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特許7113028テトラヒドロフルフリルアルコール開始型ポリエーテルアミンおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】テトラヒドロフルフリルアルコール開始型ポリエーテルアミンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/325 20060101AFI20220728BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20220728BHJP
   C08L 35/06 20060101ALI20220728BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
C08G65/325
C08G59/50
C08L35/06
C09D17/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019556911
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018036381
(87)【国際公開番号】W WO2019005447
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】62/525,854
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505318547
【氏名又は名称】ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Huntsman Petrochemical LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,ハイボ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,シアオフア
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103435795(CN,A)
【文献】特開2000-204056(JP,A)
【文献】特開平04-110399(JP,A)
【文献】特表2010-500443(JP,A)
【文献】国際公開第2016/140998(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00- 65/48
59/00- 59/72
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C09D 17/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
式中、Rはテトラヒドロフルフリル基またはアルキル置換テトラヒドロフルフリル基で
あり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各
1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択され;AはNH2であ
るかまたは1から20個の炭素原子をアルキル基に有するN-アルキルアミノであり
;そしてmは2ら200の範囲の整数である
を有するポリエーテルアミン。
【請求項2】
Rがテトラヒドロフルフリル基である、請求項1に記載のポリエーテルアミン。
【請求項3】
AがNH2である、請求項2に記載のポリエーテルアミン。
【請求項4】
1およびR2がそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各R1およ
びR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択されるが、ただしR1またはR2
の少なくとも1つが水素であり;そしてmは5ら100の範囲の整数である、請求項1に記載のポリエーテルアミン。
【請求項5】
RがC1-C4アルキル置換テトラヒドロフルフリル基であり;R1およびR2がそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各R1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択されるが、ただしR1またはR2の少なくとも1つが水素であり;AがNH2であり;そしてmが5ら100の範囲の整数である、請求項1に記
載のポリエーテルアミン。
【請求項6】
請求項1に記載のポリエーテルアミンの製造方法であって、テトラヒドロフルフリルアルコールまたはアルキル置換テトラヒドロフルフリルアルコールをアルコキシル化反応ゾーンに入れ、テトラヒドロフルフリルアルコールまたはアルキル置換テトラヒドロフルフリルアルコールとアルキレンオキシドをアルコキシル化反応ゾーン中で中間体ポリオールを提供する期間接触させ、中間体ポリオールを還元的アミノ化ゾーンに入れ、そして中間体ポリオールを還元的アミノ化ゾーンで水素およびアンモニアまたは一級アルキルアミンの存在下で還元的アミノ化触媒と接触させることを含んでなる、前記方法。
【請求項7】
中間体ポリオールを、水素およびアンモニアの存在下で還元的アミノ化触媒と接触させる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式(I)
【化2】
式中、Rはテトラヒドロフルフリル基またはアルキル置換テトラヒドロフルフリル基で
あり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各
1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択され;AはNH2であ
り;そしてmは2ら200の範囲の整数である
を有するポリエーテルアミンと、アルケニル芳香族モノマーおよびα,β-不飽和カルボ
ン酸部分の重合単位を含むコポリマーとの反応生成物を含んでなる分散剤。
【請求項9】
アルケニル芳香族モノマーがスチレンを含んでなる、請求項8に記載の分散剤。
【請求項10】
α,β-不飽和カルボン酸部分が無水マレイン酸を含んでなる、請求項8に記載の分散
剤。
【請求項11】
.001モルから2モルのポリエーテルアミンを、1モルのコポリマーと、50℃から250℃の範囲の温度で反応させることを含んでなる、請求項8に記載の分散剤の生産法。
【請求項12】
コポリマーがスチレンと無水マレイン酸との重合単位を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(I)
【化3】
式中、Rはテトラヒドロフルフリル基またはアルキル置換テトラヒドロフルフリル基で
あり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各
1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択され;AはNH2であ
り;そしてmは2ら200の範囲の整数である
を有するポリエーテルアミンと、エポキシ樹脂との反応生成物を含んでなる分散剤。
【請求項14】
エポキシ樹脂が式
【化4】
式中、R1がアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基である
を有する化合物を含んでなる、請求項13に記載の分散剤。
【請求項15】
ポリエーテルアミンを、1.10:1から5:1の間のエポキシ当量:アミン当量比、そして20℃から200℃の範囲の温度で、エポキシ樹脂と反応させることを含んでなる、請求項13に記載の分散剤の製造方法。
【請求項16】
ポリエーテルアミンを、20℃から200℃の範囲の温度で、エポキシ樹脂と反応させることを含んでなり、そしてポリエーテルアミンが、エポキシ樹脂中のエポキシドの量と化学量論的に等しいかまたはそれより多い量で存在する、請求項13に記載の分散剤の製造方法。
