(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】医療施設用受付システム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20220728BHJP
【FI】
G16H40/20
(21)【出願番号】P 2018215110
(22)【出願日】2018-11-15
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000222624
【氏名又は名称】株式会社アルメックス
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】井上 晋
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163526(JP,A)
【文献】特開2017-188074(JP,A)
【文献】特開2018-028799(JP,A)
【文献】特開2015-201040(JP,A)
【文献】特開2008-123097(JP,A)
【文献】特開2010-182056(JP,A)
【文献】特開2014-160342(JP,A)
【文献】特開2002-149815(JP,A)
【文献】特開2002-222168(JP,A)
【文献】特開2015-069498(JP,A)
【文献】特開2005-115522(JP,A)
【文献】特開2005-025674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受付装置と、データベースを記憶する記憶部と、を含んで構成される医療施設用受付システムであって、
前記受付装置は、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部を有し、
前記データベースは、
複数人のユーザの認証情報を記憶するとともに、1人の患者に対して、異なる複数人のユーザの認証情報の対応付けが可能であり、
認証処理と、受付処理と、を実行可能とし、
前記認証処理は、前記生体情報取得部で取得したユーザの生体情報と、前記データベースに登録された
複数人のユーザの認証情報に基づいて認証を行
うことで、前記データベースに記憶されている複数人のユーザの中から1人のユーザを特定し、
前記受付処理は、
前記認証処理で特定されたユーザに複数の患者が対応付けられている場合、特定されたユーザに対応する複数の患者関連情報を表示部に表示してユーザに選択させ、選択された患者関連情報に対応する患者の受付を行う
医療施設用受付システム。
【請求項2】
前記データベースには、患者とユーザの関係を示す属性情報が登録されており、
前記受付処理の後、医療施設に設置される情報処理装置に対して、受け付けた患者の氏名、及び、属性情報に基づくユーザと患者の関係を通知する通知処理を実行する
請求項
1に記載の医療施設用受付システム。
【請求項3】
ユーザの生体情報を取得し、患者に対応付けてデータベースに登録する登録処理を実行可能とする
請求項1
または請求項
2の何れか1項に記載の医療施設用受付システム。
【請求項4】
前記登録処理は、生体情報を取得したユーザと患者との関係を示す属性情報を登録可能とする
請求項
3に記載の医療施設用受付システム。
【請求項5】
前記登録処理は、取得した生体情報が既に登録されている場合、取得した生体情報を既に登録されている生体情報に代えて登録する、あるいは、既に登録されている生体情報に対応付けて患者を登録する
請求項
3または請求項
4に記載の医療施設用受付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等の医療施設において、来院した患者を受け付ける医療施設用受付システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療施設では、初回、来院時には、自己の氏名、住所等の各種個人情報、そして、診療結果を、診察券等に表示された患者番号等に対応付けて登録して管理を行うことが通常である。そして、2回目以降の来院(再来)時には、診察券を提示することで、個人情報や過去の診察結果を引き出し、新たな診療が行われることになる。
【0003】
現在、総合病院等、大型の医療施設における再来時の受付は、受付装置を使用して自動化されることが一般的となっており、医療施設に再来した患者は、ロビー等に設置された受付装置に、磁気カード等で構成された診察券を読み取らせることで再来受付が行われる。
【0004】
このような受付装置として、特許文献1には、診察カードを読み取り、診療科目及び診療内容からなる診察内容選択画面を表示し、ユーザの選択に応じて受付番号の付された受付票を発行する受付処理に加え、診療科目名や診察内容を新たに書き込む保守処理を実行可能な診療受付装置が開示されている。この診療受付装置によれば、サービスマンなどの専門家でなくとも容易に保守処理を行うことが可能であり、小規模医院やクリニック等に導入し、受付処理の自動化、効率化を図ることが可能となる。
【0005】
また、特許文献2には、患者が診察する患者の順番を、患者が受付した受付時刻に基づく待ち行列で管理する待ち行列管理サーバが開示されている。この待ち行列管理サーバは、診察する医師毎に設けられる医師待ち行列と、医師を指定していない患者の待ち行列である一般待ち行列と、一度、診察を終えて再び診察を受ける患者の待ち行列である再診待ち行列に分けて管理を行い、予約患者が受付をした実際の時刻よりも早い時刻とし、医師待ち行列または一般待ち行列の患者の受付時刻と比較することにより、予約患者をそれらの待ち行列に割り込ませることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-236390号公報
【文献】特許第4323198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、特許文献2で使用される受付装置は、診察券を使用して医療施設における再来受付を行うものであって、再来受付等を行う患者は診察券を所持しなければならなかった。通常、診察券は医療施設毎に発行されるため、複数の医療施設で診察を受けるユーザは、複数枚の診察券を所持する必要があり、その取扱は面倒であるとともに、診察券を忘れた場合には、受付装置での再来受付を行うことができず、受付窓口等で手続を行う必要があった。
【0008】
