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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20220728BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220728BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
B41J29/13
B41J2/01 301
F16C11/04 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019013330
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020121438
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】小栗 惇
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-010829(JP,A)
【文献】特開2018-176455(JP,A)
【文献】特開2017-202634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0061646(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/13
B41J 2/01
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材に設けられ、記録媒体が載置される載置台と、
前記ベース部材に設けられ、前記載置台より上方に位置し、主走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記記録媒体にインクを吐出するノズルを備えたインクヘッドと、
前記ベース部材に取り付けられ、前記載置台との間に開口が形成された本体ケースと、
前記開口を開閉するカバー部材と、前記カバー部材を前記本体ケースに対して回動可能に支持しかつ前記副走査方向に延びるフレーム部材とを有するフロントカバーと、
前記主走査方向に延び、前記ベース部材または前記本体ケースに接続された一端と、前記フレーム部材の前記副走査方向に延びる部分の中央に接続された他端とを有する支持軸と、を備え、
前記支持軸は、前記フロントカバーを、前記カバー部材が前記開口を閉じる閉鎖位置と、前記カバー部材が前記開口を開く開放位置との間で回動可能に支持する、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記フレーム部材は、前記副走査方向に延びるメインフレーム部材と、前記メインフレーム部材に設けられかつ前記メインフレーム部材から下方に延びるサブフレーム部材と、を備え、
前記カバー部材は、前記サブフレーム部材に取り付けられ、
前記支持軸の前記他端は、前記支持軸が前記メインフレーム部材の前記副走査方向に延びる部分の中央に位置するように前記サブフレーム部材に接続されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記フロントカバーが前記閉鎖位置に位置するとき、前記メインフレーム部材は、前記副走査方向の上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜し、かつ、前記サブフレーム部材は、前記支持軸の軸心よりも前記副走査方向の下流側に位置し、
前記フロントカバーが前記開放位置に位置するとき、前記サブフレーム部材は、前記支持軸の前記軸心よりも前記副走査方向の上流側に位置する、請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記フロントカバーが前記閉鎖位置に位置するとき、前記サブフレーム部材の前記副走査方向の下流側の端部は、前記支持軸よりも下方に位置する、請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記主走査方向から見て、前記支持軸の前記軸心から前記メインフレーム部材の前記副走査方向の下流側の端部までの距離と、前記支持軸の前記軸心から前記メインフレーム部材の前記副走査方向の上流側の端部までの距離とが同じになるように、前記支持軸の前記他端は、前記サブフレーム部材に接続されている、請求項3または4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記フロントカバーが前記閉鎖位置に位置するとき、前記支持軸の前記軸心が前記メインフレーム部材の前記副走査方向の下流側の前記端部より上方かつ前記メインフレーム部材の前記副走査方向の上流側の前記端部より下方に位置するように、前記支持軸の前記他端は前記サブフレーム部材に接続されている、請求項5に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記フロントカバーは、前記フレーム部材に取り付けられ、前記副走査方向に延びる板部材を備え、
前記フロントカバーが前記閉鎖位置に位置するとき、前記フレーム部材は、前記副走査方向の上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜し、かつ、前記板部材は、前記支持軸の軸心よりも前記副走査方向の下流側に位置し、
前記フロントカバーが前記開放位置に位置するとき、前記板部材は、前記支持軸の前記軸心よりも前記副走査方向の上流側に位置する、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記主走査方向から見て、前記支持軸の前記軸心から前記フレーム部材の前記副走査方向の下流側の端部までの距離と、前記支持軸の前記軸心から前記フレーム部材の前記副走査方向の上流側の端部までの距離とが同じになるように、前記支持軸の前記他端は、前記フレーム部材に接続されている、請求項7に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベース部材と、ベース部材に取り付けられた本体ケースと、本体ケースに形成された開口を開閉するフロントカバーと、を備えたインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタと称する場合がある。)が知られている。ベース部材には、記録媒体が載置される載置台と、インクヘッドを搭載したキャリッジと、が設けられている。かかるプリンタでは、フロントカバーを開いた状態で、作業者が載置台に記録媒体を載置したり、インクヘッドのメンテナンスを行ったりする。また、フロントカバーを閉じた状態でインクヘッドから記録媒体にインクを吐出させて印刷を行う。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷部のメンテナンス等を行うための開口部と、開口部を回動可能に覆うカバー部とを備えたインクジェットプリンタが開示されている。また、特許文献2には、本体ケースとプラテンとの間に形成された開口を開閉するフロントカバーを備えたインクジェットプリンタが開示されている。かかるフロントカバーは、本体ケースの前端を中心に回動可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-100412号公報