【請求項17】
分散剤が、少なくとも40重量%の分散剤の程度まで、水溶液に可溶性である、請求項8に記載の分散剤を含んでなる水溶液。
【請求項18】
分散剤が、少なくとも40重量%の分散剤の程度まで、水溶液に可溶性である、請求項13に記載の分散剤を含んでなる水溶液。
【請求項19】
請求項8に記載の分散剤、顔料および溶剤成分を含んでなる、水性顔料分散物。
【請求項20】
請求項13に記載の分散剤、顔料および溶剤成分を含んでなる、水性顔料分散物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との関係】
【0001】
本出願は、2017年6月28日に出願された米国特許仮出願第62/525,854号明細書の優先権を主張し、その全内容は引用により明白に本明細書に編入する。
【研究開発に関する連邦政府支援の表明】
【0002】
適用なし
【技術分野】
【0003】
本開示は、テトラヒドロフルフリル系アルコール開始型ポリエーテルアミン、およびその様々応用における使用を提供し、限定するわけではないが顔料用の分散剤としての応用を含む。
【背景技術】
【0004】
ポリエーテルアミンは、少なくとも1つのポリアルキレングリコール基および少なくとも1つのアミン基を含有する化合物である。これらの材料の製造は周知であり、そして一般に炭化水素基を含有するアルコール開始剤とアルキレンオキシドとを反応させて中間体ポリオールを形成し、これを次いで還元的にアミノ化してポリエーテルアミンを形成することを含む。より具体的な方法は、例えば以下に見出すことができる:
特許文献1は、脂肪族一価の開始剤アルコールのアルコキシル化、そして続いて、触媒の存在下でアンモニアおよび水素を用いたそれらのポリエーテルアミンへの転換から生成されるポリエーテルアミンを開示する。
特許文献2は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物を、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンまたはトリメチロールプロパンに加えて中間体を形成し、そして続いてそれらをアンモニアおよび水素を用いて触媒上で処理することにより調製されるポリエーテルアミンを記載する。
特許文献3は、ラニーニッケル/アルミニウム触媒の存在下で、ヒドロキシル末端ポリオキシアルキレン化合物の還元的アミノ化によりポリエーテルアミンを作成する方法を記載し;そしてさらに最近では
特許文献4および特許文献5が、グリセロール、トリメチロールプロパンおよび1,2-ジアルコ―ル開始剤から生成されたポリエーテルアミンを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第3,347,926号明細書
【文献】米国特許第3,654,370号明細書
【文献】米国特許第4,766,245号明細書
【文献】国際公開第2015/028193号パンフレット
【文献】国際公開第2015/144497号パンフレット
【0006】
前記にもかかわらず、従来技術のポリエーテルアミンの状態を取り換え、そして同様または改善された性能を様々な応用での使用中に提供できる、非炭化水素系アルコール開始剤から生成される新規の多目的ポリエーテルアミンを開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、式(I)
【化1】
式中、Rはテトラヒドロフルフリル基またはアルキル置換テトラヒドロフルフリル基で
あり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各
1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択され;AはNH2であ
るかまたは1から約20個の炭素原子をアルキル基に有するN-アルキルアミノであり
;そしてmは約2から約200の範囲の整数である
を有するポリエーテルアミンを記載する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、非炭化水素系アルコ―ル開始型ポリエーテルアミンを提供する。特に本開示は、テトラヒドロフルフリル系アルコ―ル開始型ポリエーテルアミンおよびその様々な応用での使用を提供する。驚くことに、本開示のテトラヒドロフルフリル系アルコ―ル開始型ポリエーテルアミンは、炭化水素系アルコ―ル開始型ポリエーテルアミンと比べて少なくとも同等の、またはある観点では改善された性能を提供することができる。いかなる理論にも拘束されずに、テトラヒドロフルフリル系アルコ―ル開始剤の5員環中の内部エーテル結合が続いて生成されるポリエーテルアミンに、従来の炭化水素系アルコ―ル開始型ポリエーテルアミンの状態よりも高い親水性(すなわち5員のテトラヒドロフルフリル環中のエーテル結合は、水と水素結合を形成することができる)を現わすことができるようにすると考えられる。すなわち本発明のポリエーテルアミンは、従来のポリエーテルアミンと比較した場合に、改善されなくても少なくとも良好な分散能を現わすと期待される。
【0009】
本明細書に出てくる場合に、用語「含んでなる(comprising)」およびその派生語は、任意の追加成分、工程または手順はそれが本明細書に開示されていてもいなくても、その存在を排除しないことを意図する。いかなる疑問も回避するために、用語「含んでなる」の使用を介して本明細書に請求するすべての組成物は、それに反すると明言しない限り任意の追加の添加物、補助剤または化合物を含むことができる。対照的に、本明細書で用語「本質的になる(consisting essentially of)」と記載する場合、続く記載の範囲からいかなる他の成分、工程または手順をも排除し、操作性に必須ではないものは除き、そして用語「からなる(consisting of)」を使用する場合、具体的に説明または列挙しない成分、工程または手順は排除する。用語「または」および「および/または」は、別段の定めがない限り個別に列挙した員ならびに任意の組み合わせを指す。例えばAおよび/またはBとは、A単独、B単独またはAおよびBの双方を指す。
【0010】
本明細書で冠詞“a”および”an”は、1もしくは1より多く(すなわち少なくとも1つ)の文法上の対象物を指す。例として「アミン(an amine)」は、1つのアミンまたは1より多くのアミンを意味する。「1つの態様において」、「1つの態様によれば」等の句は、一般にその句に続く特定の機能、構造または特徴が本開示の少なくとも1つの態様に含まれることを意味し、そして本開示の1より多くの態様に含まれ得ることを意味する。重要なことは、そのような句は同じ態様を必ずしも指していないことである。明細書で成分または機能が含まれ得る或いは特徴を有し得る(“may”,”can”,”could”または”might”)と言及する場合、その特定の成分または機能は含まれる必要はなく、特徴を有する必要もない。
【0011】
用語「好適な」および「好ましくは」とは、特定の状況下で特定の利益を享受できる態様を指す。しかし他の態様も同じかまたは他の状況下で好適となり得る。さらに1もしくは複数の好適な態様という表現は、他の態様が有用でないことを意味せず、そして他の態様を本開示の範囲から排除することを意図していない。
【0012】
用語「アルキル」は、アルカンの一価のラジカルを指す。適切なアルキル基は、最高約20個の炭素原子、または最高16個の炭素原子、または最高12個の炭素原子、または最高10個の炭素原子、または最高8個の炭素原子、または最高6個の炭素原子、または最高4個の炭素原子、または最高3個の炭素原子を有することができる。アルキル基は直鎖、分岐、環状またはそれらの組み合わせであることができる。
【0013】
用語「ヒドロカルビル」は、主に炭素および水素を含む有機ラジカルを指し、これは脂肪族、脂環式、芳香族またはそれらの組み合わせでよい。
【0014】
用語「テトラヒドロフルフリル基」は2-テトラヒドロフルフリル基
