(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】運搬システム、運搬方法、及び管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220728BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20220728BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20220728BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
B65G61/00 550
G06Q10/02
(21)【出願番号】P 2020114061
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2020-10-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055401(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163184(WO,A1)
【文献】特開2019-139264(JP,A)
【文献】特開2018-177439(JP,A)
【文献】特開2021-107266(JP,A)
【文献】特開2020-107223(JP,A)
【文献】国際公開第2020/136844(WO,A1)
【文献】米国特許第10308430(US,B1)
【文献】特開2017-038783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0120602(US,A1)
【文献】特開2004-026496(JP,A)
【文献】特開2002-004667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付ける受付部と、
前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認する確認部と、
前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索する第1検索部と、
前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって前記荷物を運搬可能な前記自律移動体へ送信する第1送信部と、
前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬する前記自律移動体と、
を備え、
前記受付部は、前記荷物を積載する前記自律移動体が前記運搬先に接近したタイミングで前記予約要求を受け付けることを特徴とする運搬システム。
【請求項2】
荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付ける受付部と、
前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認する確認部と、
前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索する第1検索部と、
前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって前記荷物を運搬可能な前記自律移動体へ送信する第1送信部と、
前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬する前記自律移動体と、
を備え、
前記受付部は、前記自律移動体から前記予約要求を受け付けることを特徴とする運搬システム。
【請求項3】
荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付ける受付部と、
前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認する確認部と、
前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範
囲内において利用可能な一時保管場所を検索する第1検索部と、
前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって前記荷物を運搬可能な前記自律移動体へ送信する第1送信部と、
前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬する前記自律移動体と、
前記第1指令の送信後、前記保管庫が利用可能になった場合に、前記荷物を運搬可能な移動体を検索する第2検索部と、
前記一時保管場所に一時保管された前記荷物を回収し前記保管庫に保管させるための第2指令を、前記第2検索部の検索により特定された移動体へ送信する第2送信部と、
を備え、
前記第2検索部の検索により特定された移動体は、前記第2指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所で回収し前記運搬先へ運搬することを特徴とする運搬システム。
【請求項4】
前記第2検索部は、前記一時保管場所の近傍範囲内において前記荷物を運搬可能な移動体を検索することを特徴とする請求項3に記載の運搬システム。
【請求項5】
前記第2検索部は、前記荷物を運搬可能な移動体として、無人で自律的に移動可能な自律移動体を検索することを特徴とする請求項3または4に記載の運搬システム。
【請求項6】
前記第1指令の送信後、前記保管庫が利用可能になった場合に、前記利用可能なった前記保管庫を予約するための予約処理を実行する予約処理部を更に備え、
前記第2送信部は、前記一時保管場所に一時保管された前記荷物を回収し前記予約処理により予約された前記保管庫に保管させるための第2指令を、前記第2検索部の検索により特定された移動体へ送信することを特徴とする請求項3乃至5の何れか一項に記載の運搬システム。
【請求項7】
前記予約処理部は、前記第2検索部の検索により特定された移動体が前記運搬先に接近したタイミングで前記予約処理を実行することを特徴とする請求項6に記載の運搬システム。
【請求項8】
同じ運搬先に運搬予定の複数の前記荷物のそれぞれが異なる前記一時保管場所に分散して保管された場合において、前記第2検索部の検索により特定された移動体に、複数の前記一時保管場所のそれぞれで前記荷物を回収させて前記運搬先に運搬させるための適切な運搬経路を、少なくとも、前記一時保管場所のそれぞれの位置情報に基づいて決定する決定部を更に備え、
前記第2送信部は、前記決定部により決定された前記運搬経路を示す情報を含む前記第2指令を、前記第2検索部の検索により特定された移動体へ送信することを特徴とする請求項3乃至7の何れか一項に記載の運搬システム。
【請求項9】
前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所を前記荷物の受取人へ通知する通知部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の運搬システム。
【請求項10】
無人で自律的に移動可能な自律移動体であって荷物を運搬する前記自律移動体と、前記自律移動体を管理する管理装置とにより実行される運搬方法であって、
前記管理装置が荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を前記自律移動体が前記運搬先に接近したタイミングで受け付けるステップと、
前記管理装置が前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認するステップと、
前記管理装置が前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索するステップと、
前記管理装置が検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための
第1指令を、前記自律移動体へ送信するステップと、
前記自律移動体が前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬するステップと、
を含むことを特徴とする運搬方法。
【請求項11】
無人で自律的に移動可能な自律移動体であって荷物を運搬する前記自律移動体と、前記自律移動体を管理する管理装置とにより実行される運搬方法であって、
前記管理装置が荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を前記自律移動体から受け付けるステップと、
前記管理装置が前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認するステップと、
前記管理装置が前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索するステップと、
前記管理装置が検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、前記自律移動体へ送信するステップと、
前記自律移動体が前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬するステップと、
を含むことを特徴とする運搬方法。
【請求項12】