また、診察を受ける患者によっては、子どもである、車椅子を使用している、独力での歩行ができない、あるいは、認知症を発症している等を理由として、介助者を伴っていることがある。そのような場合、患者自身による受付装置の操作は困難であり、介助者によって操作が行われることが考えられる。介助者としては、患者の親族(親、子、親戚)、友人、患者の介護を行う業務従事者等が考えられる。従来の診察券を使用した受付装置では、例えば、介助者の親が患者の場合、患者である親から診察券を預かって、受付装置1を操作して受付を行うことになる。また、業務従事者の場合も同様であって、患者から診察券を預かって受付を行うことになる。
【0009】
本発明は、このような医療施設に設置された受付装置での受け付けについて、診察券を所持することなく行うことを1つの目的としている。また、前述するように、医療施設では患者が受付装置を操作するとは限らないといった事情を考慮し、介助者であっても診察券を使用することなく、介助する患者の受付を行うことを可能とすることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1-1の構成に係る医療施設用受付システムは、
受付装置と、データベースを記憶する記憶部と、を含んで構成される医療施設用受付システムであって、
前記受付装置は、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部を有し、
前記データベースは、複数人のユーザの認証情報を記憶するとともに、1人の患者に対して、異なる複数人のユーザの認証情報の対応付けが可能であり、
認証処理と、受付処理と、を実行可能とし、
前記認証処理は、前記生体情報取得部で取得したユーザの生体情報と、前記データベースに登録された複数人のユーザの認証情報に基づいて認証を行うことで、前記データベースに記憶されている複数人のユーザの中から1人のユーザを特定し、
前記受付処理は、前記認証処理で特定されたユーザに複数の患者が対応付けられている場合、特定されたユーザに対応する複数の患者関連情報を表示部に表示してユーザに選択させ、選択された患者関連情報に対応する患者の受付を行う。
【0013】
また、第1-4の構成に係る医療施設用受付システムは、第1-2から第1-3の何れか1つに記載の医療施設用受付システムにおいて、
前記データベースには、患者とユーザの関係を示す属性情報が登録されており、
前記受付処理の後、医療施設に設置される情報処理装置に対して、受け付けた患者の氏名、及び、属性情報に基づくユーザと患者の関係を通知する通知処理を実行する
【0014】
また、第1-5の構成に係る医療施設用受付システムは、第1-1から第1-4の何れか1つに記載の医療施設用受付システムにおいて、
ユーザの生体情報を取得し、患者に対応付けてデータベースの認証情報に登録する登録処理を実行可能とする。
【0015】
また、第1-6の構成に係る医療施設用受付システムは、第1-5に記載の医療施設用受付システムにおいて、
前記登録処理は、生体情報を取得したユーザと患者との関係を示す属性情報を登録可能とする。
【0016】
また、第1-7の構成に係る医療施設用受付システムは、第1-5または第1-6の何れか1つに記載の医療施設用受付システムにおいて、
前記登録処理は、取得した生体情報が既に登録されている場合、取得した生体情報を既に登録されている生体情報に代えて登録する、あるいは、既に登録されている生体情報に対応付けて患者を登録する。
【0019】
また、本明細書で開示する医療施設用受付システムは、以下に示す第2―1または第2-2の構成を備えるものである。
【0020】
第2-1の構成に係る医療施設用受付システムは、
受付装置と、データベースを記憶する記憶部と、を含んで構成される医療施設用受付システムであって、
前記受付装置は、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部を有し、
前記データベースは、1人のユーザの認証情報に対して複数の患者の対応付けが可能であり、
認証処理と、受付処理と、を実行可能とし、
前記認証処理は、前記生体情報取得部で取得したユーザの生体情報と、前記データベースに登録された認証情報に基づいて認証を行い、認証されたユーザに対応する患者について、その患者関連情報を読み出し、
前記受付処理は、前記認証処理で読み出した複数の患者関連情報を表示部に表示してユーザに対象となる患者を選択させ、選択された患者関連情報に対応する患者の受付を行う。
【0021】
また、第2-2の構成に係る医療施設用受付システムは、第2-1に記載の医療施設用受付システムにおいて、
前記受付処理は、患者関連情報として、患者の氏名、及び、認証処理で認証されたユーザと患者の関係を示す属性を表示する。
【0022】
また、本明細書で開示する医療施設用受付システムは、以下に示す第3―1から第3-3の構成を備えるものである。
【0023】
第3-1の構成に係る医療施設用受付システムは、
受付装置と、データベースを記憶する記憶部と、を含んで構成される医療施設用受付システムであって、
前記受付装置は、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部を有し、
前記データベースは、患者に対して、患者とは異なるユーザの認証情報、及び、患者とユーザの関係を示す属性情報が登録され、
認証処理と、受付処理と、通知処理とを実行可能とし、
前記認証処理は、前記生体情報取得部で取得したユーザの生体情報と、前記データベースに登録された認証情報に基づいて認証を行い、
前記受付処理は、前記認証処理で認証されたユーザに対応付けられた患者の受付を行い、
前記通知処理は、前記受付処理の後、医療施設に設置される情報処理装置に対して、受け付けた患者の氏名、及び、属性情報に基づくユーザと患者の関係を通知する。
【0024】
また、第3-2の構成に係る医療施設用受付システムは、第3-1に記載の医療施設用受付システムにおいて、
前記データベースは、1人のユーザの認証情報に対して、複数の患者の対応付けが可能であり、
前記受付処理は、前記認証処理において、認証されたユーザに複数の患者が対応付けられている場合、当該患者に対応する複数の患者関連情報を表示部に表示してユーザに選択させ、選択された患者関連情報に対応する患者の受付を行う。
【0025】
また、第3-3の構成に係る医療施設用受付システムは、第3-2に記載の医療施設用受付システムにおいて、
前記受付処理は、患者関連情報として、受け付けた患者の氏名、及び、属性情報に基づくユーザと患者の関係を通知する。
