(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20220728BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220728BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220728BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20220728BHJP
B64F 3/00 20060101ALI20220728BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20220728BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
G01N21/84 B
B64C27/08
B64C39/02
B64D47/08
B64F3/00
G05D1/00 B
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2019064608
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2018093459
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】522068452
【氏名又は名称】東邦ガスネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 充徳
(72)【発明者】
【氏名】北野 哲司
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149402(JP,A)
【文献】特開2015-218531(JP,A)
【文献】特開2014-078232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214856(US,A1)
【文献】特開2017-201757(JP,A)
【文献】特開2017-140899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00 - B64B 1/70
B64C 1/00 - B64C 99/00
B64D 1/00 - B64D 47/08
B64F 1/00 - B64F 5/60
B64G 1/00 - B64G 99/00
G01N 21/84 - G01N 21/958
G05D 1/00 - G05D 1/12
G08G 1/00 - G08G 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮影する第1カメラを搭載した無人飛行体と前記無人飛行体を遠隔操縦する操縦装置とを備えた検査装置であって、
前記無人飛行体を離着船可能に搭載し、航路上を移動する船舶を備え、
前記操縦装置には、前記船舶を撮影する第2カメラと前記第2カメラが撮影した前記船舶の画像を表示する画像表示部と前記無人飛行体及び前記船舶を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第2カメラで撮影した前記船舶の所定の移動位置における画像が前記画像表示部の画面で位置指定した指示線上に重なる又は前記画像表示部の画面で領域指定した指示枠内に入るように、前記船舶の移動を制御することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載された検査装置において、
前記無人飛行体と前記船舶とが紐で連結され、前記船舶には、前記紐を巻取る巻取り装置を備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載された検査装置において、
前記巻取り装置は、前記無人飛行体の外周側に連結した複数の補助紐を止め部材によって1つの紐に集結し、集結した1つの紐を巻取る構造であることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載された検査装置において、
前記船舶には、前記紐が挿通される外孔部と内孔部とを内外方向で離間した位置に備え、
前記外孔部は、前記止め部材が通過可能に形成され、前記内孔部は、前記止め部材が通過不能に形成されていること、
前記無人飛行体が前記船舶に着船する位置又はその直前まで前記紐が巻取られたときに、前記外孔部に前記補助紐がそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、前記内孔部に前記止め部材が当接又は近接することを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載された検査装置において、
前記無人飛行体は、自力で浮上可能な気球体であることを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載された検査装置において、
前記船舶には、前記無人飛行体を撮影する第3カメラを搭載し、
前記制御部は、前記第3カメラで撮影した前記無人飛行体の撮影位置における画像が前記画像表示部の画面で領域指定した指示枠内に当接して又は所定の大きさで入るように、前記無人飛行体の移動を制御することを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載された検査装置において、
前記制御部は、前記無人飛行体に対して、前記無人飛行体を前記第3カメラの画角変更に追従して移動させる指示を行うことを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関し、例えば、橋梁に添架された配管の外観検査等に用いる検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、橋梁に添架された配管(例えば、ガス管)は、風雨等による錆や傷、又は熱収縮に伴う凹み等が生じる場合があるので、定期的な外観検査が行われている。従来の検査方法としては、河原から双眼鏡等を用いて目視検査する方法や、橋梁の上から人が棒付きカメラを用いて撮影する方法、船上から人が棒付きカメラを用いて撮影する方法等が知られている。
【0003】
しかし、河原から双眼鏡等を用いて目視検査する方法では、川幅が広い場合に遠方の錆や傷等を発見することが困難で、見落とす恐れがあった。また、橋梁の上から人が棒付きカメラを用いて撮影する方法では、橋上に作業スペースが必要であり、作業スペースと配管との位置関係で、作業が危険又は困難なことがあった。また、橋上に作業スペースを設けるためには、交通規制を行う必要も生じ得るので、不便であった。また、船上から人が棒付きカメラを用いて撮影する方法では、船上の不安定で慣れない作業となり、揺れによる転落の危険もあった。また、カメラを防水仕様とせざるを得ず、高価となる問題もあった。
【0004】
一方、近年、無人飛行体(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)の性能が向上し、無人飛行体にカメラを搭載して空撮する検査方法が注目されつつある。例えば、特許文献1には、遠隔操縦できる無人飛行体の制御システムが開示されている。 上記無人飛行体の制御システム100は、
図21に示すように、地上に置かれた1台のカメラ(ビデオカメラ)101と、 無人飛行体102の下部に固定された3点の基準点又は2本の基準棒103と、前記ビデオカメラ101で撮影された前記3点の基準点又は2本の基準棒103の画像に基づき、無人飛行体102の空中における位置及び姿勢を特定する飛行体姿勢検出部104とを有することを特徴とする。
【0005】
上記無人飛行体の制御システム100によれば、ビデオカメラ101が撮影した基準点等103の映像を画像処理することにより、無人飛行体102の、ビデオカメラ101の位置に対する相対的な3次元の位置座標を検出することができる。また、無人飛行体102の基準点等103がビデオカメラ101に捉えられると、画像処理モードがスタートし、無人飛行体102の位置を特定することができるため、操縦者による入力装置105等を用いた操縦により、無人飛行体102はビデオカメラ101の視野角内にある限り前後左右に自由に移動できるようになる。例えば、入力装置105におけるキーボードのカーソルキーにより前後左右に移動させ、Zキーにより降下、Xキーにより上昇させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記無人飛行体の制御システム100では、ビデオカメラ101が地上に置かれているので、無人飛行体102がビデオカメラ101からある程度遠く離れていくと、無人飛行体102の下部に置かれた基準点等103の画像をビデオカメラ101が捉えられなくなり、無人飛行体102の位置を制御することが困難になるという問題があった。また、上記無人飛行体の制御システム100では、操縦者が入力装置105等を用いた操縦により、無人飛行体102をビデオカメラ101の視野角内で移動させる必要があるので、操縦者はビデオカメラ101の画像を目視しながら操縦しなければならず、操縦者に対する作業負担が大きいという問題があった。特に、風等の外乱があると、無人飛行体102の位置、姿勢、向き等が不安定となり、操縦ミスを招きやすいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、検査対象物を撮影するカメラを搭載した無人飛行体が操縦者からある程度遠く離れた場合でも、また、風等の外乱があった場合でも、無人飛行体の移動を簡単に制御でき、操縦者の作業負担を軽減できる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る検査装置は、次のような構成を有している。
(1)検査対象物を撮影する第1カメラを搭載した無人飛行体と前記無人飛行体を遠隔操縦する操縦装置とを備えた検査装置であって、
前記無人飛行体を離着船可能に搭載し、航路上を移動する船舶を備え、