無人で自律的に移動可能な自律移動体であって荷物を運搬する前記自律移動体と、前記自律移動体を管理する管理装置とにより実行される運搬方法であって、
前記管理装置が荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付けるステップと、
前記管理装置が前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認するステップと、
前記管理装置が前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索するステップと、
前記管理装置が検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、前記自律移動体へ送信するステップと、
前記自律移動体が前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬するステップと、
前記管理装置が前記第1指令の送信後、前記保管庫が利用可能になった場合に、前記荷物を運搬可能な移動体を検索するステップと、
前記管理装置が前記一時保管場所に一時保管された前記荷物を回収し前記保管庫に保管させるための第2指令を、前記検索により特定された移動体へ送信するステップと、
前記検索により特定された移動体が前記第2指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所で回収し前記運搬先へ運搬するステップと、
を含むことを特徴とする運搬方法。
【請求項13】
荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付ける受付部と、
前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認する確認部と、
前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索する第1検索部と、
前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって前記荷物を運搬可能な前記自律移動体へ送信する第1送信部と、
前記第1指令の送信後、前記保管庫が利用可能になった場合に、前記荷物を運搬可能な移動体を検索する第2検索部と、
前記一時保管場所に一時保管された前記荷物を回収し前記保管庫に保管させるための第2指令を、前記第2検索部の検索により特定された移動体へ送信する第2送信部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
荷物を保管するための保管庫を利用するシステムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、居住者が不在である場合に宅配物等の荷物を保管するための保管庫(例えば、宅配ロッカー)を利用するシステムが知られている。例えば特許文献1に開示されたシステムでは、宅配物に付された情報媒体から読み取られた承認顧客情報と事業者センタサーバから取り込まれて記憶される承認顧客情報とを照合し、両者が一致した場合にのみロッカー装置のボックス扉を開いてボックス内への宅配物の格納ができるように構成されている。このようなシステムによれば、宅配物の配達にかかる人件費を削減し、配達の効率化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保管庫に空きがない場合、配達員は一度荷物を持ち帰り、再度荷物を運搬する必要があり手間であった。
【0005】
そこで、本発明は、保管庫に空きがない場合であっても、移動体が再度荷物を運搬する手間を低減することが可能な運搬システム、運搬方法、及び管理装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付ける受付部と、前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認する確認部と、前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索する第1検索部と、前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって前記荷物を運搬可能な前記自律移動体へ送信する第1送信部と、前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬する前記自律移動体と、を備え、前記受付部は、前記荷物を積載する前記自律移動体が前記運搬先に接近したタイミングで前記予約要求を受け付けることを特徴とする。これにより、保管庫に空きがない場合であっても、移動体が再度荷物を運搬する手間を低減することができ、発送時に保管庫が利用可能でない場合であっても、自律移動体による運搬中に荷物が保管庫から取り出されることで利用可能となれば、当該荷物を当該保管庫に保管させることができるので、運搬の効率化を図ることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付ける受付部と、前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認する確認部と、前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索する第1検索部と、前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって前記荷物を運搬可能な前記自律移動体へ送信する第1送信部と、前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬する前記自律移動体と、を備え、前記受付部は、前記自律移動体から前記予約要求を受け付けることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付ける受付部と、前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認する確認部と、前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索する第1検索部と、前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって前記荷物を運搬可能な前記自律移動体へ送信する第1送信部と、前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬する前記自律移動体と、前記第1指令の送信後、前記保管庫が利用可能になった場合に、前記荷物を運搬可能な移動体を検索する第2検索部と、前記一時保管場所に一時保管された前記荷物を回収し前記保管庫に保管させるための第2指令を、前記第2検索部の検索により特定された移動体へ送信する第2送信部と、を備え、前記第2検索部の検索により特定された移動体は、前記第2指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所で回収し前記運搬先へ運搬することを特徴とする。これにより、移動体が再度荷物を運搬する手間を低減しつつ、一時保管場所に一時保管されている当該荷物を回収して運搬先にある保管庫に保管させることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の運搬システムにおいて、前記第2検索部は、前記一時保管場所の近傍範囲内において前記荷物を運搬可能な移動体を検索することを特徴とする。これにより、一時保管場所に一時保管されている荷物を移動体がより迅速に回収して運搬先へ運搬することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の運搬システムにおいて、前記第2検索部は、前記荷物を運搬可能な移動体として、無人で自律的に移動可能な自律移動体を検索することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5の何れか一項に記載の運搬システムにおいて、前記第1指令の送信後、前記保管庫が利用可能になった場合に、前記利用可能なった前記保管庫を予約するための予約処理を実行する予約処理部を更に備え、前記第2送信部は、前記一時保管場所に一時保管された前記荷物を回収し前記予約処理により予約された前記保管庫に保管させるための第2指令を、前記第2検索部の検索により特定された移動体へ送信することを特徴とする。これにより、一時保管場所に一時保管されている荷物を回収して保管庫に確実に保管させることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の運搬システムにおいて、前記予約処理部は、前記第2検索部の検索により特定された移動体が前記運搬先に接近したタイミングで前記予約処理を実行することを特徴とする。これにより、運搬の効率化を図ることができる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項3乃至7の何れか一項に記載の運搬システムにおいて、同じ運搬先に運搬予定の複数の前記荷物のそれぞれが異なる前記一時保管場所に分散して保管された場合において、前記第2検索部の検索により特定された移動体に、複数の前記一時保管場所のそれぞれで前記荷物を回収させて前記運搬先に運搬させるための適切な運搬経路を、少なくとも、前記一時保管場所のそれぞれの位置情報に基づいて決定する決定部を更に備え、前記第2送信部は、前記決定部により決定された前記運搬経路を示す情報を含む前記第2指令を、前記第2検索部の検索により特定された移動体へ送信することを特徴とする。これにより、複数の荷物の運搬先にある保管庫が利用可能になった場合に、複数の一時保管場所のそれぞれに一時保管されている荷物を、より迅速に当該運搬先へ運搬して保管させることができる。請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の運搬システムにおいて、前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所を前記荷物の受取人へ通知する通知部を更に備えることを特徴とする。これにより、保管庫に空きがない場合であっても、一時保管場所でいち早く受取人に荷物を受け取らせることができる。
