(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】電子アセンブリの製造方法および電子アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20220728BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220728BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
B29C45/14
H01L23/12 501F
H05K3/10 E
(21)【出願番号】P 2019555487
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 FI2018050250
(87)【国際公開番号】W WO2018189418
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516089669
【氏名又は名称】タクトテク オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキネン,ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】サースキー,ヤルモ
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-104032(JP,A)
【文献】特開平06-008681(JP,A)
【文献】特開2014-035806(JP,A)
【文献】特開2017-013441(JP,A)
【文献】特開平08-099610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0094800(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101630601(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
H01L 23/00-23/56
H05K 3/00- 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子アセンブリを製造するための方法であって、前記方法は、
-電子機器を収容するための
、可撓性を有する第1の基板フィルム(310)を得ること(110;610)を備え、前記第1の基板フィルム(310)は第1の側および反対側を備え、前記方法はさらに、
-スクリーン印刷などのプリンテッド・エレクトロニクス技術を任意に利用することによって、少なくとも第1の電気コンタクトパッド(315)を前記第1の基板フィルム(310)の前記第1の側に設けること(120;720)と、
-導電性部材(320;520)を前記第1の電気コンタクトパッド(315)に結合すること(130)と、
-第2の材料層(325)を前記第1の基板フィルム(310)の前記第1の側の表面に射出成形するなど成形して(140)、成形用のキャビティを規定する金型構造を利用して前記導電性部材(320;520)および少なくとも前記表面の部分を前記第2の材料層(325)に埋込むこととを備え、前記導電性部材(320;520)は、前記成形時に前記第1の電気コンタクトパッド(315)から前記キャビティを通って延在して、前記第1の電気コンタクトパッド(315)に対して前記キャビティの異なる側、好ましくは反対側の素子、たとえば前記金型構造の一部またはフィルムまたはスペーサまたは導体に接触し、前記素子は前記第1の基板フィルム(310)の前記第1の側にあり、これによって、前記導電性部材(320;520)の少なくとも一部(330)を前記成形後にアクセス可能であるように維持して、前記第2の材料層(325)を通って前記第1の電気コンタクトパッド(315)に至る電気的接続を提供するように配置される、方法。
【請求項2】
前記得ること(110;610)は、第2のフィルム(810)を得ることをさらに備え、前記第2の材料層(325)は少なくとも前記第1の基板フィルム(310)と前記第2のフィルム(810)との間に成形されて前記導電性部材(320)を埋込み、前記導電性部材(320;520)は前記第1の電気コンタクトパッド(315)から延在して前記第2のフィルム(810)に接触し、任意に前記第2のフィルム(810)を圧縮する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
得られた前記第2のフィルム(810)は電子機器を収容するための第2の基板フィルムであり、前記設けること(120;720)は、スクリーン印刷などのプリンテッド・エレクトロニクス技術を任意に利用することによって、少なくとも第2の電気コンタクトパッド(815)を前記第1の電気コンタクトパッド(315)に対して前記第2の基板フィルムの対応する位置(820)に設けることをさらに備え、前記成形することは、前記導電性部材(320;520)が前記第1の電気コンタクトパッド(315)から延在して前記第2の電気コンタクトパッド(815)に接触し、任意に前記第2の電気コンタクトパッド(815)を圧縮することによって、前記第1の電気コンタクトパッド(315)から前記第2の材料層(325)を通って前記第2の電気コンタクトパッド(815)に至る電気的接続を提供することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の電気コンタクトパッド(815)は、前記第1および第2の基板フィルム(310,810)が少なくとも前記フィルム(310,810)同士の間の前記第2の材料層(325)の前記成形のために前記金型に挿入されるときに前記第1および第2の電気コンタクトパッド(315,815)が互いに対向して並ぶように、前記対応する位置(820)に配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記設けることは、前記第1および第2の基板フィルム(310,810)の少なくとも一方の上に1つまたは複数の電子部品(316~318,816,818)を設けることをさらに備え、前記部品(316~318,816,818)、前記電気コンタクトパッド(310,810)および前記導電性部材(320;520)は、前記第1および第2の基板フィルム(310,810)の両方の上に存在する電気回路を形成する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記導電性部材(320;520)は、導電性ばねコネクタなどの弾性を有する導電性部材である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記弾性を有する導電性部材は、前記素子を圧縮することによって、前記弾性を有する導電性部材の前記少なくとも一部(330)を前記成形後にアクセス可能であるように維持して、前記第2の材料層(325)を通って前記第1の電気コンタクトパッド(315)に至る前記電気的接続を提供するように配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記弾性を有する導電性部材は、前記成形時にその弾性を実質的に持続するために密閉された弾性を有する導電性部材(520)である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
得られた前記第1および第2の基板フィルム(310,810)の少なくとも一方は可撓性を有する基板フィルムである、請求項2から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1および第2の基板フィルム(310,810)の少なくとも一方を所望の三次元形状に熱成形または冷間成形するなど成形すること(210;730)を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電子アセンブリを備える電子装置。
