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特許71130425-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミドを含有する皮膚弾力増進又はシワ改善用組成物
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  • 特許-5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミドを含有する皮膚弾力増進又はシワ改善用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミドを含有する皮膚弾力増進又はシワ改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20220728BHJP
   A61K 31/166 20060101ALI20220728BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20220728BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220728BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K31/166
A61P17/18
A61P39/06
A61Q19/08
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020059918
(22)【出願日】2020-03-30
(62)【分割の表示】P 2017547091の分割
【原出願日】2016-03-29
(65)【公開番号】P2020114853
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2015-0045397
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】アモーレパシフィック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】100, Hangang-daero, Yongsan-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュ, ヨン ヒョプ
(72)【発明者】
【氏名】ペク, フン ス
(72)【発明者】
【氏名】フヮン, ジョン ア
(72)【発明者】
【氏名】イ, ヘ クヮン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨン ジン
(72)【発明者】
【氏名】シン, ホン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジョン フヮン
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-290177(JP,A)
【文献】特開2008-247901(JP,A)
【文献】特表2014-529583(JP,A)
【文献】Van Thai Ha, et al.,NF-κB/AP-1-Targeted Inhibition of Macrophage-Mediated Inflammatory Responses by Depigmenting Compou,Mediators of Inflammation,2014年10月19日,vol.2014,pages 1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 31/00-31/327
A61P 17/00-17/18
A61P 39/00-39/06
C09K 15/00-15/34
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシ ベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その薬学的に許容可能な塩、その水和物 又はその溶媒和物を有効成分として含む皮膚弾力増進又はシワ改善用組成物であって、
前記有効成分は、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(Matrix metallop rotease-1、MMP-1)の発現を抑制し、
前記有効成分は、前記組成物の全質量を基準に0.01質量%~20質量%の範囲である、
皮膚弾力増進又はシワ改善用組成物
【化1】
【請求項2】
前記組成物はコラーゲン又はエラスチンを増進させる、請求項1に記載の皮膚弾力増進 又はシワ改善用組成物。
【請求項3】
前記組成物は抗老化作用を有する、請求項1又は2に記載の皮膚弾力増進又はシワ改善 用組成物。
【請求項4】
前記組成物は化粧料、食品、又は医薬組成物である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-
2,4-ジメトキシベンズアミド及びこれを含む組成物の抗酸化及び抗老化用途に関する
【背景技術】
【0002】
すべての生物体は年を取りながら老化するが、皮膚も同じである。このような老化を遅延させようとする努力は絶えず続けられており、これに伴い、老化の本質が何であり老化がなぜ起きるのかについての疑問も絶えず提起されてきている。皮膚の老化は、その要因によって二種類に大別することができる。その一つは、皮膚の構造や生理的な機能が加齢に伴って減退し続ける自然老化(Intrinsic aging)であり、もう一つは、太陽光線などの累積した外部ストレスによって発生する外因性老化(Extrinsic aging)である。特に、太陽光は周知の老化原因の一つであって、長時間紫外線に露出した皮膚は角質層が厚くなり、皮膚の主な構成要素であるコラーゲンとエラスチンが変性して皮膚の弾力性を低下させるようにする。このように皮膚の老化現象は、様々な機能的・構造的変化を伴う。先ず、老化に伴う皮膚の構造的変化について検討すると、皮膚の構成成分である表皮、真皮、及び皮下組織の厚さが薄くなる。また、皮膚の弾力とハリを担う真皮組織の細胞外マトリックス(ECM;extracelluar matrix)成分が変化するようになる。