(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】ポリエステル重合組成物、ポリエステル樹脂マスターバッチチップおよびこれを利用したポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
C08G 63/12 20060101AFI20220728BHJP
C08J 3/22 20060101ALI20220728BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20220728BHJP
C08L 55/00 20060101ALI20220728BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20220728BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220728BHJP
C08F 283/01 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
C08G63/12
C08J3/22
C08L67/02
C08L55/00
C08K3/36
C08F290/06
C08F283/01
(21)【出願番号】P 2020512660
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 KR2018011353
(87)【国際公開番号】W WO2019066448
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127954
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イム,スジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンスン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヨン ナム
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-333506(JP,A)
【文献】特開2006-111703(JP,A)
【文献】特開2012-193259(JP,A)
【文献】特開昭59-041330(JP,A)
【文献】特開昭56-061427(JP,A)
【文献】特開平06-143409(JP,A)
【文献】特表2015-525807(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0322217(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0039028(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/12
C08J 3/22
C08L 67/02
C08L 55/00
C08K 3/36
C08F 290/06
C08F 283/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオール成分およびジカルボン酸成分を含む単量体組成物または
前記ジオール成分および前記ジカルボン酸成分のオリゴマーおよびシリカスラリー組成物を含み、
前記シリカスラリー組成物は、下記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)
、および、酸または酸誘導体(b)
の共重合体
と、ジオール成分およびシリカ粒子を含
み、
前記共重合体は、けん化価が60~200mgKOH/gであり、
前記共重合体は、ポリエステル重合組成物に含まれるシリカ粒子の含有量に対して0.01~5重量%で含まれる、
ポリエステル重合組成物。
[化学式1]
R
1O(R
2O)nR
3
上記化学式1中、前記R
1は、
C1-C4の炭化水素基であり、
前記R
2Oは、
オキシエチレン基単独またはオキシエチレン基およびオキシプロピレン基の混合であり、前記混合時、オキシエチレン基の含有量がオキシプロピレン基の含有量よりも多く、
前記R
3は、
C3-C4の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択され、
前記nは、
10~40の整数である。
【請求項2】
前記酸または酸誘導体(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、アリルスルホン酸、マレイン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびこれらの塩からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせである、請求項1に記載のポリエステル重合組成物。
【請求項3】
前記共重合体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレン、P-スチレンスルホン酸、インデン、イソブチレン、イソプレン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の共単量体(c)から誘導される重合単位をさらに含む、請求項1に記載のポリエステル重合組成物。
【請求項4】
前記共重合体は、粘度が1,000~20,000cPであ
る、請求項1に記載のポリエステル重合組成物。
【請求項5】
前記シリカ粒子は、平均粒径が0.01~5μmである、請求項1に記載のポリエステル重合組成物。
【請求項6】