【0016】
請求項10に記載の発明は、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって荷物を運搬する前記自律移動体と、前記自律移動体を管理する管理装置とにより実行される運搬方法であって、前記管理装置が荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を前記自律移動体が前記運搬先に接近したタイミングで受け付けるステップと、前記管理装置が前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認するステップと、前記管理装置が前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索するステップと、前記管理装置が検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、前記自律移動体へ送信するステップと、前記自律移動体が前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬するステップと、を含むことを特徴とする。請求項11に記載の発明は、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって荷物を運搬する前記自律移動体と、前記自律移動体を管理する管理装置とにより実行される運搬方法であって、前記管理装置が荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を前記自律移動体から受け付けるステップと、前記管理装置が前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認するステップと、前記管理装置が前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索するステップと、前記管理装置が検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、前記自律移動体へ送信するステップと、前記自律移動体が前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬するステップと、を含むことを特徴とする。請求項12に記載の発明は、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって荷物を運搬する前記自律移動体と、前記自律移動体を管理する管理装置とにより実行される運搬方法であって、前記管理装置が荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付けるステップと、前記管理装置が前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認するステップと、前記管理装置が前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索するステップと、前記管理装置が検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、前記自律移動体へ送信するステップと、前記自律移動体が前記第1指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所へ運搬するステップと、前記管理装置が前記第1指令の送信後、前記保管庫が利用可能になった場合に、前記荷物を運搬可能な移動体を検索するステップと、前記管理装置が前記一時保管場所に一時保管された前記荷物を回収し前記保管庫に保管させるための第2指令を、前記検索により特定された移動体へ送信するステップと、前記検索により特定された移動体が前記第2指令に応じて前記荷物を前記一時保管場所で回収し前記運搬先へ運搬するステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項13に記載の発明は、荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付ける受付部と、前記予約要求に応じて前記保管庫の利用状況を確認する確認部と、前記利用状況の確認結果より前記保管庫が利用可能でない場合に、前記保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索する第1検索部と、前記第1検索部の検索により特定された一時保管場所に前記荷物を一時保管させるための第1指令を、無人で自律的に移動可能な自律移動体であって前記荷物を運搬可能な前記自律移動体へ送信する第1送信部と、前記第1指令の送信後、前記保管庫が利用可能になった場合に、前記荷物を運搬可能な移動体を検索する第2検索部と、前記一時保管場所に一時保管された前記荷物を回収し前記保管庫に保管させるための第2指令を、前記第2検索部の検索により特定された移動体へ送信する第2送信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、保管庫に空きがない場合であっても、再度荷物を運搬する手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】荷物を運搬する運搬システムSの概要構成例を示す図である。
【
図2】保管ロッカー装置1の外観の一例を示す図である。
【
図3】保管ロッカー装置1の概要構成例を示す図である。
【
図4】無人航空機用ポートPOの外観の一例を示す図である。
【
図7】制御部33における機能ブロック例を示す図である。
【
図8】UGV2aにより運搬された荷物が一時保管場所に保管されるまでの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】UGV2aにより運搬された荷物が一時保管場所に保管されるまでの様子を地図上に表した概念図である。
【
図10】UGV2bにより一時保管場所から荷物が取り出されて運搬先に保管されるまでの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】UGV2bにより一時保管場所から荷物が取り出されて運搬先に保管されるまでの様子を地図上に表した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0021】
[
1.運搬システムSの構成及び機能概要]
先ず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る運搬システムSの構成及び機能概要について説明する。
図1は、荷物を運搬する運搬システムSの概要構成例を示す図である。
図1に示すように、運搬システムSは、保管ロッカー装置1a~1c、UGV(Unmanned Ground Vehicle)2a~2c、及び管理サーバ3(管理装置の一例)等を備えて構成される。なお、
図1の例では、3つの保管ロッカー装置1a~1cと、3つのUGV2a~2cとを示しているが、この数に限定されるものではない。以下の説明においては、適宜、保管ロッカー装置1a~1cを総称して保管ロッカー装置1といい、UGV2a~2cを総称してUGV2というものとする。荷物は、物品または貨物ということもできる。
【0022】
保管ロッカー装置1にはそれぞれ固有の装置ID(識別情報)が割り当てられている。また、UGV2にはそれぞれ固有の移動体IDが割り当てられている。保管ロッカー装置1とUGV2とは、例えば近距離無線通信技術(例えば、Bluetooth(登録商標))により通信可能になっている。また、保管ロッカー装置1とUGV2とは、それぞれ、通信ネットワークNWに接続可能になっており、通信ネットワークNWを介して管理サーバ3と通信可能になっている。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。なお、
図1に示すUGV2は、地上を移動するための複数の車輪を有する無人地上車両を示しているが、UGV2は、車輪を有しないロボット(例えば、2足歩行ロボット)であってもよい。
【0023】
[1-1.保管ロッカー装置1等の構成及び機能]
保管ロッカー装置1は、荷物の運搬先にあり、荷物を保管するための保管場所(以下、「最終保管場所)という)に相当する。最終保管場所が荷物の受取場所(つまり、受取人が荷物を受け取る場所)と同じである場合、荷物の運搬先は荷物の配達先(配送先)ともいう。保管ロッカー装置1は、例えば住宅、駅、公共施設などに設置される。
