(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20220728BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20220728BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20220728BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20220728BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20220728BHJP
H01M 50/256 20210101ALI20220728BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20220728BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/284
H01M50/209
H01M50/55 101
H01M50/256 101
H01M50/296
(21)【出願番号】P 2019530939
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 JP2018023177
(87)【国際公開番号】W WO2019017131
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2019-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2017140655
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505083999
【氏名又は名称】ビークルエナジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 瀚知
(72)【発明者】
【氏名】中島 孝行
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010778(JP,A)
【文献】特開2012-209096(JP,A)
【文献】特開2017-120693(JP,A)
【文献】特開2017-059377(JP,A)
【文献】特開2016-085932(JP,A)
【文献】国際公開第2013/011836(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を備えた電池群と、
電装ホルダと、該電装ホルダおよび該電池群を収容する筐体とを備えた電池パックであって、
前記筐体は、該筐体の高さ方向に垂直でかつ互いに垂直な第1の方向と第2の方向において、前記第1の方向の寸法が前記第2の方向の寸法よりも小さくされ、
前記電池群は、前記筐体の内部で前記第2の方向に平行な前記筐体の中心線に対して前記第1の方向の片側のみに偏在して配置され、偏平角形の前記複数の単電池が厚さ方向に積層された構成を有し、
前記電装ホルダは、前記電池パックを制御する回路が実装された基板を含む電装品を保持し、前記筐体の内部で前記電池群が偏在している前記第1の方向の片側と反対側に配置され、
前記単電池は、偏平角形の電池容器と、該電池容器の一端面に設けられた正極および負極のセル端子と、前記電池容器の内部に収容された電極群とを備え、
前記単電池の積層方向は、前記第2の方向であ
り、前記電池容器の前記一端面が前記高さ方向の上方を向いていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記筐体は
、前記第2の方向の両端部に把手を有し
ていることを特徴とする
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記筐体は
、外部機構に取り付けられた状態で該外部機構によって下方から支持される支持面を有し、
前記支持面は、前記第1の方向および前記第2の方向に平行で
あることを特徴とする
請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池群の前記複数の単電池に接続されたモジュール外部端子を備え、
前記モジュール外部端子は、前記筐体の前記第1の方向において、前記電池群が偏在する前記片側と反対側に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記筐体は、前記第1の方向の両端に側壁を有し、
前記電池群は、前記筐体の前記側壁の一方に接していることを特徴とする請求項
1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記電池群は、前記第1の方向の寸法が、前記第2の方向の寸法よりも小さくされていることを特徴とする請求項
1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記把手は、前記第1の方向において、前記筐体の中心位置と前記電池群の中心位置との間に設けられていることを特徴とする請求項
2に記載の電池パック。
【請求項8】
正極の前記モジュール外部端子と負極の前記モジュール外部端子とが、前記第2の方向の一端に互いに隣接して設けられていることを特徴とする請求項
4に記載の電池パック。
【請求項9】
前記筐体は、前記第2の方向の両端部に外部機構に固定される固定部を有することを特徴とする請求項
1に記載の電池パック。
【請求項10】
前記筐体に収容される基板、リレー、およびヒューズを備え、
前記基板、前記リレー、および前記ヒューズは、前記筐体の内部で前記電池群が偏在している前記第1の方向の片側と反対側に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単電池を備えた電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から蓄電モジュールを筐体内に収容した蓄電装置を搭載するショベルに関する発明が知られている(下記特許文献1を参照)。特許文献1に記載された蓄電装置は、蓋と下部筐体とを備えたおおむね直方体の形状を有し、下部筐体の内部の底面の上に二つの蓄電モジュールが搭載されている(同文献、0009-0010段落、
図1A-
図1B等を参照)。
【0003】