【文献】特開2017-43057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献2に記載のプリンタでは、フロントカバーの後端にフロントカバーを回動可能に支持する支持軸が配置されている。かかる構成によると、フロントカバーを上方に回動させて開口を開放するときに、フロントカバーと本体ケースとが干渉する虞がある。このため、フロントカバーと本体ケースとの干渉を抑制するために、フロントカバーの上方への回動を制限する必要がある。しかしながら、フロントカバーの上方への回動が制限される場合にはフロントカバーの回動範囲が狭くなるため、フロントカバーを上方に回動させて開口を開放したときに、フロントカバーの先端部分が作業者の目の高さに配置されることになり、作業の妨げになるという問題が生じ得た。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、本体ケースとフロントカバーとの干渉を抑制すると共に、フロントカバーの回動範囲をより広くすることができるインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインクジェットプリンタは、ベース部材と、前記ベース部材に設けられ、記録媒体が載置される載置台と、前記ベース部材に設けられ、前記載置台より上方に位置し、主走査方向に移動可能なキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、前記主走査方向と直交する副走査方向に搬送される前記記録媒体にインクを吐出するノズルを備えたインクヘッドと、前記ベース部材に取り付けられ、前記載置台との間に開口が形成された本体ケースと、前記開口を開閉するカバー部材と、前記カバー部材を前記本体ケースに対して回動可能に支持しかつ前記副走査方向に延びるフレーム部材とを有するフロントカバーと、前記主走査方向に延び、前記ベース部材または前記本体ケースに接続された一端と、前記フレーム部材の前記副走査方向に延びる部分の中央に接続された他端とを有する支持軸と、を備え、前記支持軸は、前記フロントカバーを、前記カバー部材が前記開口を閉じる閉鎖位置と、前記カバー部材が前記開口を開く開放位置との間で回動可能に支持する。
【0008】
本発明のインクジェットプリンタでは、支持軸は、フロントカバーを閉鎖位置と開放位置との間で回動可能に支持する。ここで、支持軸の他端は、フレーム部材の副走査方向に延びる部分の中央に接続されている。このため、支持軸の他端がフレーム部材の副走査方向の端部(例えば後端)に接続されている場合と比較して、フレーム部材の回動領域をコンパクト化することができる。即ち、フレーム部材のうち支持軸から最も離れた部分と支持軸との距離がより小さくなる。これにより、本体ケースとフロントカバーとの干渉を抑制しつつ、フロントカバーの回動角度をより大きくすることができる。この結果、フロントカバーの先端部分(例えばフロントカバーを閉じた状態におけるカバー部材の下端)が作業者の目の高さに位置しないように、フロントカバーを上方に回動させて開口を開くことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本体ケースとフロントカバーとの干渉を抑制すると共に、フロントカバーの回動範囲をより広くすることができるインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るプリンタを示す斜視図である。
図2】一実施形態に係るプリンタの一部を示す正面図である。
図3】一実施形態に係るプリンタの要部断面図であり、フロントカバーが閉鎖位置にいる状態を示す図である。
図4】一実施形態に係るプリンタの要部断面図であり、フロントカバーが開放位置にいる状態を示す図である。
図5】一実施形態に係るフロントカバーの正面図である。
図6】一実施形態に係るフロントカバーの側面図である。
図7】一実施形態に係るフロントカバーの背面図である。
図8】一実施形態に係るフロントカバーの斜視図である。
図9】一実施形態に係るプリンタの一部を示す斜視図である。
図10】一実施形態に係るプリンタの要部断面図であり、フロントカバーが閉鎖位置の直前にいる状態を示す図である。
図11】他の一実施形態に係るフロントカバーの側面図である。
図12】他の一実施形態に係るフロントカバーの背面図である。
図13】他の一実施形態に係るフロントカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」と称する)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10を示す斜視図である。図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う。記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。記録媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステル等の樹脂製のシートやフィルム、織布や不織布等の布帛、その他の媒体であってもよい。
【0013】
以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ10から上記作業者に近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。後述するインクヘッドユニット20(図2参照)は、左方および右方に移動可能に設けられている。記録媒体5は、前方および後方に搬送される。本実施形態では、インクヘッドユニット20の移動方向を主走査方向Yといい、記録媒体5の搬送方向を副走査方向Xという。ここでは、主走査方向Yは左右方向に対応し、副走査方向Xは前後方向に対応する。主走査方向Yと副走査方向Xとは直交している。また、プリンタ10の後側を上流側と称し、プリンタ10の前側を下流側と称する。ただし、主走査方向Yおよび副走査方向Xは特に限定される訳ではなく、プリンタ10の形態等に応じて適宜に設定可能である。
【0014】
