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特許7113058膨張タンクの故障用の水分検知エアキャップインジケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】膨張タンクの故障用の水分検知エアキャップインジケータ
(51)【国際特許分類】
   F17D 5/02 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
F17D5/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020187919
(22)【出願日】2020-11-11
(62)【分割の表示】P 2016567718の分割
【原出願日】2015-05-27
(65)【公開番号】P2021046942
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】14/291,894
(32)【優先日】2014-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507293446
【氏名又は名称】アムトロール ライセンシング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・ハーレン,クリストファー,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】チェルポビッチ,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】カンプ,クリストファー
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-072093(JP,A)
【文献】特開昭56-146527(JP,A)
【文献】特開昭53-031189(JP,A)
【文献】実開昭61-187449(JP,U)
【文献】実開平02-085096(JP,U)
【文献】実開昭60-187885(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0173624(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00684429(EP,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0001601(KR,U)
【文献】中国実用新案第202266670(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞を画定する上端壁、側壁、及び下端壁を備える筐体と、
前記空洞内に配置されて、前記側壁に接続され、前記空洞を上部と下部に分ける柔軟性のあるダイヤフラムであって、前記空洞の前記上部が圧縮ガスを収容するよう密封され、前記下部が圧縮流体を収容するよう密封される、前記柔軟性のあるダイヤフラムと、
前記筐体の前記上端壁に配置されて、前記空洞の前記上部内の前記圧縮ガスと連通するインジケータと、を備えるダイヤフラム膨張タンクであって、前記インジケータが正常動作状態にある時に第1色を表示し、かつ所定レベルまたはそれ以上の水分を含む圧縮ガスと接する時に第2色を表示するインサートを備え、
前記インサートの少なくとも一部が、前記第1色で色付けされ、前記空洞の前記上部を形成する前記筐体の少なくとも一部が、前記所定レベルまたはそれ以上の水分に接する時に腐食するかつ錆びつく材料で形成され、前記空洞の前記上部からの錆残留物が前記インサートの表面上に堆積し、それにより前記第2色を表示し、前記第1色が淡色である、ダイヤフラム膨張タンク。
【請求項2】
前記インジケータがさらに、上部のキャップ、前記キャップ内に少なくとも部分的に配置された前記インサート、及び前記キャップから前記筐体の前記上端壁に下方に向かって延在する側壁を備え、ガス気密及び流体気密密封が前記インジケータと前記筐体の前記上端壁との間に形成される、請求項1に記載のダイヤフラム膨張タンク。
【請求項3】
前記キャップの少なくとも一部が、透明材料で作られており、前記透明材料を介して前記インサートを見ることができる、請求項2に記載のダイヤフラム膨張タンク。
【請求項4】
前記キャップの少なくとも一部が、光学的に拡大する材料で作られ、前記インサートがそれを介して見ることが可能であり、かつ拡大される、請求項3に記載のダイヤフラム膨張タンク。
【請求項5】
前記インジケータが、前記筐体の前記上端壁上のバルブを取り囲むよう配置され、前記バルブが前記空洞の前記上部の前記圧縮ガスと連通する、請求項1に記載のダイヤフラム膨張タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年5月30日に出願された米国特許出願第14/291,894号の権利及び優先権を主張する。先行の出願内容の全ては、参照によりその全体を本明細書に包含する。
【0002】
本発明は一般的に膨張タンクに関し、より詳細には、膨張タンクのガス側に水分がある場合にユーザに警告するインジケータを有するダイヤフラム膨張タンクに関する。
【背景技術】
【0003】
