(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
G16H 40/60 20180101AFI20220728BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220728BHJP
A61G 12/00 20060101ALN20220728BHJP
【FI】
G16H40/60
G06F3/01 510
A61G12/00 Z
(21)【出願番号】P 2020100956
(22)【出願日】2020-06-10
(62)【分割の表示】P 2015135659の分割
【原出願日】2015-07-06
【審査請求日】2020-06-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】平井 栄太
(72)【発明者】
【氏名】篠藤 博憲
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-048644(JP,A)
【文献】特開2012-252613(JP,A)
【文献】特開2013-205430(JP,A)
【文献】特開2010-191487(JP,A)
【文献】特開2013-195725(JP,A)
【文献】特開2015-022357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
G06F 3/01
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置又は前記第1位置とは異なる第2位置に情報を表示可能な表示制御手段と、
エリアに存在する対象者が表示対象者であるか否かと、当該対象者の顔の向きを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記対象者の特性を判定し、
前記表示制御手段は、
前記対象者が表示対象者であると判定された場合、前記対象者が向いている顔の向き
に基づいて、第1位置又は第2位置の
うち何れか一方
の表示位置を特定し、
前記特定された表示位置に前記対象者の特性に対応した情報を表示する制御を行い、
前記対象者が表示対象者でないと判定された場合、前記情報を表示しない制御を行
い、
前記エリアに前記表示対象者の特性が医療従事者又は介護スタッフがいる場合には前記情報を表示し、前記エリアにそれ以外の者が含まれている場合には、前記情報を表示しない制御を行う
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
第1位置又は前記第1位置とは異なる第2位置に情報を表示可能な表示制御手段と、
エリアに存在する対象者が表示対象者であるか否かと、当該対象者の顔の向きを判定する判定手段と、
を備え、
前記第1位置は床面の位置であり、第2位置は床面以外の位置であり、
前記判定手段は、前記対象者の特性を判定し、
前記表示制御手段は、
前記対象者が表示対象者であると判定された場合、前記対象者が向いている顔の向きに基づいて、第1位置又は第2位置のうち何れか一方の表示位置を特定し、
前記特定された表示位置に前記対象者の特性に対応した情報を表示する制御を行い、
前記対象者が表示対象者でないと判定された場合、前記情報を表示しない制御を行い、
前記対象者の特性が高齢者の場合、第1位置であり、かつ、前記対象者が向いている顔の向きの位置に前記情報を表示する制御を行う
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記エリアに表示対象者でない者が存在すると判断された場合、前記情報を表示しない制御を行うことを特徴とする請求項1
又は2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示対象者は、第1表示対象者、第2表示対象者を含み、
前記表示制御手段は、
前記エリアに第1表示対象者が存在すると判断された場合に、第1情報を表示する制御を行い、
前記エリアに第2表示対象者が存在すると判断された場合に、前記第1情報と異なる第2情報を表示する制御を行う
ことを特徴とする請求項1から
3の何れか一項に記載の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種情報を与える装置が知られている。これらの装置は、例えばベッドサイドに設けられることで、患者の情報を適切に伝えることができる。また、リハビリのときに使用者に各種情報を表示する発明が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
また、特許文献3のように、医療分野において、禁止されている医療行為を表示することにより医療従事者に情報を提供する発明や、介護分野の場合において、介護スタッフに対して情報を提供することにより、適切な介護や、被介助者に対するリスクを軽減させる発明が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-260150号公報