前記操縦装置には、前記船舶を撮影する第2カメラと前記第2カメラが撮影した前記船舶の画像を表示する画像表示部と前記無人飛行体及び前記船舶を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第2カメラで撮影した前記船舶の所定の移動位置における画像が前記画像表示部の画面で位置指定した指示線上に重なる又は前記画像表示部の画面で領域指定した指示枠内に入るように、前記船舶の移動を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明においては、無人飛行体を離着船可能に搭載し、航路上を移動する船舶を備え、操縦装置には、船舶を撮影する第2カメラと第2カメラが撮影した船舶の画像を表示する画像表示部と無人飛行体及び船舶を制御する制御部とを備え、制御部は、第2カメラで撮影した船舶の所定の移動位置における画像が画像表示部の画面で位置指定した指示線上に重なる又は画像表示部の画面で領域指定した指示枠内に入るように、船舶の移動を制御するので、操縦者が画像表示部の画面で所定の移動位置における船舶の画像が重なる指示線又は同船舶の画像が入る指示枠を予め指定することによって、船舶を撮影する第2カメラと所定の移動位置における船舶との相対的な位置関係が特定され、航路上を所定の移動位置へ移動する船舶の移動を、指示線又は指示枠に基づいて自動的に制御できる。例えば、船舶の位置が、川の流れの影響を受けて正規の航路に対して川下側へズレようとしても、船舶の画像が指示線上に重なる又は指示枠内に入るように、船舶の移動を自動的に修正することができる。この場合、無人飛行体は、第1カメラが検査対象物を撮影する撮影位置の下方に当たる所定の移動位置まで船舶に搭載された状態で移動できるので、撮影位置がある程度遠く離れた場合でも、無人飛行体の飛行距離や飛行時間を大幅に短縮できるとともに、風等の外乱の影響を受けにくくなる。また、操縦者は、自動的に制御されて所定の移動位置に移動した船舶に搭載された無人飛行体の撮影位置に対する上方への移動を操作すればよいので、無人飛行体の3次元的な移動を操作する場合に比べて、簡単に操作することができる。
【0011】
よって、本発明によれば、検査対象物を撮影するカメラを搭載した無人飛行体が操縦者からある程度遠く離れた場合でも、また、風等の外乱があった場合でも、無人飛行体の移動を簡単に制御でき、操縦者の作業負担を軽減できる検査装置を提供することができる。
【0012】
(2)(1)に記載された検査装置において、
前記無人飛行体と前記船舶とが紐で連結され、前記船舶には、前記紐を巻取る巻取り装置を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、無人飛行体と船舶とが紐で連結され、船舶には、紐を巻取る巻取り装置を備えているので、無人飛行体が操縦者からある程度遠く離れた場合でも、船舶から撮影位置への無人飛行体の移動量を紐の長さで調節でき、無人飛行体の移動をより簡単に制御することができる。また、第1カメラと検査対象物との離間距離の精度を高め、より鮮明な画像を撮影できる。また、巻取り装置が紐を巻取ることによって、無人飛行体を簡単に回収でき、無人飛行体が行方不明となって回収不能となるのを回避できる。
【0014】
(3)(2)に記載された検査装置において、
前記巻取り装置は、前記無人飛行体の外周側に連結した複数の補助紐を止め部材によって1つの紐に集結し、集結した1つの紐を巻取る構造であることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、巻取り装置は、無人飛行体の外周側に連結した複数の補助紐を止め部材によって1つの紐に集結し、集結した1つの紐を巻取る構造であるので、風等の外乱に対する無人飛行体の姿勢の安定性が向上し、巻取り装置が1つの紐を巻取ることによって、無人飛行体の姿勢を安定させつつ回収できる。また、止め部材には、一定の重さがあり、補助紐同士が絡み合ったり、補助紐が浮き上がって無人飛行体と絡み合うのを回避することもできる。
【0016】
(4)(3)に記載された検査装置において、
前記船舶には、前記紐が挿通される外孔部と内孔部とを内外方向で離間した位置に備え、
前記外孔部は、前記止め部材が通過可能に形成され、前記内孔部は、前記止め部材が通過不能に形成されていること、
前記無人飛行体が前記船舶に着船する位置又はその直前まで前記紐が巻取られたときに、前記外孔部に前記補助紐がそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、前記内孔部に前記止め部材が当接又は近接することを特徴とする。
【0017】
本発明においては、船舶には、紐が挿通される外孔部と内孔部とを内外方向で離間した位置に備え、外孔部は、止め部材が通過可能に形成され、内孔部は、止め部材が通過不能に形成され、また、無人飛行体が船舶に着船する位置又はその直前まで紐が巻取られたときに、外孔部に補助紐がそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、内孔部に止め部材が当接又は近接するので、無人飛行体が船舶の斜め上方に浮上していても、各補助紐が外孔部に案内、支持されて、無人飛行体を安定した姿勢で船舶に着船させることができる。また、巻取り装置が勢いよく紐を巻取っても、無人飛行体が船舶に着船する位置又はその直前まで紐が巻取られたときに、止め部材が内孔部と当接又は近接して、無人飛行体と船舶との衝突力を緩和させることができる。なお、無人飛行体が船舶に着船する位置まで紐が巻取られたときに、止め部材が内孔部と当接しなくても近接して浮いた状態であればよいので、補助紐や紐の細かな調整が不要で、製作等がしやすくなる。
【0018】
(5)(2)乃至(4)のいずれか1つに記載された検査装置において、
前記無人飛行体は、自力で浮上可能な気球体であることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、無人飛行体は、自力で浮上可能な気球体であるので、無人飛行体の構成を簡素化できるとともに、巻取り装置における紐の送り出し長さを調節することによって、無人飛行体の離着船を簡単に操作することができる。また、無人飛行体は、自力で浮上可能な気球体であるので、無人飛行体の意図しない墜落等を回避することができる。
【0020】
(6)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された検査装置において、
前記船舶には、前記無人飛行体を撮影する第3カメラを搭載し、
前記制御部は、前記第3カメラで撮影した前記無人飛行体の撮影位置における画像が前記画像表示部の画面で領域指定した指示枠内に当接して又は所定の大きさで入るように、前記無人飛行体の移動を制御することを特徴とする。
【0021】
本発明においては、船舶には、無人飛行体を撮影する第3カメラを搭載し、制御部は、第3カメラで撮影した無人飛行体の撮影位置における画像が画像表示部の画面で領域指定した指示枠内に当接して又は所定の大きさで入るように、無人飛行体の移動を制御するので、操縦者が画像表示部の画面で船舶の移動位置に対応する無人飛行体の撮影位置における画像が入る指示枠を予め指定することによって、所定の移動位置における船舶と撮影位置における無人飛行体との相対的な位置関係が特定され、所定の移動位置の船舶から撮影位置への無人飛行体の移動は、指示枠に基づいて自動的に制御することができる。例えば、無人飛行体の位置が、風の流れの影響を受けて正規の撮影位置に対して風下側へズレようとしても、無人飛行体の画像が指示枠内に当接して又は所定の大きさで入るように、無人飛行体の移動を自動的に修正することができる。そのため、操縦者は、風等の外乱があっても、無人飛行体を見ながら特別の操縦行為を行う必要がなく、操縦者の作業負担をより一層軽減させることができる。
【0022】
(7)(6)に記載された検査装置において、
前記制御部は、前記無人飛行体に対して、前記無人飛行体を前記第3カメラの画角変更に追従して移動させる指示を行うことを特徴とする。
【0023】
本発明においては、制御部は、無人飛行体に対して、無人飛行体を第3カメラの画角変更に追従して移動させる指示を行うので、画像表示部に表示される指示枠を移動させなくても、船舶に搭載した第3カメラの画角を変更することによって、無人飛行体の飛行位置を次の撮影予定位置へ速やかに移動させることができる。そのため、操縦者は、船舶の移動を待つことなく、第3カメラの画角変更を行いながら、検査対象物の次の撮影箇所を速やかに確認して、必要な箇所を適切に撮影することができる。
【0024】
(8)検査対象物を撮影する第1カメラを搭載した無人飛行体と前記無人飛行体を遠隔操縦する操縦装置とを備えた検査装置であって、
前記操縦装置には、前記無人飛行体を撮影する第4カメラと前記第4カメラが撮影した前記無人飛行体の画像を表示する画像表示部と前記無人飛行体を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第4カメラで撮影した前記無人飛行体の撮影位置における画像が前記画像表示部の画面で領域指定した指示枠内に当接して又は所定の大きさで入るように、前記無人飛行体の移動を制御することを特徴とする。
【0025】
本発明においては、操縦装置には、無人飛行体を撮影する第4カメラと第4カメラが撮影した無人飛行体の画像を表示する画像表示部と無人飛行体を制御する制御部とを備え、制御部は、第4カメラで撮影した無人飛行体の撮影位置における画像が画像表示部の画面で領域指定した指示枠内に当接して又は所定の大きさで入るように、無人飛行体の移動を制御するので、画像表示部の画面で無人飛行体の撮影位置における画像が入る指示枠を予め指定することによって、無人飛行体の移動は、指示枠に基づいて自動的に制御される。すなわち、操縦者が画像表示部の画面で撮影位置における無人飛行体の画像が入る指示枠を予め指定することによって、操縦装置と撮影位置における無人飛行体との相対的な位置関係を予め特定することができる。そのため、操縦者は、風等の外乱があっても、第4カメラで無人飛行体を撮影しながら操縦装置を携帯して必要な位置に移動するだけで、検査対象物を撮影する撮影位置の高さに飛行する無人飛行体を操縦者に追随して移動させることができる。その結果、無人飛行体が操縦者からある程度遠く離れた場合でも、また、風等の外乱があった場合でも、無人飛行体の移動を簡単に制御でき、操縦者の作業負担を軽減できる。
【0026】
よって、本発明によれば、検査対象物を撮影するカメラを搭載した無人飛行体が操縦者からある程度遠く離れた場合でも、また、風等の外乱があった場合でも、無人飛行体の移動を簡単に制御でき、操縦者の作業負担を軽減できる検査装置を提供することができる。
【0027】
(9)(8)に記載された検査装置において、
前記制御部は、前記無人飛行体に対して、前記無人飛行体を前記第4カメラの画角変更に追従して移動させる指示を行うことを特徴とする。
【0028】
本発明においては、制御部は、無人飛行体に対して、無人飛行体を第4カメラの画角変更に追従して移動させる指示を行うので、操縦者は、第4カメラの画角を変更するだけで、速やかに無人飛行体を次の撮影予定位置へ移動させることができる。そのため、操縦者が、近づきにくい箇所であっても、第4カメラの画角変更を行いながら、検査対象物の次の撮影箇所を確認して、必要な箇所を適切に撮影することができる。
【0029】
(10)(8)又は(9)に記載された検査装置において、