膨張タンクは、一般的には膨張流体を吸収してシステム内の圧力を制限することで温度の上昇中にシステムの許容不可な圧力上昇を防ぐために一般に冷暖房及び空調システムに用いられる。膨張タンクの設計は、開放型タンク、密封式圧力タンク、及びダイヤフラムタンクを含む。
【0004】
ダイヤフラム膨張タンクでは、タンク内で空気と水を分けるのにダイヤフラムまたはブラダーが用いられる。より詳細には、タンクの片側は暖房システム(または冷房/空調システム)のパイプに接続され、それにより水を収容し、他方は圧力下で空気を収容する。シュレーダーバルブは、圧力を確認し空気を加えるために一般的にタンクの空気側に供給され、それによって必要に応じてタンクの圧力を調節できる。
【0005】
片側における空気/ガスの充填圧力によってダイヤフラムはガス側のタンク内壁から離れた状態に保持される。タンクが水道システムに取り付けられる時、水道システムの圧力がダイヤフラムを押し返し、それによってガスを圧縮する。システムが冷えており、かつタンク内の水が最低水位にある時、タンク圧力は初期の/充填前の圧力となる。システム内の温度が上昇するにつれ、ダイヤフラムを介してガス室を圧縮するよう水は膨張し、それによってガス及び水道システム圧力が増大する。
【0006】
しかしながら、ダイヤフラムには寿命がある。ダイヤフラムが最終的にタンク壁で「最低水準に達する」場合、タンクは本来の効果を発揮できないことになる。膨張タンクの様々な故障モードには、不正確な圧力が事前に充填されること(例えば、事前に充填される空気が少ないこと)、過度のシステム圧力、充填された空気を漏出させてしまうダイヤフラムの故障、及び不正確なサイズのタンクが取り付けられてしまうこと(例えば、タンクのサイズが小さいとダイヤフラムが過度に機能してしまう)が含まれ、これら全ては、サイクルを早めて、最終的に故障を引き起こす原因となる場合がなる。そういった故障モードでは、ダイヤフラムはタンクのガス側に水を流入させるピンホール、摩損箇所、切れ目等を展開できる。ガスは水道システムへと徐々に吸収され、ガス充填はゼロへと減少していく。このとき、タンクは効果を発揮できないとみなされる。これによって、最終的にシステム内の他の装置が故障するか、またはタンク自体が故障し、それによって、タンク周辺の空間へと水が漏出する。
【0007】
膨張タンクの動作に問題があるかどうかを判断するために、または膨張タンクが故障している場合には、住宅所有者は、システムからタンクを取り出し検査を行うよう配管業者へ依頼しなければならないことがある。これは時間がかかり、かつ費用がかかる。よって、膨張タンクに動作上の問題または故障があるかどうかを、住宅所有者または配管業者が判断するのをより容易にし、これにより装置をより積極的に保守することが可能となる機構を提供することが有益である。そういった機構はまた、タンク内の早期問題をユーザに警告し、その問題に潜在的に対処してタンクの故障を防ぐのに役立つ場合がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、共に空洞を画定する上端壁、側壁、及び下端壁を有する筐体を含む膨張タンクを提供する。空洞を、圧縮ガスを収容するよう密封された上部と、圧縮流体を収容するよう密封された下部に分けるよう、柔軟性があるダイヤフラムが空洞内に延在する。膨張タンクの圧縮ガス側に水分が存在する場合にユーザに視覚的に警告するよう、インジケータが筐体の上壁に配置される。
【0009】
1つの実施形態に従って、インジケータは、タンクの上端壁に配置されており、かつタンクの圧縮ガス側と連通するエアキャップインジケータの形状である。
【0010】
様々な実施形態に従って、インジケータは、第1色を表示するインサートを備える。所定レベルまたはそれ以上の水分と接する時に、インジケータは第2色を表示する。望ましくは、所定レベルの水分とは微量な水分であり、いくつかの実施形態では、所定レベルの水分とは、水滴が形成され、かつ水分量でさえもが存在するものである。さらなる実施形態では、所定レベルの水分とは、タンクの圧縮ガス側を形成する材料(例えば鋼)が腐食し、かつ錆びつくレベルである。
【0011】
様々な実施形態に従って、インジケータはさらに、上部のキャップ、キャップ内に少なくとも部分的に配置されたインサート、及びキャップから筐体の上端壁に下方に向かって延在する側壁を備え、ガス気密及び流体気密密封がインジケータと筐体の上端壁との間に形成される。様々な実施形態に従って、キャップの少なくとも一部は透明材料で作られ、その透明材料を介してインサートを見ることができる。キャップインサートを見ることができる、光学的に拡大する材料によって拡大するように、キャップの少なくとも一部は、光学的に拡大する材料で作られてもよい。
【0012】
実施形態に従って、キャップは第1色で提供され、タンクの圧縮ガス側が所定レベルまたはそれ以上の水分に接する時は、圧縮ガス側を形成する材料は腐食し、かつ錆びつく。この腐食及び錆はその後、キャップの表面上に残留物を堆積させる。あるいは、キャップは第1色で提供され、所定レベルまたはそれ以上の水分に接する時に第1色が第2色に変化するよう、インジケータの少なくとも一部はハイドロクロミック材料で作られる。この第1色は、第2色、及び一般的に赤-オレンジ-茶色である錆とは対照的な淡色であることが好ましい。好ましい実施形態に従って、キャップは、堆積した錆と明確な対照をなす明るい白色である。キャップの明るい白、または他の色は、キャップを形成する材料自体(例えばキャップへと形成される白いプラスチック材料を用いること)により、またはキャップを望ましい明るい白または他の色に着色することのいずれかで提供され得る。
