本体からの高圧液体の吐出を停止することにより、圧縮空気のみを吐出させることができるので、対象物に付着した汚れ等を圧縮空気で吹き飛ばしたり、対象物を圧縮空気で乾燥させたりすることができる。
【0015】
本発明のウォータジェット装置による表面処理方法は、前述のウォータジェット装置を用いた対象物の表面処理方法であって、前記高圧液体を前記内側ホース部で圧送して前記内側吐出口から吐出させるとともに、前記圧縮空気を前記内側ホース部の周囲に配置された前記外側ホース部で圧送して前記外側吐出口から吐出させる吐出工程と、前記圧縮空気のみを前記外側吐出口から吐出させるエアブロー工程とを備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成の本発明では、構造物等の対象物に対して、表面処理として素地調整等を実行する場合、高圧液体を内側ホースで圧送して内側吐出口から吐出させるとともに、圧縮空気を前記内側ホースの周囲に配置された外側ホースで圧送して外側吐出口から吐出させる。そのため、前述と同様に、高圧液体の水撃力が減衰することを抑制でき、かつ、施工性を高くできる。
【0017】
さらに、吐出工程で高圧液体および圧縮空気を吐出させた後に、エアブロー工程で圧縮空気のみを吐出させるので、吐出工程で対象物に付着した水分を圧縮空気によって吹き飛ばすことができる。そのため、対象物を短時間で乾燥状態にできるので、施工時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るウォータジェット装置の概略図。
【
図2】前記実施形態のウォータジェットガンの概略を示す断面図。
【
図3】前記実施形態のノズル部の概略を示す図であり、(A)組立後のノズルの概略を示す断面図、(B)内側ノズルの概略を示す側面図、(C)外側ノズルの概略を示す側面図、(D)ノズルカバーの概略を示す側面図。
【
図4】前記実施形態のホースおよび第1接続部の概略を示す断面図。
【
図5】前記実施形態の中間連結部の概略を示す断面図。
【
図6】前記実施形態の第2接続部の概略を示す断面図。
【
図7】(A)前記実施形態の高圧水および圧縮空気の吐出状況と、(B)従来のノズルの高圧水の吐出状況とを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[ウォータジェット装置]
図1は、本実施形態に係るウォータジェット装置1の概略を示す図である。
図1に示すように、ウォータジェット装置1は、高圧流体ユニット2と、ウォータジェット本体であるウォータジェットガン3と、ホース4と、中間連結部5とを備えている。
【0020】
高圧流体ユニット2は、高圧液体供給装置である高圧ポンプ21と、空気圧縮装置であるコンプレッサ22とを備えている。
高圧ポンプ21は、高圧水を供給するためのエンジン駆動式の超高圧水発生ポンプである。本実施形態における高圧ポンプ21の仕様としては、例えば、最高吐出圧力が245MPaであり、最大吐出量が45L/minである。高圧ポンプ21には、高圧水を吐出するための高圧水吐出配管211(
図6参照)が接続され、高圧水吐出配管211には、高圧液体弁212(
図6参照)が設けられている。なお、高圧水吐出配管211は、本発明の高圧液体吐出配管の一例である。
コンプレッサ22は圧縮空気を供給するためのエンジン駆動式のコンプレッサである。本実施形態におけるコンプレッサ22の仕様としては、例えば、常用圧力が0.7MPaであり、吐出量が5.1m
3/minである。コンプレッサ22には、圧縮空気を吐出させるための圧縮空気吐出配管221(
図6参照)が接続されている。
高圧流体ユニット2は、積載重量4.5tのトラック6に搭載可能であり、トラック6の荷台に搭載された状態で稼働することもできる。
【0021】
[ウォータジェットガン]
図2は、ウォータジェットガン3の概略を示す断面図である。
図2に示すように、ウォータジェットガン3はハンドガン式の高圧水吐出装置であり、管状部31と、ノズル部32と、操作部33と、グリップ部34と、被接続部35とを有する。
【0022】
管状部31は、二重管構造の鋼管であり、高圧水が流通する内管311と、当該内管311の周囲に配置され圧縮空気が流通する外管312とを備える。管状部31の基端側には、後述するホース4の第1接続部42と接続される被接続部35が設けられている。