図1に示すように、プリンタ10は、ベース部材40と、記録媒体5が載置されるプラテン15と、本体ケース50と、右脚部16Rと、左脚部16Lと、インクヘッドユニット20(図2参照)と、を備えている。右脚部16Rおよび左脚部16Lは、ベース部材40の下部に取り付けられている。右脚部16Rおよび左脚部16Lは、ベース部材40を支持する。
【0015】
図1に示すように、ベース部材40は、主走査方向Yに延びる。図2に示すように、ベース部材40は、左サイドフレーム41Lと右サイドフレーム41Rとを備えている。左サイドフレーム41Lおよび右サイドフレーム41Rは、上下方向に延びる。
【0016】
図1に示すように、本体ケース50は、ベース部材40に取り付けられている。本体ケース50は、上壁51と、前壁52と、左前壁53Lと、右前壁53Rと、左前カバー54Lと、右前カバー54Rと、左側壁55Lと、右側壁55Rと、後壁56とを備えている。図3に示すように、本体ケース50とプラテン15との間には開口58が形成されている。ここでは、開口58は、インクヘッドユニット20より副走査方向Xの下流側に位置する。
【0017】
図1に示すように、上壁51は、主走査方向Yに延びる。図3に示すように、上壁51は、ベース部材40の上方に位置する。上壁51は、インクヘッドユニット20より上方に配置されている。上壁51は、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて上方に行くように傾斜している。即ち、上壁51は、後方から前方に行くほど上方に行くように傾斜している。前壁52は、上壁51の前端から前斜め下方に延びる。前壁52は、主走査方向Yに延びる。
【0018】
図1に示すように、左前壁53Lは、前壁52の左端領域の前端から前斜め下方に延びる。右前壁53Rは、前壁52の右端領域の前端から前斜め下方に延びる。右前壁53Rは、右前壁53Rの後端を中心に開閉可能に構成されている。右前壁53Rを開くことによって、操作パネル(図示せず)が外部に露出する。
【0019】
図1に示すように、左前カバー54Lは、左前壁53Lの前端から下方に延びる。左前カバー54Lは、左前壁53Lの前端を中心に開閉可能に構成されている。左前カバー54Lは、プラテン15より左方に配置されている。右前カバー54Rは、右前壁53Rの前端から下方に延びる。右前カバー54Rは、右前壁53Rの前端を中心に開閉可能に構成されている。右前カバー54Rは、プラテン15より右方に配置されている。
【0020】
図1に示すように、左側壁55Lは、上壁51の左端、前壁52の左端、左前壁53Lの左端、左前カバー54Lの左端および後壁56の左端を接続する。右側壁55Rは、上壁51の右端、前壁52の右端、右前壁53Rの右端、右前カバー54Rの右端および後壁56の右端を接続する。
【0021】
図1に示すように、後壁56は、上壁51の後端、左側壁55Lの後端および右側壁55Rの後端を接続する。後壁56は、プラテン15より上方に位置する。
【0022】
図2に示すように、プラテン15は、記録媒体5への印刷の際、記録媒体5を支持するものである。プラテン15には、記録媒体5が載置される。プラテン15は、載置台の一例である。プラテン15は、主走査方向Yに延びる。プラテン15は、ベース部材40に設けられている。プラテン15は、ベース部材40の中央部に設けられている。プラテン15は、主走査方向Yに関して、左前カバー54Lと右前カバー54Rとの間に配置されている。プラテン15は、主走査方向Yに関して、左サイドフレーム41Lと右サイドフレーム41Rとの間に配置されている。
【0023】
図2に示すように、プリンタ10は、主走査方向Yおよび上下方向に延びる中央壁17を備えている。中央壁17は、ベース部材40に支持されている。中央壁17は、プラテン15の上方に配置されている。中央壁17とプラテン15との間には、記録媒体5が通過可能な間隙が形成されている。中央壁17は、本体ケース50に収容されている。
【0024】
図2に示すように、プリンタ10は、ガイドレール18を備えている。ガイドレール18は、主走査方向Yに延びる。ガイドレール18は、中央壁17に設けられている。ガイドレール18は、プラテン15の上方に配置されている。
【0025】
図2に示すように、インクヘッドユニット20は、ベース部材40に設けられている。インクヘッドユニット20は、本体ケース50の内方に配置されている。インクヘッドユニット20は、プラテン15より上方に配置されている。図3に示すように、インクヘッドユニット20は、キャリッジ22と、インクヘッド24とを備えている。キャリッジ22は、ガイドレール18に係合している。キャリッジ22は、ガイドレール18に沿って主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクヘッド24は、プラテン15に載置された記録媒体5にインクを吐出するノズル(図示せず)を有する。インクヘッド24は、記録媒体5に所定の画像を印刷する。インクヘッド24は、キャリッジ22に搭載されている。インクヘッド24は、キャリッジ22の移動に伴って、主走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0026】
図2に示すように、プリンタ10は、キャリッジ移動機構30を備えている。キャリッジ移動機構30は、プラテン15に載置された記録媒体5に対してインクヘッドユニット20のキャリッジ22を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構30は、キャリッジ22を主走査方向Yに移動させる。なお、キャリッジ移動機構30の構成は特に限定されない。キャリッジ移動機構30は、第1プーリ31と、第2プーリ32と、無端状のベルト33と、キャリッジモータ34とを備えている。第1プーリ31は、ガイドレール18の左端側に設けられている。第2プーリ32は、ガイドレール18の右端側に設けられている。ベルト33は、第1プーリ31と第2プーリ32とに巻き掛けられている。ベルト33は、キャリッジ22の背面上部に固定されている。第2プーリ32には、キャリッジモータ34が接続されている。ただし、キャリッジモータ34は、第1プーリ31に接続されていてもよい。ここでは、キャリッジモータ34が駆動して、第2プーリ32が回転することで、第1プーリ31と第2プーリ32との間においてベルト33が走行する。これにより、キャリッジ22は主走査方向Yに移動する。
【0027】
図2に示すように、プリンタ10は、媒体移動機構35を備えている。媒体移動機構35は、プラテン15に載置された記録媒体5をインクヘッドユニット20に対して副走査方向Xに相対的に移動させるものである。媒体移動機構35は、プラテン15に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。媒体移動機構35は、複数のグリットローラ36と、複数のピンチローラ37と、保持シャフト38と、を備えている。