【文献】特表2010-517731号公報
【文献】特開2009-271574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、無差別に情報を与えると、患者やスタッフの区別無く情報が表示されてしまうことになり、情報を必要としない対象者に情報を与えることにより混乱を招いたり、情報を与えてはいけない対象者にも情報を与えてしまったりするといった課題があった。
【0006】
とくに医療情報等の場合、医療スタッフか介護スタッフにのみ伝えたい情報があるが、患者やその家族に伝わる事で、不必要な不安を招いたりする場合があった。また、介護の分野では、高齢者等に過多な情報を提供してしまうと、混乱や勘違いで予想外の行動やリスクを招くといった課題があった。
【0007】
上述した課題に鑑み、本発明が目的とするところは、情報を与える対象者をセンシングにより適切に判定することで、情報を提供したい対象者に適切に情報を提供することが可能な表示制御装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題に鑑み、本発明の表示制御装置は、
メッセージを表示可能な表示手段と、
認識エリアに存在する対象者の特性をセンシングにより判定する特性判定手段と、
前記特性判定手段により、前記対象者が表示対象者であると判定された場合には、前記表示手段にメッセージを表示する制御を行い、前記対象者が表示対象者以外であると判定された場合には前記表示手段にメッセージを表示しない制御を行う表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のプログラムは、コンピュータに、
メッセージを表示可能な表示機能と、
認識エリアに存在する対象者の特性をセンシングにより判定する特性判定機能と、
前記特性判定機能により、前記対象者が表示対象者であると判定された場合には、前記表示機能にメッセージを表示する制御を行い、前記対象者が表示対象者以外であると判定された場合には前記表示機能にメッセージを表示しない制御を行う表示制御機能と、
を実現させることを特徴とする。
【0010】
本発明の表示制御方法は、
メッセージを表示可能な表示ステップと、
認識エリアに存在する対象者の特性をセンシングにより判定する特性判定ステップと、
前記特性判定ステップにより、前記対象者が表示対象者であると判定された場合には、前記表示ステップにメッセージを表示する制御を行い、前記対象者が表示対象者以外であると判定された場合には前記表示ステップにメッセージを表示しない制御を行う表示制御ステップと、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の表示システムは、
対象者をセンシングして認識する認識装置と、メッセージを表示可能な表示装置と、制御装置とを含む表示システムであって、
前記制御装置は、
前記認識装置により認識エリアに存在する対象者を認識し、当該対象者の特性を判定する特性判定手段と、
前記特性判定手段により、前記対象者が表示対象者であると判定された場合には、前記表示装置にメッセージを表示する制御を行い、前記対象者が表示対象者以外であると判定された場合には前記表示装置にメッセージを表示しない制御を行う表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、認識エリアに存在する対象者の特性をセンシングにより判定し、表示対象者であると判定された場合には、前記表示手段にメッセージを表示する制御を行い、前記対象者が表示対象者以外であると判定された場合には前記表示手段にメッセージを表示しない制御を行うことができる。したがって、センシングにより、例えばスタッフと判定された特性の対象者を表示対象者として情報を与えることが可能となる。また、表示対象者以外には情報が伝わらないことから、不要な混乱を避けたり、いたずらに不安を与えることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態における全体を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態における機能構成を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態における人体の認識方法について説明するための図である。
【
図4】第1実施形態における表示領域について説明するための図である。
【
図5】第1実施形態における特性判定テーブルのデータ構成の一例である。
【
図6】第1実施形態における表示位置テーブルのデータ構成の一例である。
【