前記シリカ粒子は、ポリエステル重合組成物のうち0.001~3重量%で含まれる、請求項1に記載のポリエステル重合組成物。
【請求項7】
前記シリカスラリー組成物は、平均粒径が10μm以上の凝集粒子数が下記式1を満たす、請求項1に記載のポリエステル重合組成物。
[式1]
P
2<P
1
上記式1中、P
1は、前記共重合体を含まないシリカスラリー組成物中の平均粒径が10μm以上の凝集粒子の数(個数/15mL)であり、前記P
2は、前記共重合体を含むシリカスラリー組成物中の平均粒径が10μm以上の凝集粒子の個数(個数/15mL)である。
【請求項8】
前記シリカスラリー組成物は、平均粒径が10μm以上の凝集粒子数が1個/15mL以下である、請求項
7に記載のポリエステル重合組成物。
【請求項9】
前記ポリエステル重合組成物は、触媒、静電ピニング剤および熱安定剤からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせをさらに含む、請求項1に記載のポリエステル重合組成物。
【請求項10】
請求項
1~9のいずれか一項に記載のポリエステル重合組成物を重合して製造される、ポリエステル樹脂マスターバッチチップ。
【請求項11】
前記ポリエステル樹脂マスターバッチチップは、448μmx336μm面積内における平均粒径が10μm以上の凝集粒子数が6個以下である、請求項
10に記載のポリエステル樹脂マスターバッチチップ。
【請求項12】
請求項
10に記載のポリエステル樹脂マスターバッチチップを含む樹脂組成物を溶融押出および延伸して製造する、ポリエステルフィルム。
【請求項13】
前記ポリエステルフィルムは厚さが10~300μmである、請求項
12に記載のポリエステルフィルム。
【請求項14】
下記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位および酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含
み、60~200mgKOH/gのけん化価を持つ共重合体、ジオール成分およびシリカ粒子を含むシリカスラリー組成物をエステル化反応段階または重縮合反応段階で添加して重合する段階を含む、ポリエステル樹脂マスターバッチチップの製造方法。
[化学式1]
R
1O(R
2O)nR
3
上記化学式1中、前記R
1は、
C1-C4の炭化水素基であり、
前記R
2Oは、
オキシエチレン基単独またはオキシエチレン基およびオキシプロピレン基の混合であり、前記混合時、オキシエチレン基の含有量がオキシプロピレン基の含有量よりも多く、
前記R
3は、
C3-C4の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択され、
前記nは、
10~40の整数である。
【請求項15】
前記共重合体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレン、P-スチレンスルホン酸、インデン、イソブチレン、イソプレン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の共単量体(c)から誘導される重合単位をさらに含む、請求項
14に記載のポリエステル樹脂マスターバッチチップの製造方法。
【請求項16】
前記共重合体は、粘度が1,000~20,000cPであ
る、請求項
14に記載のポリエステル樹脂マスターバッチチップの製造方法。
【請求項17】
前記シリカスラリー組成物は重縮合反応前に投入する、請求項
14に記載のポリエステル樹脂マスターバッチチップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ粒子、より詳しくは、シリカ微粒子の分散性をさらに向上させ、凝集粒子の含有量を減少させたポリエステル重合組成物、ポリエステル樹脂マスターバッチチップおよびこれを利用したポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリエステル(Polyester)、特に、ポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate、以下、PETと称する)は、優れた耐熱性、機械的強度、透明性、および耐化学性などの長所により、フィルム、繊維、容器または瓶、機械および電子部品として使用されており、他の高機能性樹脂に比べ低価格であるため、その用途および使用量が拡大し続ける傾向にある。特に、現在工業的に製造されているポリエステルフィルムは、磁気記録媒体用ベースフィルム、各種包装用素材およびその他の産業用用途に、広範囲に使用されており、最近では各種ディスプレイ用電子製品の発展に伴い、光学用フィルムを主軸としてその市場が拡大している。
【0003】
最近、ディスプレイ電子製品は技術の発展に伴い、それに使用される光学用フィルム、例えば、プリズムシート、光拡散シート、タッチパネル用基材フィルムなどはさらに優れた輝度および鮮明度が要求されており、優れた透明性および平滑性などを阻害する内部欠点および表面欠点を最小化するための技術が要求されている。
【0004】
ここでいう内部欠点とは、本発明に限って用いる定義であり、PETの内部に存在し異なる屈折率を有することで、光の反射、散乱を引き起こしてPETの透明性を低下させる要因を意味する。その原因は、無機金属、外部の異物、粒子凝集、炭化物などにより引き起こされる。また、表面欠点は、PETフィルムの表面に存在して、光の反射、散乱だけでなく、後工程で問題となるスクラッチ、表面凹凸などを意味する。
【0005】
