(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】食器洗浄システム及び食器の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
(21)【出願番号】P 2018193293
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】横山 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】和田野 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 弘
(72)【発明者】
【氏名】小松 順一
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-139165(JP,A)
【文献】特開2016-011207(JP,A)
【文献】特開平07-111964(JP,A)
【文献】特表2011-530386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00 - 15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食器の表面側を上向きにして積み重ねた食器列を少なくとも上昇させる昇降手段と、
前記昇降手段により上昇させた食器列の最上端にある食器を掴んで分離する分離手段と、
前記分離手段により分離された食器の表裏面を反転して放出する反転手段と、
前記反転手段により放出された食器を搬送手段により搬送しつつ洗浄する洗浄装置と、を備え、
食器を上流側から前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段の順に下流側へと移載し、移載した食器を前記洗浄装置で搬送しつつ洗浄する食器洗浄システムであって、
前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段、及び前記洗浄装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段、前記洗浄装置を平面視で略直線状に配置し、複数の食器を下流側へ移載し搬送して洗浄する、1列の洗浄レーンを構成し、
前記洗浄レーンは少なくとも2列並設され、
前記制御装置は、前記分離手段により前記食器列から前記食器列の最上端の食器を単位時間あたりに分離する個数を、前記各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする食器洗浄システム。
【請求項2】
制御装置は、洗浄装置に有する搬送手段による食器の搬送速度を、各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄システム。
【請求項3】
昇降手段よりも上流側にあり、複数の食器の表面側を上向きにして積み重ねた食器列を前記昇降手段へと間欠搬送する搬送手段と、前記搬送手段により間欠搬送される食器列に浸漬水を噴射するノズルとを有し、前記食器列に積み重ねられた複数の食器に前記ノズルから浸漬水を噴射して、前記食器列に積み重ねられた食器に貯水させることにより浸漬洗浄を行う浸漬装置を、さらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の食器洗浄システム。
【請求項4】
制御装置は、浸漬装置の搬送手段の間欠搬送における停止時間を各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする請求項3に記載の食器洗浄システム。
【請求項5】
制御装置は、昇降手段により食器列を上昇させる高さを各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の食器洗浄システム。
【請求項6】
分離手段は、食器を掴む掴みチャックを有したアームユニットを備え、
前記アームユニットが所定角度傾斜した位置から略水平位置に回動したとき、前記掴みチャックが食器列の最上端にある食器を掴んで前記食器列から分離し、
前記アームユニットが前記略水平位置から前記所定角度傾斜した位置に回動したとき、前記掴んで分離した食器を前記掴みチャックから放出することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の食器洗浄システム。
【請求項7】
制御装置は、分離手段のアームユニットを所定角度傾斜した位置から略水平位置まで回動させる速度を、各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする請求項6に記載の食器洗浄システム。
【請求項8】
制御装置は、分離手段のアームユニットを略水平位置から所定角度傾斜した位置まで回動させる速度を、各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする請求項6または7に記載の食器洗浄システム。
【請求項9】
反転手段は、分離手段により分離され放出された食器の表面側を上向き状態で収納する収納空間を有する回転ドラムを備え、
前記回転ドラムの回転駆動軸を前記分離手段のアームユニットの回動支点とし、
前記回転ドラムの間欠回転により、前記収納空間に収納した食器の表面側を上向き状態から下向き状態に反転させ、前記収納空間から自重落下させて放出することを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の食器洗浄システム。
【請求項10】
複数の食器の表面を上向きにして積み重ねた一つの自立した食器列の最上端にある食器を、順次掴んで前記食器列から分離し反転する分離反転工程と、
前記分離反転工程により反転され放出された食器を搬送しつつ、少なくとも食器の表面側にノズルから洗浄水を噴射して食器を洗浄する洗浄工程と、を含み、
前記分離反転工程、前記洗浄工程の順に実行する洗浄レーンを少なくとも2列並設し、
前記分離反転工程で前記食器列から最上端にある食器を単位時間あたりに分離する個数を各洗浄レーンで個別に制御することにより、前記各洗浄レーンで単位時間当たりに洗浄する食器の個数を調整することを特徴とする食器の洗浄方法。
【請求項11】
洗浄工程で搬送する食器の搬送速度を各洗浄レーンで個別に制御することにより、前記各洗浄レーンで食器1枚あたりの洗浄時間を調整することを特徴とする請求項10に記載の食器の洗浄方法。
【請求項12】
分離反転工程の前に、複数の食器の表面を上向きにして積み重ねた食器列を搬送しつつ、前記食器列に浸漬水を供給し、互いに隣り合う食器間の隙間に貯水して食器に付着している汚れ成分に水分を与えて湿潤させる浸漬工程を含み、
前記分離反転工程、前記洗浄工程の順に実行する洗浄レーンは、さらに前記浸漬工程を実行することを特徴とする請求項10または11に記載の食器の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄システム及び食器の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の食器(食品容器)が積み重ねられた食器列から一個の食器を取り出し、かつ食器の上下を反転させる食器の分離放出装置が知られている。この分離放出装置は、食器列から一つの食器を取り出すハンドリング機構と、ハンドリング機構から受け取った一個の食器を反転させる反転機構とを備える。ハンドリング機構は一個の食器を把持するための、負圧源に連結された吸着盤などから成る把持部を有する。把持部は、支柱に対して上下動及び旋回動可能に設けられている。反転機構は、間欠的に回転される放射状に伸びた板部材から成り、把持部から離脱した食器を受けて反転させる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるような食器の分離放出装置は、ハンドリング機構として負圧源に連結された吸着盤などから成る把持部を用いているため、食器把持の確実性、動作の高速化、構成のコンパクト化に問題がある。また、把持部の旋回動が水平面で行われるのに対し、把持部から離脱された食器を反転させる反転機構の回転は垂直面で行われる。
【0005】
このため、把持部から離脱した食器を反転機構が受け取る動作を円滑かつ短時間で能率良く行うことは難しい。また、水平面で行われる把持部の旋回動は、食器移送方向に対して直交するので、特に食器の搬送ラインを複数設ける場合に、装置の奥行き寸法が大型化する。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、複数の食器が積み重ねられた食器列からの食器の分離の速度を、コンパクトな構成で洗浄レーン毎に個別に制御することができ、食器の洗浄処理能力の向上を図ることができる食器洗浄システム及び食器の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る食器洗浄システムは、複数の食器の表面側を上向きにして積み重ねた食器列を少なくとも上昇させる昇降手段と、前記昇降手段により上昇させた食器列の最上端にある食器を掴んで分離する分離手段と、前記分離手段により分離された食器の表裏面を反転して放出する反転手段と、前記反転手段により放出された食器を搬送手段により搬送しつつ洗浄する洗浄装置と、を備え、食器を上流側から前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段の順に下流側へと移載し、移載した食器を前記洗浄装置で搬送しつつ洗浄する食器洗浄システムであって、前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段、及び前記洗浄装置を制御する制御装置をさらに備え、前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段、前記洗浄装置を平面視で略直線状に配置し、複数の食器を下流側へ移載し搬送して洗浄する、1列の洗浄レーンを構成し、前記洗浄レーンは少なくとも2列並設され、前記制御装置は、前記分離手段により前記食器列から前記食器列の最上端の食器を単位時間あたりに分離する個数を、前記各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係る食器の洗浄方法は、複数の食器の表面を上向きにして積み重ねた一つの自立した食器列の最上端にある食器を、順次掴んで前記食器列から分離し反転する分離反転工程と、前記分離反転工程により反転され放出された食器を搬送しつつ、少なくとも食器の表面側にノズルから洗浄水を噴射して食器を洗浄する洗浄工程と、を含み、前記分離反転工程、前記洗浄工程の順に実行する洗浄レーンを少なくとも2列並設し、前記分離反転工程で前記食器列から最上端にある食器を単位時間あたりに分離する個数を各洗浄レーンで個別に制御することにより、前記各洗浄レーンで単位時間当たりに洗浄する食器の数を調整することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る食器洗浄システム及び食器の洗浄方法によれば、複数の食器が積み重ねられた食器列の最上端の食器を単位時間あたりに分離する個数を、コンパクトな構成で、食器の材質、食器の汚れの量や質に合わせて洗浄レーン毎に個別に制御でき、食器の洗浄処理能力の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る食器洗浄システムの基本的な構成図。
【
図3】同食器洗浄システムの浸漬装置を示す平面図。
【
図4】同浸漬装置の食器列の搬入側(食器列搬送方向の上流側)の斜視図。
【
図5】同浸漬装置の食器列の搬入側(食器列搬送方向の上流側)の一部拡大斜視図。
【
図6】同浸漬装置における食器列へ浸漬水を供給し浸漬する状態を示す正面図。
【
図7】同浸漬装置の食器列の搬出側(食器列搬送方向の下流側)の斜視図。
【
図8】同浸漬装置の搬送手段上の食器列の配置を示す部分平面図。
【
図9】同浸漬装置の搬送手段上の食器列の搬送状態を示す側面図。
【
図10】同浸漬装置の後工程に備える分離放出装置とこれを含む分離反転装置の斜視図。
【
図11】(a)は同分離放出装置の昇降手段の斜視図、(b)は同分離放出装置の分離手段の斜視図、(c)は同分離反転装置の反転手段の斜視図。
【
図12】(a)は同分離手段の掴みチャックを下方から見た斜視図、(b)は(a)のA-A線断面図、(c)は(a)のB-B線断面図、(d)は(a)のC-C線断面図。
【
図13】(a)~(e)は同分離放出装置の掴みチャックの動作を時系列に示す正面図。
【
図14】(a)は同昇降手段の受枠に食器がある状態での食器センサーによる検知状態を示す側面図、(b)は同昇降手段の受枠に食器が無い状態での食器センサー、受枠センサーによる検知状態を示す側面図。
【
図15】(a)~(c)は同分離放出装置の昇降手段、掴みチャック及び反転手段の動作を時系列に示す側面図。
【
図16】(a)~(c)は同分離反転装置の反転手段の動作を時系列に示す側面図。
【
図17】同分離反転装置における各種センサーの配置を正面左上方から見た斜視図。
【
図18】同分離反転装置における各種センサーの配置を理解し易くするために構成要素を非描画にした斜視図。
【
図19】同分離反転装置における各種センサーの配置を正面右上方から見た斜視図。
【
図20】本発明の実施形態2に係る食器洗浄システムの基本的な構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
請求項1に記載の発明は、複数の食器の表面側を上向きにして積み重ねた食器列を少なくとも上昇させる昇降手段と、前記昇降手段により上昇させた食器列の最上端にある食器を掴んで分離する分離手段と、前記分離手段により分離された食器の表裏面を反転して放出する反転手段と、前記反転手段により放出された食器を搬送手段により搬送しつつ洗浄する洗浄装置と、を備え、食器を上流側から前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段の順に下流側へと移載し、移載した食器を前記洗浄装置で搬送しつつ洗浄する食器洗浄システムであって、前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段、及び前記洗浄装置を制御する制御装置をさらに備え、前記昇降手段、前記分離手段、前記反転手段、前記洗浄装置を平面視で略直線状に配置し、複数の食器を下流側へ移載し搬送して洗浄する、1列の洗浄レーンを構成し、前記洗浄レーンは少なくとも2列並設され、前記制御装置は、前記分離手段により前記食器列から前記食器列の最上端の食器を単位時間あたりに分離する個数を、前記各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、複数の食器が積み重ねられた食器列の最上端の食器の単位時間あたりの分離処理数を、コンパクトな構成で、食器の材質、食器の汚れの量や質に合わせて洗浄レーン毎に個別に制御でき、食器の洗浄処理能力の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、制御装置は、洗浄装置に有する搬送手段による食器の搬送速度を、各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、洗浄レーン毎に、食器に付着した汚れの量や質に応じて食器を洗浄水に接触させる時間を個別に制御して効果的に洗浄でき、また、単位時間当たりの食器の洗浄処理数を調整することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、昇降手段よりも上流側にあり、複数の食器の表面側を上向きにして積み重ねた食器列を前記昇降手段へと間欠搬送する搬送手段と、前記搬送手段により間欠搬送される食器列に浸漬水を噴射するノズルとを有し、前記食器列に積み重ねられた複数の食器に前記ノズルから浸漬水を噴射して、前記食器列に積み重ねられた食器に貯水させることにより浸漬洗浄を行う浸漬装置を、さらに備えたことを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、食器を湿潤させて洗浄する浸漬洗浄をすることができ、洗浄効果が向上する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、制御装置は、浸漬装置の搬送手段の間欠搬送における停止時間を各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、洗浄レーン毎に、食器に付着した汚れの量や質に応じて食器を浸漬する時間を個別に制御して効果的に湿潤による浸漬洗浄ができ、また、単位時間当たりの食器の浸漬洗浄処理数を調整することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、制御装置は、昇降手段により食器列を上昇させる高さを各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、洗浄レーン毎に食器1枚の高さの違いに応じて食器列を上昇させる上昇高さを適正に個別に制御することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の発明において、分離手段は、食器を掴む掴みチャックを有したアームユニットを備え、前記アームユニットが所定角度傾斜した位置から略水平位置に回動したとき、前記掴みチャックが食器列の最上端にある食器を掴んで前記食器列から分離し、前記アームユニットが前記略水平位置から前記所定角度傾斜した位置に回動したとき、前記掴んで分離した食器を前記掴みチャックから放出することを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、コンパクトな構成で、食器列の最上端に位置する食器を分離、放出することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、制御装置は、分離手段のアームユニットを所定角度傾斜した位置から略水平位置まで回動させる速度を、各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、洗浄レーン毎に食器の衝撃耐久性に応じた適正な回動速度に制御して、食器の破損等を防止しつつ短時間で食器を分離することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の発明において、制御装置は、分離手段のアームユニットを略水平位置から所定角度傾斜した位置まで回動させる速度を、各洗浄レーンで個別に制御することを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、洗浄レーン毎に食器の重量や形状の違いに適した掴みチャックからの食器放出の速度にすることができる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項6~8のいずれか1項に記載の発明において、反転手段は、分離手段により分離され放出された食器の表面側を上向き状態で収納する収納空間を有する回転ドラムを備え、前記回転ドラムの回転駆動軸を前記分離手段のアームユニットの回動支点とし、前記回転ドラムの間欠回転により、前記収納空間に収納した食器の表面側を上向き状態から下向き状態に反転させ、前記収納空間から自重落下させて放出することを特徴とする食器洗浄システムである。
これにより、分離放出された食器を上向き状態から下向き状態に反転させることが、コンパクト化した構成でもって可能となる。
【0020】