この従来の蓄電モジュールは、板状の蓄電セルと伝熱板とが交互に厚さ方向(y方向)に積み重ねられた構成を有し、全体として蓄電セルの積層方向(y方向)を長手方向とする直方体の形状を有している(同文献、0020-0022段落、
図3A-
図3B等を参照)。二つの直方体形状の蓄電モジュールは、互いの長手方向が平行になるように、短手方向(x方向)に並べて配置されている。
【0004】
また、y方向に垂直な下部筐体の1つの側面に、コネクタボックスが設けられている。コネクタボックスは、二つの蓄電モジュールの長手方向(y方向)の一端に、二つの蓄電モジュールを短手方向(x方向)に跨ぐように設けられている(同文献、0009-0019段落、
図1A-
図2等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載のような、寸法の大きい長手方向と寸法の小さい短手方向を有する蓄電装置を取り扱う作業員は、蓄電装置の取り付け、取り外し、または持ち運びなどの作業時に、比較的に容易に支持することができる蓄電装置の長手方向の両端を把持する傾向がある。
【0007】
しかし、前記特許文献1に記載の蓄電装置は、蓄電装置の長手方向の一端に、蓄電モジュールなどの他の部材よりも軽量なコネクタボックスが設けられている。そのため、蓄電装置の取り扱い作業時に、蓄電装置の長手方向において重心がコネクタボックスと反対側に偏り、蓄電装置がバランスを崩して不安定になるなど、作業の安全性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、複数の単電池を備えた電池パックであって、従来よりも取り扱い作業時の安全性を向上させることが可能な電池パックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電池パックは、複数の単電池を備えた電池群と、該電池群を収容する筐体とを備えた電池パックであって、前記筐体は、該筐体の高さ方向に垂直でかつ互いに垂直な第1の方向と第2の方向において、前記第1の方向の寸法が前記第2の方向の寸法よりも小さくされ、前記電池群は、前記筐体の内部で前記第1の方向の片側に偏在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電池パックにおいて、筐体は、第1の方向の寸法が第2の方向の寸法よりも小さくなっている。すなわち、第1の方向は、筐体の短手方向であり、第2の方向は、筐体の長手方向である。この筐体の内部で、電池パックを構成する部材の中で比較的に重量の大きい電池群が、筐体の短手方向である第1の方向の片側に偏在している。
【0011】
これにより、電池パックの重心が、筐体の第1の方向の片側に偏在する。そのため、電池パックの取り扱い作業時に、作業員が筐体の第2の方向の両端部を把持するときに、電池パックの重心が偏在する筐体の第1の方向の片側から筐体を把持することで、電池パックが安定し、作業の安全性が向上する。
【0012】
したがって、本発明によれば、複数の単電池を備えた電池パックであって、従来よりも取り扱い作業時の安全性を向上させることが可能な電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電池パックの斜視図。
【
図4】
図3に示すバスバーケース等を取り外した電池モジュールの斜視図。
【
図6】
図5に示す電装ホルダを反対方向から見た斜視図。
【
図7】
図1に示す電池パックの筐体の上部カバーを取り外した状態の平面図。
【
図8】本発明の実施形態2に係る電池パックの斜視図。
【
図9】本発明の実施形態3に係る電池パックの斜視図。
【
図10A】本発明の実施形態4に係る電池パックの一例を示す模式的な斜視図。
【
図10B】本発明の実施形態4に係る電池パックの一例を示す模式的な斜視図。
【
図11】本発明の実施形態5に係る電池パックの模式的な斜視図。
【
図12A】本発明の実施形態6に係る電池パックの一例を示す模式的な斜視図。
【
図12B】本発明の実施形態6に係る電池パックの一例を示す模式的な斜視図。
【
図12C】本発明の実施形態6に係る電池パックの一例を示す模式的な斜視図。
【
図12D】本発明の実施形態6に係る電池パックの一例を示す模式的な斜視図。
【
図13A】本発明の実施形態7に係る電池パックの一例を示す模式的な斜視図。
【
図13B】本発明の実施形態7に係る電池パックの一例を示す模式的な斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の電池パックの実施の形態を説明する。
【0015】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る電池パック100の斜視図である。
図2は、
図1に示す電池パック100の分解斜視図である。以下では、電池パック100の筐体20の幅方向、長さ方向、および高さ方向を、それぞれ、x方向、y方向、およびz方向とする直交座標系を用いて説明をする場合がある。
【0016】
本実施形態の電池パック100は、以下の構成に最大の特徴を有している。すなわち、本実施形態の電池パック100は、複数の単電池1を積層させた電池群10(
図4参照)と、この電池群10を収容する筐体20とを備えている。筐体20は、筐体20の高さ方向(z方向)に垂直でかつ互いに垂直な第1の方向(x方向)と第2の方向(y方向)において、第1の方向の寸法である幅Wが第2の方向の寸法である長さLよりも小さくされている。そして、電池群10は、筐体20の内部で第1の方向(x方向)の片側に偏在している。以下、本実施形態の電池パック100の各部の構成について、より詳細に説明する。
【0017】
本実施形態の電池パック100は、たとえば、筐体20と、電池モジュール30と、電装ホルダ40と、モジュール外部端子50P,50Nと、コネクタ60とを備えている。筐体20は、たとえば、全体としておおむね六面体、すなわち、おおむね直方体の形状を有している。前述のように、筐体20は、第1の方向(x方向)の寸法である幅Wが第2の方向(y方向)の寸法である長さLよりも小さくされている。すなわち、筐体20においては、たとえば、長さL方向と平行な第2の方向が長手方向であり、幅W方向と平行な第1の方向が短手方向である。
【0018】
筐体20は、第1の方向(x方向)の両端と、第2の方向(y方向)の両端に、それぞれ側壁21a,21aと、側壁21b,21bを有している。より詳細には、筐体20は、上部が開放された有底箱状の下部ケース21と、下部ケース21の上部を閉塞する上部カバー22とを備えている。そして、下部ケース21が第1の方向(x方向)の両端と第2の方向(y方向)の両端に、それぞれ側壁21a,21aと側壁21b,21bを有している。また、下部ケース21は、高さ方向(z方向)の下端に底壁21cを有している。電池群10は、筐体20の短手方向である第1の方向において、筐体20の側壁21a,21aの一方に接している。