ポリエステルをフィルムなどに用いる場合、得られたフィルムに優れた巻取性を付与するための目的で粒子が添加されている。しかし、最近フィルムが薄膜化する傾向に応じて、従来よりも高度な表面平坦性が要求されるか、または欠点が少ない特徴が要求されている。特に、薄膜のフィルムを製造するために平均粒径が小さいシリカ微粒子を使用する場合、局所的に発生するシリカ粒子の凝集、具体的には、シリカ粒子同士、または、シリカ粒子と触媒として添加する金属成分との凝集が発生して表面に巨大突起が発生するか、フィルム成形時にフィッシュアイなどの欠点となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、シリカ粒子の優れた分散性を達成でき、平均粒径がより小さい、具体的には5μm以下であるシリカ粒子の分散性を向上させ、粒子の凝集を減少させてフィルムの製造時に欠点数を減少させるポリエステル重合組成物を提供することを目的とする。すなわち、本発明は、シリカ粒子が局所的に大きな凝集を形成することを抑制して凝集が小さすぎるかまたは発生せず、シリカ粒子が均一に分散したポリエステル組成物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、前記ポリエステル樹脂組成物を用いて内部欠点が少ないかまたはほとんど発生しないポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態は、ジオール成分およびジカルボン酸成分を含む単量体組成物または前記単量体組成物の予備重合組成物およびシリカスラリー組成物を含み、
前記シリカスラリー組成物は、下記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位および酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体、ジオール成分およびシリカ粒子を含むポリエステル重合組成物である。
【0009】
[化学式1]
R1O(R2O)nR3
【0010】
上記化学式1中、前記R1は、C1-C18の炭化水素基であり、
前記R2Oは、C1-C10のオキシアルキレン基から選択される1種または2種以上の組み合わせであり、オキシエチレン基を必ず含み、前記オキシエチレン基とC1およびC3-C10のオキシアルキレン基の組み合わせである場合、オキシエチレン基の含有量が、C1およびC3-C10のオキシアルキレン基の含有量よりも多く、
前記R3は、C2-C5の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択され、
前記nは、1~50の整数である。
【0011】
本発明の他の様態は、前記ポリエステル重合組成物を重合して製造されたポリエステル樹脂マスターバッチチップである。
【0012】
本発明のさらに他の様態は、前記ポリエステル樹脂マスターバッチチップを含む樹脂組成物を溶融押出および延伸して製造されたポリエステルフィルムである。
【0013】
本発明のさらに他の様態は、上記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位、および、酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体、ジオール成分、およびシリカ粒子を含むシリカスラリー組成物を添加して重合する段階を含むポリエステル樹脂マスターバッチチップの製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、スラリー中のシリカ微粒子の分散性および分散安定性を向上させることができ、また、シリカ微粒子を高温の重縮合工程に投入したときに発生し得るシリカ微粒子の再凝集を抑制する効果に非常に優れている。
【0015】
また、本発明によるフィルムは、シリカ微粒子の凝集に伴う欠点を解消でき、これによって光学フィルムなどへの適用が可能なフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体例または実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、下記具体例または実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの例示に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な形態で具現され得る。
【0017】
また、他に定義されない限り、全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためであり、本発明を制限することが意図されない。
【0018】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形は、文脈上別段の指示がない限り、複数形も含むよう意図される。
【0019】
本発明の一様態は、ジオール成分およびジカルボン酸成分を含む単量体組成物または前記単量体組成物の予備重合組成物およびシリカスラリー組成物を含み、
前記シリカスラリー組成物は、下記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位および酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体、ジオール成分およびシリカ粒子を含むポリエステル重合組成物である。
【0020】
[化学式1]
R1O(R2O)nR3
【0021】
上記化学式1中、前記R1は、C1-C18の炭化水素基であり、