【請求項12】
電子アセンブリであって、
-電子機器を備える
、可撓性を有する第1の基板フィルム(310)を備え、前記第1の基板フィルム(310)は第1の側および反対側を備え、前記電子機器は、前記基板フィルム(310)の前記第1の側に第1の電気コンタクトパッド(315)を規定する少なくとも導電性材料を備え、前記電子アセンブリはさらに、
-前記第1の基板フィルムの表面に射出成形された熱可塑性材料などの成形材料を備える、前記第1の基板フィルム(310)の前記第1の側の第2の材料層(325)と、
-前記第1の電気コンタクトパッド(315)に結合されて前記第1の電気コンタクトパッドから(315)前記第2の材料層(325)を通って延在する、導電体などの導電性部材(320;520)とを備え、前記第1の基板フィルム(310)の前記第1の側の前記導電性部材(320)の一部(330)は前記第2の材料層(325)層を通って前記電気コンタクトパッド(315)に至る電気的接続を提供するためにアクセス可能であり、導電体などの前記導電性部材(320;520)および前記表面の少なくとも一部は前記第2の材料層(325)に埋込まれている、電子アセンブリ。
【請求項13】
前記第1の基板フィルム(310)に対して前記第2の材料層(325)の反対側に第2の基板フィルム(810)を備え、前記導電性部材(320;520)は前記第1の電気コンタクトパッド(315)から前記第2の材料層(325)を通って前記第2の基板フィルム(810)まで延在する、請求項12に記載の電子アセンブリ。
【請求項14】
前記第2の基板フィルム(810)は電子機器を備え、前記電子機器は第2の電気コンタクトパッド(815)を規定する少なくとも導電性材料を備え、前記導電性部材(320;520)は前記第1および第2の電気コンタクトパッド(315,815)と電気的に接続して前記第1および前記第2の電気コンタクトパッド(315,815)同士の間に電気的接続を提供する、請求項13に記載の電子アセンブリ。
【請求項15】
前記導電性部材(320;520)は、少なくとも当初は弾性を有する導電性部材である、請求項12から14のいずれか1項に記載の電子アセンブリ。
【請求項16】
前記少なくとも当初は弾性を有する導電性部材は、弾性を有する、密閉された弾性を有する導電性部材(520)である、請求項15に記載の電子アセンブリ。
【請求項17】
前記第1および第2の電気パッド(315,815)は、それぞれ前記第1および第2の基板フィルム(310,810)上に互いに実質的に対向して配置される、請求項12から16のいずれか1項に記載の電子アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に至るプロジェクトは、研究およびイノベーションプログラムである欧州連合のホライズン2020から助成合意書番号725076の下で資金援助を受けている。
【0002】
技術分野
本発明は概して電子機器の技術分野に関する。特に、排他的ではないが、本発明は多層構造を有する電子アセンブリの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
電子機器および電子製品の文脈においては多種多様な多層構造が一般に存在する。多層化された解決策は、熱成形、モールディング、接着剤、熱および/または圧力ベースの積層等を用いて製造され得る。所望の着色およびたとえば図形パターンを構造内に組込むためにインモールド加飾(IMD)/インモールドラベリング(IML)が利用され得る。
【発明の概要】
【0004】
多層構造を追求する動機または必要性は、その関連の使用の文脈と同じくらい多様であり得る。決定された解決策が最終的に複数の層を利用する場合は、サイズ、重量、コストの節約、または単に構成要素の効率的な統合が求められることが多い。そして、それに関連した使用シナリオは、製品パッケージまたは食品包装、装置筐体のビジュアルデザイン、ディスプレイ、検出器またはセンサ、車室、アンテナ、ラベル等に関連し得る。
【0005】
電子部品、集積回路(IC)、および導体などの電子機器は、一般にさまざまな技術によって多層構造内にまたは多層構造上に設けられ得る。当然のことながら、利用可能な表面実装部品(SMD)などの既製の電子機器は、多層構造の内層または外層を最終的に形成する基板上に実装され得る。さらに、実際に電子機器を関連の基板に直接作製するために、「プリンテッド・エレクトロニクス」という用語に該当する技術が適用され得る。「プリンテッド」という用語はこの場合、スクリーン印刷、フレキソ印刷、およびインクジェット印刷を含むがこれらに限定されない電子機器/電気素子を作製可能なさまざまな印刷技術を指す。
【0006】
試みられてきた解決策では、電子部品は基板上に配置された後に典型的に熱可塑性材料によってオーバーモールドされる。たとえばボタンを含み典型的にユーザインターフェイスとして機能する外層は典型的に、電子部品を含む基板と同じ基板である。しかし、電気回路のいくつかの構成要素を、外面を提供する基板に関して他の場所に有することが有益な場合もある。多層化電子アセンブリの使用をさらに容易にするために、成形層を通って電力を提供することが有益な場合もあり得る。試みられてきた解決策では、成形材料を通る電気的接続は、彫刻などの機械的作業の実行を典型的に必要とする成形の後に確立される。電気的接続が成形材料層を通って提供され、電気的接続を確立するための後処理が不要な電子アセンブリの製造方法を提供することが依然として必要である。
【0007】
概要
本発明の目的は、電子機器を収容する少なくとも1つの層および1つの成形材料層などの多層構造を有する電子アセンブリに関連する上述の問題を少なくとも軽減することである。
【0008】
この目的は、本発明の実施形態に従う電子アセンブリおよびその関連の製造方法の実施形態で達成される。
【0009】
第1の局面によると、電子アセンブリを製造するための方法が提供される。当該方法は、
-電子機器を収容するための、好ましくは可撓性を有する第1の基板フィルムを得ることと、
-スクリーン印刷などのプリンテッド・エレクトロニクス技術を任意に利用することによって、少なくとも第1の電気コンタクトパッドを第1の基板フィルムに設けることと、
-電気コネクタなどの導電性部材を第1の電気コンタクトパッドに結合することと、
-第2の材料層を第1の基板フィルム上に射出成形するなど成形して、成形用キャビティを規定する金型構造を利用して電気コネクタなどの導電性部材を埋込むこととを含み、導電性部材は、成形時に第1の電気コンタクトパッドからキャビティを通って延在して、第1の電気コンタクトパッドに対してキャビティの異なる側、好ましくは反対側の素子、たとえばキャビティプレートなどの金型構造の一部またはフィルムまたはスペーサまたは導体に、たとえば機械的に、電気的に、または化学的に、またはこれらの組合わせでたとえば電気機械的に接触することによって、導電性部材の少なくとも一部を成形後にアクセス可能であるように維持して、第2の材料層を通って第1の電気コンタクトパッドに至る電気的接続を提供するように配置される。
【0010】
第1の基板フィルムは好ましくは可撓性を有し得るが、剛性であってもよいし、一定の温度で、すなわち基板の温度に依存して、成形可能であるかまたは可撓性を有してもよい。
【0011】
本明細書において「電気コンタクトパッド」とは、任意の導電性素子もしくはパッチ、または、導電性部材と、たとえば上記パッドと同じ基板上に配置された電気コンタクトパッドと電気的に接続している電気回路との間に電気的接続を確立するために用いられ得る基板フィルム上の電気的結合点もしくは領域を指す。電気コンタクトパッドは、銅、銀、アルミニウムなどの導電性材料から、または炭素もしくは他の導電性粒子を含むなどの導電性エラストマーから、またはパッドがその上にもしくはその内部に存在する表面の見栄えを向上させ得る他のそのような材料からなり得る。電気コンタクトパッドの形状は任意の好適なジオメトリ形状であり得る。パッドの形状は、電気コンタクトパッドを含む製造予定の製品または製品の一部の形状または特性に基づいて有利に選択され得る。