【発明の効果】
【0026】
第1の構成(第1-1から第1-9の構成)に係る医療施設用受付システムは、データベースにおいて、1人の患者に対して、異なる複数人のユーザの認証情報の対応付けを可能としたことを1つの特徴としている。このような構成により、ある患者について、異なる複数人のユーザが生体認証を使用して受付を行うことが可能となる。そのため患者の親族、あるいは、患者を介助する業者(業務従事者)であっても、患者に代わって受付を行うことが可能となる。また、ユーザの生体情報を使用するため、診察券も不要となる。
【0027】
また、第2の構成(第3-1または第3-2の構成)に係る医療施設用受付システムは、データベースにおいて、1人のユーザの認証情報に対して、複数の患者の対応付けを可能としたことを1つの特徴としている。このような構成により、1人のユーザが、複数人の患者について生体認証による受付を行うことが可能となる。そのため、本人の受付のみならず、家族、親族等、介助する複数患者の受付を生体認証で行うことが可能となり、診察券を使用することなく容易に受付を行うことが可能となる。現在、業者(業務従事者)によって高齢者の介助が行われることがあるが、介助を行う担当者は、1つの医療施設で複数の患者を介助する場合がある。このような場合、各患者の診察券を預かる必要も無く、受付の煩雑さを軽減することが可能となる。
【0028】
また、第3の構成(第3-1から第3-3の構成)に係る医療施設用受付システムは、データベースにおいて、患者に対して、患者とは異なるユーザの認証情報、及び、患者とユーザの関係を示す属性情報が登録されていることを1つの特徴としている。このような構成により、受付処理の後、医療施設に設置される情報処理装置に対して、受け付けた患者の氏名、及び、属性情報に基づくユーザと患者の関係を通知することが可能となる。したがって、医療施設側では、患者に介助している者の関係を容易に把握することが可能となり、例えば、病状の説明の可否等、患者あるいは介助者に問うことなく、容易に判断することが可能となり、医療施設と患者間のコミュニケーションを円滑にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態に係る受付システムの構成を示す図
【
図3】本実施形態に係る受付装置の構成を示すブロック図
【
図4】本実施形態に係る受付装置の初期画面を示す図
【
図5】本実施形態に係る顔登録処理(受付装置側)を示すフロー図
【
図6】本実施形態に係る顔登録処理(管理コンピュータ側)を示すフロー図
【
図7】本実施形態に係る受付システムで使用する各種データ構成を示す図
【
図8】本実施形態に係る顔登録認証情報と患者基本情報の関係を説明するための図
【
図9】本実施形態に係る診察券読み取り画面を示す図
【
図11】本実施形態に係る補助認証情報登録画面を示す図
【
図12】本実施形態に係るユーザ追加確認画面を示す図
【
図14】本実施形態に係るチェックイン処理を示すフロー図
【
図15】本実施形態に係る顔認証処理を示すフロー図
【
図16】本実施形態に係る補助認証情報入力画面を示す図
【
図17】本実施形態に係る対象患者選択画面を示す図
【
図18】本実施形態に係るチェックイン確認画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本実施形態に係る受付システムの構成を示す図である。本実施形態の受付システムは、病院等、各種医療施設において、2回目以降の受診を行う際、診察の受付(チェックイン)を簡易に行うことを可能とするシステムである。本実施形態の受付システムは、医療施設の出入口72の近傍に位置するロビー内に設置されている。受付システムは、ロビー内に配置されユーザによって操作される受付装置1a、1b、病院受付71内等に配置され、従業員によって操作される管理コンピュータ3を有して構成されている。なお、複数のユーザに同時にサービスを提供できるように受付装置1a、1bは複数台(本実施形態は2台)配置されている。
【0031】
受付装置1a、1bと管理コンピュータ3は、LAN51を介して互いに通信可能に接続されている。管理コンピュータ3には、各種情報を表示するためのモニタ42、キーボード、マウス等、従業員による入力を受け付けるための入力装置41が接続されている。また、レシート形態の用紙に印字を行うレシートプリンタ44、診察券に記憶された情報を読み込む(書き込むことを可能としてもよい)ためのカードリーダ43も接続されている。
【0032】
図2は、本実施形態に係る受付装置1の正面図である。受付装置1は、それに対面して操作を行うユーザに対し、新患受付、再来受付(チェックインともいう)等、各種サービスを提供可能とする装置である。本実施形態の受付装置1は、タッチパネルモニタ12、カードリーダ14、スキャナ15a、2次元バーコードリーダ15b、レシートプリンタ16a、プリンタ16b、カメラ13a、赤外線カメラ13bを備えて構成されている。これら構成は、受付装置1に対して操作を行うユーザに対し、ユーザインターフェイスとして機能する。
【0033】
タッチパネルモニタ12は、対面して操作を行うユーザに対して、視覚的な情報を表示するとともに、ユーザのタッチ操作を受け付け可能としている。タッチパネルモニタ12の上方には、対面して操作を行うユーザの顔を含む範囲を撮像可能なカメラ13aと、赤外線カメラ13bが設けられている。カメラ13aは、使用するユーザの顔を撮影するためであり、赤外線カメラ13bは、使用するユーザの顔を撮影し、ユーザの体温を検出する検温処理を行うために設けられている。
【0034】
カードリーダ14は、ユーザが所持する磁気カード、あるいは、ICカードで構成された診察券から、それに記憶されている患者ID等、各種情報を読み取る。また、カードリーダは、医療費支払いのために使用するクレジットカードの読み取り機能を備えることとしてもよい。スキャナ15aは、保険証の読み取り用に設けられたフラットベッド型であって、再来受付時、当月の初診の場合など、保険証の提示が必要とされる場合、このスキャナ15aを使用して、ユーザが所持する保険証を読み取る。
【0035】
2次元バーコードリーダ15bは、印刷物に印刷された2次元バーコード、あるいは、ユーザが所持する携帯端末に表示されている2次元バーコード等、各種2次元バーコードを読み取ることが可能である。なお、読み取る対象としては、2次元バーコードに代え、1次元バーコード等、各種コード情報を読み取る形態であってもよく、その場合、2次元バーコードリーダ15bに代え、読み取り対象に適したコードリーダが使用される。また、スキャナ15a、2次元バーコードリーダ15bは、両者を設けることに代え、カメラを使用する等、共通の読み取り部とすることとしてもよい。