【0024】
図2は、保管ロッカー装置1の外観の一例を示す図である。なお、
図2の例では、荷物を収納するための8つの保管庫Ba~Bhを示しているが、この数に限定されるものではなく、1つであってもよい。以下の説明においては、適宜、保管庫Ba~Bhを総称して保管庫Bというものとする。保管庫Bにはそれぞれ固有の保管庫IDが割り当てられている。1つの保管ロッカー装置1に備えられる複数の保管庫Bのサイズ(縦ycm×横xcm×奥行dcm)は、
図2(例えば、保管庫Baと保管庫Bd)に示すように異なる場合もある。保管庫Bには冷蔵機能または冷凍機能があってもよい。なお、本実施形態では、保管庫として共用の宅配ロッカーを想定しているが、個人用の郵便ポストであってもよい。
【0025】
図3は、保管ロッカー装置1の概要構成例を示す図である。
図3に示すように、保管ロッカー装置1は、保管庫B、操作・表示部11、通信部12、記憶部13、及び制御部14等を備える。保管庫Bは、図示しないが、荷物を収納する収納体、施解錠可能で且つ開閉可能な扉、当該扉の駆動機構、及び荷物検知センサ等から構成される。保管庫Bの扉の施解錠は制御部14により制御される。保管庫Bの扉が施錠されている状態(つまり、扉の開放がロックされている状態)では、当該扉を開放する(開く)ことができない。一方、保管庫Bの扉が解錠されている状態では、扉を例えばユーザにより手動で開放することができる。
【0026】
保管庫Bの扉は、制御部14からの解錠指令に応じて解錠(扉の駆動機構により解錠)される。その後、扉が開放された保管庫Bに荷物が収納されると、荷物検知センサにより荷物の収納が検知される。そして、荷物の収納が検知された後に保管庫Bの扉が閉鎖される(閉じられる)と、保管庫Bの扉が施錠(扉の駆動機構により施錠)される。なお、保管庫Bの扉の開閉は制御部14により制御されてもよい。この場合、例えば、保管庫Bの扉は、制御部14からの開放指令に応じて開放(扉の駆動機構により開放)され(つまり、自動で開放)、制御部14からの閉鎖指令に応じて閉鎖(扉の駆動機構により閉鎖)される(つまり、自動で閉鎖)。
【0027】
操作・表示部11は、操作・表示パネルP等から構成される。操作・表示パネルPは、荷物の受取人が保管庫Bに収納(保管)された荷物を当該保管庫Bから取り出すために必要なパスワード(つまり、扉を解錠するためのパスワード)を入力可能になっている。操作パネルPにおいて保管庫Bが指定されてパスワードが入力されると、当該入力されたパスワードが制御部14へ出力される。
【0028】
通信部12は、UGV2との間で行われる近距離無線通信の制御、及び通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部13は、不揮発性メモリ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部13は、保管ロッカー装置1の装置ID、及び保管庫Bの保管庫IDを記憶する。さらに、記憶部13には、例えば管理サーバ3から提供された「保管庫Bの利用状況」が保管庫IDに対応付けられて記憶されるとよい。
【0029】
ここで、利用状況は、「利用中」、「予約中」、または「空き」を示す。「利用中」は、保管庫Bに荷物が保管されていること(つまり、「空き無」)を示す。「予約中」は、保管庫Bに荷物が保管されていないが、当該保管庫BがUGV2により予約(保管予約)されていること(つまり、「空き無」)をいう。「空き」は、保管庫Bに荷物が保管されておらず、且つ予約されていないこと(つまり、「空き有」)をいう。また、利用状況が「予約中」である場合、保管庫Bを予約したUGV2の移動体IDが管理サーバ3から提供されて保管庫IDに対応付けられて記憶部13に記憶される。また、保管庫Bの扉を解錠するためのパスワードが設定された場合、記憶部13には、当該保管庫Bの保管庫IDに対応付けられてパスワードが記憶される。
【0030】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備え、ROM(または、不揮発性メモリでもよい)に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。例えば、制御部14は、保管ロッカー装置1に近づいたUGV2から近距離無線通信により当該UGV2の移動体IDを取得すると、当該移動体IDを用いて認証処理を行う。この認証処理により認証が成功すると(例えば、UGV2から取得された移動体IDが、記憶部13に記憶された移動体IDと一致すると)、制御部14は、当該移動体IDに対応付けられた保管庫IDにより特定される保管庫Bへ開放指令を出力する。これにより、予約した保管庫Bの扉が自動的に開放されるので、UGV2は、当該保管庫B内に荷物を搬出することができる。なお、制御部14は、UGV2の移動体IDとともに、UGV2が積載する荷物の荷物ID、及び当該荷物の受取人の情報(例えば、受取人の氏名、及びメールアドレス)を近距離無線通信によりUGV2から取得するとよい。
【0031】
そして、制御部14は、UGV2から保管庫Bに荷物が収納される(荷物の収納を検知する)と、当該保管庫Bへ閉鎖指令を出力する。これにより、保管庫Bの扉が自動的に閉鎖され、当該扉が施錠される。制御部14は、当該扉が施錠されると(扉の施錠を検知すると)、当該扉を解錠するためのパスワードを設定(つまり、保管庫Bに設定)し、保管庫Bの保管庫IDに対応付けて記憶部13に記憶する。さらに、制御部14は、荷物が収納され、且つ扉が施錠された保管庫Bの保管庫ID、保管庫Bに設定されたパスワード、当該荷物の荷物ID、及び当該荷物の受取人の情報等を含む施錠情報を、通信部12を介して管理サーバ3へ送信する。施錠情報には、扉が施錠された保管庫Bの保管庫IDに加えて、当該施錠情報を送出する保管ロッカー装置1の装置IDが含まれてもよい。
【0032】
一方、制御部14は、操作・表示パネルPからのパスワードを入力すると、操作・表示パネルPにおいて指定された保管庫Bに対して入力されたパスワードを用いて認証処理を行う。この認証処理により認証が成功すると(例えば、指定された保管庫Bに対して入力されたパスワードが、指定された保管庫Bに設定されたパスワードと一致すると)、制御部14は、上記指定された保管庫Bへ解錠指令を出力する。これにより、保管庫Bの扉が解錠され、受取人は当該保管庫Bの扉を開いて荷物を取り出すことができる。また、制御部14は、保管庫Bの扉が解錠される(扉の解錠を検知する)と、当該保管庫Bの保管庫IDを含む解錠情報を、通信部12を介して管理サーバ3へ送信する。解錠情報には、扉が解錠された保管庫Bの保管庫IDに加えて、当該解錠情報を送出する保管ロッカー装置1の装置IDが含まれてもよい。
【0033】
なお、制御部14は、近距離無線通信によりUGV2からパスワードを入力する場合(後述するように、保管ロッカー装置1が一時保管場所として利用される場合)がある。この場合、制御部14は、対象となる保管庫Bに対して入力されたパスワードを用いて認証処理を行い、認証が成功すると(例えば、上記のようにパスワードの一致に加えて、UGV2から入力された移動体IDと、事前に管理サーバ3から取得された移動体IDとが一致すると)、上記保管庫Bへ解錠指令及び開放指令を出力する。これにより、保管庫Bの扉が解錠及び開放されるので、UGV2は荷物を搬入(取り出す)ことができる。
【0034】
ところで、保管ロッカー装置1は、荷物を一時的に保管するための一時保管場所としても利用可能である。例えば、荷物の運搬先にある保管ロッカー装置1aの保管庫Ba~Bhが利用可能でない場合に、保管庫Bが利用可能である近くの保管ロッカー装置1bを一時保管場所として利用することができる。ただし、このような一時保管場所は、保管ロッカー装置1には限られず、例えば、各地点に設置された無人航空機用ポート(例えば、ドローンポート)であってもよい。無人航空機用ポートは、例えば荷物を運搬する無人航空機(例えば、ドローン)が離着陸可能なポートである。
【0035】
図4は、無人航空機用ポートPOの外観の一例を示す図である。無人航空機用ポートPOは、図示しないが、保管ロッカー装置1と同様、保管庫、操作・表示部、通信部、記憶部、及び制御部等を備える。
図4に示すように、無人航空機用ポートPOにおいて、無人航空機が着陸する部分の直下に保管庫Bxが設けられている。なお、無人航空機用ポートPOの保管庫、操作・表示部、通信部、記憶部、及び制御部の構成及び機能については、保管庫B、操作・表示部11、通信部12、記憶部13、及び制御部14と同じであってよい。
【0036】
[
1-2.UGV2の構成及び機能]
UGV2は、無人で自律的に移動可能な自律移動体であり、積載した荷物を運搬先に運搬する。
図5は、UGV2の概要構成例を示す図である。
図5に示すように、UGV2は、駆動部21、測位部22、通信部23、撮像部24、記憶部25、及び制御部26等を備える。なお、図示しないが、UGV2は、車輪、荷物の搬出・搬入機構、及びUGV2の各部へ電力を供給するバッテリ等を備える。UGV2内には、複数の荷物を搭載可能になっている。
【0037】