請求項10に記載の発明は、複数の食器の表面を上向きにして積み重ねた一つの自立した食器列の最上端にある食器を、順次掴んで前記食器列から分離し反転する分離反転工程と、前記分離反転工程により反転され放出された食器を搬送しつつ、少なくとも食器の表面側にノズルから洗浄水を噴射して食器を洗浄する洗浄工程と、を含み、前記分離反転工程、前記洗浄工程の順に実行する洗浄レーンを少なくとも2列並設し、前記分離反転工程で前記食器列から最上端にある食器を単位時間あたりに分離する個数を各洗浄レーンで個別に制御することにより、前記各洗浄レーンで単位時間当たりに洗浄する食器の個数を調整することを特徴とする食器の洗浄方法である。
これにより、複数の食器が積み重ねられた食器列の最上端の食器を分離する速度を、食器の材質、食器の汚れの量や質に合わせて洗浄レーン毎に個別に制御でき、食器の洗浄処理能力の向上を図ることができる。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、洗浄工程で搬送する食器の搬送速度を各洗浄レーンで個別に制御することにより、前記各洗浄レーンで食器1枚あたりの洗浄時間を調整することを特徴とする食器の洗浄方法である。
これにより、洗浄レーン毎に、食器に付着した汚れの量や質に応じて食器を洗浄水に接触させる時間を個別に制御して効果的に洗浄でき、また、単位時間当たりの食器の洗浄処理数を調整することができる。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の発明において、分離反転工程の前に、複数の食器の表面を上向きにして積み重ねた食器列を搬送しつつ、前記食器列に浸漬水を供給し、互いに隣り合う食器間の隙間に貯水して食器に付着している汚れ成分に水分を与えて湿潤させる浸漬工程を含み、前記分離反転工程、前記洗浄工程の順に実行する洗浄レーンは、さらに前記浸漬工程を実行することを特徴とする食器の洗浄方法である。
これにより、食器を湿潤させて洗浄する浸漬洗浄をすることができ、洗浄効果が向上する。
【0023】
(実施形態1)
以下、本発明の一実施形態に係る食器洗浄システム及び食器の洗浄方法について
図1~
図19を参照して説明する。さらに、実施形態2の食器洗浄システムを
図20~
図21を参照して説明する。
【0024】
先ず、本発明の一実施形態に係る食器洗浄システム100の基本的な構成を
図1、
図2を参照して説明する。本発明の一実施形態における食器洗浄システム100は、大きく分けて下記の各要素系(1)~(5)により順次構成されている。
【0025】
(1)複数の食器Wの表面を上向きにして積み重ねた食器列WRを搬送しながら浸漬水を供給し、この浸漬水により複数の食器Wに付着した汚れ成分を湿潤させる浸漬工程を実行する浸漬装置200
(2)前記浸漬装置200により浸漬水で所定時間浸漬された食器列WRを上昇させる昇降手段400、及び前記昇降手段400と連動して食器列WRから順次個々の食器Wを分離し放出する分離手段500を備えた分離放出工程を実行する分離放出装置300と、
前記分離放出装置300により分離し放出された食器Wの表裏面を反転させる分離反転工程を実行する反転手段700と、
を備えた分離反転装置600
(3)前記分離反転装置600から放出された個々の食器Wを搬送しながら表裏面に洗浄水を噴射して洗浄する洗浄工程を実行する洗浄装置800
(4)前記洗浄装置800で洗浄された個々の食器Wを所定枚数(個数)積み重ね、かつ所定枚数(個数)積み重ねた食器Wを押し出して取り出しを可能とする食器整理工程を実行する食器整理装置900
(5)前記浸漬装置200、昇降手段400、分離手段500、反転手段700、洗浄装置800、及び食器整理装置900を制御する制御装置1000
【0026】
前記浸漬装置200、昇降手段400、分離手段500、反転手段700、洗浄装置800、及び食器整理装置900の各々は、被洗浄物である食器W(食器列WRを含む)の搬入側(食器搬送方向の上流側、投入側)から搬出側(食器搬送方向の下流側、取り出し側)への搬送方向に沿って略直線状に配置して1列の洗浄レーンSRを構成している。
【0027】
本実施形態では、洗浄レーンSRは2列並設されており、上記各要素系は、2列並設される洗浄レーンSRである第1の洗浄レーンSR1、第2の洗浄レーンSR2毎に、制御装置1000により個別に制御可能とされている。なお、洗浄レーンSRは、3列以上並設されてもよい。
【0028】
なお、食器洗浄システム100の範囲としては、浸漬装置200を備えることなく、食器列WRを昇降手段400に搬入するタイプであってもよい。また、食器整理装置900を備えることなく、洗浄装置800から搬出される個々の洗浄後の食器Wを作業者が別設の作業台に移して積み重ねて整理するタイプであってもよい。
【0029】
つまり、食器洗浄システム100は、少なくとも、食器Wを上流側から昇降手段400、分離手段500、反転手段700の順に下流側へと移載し、移載した食器を洗浄装置800で搬送しつつ洗浄するものを意図している。また、各洗浄レーンSR1、SR2は、少なくとも、順に昇降手段400、分離手段500、反転手段700、及び洗浄装置800により構成されているものを意図している。
【0030】
食器洗浄方法としては、分離反転工程、洗浄工程の順に実行する洗浄レーンを少なくとも2列並設したものを意図している。また、食器列WRを事前に浸漬洗浄する点で、浸漬工程を備えていることが好ましい。食器整理工程は、洗浄工程で洗浄された個々の食器Wを所定枚数積み重ね、かつ所定枚数積み重ねた食器Wを押し出す作業の自動化を図る点で備えていることが好ましい。
【0031】
なお、
図6、
図11~
図16は、代表的に洗浄レーンSR1のみを記載しているが、洗浄レーンSR2も同様の構成となっている。
【0032】
また、符号において、搬送手段201、チェーンコンベア203、モータ(駆動源)207、駆動軸209、セット枠212、食器列投入スイッチ230、最終食器列投入スイッチ231、最終食器列解除スイッチ232、モータ(駆動源)402、アームユニット501、モータ(駆動源)521、回転ドラム701、搬送手段801、コンベア802、及び食器列WRで、第1の、と付された符号は第1の洗浄レーンSR1に属し、第2の、と付された符号は第2の洗浄レーンSR2に属するものを示している。
【0033】
次に、食器洗浄システム100を構成する各要素系を順次説明する。
【0034】
食器洗浄システム100を構成する各要素を、食器Wの搬入側から搬出側への搬送方向に沿って略直線状に配置して1列の洗浄レーンSRを構成している。本実施形態においては洗浄レーンSRを食器W(浸漬装置200においては食器列WR)の搬送方向と直交する方向に少なくとも2列の洗浄レーンSR1、SR2を並設した例を説明する。洗浄レーンSR1、SR2の範囲内として、浸漬装置200は浸漬レーンとして位置付けされる。
【0035】
【0036】
図1に示すように、浸漬装置200は、食器Wの表裏面への洗浄水の噴射による洗浄工程を実行する洗浄装置800の前工程として、複数の食器Wの表面側を上向きにして積み重ねた食器列WRを搬送しながら浸漬水を供給し、この浸漬水により複数の食器Wに付着した汚れ成分を湿潤させる浸漬工程を実行する装置である。
【0037】
浸漬装置200は、洗浄レーンSR1、SR2に亘って設けられる浸漬水供給手段220、及び洗浄レーンSR1、SR2毎に設けた搬送手段201である第1の搬送手段(搬送手段)201aと第2の搬送手段(搬送手段)201bを備える。制御装置1000(
図2参照)は、各洗浄レーンSR1、SR2の搬送手段201a、201bで、間欠搬送による停止時間を個別に制御する。
【0038】
図7及び
図9に示すように、搬送手段201は、食器列WRである第1の食器列WR1、第2の食器列WR2の搬送方向に所定ピッチ毎に食器列WRの最下端にある食器Wの側面に係止する凸部材204を装着した無端状のチェーンコンベア203である第1のチェーンコンベア203a、第2のチェーンコンベア203bを有し、それぞれのチェーンコンベア203は食器搬送方向の上流側と下流側とで、スプロケット208に懸架されている。
【0039】
チェーンコンベア203のスプロケット208のうち、食器搬送方向の下流側のスプロケット208は、駆動軸209である第1の駆動軸209a、第2の駆動軸209bがスプロケット、チェーン等(図示なし)を介してモータ(駆動源)207である第1のモータ(駆動源)207a、第2のモータ(駆動源)207bに接続される。
【0040】
さらに、搬送手段201は、チェーンコンベア203の両サイドに、食器列WRの最下端にある食器Wの底部を支持し、食器列WRの重量を受ける一対の支持レール205、食器列WRの最下端にある食器Wの側面位置を規制する一対のガイドレール206を有し、支持レール205間をチェーンコンベア203が回動するように構成されている。支持レール205、ガイドレール206は、最下端にある食器Wの摺動抵抗を少なくするため、少なくとも食器Wとの接触面は滑り性の良い樹脂(滑り材)を用いる。
【0041】
洗浄レーンSR1、SR2のうち、例えば第1の洗浄レーンSR1に設けた第1の搬送手段201aの第1のチェーンコンベア203aは、上流側と下流側との二つのスプロケット208に懸架されているとともに、下流側のスプロケット208の回転軸である第1の駆動軸209aが第1のモータ(駆動源)207aによって回転することにより回動する。第2の洗浄レーンSR2についても構成は第1の洗浄レーンSR1と同様である。
【0042】
図7及び
図8に示すように、洗浄レーンSR1、SR2に備えたチェーンコンベア203が回動すると、所定ピッチごとに有した凸部材204が自立した食器列WRの最下端にある食器Wの側面に係止される。食器列WRの最下端にある食器Wの底部(底面)は、その側面位置を一対のガイドレール206により規制されながら、一対の支持レール205上を押動されて摺動し、食器列WRは搬送方向に搬送される。これにより、食器列WRはその搬送方向、及び搬送方向と直交する水平方向の位置を所定の位置に保持されるとともに、食器列WRの自立姿勢を安定化させて搬送することができる。
【0043】
学校給食を例にとると、被洗浄物である食器Wとしては表面側に凹部を有し、この表面側に食品を盛り付ける椀、皿等の種類があり、これらはその用途に応じて丸形、四角等の形状、及び外径、高さ(凹部の深さ)等のサイズの異なる種類の複数の食器を使用することが一般的である。例えば、ご飯、みそ汁等には椀を、おかず等の副食には凹部のより浅い皿を用い、トレイに椀2個と皿2個とを載せ生徒一人分として給食に提供されるものである。また、これらの食器Wは1クラス毎にまとめて食器篭に入れて搬送される。
【0044】
食器列WRの搬入側から搬出側への搬送方向に沿って搬送手段201a、201bを略直線状に配置した2列の洗浄レーンSR1、SR2を並設した本実施形態においては、例えば、第1の洗浄レーンSR1には丸形状の碗である第1の食器列WR1を、第2の洗浄レーンSR2には丸形状の皿である第2の食器列WR2を搬入して浸漬工程を実行する。
【0045】
また、各洗浄レーンSR1、SR2に搬入する食器Wは、洗浄レーン毎に略同一の形状であり、さらに食器Wに形成された凹部の開口部の外周縁の外径のサイズが略同一のものを用いる。そして、これら略同一の形状であり略同一のサイズの食器Wの表面を上にして複数個積み重ねて食器列WRとする。したがって各洗浄レーンSR1、SR2の食器列WR1、WR2の高さは、積み重ねる食器Wの個数を同一としても各々異なる場合がある。
【0046】
各洗浄レーンSR1、SR2において、積み重ねる食器Wの個数は、例えば20個を最大数として食器列WR1、WR2を形成する。これは食器列WRがガイド棒等を必要とすることなく支持レール205上に自立して縦方向の姿勢を維持するとともに、チェーンコンベア203の食器列WRの最下端にある食器Wの側面に係止する凸部材204によって間欠搬送される際に安定した縦方向の姿勢を維持できることを条件として設定する。また、食器列WRの総重量、サイズ(特に高さ)等から積み重ね、移動、運搬時等の作業者の作業性、安定性等についても考慮し設定する。なお、積み重ねる食器Wの個数は一例であってこれに限定するものではない。
【0047】
なお、特に学校給食においては喫食時に使用するトレイ、箸、スプーン等の洗浄ラインを食器洗浄システム100に並設することが好ましい。
【0048】
図8に示すように、各洗浄レーンSR1、SR2での搬送方向における食器列間ピッチD(食器列WRの中心軸線間の距離)は、互いに隣り合う積み重ねた食器Wの直径(外径)方向の外周縁部同士が接触せず、かつ積み重ねたときの食器列WRの中心軸線が多少のずれを生じても外周縁同士が接触しないように考慮して食器列WRの外周縁同士の間を、例えば10~20ミリメートル離間するように設定する。
【0049】
例えば食器Wの直径を200ミリメートルとし、食器列WRの外周縁部同士の間を例えば20ミリメートル離間させた場合、食器列間ピッチDは220ミリメートルとなる。なお、食器Wの直径、食器列間ピッチD、食器列WRの外周縁部同士の間隔等の寸法は一例であってこれに限定するものではない。
【0050】
また、洗浄レーンSR1、SR2の各々に異なる直径(外径)の食器Wを積み重ねた食器列WRを支持レール205上に載置して搬送する場合は、最も直径(外径)の大きい食器Wを積み重ねた食器列WRの食器列間ピッチDを基準として、この中心軸線に合わせて他の洗浄レーンの食器列WRの搬送方向と直交する方向の中心軸線を略同一とし、洗浄レーンSR1、SR2の食器列間ピッチDを略同一とする。
【0051】
そして、各々異なる直径(外径)の食器Wを積み重ねた食器列WRの洗浄レーンSR1、SR2の食器列間ピッチDを略同一とし、かつ食器列WRの搬送方向と直交する水平方向の中心軸線が略同一となるように、凸部材204が食器Wの側面を係止する搬送方向の位置を調整する。
【0052】
なお、洗浄レーンSR1、SR2毎に食器列間ピッチDは食器Wのサイズに合わせ、変更してもよい。食器列間ピッチDを最小とした場合は、浸漬装置に搬入することのできる食器の数を増やすことができる。これにより、1回の間欠搬送にかかる時間を短縮することができ、単位時間あたりに処理することのできる食器の数を最大化することができる。もしくは間欠搬送にかかる時間をそのままとして、浸漬時間を増やし、食器の洗浄力を向上させることができる。
【0053】
図9に示すように、洗浄レーンSRでは、下流側のスプロケット208は駆動軸209に固定されており、駆動軸209はモータ207により回転する。これにより、洗浄レーンSRのチェーンコンベア203を回動させ、搬送手段201上にある食器列WRを、食器列間ピッチDを1ピッチとして間欠搬送する。
【0054】
図19に示すように、アームセンサー(間欠搬送制御手段)211は洗浄レーンSR1、SR2にそれぞれ有し、間欠搬送されるチェーンコンベア203の停止位置を制御するために設けられ、チェーンコンベア203を回動させる下流側のスプロケット208の駆動軸209に固定されたアーム(間欠搬送制御手段)210の位置を検出するものである。アーム210が、例えば180度回転(半回転)する毎に、チェーンコンベア203は所定の食器列間ピッチD分(1ピッチ)だけ回動される。アームセンサー211は、磁気により検知する近接センサーを用いればよい。
【0055】
アーム210が回転しアームセンサー211に重なったとき、アームセンサー211の検知信号によりモータ207を停止させる。このアーム210、アームセンサー211により間欠搬送制御手段を構成する。なお、アームセンサー211は磁気により検知するものに限定されず光センサー等を用いてもよい。
【0056】
チェーンコンベア203の各々の停止位置における停止時間(浸漬タクトタイム)は例えば略30秒とし、食器列間ピッチD分(1ピッチ)だけ搬送する時間はごく短時間(例えば1秒)とする。
【0057】
また、一つの洗浄レーンSRには搬送手段201上の搬送方向に食器列WRを例えば14列載置し、食器Wを20個積み重ねた食器列WRとすれば浸漬装置200内の搬送手段201上には最大で合計280個の数の食器Wが存在し、順次間欠搬送される。2列の洗浄レーンSR1、SR2を並設した本実施形態では、各搬送手段201a、201b上に最大で合計560個の数の食器Wが存在し、順次間欠搬送される。これらの食器Wの総数を最大として後述する浸漬水供給手段220による浸漬水の供給を受け個々の食器Wが浸漬されることになる。
【0058】
一つの食器列WRは、浸漬装置200内において、搬送手段201上の搬送方向に食器列WRを例えば14列載置した場合、一つの食器列WRは浸漬装置200内において、14回の停止と搬送を繰り返す間欠搬送をすることになり、順次搬入される全ての食器列WRが同様の動作を繰り返すことになる。
【0059】
したがって、停止位置における停止時間を例えば30秒とした場合、一つの食器列WRは浸漬装置200内において、14回の停止回数と停止時間の30秒を乗じた値、すなわち少なくとも7分間に亘って浸漬水の供給を受けることになる。この7分間の浸漬時間に亘って食器Wに付着している汚れ成分が湿潤される。なお、搬送手段201上に載置する食器列WRの数、間欠搬送の停止時間、搬送する時間等は一例であってこれに限定されるものではない。
【0060】
なお、前記した浸漬時間は、搬送手段201上の搬送方向に載置される食器列WRの数(停止回数に相当)、間欠搬送時の停止時間によって、任意に調節、設定することができる。例えば停止時間を同じとした場合、食器列WRの数を増やせば浸漬時間が長くなり、食器列WRの数を減らせば浸漬時間が短くなる。また、食器列WRの数を同じとした場合は、停止時間を長くすれば浸漬時間が長くなり、停止時間を短くすれば浸漬時間が短くなる。
【0061】
すなわち、搬送手段201の間欠搬送による食器列WRの停止回数または停止時間により、食器Wに付着している汚れ成分に水分を与えて湿潤させる浸漬時間を設定することができる。食器Wに付着している様々な汚れ成分を十分に湿潤させるためには、種々の試験の結果少なくとも7分間の浸漬時間が必要であることが把握されているが、食器Wに付着している様々な汚れ成分の種類、汚れの付着量等から浸漬時間を最適に設定することができる。
【0062】
図4及び
図5に示すように、搬送手段201の搬入側には、支持レール205に食器WRを載置する際に食器WRの最下端にある食器Wの底部の位置を規制し、食器列WRを所定の位置に載置するための、上面視でU字状のセット枠212である第1のセット枠212a、第2のセット枠212bを設けている。
【0063】
セット枠212は、作業者の積み重ねた食器列WRのセット枠212上への載置を容易にすることができる。
【0064】
チェーンコンベア203がスプロケット208の径に応じた曲率をもってセット枠212のU字状の開口部を回動する。一対の支持レール205の上に食器列WRを載置したとき、チェーンコンベア203の凸部材204は載置された食器列WRの最下端にある食器Wの側面に係止した状態の位置にある。
【0065】
チェーンコンベア203の回動により凸部材204が一対の支持レール205上に載置された食器列WRの最下端にある食器Wの側面に係止して押動し、食器列間ピッチD分、間欠搬送する。
【0066】
図7に示すように、搬送手段201の搬出側(搬送方向下流側)に、食器列WRの最下端にある食器Wの底部を支持する上面視でU字状の受枠403を配置し、受枠403上の食器列WRの最下端にある食器Wの底面を支持する面と一対の支持レール205の上面とを略同一高さとし、かつ受枠403のU字状の開口側を一対の支持レール205側に位置させる。
【0067】
食器列間ピッチD分の間欠搬送により一対の支持レール205上に載置された食器列WRの最下端にある食器Wをチェーンコンベア203の凸部材204により一対の支持レール205上から受枠403上に押動して移載し、載置する。したがって、作業者が食器列WRを受枠403上に押し出す作業を不要とすることができる。
【0068】