【0013】
様々な実施形態に従って、インサートの少なくとも一部は、ハイドロクロミックインクで覆われる。ハイドロクロミックインクは第1色を表示する。ハイドロクロミックインクは、既定レベルまたはそれ以上の水分に接する時に透明になり、それにより第2色が表示される。
【0014】
様々な実施形態によると、インサートは第1色のものである。所定量またはそれ以上の水分が存在する時、錆の堆積物が第1色上に生じて第2色を示す。さらなる実施形態では、インサートが見える場合には、水滴または水分量さえもがキャップの透明部分を介して見ることができる。
【0015】
様々な実施形態に従って、インジケータは筐体の上端壁上のバルブを取り囲むよう配置され、バルブは空洞の上部の圧縮ガスと連通する。
【0016】
別の実施形態では、柔軟性のあるダイヤフラムを備える膨張タンクにおける故障を表示する方法が提供され、柔軟性のあるダイヤフラムはタンクを圧縮ガス側と圧縮流体側に分ける。インジケータは、膨張タンクの上端壁に配置され、例えばバルブを介して、圧縮ガス側と流体連通する。インジケータは、内部に配置されたキャップインサートを有するキャップを含む。より詳細には、キャップはドーム状部分(「キャップドーム」)を有し、その少なくとも一部はユーザが内部の内容物を見ることができるよう透明である。キャップインサートは、タンクの圧縮ガス側が正常動作状態にある時に第1色を表示し、所定レベルまたはそれ以上の水分に晒される時に第2色を表示するよう設計される。膨張タンクを検査するために、圧縮ガスがタンクの圧縮ガス側からキャップドームに入り、キャップインサートに接するようにバルブを動作させる。タンクの圧縮ガス側が検出可能レベルの水分に晒されるか、または検出可能なレベルの水分を含む場合、キャップは膨張タンクの問題または故障のいずれかを示すよう第2色を表示する。タンクの圧縮ガス側が検出可能レベルの水分に晒されていないか、または検出可能なレベルの水分を含まない場合、キャップインサートは膨張タンクが適切に動作していることを示すよう第1色を表示する。好ましくは、所定レベルの水分とは微量な水分であり、いくつかの実施形態では、既定レベルの水分とは水滴が生じ、かつ水分量さえもが存在するものであり、さらなる他の実施形態では、所定レベルの水分とは、タンクの圧縮ガス側を形成する材料(例えば鉄)が腐食し、かつ錆びつくようなレベルである。
【0017】
本発明のさらなる目的及び利点は、以下の記述において一部が説明され、一部は記述から明らかとなるかまたは本発明の実施により学習してもよい。本発明の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において指摘されるものを含む、本明細書で開示される構成要素及びその組み合わせの手段により実現されて達成される。前述の概要及び以下の詳細な記述の両方は単に例示的かつ説明的なものであり、特許請求される本発明を制限するものではないことを理解されたい。本明細書に包含され、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を示し、説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】インジケータを備える例示的な圧縮前の膨張タンクの断面図である。
図2】部分的に流体で充填された図1の例示的膨張タンクの断面図である。
図3】流体で充填された図1の例示的膨張タンクの断面図である。
図4】加圧下にあるガス部分が故障モードにある、図1の例示的膨張タンクの断面図である。
図5図1の例示的膨張タンクの一部の拡大断面図である。
図6A】正常動作位置にある図1に示される例示的インジケータの拡大断面図である。
図6B】警告/故障位置にある図6に示される例示的インジケータの拡大断面図である。
【0019】
添付の図面は実物大である必要はなく、本発明の基本原理を示す様々な好ましい特徴のいくらか単純化された描写を表していることが理解されるべきである。例えば、特定の寸法、方向、位置、及び形状を含む本明細書に開示されるような本発明の特定の設計特徴は、特定の対象の出願及び利用環境により、一部が決定される。
【0020】
図では、参照番号は図面のいくつかの図にわたって、本発明の同じかまたは同等の部分を指す。
【0021】
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語及びフレーズは以下のように定義される。
【0022】
本明細書に用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明らかに他のものを指し示していない限り、複数形を含む。よって、例えば、「1つのセンサ」の参照は、1超のセンサの参照を含む。
【0023】
具体的に記載されるかまたは文脈から明らかではない限り、本明細書に用いられる「または(or)」という用語は、包括的であるということを理解されたい。