【化2】
または3-テトラヒドロフルフリル基
【化3】
を指し、アスタリスク記号はテトラヒドロフルフリル基が非炭化水素アルコール開始型ポリエーテルアミン化合物の残りへの結合部位を表す(例えばX)。
【0015】
用語「アルキル置換テトラヒドロフルフリル基」とは、少なくとも1つのアルキル基で置換された2-テトラヒドロフルフリル基または3-テトラヒドロフルフリル基のいずれかを指す。アルキル置換基の数は、1から3の範囲であることができる。ある態様では、テトラヒドロフルフリル基のアルキル置換基は、1から10個の炭素原子、1から6個の炭素原子、1から4個炭素原子、または1から3個の炭素原子を有することができる。アルキル置換基は、5員環の任意の適切な炭素原子上に位置することができるが、ある態様では4-位または5-位であることができる。例えばある態様では、アルキル置換基はメチル、例えば5-メチルテトラヒドロフルフリル基である。
【0016】
用語「N-アルキルアミノ」とは基-NHRaを指し、ここでRaはアルキル基である。
【0017】
1つの態様によれば、本開示は非炭化水素系アルコール開始型ポリエーテルアミンを提供する。特に本開示は、式(I)を有するテトラヒドロフルフリル系アルコール開始型ポリエーテルアミン化合物を提供する:
【化4】
式中、Rはテトラヒドロフルフリル基またはアルキル置換テトラヒドロフルフリル基であり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各R1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択され;AはNH2または1から約20個の炭素原子をアルキル基に有するN-アルキルアミノであり;そしてmは約2から約200の範囲の整数である。このように式(I)の前記ポリエーテルアミンは、限定するわけではないが以下の1もしくは1より多くのオキシエチレン、オキシプロピレンおよびオキシブチレン単位を単独または任意の比率で互いに混合したホモポリマー、およびランダムおよびブロックポリマーの双方およびコポリマーを含むことができる。
【0018】
別の態様では、テトラヒドロフルフリルアルコ―ル開始型ポリエーテルアミンは、式(I)を有する化合物であり、式中、Rはテトラヒドロフルフリル基であり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各R1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択されるが、ただしR1またはR2の少なくとも1つが水素であり;AはNH2であり;そしてmは約5から約100の範囲の整数である。
【0019】
さらに別の態様では、テトラヒドロフルフリルアルコ―ル開始型ポリエーテルアミンは、式(I)を有する化合物であり、式中、RはC1-C4アルキル-置換テトラヒドロフルフリル基であり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各R1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択されるが、ただしR1またはR2の少なくとも1つが水素であり;AはNH2であり;そしてmは約5から約100の範囲の整数である。
【0020】
別の態様では、式(I)のポリエーテルアミンの分子量は約100から約12,000の間、または他の態様では約200から約5000の間、またはさらなる態様では約500から約3000の間である。
【0021】
式(I)のテトラヒドロフルフリルアルコ―ル開始型ポリエーテルアミン化合物は、当業者に既知の方法により調製することができる。例えばアルコキシル化反応ゾーンに最初に入れる開始剤としてテトラヒドロフルフリルアルコールまたはアルキル-置換テトラヒドロフルフリルアルコールを利用して調製することができる。
【0022】
開始剤を入れた後、開始剤をアルキレンオキシドとアルコキシル化反応ゾーンで中間体ポリオールを提供するために十分な時間、接触させる。アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドでよい。他の態様ではアルキレンオキシドはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドでよい。
【0023】
開始剤と接触させるアルキレンオキシドの量は、1モルの開始剤あたり、約1.2から約1.8モル、そしてある場合には約1.4から約1.6モルの範囲のアルキレンオキシドとなり得る。さらに開始剤がアルキレンオキシドと接触する期間は、中間体ポリオールを形成するために十分な期間であり、そしてある場合には約0.5時間から約24時間の範囲となり得る。
【0024】
アルコキシル化反応ゾーンは、閉鎖された反応槽であることができ、アルコキシル化は高温および高圧で塩基性触媒の存在下で行われる。例えばアルコキシル化は約50℃から約150℃の範囲の温度、そして約40psiから約100psiの範囲の圧で行うことができる。塩基性触媒は塩基性触媒型反応に通例使用される任意のアルカリ性化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムまたは水酸化セリウムのようなアルカリ金属水酸化物、あるいはジメチルシクロヘキシルアミンまたは1,1,3,3-テトラメチルグアニジンのような三級アミンであることができる。アルコキシル化後、得られた生成物を真空ストリッピングにかけて余分な未反応アルキレンオキシド、水および/または塩基性触媒のような不必要な成分を除去し、一方、生じた中間体ポリオールは残る。
【0025】
次いで中間体ポリールは、還元的アミノ化工程の原料として使用される。ある場合では還元的アミノ化に先立ち、中間体ポリオールを例えばシュウ酸またはケイ酸マグネシウムのような酸または化学的吸着剤を用いて中和し、そして不溶性物質を除くために濾過する。中間体ポリオールを還元的アミノ化ゾーンに入れ、ここで還元的アミノ化触媒(水素化-脱水素化触媒と呼ばれることもある)と接触させるようにし、そして還元的アミノ化条件下で水素およびアンモニアまたは一級アルキルアミンの存在下で還元的にアミノ化される。還元的アミノ化条件には、例えば約150℃から約275℃の範囲内の温度、および約500psiから約5000psiの範囲内の圧を含むことができ、あるいは約180℃から約220℃の範囲内の温度、および約100psiから約2500psiの範囲内の圧が使用される態様もある。
【0026】
1つの態様では、一級アルキルアミンは1個の窒素原子および約1から約20個の炭素原子、または約1から約6個の炭素原子、またはさらに約1から約4個の炭素原子を含む。一級アルキルアミンの例は、限定するわけではないがN-メチルアミン,N-エチルアミン,N-プロピルアミン,N-イソプロピルアミン,N-ブチルアミン,N-イソブチルアミン,N-sec-ブチルアミン,N-tert-ブチルアミン,N-ペンチルアミン,N-シクロペンチルアミン,N-ヘキシルアミン,N-シクロヘキシルアミン,N-オクチルアミン,N-デシルアミン,N-ドデシルアミン,N-オクタデシルアミン,N-ベンジルアミン,N-(2-フェニルエチル)アミン,2-アミノエタノール,3-アミノ-1-プロパノール,2-(2-アミノエトキシ)エタノール,N-(2-メトキシエチル)アミンおよびN-(2-エトキシエチル)アミン等を含む。
【0027】