受枠403には食器列WRの最下端にある食器Wの底面を支持する面と、食器Wの側面をガイドする面とを形成し、受枠403上に載置された食器列WRの位置を規制し、その自立した姿勢を安定化させる。
【0069】
チェーンコンベア203がスプロケット208の径に応じた曲率をもって受枠403のU字状の開口部を回動する。食器列間ピッチD分の間欠搬送によりチェーンコンベア203の凸部材204が食器列WRを受枠403上に移載、載置したとき、チェーンコンベア203の凸部材204は最下端にある食器Wの側面に係止した状態にあるが、後述する受枠403の上昇により凸部材204は食器列WRの最下端にある食器Wの側面から離れて離間して係止が解除される。
【0070】
なお、本実施形態においては、受枠403は、浸漬装置200の次工程である分離放出装置300を構成する昇降手段400に有するものであるが、受枠403と同様の基本構成の、食器列WRを受けて載置できる別部材(図示なし)を、昇降手段400とは関連させないで浸漬装置200の搬出側に設置し、この別途設置した受枠に移載、載置された食器列WRを作業者が取り出し、個々の食器Wに分離して洗浄装置800に搬入する構成とすることもできる。
【0071】
また、受枠403を支持レール205から離れる方向にスライドさせて凸部材204が食器列WRの最下端にある食器Wの側面から離れて係止が解除されるように構成し、受枠403に移載、載置された食器列WRを作業者が取り出し、個々の食器Wに分離して洗浄装置800に搬入する構成とすることもできる。
【0072】
各洗浄レーンSR1、SR2において、各部材や各部の調整を行うことにより、食器Wの形状、サイズ等に対応させて一対の支持レール205の間隔、及び一対のガイドレール206の間隔を変えるとともに、セット枠212、受枠403もこれに合わせて変える。
【0073】
図9に示すように、各洗浄レーンSR1、SR2のそれぞれの搬入側には、食器列投入スイッチ230である第1の食器列投入スイッチ230aと第2の食器列投入スイッチ230bを設けている。作業者は、洗浄レーンSR1、SR2の一対の支持レール205上に食器列WR1、WR2を載置した後、食器列WR1、WR2を載置した洗浄レーンSR1、SR2に対応する食器列投入スイッチ230a、230bを操作する。
【0074】
この操作により、搬送手段201a、201bの各々に対応するモータ207a、207bを駆動し、対応するチェーンコンベア203a、203bを回動させて食器列間ピッチDの1ピッチ分搬送する。続いて、次の食器列WR1、WR2を一対の支持レール205上に載置した後、各洗浄レーンSR1、SR2に対応する食器列投入スイッチ230a、230bを操作する。このような操作を順次繰り返す。
【0075】
なお、駆動軸209a、209bを1本の駆動軸209とし、駆動軸209に洗浄レーンSR1、SR2それぞれの下流側のスプロケット208を固定して1つのモータ207により回転し、搬送手段201a、201bを連動駆動させてもよい。その場合、搬送手段201a、201bの搬入側に設置された1つの食器列投入スイッチ230を操作して、搬送手段201a、201bを連動させて同時に駆動させることができる。これにより、食器列投入スイッチ230を1回操作するだけで、搬送手段201a、201bの一対の支持レール205に載置した食器列WR1、WR2を一度に搬送することができる。
【0076】
また、例えば1日分(1ロット)の浸漬装置200に搬入する食器列WRが最終となったとき、この最終の食器列WRを一対の支持レール205上に載置した後は、各洗浄レーンSR1、SR2のそれぞれに対応した最終食器列投入スイッチ231である第1の最終食器列投入スイッチ231a、第2の最終食器列投入スイッチ231bを操作する。
【0077】
この操作により搬送手段201a、201bのモータ207a、207bを駆動し、チェーンコンベア203a、203bを回動させて食器列間ピッチDの1ピッチ分搬送する。この最終食器列投入スイッチ231a、231bを操作した後は、さらに最終の食器列WRが搬送手段201a、201b上で14回停止する間欠搬送を繰り返した後、15回目の食器列間ピッチDの1ピッチ分の搬送、停止により受枠403上に押動して移載、載置が完了するまで搬送手段201a、201bのモータ207a、207bの間欠駆動を継続する制御を行う。
【0078】
最終食器列投入スイッチ231a、231bを操作した一定時間後であっても、浸漬装置200に食器列WRを搬入する必要が生じた場合には、各洗浄レーンSR1、SR2のそれぞれに対応した最終食器列解除スイッチ232である第1の最終食器列解除スイッチ232a、第2の最終食器列解除スイッチ232bを操作し、一対の支持レール205上に食器列WRを載置した後、次に食器列投入スイッチ230a、230bを再操作することによって、前記動作を繰り返すことができるように構成、制御される。
【0079】
なお、食器列投入スイッチ230a、230b、最終食器列投入スイッチ231a、231b、最終食器列解除スイッチ232a、232bについては
図9に示し、これらに関する詳細な運転動作は後述する。
【0080】
(浸漬水供給手段の構成)
次に、
図3、
図4及び
図6を参照して浸漬水供給手段220を説明する。
【0081】
浸漬水供給手段220は、食器列WRの搬送方向で、食器列WRの上方で水平方向に配置された複数のノズル管221と、このノズル管221に浸漬水を下方に噴射する複数のノズル222を備え、ノズル管221は洗浄レーンSR1、SR2にある食器列WR1、WR2に亘って浸漬水を噴射できるように管長方向を食器列WRの搬送方向に対して直交する水平方向とし、かつ食器列WRの搬送方向に複数配置されている。
【0082】
また、食器列WRの搬送方向で、食器列WRの側方に配置された複数のノズル管223と、このノズル管223に浸漬水を側方に噴射する複数のノズル224を備え、ノズル管223は洗浄レーンSR1、SR2にある食器列WR1、WR2毎に浸漬水を噴射できるように管長方向を食器列WRと同方向(縦方向)とし、かつ食器列WRの搬送方向に複数配置されている。
【0083】
なお、ノズル管221に加えノズル管223を備えるようにしたが、ノズル管221のノズル222から円錐形状に浸漬水を噴射させることによって、食器列WRの側面に直接到達する浸漬水を形成させ、ノズル管223を省いてノズル管221のみを備える構成としてもよい。
【0084】
図1に示すように、浸漬水供給手段220は、搬送手段201の下方位置に浸漬水を所定量貯水するタンク225を配置し、タンク225内の浸漬水を、供給経路を介してノズル管221、223に供給するポンプ228を備える。ノズル管221の複数のノズル222、ノズル管223の複数のノズル224から噴射された浸漬水はタンク225内に落下して回収され循環使用する。
【0085】
また、後述する浸漬装置200の後工程として備える分離放出装置300の昇降手段400、分離手段500、反転手段700の回転ドラム701の下方位置で、これらの部分で食器Wから排水、落下する浸漬に使用された浸漬水を受ける水受け226、227を配置している。水受け226、227で受けた浸漬水はタンク225に順次落下し回収され循環使用する。
【0086】
なお、図示していないが、タンク225には浸漬水(例えば清水)を供給する経路と、タンク225内の浸漬水の水位を所定のレベルに保つための水位検出手段を備える。また、タンク225内の浸漬水の温度を所定の温度、例えば40~50度Cに昇温する加熱手段、洗剤を供給する洗剤供給手段、ポンプ228の吸入側に汚れ成分を除去するフィルタ等を備える。
【0087】
上記のような構成を備えることにより、浸漬水の昇温、洗剤供給によって食器Wに付着した汚れ成分の湿潤効果を向上させ、洗浄装置800での汚れ成分の除去をより確実なものとすることができる。また、フィルタによって、より清浄化した浸漬水をノズル222、224から噴射し、汚れ成分の湿潤効果をより向上させることができる。
【0088】
なお、図示していないが、搬送手段201、浸漬水供給手段220を覆う外郭部材(カバー)を設けてトンネル状として浸漬室を形成すれば、浸漬水の外部への飛散防止、浸漬水の放熱を抑制して温度低下を防ぐとともに、浸漬室を高湿度の状態として食器Wに付着した汚れ成分の湿潤効果を向上させ、洗浄装置800における汚れ成分の除去をより確実なものとすることができる。
【0089】
また、複数列の洗浄レーンSR1、SR2に亘って一つのタンク225、及びポンプ228を備えるものとし、ノズル管221は各洗浄レーンSR1、SR2にある食器列WR1、WR2に亘って浸漬水を噴射できるように管長方向を食器列WRの搬送方向に対して直交する水平方向とし、かつ食器列WRの搬送方向に複数配置されている。これによって、複数列の洗浄レーンSR1、SR2を構成しても、構成要素の共通化、簡略化、及び制御系統の統一化を図ることができる。
【0090】
(浸漬装置の運転動作)
次に、
図1、
図3及び
図6を参照して浸漬装置200の運転動作を説明する。実施形態に基づいて洗浄レーンを2列とした構成にて説明する。第1の洗浄レーンSR1と第2の洗浄レーンSR2とは、それぞれが個別に制御可能とされていて、食器Wの種類や食器Wの汚れの量や質に応じて効果的に浸漬を行うことができるように使い分けすることができる(詳細は後述)。
【0091】
(浸漬水充填ステップ)
先ず、タンク225内に浸漬水(例えば清水)を所定の水位レベルになるまで供給する。このとき必要に応じてタンク225内に浸漬水を供給した後、高温蒸気供給等による加熱手段により浸漬水の温度を所定の温度、例えば40~50度Cに昇温して、洗剤を供給する。
【0092】
(浸漬水噴射ステップ)
次に、ポンプ228を駆動しタンク225内の浸漬水を、供給経路を介してノズル管221、223に供給し、ノズル222、224から噴射を開始させる。ノズル222、224から噴射した浸漬水は、タンク225内に落下して貯水され循環使用する。
【0093】
(食器列支持レール載置ステップ)
この後、
図3および
図4に示す洗浄レーンSR1、SR2に予め所定個数、例えば20個を表面を上向きにして積み重ね、自立した各々の食器列WR1、WR2の最下端にある食器Wの底部の位置をセット枠212a、212bにより規制した状態で、搬送手段201a、201bの搬入側に有する支持レール205上に載置する。
【0094】
(食器列搬入開始ステップ)
最初に、洗浄レーンSR1、SR2毎に、浸漬装置200に搬入する食器列WR1、WR2の支持レール205上への載置が終了した後、食器列投入スイッチ230a、230b(
図9参照)を作業者が押動の操作を行い、この操作信号によって搬送手段201a、201bのモータ207a、207bが駆動を開始する。
【0095】
モータ207a、207bの駆動によりスプロケット208が回転し、各々のチェーンコンベア203a、203bが回動する。このときチェーンコンベア203a、203bに有する凸部材204が食器列WR1、WR2の最下段に位置する食器Wの側面に当接して、支持レール205上で食器列WR1、WR2を押動して搬送する。
このようにして、それぞれの洗浄レーンSR1、SR2で異なるタイミング、もしくは同じタイミングで、食器列WR1、WR2を浸漬装置200へと搬入する。食器列WRの搬入及びそれ以降の搬送は、洗浄レーンSR1、SR2毎に個別に行うことができる。
【0096】
(間欠搬送開始ステップ)
図5、
図6及び
図19に示すように、食器列WR1、WR2を支持レール205上で押動して搬送する際、駆動軸209a、209bとともに回転するそれぞれのアーム210が略180度回転して、アーム210の一方端側がアームセンサー211に近接する。近接したアーム210の一方端側をアームセンサー211が検知し、モータ207a、207bの駆動を所定の時間、例えば略30秒間停止するように制御する。
【0097】
そして、所定の時間だけ停止した後に、チェーンコンベア203a、203bを所定の距離、食器列間ピッチDだけ回動する。チェーンコンベア203a、203bが食器列間ピッチDだけ回動するのに略1秒要する。回動するチェーンコンベア203a、203bの有する凸部材204により搬送される食器列WR1、WR2は、支持レール205上を押動して搬送され、ノズル管221、223のノズル222、ノズル224から噴射される浸漬水の供給を受け始める。
【0098】
(食器列連続搬入ステップ・浸漬ステップ)
図1、
図5、
図8、
図9及び
図19に示すように、この後、再び支持レール205上に2番目に搬入する食器列WR1、WR2を載置する。載置を終了した後、食器列投入スイッチ230a、230bを作業者が押動の操作を行い、この操作信号によって搬送手段201a、201bのモータ207a、207bの駆動を開始させる。
【0099】
各々のチェーンコンベア203a、203bが回動し、チェーンコンベア203a、203bに有する凸部材204が食器列WR1、WR2の最下段に位置する食器Wの側面に当接して、支持レール205上で食器列WR1、WR2を押動して搬送する。このとき、アームセンサー211の検知による食器列間ピッチD分だけチェーンコンベア203a、203bが回動して、支持レール205上に所定の時間だけ停止する。以降、この作業、操作を順次繰り返す。
【0100】
最初の食器列WR1、WR2を支持レール205上に載置して、回動するチェーンコンベア203a、203bの有する凸部材204により押動して搬送した後に、2番目の食器列WR1、WR2を支持レール205に載置する。
【0101】
このとき、例えば、第1の洗浄レーンSR1で、最初の食器列WR1が支持レール205上で所定の時間、例えば30秒の間停止した後でなければ、食器列投入スイッチ230aが作業員により押動されたとしても、モータ207aの駆動は開始されない。すなわち、2番目の食器列WR1は支持レール205上で押動され、搬送されることはない。
【0102】
つまり、一つ前に押動して搬送した食器列WR1が支持レール205上で所定の時間以上停止した後に、第1の食器列投入スイッチ230aを作業員が押動した場合に、次の食器列WR1を支持レール205上で押動して搬送することができる制御(停止時間優先制御)を、制御装置1000にて行う。
【0103】
また、停止時間優先制御は、食器列WR1が停止する時間が所定の時間に満たないときに作業員により食器列投入スイッチ230aが押動されたときには、支持レール205上での食器列WR1の停止時間が所定の時間を経過した後、モータ207aの駆動が開始される。すなわち、2番目の食器列WR1は支持レール205上で押動され、搬送される。この停止時間優先制御は、第1の洗浄レーンSR1に限らず、第2の洗浄レーンSR2にても行う。
【0104】
このように、停止時間優先制御をした状態で、作業員が食器列投入スイッチ230a、230bを押動し、2番目以降の食器列WR1、WR2を支持レール205上で押動して搬送する。
【0105】
2番目の食器列WR1、WR2は、チェーンコンベア203a、203bに有する凸部材204が2番目の食器列WR1、WR2の最下段に位置する食器Wの側面に当接して、支持レール205上で押動して搬送する。このときアームセンサー211の検知により食器列間ピッチD分チェーンコンベア203a、203bが回動し、所定の時間停止する制御を行う。
【0106】
既に浸漬水の噴射を受けている最初の食器列WR1、WR2に続いて、2番目の食器列WR1、WR2は支持レール205上を押動して搬送され、ノズル管221、223のノズル222、224から噴射される浸漬水の供給を受け始める。
【0107】
搬入する3番目以降の食器列WR1、WR2も前記と同様の動作を繰り返し、順次食器列WR1、WR2の浸漬装置200への搬入(投入)を繰り返す。
【0108】
(最終食器列投入ステップ)
食器列WR1、WR2の浸漬装置200への搬入を順次繰り返し、例えば1日分(1ロット)の浸漬装置200に搬入する食器列WR1、WR2が最終となったとき、この最終の食器列WR1、WR2をセット枠212a、212b上に載置した後には、最終食器列投入スイッチ231a、231b(
図9参照)を操作する。この操作により搬送手段201a、201bのモータ207a、207bを駆動し、チェーンコンベア203a、203bを回動させて食器列間ピッチDの1ピッチ分搬送する。
【0109】
このとき、最終食器列投入スイッチ231a、231bを操作しても最初、及び2番目以降の食器列WR1、WR2の搬入と同様に、最終の食器列WR1、WR2の一つ前の食器列WR1、WR2が支持レール205上に所定の時間、例えば30秒だけ停止していなければモータ207a、207bの駆動を開始させないで30秒の停止時間経過後にモータ207a、207bの駆動を開始させる停止時間優先制御を行う。
【0110】
また、最終の食器列WR1、WR2の一つ前の食器列WR1、WR2が支持レール205上に所定の停止時間を経過していれば、即モータ207a、207bの駆動を開始させる。各々のチェーンコンベア203a、203bが回動し、凸部材204が最終の食器列WR1、WR2の最下段に位置する食器Wの側面に当接して支持レール205上で押動して搬送する。
【0111】
順次投入した食器列WR1、WR2は食器列間ピッチD分ずつ間欠搬送され、停止位置に14回停止しながら合計略7分間に亘って噴射される浸漬水の供給を受ける。したがって、浸漬水の供給を受ける浸漬装置200内に最大14列の食器列WR1、WR2の各々が存在することになる。
【0112】
最初の食器列WR1、WR2は、浸漬装置200内で浸漬水を受けながら14回の間欠搬送された後、次の間欠搬送(15回目)により受枠403上に移載される。この後、順次投入された食器列WR1、WR2も同様に14回の間欠搬送をされた後、次の間欠搬送により受枠403上に移載される。
【0113】
前記したように間欠搬送において、停止回数を14回、所定の停止時間を30秒とすれば各々の食器列WRは、最短でも略7分間に亘って噴射される浸漬水の供給を受け汚れ成分を湿潤させることになる。
【0114】
また、最終食器列投入スイッチ231a、231bを操作した一定時間後であっても、浸漬装置200に食器列WRを搬入する必要が生じた場合には、最終食器列解除スイッチ232a、232b(
図9参照)を押動操作し、支持レール205上に食器列WRを載置した後、次に食器列投入スイッチ230a、230bを押動操作することによって、食器列WRの搬入を繰り返すことができる。
【0115】
さらに、本実施形態においては、2列の洗浄レーンSR1、SR2を備えた例を説明したが、これに限定するものではなく、浸漬工程を実施すべき食器Wの状況に応じて、2列以上の任意の数の洗浄レーンSRを使用して、前記同様の食器列WRの搬入、間欠搬送、搬出の運転動作、制御を行えばよい。
【0116】
浸漬装置200に搬入した最終の食器列WR1、WR2が14回間欠搬送され、次の間欠搬送(15回目)により受枠403上に移載された後、チェーンコンベア203、ポンプ228の駆動を停止する。
【0117】
なお、チェーンコンベア203による食器列WR1、WR2の間欠搬送の制御方法において、浸漬工程の後工程である分離反転工程への受け渡しの制御については後述する。
【0118】
(搬送手段による搬送)
次に、
図4及び
図6を参照して、食器列WRの搬送手段201による搬送状態を説明する。浸漬装置200に搬入される食器列WR1、WR2の各々は、最下端にある食器Wの底部が一対の支持レール205上に載置されるとともに、最下端にある食器Wの両側面は一対のガイドレール206によって搬送方向と直交する水平方向の位置を規制され、さらにチェーンコンベア203に装着した凸部材204が最下端にある食器Wの搬送方向の側面(搬送方向上流側)に当接し、チェーンコンベア203の回動にともなって凸部材204により自立した食器列WRの全体を搬送する。このとき、食器列WRの全重量の掛かる最下端にある食器Wの底部が一対の支持レール205上を摺動し、さらに最下端にある食器Wの両側面は一対のガイドレール206に沿って摺動する。