【0024】
「含む(including)」という用語は、「含むが限定されない(including but not limited to)」というフレーズを意味するように本明細書中で使用される。
【0025】
本明細書で用いられる「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「収容する(containing)」、「有する(having)」等の用語は、米国特許法に起因する意味を有することができ、かつ「含む(includes)」、「含んでいる(including)」等を意味することができ、「原則的に~から成る」または「原則的に成る」等は、同様に米国特許法に起因する意味を有し、かつその用語はオープンエンド形式であり、列挙されるものの基本的もしくは新たな特徴が列挙されるものより多くのものの存在により変更されない限り、列挙されるものより多くのものが存在するのを可能にするが、先行技術実施形態は除外する。
【0026】
本明細書に用いられる「過度の」量の水分は、ダイヤフラムの損傷により、タンクの圧縮ガス側において任意の水分が存在することを意味する。
【0027】
本明細書に用いられる「所定レベルまたはそれ以上の水分」とは、例えば、ハイドロクロミックインクを変色させるより、またはタンクの圧縮ガス側を形成する材料(例えば鋼)を腐食させかつ錆びつかせることにより、または水滴または水分量を存在させることにより、キャップを1つの色から別の色へ変化させるものである。そういった所定レベルは、いくつかの実施形態では、微量の水分を含むことができるか、または他の実施形態では、水滴が生じ、かつ水分量さえも存在するような任意の量の水分を含むことができる。
【0028】
具体的に記載されるかまたは文脈から明らかでない限り、本明細書に用いられる「約(about)」という用語は、当該技術において通常の許容誤差範囲内にあるものして理解され、例えばその意味の2標準偏差内である。「約」は、既定値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%内にあるものとして理解することができる。文脈から明らかでない限り、本明細書に提供される全ての数値は、用語「約」により修正される。
【0029】
本明細書に提供される範囲は、範囲内の全ての値の省略表現であることを理解されたい。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50から成る群からの任意の数字、数字の組み合わせ、または部分的な範囲であることを理解されたい。
【0030】
本明細書に提供される任意の装置、構成要素、機器、または方法は、本明細書に提供される他の装置、構成要素、機器、及び方法のうちいずれかの1つまたは複数と組み合わせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ウェル/膨張タンクを誤って取り付けること、不正なガスを不正確に事前充填すること、及びガス損失による故障により、最終的にタンクが故障し、それによって、水がタンクから漏出する場合がある。また、タンクのサイズが小さいと、タンクにより大きなストレスを与えることになり、タンクの早期故障につながり得る。本発明は、タンクの故障または漏出が起こる前に、かつ/またはタンクの故障または漏出が起こった後にいつでもユーザにシステムの問題を警告することができる膨張タンク用のインジケータを提供する。より詳細には、本発明は、タンクが正常動作状態にある時(すなわち、タンクのガス側に水分がないかまたは検知不可能なレベルの水分が存在する場合)に第1色を表示し、タンクの問題が検知された時(すなわち、タンクのガス側に任意の水分または検知可能なレベルの水分が存在する場合)に第2色を表示するインジケータを提供する。これは、タンクの問題を示す視覚補助を提供し、タンクの保守または取り替えが必要であるかどうかを示すのに用いることができる。
【0032】
ここで図1~4を参照する。例示的な圧縮前の膨張タンク10が示される。膨張タンク10の一般的な特徴は、既知の膨張タンクに従うものであってよく、図に示される例示的膨張タンク10はその1つの例である。図示の膨張タンク10の特徴は、1995年2月7日に出願されたExpansion Tnakという名称の米国特許第5,386,925号、及び2006年4月25日に出願されたMobile Prepressurized Diaphragm Type Fluid Storage Tankという名称の米国特許第7,032,628号に示されるものと類似しており、その両方は参照により本明細書に包含される。
【0033】
本明細書に示される例では、タンク10は、上部筐体12及び下部筐体13により形成され、内部空洞14を画定する筐体11を有する。変形可能なダイヤフラム16及びライナー18は、空洞14内に配置され、例えば止め輪20等により下部筐体13に取り外し可能に取り付けられる。インジケータ30は、以下でより詳細に説明されるように上部筐体12の上部に配置される。
【0034】