前記R2Oは、C1-C10のオキシアルキレン基から選択される1種または2種以上の組み合わせであり、オキシエチレン基を必ず含み、前記オキシエチレン基とC1およびC3-C10のオキシアルキレン基の組み合わせである場合、オキシエチレン基の含有量がC1およびC3-C10のオキシアルキレン基の含有量よりも多く、
前記R3は、C2-C5の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択され、
前記nは、1~50の整数である。
【0022】
本発明の一様態において、上記化学式1中、前記R1は、C1-C4の炭化水素基であり、
前記R2Oは、オキシエチレン基単独またはオキシエチレン基およびオキシプロピレン基の組み合わせであってもよく、前記組み合わせである場合、オキシエチレン基の含有量がオキシプロピレン基の含有量よりも多く、
前記R3は、C3-C4の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択され、
前記nは、好ましくは10~40の整数である。
【0023】
本発明の一様態において、前記酸または酸誘導体(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、アリルスルホン酸、マレイン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびこれらの塩からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0024】
本発明の一様態において、前記共重合体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレン、P-スチレンスルホン酸、インデン、イソブチレン、イソプレン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の共単量体(c)から誘導される重合単位をさらに含んでもよい。
【0025】
本発明の一様態において、前記共重合体の粘度は1,000~20,000cPであり、けん化価は10~200mgKOH/gであってもよい。
【0026】
本発明の一様態において、前記シリカ粒子は、平均粒径が0.01~5μmであってもよい。
【0027】
本発明の一様態において、前記シリカ粒子は、ポリエステル重合組成物中に、0.001~3重量%含まれてもよい。
【0028】
本発明の一様態において、前記共重合体は、ポリエステル重合組成物に含まれる粒子の含有量に対して0.01~5重量%含まれてもよい。
【0029】
本発明の一様態において、前記シリカスラリー組成物は、平均粒径が10μm以上の凝集粒子の数が下記式1を満たすものであってもよい。
【0030】
[式1]
P2<P1
【0031】
上記式1中、P1は、前記共重合体を含まないシリカスラリー組成物中の平均粒径が10μm以上の凝集粒子の個数(個数/15ml)であり、前記P2は、前記共重合体を含むシリカスラリー組成物中の平均粒径が10μm以上の凝集粒子の個数(個数/15ml)である。
【0032】
本発明の一様態において、前記シリカスラリー組成物は、平均粒径が10μm以上の凝集粒子数が1個/15ml以下であってもよい。
【0033】
本発明の一様態において、前記ポリエステル重合組成物は、触媒、静電ピニング剤および熱安定剤からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせ物をさらに含むことができる。
【0034】
本発明の他の様態においては、前記ポリエステル重合組成物を重合して製造されたポリエステル樹脂マスターバッチチップである。
【0035】
本発明の一様態において、前記ポリエステル樹脂マスターバッチチップは、448μmx336μm面積内における、平均粒径が10μm以上の凝集粒子の数が6個以下であってもよい。
【0036】
本発明の他の様態においては、前記ポリエステル樹脂マスターバッチチップを含む樹脂組成物を溶融押出および延伸して製造されたポリエステルフィルムである。
【0037】
本発明の一様態において、前記ポリエステルフィルムは、厚さが10~300μmであってもよい。
【0038】
下記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位および酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体、ジオール成分およびシリカ粒子を含むシリカスラリー組成物を、エステル化反応段階または重縮合反応段階で添加して重合する段階を含むポリエステル樹脂マスターバッチチップの製造方法である。
【0039】
[化学式1]
R1O(R2O)nR3
【0040】
上記化学式1中、前記R1は、C1-C18の炭化水素基であり、
前記R2Oは、C1-C10のオキシアルキレン基から選択される1種または2種以上の組み合わせであり、オキシエチレン基を必ず含み、前記オキシエチレン基とC1およびC3-C10のオキシアルキレン基の組み合わせである場合、オキシエチレン基の含有量がC1およびC3-C10のオキシアルキレン基の含有量よりも多く、
前記R3は、C2-C5の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択され、
前記nは、1~50の整数である。
【0041】
本発明の一様態において、前記共重合体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレン、P-スチレンスルホン酸、インデン、イソブチレン、イソプレン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の共単量体(c)から誘導される重合単位をさらに含んでもよい。