【0119】
これによって食器列WRは、自立姿勢を維持するための例えば食器Wの外周縁部の3か所以上を支持するガイド棒等を用いることなく、一対の支持レール205、一対のガイドレール206に沿って安定した自立姿勢を維持したまま搬送することができる。
【0120】
また、食器列WRへ噴射した浸漬水が一対の支持レール205、一対のガイドレール206の摺動面を濡らして滑りやすくなり、食器Wとの摺動抵抗を減少させてより安定した自立姿勢を維持したまま搬送することができる。なお、一対の支持レール205、一対のガイドレール206の少なくとも食器Wとの摺動面は滑り性の良い樹脂等とすることによって、より一層食器Wとの摺動抵抗を減少させてより安定した自立姿勢を維持したまま搬送することができる。
【0121】
(浸漬装置による湿潤)
次に、
図6を参照して、浸漬装置200における食器列WRに噴射した浸漬水を供給し、食器Wに付着した汚れを湿潤させる状態を説明する。
【0122】
食器列WRの最上端の食器Wよりも上方にあるノズル管221のノズル222から下方に向けて噴射された浸漬水は、先ず最上端の食器Wの表面側(凹部)に貯水され、この貯水された浸漬水は食器Wの外周縁に沿って溢れ水として流下し、下方に位置する互いに隣り合う食器Wの外周縁の上下方向の間隔から積み重ねて互いに隣り合う食器W間の隙間に流入し、順次この隙間に貯水されていく。
【0123】
このとき、ノズル222から下方に向けて噴射された浸漬水の量をより多くした場合は、先ず最上端の食器Wの表面側(凹部)に貯水された後、外周縁から溢れて落下流束を形成し、各々の外周縁に沿って食器列WRの最下端の食器Wまで短時間で達する。この浸漬水の落下流束から分岐して下方に位置する互いに隣り合う食器Wの外周縁の間隔から積み重ねて互いに隣り合う食器W間の隙間に流入し、より短時間で貯水される。
【0124】
互いに隣り合う食器W間の隙間に流入し貯水されるとともに、連続して噴射される浸漬水によって互いに隣り合う食器W間の隙間に貯水した浸漬水の一部が常に入れ替わる状態となる。これによって汚れ成分の湿潤が促進されるとともに汚れの一部が剥離して除去される作用も生じ、予備洗浄作用も生じ食器洗浄システム100全体としての洗浄効果、洗浄効率をより高めることができる。
【0125】
ノズル管221のノズル222から浸漬水を下方に向けて広角度に噴射することによって、浸漬水の一部が食器列WRの側方側からも直接食器Wの全体の外周縁に達し、互いに隣り合う食器W間の各隙間への貯水がより早くなるとともに外周縁部の汚れの除去も促進される。
【0126】
さらに、縦方向のノズル管223のノズル224から浸漬水を食器列WRの側方から各食器Wに噴射する構成を加えた構成の場合は、浸漬水が食器列WRの側方側からも直接食器Wの全体の外周縁に達し、互いに隣り合う食器W間の隙間への貯水がより早くなるとともに外周縁部の汚れの除去も促進される。なお、縦方向のノズル管223は構成の簡略化を図る点から必要に応じて設ければよい。
【0127】
ノズル管221のノズル222から、またはノズル管223のノズル224から食器列WRに噴射された浸漬水は搬送手段201に流下した後、タンク225内に落下して貯水され再びポンプ228によって圧送され循環使用する。これによって、タンク225内に貯留させておく浸漬水の量を必要最小限とすることができ節水を図ることができる。またポンプ228の能力制御によって食器列WRに供給する浸漬水の供給量を最適に調節することができる。
【0128】
以上のように、本実施形態の浸漬装置200は、複数の食器Wを積み重ねて(例えば20個)食器列WRとし、この食器列WRを一つの洗浄レーンSRの搬送手段201上の搬送方向に複数(例えば14列)載置し、搬送手段201で搬送しながら食器列WRの互いに隣り合う食器W間に貯水した浸漬水によって食器Wに付着した汚れ成分を湿潤させる。
【0129】
このように上下方向の空間を活用して複数の食器Wを積み重ねて食器列WRを形成し、かつ搬送手段201上の搬送方向に食器列WRの外周縁部同士が接触せず、食器列WRの中心軸線が多少のずれを生じても外周縁同士が接触しないように考慮した距離だけ互いに離して複数の食器列WRを載置する。これにより、上下方向、食器列WRの搬送方向、及び搬送方向と直交する水平方向の必要な空間を最少として、この空間に食器Wを高密度に収納することができ、浸漬装置200全体をコンパクトに構成することができるとともに、設置する際の省スペース化を図ることができる。
【0130】
また、洗浄レーンSRを複数備えた浸漬装置200の構成とすれば、互いに隣り合う洗浄レーンSR間の食器列WRの搬送方向と直交する水平方向の必要な空間も最少として、この全体の空間に多数の食器Wを高密度に収納することができる。これによって、より多数の食器Wの浸漬を同時に行うことができ、浸漬装置200全体をコンパクトに構成することができるとともに、設置する際の省スペース化を図ることができる。
【0131】
従来は、食器Wの個々、または食器列WRを食器篭等に入れて浸漬槽に貯水した浸漬水中に所定時間に亘って水没させる浸漬方法が主であった。これに対して本実施形態の浸漬装置200においては、浸漬水中に水没させるのではなく、搬送手段201上の開放された大気中(空間、水中外)に複数の食器Wを積み重ねて食器列WRを形成し、これを搬送しながら浸漬水を噴射し各々の食器列WRの互いに隣り合う食器W間に貯水した浸漬水によって、食器Wに付着した汚れ成分を湿潤させるものである。これにより、個々の食器Wの浸漬作用を安定化させるとともに、複数の食器Wの浸漬装置200への搬入、搬出の作業が簡略化され、作業性、安全性の向上が図れ、浸漬に必要な浸漬水が最小限となり節水を図ることができる。
【0132】
以上のように、本実施形態の浸漬装置200は、食器列WRを形成する複数の食器Wにノズル222から浸漬水を噴射して、食器列WRを形成する食器Wに貯水させることにより、食器Wに付着した汚れに水分を与えて湿潤させるために必要な時間を十分確保しつつ、コンパクト化、設置の省スペース化を図り、大量の食器Wの浸漬を可能とする。
【0133】
より詳細には、浸漬装置200の搬送手段201a、201bの搬入側に食器列WR1、WR2を載置して、食器列WR1、WR2を載置した洗浄レーンSR1、SR2の食器列投入スイッチ230a、230bを操作し、食器列WR1、WR2を搬入する。そして、搬送手段201a、201bの搬入側に食器列WR1、WR2を載置するたびに、随時、食器列投入スイッチ230a、230bを操作して食器列WR1、WR2を搬入する。
【0134】
このとき、制御装置1000により搬送手段201a、201bの個々の間欠搬送における停止時間を事前に設定しておくことにより、搬送する食器列WR1、WR2の食器Wの汚れの量や質に合わせて個々の搬送手段201a、201b毎に浸漬時間を制御することができる。
【0135】
例えば、第2の洗浄レーンSR2に搬入した食器列WR2の食器Wに付着した汚れよりも、第1の洗浄レーンSR1に搬入した食器列WR1の食器Wに付着した汚れが多量であり、浸漬洗浄の時間を長くしたい場合がある。その場合には、第2の搬送手段201bの間欠運転における所定の停止時間より、第1の搬送手段201aの間欠運転における所定の停止時間を長くし、食器Wに付着した汚れに水分を与えて長い時間をかけて湿潤させ、洗浄効果を向上させることができる。
【0136】
また、第2の洗浄レーンSR2に搬入した食器列WR2の食器Wに付着した汚れよりも、第1の洗浄レーンSR1に搬入した食器列WR1の食器Wに付着した汚れが軽微であるなどの場合で、より多くの食器Wを洗浄したい場合がある。その場合には、第2の搬送手段201bの間欠運転における所定の停止時間より、第1の搬送手段201aの間欠運転における所定の停止時間を短くし、食器Wの単位時間当たりの処理数を増やすことができる。
【0137】
このように、洗浄レーンSR1、SR2毎に、食器Wに付着した汚れの量や質に応じて食器Wを浸漬する時間を制御して湿潤による洗浄効果を高めることができる。または、単位時間当たりの食器Wの浸漬洗浄処理数を増やすことができる。
【0138】
なお、浸漬装置200は、所定の載置位置、例えば支持レール205上のセット枠212により食器列WRが規制される位置に食器列WRを載置したことを検知する、例えば光センサーである食器列センサーを備えていてもよい。
【0139】
例えば、第1の洗浄レーンSR1に食器列センサーを備えるように構成し、制御装置1000による停止時間優先制御をしつつ、かつ所定の時間、例えば5秒以上、所定の載置位置に食器列WR1を載置することにより、搬送手段201aにより食器列WR1を食器搬送方向の下流側へと搬送する。また、第2の洗浄レーンSR2でも同様に構成し、同様の制御を行うことにより、搬送手段201bにより食器列WR2を食器搬送方向の下流側へと搬送する。
【0140】
これにより、所定の載置位置に食器列WRを載置するたびに食器列投入スイッチ230の操作をする必要がなくなり、食器列WRの搬入における作業者の手間を省くことができる。さらに、最終食器列投入スイッチ231を操作した後に、所定の載置位置に食器列WRを載置したことを食器列センサーに検知させることで、最終食器列解除スイッチ232の押動操作をすることなく、食器列WRを搬送するようにしてもよい。
【0141】
なお、食器列センサーを備えた場合は、食器列投入スイッチ230、最終食器列解除スイッチ232を備えなくともよい。
【0142】
(分離反転装置の構成)
次に、
図1、
図2、
図9~
図19を参照して、浸漬装置200により浸漬水で所定時間浸漬された食器列WRを上昇させる昇降手段400と、昇降手段400と連動して食器列WRから順次個々の食器Wを分離し放出する分離手段500と、分離手段500により分離した食器Wの表裏面を反転させる反転手段700と、を備える分離反転装置600の構成を説明する。
【0143】
(昇降手段の構成)
図10及び
図11に示す食器列WRを上昇させる昇降手段400は、固定部材401に固定したモータ(駆動源)402である第1のモータ(駆動源)402aと第2のモータ(駆動源)402bと、このモータ402の回転軸と一体化されて回転する縦方向の昇降用ネジ棒404とを有する。さらに、食器列WRの最下端の食器Wが載置される受枠403と、受枠403と一体となった雌ネジ体403aが昇降用ネジ棒404と螺合して、昇降用ネジ棒404の回転により雌ネジ体403aを介して受枠403が昇降する。受枠403の上昇にともなって食器列WRの全体を上昇させる。
【0144】
なお、モータ402には、受枠403の上下方向の所定位置の設定の容易性、及び非駆動(非通電)時に昇降用ネジ棒404の回転を防止するブレーキ機構(図示なし)を内蔵したステッピングモータを用いることが好ましい。
【0145】
また、
図7に示すように、受枠403が昇降用ネジ棒404を中心軸として回動しないようにするため、食器Wの半周側に昇降用ネジ棒404と並行配置された2本のスライド軸(ガイド棒)405を有する。なお、スライド軸405の外周表面は食器Wの外周縁との滑り性、食器Wへのメタルマークの形成を防止するためスライド軸405の少なくとも外周表面は樹脂であることが好ましい。
【0146】
さらに、スライド軸405の外周表面は、受枠403上に食器列WRを載置したとき、及び昇降動作時に各食器Wの外周縁がスライド軸405の外周表面に沿って摺動し、食器列WRの自立姿勢を安定化させる機能を合わせ持つものである。
【0147】
受枠403は、前記したように浸漬装置200の搬送手段201の搬出側(搬送方向の下流側)に位置し、食器列WRの最下端にある食器Wの底部を支持する上面視でU字状として、食器列WRの最下端にある食器Wの底面を支持する面と一対の支持レール205の上面とを略同一高さとし、かつ受枠403のU字状の開口側を一対の支持レール205側に位置させる。食器列間ピッチD分の間欠搬送により一対の支持レール205上に載置された食器列WRの最下端にある食器Wにチェーンコンベア203の凸部材204が係止し、一対の支持レール205上から受枠403上に押動して移載、載置する。
【0148】
受枠403には食器列WRの最下端にある食器Wの底面を支持する面と、食器Wの側面をガイドする面を形成し、受枠403上に載置された食器列WRの位置を規制し、その自立した姿勢を安定化させる。
【0149】
また、受枠403が上昇にともなって食器列WRの全体を上昇させる際に食器列WRの自立した姿勢を維持するため、食器Wの半周側の外周縁を支持する2本のスライド軸405と対向する半周側に食器列ガイド406(
図15(a)を参照)を設け、これによって2本のスライド軸405と合わせ、受枠403の上の食器列WRの上昇時の自立した姿勢を維持するとともに、食器列WRの中心軸のずれを抑制することができる。
【0150】
さらに、
図10及び
図14に示すように、昇降手段400には、食器列間ピッチD分の間欠搬送により一対の支持レール205上に載置された食器列WRの最下端にある食器Wにチェーンコンベア203の凸部材204により一対の支持レール205上から受枠403上に押動して移載、載置する位置に受枠403があることを検知する受枠センサー(下降位置検知手段)407を設けている。この受枠センサー407は、例えば磁気式近接センサーを用い、受枠403と一体化されたセンサー感知部材403bと近接したときスイッチがON状態となり、食器列WRをチェーンコンベア203の凸部材204により一対の支持レール205上から受枠403上に押動して移載、載置してもよい位置であることを検知する。
【0151】
また、受枠403上に載置した食器列WRを上昇させ、後述する分離手段500により食器列WRの最下端の食器W(分離すべき最後の食器W)の受枠403からの分離が終了し、受枠403上の残食器Wの有無を検知する食器センサー(掴み位置検知手段)410が、受枠403上に残食器Wが無いことを検知した後、この位置から受枠403を所定距離上昇させて停止させ、この停止位置において受枠センサー(上限位置検知手段)408が受枠403と一体化されたセンサー感知部材403bと近接したときスイッチがON状態となり、モータ402を上昇させるときの昇降用ネジ棒404の方向の回転とは逆方向に回転させる制御を行い、受枠403を前記一対の支持レール205上から受枠403上に押動して移載、載置する下降位置まで下降させる。
【0152】
食器センサー410は、例えば、一対の発光素子と受光素子から構成され、食器Wが有りのとき受光素子への光が遮断され、食器Wが無しのとき受光素子へ光が到達することで、食器Wの有無を検知する光センサーである。なお、受枠センサー407、受枠センサー408、食器センサー410は、各洗浄レーンSR1、SR2に独立して設置された昇降手段400毎に設けられている。
【0153】
また、受枠403が、チェーンコンベア203の凸部材204により一対の支持レール205上から受枠403上に押動して移載、載置してもよい下降位置にあるとき、受枠403上の食器列WRの有無を検知する一対の発光素子と受光素子から構成された食器センサー409を各洗浄レーンSR1、SR2毎に設けている。この食器センサー409は、食器列WRの内、最下端の食器Wを検知し、各洗浄レーンSR1、SR2に設置された昇降手段400の受枠403上の食器Wの有無を各々検知する。
【0154】
受枠403が下降位置にあって、受枠403上に食器Wが無いことを食器センサー409が検知しているとき、制御装置1000によりモータ402を停止させておく制御を行う。
【0155】
また、下降位置にある受枠403上に食器Wが有ることを食器センサー409が検知しているとき、制御装置1000により、モータ402を駆動させて昇降用ネジ棒404を回転させ、受枠403を上昇させる制御を行う。これら、食器センサー409からの信号による制御装置1000の制御については後述する。
【0156】
上述したように、各洗浄レーンSR1、SR2では、搬送手段201a、201bにてそれぞれ個別のタイミングで食器列WRを間欠搬送することができる。その場合、各洗浄レーンSR1、SR2で受枠403に食器列WRが移載、載置されるタイミングが異なる。そのような場合でも、各洗浄レーンSR1、SR2で制御装置1000により昇降手段400を個別に制御することができるため、各洗浄レーンSR1、SR2ごとに食器列WRが受枠403に移載、載置されたタイミングで食器列WRを速やかに上昇させることができる。
【0157】
また、食器列WRの高さが、第1の食器列WR1と第2の食器列WR2とで異なる場合がある。さらに、同じ洗浄レーンSR1、SR2の中でも、先に搬入した一方の食器列WRと、後に搬入した他方の食器列WRとで、食器列WRの高さが異なる場合がある。つまり、各々の食器列WRに積み重ねた食器Wの数や、食器列WRに積み重ねた食器Wの形状が異なることで、各々の食器列WRの高さが異なる場合がある。
【0158】
具体的には、浸漬装置200に搬入された食器列WR同士で、食器Wの形状は同じで積み重ねた食器Wの数が異なる場合がある。また、積み重ねる食器Wの数が等しくても、例えば碗と皿など積み重ねる食器Wの1枚の高さが異なる場合や、食器Wを1枚積み重ねるごとに高くなる、食器列WRの高さの差分となる食器Wの積み重ねの間隔(積み重ね間隔)が異なる場合がある。すなわち、食器列WRを載置した受枠403を上昇させる高さが各洗浄レーンSR1、SR2で異なる場合がある。
【0159】
上記した昇降手段400の構成によれば、各洗浄レーンSR1、SR2で個別に食器列WRを上昇させる高さを制御することができるため、各洗浄レーンSR1、SR2で食器列WRを適切な高さに上昇させることができる。また、洗浄レーンSR1、SR2の各々に搬入した食器列WRの個々の高さが異なっていた場合にも、各々の食器列WRの高さに合わせて、受枠403の上昇させる高さを制御することができる。
【0160】
また、分離手段500により食器列WRの最上端の食器Wを分離した後に、食器W1枚あたりの略積み重ね間隔分だけ食器列WRを上昇させる必要があるが、そのときも、洗浄レーンSR1、SR2のそれぞれで所定の高さ、つまり食器W1枚あたりの略積み重ね間隔分だけ上昇させることができる。
【0161】
これにより、後述する分離手段500でより確実に食器列WRの最上端の食器Wを連続して安定して分離することができる。
【0162】
(分離手段の構成)
次に、
図10~
図12、
図15、
図17及び
図18を参照して、昇降手段400と連動して食器列WRの上から順次個々の食器Wを分離し放出する分離手段500の構成を説明する。分離手段500についても、洗浄レーンSR1、SR2毎に個別に制御可能に設けられている。
【0163】
図10、
図11(b)に示すように、分離手段500は、食器列WRの最上端の食器Wを分離するために回動するアームユニット501である、第1のアームユニット(アームユニット)501aと第2のアームユニット(アームユニット)501bを有し、これらのアームユニット501は、両サイドのアーム502、503の一方側を連結アーム504で連結して構成し、アーム502、503の略中間部には各々アーム軸受505を装着している。この各々アーム軸受505には支点軸506を貫通させ、軸受507に支持された支点軸506を回動支点としてアームユニット501が回動する。
【0164】
連結アーム504には、
図12に示すように、固定部材508、さらに固定部材508に固定部材509aが一体に固定されている。さらに、固定部材509bが収納本体511に連接して固定されている。
【0165】
固定部材509aには所定の長さを有する一対の収納本体511が固定され、この相対向する収納本体511の相対向する側の凹部内に摺動可能に可動爪512が収納されている。可動爪512の上面512a、下面512bを形成し、この上面512aと下面512b間に下方向に傾斜した傾斜面512cが形成されており、上面512a、下面512bが収納本体511の凹部内を摺動する。なお、後述するが上面512aと傾斜面512cとの頂点部が食器Wの相対向する外周縁の下側に入り込み掴んで分離するものである。