ECMは大きく二種類の成分から構成されている。その一つはECM全体の約2~4%を占める弾性線維(elastic fiber)であり、もう一つはECM全体の約70~80%を占めているコラーゲンである。老化が進行するにつれ、皮膚の弾力性が大きく低下するが、これはコラーゲンやエラスチンの減少に起因する。このようなコラーゲンとエラスチンは様々な要因によって調節されるが、コラゲナーゼ(collagenase)やエラスターゼ(elastase)のようなマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metallo protease)の発現によって生成されたコラーゲンやエラスチンが分解し、結果として、皮膚内のコラーゲン含量が減少する現象が生じるようになる。真皮でコラーゲンやエラスチンが減少すると、皮膚の表皮が荒くなり老化現象である弾力減少が現れる。このような弾力減少の原因になるコラーゲンやエラスチンの減少を抑制しようとする目的から、様々な物質が開発され用いられてきており、特にレチノールやレチノイン酸などのレチノイドのシワ改善又は弾力改善効果は周知の事実である。
【0003】
また、老化と酸化作用との関連性は多くの研究を通して周知となった事実であり、特に、皮膚老化から誘発されるシワの生成や局所的な黒化現象も、このような酸化現象と密接な関連があると知られている。同じ年齢といっても年齢よりはるかに若く見える人がいる反面、ある人は実際の年齢よりはるかに老けて見える場合もある。皮膚のシワ生成及び局所的な黒化現象のような老化現象の原因としては、加齢などの内因性要因、骨格や筋肉の形、筋肉の持続的な弛緩や収縮による遺伝的な要因、及び環境汚染物質、ストレスなどによる環境的な要因に分類することができる。これらの多様な要因による皮膚老化現象によって角質形成細胞及び繊維細胞の分裂減少、コラーゲン合成の減少、MMP生成の増加、メラニン生成のシグナル伝達増加などによるシワは増加し且つ皮膚の弾力は減少し、またシミ、ソバカス及び老人性色素斑が増加するようになる。特に、近年、研究を通して、健康な皮膚の場合はスーパーオキシドディスムターゼ(Superoxide Dismutase)、カタラーゼ(Catalase)に代表される生体抗酸化防御因子によってフリーラジカル(Free Radical)が除去されているが、このような除去が完全になされないと、活性酸素(フリーラジカルの一種)による酸化作用が発生して皮膚細
胞及び組織の機能が低下し、これが原因で皮膚のシワ生成や局所的な黒化現象が促進されることが分かった。このような生体酸化反応性の強い活性酸素は、外因性要因(公害、ストレス)や内因性要因(生体内エネルギー代謝過程)で生成が促進され、脂肪質と結合して過酸化脂質という害になる物質を産生したりもする。前記過酸化脂質は、血管に作用して動脈硬化や血栓症をはじめとした各種の成人病を誘発させる。また、健康な皮膚と密接な関連があるコラーゲンの生成能力の低下及びこれらコラーゲン繊維の異常な絡まり合い現象が増加して皮膚弾力が顕著に低下し、皮膚保湿を担うヒアルロン酸や糖蛋白質の一種であるグリコサミノグリカンの生成量が顕著に低下することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】大韓民国公開特許第10-2013-0015954号
【非特許文献】
【0005】
【文献】Photoaging and Tretinoin, S Kang., Dermatol Clin, 16 (2), 357-364, 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一側面において、本発明は、毒性がなく且つ抗酸化と抗老化のいずれか一つ以上の活性に優れる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面において、本発明は、有効成分として、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を含む抗酸化又は抗老化組成物を提供する。
【0008】
一具体例において、前記5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベ
ンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、
そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物は、フリーラジカルを消去することができる。
【0009】
他の具体例において、前記5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシ
ベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩
、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物は、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(Matrix metalloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制することができる。
【0010】
一側面において、本発明の組成物は化粧料、食品、又は医薬組成物である抗酸化又は抗老化組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面において、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシ
ベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩
、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を有効成分とする組成物は、毒性がなく且つ優れた抗酸化又は抗老化効果を奏することができる。
【0012】
本発明の一側面に係る抗酸化組成物は、フリーラジカルを消去する効果がある。
【0013】