【0042】
本発明の一様態において、前記共重合体の粘度は1,000~20,000cPであり、けん化価は10~200mgKOH/gであってもよい。
【0043】
本発明の一様態において、前記シリカスラリー組成物は重縮合反応の前に投入してもよい。
【0044】
以下、本発明の各構成について、より具体的に説明する。
【0045】
(ポリエステル重合組成物)
本発明の一様態において、前記ポリエステル重合組成物は、ポリエステル樹脂を製造するために反応器に投入される組成物を意味する。
【0046】
本発明の一様態において、前記ポリエステル重合組成物は、上記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位および酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体、ジオール成分およびシリカ粒子を含むシリカスラリー組成物を含む。
【0047】
より具体的には、前記ポリエステル重合組成物は、ジカルボン酸成分とジオール成分のエステル化またはエステル交換反応、一例として、溶融重縮合法によって製造可能な通常の単独重合ポリエステルまたは共重合ポリエステルを製造するための組成物であってもよい。
【0048】
通常、ポリエステル樹脂の重合時、無機粒子はジオール成分、より具体的には、エチレングリコールなどに分散させた無機粒子スラリーの状態で投入し得る。前記無機粒子としてはシリカを使用してシリカスラリー組成物を製造した後、ポリエステル樹脂の重合反応に投入すると粒子の凝集が発生して、フィルムの製造時に内部欠点が増加するという問題がある。特に高温の重縮合反応の際に、前記スラリーを投入すると粒子の凝集がさらにひどく発生した。
【0049】
本発明の発明者らは、上記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位、および、酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体を含むことによって、スラリー中のシリカ粒子の分散性をさらに向上させることができ、高温の重縮合反応時にスラリーを投入しても、粒子の凝集が発生することを防止でき、これによってマスターバッチチップおよびフィルムの製造の際、シリカの再凝集による内部欠点を解消できることを発見した。
【0050】
本発明の一様態において、前記ポリエステル重合組成物の第1様態は、ジオール成分およびジカルボン酸成分を含む単量体組成物;およびシリカスラリー組成物;を含むことができ、前記シリカスラリー組成物は、上記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位、および、酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体、ジオール成分、および、シリカ粒子を含むことができる。
【0051】
前記ポリエステル重合組成物の第2様態は、ジオール成分およびジカルボン酸成分を含む単量体組成物の予備重合組成物およびシリカスラリー組成物を含むことができ、前記シリカスラリー組成物は、上記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位、および、酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体、ジオール成分、および、シリカ粒子を含むことができる。
【0052】
前記ポリエステル重合組成物の第3様態は、前記第1様態または第3様態において、触媒、静電ピニング剤および熱安定剤をさらに含むことができる。
【0053】
前記ポリエステル重合組成物の第4様態は、前記第1様態~第3様態において、帯電防止剤、補助難燃剤、顔料、染料、ガラス繊維、充填剤、耐熱剤、衝撃補助剤、蛍光増白剤および色相改善剤からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせをさらに含むことができる。
【0054】
前記第1様態~第4様態は、本発明をより具体的に説明するために例示したものに過ぎず、これに限定するものではない。
【0055】
本発明の一様態において、前記静電ピニング剤および熱安定剤などの添加剤は、ポリエステル樹脂の重合時に添加してもよく、溶融成形時に添加してもよいが、フィルム中に粒子が均一に分散するようにし、末端カルボキシル基含有量およびジエチレングリコールの含有量を調節するための観点から重合時に添加することが好ましい。重合時に添加する場合、添加時期はポリエステル重合時のエステル交換反応段階の前またはエステル交換反応終了後から重縮合反応の初期、具体的には、例えば、固有粘度0.3未満までの間に任意の時期に添加してもよい。より好ましくは、それ自体が再凝集または高分子化されることを防止するためにそれぞれジオール成分、より具体的には、エチレングリコールに溶解または完全に混合して、溶液またはスラリーの状態で製造して投入することが望ましい。この際、スラリーの濃度は、固形分含有量が3重量%以下の濃度で製造することが、再凝集を効果的に防止できるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0056】
本発明の一様態において、前記ジカルボン酸成分は限定されるものではないが、一例として、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸などの芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらは単独でまたは2つ以上を組み合わせて使用することができる。より具体的には、前記ジカルボン酸成分はテレフタル酸であってもよい。