図7】第1実施形態におけるメイン処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第1実施形態における表示決定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】第1実施形態における適用例を説明するための図である。
【
図10】第2実施形態における表示決定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】第2実施形態における適用例を説明するための図である。
【
図12】第3実施形態における表示決定処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】第3実施形態における適用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明の表示制御装置(表示システム)を適用した一例であり、発明の内容が、本実施形態に限定されるものではないのは勿論である。
【0015】
[1.第1実施形態]
[1.1 システム外観]
第1実施形態における表示システム1の全体について、
図1を用いて説明する。
図1に示すように、表示システム1は、対象者Pを認識する認識装置20と、画像を表示する画像表示装置30とを有しており、これらが制御装置10(画像表示制御装置)に接続されている。
【0016】
本実施形態では、画像表示装置30の一例として、画像表示装置(ディスプレイ)32と、画像表示装置(プロジェクタ)34とを有して構成されている。そして、画像表示装置(プロジェクタ)34は、表示位置として表示領域R34に画像を表示する。ここで、画像表示装置30は、1つであっても良いし、複数であっても良い。すなわち、複数の表示位置に表示可能な構成となっていれば良い。各装置の詳細については次の機能構成で説明する。
【0017】
更に、画像表示装置30は、可動可能に構成されていてもよい。例えば、プロジェクタの場合は、プロジェクタ取付部が可動するように構成されており、プロジェクタが照射する方向にレンズ方向を自在に稼動させることが可能となるように構成されても良い。また、ディスプレイの場合は、取付部が移動可能になっており、表示したい箇所に移動する構成としても良い。
【0018】
なお、本実施形態では、認識装置20と、画像表示装置30と、制御装置10とが同一の構内で接続されている(例えば、同一のネットワークに接続されていたり、USB接続といったローカル接続されていたりする)こととして説明するが、外部ネットワークを介して接続されていても良い。
【0019】
すなわち、制御装置10が、インターネットに接続されているサーバであり、サーバ上で処理を実行する。そして、インターネットを介して、認識装置20及び画像表示装置30が接続されることとしても良い。この場合、サーバ側の管理者は、離れた場所であっても複数の制御を行うことが可能となる。
【0020】
[1.2 機能構成]
つづいて、本実施形態における表示システム1を構成する各装置の機能構成について
図2を用いて説明する。
【0021】
図2に示すように、制御装置10に、認識装置20と、一又は複数の画像表示装置30とが接続されている。
【0022】
また、制御装置10は、制御部110と、認識部120と、画像表示制御部130と、記憶部140とを備えて構成されている。
【0023】
制御部110は、制御装置10の全体を制御するための機能部である。制御部110は、記憶部140に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えばCPU(Central Process Unit)等により構成されている。
【0024】
認識部120は、対象者の人体を認識装置20により認識された情報を入力・処理するための機能部である。すなわち、認識装置20における空間内における人の動きをセンシングする技術(画像処理・サーモ・位置センサ・圧センサ)を利用し、対象者の特性を認識する機能部である。
【0025】
ここで、対象者(人)の特性とは、当該対象者の属性、動作から判定される。具体的には、対象者が「患者」であるか「スタッフ」であるかを表す。他の特性としては、病院や施設に見舞いに来た「他者」(例えば、家族等)が考えられる。
【0026】
また、「スタッフ」とは、医療従事者等の医療スタッフ、介護施設等の介護スタッフといった者を示す。すなわち「患者」に対応する言葉となるため、例えば在宅介護においては、「スタッフ」に家族が含まれたりする場合がある。
【0027】
対象者の属性とは、当該対象者を認識装置20により判定可能なものであり、例えば身長、体格といったものである。さらに、人の大きさ、表情等を認識することにより、男女であったり、大人、子供であったり、健常者等を認識することができる。さらに、対象者の着衣の種類や、ネームプレートの有無、杖の有無といった対象者が身につけるものに関する情報も含まれる。また対象者のいる位置により、属性を判定することも可能である。例えば、ベッド装置の上にいる対象者の属性を患者と認識したり、移動中の患者と判定された対象者の後ろにいる対象者をスタッフと認識したりすることも可能である。