【0012】
本明細書において「金型構造」とは、たとえば熱可塑性材料などの成形材料が内部に配置または挿入され得るキャビティを規定する構造を指す。「金型構造」は、たとえばキャビティプレートなどのパーツを含んでもよく、パーツは典型的に、たとえば軟鋼またはアルミニウムといった鋼鉄などの金属と、任意にエジェクタとで製造される。上記パーツに加えて、本明細書において規定する「金型構造」は、別個のまたは固定のコアパーツなどのキャビティ内に配置された1つまたは複数の素子を含んでもよい。1つまたは複数の素子は、たとえば第1の基板フィルムに対してキャビティの反対側に配置されたコア延長部、フィルム、スペーサおよび/または導体であってもよい。ゆえに、1つまたは複数の素子は、キャビティの形状に、したがって成形パーツを含む製造物の形状に影響を及ぼし得る。1つまたは複数の素子は、成形後に分離されてもよいし、成形時に電子アセンブリの一部になってもよい。
【0013】
得ることは、好ましくは可撓性を有する第2のフィルムを得ることをさらに含んでもよく、第2の材料層は少なくとも第1の基板フィルムと第2のフィルムとの間に成形されて導電性部材を埋込む。導電性部材は第1の電気コンタクトパッドから延在して第2のフィルムに、たとえば機械的に、電気的に、または化学的に、またはこれらの組合わせでたとえば電気機械的に接触してもよい。第1の基板フィルムおよび第2のフィルムの少なくとも一方は可撓性を有してもよい。
【0014】
得られた第2のフィルムも、好ましくは可撓性を有する第2の基板フィルムなどの、電子機器を収容するためのものであってもよく、設けることは、スクリーン印刷などのプリンテッド・エレクトロニクス技術を任意に利用することによって、少なくとも第2の電気コンタクトパッドを第1の電気コンタクトパッドに対して第2の基板フィルムの対応する位置に設けることをさらに含んでもよく、成形することは、導電性部材が第1の電気コンタクトパッドから延在して第2の電気コンタクトパッドに、たとえば機械的に、電気的に、または化学的に、またはこれらの組合わせでたとえば電気機械的に接触することによって、第1の電気コンタクトパッドから第2の材料層を通って第2の電気コンタクトパッドに至る電気的接続を提供することを含んでもよい。
【0015】
第2の基板フィルムは好ましくは可撓性を有し得るが、剛性であってもよいし、一定の温度で、すなわち基板の温度に依存して、成形可能であるかまたは可撓性を有してもよい。
【0016】
第2の電気コンタクトパッドは、第1および第2の基板フィルムが少なくともこれらフィルム同士の間の第2の材料層の成形のために金型に挿入または配置され得るときに第1および第2の電気コンタクトパッドが互いに対向して並ぶように、対応する位置に配置されてもよい。
【0017】
設けることは、第1および第2の基板フィルムの少なくとも一方の上に1つまたは複数の電子部品を設けることをさらに含んでもよく、部品、電気コンタクトパッドおよび導電性部材は、第1および第2の基板フィルムの両方の上に存在する電気回路を形成する。
【0018】
導電性部材は、導電性ばねコネクタなどの弾性を有する導電性部材であってもよい。
弾性を有する導電性部材は、素子を圧縮することによって、弾性を有する導電性部材の少なくとも一部を成形後にアクセス可能であるように維持して、第2の材料層を通って第1の電気コンタクトパッドに至る電気的接続を提供するように配置されてもよい。
【0019】
弾性を有する導電性部材は、成形時にその弾性を実質的に持続するために密閉された弾性を有する導電性部材であってもよい。
【0020】
当該方法は、第1の基板フィルム、第2の基板フィルムおよび第2のフィルムの少なくとも1つを、金型構造のキャビティによって規定される形状に有利に対応する所望の三次元形状に、たとえばプレス成形によってまたは真空もしくは過圧を用いることによって、熱成形または冷間成形するなど成形することを含んでもよい。
【0021】
第2の局面によると、第1の局面に従う方法を利用して製造された電子アセンブリを含む電子装置が提供される。
【0022】
第3の局面によると、電子アセンブリが提供される。当該電子アセンブリは、
-電子機器を含む、好ましくは少なくとも当初は可撓性を有する第1の基板フィルムを含み、電子機器は、第1の電気コンタクトパッドを規定するスクリーン印刷された導体またはパッチなどの少なくとも導電性材料を含み、電子アセンブリはさらに、
-射出成形された熱可塑性材料などの成形材料を含む第2の材料層と、
-第1の電気コンタクトパッドに結合されて第1の電気コンタクトパッドから第2の材料層を通って延在する、電気コネクタなどの導電性部材とを含み、導電性部材の一部は第2の層を通って電気コンタクトパッドに至る電気的接続を提供するためにアクセス可能であり、導電体などの導電性部材は、実質的に完全に、しかし電気的接続を提供するためにアクセス可能な一部を含まずに、第2の材料層に埋込まれている。
【0023】
電子アセンブリは、第1の基板フィルムに対して第2の材料層の反対側に第2の基板フィルムを含んでもよい。導電性部材は、第1の電気コンタクトパッドから第2の材料層を通って第2の基板フィルムまで延在してもよい。
【0024】
第2の基板フィルムは電子機器を含んでもよく、電子機器は第2の電気コンタクトパッドを規定する少なくとも導電性材料を含み、導電性部材は第1および第2の電気コンタクトパッドと電気的に接続して第1および第2の電気コンタクトパッド同士の間に電気的接続を提供する。
【0025】
導電性部材は、導電性ばねコネクタなどの、少なくとも当初は弾性を有する導電性部材であってもよい。
【0026】
少なくとも当初は弾性を有する導電性部材は、弾性を有する、密閉された弾性を有する導電性部材であってもよい。
【0027】
さらに、第1および第2の電気パッドは、それぞれ第1および第2の基板フィルム上に実質的に互いに対向して配置されることによって、成形材料層を通って電気パッド同士の間に延在する少なくとも当初は弾性を有する導電性部材を有してもよい。
【0028】
本発明の有用性は、実施形態に応じて複数の問題から生じる。
ボタンおよび/またはセンサを有するユーザインターフェイスなどの得られた基板上の電気回路が、確立された電気的接続を介して成形材料層を通る電力によって供給されることによって、たとえば横から基板への別個の接続が不要となり得る、成形パーツを有する多層構造が得られ得る。導電性部材によって成形材料層を通る接続が確立されているため、後処理は不要であるかまたは少なくとも最小限になる。
【0029】
2つのフィルムまたは基板またはシートを有する実施形態では、フィルムまたは基板またはシート同士の間に成形層を作製する際に実質的に同時にフィルムまたは基板またはシート同士の間に電気的接続が確立されるため、フィルムまたは基板またはシート同士の間に電気的接続を確立するための後処理が不要となり得る。したがって、本発明を利用すると、2つの別個のフィルムまたは基板またはシート上に分散した、フィルムまたは基板またはシート同士の間に電気的接続を有する電気回路の製造が容易になり得る。
【0030】
「第1の」、「第2の」および「第3の」という用語は、いずれの順序、量、または重要度も表しておらず、むしろ素子同士を区別するために用いている。
【0031】
本明細書に提示される発明の例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲の適用可能性に制限を課すと解釈すべきでない。本明細書において「備える」という動詞は、記載されていない特徴の存在をも排除しない開放型限定として用いている。従属請求項に記載の特徴は、特に明確に記載されていない限り互いに自由に組合せることができる。
【0032】
本発明に特徴的であると考えられる新規の特徴は特に添付の特許請求の範囲に記載されている。しかし、本発明自体は、その構造およびその動作方法の双方に関して、そのさらなる目的および利点とともに、添付の図面に関連して読まれると以下の具体的な実施形態の記載から最もよく理解されるであろう。
【0033】