【0166】
なお、可動爪512の長手方向(摺動方向)の中心位置は、食器列WRの最上端の食器Wの中心軸線と略同一とさせている。
【0167】
収納本体511の凹部内にばね部材(付勢手段)513を収納し、可動爪512を相対向する方向(内側方向)に付勢する。なお、図示しないが、ばね部材513により可動爪512を相対向する方向(内側方向)に付勢したとき、可動爪512の摺動による移動距離を制限して収納本体511の凹部内に留めるストッパー部(図示なし)を収納本体511に備える。
【0168】
可動爪512の上面512aと対向する固定部材509aの下面には上ガイドレール(ガイドレール)514を有し、さらに上ガイドレール514は固定部材509bの長さまで位置している。また、固定部材509bには上ガイドレール514と対向して下ガイドレール(ガイドレール)515を設けている。上ガイドレール514と可動爪512の上面512aとの間隔、及び上ガイドレール514と固定部材509bに設けた下ガイドレール515との間隔に食器Wの相対向する外周縁が支持され摺動自在となる。
【0169】
図10に示すように、前記した一対の収納本体511、可動爪512、ばね部材513により各々掴みチャック510a、510bを構成し、掴みチャック510である第1の掴みチャック510a、第2の掴みチャック510bを洗浄レーンSR1、SR2に沿って並設している。
【0170】
洗浄レーンSR1、SR2毎に備える各々の掴みチャック510a、510bは、食器Wの形状、外周縁の径等に応じて各部材や各部の調整を行うことにより、相対向する収納本体511の相対向する側の凹部内を摺動可能にした可動爪512間の距離や、形状を変える。
【0171】
図10、
図11(b)に示すように、アームユニット501を回動させるアーム回動機構520は、アームユニット501a、501b毎に個別に制御可能に設けられている。アーム回動機構520の各々において、モータ(駆動源)521である第1のモータ(駆動源)521a、第2のモータ(駆動源)521bによりそれぞれ回転するモータ回転軸522に有するスプロケット523と、軸受525に支持された回転軸524に有するスプロケット526との間にチェーン527を懸架し、回転軸524を回転させる。回転軸524の両端部に所定長さの回転レバー(第2の連結部材)528の一端側を固定し、回転レバー528の他方端側は回転軸524を中心軸として回転する。なお、モータ521にはブレーキ手段を内蔵したステッピングモータを用いることが好ましい。
【0172】
回転レバー528の他方端側は所定長さの連結レバー(第1の連結部材)530の一方端側とジョイント(第3の回動支点)529により回動自在に連結されている。また、連結レバー530の他方端側は、アーム502、503の一方端側(掴みチャック510の反対側)とジョイント(第2の回動支点)531により回動自在に連結されている。さらに、アーム軸受505により支持された支点軸(回動支点軸、第1の回動支点)506を中心としてアーム502、503の掴みチャック510を有する他方端側が自由端として回動する。
【0173】
アーム502、503、支点軸506、連結レバー530、ジョイント531、回転レバー528、ジョイント529の各々によりリンク機構532を構成している。このリンク機構532によって、掴みチャック510を略水平位置から所定角度傾斜した位置までの所定の角度範囲(例えば略45度)で往復回動させるものである。動作については後述する。
【0174】
また、分離手段500には、
図15、
図17に示すように、固定フレーム533に支持固定され、各々の掴みチャック510a、510bに対応して押出し部材540を備える。この押出し部材540は、掴みチャック510a、510bで掴んだ食器Wの落下放出を促進させる機能を有する。
【0175】
モータ521、リンク機構532、軸受507、525等は、
図17に示す固定フレーム541に固定されている。
【0176】
図15、
図18に示すように、掴みチャック510で食器Wを掴んでアームユニット501が略水平位置から傾斜した位置に回動したとき、掴んだ食器Wが掴みチャック510の位置に残っているかの有無を検知する一対の発光素子と受光素子から構成された食器センサー(分離放出検知手段)550を設けている。この食器センサー550は、洗浄レーンSR1、SR2に有する掴みチャック510a、510bの各々に設置されている。
【0177】
アームユニット501が傾斜した位置で食器センサー550が掴みチャック510の位置に食器Wが無いことを検知し、アームユニット501を略水平位置に回動してもよいとの制御を行う。また、食器センサー550が掴みチャック510の位置に食器Wが有ることを検知したままのときは、アームユニット501を所定角度傾斜した位置で待機させるように制御を行う。
【0178】
図15に示すように、各々の昇降手段400の受枠403上に載置した食器列WRの最上端に位置する食器Wの表面側に注水する注水管570を設けている。この注水管570は、一端が最上端に位置する食器Wの表面側に向けて開口して位置し、他端は給水源(図示なし)に連通している。給水源としては、後述する洗浄装置800のポンプ813の吐出経路に連通させ、洗浄水(仕上げ洗浄水)の一部を供給させる構成となっている。
【0179】
なお、食器Wの表面側に注水する水としては、浸漬装置200のポンプ228の吐出経路に注水管570を連通させ、浸漬水の一部を供給してもよいし、上水道(水道水)経路に注水管570を連通させて清水を供給してもよい。
【0180】
(反転手段の構成)
次に、
図10、
図11、
図15を参照して、分離反転装置600に備える反転手段700の構成を説明する。
【0181】
図10、
図11(c)及び
図15に示すように、回転ドラム701は、洗浄レーンSR1、SR2のそれぞれに第1の回転ドラム701aと、第2の回転ドラム701bとを個別に有し、2つの回転ドラム701a、701bのそれぞれに支点軸506を挿通して、2つの回転ドラム701a、701bを個別に回転させることができるように構成している。
【0182】
回転ドラム701a、701bの各々には、側壁702、中心側から放射状に設けた複数の仕切壁703を有し、これらによって区画された複数の食器収納空間704を形成している。食器収納空間704は分離手段500から分離し放出された個々の食器Wを受け取り、回転ドラム701a、701bの回転により食器Wの表面側を下向きに反転させ、反転後の食器Wを食器収納空間704から自重落下させて放出する。また、食器収納空間704は回転ドラム701a、701bの円周方向に等分した位置に4個形成されている。
【0183】
食器収納空間704は収納される食器Wの外周縁の径、高さ(深さ)に応じて、2つの側壁702間の距離、中心側から放射状に設けた複数の仕切壁703間の距離によって各々最適寸法に設定する。また、食器収納空間704の円周方向の寸法は、ほぼ食器Wの全体が食器収納空間704内に入り込むよう設定する。
【0184】
次に、
図11を参照して、回転ドラム701を回転させるドラム駆動部705のうち、代表して第1の洗浄レーンSR1に設けた第1の回転ドラム701aを駆動させるドラム駆動部705について説明する。
【0185】
図11(c)に示すように、アーム回動機構520に有する第1のモータ521aのモータ回転軸522に固定したスプロケット706と、支点軸506に固定したスプロケット707とにチェーン708を懸架し、第1のモータ521aの回転により、
図15に示すように回転ドラム701を矢印方向に回転(右回転)させる。
【0186】
第1のアームユニット501aの往復回動と、回転ドラム701である第1の回転ドラム701aの間欠回転(例えば略45度ごと)とは、それぞれアーム回動機構520に有する第1のモータ521aを駆動源として、同期して駆動する。そして、第1のモータ521aを制御装置1000により制御して駆動させることにより、アームユニット501aを往復運動させ、それに同期して回転ドラム701aを間欠回転させる。
【0187】
第1の洗浄レーンSR1における第1の回転ドラム701aのドラム駆動部705は以上のように構成しており、第2の洗浄レーンSR2における第2の回転ドラム701bのドラム駆動部705も同様の構成となっている。つまり、第1の洗浄レーンSR1のドラム駆動部705と、第2の洗浄レーンSR2のドラム駆動部705とは、それぞれ個別に制御装置1000により制御されて駆動する。
【0188】
また、アームユニット501a、501bの支点軸506を、それぞれ第1の回転ドラム701aと、第2の回転ドラム701bとの各中心部に固定している。そのため、各回転ドラム701a、701bはそれぞれ支点軸506と一体となって回転する。
【0189】
また、回転ドラム701a、701bの回転により食器Wの表面側を下向きに反転させ、反転後の食器Wを食器収納空間704から自重落下させて放出する位置に食器落下ガイド710(
図15参照)を設けている。この食器落下ガイド710によって、放出された食器Wを食器収納空間704から次の工程である洗浄装置800のコンベア802上に安定した姿勢で移載することができる。
【0190】
また、食器落下ガイド710上に放出された食器Wが残っているかの有無を検知する一対の発光素子と受光素子から構成された食器センサー(反転放出検知手段)720(
図15(c)参照)を設けている。この食器センサー720は、第1の洗浄レーンSR1と、第2の洗浄レーンSR2とのそれぞれに個別に設けられ、食器落下ガイド710上の食器Wの有無の検知を行う。
【0191】
食器センサー720が食器落下ガイド710上に食器Wが無いことを検知したとき、アームユニット501が傾斜した位置から略水平位置への回動、及びアームユニット501と同期駆動される回転ドラム701の回転をしてもよいとの制御を行う。また、食器センサー720が食器落下ガイド710上に食器Wが有ることを検知したままのときは、アームユニット501が傾斜した位置から略水平位置への回動、及びアームユニット501と同期駆動される回転ドラム701の回転を開始しないようにする制御を行う。
【0192】
なお、本実施形態では、洗浄レーンSR1、SR2の回転ドラム701a、701bをそれぞれ1つ設けて個別に回転するよう構成したが、洗浄レーンSR1、SR2の回転ドラム701a、701bを連接し、一体化して構成してもよい。その場合、1つのモータ521を同一の駆動源として駆動させる。その場合、分離反転装置600の構成を簡素化することができる。
【0193】
なお、アームユニット501a、501bの所定角度傾斜した位置を変更できるよう、リンク機構532の部材を複数用意しておき、食器Wの種類に合わせて交換してもよい。
【0194】
(分離反転装置の動作)
次に、分離反転装置600の運転動作を説明する。
【0195】
(食器の分離放出工程、分離反転工程の準備ステップ)
図7に示すように、分離放出装置300を構成する昇降手段400に有する受枠403の位置は、食器列WRの最下端にある食器Wの底面を支持する面と一対の支持レール205の上面とを略同一高さとした下方に位置させた状態とする。この下方位置での停止状態(待機状態)は受枠403が浸漬装置200の一対の支持レール205上に載置された食器列WRの移載、載置を可能とする位置である。
【0196】
このとき、各洗浄レーンSR1、SR2に位置する各々の受枠403に設けたセンサー感知部材403bが受枠センサー407に近接しており、各々の受枠センサー407は、受枠403が前記下方位置に有ることを検知している。さらに食器センサー409は受枠403上に食器Wが無いことを検知している。これらによって、一対の支持レール205上に載置された食器列WRの受枠403への移載、載置を可能とする状態で待機している。
【0197】
次に、分離放出装置300を構成するアームユニット501、分離放出装置300に加え分離反転装置600を構成する回転ドラム701の基本的な待機状態を説明する。
【0198】
洗浄レーンSR1、SR2のそれぞれには、アームユニット501及び回転ドラム701を一つずつ有しており、洗浄レーンSR1、SR2毎に個別に制御される。
図15及び
図16は、代表として第1の洗浄レーンSR1について記載している。
【0199】
図15(c)及び
図16(c)において、掴みチャック510を有するアームユニット501は、所定角度(例えば略45度)傾斜した位置で待機する状態となっている。このとき、回転軸524に固定されたリンク機構532を構成する回転レバー528と連結レバー530のジョイント529の位置が下死点(最下点)にあり、連結レバー530の一方端とアーム502、503のジョイント531が押し下げられた下死点(最下点)にある。
【0200】
これによって、支点軸506を中心として掴みチャック510を有するアームユニット501の他方端側が押し上げられ、アームユニット501全体が傾斜した位置で待機状態となる。
【0201】
また、このとき、反転手段700の回転ドラム701は、掴みチャック510から落下放出される食器Wの受け入れを可能とする食器収納空間704が掴みチャック510と同方向である傾斜した位置で待機状態となっている。
【0202】
また、食器センサー550は、掴みチャック510a、510bの各々に食器Wが無いことを検知する。食器センサー720は、洗浄レーンSR1、SR2に有する食器落下ガイド710上に放出された食器Wが残っているかの有無を検知する(
図15(c)、
図19参照)。これらの食器センサー550、食器センサー720が、食器Wが無いことを検知しているとき、次の動作であるアームユニット501を傾斜した位置から略水平位置(食器Wの掴み位置)への回動を可能とする制御を行う。
【0203】
次に、掴みチャック510を有するアームユニット501、回転ドラム701の前記待機状態である所定角度傾斜した位置から略水平位置へ変化する状態を説明する。
【0204】
図11(b)及び
図15(a)に示すように、モータ521を駆動させ、チェーン527を介して回転軸524に固定された回転レバー528が回転し、回転レバー528と連結レバー530のジョイント529の位置が上死点(最上点)に変化し、連結レバー530の一方端とアーム502、503のジョイント531の位置が押し上げられて上死点(最上点)に変化する。
【0205】
これによって、支点軸506を中心として掴みチャック510を有するアームユニット501の他方端側が押し下げられ、アームユニット501全体が傾斜した位置から略水平位置に略45度回動した位置に変化する。
【0206】
また、このとき反転手段700の回転ドラム701の待機状態の位置にあった最初の食器収納空間704が略45度、
図15(a)に示す太線矢印方向に回転(右回転)し、次の食器収納空間704がアームユニット501と同方向の状態となっている。
【0207】
次に、食器列WRの最上端の食器Wから順次分離し放出、及び反転される動作を、
図10を参照して説明する。ここでは浸漬装置200において最初に搬入された食器列WR(一番目の食器列)が所定の浸漬時間を経過している状態として説明する。分離、放出及び反転の動作は、洗浄レーン毎に個別に制御される。
【0208】
(受枠上への食器列の移載、載置チェックステップ)
浸漬装置200から昇降手段400の受枠403上に食器列WRを移載、載置する前段階において、センサー感知部材403bが受枠センサー407に近接しており、受枠センサー407が、受枠403が下方位置に有ることを検知する。さらに食器センサー409が受枠403上に食器Wが存在していないことを検知する。これらによって、一対の支持レール205上に載置された食器列WRの受枠403への移載、載置を可能とする状態で待機する。
【0209】
(食器列移載、載置ステップ)
一対の支持レール205上に載置された食器列WRの移載、載置を可能とする下方位置にある受枠403上に、浸漬装置200のチェーンコンベア203を食器列間ピッチD分だけ間欠搬送して一対の支持レール205上に載置された食器列WR(一番目の食器列)を移載、載置する。
【0210】
チェーンコンベア203がスプロケット208の径に応じた曲率をもって、受枠403のU字状の開口部を回動する。食器列間ピッチD分の間欠搬送により、受枠403上に移載、載置された後は、受枠403が上昇するとき食器列WRの最下端にある食器Wの側面が、チェーンコンベア203の凸部材204から上方に離れて離間して係止が解除され、食器列WRは受枠403上に静止する。
【0211】
(食器列上昇、掴み位置停止ステップ)
洗浄レーンSR1、SR2毎に受枠403上に食器列WR1、WR2の移載、載置が終了したとき、食器センサー409が洗浄レーンSR1、SR2毎に、受枠403上に食器Wが存在していることを検知する。この検知信号によって、昇降手段400のモータ402を駆動し、受枠403を食器列WRとともに上昇させる。
【0212】
上昇させる過程で食器列WRの最上端に位置する食器Wを洗浄レーンSR1、SR2毎に食器センサー410が検知したときモータ402の駆動を停止し、食器列WRの最上端の食器Wの高さ方向の位置(掴み位置)を保持する。ここに、制御装置1000は、昇降手段400により食器列WRを上昇させる高さを各洗浄レーンで個別に制御する。これにより、洗浄レーン毎に食器1枚の高さの違いに応じて上昇高さを適正に制御することができる。
【0213】
(アームユニット水平位置への回動ステップ)
さらに、食器列WRの最上端に位置する食器Wを食器センサー410が洗浄レーンSR1、SR2毎に検知したとき、モータ521を駆動し掴みチャック510を有するアームユニット501が所定角度傾斜(例えば略45度)した位置で待機する状態からアームユニット501を略水平位置に回動させる。
【0214】
次に、
図13を用いて、アームユニット501が略水平位置に回動する過程、略水平位置に達したときにおける食器列WRの最上端に位置する食器Wの分離状態を説明する。
【0215】
(最上端の食器掴みステップ)
図13(a)、(b)に示すように、掴みチャック510に有する一対の可動爪512の傾斜面512cが最上端に位置する食器Wの相対向する外周縁に当接して押圧し始める。さらなる押圧によって可動爪512は付勢手段であるばね部材513の付勢力に抗して食器Wの外周縁から互いに離れる方向に後退していく。
【0216】
さらに、アームユニット501が回動し略水平位置に達して可動爪512の上面512aと傾斜面512cの頂点部が最上端に位置する食器Wの外周縁の下面を越えたとき、
図13(c)に示すように、可動爪512はばね部材513の付勢力によって内側(食器Wの外周縁に近づく方向)に押圧され、可動爪512の上面512aと傾斜面512cの頂点部が最上端に位置する食器Wの外周縁と直下の食器Wの外周縁との間に入り、最上端に位置する食器Wの外周縁の下面を支持して掴んだ状態となる。
【0217】
このとき、食器Wが浸漬水で濡れていることによって、食器Wの外周縁と可動爪512の特に傾斜面512cとの摺動抵抗が減少し、よりスムーズな掴み、分離動作を行うことができる。
【0218】
また、食器列WRの各食器W間に浸漬水が貯水され互いに隣り合う食器Wの上側に位置する食器Wは若干の浮力を受けており、一対の可動爪512の傾斜面512cが最上端に位置する食器Wの外周縁に当接して押圧するとき、貯水された浸漬水の緩衝作用により、押圧時の食器Wへの過度の押圧力を吸収し、食器Wの変形、破損を防止する作用効果を有する。
【0219】
(アームユニット傾斜位置への回動ステップ)
アームユニット501が回動し略水平位置で最上端に位置する食器W(一番目の食器W)を掴んだ後、アームユニット501を傾斜位置へ回動させることによって、
