(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】作業機械の補修部品の選択支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220728BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
(21)【出願番号】P 2020169766
(22)【出願日】2020-10-07
(62)【分割の表示】P 2016233193の分割
【原出願日】2016-11-30
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 聡志
(72)【発明者】
【氏名】猿山 未華
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215797(JP,A)
【文献】特許第6223628(JP,B1)
【文献】特開2004-021296(JP,A)
【文献】特開2007-272930(JP,A)
【文献】特開2001-312524(JP,A)
【文献】特開2013-193802(JP,A)
【文献】特開2010-231374(JP,A)
【文献】特開2008-243060(JP,A)
【文献】特開2015-191444(JP,A)
【文献】特開2012-14297(JP,A)
【文献】特開2013-50970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体及び前記本体に取り付けられた作業機を備えた作業機械の補修部品の選択支援システムにおいて、
前記作業機械の構成部品の情報を記憶する第1部品記憶部と、
前記構成部品毎に関連付けられた
、前記構成部品の補修に伴って発注候補となる少なくとも1つの関連部品の情報を記憶する第2部品記憶部とを有し、
操作装置から入力される操作信号に応じて、前記作業機械の構成部品の情報を前記第1部品記憶部から読み込んで表示装置に出力し、
前記表示装置に表示された構成部品の選択操作に伴って前記操作装置から入力される操作信号に応じて、選択された構成部品に関連付けられた
前記関連部品の情報を前記第2部品記憶部から読み込んで前記表示装置に出力する
ことを特徴とする作業機械の補修部品の選択支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械の補修部品の選択支援システムにおいて、
前記関連部品について、発注されて且つ返却されなかった確率で定義した関連度を前記表示装置に出力する
ことを特徴とする作業機械の補修部品の選択支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械の補修部品の選択支援システムにおいて、
前記構成部品及び前記関連部品の少なくとも一方から選択される選択部品を記憶する選択部品記憶部を有し、
部品の発注操作に伴って前記操作装置から入力される操作信号に応じて、前記選択部品記憶部に記憶された前記選択部品を発注リストにし、
前記発注リストと前記発注リスト毎の返却部品とを基に、前記選択部品毎に前記関連度を累積的に演算する
ことを特徴とする作業機械の補修部品の選択支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の作業機械の補修部品の選択支援システムにおいて、
発注履歴に基づいて、前記選択部品の組み合わせが同じ他の発注リストの数を設定値と比較し、前記他の発注リストの数と前記設定値との比較で発注リストを選択したIDについて評価値を演算し、
前記評価値が相対的に低いIDによる選択が含まれる関連度を、当該IDによる選択の度に一定割合ずつ下げ、
前記評価値が相対的に高いIDによる選択が含まれる関連度を、当該IDによる選択の度に一定割合ずつ上げる
ことを特徴とする作業機械の補修部品の選択支援システム。
【請求項5】
請求項2に記載の作業機械の補修部品の選択支援システムにおいて、
前記第2部品記憶部の記憶情報について、関連部品毎に前記関連度を設定値と比較し、関連付けられた構成部品との関係で関連度が前記設定値を下回る関連部品について、発注回数が一定値より多いことを条件として当該構成部品との関連付けを解除することを特徴とする作業機械の補修部品の選択支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、ホイールローダ、クレーン等に代表される作業機械の補修に用いる部品の選択支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造の分野でアソシエーション分析を用いた例として、オプション部品の適否決定条件を過去実績の分析を基に特定するものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば自動車は用途が走行に限られる上、アスファルト等で舗装された路面か鉱山等の未舗装の路面かといった程度の違いこそあれ、走行する路面等の条件は乗用車や作業者等の車格で概ね決まる。そのため、同じ部位に発生する故障に共通性がある場合も多く、補修に必要な部品の選択の検討に長期を要することは比較的少ない。
【0005】
それに対し、油圧ショベル等に代表される作業機械は土木建設の他、資源開発、建物や自動車の解体、産業廃棄物の分別等、例えばアタッチメントを交換することで同一機種でも様々な場所や場面で汎用的に運用され得る。こうした運用上の特殊性から同一機種でも負荷状況は様々で故障の原因となる事象は多岐に渡り、実際に分解等の作業をしてみないと補修に必要な部品がよく分からない場合も多い。加えて作業機械の稼働停止期間は稼働現場の作業の遅れに直結するため、作業機械の故障対応には迅速性が強く求められる。そのため、故障状況の見当が凡そついたら余計に補修部品を取り寄せて補修作業を遂行し、使用しなかった部品を返却するようなことがしばしば行われる。
【0006】
しかし、不要な部品の取り寄せ及び返却に要する無駄な時間や手間はメンテナンス業務の効率低下に繋がり、不要部品の取り寄せ及び返却の工程が常態化すれば故障対応の迅速性に影響しかねない。ところが、復旧に必要な補修用の部品の選択は豊富な経験が要求される難度の高い作業であり、場合によっては数週間という長期間を要する。合計で数百頁或いは数千頁に及ぶパーツカタログ等の複数の資料に掲載された膨大な情報に分散した必要部品を1つ1つ見つけ出さなければならないためである。近年では構造の複雑化や多機能化に伴って作業機械の部品点数は益々増加しており、部品点数が1万を超す機種も珍しくない。
【0007】