前記無人飛行体と前記操縦装置とが紐で連結され、前記操縦装置には、前記紐を巻取る巻取り装置を備えていることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、無人飛行体と操縦装置とが紐で連結され、操縦装置には、紐を巻取る巻取り装置を備えているので、無人飛行体と操縦装置との離間距離を紐の長さで調整でき、無人飛行体の操縦装置に対する移動をより簡単に制御することができる。また、第1カメラと検査対象物との離間距離の精度を高め、より鮮明な画像を撮影できる。また、巻取り装置が紐を巻取ることによって、無人飛行体が行方不明となって回収不能となるのを回避できる。
【0031】
(11)(10)に記載された検査装置において、
前記巻取り装置は、前記無人飛行体の外周側に連結した複数の補助紐を止め部材によって1つの紐に集結し、集結した1つの紐を巻取る構造であることを特徴とする。
【0032】
本発明においては、巻取り装置は、無人飛行体の外周側に連結した複数の補助紐を止め部材によって1つの紐に集結し、集結した1つの紐を巻取る構造であるので、風等の外乱に対する無人飛行体の姿勢の安定性が向上し、巻取り装置が1つの紐を巻取ることによって、無人飛行体の姿勢を安定させつつ回収できる。また、止め部材には、一定の重さがあり、補助紐同士が絡み合ったり、補助紐が浮き上がって無人飛行体と絡み合うのを回避することもできる。
【0033】
(12)(11)に記載された検査装置において、
前記操縦装置には、前記紐が挿通される外孔部と内孔部とを内外方向で離間した位置に備え、
前記外孔部は、前記止め部材が通過可能に形成され、前記内孔部は、前記止め部材が通過不能に形成されていること、
前記無人飛行体が前記操縦装置に当接する位置又はその直前まで前記紐が巻取られたときに、前記外孔部に前記補助紐がそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、前記内孔部に前記止め部材が当接又は近接することを特徴とする。
【0034】
本発明においては、操縦装置には、紐が挿通される外孔部と内孔部とを内外方向で離間した位置に備え、外孔部は、止め部材が通過可能に形成され、内孔部は、止め部材が通過不能に形成され、また、無人飛行体が操縦装置に当接する位置又はその直前まで紐が巻取られたときに、外孔部に補助紐がそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、内孔部に止め部材が当接又は近接するので、無人飛行体が操縦装置の斜め上方に浮上していても、補助紐が外孔部に案内、支持されて、無人飛行体を安定した姿勢で操縦装置に当接させることができる。また、巻取り装置が勢いよく紐を巻取っても、無人飛行体が操縦装置に当接する位置まで紐が巻取られたときに、止め部材が内孔部と当接又は近接して、無人飛行体と操縦装置との衝突力を緩和させることができる。なお、無人飛行体が操縦装置に当接する位置まで紐が巻取られたときに、止め部材が内孔部と当接しなくても近接して浮いた状態であればよいので、補助紐や紐の細かな調整が不要で、製作等がしやすくなる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、検査対象物を撮影するカメラを搭載した無人飛行体が操縦者からある程度遠く離れた場合でも、また、風等の外乱があった場合でも、無人飛行体の移動を簡単に制御でき、操縦者の作業負担を軽減できる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本実施形態に係る第1実施例の検査装置の構成概念図である。(a)は、船舶に無人飛行体を搭載して航路上を所定の移動位置まで移動させるときの構成概念図を示し、(b)は、移動位置に到達した船舶から無人飛行体を検査対象物の撮影位置に浮上させるときの構成概念図を示す。
【
図2】
図1(b)に示す検査装置において、撮影位置に浮上した無人飛行体の側面図である。
【
図3】
図1に示す検査装置において、船舶に備えた巻取り装置を介して無人飛行体が離着船する概念図である。(a)は、無人飛行体が船舶から離間している状態を示し、(b)は、無人飛行体が船舶に近接している状態を示し、(c)は、無人飛行体が船舶に着船している状態を示す。
【
図4】
図1に示す検査装置において、制御系ブロックの構成概念図である。
【
図5】
図1に示す検査装置における動作説明用のフローチャート図である。
【
図6】
図1に示す検査装置の平面図である。(a)は、船舶の航路上の後方から第2カメラが船舶を撮影する場合を示し、(b)は、船舶の航路に対して斜め後方から第2カメラが船舶を撮影する場合を示す。
【
図7】
図6(a)に示す第2カメラが船舶を撮影する場合において、画像表示部の画面で位置指定した指示線に基づいて船舶の移動を制御する概念図である。(a)は、移動位置における船舶の画像が指示線と左右方向で位置ズレしていることを示し、(b)は、移動位置における船舶の画像が指示線と左右方向で重なることを示す。
【
図8】
図6(b)に示す第2カメラが船舶を撮影する場合において、画像表示部の画面で位置指定した指示線に基づいて船舶の移動を制御する概念図である。(a)は、移動位置における船舶の画像が指示線と前後方向で位置ズレしていることを示し、(b)は、移動位置における船舶の画像が指示線と前後方向で重なることを示す。
【
図9】
図6(a)に示す第2カメラが船舶を撮影する場合において、画像表示部の画面で領域指定した指示枠に基づいて船舶の移動を制御する概念図である。(a)は、移動位置における船舶の画像が指示枠内から上下左右方向ではみ出していることを示し、(b)は、移動位置における船舶の画像が指示枠内に入ることを示す。
【
図10】
図1に示す検査装置において、画像表示部の画面で領域指定した指示枠に基づいて無人飛行体の移動を制御する概念図である。(a)は、無人飛行体が移動位置の船舶から上昇して撮影位置に浮上した状態を示し、(b)は、撮影位置における無人飛行体の画像が指示枠内に入ることを示す。
【
図11】本実施形態に係る第2実施例の検査装置の構成概念図である。
【
図12】
図11に示す検査装置において、無人飛行体が操縦装置に追随して移動する構成概念図である。
【
図13】
図11に示す検査装置において、操縦装置に備えた巻取り装置を介して無人飛行体を回収する概念図である。(a)は、無人飛行体が操縦装置から離間している状態を示し、(b)は、無人飛行体が操縦装置に近接している状態を示し、(c)は、無人飛行体を操縦装置に回収した状態を示す。
【
図14】
図11に示す検査装置において、制御系ブロックの構成概念図である。
【
図15】
図11に示す検査装置における動作説明用のフローチャート図である。
【
図16】
図11に示す検査装置において、画像表示部の画面で領域指定した指示枠に基づいて無人飛行体の移動を制御する概念図である。(a)は、撮影位置における無人飛行体の画像が指示枠内から上下方向ではみ出していることを示し、(b)は、撮影位置における無人飛行体の画像が指示枠内に入ることを示す。
【
図17】
図1又は
図11に示す検査装置において、画像表示部の画面で領域指定した指示枠の中へ無人飛行体の画像を所定の大きさで入れることによって、無人飛行体の飛行位置を移動させる制御概念図である。
【
図18】
図1又は
図11に示す検査装置において、第3カメラ又は第4カメラの画角を変更することによって、無人飛行体の飛行位置を移動させる制御の概念図である。
【
図19】
図1(b)に示す検査装置における変形例の構成概念図である。
【
図20】
図19に示す検査装置の変形例において、制御系ブロックの構成概念図である。
【
図21】特許文献1に記載された無人飛行体の制御システムの構成概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明に係る実施形態である検査装置について、図面を参照して詳細に説明する。以下に、本検査装置の第1実施例及び第2実施例の構成を詳細に説明し、その動作方法について説明する。
【0038】
<第1実施例の構成>
本実施形態に係る検査装置における第1実施例の構成を、
図1~
図4を用いて説明する。
図1に、本実施形態に係る第1実施例の検査装置の構成概念図を示す。(a)は、船舶に無人飛行体を搭載して航路上を所定の移動位置まで移動させるときの構成概念図を示し、(b)は、移動位置に到達した船舶から無人飛行体を検査対象物の撮影位置に浮上させるときの構成概念図を示す。
図2に、
図1(b)に示す検査装置において、撮影位置に浮上した無人飛行体の側面図を示す。
図3に、
図1に示す検査装置において、船舶に備えた巻取り装置を介して無人飛行体が離着船する概念図を示す。(a)は、無人飛行体が船舶から離間している状態を示し、(b)は、無人飛行体が船舶に近接している状態を示し、(c)は、無人飛行体が船舶に着船している状態を示す。
図4に、
図1に示す検査装置において、制御系ブロックの構成概念図を示す。
【0039】
図1~
図4に示すように、本実施形態に係る第1実施例の検査装置10は、検査対象物KTを撮影する第1カメラ11を搭載した無人飛行体1と無人飛行体1を遠隔操縦する操縦装置2とを備えた検査装置である。また、本検査装置10には、無人飛行体1を離着船可能に搭載し、航路KS上を移動する船舶3を備えている。また、操縦装置2には、船舶3を撮影する第2カメラ21と第2カメラ21が撮影する船舶3の画像を表示する画像表示部22と無人飛行体1及び船舶3を制御する制御部23とを備えている。また、制御部23は、第2カメラ21で撮影した船舶3の移動位置PPにおける画像が、画像表示部22の画面で位置指定した指示線上に重なるように、又は画像表示部22の画面で領域指定した指示枠内に入るように、船舶3の移動を制御する。なお、上記指示線又は指示枠については、動作説明の中で詳述する。
【0040】
また、
図1、
図2に示すように、検査対象物KTは、例えば、河川に架設された橋梁KRの下部に添架された配管(例えば、ガス管)等である。第1カメラ11による撮影箇所ZZは、上記配管の内、風雨等による錆や傷、又は熱収縮に伴う凹み等が生じる箇所であり、定期的な外観検査が必要な箇所(通常、複数の箇所)が対象となるが、大まかな予備的撮影の結果から選定することもできる。また、操縦装置2は、一方の川岸KGで操縦者Mが可搬可能に配置されている。また、船舶3は、一方の川岸KGから第1カメラ11による撮影位置PQの下方の移動位置PPまで、無人飛行体1を搭載して航路KS上を移動可能に形成されている。
【0041】
また、無人飛行体1は、中央の本体部121に対して外周側に等間隔で配置された複数の飛行駆動部13を有する飛行体、所謂ドローンが好ましい。検査対象物KTを撮影する第1カメラ11は、撮影に適した適宜箇所で本体部121に装着すればよいが、ここでは、本体部121の上部に装着されている。第1カメラ11の撮影方向は、上方に向けられて固定されているが、可変可能に形成してもよい。なお、本体部121の下部には、着船用の脚部141が装着されている。
【0042】