図13(d)に示すように、最上端に位置する食器Wを食器列WRから分離する。
【0220】
次に、アームユニット501が傾斜位置へと回動し、掴んで分離した食器Wを放出する過程を
図15、
図16を用いて説明する。
【0221】
(掴みチャックからの食器放出ステップ)
図15(b)、
図16(a)は、アームユニット501が略水平位置から次第に回動し、アームユニット501の傾斜角度が増していく過程を示し、掴みチャック510a、510bで掴んだ食器Wは自重により落下をし始める。さらに傾斜角度が増していくと、
図16(b)に示すように、食器Wは重力による落下力に加えて、掴みチャック510a、510bで掴んだ食器Wの外周縁が押出し部材540に当接摺動しながら回転ドラム701の各々の食器収納空間704側へ押し出される。
【0222】
(食器収納空間への放出、収納ステップ)
図15(c)、
図16(c)に示すように、アームユニット501が所定の傾斜角度に変化していくとき、掴んだ食器Wは、アームユニット501の傾斜と連動して回転する回転ドラム701の各々の食器収納空間704内へ落下して放出される。このとき食器センサー550は、掴みチャック510a、510bに食器Wが有ることを検知している状態から落下、放出によって食器Wが無いことを検知する状態となる。
【0223】
アームユニット501が傾斜位置から略水平位置へと回動するのと同期して、回転ドラム701は、
図15に示す太線矢印方向に45度右回転する。さらに、アームユニット501が略水平位置から傾斜位置へと回動するのと同期して、回転ドラム701は、
図15に示す太線矢印方向に45度右回転する。つまり、アームユニット501を傾斜した位置から略水平位置へ、略水平位置から傾斜した位置へ回動する1サイクル動作を行うと、これに同期して回転ドラム701は、
図15に示す太線矢印方向に90度右回転することとなる。
【0224】
特に、アームユニット501が略水平位置から傾斜位置へと回動するのと同期して、回転ドラム701は、
図15に示す太線矢印方向に45度右回転することにより、掴みチャック510から放出される食器Wが、アームユニット501が略水平位置から傾斜位置へと回動中のどのタイミングで放出されても、回転ドラム701の食器収納空間704で受け取ることができる。食器の種類、食器に付着している汚れ等により、掴みチャック510a、510bでの摺動状態が変化し、食器Wが放出されるタイミングが異なっても、放出される食器Wを確実に回転ドラム701の食器収納空間704で受け取ることができる。
【0225】
アームユニット501の傾斜位置への回動と連動、同期して回転ドラム701が回転するので、アームユニット501が所定の傾斜位置に達する過程において掴んだ食器Wの一部が自重落下をし始めても回転ドラム701の各々の食器収納空間704内へ収納可能な状態となっており、掴みチャック510a、510bで掴んだ食器Wの各々の食器収納空間704内への放出を安定化させるとともに、掴みチャック510a、510bから食器収納空間704内への放出、移載を極めて短時間で行うことができる。
【0226】
アームユニット501の傾斜位置への回動によって掴みチャック510a、510bで掴んだ食器Wが自重落下していく過程において、食器Wの相対向する外周縁は
図12(b)~(c)に示す可動爪512の上面512aと上ガイドレール514、さらに固定部材509bに有する下ガイドレール515と上ガイドレール514にガイドされて摺動する。したがって食器Wを安定して自重落下させていくことができる。
【0227】
さらにこのとき、食器W自体の重量に加え貯水した浸漬水の重量が加わり、総重量が増して重力による落下力が大きくなるとともに、食器Wの相対向する外周縁が可動爪512の上面512aと上ガイドレール514、さらに固定部材509bに有する下ガイドレール515と上ガイドレール514にガイドされて摺動しながら自重落下する際、食器Wは浸漬水で濡れていることによって摺動抵抗が減少する。これらによって、よりスムーズで安定した食器Wの自重落下をさせることができ、落下速度も増して放出時間を短縮させることができる。
【0228】
また、
図15(a)~(c)に示すように、各々の昇降手段400の受枠403上に載置した食器列WRの最上端に位置する食器Wの表面側に注水する注水管570を設けている。これより順次分離する最上端に位置する食器Wの表面側には浸漬装置200において貯水した浸漬水に加えて注水されることになり、食器Wの表面側の凹部は常に満水となって外周縁から溢れ水となって下方に位置する食器Wの外周縁に流下する状態となる。
【0229】
これによって、常に順次分離する最上端に位置する食器Wの表面側は満水状態となることから、食器W自体の重量に、貯水した浸漬水と注水管570からの注水した水の重量が加わり、総重量がさらに増して位置エネルギーが増大し、落下しようとする力が大きくなる。したがって、さらにスムーズで安定した食器Wの自重落下をさせることができ、落下速度も増して放出時間を短縮させることができる。また、比較的軽量な食器Wを用いた場合であっても、総重量が増してスムーズで安定した食器Wの自重落下をさせることができる。加えて、食器収納空間704に収納した食器Wが自重落下による勢いで回転ドラムの仕切り壁703に接触した後に跳ね返り、食器収納空間704から飛び出してしまうことを抑制することができる。そして、収納空間704への食器Wの納まりをよくすることができる。
【0230】
また、最上端に位置する食器Wの表面側の凹部は常に満水となって外周縁から溢れ水となって下方に位置する食器Wの外周縁に流下する状態となることから、分離放出工程においても食器列WRの互いに隣り合う食器W間の隙間に貯水されている浸漬水の流動、入れ替わりを促進して汚れ成分への浸漬作用の効果をより発揮させることができる。
【0231】
さらに、最上端に位置する食器Wの表面側の凹部は、継続して注水管570から供給された水が流動化することから、表面側の汚れ成分の一部を除去することができる。注水管570からは、後述する洗浄装置800のポンプ813の吐出経路に連通させ、汚れ成分を含まない仕上げ洗浄水の一部を供給することによって、食器Wの表面側の洗浄効果をより発揮させることができる。
【0232】
なお、分離放出工程において、注水管570からの注水により食器列WRの最上端の食器Wを満水にすることなく、アームユニット501により食器列WRから食器列WRの最上端の食器Wを分離してもよい。その場合、食器列WRの最上端の食器Wの外周縁からの下方への溢れ水はなくなるが、アームユニット501により分離した食器Wの重量には、浸漬装置200で浸漬水供給手段220から供給された浸漬水に加え、注水管570からの注水による水の重量も加わっているため、スムーズで安定した食器Wの自重落下をさせることができる。
【0233】
アームユニット501が略水平位置から傾斜した位置に回動するとき、アームユニット501の傾斜に合わせて食器Wが傾斜する。傾斜した食器Wは掴みチャック510を摺動して自重落下するとき、及び食器Wが掴みチャック510から放出されて回転ドラム701の食器収納空間704へ自重落下するときに、食器Wの表面側に貯水されている浸漬水は、傾斜した食器Wの下方となる表面側から少なくとも一部が排水される。この排水に伴なう浸漬水の流動によって、汚れの一部が除去される作用を生じる。なお、この排水は水受け226、227を介してタンク225へ流動する(
図1参照)。
【0234】
また、順次分離する最上端に位置する食器Wの表面側には浸漬装置200において貯水した浸漬水に加えて、注水管570から注水された水量だけ、食器Wの貯水量が増加する。そして、貯水量が増加した食器Wが掴みチャック510で分離され、アームユニット501が略水平位置から傾斜した位置に回動するとき、傾斜した食器Wの下方となる表面側から排水される排水量が増加する。これにより、この排水に伴なう流動により汚れ成分の除去をより促進させることができる。
【0235】
なお、食器Wとしては、樹脂成型された樹脂食器や、焼成された磁器食器等を用いればよいが、本実施形態の食器洗浄システム100では、所定の重量があり、食器Wの表面側及び裏面側が滑らかで滑り性が良く、摺動させたときに食器Wの表面が削れることのない磁器食器(強化磁器食器を含む)を用いることが好ましい。
【0236】
次に、食器列WRの最上端に位置する食器Wの次に位置する2番目の食器Wと、2番目以降から最後の食器Wまでの食器Wを分離し放出する状態を説明する。
【0237】
(食器列再上昇、掴み位置停止ステップ)
洗浄レーンSR1、SR2毎に、食器列WRの最上端に位置する食器Wが、掴みチャック510により掴まれ、回転ドラム701の各々の食器収納空間704側へ押し出されるとき、食器センサー550は、発光素子から受光素子へ光が導通し掴みチャック510部分に食器Wが無いことを検知し、この検知信号により昇降手段400のモータ402を駆動し受枠403を上昇させる。受枠403の上昇に伴ない食器センサー410が2番目の食器Wを検知してモータ402の駆動を停止させ、2番目の食器Wを掴み位置に保持する。
【0238】
(アームユニット水平位置への回動ステップ)
この後、モータ521を駆動し、掴みチャック510を有するアームユニット501が所定角度傾斜した位置で待機する状態から再びアームユニット501を略水平位置に回動させる。
【0239】
アームユニット501が略水平位置に達したときの2番目以降の食器Wの掴み、分離放出状態(最上端の食器掴みステップ、アームユニット傾斜位置への回動ステップ、掴みチャックからの食器放出ステップ、食器収納空間への放出、収納ステップ)は、前記した食器列WRの最上端に位置する食器Wの分離放出状態と同様にして行われる。例えば、食器列WRに20個の食器Wを積み重ねたときは、20回の食器Wの分離動作を順次繰り返し行う。
【0240】
そして、掴みチャック510が食器列WRの最下端に位置していた分離すべき最後の食器Wを掴み、アームユニット501が傾斜した位置に回動して食器収納空間704に自重落下させた後も、アームユニット501を傾斜した位置から略水平位置へ、略水平位置から傾斜した位置へ回動させる1サイクルを、2サイクル連続して繰り返す動作を行う。この2サイクルのアームユニット501の往復回動時には回転ドラム701も同期して略180度回転する。この回転ドラム701の回転中に、回転ドラム701の食器収納空間704内に既に収納されている2個の食器Wを反転させるとともに食器収納空間704内から食器落下ガイド710へ放出し、次の工程である洗浄装置800のコンベア802上に安定した姿勢で移載する。
【0241】
アームユニット501が傾斜位置にある状態において食器センサー550が掴みチャック510a、510bに食器Wが有ることを検知したままの状態のときは、アームユニット501を傾斜位置で待機させ、掴みチャック510a、510bで食器Wが落下しない要因を取り除き、食器センサー550が食器Wの無いことを検知した後、アームユニット501を傾斜位置から略水平位置へ回動させる。
【0242】
(食器の反転放出ステップ)
次に、食器Wの表裏面を反転させる過程を
図15、
図16を用いて説明する。
【0243】
掴みチャック510a、510bで掴んで分離し放出した食器Wは、アームユニット501の回動と同期(連動)して間欠回転する回転ドラム701a、701bの各々の食器収納空間704内へ順次放出、移載されていく。各々の食器収納空間704内へ放出、移載された食器Wは、回転ドラム701a、701bの回転により順次食器Wの表面側を下向きに反転させ、反転後の食器Wを食器収納空間704から自重落下させて放出する。アームユニット501が傾斜した位置にあるとき、この傾斜した位置と反対側(180度)の位置が回転ドラム701a、701bからの放出位置となる(
図15(c)参照)。
【0244】
反転後の食器Wを放出する位置に有する食器落下ガイド710上を摺動させて、既に駆動状態にある次の工程の洗浄装置800のコンベア802上に移載する。コンベア802上に移載された食器Wは上下からその表裏面に洗浄水が噴射され洗浄を開始する。このときコンベア802の食器Wの搬送速度は、食器落下ガイド710上を自重落下する食器Wの速度よりも速く設定してある。これによって食器落下ガイド710上での食器Wの滞留を防止するとともに、コンベア802上において互いに隣り合う食器W間に所定の間隔を与えて食器W同士の重なりを防止し確実な洗浄を可能とする。なお、洗浄装置800の基本構成と動作は後述する。
【0245】
また、洗浄レーンSR1、SR2毎に各々の食器落下ガイド710上に放出された食器Wが滞留しているかを検知する一対の発光素子と受光素子から構成された食器センサー720を設けているが、この食器センサー720が各洗浄レーンSR1、SR2に有する食器落下ガイド710に食器Wが無いことを検知した後、アームユニット501を傾斜した位置から略水平位置へ回動させる。
【0246】
食器センサー720が食器落下ガイド710上に食器Wが有ることを検知したままの状態のときは、アームユニット501を傾斜した位置で待機させる。そして、食器落下ガイド710上に滞留する要因を取り除いて食器Wが無いことを検知した後、アームユニット501を傾斜した位置から略水平位置へ回動させる。
【0247】
(食器列順次間欠搬送ステップ)
一つの食器列WRの全ての食器Wの分離放出工程を終了した後、次に間欠搬送されてくる食器列WRを昇降手段400の受枠403に移載し、上記した最上端の食器Wから順番に、食器列WRの最下端に位置する食器Wまで分離放出工程、分離反転工程を繰り返す。そして、浸漬装置200に搬入した最終の食器列WRの最下端に位置していた食器Wが食器収納空間704に放出されるまで、食器列WRの受枠403への移載から、食器Wの食器収納空間704への放出に至るまでの分離放出工程、分離反転工程を繰り返す。
【0248】
掴みチャック510を有するアームユニット501を所定角度傾斜した位置(待機位置、放出位置)から略水平位置(掴み位置)に回動させ、この略水平位置から所定角度傾斜した位置へ回動させて戻るまでの往復動作を1サイクルとし、この1サイクルの動作時間は、モータ521の回転速度の設定によりリンク機構532を介して例えば略1.5秒とする。
【0249】
これによって、食器列WRの最上端に位置する食器Wの一個ずつを1.5秒という短時間、高速での分離放出を可能とし、例えば、食器列WRに積み重ねた食器Wを20個とした場合、一つの食器列WRは30秒の時間で全ての食器Wの分離放出の動作を終了する。なお、アームユニット501の往復動作の1サイクル時間は略1.5秒に限定するものではない。
【0250】
また、1サイクルにおけるアームユニット501の傾斜した位置で高速で分離放出された食器Wは、アームユニット501の往復回動と同期して回転する回転ドラム701の食器収納空間704に1.5秒間隔で収納される。さらに、アームユニット501の傾斜した位置と反対側に位置する食器収納空間704から、表裏面を反転され表面側が下向きとなった食器Wが洗浄装置800のコンベア802上に移載されていく。すなわち、連続した分離状態においては、アームユニット501の回動と回転ドラム701の回転とは互いに同期駆動されているため、食器列WRの最上端の食器Wの掴み、分離から洗浄装置800のコンベア802上へ1.5秒間隔で移載されていくことになる。
【0251】
アームユニット501の1サイクル動作時間は、洗浄レーンSR1、SR2毎にモータ521の回転速度によって設定できる。さらにモータ521は常に回転を継続し、かつ回転速度を一定とすればリンク機構532により、アームユニット501の回動は所定角度傾斜した位置、略水平位置(掴み位置)で瞬時反転することになるが、アームユニット501により食器Wを確実に掴むため、所定角度傾斜した位置と、略水平位置(掴み位置)とで、所定の時間だけ一時的に停止する制御を行う。
【0252】
なお、アームユニット501が所定角度傾斜した位置、もしくは略水平位置に位置したとき、所定の時間だけ一時的に停止する制御を行わなくてもよい。その場合、アームユニット501により単位時間あたりに食器列WRから食器Wを分離する数量を最大化することができる。
【0253】
(アームユニットの傾斜した位置待機ステップ)
アームユニット501が所定角度傾斜した位置に達したとき、アームユニット501が所定の時間、例えば略0.05秒だけ一時的に停止する制御を行う。このようにアームユニット501が所定の時間だけ一時的に傾斜した位置で停止する制御を行うことにより、掴みチャック510にて掴んだ食器Wを回転ドラム701の食器収納空間704へ放出し、収納することを確実に行うことができる。このアームユニット501が傾斜した位置で一時的に停止する所定の時間は、掴みチャック510での食器Wの分離、放出時間、食器収納空間704への収納時間等を基に設定する。
【0254】
さらに、アームユニット501が傾斜した位置に所定の時間だけ一時的に停止している間、回転ドラム701の食器落下ガイド710側で食器Wを食器収納空間704から放出する。アームユニット501を所定の時間だけ一時的に停止することにより、アームユニット501の回動に同期する回転ドラム701の回転も一時的に停止することになる。そして、回転ドラム701の食器収納空間704から食器Wが放出されるまでの時間を長くとることができ、確実に食器収納空間704から食器Wを食器落下ガイド710へと放出することができる。
【0255】
(アームユニットの略水平位置待機ステップ)
また、アームユニット501が所定角度傾斜した位置から略水平位置に反転して、アームユニット501が略水平方向に達した後、略水平位置よりも僅かに所定角度傾斜した位置方向へ回動し、所定の時間、例えば略0.1秒だけ一時的に停止する制御を行う。
【0256】
前記したように、掴みチャック510に有する一対の可動爪512の傾斜面512cが最上端に位置する食器Wの相対向する外周縁に当接して押圧し、さらなる押圧によって可動爪512は付勢手段であるばね部材513の付勢力に抗して後退(食器Wの外周縁から互いに離れる方向)していく。
【0257】
さらに、アームユニット501が回動し略水平位置に達して可動爪512の上面512aと傾斜面512cの頂点部が食器Wの外周縁の下面を越えたとき、可動爪512はばね部材513の付勢力によって内側(食器Wの外周縁に近づく方向)に押圧され、可動爪512の上面512aと傾斜面512cの頂点部が最上端に位置する食器Wの外周縁と直下の食器Wの外周縁との間に入り、最上端に位置する食器Wの外周縁の下面を支持して掴んだ状態となる(
図13(a)~(c)参照)。
【0258】
掴みチャック510に有する一対の可動爪512が、ばね部材513の付勢力に抗して後退(食器Wの外周縁から互いに離れる方向)した後、可動爪512はばね部材513の付勢力によって押圧されて内側(食器Wの外周縁に近づく方向)に戻りきるまでに若干の時間が必要となる。
【0259】
前記したアームユニット501が略水平位置よりも僅かに傾斜した位置方向へ回動した位置でのモータ521の回転の一旦停止による待機時間は、可動爪512がばね部材513の付勢力により内側(食器Wの外周縁に近づく方向)に戻る時間を確実に確保する。これによって食器Wを確実に掴んだ後、アームユニット501が所定角度傾斜した位置へ回動を開始するときの衝撃(反力)によって、一旦掴んだ食器Wを脱落させずに、確実に掴むことができる。
【0260】
さらに、アームユニット501が略水平位置よりも僅かに傾斜した位置方向へ回動した位置でモータ521の回転の一旦停止させたとき、食器列WRの最上端に位置する食器Wは下方の2番目に有る食器Wよりも僅かに上昇した状態にある。
この状態のとき、食器列WRの最上端に位置する食器Wの下方となる2番目に有る食器Wの外周縁から可動爪512の傾斜面512c、及び上面512aと傾斜面512cの頂点部が離れる。そして、可動爪512はばね部材513の付勢力によって押圧されて内側(食器Wの外周縁に近づく方向)に確実に戻りきり、これによって最上端に位置する食器Wをより確実に掴むことができる。