駆動部21は、モータ及び回転軸等を備える。駆動部21は、制御部26から出力された制御信号に従って駆動するモータ及び回転軸等により複数の車輪を回転させる。測位部22は、電波受信機等を備える。測位部22は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星から発信された電波を電波受信機により受信し、当該電波に基づいてUGV2の現在位置(緯度及び経度)を検出する。なお、UGV2の現在位置は、GNSSの衛星から発信された電波に加えて、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)処理により特定されてもよい。また、UGV2の現在位置は、撮像部24により撮像された画像に基づいて補正されてもよい。測位部22により検出された現在位置を示す位置情報は、制御部26へ出力される。
【0038】
通信部23は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御、及び保管ロッカー装置1(または無人航空機用ポートPO)との間で行われる近距離無線通信の制御を担う。撮像部24は、光学センサ(例えばカメラ)等を備える。光学センサは、UGV2の移動制御に用いられる。撮像部24は、例えばカメラの画角に収まる範囲内の実空間を連続的に撮像する。撮像部24により撮像された画像情報は、制御部26へ出力される。記憶部25は、不揮発性メモリ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部25は、UGV2の移動体IDを記憶する。
【0039】
制御部26は、CPU、ROM、及びRAM等を備え、ROM(または、不揮発性メモリでもよい)に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。例えば、制御部26は、荷物の運搬先(例えば、荷物の発送拠点から運搬先、または一時保管場所から運搬先)へUGV2を移動させる移動制御を行う。この移動制御においては、測位部22から取得された位置情報、撮像部24から取得された画像情報、及び運搬先情報等が用いられて、車輪の回転数の制御、UGV2の位置及び進行方向の制御が行われる。これにより、UGV2は自律的に運搬先まで移動することができる。
【0040】
ここで、運搬先情報は、例えば荷物の発送拠点(換言すると、荷物の積み込み拠点)でUGV2に設定されてもよいし、管理サーバ3から送信されてもよい。運搬先情報には、運搬先の所在地情報が含まれる。運搬先の所在地情報は、運搬先の住所であってもよいし、運搬先の位置情報(緯度及び経度)であってもよい。また、運搬先情報には、荷物のサイズ(縦:ycm×横:xcm×奥行:dcm)を示す荷物サイズ情報や、荷物の種別(例えば、生鮮食品)を示す荷物種別情報が含まれてもよい。また、管理サーバ3から取得される運搬先情報には、荷物の運搬先までの運搬経路を示す経路情報が含まれてもよい。
【0041】
また、管理サーバ3から取得される運搬先情報には、UGV2により予約された保管庫の保管庫IDが含まれてもよい。ここで、保管庫の予約は、荷物の運搬先にある保管庫を予約するための予約要求に応じて管理サーバ3により行われるとよい。予約要求は、UGV2から管理サーバ3へ送信されるとよいが、UGV2以外の装置(例えば、UGVを遠隔制御する制御装置)から管理サーバ3へ予約要求が送信されてもよい。予約要求には、例えば、保管庫を予約するUGV2の移動体ID、荷物の運搬先の所在地情報、荷物の荷物ID、及び当該荷物の受取人の情報(例えば、受取人の氏名、及びメールアドレス)等が含まれるとよい。さらに、予約要求には、荷物サイズ情報や荷物種別情報が含まれてもよい。
【0042】
例えば、制御部26は、荷物の発送拠点で停車中、または荷物の発送拠点から出発した後の運搬中に、上記予約要求を、通信ネットワークNWを介して管理サーバ3へ送信する。ここで、予約要求は、UGV2が荷物の運搬先に接近したタイミングで送信されるとよい。荷物の発送時に予め保管庫が予約されてもよいが、発送時に保管庫が利用可能でない(つまり、予約が埋まっていた)としても、運搬中に荷物が保管庫から取り出されることで「空き」が出ることもある。そのため、UGV2が運搬先に到着してから、または、ある程度接近したタイミングで保管庫を確保するのがより効率的である。
【0043】
ここで、接近したタイミングとは、例えば、UGV2の現在位置から荷物の運搬先までの距離が所定距離(例えば、100m)になったタイミングである。この場合、制御部26は、UGV2の現在位置から荷物の運搬先までの距離を連続的に算出する。或いは、接近したタイミングとは、UGV2の現在位置から荷物の運搬先までの所要時間が所定時間(例えば、1分)になったタイミングである。この場合、制御部26は、UGV2の現在位置から荷物の運搬先までの所要時間を連続的に算出する。
【0044】
また、制御部26は、管理サーバ3からの一時保管指令(一時保管場所に荷物を一時保管させるための第1指令)に応じて、荷物の一時保管場所へUGV2を移動させる移動制御を行う。この移動制御においては、測位部22から取得された位置情報、撮像部24から取得された画像情報、及び一時保管場所情報等が用いられて、車輪の回転数の制御、UGV2の位置及び進行方向の制御が行われる。これにより、UGV2は自律的に一時保管場所まで移動することができる。
【0045】
ここで、一時保管場所情報は、一時保管指令とともに管理サーバ3から取得される。一時保管場所情報には、一時保管場所の所在地情報、及び一時保管場所の保管庫の保管庫IDが含まれる。一時保管場所の所在地情報は、一時保管場所の住所であってもよいし、一時保管場所の位置情報(緯度及び経度)であってもよい。また、一時保管場所情報には、荷物の一時保管場所までの運搬経路を示す経路情報が含まれてもよい。
【0046】
また、制御部26は、荷物の運搬先における保管庫、または一時保管場所の保管庫内に荷物を搬出する搬出制御を行う。例えば、UGV2と近距離無線通信中の保管ロッカー装置1等による認証処理を経て保管庫の扉が開放されると、制御部26は、例えば撮像部24から取得された画像情報に基づいて、UGV2と保管庫との位置調整を行った上で、荷物の搬出・搬入機構により保管庫内に荷物を搬出させる。
【0047】
また、制御部26は、一時保管場所の保管庫から荷物を搬入する搬入制御を行う。例えば、UGV2と近距離無線通信中の保管ロッカー装置1等による認証処理を経て保管庫の扉が解錠及び開放されると、制御部26は、例えば撮像部24から取得された画像情報に基づいて、UGV2と保管庫との位置調整を行った上で、荷物の搬出・搬入機構により保管庫内に荷物を搬入させる。
【0048】
なお、制御部26は、UGV2の現在位置を示す位置情報、及び荷物の積載可否情報を、通信ネットワークNWを介して管理サーバ3へ時系列で送信する。ここで、荷物の積載可否情報は、現時点で荷物を積載することができるか否かを示す。「時系列で送信」とは、時間経過に伴い連続的に複数回送信することを意味する。位置情報及び積載可否情報が送信される時間間隔(つまり、送信間隔)は、一定間隔であってもよいし、不定間隔であってもよい。
【0049】
[
1-3.管理サーバ3の構成及び機能]
管理サーバ3は、保管庫及び移動体に関する情報を管理するサーバである。
図6は、管理サーバ3の概要構成例を示す図である。
図6に示すように、管理サーバ3は、通信部31、記憶部32、及び制御部33等を備える。通信部11は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ等から構成され、各種プログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部32には、保管場所データベース(DB)321、及び移動体データベース(DB)322等が構築される。
【0050】
保管場所データベース321には、保管庫ID、装置ID、所在地情報、保管庫のサイズ、保管庫の種別(例えば、冷蔵機能または冷凍機能の有無)、保管庫の利用状況、及び一時保管可否等が保管庫毎に対応付けられて格納される。ここで、装置IDは、保管庫データベース321に格納されない場合もある。利用状況が「利用中」である保管庫の保管庫IDには、当該保管庫の扉を解錠するためのパスワード(つまり、当該保管庫に設定されたパスワード)、保管中の荷物の荷物ID、及び当該荷物の受取人の情報(例えば、受取人の氏名、及びメールアドレス)が対応付けられて格納されている。
【0051】
また、利用状況が「予約中」である保管庫の保管庫IDには、当該保管庫を予約したUGV2の移動体ID、及び当該UGV2により運搬される荷物の荷物ID等が対応付けられて格納されている。一時保管可否は、保管庫が一時保管場所として利用可能であるか否かを示す。一時保管場所としての利用が保管庫の管理者等により許可されていない保管庫は一時保管否となる。なお、保管場所データベース321は、最終保管場所データベースと、一時保管場所データベースとに分離されてもよい。
【0052】
移動体データベース322には、移動体ID、UGV2の現在位置を示す位置情報、荷物の積載可否情報、及びUGV2にアクセスするためのアドレス情報等がUGV2毎に対応付けられて格納される。ここで、位置情報及び荷物の積載可否情報は、UGV2から通信部31により受信される度に更新される。
【0053】
制御部33は、CPU,ROM,及びRAM等を備え、ROM(または、不揮発性メモリでもよい)に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。
図7は、制御部33における機能ブロック例を示す図である。制御部33は、上記プログラムの実行により、