また、内管311には、先端部の外周面に雄ねじ部313が形成され、内周面に雌ねじ部314が形成されている。さらに、内管311と外管312との間には、スペーサ315が設けられている。本実施形態では、スペーサ315は、内管311の周方向に90°間隔で設けられている。これにより、内管311と外管312とが略同心円状に配置される。
【0023】
[ノズル部]
図3(A)は、組立後のノズル部32の概略を示す断面図であり、
図3(B)は、内側ノズル321の概略を示す側面図であり、
図3(C)は、外側ノズル322の概略を示す側面図であり、
図3(D)は、ノズルカバー323の概略を示す側面図である。
図3(A)に示すように、ノズル部32は管状部31の先端部に配置されており、内側ノズル321と、外側ノズル322と、ノズルカバー323とを備える。
【0024】
図3(B)に示すように、内側ノズル321は高圧水が吐出される金属製の部材であり、円錐台状のノズル部分に六角ボルト状の接続部分が接合されて形成されている。ノズル部分の先端部には高圧水が吐出される内側吐出口3211が形成されている。内側吐出口3211の内径は、例えば、1mm程度とされる。また、接続部分には、内管311の内周面に形成された雌ねじ部314に螺合される雄ねじ部3212が形成されている。
【0025】
図3(C)に示すように、外側ノズル322は、圧縮空気が吐出される金属製の部材であり、内側ノズル321の周囲を囲うように配置されている。外側ノズル322の中央部分には、内側ノズル321のノズル部分の先端よりも径が大きい外側吐出口3221が形成されている。これにより、内側ノズル321のノズル先端部分と外側吐出口3221との間の隙間から圧縮空気を吐出できるようにしている。本実施形態では、内側ノズル321のノズル部分の先端の外径は、例えば、6mm程度とされ、外側吐出口3221の内径は、例えば、8mm程度とされる。
また、外側ノズル322の基端部には、雄ねじ部3222が形成されている。
【0026】
図3(D)に示すように、ノズルカバー323は円筒状の部材であり、内管311の先端側を覆うように配置されている。ノズルカバー323の先端側には、外側ノズル322を収容可能な外側凹部3231が形成される。そして、外側凹部3231の内周面には、外側ノズル322の雄ねじ部3222と螺合される雌ねじ部3232が形成されている。
また、ノズルカバー323の基端側には、内側ノズル321が収容される内側凹部3233が形成される。そして、内側凹部3233の内周面には、内管311の外周面に形成される雄ねじ部313と螺合される雌ねじ部3234が形成されている。
【0027】
このように、本実施形態では、ノズル部32の内側ノズル321が内管311に螺合され、外側ノズル322がノズルカバー323に螺合され、ノズルカバー323が内管311に螺合される。これにより、ノズル部32は着脱可能とされているので、作業や対象物の種類に応じてノズル部32を変更することができる。
【0028】
図2に戻って、操作部33およびグリップ部34は、作業員がウォータジェットガン3を操作する際に把持する部分である。操作部33は管状部31の基端側に設けられ、グリップ部34は管状部31の先端側に設けられている。そして、操作部33は、トリガ331を有する。
トリガ331は、前述した高圧液体弁212(
図6参照)と配線332で電気的に接続されている。そして、トリガ331を引くと、高圧液体弁212は「開」にされて、ウォータジェットガン3に高圧水が流入するようになっている。また、トリガ331は、図示略の付勢機構により元の位置に戻るように付勢されている。そのため、作業員がトリガ331を離すと、元の位置に戻る。そうすると、高圧液体弁212は「閉」にされて、ウォータジェットガン3への高圧水の流入が停止するようになっている。
なお、配線332は、ホース4に沿って敷設されている。本実施形態では、配線332は、図示略の結束バンド等により、ホース4に固定されている。
【0029】
[ホース]
図4は、本実施形態のホース4および第1接続部42の概略を示す断面図であり、
図5は、中間連結部5の概略を示す断面図であり、
図6は、第2接続部43の概略を示す断面図である。
図4から
図6に示すように、ホース4は、ホース本体部41と、第1接続部42と、第2接続部43とを有する。
図5に示すように、ホース本体部41は、二重管構造のホースであり、高圧水が流通する内側ホース部411と、当該内側ホース部411の周囲に圧縮空気が流通する外側ホース部412とを備える。また、ホース本体部41は、先端部が第1接続部42に接続される第1ホース本体部41Aと、基端部が第2接続部43に接続される第2ホース本体部41Bとを有する。そして、第1ホース本体部41Aの基端側と第2ホース本体部41Bの先端側とは、中間連結部5により接続される。