【0036】
本実施形態の受付装置1は、ユーザに紙媒体を提供するため、レシートプリンタ16aと、プリンタ16bが設けられている。レシートプリンタ16aは、レシートとして使用される感熱紙に印字する簡易なプリンタであって、再来受付時に発行される受付完了表、あるいは、予約受付時に発行される予約表等の印字に使用される。また、プリンタ16bは、レーザプリンタやインクジェットプリンタ等、通常紙にトナー、あるいは、インクを使用して印刷を行うものであって、衣料費支払時に発行される診療明細、領収書等の印刷に使用される。
【0037】
図3は、本実施形態に係る受付装置1の構成を示すブロック図である。受付装置1は、通常のコンピュータと同様、制御部としてのCPU11a、ROM11b、RAM11c、画像処理部11d、音声処理部11eを備えて構成されている。また、ハードディスク18等、各種情報を記憶する記憶部を有している。また、インターフェイス17を介して、カードリーダ14、スキャナ15a、2次元バーコードリーダ15b、レシートプリンタ16a、プリンタ16b、カメラ13a、赤外線カメラ13b、LAN通信部17a、Bluetooth通信部17b(「無線通信部」に相当する。)が接続されており、制御部による制御が可能となっている。
【0038】
画像処理部11dには、タッチパネルモニタ12が接続されている。タッチパネルモニタ12は、ユーザに対して各種情報を表示する表示部122と、ユーザによるタッチ操作を受け付けるタッチパネル121を備えて構成されている。タッチパネル121は、インターフェイス17に接続されており、ユーザによるタッチ操作を制御部に伝達することが可能となっている。音声処理部11eには、ユーザに対して聴覚的な情報を伝達するスピーカが接続されている。
【0039】
インターフェイス17には、
図2で説明したカメラ13a、赤外線カメラ13b、カードリーダ14、レシートプリンタ16a、プリンタ16b、スキャナ15a、2次元バーコードリーダ15b、タッチパネル121が接続されており、制御部の制御に基づいて各種処理を実行する。この他、インターフェイス17には、各種通信を行う手段として、LAN通信部17a、近距離無線通信部としてのBluetooth通信部17b(Bluetoothは登録商標)が接続されている。LAN通信部17aは、LAN51に接続され、
図1で説明した管理コンピュータ3等、LAN上の各種情報処理装置、あるいは、ルータ52を介してインターネットと通信することが可能となっている。
【0040】
以上、
図1、
図2を用いて説明した受付システムを使用して、ユーザに対する各種サービスを実行することが可能となっている。
【0041】
図4は、本実施形態に係る受付装置1のタッチパネルモニタ12に表示される初期画面を示す図である。初期画面には、ユーザに対して、ユーザが外来患者、入院患者、面会者が何れであるのかを問うボタン121a~121c、患者関係者(患者本人、及び、患者の親族、あるいは、患者を看護する業務従事者の何れか)について、顔登録を行うためのボタン121d、日本語以外の他の言語に切り替えるためのボタン121eが表示されている。ユーザが、このボタン121a~121eを選択することで、それに応じた処理が実行される。
【0042】
従来の医療施設では、再来受付等を行う際、受付装置1に診察券を挿入することが必要であり、再来受付等を行う患者は診察券を所持しなければならなかった。通常、診察券は医療施設毎に発行されるため、複数の医療施設で診察を受けるユーザは、複数枚の診察券を所持する必要があり、その取扱は面倒であった。そのため、本実施形態では、診察券を使用することに代え、顔認証を使用することとしている。顔認証は、顔を登録し、患者IDに紐付けておく顔登録処理を事前に行うことで可能となる。顔認証を使用することで、患者は診察券を所持することなく、受付装置1での受付を行うことが可能となる。なお、本実施形態では、生体認証の手法として顔認証を使用しているが、顔認証に限られるものでは無く、指紋認証、虹彩認証、静脈認証、音声認証等、各種生体認証を使用することが可能である。
【0043】
ところで、診察を受ける患者によっては、子どもである、車椅子を使用している、独力での歩行ができない、あるいは、認知症を発症している等を理由として、介助者を伴っていることがある。そのような場合、患者自身による受付装置1の操作は困難であり、介助者によって操作が行われることが考えられる。介助者としては、患者の親族(親、子、親戚)、友人、患者の介護を行う業務従事者等が考えられる。従来の診察券を使用した受付装置1では、例えば、介助者の親が患者の場合、患者である親から診察券を預かって、受付装置1を操作して受付を行うことになる。また、業務従事者の場合も同様であって、患者から診察券を預かって受付を行うことになる。
【0044】
顔認証を含む生体認証では、本人を認証することが通常である。しかしながら、上述する医療施設特有の事情に基づき、患者本人が受付装置1と対面して操作を行うことができない状況がある。そのため、本実施形態の受付システムでは、以下に示す3つの構成の内、少なくとも何れか1つの構成を備えることを特徴としている。
・ある1人の患者を顔認証可能な患者以外の他のユーザと対応付けること。
・ある1人の患者に対して顔認証可能な複数のユーザ(患者を含んでもよい)を対応付けること。
・前述した業務従事者の場合、ある1つの医療施設において、複数の患者の介助を行う場合がある。そのため、あるユーザ(例えば、業務従事者等)が、複数の患者に対して顔認証可能に対応付けられていてもよい。
【0045】
まず、本実施形態に係る顔登録処理について、
図5、
図6を用いて説明を行う。
図5は、本実施形態に係る顔登録処理(受付装置側)を示すフロー図であり、
図6は、本実施形態に係る顔登録処理(管理コンピュータ側)を示すフロー図である。
【0046】
ここで、本実施形態の受付システムで使用する各種情報のデータ構成について説明しておく。
図7には、本実施形態に係る受付システムで使用する各種データ構成が記載されている。管理コンピュータ3には、初診時等のタイミングで、事前に登録された患者基本情報が記録されている。