図7に示すように、保管庫管理部331、予約要求受付部332(受付部の一例)、利用状況確認部333(確認部の一例)、一時保管場所検索部334(第1検索部の一例)、一時保管指令送信部335(第1送信部の一例)、予約処理部336、移動体検索部337(第2検索部の一例)、及び荷物回収保管指令送信部338(第2送信部の一例)等として機能する。
【0054】
保管庫管理部331は、保管場所データベース321を用いて、保管庫の利用状況を管理する。例えば、保管庫管理部331は、保管ロッカー装置1から、施錠情報が通信部31により受信されると、当該施錠情報に基づいて、保管庫の利用状況を更新するための更新処理を実行する。この更新処理では、保管場所データベース321において、施錠情報に含まれる保管庫IDに対応付けられた利用状況が「利用中」に更新され、当該施錠情報に含まれるパスワード、荷物の荷物ID、及び当該荷物の受取人の情報等が当該保管庫IDに対応付けられて格納される。
【0055】
また、保管庫管理部331は、保管ロッカー装置1から、解錠情報が通信部31により受信されると、当該解錠情報に基づいて、保管庫の利用状況を更新するための更新処理を実行する。この更新処理では、保管場所データベース321において、解錠情報に含まれる保管庫IDに対応付けられた利用状況が「空き」に更新される。
【0056】
予約要求受付部332は、例えばUGV2から、荷物の運搬先にある保管庫Bの予約要求が通信部31により受信されると、当該予約要求を受け付ける。例えば、予約要求受付部332は、荷物を積載するUGV2が運搬先に接近したタイミングで予約要求を受け付ける。
【0057】
利用状況確認部333は、予約要求受付部332により受け付けられた予約要求に応じて保管庫の利用状況を確認する。例えば、利用状況確認部333は、保管場所データベース321を参照して、予約要求に含まれる所在地情報と一致する所在地情報に対応付けられた利用状況を確認する。ここで、UGV2が運搬先にある程度接近したタイミングで保管庫の利用状況の確認が行われることで、当該保管庫が利用可能でない場合であっても、UGV2を一時保管場所へ早く向かわせることが可能となる。
【0058】
一時保管場所検索部334は、利用状況確認部333による確認結果(利用状況の確認結果)より保管庫が利用可能でない(つまり、保管庫に「空き」がない場合)に、当該保管庫の近傍範囲内において利用可能な(つまり、利用状況が「空き」である)一時保管場所を検索する。
【0059】
一時保管指令送信部335は、一時保管場所検索部334の検索により特定された一時保管場所に荷物を一時保管させるための一時保管指令を、通信ネットワークNWを介して、当該荷物を運搬中のUGV2へ送信する。これにより、当該UGV2は、一時保管指令に応じて荷物を一時保管場所へ運搬して予約された保管庫に荷物を一時保管することになる。
【0060】
予約処理部336は、利用状況確認部333による確認結果(利用状況の確認結果)より保管庫が利用可能である場合に、利用状況が利用可能である保管庫を予約するための予約処理を実行する。この予約処理では、保管場所データベース321において、利用状況の確認がなされた保管庫の保管庫IDに対応付けられた利用状況が「予約中」に更新され、予約要求に含まれる移動体ID及び荷物ID等が当該保管庫IDに対応付けられて格納される。
【0061】
移動体検索部337は、一時保管指令送信部335により一時保管指令が送信された後、予約要求された保管庫が利用可能になった場合に、当該一時保管場所の近傍範囲内において荷物を運搬可能なUGV2を検索する。ここで検索されるUGV2は、一時保管場所に保管された荷物を保管したUGV2と同じである場合もあるし、異なる場合もある。一時保管場所の近傍範囲とは、運搬先の近傍範囲と同じ範囲であってもよいし、異なる範囲であってもよい。
【0062】
荷物回収保管指令送信部338は、一時保管場所に一時保管された荷物を回収し運搬先(つまり、最終保管場所)にある保管庫に保管させるための荷物回収保管指令(一時保管場所に一時保管された荷物を回収し保管庫に保管させるための第2指令)を、通信ネットワークNWを介して、移動体検索部337の検索により特定されたUGV2へ送信する。これにより、当該UGV2は、荷物回収保管指令に応じて荷物を一時保管場所で回収し運搬先へ運搬して保管庫に荷物を保管することになる。
【0063】
なお、一時保管指令送信部335により一時保管指令が送信された後、予約要求された保管庫が利用可能になった場合に、予約処理部336は、当該利用可能なった保管庫を予約するための予約処理を実行する。この場合においても、予約処理部336は、移動体検索部337の検索により特定されたUGV2が運搬先に接近したタイミングで予約処理を実行してもよい。
【0064】
[2.運搬システムSの動作]
次に、本実施形態に係る運搬システムSの動作について、UGV2aにより運搬された荷物が一時保管場所に保管されるまでの動作と、UGV2bにより一時保管場所から荷物が取り出されて運搬先に保管されるまでの動作とに分けて説明する。
【0065】
[
2-1.運搬された荷物が一時保管場所に保管されるまでの動作]
先ず、
図8及び
図9を参照して、UGV2aにより運搬された荷物が一時保管場所に保管されるまでの動作の一例について説明する。
図8は、UGV2aにより運搬された荷物が一時保管場所に保管されるまでの動作の一例を示すシーケンス図である。
図9は、UGV2aにより運搬された荷物が一時保管場所に保管されるまでの様子を地図上に表した概念図である。
【0066】
なお、この動作例においては、荷物の発送拠点P1で、上述した運搬先情報がUGV2aに設定されるものとする。この運搬先情報には、運搬先の所在地情報、及び運搬される荷物の荷物IDが含まれる。この運搬先情報には、荷物サイズ情報、荷物種別情報、及び荷物の受取人の情報(例えば、メールアドレス)のうち少なくとも何れか1つの情報が含まれてもよい。
【0067】
図8において、UGV2aは運搬先情報にしたがって発送拠点P1から荷物の運搬先に向かって運搬を開始(ステップS1)した後、UGV2aの制御部26は、UGV2aの位置情報と運搬先の所在地情報とに基づいて、UGV2aが荷物の運搬先に接近したか否かを判定する(ステップS2)。この判定は、所定時間間隔で繰り返し行われる。
【0068】
そして、UGV2aの制御部26は、UGV2aが荷物の運搬先に接近したと判定した場合(ステップS2:YES)、当該荷物の運搬先にある保管庫Bを予約するための予約要求を、通信ネットワークNWを介して管理サーバ3へ送信する(ステップS3)。これにより、発送時に保管庫Bが利用可能でない場合であっても、運搬中に荷物が保管庫Bから取り出されることで利用可能となれば、当該荷物を当該保管庫Bに保管させることができるので、運搬の効率化を図ることができる。なお、UGV2aが運搬先に接近していないと判定された場合(ステップS2:NO)、予約要求は送信されない。
【0069】
例えば、UGV2aから運搬先にある保管ロッカー装置1aまでの距離がx(例えば、50~100)mである地点に到達したタイミングで予約要求が送信される。予約要求には、UGV2aの移動体ID、運搬先の所在地情報、運搬される荷物の荷物ID、及び当該荷物の受取人の情報(例えば、受取人の氏名、及びメールアドレス)等が含まれる。なお、予約要求には、荷物サイズ情報、及び荷物種別情報のうち少なくとも何れか1つの情報が含まれてもよい。
【0070】
一方、UGV2aからの予約要求が管理サーバ3の通信部31により受信されると、制御部33は、当該予約要求を予約要求受付部332により受け付ける(ステップS4)。次いで、制御部33は、予約要求に応じて、利用状況確認部333により運搬先にある保管庫Bの利用状況を、利用状況確認部333により確認する(ステップS5)。
【0071】
次いで、制御部33は、ステップS5での利用状況の確認結果より保管庫Bが利用可能であるか否かを判定する(ステップS6)。例えば、保管ロッカー装置1aの保管庫Ba~Bhのうち何れかの利用状況が「空き」である場合、保管庫Bが利用可能であると判定され(ステップS6:YES)、当該利用可能である保管庫Bを予約するための予約処理が実行される(ステップS7)。なお、この予約処理の後の動作については説明を省略する。
【0072】
ここで、予約要求に含まれる荷物サイズ情報が示すサイズと、保管場所データベース321における保管庫Bのサイズとが比較され、当該保管庫Bに荷物が収まる(つまり、保管庫Bのサイズが荷物のサイズより大きい)場合に、当該保管庫Bが利用可能であると判定されてもよい。また、予約要求に含まれる荷物種別情報が示す種別と、保管場所データベース321における保管庫Bの種別とが比較され、当該保管庫Bの種別と荷物の種別とがマッチする場合(例えば、荷物が生鮮食品であり、保管庫Bが冷蔵機能有の場合)に、当該保管庫Bが利用可能であると判定されてもよい。
【0073】
一方、例えば保管ロッカー装置1aの保管庫Ba~Bhの何れの利用状況が「空き」でない(つまり、「利用中」または「予約中」である)場合に、保管庫Bが利用可能でないと判定され(ステップS6:NO)、ステップS8へ進む。
【0074】
なお、保管庫Bが利用可能でない場合、予約要求の受信時刻、及び予約要求に含まれる荷物ID、運搬先情報、及び空き待ちフラグ等が保管庫Bの(例えば、保管庫Ba~Bhそれぞれの)保管庫ID(または、当該保管庫を備える保管ロッカー装置1aの装置ID)に対応付けられて記憶される。これにより、対象となる何れかの保管庫Bの利用状況が「空き」になったときに、例えば受信時刻が最先である荷物を保管するために、利用状況が「空き」になった保管庫Bを予約するための予約処理が実行される。