【0261】
アームユニット501が傾斜した位置に留まる所定の時間と、アームユニット501が略水平位置よりも僅かに傾斜した位置方向へ回動した位置に留まる時間である前記各々の所定の時間とを含めてアームユニット501が往復動作する1サイクルの動作時間を、例えば略1.5秒とするものである。
【0262】
また、モータ521の回転速度の制御によって、掴みチャック510を有するアームユニット501の所定角度傾斜した位置(待機位置、放出位置)から略水平位置(掴み位置)への回動速度と、この略水平位置から所定角度傾斜した位置への回動速度の各々を個別に制御することもできる。
【0263】
例えば、アームユニット501が往復動作する1サイクルの動作時間を略1.5秒としたまま、掴みチャック510に掴んだ食器Wが無い状態での、アームユニット501の所定角度傾斜した位置から略水平位置への回動時間よりも、掴みチャック510に掴んだ食器Wが有る状態での、アームユニット501の略水平位置から所定角度傾斜した位置への回動時間をより長く設定する。
【0264】
これによって、アームユニット501が往復動作する1サイクルの動作時間を例えば1.5秒に維持したまま、アームユニット501の所定角度傾斜した位置への回動によって掴みチャック510で掴んだ食器Wの自重落下による放出する時間、及び回転ドラム701の食器収納空間704への収納する時間をより長くとることができ、食器収納空間704への食器Wの収納をより確実なものとすることができる。
【0265】
(受枠の下降位置までの下降ステップ)
また、
図14及び
図17に示すように、受枠403上に載置した食器列WRを上昇させ、分離手段500により食器列WRの最下端の分離すべき最後の食器Wの受枠403からの分離が終了し、受枠403上の残食器Wの有無を検知する食器センサー410が、受枠403上に残食器Wが無いことを検知した後、この位置から受枠403を所定距離上昇させて停止させる。
【0266】
この停止位置において、受枠センサー408が受枠403と一体化されたセンサー感知部材403bと近接したとき、受枠センサー408が検知信号を出し、モータ402の回転を、受枠403を上昇させるときの昇降用ネジ棒404の回転の方向とは逆方向に回転させる制御を行い、受枠403を前記一対の支持レール205上から受枠403上に押動して移載、載置する下降位置まで下降させる。
【0267】
食器列WRの分離すべき最後の食器W(最下端の食器W)の分離が終了してから、受枠403を一対の支持レール205上から移載、載置する下降位置まで下降させるまでの時間は、例えば略2秒である。
【0268】
次いで、受枠403が下降位置まで下降した後、これを受枠センサー407が検知するとともに食器センサー409が受枠403上に食器Wが無いことを検知する。そして、浸漬装置200の搬送手段201であるチェーンコンベア203を1ピッチ(食器列間ピッチD)分だけ回動させ、次の食器列WRを一対の支持レール205上から受枠403上に移載、載置する。なお、チェーンコンベア203を1ピッチ(食器列間ピッチD)分だけ回動させる時間は略1秒である。
【0269】
さらに、下降位置にある受枠403上に次の食器列WRを移載、載置した後、食器センサー409が食器列WRの最下端の食器Wを検知する。そして、モータ402を駆動させて受枠403を上昇させ最上端の食器Wを食器センサー410が検知して受枠403の上昇を停止する。なお、下限位置にある受枠403が上昇し、上昇を停止するまでの時間(掴み位置まで上昇させる時間)は、例えば略1秒である。
【0270】
これにより、一つの食器列WRの全数の食器Wが分離された後、次の食器列WRの最上端の食器Wの分離を開始されるまでの時間は、前記した受枠403を下降位置まで下降させる時間(略2秒)、次の食器列WRを一対の支持レール205上から下降した受枠403上に移載、載置する時間(略1秒)、受枠403を再び掴み位置まで上昇させる時間(略1秒)の各々を合計した略4秒となる。このように、一つの食器列WRの全数の食器Wが分離された後、次の食器列WRの最上端の食器Wの分離を開始されるまでの必要時間を最少として連続的に食器Wの分離、放出、及び反転動作を行うことができる。
【0271】
アームユニット501を例えば略1.5秒という極短時間で往復動作(1サイクル)させることによって、1つの食器列WRに積み重ねられた食器Wを、高速で分離、放出し、さらには反転を実行し、かつ一つの食器列WRの全数の食器Wが分離された後、次の食器列WRの最上端の食器Wの分離を開始されるまでの必要時間も最少となることから、浸漬装置200で所定の浸漬時間を経た食器列WRから順次連続的に食器Wの分離、放出、及び反転動作を行うことができる。
【0272】
順次、高速で連続的に分離、放出された食器W、及び反転された食器Wは、次の工程である洗浄装置800のコンベア802へ移載、載置され洗浄水の表裏面への噴射により洗浄されていく。アームユニット501の往復動作(1サイクル)を略1.5秒、1つの食器列WRの全数(20個)の食器Wが分離された後、次の食器列WRの最上端の食器Wの分離を開始されるまでの必要時間を略4秒とした場合、1つの洗浄レーンSRにおける1時間当たりの食器Wの洗浄処理数は略2118個となり、多数の食器Wの洗浄を行うことができる。さらに、洗浄レーンSRを2列とした場合には、この2倍の食器Wの洗浄処理数が、1時間当たりの食器Wの洗浄処理数となる。なお、洗浄装置800の構成、動作については後述する。
【0273】
なお、前記したように、食器列WRの最後の食器Wを掴みチャック510a、510bが掴んでアームユニット501が傾斜した位置に回動して食器収納空間704に自重落下させた後も、アームユニット501を傾斜した位置から略水平位置へ、略水平位置から傾斜した位置へ回動する1サイクルを、2サイクル連続して繰り返す動作を行う。このアームユニット501が2サイクル連続して繰り返す動作時間は、略3秒となり、この動作時間内に食器列WRの最後の食器Wを分離した後の受枠403の下降位置への下降動作を実行する制御を行う。
【0274】
なお、複数列の洗浄レーンSR1、SR2の全てにおいて、積み重ねる食器Wの個数を同数(例えば20個)とした食器列WRから順次分離、放出させる場合は、洗浄レーンSR1、SR2の食器列WRの全数の食器Wが分離、放出される時間は略同一となり、さらに、次の食器列WRの最上端の食器Wの分離を開始されるまでの時間も略同一となる。
【0275】
また、洗浄レーンSR1、SR2のいずれか、例えば第1の洗浄レーンSR1において、積み重ねた食器Wの個数が第2の食器列WR2よりも少ない食器列WR1とした場合、この第1の食器列WR1から全数の食器Wが分離される時間は、第2の洗浄レーンSR2の第2の食器列WR2から全数の食器Wが分離される時間より短くなる。
【0276】
そこで、第1の洗浄レーンSR1の受け枠403を、第2の洗浄レーンSR2の受け枠403に先行させて一対の支持レール205上から移載、載置する下降位置まで下降させ、下降した受枠403上に次の第1の食器列WR1を浸漬装置200の一対の支持レール205上から移載、載置し、次の食器列WR1の分離動作に移行させる。
【0277】
各洗浄レーンSR1、SR2で個別制御できるので、各々の洗浄レーンSR1、SR2において、食器列WR毎に積み重ねる食器Wの個数は異なってもよい。
なお、各洗浄レーンSR1、SR2で積み重ねる食器Wの個数を最大の個数、例えば20個とすれば、食器洗浄システム100として単位時間当たりの食器Wの洗浄処理数が最も多くなり洗浄効率を最大化することができる。
【0278】
浸漬装置200、分離反転装置600、洗浄装置800で洗浄レーンSRを構成する食器洗浄システム100においては、浸漬装置200での食器列WRへの浸漬水の供給による食器Wの表面側の貯水による汚れ成分の十分な湿潤化作用、及び貯水された浸漬水の流下、浸漬水の入れ替わりによる一部汚れの除去作用、分離反転装置600における食器Wに貯水されている浸漬水の流動、排水による汚れの除去作用により予備洗浄される。これによって、洗浄装置800での食器Wの表裏面への洗浄水の噴射による洗浄によって残った汚れを確実に除去することができる。
【0279】
また、食器列WRからの食器Wの分離反転装置600、及び分離反転装置600をベースとした分離反転方法(特に分離放出装置300、及び分離放出装置300をベースとした分離放出方法)においては、昇降手段400、分離手段500、反転手段700を含めて、食器列WRの中心軸線と、掴みチャック510a、510bを有するアームユニット501で掴んで放出して反転させるときの食器Wの中心軸線とが、食器Wの搬送方向に沿って略直線状になるよう構成している。
また、食器列WRの最上端の食器Wを掴んで食器列WRから食器Wを上方に分離し、この分離直後から、ただちに食器Wを自重落下させて反転させる構成としている。
【0280】
これにより、積み重ねられた食器Wの分離、放出及び反転を高速で行うことができる。さらに、平面視で洗浄レーンSRに沿った食器Wの搬送方向、及びこの搬送方向と直交する方向の必要スペース(必要な距離)が最小となり、食器Wの分離反転装置600の設置床面積を小さくして、コンパクト化することができる。さらに、分離反転装置600を食器Wの搬送方向と直交する方向に複数列並設した場合においてもコンパクト化することができる。
【0281】
また、浸漬装置200と昇降手段400との連接構成においても、食器列WRを支持レール205上に自立して縦方向の姿勢で搬送し、その自立した姿勢のまま昇降手段400へと移載して、移載した食器列WRの最上端の食器Wを順次分離していくことができる。これにより、無駄なスペースを生じることがなく、浸漬装置200と分離放出装置300、及び浸漬装置200と分離反転装置600を含めて省スペースとなりコンパクト化することができる。
【0282】
上述した本実施形態の分離放出装置300によれば、掴み位置まで上昇した食器列WRから順に、掴みチャック510により最上端の食器Wを分離し、分離した食器列WRを洗浄レーンSR毎に、食器W1枚の高さの違いに応じた高さだけ昇降手段400により上昇させ、食器Wを順次分離させる。
【0283】
このとき、制御装置1000によりアームユニット501a、501bを回動させるモータ521a、521bの回転速度を事前に設定しておくことにより、アームユニット501a、501bを所定角度傾斜した位置から略水平位置まで回動させる速度を洗浄レーンSR毎に個別に制御することができる。
【0284】
これにより、食器列WRの最上端に位置する食器Wの分離を、洗浄レーンSR毎に個別に食器Wの材質、衝撃耐久性、食器Wの汚れの量や質に合わせて適正な速度で行うことができ、食器Wの種類、食器Wの汚れの程度に合わせて洗浄処理能力の最適化を図ることができる。例えば、食器Wが衝撃に弱い材質、例えば磁器により製造されている場合、アームユニット501a、501bを所定角度傾斜した位置から略水平位置まで回動させるときの速度を遅くし、掴みチャック510a、510bが食器列WRの最上端の食器Wに接触するときの衝撃を弱くして、食器Wの破損等を防止することができる。
【0285】
また、食器Wが衝撃に強い材質、例えば樹脂により製造されている場合、アームユニット501a、501bを所定角度傾斜した位置から略水平位置まで回動させるときの速度を速くし、掴みチャック510a、510bが食器列WRの最上端の食器Wを食器列WRから分離する時間を短くして、食器列WRから食器Wを分離する時間を短縮することができる。
【0286】
さらに、アームユニット501a、501bの略水平位置から所定角度傾斜した位置まで回動させる速度を洗浄レーンSR毎に個別に制御することができる。これにより洗浄レーンSR毎に、アームユニット501a、501bから食器収納空間704a、704bへの食器Wの自重落下による速度を早くして、単位時間当たりの食器Wの処理数を増やすこと、または自重落下による速度を遅くして、衝撃を和らげることができる。なお、洗浄レーンSR1、SR2で、アームユニット501a、501bの略水平位置から所定角度傾斜した位置まで回動させる速度を異なるものとしてもよい。
【0287】
加えて、アームユニット501a、501bの略水平位置から所定角度傾斜した位置まで回動させる速度を制御することにより、回転ドラム701a、701bの回転速度を制御することができる。そして、食器収納空間704a、704bから搬送手段801a、801bへと食器Wを放出するときの速度を早くして、単位時間当たりの食器Wの処理数を増やすこと、または放出するときの速度を遅くして、衝撃を和らげることができる。
【0288】
これらにより、例えば第1の洗浄レーンSR1では衝撃に対して弱い食器、例えば磁器製の食器Wを洗浄し、第2の洗浄レーンSR2では衝撃に強い食器、例えば樹脂製の食器Wを洗浄したとき、洗浄レーンSR毎に、単位時間当たりの食器Wの処理数、及び食器Wに与える衝撃を調整して、効果的に食器Wを洗浄することができる。つまり、洗浄レーンSRのそれぞれで、単位時間あたりに食器Wの処理数を最大化しつつ、効果的に洗浄することができる。
【0289】
(洗浄装置の構成)
次に、
図1及び
図19を参照して、分離反転装置600から放出された個々の食器Wを搬送しながら表裏面に洗浄水を噴射して洗浄する洗浄工程を実行する洗浄装置800の構成を説明する。
【0290】
洗浄装置800は、
図19に示すように、洗浄レーンSR1、SR2毎に、分離反転装置600から放出された個々の食器Wを搬送する搬送手段801である第1の搬送手段801a、第2の搬送手段801bと、搬送される個々の食器Wの表裏面に洗浄水を噴射する洗浄水供給手段810を備える。
【0291】
各搬送手段801a、801bは、各洗浄レーンSR1、SR2に設けられ、各々の無端状のコンベア802である第1のコンベア802aと、第2のコンベア802bとが各々のスプロケット803に懸架されている。モータ815である第1のモータ(モータ)815a、第2のモータ(モータ)815bにより、各々のスプロケット803は各々の回転数にて回転する。
【0292】
制御装置1000は、搬送手段801a、801bによる食器Wの搬送速度を、各洗浄レーンで個別に制御する。これにより、各洗浄レーンで食器1枚あたりの洗浄時間を調整することができる。
【0293】
コンベア802a、802bは、洗浄水供給手段810から噴射された洗浄水が通過可能であり、食器Wの表面側を下向きとした個々の食器Wの表面側を支持し連続的に搬送する。なお、図示していないが、コンベア802は食器Wの搬送方向と直交する水平方向を規制するガイド部材、及び上向きの洗浄水の噴射による個々の食器Wの浮き上がりを防止するため、食器Wの裏面側の位置を規制するガイド部材を備えて、これによって個々の食器Wを各々の洗浄レーンSR1、SR2で搬送方向に沿って略直線状に搬送する。
【0294】
図1に示すように、洗浄水供給手段810は、食器Wの搬送方向で、食器Wの上方及び下方で水平方向に配置された複数のノズル管811と、このノズル管811に洗浄水を上方及び下方に噴射する複数のノズル812を備え、前記ノズル管811は供給経路から分岐して複数列の洗浄レーンSR1、SR2にある食器Wに亘って洗浄水を噴射できるように、管長方向を食器Wの搬送方向に対して直交する水平方向とし、かつ食器Wの搬送方向に複数配置されている。
【0295】
搬送手段801の下方位置に洗浄水を所定量貯水するタンク814を配置し、タンク814内の洗浄水を、供給経路を介してノズル管811に供給するポンプ813を備える。ノズル管811の複数のノズル812から噴射された洗浄水は、タンク814内に落下して回収され循環使用される。
【0296】
なお、図示していないが、タンク814には洗浄水(例えば清水)を供給する経路と、タンク814内の洗浄水の水位を所定のレベルに保つための水位検出手段を備える。また、タンク814内の洗浄水の温度を、所定の温度、例えば40~60度Cに昇温する加熱手段、洗剤を供給する洗剤供給手段、ポンプ813の吸入側に汚れ成分を除去するフィルタ等を備える。
【0297】
洗浄水の昇温、洗剤供給によって食器Wに付着した汚れ成分の洗浄効果を向上させ、汚れ成分の除去をより確実なものとすることができる。また、フィルタによって、循環使用する洗浄水をより清浄化して洗浄水をノズル812から噴射し、汚れ成分の除去効果をより向上させることができる。
【0298】
複数列の洗浄レーンSR1、SR2に亘って一つのタンク814、及びポンプ813を備えるものとし、これによって、複数列の洗浄レーンSR1、SR2を構成しても、構成要素の共通化、簡略化、及び制御系統の統一化を図ることができる。
【0299】
なお、図示していないが、搬送手段801、洗浄水供給手段810等を覆う外郭部材(カバー)を設けてトンネル状として洗浄室を形成し、洗浄水の外部への飛散防止、洗浄水の放熱を抑制して温度低下を防ぐとともに、洗浄室を高湿度の状態として食器Wに付着した汚れ成分の除去をより確実なものとすることができる。また、洗浄装置800の食器Wの搬送方向には本洗浄ゾーン、及びすすぎ洗浄ゾーンを備えており、さらに単位時間当たりの洗浄処理能力に対応させて搬送手段801の搬送方向の長さ、洗浄水供給手段810のノズル812の数、配置を設定する。
【0300】
なお、洗浄装置800の搬送手段801a、801bは同一の駆動源にて駆動させ、同時に駆動するよう構成してもよい。その場合、搬送手段801a、801bを駆動させる構成を簡素化することができ、洗浄装置800の設置床面積を小さくすることができる。
【0301】
次に、
図1及び
図19を参照して、洗浄装置800の運転動作を説明する。
【0302】
(洗浄水充填ステップ)
先ず、タンク814内に洗浄水(例えば清水)を所定の水位レベルになるまで供給する。このとき必要に応じてタンク814内に洗浄水を供給した後、この洗浄水に洗剤を供給するとともに、高温蒸気供給等による加熱手段により洗浄水の温度を所定の温度、例えば40~60度Cに昇温する。
【0303】
(洗浄水噴射ステップ)
次に、タンク814内の洗浄水は、ポンプ813を駆動することにより、供給経路を介してノズル管811に供給され、ノズル812から噴射される。ノズル812から噴射された洗浄水は、タンク814内に落下して貯水される。タンク814に貯水された洗浄水は、再びポンプ813により吸い込まれ、循環使用される。
【0304】
(洗浄ステップ)
コンベア802を駆動し、分離反転装置600の回転ドラム701の食器収納空間704から表面側を下向きにしてコンベア802上に落下放出された食器Wはコンベア802で搬送されながらノズル812から表面側及び裏面側に洗浄水の噴射を受け、付着した汚れが除去される。
【0305】
なお、搬送方向の洗浄ゾーンの一部に配置したノズル812には高速、及び低速の水流を噴出させてキャビテーション噴流を生じさせるものを用いれば、洗浄効果をより高めることができる。
【0306】
なお、搬送手段801による食器Wの搬送は間欠搬送としてもよい。その場合、搬送停止時にノズル812から食器Wに向けて洗浄水を噴射して、より長い時間、洗浄水による洗浄を行い、洗浄効果を向上させることができる。また、搬送手段801の間欠搬送に合わせて、分離手段500と反転手段700も間欠運転としてもよい。
【0307】
前記したように、回転ドラム701の食器収納空間704に収納された食器Wは、180度回転した後に、反転後の食器Wを放出する位置に有する食器落下ガイド710上を摺動させて、既に駆動状態にあるコンベア802上に移載される。このときコンベア802の食器Wの搬送速度は、食器落下ガイド710上を自重落下する食器Wの速度よりも速く設定してある。
【0308】