【0057】
本発明の一様態において、前記ジオール成分は限定されるものではないが、一例として、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオールなどの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、ビスフェノールS、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、芳香族ジオール類などのジオール、前記ジオールが複数個連結したものなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、これらは、単独使用または必要に応じて2つ以上を組み合わせて使用することができる。より具体的には、前記ジオール成分はエチレングリコールであってもよい。
【0058】
本発明の一様態において、前記ポリエステル重合組成物は、下記化学式1で表されるポリオキシアルキレン化合物(a)から誘導される重合単位および酸または酸誘導体(b)から誘導される重合単位を含む共重合体を含むことによって、シリカ粒子の分散性を向上させ、再凝集を防止でき、高温の重縮合段階でスラリーの投入が可能になる。
【0059】
[化学式1]
R1O(R2O)nR3
【0060】
上記化学式1中、前記R1は、C1-C18の炭化水素基であり、
前記R2Oは、C1-C10のオキシアルキレン基から選択される1種または2種以上の組み合わせであり、オキシエチレン基を必ず含み、前記オキシエチレン基とC1およびC3-C10のオキシアルキレン基の組み合わせである場合、オキシエチレン基の含有量がC1およびC3-C10のオキシアルキレン基の含有量よりも多く、
前記R3は、C2-C5の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択され、
前記nは、1~50の整数である。
【0061】
本発明の一様態において、上記化学式1中、前記R1は、C1-C18の炭化水素基、具体的には、C1-C18のアルキル、C3-C18のシクロアルキルおよびC6-C18のアリールから選択されてもよい。より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基およびベンジル基などが挙げられる。より具体的には、C1-C4の炭化水素基であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0062】
本発明の一様態において、前記R2Oは、C1-C10のオキシアルキレン基から選択される1種または2種以上の組み合わせであってもよく、そのうちオキシエチレン基を必ず含む場合、ジオール成分、より具体的には、エチレングリコールに対する親和性に優れ、シリカ粒子の分散性をさらに向上させ、凝集を防止し、重縮合反応時に投入しても再凝集を防止することができる。前記2種以上の場合、その付加形式はランダム状またはブロック状でありうる。
【0063】
この際、オキシエチレン基以外に他の種類のオキシアルキレン基を1種以上さらに含む場合、オキシエチレン基の含有量が、他のオキシアルキレン基の含有量に比べて、より高いものが、スラリーの製造時に投入されるジオール成分、より具体的には、エチレングリコールに対する分散性および混和性に優れており、粒子の分散性を一層高めることができるのでさらに望ましい。より具体的には、オキシエチレン基の含有量が51モル%以上、さらに具体的には51~99モル%含まれ、前記オキシエチレン基を除いたオキシアルキレン基の含有量は1~49モル%含まれうる。
【0064】
より具体的には、前記R2Oは、C2-C4のオキシアルキレン基から選択される1種または2種以上の組み合わせであってもよく、前記C2-C4のオキシアルキレン基の例としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。
【0065】
さらに具体的には、前記R2Oは、オキシエチレン基単独、または、オキシエチレン基とC3-C4のオキシアルキレン基から選択されるいずれか1つ以上との組み合わせであってもよい。
【0066】
さらにもっと具体的には、前記R2Oは、オキシエチレン基単独、または、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との組み合わせであり、前記組み合わせである場合に、オキシエチレン基の含有量はオキシプロピレン基の含有量よりも高いのでありうる。
【0067】
本発明の一様態において、前記R3は、水素、C2-C5の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択され、より具体的には、C2-C5の不飽和炭化水素基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選択されてもよい。
【0068】
前記C2-C5の不飽和炭化水素基は、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル、1-プロペニル基、メタリル基、3-ブテニル基などが挙げられる。より具体的にはC3-C4の不飽和炭化水素基であってもよく、さらに具体的にはC3-C4のアリル基およびメタリル基であってもよい。
【0069】