また、
図1、
図3に示すように、無人飛行体1と船舶3とが可撓性の紐41で連結され、船舶3には、紐41を巻取る巻取り装置4を備えていることが好ましい。また、巻取り装置4は、無人飛行体1の外周側(例えば、各飛行駆動部13の近傍)に連結した複数の補助紐41aを止め部材42によって1つの紐41に集結し、集結した1つの紐41を巻取る構造であることが好ましい。更に、船舶3には、紐41が挿通される外孔部32aと内孔部32bとを内外方向で離間した位置に備え、外孔部32aは、止め部材42が通過可能に形成され、内孔部32bは、止め部材42が通過不能に形成され、また、無人飛行体1が船舶3に着船する位置又はその直前まで紐41が巻取られたときに、外孔部32aに補助紐41aがそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、内孔部32bに止め部材42が当接又は近接することが好ましい。なお、止め部材42は、例えば、球状又は楕円球状に形成され、補助紐41a同士が絡み合ったり、補助紐41aが浮き上がって無人飛行体1の飛行駆動部13と絡むのを防止できる程度の重量がある。また、巻取り装置4は、無人飛行体1が船舶3に当接又は止め部材42が船舶3の内孔部32bと当接した後、その巻取り機構43が空転するように形成されている。また、巻取り装置4は、紐41の繰り出し量(長さ)を巻取り回数等をカウントすることによって計測可能に形成されている。
【0043】
また、船舶3には、無人飛行体1を撮影する第3カメラ31を搭載し、制御部23は、第3カメラ31で撮影した無人飛行体1の撮影位置PQにおける画像が画像表示部22の画面で領域指定した指示枠内に入るように、無人飛行体1の移動を制御することが好ましい。また、第3カメラ31は、取付け具311を介して、船舶3の上部に装着されている。取付け具311は、船舶3に対する第3カメラ31の設置角度を変更可能又は設置位置を移動可能に形成されていることが好ましい。検査対象物KTに対する無人飛行体1の位置は、船舶3における第3カメラ31の設置角度を変更又は第3カメラ31の設置位置を移動させることによっても、修正又は変更することができる。なお、上記指示枠については、動作説明の中で詳述する。また、制御部23は、無人飛行体1に対して、無人飛行体1を第3カメラ31の画角αの変更に追従して次の撮影予定位置へ移動させる指示を行うこともできる(
図18を参照)。
【0044】
また、
図4に示すように、無人飛行体1には、第1カメラ11と飛行駆動部13の他に、例えば、飛行駆動部13を制御する飛行制御部12と、操縦装置2と無線信号による送受信を行う第1通信部14とを備えている。第1通信部14は、第1カメラ11及び飛行制御部12と電気的に接続されている。飛行制御部12に対する離着船等の運転指示、及び第1カメラ11に対する撮影指示は、操縦装置2から第1通信部14を介して行うように形成されている。また、第1カメラ11の撮影データは、第1通信部14を介して操縦装置2へ自動的に転送される。なお、第1カメラ11の撮影指示は、無人飛行体1が検査対象物KTに対する撮影位置PQに移動したとき、飛行制御部12に備えるGPS機能等の位置信号から自動的に行うこともできる。
【0045】
また、操縦装置2には、第2カメラ21と画像表示部22と制御部23の他に、例えば、操縦者Mが各種入力操作を行う操作部24と、各種画像及び指示線又は指示枠等の画像データを演算処理する画像処理部25と、画像処理部25が演算処理した画像データ等を記憶する記憶部26と、無人飛行体1及び船舶3と無線信号による送受信を行う第2通信部27とを備えている。また、画像処理部25は、第2カメラ21と画像表示部22と制御部23と操作部24と記憶部26と第2通信部27とそれぞれ電気的に接続されている。また、第2通信部27は、制御部23と操作部24とそれぞれ電気的に接続されている。また、操作部24は、第2カメラ21と電気的に接続されている。また、第2カメラ21には、ズーム機構も備えている。
【0046】
また、船舶3には、無人飛行体1を撮影する第3カメラ31の他、例えば、巻取り装置4の巻取り機構43を作動させる巻取り駆動部44と、船舶3を航路KSに沿って移動させる船舶駆動部33と、操縦装置2と無線信号による送受信を行う第3通信部34とを備えている。船舶駆動部33には、スクリュウ機構と操舵機構とを備えている。また、第3通信部34は、第3カメラ31と船舶駆動部33と巻取り駆動部44とそれぞれ電気的に接続されている。第3カメラ31に対する撮影指示、船舶駆動部33に対する運転指示、及び巻取り駆動部44に対する動作指示は、操縦装置2から第3通信部34を介して行うように形成されている。なお、船舶3には、第3カメラ31が撮影した画像等を処理する画像処理部(図示しない)を備えていてもよい。また、第1カメラ11、第2カメラ21、及び第3カメラ31は、静止画像を撮影するカメラでも、動画を撮影するカメラでもよい。
【0047】
<第1実施例の動作方法>
次に、本実施形態に係る検査装置における第1実施例の動作方法を、
図5~
図10を用いて説明する。
図5に、
図1に示す検査装置における動作説明用のフローチャート図を示す。
図6に、
図1に示す検査装置の平面図を示す。(a)は、船舶の航路上の後方から第2カメラが船舶を撮影する場合を示し、(b)は、船舶の航路に対して斜め後方から第2カメラが船舶を撮影する場合を示す。
図7に、
図6(a)に示す第2カメラが船舶を撮影する場合において、画像表示部の画面で位置指定した指示線に基づいて船舶の移動を制御する概念図を示す。(a)は、移動位置における船舶の画像が指示線と左右方向で位置ズレしていることを示し、(b)は、移動位置における船舶の画像が指示線と左右方向で重なることを示す。
図8に、
図6(b)に示す第2カメラが船舶を撮影する場合において、画像表示部の画面で位置指定した指示線に基づいて船舶の移動を制御する概念図を示す。(a)は、移動位置における船舶の画像が指示線と前後方向で位置ズレしていることを示し、(b)は、移動位置における船舶の画像が指示線と前後方向で重なることを示す。
図9に、
図6(a)に示す第2カメラが船舶を撮影する場合において、画像表示部の画面で領域指定した指示枠に基づいて船舶の移動を制御する概念図を示す。(a)は、移動位置における船舶の画像が指示枠内から上下左右方向ではみ出していることを示し、(b)は、移動位置における船舶の画像が指示枠内に入ることを示す。
図10に、
図1に示す検査装置において、画像表示部の画面で領域指定した指示枠に基づいて無人飛行体の移動を制御する概念図を示す。(a)は、無人飛行体が移動位置の船舶から上昇して撮影位置に浮上した状態を示し、(b)は、撮影位置における無人飛行体の画像が指示枠内に入ることを示す。
【0048】
図5に示すように、先ず、第1ステップS1として、第1カメラ11による検査対象物KTの撮影箇所ZZを選定する。撮影箇所ZZは、例えば、定期的な外観検査が必要な箇所として事前に設定されている箇所を選定するとともに、大まかな予備的撮影の結果から必要な箇所を追加選定する。追加選定の方法は、例えば、無人飛行体1を搭載又は所定量浮上させた状態で、船舶3を一方の川岸KGから他方の川岸まで往復させる間に、第1カメラ11の撮影画像が連続するように撮影して、検査対象物KTである配管における外観の錆や傷等を大まかに点検し、詳細撮影が必要な箇所を選定する。
【0049】
次に、第2ステップS2として、選定した撮影箇所ZZを撮影する無人飛行体1の撮影位置PQと無人飛行体1を搭載して撮影位置PQの下方へ移動する船舶3の移動位置PPとを、操縦装置2の操作部24から入力操作して設定する。無人飛行体1の撮影位置PQと船舶3の移動位置PPの情報は、記憶部26に格納される。
【0050】
次に、第3ステップS3として、画像表示部22の画面で船舶3の移動位置PPに対応する指示線SS(SS1、SS2)又は指示枠SW(SW1)を設定し、無人飛行体1の撮影位置PQに対応する指示枠SW(SW2)を設定する。
【0051】
すなわち、画像表示部22の画面で船舶3の移動位置PPを設定する方法には、
図6に示すように、第2カメラ21が無人飛行体1を搭載した船舶3を2方向から撮影して、
図7に示すように、船舶3の左右方向の位置を特定する指示線SS1と、
図8に示すように、船舶3の前後方向の位置を特定する指示線SS2とをそれぞれ指示する方法と、
図6(a)に示すように、第2カメラ21の位置を固定して無人飛行体1を搭載した船舶3を1方向(後方)から撮影し、船舶3の前後左右方向の位置を同時に特定する指示枠SW1を指示する方法とがある。なお、船舶3は、河川の航路KS上を移動するので、上下方向の位置は略一定として扱える。
【0052】
はじめに、2つの指示線SS1、SS2によって、船舶3の航路KSの延長線上の移動位置PPを設定する方法を説明する。まず、
図6(a)に示すように、操縦装置2を船舶3の航路KS上の後方に配置し、航路KS上の後方から第2カメラ21が無人飛行体1を搭載した船舶3を撮影する。そして、
図7(a)、(b)に示すように、例えば、画像表示部22の画面22Gで航路KS上の移動位置PPにおける船舶3の画像中心3GJと重なる指示線SS(SS1)を座標軸X上に指示する。指示線SS(SS1)は、座標軸Zと平行に形成する。ここで、3Gは船舶3の輪郭画像を示し、1Gは無人飛行体1の輪郭画像を示す。また、座標軸Xは、船舶3の航路KSに直交する左右方向を示し、座標軸Yは、船舶3の航路KSと平行となる前後方向を示し、座標軸Zは、無人飛行体1が昇降する上下方向を示す。
【0053】
また、
図6(b)に示すように、操縦装置2を座標軸Xの方向へ距離d2だけ移動させ、船舶3の航路KSに対して斜め後方(航路KSに対する傾斜角θで第2カメラ21を配置)から第2カメラ21が無人飛行体1を搭載した船舶3を撮影する。そして、
図8(a)、(b)に示すように、例えば、画像表示部22の画面22Gで航路KS上の移動位置PPにおける船舶3の無人飛行体搭載部の画像中心3GMと重なる指示線SS(SS2)を座標軸Y上に指示する。指示線SS(SS2)は、座標軸Zと平行に形成する。ここで、3Gは船舶3の輪郭画像を示し、1Gは無人飛行体1の輪郭画像を示す。以上のように、画像表示部22の画面22Gで上記2つの指示線SS1、SS2を設定することによって、三角測量法に基づいて船舶3の航路KSの延長線上の移動位置PP(d1=d2/tanθ)を設定することができる。なお、第2カメラ21を2つ用意して、
図6(a)に示す位置と
図6(b)に示す位置に、それぞれ配置しても良い。
【0054】
次に、指示枠SW(SW1)によって、船舶3の航路KSの延長線上の移動位置PPを設定する方法を説明する。まず、
図6(a)に示すように、操縦装置2を船舶3の航路KS上の後方に配置し、航路KS上の後方から第2カメラ21が無人飛行体1を搭載した船舶3を撮影する。そして、