【0028】
図2に示すように、グリットローラ36は、プラテン15に設けられている。グリットローラ36は、グリットローラ36の上部が外部に露出するようにプラテン15に埋設されている。グリットローラ36は、主走査方向Yに並列している。グリットローラ36は、ピンチローラ37の下方に配置されている。グリットローラ36は、ピンチローラ37との間に記録媒体5を挟み込む。グリットローラ36とピンチローラ37との間に記録媒体5が挟まれた状態で、グリットローラ36に接続されたフィードモータ(図示せず)が駆動してグリットローラ36が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。
【0029】
図2に示すように、ピンチローラ37は、プラテン15より上方に配置されている。ピンチローラ37は、ガイドレール18より下方に配置されている。ピンチローラ37は、グリットローラ36と対向する位置に配置されている。ピンチローラ37は、プラテン15に載置された記録媒体5を上から押さえる。
【0030】
図2に示すように、保持シャフト38は、主走査方向Yに延びる。保持シャフト38は、ピンチローラ37を保持する。保持シャフト38が軸周りに回転することによって、ピンチローラ37をグリットローラ36に接近させたり、グリットローラ36から離反させたりすることができる。保持シャフト38は、ベース部材40に回転可能に支持されている。
【0031】
図1に示すように、プリンタ10は、フロントカバー60と、支持軸90(図2参照)とを備えている。フロントカバー60は、本体ケース50とプラテン15との間に形成された開口58(図3参照)を開閉自在に設けられている。フロントカバー60は、支持軸90を中心にして、閉鎖位置CP(図3参照)と開放位置OP(図4参照)との間で回動する。ここで、閉鎖位置CPとは、フロントカバー60の後述するカバー部材74が開口58を閉じる位置である。また、開放位置OPとは、フロントカバー60のカバー部材74が開口58を開く位置である。なお、「カバー部材74が開口58を閉じる」とは、カバー部材74の後述する下端74Bとプラテン15との間にわずかな間隙(例えば記録媒体5の厚さより大きくかつ作業者の指が入らない程度。概ね5mm~概ね20mm。例えば10mm。)が存在している場合を意味する。
【0032】
図1に示すように、フロントカバー60は、左前壁53Lと右前壁53Rとの間に設けられている。フロントカバー60は、前壁52の前方に設けられている。フロントカバー60は、左前カバー54Lより右方に位置する。フロントカバー60は、右前カバー54Rより左方に位置する。図3に示すように、フロントカバー60は、プラテン15の上方に位置する。フロントカバー60は、インクヘッドユニット20より副走査方向Xの下流側(ここでは前方)に位置する。
【0033】
図5に示すように、フロントカバー60は、フレーム部材62と、カバー部材74とを備えている。フレーム部材62は、主走査方向Yに延びる。フレーム部材62は、副走査方向Xに延びる部分を有する。フレーム部材62は、金属材料(板金)から形成されている。フレーム部材62は、カバー部材74を本体ケース50に対して回動可能に支持する。図6に示すように、フレーム部材62は、メインフレーム部材64と、サブフレーム部材70とを備えている。
【0034】
図5に示すように、メインフレーム部材64は、本体ケース50とフロントカバー60との間の隙間を閉塞する部材である。メインフレーム部材64は、本体ケース50の主走査方向Yの開口幅で延設されている。図6に示すように、メインフレーム部材64は、フロントカバー60が閉鎖位置CP(図3も参照)に位置するとき、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜している。メインフレーム部材64は、多段曲げ加工が施された金属材料(板金)から形成されている。具体的には、副走査方向Xに延びる第1部分64Aと、第1部分64Aの前端から曲げを介して下方に向けて延びる第2部分64Bと、第2部分64Bの下端から曲げを介して後方に向けて延びる第3部分64Cと、第1部分64Aの後端から曲げを介して下方に延びる第4部分64Dとを備えている。第1部分64Aは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜している。図1に示すように、第1部分64Aの上面は、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、左前壁53Lの上面および右前壁53Rの上面と同一面上に位置する。図6に示すように、第2部分64Bは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。第3部分64Cは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。第3部分64Cは、支持軸90の軸心90Cより副走査方向Xの下流側に位置する。第4部分64Dは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。
【0035】
図7に示すように、サブフレーム部材70は、フロントカバー60を本体ケース50に対して回動可能に支持する部材である。サブフレーム部材70は、本体ケース50の主走査方向Yの開口幅で延設されている。図6に示すように、サブフレーム部材70は、メインフレーム部材64に設けられている。詳細には、サブフレーム部材70は、メインフレーム部材64の下面64Tに取り付けられ、取付部分から下方に延びる。サブフレーム部材70は、メインフレーム部材64から下方に延びる。サブフレーム部材70は、主走査方向Yから見て略L字状に形成されている。サブフレーム部材70は、メインフレーム部材64の下面64Tに取り付けられている。サブフレーム部材70は、メインフレーム部材64の下面64Tに接続する第1部分70Aと、第1部分70Aの後端から下方に向けて延びる第2部分70Bと、第2部分70Bの下端から前方に向けて延びる第3部分70Cとを備えている。第1部分70Aは、フロントカバー60が閉鎖位置CP(図3も参照)に位置するとき、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜している。第2部分70Bは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。第3部分70Cは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜している。第3部分70Cは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、メインフレーム部材64の第4部分64Cより上方に位置する。第1部分70Aの副走査方向Xの長さは、第3部分70Cの副走査方向Xの長さより長い。