【0019】
筐体20の底面、すなわち下部ケース21の底壁21cの下面は、たとえば、電池パック100が車両や機械等の外部機構に取り付けられた状態で、その外部機構によって下方から支持される電池パック100の支持面100aである。なお、電池パック100の支持面100aは、筐体20の底面に限定されず、たとえば、筐体20の側壁21a,21bに設けられたフランジ状の凸部の下面や、筐体20の側壁21a,21bに設けられた凹部の下方を向く面であってもよい。このような電池パック100の支持面100aは、筐体20の幅W方向である第1の方向(x方向)および筐体20の長さL方向である第2の方向(y方向)に平行になっている。
【0020】
図3は、
図2に示す電池モジュール30の斜視図である。
図4は、
図3に示すバスバー31およびバスバーケース32が取り外された電池モジュール30の斜視図である。
【0021】
電池モジュール30は、たとえば、複数の単電池1が積層された電池群10を備えている。図示の例において、電池群10は、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)の寸法が、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)の寸法よりも小さくされている。
【0022】
より具体的には、図示の例において、電池群10は、偏平角形の複数の単電池1が、セルホルダ33を介して、厚さ方向に積層された構成を有している。これら複数の単電池1の積層方向は、筐体20の高さ方向(z方向)である。電池群10は、筐体20の高さ方向に積層された複数の単電池1からなる電池列11を有している。図示の例において、電池群10は、筐体20の長手方向である第2の方向に並んだ二列の電池列11を有している。これにより、電池群10は、第1の方向(x方向)の寸法が、第2の方向(y方向)の寸法よりも小さくされている。
【0023】
すなわち、電池群10は、第1の方向(x方向)が短手方向とされ、第2の方向(y方向)が長手方向とされている。換言すると、電池群10の短手方向と筐体20の短手方向は一致し、電池群10の長手方向と筐体20の長手方向は一致している。なお、電池群10を構成する電池列11の列数は特に限定されず、一列または三列以上の複数列であってもよい。
【0024】
電池群10を構成する単電池1は、たとえば、リチウムイオン二次電池である。単電池1は、偏平角形の電池容器と、電池容器の一端面に設けられた正極および負極のセル端子1P,1Nと、電池容器の内部に収容された図示を省略する電極群とを備えている。電池容器は、セル端子1P,1Nが設けられた電池蓋1aと、電極群を収容する有底角筒状の電池缶とを備えている。電池缶は、厚さ方向の両端の最大面積の一対の広側壁と、これら一対の広側面に隣接する厚さ方向に平行な一対の狭側壁と、広側面および狭側面の一端の底壁と、底壁の反対側で電池蓋1aによって閉塞された開口部を有している。電池蓋1aは、おおむね長方形の細長い板状の部材である。
【0025】
たとえば、単電池1の長手方向を電池蓋1aの長手方向とすると、電池群10を構成する複数の単電池1の長手方向は、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)に一致している。また、図示の例において、電池群10を構成する複数の単電池1は、セルホルダ33を介して厚さ方向に積層され、互いに隣接する単電池1の広側面が対向している。セルホルダ33は、たとえば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の電気絶縁性を有する樹脂材料によって構成され、個々の単電池1を厚さ方向の両側から保持している。ここで、単電池1の広側面は、筐体20の支持面100a、すなわち、第1の方向(x方向)および第2の方向(y方向)に平行で、筐体20の高さ方向(z方向)におおむね垂直である。
【0026】
電池群10を構成する複数の単電池1は、互いに隣接する一方の単電池1の正極のセル端子1Pと、他方の単電池1の負極のセル端子1Nとが、単電池1の厚さ方向に互いに隣接するように、正極および負極のセル端子1P,1Nの位置を交互に反転させて厚さ方向に積層されている。そして、互いに隣接する一方の単電池1の正極のセル端子1Pと、他方の単電池1の負極のセル端子1Nとが、バスバー31によって接続され、各電池列11の複数の単電池1が直列に接続されている。
【0027】
電池モジュール30は、電池群10の互いに隣接する二列の電池列11の間に配置されたセンタープレート34を有している。また、電池モジュール30は、単電池1の長手方向に並んだ二列の電池列11の両端に配置された一対のサイドプレート35,35を有している。センタープレート34およびサイドプレート35,35は、たとえばPBT等の電気絶縁性を有する樹脂材料によって構成されている。また、電池モジュール30は、電池群10の複数の単電池1の積層方向において、センタープレート34とサイドプレート35,35の両端に配置された一対のエンドプレート36,36を有している。
【0028】
エンドプレート36,36は、たとえば金属製の板状の部材である。エンドプレート36,36は、たとえばセルホルダ33を介して、電池群10を構成する電池列11の両端の単電池1の広側面に対向して配置されている。エンドプレート36,36は、電池群10の複数の単電池1の積層方向において、センタープレート34とサイドプレート35,35の両端に、たとえばボルトなどの締結部材によって締結されている。これにより、電池群10の複数の単電池1は、個々の単電池1が厚さ方向の両側からセルホルダ33によって保持された状態で、一対のエンドプレート36,36の間で厚さ方向に加圧される。また、筐体20の高さ方向における下方側のエンドプレート36は、たとえばボルト等の締結部材によって筐体20の底壁21cに固定される固定部36aを有している。
【0029】
バスバーケース32は、たとえばPBT等の電気絶縁性を有する樹脂材料によって構成されたおおむね板状の部材である。バスバーケース32は、電池群10を構成する複数の単電池1のセル端子1P,1Nが設けられた端部に対向して配置されている。バスバーケース32は、たとえば、バスバー31を配置するため区画や、バスバー31をセル端子1P,1Nに接合するための開口部などを有し、隣接するバスバー31の間を絶縁している。