本発明の目的は、作業機械の補修に必要な部品の選択の妥当性を高め、部品返却工程の発生の抑制によりメンテナンス業務の迅速性の向上を図ることができる作業機械の補修部品の選択支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、本体及び前記本体に取り付けられた作業機を備えた作業機械の補修部品の選択支援システムにおいて、前記作業機械の構成部品の情報を記憶する第1部品記憶部と、前記構成部品毎に関連付けられた、前記構成部品の補修に伴って発注候補となる少なくとも1つの関連部品の情報を記憶する第2部品記憶部とを有し、操作装置から入力される操作信号に応じて、前記作業機械の構成部品の情報を前記第1部品記憶部から読み込んで表示装置に出力し、前記表示装置に表示された構成部品の選択操作に伴って前記操作装置から入力される操作信号に応じて、選択された構成部品に関連付けられた前記関連部品の情報を前記第2部品記憶部から読み込んで前記表示装置に出力する作業機械の補修部品の選択支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機械の補修に必要な部品の選択の妥当性を高め、部品返却工程の発生の抑制によりメンテナンス業務の迅速性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る選択支援システムで選択する補修部品を用いた補修作業の対象となる作業機械の外観を表す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムの全体構成を模式的に表すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた端末によるユーザの部品発注操作に伴う発注処理手順の概要を表したフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられたサーバによる情報更新手順の概要を表したフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた表示装置に表示されるキーパーツの選択画面の一例を模式的に表した図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた表示装置に表示される関連部品の選択画面の一例を模式的に表した図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた表示装置に表示される関連部品の他の選択画面の一例を模式的に表した図である。
【
図8】
図6に示した関連部品の選択画面において発注リストに部品を追加した様子を表した図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた第1部品記憶部に記憶された構成部品のデータベースの一例の模式図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた第2部品記憶部に記憶された関連部品のデータベースの一例の模式図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた発注履歴記憶部に記憶された発注リストのデータベースの一例の模式図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた返却履歴記憶部に記憶された返却部品のデータベースの一例の模式図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられたID評価記憶部に記憶されたID評価値のデータベースの一例の模式図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられた除外部品記憶部に記憶された除外部品のデータベースの一例の模式図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムに備えられたキット記憶部に記憶された部品のキットのデータベースの一例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
1.補修対象
図1は本発明の一実施形態に係る選択支援システムで選択する補修部品を用いた補修作業の対象となる作業機械の外観を表す斜視図である。本実施形態ではフロント作業機のアタッチメントとしてバケットを装着した油圧ショベルを作業機械の例として説明する。但し、バケット以外のアタッチメントを備える油圧ショベル、その他ホイールローダ等の他種の作業機械の補修部品の選択支援にも本発明は適用され得る。
【0013】
図1に示した作業機械100は本体110及び作業機120を備えている。この例では本体110が走行体111及び旋回体112を備えていて自走機能を有している場合を例示しているが、本体110は自走機能を持たない固定式のものである場合もある。旋回体112は、走行体111上に旋回装置(不図示)を介して旋回可能に設けられている。旋回体112の前部(同図中の左上側)には運転室114が設けられている。旋回体112における運転室114の後側(同右下側)には、原動機や油圧駆動装置等を収容した動力室115が配置されている。作業機120は土砂の掘削等の作業を行うための装置であり、旋回体112の前部(本実施形態では運転室114の右側)に設けられている。この作業機120は、ブーム121、アーム122及びバケット123を備えた多関節型の作業装置である。ブーム121はブームシリンダ131によって回動し、アーム122はアームシリンダ132によってブーム121に対して回動し、バケット123はバケットシリンダ133によってアーム122に対して回動する。
【0014】
2.システム構成
図2は本発明の一実施形態に係る作業機械の補修部品の選択支援システムの全体構成を模式的に表すブロック図である。
【0015】
本実施形態に例示する作業機械の補修部品の選択支援システム(以下、単にシステムと記載する)は、インターネットやLAN等のネットワーク70を介して接続されたサーバ10及び端末40を備えている。但しシステムの態様は図示したものに限定されず、サーバ10の機能は複数のサーバに分散させることもできるし、またサーバ10に端末40の機能を持たせることもできる。サーバ10の機能を複数のサーバで担う場合、複数のサーバはLANで接続する構成でも良いし、インターネット等を介して接続する構成でも良い。インターネットを介して接続する場合、各サーバは同一国内の離れた地域にそれぞれ設置される場合もあれば、異なる国にそれぞれ設置される場合もあり得る。以下にサーバ10と端末40の構成について説明する。
【0016】
2-1.サーバ