【0036】
図6に示すように、本実施形態では、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、サブフレーム部材70の副走査方向Xの下流側の端部70Fは、支持軸90の軸心90Cよりも下方に位置する。フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、端部70Fは、支持軸90よりも下方に位置する。ここでは、端部70Fは、サブフレーム部材70の第1部分70Aの前端に相当する。また、図3に示すように、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、サブフレーム部材70は、支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの下流側(ここでは前方)に位置する。本実施形態では、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、フロントカバー60の重心が支持軸90よりも副走査方向Xの下流側に位置するように設定されている。このため、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、フロントカバー60の自重によって、カバー部材74が副走査方向Xの上流側に向けて付勢される。これにより、フロントカバー60がより確実に開口58を閉じることができる。
【0037】
図4に示すように、フロントカバー60が開放位置OPに位置するとき、サブフレーム部材70は、支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの上流側(ここでは後方)に位置する。本実施形態では、フロントカバー60が開放位置OPに位置するとき、フロントカバー60の重心が支持軸90よりも副走査方向Xの上流側に位置するように設定されている。このため、フロントカバー60が開放位置CPに位置するとき、フロントカバー60の自重によって、カバー部材74が副走査方向Xの上流側に向けて付勢される。これにより、フロントカバー60が前方に倒れることを抑制することができる。
【0038】
カバー部材74は、開口58(図3参照)を開閉する。図6に示すように、カバー部材74は、フレーム部材62に取り付けられている。より詳細には、カバー部材74は、サブフレーム部材70に取り付けられている。カバー部材74は、サブフレーム部材70の第2部分70Bにビス等の締結部材78によって固定されている。カバー部材74は、フロントカバー60が閉鎖位置CP(図3も参照)に位置するとき、フレーム部材62から下方に延びる。カバー部材74は、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、フレーム部材62からプラテン15に向けて延びる。カバー部材74は、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。即ち、カバー部材74は、前方から後方に行くほど下方に行くように傾斜している。カバー部材74は、例えば、光を透過することが可能な材料から形成されている。本実施形態では、カバー部材74は、透明なアクリル樹脂で形成されている。作業者は、カバー部材74を通して、印刷状態等を確認することができる。また、カバー部材74の下部には、取っ手75が設けられている。作業者が取っ手75を前方に引き上げることによって、フロントカバー60が開く。
【0039】
図2に示すように、プリンタ10は、一対の支持軸90と、支持軸90を保持する一対のブラケット92とを備えている。左側の支持軸90および右側の支持軸90は、主走査方向Yに延びる。左側の支持軸90および右側の支持軸90は、主走査方向Yから見て同じ位置に配置されている。左側の支持軸90および右側の支持軸90は、フロントカバー60を閉鎖位置CP(図3参照)と開放位置OP(図4参照)との間で回動可能に支持する。図6に示すように、支持軸90は、62Fより上方に位置する。支持軸90は、フロントカバー60が閉鎖位置CP(図3も参照)に位置するとき、端部62R(端部64R)より下方かつ端部62F(端部64F)より上方に配置されている。
【0040】
図7に示すように、左側のブラケット92は、サブフレーム部材70の左端に取り付けられ、右側のブラケット92は、サブフレーム部材70の右端に取り付けられている。図6に示すように、ブラケット92は、サブフレーム部材70の第2部分70Bに取り付けられる第1部分92Aと、第1部分92Aに接続され支持軸90が取り付けられる第2部分92Bとを備えている。第1部分92Aは、フロントカバー60が閉鎖位置CP(図3も参照)に位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。第2部分92Bは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて上方に行くように傾斜している。ブラケット92は、例えば、溶接によってサブフレーム部材70に取り付けられる。図8に示すように、支持軸90は、ビス等の締結部材93によってブラケット92に固定されている。これにより、ブラケット92は、支持軸90を保持している。
【0041】
図7に示すように、左側の支持軸90および右側の支持軸90は、ベース部材40(図2参照)に接続された第1端部90Aと、フロントカバー60(図2参照)に接続された第2端部90Bとを有している。支持軸90の第1端部90Aは、支持軸の一端の一例である。支持軸90の第2端部90Bは、支持軸の他端の一例である。本実施形態では、左側の支持軸90の第1端部90Aは、左サイドフレーム41L(図2参照)に接続され、右側の支持軸90の第1端部90Aは、右サイドフレーム41R(図2参照)に接続されている。なお、支持軸90の第1端部90Aは、本体ケース50(例えば左前壁53Lや右前壁53R)に接続されていてもよい。本実施形態では、支持軸90の第1端部90Aの直径は、第2端部90Bの直径より小さい。
【0042】