上部筐体12は、全体的にシリンダ状の側壁22及び端部壁24を有する。上部筐体12は、タンク10の望ましい総容量に基づく任意のサイズのものであってよく、かつ下部筐体13と同じ全体設計のものであってよい。「シュレーダー」バルブ等の従来のバルブ50は、上部筐体12の端部壁24に好ましく供給されて、タンク10を加圧するために、空気(ガス)を空洞14に加える/空気(ガス)を空洞14から取り除くことができる。
【0035】
下部筐体13はまた、全体的にシリンダ状の側壁26及び端部壁28を有する。下部筐体13はまた、タンク10の望ましい総容量に基づく任意のサイズのものであってもよい。接続金具32は、下部筐体13の端部壁28に供給され、タンク10に水を流入させ、かつタンク10から水を流出させる。図5に最適に示されるように、側壁26は、その外周辺りに形成された凹型溝34を有し、凹型溝34は、以下に記述されるように、ダイヤフラム16、ライナー18、及び止め輪20に形成された溝と噛み合う。側壁26はさらに、側壁26の端部上で形成されるはめ込み部分36(図5に最適に示される)を有し、はめ込み部分36は、タンク10が組み立てられる時、上部筐体12の側壁22と重ね合わせ接合部を形成する。一度組み立てられると、上部筐体12は下部筐体13に溶接することができるか、またはさもなければ固定することができる。
【0036】
上部及び下部筐体12、13、ならびに止め輪20は、所望の、かつ格納して分配する流体に適合した圧力に耐えることができる任意の好適な材料から作製することができる。高強度構造用鋼は、上部及び下部筐体12、13、ならびに止め輪20の製造に用いられてきた1つの従来式材料であり、上部及び下部筐体12、13を溶接処理により接合することができる。しかしながら、機械的接合も、構造的気密密封をもたらす限り、任意の材料から形成され得る上部及び下部筐体12、13を接合するのに用いることができる。
【0037】
図に示されるように、止め輪20は、弓形であり、凹型外部及び凸型内部を有しており、これらは、以下でさらに詳細に説明されるように、側壁26の溝34、ダイヤフラム16の溝17、及びライナー18の溝19に対応して噛み合ってダイヤフラム16及びライナー18を適所に固定し、水及びガスの密封をもたらす。
【0038】
ダイヤフラム16は、柔軟性があり、好ましくはブチルゴム等のエラストマーから作製され、下部筐体13の内部に配置される。図5に示されるように、ダイヤフラム16は、その端部に隣接する内側に向かって突出する溝17を有し、かつその端部がライナー18の端部に隣接するよう置かれる。そのため、ダイヤフラム16を下部筐体13に機械的に係止するかまたは固定するために、溝17は、下部筐体13の溝34及び止め輪20に対応して噛み合う。様々な実施形態に従って、ダイヤフラム16は、好ましくは下部筐体13の内部形状に一致するよう成形されている。したがって、ダイヤフラム16は、止め輪20と下部筐体13の側壁26との間に圧縮され、それによって空気及び流体の気密密封がもたらされる。
【0039】
ライナー18は、好ましくはポリプロピレン等の液体不透過性材料から作製され、下部筐体13の内面を覆うように配置される。示されるように、ライナー18は下部筐体13とダイヤフラム16との間に配置される。ライナー18はまた、好ましくは、その端部に隣接する内側に向かって突出する溝19を有し、その端部がダイヤフラム16の端部に隣接するよう置かれる。そのため、ライナー18を下部筐体13に機械的に係止するかまたは固定するために、溝19は下部筐体13の溝34及び止め輪20に対応して噛み合う。したがって、ライナー18は、止め輪20と下部筐体13の側壁26との間に圧縮され、それによって空気及び流体の気密密封がもたらされる。
【0040】
ライナー18とダイヤフラム16との間に配置された空洞14の一部は、空洞14の受水部分を形成する。したがって、水は、ライナー18とダイヤフラム16の間に収容され、それによって上部及び下部筐体12、13の内面全体が水から遮断される。その結果、タンク10の腐食を防ぐことができる。これにより、有意なことに、材料に対する水の影響を考慮することなく、任意の所望の材料からタンク10を構成することができるようになる。図1~4に示されるように、ライナー18はまた、接続金具32と整列する開口部を有し、タンク10内の水がライナー18と接続金具32との間に流出するのを防ぐよう、接続金具32で液体気密密封をもたらす。
【0041】
図1~4に概して示されるように、インジケータ30は、タンク10の上部筐体12の端部壁24に提供される。インジケータ30は、空洞14の内容物、特にダイヤフラム16上に配置された空洞14の内容物と連通する。言い換えると、インジケータ30は、上端壁24とダイヤフラム16との間にある圧縮ガス部分と連通する。
【0042】
図示の例示的実施形態に従って、インジケータ30は、バルブ50と連通し、それによりバルブ50を介してタンクの内容物とインジケータ30とを接触させる。例えば、図に示されるように、インジケータ30は、タンク10の外面上のバルブ50の一部を覆うかまたは取り囲むよう構成されてもよい。ダイヤフラム16上に配置されたタンク10の内容物(圧縮ガス)を放出するようにバルブ50が動作することにより、圧縮ガスがインジケータ30に入ってその内部に収容されるように、インジケータはタンク10の外面上のバルブ50を取り囲むことが好ましい。
【0043】