【0075】
別の例として、保管庫Bが利用可能でない場合、予約要求の受信時刻、及び予約要求に含まれる荷物ID、運搬先情報、荷物種別情報、及び空き待ちフラグ等が保管庫Bの保管庫IDに対応付けられて記憶されてよい。これにより、対象となる何れかの保管庫Bの利用状況が「空き」になったときに、最も早く受取人に配達する必要がある荷物(例えば、生鮮食品)を保管するために、利用状況が「空き」になった保管庫Bを予約するための予約処理が実行される。
【0076】
ステップS8では、制御部33は、保管庫Bが利用可能でないと判定された保管庫B(例えば保管ロッカー装置1a)の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を、一時保管場所検索部334により検索する。例えば、利用可能でないと判定された保管庫Bの所在地情報と、保管場所データベース321における一時保管場所の所在地情報とが比較され、保管ロッカー装置1aの近傍範囲内において利用可能な一時保管場所(つまり、利用状況が「空き」(空き有)である一時保管場所)が検索により特定される。
【0077】
ここで、保管庫Bの近傍範囲とは、例えば、保管庫Bとの距離が所定距離(例えば、1km)以下の範囲、または保管庫Bまでの所要時間が所定時間(例えば、5分)以下の範囲である。保管庫Bの近傍範囲内において利用可能な一時保管場所が複数ある場合、その中で保管庫Bに最も近い一時保管場所が特定されるとよい。
図9の例では、保管ロッカー装置1aの近傍範囲R1内にあり、且つその保管庫Bxが利用可能(空き有)である無人航空機用ポートPOが一時保管場所として特定される。
【0078】
次いで、制御部33は、ステップS8の検索により特定された一時保管場所を予約するための予約処理を、予約処理部336により実行する(ステップS9)。この予約処理では、保管場所データベース321において、一時保管場所(例えば、無人航空機用ポートPO)の保管庫Bxの利用状況が「予約中」に更新され、予約要求に含まれる移動体ID及び荷物IDが当該保管庫Bxの保管庫IDに対応付けられて格納される。
【0079】
次いで、制御部33は、ステップS8の検索により特定された一時保管場所に荷物を一時保管させるための一時保管指令I1を、通信ネットワークNWを介して、ステップS8の検索により特定された一時保管場所へ送信する(ステップS10)。この一時保管指令I1には、予約要求を送信したUGV2aの移動体IDが含まれる。これにより、一時保管場所(無人航空機用ポートPOの記憶部)に記憶された保管庫IDに対応付けられた利用状況が「予約中」に更新されるとともに、一時保管指令I1に含まれる移動体IDが当該保管庫IDに対応付けられて記憶される。
【0080】
次いで、制御部33は、ステップS8の検索により特定された一時保管場所に荷物を一時保管させるための一時保管指令I2を、一時保管指令送信部335により通信ネットワークNWを介して、予約要求を送信したUGV2aへ送信する(ステップS11)。この一時保管指令I2には、ステップS8の検索により特定された一時保管場所の一時保管場所情報が含まれる。一時保管場所情報には、例えば、一時保管場所の所在地情報、及び一時保管場所の保管庫Bxの保管庫IDが含まれる。
【0081】
一方、管理サーバ3からの一時保管指令I2がUGV2aの通信部23により受信されると(ステップS12)、UGV2aの制御部26は、一時保管指令I2に応じて一時保管場所の所在地情報にしたがって、一時保管場所へUGV2aを移動させる(ステップS13)。そして、UGV2aが一時保管場所に到着すると、UGV2aの制御部26は、近距離無線通信により移動体IDを一時保管場所(例えば、無人航空機用ポートPO)へ送信し認証処理を経て扉が開放された保管庫Bx内に荷物を搬出させる(ステップS14)。
【0082】
そして、荷物が一時保管場所の保管庫Bxに一時保管され保管庫Bxが施錠される。これにより、保管庫Bxの保管庫ID、保管庫Bxに設定されたパスワード及び一時保管された荷物の荷物IDを含む施錠情報が当該一時保管場所から管理サーバ3に送信されることで、保管庫管理部331により保管場所データベース321が更新される。
【0083】
なお、制御部33(通知部の一例)は、ステップS8の検索により特定された一時保管場所を荷物の受取人へ通知してもよい。例えば、予約要求に含まれる受取人の情報(例えば、メールアドレス)に基づいて、当該受取人のメールアドレス宛に、上記一時保管場所の一時保管場所情報、及び当該一時保管場所情報に含まれる保管庫IDに対応付けられたパスワードがメールで送信される。これにより、保管庫Bに空きがない場合であっても、一時保管場所でいち早く受取人に荷物を受け取らせることができる。
【0084】
[
2-2.一時保管場所から荷物が取り出されて運搬先に保管されるまでの動作]
次に、
図10及び
図11を参照して、UGV2bにより一時保管場所から荷物が取り出されて運搬先に保管されるまでの動作の一例について説明する。
図10は、UGV2bにより一時保管場所から荷物が取り出されて運搬先に保管されるまでの動作の一例を示すシーケンス図である。
図11は、UGV2bにより一時保管場所から荷物が取り出されて運搬先に保管されるまでの様子を地図上に表した概念図である。
【0085】
図8のステップS18で一時保管指令I2が送信された後、
図10において、管理サーバ3の制御部33は、上記空き待ちフラグが保管庫IDに対応付けられた保管庫Bが利用可能になったか否かを判定する(ステップS21)。この判定は、例えば保管場所データベース321が更新される度に行われるとよい。
【0086】
そして、制御部33は、空き待ちフラグが保管庫IDに対応付けられた保管庫Bが利用可能になった(つまり、利用状況が「空き」になった)と判定した場合(ステップS21:YES)、空き待ちフラグに対応付けられた荷物IDにより特定される荷物を一時保管する一時保管場所を特定(保管庫IDで特定)する(ステップS22)。
【0087】
ここで、同じ保管庫IDに対して空き待ちフラグが対応付けられた荷物IDが複数ある場合、予約要求の受信時刻が最先である荷物を保管する一時保管場所が特定される。或いは、この場合、荷物種別情報に基づいて、最も早く受取人に配達する必要がある荷物(例えば、生鮮食品)を保管する一時保管場所が特定される。
【0088】
次いで、制御部33は、ステップS22で特定された一時保管場所の一時保管場所情報を保管場所データベース321から取得する(ステップS23)。なお、空き待ちフラグが保管庫IDに対応付けられた保管庫Bが利用可能になっていない場合(ステップS21:NO)、他の処理へ移行する。
【0089】
次いで、制御部33は、ステップS22で特定された一時保管場所の近傍範囲内において荷物を運搬可能なUGV2を、移動体検索部337により検索する(ステップS24)。これにより、一時保管場所に一時保管されている荷物をUGV2がより迅速に回収して運搬先へ運搬することが可能となる。例えば、ステップS23で取得された一時保管場所情報に含まれる所在地情報と、移動体データベース322における各UGV2の現在位置を示す位置情報とが比較され、当該一時保管場所の近傍範囲内において荷物を運搬可能なUGV2(つまり、積載可否情報から荷物を積載可能なUGV2)が検索により特定される。
【0090】
ここで、一時保管場所の近傍範囲とは、例えば、一時保管場所との距離が所定距離(例えば、1km)以下の範囲、または一時保管場所までの所要時間が所定時間(例えば、5分)以下の範囲である。一時保管場所の近傍範囲内において荷物を運搬可能なUGV2が複数ある場合、その中で一時保管場所に最も近いUGV2が特定されるとよい。
図11の例では、一時保管場所である無人航空機用ポートPOの近傍範囲内R2にあり、且つ荷物を運搬可能なUGV2bが検索により特定される。
【0091】
なお、運搬先で待機する待機UGV2(例えば、保管ロッカー装置1aが設置された集合住宅専用または公共施設専用のUGV2)がある場合、上記ステップS24において、制御部33は、当該待機UGV2を検索により特定してもよい。これにより、管理サーバ3による検索負荷を低減することができる。
【0092】
次いで、制御部33は、ステップS21で利用可能なったと判定された保管庫Bを予約するための予約処理を実行する(ステップS25)。この予約処理では、保管場所データベース321において、利用可能となった保管庫Bの保管庫IDに対応付けられた利用状況が「予約中」に更新され、ステップS24の検索により特定されたUGV2bの移動体ID、及び一時保管場所に一時保管されている荷物の荷物ID(つまり、空き待ちフラグに対応付けられた荷物ID)等が当該保管庫IDに対応付けられて格納される。これにより、一時保管場所に一時保管されている荷物を回収して保管庫Bに確実に保管させることができる。
【0093】
次いで、制御部33は、一時保管された荷物を回収する荷物回収指令を、通信ネットワークNWを介して、ステップS22で特定された一時保管場所へ送信する(ステップS26)。この荷物回収指令には、ステップS24の検索により特定されたUGV2bの移動体IDが含まれる。次いで、制御部33は、回収された荷物を保管する荷物保管指令を、通信ネットワークNWを介して、運搬先にある例えば保管ロッカー装置1aへ送信する(ステップS27)。この荷物保管指令には、ステップS24の検索により特定されたUGV2bの移動体IDが含まれる。