サーバ10は、例えば部品を管理する会社や事業所、代理店その他(以下、部品管理会社等と記載する)に設置されているものとする。このサーバ10は記憶部20及び処理部30を備えている。記憶部20は各種情報を記憶する記憶装置であり、処理部30は各種演算処理を実行する演算処理装置(CPU等)である。記憶部20には、第1部品記憶部21、第2部品記憶部22、発注履歴記憶部23、返却履歴記憶部24、ID評価記憶部25、除外部品記憶部26、キット記憶部27が含まれている。処理部30には、情報更新部31、第1関連度評価部32、第2関連度評価部33、ID評価部34、キット設定部35が含まれている。
【0017】
・第1部品記憶部
第1部品記憶部21は、作業機械100の構成部品の情報を記憶する記憶装置又は記憶領域である。第1部品記憶部21には作業機械100の構成部品のデータベースが機種毎に記憶されている。
【0018】
図9は第1部品記憶部21に記憶された構成部品のデータベースの一例の模式図を表している。同図に例示したデータベースには、機種21a、部品名称21b、発注頻度評価21c、図面21d、符号21e、メモ21f、部品番号21g、数量21h、価格21i、重量21j等のデータが、作業機械100の構成部品単位でまとめられている。
【0019】
機種21aは各構成部品がそれぞれ属する作業機械の機種(例えば型式、機種コード)である。例えば、機種毎に構成部品がリストアップされて登録されている。部品名称21bは作業機械100の構成部品の名称である。部品名称21bに名称が登録された構成部品が作業機械100における補修対象部品(適宜キーパーツと記載する)に該当する。キーパーツとしては、ブームやアーム等の比較的大きなユニットから、これらユニットを構成するシリンダ等の構成要素、更にはシリンダ等の構成要素等までリストアップされている。発注頻度評価21cは機種について補修の際に特に発注頻度の高いキーパーツに与えられる識別情報である。図面21dはキーパーツを含む組立図や分解図等であってキーパーツの構造或いは周辺部品との関係等が把握できる図面のデータであり、画像データや設計データ(CADデータ)等を用いることができる(
図5の図面表示部55参照)。符号21eは図面データに表記されるキーパーツの符号である(同)。メモ21fはキーパーツの補足情報であり、例えば油圧系統のキーパーツであれば必要なオイル量、電気系統のキーパーツであれば使用するバッテリの情報等が含まれる。その他、現実の補修作業からフィードバックされた有益な情報等もメモ21fに含まれ得る。部品番号21gはキーパーツに与えられた固有の番号である。数量21h、価格21i、重量21jはそれぞれキーパーツの数量、価格、重量のデータである。
図9はキーパーツに関するデータベースの一例であり、項目については適宜取捨選択又は追加され得る。
【0020】
・第2部品記憶部
第2部品記憶部22は、キーパーツに関連付けられた少なくとも1つの関連部品の情報を記憶する記憶装置又は記憶領域である。関連部品とは例えばキーパーツAの補修に伴って発注候補となる部品であり、キーパーツAの構成部品やキーパーツAと係り合う周辺部品が含まれ、その他、キーパーツA自体を含めても良い。関連部品の情報は後述するように部品発注等の度に逐次更新される。
【0021】
図10は第2部品記憶部22に記憶された関連部品のデータベースの一例の模式図を表している。同図に例示したデータベースには、キーパーツ22a、部品名称22b、関連度22c、図面22d、符号22e、メモ22f、部品番号22g、数量22h、価格22i、重量22j等のデータが、キーパーツの関連部品単位でまとめられている。
【0022】
キーパーツ22aは各関連部品がそれぞれ関連付けられたキーパーツの情報(例えば名称、部品番号)である。部品名称22bは関連部品の名称である。関連度22cは、関連付けられたキーパーツとの関連部品の関連度である。本実施形態では、例えばキーパーツAに関連部品Bが関連付けられているとして、キーパーツAの補修に伴う部品発注の際に、関連部品Bが発注され且つ返却されなかった確率(累積値)をキーパーツAに対する関連部品Bの関連度と扱う。図面22dは関連部品を含む組立図や分解図等であって関連部品の構造或いは周辺部品との関係等が把握できる図面のデータであり、画像データや設計データ(CADデータ)等を用いることができる(
図7の図面表示部65参照)。符号22eは図面データに表記される関連部品の符号である(同)。メモ22fは関連部品の補足情報である(メモ21fと同様)。部品番号22gは関連部品に与えられた固有の番号である。数量22h、価格22i、重量22jはそれぞれ関連部品の数量、価格、重量のデータである。
図10は関連部品に関するデータベースの一例であり、項目については適宜取捨選択又は追加され得る。
【0023】
・発注履歴記憶部
発注履歴記憶部23は、端末40の発注処理部49(後述)から入力される発注リストを記憶する記憶装置又は記憶領域である。1つの発注リストには、キーパーツ及びその関連部品の中から選択された少なくとも1つの部品(以下、選択部品)が含まれる。
【0024】
図11は発注履歴記憶部23に記憶された発注リストのデータベースの一例の模式図を表している。同図に例示したデータベースには、発注リスト番号23a、ID23b、キーパーツ23c、部品名称23d、部品番号23e、数量23f、発注日時23g等のデータが、発注リスト単位でまとめられている。発注リスト番号23aは文字通り発注リストに与えられた固有の識別番号である。ID23bは端末40で発注リストを出力したユーザに与えられた固有の識別番号である。部品発注の手続きはシステムにID等を使ってログインして行われるため、発注リストデータにユーザのIDを含めることができる。キーパーツ23cは選択部品の選択の際に指定したキーパーツの情報(名称、部品番号等)である。部品名称23d、部品番号23eはそれぞれ各発注リストに含まれる選択部品の名称、部品番号である。数量23fは各発注リストに含まれる選択部品の発注数量である。発注リストの選択部品には、発注されたキーパーツも含まれる。キーパーツについては、発注された場合にはキーパーツ23c、部品名称23d、部品番号23e、数量23fに登録されるが、発注されない場合には、キーパーツ23cにのみ登録される。発注日時23gは発注リストの出力があった日時のデータである。
図11は発注リストに関するデータベースの一例であり、項目については適宜取捨選択又は追加され得る。
【0025】
・返却履歴記憶部
返却履歴記憶部24は、発注リスト毎に返却部品を記憶する記憶装置又は記憶領域である。発注リストにリストアップされた選択部品は部品管理会社等から指定の送り先に発送されて作業機械100の補修作業に供されるが、結果として補修作業に使用しなかった選択部品は部品管理会社等に返却される。部品管理会社等では発注リスト毎に返却された選択部品(返却部品)の戻入手続きをする。本実施形態の場合、この戻入手続きのデータが返却履歴記憶部24に記憶されている。