【0028】
また、対象者の動作とは、対象者の動きを判定するものであり、対象者が動いている方向、速度であったり、対象者が起立しているか等の姿勢であったり、対象者の動きといったものを認識することができる。
【0029】
ここで、認識装置20及び認識部120が、空間内において人(人)体を認識する仕組みについて、
図3を用いて説明する。ここで、認識装置20としては種々の装置が考えられるが、一例としてマイクロソフト株式会社製のKinect(キネクト)(登録商標)を利用した方法について説明する。
【0030】
Kinectを利用する事により、人間の骨格をスティックピクチャ(人体モデル)として捉えることができるようになる(
図3(a))。すなわち、人体の各関節の特徴点と、当該特徴点を結んだ線とがそれぞれ検出される。
【0031】
人間の骨格を人体モデルとして捉えることにより、対象者の手や足の位置、関節の位置等を容易に認識することが出来る用になる。
【0032】
さらに、この特徴点に基づいて、人の顔の向きや、体の向きを認識することが可能となる。例えば、顔の向きや体の向きを求めるには、
図3(b)に示すように、各関節の特徴点をもちいて認識する。
図3(b)では、特徴点P01と、特徴点P02の(x、y、z)座標をそれぞれ検出する。そして、2つの座標を結ぶ直線と、基準面との角度を算出することにより、顔の向きを認識する。
【0033】
また、特徴点P03と、特徴点P04の(x、y、z)座標をそれぞれ検出し、特徴点P03と特徴点P04とを直線で結ぶ仮想線L01の位置から、体の方向(向きと傾き)を認識する。
【0034】
これにより、例えば、対象者の向いている方向から、画像を表示する領域を特定することができる。例えば、
図3(c)に示すように、特徴点P01と、特徴点P02から、中心軸に対しての角度が算出され、これにより顔の角度(対象者が向いている角度)θ1が算出される。
【0035】
また、人体の視点の高さL02(例えば、近似的に特徴点P02の高さ)と、顔の角度の法線方向L03とから、視線が地上線L04に到達する位置を求めることが可能となる(例えば、高さL02×arctanθ1)。そして、この位置を表示領域R01として、画像を表示することができる。
【0036】
なお、人体を認識する方法としては、他の方法であっても良い。例えば、カメラを用いた画像処理技術、サーモグラフィや赤外線を用いた認識技術であっても良いし、圧力センサを床に置き、足の方向と荷重方向で人を認識しても良い。また、視線検出技術を利用して、視線を検出しても良い。
【0037】
ここで、対象者P(人体)の向きの認識としては、視線の方向、顔の向き、体の向きの順に優先度が高くなっている。すなわち、視線の方向が認識できるのであれば視線の方向を、顔の向きを検出できるのであれば顔の方向を、そうで無ければ体の向きを認識する。これらを複数認識することとしても良いし、単独で方向を認識しても良い。
【0038】
つづいて、画像表示制御部130は、接続されている一又は複数の画像表示装置30に対して、画像の表示を制御するための機能部である。ここで、表示される画像は、複数の表示位置に表示可能である。表示位置は、一の画像表示装置30が切り替え可能な表示領域により決定されるか、表示する画像表示装置を切り替えて決定することとなる。すなわち、表示領域と、画像表示装置とを組み合わせて、複数の表示位置が構成されればよい。
【0039】
ここで、画像表示装置30は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示装置や、プロジェクタといった投影装置といった画像を表示可能な装置である。なお、本実施形態における画像とは、文字や図形、写真といった静止画像は勿論のこと、動画像も含む概念である。
図2では、画像表示装置32と、画像表示装置34とが接続されている。
【0040】
図4は、表示位置として、複数の画像表示装置や、表示領域を組み合わせて設定した場合の一例である。例えば、画像表示装置30として、液晶ディスプレイである画像表示装置32と、投影装置(プロジェクタ)である画像表示装置34、36が接続されている。
【0041】
画像表示装置32は、表示領域R32として画像が装置自体に表示される。また、投影装置である画像表示装置34は、離れた位置(表示領域R34)に画像を投影する。また、画像表示装置36は、表示領域R36a、表示領域R36bと複数の表示領域に表示可能である。
【0042】
すなわち、
図4の場合、表示領域R32、R34、R36a、R36bの4つの表示位置に画像が表示可能である。これにより、適切な位置に画像を表することが可能となる。なお、