米国特許第3,654,370号明細書に記載されているような任意の適切な水素化触媒を使用することができ、この明細書の内容は引用により本明細書に編入する。ある態様では、水素化触媒は周期表の第VIIIB族の1もしくは複数の金属、例えば鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、および白金を、周期表の第VIB族の1もしくは複数の金属、例えばクロム、モリブデンまたはタングステンと混合して含んでなることができる。周期表の第IB族からの促進剤、例えば銅を含んでもよい。例として約60モルパーセントから約85モルパーセントのニッケル、約14モルパーセントから約37モルパーセントの銅、および約1モルパーセントから約5モルパーセントのクロム(クロミアとして)を含んでなる触媒、例えば米国特許第3,152,998号明細書に開示されている種類の触媒を使用することができる。別の例として、約70重量%から約95重量%のコバルトとニッケルの混合物、および約5重量%から約30重量%の鉄を含む米国特許第4,014,933号明細書に開示されている種類の触媒を使用することができる。別の例は米国特許第4,152,353に開示されている種類の触媒を使用することができ、これはニッケル、銅および第3成分(これは鉄、亜鉛、ジルコニウムまたはそれらの混合物でよい)を含んでなり、例えば触媒は約20重量%から約49重量%のニッケル、約36重量%から約79重量%の銅、および約1重量%から約15重量%の鉄、亜鉛、ジルコニウムまたはそれらの混合物を含む。さらに別の例として約60重量%から約75重量%のニッケル、および約25重量%から約40重量%のアルミニウムを含んでなる米国特許第4,766,245号明細書に開示されている種類の触媒を使用することができる。
【0028】
還元的アミノ化は、連続的基準(continuous basis)で行うことができ、中間体ポリオール、アンモニアまたは一級アルキルアミンおよび水素が、固定床の還元的アミノ化触媒を含有する反応槽に連続的に導入され、そして生成物が連続的に取り出される。
【0029】
余分な水素およびアンモニアまたは一級アルキルアミンを再使用のために取り出すために、生成物は適切に減圧にかけられ、そして次いで分画されて反応の副産物の水を除去して本発明のポリエーテルアミンを提供する。
【0030】
還元的アミノ化中に、利用することができる還元的アミノ化条件には、中間体ポリオール供給原料のヒドロキシル当量あたり約4モルから約150モルのアンモニアまたは一級アミンの使用を含む。水素は、中間体ポリオール供給原料のヒドロキシル当量あたり約0.5モル当量から約10モル当量の範囲の水素の量で使用することができる。反応ゾーン内での接触時間は、反応がバッチ基準で行われる場合は約0.1時間から約6時間、または約0.15時間から約2時間の範囲内となり得る。
【0031】
触媒ペレットを使用する連続基準で反応が行われる場合、反応時間は、1立方センチメートルの触媒、1時間あたり約0.1グラムから約2グラムの供給原料、より好ましくは1立方センチメートルの触媒、1時間あたり約0.3グラムから約1.6グラムの前駆体供給原料となり得る。また還元的アミノ化は、1モルの中間体ポリオールあたり約1モルから約200モルのアンモニアまたは一級アルキルアミン、あるいは1モルの中間体ポリオールあたり約4モルから約130モルのアンモニアまたは一級アルキルアミンの存在下で行うことができる。1モルの中間体ポリオールあたり約0.1モルから約50モルの水素を使用することができ、または1モルの中間体ポリオールあたり約1モルから約25モルの水素を使用することができる。
【0032】
式(I)の新規ポリエーテルアミンは様々な応用に有用であり、それらには限定するわけではないがエポキシ硬化剤、有機および無機顔料、染料および光沢剤用の湿潤および分散剤を含む。他の応用にはセメント添加剤として、およびオイルおよびガス燃料分野での使用、例えば腐食防止剤、解乳化剤および酸抑制剤(acid retarding agent)を含む。
【0033】
1つの特定の態様では、式(I)のポリエーテルアミンは安定な顔料分散物を提供するために様々な顔料の形成を促進することができる分散剤であり、ここで顔料は一次粒子径(primary particle size)で実質的に提供され、顔料は所望の粘度で最高の顔料付加が可能である。1つの特定の態様では、分散剤は式(I)のポリエーテルアミンと、アルケニル芳香族モノマーおよびα,β-不飽和カルボン酸部分の重合単位を含む(comprised of polymerized units)コポリマーとの反応生成物である。
【0034】
アルケニル芳香族モノマーは、芳香族ラジカルに直接結合したエチレン不飽和官能基を含有する任意の化合物でよい。そのような化合物は一般式:
【化5】
に対応し、式中、Arはフェニルまたはナフチルのようなアリール基を表し、そしてR3は水素またはメチルである。アリール基はアルコキシ、アリール、カルボキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲンおよびアルキルのような1もしくは複数の置換基で置換されてよい。このコポリマーに使用されるために使用できる具体的説明のアルケニル芳香族モノマーには、スチレン、α-メチルスチレン、芳香族置換(オルト-、メタ-またはパラ-)メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルナフタレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、シアノスチレン、ビニルキシレン、ニトロスチレン、ベンジルスチレンおよびそれらの混合物を含む。1つの態様では、α,β-不飽和カルボン酸部分と共重合する場合に、その低コストおよび高い反応性から、アルケニル芳香族モノマーはスチレンである。
【0035】
α,β-不飽和カルボン酸部分は、アルケニル芳香族モノマーと共重合可能であり、そして式(I)のポリエーテルアミンのアミノ基と反応性のカルボン酸官能基を含む任意のエチレン不飽和有機化合物であることができる。カルボン酸官能基は、酸、エステル、イミドまたは無水物であることができる。したがってα,β-不飽和カルボン酸部分が最も適切であるのは、α,β-不飽和ジカルボン酸無水物、α,β-不飽和ジカルボン酸二酸、α,β-不飽和モノカルボン酸、α,β-不飽和ジカルボン酸エステル(モノ-またはジ-)、およびα,β-不飽和ジカルボンイミドのいずれかである。様々な種類のカルボン酸部分が存在してよい。
【0036】
1つの態様では、α,β-不飽和ジカルボン酸無水物は、無水物の官能性が式(I)のポリエーテルアミンと直ちに反応してアミド結合を形成できるので好適である。この種のコモノマーは、共重合前に以下の一般構造を有する:
【化6】
式中、R4およびR5は同じか、または異なり、そして水素,ハロゲン,C1-C10アルキル,アリールおよびアリールアルキルから独立して選択される。α,β-不飽和ジカルボン酸無水物の例には、限定するわけではないが無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水マレイン酸エチル、無水イタコン酸メチル、無水ジブロモマレイン酸、無水イタコン酸、無水クロロマレイン酸、無水ジクロロマレイン酸、無水フェニルマレイン酸、無水アコニット酸、およびそれらの混合物を含む。
【0037】
あるいはα,β-不飽和カルボン酸部分は、一般構造:
【化7】
に対応するα,β-不飽和ジカルボン酸二酸、ジエステル、または半酸(half acid)、半エステル(half-ester)であり、式中、R6およびR7は同じか、または異なり、そして水素,ハロゲン,C1-C10アルキル,アリールおよびアリールアルキルから独立して選択され、そしてR8およびR9は同じか、または異なり、そして水素,C1-C10アルキル,アリールおよびアリールアルキルから独立して選択される。α,β-不飽和ジカルボン酸二酸の例には、限定するわけではないがマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、エチルマレイン酸、メチルイタコン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、ブロモマレイン酸、ジブロモマレイン酸、フェニルマレイン酸、およびそれらの混合物を含む。これら二酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、またはフェニルモノ-もしくはジエステルも使用することができる。