【0094】
次いで、制御部33は、ステップS22で特定された一時保管場所に一時保管された荷物を回収し予約処理により予約された保管庫Bに保管させるための荷物回収保管指令を、通信ネットワークNWを介して、ステップS24の検索により特定されたUGV2bへ送信する(ステップS28)。この荷物回収保管指令には、ステップS22で特定された一時保管場所の保管庫Bxの保管庫ID(つまり、回収対象の荷物を一時保管する保管庫の保管庫ID)、当該保管庫Bxに設定されたパスワード、ステップS23で取得された一時保管場所情報、当該保管庫Bxに一時保管されている荷物の荷物ID、及び運搬先情報(つまり、運搬先の所在地情報等を含む)が含まれる。
【0095】
なお、管理サーバ3の制御部33は、荷物回収保管指令の送信後、保管庫Bに保管される荷物の受取人の情報(例えば、メールアドレス)に基づいて、当該受取人のメールアドレス宛に、当該保管庫Bに設定されたパスワードを示すメールを送信してもよい。これにより、受取人は当該保管庫Bから荷物を取り出すことができる。
【0096】
ところで、同じ運搬先に運搬予定の複数の荷物のそれぞれが異なる一時保管場所に分散して保管される場合がある。例えば、同じ受取人により注文された複数の商品が異なる一時保管場所に分散して保管される場合が想定される。この場合、制御部33(決定部の一例)は、ステップS24の検索により特定されたUGV2bに、複数の一時保管場所のそれぞれで荷物を回収させて運搬先に運搬させるための適切な運搬経路(例えば、最適経路、最短経路)、少なくとも、一時保管場所のそれぞれの位置情報に基づいて決定するとよい。そして、制御部33は、決定された運搬経路を示す経路情報を含む荷物回収保管指令をUGV2bへ送信する。これにより、複数の荷物の運搬先にある保管庫Bが利用可能になった場合に、複数の一時保管場所のそれぞれに一時保管されている荷物を、より迅速に当該運搬先へ運搬して保管させることができる。
【0097】
一方、管理サーバ3からの荷物回収保管指令がUGV2bの通信部23により受信されると、UGV2bの制御部26は、荷物回収保管指令に応じて一時保管場所の所在地情報にしたがって、一時保管場所へUGV2bを移動させる(ステップS29)。そして、UGV2bが一時保管場所に到着すると、UGV2bの制御部26は、近距離無線通信により移動体ID及びパスワードを一時保管場所(例えば、無人航空機用ポートPO)へ送信し認証処理を経て扉が解錠及び開放された保管庫Bxから荷物を搬入させる(ステップS30)。これにより、保管庫Bxの保管庫IDを含む解錠情報が当該一時保管場所から管理サーバ3に送信されることで、保管庫管理部331により保管場所データベース321が更新される。
【0098】
次いで、UGV2bの制御部26は、運搬先の所在地情報にしたがって、運搬先である最終保管場所(例えば保管ロッカー装置1a)へUGV2bを移動させる(ステップS31)。そして、UGV2bが最終保管場所に到着すると、UGV2bの制御部26は、近距離無線通信により移動体IDを最終保管場所へ送信し認証処理を経て扉が開放された保管庫Bへ荷物を搬出させる(ステップS32)。これにより、当該荷物が保管庫Bに保管される。そして、保管庫Bの保管庫IDを含む施錠情報が当該保管ロッカー装置1aから管理サーバ3に送信されることで、保管庫管理部331により保管場所データベース321が更新される。
【0099】
なお、ステップS25における予約処理は、荷物回収保管指令がUGV2bに送信された後、UGV2bが運搬先に接近したタイミング(UGV2bの接近タイミング)で実行されてもよい。これにより、運搬の効率化を図ることができる。この場合、管理サーバ3の制御部33は、UGV2bの位置情報と運搬先の所在地情報とに基づいて、UGV2bが荷物の運搬先に接近したか否かを判定する。この判定は、ステップS2の判定と同様である。そして、UGV2bが荷物の運搬先に接近したと判定した場合に、当該荷物の運搬先にある保管庫Bを予約する予約処理を実行する。
【0100】
ここで、UGV2bが荷物の運搬先に接近したか否かの判定は、UGV2bの制御部26が、UGV2bの位置情報と運搬先の所在地情報とに基づいて行ってもよい。この場合、UGV2bの制御部26は、UGV2bが荷物の運搬先に接近したと判定しときに、当該荷物の運搬先にある保管庫Bを予約するための予約要求を、通信ネットワークNWを介して管理サーバ3へ送信する。これにより、管理サーバ3の制御部33は、予約要求に応じて上記予約処理を行う。
【0101】
ただし、上記予約処理がUGV2bの接近タイミングで実行されると、当該接近タイミングまでの間に、ステップS21で利用可能なったと判定された保管庫Bが再び利用可能でなくなる可能性がある。そのため、管理サーバ3の制御部33は、ステップS21で利用可能なったと判定された保管庫Bの利用状況を上記接近タイミングで確認するとよい。そして、管理サーバ3の制御部33は、保管庫Bの利用状況の確認結果より利用可能でない場合、再び、当該保管庫Bの近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索し、当該検索により特定された一時保管場所に荷物を一時保管させるための一時保管指令をUGV2bへ送信する。
【0102】
以上説明したように、上記実施形態によれば、管理サーバ3は、UGV2により運搬される荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付けると、当該予約要求に応じて保管庫の利用状況を確認し、当該利用状況の確認結果より保管庫が利用可能でない場合に、当該保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索する。そして、管理サーバ3は、上記検索により特定された一時保管場所に荷物を一時保管させるための一時保管指令をUGV2へ送信するように構成したので、保管庫に空きがない場合であっても、UGV2が再度荷物を運搬する手間を低減することができる。
【0103】
また、管理サーバ3は、一時保管指令の送信後、上記保管庫が利用可能になった場合に、当該荷物を運搬可能なUGV2を検索し、上記一時保管場所に一時保管された荷物を回収し保管庫に保管させるための荷物回収保管指令を、当該検索により特定されたUGV2へ送信するように構成したので、UGV2が再度荷物を運搬する手間を低減しつつ、一時保管場所に一時保管されている当該荷物を回収して運搬先にある保管庫に保管させることができる。
【0104】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。本発明における受付部、確認部、第1検索部、第2検索部、第1送信部、第2送信部、決定部、及び予約処理部は、管理サーバ3に備えられる例を示したが、これらの構成部分のうちの一部の構成は管理サーバ3以外の装置等に備えられてもよい。
【0105】
例えば、受付部、確認部、及び予約処理部(一部)が保管ロッカー装置1に備えられ、第1検索部、第2検索部、第1送信部、第2送信部、決定部、及び予約処理部(一部)が管理サーバ3に備えられてもよい。この場合、保管ロッカー装置1は、例えばUGVから荷物の運搬先にある保管庫の予約要求を受け付けると、当該予約要求に応じて保管庫の利用状況を確認し、当該利用状況の確認結果より保管庫が利用可能でない場合に、当該保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所の検索要求を管理サーバ3へ送信する。そして、管理サーバ3は、保管ロッカー装置1から検索要求を受け付けると、当該保管庫の近傍範囲内において利用可能な一時保管場所を検索し、当該検索により特定された一時保管場所に荷物を一時保管させるための第1指令を上記UGVへ送信する。一方、保管ロッカー装置1は、上記予約要求に応じて保管庫の利用状況を確認し、当該利用状況の確認結果より保管庫が利用可能である場合に、当該保管庫を予約するための予約処理を実行する。
【0106】
また、上記実施形態においては、保管庫の扉は当該保管庫を備える装置(保管ロッカー装置1または無人航空機用ポートPO)の駆動機構により開閉される例を示したが、当該保管庫の扉を開閉するための機構をUGV2に備えることで当該UGV2が扉を開閉するように構成してもよい。また、上記実施形態においては、無人で自律的に移動可能なUGVを例にとって説明したが、本実施形態は人が運転する車両等の移動体に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1、1a~1c 保管ロッカー装置
2、2a~2c UGV
3 管理サーバ
11 操作・表示部
12 通信部
13 記憶部
14 制御部
21 駆動部
22 測位部
23 通信部
24 撮像部
25 記憶部
26 制御部
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 保管庫管理部
332 予約要求受付部
333 利用状況確認部
334 一時保管場所検索部
335 一時保管指令送信部
336 予約処理部
337 移動体検索部
338 荷物回収保管指令送信部
B、Ba~Bh 保管庫
S 運搬システム