本発明の実施形態は、以下に簡単に説明する添付の図面において、一例として、しかし限定的ではなく、示されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施形態に従う方法のフロー図である。
【
図2】本発明の実施形態に従う方法のフロー図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを示す図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを概略的に示す図である。
【
図4B】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを概略的に示す図である。
【
図4C】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを概略的に示す図である。
【
図4D】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを概略的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に従う方法のフロー図である。
【
図7】本発明の実施形態に従う方法のフロー図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを示す図である。
【
図9A】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを示す図である。
【
図9B】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを示す図である。
【
図9C】本発明の実施形態に係る電子アセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
いくつかの実施形態の説明
図1は本発明の実施形態に従う方法のフロー図を示す。100において、開始段階を参照して、材料、電子部品およびコネクタなどの構成要素、ならびにツール選択、取得、較正および他の構成などの必要なタスクが行なわれ得る。個々の素子および材料選択が共に作用して、選択された製造プロセス、および構造が配置され得る可能な対象製品に耐えるように特別の注意を払う必要がある。これは当然のことながら、たとえば、製造プロセス仕様および構成要素データシートに基づいて、または作製した試作品を調べて試験することによって、予め確認されることが好ましい。したがって、とりわけ、射出成形、IMD/IML、積層、および/またはプリント装置などの成形が、この段階で稼働状況へと設定され得る。
【0036】
任意に、ステップ110の前にまたはステップ110において、加飾、図形表示、色等が、たとえば印刷によってフィルム上に生成されてもよい。この任意のステップは省略されてもよいし、方法フロー中のその位置が変更されてもよい。これに代えてまたはこれに加えて、保護層などの他の層にそのような特徴が設けられてもよい。たとえば、スクリーン印刷またはインクジェット印刷が適用されてもよい。加飾用または表示用(たとえば指示用)特徴は一般にIMD/IML対応の方法を用いて設けられ得る。
【0037】
110において、電子機器を収容するための、少なくとも1つの好ましくは可撓性を有する基板フィルムが得られる。たとえばプラスチックフィルムのロールなどの既製の基板材料が取得され、塗装される、(当初に所望の色でない場合に、もしくはたとえば最適の透明度もしくは半透明度でない場合に)着色される、彫刻される、エンボス加工される、形作られる等、任意に処理されてもよいし、または基板自体が所望の出発原料から成形もしくは他の方法によって最初から「内部で(in-house)」作製されてもよい。少なくとも1つの基板フィルムは、所望の三次元形状を既に示している状態で得られてもよい。所望の形状はモールディングまたは成形によって作製されていてもよい。既に形作られている得られた基板はさらに成形されてもよい。
【0038】
120において、少なくとも1つの電気コンタクトパッド、トレース、パッチまたは導体がたとえば印刷によって基板上の所望の場所に設けられ得、電子部品がそれぞれ適切な実装技術によって取付けられ得る。こうしてフレキシブルプリント基板(FPC)構造が形成され得る。実装は、たとえば、接着剤、ペーストおよび/または導電性インクを用いて所望の機械的および電気的接続を確立して確保することを含んでもよい。項目120は実施形態に応じて繰返してまたは交互に実行されてもよく、その結果、それらを専用の実行段階に分けることは必ずしも必要であるまたはさらには可能であるとは限らない。
【0039】
電子部品は、たとえば、スイッチもしくは集積回路、もしくは導体、導電性領域、トレース、パッチ、ならびに/またはさらに、そのような電子部品および/もしくはアセンブリとともに利用される支持部材、絶縁素子等の機械部品を指し得る。それらは、接着剤、ペーストおよび/もしくは導電性インクを実装することによって、またはスクリーン印刷もしくは本明細書に記載される他のそのような方法によるなどのその他の手段によって基板上に配置されていてもよい。
【0040】
さまざまな実施形態によると、電気コンタクトパッドは典型的なコンタクトパッドであってもよく、いくつかのコンタクトパッドを含んでもよく、たとえばプリント回路基板(PCB)の導電面であってもよく、または、薄い平面コンタクトパッドではなく、基板層から離れるように実質的に延在するブロック素子であってもよく、もしくは導電性エラストマーを含んでもよい。電気コンタクトパッドは1つまたは複数の導電層または素子を含んでもよい。
【0041】
130において、導電体などの導電性部材が、ステップ120において基板フィルムに設けられた電気コンタクトパッドに結合される。導電性部材は、設けられた電気コンタクトパッドに部材の一端が結合され、部材が次に基板フィルムから離れるように好ましくは実質的に垂直に延在するように有利に結合されてもよい。しかし、導電性部材は、所望の構成に応じて基板フィルムに対していずれの位置または方向に延在してもよい。
【0042】
さまざまな実施形態によると、ステップ120および130は、基板上に配置され得る他の電子部品と同時にまたはさらにはその前に導電性部材を電気コンタクトパッドに結合するために、実質的に同時に行なわれてもよい。
【0043】
140において、たとえば熱可塑性、熱硬化性、エラストマー性材料、重合体、有機、生体適合材料、有機またはグラフィック(graphic)などの複合物、およびそれらの任意の組合せなどからなる好ましくはプラスチック層が、導電性部材が延在し始める基板フィルムの少なくとも表面上に成形されることによって、金型構造を利用して導電性部材を埋込む。金型構造は有利に成形キャビティを形成し、導電性部材を含む基板がこのキャビティ内に配置または挿入され得る。導電性部材は成形時に電気コンタクトパッドから延在して、金型構造に、または電気コンタクトパッドを含む基板フィルムと反対側の金型キャビティに挿入された素子に、たとえば機械的に、電気的に、化学的に、または電気機械的に接触する。こうして導電性部材は、電気コンタクトパッドから金型キャビティを通って金型キャビティの反対側までずっと延在し、成形材料が導電性部材を完全に埋込むことを防止するかまたはその量を少なくとも大幅に減少させて、導電性部材の少なくとも一部をアクセス可能であるように残して、成形材料層を通って基板層内に含まれる電気コンタクトパッドに至る電気的接続を提供する。
【0044】
140において、導電性部材は金型を僅かに圧縮して、導電性部材の一部を成形後にアクセス可能であるように維持することによって、成形材料層を通って基板層上に含まれる電気コンタクトパッドに至る電気的接続を提供し得る。導電性部材によって加えられる力によって、導電性部材を完全に覆う成形材料が有利に防止されるかまたはその量が少なくとも大幅に減少するので、導電性部材の一部がアクセス可能であるように維持される。
【0045】