【0030】
図5は、
図2に示す電装ホルダ40の斜視図である。
図6は、
図5に示す電装ホルダ40を反対方向から見た斜視図である。
【0031】
電装ホルダ40は、基板41、リレー42、およびヒューズ43など、電池パック100を構成する電装品を保持している。電装ホルダ40は、たとえば、PBT等の電気絶縁性を有する樹脂材料によって構成されたおおむね長方形の板状の部材である。この長方形の電装ホルダ40の長辺方向すなわち長手方向は、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)に一致している。
【0032】
基板41は、たとえば電池パック100の制御や監視を行うための回路が実装されている。基板41は、たとえば電池モジュール30の各バスバー31に接続され、電池群10を構成する各単電池1の電圧を測定および監視する。基板41は、電装ホルダ40の電池モジュール30に対向する面に、たとえばボルト等の締結部材によって固定されている。また、基板41は、シャント抵抗41aを有している。シャント抵抗41aは、たとえばボルト等の締結部材によって電装ホルダ40に固定されている。
【0033】
正極と負極のモジュール外部端子50P,50Nは、たとえば電装ホルダ40の長手方向の一端と他端にそれぞれ設けられている。モジュール外部端子50P,50Nは、HV(High Volt)端子とも呼ばれ、電池モジュール30の電池群10に接続され、直列に接続された各電池列11の複数の単電池1に接続されている。図示の例において、モジュール外部端子50P,50Nは、スタッドボルトを有し、このスタッドボルトを用いて、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの車両またはその他の電気機器に電力を供給するためのケーブルを接続するようになっている。なお、モジュール外部端子50P,50Nは、スタッドボルトを有しなくてもよい。
【0034】
負極のモジュール外部端子50Nは、たとえば、ネジによって固定されたバスバーを介してシャント抵抗41aに接続されている。これにより、シャント抵抗41aは、負極のモジュール外部端子50Nと電池モジュール30の電池群10との間の電流経路の一部を構成している。正極のモジュール外部端子50Pは、たとえば、ネジによって固定されたバスバーを介してリレー42およびヒューズ43に接続されている。これにより、リレー42およびヒューズ43は、正極のモジュール外部端子50Pと電池モジュール30の電池群10との間の電流経路の一部を構成している。
【0035】
図1に示すように、コネクタ60は、筐体20の長手方向である第2の方向の一端に配置され、筐体20の上部カバー22の外側に露出されている。コネクタ60は、外部のコントローラとの間の信号の送受信および外部の電源から電力の供給を受けるための接続端子であり、たとえばケーブルを介して電装ホルダ40に保持された基板41に接続されている。電池パック100は、たとえばコネクタ60を介して外部のコントローラおよび電源に接続される。
【0036】
図2に示すように、本実施形態の電池パック100は、電池モジュール30を構成する電池群10が、筐体20の内部で、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)の片側に偏在している。また、本実施形態の電池パック100は、前述のように、電装ホルダ40に保持されて筐体20に収容される基板41、リレー42、およびヒューズ43を含む各種の電装品を備え、これらの電装品は、筐体20の内部で電池群10が偏在している第1の方向(x方向)の片側と反対側に配置されている。また、前述のように、本実施形態の電池パック100は、電池モジュール30を構成する電池群10の複数の単電池1に接続されたモジュール外部端子50P,50Nを備え、これらのモジュール外部端子50P,50Nは、第1の方向(x方向)において、電池群10が偏在する片側と反対側に配置されている。
【0037】
以下、本実施形態の電池パック100の作用について説明する。
【0038】
従来、再充電可能な二次電池の分野では、鉛電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル-水素電池等の水溶液系電池が主流であった。しかしながら、電気機器の小型化、軽量化が進むにつれ、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が着目され、その研究、開発及び商品化が急速に進められた。
【0039】
一方、地球温暖化や枯渇燃料の問題から電気自動車(EV)や駆動の一部を電気モーターで補助するハイブリッド電気自動車(HEV)が各自動車メーカーで開発され、その電源として高容量で高出力な二次電池が求められるようになってきた。このような要求に合致する電源として、高電圧を有する非水溶液系のリチウム二次電池が注目されている。特に角形リチウム二次電池はパック化した際の体積効率が優れているため、HEV用あるいはEV用として角形リチウム二次電池の開発への期待が高まっている。
【0040】
このような背景の下、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の生産数が伸び続けている。電池パック100は、充電されている電池が入っているため、取り扱い時には、作業の安全性を高める必要がある。しかしながら、たとえば、前記特許文献1に記載されているような従来の蓄電装置は、蓄電装置の長手方向の一端に、蓄電モジュールなどの他の部材よりも軽量なコネクタボックスが設けられている。そのため、蓄電装置の取り扱い時に、蓄電装置の長手方向において、蓄電装置の重心がコネクタボックスと反対側に偏り、蓄電装置がバランスを崩して不安定になるなど、作業の安全性が低下するおそれがある。
【0041】
図7は、
図1に示す電池パック100の筐体20の上部カバー22を取り外した状態の平面図である。前述のような従来の蓄電装置に対し、本実施形態の電池パック100は、以下の構成を有している。すなわち、本実施形態の電池パック100は、複数の単電池1を備えた電池群10と、電池群10を収容する筐体20とを備えている。そして、筐体20は、筐体20の高さ方向(z方向)に垂直でかつ互いに垂直な第1の方向(x方向)と第2の方向(y方向)において、第1の方向の寸法である幅Wが第2の方向の寸法である長さLよりも小さくされている。そして、電池群10は、筐体20の内部で第1の方向の片側に偏在している。