実施形態に従って、空気気密密封がインジケータ30とタンク10との間に形成されるように、インジケータ30は、タンク10と接続して、好ましくはバルブ50と接続して取り付けられる。そのため、ガス及び液体がインジケータ30へ(すなわち外気から)漏出すること、及びインジケータ30から(すなわち外気へと)漏出することが防止される。例えば、インジケータ30は、インジケータ30とタンク10との間の空気気密密封を確保するために1つまたは複数の密封を含んでもよく、それによりタンクの内容物がインジケータ30を介して徐々に漏出しないようになる。
【0044】
様々な実施形態に従って、インジケータ30は、タンク10の圧縮ガス側における水分量が許容可能限界内にある時に特定の色を表示し、かつ水分量が許容可能限界を超える時に異なる色を表示するように構成することができる。例えば、インジケータ30は、タンク10の圧縮ガス側における水分量が許容可能限界を超える時、タンク10の他の隣接構成要素よりも目立つ色(例えば赤、オレンジ等)を表示することができる。一方で、タンク10の圧縮ガス側における水分量が許容可能限界内にある時、インジケータ30は異なる色を表示する。例えば、異なる色とは、ブレンドするために、例えば、タンク10の隣接構成要素に類似する任意の色(たとえな黒、灰色、銀色、白等)であってもよい。したがって、インジケータ30は、タンク10に動作的問題があるかどうかを判断することができる単純な視覚的機構をユーザに提供する。そういった単純な視覚的機構は、タンク10内に存在する早期問題をユーザに警告することができ、その問題は、日常的な保守により潜在的に対処することができ、それにより、タンク10がさらに故障して、システムの性能が低下するか、または後続のシステム構成要素が故障するのを潜在的に防ぐことができる。さらに視覚的機構は、タンク故障をユーザに警告することができ、それによりユーザは故障したタンクを適宜交換することができる。
【0045】
インジケータ30は、タンク10の一部(例えばタンク10の外部上のバルブ50)を覆うかまたは包み込み、かつバルブ50から放出されたタンクの内容物をインジケータ30に入れてその内部に収容することを可能にする任意の構成のものであってもよい。例えば、インジケータ30は、ドーム様形状(図6A~Bに示されるもの)、箱様形状、シリンダ状形状、円すい様形状等の全てを有することができる。
【0046】
図6A~Bにおける例示的実施形態に示されるように、インジケータ30は、上部キャップ40、キャップ40から延在してタンク10の外面に係合する側壁46、及びキャップ40内に少なくとも部分的に配置されたキャップインサート42を含む。キャップ40は、図示の全体的にドーム型に湾曲した構造を有するか、またはキャップ40がその内部にキャップインサート42の少なくとも一部を収容するのを可能にする任意の他の構造のものであってよい。
【0047】
インジケータ30の少なくとも一部は、透明材料で作られ、その材料を介して、ユーザはインジケータ30の内容物を見ることができる。より詳細には、インジケータ30は、ユーザがキャップインサート42を明確に見ることができるように、少なくとも部分的に透明材料で作られる。例えば、キャップ40全体は、図6Bに示されるように透明にされてよく、それにより、キャップ40を介して、キャップインサート42を容易にかつ遮られることなく見ることができる。図6Bに示されるように、側壁46等のインジケータ30の残りの部分は、非透明材料で作られることができるか、または所望の場合には透明材料で作られることができる。
【0048】
本発明の実施形態に従って、キャップインサート42の少なくとも一部は、所定レベルの水分に晒される時に第2色を表示するか、または水分量が存在する場合に水を表示するか、かつ正常動作状態にある時に第1色を表示するよう作られる。一般的には、タンク10の圧縮ガス側内には水分がわずかにでも存在すべきではなく、したがって水分レベルがないこと、またはほんの微量の水分があることが許容可能である。いくつかの実施形態では、「許容可能」なレベルの水分は、キャップインサート42の変色を誘発するためにキャップインサート42により検知可能なレベルを下回るレベルである。
【0049】
例えば、キャップインサート42の少なくとも一部は、水分に晒されていないかまたは検知可能レベルを下回るレベルの水分に接する時に第1色を表示し、およそゼロよりも高い任意のレベルの水分(例えば検知可能なレベルの水分)に接する時に第2色を表示するよう、作られることができる。そのため、ユーザは、キャップ40を介してキャップインサート42を単純に見て、キャップインサート42の色を判断することができ、その結果、タンク10の機能に関して警告される場合がある。
【0050】
実施形態に従って、キャップ40は、キャップ40の内容物を光学的に拡大する材料で作られ、その材料を介してキャップ40の内容物を見ることができる。そのため、タンク10が「良好」または「不良」であるかどうかを判断するために、キャップインサート42をより容易に見ることができ、かつ色を確認することができる。
【0051】
例示的実施形態に従って、キャップインサート42は、図6Bに示されるようにインサート30のキャップ40へと突出するドーム様形状であり得る上部44を有する。上部44は、キャップ40を介して明確に見ることができるように、キャップ40内に構成されて配置される。