基板フィルムまたはシートの潜在的な性質に鑑みて、基板フィルムまたはシートは好ましくは可撓性を有してもよい。基板フィルムまたはシートは、たとえば、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリイミド、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体(MS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチック/ポリマー、または金属を含んでもよい。基板フィルムまたはシートは、木材、革もしくは織物などの有機もしくは生体適合材料、またはこれらの材料のいずれかが互いにもしくはプラスチックもしくはポリマーもしくは金属と組合されたものを含んでもよい。また、これらの材料は成形層および/または保護層内で利用されてもよい。また、基板フィルムまたはシートは、形作られる、成形される、塗装される等、さらに処理されてもよい。
【0046】
基板フィルムは、フィルムの表面の平面に対する突起、隆起、溝、もしくは凹部などのレリーフ形態または形状、任意にスルーホールを含んでもよい。これらの特徴を利用して、導体、構成要素等の素子が基板フィルム内に収容され得るかまたは少なくとも部分的に埋込まれ得る。同様の特徴が保護層内に存在してもよい。
【0047】
製造プロセスにおいて射出成形が適用されてもよい。基板および(既に存在している場合は)任意に保護層が金型構造または金型内のインサートとして用いられてもよい。任意に、たとえば複数の材料を多層構造に与えるためにマルチショットまたはマルチコンポーネント成形が適用される。プラスチック層は、光電部品(発光ダイオード(LED)、感光性検出器)またはたとえばOLED(有機LED)ディスプレイなどのディスプレイを含み得る基礎となる電子機器への視覚的な経路を提供するように、少なくとも部分的に光学的に透明であってもよく、および/または凹部もしくはスルーホールを含んでもよい。プラスチック層はこれに加えてまたはこれに代えて、不透明な、たとえば着色された、または図形を含む、または半透明な部分を含んでもよい。プラスチック層には、光学的な使用(たとえば光の取込み、取出し、散乱、または反射)のためなどのさまざまな目的で表面レリーフ形態または他の特徴がさらに設けられてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態によると、好ましくは可撓性を有する層または基板などの付加的な層が、導電性部材が結合されている基板フィルムに対して成形材料層の反対側に配置されてもよい。付加的な層は、成形材料層が次に基板フィルムと付加的な層または基板との間に成形され得るように、成形前に配置されてもよい。付加的な層は、たとえば、接着剤を用いることによってなどして、成形後に成形材料層上に積層されてもよい。
【0049】
199において、方法の実行が終了する。成形材料が十分に固まると、製造された電子アセンブリが金型構造から取出され得る。
【0050】
図2は本発明の実施形態に従う方法のフロー図を示す。200において、開始段階を参照して、材料、電子部品およびコネクタなどの構成要素、ならびにツール選択、取得、較正および他の構成などの必要なタスクが行なわれ得る。個々の素子および材料選択が共に作用して、選択された製造プロセス、および構造が配置され得る可能な対象製品に耐えるように特別の注意を払う必要がある。これは当然のことながら、たとえば、製造プロセス仕様および構成要素データシートに基づいて、または作製した試作品を調べて試験することによって、予め確認されることが好ましい。したがって、とりわけ、射出成形、IMD/IML、積層、熱成形などの成形、および/またはプリント装置などのモールディングが、この段階で稼働状況へと設定され得る。
【0051】
図2に示されるステップ110,120,130は
図1に関して上述したものと実質的に同様である。さまざまな実施形態によると、ステップ120および130は、電子部品と実質的に同時にまたはさらにはその前に導電性部材を電気コンタクトパッドに結合するために、実質的に同時に行なわれてもよい。
【0052】
210において、たとえばプレス成形によってまたは低圧/過圧を用いることによって、熱成形または冷間成形などの成形が行なわれる。成形時、好ましくは既に電子機器が設けられている、好ましくは可撓性を有する基板フィルムは、金型構造を利用して所望の実質的に三次元の形状に形作られ得る。電子機器は、最大圧力または曲率の場所など、最大圧力の場所が成形時に起こらないようにするために配置されていることが好ましい。
【0053】
いくつかの実施形態によると、ステップ210は上記ではステップ120および130の後に記載されているが、ステップ120および/または130の前に実行されてもよい。
【0054】
ステップ140は
図1に関して上述したものと実質的に同様である。
いくつかの実施形態によると、可撓性を有する層または基板などの付加的な層が、導電性部材が結合されている基板フィルムに対して成形材料層の反対側に配置されてもよい。付加的な層は、成形材料層が次に基板フィルムと付加的な層または基板との間に成形され得るように、成形前に配置されてもよい。付加的な層はまた、接着剤を用いることによってなどして、成形後に成形材料層上に積層されてもよい。付加的な層は、加飾用であってもよく、および/またはたとえば容量性スイッチ用の表面であってもよい。そのような容量性スイッチ用の表面として機能する場合、1つまたは複数の導電性部材は付加的な層から少し離れて有利に存在しているため、高性能の容量性スイッチを提供する。
【0055】
299において、方法の実行が終了する。成形材料が十分に固まると、製造された三次元の電子アセンブリが金型構造から、たとえば成形用キャビティから取出され得る。
【0056】
図3は本発明の実施形態に係るさまざまな製造段階時の電子アセンブリを概略的に示す。
図3に示される寸法は例であるが、多くの実施形態において、基板フィルム310は成形層325よりもかなり薄くてもよい。31において、好ましくは可撓性を有する基板フィルムである基板フィルム310が得られる。たとえば印刷によってフィルム上に生成された加飾、図形表示、色等があってもよい。これに代えてまたはこれに加えて、保護層などの他の層にそのような特徴が設けられてもよい。たとえば、スクリーン印刷またはインクジェット印刷が適用されてもよい。加飾用または表示用(たとえば指示用)特徴は一般にIMD/IML対応の方法を用いて設けられ得る。
【0057】
32において、導電性ばねコネクタ320などの導電性部材320が、予め基板フィルム310に設けられた電気コンタクトパッド315に結合される。導電性部材320は、設けられた電気コンタクトパッド315に部材320の一端が結合され、部材320が次に基板フィルム310から実質的に垂直に延在するように有利に結合されてもよい。しかし、導電性部材320は、主に所望の構成、導電性部材320および/または電気コンタクトパッド315に応じて、基板フィルム310に対していずれの位置または方向に延在してもよい。たとえば、部材320は、パッド315に結合された後に、垂直方向からたとえば最大で45度または60度などのかなりそれた方向に延在してもよい。
【0058】
32において、電子部品などの他の電子機器が基板フィルムの1つまたは複数の表面上にさらに設けられてもよい。他の電子機器は少なくとも電子コンタクトパッド315を含むが、実行可能な製造または実装技術による受動部品、導体、LED、またはICなどの電子部品316~318も含んでもよい。実装技術は、たとえば表面実装およびスルーホール実装を含み得る。印刷などの製造は、さまざまな選択肢の中でも特にスクリーン印刷またはインクジェット印刷を指し得る。
【0059】
33において、少なくとも導電性部材320が設けられた基板フィルム、好ましくは弾性基板フィルムが、熱成形または冷間成形によるなどして成形される。成形時、好ましくは既に電子機器が設けられている基板フィルムは、所望の実質的に三次元の形状に形作られ得る。導電性部材320および電子機器316~318は、最大圧力または曲率の場所など、最大圧力の場所が成形時に起こらないようにするために配置されていることが好ましい。