【0030】
[第1接続部]
図4に示すように、第1接続部42は第1ホース本体部41Aの先端部に配置され、ウォータジェットガン3の被接続部35と接続される。
被接続部35は、被接続部本体350と、筒状部351と、被接続部側継手352とを有する。
被接続部本体350は、管状部31の内管311と接続され高圧水が流通する第1内管353と、外管312と接続され圧縮空気が流通する第1外管354とを有する。
筒状部351は、被接続部本体350の先端側、つまり、第1接続部42と接続される側に設けられており、第1内管353と連通して内周側に高圧水が流通する。また、筒状部351の周囲には、止水部材355が取り付けられている。
被接続部側継手352は、筒状部351の外周側に設けられており、第1外管354と連通して内周側に圧縮空気が流通する。また、被接続部側継手352には、先端側の内周面に雌ねじ部356が形成されている。
【0031】
第1接続部42は、第1接続部本体420と、係合凹部421と、第1接続部側継手422と、ホース接続部423と、カシメ部材424とを有する。
第1接続部本体420は、第1ホース本体部41Aの内側ホース部411Aと接続され高圧水が流通する第2内管425と、外側ホース部412Aと接続され圧縮空気が流通する第2外管426とを有する。
係合凹部421は、第1接続部本体420の先端側、つまり、被接続部35と接続される側に設けられており、第2内管425と連通して内周側に高圧水が流通する。また、係合凹部421は、第1接続部42と被接続部35とが接続された際に、筒状部351と係合する。これにより、係合凹部421の内周側と筒状部351の内周側とが連通して高圧水が流通する。この際、筒状部351の周囲には止水部材355が取り付けられているので、係合凹部421と筒状部351との間の隙間から高圧水が漏出することはない。
【0032】
第1接続部側継手422は、係合凹部421の外周側に設けられており、第2外管426に連通して内周側に圧縮空気が流通する。また、第1接続部側継手422には、先端側の外周面に、前述した被接続部側継手352の雌ねじ部356と螺合する雄ねじ部427が形成されている。そして、被接続部側継手352の雌ねじ部356と、第1接続部側継手422の雄ねじ部427とを螺合することにより、被接続部35と第1接続部42とが接続される。これにより、第1接続部側継手422の内周側と被接続部側継手352の内周側とが連通して圧縮空気が流通する。
【0033】
ホース接続部423は、第1接続部本体420の基端側、つまり、第1ホース本体部41Aと接続される側に配置される。また、ホース接続部423は、第1ホース本体部41Aの内側ホース部411Aと接続される内側ホース接続部428と、外側ホース部412Aと接続される外側ホース接続部429とを有する。
カシメ部材424は、金属製の部材であり、外側ホース部412Aの外周面において、外側ホース接続部429に対応する位置に配置される。
そして、内側ホース接続部428に内側ホース部411Aが接続され、外側ホース接続部429に外側ホース部412Aが接続された状態で、カシメ部材424がかしめられて塑性変形することで、外側ホース部412Aと外側ホース接続部429とが強固に密着する。これにより、第1接続部42と第1ホース本体部41Aとが接続される。
【0034】
[中間連結部]
図5に示すように、中間連結部5は、第1中間連結部51と第2中間連結部52とを有する。
第1中間連結部51は、第1中間連結部本体510と、筒状部511と、第1継手部512と、第1中間連結部被接続部513と、第1カシメ部材514とを有する。
第1中間連結部本体510は、第1ホース本体部41Aの内側ホース部411Aと接続され高圧水が流通する第1内管部515と、外側ホース部412Aと接続され圧縮空気が流通する第1外管部516とを有する。
筒状部511は、第1中間連結部本体510の先端側、つまり、第2中間連結部52と接続される側に設けられており、第1内管部515と連通して内周側に高圧水が流通する。また、筒状部511の周囲には、止水部材5111が取り付けられている。
第1継手部512は、筒状部511の外周側に設けられており、第1外管部516と連通して内周側に圧縮空気が流通する。また、第1継手部512には、先端側の内周面に雌ねじ部517が形成されている。
【0035】