本発明の一側面に係る抗老化組成物は、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(Matrix metalloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】Raw 264.7 cellにおける5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図1において、「AP736」という)の細胞生存率の測定グラフである。
図2】5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図2において、「AP736」という)の抗酸化効果をDPPH法にて測定したグラフである。
図3】5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図3において、「AP736」という)の抗老化効果を確認するために、MMP-1発現量を測定したグラフである(図3中のRAはレチノイン酸)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一側面において、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシ
ベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩
、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む抗酸化組成物を提供する。具体的に、前記抗酸化は皮膚抗酸化であってよい。
【0016】
本発明の一側面において、対象の抗酸化を増進させるための方法であって、前記方法は、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物の有効量を、これを必要とする対象に投与する段階を含む方法を提供する。
【0017】
本発明の一側面において、抗酸化を増進させるための組成物を製造するに際する、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物の用途を提供する。
【0018】
本発明の一側面において、抗酸化を増進させるための5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を提供する。
【0019】
具体的に、前記抗酸化は皮膚抗酸化であってよい。
【0020】
一具体例において、前記5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベ
ンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、
そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物は、フリーラジカルを消去する抗酸化組成物を提供する。
【0021】
本発明の他の側面において、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキ
シベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な
塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む抗老化組成物を提供する。
【0022】
本発明の他の側面において、対象の抗老化を増進させるための方法であって、前記方法
は、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物の有効量を、これを必要とする対象に投与する段階を含む方法を提供する。
【0023】
本発明の他の側面において、抗老化を増進させるための組成物を製造するに際する、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物の用途を提供する。
【0024】
本発明の他の側面において、抗老化を増進させるための5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を提供する。
【0025】
一具体例において、前記5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベ
ンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、
そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物は、マトリックスメタロプロテアーゼ-1(Matrix metalloprotease-1、MMP-1)の発現を抑制する抗老化組成物を提供する。
【0026】
具体的に、前記抗老化は皮膚抗老化であってよい。
【0027】
本発明のまた他の側面において、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒド
ロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可
能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む皮膚弾力増進又はシワ改善用組成物を提供する。
【0028】
本発明のまた他の側面において、対象の皮膚弾力の増進やシワを改善させるための方法であって、前記方法は、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベン
ジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そ
のプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物の有効量を、これを必要とする対象に投与する段階を含む方法を提供する。
【0029】
本発明のまた他の側面において、皮膚弾力の増進やシワを改善させるための組成物を製造するに際する、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)
-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロ
ドラッグ、その水和物又はその溶媒和物の用途を提供する。