【0042】
このような構成により、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)において、電池パック100の重心Gの位置は、電池群10の中心位置C1すなわち電池モジュール30の中心位置C1と、筐体20の中心位置C2すなわち電池パック100の中心位置C2との間に位置している。換言すると、電池パック100の重心Gの位置は、筐体20の短手方向である第1の方向において、電池群10が偏在している片側に偏っている。このように、電池パック100の重心Gの位置が、電池パック100の中心位置C2から偏るのは、電池パック100を構成する部品の中で最も重量の大きい電池群10が、筐体20の短手方向である第1の方向の片側に偏在しているためである。
【0043】
このように、電池パック100の重心Gの位置が、筐体20の短手方向である第1の方向の片側に偏在することで、電池パック100の取り扱い作業時に、電池パック100の持ち運びが容易になる。より具体的には、電池パック100の取り扱い作業時に、作業員は、比較的に把持が容易な筐体20の長手方向である第2の方向の両端部を把持する。このとき、電池パック100の重心Gが偏った筐体20の短手方向である第1の方向の片側から筐体20を把持することで、電池パック100の重心Gを作業員の身体に近付けることができる。これにより、電池パック100を安定して持ち運ぶことができ、たとえば電池パック100の取り付けや取り外しなど、電池パック100を取り扱う作業の作業性および安全性が向上する。
【0044】
また、本実施形態の電池パック100は、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)に平行な中心線L1に対しておおむね線対称の構成を有している。そのため、第1の方向に平行な中心線L1を境界とする一方の片側部分と他方の片側部分の重量がおおむね等しくなる。これにより、電池パック100の重心Gの位置は、第1の方向に平行な中心線L1上またはその近傍に位置している。したがって、作業員が比較的に把持が容易な筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)の両端部を把持したときに、第2の方向における電池パック100の中央部に重心Gが位置することになる。よって、電池パック100をより安定して持ち運ぶことができる。
【0045】
また、本実施形態の電池パック100は、電池群10の複数の単電池1に接続されたモジュール外部端子50P,50Nを備えている。そして、モジュール外部端子50P,50Nは、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)において、電池群10が偏在する片側と反対側に配置されている。これにより、前述のように、作業員が電池パック100の重心Gが偏った筐体20の短手方向である第1の方向の片側から筐体20を把持したときに、モジュール外部端子50P,50Nを作業員の身体から遠ざけることができる。これにより、モジュール外部端子50P,50Nに作業員が接触することが防止され、電池パック100の取り扱い作業時の安全性が向上する。
【0046】
また、本実施形態の電池パック100において、筐体20は、第1の方向(x方向)の両端に側壁21a,21aを有している。そして、電池モジュール30を構成する電池群10は、筐体20の第1の方向の両端の側壁21a,21aの一方に接している。これにより、電池群10を筐体20の短手方向である第1の方向の片側に確実に偏在させ、電池パック100の重心Gをより確実に筐体20の短手方向である第1の方向の片側に偏らせることができる。また、筐体20の短手方向である第1の方向において、電池パック100の反対側により広いスペースを確保することができ、電池パック100の電装品その他の部品を筐体20の内部に収容するための十分なスペースを確保することができる。
【0047】
また、本実施形態の電池パック100において、電池モジュール30を構成する電池群10は、第1の方向(x方向)の寸法が、第2の方向(y方向)の寸法よりも小さくされている。すなわち、電池群10は、第1の方向が寸法の小さい短手方向であり、第2の方向が寸法の大きい長手方向である。つまり、電池群10の短手方向と筐体20の短手方向が一致し、電池群10の長手方向と筐体20の長手方向が一致している。このような構成により、電池群10を筐体20の短手方向である第1の方向の片側に偏在させたときに、電池群10の寸法を筐体20の長手方向である第2の方向において十分に確保することが可能になる。したがって、電池群10の体積および容量を十分に確保することが可能になる。
【0048】
また、本実施形態の電池パック100において、電池群10は、偏平角形の単電池1が厚さ方向に積層された構成を有している。そして、単電池1の積層方向は、筐体20の高さ方向(z方向)である。これにより、電池群10における単電池1の積層数を増減させることで、筐体20の高さ方向(z方向)の寸法を増減させることが可能になる。また、単電池1の厚さ方向の寸法は、単電池1の広側面の縦横の寸法よりも小さいため、単電池1の積層数を少なくすることで、筐体20の高さ方向(z方向)の寸法が、単電池1の広側面の縦横の寸法よりも小さい、コンパクトな薄型の電池パック100を提供することが可能になる。
【0049】
また、本実施形態の電池パック100において、電池群10は、複数の単電池1が積層された複数の電池列11を有している。そして、複数の電池列11は、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)に並んでいる。そのため、電池列11の列数を増加させることで、筐体20の高さ方向(z方向)および筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)における電池群10の寸法の増加を抑制しつつ、電池群10が備える単電池1の数を増加させることができる。
【0050】