図4は、画像表示装置30と、表示領域との一例を説明するための図であり、本実施形態においては、表示領域は1つであっても良い。
【0043】
記憶部140は、制御装置10の動作に必要な各種プログラムや、各種データが記憶されている機能部である。記憶部140は、例えば、半導体メモリや、HDD(Hard Disk Drive)等により構成されている。また、記憶部140には、特定判定テーブル142と、表示位置テーブル144とが記憶されている。
【0044】
特定判定テーブル142は、対象者の特性を判定するための情報が記憶されているテーブルである。例えば、
図5に示すように、属性(例えば「白衣」)と、特性(例えば「スタッフ」)とが記憶されている。
【0045】
ここで、特性は後述する表示メッセージを表示する位置を決めるためのものである。本実施形態では、「スタッフ」「患者」等が記憶されているが、例えば「大人」「子供」等が記憶されていても良い。
【0046】
表示位置テーブル144は、対象者の特性と、表示位置とを対応づけて記憶したテーブルである。例えば、特性が「スタッフ」の場合の表示位置は表示領域R32と、特性が「患者」の場合の表示位置は表示領域R34と記憶されている。
【0047】
また、表示位置テーブル142は、併せて表示位置を記憶しておいても良い。例えば、空間内の座標を設定し、当該空間内における表示位置がどこに設けられているかを座標で記憶する。これにより、例えば対象者Pが向いている方向に対応する表示位置を決定することが可能となり、当該表示位置に対応する画像表示装置30を特定することが可能となる。
【0048】
[1.3 処理の流れ]
つづいて、本実施形態における処理の流れについて説明する。まず、人体が検知されると(ステップS102;Yes)、人体認識処理が実行される(ステップS104)。本実施形態では、認識装置20においてセンシングされた結果より、関節等に対応する特徴点がそれぞれ検出され、人体の向き等が認識される。また、センシングにより、着衣のパターンや、名札の有無といった属性が検出される。
【0049】
また、人体を検知・認識するエリアは所定の認識エリアである。例えば、ベッド装置の側であったり、リハビリ施設であったり、施設内の廊下であったりする。通常は決められたエリアを認識するが、例えば認識装置20を設けることでどこでも認識エリアとなる。例えば、在宅介護の場面では、家庭内に認識エリアを設けても良い。
【0050】
つづいて、人体認識処理の認識結果に基づいて、特性判定処理を実行する(ステップS106)。本実施形態においては、ステップS104において検出された属性から、特性が判定される。
【0051】
つづいて、特性判定処理により判定された特性に基づいて表示位置/メッセージを決めるために、表示決定処理が実行される(ステップS108)。表示決定処理により決定された表示領域に、メッセージや画像を表示する(ステップS110)。
【0052】
ここで、表示決定処理について、
図8を用いて説明する。まず、認識エリアに患者が存在するか判定する(ステップS152)。ここで、患者が存在しない、すなわち特性が「患者」の対象者が存在しなければ、何もせずに本処理を終了する(ステップS152;No)。この場合は、例えばステップS110において、デフォルトの処理(例えば、予め決められた画像表示装置30に、予め決められたメッセージを表示する)を行っても良いし、メッセージを表示しないという処理を行っても良い。
【0053】
つづいて、患者の近くにスタッフが存在か否か判定する(ステップS154)。ここで、スタッフが存在しなければ、患者が見やすい位置となる患者表示位置に患者を対象としたメッセージである患者メッセージを表示することを決定する(ステップS156)。
【0054】
また、患者の近くにスタッフが存在する場合には、スタッフが見やすい位置となるスタッフ表示位置に、スタッフを対象としたメッセージであるスタッフメッセージを表示することを決定する(ステップS158)。
【0055】
そして、このステップS156又はステップS158で決定された表示位置に、表示メッセージの内容をステップS110で表示する。
【0056】
なお、上述した実施形態では、認識エリアに患者が存在する場合を前提としているが、患者が存在しない場合であっても、スタッフが存在する場合にはスタッフ表示位置にスタッフメッセージを決定することとしても良い。すなわち、ステップS152がNoの場合であっても、スタッフが検出されれば、ステップS158を実行するという処理としても良い。
【0057】
[1.4 適用例・効果]
つづいて、本実施形態の適用例について、
図9を用いて説明する。
図9は画像表示装置により、表示領域R32と、表示領域R34とにメッセージや画像が表示可能な状態となっている。
【0058】