本発明のまた他の側面において、皮膚弾力の増進やシワを改善させるための5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を提供する。
【0030】
本発明の他の側面において、前記抗酸化、抗老化、又は皮膚弾力の増進又はシワ改善用組成物は、化粧料、食品、又は医薬組成物である、抗酸化、抗老化、又は皮膚弾力増進又はシワ改善用組成物を提供する。
【0031】
本発明の一実施例において、本発明は、有効成分として、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を含む組
成物である。
【0032】
本発明の一側面において、下記の化学式1で表される製造方法は次のとおりである。
【0033】
【化1】
【0034】
本発明の一側面は、
i)酸触媒下でヒドロキシ安息香酸とアダマンタ化合物とを反応させ、アダマンタニル-ヒドロキシ安息香酸を合成する段階;
ii)アダマンタニル-ヒドロキシ安息香酸とアルキルスルフェートを反応させ、アダマンタニル-アルコキシ安息香酸を合成する段階;及び
iii)アダマンタニルアルコキシ安息香酸とヒドロキシ基が置換されたアルキルフェニルアミンを反応させ、アダマンタン基が置換された安息香酸アミド化合物を合成する段階を含む、アダマンタン基が置換された安息香酸アミド化合物の製造方法を提供する。
【0035】
本発明の一側面に係るアダマンタン基が置換された安息香酸アミド化合物の製造方法は、下記反応式1で図式化することができる。
【0036】
【化2】
【0037】
前記反応式1中、
R1、R3、及びR4は、それぞれ水素、ヒドロキシ、C1~C5アルコキシ、C3~C6シクロアルコキシ、アリールオキシ、及びC1~C5ハロアルコキシからなる群から独立して選択され、
R2は、水素、C1~C5アルキル、C3~C6シクロアルキル、アリル、及びC1~C5ハロアルキルからなる群から選択され、nは1~5から選択された整数である。
【0038】
本発明の他の一側面に係るアダマンタン基が置換された安息香酸アミド化合物の製造方法は、
i)酸触媒の存在下でジヒドロキシ安息香酸とアダマンタン化合物を反応させ、アダマンタニル-ジヒドロキシ安息香酸を合成する段階;
ii)水酸化塩の存在下でアダマンタニル-ジヒドロキシ安息香酸とジアルキルスルフェートを反応させ、アダマンタニル-ヒドロキシ-アルコキシ安息香酸又はアダマンタニル-ティアルコキシ安息香酸を合成する段階;及び
【0039】
iii)アダマンタニル-ヒドロキシ-アルコキシ安息香酸又はアダマンタニル-ティアルコキシ安息香酸とヒドロキシ基が置換されたベンジルアミン又はフェネチルアミンを反応させ、アダマンタン基が置換された安息香酸アミド化合物を合成する段階を含んでいてよい。
【0040】
本発明のまた他の一側面に係るアダマンタン基が置換された安息香酸アミド化合物の製造方法は、
i)ジクロロメタン溶媒で酢酸と硫酸触媒存在下で2,4-ジヒドロキシ安息香酸と1
-アダマンタノルを室温で反応させ、5-アダマンタニル-2,4-ジヒドロキシ安息香
酸を合成する段階;
ii)水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下で5-アダマンタニル-2,4-
ジヒドロキシ安息香酸とジメチルスルフェートを反応させ、5-アダマンタニル-2-ヒドロキシ-4-メトキシ安息香酸又は5-アダマンタニル-2,4-ジメトキシ安息香酸
を合成する段階;及び
iii)N-ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下で5-アダマンタニル-2-ヒドロキシ-4-メトキシ安息香酸又は5-アダマンタニル-2,4-ジメトキシ安息香酸とヒドロキシ基が置換され
たベンジルアミン又はフェネチルアミンを反応させ、アダマンタン基が置換された安息香酸アミド化合物を合成する段階を含んでいてよい。
【0041】
前記製造過程を経て製造された5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロ
キシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能
な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物は、抗酸化及び抗老化の効果がある。
【0042】
本発明の一側面において、抗酸化及び抗老化効果のある5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を有効成分として含む組成物が提供される。
【0043】
本発明の一側面に係る組成物は、組成物の全重量を基準に0.01質量%~20質量%の範囲の前記化合物、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物を含んでいてよい。
【0044】
一観点において、前記5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベン
ジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そ
のプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物は、組成物の全重量を基準に0.01質量%以上、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.04質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.4質量%以上、0.5質量%以上、0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上、1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上、4.0質量%以上
、4.1質量%以上、4.2質量%以上、4.3質量%以上4.4質量%以上、4.5質量%以上、4.6質量%以上、4.7質量%以上、4.8質量%以上、4.9質量%以上、又は5.0質量%以上であってよい。
【0045】