【0060】
34において、たとえば熱可塑性、熱硬化性、エラストマー性材料、重合体、有機、生体適合材料、有機またはグラフィックなどの複合物、およびそれらの任意の組合せなどからなる材料層、好ましくはプラスチック材料層が、導電性部材320が延在し始める基板フィルムの少なくとも表面上に成形されることによって導電性部材320を埋込む。射出成形が適用されてもよい。基板および(既に存在している場合は)任意に保護層が金型内のインサートとして用いられてもよい。任意に、たとえば複数の材料を多層構造に与えるためにマルチショットまたはマルチコンポーネント成形が適用される。プラスチック層は、光電部品(LED、感光性検出器)またはたとえばOLED(有機LED)ディスプレイなどのディスプレイを含み得る基礎となる電子機器への視覚的な経路を提供するように、少なくとも部分的に光学的に透明であってもよく、および/または凹部もしくはスルーホールを含んでもよい。プラスチック層はこれに加えてまたはこれに代えて、不透明な、たとえば着色された、または図形を含む、または半透明な部分を含んでもよい。プラスチック層には、光学的な使用(たとえば光の取込み、取出し、散乱、または反射)のためなどのさまざまな目的で表面レリーフ形態または他の特徴がさらに設けられてもよい。
【0061】
本発明の実施形態によると、電気的接続は、基板フィルムが本質的にU字型になり、導電性部材320を成形材料層325を通って延在するように含むように、基板フィルムを曲げるまたは折るなど成形することによって確立されてもよい。第1の電気パッド315はこの場合、基板310の第1の表面上に配置されてもよく、導電性部材320は次に成形材料層を通って延在して成形材料層325の反対側の基板310の第1の表面に接触してもよい。導電性部材320はさらに、基板310の曲げられたまたは折られた部分上で第1の表面に沿って延在してもよい。
【0062】
さまざまな実施形態において、多層化電子アセンブリは実際には複数の可撓性フィルム、成形層および/または保護層を含んでもよく、これらはその構成(たとえば寸法、形状、向き、材料等)に関して互いに同様でもよいし異なっていてもよいが、単純化するために、
図3に示される例は基板フィルム310および成形材料層325のみを含んでいる。また、たとえば記号、絵、または英数字情報を確立するたとえば加飾層または表示用図形含有層などのさらなる層が構造に配置されていてもよい。したがってIMDまたはIML技術が適用可能である。
【0063】
得られた多層化電子アセンブリは任意に、重なり合う層の数に鑑みて互いに異なる多層部分を含んでもよい。ある場所では、積層された層(すなわち追加層)の数が他の場所よりも多くてもよい。一般に、層は重ねられ得るが、統一性(いくつかの層はたとえば同一の横方向の平面上に実質的に分布している複数の素子から構築され得る)、幅、および/または高さに関しては異なり得る。すべての層が互い重ねられた状態で存在している必要はなく、多層スタックの高さに沿って異なるように位置してもよい。当然のことながら、連続する層同士は少なくとも所々で互いに接触する必要がある。これらの層はスルーホールまたはウィンドウを含んでもよい。
【0064】
図4A~
図4Dは本発明の複数の実施形態に係る電子アセンブリを概略的に示す。特に、
図4A~
図4Cは、たとえばばねまたはばね式コネクタ320といったさまざまな種類の弾性を有する導電性部材などの、弾性を有する導電性部材320の代替例を示す。弾性を有する導電性部材320の少なくとも一部330はアクセス可能であり、成形材料層325を通って電気コンタクトパッド315に至る電気的接続を提供する。成形材料325の局所的な厚み335、すなわち成形材料層325の基板フィルム310からエッジ340までの局所的な距離は、一定でもよいし位置に応じて異なっていてもよい。弾性を有する導電性部材320は電気コンタクトパッド315から有利に少なくとも局所的に成形材料層325を通って延在して、その特定の位置で成形材料を通る電気的接続を提供する。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によると、
図1~
図3に関連して記載したような導電性部材320は、
図4A~
図5に示して
図4A~
図5に関する本文中に記載した部材のいずれかなどの、弾性を有する導電性部材であってもよい。
【0066】
図4A~
図4Cに示される実施形態によると、当初は弾性を有する導電性部材320は成形後に成形材料によって剛性化されてもよい。いくつかの実施形態によると、可撓性層または基板などの付加的な層が基板フィルム310に対して成形材料層325の反対側に配置されてもよく、すなわち、付加的な層は、成形材料層325が次に基板フィルムと付加的な層または基板との間で成形され得るように成形前に配置されてもよい。また、付加的な層は、たとえば成形後に接着剤を用いる積層によってなどで成形材料340のエッジに配置されてもよい。付加的な層は、成形材料325を通って電気コンタクトパッド315に至る電気的接続を提供するために付加的な層の下の弾性を有する導電性部材320に容易にアクセス可能であるように、導電性部材320の位置を示すためのマーカを含んでもよい。
【0067】
図4Dはある実施形態を概略的に示しており、これよると、成形前に金型構造によって規定されたキャビティ内に配置された、この場合は層またはシート以外のたとえばスペーサまたは導体である素子345と、基板フィルムの電気コンタクトパッド315と素子345との間に延在するように配置された弾性を有する導電性部材320とが存在し得る。素子345は成形後に取出されることによって、弾性を有する導電性部材320の一部330を露出して、成形材料層325を通る電気的接続を提供してもよい。素子345は、たとえば素子345が導電性を有する場合は電子アセンブリの一部になってもよく、その場合、アクセス可能な一部330は成形材料層325のエッジ340と実質的に並んだ素子330の端であってもよい。
【0068】
本発明の実施形態によると、第1の電気コンタクトパッドに結合された、導電性エラストマー片などの導電性を有する弾性材料が存在してもよい。そして、たとえば導電性ばねコネクタが導電性を有する弾性材料に結合されて成形材料層を通って延在して、成形材料層を通る電気的接続を提供してもよい。この場合、弾性を有する導電性部材320は導電性素子の組合せを含む。これも本明細書において先に説明したように、当該素子の組合せは、弾性を有する導電性部材320全体に弾性を与えるように少なくとも1つの弾性素子がある限り、剛性素子を含んでもよい。
【0069】
図5は本発明の実施形態に係る電子アセンブリを示す。
図5の弾性を有する導電性部材は、ばね部材522とハウジング524または筐体524とを含む、密閉された弾性を有する導電性部材520である。密閉された弾性を有する導電性部材520は電気コンタクトパッド315から有利に少なくとも局所的に成形材料層325を通って延在して、その特定の位置で成形材料を通る電気的接続を提供する。ばね部材522はハウジング524の内部に密閉されているため、成形材料層325は有利にばね部材522を剛性化せず、したがって、密閉された弾性を有する導電性部材520は成形時にその弾性を維持する。成形後、密閉された弾性を有する導電性部材520の少なくとも一部330がアクセス可能であり、成形材料層325を通って電気コンタクトパッド315に至る電気的接続を提供する。成形材料325の局所的な厚み335、すなわち成形材料の基板フィルム310からエッジ340までの局所的な距離は、一定でもよいし異なっていてもよい。ある実施形態によると、密閉された弾性を有する導電性部材520の本体または筐体524は、可撓性プラスチックまたはゴムなどの弾性を有するものであってもよいし、金属などの剛性を有するものであってもよい。
【0070】