第1中間連結部被接続部513は、第1中間連結部本体510の基端側、つまり、第1ホース本体部41Aと接続される側に配置される。また、第1中間連結部被接続部513は、第1ホース本体部41Aの内側ホース部411Aと接続される内側ホース接続部518と、外側ホース部412Aと接続される外側ホース接続部519とを有する。
第1カシメ部材514は、金属製の部材であり、外側ホース部412Aの外周面において、外側ホース接続部519に対応する位置に配置される。
そして、内側ホース接続部518に内側ホース部411Aが接続され、外側ホース接続部519に外側ホース部412Aが接続された状態で、第1カシメ部材514がかしめられて塑性変形することで、外側ホース部412Aと外側ホース接続部519とが強固に密着する。これにより、第1中間連結部51と第1ホース本体部41Aとが接続される。
【0036】
第2中間連結部52は、第2中間連結部本体520と、係合凹部521と、第2継手部522と、第2中間連結部被接続部523と、第2カシメ部材524とを有する。
第2中間連結部本体520は、第2ホース本体部41Bの内側ホース部411Bと接続され高圧水が流通する第2内管部525と、外側ホース部412Bと接続され圧縮空気が流通する第2外管部526とを有する。
係合凹部521は、第2中間連結部本体520の先端側、つまり、第1中間連結部51と接続される側に設けられており、第2内管部525と連通して内周側に高圧水が流通する。また、係合凹部521は、第1中間連結部51と第2中間連結部52とが接続された際に、内周面が前述した筒状部511の外周面と係合する。これにより、係合凹部521の内周側と筒状部511の内周側とが連通して高圧水が流通する。この際、筒状部511の周囲には止水部材5111が取り付けられているので、係合凹部521と筒状部511との間の隙間から高圧水が漏出することはない。
【0037】
第2継手部522は、係合凹部521の外周側に設けられており、第2外管部526と連通して内周側に圧縮空気が流通する。また、第2継手部522には、先端側の外周面に、前述した第1継手部512の雌ねじ部517と螺合する雄ねじ部527が形成されている。そして、第1継手部512の雌ねじ部517と、第2継手部522の雄ねじ部527とを螺合することにより、第1中間連結部51と第2中間連結部52とが接続される。これにより、第1継手部512の内周側と第2継手部522の内周側とが連通して圧縮空気が流通する。
【0038】
第2中間連結部被接続部523は、第2中間連結部本体520の基端側、つまり、第2ホース本体部41Bと接続される側に配置される。また、第2中間連結部被接続部523は、第2ホース本体部41Bの内側ホース部411Bと接続される内側ホース接続部528と、外側ホース部412Bと接続される外側ホース接続部529とを有する。
第2カシメ部材524は、金属製の部材であり、外側ホース部412Bの外周面において、外側ホース接続部529に対応する位置に配置される。
そして、内側ホース接続部528に内側ホース部411Bが接続され、外側ホース接続部529に外側ホース部412Bが接続された状態で、第2カシメ部材524がかしめられて塑性変形することで、外側ホース部412Bと外側ホース接続部529とが強固に密着する。これにより、第2中間連結部52と第2ホース本体部41Bとが接続される。
【0039】
第2接続部43は、第2ホース本体部41Bの基端側に配置される。本実施形態では、第2接続部43は、二重管式のスイベルジョイントにより構成される。そして、第2接続部43は、高圧ポンプ21に接続された高圧水吐出配管211と第2ホース本体部41Bの内側ホース部411Bとを接続するとともに、コンプレッサ22に接続された圧縮空気吐出配管221と外側ホース部412Bとを接続する。これにより、第2接続部43を介して、高圧ポンプ21から供給される高圧水が内側ホース部411Bに流入するとともに、コンプレッサ22から供給される圧縮空気が外側ホース部412Bに流入する。
なお、第2接続部43は、二重管式のスイベルジョイントにより構成されるものに限られるものではなく、例えば、二重管接続用の継手から構成されていてもよい。
【0040】
[ウォータジェット装置による表面処理方法]
本実施形態に係るウォータジェット装置1による表面処理方法を
図1、
図2および
図6に基づいて説明する。ここで、本実施形態では、対象物としてのコンクリート構造物8に対して素地調整を行う方法を表面処理方法として説明する。
[準備工程]