一観点において、前記5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベン
ジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そ
のプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物は、組成物の全重量を基準に20質量%以下、19.5質量%以下、19質量%以下、18質量%以下、17質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5.9質量%以下、5.8質量%以下、5.7質量%以下、5.6質量%以下、5.5質量%以下、5.4質量%以下、5.3質量%以下、5.2質量%以下、又は5.1質量%以下であってよい。
【0046】
前記5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物が前記範囲内で含まれる場合、本発明の意図した効果を奏するうえで適切であるだけでなく、組成物の安定性や安全性をいずれも満たすことができ、且つコスト対比効果の面でも前記範囲で含むことが好適である。具体的に、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド、その異性体、その薬学的に許容可能な塩、そのプロドラッグ、その水和物又はその溶媒和物が前記範囲内で含まれる場合、毒性なしで効果的に抗酸化及び抗老化効能を得ることができる。
【0047】
一実施例において、前記組成物は、化粧料、食品、又は医薬組成物であってよい。
【0048】
本明細書に係る薬学組成物は、経口又は非経口の種々の剤形であってよい。製剤化する場合には、通常用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調剤される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、軟質又は硬質のカプセル剤などが含まれ、これらの固形製剤は、一つ以上の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤の他、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどのような滑沢剤も用いられる。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、多用される単純希釈剤である水、流動パラフィンの他、種々の賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれていてよい。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、座薬が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが用いられていてよい。座薬の基材としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴ-ル、ツイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが用いられていてよい。
【0049】
本発明に係る組成物の薬学的投与形態は、これらの薬学的に許容可能な塩の形態でも用いられていてよく、また単独で、或いは他の薬学的活性化合物との結合だけでなく適当な集合で用いられていてよい。前記塩としては、薬学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、蟻酸、酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などを用いていてよい。
【0050】
本発明に係る組成物は、目的に応じて非経口投与又は経口投与をすることができ、一日に体重1kg当たり0.01~500mg、好ましくは0.1~100mgの投与量となるように1~数回に分けて投与していてよい。特定の患者に対する投与用量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率、疾患の重症度に応じて変えていてよい。
【0051】
本発明に係る薬学組成物は、それぞれ通常の方法にて散剤、顆粒剤、錠剤、軟質又は硬質カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、軟膏、クリームなどの外用剤、座薬、注射剤及び滅菌注射溶液などをはじめとした薬剤学的製剤に適合したいずれの形態でも剤形化して使用されていてよい。
【0052】
本発明に係る組成物は、ラット、ハツカネズミ、家畜、ヒトなどの哺乳動物に非経口、経口などの様々な経路から投与されていてよく、投与のあらゆる方式は予想できるが、例えば、経口、直腸、又は静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜又は脳血管内(intracerebroventricular)注射によって投与されていてよい。
【0053】
本発明の一側面において、食品組成物は健康機能食品組成物であってよい。
【0054】
本明細書に係る食品組成物の剤形は特に限定されないが、例えば、錠剤、顆粒剤、粉末剤、ドリンク剤のような液剤、キャラメル、ゲル、バーなどに剤形化されていてよい。各剤形の食品組成物は、有効成分の他、当該分野において通常的に用いられる成分を剤形又は使用目的に応じて当業者が困難なく適宜選定して配合していてよく、他の原料と同時に適用する場合、相乗効果が生じることがある。
【0055】
本明細書に係る食品組成物において、前記有効成分の投与量の決定は、当業者の水準内にあり、その1日投与用量は、例えば、0.1mg/kg/日~5000mg/kg/日、より具体的には、1mg/kg/日~500mg/kg/日であってよいが、これに制限されるものではなく、投与しようとする対象の年齢、健康状態、合併症などの多様な要因によって変わることがある。
【0056】
本明細書に係る食品組成物は、例えば、チューインガム、キャラメル製品、キャンディ類、氷菓子類、菓子類などの各種の食品類、清涼飲料、ミネラルウォーター、アルコール飲料などの飲料製品、ビタミンやミネラルなどを含む健康機能性食品類であってよい。
【0057】