ある実施形態によると、密閉された弾性を有する導電性部材520のばね部材522は、直接的にまたは付加的なフィルムの下から、すなわち付加的な層を通って、成形後にアクセス可能であり得るので、ばね部材522を用いて成形材料層325を通る電気的接続が提供され得る。ばね部材522の静止位置は、当該部材が第1の基板フィルムの電気コンタクトパッドから少なくとも局所的に成形材料325のエッジ340よりも遠くに延在するようなものであってもよい。
【0071】
さまざまな実施形態によると、付加的な層は成形材料層325上で利用されてもよい。また、付加的な層は、たとえば接着剤を用いる積層によってなどで成形材料340のエッジに配置されてもよい。付加的な層は、付加的な層の下の弾性を有する導電性部材320の位置を示すためのマーカを含んでもよい。
【0072】
図4A~
図5に関連して、弾性を有する導電性部材の弾性はさらに、上記部材がその静止位置に関して圧縮されることによって剛性コネクタの使用と比較してプロセス時の耐性を高めることができるため、成形プロセス時の厳格な耐性の要件を低下させるので有利であり得る。
【0073】
図6は本発明の実施形態に従う方法のフロー図を示す。600において、開始段階を参照して、材料、電子部品およびコネクタなどの構成要素、ならびにツール選択、取得、較正および他の構成などの必要なタスクが行なわれ得る。個々の素子および材料選択が共に作用して、選択された製造プロセス、および構造が配置され得る可能な対象製品に耐えるように特別の注意を払う必要がある。これは当然のことながら、たとえば、製造プロセス仕様および構成要素データシートに基づいて、または作製した試作品を調べて試験することによって、予め確認されることが好ましい。したがって、とりわけ、射出成形、IMD/IML、積層、および/またはプリント装置などのモールディングが、この段階で稼働状況へと設定され得る。
【0074】
610において、電子機器を収容するための、少なくとも2つの好ましくは可撓性を有する基板フィルム、すなわち第1および第2の基板フィルムが得られる。たとえばプラスチックフィルムのロールなどの既製の基板材料が取得され、塗装される、(当初に所望の色でない場合に、もしくはたとえば最適の透明度もしくは半透明度でない場合に)着色される、彫刻される、エンボス加工される、形作られる等、任意に処理されてもよいし、または基板自体が所望の出発原料から成形もしくは他の方法によって最初から内部で作製されてもよい。
【0075】
ステップ120は
図1に関して上述したものと実質的に同様である。120において、
図6に示される実施形態に関連して、電気コンタクトパッドが第1の基板フィルムに設けられる。
【0076】
620において、電気コンタクトパッドが、第1の基板フィルムの電気コンタクトパッドに対して第2の基板フィルムの対応する位置に設けられる。本明細書において対応する位置とは、たとえば、基板フィルムが成形のために配置されると、(ステップ130において設けられた)任意に弾性を有する導電性部材320が第1の基板フィルムの電気コンタクトパッドから延在して第2の基板フィルムの電気コンタクトパッドに接触することによって第1および第2の基板フィルム上の電気コンタクトパッド同士の間に電気的接続を提供するように調整された位置を指す。
【0077】
ステップ130は
図1に関して上述したものと実質的に同様である。
630において、たとえば熱可塑性、熱硬化性、エラストマー性材料、重合体、有機、生体適合材料、有機またはグラフィックなどの複合物、およびそれらの任意の組合せなどからなる好ましくはプラスチック層が、任意に弾性を有する導電性部材がその間を延在する第1および第2の基板層同士の間に成形されることによって、任意に弾性を有する導電性部材を金型構造を利用して埋込む。金型構造は有利に成形用キャビティを形成し、当該基板がこのキャビティに挿入され得る。任意に弾性を有する導電性部材は、好ましくは、成形時に第1の基板フィルムの電気コンタクトパッドから延在して第2の基板フィルムの電気コンタクトパッドに接触し、すなわち当該電気コンタクトパッド同士の間から延在する。任意に弾性を有する導電性部材は、成形時に第1の基板層の電気コンタクトパッドから有利に延在して第2の基板層に接触し、成形材料が任意に弾性を有する導電性部材を完全に埋込むことを防止するかまたはその量を少なくとも大幅に減少させて、任意に弾性を有する導電性部材の少なくとも一部を第2の基板層の電気コンタクトパッドに接触させ続けて、第1および第2の基板層の電気コンタクトパッド同士の間に成形材料層を通る電気的接続を提供する。
【0078】
630において、任意に弾性を有する導電性部材は成形時に第2の基板層の電気コンタクトパッドを圧縮して、成形後に第1および第2の基板層の電気コンタクトパッド同士の間に第2の材料層を通る電気的接続を提供し得る。任意に弾性を有する導電性部材によって加えられる力は有利に、任意に弾性を有する導電性部材に完全に広がるので、任意に弾性を有する導電性部材の一部をアクセス可能であるように維持する。弾性を有する導電性部材の弾性はさらに、上記部材がその静止位置に関して圧縮されることによってプロセス時の耐性を高めることができるため、成形プロセス時の厳格な耐性の要件を有利に低下させ得る。
【0079】
699において、方法の実行が終了する。成形材料が十分に固まると、製造された電子アセンブリが金型から取出され得る。
【0080】
図7は本発明の実施形態に従う方法のフロー図を示す。700において、開始段階を参照して、材料、電子部品およびコネクタなどの構成要素、ならびにツール選択、取得、較正および他の構成などの必要なタスクが行なわれ得る。個々の素子および材料選択が共に作用して、選択された製造プロセス、および構造が配置され得る可能な対象製品に耐えるように特別の注意を払う必要がある。これは当然のことながら、たとえば、製造プロセス仕様および構成要素データシートに基づいて、または作製した試作品を調べて試験することによって、予め確認されることが好ましい。したがって、とりわけ、射出成形、IMD/IML、熱成形などの成形、積層、および/またはプリント装置などのモールディングが、この段階で稼働状況へと設定され得る。
【0081】
ステップ610は
図6に関して上述したものと実質的に同様である。
720において、電気コンタクトパッドが、第1およびの第2の基板フィルムの互いに対応する位置に設けられる。本明細書において対応する位置とは、たとえば、基板フィルムが成形のために配置されると、(ステップ130において設けられた)任意に弾性を有する導電性部材が第1の基板フィルムの電気コンタクトパッドから延在して第2の基板フィルムの電気コンタクトパッドに接触することによって第1および第2の基板フィルム上の電気コンタクトパッド同士の間に電気的接続を提供するように調整された位置を指す。
【0082】
ステップ130は
図1に関して上述したものと実質的に同様である。
730において、熱成形または冷間成形などの成形が行なわれる。成形時、好ましくは既に電子機器が設けられている基板フィルムは、所望の実質的に三次元の形状に形作られ得る。電子機器は、最大圧力または曲率の場所など、最大圧力の場所が成形時に起こらないようにするために配置されていることが好ましい。一方の基板のみが成形されてもよいし、両基板が同じようにまたは異なる方法で成形されてもよい。
【0083】
ステップ630は
図6に関して上述したものと実質的に同様である。
799において、方法の実行が終了する。成形材料が十分に固まると、製造された三次元の電子アセンブリが金型構造から取出され得る。
【0084】
図8は本発明の実施形態に係る電子アセンブリを示す。31および81において、好ましくは可撓性を有する基板フィルムである基板フィルム310,810が得られる。たとえば印刷によってフィルム上に生成された加飾、図形表示、色等があってもよい。これに代えてまたはこれに加えて、保護層などの他の層にそのような特徴が設けられてもよい。たとえば、スクリーン印刷またはインクジェット印刷が適用されてもよい。加飾用または表示用(たとえば指示用)特徴は一般にIMD/IML対応の方法を用いて設けられ得る。
【0085】