図9(a)、(b)に示すように、例えば、画像表示部22の画面22Gで上下左右の各辺で領域指定する矩形状の指示枠SW(SW1)を、当該指示枠内に移動位置PPにおける船舶3及び無人飛行体1の輪郭画像3G、1Gが当接して又は所定の大きさで入るように、座標軸Xと座標軸Zとで構成する平面上に指示する。また、指示枠SW(SW1)の対角中心SW11は、座標軸Xにおける航路KS上に設定する。ここで、指示枠SW(SW1)の各辺の長さは、遠近法により第2カメラ21から船舶3の移動位置PPまでの座標軸Yの方向(船舶3の前後方向)で離間する距離d1に比例する。したがって、画像表示部22の画面22Gで距離d1に比例する各辺からなる矩形状の指示枠SW(SW1)を指示することによって、船舶3の航路KSの延長線上に位置する移動位置PPを設定することができる。
【0055】
また、指示枠SW(SW2)によって、無人飛行体1の撮影位置PQを設定する方法を説明する。無人飛行体1は、前後左右方向と上下方向の3次元空間を移動するので、
図10(a)に示すように、第3カメラ31を上方へ向けて無人飛行体1を撮影する。そして、
図10(b)に示すように、例えば、画像表示部22の画面22Gで前後左右の各辺で領域指定する矩形状の指示枠SW(SW2)を、当該指示枠内に撮影位置PQにおける無人飛行体1の輪郭画像1Gが当接して又は所定の大きさで入るように、座標軸Xと座標軸Yとで構成する平面上に指示する。また、指示枠SW(SW2)の対角中心SW21は、座標軸Yにおける第3カメラ31の延長線上(上方)に設定する。ここで、指示枠SW(SW2)の各辺の長さは、遠近法により第3カメラ31から無人飛行体1の撮影位置PQまでの座標軸Zの方向(船舶3の上下方向)で離間する距離d3に比例する。したがって、画像表示部22の画面22Gで距離d3に比例する各辺からなる矩形状の指示枠SW(SW2)を指示することによって、第3カメラ31の上方に位置する無人飛行体1の撮影位置PQを設定することができる。
【0056】
次に、
図5に示すように、第4ステップS4として、無人飛行体1を搭載した船舶3を作動させて、移動位置PPへ移動させる。
【0057】
はじめに、2つの指示線SS1、SS2によって、船舶3を航路KSの延長線上の移動位置PPへ自動的に移動させる方法を説明する。まず、操縦者Mが操作部24を操作して、船舶駆動部33を作動させ、無人飛行体1を搭載した船舶3を航路KS上の移動位置PPに向けて移動させる。そして、
図7(a)に示すように、画像表示部22の画面22Gに表示する船舶3の画像中心3GJが、指示線SS(SS1)に対して座標軸Xの方向(船舶3の左右方向)で位置ズレしている場合は、例えば、画像処理部25がそのズレ量d4を演算し、
図7(b)に示すように、船舶3の画像中心3GJが指示線SS(SS1)と一致するように、制御部23が船舶3の船舶駆動部33に修正指示を与える。その結果、船舶3は、航路KSに沿って移動することができる。なお、画像処理部25は、船舶3の画像中心3GJが、指示線SS(SS1)に対して位置ズレしていることを制御部23に通知し、制御部23がその位置ズレを減少させるように船舶駆動部33に修正指示を与えることもできる。この場合、船舶3の画像中心3GJが、指示線SS(SS1)と一致するまで、制御部23は船舶駆動部33に対して修正指示を繰り返し、又は継続することになる。
【0058】
また、
図8(a)に示すように、画像表示部22の画面22Gに表示する船舶3の無人飛行体搭載部の画像中心3GMが、指示線SS(SS2)に対して座標軸Yの方向(船舶3の前後方向)で位置ズレしている場合は、例えば、画像処理部25がそのズレ量d5を演算し、
図8(b)に示すように、船舶3の無人飛行体搭載部の画像中心3GMが指示線SS(SS2)と一致するように、制御部23が船舶3の船舶駆動部33に修正指示を与える。その結果、船舶3は、航路KS上の移動位置PPまで自動的に移動することができる。なお、画像処理部25は、船舶3の無人飛行体搭載部の画像中心3GMが、指示線SS(SS2)に対して位置ズレしていることを制御部23に通知し、制御部23がその位置ズレを減少させるように船舶駆動部33に修正指示を与えることもできる。この場合、船舶3の無人飛行体搭載部の画像中心3GMが、指示線SS(SS2)と一致するまで、制御部23は船舶駆動部33に対して修正指示を繰り返し、又は継続することになる。また、第2カメラ21から船舶3の移動位置PPまでの距離d1が長くなり、船舶3の移動位置PPにおける位置ズレを検出しにくい場合には、第2カメラ21のズーム機構を作動させてズレ量d4、d5等を明瞭化することができる。
【0059】
次に、指示枠SW(SW1)によって、船舶3を航路KSの延長線上の移動位置PPへ自動的に移動させる方法を説明する。前記と同様に、まず、操縦者Mが操作部24を操作して、船舶駆動部33を作動させ、無人飛行体1を搭載した船舶3を航路KS上の移動位置PPに向けて移動させる。そして、
図9(a)に示すように、指示枠SW(SW1)内から船舶3及び無人飛行体1の輪郭画像3G、1Gが上下左右方向ではみ出している場合は、例えば、画像処理部25がそのはみ出し量d6、d7を演算し、
図9(b)に示すように、船舶3及び無人飛行体1の輪郭画像3G、1Gが、指示枠SW(SW1)内に当接して又は所定の大きさで入るように制御部23が船舶3の船舶駆動部33に修正指示を与える。その結果、船舶3は、航路KS上の移動位置PPまで自動的に移動することができる。なお、画像処理部25は、船舶3及び無人飛行体1の輪郭画像3G、1Gが指示枠SW(SW1)内からはみ出していることを制御部23に通知し、制御部23がそのはみ出し量を減少させるように船舶駆動部33に修正指示を与えることもできる。この場合、船舶3及び無人飛行体1の輪郭画像3G、1Gが指示枠SW(SW1)内に当接して又は所定の大きさで入るまで、制御部23は船舶駆動部33に対して修正指示を繰り返し、又は継続することになる。
【0060】
次に、
図5に示すように、第5ステップS5として、船舶3が移動位置PPへ移動した後、無人飛行体1を船舶3から撮影位置PQに移動(浮上)させ、検査対象物KTの撮影箇所ZZを第1カメラ11によって撮影する。
【0061】
すなわち、
図10(a)に示すように、船舶3が航路KS上の移動位置PPに到着した信号を制御部23が画像処理部25から受けると、制御部23は、飛行制御部12に無人飛行体1の離船指示を与えて無人飛行体1を上方へ浮上させる。無人飛行体1の浮上に合わせて、巻取り装置4から紐41を送り出していく。また、制御部23は、第3カメラ31を作動させて、上方へ浮上する無人飛行体1を撮影する。そして、
図10(b)に示すように、画像表示部22の画面22Gで表示する指示枠SW(SW2)内に無人飛行体1の輪郭画像1Gが当接して又は所定の大きさで入るように、制御部23が飛行制御部12に指示する。そのため、無人飛行体1は、撮影位置PQまで自動的に移動することができる。また、無人飛行体1が撮影位置PQに到着した信号を制御部23が画像処理部25から受けると、制御部23は、第1カメラ11に撮影指示を与える。その結果、船舶3が移動位置PPへ移動した後、無人飛行体1を船舶3から撮影位置PQに自動的に浮上させ、検査対象物KTの撮影箇所ZZを第1カメラ11によって自動的に撮影する。なお、撮影した画像データは、画像処理部25を経由して記憶部26に格納される。
【0062】
次に、
図5に示すように、第6ステップS6として、良好な撮影ができたか否かを、第1カメラ11によって撮影した画像を操縦者Mが確認し、NGと判定した場合は、第7ステップS7として、指示線SS(SS1、SS2)又は指示枠SW(SW1、SW2)を再設定し、船舶3又は無人飛行体1の位置を修正して、撮影箇所ZZを再撮影する。例えば、第1カメラ11が撮影した撮影箇所ZZが座標軸Xの方向で位置ズレしている場合には、
図6(a)に示すように、操縦装置2の第2カメラ21の位置を矢印F1の方向へ移動させて、船舶3の航路KSを新たな航路KS′へ変更し、指示線SS(SS1、SS2)又は指示枠SW(SW1)を再設定する、又は、第3カメラ31の検査対象物KTに対する設置角度を矢印F2又はF3の方向へ変更し、指示枠SW(SW2)を再設定する。指示線SS(SS1、SS2)又は指示枠SW(SW1、SW2)を再設定する方法は、第3ステップS3にて説明した方法と同様である。なお、良好な撮影ができたか否かを、第1カメラ11によって撮影した画像を記憶部26に記憶させた良品条件(例えば、撮影箇所ZZの位置、大きさ等)に基づいて画像処理部25が判定しても良い。
【0063】
次に、
図5に示すように、第8ステップS8として、第1カメラ11の画像を確認した結果、良好な撮影ができたと判定した場合には、巻取り装置4が紐41を巻取り、無人飛行体1を船舶3に着船させる。
【0064】
すなわち、第1カメラ11が良好な画像を撮影したというOK信号を制御部23が操作部24又は画像処理部25から受けると、制御部23は、巻取り駆動部44に巻取り指示を与える。そして、巻取り駆動部44が作動すると、
図3(b)に示すように、紐41が巻取り機構43に巻取られて、止め部材42が船舶3の外孔部32aを通過する。このとき、無人飛行体1は、船舶3に近接した位置まで下降する。そして、補助紐41aが緊張した状態で外孔部32aに当接するとともに、無人飛行体1が船舶3に当接又は止め部材42が船舶3の内孔部32bに当接した後、巻取り機構43は空転して巻取り駆動部44は、自動的に停止する。また、巻取り駆動部44から停止信号を制御部23が受けると、制御部23は、無人飛行体1の飛行制御部12に停止指示を与え、
図3(c)に示すように、無人飛行体1が船舶3の所定位置に着船する。無人飛行体1は、船舶3に近接した位置から補助紐41aが緊張した状態で外孔部32aに当接しながら着船できるので、無人飛行体1の着船する姿勢等が向上し、着船に伴う不具合が生じにくい。
【0065】
次に、
図5に示すように、第9ステップS9として、選定した撮影箇所ZZを全て撮影したか否かを画像処理部25が確認し、未撮影の撮影箇所ZZが残っている場合には、第4ステップS4に戻って、第4ステップS4から第8ステップS8を繰り返す。また、未撮影の撮影箇所ZZが残っていない場合には、本検査装置10の動作を終了する。
【0066】
<第2実施例の構成>
本実施形態に係る検査装置における第2実施例の構成を、
図11~
図14を用いて説明する。
図11に、本実施形態に係る第2実施例の検査装置の構成概念図を示す。
図12に、
図11に示す検査装置において、無人飛行体が操縦装置に追随して移動する構成概念図を示す。
図13に、
図11に示す検査装置において、操縦装置に備えた巻取り装置を介して無人飛行体を回収する概念図を示す。(a)は、無人飛行体が操縦装置から離間している状態を示し、(b)は、無人飛行体が操縦装置に近接している状態を示し、(c)は、無人飛行体を操縦装置に回収した状態を示す。
図14に、