図7(A)に示されるように、患者基本情報は、患者ID、施設ID、氏名、住所、性別、生年月日、個人識別情報、保険証情報等、ユーザとしての患者に関する情報が登録されている。ここで、本実施形態では、患者IDと医療施設IDを組み合わせてシステムIDとして使用している。本実施形態の受付システムは、複数の医療施設で使用可能とすることを前提としている。したがって、患者IDと医療施設IDを組み合わせたシステムIDを参照することで、医療施設、及び、患者を特定することが可能となる。なお、システムIDは、患者IDと医療施設IDの組み合わせのみならず、医療施設と患者を特定可能なように、適宜に定めることとしてもよい。
【0047】
個人識別情報は、初診受付時等、患者から提示された運転免許証、マイナンバーカード等に記載された番号、あるいは、それらのコピー画像等、個人を識別可能とする各種情報である。保険証情報には、保険証種別、保険証番号、有効期限等が含まれている。
【0048】
管理コンピュータ3には、診療予約に関する予約情報も登録されている。
図7(B)に示されるように、予約情報は、患者ID、予約日、予約時間帯、診療科ID、医師IDを含んで構成されている。本実施形態では、予約日と予約時間帯が指定される予約形態としているが、予約形態は、このような形態に限られるものでは無く、予約日のみとする、あるいは、予約日と予約時間とする等、各種形態を採用することが可能であって、医療施設の予約形態に応じて、予約情報内の情報は適宜変更されることになる。
【0049】
顔登録処理は、
図4で説明した、患者関係者顔登録と表記されたボタン121dを操作することで開始される。顔登録処理が開始されると、タッチパネルモニタ12には、診察券の挿入を促す診察券読み取り案内画面が表示される(S101)。
【0050】
なお、本実施形態では、カードタイプの診察券以外に、スマートフォン等の携帯端末を診察券に代えて使用することが可能である。その場合、ユーザは、携帯端末にプログラム(アプリ)をダウンロードし、当該プログラムに診察券に関する情報を登録しておく。診察券の登録が完了した携帯端末でプログラムを実行させ、診察券に関する情報(患者ID等)を2次元バーコード(コード情報)として携帯端末の画面に表示させ、受付装置1の2次元バーコードリーダ15bで読み取らせることで受付を可能としている。
【0051】
図9は、本実施形態に係る診察券読み取り画面を示す図である。診察券読み取り案内画面には、カードタイプの診察券の読み取り、あるいは、携帯端末(スマートフォン)に表示させた2次元バーコードの読み取りが案内される。また、顔登録と表記されたボタン121a、キャンセルと表記されたボタン121bが表示されている。カードタイプ、あるいは、携帯端末による診察券の読み取りが完了し(S102:Yes)、ボタン121aを操作することによる顔登録開始操作が行われた場合(S103:Yes)、カメラ13aによる撮影が開始される(S104)。なお、診察券読み取り案内画面でボタン121bが操作された場合(図示せず)、顔登録処理を終了して初期画面へと戻る。
【0052】
カメラ13aは、受付装置1と対面して操作を行うユーザの顔を撮影する方向に向けられている。受付装置1は、カメラ13aで撮影された映像情報から、顔認証情報を取得する。顔認証情報は、映像情報、あるいは、映像情報から抽出した顔の特徴量、あるいは、映像情報及び特徴量等、各種形態を採用することができる。また、マスクをしている、サングラスをしている等、顔認証できない場合には顔認証情報が取得できない(S106:No)と判定する。カメラ13aで撮影された映像情報から、顔認証を行うために十分な顔認証情報の取得が完了した場合(S106:Yes)には、属性選択画面が表示される(S107)。
【0053】
一方、顔認証を行うために必要な顔認証情報が取得できず、所定のタイムアウト時間を経過した場合(S105:Yes)には、タッチパネルモニタ12にエラー画面を表示して、ユーザ追加確認画面を表示する(S112)。あるいは、顔認証情報を取得するために必要となる事項をタッチパネルモニタ12に表示させ、顔認証情報の取得を継続することとしてもよい。
【0054】
本実施形態では、前述したように診察券に対応する患者以外のユーザ(介助者)であっても患者に代え、あるいは、患者に加えて顔登録を行うことが可能となっている。そのため、本実施形態の顔登録処理では、顔登録を行ったユーザが、患者に対する誰であるかを示す属性情報を登録可能としている。登録された属性情報は、後で説明するチェックイン処理の他、受付システムにおいて、医療施設の従業者が参照することが可能となっている。そのため、医療施設では、受付システムに通信接続された情報処理装置を使用し、当日、受け付けた患者に付き添っている介助者の属性を参照することが可能である。
【0055】
図10は、本実施形態に係る属性選択画面を示す図である。属性選択画面には、ユーザに確認させるため、カメラ13aで撮影された映像情報を表示する撮影像表示欄122a、属性選択ボタン122b、次へと表記されたボタン122d、キャンセルと表記されたボタン122cが表示されている。ユーザは、属性選択ボタン122bを使用して、患者に対する自分の属性を選択する。なお、本実施形態では、予め定められた属性の中から選択する形態となっているが、ソフトキーボード、テンキー等の入力手段を使用して、ユーザが自由な形態で属性を入力できるようにしてもよい。例えば、業者(業務従事者)のように、1つの医療施設で複数の患者を担当する場合、患者に対して業者で割り当てた管理番号等使用することで、後で説明するチェックイン処理等において、容易に対象とする患者を選択することが可能となる。また、属性は1つのみならず、複数選択できるようにしてもよい。
【0056】
属性が選択され、ボタン122dが操作された後、すなわち、属性の選択が完了した場合(S108:Yes)、補助認証情報登録画面が表示される。
図11は、本実施形態に係る補助認証情報登録画面を示す図である。本実施形態では、生体認証としての顔認証以外に、連絡先電話番号を補助認証情報として使用している。補助認証情報には、連絡先電話番号のみならず、生年月日、ユーザが決定したパスワード等、各種情報を使用することが可能である。補助認証情報を使用することで、認証の精度を向上させるとともに、顔認証の負担を削減することが可能となる。すなわち、顔認証と補助認証情報による認証を併用することで、高精度な顔認証を使用せずとも認証の精度を向上することが可能となる。また、補助認証情報が一致したデータベース上の患者を対象として、顔認証を行う等により、顔認証を実行する管理コンピュータ3等の処理負担を削減することも可能となる。