図1に示すように、トラック6に搭載された状態の高圧流体ユニット2を建設現場の所定の位置に搬入し、高圧ポンプ21を給水タンク7に接続する。
次に、対象物であるコンクリート構造物8の近傍を養生用シート9で養生し、養生用シート9に設けたピット91に、排水を回収するための排水ポンプ10を設置する。なお、排水は図示しない排水処理装置に回収されるようになっており、排水処理装置で処理された処理水を給水タンク7に返送することで再利用できるようになっている。
その後、第2ホース本体部41Bに接続された第2接続部43を高圧水吐出配管211および圧縮空気吐出配管221に接続させた上で、第1ホース本体部41Aおよび第2ホース本体部41Bを高圧流体ユニット2とコンクリート構造物8との間に敷設する。
そして、第1ホース本体部41Aと第2ホース本体部41Bとを中間連結部5により接続させ、第1接続部42をウォータジェットガン3の被接続部35に接続させる。これにより、高圧流体ユニット2で供給する高圧水および圧縮空気を、コンクリート構造物8付近で使用するウォータジェットガン3に流通させることができるようにする。
【0041】
[素地調整工程]
準備工程終了後、高圧ポンプ21およびコンプレッサ22を起動して稼働させる。そして、作業員が、ウォータジェットガン3の操作部33およびグリップ部34を把持し、ノズル部32の先端をコンクリート構造物8に向けた状態で、トリガ331を引くことにより、高圧液体弁212が「開」にされて、コンクリート構造物8に向けて高圧水および圧縮空気が吐出される。なお、この素地調整工程は、本発明の吐出工程の一例である。
ここで、本実施形態では、高圧水の設定条件として、吐出圧力が245MPa程度、吐出量が45L/min程度となるように元弁(図示略)にて調整している。また、圧縮空気の設定条件として、供給圧力が0.7MPa程度、吐出量が3.0m3/min程度となるように、図示しない調整弁にて調整している。なお、高圧水および圧縮空気の設定条件は、上記設定条件に限られるものではなく、対象物の状態や高圧ポンプ21およびコンプレッサ22の仕様に応じて変更してもよい。
【0042】
図7(A)は、本実施形態において、ノズル部32から高圧水および圧縮空気を吐出させた場合の吐出状況を示す概略図であり、
図7(B)は従来のノズルNから高圧水のみを吐出させた場合の吐出状況を示す概略図である。
図7(A)に示すように、高圧水は内側吐出口3211から吐出され、圧縮空気は内側吐出口3211の周囲に形成された外側吐出口3221から吐出されるので、吐出された高圧水は圧縮空気に周囲を覆われた状態となっている。これにより、吐出された高圧水と周囲の空気との摩擦作用を小さくできるので、高圧水の水撃力の減衰を抑制できる。そのため、ノズル部32がコンクリート構造物8から離れた場所から作業した場合でも、コンクリート構造物8に対して高圧水の水撃力を有効に与えることができて、素地調整を行うことができる。
【0043】
具体的には、
図7(B)で示されるような、高圧水のみを吐出する従来のノズルNでは、吐出された高圧水は空気との摩擦作用によって水撃力が著しく減衰する。そのため、コンクリート構造物8とノズルNとの間の距離が10cm程度でなければ、コンクリート構造物8に対して有効に水撃力を与えることができない。
これに対し、本実施形態では、高圧水の水撃力の減衰を抑制できるので、コンクリート構造物8とノズル部32との距離が30cm程度離れていても、コンクリート構造物8に対して有効に水撃力を与えることができる。そのため、作業員はコンクリート構造物8から離れた位置からでも素地調整作業を行うことができ、コンクリート構造物8に近づかなくてもよいので、施工性を高くできる。
【0044】
また、本実施形態では、ホース4が、高圧水が流通する内側ホース部411と、圧縮空気が流通する外側ホース部412とを備えるので、高圧流体ユニット2とウォータジェットガン3とを1本のホース4で接続させることができる。
ここで、従来の装置では、高圧水および圧縮空気をウォータジェットガンに圧送する際に別々のホースを使用していたので、ウォータジェットガンに2本のホースを接続させる必要があった。そうすると、作業員がウォータジェットガンを持ち運びながら作業する際に、2本のホースを絡ませないように手繰り寄せる必要があり、施工性が非常に悪いという問題があった。
これに対し、本実施形態では、作業員がウォータジェットガン3を持ち運ぶ際に、1本のホース4のみを手繰り寄せればよく、また、2本のホースが絡まる恐れもない。そのため、ウォータジェットガン3を持ち運びやすくできて、施工性を高くできる。