図11に示す検査装置において、制御系ブロックの構成概念図を示す。
【0067】
図11~
図14に示すように、本実施形態に係る第2実施例の検査装置10Bは、検査対象物KTを撮影する第1カメラ11Bを搭載した無人飛行体1Bと無人飛行体1Bを遠隔操縦する操縦装置2Bとを備えた検査装置である。また、操縦装置2Bには、無人飛行体1Bを撮影する第4カメラ21Bと第4カメラ21Bが撮影した画像を表示する画像表示部22と無人飛行体1Bを制御する制御部23Bとを備えている。また、制御部23Bは、第4カメラ21Bで撮影した無人飛行体1Bの撮影位置PQにおける画像が画像表示部22の画面で領域指定した指示枠内に入るように、無人飛行体1Bの移動を制御する。なお、上記指示枠については、動作説明の中で詳述する。
【0068】
また、
図11、
図12に示すように、検査対象物KTは、例えば、地面GLに掘削された溝GM内に配設された配管(例えば、ガス管)等である。第1カメラ11Bは、上記配管が溝GM内の所定位置に埋設されていること、継ぎ目が適正に連結されていること等を検査(画像の記録、検証等を含む)するため、地面GL上に設置されたマーキング部材SQと同時に上記配管を長手方向に沿って連続して撮影する。例えば、上記配管を埋設後に点検等するときには、配管の埋設位置を撮影したマーキング部材SQを目安に特定することができる。また、操縦装置2Bは、操縦者Mが携帯可能に形成されている。また、無人飛行体1Bは、操縦者Mが携帯する操縦装置2Bに追随して移動するように形成されている。なお、本検査装置10Bは、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して、基本的にその詳細な説明は割愛する。また、第1カメラ11Bの撮影方向は、下方に向けられて固定されているが、可変可能に形成してもよい。
【0069】
また、無人飛行体1Bと操縦装置2Bとが可撓性の紐41Bで連結され、操縦装置2Bには、紐41Bを巻取る巻取り装置4Bを備えていることが好ましい。また、
図13に示すように、巻取り装置4Bは、無人飛行体1Bの外周側(例えば、各飛行駆動部13の近傍)に連結した複数の補助紐41Baを止め部材42Bによって1つの紐41Bに集結し、集結した1つの紐41Bを巻取る構造であることが好ましい。更に、操縦装置2Bには、紐41Bが挿通される外孔部22aと内孔部22bとを内外方向で離間した位置に備え、外孔部22aは、止め部材42Bが通過可能に形成され、内孔部22bは、止め部材42Bが通過不能に形成され、また、無人飛行体1Bが操縦装置2Bに当接する位置又はその直前まで紐41Bが巻取られたときに、外孔部22aに補助紐41Baがそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、内孔部22bに止め部材42Bが当接又は近接することが好ましい。なお、止め部材42Bは、例えば、球状又は楕円球状に形成され、補助紐41Ba同士が絡み合ったり、補助紐41Baが浮き上がって無人飛行体1Bの飛行駆動部13と絡むのを防止できる程度の重量がある。また、巻取り装置4Bは、無人飛行体1Bが操縦装置2Bに当接又は止め部材42Bが操縦装置2Bの内孔部32bと当接した後、その巻取り機構43Bが空転するように形成されている。また、巻取り装置4Bは、紐41Bの繰り出し量(長さ)を巻取り回数等をカウントすることによって計測可能に形成されている。
【0070】
また、
図14に示すように、無人飛行体1Bには、第1カメラ11Bと飛行駆動部13の他に、飛行駆動部13を制御する飛行制御部12Bと、操縦装置2Bと無線信号による送受信を行う第1通信部14Bとを備えている。第1通信部14Bは、第1カメラ11B及び飛行制御部12Bと電気的に接続されている。飛行制御部12Bに対する離着陸等の運転指示、及び第1カメラ11Bに対する撮影指示は、操縦装置2Bから第1通信部14Bを介して行うように形成されている。また、第1カメラ11Bの撮影データは、第1通信部14Bを介して操縦装置2Bへ自動的に転送される。なお、第1カメラ11Bの撮影指示は、無人飛行体1Bが検査対象物KTに対する撮影位置PQに移動したとき、飛行制御部12Bに備えるGPS機能等の位置信号から自動的に行うこともできる。
【0071】
また、操縦装置2Bには、第4カメラ21Bと画像表示部22と制御部23Bの他に、操縦者Mが各種入力操作を行う操作部24Bと、各種画像及び指示枠等の画像データを演算処理する画像処理部25Bと、画像処理部25Bが演算処理する画像データ等を記憶する記憶部26と、巻取り装置4Bの巻取り機構43Bを作動させる巻取り駆動部44Bと、無人飛行体1Bと無線信号による送受信を行う第4通信部27Bとを備えている。また、画像処理部25Bは、第4カメラ21Bと画像表示部22と制御部23Bと操作部24Bと記憶部26と第4通信部27Bとそれぞれ電気的に接続されている。また、第4通信部27Bは、制御部23Bと操作部24Bとそれぞれ電気的に接続されている。また、制御部23Bは、巻取り駆動部44Bと電気的に接続されている。操作部24Bは、第4カメラ21Bと電気的に接続されている。また、第4カメラ21Bには、ズーム機構も備えている。
【0072】
<第2実施例の動作方法>
次に、本実施形態に係る検査装置における第2実施例の動作方法を、
図11、
図12、
図15~
図18を用いて説明する。
図11に、本実施形態に係る第2実施例の検査装置の構成概念図を示す。
図12に、
図11に示す検査装置において、無人飛行体が操縦装置に追随して移動する構成概念図を示す。
図15に、
図11に示す検査装置における動作説明用のフローチャート図を示す。
図16に、
図11に示す検査装置において、画像表示部の画面で領域指定した指示枠に基づいて無人飛行体の移動を制御する概念図を示す。(a)は、指示枠内から無人飛行体の画像が上下方向ではみ出していることを示し、(b)は、指示枠内に無人飛行体の画像が入ることを示す。
図17に、
図1又は
図11に示す検査装置において、画像表示部の画面で領域指定した指示枠の中へ無人飛行体の画像を所定の大きさで入れることによって、無人飛行体の飛行位置を移動させる制御概念図を示す。
図18に、
図1又は
図11に示す検査装置において、第3カメラ又は第4カメラの画角を変更することによって、無人飛行体の飛行位置を移動させる制御の概念図を示す。
【0073】
図15に示すように、先ず、第1ステップT1として、第1カメラ11Bによる検査対象物KTの撮影箇所ZZ(ZZ1、ZZ2、・・・)を選定する。撮影箇所ZZは、例えば、
図11、
図12に示すように、地面GL上に設置されたマーキング部材SQに対する溝GM内の配管の位置、配管の継ぎ目等であるので、配管を長手方法に分割して、各撮影箇所ZZ(ZZ1、ZZ2、・・・)の画像が、配管及びマーキング部材SQを含むと共にその両端部で交差するように選定する。ここで、座標軸Xは、検査対象物KTの配管の長手方向に直交する左右方向を示し、座標軸Yは、配管の長手方向と平行となる前後方向を示し、座標軸Zは、無人飛行体1が昇降する上下方向を示す。
【0074】
次に、第2ステップT2として、選定した撮影箇所ZZを撮影する無人飛行体1Bの撮影位置PQ(PQ1、PQ2、・・・)を、操縦装置2Bの操作部24Bから入力操作して設定する。ここで、無人飛行体1Bの撮影位置PQは、操縦装置2Bの第4カメラ21Bに対する無人飛行体1Bの相対位置として設定するので、
図11、
図12に示すように、操縦者Mが操縦装置2Bを携帯して移動すれば、無人飛行体1Bは第4カメラ21Bとの距離d8を略一定に維持した状態で移動する。無人飛行体1Bの撮影位置PQの情報は、記憶部26に格納される。
【0075】
次に、第3ステップT3として、画像表示部22の画面で無人飛行体1の撮影位置PQに対応する指示枠SWBを設定する。すなわち、無人飛行体1Bは、前後左右方向と上下方向の3次元空間を移動するので、
図11、
図12に示すように、第4カメラ21Bを上方へ向けて無人飛行体1Bを撮影する。そして、
図16(a)、(b)に示すように、画像表示部22の画面22BGで上下左右方向の各辺で領域指定する矩形状の指示枠SWBを、当該指示枠内に撮影位置PQにおける無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが当接して又は所定の大きさで入るように、座標軸Zと座標軸Xとで構成する平面上に指示する。また、指示枠SWBの対角中心SWB1は、座標軸Xにおける第1カメラ11Bの延長線上(下方)に設定する。ここで、指示枠SWBの各辺の長さは、遠近法により第4カメラ21Bから無人飛行体1Bの撮影位置PQまでの距離d8に比例する。したがって、画像表示部22の画面22BGで距離d8に比例する各辺からなる矩形状の指示枠SWBを指示することによって、第4カメラ21Bの上方に位置する無人飛行体1Bの撮影位置PQを特定することができる。なお、一の撮影位置PQ1から次の撮影位置PQ2までの移動距離d9は、撮影位置PQにおける第1カメラ11Bの撮影範囲の座標軸Xの方向の長さに略等しい。
【0076】
次に、
図15に示すように、第4ステップT4として、操縦者Mに追随して無人飛行体1を撮影位置PQに移動させ、検査対象物KTの撮影箇所ZZを第1カメラ11Bによって撮影する。
【0077】
すなわち、
図11、
図12に示すように、操縦者Mは、操作部24Bを操作して無人飛行体1Bを離陸させて上方へ浮上させる。また、第4カメラ21Bによって、上方へ浮上した無人飛行体1Bを撮影する。そして、
図16(a)に示すように、指示枠SWB内から無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが上下方向ではみ出している場合は、例えば、画像処理部25Bがそのはみ出し量d10を演算し、
図16(b)に示すように、無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが指示枠SWB内に当接して又は所定の大きさで入るように、制御部23Bが無人飛行体1Bの飛行制御部12Bに修正指示を与える。
【0078】
また、
図17に示すように、無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが指示枠SWBの中に、当接して又は所定の大きさで入るように、制御部23Bが無人飛行体1Bの飛行制御部12Bに修正指示を与える。例えば、第4カメラ21Bに対する無人飛行体1Bの飛行位置βが適正な飛行位置β1より近い飛行位置β2の場合、指示枠SWBより無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが大き過ぎてはみ出し、また、適正な飛行位置β1より遠い飛行位置β3の場合には、指示枠SWBより無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが小さすぎる。この場合には、無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが指示枠SWBの中へ当接して又は所定の大きさで入るように、制御部23Bが無人飛行体1Bの飛行制御部12Bに修正指示を与える。なお、「無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが指示枠SWBの中へ当接して又は所定の大きさで入ること」とは、無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが、矩形状の指示枠SWBを構成する枠辺の内、対向する一対の枠辺に対してはみ出さない程度に近接又は当接している状態を意味する。