32および82において、電気コンタクトパッド315および815が対応する位置820に設けられる。さらに、電子機器が基板フィルムの1つの表面上に設けられてもよい。電子機器は少なくとも電子コンタクトパッド315を含むが、実行可能な製造または実装技術による受動部品、導体、LED、またはICなどの電子部品316~318,816,818も含んでもよい。実装技術は、たとえば表面実装およびスルーホール実装を含み得る。印刷などの製造は、さまざまな選択肢の中でも特にスクリーン印刷またはインクジェット印刷を指し得る。
【0086】
さらに、32において、導電体320もしくは導電性ばねコネクタ320などの任意に弾性を有する導電性部材320、または密閉された弾性を有する導電性部材520が、基板フィルム310に設けられた電気コンタクトパッド315に結合される。任意に弾性を有する導電性部材320は、設けられた電気コンタクトパッド315に部材320の一端が結合され、部材320が次に基板フィルム310から実質的に垂直に延在するように有利に結合されてもよい。しかし、任意に弾性を有する導電性部材320は、主に所望の構成および/または電気コンタクトパッド315に応じて、基板フィルム310に対していずれの位置または方向に延在してもよい。任意に弾性を有する導電性部材320は、基板310に配置される予定の他の電子部品316~318の前に、または実質的に同時に、または後に結合されてもよい。
【0087】
33および83において、基板フィルムは熱成形または冷間成形によるなどして成形される。成形時、好ましくは既に電子機器が設けられている基板フィルムは、所望の実質的に三次元の形状に、同一または異なる形状に形作られ得る。いくつかの実施形態では、一方の基板のみが成形されてもよい。任意に弾性を有する導電性部材320および電子機器316~318は、最大圧力または曲率の場所など、最大圧力の場所が成形時に起こらないようにするために配置されていることが好ましい。
【0088】
84において、たとえば熱可塑性、熱硬化性、エラストマー性材料、重合体、有機、生体適合材料、有機またはグラフィックなどの複合物、およびそれらの任意の組合せなどからなる材料層325、好ましくはプラスチック層が、任意に弾性を有する導電性部材が延在し始める電気コンタクトパッド同士の間の基板フィルム同士の間に成形されることによって、任意に弾性を有する導電性部材を金型を利用して埋込む。射出成形が適用されてもよい。基板および(既に存在している場合は)任意に保護層が金型内のインサートとして用いられてもよい。任意に、たとえば複数の材料を構造に与えるためにマルチショットまたはマルチコンポーネント成形が適用される。プラスチック層は、光電部品(LED、感光性検出器)またはたとえばOLED(有機LED)ディスプレイなどのディスプレイを含み得る基礎となる電子機器への視覚的な経路を提供するように、少なくとも部分的に光学的に透明であってもよく、および/または凹部もしくはスルーホールを含んでもよい。プラスチック層はこれに加えてまたはこれに代えて、不透明な、たとえば着色された、または図形を含む、または半透明な部分を含んでもよい。プラスチック層には、光学的な使用(たとえば光の取込み、取出し、散乱、または反射)のためなどのさまざまな目的で表面レリーフ形態または他の特徴がさらに設けられてもよい。
【0089】
図9A~
図9Cは本発明に従ういくつかの実施形態を示す。任意に弾性を有する導電性部材320は、2つの基板フィルム310,810を互いに電気的に接続させるように接続する際に利用され得る。本発明の複数の実施形態に係る電気的な基板間接続の提供方法には多数の例がある。
図9Aはある例を示しており、これによると、上記2つの基板310,810は、第1の電気パッド315および第2の電気パッド815が互いに対応する位置820に存在して本質的に互いに接触するように、互いの近くに配置され得る。この場合、任意に弾性を有する導電性部材320は、2つのパッド315同士の間に電気的接続を適切に確立するように配置された小片または少量の導電性材料であってもよい。基板同士は成形材料が原因で互いにさらに押付けられる。2つの基板310,810は本質的に、
図9A~
図9Cに示されるように、たとえば基板のエッジの領域において互いに直接接続するように配置されてもよい。しかし、電気的接続は一方の基板の少なくとも中心領域上に存在するように配置されてもよい。この場合、第1の電気コンタクトパッド315は、本質的に第2の基板フィルム810上に存在し得る任意に弾性を有する導電性部材320に結合されてもよい。電気結合点、すなわち電気パッド315,815は基板310,810の互いに対向する面に存在してもよい。
【0090】
図9Bおよび
図9Cに示されるような本発明の実施形態によると、少なくとも1つの基板、すなわち一方または両方の基板のエッジは、電気パッド315,815を互いに対応した位置820に配置するように折られるか曲げられてもよい。そして導電性部材320によって一方の基板から他方の基板への電気的接続が確立され得る。
図9A~
図9Cに見ることができるように、電気パッド315,815は基板の表面のいずれか一方に存在してもよい。
【0091】
当業者は、使用材料、寸法および構成要素を考慮して最適の処理パラメータを予め知っているか、または実地試験によって求めることになる。一般的な指導について提供可能な単に例示的な指針はほとんどない。基板フィルムがPETであり、その上にオーバーモールドするプラスチックがPCである場合は、溶融PCの温度は摂氏280から320度であり得、適用可能な金型温度は摂氏約20から95度であり得、すなわちたとえば摂氏約80度であり得る。使用する基板フィルムおよび処理パラメータは、基板がプロセス時に実質的に剛性であり続けるように選択されることになる。
【0092】
場合によっては予めインストールされている電子機器は、成形時に静止し続けるように基板に取付けられていることが好ましい。任意に、基板にトレース/構成要素を設けることまたは層同士を互いに統合することなどの少なくとも選択された段階について、製造方法の実行時にロール・ツー・ロール技術が利用されてもよい。ロール・ツー・ロール技術の適用には、使用する材料層からの多少の可撓性が必要である。したがって、最終製品(得られた多層構造またはさらにはそれを最終的にホストする装置)は可撓性を有してもよい。しかし、本発明は実際には、より剛性の材料シートまたは一般に所望の材料片を用いるシナリオにも適用可能である。
【0093】
熱成形または冷間成形などの成形は、他の電子部品を有するまたは有さない基板を、成形される構造および/または成形に利用される金型構造まで加熱することによって、本発明のさまざまな実施形態において実現され得る。物体を成形するために当該物体に印加される圧力は、たとえば、好適な形状を有する金型構造を利用する成形プレスによって、または好ましくはキャビティプレートを利用することなどによって基板を好適な形状に成形するために基板の表面に印加される好適な負もしくは正の空気圧を用いることによって、印加され得る。
【0094】
電子アセンブリを組込む対象電子製品または装置は、たとえば、家庭用電子機器、産業用電子機器、自動化装置、機械類、自動車部品、安全もしくは保護装置、コンピュータ、タブレット、ファブレット、携帯電話などの携帯端末、警報装置、ウェアラブル電子機器/製品(衣服、履物、被り物等)、センサ装置、測定装置、ディスプレイ装置、ゲームコントローラもしくはコンソール、照明装置、マルチメディアもしくはオーディオプレーヤ、オーディオ・ビジュアル(AV)装置、スポーツ用品、通信装置、輸送もしくは運送設備、電池、光学素子、太陽パネルもしくは太陽エネルギ装置、送信機、受信機、無線制御装置、またはコントローラ装置を含み得る。
【0095】
上記の説明に記載した特徴は、明示的に記載した組合せ以外の組合せで用いられてもよい。機能は一定の特徴を参照して記載したが、それらの機能は記載しているか否かに係わらず他の特徴によっても実行可能であり得る。特徴は一定の実施形態を参照して記載したが、それらの特徴は記載しているか否かに係わらず他の実施形態においても存在し得る。