また、本実施形態の電池パック100は、筐体20に収容される基板41、リレー42、およびヒューズ43を備えている。これら基板41、リレー42、およびヒューズ43は、筐体20の内部で電池群10が偏在している第1の方向の片側と反対側に配置されている。これらの各電装品の重量は、電池群10の重量と比較して軽量であるため、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)において、電池群10の反対側に配置しても、電池パック100の重心Gを偏らせるのに支障がない。また、電池パック100を第1の方向に偏在させることによって生じたスペースを有効に活用して、コンパクトな電池パック100を提供することが可能になる。
【0051】
また、本実施形態の電池パック100において、筐体20は、外部機構に取り付けられた状態でその外部機構によって下方から支持される支持面100aを有している。そして、筐体20の支持面100aは、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)および筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)に平行である。このような構成により、筐体20の底壁21cの下面である電池パック100の支持面100aを外部機構によって支持する作業において、作業員または産業用ロボットが、電池パック100の筐体20の第1の方向の重心Gが偏った片側から電池パック100を持ち運ぶことで、電池パック100が安定する。これにより、電池パック100の取り扱い作業時の安全性が向上する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の単電池1を備えた電池パック100であって、従来よりも取り扱い作業時の安全性を向上させることが可能な電池パック100を提供することができる。
【0053】
[実施形態2]
次に、
図1から
図4を援用し、
図8を参照して本発明の実施形態2に係る電池パック100Aについて説明する。
図8は、本発明の実施形態2に係る電池パック100Aの斜視図である。なお、
図8では、
図2に示す実施形態1の電池パック100と同様に、筐体20の上部カバー22を取り外した状態を示している。本実施形態の電池パック100Aは、主に、電池モジュール30の構成が前述の実施形態1で説明した電池パック100と異なっている。本実施形態の電池パック100Aのその他の点は、前述の実施形態1の電池パック100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態の電池パック100Aにおいて、電池モジュール30を構成する電池群10は、偏平角形の複数の単電池1が厚さ方向に積層された構成を有しているが、単電池1の積層方向は、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)である。より詳細には、
図2から
図4に示す実施形態1の電池パック100と同様の構成を有する電池モジュール30の配置を90°回転させ、電池群10を構成する単電池1のセル端子1P,1Nが設けられた面が、筐体20の高さ方向(z方向)の上方を向くようにしている。また、バスバーケース32は、筐体20の高さ方向において電池群10の上部に配置されている。
【0055】
本実施形態の電池パック100Aは、前述の実施形態1の電池パック100と同様に、複数の単電池1を備えた電池群10と、電池群10を収容する筐体20とを備えている。そして、筐体20は、筐体20の高さ方向(z方向)に垂直でかつ互いに垂直な第1の方向(x方向)と第2の方向(y方向)において、第1の方向の寸法が第2の方向の寸法よりも小さくされている。そして、電池群10は、筐体20の内部で第1の方向の片側に偏在している。したがって、本実施形態の電池パック100Aによれば、前述の実施形態1の電池パック100と同様に、従来よりも取り扱い作業時の安全性を向上させることが可能である。
【0056】
さらに、単電池1の積層方向が、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)であることから、単電池1の積層数を増減させても、筐体20の高さ方向(z方向)の寸法を増減させる必要がない。したがって、本実施形態の電池パック100Aは、筐体20の高さ方向の寸法に制約がある場合に有利である。また、単電池1の厚さ方向の両端の広側面が、筐体20の短手方向である第1の方向を向くことで、第1の方向の振動や衝撃に対して、単電池1の内部の電極群の移動が防止され、単電池1の耐久性を向上させることができる。
【0057】
[実施形態3]
次に、
図1から
図4を援用し、
図9を参照して本発明の実施形態3に係る電池パック100Bについて説明する。
図9は、本発明の実施形態3に係る電池パック100Bの斜視図である。なお、
図9では、
図2に示す実施形態1の電池パック100と同様に、筐体20の上部カバー22を取り外した状態を示している。本実施形態の電池パック100Bは、主に、電池モジュール30Bの構成が前述の実施形態1で説明した電池パック100と異なっている。本実施形態の電池パック100Bのその他の点は、前述の実施形態1の電池パック100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態の電池パック100Bにおいて、電池モジュール30Bを構成する電池群10は、偏平角形の複数の単電池1が厚さ方向に積層された構成を有しているが、単電池1の積層方向は、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)である。より詳細には、本実施形態の電池モジュール30Bにおいて、電池群10Bを構成する単電池1は、セル端子1P,1Nが設けられた面が筐体20の高さ方向の上方を向き、広側面が筐体20の長手方向である第2の方向を向いている。また、電池群10Bは、単数の電池列11を備えている。バスバーケース32(
図3参照)は、筐体20の高さ方向において電池群10Bの上部に配置される。
【0059】
本実施形態の電池パック100Bは、前述の実施形態1の電池パック100と同様に、複数の単電池1を備えた電池群10Bと、電池群10Bを収容する筐体20とを備えている。そして、筐体20は、筐体20の高さ方向に垂直でかつ互いに垂直な第1の方向(x方向)と第2の方向(y方向)において、第1の方向の寸法が第2の方向の寸法よりも小さくされている。そして、電池群10Bは、筐体20の内部で第1の方向の片側に偏在している。したがって、本実施形態の電池パック100Bによれば、前述の実施形態1の電池パック100と同様に、従来よりも取り扱い作業時の安全性を向上させることが可能である。
【0060】