【0026】
図12は返却履歴記憶部24に記憶された返却部品のデータベースの一例の模式図を表している。同図に例示したデータベースには、発注リスト番号24a、ID24b、キーパーツ24c、部品名称24d、部品番号24e、数量24f、発注日時24g、返却日時24i等のデータが、発注リスト単位でまとめられている。発注リスト番号24a、ID24b、キーパーツ24c、発注日時24gは
図11の発注リスト番号23a、ID23b、キーパーツ23c、発注日時23gに等しい。部品名称24d、部品番号24eはそれぞれ各発注リストに含まれる返却部品の名称、部品番号である。数量24fは各発注リストに含まれる返却部品の返却数量である。返却日時24iは例えば戻入手続きを完了した日時である。
図12は返却部品に関するデータベースの一例であり、項目については適宜取捨選択又は追加され得る。
【0027】
・ID評価記憶部
ID評価記憶部25は、ID評価部34で評価されたIDの評価値(後述)を記憶する記憶装置又は記憶領域である。
【0028】
図13はID評価記憶部25に記憶されたID評価値のデータベースの一例の模式図を表している。同図に例示したデータベースには、ID25a、評価値25b等のデータが、ID単位でまとめられている。ID25aは登録されているユーザIDである。評価値25bは各IDの評価値である。
図13はID評価に関するデータベースの一例であり、項目については適宜取捨選択又は追加され得る。
【0029】
・除外部品記憶部
除外部品記憶部26は、関連付けられたキーパーツとの関連度が低く、第1関連度評価部32や第2関連度評価部33によって第2部品記憶部22のリストから除外された関連部品を記憶する記憶装置又は記憶領域である。
【0030】
図14は除外部品記憶部26に記憶された除外部品のデータベースの一例の模式図を表している。本実施形態において除外部品記憶部26に記憶される除外部品は、例えば第2部品記憶部22に記憶されていた関連部品のデータを移動させたものであるため、データベースの項目は
図10に示したものに等しい。つまり
図14中の符号26a-26jを付した項目は、
図10中の符号22a-22jを付した項目に対応している。
図14は除外部品に関するデータベースの一例であり、項目については適宜取捨選択又は追加され得る。
【0031】
・キット記憶部
キット記憶部27は、キット設定部35で設定されたキットの情報を記憶する記憶装置又は記憶領域である。本実施形態では、一緒に発注された回数が多い(一定以上の)部品の組み合わせをキットと扱う。
【0032】
図15はキット記憶部27に記憶された部品のキットのデータベースの一例の模式図を表している。同図に例示したデータベースには、キット番号27a、部品名称27b、部品番号27c、数量27d等のデータが、キット単位でまとめられている。キット番号27aは各キットに与えられた固有の識別番号である。部品名称27b、部品番号27c、数量27dは、それぞれ各キットに含まれる複数の部品の名称、番号、数量である。
図15はキット内容に関するデータベースの一例であり、項目については適宜取捨選択又は追加され得る。
【0033】
・情報更新部
情報更新部31は、発注履歴記憶部23及び返却履歴記憶部24に記憶された情報を基に、発注されて且つ返却されなかった確率で定義した関連度を選択部品毎に累積的に演算し、第2部品記憶部22に記憶された関連部品の情報を更新する演算装置又は演算領域である。関連付けられたキーパーツとの関連度は発注がなければ低下し、過去一度も発注がなければ0(ゼロ)又はデータなしとなる。発注はされたがその後返却された場合にも関連度は低下する。例えばキーパーツAの補修のために部品Bの発注があった場合、キーパーツAに対する部品Bの関連度は上昇し、その部品Bが返却された場合、キーパーツAに対する部品Bの関連度は低下する。このように関連度が変動する態様であれば関連度の演算方法は限定されないが、簡単に一例を挙げると、キーパーツAに対する部品Bの関連度α(%)は次のように算出できる。
【0034】
α={(Nb-Nc)/Na}×100
ここで、NaはキーパーツAの補修のために部品発注があった総回数、Nbは総回数Naのうちの部品Bの発注があった回数、NcはNa回の発注のうち部品Bが返却された回数である。Na,Nbは発注履歴記憶部23の記憶情報,Ncは返却履歴記憶部24の記憶情報を基に特定することができる。情報更新部31はNa,Nb,Ncを基に関連度αを各キーパーツについて選択部品毎に演算し、第2部品記憶部22の関連度22c(
図10)を逐次更新する。関連度αの演算及び更新は、例えば端末40からの部品発注に伴って発注履歴記憶部23に新規発注リストが登録された場合や、前述した戻入手続きに伴って返却履歴記憶部24に新規返却情報が登録された場合に、リアルタイムにすることができる。一定の時間間隔で(例えば毎日決まった時刻に)演算を実行するようにすることもできる。
【0035】
・第1関連度評価部
第1関連度評価部32は、第2部品記憶部22の記憶情報において、関連付けられたキーパーツAとの関係で関連度αが低い選択部品Bについて当該キーパーツAとの関連付けを解除する演算装置又は演算領域である。ここでは、例えば関連度αについて予め設定値α1を設定しておき、関連部品B毎に関連度αを設定値α1と比較することで、関連度αが設定値α1を下回る関連部品Bについては関連付けられたキーパーツAとの関連度が低いと判定することができる。関連部品BのキーパーツAとの関連付けの解除は、キーパーツAの関連部品から部品Bを除外することであり、本実施形態では第2部品記憶部22に記憶された部品Bのデータ列(
図10の一行のデータ)を除外部品記憶部26に移動させることに該当する。但し、これは関連解除方法の一例であり、除外部品記憶部26を省略する場合には、単に第2部品記憶部22の該当する記憶情報を削除する、或いは該当する記憶情報に関連度が低い旨の情報を追加することで代えることもできる。
【0036】
なお、キーパーツA、関連部品Bの例では、発注回数Naが一定値以下(一定値は設定)の条件で算出された関連度αの値の信頼性は不十分である。従って、発注回数Naが一定値以下の条件では、部品Bの関連度αが設定値α1を下回っていても、そのことのみを条件に直ちにキーパーツAとの関連付けを解除することは好ましくない。
【0037】
・第2関連度評価部