図9(a)は、対象者PPが認識エリアにいる場合の図である。まず、人体認識処理により、対象者PPが認識される。そして、対象者PPの特性が患者であると判定される。ここで対象者を患者であると判定するのは、例えば姿勢・歩行パターン(歩幅、歩行時の体幹の姿勢等)をセンシングして判定することができる。
【0059】
例えば、患者PPが高齢者の場合、高齢者の場合は多くは下向き姿勢のため、患者に対して開示したい情報の場合(例えば、認知症患者が予期せぬ場所へ向かおうとしている場合等)は、床面の表示領域R32に患者メッセージを表示する。
【0060】
図9(b)は、対象者PPの側に、対象者PSが存在する場合の図である。対象者PPを患者、対象者PSをスタッフと特性が判定される。そして、患者の側にスタッフが存在することから、天井に近い位置にある表示領域R34にスタッフメッセージを表示する。このように周辺の患者に気がつかれにくい天井近くにメッセージ等の情報を表示することにより、患者に過多の情報を与えず、スタッフだけに有益な情報を与えるといったことが可能となる。
【0061】
[2.第2実施形態]
つづいて、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、対象者の動き(方向)や動作に応じて表示位置を決定し、メッセージを表示する場合について説明する。
【0062】
なお、本実施形態は第1実施形態と機能構成は同一であり、
図8の表示決定処理を
図10の表示決定処理で置き換えたものである。
【0063】
まず、スタッフが存在するか否かを判定する(ステップS202)。すなわち、認識さ特性がスタッフの対象者が存在するかであるが、この存在を確認するために、スタッフの動きを利用する。例えば、
図10の場合、まず、動作が特徴的である患者の存在が確認される。そして、患者近傍にいる対象者や、患者と逆方向に動いている対象者をスタッフであるとして存在を確認する(ステップS202:Yes)。
【0064】
つづいて、スタッフの動きを検出する。例えば、
図10の処理の場合は、表示領域として第1方向に第1位置が、反対方向である第2方向に第2位置がある。したがって、第1方向であるか否かを判定する(ステップS204)。そして、スタッフの動き(向き)が第1方向であれば、第1位置にスタッフメッセージを表示することを決定し(ステップS204;Yes→ステップS206)、第2方向の場合は第2位置にスタッフメッセージを表示することを決定する(ステップS204;No→ステップS208)。
【0065】
なお、表示可能な位置にスタッフが向いているか否かを検出すれば良いため、更に複数の方向があっても良い。また、どの方向に向いていない場合は、スタッフメッセージを表示しないと決定しても良い。さらに、本実施形態では方向で検出しているが、例えば顔の向き等を検出することによって表示位置を特定してもよい。
【0066】
図11は、本実施形態の適用例を説明するための図である。表示位置として表示領域R32、R34が設けられている。ここで、
図11を用いて説明すると、まず、対象者PPと対象者PSとが存在している。
【0067】
そして、姿勢、動作等から、対象者PPの特性は患者であると判定される。ここで、患者PPは方向V1に移動している。この場合、方向V1側にいて向かい合っている対象者PSはスタッフ(例えば、セラピストや医療従事者)であると判定される。したがって、対象者PSが向いている方向の表示領域R34にスタッフメッセージが表示される。
【0068】
なお、この場合患者が認識されていることから、例えば患者の歩行動作、速度・時間・歩幅等を計測し、提供することでリハビリの結果を示すこととしても良い。
【0069】
また、
図11(b)では、まず対象者PPが患者であると判定される。
図11(b)の場合、対象者PPと、対象者PSとが同一方向V1に移動している。この場合、前に居る対象者PPを患者、後ろにいる対象者PSをスタッフと判定する。なお、対象者PP、対象者PSの動作、姿勢等から患者/スタッフを判定しても良い。
【0070】
図11(b)の場合、スタッフである対象者PSがV1方向に向いていることから、表示領域R32にスタッフメッセージが表示される。
【0071】
また、この場合に、対象者の視線に応じて画面の表示/非表示の制御を行っても良い。例えば、対象者PS(スタッフ)が向いている方向S1が表示領域R32の方向であったとしても、対象者PP(患者)が向いている方向S2が表示領域R32の方向である場合は、メッセージを非表示とする。そして、
図11(b)のように、対象者PPの向いている方向S2が表示領域R32から外れた場合に、表示領域R32にスタッフメッセージが表示されることとなる。
【0072】
このように、本実施形態によれば、スタッフの移動方向に適切にメッセージが表示されることとなる。例えば、リハビリテーション分野においては、歩行訓練等に患者の前後にセラピストが寄り添い、訓練する患者の歩行等をセンシングし計測したい場合、患者とセラピストを選定し認識する必要がある。その場合、患者とセラピストの向き、位置をセンシングすることで、患者を特定することが可能となる。そして、患者に付き添っているスタッフに対して適切なメッセージを表示することが可能となる。