さらに、単電池1の積層方向が、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)であることから、単電池1の積層数を増減させても、筐体20の高さ方向(z方向)の寸法を増減させる必要がない。したがって、本実施形態の電池パック100Bは、筐体20の高さ方向の寸法に制約がある場合に有利である。また、単電池1の厚さ方向の両端の広側面が、筐体20の長手方向である第2の方向を向くことで、第2の方向の振動や衝撃に対して、単電池1の内部の電極群の移動が防止され、単電池1の耐久性を向上させることができる。
【0061】
なお、本実施形態において、電池群10Bを構成する単電池1は、セル端子1P,1Nが設けられた面が筐体20の高さ方向(z方向)の上方を向いているが、セル端子1P,1Nが設けられた面は、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)を向いていてもよい。この場合、電池群10を構成する単電池1のセル端子1P,1Nが設けられた面は、第1の方向において電池群10と反対側に配置された電装ホルダ40に向けられ、バスバーケース32(
図3参照)は、実施形態1の電池パック100と同様に、電池群10Bと電装ホルダ40との間に配置される。この構成によっても、前述の本実施形態の電池パック100Bと同様の効果が得られる。
【0062】
[実施形態4]
次に、
図1、
図2および
図7を援用し、
図10Aおよび
図10Bを参照して本発明の実施形態4に係る電池パック100Cについて説明する。
図10Aおよび
図10Bは、それぞれ、本発明の実施形態4に係る電池パック100Cの一例を示す模式的な斜視図である。なお、
図10Aおよび
図10Bでは、電池パック100Cの筐体20とモジュール外部端子50P,50N以外の図示は省略している。本実施形態の電池パック100Cは、主に、筐体20の構成が前述の実施形態1で説明した電池パック100と異なっている。本実施形態の電池パック100Cのその他の点は、前述の実施形態1の電池パック100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態の電池パック100Cの筐体20は、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)の両端部に把手23,23を有している。
図10Aに示す例において、筐体20は、第2の方向の両端部の側壁21b,21bに、凹状の把手23,23を有している。
図10Bに示す例において、筐体20は、第2の方向の両端部の底壁21cに、凹状の把手23,23を有している。なお、把手23,23は、凹状に限定されず、たとえば凸状であってもよい。
【0064】
このように、電池パック100Cが、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)の両端部に把手23,23を有することで、作業員が電池パック100Cの筐体20を把持しやすくなり、電池パック100Cの持ち運びを容易にすることができる。また、作業員が誤って筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)の両端を把持することが防止され、電池パック100Cの取扱作業時の安全性をより向上させることができる。
【0065】
また、把手23,23は、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)において、
図7に示す電池パック100の重心G位置に対応するように、筐体20の中心位置C2と電池群10の中心位置C1との間に設けられていることが好ましい。これにより、作業員が電池パック100Cの筐体20の把手23,23を把持したときに、電池パック100Cをより安定させ、電池パック100Cの持ち運びを容易にするとともに、電池パック100Cの取り扱い作業時の安全性をより向上させることができる。
【0066】
[実施形態5]
次に、
図1、
図2および
図7を援用し、
図11を参照して本発明の実施形態5に係る電池パック100Dについて説明する。
図11は、本発明の実施形態5に係る電池パック100Dの一例を示す模式的な斜視図である。なお、
図11では、電池パック100Dの筐体20とモジュール外部端子50P,50N以外の図示は省略している。本実施形態の電池パック100Dは、主に、筐体20の構成が前述の実施形態1で説明した電池パック100と異なっている。本実施形態の電池パック100Dのその他の点は、前述の実施形態1の電池パック100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
本実施形態の電池パック100Dの筐体20は、たとえば、短手方向である第1の方向(x方向)の一方の側壁21aに、電池群10が偏在している片側を示す標識24を有している。この標識24は、たとえば筐体20の第1の方向において電池群10が偏在している片側の側壁21aの外面に付されている。標識24は、たとえば作業者が電池パック100Dを取り扱う際の取り扱いに適した推奨位置を示すものである。特に限定されないが、標識24としては、たとえば、筐体20の側壁21aに対する印刷、筐体20の側壁21aの凹凸加工、筐体20の側壁21aに貼付されたステッカー、筐体20の側壁21aに溶接された銘板などを例示することができる。
【0068】
また、電池群10が偏在している片側を示す標識24は、たとえば任意の文字、図形、印、色彩、又はこれらの一以上の組み合わせを表示することができる。図示の例において、標識24は、筐体20の側壁21bの長手方向の中央部に記された凸状の十字印またはX印である。このように、電池パック100Dの筐体20が、短手方向である第1の方向(x方向)において電池群10が偏在している片側を示す標識24を有することで、電池パック100Dを安定して支持することができる推奨方向を、作業員が容易に認識することができる。したがって、本実施形態の電池パック100Dによれば、電池パック100Dの取り扱い作業時の安全性をより向上させることが可能である。
【0069】
また、本実施形態の電池パック100Dの筐体20は、たとえば、長手方向である第2の方向(y方向)の両方の側壁21b,21bに、把持位置を示す標識25,25を有している。この標識25,25は、たとえば、筐体20の第1の方向(x方向)において、
図7に示すように、電池パック100の重心Gの位置に対応する位置、たとえば、電池パック100の重心Gの位置を通る第2の方向に平行な直線L3に交差する位置に形成されている。