第2関連度評価部33は、第2部品記憶部22の記憶情報において、キーパーツAの補修に長期間用いられていないと推定される関連部品Bについて当該キーパーツAとの関連付けを解除する演算装置又は演算領域である。ここでは、例えば関連付けられたキーパーツAの補修のために発注されて且つ返却されなかった最後の機会からの経過時間Tについて設定値T1を設定しておく。これにより、経過時間Tを関連部品毎に設定値Tと比較することで、経過時間Tが設定値T1を超える関連部品Bについては、キーパーツAの補修に長期間用いられていないと判定することができる。関連部品BのキーパーツAとの関連付けの解除は、第1関連度評価部32の説明で記載したのと同様である。
【0038】
・ID評価部
ID評価部34は部品選択の妥当性に基づき、IDで特定されるユーザの信頼性を評価する演算装置又は演算領域である。ここでは、例えば選択部品の組み合わせが同じ他の発注リストの数Mについて設定値M1を設定しておく。これにより、発注履歴記憶部23の記憶情報を基に、選択部品の組み合わせが同じ他の発注リストの数Mと設定値M1との比較で、発注リストを選択したIDについて評価値を演算することができる。演算した評価値は、ID評価記憶部25に記憶される。演算する評価値は、単に設定値M1に対してMの値が大きい選択をしたIDに高評価である旨を表す情報を付加するようにしても良いし、高評価から低評価まで段階的な評価値を演算するようにしても良い。段階的な評価をする場合、設定値M1を複数設定しておく。
【0039】
その他、例えばキーパーツAの補修には使用し得ない関連部品Bを選択するような見当違いな発注をする確率が一定値を超えるIDの評価を下げるといった評価方法も適用できる。また、キーパーツ毎に最低限必要な必須関連部品を設定しておき、選択したキーパーツの補修に関して必須関連部品が選択漏れしているような見当違いな発注をする確率が一定値を超えるIDの評価を下げるといった評価方法も適用できる。ID評価部34によるID評価情報(
図13)がID評価記憶部25に記憶される。但し、本段落で例示した確率については、分母が一定値以上のもののみを有効化してID評価に反映させるようにしても良い。
【0040】
ID評価は単に情報として蓄積しておいても良いが、例えば関連度αの計算に加味することもできる。この場合、関連度αの計算の際にID評価記憶部25の情報が情報更新部31に読み込まれ、例えば低評価のIDによる選択が含まれる関連度αについて、当該IDによる選択の度に一定割合(例えば1%)ずつ関連度αを下げるようにすることが例示できる。反対に高評価のIDによる選択が含まれる関連度αについて、当該IDによる選択の度に一定割合(例えば1%)ずつ関連度αを上げるようにすることもできる。
【0041】
・キット設定部
キット設定部35は、発注履歴記憶部23の記憶情報に基づいて一定の発注リストの品目をキットとして設定する演算装置又は演算領域である。ここでは、選択部品の組み合わせが同じ他の発注リストの数Mについて設定値M2を設定しておき、MをM2と比較してM>M2となる発注リストの選択部品をキットとして設定する。設定したキットの内容に関する情報(
図15)は、キット記憶部27に記憶される。
【0042】
2-2.端末
端末40はユーザが使用するものであり、
図2には1つのみ図示している。端末40は1つでも良いが、複数を想定している。この端末40には、デスクトップパソコン等の固定型の端末、ノートパソコンやタブレットパソコン等の携帯端末等が用いられる。端末40を使用するユーザは、例えば部品管理会社等において主にサービス技術者等のアフターサービスを担当する従業員その他である。端末40は、演算部41、操作装置42、表示装置43及び選択部品記憶部48を備えている。操作装置42はユーザが各種入力操作を行うためのもの(キーボードやマウス、タッチパネル等)である。表示装置43は演算部41から表示信号に従って、演算部41から出力される情報を表示するもの(モニタ等)である。演算部41は、構成部品読込部46、関連部品読込部47及び発注処理部49を備えている。
【0043】
・構成部品読込部
構成部品読込部46は、キーパーツの選択画面50(
図5)を表示装置43に表示させる演算装置又は演算領域である。例えば、構成部品読込部46は、操作装置42から入力される操作信号に応じて第1部品記憶部21から作業機械のキーパーツの情報を読み込む。そして、第1部品記憶部21から読み込んだ情報に基づいて表示信号を出力してキーパーツの選択画面50を表示装置43に表示させる。
【0044】
ここで、
図5はキーパーツの選択画面の一例を模式的に表した図である。同図に示したように、キーパーツの選択画面50には、発注リスト確認ボタン52、発注リスト削除ボタン53、ツリー表示部54、図面表示部55、キーパーツリスト56等が表示されている。同図の選択画面50は、例えば作業機械100の機種を選択する入力領域である機種選択部51を操作することで表示される。機種選択部51には、プルダウンリストや検索窓を用いることができる。機種選択部51で選択できる機種は、
図9のデータベースの機種21aに登録された機種である。
【0045】
選択画面50の発注リスト確認ボタン52は現在の発注リストを確認するためのボタンであり、これを操作することで確認画面(不図示)が表示される。発注リスト削除ボタン53は現在の発注リストをキャンセルするためのボタンであり、これを操作することで発注リストがクリアされる。
【0046】
ツリー表示部54は作業機械100の要素をツリー形式で表示する表示部であり、部品間の従属関係が階層的に整理されている。ツリー表示部54は
図9のデータベースに基づいて表示される。図面表示部55はツリー表示部54で選択された要素を含む図面を表示する表示領域であり、ユーザはこの図面表示を部品選択の参考に適宜利用する。図面表示部55に表示されるデータは
図9のデータベースの図面21dに登録されたデータである。図面表示部55には、図示したように、図面の拡大、縮小、移動、回転等の操作を行える操作部が備わっている。
【0047】
キーパーツリスト56はツリー表示部54で選択された要素を構成する部品のリストであり、ユーザはこの中からキーパーツを選択することになる。キーパーツリスト56は
図9のデータベースに基づいて表示される。キーパーツリスト56には、チェックボックス56a、選択ボタン56b、発注頻度56c、符号56d、メモ56e、部品番号56f、数量56g、部品名称56h、価格56i、重量56jについてそれぞれ表示欄がある。選択ボタン56bはキーパーツを選択するボタンであり、選択状況がチェックボックス56aで確認できる。この選択は選択解除ボタン56kで解除することができる。また、追加ボタン56lを操作すると、選択したキーパーツが発注リストに追加される。発注頻度56c、符号56d、メモ56e、部品番号56f、数量56g、部品名称56h、価格56i、重量56jは、