本発明の一様態において、前記nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1~50であり、具体的には5~45、より具体的には10~40である。このような範囲でシリカ微粒子を分散させるのに適した粘度を発現でき、好ましくは粘度が1,000~20,000cP、さらに好ましくは2,000~10,000cPの範囲を満たす共重合体を提供できるので望ましいが、これに限定されるものではない。粘度がこのような範囲であると、取り扱い性が良好で、シリカ粒子の分散性をさらに増進させることができるので望ましい。前記粘度は、後述する測定方法により測定したものである。
【0070】
本発明の一様態において、前記酸または酸誘導体(b)で、前記酸はカルボン酸またはその塩であってもよく、前記酸誘導体は酸無水物、酸無水物から得られる多価酸およびこれらの塩であってもよい。
【0071】
より具体的には、前記酸または酸誘導体(b)としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、アリルスルホン酸、マレイン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびこれらの塩からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせであってもよい。さらに具体的には、前記酸または酸誘導体(b)としては、マレイン酸、無水マレイン酸およびこれらの塩から選択されてもよい。
【0072】
本発明の一様態において、前記共重合体は、ポリオキシアルキレン化合物(a)5~95モル%および酸または酸誘導体(b)5~95モル%を共重合して製造できるが、これに限定されるものではない。また、前記共重合体の重量平均分子量は500~100,000であり、より具体的には1,000~20,000であり、これに限定されるものではない。
【0073】
本発明の一様態において、前記共重合体としてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、スチレン、P-スチレンスルホン酸、インデン、イソブチレン、イソプレン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドから選択されるいずれか1つまたは2つ以上の共単量体(c)から誘導された重合単位をさらに含むことができる。より具体的には、前記共単量体はスチレンであってもよい。前記共単量体(c)の含有量は限定されないが、1~50モル%であってもよい。より具体的には、前記共重合体は、ポリオキシアルキレン化合物(a)1~95モル%、酸または酸誘導体(b)1~95モル%および共単量体(c)1~50モル%を共重合して製造できるが、これに限定されるものではない。
【0074】
本発明の一様態において、前記共重合体の粘度は1,000~20,000cP、好ましくは1,500~10,000cPの範囲であってもよく、このような範囲でシリカ粒子の分散性がさらに向上し、ポリエステル重合組成物の製造時、他の成分との混和性が向上するので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0075】
本発明の一様態において、前記共重合体のけん化価は10~200mgKOH/g、具体的には60~200mgKOH/g、より具体的には100~150mgKOH/gであってもよい。前記けん化価が大きいほど粒子との親和性が向上するが、一定量以上に増加すると、粒子間の凝集を防止するオキシアルキレン構造が相対的に少なくなるので、効果的に凝集が防止できなくなる。したがって、このような範囲で粒子間の分散性および再凝集を防止できるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0076】
本発明の一様態において、前記共重合体は、ポリエステル重合組成物に含まれる粒子の含有量に対して0.01~5重量%、より具体的には0.1~3重量%で含まれてもよい。前記共重合体が過剰に投入された場合、不純物として作用してマスターバッチチップの色および反応速度などを低下させうるのであり、非常に少量が投入された場合、効果的な分散性能を示し得ないのでありうる。したがって、上記の範囲であると、シリカ粒子の分散性を向上させるのに十分な含有量であるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0077】
本発明の一様態において、前記ポリエステル重合組成物は、フィルム製造時に要求されるアンチブロッキング(antiblocking)特性を付与するために、無機粒子、より具体的にはシリカ粒子を含むことができる。前記シリカ粒子の平均粒径は限定されないが、平均粒径は0.01~5μm、より具体的には0.1~3μmであってもよい。通常、このような範囲の微粒子を使用する場合、粒子の再凝集が発生して内部欠点が多く発生するようになるが、本発明のポリエステル重合組成物は前記共重合体を含むことによって、シリカ粒子の分散性を大いに向上させることができるので、前記平均粒径の微粒子を使用する場合にも再凝集が発生することを防止することができる。また、無機粒子の凝集がさらに頻繁に発生する高温の重縮合反応段階でも、スラリーの投入が可能になる。
【0078】
前記シリカ粒子の含有量は、ポリエステル重合組成物のうち0.001~3重量%、より具体的には0.1~2重量%含むことができ、このような範囲で光学フィルムに要求されるヘイズ(haze)およびスリップ性を達成できるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0079】