【0079】
その結果、無人飛行体1Bは、撮影位置PQまで自動的に移動することができる。なお、画像処理部25Bは、無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが指示枠SWB内からはみ出していることを制御部23Bに通知し、制御部23Bがそのはみ出し量を減少させるように飛行制御部12Bに修正指示を与えることもできる。この場合、無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが指示枠SWB内に当接して又は所定の大きさで入るまで、制御部23Bは飛行制御部12Bに対して修正指示を繰り返し、又は継続することになる。
【0080】
また、
図18に示すように、制御部23Bは、無人飛行体1Bに対して、無人飛行体1Bを第4カメラ21Bの画角変更(α1⇒α2)に追従して移動させる指示を行うことができる。例えば、撮影完了した撮影予定位置β4に対して次の撮影予定位置β5が、操縦者Mの所持する第4カメラ21Bから遠く離れている場合には、第4カメラ21Bの画角αを広い画角α1から狭い角度の画角α2へ変更することによって、無人飛行体1Bの飛行位置β(β4)を次の飛行位置β(β5)へ移動させることができる。この場合は、操縦者は、第4カメラ21Bの画角αを変更するだけで、無人飛行体1Bを速やかに移動させることができる。そのため、操縦者Mが、近づきにくい箇所であっても、第4カメラ21Bの画角変更を行いながら、次の撮影箇所ZZを確認して、必要な箇所を適切に撮影することができる。
【0081】
また、操縦者Mは、画像表示部22の画面22BGで無人飛行体1Bの輪郭画像1BGが指示枠SWB内に当接して又は所定の大きさで入ったことを確認した後、操作部24Bを操作して第1カメラ11Bに撮影指示を与える。第1カメラ11Bが撮影完了後には、操縦者Mは、次の撮影位置PQ2までの移動距離d9を移動する。なお、撮影した画像データは、画像処理部25Bを経由して記憶部26に格納される。
【0082】
なお、無人飛行体1Bが撮影位置PQに到着した信号を制御部23Bが画像処理部25Bから受けた後、制御部23Bが第1カメラ11Bに撮影指示を与えることもできる。その場合、無人飛行体1Bを撮影位置PQに自動的に移動させ、検査対象物KTの撮影箇所ZZを第1カメラ11Bによって自動的に撮影することができる。
【0083】
次に、
図15に示すように、第5ステップT5として、良好な撮影ができたか否かを、第1カメラ11Bによって撮影した画像を操縦者Mが確認し、NGと判定した場合は、第6ステップT6として、指示枠SWBを再設定し、無人飛行体1Bの位置を修正して、撮影箇所ZZを再撮影する。例えば、第1カメラ11Bが撮影した撮影箇所ZZが座標軸Xの方向で位置ズレしてマーキング部材SQを撮影していない場合には、
図11に示すように、操縦装置2Bの第4カメラ21Bの位置を矢印F4の方向へ移動させて、指示枠SWBを再設定する、又は、第4カメラ21Bの操縦装置2Bに対する設置角度を矢印F5又はF6の方向へ変更し、指示枠SWBを再設定する。指示枠SWBを再設定する方法は、第3ステップT3にて説明した方法と同様である。なお、良好な撮影ができたか否かを、第1カメラ11Bによって撮影した画像を記憶部26に記憶させた良品条件(例えば、撮影箇所ZZの位置、大きさ等)に基づいて画像処理部25Bが判定しても良い。
【0084】
次に、
図15に示すように、第7ステップT7として、選定した撮影箇所ZZを全て撮影したか否かを画像処理部25Bが確認し、未撮影の撮影箇所ZZが残っている場合には、第4ステップT4に戻って、第4ステップT4から第6ステップT6までを繰り返す。また、未撮影の撮影箇所ZZが残っていない場合には、第8ステップT8に移行する。
【0085】
次に、第8ステップT8として、巻取り装置4Bが紐41Bを巻取り、無人飛行体1Bを着陸させ、本検査装置10Bの動作を終了する。
【0086】
すなわち、未撮影の撮影箇所ZZが残っていない信号を制御部23Bが画像処理部25Bから受けると、制御部23Bは、巻取り駆動部44Bに巻取り指示を与える。そして、巻取り駆動部44Bが作動すると、
図13(b)に示すように、紐41Bが巻取り機構43Bに巻取られて、止め部材42Bが操縦装置2Bの外孔部22aを通過する。このとき、無人飛行体1Bは、操縦装置2Bに近接した位置まで下降する。そして、補助紐41Baが緊張した状態で外孔部22aに当接するとともに、無人飛行体1Bが操縦装置2Bに当接又は止め部材42Bが操縦装置2Bの内孔部22bに当接した後、巻取り機構43Bは空転して巻取り駆動部44Bは、自動的に停止する。また、巻取り駆動部44Bから停止信号を制御部23Bが受けると、制御部23Bは、無人飛行体1Bの飛行制御部12Bに停止指示を与え、
図13(c)に示すように、無人飛行体1Bが操縦装置2Bの所定位置に当接する。無人飛行体1Bは、操縦装置2Bに近接した位置から補助紐41Baが緊張した状態で外孔部22aに当接しながら、操縦装置2Bに当接できるので、無人飛行体1の当接する姿勢等が向上し、当接に伴う不具合が生じにくい。
【0087】
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、本実施形態の第1実施例によれば、無人飛行体1は、中央の本体部121に対して外周側に等間隔で配置された複数の飛行駆動部13を有する飛行体であり、無人飛行体1には、第1カメラ11と飛行駆動部13の他に、飛行駆動部13を制御する飛行制御部12と、操縦装置2と無線信号による送受信を行う第1通信部14とを備えているが、必ずしも、これに限定されるものではない。例えば、
図19、
図20に示すように、無人飛行体1Cは、自力で浮上可能な気球体でもよい。この場合、気球体に第1カメラ11Cを装着するとともに、船舶3Cに装着した巻取り装置4Cにおける紐41Cの送り出し長さを調節することによって、無人飛行体1Cの船舶3Cに対する垂直方向の撮影位置PQへの移動を簡単に制御することができる。また、船舶3Cには、無人飛行体1Cを撮影する第3カメラ31を省略することも可能であり、装置を更に簡素化することができる。また、無人飛行体1Cは、自力で浮上可能な気球体であるので、無人飛行体1Cの意図しない墜落等を回避することができる。
【0088】
また、本実施形態の第1実施例によれば、無人飛行体1と船舶3とが可撓性の紐41で連結され、船舶3には、紐41を巻取る巻取り装置4を備えているが、必ずしも、これに限定されるものではない。また、本実施形態の第2実施例によれば、無人飛行体1Bと操縦装置2Bとが可撓性の紐41Bで連結され、操縦装置2Bには、紐41Bを巻取る巻取り装置4Bを備えているが、必ずしも、これに限定されるものではない。巻取り装置4、4Bを備えていない場合、無人飛行体1、1Bの回収操作は、操縦者Mが操作部24、24Bを操作して行うことになる。
【0089】
また、本実施形態の第1実施例において、画像表示部22の画面22Gで2つの指示線SS1、SS2を設定することによって、三角測量法に基づいて船舶3の航路KSの延長線上の移動位置PP(d1=d2/tanθ)を設定する方法を説明したが、例えば、1つの指示線SS1で船舶3の航路KSの延長線上の移動を特定するとともに、船舶3の移動速度と移動時間とを乗算して第2カメラ21から移動位置PPまでの移動距離d1を算定することによって、所定の移動位置PPを設定してもよい。又は、1つの指示線SS1で船舶3の航路KSの延長線上の移動を特定するとともに、第1カメラ11の撮影画像に基づいて船舶3の航路KSの延長線上の位置を特定することよって、所定の移動位置PPを
設定してもよい。
【0090】
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る検査装置10、10Cによれば、無人飛行体1、1Cを離着船可能に搭載し、航路KS上を移動する船舶3、3Cを備え、操縦装置2、2Cには、船舶3、3Cを撮影する第2カメラ21、21Cと第2カメラ21、21Cが撮影した船舶3、3Cの画像を表示する画像表示部22と無人飛行体1、1C及び船舶3、3Cを制御する制御部23、23Cとを備え、制御部23、23Cは、第2カメラ21、21Cで撮影した船舶3、3Cの所定の移動位置PPにおける画像が画像表示部22の画面で位置指定した指示線SS上に重なる又は画像表示部22の画面で領域指定した指示枠SW内に入るように、船舶3、3Cの移動を制御するので、操縦者Mが画像表示部22の画面で所定の移動位置PPにおける船舶3、3Cの画像が重なる指示線SS又は船舶3、3Cの画像が入る指示枠SWを予め指定することによって、船舶3、3Cを撮影する第2カメラ21、21Cと所定の移動位置PPにおける船舶3、3Cとの相対的な位置関係が特定され、航路KS上を所定の移動位置PPへ移動する船舶3、3Cの移動を、指示線SS又は指示枠SWに基づいて自動的に制御できる。例えば、船舶3、3Cの位置が、川の流れの影響を受けて正規の航路KSに対して川下側へズレようとしても、船舶3、3Cの画像が指示線SS上に重なる又は指示枠SW内に入るように、船舶3、3Cの移動を自動的に修正することができる。この場合、無人飛行体1、1Cは、第1カメラ11、11Cが検査対象物KTを撮影する撮影位置PQの下方に当たる所定の移動位置PPまで船舶3、3Cに搭載された状態で移動できるので、撮影位置PQがある程度遠く離れた場合でも、無人飛行体1、1Cの飛行距離や飛行時間を大幅に短縮できるとともに、風等の外乱の影響を受けにくくなる。また、操縦者Mは、自動的に制御されて所定の移動位置PPに移動した船舶3、3Cに搭載された無人飛行体1、1Cの撮影位置PQに対する上方への移動を操作すればよいので、無人飛行体1、1Cの3次元的な移動を操作する場合に比べて、簡単に操作することができる。
【0091】