図9のデータベースの対応する情報に基づいて表示される。メモ56eの欄のボタンを操作すると、補足情報の確認画面(不図示)が表示される。また、数量56gに表示された値は固定値ではなく、発注手続きの際等に指定することができる。発注リストのデータが蓄積されると、キーパーツとの組み合わせによって実績の多い数量が情報更新部31によって採用され、これが数量56gの表示に追って反映されるようになる。
【0048】
・関連部品読込部
関連部品読込部47は、関連部品の選択画面60(
図6)を表示装置43に出力する演算装置又は演算領域である。例えば、関連部品読込部47は、表示装置43に表示された選択画面50におけるキーパーツの選択操作に伴って操作装置42から入力される操作信号に応じて、第2部品記憶部22から選択されたキーパーツに関連付けられた関連部品の情報を読み込む。そして、第2部品記憶部22から読み込んだ情報に基づいて表示信号を出力して関連部品の選択画面60を表示装置43に表示させる。
【0049】
図6は関連部品の選択画面の一例を模式的に表した図である。同図に示したように、関連部品の選択画面60には、関連部品リスト61、関連度選択ボタン62、関連部品リスト61、選択解除ボタン63、追加ボタン64等が表示されている。
【0050】
関連部品リスト61はキーパーツリスト56で選択されたキーパーツを構成する関連部品のリストであり、ユーザはこの中からキーパーツの補修に用いる関連部品を選択することになる。関連部品リスト61は
図10のデータベースに基づいて表示される。関連部品リスト61には、チェックボックス61a、同時購入率61b、メモ61c、部品番号61d、数量61e、部品名称61f、価格61g、重量61hについてそれぞれ表示欄がある。関連部品リスト61には、上から関連度が高い順に関連部品が並べて表示されているが、並べ替えも可能である。
【0051】
チェックボックス61aは関連部品の選択及び確認をする操作部である。関連度選択ボタン62は、該当する関連度の関連部品を一斉選択するボタンである。この例では、「75%」と表記された関連度選択ボタン62を操作すると、関連度が75%以上の関連部品が
図6のように一斉に選択される。「50%」と表記された関連度選択ボタン62を操作すると関連度が50%以上75%未満の関連部品が、「25%」と表記された関連度選択ボタン62を操作すると関連度が25%以上50%未満の関連部品一斉に選択される。但し、関連度の区分や区分数は一例であって適宜設計変更可能である。
【0052】
関連部品の選択は選択解除ボタン63で解除することができる。また、追加ボタン64を操作すると、選択した関連部品が発注リストに追加される。同時購入率61b、メモ61c、部品番号61d、数量61e、部品名称61f、価格61g、重量61hは、
図10のデータベースの対応する情報に基づいて表示される。同時購入率61bには関連度22cが対応する。また、数量61eに表示された値は固定値ではなく、選択画面50のものと同様に発注リストのデータの蓄積に伴って変化し得る。また、部品番号を操作(クリック等)すると、
図7に示したようにその部品番号の関連部品がどのように使われるかが分かる図面表示部65が表示される。
図7の例では、図面と共に図面に表された関連部品のリスト66が表示され、ここでも関連部品を選択できるようになっている。
【0053】
・選択部品記憶部
選択部品記憶部48は、キーパーツ及び関連部品の少なくとも一方から選択される選択部品を記憶する演算装置又は演算領域である。例えば、キーパーツの選択画面50や関連部品の選択画面60においてキーパーツ及び関連部品の少なくとも一方から部品が選択される際、選択部品の選択操作に伴って操作装置42から入力される操作信号に基づいて、選択部品記憶部48は選択部品を記憶する。
【0054】
例えば
図6に示したようにキーパーツから1つ、関連部品から2つ選択部品が選択された状態で追加ボタン56l,64を操作すると、それら計3つの選択部品が発注リストに追加される。
図8はその様子を表した図で、発注リスト確認ボタン52に「カート」に続けて表示された選択部品数を表す数字が0から3に変化している。こうして発注リストに追加された部品の品目や数量のデータは選択部品記憶部48に一時的に記憶される。
【0055】
・発注処理部
発注処理部49は、部品の発注操作に伴って操作装置42から入力される操作信号に応じて、選択部品記憶部48に記憶された選択部品を発注リストにして出力する演算装置又は演算領域である。例えば発注リストに部品を追加した状態で発注リスト確認ボタン52を操作すると、発注手続きを確定するための画面(不図示)に遷移する。遷移後の画面で例えば確定ボタンを操作すると、発注処理部49によって発注リストがサーバ10に送信される。発注された選択部品が発注履歴記憶部23に記憶された
図11のデータベースの部品名称23dに登録される。
【0056】
3.発注手順
図3はユーザの部品発注操作に伴う端末40の発注処理手順の概要を表したフローチャートである。ユーザの部品発注手順に伴って端末40の演算部41は次のステップS101-S115の手順を実行する。
【0057】
・START-ステップS102
図3のフローは、例えば端末40にインストールされたアプリケーションを起動することによりスタートし、アプリケーションの起動中繰り返し実行される。まず演算部41は、ステップS101でシステムへのログインがあったかどうかを判定し、ログインがなければ
図3のフローを終了する。IDの入力等でユーザがシステムにログインした場合、演算部41はインターフェース(
図5等)を表示装置43に表示させて手順をステップS102に移す。ステップS102では、演算部41はそのユーザのログインが継続しているか否かを判定し、ログアウトしていれば
図3のフローを終了する。ユーザが継続してログインしていれば、演算部41は手順をステップS103に移す。
【0058】
・ステップS103-S107
続くステップS103では、演算部41は補修対象となる作業機械の選択の有無を判定し、機種が選択されていなければステップS102に手順を戻す。例えば機種選択部51(
図5等)で機種が選択されていれば、演算部41はステップS104に手順を移し、構成部品読込部46に指令して選択された機種のキーパーツの選択画面50(
図5)を前述したように表示装置43に表示させる。続くステップS105では、演算部41はキーパーツの選択の有無を判定し、キーパーツが選択されていなければステップS102に手順を戻す。例えばキーパーツリスト56(
図5等)でキーパーツが選択されていれば、演算部41はステップS105からステップS106に手順を移し、追加ボタン56l(