【0045】
[乾燥工程]
素地調整工程終了後、作業員がウォータジェットガン3のトリガ331を離すと、高圧液体弁212が「閉」にされる。そうすると、ウォータジェットガン3への高圧水の流入が停止するので、ウォータジェットガン3から圧縮空気のみが吐出される状態になる。
この状態で、コンクリート構造物8に対して圧縮空気のみを吐出させることで、素地調整工程の際にコンクリート構造物8の表面に付着した水分を吹き飛ばすことができる。そのため、コンクリート構造物8を短時間で乾燥状態にすることができる。したがって、塗装工程等の次工程に移行する際に、コンクリート構造物8が自然乾燥する時間を待つ必要がなく、施工時間を大幅に短縮することができる。なお、この乾燥工程は、本発明のエアブロー工程の一例である。
【0046】
本実施形態では次の効果を奏することができる。
(1)ウォータジェットガン3は、高圧水を吐出する内側吐出口3211と、当該内側吐出口3211の周囲に圧縮空気を吐出する外側吐出口3221とを備えたノズル部32を備えている。そのため、ノズル部32から吐出させた高圧水を覆うように圧縮空気を吐出させることができる。これにより、吐出させた高圧水と周囲の空気との摩擦作用を小さくできるので、高圧水の水撃力が減衰することを抑制できる。そのため、作業員は対象物であるコンクリート構造物8から離れた場所から作業をしても、高圧水の水撃力を有効に与えることができるので、施工性を高くできる。
【0047】
(2)高圧ポンプ21およびコンプレッサ22を備えた高圧流体ユニット2と、ウォータジェットガン3とがホース4により接続される。そして、ホース4は、高圧水が流通する内側ホース部411と、内側ホース部411の周囲に配置され圧縮空気が流通する外側ホース部412とを有する。これにより、高圧流体ユニット2とウォータジェットガン3とを1本のホースで接続させることができる。そのため、ウォータジェットガン3を持ち運ぶ際に、1本のホースのみを手繰り寄せればよく、また、2本のホースが絡まるおそれもない。したがって、高圧液体用のホースと圧縮空気用のホースとの2本のホースをウォータジェットガン3に接続させる場合に比べて、ウォータジェットガン3を持ち運びやすくでき、施工性を高くできる。
【0048】
(3)ホース4は第1ホース本体部41Aおよび第2ホース本体部41Bを有し、これらの第1ホース本体部41Aおよび第2ホース本体部41Bは、中間連結部5によって接続される。これにより、高圧流体ユニット2から比較的離れた位置で作業を行う場合に、ホース4を第1ホース本体部41Aおよび第2ホース本体部41Bに分割して運び、その後、これらを中間連結部5により接続することができる。そのため、作業員は作業場所まで長いホースを運ぶ必要がないので、施工性を高くできる。
【0049】
(4)第1ホース本体部41Aは、第1カシメ部材514がかしめられて塑性変形することにより、第1中間連結部51の第1中間連結部被接続部513に接続される。また、第2ホース本体部41Bは、第2カシメ部材524がかしめられて塑性変形することにより、第2中間連結部52の第2中間連結部被接続部523に接続される。さらに、第1中間連結部51と第2中間連結部52とは、筒状部511が係合凹部521に係合された状態で、第1継手部512の雌ねじ部517に第2継手部522の雄ねじ部527が螺合されて接続される。これにより、第1ホース本体部41A、第2ホース本体部41B、第1中間連結部51および第2中間連結部52が確実に接続されるので、中間連結部5から高圧水や圧縮空気が漏出することを防ぐことができる。
【0050】
(5)ウォータジェットガン3に設けられた操作部33により、高圧ポンプ21に設けられた高圧液体弁212の開閉を操作することができる。そのため、作業員は作業場所において、ウォータジェットガン3から高圧水を吐出させたり、吐出を停止させたりすることができるので、施工性を高くできる。また、ウォータジェットガン3からの高圧水の吐出を停止することにより、圧縮空気のみを吐出させることができるので、コンクリート構造物8を圧縮空気で乾燥させることができる。そのため、コンクリート構造物8を短時間で乾燥状態にすることができ、施工時間を大幅に短縮できる。