【0038】
別の態様では、α,β-不飽和モノカルボン酸またはエステルを使用することができ、これは一般構造:
【化8】
を有し、式中、R10およびR11は同じか、また異なり、そして水素、C1-C10アルキル、アリールおよびアリールアルキルから独立して選択される。この種のコモノマーの具体的説明例には、限定するわけではないがアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2-エチルヘキシルアクリレートおよびそれらの混合物を含む。
【0039】
明細書中、前記で検討したα,β-不飽和ジカルボン酸無水物の類似体は、熱可塑性プラスチックコポリマー中のコモノマーとしても使用することができ、ここで無水物の酸素原子がNR12により置換されている。R12基は水素、アルキル(例えばメチル、エチル)、アリールアルキル(例えばベンジル、フェネチル)またはアリール(例えばフェニル)であることができる。
【0040】
1つの特定の態様では、コポリマーはスチレンおよび無水マレイン酸の重合単位を含む(comprised of polymerized units)。
【0041】
別の態様では、アルケニル芳香族モノマー重合単位は、50モルパーセント未満のコポリマーを含んでなるα,β-不飽和カルボン酸部分が重合した単位を含む50モルパーセントより多いコポリマーを含んでなる。さらに別の態様では、コポリマーはコポリマーの総重量に基づき少なくとも50重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも90重量パーセントのアルケニル芳香族モノマーが重合した単位を含み、そしてコポリマーの総重量に基づき50重量パーセント未満、または40重量パーセント未満、または30重量パーセント未満、または20重量パーセント未満または10重量パーセント未満のα,β-不飽和カルボン酸部分が重合した単位を含む。さらなる態様では、コポリマーはコポリマーの総重量に基づき少なくとも70重量パーセントから97重量パーセントのアルケニル芳香族モノマーが重合した単位を含み、そしてコポリマーの総重量に基づき少なくとも3重量パーセントから30重量パーセントのα,β-不飽和カルボン酸部分が重合した単位を含む。
【0042】
重合は既知のバッチ様式または連続重合法、例えば大量(mass)懸濁、沈殿または溶液重合法、および適切なフリーラジカル連鎖開始剤、例えばヒドロペルオキシド、ペルオキシドまたはアゾ化合物、例えばジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルピバレート、tert-ブチルペルマレート、tert-ブチルペルベンゾエート、ジクミルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、2.2’-アゾビス(Z-メチルプロパノニトリル),2.2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)およびそれらの混合物を用いた開始により行うことができる。一般にこれらの開始剤は、アルケニル芳香族モノマーおよびα,β-不飽和カルボン酸部分の総重量に基づき0.1重量%から20重量%、または0.2重量%から10重量%の量で使用される。
【0043】
重合は概して約40℃から400℃、または約80℃から250℃の温度、α,β-不飽和カルボン酸部分または重合温度未満の沸点を有する溶媒が使用される場合に便宜的に使用されている圧力で行うことができる。重合は空気の不存在下、例えば窒素下で行うことができ、それというのも酸素が重合を妨害するからである。開始剤または開始剤系の選択では、選択した重合温度で開始剤または開始剤系の半減期が確実に3時間未満になるようにすることが目的にかなう。
【0044】
適する装置は、重合には、例えばアンカー撹拌機、パドル撹拌機、インペラー撹拌機または多段階インパルス対向流撹拌機(multistage impulse countercurrent agitator)を有し、そして連続調製には、撹拌槽カスケード、チューブ反応槽または静置ミキサーを有する、例えば従来の撹拌槽である。
【0045】
1つの態様では、コポリマーの好適な調製法は溶液重合法である。これはアルケニル芳香族モノマーおよびα,β-不飽和カルボン酸部分および生じるコポリマーが溶解性の溶剤中で行われる。この目的に適する溶剤は、このような要件を満たし、そしてアルケニル芳香族モノマーおよびα,β-不飽和カルボン酸部分と、生じるコポリマーと反応しないすべてのものである。これらは例えば有機の、好ましくは芳香族および/または脂肪族溶媒、例えばクメン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、デカン、ペンタデカンまたは工業的な溶剤混合物である。
【0046】
調製では、アルケニル芳香族モノマーおよびα,β-不飽和カルボン酸部分を最初に導入することができ、そしてフリーラジカル連鎖開始剤を加え、そして熱を供給することにより重合することができる。
【0047】
重合後、得られたコポリマーを式(I)のポリエーテルアミンと反応させる。コポリマーと式(I)のポリエーテルアミンの反応生成物の調製は、約50℃から約250℃、または約60℃から約200℃の温度で行うことができる。アミドは100℃未満の温度で形成されるが、イミドはより高温で形成することができる。ある態様では、式(I)のポリエーテルアミンは1モルのコポリマーあたり約0.001モルから約2モル、または1モルのコポリマーあたり約0.01モルから約1モル、または1モルのコポリマーあたり約0.5モルから約0.95モルの量で使用することができる。
【0048】
1つの態様では、コポリマーを最初に導入し、そして次いで式(I)のポリエーテルアミンを続いて計量供給する。しかしすべての出発材料を室温で混合し、そして温度を上げることにより反応を引き起こすことも可能である。さらに成分を溶液中で、有機溶媒または成分を溶解できる溶剤の混合物を使用して反応させることもできる。そのような有機溶媒には限定するわけではないが、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、およびハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンを含む。
【0049】
1つの態様では、コポリマー中のα,β-不飽和カルボン酸部分が無水物である場合、式(I)のポリエーテルアミンは反応して半アミド、半酸を形成し、これらは恐らく脱水によりイミドに転換することができる。
【0050】
反応条件は個々の成分の反応性に依存して変動することになる。例えばコポリマーが無水物基を含む場合、無水物環がポリエーテルアミンによりやや容易に開くので、反応は一般に比較的低温で起こることになる。しかしコポリマーが酸、イミドまたはエステル基を含む場合、より激しい反応条件が必要となり得る。そのような場合では、反応速度は適切な触媒、より高い反応温度の使用により、または生じる可能性がある任意の揮発性副産物を除去することにより上げることができる。コポリマー中のカルボキシル基がカルボン酸である場合、例えば反応中に形成される水を除去するために、真空下で成分を合わせることが役立つかもしれない。同様に、コポリマーがカルボン酸エステル基を含む場合、反応速度は形成されるアルコール副産物を分離することにより改善することができる。
【0051】
別の態様では、分散剤は式(I)のポリエーテルアミンとエポキシ樹脂との反応生成物である。1つの態様では、エポキシ樹脂は1より大きい、または少なくとも約1.4、そしてさらに少なくとも約2の平均1,2-エポキシ官能性を有することができる。
【0052】