図6に示すように、左側の支持軸90の第2端部90Bおよび右側の支持軸90の第2端部90Bは、フレーム部材62の副走査方向Xに延びる部分の中央(例えばフレーム部材62の副走査方向Xにおける中心点を通り、主走査方向Yに延びる中心線CF(図5参照)上。)に接続されている。第2端部90Bは、メインフレーム部材64の副走査方向Xに延びる部分(ここでは第1部分64A)の中央(例えば第1部分64Aの副走査方向Xにおける中心点を通り、主走査方向Yに延びる中心線CF上。)に位置するようにサブフレーム部材70に接続されている。第2端部90Bは、ブラケット92を介してサブフレーム部材70に接続されている。支持軸90を中心にフロントカバー60が回転したときの主走査方向Yから見たフレーム部材62の副走査方向Xの下流側の端部62F(ここではメインフレーム部材64の第1部分64Aの前端64F)が描く円の軌跡H1と、フレーム部材62の副走査方向Xの上流側の端部62R(ここではメインフレーム部材64の第1部分64Aの後端64R)が描く円の軌跡H2とが一致するように、第2端部90Bはフロントカバー60に接続されるとよい。即ち、主走査方向Yから見て、支持軸90の軸心90Cから端部62F(端部64F)までの距離L1と、支持軸90の軸心90Cから端部62R(端部64R)までの距離L2とが同じになるように、第2端部90Bをフロントカバー60(例えばサブフレーム部材70)に接続するとよい。第2端部90Bは、フロントカバー60が閉鎖位置CP(図3も参照)に位置するとき、端部62R(端部64R)より下方かつ端部62F(端部64F)より上方に配置されるとよい。また、本実施形態では、第2端部90Bは、主走査方向Yに延びる中心線CF上に配置されているが、これに限定するものではなく、フレーム部材62の回動領域をコンパクト化することができれば、中心線CFから外れた位置に配置されていてもよい。即ち、フレーム部材62の副走査方向Xの下流側の端部62Fや上流側の端部62Rを除く位置に配置されていればよい。なお、フレーム部材62の端部62Fや端部62Rを除く位置とは、フレーム部材62の端部62Fや端部62Rに支持軸90を取り付けた場合の支持軸90を取り付け可能な副走査方向Xの所定の長さ(例えば支持軸90の直径)を除いた位置である。
【0043】
図9に示すように、プリンタ10は、カバーセンサ45を備えている。カバーセンサ45は、開口58(図3も参照)が開放されている開状態および開口58が閉鎖されている閉状態を検知することができる。カバーセンサ45は、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するか否かを検知することができる。カバーセンサ45は、左サイドフレーム41Lに設けられている。図4に示すように、カバーセンサ45には、溝45Aが形成されており、溝45Aに図示しないスイッチが配置されている。カバーセンサ45は、フロントカバー60が閉じられたときに、フロントカバー60に設けられた後述する押圧板80によって上述のスイッチが押圧されることによってフロントカバー60が閉鎖位置CPに位置することを検知することができる。一方、図10に示すように、カバーセンサ45は、フロントカバー60が開けられているときに、フロントカバー60に設けられた押圧板80によって上述のスイッチが押圧されないことによってフロントカバー60が閉鎖位置CPに位置しないことを検知することができる。なお、図2では、カバーセンサ45の図示を省略している。
【0044】
図7に示すように、フロントカバー60には、カバーセンサ45を押圧する押圧板80が設けられている。押圧板80は、サブフレーム部材70に取り付けられている。押圧板80は、左側の支持軸90より下方に配置されている。押圧板80は、サブフレーム部材70に取り付けられる第1部分80Aと、第1部分80Aの右端から後方に延びる第2部分80Bとを備えている。図4に示すように、第2部分80Bは、フロントカバー60が閉じられたときに、カバーセンサ45のスイッチ(図示せず)を押圧する。このとき、第1部分80Aは、カバーセンサ45の係止面45Fに係止する。即ち、カバーセンサ45は、フロントカバー60に対してストッパとしての機能も果たす。なお、係止面45Fは、カバーセンサ45のうちフロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するときにカバー部材74と対向する面である。
【0045】
以上のように、本実施形態のプリンタ10では、支持軸90は、フロントカバー60を閉鎖位置CPと開放位置OPとの間で回動可能に支持する。ここで、支持軸90の第2端部90Bは、フレーム部材62の副走査方向Xに延びる第1部分64Aの中央に接続されている。このため、支持軸90の第2端部90Bがフレーム部材62の副走査方向Xの端部(例えば後端62R)に接続されている場合と比較して、フレーム部材62の回動領域をコンパクト化することができる。即ち、フレーム部材62のうち支持軸90から最も離れた部分と支持軸90との距離がより小さくなる。これにより、本体ケース50(例えば前壁52)とフロントカバー60との干渉を抑制しつつ、フロントカバー60の回動角度をより大きくすることができる。この結果、フロントカバー60の先端部分(例えばフロントカバー60を閉じた状態におけるカバー部材74の下端74B)が作業者の目の高さに位置しないように、フロントカバー60を上方に回動させて開口58を開くことができる。
【0046】
本実施形態のプリンタ10によると、フレーム部材62は、副走査方向Xに延びるメインフレーム部材64と、メインフレーム部材64の下面64Tに取り付けられかつメインフレーム部材64から下方に延びるサブフレーム部材70と、を備えている。ここで、カバー部材74は、サブフレーム部材70に取り付けられている。このため、サブフレーム部材70の取り付け位置や形状を調整することによって、カバー部材74の位置を容易に変更することができる。本実施形態では、サブフレーム部材70の第2部分70Bに支持軸90およびカバー部材74が取り付けられているため、カバー部材74の取付位置に関する精度調整を容易に行うことができる。即ち、後述する第2実施形態では、カバー部材74は、多段曲げ加工が施された金属材料から形成されたフレーム部材162の下端に直接取り付けられている。よって、本体ケース50の開口58を隙間なく閉塞するためには、本体ケース50に対する支持点である支持軸90と、カバー部材74のフレーム部材162における取付位置(即ち締結部材78の位置)との距離を一定に調整する必要がある。しかしながら、フレーム部材162は多段曲げ加工が施された金属材料から形成されているため、曲げの回数分交差が発生し、交差に合わせてカバー部材74のフレーム部材162における取付位置(即ち締結部材78の位置)を調整しなければならない。これに対して、本実施形態では、メインフレーム部材64の下面64Tに取り付けられ下方に延びるサブフレーム部材70にカバー部材74が取り付けられている。即ち、メインフレーム部材64の曲げ交差が影響しないように、メインフレーム部材64の平板部分(ここでは第1部分64A)に取り付けられたサブフレーム部材70にカバー部材74を取り付けているので、カバー部材74の取付位置に関してメインフレーム部材64の曲げ交差を考慮する必要がない。しかも、サブフレーム部材70に本体ケース50に対するカバー部材74の支持点となる支持軸90が設けられているので、本体ケース50に対するカバー部材74の取付位置の調整も、これらが別々の部材の設けられている場合や、第2実施形態のようにこれらの間に多数の曲げ加工が介在する場合に比べて容易に行える。