【0057】
補助認証情報登録画面には、入力表示欄123a、テンキー123b、ボタン123c、123dが表示されている。受付装置1を操作するユーザは、テンキー123bを使用して、自己の連絡先電話番号を入力する。入力された連絡先電話番号は、入力表示欄123aに表示される。入力を終えたユーザは、登録と表記されたボタン123cを操作することで補助認証情報の登録を完了する(S110:Yes)。なお、補助認証情報登録画面において、キャンセルと表記されたボタン123dを操作することで、前の画面に戻る、もしくは、顔登録処理を抜けることが可能となっている。
【0058】
補助認証情報の登録完了後、受付装置1は、管理コンピュータ3に対して登録認証情報を送信する(S111)。
図8(A)、
図8(B)には、登録認証情報のデータ構成が記載されている。登録認証情報は、管理コンピュータ3の記憶部等にデータベースとして登録される。登録認証情報には、今回の登録処理で取得した顔認証情報、補助認証情報、属性情報が、患者IDに対応付けられている。本実施形態の顔登録情報は、顔IDを使用し、基本情報とブリッジ情報で対応付けられている。
図8(A)は、1人の顔登録を行ったユーザが複数の患者に対応付けられている例である。また、
図8(B)は、顔登録を行った複数のユーザが1人の患者に対応付けられている例である。
【0059】
このように本実施形態では、1人の患者に対して複数のユーザを登録すること、あるいは、1人のユーザに対して複数の患者を登録することが可能となっている。そのため、受付装置1で実行される顔登録処理では、1回の処理で複数のユーザの顔登録を行うことが可能となっており、登録認証情報を送信(S111)後、ユーザ追加確認画面を表示すること(S112)で、他のユーザも顔登録を行うことが可能となっている。すなわち、1回の顔登録処理で、本人、親族、業者(業務従事者)等、複数人のユーザの顔登録を行うことが可能となっている。
【0060】
図12は、本実施形態に係るユーザ追加確認画面を示す図である。本実施形態のユーザ追加確認画面には、撮影像表示欄124a、ボタン124b、124cが表示されている。撮影像表示欄124aには、カメラ13aで撮影している映像が表示される。ユーザは、撮影像表示欄124aを視認することで、顔登録が可能となることを確認できる。続けて他のユーザの顔登録を行う場合には、はいと表記されたボタン124bを操作する(S113:Yes)。その場合、S104に戻り、他のユーザの顔登録を開始する。一方、いいえと表記されたボタン124cを操作した場合(S113:No)、一連の顔登録処理を終了する。
【0061】
図13は、
図12で説明した受付装置1側での顔登録処理に対応して実行される、管理コンピュータ3側での顔登録処理を示すフロー図である。管理コンピュータ3は、受付装置1から管理コンピュータ3に送信(S112)された登録認証情報を受信すると(S151:Yes)、まず、
図8(A)、
図8(B)で説明した基本情報部分の検索を行う(S152)。今回、受付装置1で取得した登録認証情報(顔認証情報、補助認証情報)が登録されていない場合(S153:No)、当該ユーザの顔登録は行われていないため、
図8(A)、
図8(B)に示すような形態で登録認証情報の登録を行う。
【0062】
一方、今回、受付装置1で取得した登録認証情報(顔認証情報、補助認証情報)が既に登録されている場合(S153:Yes)、当該一致したユーザについて患者との対応付けが行われているか、すなわち、ブリッジ情報が合致しているかの確認が行われる(S155)。合致するブリッジ情報が無い場合(S155:No)、登録認証情報としてブリッジ情報部分のみを追加登録する(S157)。基本情報部分については、既に登録されているものを使用する、あるいは、今回取得した情報に更新することとする。一方、合致するブリッジ情報が無い場合(S155:Yes)。登録認証情報を送信してきた受付装置1にエラー情報を送信する(S156)。エラー情報を受信した受付装置1は、今回、ある患者に対して顔登録しようとしたユーザが、既に患者に対して登録済みである旨を表示する(
図5には、図示せず)。
【0063】
このように、本実施形態では、管理コンピュータ3に登録する際、登録認証情報を基本情報とブリッジ情報に分けて登録するため、顔認証情報を含む基本情報部分での重複を避け、データ量の削減、顔認証情報が複数登録されることでの不具合の発生を抑制し、顔認証時の効率化等を実現することを可能としている。
【0064】
次に、本実施形態における顔認証処理を使用するチェックイン処理について説明する。ここで、チェックイン処理とは、一度、来院した患者が再度来院したときに行われる再来受付で行われる処理に相当する。
図4の初期画面において外来患者と表記されたボタン121aが選択された場合、
図13に示される外来患者用画面へと遷移する。外来患者画面には、新患受付、再来受付、診療費支払い、予約依頼と表記されたボタン125a~125d、及び、初期画面に戻るためのボタン125eが表示される。
【0065】
ここで、各ボタン125a~125dに表示されている各種サービスについて説明しておく。ボタン125a(新患受付)をタッチ選択することで開始されると新患患者、すなわち、この医療施設に初めてかかる患者に対する新患受付処理が開始される。新患受付処理では、受付装置1のスキャナ15aを使用して、マイナンバーカード、運転免許証等の身分証明書、及び、保険証の読み取りが行われる。タッチパネルモニタ12には、ユーザに対し、登録が完了するまで待機するよう通知する表示が行われ、受付装置1側での新患受付処理は完了する。読み取られた情報は、管理コンピュータ3に送信され、事務員等の作業を経て、医療施設のデータベースに患者基本情報として登録される。
【0066】
ボタン125c(再来受付)をタッチ選択することで開始される処理は、医療施設において、2回目以降の受診を行う際、診療の受付を行う処理(チェックイン処理)である。本実施形態の再来受付処理は、前回受診時等、事前に診療予約しているユーザを対象としているが、予約していないユーザを受付可能としてもよい。そのため、再来受付処理をチェックイン処理と呼ぶこととする。
【0067】