1つの態様では、エポキシ樹脂は1分子あたり平均で少なくとも2から6.5のエポキシド基の1,2-エポキシ当量(官能性)を有する。エポキシ樹脂は飽和または不飽和、直鎖または分岐の脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であることができ、そして式(I)のポリエーテルアミンとの反応中に実質的に妨害しない置換基を持つことができる。そのような置換基は臭素またはフッ素を含むことができる。エポキシ樹脂はモノマーまたはポリマーの液体または固体でよく、例えば室温で低融点の固体であることができる。エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンを少なくとも1.5の芳香族ヒドロキシル基を含有する化合物と反応させることにより調製されるグリシジルエーテルであることができ、そしてアルカリ反応条件下で行うことができる。他の態様では、エポキシ樹脂はモノエポキシド、二価化合物のジグリシジルエーテル、エポキシノボラックまたは脂環式エポキシであることができる。一般にエポキシ樹脂は、変動する反復単位数を持つ化合物の分布を含む。さらにエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の混合物でよい。例えば1つの態様では、エポキシ樹脂はモノエポキシド樹脂、および2から6.5の官能性を有する二-および/または多官能性エポキシ樹脂を含んでなることができる。
【0053】
モノエポキシドの例には、限定するわけではないが:フェノール、t-ブチルフェノール、クレゾール、ノニルフェノール、および脂肪族アルコールのグリシジルエーテル:およびグリシド一酸およびアルファ-オレフィンおよびグリシドキシアルキルアルコキシシランから形成されるエポキシドを含む。
【0054】
使用できる具体的なエポキシ樹脂の他の例は、限定するわけではないが以下の式により表されるものを含む:
【化9】
式中、R0は直鎖または分岐アルキル基である;
【化10】
式中、yは1から6の整数である;
【化11】
式中、R1はアルキル基、アリ―ル基、またはアリールアルキル基である;
【化12】
式中、R5は独立して水素、またはC1-C10アルキル基であり、そしてrは0から
6の整数である;
【化13】
式中、R6は場合によりエーテルまたはエステル基(1もしくは複数)を含むC1-C20アルキル基、またはR7およびR8と一緒に、場合によりヘテロ原子を含むスピロ環を形成し、そしてR7およびR8は独立して水素であるか、またはR6と一緒に場合によりヘテロ原子を含むスピロ環を形成する。ある態様では、R6は式:
【化14】
または
【化15】
を有する二価の脂環式であり、式中、R9およびR10はそれぞれ独立してC1-C20-アルキル基または式
【化16】
を有するアリールアルキル基であり、式中R11はC1-C20-アルキル基である。
【0055】
1つの態様によれば、エポキシ樹脂は二価フェノールのジグリシジルエーテル、水素化二価フェノールのジグリシジルエーテル、脂肪族グリシジルエーテル、エポキシノボラックおよび脂環式エポキシから選択される二官能性エポキシ樹脂である。
【0056】
二価フェノールのジグリシジルエーテルは、例えば二価フェノールおよび適切に置換されたエピクロロヒドリンをアルカリ条件下で反応させることにより、または酸性触媒の存在下で引き続きアルカリ処理して生成することができる。二価フェノールの例は、限定するわけではないが:2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール-A);2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン;1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブタン;ビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタン;1,5-ジヒドロキシナフタレン;1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-アルキルフェニル)エタン等を含む。適切な二価フェノールは、フェノールとホルムアルデヒドのようなアルデヒドとの反応からも得ることができる(ビスフェノール-F)。また二価フェノールのジグリシジルエーテルは、二価フェノールの前記グリシジルエーテルと、ビスフェノールAのような二価フェノールとの進んだ生成物(advancement products)も含む。
【0057】
水素化二価フェノールのジグリシジルエーテルは、例えば2つの遊離アルコールヒドロキシ基を有する化合物の水素化、続いてルイス酸触媒の存在下でのエピクロロヒドリンを用いたグリシド化反応、そして続いて水酸化ナトリウムを用いた反応によるグリシジルエーテルの形成により生成することができる。適切な二価フェノールの例には上に列挙したものを含む。
【0058】
脂肪族グリシジルエーテルは、例えばエピクロロヒドリンと脂肪族ジオールとをルイス酸触媒の存在下で反応させ、続いて水酸化ナトリウムを用いた反応によるハロヒドリン中間体のグリシジルエーテルへの転換により生成することができる。脂肪族グリシジルエーテルの例は、式
【化17】
に対応するものを含み、式中、R1は(CH2pであるか、または
【化18】
であり、そしてpは2から12、そしてある態様では2から6の整数であり;そしてqは2から24、そしてある態様では4から12の整数である。
【0059】
脂肪族グリシジルエーテルの例には、限定するわけではないが:1,4-ブタンジオール;ネオペンチルグリコール;シクロヘキサンジメタノール;ヘキサンジオール;ポリプロピレングリコール等のジオールおよびグリコールのグリシジルエーテルおよびトリメチロールエタンおよびトリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルを含む。
【0060】
エポキシノボラックは、ホルムアルデヒドとフェノールとの縮合、続いてアルカリの存在下でのエピクロロヒドリンの反応によるグリシド化により生成することができる。フェノールは、例えばフェノール、クレゾ-ル、ノニルフェノールおよびt-ブチルフェノールであることができる。好適なエポキシノボラックの例には、式
【化19】
に対応するものを含み、式中、R5は独立して水素またはC1からC10アルキル基
であり、そしてrは0から6の整数である。エポキシノボラックは一般に変動するグリシド化フェノキシメチレン単位、rを有する化合物の分布を含む。一般に言及した単位の数は、統計的平均に近い数であり、そして分布のピークである。
【0061】
脂環式エポキシは、1より多くのオレフィン結合を持つシクロアルカン含有化合物を、過酢酸を用いてエポキシ化することにより生成することができる。脂環式エポキシの例には、式
【化20】
式中、R6は場合によりエーテルまたはエステル基(1もしくは複数)を含むC1からC20アルキル基であるか、またはR7およびR8と一緒に場合によりヘテロ原子を含むスピロ環を形成し、そしてR7およびR8は独立して水素であるか、またはR6と一緒に場合によりヘテロ原子を含むスピロ環を形成し:あるいは
【化21】
に対応するものを含む。
【0062】
脂環式エポキシの例には、例えば3,4-エポキシシクロ-ヘキシルメチル-(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカーボキシレート、二脂環式ジエーテルジエポキシ [2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)-シクロヘキサン-m-ジオキサン]、ビス(3,4-エポキシ-シクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペートおよびビニルシクロヘキセンジオキシド[4-(1,2-エポキシエチル)-1,2-エポキシシクロヘキサン]を含む。また脂環式エポキシは、式
【化22】
および
【化23】
の化合物も含む。
【0063】