前記したものの他、本発明の一側面に係る食品組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含んでいてよい。その他、本発明に係る機能性食品組成物は、天然果物ジュース及び果物ジュース飲料、並びに野菜飲料の製造のための果肉を含んでいてよい。このような成分は、独立して、又は組み合わせて用いていてよい。これらの添加剤の比率はさして重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり0~約20重量部の範囲で含まれるのが一般的である。
【0058】
前記化粧品組成物は、その剤形が特に限定されず、目的とするところに応じて適宜選択すればよい。例えば、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファウンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、クレンジングフォーム、クレジングローション、クレンジングクリーム、ボディーローション、及びボディークレンザーか
らなる群より選択されたいずれか一つ以上の剤形で製造されていてよいが、これらに制限されるものではない。
【0059】
本発明の剤形が、ペースト、クリーム、又はゲルである場合は、担体成分として、動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが用いられていてよい。
【0060】
本発明の剤形が、パウダー又はスプレーである場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はポリアミドパウダーが用いられていてよく、特にスプレーである場合は、更に、クロロフルオロハイドロカーボン、プロパン/ブータン、又はジメチルエーテルのような推進剤を含んでいてよい。
【0061】
本発明の剤形が、溶液又は乳濁液の場合は、担体成分として、溶媒、溶媒和剤、又は乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-
ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0062】
本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール、又はプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、又はトラガカントなどが用いられていてよい。
【0063】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホサクシネートモノエステル、イセチオン酸、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられていてよい。
【0064】
前記有効成分の含量は特に制限されないが、組成物の総質量を基準として0.01~20質量%の範囲で含まれていてよい。前記有効成分が前記含量を満たす場合、副作用なしで優れた効能を奏することができる。
【0065】
前記化粧品組成物には機能性添加物及び一般的な化粧品組成物に含まれる成分が更に含まれていてよい。前記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スピンゴ脂質、及び海草エキスからなる群より選択された成分を含んでいてよい。
【0066】
本発明の化粧品組成物にはまた、前記機能性添加物と共に必要に応じて一般的な化粧品組成物に含まれる成分を配合してもよい。その他含まれる配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0067】
以下、実施例及び実験例を挙げて本発明の構成及び効果をより具体的に説明する。なお、これらの実施例及び実験例は、本発明についての理解を助けるために単に例示の目的から提供されたものであるに過ぎず、本発明の範疇及び範囲がこれらによって制限されるも
のではない。
【0068】
[実施例]5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミドの製造
5-アダマンタン-1-イル-2,4-ジメトキシ安息香酸(0.634g)、N-ヒ
ドロキシコハク酸イミド(0.24g)、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.43g)をジオキサン(10mL)に溶かして12時間攪拌する。生成された固体をろ過し、そのろ過液を2,4-ジヒドロキシベンジルアミン臭素酸塩(0.54g)、中炭
酸ナトリウム(0.18g)、水(2mL)の混合溶液に滴下し、50℃で2時間攪拌する。反応が終わった後、溶液の温度を室温に下げてから、10%のHCl溶液で中和し、エチルアセテート(50mL)で洗い流す。有機溶液層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して、減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィーにて分離して、白色固体の目的物0.14gを収得する。
【0069】
前記白色固体をNMR分析で確認した結果、下記のようなシグナルを確認し、白色固体が5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミドであることを確認することができた。
【0070】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ 9.67 (s, 1H), 9.13 (s, 1H), 8.51 (m, 1H), 7.78 (m,1H), 6.92 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 6.66 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 6.16 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 4.30 (d, 2H, J = 5.4 Hz), 3.93 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 1.98 (s, 9H), 1.71 (s,