ボタン125b(診療費支払い)をタッチ選択することで開始される処理は、診療が終了したユーザに対して、診療費の支払いを行うための処理である。本実施形態の受付装置1は、カードリーダ14を使用してクレジットカードによる支払いを行うことを可能としているが、現金取扱機能を設け、現金による支払いを可能としてもよい。ボタン125d(予約依頼)を選択することで開始される処理は、次回の診療日時を予約するための処理である。
【0068】
なお、本実施形態における顔認証処理は、チェックイン処理のみならず、従来、診察券を使用して患者の認証に使用していた各種処理について使用することができる。このような処理としては、例えば、ボタン125bを操作した際に実行される診療費の支払処理、ボタン125dを操作した際に実行される予約依頼の受け付け処理時等が挙げられる。
【0069】
図14は、本実施形態に係るチェックイン処理を示すフロー図である。チェックイン処理は、受付装置1で実行される処理であって、ユーザが受付装置1に対面して、タッチパネルモニタ12等を操作することで行われる処理である。チェックイン処理は、
図13の外来患者用画面において、ボタン125c(再来受付)を操作することで開始される。
【0070】
チェックイン処理が開始されると、タッチパネルモニタ12には案内画面が表示される(S201)。案内画面には、ユーザに対して、2種類のチェックイン方法をユーザに選択させる。ここで、2種類のチェックイン方法とは、従来のように診察券を挿入することによるチェックイン、あるいは、診察券を使用すること無く、顔登録処理で事前に登録した顔認証情報によるチェックインである。診察券が挿入された場合(S202:診察券)、カードリーダ14は、診察券に記憶されている患者IDを読み取る(S203)ことで患者を特定し、当該患者を受け付けるため、S204以降の処理を実行する。
【0071】
一方、案内画面において顔認証が選択された場合(S202:顔認証)、診察券を使用せず、受付装置1に対面するユーザの顔を使用して患者を特定する顔認証処理(S300)が実行される。
【0072】
図15は、本実施形態に係る顔認証処理を示すフロー図である。顔認証処理が開始されると、受付装置1は、カメラ13aによる撮影を開始する(S301)。そして、補助認証情報入力画面を表示する(S302)。
図16には、本実施形態に係る補助認証情報入力画面が示されている。補助認証情報入力画面は、撮影像表示欄126a、入力表示欄126b、テンキー126c、ボタン126d、126eを含んで構成されている。撮影像表示欄126aは、カメラ13aで撮影されている映像が表示されており、ユーザを適正な位置に誘導させる。入力表示欄126bには、テンキー126cで入力された番号(この例では、連絡先電話番号)が表示される。
【0073】
入力補助情報としての連絡先電話番号を入力し終えたユーザは、確認と表記されたボタン126dを操作して補助入力情報を確定する。補助入力情報が入力された場合(S303:Yes)、入力された補助認証情報、及び、カメラ13aで撮影された映像に基づき、管理コンピュータ3に対して問い合わせを行う(S304)。管理コンピュータ3では、受信した補助認証情報、及び、カメラ13aで撮影された映像に基づいて認証を実行する。具体的には、
図8(A)、
図8(B)で説明した登録認証情報中、今回、カメラ13aで撮影された映像に対応する顔認証情報が登録されているかという第1の認証と、今回、入力された補助認証情報に一致する補助認証情報が登録されているかという補助認証情報に基づく第2の認証を実行する。管理コンピュータ3における認証では、第2の認証を先に実行することで、管理コンピュータ3の処理負担は軽減される。
【0074】
管理コンピュータ3における認証結果は、受付装置1に対して送信される。認証結果を取得した(S305:Yes)受付装置1は、認証結果の内容を確認する(S306)。認証できた場合(S306:Yes)、認証結果において、対象患者が単数であるか(S307:No)、複数であるか(S307:Yes)が判定される。
図8(A)に示されるように説明したように、本実施形態では、1人の顔認証可能なユーザに対して複数の患者を対応付けることが可能となっている。そのため、認証されたユーザに複数の患者がある場合(S307:Yes)には、対応付けられた複数の患者を候補として提示し、ユーザに選択させることとしている。
【0075】
図17は、本実施形態に係る対象患者選択画面を示す図である。この対象患者選択画面には、患者選択ボタン127a~127dが表示されている。各患者選択ボタン127a~127dには、患者の氏名、及び、認証されたユーザ(受付装置1を操作しているユーザ)との関係が表示されている。この関係は、登録処理の属性選択画面で選択、あるいは、入力された属性情報に基づくものである。ユーザは、患者選択ボタン127a~127dに表示された氏名、関係を確認し、今回、受診する患者を選択する(S309:Yes)。選択された患者は、今回、受診を受ける対象患者として決定される(S310)。
【0076】
図16に戻り、対象患者が確定した後のチェックイン処理について説明を行う。診察券の読み取り(S203)、あるいは、顔認定処理(S300)によって、診察対象となる対象患者が特定された以後の処理について説明を行う。受付装置1は、診察券の読み取り(S203)、あるいは、顔認証処理(S300)で特定した対象患者の患者IDを含むチェックイン要求を送信する(S204)。
【0077】
チェックイン要求を受信した管理コンピュータ3は、チェックイン要求に含まれる患者IDを参照し、それに該当する予約情報の検索を行う。患者IDに対応する予約情報が無い、あるいは、患者IDに対応する予約情報の予約日が当日のもので無い場合、受付装置1に対してエラー情報を送信する。エラー情報を受信した場合(S205:Yes)、受付装置1は、タッチパネルモニタ12に、予約が無く、受付できなかったことを通知するチェックインエラー画面を表示する(S215)。
【0078】
一方、管理コンピュータ3において、患者IDに対応し、予約日が当日である予約情報が存在した場合、管理コンピュータ3は、受付装置1に予約確認情報を送信する。予約確認情報には、予約情報に基づく各種情報、すなわち、患者名、予約日、予約時間帯、診療科名、医師名等が含まれている。受付装置1は、予約確認情報を受信する(S206:Yes)と、受信した予約確認情報に基づきチェックイン確認画面を表示する(S209)。なお、本実施形態では、チェックイン確認画面を表示する前に、赤外線カメラ13bを使用して、ユーザの検温を行うこととしている。
【0079】