よって、本実施形態によれば、検査対象物KTを撮影するカメラ(第1カメラ11、11C)を搭載した無人飛行体1、1Cが操縦者Mからある程度遠く離れた場合でも、また、風等の外乱があった場合でも、無人飛行体1、1Cの移動を簡単に制御でき、また、操縦者Mの作業負担を軽減できる検査装置10、10Cを提供することができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、無人飛行体1、1Cと船舶3、3Cとが紐41、41Cで連結され、船舶3、3Cには、紐41、41Cを巻取る巻取り装置4、4Cを備えているので、無人飛行体1、1Cが操縦者Mからある程度遠く離れた場合でも、船舶3、3Cから撮影位置PQへの無人飛行体1、1Cの移動量を紐41、41Cの長さで調節でき、無人飛行体1、1Cの移動をより簡単に制御することができる。また、第1カメラ11、11Cと検査対象物KTとの離間距離の精度を高め、より鮮明な画像を撮影できる。また、巻取り装置4、4Cが紐41、41Cを巻取ることによって、無人飛行体1、1Cを簡単に回収でき、無人飛行体1、1Cが行方不明となって回収不能となるのを回避できる。
【0093】
また、本実施形態によれば、巻取り装置4、4Cは、無人飛行体1、1Cの外周側に連結した複数の補助紐41aを止め部材42、42Cによって1つの紐41、41Cに集結し、集結した1つの紐41、41Cを巻取る構造であるので、風等の外乱に対する無人飛行体1、1Cの姿勢の安定性が向上し、巻取り装置4、4Cが1つの紐41、41Cを巻取ることによって、無人飛行体1、1Cの姿勢を安定させつつ回収できる。また、止め部材42、42Cには、一定の重さがあり、補助紐41a同士が絡み合ったり、補助紐41aが浮き上がって無人飛行体1、1Cと絡み合うのを回避することもできる。
【0094】
また、本実施形態によれば、船舶3、3Cには、紐41、41Cが挿通される外孔部32aと内孔部32bとを内外方向で離間した位置に備え、外孔部32aは、止め部材42、42Cが通過可能に形成され、内孔部32bは、止め部材42、42Cが通過不能に形成され、また、無人飛行体1、1Cが船舶3、3Cに着船する位置又はその直前まで紐41、41Cが巻取られたときに、外孔部32aに補助紐41aがそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、内孔部32bに止め部材42、42Cが当接又は近接するので、無人飛行体1、1Cが船舶3、3Cの斜め上方に浮上していても、各補助紐41aが外孔部32aに案内、支持されて、無人飛行体1、1Cを安定した姿勢で船舶3、3Cに着船させることができる。また、巻取り装置4、4Cが勢いよく紐41、41Cを巻取っても、無人飛行体1、1Cが船舶3、3Cに着船する位置まで紐41、41Cが巻取れたときに、止め部材42、42Cが内孔部32bと当接又は近接して、無人飛行体1、1Cと船舶3、3Cとの衝突力を緩和させることができる。なお、無人飛行体1、1Cが船舶3、3Cに着船する位置まで紐41、41Cが巻取られたときに、止め部材42、42Cが内孔部32bと当接しなくても近接して浮いた状態であればよいので、補助紐41aや紐41、41Cの細かな調整が不要で、製作等がしやすくなる。
【0095】
また、本実施形態によれば、無人飛行体1Cは、自力で浮上可能な気球体であるので、無人飛行体1Cの構成を簡素化できるとともに、巻取り装置4Cにおける紐41Cの送り出し長さを調節することによって、無人飛行体1Cの離着船を簡単に操作することができる。また、無人飛行体1Cは、自力で浮上可能な気球体であるので、無人飛行体1Cの意図しない墜落等を回避することができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、船舶3には、無人飛行体1を撮影する第3カメラ31を搭載し、制御部23は、第3カメラ31で撮影した無人飛行体1の撮影位置PQにおける画像が画像表示部22の画面で領域指定した指示枠SW2内に入るように、無人飛行体1の移動を制御するので、操縦者Mが画像表示部22の画面で船舶3の移動位置PPに対応する無人飛行体1の撮影位置PQにおける画像1Gが入る指示枠SW2を予め指定することによって、所定の移動位置PPにおける船舶3と撮影位置PQにおける無人飛行体1との相対的な位置関係が特定され、所定の移動位置PPの船舶3から撮影位置PQへの無人飛行体1の移動は、指示枠SW2に基づいて自動的に制御することができる。例えば、無人飛行体1の位置が、風の流れの影響を受けて正規の撮影位置PQに対して風下側へズレようとしても、無人飛行体1の画像1Gが指示枠SW2内に入るように、無人飛行体1の移動を自動的に修正することができる。そのため、操縦者Mは、風等の外乱があっても、無人飛行体1を見ながら特別の操縦行為を行う必要がなく、操縦者Mの作業負担をより一層軽減させることができる。
【0097】
また、本実施形態によれば、制御部23は、無人飛行体1に対して、無人飛行体1を第3カメラ31の画角変更に追従して移動させる指示を行うので、画像表示部22に表示される指示枠SWを移動させなくても、船舶3に搭載した第3カメラ31の画角αを変更することによって、無人飛行体1の飛行位置を次の撮影予定位置へ速やかに移動させることができる。そのため、操縦者Mは、船舶3の移動を待つことなく、第3カメラ31の画角変更を行いながら、検査対象物KTの次の撮影箇所ZZを速やかに確認して、必要な箇所を適切に撮影することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、操縦装置2Bには、無人飛行体1Bを撮影する第4カメラ21Bと第4カメラ21Bが撮影した無人飛行体1Bの画像を表示する画像表示部22と無人飛行体1Bを制御する制御部23Bとを備え、制御部23Bは、第4カメラ21Bで撮影した無人飛行体1Bの撮影位置PQにおける画像1BGが画像表示部22の画面22BGで領域指定した指示枠SWB内に入るように、無人飛行体1Bの移動を制御するので、画像表示部22の画面22BGで無人飛行体1Bの撮影位置PQにおける画像1BGが入る指示枠SWBを予め指定することによって、無人飛行体1Bの移動は、指示枠SWBに基づいて自動的に制御される。すなわち、操縦者Mが画像表示部22の画面22BGで撮影位置PQにおける無人飛行体1Bの画像1BGが入る指示枠SWBを予め指定することによって、操縦装置2Bと撮影位置PQにおける無人飛行体1Bとの相対的な位置関係を予め特定することができる。そのため、操縦者Mは、風等の外乱があっても、第4カメラ21Bで無人飛行体1Bを撮影しながら操縦装置2Bを携帯して必要な位置に移動するだけで、検査対象物KTを撮影する撮影位置PQの高さに飛行する無人飛行体1Bを操縦者Mに追随して移動させることができる。その結果、無人飛行体1Bが操縦者Mからある程度遠く離れた場合でも、また、風等の外乱があった場合でも、無人飛行体1Bの移動を簡単に制御でき、操縦者Mの作業負担を軽減できる。
【0099】
よって、本実施形態によれば、検査対象物KTを撮影するカメラ(第1カメラ11B)を搭載した無人飛行体1Bが操縦者Mからある程度遠く離れた場合でも、また、風等の外乱があった場合でも、無人飛行体1Bの移動を簡単に制御でき、操縦者Mの作業負担を軽減できる検査装置10Bを提供することができる。
【0100】
また、本実施形態によれば、制御部23Bは、無人飛行体1Bに対して、無人飛行体1Bを第4カメラ21Bの画角変更に追従して移動させる指示を行うので、操縦者Mは、第4カメラ21Bの画角αを変更するだけで、速やかに無人飛行体1Bを次の撮影予定位置へ移動させることができる。そのため、操縦者Mが、近づきにくい箇所であっても、第4カメラ21Bの画角変更を行いながら、検査対象物KTの次の撮影箇所ZZを確認して、必要な箇所を適切に撮影することができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、無人飛行体1Bと操縦装置2Bとが紐41Bで連結され、操縦装置2Bには、紐41Bを巻取る巻取り装置4Bを備えているので、無人飛行体1Bと操縦装置2Bとの離間距離を紐41Bの長さで調整でき、無人飛行体1Bの操縦装置2Bに対する移動をより簡単に制御することができる。また、第1カメラ11Bと検査対象物KTとの離間距離の精度を高め、より鮮明な画像を撮影できる。また、巻取り装置4Bが紐41Bを巻取ることによって、無人飛行体1Bが行方不明となって回収不能となるのを回避できる。
【0102】
また、本実施形態によれば、巻取り装置4Bは、無人飛行体1Bの外周側に連結した複数の補助紐41Baを止め部材42Bによって1つの紐41Bに集結し、集結した1つの紐41Bを巻取る構造であるので、風等の外乱に対する無人飛行体1Bの姿勢の安定性が向上し、巻取り装置4Bが1つの紐41Bを巻取ることによって、無人飛行体1Bの姿勢を安定させつつ回収できる。また、止め部材42Bには、一定の重さがあり、補助紐41Ba同士が絡み合ったり、補助紐41Baが浮き上がって無人飛行体1Bと絡み合うのを回避することもできる。
【0103】
また、本実施形態によれば、操縦装置2Bには、紐41Bが挿通される外孔部22aと内孔部22bとを内外方向で離間した位置に備え、外孔部22aは、止め部材42Bが通過可能に形成され、内孔部22bは、止め部材42Bが通過不能に形成され、また、無人飛行体1Bが操縦装置2Bに当接する位置又はその直前まで紐41Bが巻取られたときに、外孔部22aに補助紐41Baがそれぞれ緊張した状態で当接するとともに、内孔部22bに止め部材42Bが当接するので、無人飛行体1Bが操縦装置2Bの斜め上方に浮上していても、補助紐41Baが外孔部22aに案内、支持されて、無人飛行体1Bを安定した姿勢で操縦装置2Bに当接させることができる。また、巻取り装置4Bが勢いよく紐41Bを巻取っても、無人飛行体1Bが操縦装置2Bに当接する位置まで紐41Bが巻取られたときに、止め部材42Bが内孔部22bと当接又は近接して、無人飛行体1Bと操縦装置2Bとの衝突力を緩和させることができる。なお、無人飛行体1Bが操縦装置2Bに当接する位置まで紐41Bが巻取られたときに、止め部材42Bが内孔部22bと当接しなくても近接して浮いた状態であればよいので、補助紐41Baや紐41Bの細かな調整が不要で、製作等がしやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、例えば、橋梁に添架された配管の外観検査等に用いる検査装置として利用できる。
【符号の説明】
【0105】
1、1B、1C 無人飛行体
1G、1BG 画像
2、2B、2C 操縦装置
3、3C 船舶
3G 画像
4、4B、4C 巻取り装置
10、10B、10C 検査装置
11、11B、11C 第1カメラ(カメラ)
21 第2カメラ
21B 第4カメラ
22 画像表示部
22a、32a 外孔部
22b、32b 内孔部
22G、22BG 画面
23、23B 制御部
31 第3カメラ
41、41B、41C 紐
41a、41Ba 補助紐
42、42B、42C 止め部材
α、α1、α2 画角
KT 検査対象物
KS 航路
PP 移動位置
PQ 撮影位置
SS、SS1、SS2 指示線
SW、SW1、SW2 指示枠
SWB 指示枠