6H)
【0071】
以下、本発明の一効果について様々な実験例を挙げて説明するが、これは例示的なものに過ぎず、本発明の権利範囲を制限するものではない。
【0072】
細胞培養
RAW264.7 cells(マウスマクロファージ細胞株(murine marcrophage cell line)としてのATCC(Rockville、MD、USA)から購入)を、37℃、5%のCO下、FBS(10% heat-inactivated fetal bovine serum;Gibco,Grand
Island、NY、USA)、glutamine、antibiotics(penicillin and streptomycin)下で補強したRPMI 1640培地で培養した。
【0073】
すべての実験で細胞はセルスクレーパーで剥がした。実験で2×10cells/mLの濃度で培養したとき、死んだ細胞の比率は1%以下であった(トリパンブルー分染法(Trypan blue dye exclusion)で確認した)。
【0074】
[実験例1]5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-
2,4-ジメトキシベンズアミドの細胞毒性試験
5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミドの抗炎症評価のために、適正な抽出物処理濃度を確認するために実験に使用した細胞における5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジ
ル)-2,4-ジメトキシベンズアミドの濃度別の細胞毒性を確認した。
【0075】
継代培養中であったRaw264.7 cellをウェルプレートに1×10cell/wellになるように細胞を敷いた。18時間細胞を培養した後、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図1において「AP736」という)の濃度が0~30μMになるように試料処理を施し
た。8時間又は24時間培養器で培養した。細胞毒性効果は、通常のMTT法にて行った。培養の最後3時間前に10μLのMTT{3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]-2,5-diphenyltetrazolium bromide}溶液(10mg/mL in phosphate-buffered saline、pH7.4)を各ウェルに添加した。15% SDS(sodium dodecyl sulfate)を各ウェルに添加して反応を終了させた後、ホルマザン結晶を溶解した。次いで、マイクロプレートリーダー上で570nm吸光度を測定した。
【0076】
その結果を図1に示した。5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシ
ベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミドは、10及び20μMの濃度で8時間及び
24時間Raw264.7細胞に対して毒性を示さず、100%近くの細胞生存率を確認し、また30μMMの濃度でも24時間培養したとき、80%近くの細胞生存率を確認し
た。
【0077】
[実験例2]5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-
2,4-ジメトキシベンズアミドの抗酸化評価(DPPH評価)
DPPHフリーラジカル消去評価法は次のように行った。
【0078】
実施例で製造された5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジ
ル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図2において「AP736」という)を0~2
00μg/mlの濃度で調節した反応物とDPPHのメタノール溶液(0.2mM)を30分間培養(incubation)し、その溶液の吸光度を517nmで測定した。消去能は下記の数学式1のようにcontrol DPPH solution(100%)と比較した値を%と表示した。
【0079】
【数1】
【0080】
測定結果を図2に示した。y軸はDPPHラジカル消去活性%を、x軸は試料の濃度を表し、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図2において「AP736」という)の濃度の増加に伴いラジカル消去%が増加したことを示し、参考物質としては強力な抗酸化剤であるvitamin
Cと比較した。前記実験の結果、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒド
ロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図2において「AP736」とい
う)は抗酸化剤の役割を果たし得るものと判断された。特に、安定性の面において、vitamin Cに比べて優れた長所があると予想される。
【0081】
[実験例3]5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-
2,4-ジメトキシベンズアミドの抗老化評価(MMP-1 assay)
【0082】
試料の抗老化効能を確認するために、紫外線(UV)により誘導されるマトリックスメタロプロテアーゼ-1(Matrix metalloprotease-1、MMP-1)の発現をどれくらい抑制できるかを調べる実験を行った。
【0083】
ヒト線維芽細胞(HS68 cells、ATCC(Rockville、MD、US
A)から購入)をウェルプレートに各ウェル当たり7.5×10cells/wellで敷いた後、10% FBSを含むDMEM(Dulbecco's Modified
Eagle's medium)を利用して24時間培養した後、PBS(Phosp
ate-buffered saline)で洗い流してからPBS 0.5mlを入れ、紫外線を照射して、MMP-1の発現を誘導した。Serum-Free DMEMに変えた後に実施例で製造された5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキ
シベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図3において「AP736」という)
処理を施し、一定時間(48時間)の培養後に上層液を取り、その上層液の量をMMP-1 ELISA Kitを利用して測定した。
【0084】
すなわち、ヒト真皮線維芽細胞株であるHS68 cellsに紫外線処理を施してMMP-1の発現量を増加させた後、それぞれの試料に処理を施してその発現量が減少したか否かを調べた。
【0085】
実験結果を図3に示した。x軸は何の処理も施していないcontrol群(y軸100%基準)と紫外線処理(NT)を施したときの発現量の増加(200%)を示し、これにMMP-1発現を阻害すると知られているレチノイン酸(RA)処理を施した場合、発現量の減少が見られ、同様に、5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキ
シベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図3において「AP736」という)
の濃度を0.1、0.5、1μMに増加させたときにMMP-1が減少する傾向を見せた。すなわち、実験例1において確認したのと同様、細胞毒性のない範囲で5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド(図3において「AP736」という)はMMP-1の発現を抑制した結果を示している。
【0086】
以下、前記したように本発明の一側面に係る抗酸化又は抗老化効果のある組成物の剤形例について説明するか、他の様々な剤形への応用も可能であり、且つ、これらは本発明を限定するためのものではなく、単に具体的に説明するためのものである。
【0087】
[剤形例1]健康食品
【0088】
5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド................10mg
ビタミン混合物
ビタミンAアセテート..............70μg
ビタミンE.......................1.0mg
ビタミンB1.....................0.13mg
ビタミンB2.....................0.15mg
ビタミンB6.....................0.5mg
ビタミンB12...................0.2μg
ビタミンC.......................10mg
ビオチン.........................10μg
ニコチン酸アミド.................1.7mg
葉酸.............................50μg
パントテン酸カルシウム...........0.5mg
無機質混合物
硫酸第1鉄.......................1.75mg
酸化亜鉛.........................0.82mg
炭酸マグネシウム.................25.3mg
第1リン酸カリウム...............15mg
第2リン酸カルシウム.............55mg
クエン酸カリウム.................90mg
炭酸カルシウム...................100mg
塩化マグネシウム.................24.8mg
【0089】
前記のビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的に健康食品に適合した成分を好適な実施例にて混合組成したが、その配合比は任意に変形実施してもよい。
【0090】
[剤形例2]健康飲料
5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド................10mg
クエン酸..........................1000mg
オリゴ糖..........................100g
タウリン..........................1g
精製水............................残量
【0091】
通常の健康飲料の製造方法により前記成分を混合してから、約1時間、85℃で攪拌加熱した後、調製された溶液をろ過して滅菌する。
【0092】
[剤形例3]錠剤
5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド1mg、大豆抽出物50mg、ブドウ糖100mg、紅参抽出物50mg、デンプン96mg、及びマグネシウムステアレート4mgを混合し、30%エタノールを40mg添加して顆粒を造粒した後、60℃で乾燥し、打錠機を利用して錠剤に打錠する。
【0093】
[剤形例4]顆粒剤
5-アダマンタン-1-イル-N-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,4-ジメトキシベンズアミド1mg、大豆抽出物50mg、ブドウ糖100mg、及びデンプン600mgを混合し、30%エタノールを100mg添加して顆粒を造粒した後、60℃で乾燥し、分包充填した。
【0094】
[剤形例5]化粧水
下記の表1に表した組成にて通常の方法により化粧水を製造する。
【0095】
【表1】
【0096】
[剤形例6]栄養クリーム
下記の表2に表した組成にて通常の方法により栄養クリームを製造する。
【0097】
【表2】
【0098】
[剤形例7]マッサージクリーム
下記の表3に表した組成にて通常の方法によりマッサージクリームを製造する。
【0099】
【表3】
【0100】
[剤形例8]パック
下記の表4に表した組成にて通常の方法によりパックを製造する。
【0101】
【表4】
【0102】
[剤形例9]ゲル
下記の表5に表した組成にて通常の方法によりゲルを製造する。
【0103】
【表5】
【0104】
[剤形例10]軟膏
下記の表6に記載された組成にて通常の方法により軟膏を製造した。
【0105】
【表6】
図1
図2
図3