別の態様によれば、エポキシ樹脂はビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、修飾ビスフェノールAグリシジルエーテル、修飾ビスフェノールFグリシジルエーテル、およびそれらの混合物の群から選択されるビスフェノール系樹脂を含んでなる。
【0064】
上で検討したように、分散剤は式(I)のポリエーテルアミンとエポキシ樹脂との反応生成物であることができる。当業者が分散剤の形成に使用される原料の相対的量を制御することは容易である。例えば1つの態様では、過剰なエポキシ樹脂が存在し、これはエポキシ基でエンドキャップされた分散剤分子を生じる。別の態様では、分散剤の形成に使用される過剰なポリエーテルアミンが存在し、これはアミン基でエンドキャップされた分散剤分子を生じる。
【0065】
一般に分散剤は、エポキシ樹脂を式(I)のポリエーテルアミンと当量に基づき過剰なエポキシド中で反応させることにより得ることができ、ここで出発材料の約40%から約90%未満のエポキシド基が反応し、そしてエポキシ当量:アミン当量比は、約1.10:1から約5:1の間、または約1.1:1から約4:1の間、または約1.10:から約3:1の間、またはさらに約1.10:1から約2.5:1の間である。
【0066】
1つの態様では、式(I)のポリエーテルアミンおよびエポキシ樹脂は、ポリエーテルアミンのアミン基が、エポキシ樹脂の本質的に全てのエポキシド官能性との反応により消費され得る量で存在することが好ましくなる可能性がある。すなわち反応中、式(I)のポリエーテルアミンの量はエポキシ樹脂中のエポキシドの量と化学量論的に等しいか、または多い。得られる生成物は、反応後にあったとして極めて少量の未反応エポキシド官能性を有する。
【0067】
反応は20℃から200℃の範囲、または50℃から150℃の範囲の温度で行うことができる。さらに反応は不活性な雰囲気または大気中で行うことができる。不活性雰囲気が使用される場合、雰囲気は窒素またはアルゴンであることができる。さらに反応は場合により溶剤の存在下で行うことができる。一般には溶剤は必要ないが、存在する場合は、水または本明細書に開示する有機溶媒でよい。最後に反応時間は個別に変動し、そして約0.5時間から約10時間の間の任意の時間でよい。
【0068】
1つの特定の態様では、分散剤は式(I)のポリエーテルアミンのアミンの反応生成物であり、ここでAはNH2であり、そしてエポキシ樹脂は式
【化24】
を有する化合物であり、式中、R1はC1-C20アルキル基またはC1-C20アルキル基で場合により置換された芳香族基である。したがって分散剤は式
【化25】
を有する構造を有することができ、式中、R1は前記定義の通りであり;nは約5から約100の整数であり;そしてR2は式
【化26】
を有し、式中、Rはテトラヒドロフルフリル基またはアルキル置換テトラヒドロフルフリル基、好ましくはテトラヒドロフルフリル基であり;R1およびR2はそれぞれ独立して水素、メチルまたはエチルであり、そして各R1およびR2は独立して各-O-CHR1-CHR2-単位に選択され;そしてmは約2から約200の範囲の整数である。
【0069】
別の態様によれば、水溶性の前記分散剤は水と合わせて水溶液を形成する。すなわちある態様では、分散剤は水溶液の総重量に基づき、少なくとも5重量%程度の分散剤まで、または少なくとも10重量%程度の分散剤まで、または少なくとも15重量%程度の分散剤まで、またはさらに少なくとも20重量%程度の分散剤まで水に可溶性である。さらに他の態様では、分散剤は水溶液の総重量に基づき、少なくとも25重量%程度の分散剤まで、または少なくとも30重量%程度に分散剤まで、または少なくとも35重量%程度の分散剤まで、またはさらに少なくとも40重量%程度の分散剤まで水に可溶性である。さらなる態様では、分散剤は水溶液の総重量に基づき、少なくとも45重量%程度の分散剤まで、または少なくとも50重量%程度の分散剤まで、または少なくとも55重量%程度の分散剤まで、または少なくとも60重量%程度の分散剤まで水に可溶性である。1つの特定の態様では、分散剤はすべての比率で水と混和性である。
【0070】
別の態様では、本開示は前記分散剤、顔料および溶媒成分を含んでなる水性顔料分散物を提供する。本明細書の用語「水性顔料分散物」は、高濃度の顔料が水に分散された水性顔料分散物を指し、これはインクの生成前の分散媒体として役立つ。
【0071】
本開示で使用する顔料は特に限定されず、そして一般に水性顔料分散物に使用できる有機または無機顔料を使用できる。未処理顔料または処理顔料のいずれかを使用することができる。
【0072】
特に既知の無機または有機顔料を使用することができる。無機顔料の例には、既知の方法、例えば接触法、ファーネス法および熱的法により生産された酸化鉄およびカーボンブラックを含む。有機顔料の例にはアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料およびキレートアゾ顔料を含む)、多環式顔料(例えばフタロシアニン顔料、ペリレーン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、およびキノフタロン顔料)、染料キレート(例えば塩基性染料キレートおよび酸性染料キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料およびアニリンブラックを含む。
【0073】
顔料の例をこれから色により記載する。ブラックインクに使用される顔料の例には、カーボンブラック、例えばミツビシケミカルコーポレーション(Mitsubishi Chemical Corporation)により製造されているNo.2300,No.2200B,No.900,No.960,No.980,No.33,No.40,No.45,No.45L,No.52,HCF88,MA7,MA8およびMA100;コロンビアンケミカルズカンパニー(Columbian Chemicals Company)により製造されているRaven5750,Raven5250,Raven5000,Raven3500,Raven1255,およびRaven700;カボットコーポレーション(Cabot Corporation;)により製造されているRegal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Mogul700,Monarch800,Monarch880,Monarch900,Monarch1000,Monarch1100,Monarch1300,およびMonarch1400;およびデガッサAG(Degussa AG)により製造されているColor Black FW1,FW2,FW2V,FW18,FW200,S150,S160,およびS170,Printex35,U,V,および1400U,Special Black6,5,4,および4A,NIPEX150,NIPEX160,NIPEX170,およびNIPEX180を含む。
【0074】
イエローインクに使用される具体的顔料の例は、C.I.Pigment Yellow1,2,12,13,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,109,110,114,120,128,129,138,150,151,154,155,174,180および185を含む。
【0075】
マゼンタインクに使用される顔料の具体的例は、C.I.Pigment Red5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,146,168,176,184,185,202,209および269およびC.I.Pigment Violet19を含む。
【0076】
シアンインクに使用される顔料の具体的例には、C.I.Pigment Blue1,2,3,15,15:3,15:4,16,22,60,63および66を含む。
【0077】