図5等)で選択したキーパーツを発注リストに追加する操作が行われたかどうかを判定する。操作が行われた場合、演算部41はステップS107に移って選択されたキーパーツを発注リストに追加して(選択部品記憶部48に記憶させて)ステップS108に手順を移す。選択したキーパーツを発注リストに追加する操作が行われない場合、演算部41はステップS107の手順をスキップして、ステップS106からステップS108に手順を移す。なお、キーパーツを選択しない場合は、例えば図示しない「キーパーツを選択しない」を表記したボタンを用意し、そのボタンを押すことによりキーパーツを選択せずにS102へ移行するようにしても良い。また他の例として「キーパーツを選択しない」ボタンを押したらステップS115に移行する等、ユーザの使い勝手等により移行先を変えても良い。
【0059】
・ステップS108-S111
続くステップS108では、演算部41は関連部品読込部47に指令して選択されたキーパーツの関連部品の選択画面60(
図6)を前述したように表示装置43に表示させる。続くステップS109では、演算部41は関連部品の選択の有無を判定し、関連部品が選択されていなければステップS102に手順を戻す。例えば選択画面60(
図6等)で関連部品が選択されていれば、演算部41はステップS109からステップS110に手順を移し、追加ボタン64(
図6等)で選択した関連部品を発注リストに追加する操作が行われたかどうかを判定する。操作が行われた場合、演算部41はステップS111に移って選択された関連部品を発注リストに追加して(選択部品記憶部48に記憶させて)ステップS112に手順を移す。選択した関連部品を発注リストに追加する操作が行われない場合、演算部41はステップS111の手順をスキップして、ステップS110からステップS112に手順を移す。なお、キーパーツのみ選択して関連パーツを選択しない場合は、例えば図示しない「関連パーツを選択しない」を表記したボタンを用意し、そのボタンを押すことにより関連パーツを選択せずにステップS102へ移行するようにしても良い。また他の例として「関連パーツを選択しない」ボタンを押したらステップS105に移行する等、ユーザの使い勝手等により移行先を変えても良い。
【0060】
・ステップS112-END
ステップS112では、演算部41は選択画面50,60等によりキーパーツや関連部品を発注リストに追加又は削除する操作の有無を判定する。発注リストの変更の操作が行われた場合、演算部41はステップS113に移って選択部品記憶部48に記憶した発注リストを変更してステップS114に手順を移す。発注リストを変更する操作が行われていない場合、演算部41はステップS113の手順をスキップして、ステップS112からステップS114に手順を移す。ステップS114では、演算部41は前述した発注リストを確定する操作の有無を判定する。発注リストを確定する操作が行われない場合、演算部41はステップS114からステップS102に手順を戻す。発注リストを確定する操作が行われた場合、演算部41はステップS115に手順を移し、発注処理部49に指令して選択部品記憶部48に記憶した発注リストをサーバ10に出力し
図3の手順を終了する。
【0061】
4.情報更新手順
図4はサーバ10の情報更新手順の概要を表したフローチャートである。サーバ10の処理部30は次のステップS201-S213の手順を実行する。同図のフローは、発注履歴記憶部23に新規に発注リストが登録された場合、又は返却履歴記憶部24に新規に返却部品が登録された場合に開始されるようにすることもできるが、ここでは設定時刻に又は設定時間間隔で
図4のフローが実行される例を説明する。
【0062】
・START-ステップS202
例えば設定時刻に
図4のフローを開始すると、処理部30は、ステップS201で発注履歴記憶部23及び返却履歴記憶部24の記憶情報を情報更新部31に読み込ませる。続くステップS202では、処理部30は情報更新部31に指令して部品の新規発注履歴及び新規返却履歴の有無を判定させ、新規履歴がなければ
図4のフローを終了し、あればステップS203に手順を移す。
【0063】
・ステップS203
ステップS203では、処理部30は情報更新部31に指令して新規履歴に含まれる各部品の上記関連度αを演算する。関連度αの演算は前に例示した通りであり、例えばキーパーツAに関する部品の総発注回数が100回で、そのうちキーパーツAの補修に伴って新規にされた部品Bの発注が60回目であれば、部品BのキーパーツAに対する関連度αは60%と算出される。この場合、59/99×100≒59.6%から60/100×100=60%に更新される(上昇する)。但し、その60回目に発注された部品Bが返却された場合、関連度αは、(60-1)/100×100=59%に低下する。
【0064】
・ステップS204
ステップS204に手順を移すと、処理部30はID評価部34に指令して、新規履歴に係るIDについて前述したように評価を実行し、ID評価記憶部25に記憶させる。例えば選択部品の組み合わせが同じ他の発注リストの数Mが設定値M1を超えるIDについては評価を上げる。また、見当違いの部品選択をした回数が一定値を超えるIDについては評価を下げる等する。
【0065】
・ステップS205
ステップS205に手順を移すと、処理部30は第1関連度評価部32及び第2関連度評価部33に指令して、情報更新部31で演算された関連度αについて前述したように評価を実行する。ここでは、例えば新規履歴に含まれる各部品について関連度αを設定値α1と比較する。その際、設定値α1と比較する関連度αは、前述したようにID評価の結果を加味して上げ下げした値としても良い。また、第2部品記憶部22に記憶された全ての関連部品について、先に説明した経過時間Tと設定値T1との比較も行う。
【0066】
・ステップS206
ステップS206に手順を移すと、処理部30はキット設定部35に指令して、上記の数Mが設定値M2の超えるような関連度αの高い部品の組み合わせをキット化し、キット記憶部27に記憶させる。
【0067】
・ステップS207
ステップS207に手順を移すと、処理部30は第2部品記憶部22の記憶情報を更新する。これにより、新規履歴に含まれていた部品のキーパーツとの関連度が更新される。また、前述したように第1関連度評価部32及び第2関連度評価部33による評価の低い関連部品についてはキーパーツとの関連付けが解除される。キーパーツとの関連付けが解除された関連部品の情報は、第2部品記憶部22から削除されて除外部品記憶部26に記憶される。このようにして第2部品記憶部22の関連部品の情報を更新したら、処理部30は
図4のフローを終了する。
【0068】
5.効果