これによって食器Wは食器落下ガイド710上からコンベア802上に引き込まれる状態となり、食器落下ガイド710上での食器Wの滞留を防止するとともに、コンベア802上の搬送方向において互いに隣り合う食器W間に所定の間隔を与えて食器W同士の重なりを防止して確実な洗浄を行うことができる。そして、洗浄された個々の食器Wは順次食器整理装置900に自重落下していく。
【0309】
上述したように本実施形態の食器洗浄システム100によれば、
図15及び
図16に示すように、分離された食器Wは回転ドラム701a、701bにより反転され、洗浄装置800の搬送手段801a、801bへと放出される。そして、搬送手段801a、801bの上下に設けたノズル812から洗浄水を噴射し、食器Wを搬送しつつ洗浄する。このとき、制御装置1000により搬送手段801a、801bを駆動させるモータ815a、815bの回転速度を個別に制御して、搬送手段801a、801bの速度を個別に制御する。
【0310】
これにより、洗浄レーンSR1、SR2毎に、食器Wに付着した汚れの量や質に応じて食器を洗浄水に接触させる時間を制御して効果的に洗浄でき、また、洗浄装置800における単位時間当たりの食器Wの洗浄処理数を調整することができる。
【0311】
例えば、第1の洗浄レーンSR1で搬送する食器Wに付着した汚れの質が、洗浄水に接触させる時間が長いほど効果的に洗浄できる場合、第1の搬送手段801aの搬送速度を遅くすることにより、食器Wを効果的に洗浄することができる。
また、例えば、第2の洗浄レーンSR2で搬送する食器Wに付着した汚れが軽微である場合、搬送手段801bの搬送速度を速くすることにより、効果的に洗浄しつつ、食器Wの単位時間当たりの処理数を増やすことができる。
【0312】
なお、洗浄レーンSR1、SR2毎に、洗浄水を噴射するかどうかを選択することができるよう、ポンプ813、供給経路、ノズル管811を洗浄レーンSR1、SR2毎に設け、制御装置1000により制御してもよい。また、供給経路、ノズル管811を洗浄レーンSR1、SR2毎に設け、さらに、配管中に電磁弁を設け、制御装置1000により制御してもよい。もしくは、配管中に手動弁を設け、手動にて開閉してもよい。その場合、少なくとも1つの洗浄レーンSRで食器Wを搬送していない場合、その洗浄レーンSRで洗浄水を噴射しないようにしておくことで、食器Wを搬送する他の洗浄レーンSRにおいて、洗浄水を噴射するノズルにかかる水圧を高くすることができ、食器Wの洗浄性を向上させることができる。
【0313】
(食器整理装置の構成、動作)
次に、
図1を用いて前記洗浄装置800で洗浄された個々の食器Wを所定枚数積み重ね、かつ所定枚数積み重ねた食器Wを取り出し可能とする食器整理工程を実行する食器整理装置900の構成、運転動作を説明する。なお、食器整理装置900は洗浄レーンSR1、SR2の各々に備えているものである。
【0314】
食器整理装置900は、洗浄装置800から搬送されてきた食器Wを受け入れ、保持し、かつ食器Wの移送をガイドする傾斜したホルダー904と、食器Wを1枚ずつ整理位置に押出す押し板905を有したスタッカー901と、整理位置に所定枚数積み重ねられた食器Wを取出し可能な取出し位置に押出す押出爪906とを備える。
【0315】
ホルダー904は、搬送されてきた自重落下する食器Wを受け入れる下段の受入れ位置と、受入れ位置よりも食器Wの移送方向前方(搬出側)にあって食器Wを積み重ねて整理する中段の整理位置と、整理位置よりも食器Wの移送方向前方にあって、積み重ねて整理した食器Wを取り出す上段の食器Wの取出し位置とを有する。
【0316】
さらに、食器整理装置900は、食器Wを積み重ねて整理する中段の整理位置に食器Wを保持する第1保持爪907と、食器Wを取出し位置に保持する第2保持爪908とを備える。押し板905はスタッカー用の押し板の駆動手段902により駆動され、押出爪906は押出爪用の駆動手段903により駆動される。取出し位置に保持された所定枚数(例えば20個)の積み重ねられた食器Wは、作業者によって任意に取り出される。
【0317】
スタッカー用の押し板の駆動手段902は、受入れ位置に押し板905を駆動させて食器Wを中段の整理位置に押し出す。そして、自重落下する食器Wを例えば一対の発光素子と受光素子からなる食器センサー(図示なし)の検知により、食器Wが所定枚数(例えば20個)に達したとき、押出爪用の駆動手段903を駆動させて、所定枚数積み重ねた食器Wの全体を上段の食器Wの取出し位置に押し出す。
【0318】
また、食器整理装置900は、スタッカー用の押し板の駆動手段902によるスタッカー用の押し板905の動作と、押出爪用の駆動手段903による押出爪906の動作とは、各々独立した動作とすることができる。スタッカー用の押し板の駆動手段902の動作中であっても押出爪用の駆動手段903の動作を可能とし、洗浄装置800から搬送されてきた食器Wを一時滞留させることなく、さらには洗浄装置800のコンベア802を一時停止させることなく連続して受入れ位置へ食器Wを自重落下させることができる。
【0319】
なお、本実施形態の食器洗浄システムにおいては、洗浄装置800の後工程に食器整理装置900を備えているが、これに替えて、洗浄装置800から放出される食器Wを受ける受け台を備えて、作業者が受け台上に搬送される食器Wを適宜取り出す構成としてもよい。
【0320】
以上のように、本実施形態の洗浄システム100によれば、洗浄レーンSR毎に、浸漬装置200に搬入した食器列WRの食器Wの汚れの多さや質に合わせて、浸漬装置200の搬送手段201の搬送速度と、洗浄装置800の搬送手段801の搬送速度を制御する。つまり、洗浄レーンSR毎に、浸漬装置200での食器Wの浸漬時間と、洗浄装置800で食器Wを洗浄する時間とを制御することにより、単位時間あたりに処理する食器Wの数を調整することができるとともに、食器Wの洗浄を効果的に行うことができる。
【0321】
また、食器Wの材質に合わせてアームユニット501a、501bを所定角度傾斜した位置から略水平位置まで回動させる速度を個別に制御することにより、洗浄レーンSR1、SR2毎に、食器Wの破損を抑制、または食器Wの単位時間あたりに処理する量を増やすことができる。
【0322】
また、食器Wの材質に合わせてアームユニット501a、501bを略水平位置から所定角度傾斜した位置まで回動させる速度を個別に制御することにより、洗浄レーンSR1、SR2毎に、掴みチャック510で掴んだ食器Wを自重落下により放出する時間、及び回転ドラム701の食器収納空間704へ食器Wを収納する時間をより長くとることができ、食器収納空間704への食器Wの収納をより確実なものとすることができる。
【0323】
また、洗浄装置800においても、食器Wの汚れの多さや質に合わせて、搬送手段801a、801bの搬送速度を個別に調整することができる。
【0324】
これらにより、洗浄レーンSR1、SR2毎に食器Wの材質や汚れの程度に合わせて、洗浄システム全体での洗浄レーンSR1、SR2毎の単位時間あたりに処理する食器Wの数を調整し、食器Wの破損等を抑制しつつ、食器Wの洗浄性を向上させることが可能となるものである。
【0325】
(実施形態2)
次に、食器洗浄システムの実施形態2について
図20、
図21を用いて説明する。
【0326】
実施形態1の食器洗浄システム100と基本的に異なるところは、食器洗浄システム2100自体は、洗浄装置800を備えず、別途に洗浄機2800を備え付けたものである。この場合、分離反転装置600から放出された食器Wを洗浄機2800に設けた搬送手段2801へと載置して、食器Wを洗浄機2800により洗浄する。
【0327】
この洗浄機2800の搬送手段2801は、洗浄レーンSR1、SR2毎に個別の駆動軸により搬送する搬送手段としなくともよい。洗浄水供給手段2810は実施形態1の食器洗浄システム100の構成と同一の構成とすればよい。
【0328】
なお、洗浄機2800は、洗浄システム2100とは異なる制御装置(図示なし)を備え、また、食器整理装置2900も、洗浄システム2100とは異なる制御装置(図示なし)を備える。
【0329】
なお、分離反転装置600により単位時間あたりに処理する食器Wの数より、別置きの洗浄機2800により搬送して洗浄する単位時間当たりの食器Wの数を多くできるならば、洗浄機2800は別制御でもよい。また、食器整理装置2900を備えずに、人の手により洗浄された食器Wを整理してもよい。
【0330】
(食器洗浄システムの作用効果)
本発明の食器洗浄システムは、全体として以下のような作用効果を有している。
【0331】
(1)第1の洗浄レーンSR1と第2の洗浄レーンSR2とを個別制御としているため、浸漬装置200の搬送手段201による食器列WRの搬送速度、分離放出装置300により食器列WRから食器Wを単位時間当たりに分離する数量、反転手段700により単位時間当たりに食器Wを放出する数量、及び洗浄装置800の搬送手段801の搬送速度を、洗浄レーンSR毎に設定することができる。
【0332】
これにより、例えば、第1の洗浄レーンSR1と第2の洗浄レーンSR2とで、各食器に付着した汚れの量や質に応じて、浸漬装置200での浸漬時間や、分離反転装置600での食器Wの分離や反転、放出の速さ、及び洗浄装置800での洗浄時間を異なるものとして設定していたとしても、浸漬装置200へ搬入するタイミングと、洗浄装置800、2800で洗浄を終えて、食器整理装置900、2900で取り出すことのできるタイミングとを合わせるように設定することが可能である。
【0333】
学校給食を例にとると、特殊な献立を除いて、1クラスあたりに使用する食器Wの種類は例えば4種類に固定されており、また1クラスで使用する食器Wの数も例えば40枚に固定されている。そして、その複数種類の同じ数の食器Wは、食器Wの種類と同じ数、例えば4つの食器篭に入れられて搬送される。そのため、例えば3クラスの学年から喫食を終えた食器Wが返却されてくると、4種類各120個の食器Wを洗浄システム100、2100により洗浄し、再び各クラスに搬送するために、4種類各120個の食器Wを3クラス分に分けて、食器篭に収納する必要がある。
【0334】
このとき、洗浄システム100、2100の洗浄レーンSRを例えば4列並設して、洗浄レーンSR1、SR2、SR3、SR4とし、それぞれ同じ形状の食器Wを積み重ねた食器列WR1、WR2、WR3、WR4を浸漬装置200から搬入して、洗浄装置800、2800により洗浄し、食器整理装置900、2900で取り出すことができるようにする。
【0335】
そして、食器列WR1、WR2、WR3、WR4を略同一のタイミングで浸漬装置200に搬入することにより、洗浄装置800、2800で洗浄を終えて、食器整理装置900、2900で略同一のタイミングにて、4種類の食器Wを取り出すことができるようにすることができる。これにより、1クラスに使用する複数種類の食器Wを揃える手間を省き、次の喫食に使用する食器Wを搬送するための準備を容易に行うことができる。
【0336】
なお、洗浄レーンSRの数は一例であり、例えば5列の洗浄レーンSRや、6列の洗浄レーンSRを並設することも可能である。
【0337】
(2)第1の洗浄レーンSR1と第2の洗浄レーンSR2とを個別制御としているため、どちらかの洗浄レーンSRを優先的に使用することができる。例えば、第1の食器列WR1と第2の食器列WR2で、第1の食器列WR1に積み重ねる食器Wの全数が、第2の食器列WR2に積み重ねる食器Wの全数より多い場合がある。
【0338】
そのような場合に、1人の作業者が第1の食器列WR1と第2の食器列WR2とを浸漬装置200へと搬入するとき、第1の食器列WR1の搬入と第2の食器列WR2の搬入の優先度を事前に決定することにより、スムーズな食器洗浄を行うことが可能である。
【0339】
なお、当然のことながら、第1の洗浄レーンSR1への第1の食器列WR1の搬入の優先度と、第2の洗浄レーンSR2への第2の食器列WR2の優先度とは、逆にしてもよい。なお、複数の洗浄レーンSRを3列以上備えた構成であったとしても、複数の洗浄レーンSRのうち、少なくとも1列の洗浄レーンに、優先的に食器列WRを搬入してもよい。
【0340】
(3)浸漬装置200の搬送手段201による食器列WRの搬送速度、分離反転装置600での食器Wの分離や反転、放出の速さ、及び洗浄装置800、2800の搬送手段801、2801による食器Wの搬送速度は、洗浄レーンSR毎に制御装置1000、3000に有する記憶部(図示なし)に少なくとも1個記憶させ、再び呼び出して洗浄レーンSR1、SR2毎に、使用することができる。
【0341】
これにより、各洗浄レーンSRで、食器Wに付着する汚れの量や質に合わせて洗浄を行うことができ、洗浄性を向上させることができる。それと同時に、食器Wの材質に合わせて、分離反転装置600での食器Wの分離や反転、放出の速さを設定し、食器Wの破損等を抑制することができる。
【0342】
なお、制御装置1000、3000に有する記憶部に記憶させた設定は、全洗浄レーンSRを含む複数の洗浄レーンSRで一括して設定できるようにしてもよい。
【0343】
本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、浸漬装置200、分離反転装置600における、昇降手段400、分離手段500、回転ドラム701、分離反転装置600等は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意の変形構成を採用し得る。また、被洗浄物として食器Wを例として説明したが、容器等にも適用することができる。
【0344】
なお、洗浄レーンSRは少なくとも2列並設されるが、例えば喫食に使用する食器Wが1つの種類である場合、食器洗浄システム100、2100をその1つの種類の食器を洗浄するための最小限の構成としてもよい。その場合、食器洗浄システム100、2100の設置床面積を小さくすることができる。
【0345】
なお、掴みチャック510a、510bの少なくとも一部の構成を交換可能としてもよい。これにより、例えば、第1の掴みチャック510aと第2の掴みチャック510bとで、1つの種類の食器列WR1から食器Wを分離することができるよう構成し、2列の洗浄レーンSR1、SR2で、1つの種類の食器列WRを処理することが可能となるように構成することができる。
【0346】
なお、洗浄レーンSRは3列以上として構成してもよい。その場合、3つ以上の種類の食器Wをそれぞれ3列の洗浄レーンSRに載置して搬入し、1つの食器洗浄システム100、2100で洗浄することができる。また、洗浄レーンSRを3列以上として構成したとき、少なくとも2列の洗浄レーンSRの各機器をそれぞれ同期して制御し、連動させるような構成としてもよい。例えば、洗浄レーンSR1、SR2の各機器を同期して制御し、連動させ、洗浄レーンSR3の各機器は個別に制御してもよい。
【0347】
なお、浸漬装置200の搬送手段201a、201bの停止時間と、洗浄装置800、2800の搬送手段801a、801bの搬送速度とは、食器Wに付着した汚れの種類により変更すればよい。例えば、食器Wにご飯が乾燥して強固に付着している場合、浸漬装置200の搬送手段201a、201bの停止時間を長くして、食器Wに付着したご飯を湿潤させて落とし易くすることができる。
【符号の説明】
【0348】
100 食器洗浄システム
200 浸漬装置
201 搬送手段
201a 第1の搬送手段(搬送手段)
201b 第2の搬送手段(搬送手段)
203 チェーンコンベア
203a 第1のチェーンコンベア(チェーンコンベア)
203b 第2のチェーンコンベア(チェーンコンベア)
204 凸部材
205 支持レール
206 ガイドレール
207 モータ(駆動源)
207a 第1のモータ(駆動源)
207b 第2のモータ(駆動源)
208 スプロケット
209 駆動軸
209a 第1の駆動軸(駆動軸)
209b 第2の駆動軸(駆動軸)
210 アーム(間欠搬送制御手段)
211 アームセンサー(間欠搬送制御手段)
212 セット枠
212a 第1のセット枠(セット枠)
212b 第2のセット枠(セット枠)
220 浸漬水供給手段
221 ノズル管
222 ノズル
223 ノズル管
224 ノズル
225 タンク
226 水受け
227 水受け
228 ポンプ
230 食器列投入スイッチ
230a 第1の食器列投入スイッチ
230b 第2の食器列投入スイッチ
231 最終食器列投入スイッチ
231a 第1の最終食器列投入スイッチ
231b 第2の最終食器列投入スイッチ
232 最終食器列解除スイッチ
232a 第1の最終食器列解除スイッチ
232b 第2の最終食器列解除スイッチ
300 分離放出装置
400 昇降手段
401 固定部材
402 モータ(駆動源)
402a 第1のモータ(駆動源)
402b 第2のモータ(駆動源)
403 受枠
403a 雌ネジ体
403b センサー感知部材
404 昇降用ネジ棒
405 スライド軸(ガイド棒)
406 食器列ガイド
407 受枠センサー(下降位置検知手段)
408 受枠センサー(上限位置検知手段)
409 食器センサー(受枠上の食器有無検知手段)
410 食器センサー(掴み位置検知手段)
500 分離手段
501 アームユニット
501a 第1のアームユニット(アームユニット)
501b 第2のアームユニット(アームユニット)
502 アーム
503 アーム
504 連結アーム
505 アーム軸受
506 支点軸(回動支点軸、第1の回動支点、ドラム回転駆動軸)
507 軸受
508 固定部材
509a 固定部材
509b 固定部材
510 掴みチャック
510a 第1の掴みチャック(掴みチャック)
510b 第2の掴みチャック(掴みチャック)
511 収納本体
512 可動爪
512a 上面
512b 下面
512c 傾斜面
513 ばね部材(付勢手段)
514 上ガイドレール(ガイドレール)
515 下ガイドレール(ガイドレール)
520 アーム回動機構
521 モータ(駆動源)
521a 第1のモータ(駆動源)
521b 第2のモータ(駆動源)
522 モータ回転軸
523 スプロケット
524 回転軸
525 軸受
526 スプロケット
527 チェーン
528 回転レバー(第2の連結部材)
529 ジョイント(第3の回動支点)
530 連結レバー(第1の連結部材)
531 ジョイント(第2の回動支点)
532 リンク機構
533 固定フレーム
540 押出し部材
541 固定フレーム
550 食器センサー(分離放出検知手段)
560 食器シュート
570 注水管
600 分離反転装置
700 反転手段
701 回転ドラム
701a 第1の回転ドラム(回転ドラム)
701b 第2の回転ドラム(回転ドラム)
702 側壁
703 仕切壁
704 食器収納空間
705 ドラム駆動部
706 スプロケット
707 スプロケット
708 チェーン
710 食器落下ガイド
720 食器センサー(反転放出検知手段)
800 洗浄装置
801 搬送手段
801a 第1の搬送手段(搬送手段)
801b 第2の搬送手段(搬送手段)
802 コンベア
802a 第1のコンベア(コンベア)
802b 第2のコンベア(コンベア)
803 スプロケット
810 洗浄水供給手段
811 ノズル管
812 ノズル
813 ポンプ
814 タンク
815 モータ
815a 第1のモータ(モータ)
815b 第2のモータ(モータ)
900 食器整理装置
901 スタッカー
902 スタッカー用の押し板の駆動手段
903 押出爪用の駆動手段
904 ホルダー
905 (スタッカー用の)押し板
906 押出爪
907 第1保持爪
908 第2保持爪
1000 制御装置
2100 食器洗浄システム
2800 洗浄機
2801 搬送手段
2810 洗浄水供給手段
2900 食器整理装置
3000 制御装置
W 食器
WR 食器列
WR1 第1の食器列(食器列)
WR2 第2の食器列(食器列)
SR 洗浄レーン
SR1 第1の洗浄レーン(洗浄レーン)
SR2 第2の洗浄レーン(洗浄レーン)