【0073】
また、対象者の向いている方向を合わせて検出することにより、適切な対象者(スタッフ)にだけメッセージを表示する(対象者(患者)見せたくない情報を非表示する)といったことが可能となる。
【0074】
[3.第3実施形態]
つづいて、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、判定された特性により、メッセージを表示するか否かを判定する処理である。
【0075】
なお、本実施形態は第1実施形態と機能構成は同一であり、
図8の表示決定処理を
図12の表示決定処理で置き換えたものである。
【0076】
本実施形態では、スタッフに対して必要なスタッフメッセージを表示する場合の実施形態である。
【0077】
まず、認識エリアに対象者にスタッフが存在していない場合にはメッセージが非表示となる(ステップS302;No→ステップS308)。ここで、スタッフが存在するが、スタッフの近傍に他者が存在する場合にもメッセージを非表示とする(ステップS302;Yes→ステップS304;Yes→ステップS308)。すなわち、特性がスタッフとして判定された対象者のみが存在している場合にだけスタッフメッセージを表示する(ステップS302;Yes→ステップS304;No→ステップS306)。
【0078】
本実施形態の適用例について、
図13を用いて説明する。
図13における認識エリアはベッドサイドである。患者PPの位置からは、表示領域R32は見えない位置に配置されている。
【0079】
まず、
図13(a)に示すように、対象者PSがスタッフとして判定された場合には、表示領域R32にスタッフメッセージを表示する。この場合、患者PPの近傍、すなわちベッドサイド等で検出された場合にスタッフメッセージが表示されることとなる。
【0080】
また、
図13(b)は、認識エリアに対象者PFが存在しているが、特性がスタッフではない(例えば、「家族」)。このように、対象者PFが認識エリアに存在しているが、特性がスタッフ以外と判定されているため、メッセージは非表示となる。
【0081】
また、
図13(c)は、認識エリアにスタッフと判定されている対象者PSが存在している。しかし、近傍にスタッフ以外の対象者PFが存在している。この場合、同様に表示させないようにしても良い。なお、この場合、メッセージの重要度に応じて、スタッフ以外の対象者が存在している場合でもメッセージを表示するという構成にしても良い。
【0082】
[4.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0083】
また、上述した実施形態では、スタッフ、患者等への情報提供手段として表示装置を中心に説明したが、他の報知装置であっても良い。例えば、光であったり、音声であったり、振動であったりしても良い。
【0084】
また、上述した実施形態では、表示対象者の特性としてスタッフ(医療スタッフや介護スタッフ等)、表示対象者以外の特性として患者、被介護者、高齢者等として説明したがそれに限定されるものではない。例えば、表示対象者として患者等とし、表示対象者以外をスタッフと逆にしても良いし、表示対象者を見舞いに来た家族や、業者といった特性にしてもよい。
【0085】
なお、上述した各実施形態は、説明の都合上処理を分けて説明しているが、可能な範囲で組み合わせて動作させても良い事は勿論である。
【0086】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行われる。
【0087】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0088】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【0089】
また、上述した実施形態における各装置の一部又は全部を典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現してもよい。各装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部又は全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路又は汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1 :表示システム
10 :制御装置
110 :制御部
120 :認識部
130 :画像表示制御部
140 :記憶部
142 :特性判定テーブル
144 :表示位置テーブル
20 :認識装置
30~34 :画像表示装置