【0052】
1つの好適な実施形態に従って、キャップインサート42の少なくとも一部(例えばキャップ40を介して見ることができる上部44)は、タンクが適切に動作していることを示す色である第1色を有するように形成される。タンク10の圧縮ガス側が水分に晒される時、タンク10の圧縮ガス側を形成する材料は腐食して錆びつく。内部環境に存在する腐食及び錆つきは、キャップインサート42の表面状に錆残留物を堆積する。そのため、キャップインサート42の第1色は、一般的に赤―オレンジ―茶色である堆積した錆の色と対照的なものが好ましい。好適な実施形態に従って、キャップインサート42は、堆積した錆と明確な対照を提供する例えば明るい白色等の淡色である。キャップインサート42の明るい白または他の色は、任意の従来式方法により提供することができる。いくつかの実施形態では、キャップインサート42(またはキャップ40を介して見ることができる上部44といったキャップインサート42の一部)を形成する材料は、それ自体が所望の第1色のものであってよい。例えば、キャップインサート42またはその一部は、白または他の色のプラスチック材料から所望の形状に成形されるか、またはさもなければ形成されてもよい。代替として、キャップインサート42は任意の色の任意の材料で形成されてもよく、かつその後所望されるように色付けされてもよい。
【0053】
他の実施形態に従って、キャップインサート42と連通するインジケータ30の少なくとも一部は、水分に晒される時に腐食して錆びつく材料で形成される。これにより、圧縮ガス側を含むタンク10を耐腐食性である材料で形成することが可能になる。そういった実施形態では、圧縮ガスがタンクの圧縮ガス側からインジケータ30に入ることができるよう、タンク10は検査される。圧縮ガス内に水分が存在する場合、インジケータ30の一部が腐食して錆びつく。インジケータ30の内部環境にこの腐食及び錆つきが存在すると、キャップインサート42の表面上に錆残留物が急速に堆積する。さらなる実施形態は、水滴または水分量がキャップインサート42とキャップ40との間に蓄積するものであり、上部44内で見ることができる。
【0054】
いくつかの実施形態に従って、キャップ40を介して見ることができるキャップインサート42の少なくとも一部(例えば上部44)は、ハイドロクロミックインクで覆われる。ハイドロクロミックインクは既知のものであり、本明細書ではさらに詳細に説明されない。むしろ、そういった既知のハイドロクロミックインクは適切に用いることができる。
【0055】
例えば、1つの実施形態では、ハイドロクロミックインクは、正常動作状態にある時に第1色を表示することができ、所定量またはそれ以上の水分に接する時(例えば微量を超える量の水分、水分ゼロ超の水分等の検知可能なレベルの水分)に第2色を表示できる。そのため、上部44(またはキャップインサート42の他の所望の部分)は、ハイドロクロミックインクで単に覆うことができる。ハイドロクロミックインク被覆部分が所定量またはそれ以上の水分と任意で接触することにより、インクはタンクに問題が生じたことを示す第2色を表示する。第2色は、ユーザによって目立つ、例えば赤、オレンジ等の任意の色であることが好ましい。第2色は、第1色(例えば白、銀色、灰色等)とは異なる任意の色のものであってもよい。
【0056】
別の実施形態では、ハイドロクロミックインクは、所定量を下回る水分に接する時に第1色を表示でき、かつ所定量またはそれ以上の水分に接する時に透明になることができる。そのため、上部44(またはキャップインサート42の他の所望される部分)は、タンクに問題(例えば過度の水分/任意の量の水分)が生じていることをユーザに警告する第2色で覆うことができる。第2色は、ハイドロクロミックインクで覆うことができる。ハイドロクロミックインク被覆部分と所定量またはそれ以上の水分とを任意に接触させることにより、インクが透明になり、それにより第2色が示される。
【0057】
例示的実施形態に従って、キャップインサート42の上部44には、キャップインサート42の周囲で放射状にハイドロクロミックインクの白いバンド(または第2色とは異なる任意の他の色)が提供される。白いバンドが白いままである時(または第2色とは異なる他の色)、タンクは「良好」(すなわちタンク10の圧縮ガス側に水分がない/許容可能なレベルの水分がある)であるとみなされる。タンク10の圧縮ガス側へ水の漏出がある場合、水は圧縮ガスと共にバルブ50を通じて(または圧縮ガスがタンク10を出る他の手段を介して)インジケータ30のキャップ40へと向かう。水を含む圧縮ガスは、キャップ40へと入り、キャップインサート42上のハイドロクロミックインクと接する。圧縮ガス内に水が存在する場合、水はハイドロクロミックインクが目に見えるものに変わり、下の第2色(例えば赤)が表示される(またはハイドロクロミックインクの色を第2色に変化する)。色の変化(例えば白から赤)は、タンク10がダイヤフラム18の圧縮ガス側に水を有しており、故障していることを示す。
【0058】