(1)本実施形態においては、情報更新部31によって、部品の発注履歴記と返却履歴を基に、キーパーツに対する関連部品の関連度を累積的に演算し、キーパーツに関連付けられた関連部品の情報を更新する。従って、あるキーパーツAを補修対象とする場合、キーパーツAの補修の場面で高い頻度で採用されている部品をユーザが確認し参考にすることができ、ユーザによる妥当性の高い部品選択を支援できる。返却された部品については関連度が低下するため、返却頻度の高い部品についてはユーザに選択され難くなる。これにより、不要部品の発注や必要部品の発注漏れを抑制することができ、不要部品の取り寄せ及び返却、発注漏れ部品の再発注に要する無駄な時間や手間を抑えることができる。よってメンテナンス業務の効率、ひいては故障対応の迅速性を向上させることができる。
【0069】
特に走行に用途が限定された自動車等と異なり、同一機種でも様々な場所や場面で汎用的に運用され得ることから補修部品の選択が難しい作業機械のメンテナンス業務にあって、部品選択の妥当性向上は極めて有意義である。
【0070】
また、同じキーパーツでも必要部品の品目は流動的であり、例えば以前はシールだけを交換すれば足りたところ、その後の補修の機会ではシール交換だけでは足りず、必要部品が増えることがある。また、補修の事例の蓄積に伴って補修作業が効率化し、これに伴って選択部品の傾向が変化する場合もある。つまり、多く選択される妥当性の高い部品の組み合わせが逐次変化する場合がある。本実施形態の場合、補修の機会の度に関連部品の情報が逐次更新されてゆくので、妥当性の高い組み合わせに含まれるようになった部品の関連度は上昇し、妥当性の高い組み合わせに含まれなくなった部品の関連度は低下してゆく。従って、システムが提示する関連度には、経時的な補修作業の変化や補修作業のアップデートも反映される。この点もユーザの部品選択の妥当性を向上させるのに大きく貢献し得る。
【0071】
(2)本実施形態では、第1関連度評価部32の機能により、関連度が設定値を下回るようなものをキーパーツの関連部品から除外する。これにより、例えば除外された関連部品が選択画面60の関連部品リスト61(
図6)に表示されなくなり、関連部品のリスト全体の妥当性が高まると同時に、余計な候補部品の表示が省略されることによってユーザが部品選択し易くなる。
【0072】
(3)また、納車後の稼働期間の経過に伴って同様の故障でも対応が変わることがある。例えば残寿命が長期間残されている機体については、例えばブームシリンダをキーパーツとする補修の場面で、残りの稼働期間の長さを見越してブームシリンダ自体を周辺部品と共に取り寄せてブームシリンダを新品交換することがある。その一方で、残寿命が短い機体については、ブームシリンダの新品交換はせず、構成部品の交換等で現状のブームシリンダを修理するような場合もある。この場合、後者のような補修作業が増えてくるとブームシリンダを対象とする補修作業での発注頻度の減少に伴って関連度が低下することにより、ブームシリンダ自体が関連部品から削除される場合もある。しかし、ブームシリンダの過去の採用実績が非常に高い場合、関連度がなかなか低下せず長期間に亘って採用されていないにも関わらず見かけ上は未だ関連度が高いように見える。
【0073】
そこで、本実施形態では第2関連度評価部33を設けている。上記のように関連付けられたキーパーツの補修に伴って長期間発注されていない関連部品をそのキーパーツの関連部品から除外することとすれば、関連部品のリストに補修作業のトレンドが反映され、関連部品のリストの妥当性がより向上する。
【0074】
(4)作業機械の補修部品の選択は元来高度な知識や豊富な経験を要するものであり、ユーザの部品選択技能のバラつきを排除することは難しい。従って、ユーザの部品選択には多くの場面に対応する妥当なものもあれば、あまり参考にできないものも混在し得る。そこで、妥当性の高い選択を高頻度でするユーザの評価を他のユーザの評価と区別する等、ID評価部34でユーザのIDを評価することで、関連部品の関連度の妥当性の更なる向上が期待できる。例えば、ID評価の高いユーザがした選択については関連度を上げ、ID評価の低いユーザがした選択については関連度を下げる等の反映方法がある。このようにすることで、関連度の算出に用いる総発注回数Naが少ない時点でも、ID評価のパラメータが加わることで関連度の妥当性が短期に一定の水準に到達し得る。
【0075】
(5)キット設定部35によって、同時に発注される頻度の高い部品の組み合わせをキット化することにより、セット販売による顧客(作業機械の購入者)等に有用な補修部品を安価に提供することができる。また、キット化することで部品生産上の効率も向上し得る。
【0076】
6.変形例
以上においては、上記効果(2)を得るために第1関連度評価部32を設けた場合を例示したが、本質的効果(1)を得る限りにおいては第1関連度評価部32の機能は必ずしも必要なく、第1関連度評価部32は省略可能である。また、上記(3)を得るために第2関連度評価部33を設けた場合を例示したが、同様の理由で第2関連度評価部33も省略可能である。上記効果(4)を得るためにID評価部34を設けた場合を例示したが、同様の理由でID評価部34も省略可能である。上記効果(5)を得るためにキット設定部35を設けた場合を例示したが、同様の理由でキット設定部35も省略可能である。
【0077】
また、戻入処理された部品の情報が返却部品の情報として返却履歴記憶部24に記憶された場合を例示して説明したが、例えば請求書データを返却部品の情報として返却履歴記憶部24に記憶させても良い。この場合、請求書データには返却された部品(つまり補修に用いられなかった部品)は含まれないため、発注リスト毎に請求書データと照合して差分を取ることで返却部品を特定することができる。
【0078】
また、長期間補修に採用されていない部品について、第2関連度評価部33は関連部品のリストから省く処理ではなく、関連度を下げる処理をしても良い。
【0079】
また、一緒に発注された実績が高い部品の組み合わせをキット化する例を説明したが、キット設定部35によって関連度が一定(例えば90%)以上の選択部品をキット化されるようにすることも考えられる。
【符号の説明】
【0080】
21…第1部品記憶部、22…第2部品記憶部、23…発注履歴記憶部、24…返却履歴記憶部、25…ID評価記憶部、27…キット記憶部、31…情報更新部、32…第1関連度評価部、33…第2関連度評価部、34…ID評価部、35…キット設定部、42…操作装置、43…表示装置、46…構成部品読込部、47…関連部品読込部、48…選択部品記憶部、49…発注処理部、100…作業機械、110…本体、120…作業機、M…選択部品の組み合わせが同じ他の発注リストの数、M1,M2…設定値、T…経過時間、T1…設定値、α…関連度、α1…設定値