【0047】
また、支持軸90の第2端部90Bは、支持軸90がメインフレーム部材64の副走査方向Xに延びる第1部分64Aの中央に位置するようにサブフレーム部材70に接続されている。このため、支持軸90の第2端部90Bがメインフレーム部材64の副走査方向Xの後端64Rに接続されている場合と比較して、フロントカバー60の回動領域をコンパクト化することができる。これにより、本体ケース50とメインフレーム部材64との干渉を抑制しつつ、フロントカバー60の回動角度をより大きくすることができる。
【0048】
本実施形態のプリンタ10によると、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、メインフレーム部材64は、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜している。ここで、サブフレーム部材70は、支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの下流側に位置するため、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するときに、フロントカバー60の重心を支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの下流側に設定することができる。これにより、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するときに、確実に開口58を閉じることができる。また、フロントカバー60が開放位置OPに位置するとき、サブフレーム部材70は、支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの上流側に位置する。このため、フロントカバー60が開放位置OPに位置するときに、フロントカバー60の重心を支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの上流側に設定することができる。これにより、フロントカバー60が開放位置OPに位置するときに、確実に開口58を開くことができると共にフロントカバー60が自重によって閉じる方向(ここでは下方)に回動することを抑制することができる。なお、サブフレーム部材70の材料や大きさ等を変更することによって、容易にフロントカバー60の重心を上述した位置に変更することができる。
【0049】
本実施形態のプリンタ10によると、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、サブフレーム部材70の副走査方向Xの下流側の端部70Fは、支持軸90よりも下方に位置する。これにより、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するときに、フロントカバー60の重心を支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの下流側に設定することができる。
【0050】
本実施形態のプリンタ10によると、主走査方向Yから見て、支持軸90の軸心90Cからメインフレーム部材64の副走査方向Xの下流側の端部64Fまでの距離L1と、支持軸90の軸心90Cからメインフレーム部材64の副走査方向Xの上流側の端部64Rまでの距離L2とが同じになるように、支持軸90の第2端部90Bは、サブフレーム部材70に接続されている。これにより、フロントカバー60の回動領域をよりコンパクト化することができる。
【0051】
本実施形態のプリンタ10によると、支持軸90の第2端部90Bは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、支持軸90の軸心90Cがメインフレーム部材64の副走査方向Xの下流側の端部62Fより上方かつ副走査方向Xの上流側の端部62Rより下方に位置するように、サブフレーム部材70に接続されている。これにより、フロントカバー60の回動領域をよりコンパクト化することができる。
【0052】
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態に係るフロントカバー160を示す側面図である。図11に示すように、フロントカバー160は、フレーム部材162と、カバー部材74と、板部材165とを備えている。フレーム部材162は、多段曲げ加工が施された金属材料(板金)から形成されている。
【0053】
図12に示すように、フレーム部材162は、主走査方向Yに延びる。図11に示すように、フレーム部材162は、フロントカバー160が閉鎖位置CP(図3も参照)に位置するとき、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜している。フレーム部材162は、副走査方向Xに延びる第1部分162Aと、第1部分162Aの前端から曲げを介して下方に向けて延びる第2部分162Bと、第2部分162Bの下端から曲げを介して後方に向けて延びる第3部分162Cと、第3部分162Cの後端から曲げを介して上方に向けて延びる第4部分162Dと、第1部分162Aの後端から曲げを介して下方に延びる第5部分162Eとを備えている。第1部分162Aは、フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜している。第1部分162Aの上面は、フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するとき、左前壁53Lの上面および右前壁53Rの上面と同一面上に位置する。第2部分162Bは、フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。第3部分162Cは、フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。第4部分162Dは、フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて上方に行くように傾斜している。第5部分162Dは、フロントカバー60が閉鎖位置CPに位置するとき、副走査方向Xの下流側から上流側に向けて下方に行くように傾斜している。