好ましい実施形態に従って、キャップインサート42は第2色で色付けされ、その後(1)所定量またはそれ以上の水分に接する時にその下の第2色を示すよう透明になり、一旦水分が乾くと第1色に戻る、または(2)所定量またはそれ以上の水分に接する時に第2色に変化し、一旦水分が乾くと第1色に戻る、第1色のハイドロクロミックインクで覆われる。そのため、インジケータ30は再利用可能であり、したがって一度水分に接して色が変化しても取り替える必要がない。
【0059】
図6Aに示されるように、インジケータ30は、一次密封部47及び二次密封部48として機能する2つのプラスチック成形ガスケットを有するよう設計することができる。インジケータ30の様々な部分は、成形等といった任意の方法によって形成することができる。好ましくは、キャップ40は透明材料を形成するように成形され、かつキャップインサート42は自然なまたは白い色で成形され、その後第2色及び第1色で色付けされる。様々な構成要素は、超音波溶接または良好な気密密封がなされることを確実にする類似の方法を用いて組み立てられて取り付けられてもよい。
【0060】
図6Aに示されるように、それによりバルブ50の端部とインジケータ30の上部44との間に密封を形成するために、一次密封部47はキャップインサート42とバルブ50との間のインジケータ30の上部位置に配置されてもよい。二次密封部48は、バルブ50とタンク10の上面との間のインジケータ30の底部に配置して、その間で密封をもたらし、それによって、インジケータ30とインジケータ30の外部との間にガス及び液体が通過するのを防ぐことができる。
【0061】
タンク10を検査するために、タンク10内の圧縮ガスがインジケータ30に入るように、特にキャップ40に入りキャップインサート42に接するように、バルブ50を動作させる。圧縮ガスが許容可能レベル内にある場合、キャップインサート42の色が変化しないままである。一方で、圧縮ガス内に許容可能なレベルを超える水分が存在する場合、キャップインサート42が変色する。
【0062】
例示的実施形態によると、キャップインサート42またはその一部は第1色であり、タンク10の圧縮ガス側の少なくとも一部は、水分に接する時に腐食して錆びつく材料で作られる。別の例示的実施形態によると、キャップインサート42またはその少なくとも一部は第2色であり、キャップインサート42と連通するインジケータ30の少なくとも一部は、水分に晒された時に腐食して錆びつく材料で形成される。そういった実施形態では、タンク10の圧縮ガス側に水分が存在する場合、タンク10の圧縮ガス側またはキャップインサート42を形成する材料は、水分を含む圧縮ガスに接する時に腐食して錆びつく。内部環境におけるこの腐食及び錆によって、キャップインサート42の表面状に錆残留物が早急に堆積する。この堆積した錆がキャップインサート42を変色させ、それによってタンク10の圧縮ガス側に過度の量の水分があることが示される。圧縮ガス内の水分が許容可能なレベル内である場合、腐食及び錆は発生せず、第1色は変色せず、それによって、タンク10の圧縮ガス側内の水分量が許容可能であることが示される。
【0063】
別の例示的実施形態に従って、キャップインサート42は第2色(例えば赤)で色付けされ、その後ハイドロクロミックインクを用いて第1色で色付けされる。圧縮ガス内に許容可能なレベルを超える水分が存在する場合、ハイドロクロミックインクは透明になり、キャップインサート42は第2色に変色して、タンク10の圧縮ガス側に過度の量の水分があることを示す。圧縮ガス内の水分が許容可能なレベル内である場合、ハイドロクロミックインクは変化せず、キャップインサート42は第1色を表示して、タンク10の圧縮ガス側内の水分量が許容可能であることを示す。
【0064】
本設計は、住宅所有者及び/または配管業者がシステムからタンク10を取り除く必要なく、より定期的にタンク10を視覚的に調査するのに有用である。そのため、配管業者または住宅所有者はより積極的に、用いられる機器を保守することができる。有利なことに、本インジケータ30はまた、全ての膨張タンクに存在する一般的なバルブ(例えばシュレーダー型空気バルブ)を有する任意の既存のタンクへ容易に適用することできる。そのため、タンク10の設計自体を任意に変更することを必要とせずに、インジケータ30をバルブ50の辺りでタンク10に単に取り付けることができる。
【0065】
さらに、様々な実施形態に従って、電子メールアドレス、携帯電話、またはスマートフォンに警告を転送して、水分か検出された場合にユーザに警告するために、適切な電子機器/ソフトウェアを備えるインジケータが適用されてもよい。
【0066】
本発明の特定の実施形態が示されて説明されてきた一方で、幅広い態様の本発明から逸脱することなく変更及び修正が加えられてもよいことが、当業者に明らかとなろう。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の趣旨及び範囲内に包含されるそういった変更及び修正の全てを網羅することにある。上述の説明及び添付の図面にて説明される事項は、説明的なものとしてのみ提供されており、限定するものとしては提供されていない。本発明の真の範囲は、先行技術に基づく適切な視点で考えられる時に、以下の特許請求の範囲において定義されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B