【0070】
また、
図10Aおよび
図10Bに示すように、筐体20が把手23,23を有する場合に、この把手23,23の位置を示す位置に標識25,25を形成してもよい。限定されないが、把持位置を示す標識25,25としては、前述の電池群10が偏在している片側を示す標識24と同様に、たとえば、筐体20の側壁21b,21bに対する印刷、筐体20の側壁21b,21bの凹凸加工、筐体20の側壁21b,21bに貼付されたステッカー、筐体20の側壁21b,21bに溶接された銘板などを例示することができる。
【0071】
また、把持位置を示す標識25,25は、前述の電池群10が偏在している片側を示す標識24と同様に、たとえば任意の文字、図形、印、色彩、又はこれらの一以上の組み合わせを表示することができる。図示の例において、把持位置を示す標識25,25は、筐体20の側壁21b,21bの短手方向の中央部に記された凸状の三角印または矢印である。
【0072】
このように、電池パック100Dの筐体20が、長手方向である第2の方向(y方向)の両方の側壁21b,21bに把持位置を示す標識25,25を有することで、電池パック100Dを安定して把持することができる推奨位置を、作業員が容易に認識することができる。したがって、本実施形態の電池パック100Dによれば、電池パック100Dの取り扱い作業時の安全性をより向上させることが可能である。
【0073】
[実施形態6]
次に、
図1および
図2を援用し、
図12Aから
図12Dを参照して本発明の実施形態6に係る電池パック100Eについて説明する。
図12Aから
図12Dは、それぞれ、本発明の実施形態6に係る電池パック100Eの一例を示す模式的な斜視図である。なお、
図12Aから
図12Dでは、電池パック100Eの筐体20とモジュール外部端子50P,50N以外の図示は省略している。本実施形態の電池パック100Eは、主に、モジュール外部端子50P,50Nの構成が、前述の実施形態1で説明した電池パック100と異なっている。本実施形態の電池パック100Eのその他の点は、前述の実施形態1の電池パック100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
本実施形態の電池パック100Eは、正極のモジュール外部端子50Pと負極のモジュール外部端子50Nとが、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)の一端に互いに隣接して設けられている。より具体的には、
図12Aに示す例において、正極のモジュール外部端子50Pと負極のモジュール外部端子50Nは、電池パック100Eの筐体20の第2の方向の一端に設けられ、第2の方向に並んでいる。また、
図12Bに示す例において、正極のモジュール外部端子50Pと負極のモジュール外部端子50Nは、電池パック100Eの筐体20の第2の方向の他端に設けられ、第2の方向に並んでいる。
【0075】
図12Cに示す例において、正極のモジュール外部端子50Pと負極のモジュール外部端子50Nは、電池パック100Eの筐体20の第2の方向(y方向)の一端に設けられ、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)に並んでいる。また、
図12Dに示す例において、正極のモジュール外部端子50Pと負極のモジュール外部端子50Nは、電池パック100Eの筐体20の第2の方向の他端に設けられ、第1の方向に並んでいる。
【0076】
このように、本実施形態の電池パック100Eは、正極のモジュール外部端子50Pと負極のモジュール外部端子50Nとが、筐体20の長手方向である第2の方向(y方向)の一端に互いに隣接して設けられている。これにより、電池パック100Eの正極のモジュール外部端子50Pと負極のモジュール外部端子50Nとが離隔している場合と比較して、正極のモジュール外部端子50Pと負極のモジュール外部端子50Nに対するDC/DCコンバータやインバータなどの接続を容易にすることができる。
【0077】
[実施形態7]
次に、
図1および
図2を援用し、
図13Aおよび
図13Bを参照して本発明の実施形態7に係る電池パック100Fについて説明する。
図13Aおよび
図13Bは、本発明の実施形態7に係る電池パック100Fの一例を示す模式的な斜視図であり、互いに反対の方向から見た斜視図である。なお、
図13Aおよび
図13Bでは、電池パック100Fの筐体20とモジュール外部端子50P,50N以外の図示は省略している。本実施形態の電池パック100Fは、主に、筐体20の構成が前述の実施形態1で説明した電池パック100と異なっている。本実施形態の電池パック100Fのその他の点は、前述の実施形態1の電池パック100と同様であるので、同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
本実施形態の電池パック100Fにおいて、筐体20は、長手方向である第2の方向(y方向)の両端に外部機構に固定される固定部26を有している。固定部26は、たとえば筐体20に設けられたブラケットであり、筐体20の短手方向である第1の方向(x方向)の側壁21a,21aから第1の方向に突出して設けられている。固定部26は、たとえば、ボルト孔26aを有している。電池パック100Fは、たとえば固定部26のボルト孔26aに螺合または挿通させたボルトを、電池パック100Fを取り付ける外部機構のねじ孔やナットに螺合させることで、車両等の外部機構に固定される。固定部26は、たとえば、筐体20の短手方向である第1方向の両側に設けることもできる。
【0079】
このように、本実施形態の電池パック100Fにおいて、筐体20は、長手方向である第2の方向(y方向)の両端に外部機構に固定される固定部26を有している。これにより、電池パック100Fに振動や衝撃が加わっても、固定部26によって電池パック100Fを安定して固定することができる。
【0080】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 単電池
10,10B 電池群
11 電池列
20 筐体
21a 側壁
23 把手
26 固定部
41 基板
42 リレー
43 ヒューズ
50N モジュール外部端子
50P モジュール外部端子
100,100A-100F 電池パック
100a 支持面
C1 電池群の中心位置
C2 筐体の中心位置
L 長さ(第2の方向の寸法)
W 幅(第1の方向の寸法)
x 第1の方向
y 第2の方向
z 高さ方向