【0051】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、高圧流体ユニット2において、高圧ポンプ21およびコンプレッサ22はトラック6の荷台に搭載された状態で配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、高圧ポンプ21およびコンプレッサ22を別々の場所に配置してもよく、また、高圧ポンプ21およびコンプレッサ22のいずれか一方、もしくは両方はトラック6から降ろした状態で配置されていてもよい。
【0052】
前記実施形態では、操作部33に高圧液体弁212の開閉を操作するトリガ331が設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、圧縮空気を流入・停止させる圧縮空気弁をさらに設け、操作部に当該圧縮空気弁の開閉を操作するトリガを設けてもよい。これにより、作業員は、作業場所にて圧縮空気の流入・停止を操作できるので、施工性を高くできる。
また、前記実施形態では、高圧液体弁212は、高圧ポンプ21に接続された高圧水吐出配管211に設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、高圧水を流入・停止させる高圧液体弁をウォータジェットガンに設けてもよい。さらに、高圧水を流入・停止させる高圧液体弁が設けられない場合も本発明に含まれる。この場合、高圧ポンプを運転・停止させることにより、高圧水を流入・停止させることができる。
【0053】
前記実施形態では、高圧液体弁212とトリガ331とが配線332により電気的に接続されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、高圧液体弁とトリガとは、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信により電気的に接続されていてもよい。
【0054】
前記実施形態では、ノズル部32は着脱可能となっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ノズル部32が管状部31の先端側に溶接されて取り付けられていてもよい。この場合、ノズル部32の内側ノズル321、外側ノズル322およびノズルカバー323を簡易な構造にすることができる。
【0055】
前記実施形態では、ホース本体部41が第1ホース本体部41Aおよび第2ホース本体部41Bを有していたが、これに限定されるものではない。例えば、ホース本体部は分割されず、1本のホース本体部から構成されていれもよい。また、ホース本体部は、3本以上に分割されていてもよい。この場合、分割された各ホース本体部を接続させるために、中間連結部が複数配置されていてもよい。
【0056】
前記実施形態では、ウォータジェット装置1によりコンクリート構造物8の素地調整を行うようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、鋼板製のタンクや船舶の喫水部に対して素地調整を行うようにするものでもよい。また、ウォータジェット装置1の用途は、素地調整に限定されるものではなく、例えば、塗装の剥離や構造物や鉄筋等の切断、コンクリートのハツリ等、高圧水の水撃力を利用する作業に用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…ウォータジェット装置、2…高圧流体ユニット、21…高圧ポンプ、22…コンプレッサ、211…高圧水吐出配管(高圧液体吐出配管)、221…圧縮空気吐出配管、3…ウォータジェットガン(ウォータジェット本体)、31…管状部、311…内管、312…外管、32…ノズル部、321…内側ノズル、322…外側ノズル、323…ノズルカバー、3211…内側吐出口、3221…外側吐出口、33…操作部、331…トリガ、332…配線、34…グリップ部、35…被接続部、4…ホース、41…ホース本体部、41A…第1ホース本体部、41B…第2ホース本体部、411,411A,411B…内側ホース部、412,412A,412B…外側ホース部、42…第1接続部、43…第2接続部、5…中間連結部、51…第1中間連結部、52…第2中間連結部、510…第1中間連結部本体、511…筒状部、512…第1継手部、513…第1中間連結部被接続部、514…第1カシメ部材、515…第1内管部、516…第1外管部、520…第2中間連結部本体、521…係合凹部、522…第2継手部、523…第2中間連結部被接続部、524…第2カシメ部材、525…第2内管部、526…第2外管部、6…トラック、7…給水タンク、8…コンクリート構造物(対象物)、9…養生用シート、10…排水ポンプ。