【0054】
図11に示すように、カバー部材74は、フレーム部材162に取り付けられている。より詳細には、カバー部材74は、フレーム部材162の第4部分162Dに取り付けられている。カバー部材74は、第4部分162Dにビス等の締結部材78によって固定されている。
【0055】
図12示すように、板部材165は、主走査方向Yに延びる。板部材165は、平板状に形成されている。板部材165は、フレーム部材162に取り付けられている。板部材165は、フレーム部材162の第2部分162B(図11参照)に取り付けられている。図11に示すように、フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するとき、板部材165は、支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの下流側(ここでは前方)に位置する。本実施形態では、フロントカバー160が閉鎖位置CP(図3参照)に位置するとき、フロントカバー160の重心が支持軸90よりも副走査方向Xの下流側に位置するように設定されている。また、フロントカバー160が開放位置OP(図4参照)に位置するとき、板部材165は、支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの上流側(ここでは後方)に位置する。フロントカバー160が開放位置OPに位置するとき、フロントカバー160の重心が支持軸90よりも副走査方向Xの下流側に位置するように設定されている。
【0056】
図12に示すように、プリンタ10は、一対の支持軸90と、支持軸90を保持する一対のブラケット192とを備えている。左側のブラケット192は、フレーム部材162の左端に取り付けられ、右側のブラケット192は、フレーム部材162の右端に取り付けられている。図13に示すように、ブラケット192は、フレーム部材162の第1部分162Aに取り付けられる第1部分192Aと、第1部分192Aの側方に位置する第2部分192Bとを備えている。第1部分192Aは、フレーム部材162の第1部分162Aへの取付部192AAと、支持軸90を軸支する軸受け部192ABとを備えている。第2部分192Bは、多段曲げ加工が施されたフレーム部材162を補強する部材である。第2部分192Bは、第1部分192Aの外端(図13に示す例では左端)から曲げを介して下方に延設され、延設された下端がボルト(図11参照)によって第3部分162Cに固定されている。第1部分192Aおよび第2部分192Bは、一体で形成されていてもよいし、別体で形成されていてもよい。ブラケット192は、例えば、溶接によってフレーム部材162に取り付けられる。支持軸90は、ビス等の締結部材93によってブラケット192の第1部分192Aに固定されている。これにより、ブラケット192は、支持軸90を保持している。
【0057】
図11に示すように、支持軸90を中心にフロントカバー160が回転したときの主走査方向Yから見たフレーム部材162の副走査方向Xの下流側の端部162Fが描く円の軌跡H3と、フレーム部材162の副走査方向Xの上流側の端部162Rが描く円の軌跡H4とが一致するように、第2端部90Bはフロントカバー160に接続されるとよい。即ち、主走査方向Yから見て、支持軸90の軸心90Cから端部162Fまでの距離L3と、支持軸90の軸心90Cから端部162Rまでの距離L4とが同じになるように、第2端部90Bをフロントカバー160(例えばフレーム部材162)に接続するとよい。
【0058】
本実施形態のプリンタ10によると、フロントカバー160は、フレーム部材162に取り付けられ、副走査方向Xに延びる板部材165を備えている。フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するとき、フレーム部材162は、副走査方向Xの上流側から下流側に向けて下方に行くように傾斜している。ここで、板部材165は、支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの下流側に位置するため、フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するときに、フロントカバー160の重心を支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの下流側に設定することができる。これにより、フロントカバー160が閉鎖位置CPに位置するときに、確実に開口58を閉じることができる。また、フロントカバー160が開放位置OPに位置するとき、板部材165は、支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの上流側に位置する。このため、フロントカバー160が開放位置OPに位置するときに、フロントカバー160の重心を支持軸90の軸心90Cよりも副走査方向Xの上流側に設定することができる。これにより、フロントカバー160が開放位置OPに位置するときに、確実に開口58を開くことができると共にフロントカバー160が自重によって閉じる方向(ここでは下方)に回動することを抑制することができる。なお、板部材165の材料や大きさ等を変更することによって、容易にフロントカバー160の重心を上述した位置に変更することができる。
【0059】
本実施形態のプリンタ10によると、主走査方向Yから見て、支持軸90の軸心90Cからフレーム部材162の副走査方向Xの下流側の端部162Fまでの距離L3と、支持軸90の軸心90Cからフレーム部材162の副走査方向Xの上流側の端部162Rまでの距離L4とが同じになるように、支持軸90の第2端部90Bは、フレーム部材162に接続されている。これにより、フロントカバー160の回動領域をよりコンパクト化することができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0061】
上述した実施形態では、載置台としてプラテン15を例に説明したが、これに限定されない。載置台として記録媒体5を載置するテーブルであってもよい。かかるテーブルは、例えば、副走査方向Xおよび上下方向に移動可能に構成されている。
【符号の説明】
【0062】
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
15 プラテン(載置台)
22 キャリッジ
24 インクヘッド
40 ベース部材
50 本体ケース
60 フロントカバー
62 フレーム部材
64 メインフレーム部材
70 サブフレーム部材
74 カバー部材
90 支持軸
90A 第1端部
90B 第2端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13