図2で説明したように、受付装置1には、ユーザを含む範囲を撮像可能な赤外線カメラ13bが設けられている。検温はこの赤外線カメラ13bを使用して行われる(S207)。本実施形態では、検温を正確に行うことが可能な人間のこめかみ近傍の体温を使用することとしている。さらに、検温結果の精度を高めるため、広い範囲の顔の体温分布に基づいて、こめかみ近傍の体温を補正し、検温結果として使用している。また、こめかみ位置を正確に検出するため、カメラ13aを合わせて使用することとしてもよい。検温結果が正常で無い場合(S208:No)、すなわち、インフルエンザ発症等による高熱等と考えられる場合は、タッチパネルモニタ12に発熱注意画面を表示する(S213)と共に、発熱注意情報を管理コンピュータ3に送信する(S214)。
【0080】
発熱注意画面には、発熱により、ユーザに対し、隔離スペースなどへの移動を求める旨が表示される。また、発熱注意情報を受信した管理コンピュータ3は、従業者に対して、発熱異常の患者が発生したことを、受付装置1の識別情報を含めて通知する。このように再来受付時、インフルエンザを発症しているユーザを隔離する等、チェックイン時に対策を取ることで、院内感染等を抑制することが可能となる。なお、受付装置1では、発熱注意画面のみならず、受付装置1の周囲に通知する通知手段を設けることとしてもよい。例えば、受付装置1の上部に通知灯を設けておき、それを点灯させることで、受付装置1の周囲で待機する従業員に通知する、音声で通知する等の通知手段を設けることが考えられる。また、赤外線カメラ13bによる検温は、本実施形態のタイミングで行うことに限られるものでは無く、チェックイン処理内の適宜タイミングで行うこととしてもよい。
【0081】
一方、検温結果が正常である場合(S208:Yes)、受付装置1は、受信した予約確認情報に基づき、タッチパネルモニタ12にチェックイン確認画面を表示する(S209)。
図18は、本実施形態に係るチェックイン確認画面を示す図である。チェックイン確認画面には、診療科、医師名、予約時間帯を含む受診内容表示欄128a、取消ボタン128b、確認ボタン128cが表示される。
図18に示されるチェックイン確認画面から分かるように、本実施形態では、1回の来院で複数の科を受診することも可能である。その場合、該当する複数の予約情報に基づいて、チェックイン確認画面が表示される(S209)。ユーザは、受診内容に問題無ければ、確認ボタン128cを操作し、当日の受診内容を確定させる(S210:Yes)。一方、受診内容を取り消したい場合、取り消したい項目(受診科等)を選択して、取消ボタン128bを操作することで、項目に該当する予約を取り消すことが可能である。
【0082】
確認ボタン128cがタッチ操作された場合(S210:Yes)、受付装置1は、管理コンピュータ3に確認指示情報を送信する(S211)。管理コンピュータ3は、確認指示情報の受信に基づいて、対応する予約情報を受診情報として診療待ち行列に加える。診療待ち行列は、対応する診療科の医師毎に設けられており、基本、この診療待ち行列の順に基づいて診療が行われることになる。また、受付装置1では、ユーザに対して、レシートプリンタ15を使用して受付完了票をプリントアウトする(S212)。
【0083】
受付完了票には、予約情報に含まれる受診科、医師名、予約時間帯、そして、受付順に相当する待合番号、2次元バーコード(コード情報)が印刷されている。なお、本実施形態のように、複数の受診科で受診する場合には、受診科毎に待合番号を発行することとしてもよい。ここで、受付完了票に印刷される2次元バーコードは、受診時に、診療科に配置された情報処理装置(図示せず)で確認を行うための情報である。診療科に配置された情報処理装置は、LAN51で管理コンピュータ3と通信接続されており、情報処理装置で読み取った2次元バーコードで、本人確認を行うことが可能となっている。
【0084】
なお、本実施形態において、顔認証処理(S300)を行った場合、確認指示情報には、顔認証処理(S300)を行ったユーザの属性情報が加えられる。属性情報を参照することで、当日、患者に付き添っている者が誰であるかを容易に確認することが可能となる。例えば、受診する診療科に設置された情報処理装置において、患者に関する情報(氏名など)を参照する際、この属性情報に基づく患者と介助しているユーザの関係を合わせて通知(表示)する通知処理を実行することで、医療施設側では、患者と介助者の関係を容易に確認することが可能となる。例えば、患者の親族(親、子、配偶者)に限って病状を説明したいという状況下では、医療施設側では、属性情報に基づき通知される患者と介助しているユーザの関係を容易に把握し、病状の説明の可否を判断することが可能となる。なお、この属性情報は、確認指示情報に加えることに代え、受付完了票の2次元バーコード(コード情報)に含ませておくことで通知処理を行うことしてもよい。
【0085】
例えば、対象患者が子であり、受付装置1で認証を行ったユーザがその親である場合、診療科に設置された情報処理装置では、対象患者の親であることが通知される。この場合登録処理時には、認証を行うユーザからみた患者の関係(この場合、子)であるのに対し、医療施設側で通知する場合は、患者からみた認証を行うユーザの関係(この場合、親)である点で異なっている。このように登録処理で選択させる関係と、通知処理で通知する形態を異ならせることで、登録処理における属性情報の選択を容易とするとともに、対象処理において、医療施設側での患者に対する関係の把握を容易なものとすることが可能となっている。
【0086】
以上、本発明に係る発明について、各種実施形態について説明を行ったが、本発明はこれら各種実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの各種実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0087】
1(1a、1b):受付装置 16a:レシートプリンタ
3:管理コンピュータ 16b:プリンタ
11a:CPU 17:インターフェイス
11b:ROM 17a:LAN通信部
11c:RAM 17b:通信部
11d:画像処理部 18:ハードディスク
11e:音声処理部 41:入力装置
12:タッチパネルモニタ 42:モニタ
13a:カメラ 43:カードリーダ
13b:赤外線カメラ 44:レシートプリンタ
14:カードリーダ 52:ルータ
15:レシートプリンタ 71:病院受付
15a:スキャナ 72:出入口
15b:2次元バーコードリーダ 121:タッチパネル