ホワイトインクに使用される顔料の具体例には、アルカリ土類金属の硫酸塩および炭酸塩、シリカ、例えばケイ酸塩の微細粉末、および合成されたケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、タルクおよび粘土を含む。これらの無機白色顔料は、様々な表面処理技術による表面処理に供することができる。
【0078】
本開示に使用される溶剤成分は、水または水と水溶性有機溶媒との混合物であることができる。本開示で使用する水は、顔料の分散媒体として役立つ。有用な水の例には限定するわけではないが、純水、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水および超純水を含む。
【0079】
これらの種類の水は単独で使用することができ、または水溶性溶媒と混合溶剤成分に合わせることができる。それらの例には様々な有機溶媒、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンおよびメチルイソブチルケトンのようなケトン;メタノール、エタノール、2-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノール、および2-メトキシエタノールのようなアルコール;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンおよび1,2-ジメトキシエタンのようなエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールのようなグリコール;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびそれらに相同のジオールのようなジオール;ラウリルプロピレングリコールのようなグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチルおよびジエチレングリコールモノヘキシル、およびプロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテルおよびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブのようなグリコールエーテル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、およびそれらに相同のアルコールのようなアルコール;スルホラン;ガンマ―ブチロラクトンのようなラクトン;N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドンのようなラクタム;およびグリセリンおよびそれらの誘導体を含む。これらの水溶性有機溶媒は、単独または組み合わせで使用することができる。
【0080】
水性顔料分散物中の分散剤の濃度は、乾燥顔料重量に基づき約0.1重量%から約40重量%の間であることができる。別の態様によれば、分散剤は水性顔料分散物中に、乾燥顔料重量に基づき約0.5重量%から約25重量%の間の量で存在する。さらに別の態様によれば、分散剤は水性顔料分散物中に乾燥顔料重量に基づき約1重量%から約10重量%の間の量で存在する。
【0081】
水性顔料分散物中の顔料の濃度は通常、水性顔料分散物の総重量に基づき約10重量%から約50重量%になるように調整される。水性顔料分散物がインクを生産するために使用される場合、意図する使用またはインクの物理的特性に基づき、顔料の濃度が約0.1重量%から約30重量%に調整されるように、インクはそれに水または添加剤の適切な添加を介して、水性顔料分散物を単に希釈することにより生産することができる。
【0082】
このようにある態様では、本開示の水性顔料分散物は希釈して所定のレベルの濃度に調整され、そして様々な応用、例えば自動車および建材の塗装;印刷用インク、例えばオフセットインク、グラビアアイドルインク、フレキソインクおよびシルクスクリーンインク;および水性インクジェット記録インクに使用することができる。
【0083】
本開示による水性顔料分散物中に存在する溶剤成分の量は、水性顔料分散物の総重量に基づき約30重量%から約99.8重量%、そしてある態様では、約50重量%から約95重量%、またはさらに約70重量%から約90重量%の間の範囲の任意の量であることができる。所定の最終的なインクの用途に適するような特定の水性顔料分散物の選択は、当業者に一般的に認識されるか、または想定されるように、具体的な応用の要件、例えば限定するわけではないが所望する表面張力および粘度、選択した顔料、インクの乾燥時間およびインクが印刷されることになる紙の種類に依存する。
【0084】
本開示の水性顔料分散物は、場合により保湿剤、充填剤、難燃剤、保存剤、光防御剤(photoprotectants)、表面活性剤、酸化防止剤、樹脂、消泡剤および帯電防止剤(antistats)からなる群から選択される通常の助剤を、好ましくは水性顔料分散物の総重量に基づき最高約20重量%の通常の量で含むことができる。
【0085】
別の態様では、水性顔料分散物への顔料の分散法を提供し、この方法は溶剤成分、顔料、および本開示の分散剤を乾燥顔料重量に基づき約0.1重量%から約40重量%で混合し、そして混合物、顔料を分散するために十分な時間、剪断に供することを含む。顔料を分散するために十分な時間は、一般に顔料および分散剤の性質および使用される装置に依存し、そして熟練者により決定されることになる。
【0086】
実施例
【実施例1】
【0087】
テトラヒドロフルフリルアルコール開始型ポリエーテルアミンの合成
二つの別個の合成手順において、2ポンドのテトラヒドロフルフリルアルコールを90gのKOHフレークと混合した。120℃で混合物から水を除去した後、37.2ポンドのエチレンオキシド(EO)を混合物に120℃で加え、続いて2.84ポンドのプロピレンオキシド(PO)を加えた。763グラムのマグネゾールを使用してカリウムイオンを除去した。次いで中間体ポリオールをアンモニアおよび水素と金属触媒を含む固定床反応槽で反応させた。アンモニアおよび水をストリッピングした後、生成したポリエーテルアミン生成物は約55℃の融点、および0.383meq/g、および0.480meq/gのアミン価をそれぞれ有した。
【実施例2】
【0088】
分散剤の合成
0.383meq/gのアミン価を有する実施例1の254グラムのポリエーテルアミンを、56.05グラムのARALDITE(商標)GY6010エポキシ樹脂と混合し、そして混合物を135℃で7時間反応させた。次いで分散剤生成物を、分散剤および水の総重量に基づき40重量%程度の分散剤に水で可溶化した。
【実施例3】
【0089】
分散剤の合成
0.383meq/gのアミン価を有する実施例1の368グラムのポリエーテルアミンを、56.05グラムのARALDITE(商標)GY6010エポキシ樹脂と混合し、そして混合物を135℃で7時間反応させた。次いで分散剤生成物を、分散剤および水の総重量に基づき40重量%程度の分散剤に水で可溶化した。
【実施例4】
【0090】
分散剤の合成
0.480meq/gのアミン価を有する実施例1の196グラムのポリエーテルアミンを、56.05グラムのARALDITE(商標)GY6010エポキシ樹脂と混合し、そして混合物を135℃で7時間反応させた。次いで分散剤生成物を、分散剤および水の総重量に基づき40重量%程度の分散剤に水で可溶化した。
【実施例5】
【0091】
分散剤の合成
0.480meq/gのアミン価を有する実施例1の294グラムのポリエーテルアミンを、56.05グラムのARALDITE(商標)GY6010エポキシ樹脂と混合し、そして混合物を135℃で7時間反応させた。次いで分散剤生成物を、分散剤および水の総重量に基づき40重量%程度の分散剤に水で可溶化した。
【実施例6】
【0092】
【表1-1】
【表1-2】
【0093】
前記は本開示の態様を対象としているが、本開示の他の、およびさらなる態様もそれらの基本的範囲から逸脱せずに考案でき、その範囲は以下の特許請求の範囲により定められる。