本発明の一様態において、前記シリカスラリー組成物は、前記共重合体およびシリカ粒子を含むことによって、平均粒径が10μm以上の凝集粒子の数が下記式1を満たしうる。
【0080】
[式1]
P2<P1
【0081】
上記式1中、P1は、前記共重合体を含まないシリカスラリー組成物中の平均粒径が10μm以上の凝集粒子の数(個数/15ml)であり、前記P2は、前記共重合体を含むシリカスラリー組成物中の平均粒径が10μm以上の凝集粒子の数(個数/15ml)である。
【0082】
より具体的には、前記シリカスラリー組成物は、平均粒径が10μm以上の凝集粒子の数が1個/15ml以下、好ましくは0.5個/15ml以下である。
【0083】
本発明の一様態において、前記シリカスラリー組成物の製造時、前記共重合体の投入の順番は限定されない。具体的には、例えばシリカ粒子をジオール成分、より具体的にはエチレングリコールに分散させるために投入した直後、またはシリカ粒子をエチレングリコールに十分に分散させた後に前記共重合体を投入してもよい。
【0084】
本発明の一様態において、前記ポリエステル重合組成物は、触媒、静電ピニング剤、熱安定剤、補助難燃剤、顔料、染料、ガラス繊維、充填剤、耐熱剤、衝撃補助剤、蛍光増白剤および色改善剤からなる群から選択されるいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせをさらに含むことができ、これに限定されるものではない。
【0085】
本発明の一様態において、前記触媒はポリエステルの重縮合時に使用される触媒であれば限定されず、より好ましくはスズ、アンチモンなどの金属触媒を使用することができる。具体的には、例えばアンチモン化合物、スズ化合物、チタニウム化合物およびゲルマニウム化合物などを使用することができ、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。前記触媒の含有量は、ポリエステル重合組成物のうち80~400ppm、好ましくは100~300ppmを使用することができ、このような範囲で反応性に優れているので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0086】
本発明の一様態において、前記静電ピニング剤としては、通常使用されるものであれば限定されないが、好ましくは金属系ピニング剤を使用することができる。より具体的には、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、亜鉛化合物などを使用することが、静電気的活性が大きいので望ましい。その具体的な例としては、酢酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸リチウム、リン酸カルシウム、マグネシウムオキシド、マグネシウムヒドロキシド、マグネシウムアルコキシド、酢酸マンガン、酢酸亜鉛などを使用することができ、1つまたは2つ以上を組み合わせて使用することができる。前記静電ピニング剤の含有量は、ポリエステル重合組成物中にて10~100ppm、好ましくは10~50ppmを使用することができ、このような範囲で走行性のみならず内部欠点を解消することができ、ヘイズが低いフィルムを製造することができるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0087】
本発明の一様態において、前記熱安定剤としては通常当該分野で使用されるものであれば限定されないが、具体的な例としては、リン化合物を使用することができる。具体的な例として、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、リン酸などを使用することができる。前記リン化合物は、熱安定効果とともにピニング性向上効果を付与することもできる。前記熱安定剤の含有量は、ポリエステル重合組成物のうち10~150ppm、好ましくは10~100ppmを使用することができ、このような範囲で熱安定性およびピニング性向上効果を達成するのに十分であるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0088】
(ポリエステル樹脂マスターバッチチップおよびその製造方法)
本発明の一様態において、ポリエステル樹脂マスターバッチチップは無機粒子、具体的には、シリカ粒子を含むポリエステル樹脂チップを意味する。通常、フィルム製造時の無機粒子を添加する方法として、ポリエステル樹脂の重合時に添加するか、または樹脂を溶融押出する際に添加することができ、ポリエステル樹脂の重合時に添加することにより、無機粒子の分散性をさらに向上させることができる。本発明は、前記共重合体を含むシリカスラリー組成物を、重合時に添加することにより、シリカ粒子の分散性をさらに向上させることができる。
【0089】
本発明の一様態において、前記ポリエステル樹脂マスターバッチチップは、上述したポリエステル重合組成物を重合して製造することができる。より具体的には、エステル交換反応段階および重縮合反応段階を含むようにして製造することができる。また、前記重縮合反応段階後に固相重合段階をさらに含むようにして製造することができる。
【0090】
本発明の一様態において、前記シリカスラリー組成物の投入の順番は限定されず、エステル交換反応段階の前または重縮合反応段階の前に投入され得る。本発明は、前記共重合体を含むことにより、シリカスラリー組成物中の粒子の分散性に非常に優れており、再凝集が発生することを防止でき、重縮合反応といった高温の反応段階でも投入が可能であり、重縮合反応段階で投入されても粒子の再凝集がほとんど発生しない。
【0091】
本発明のポリエステル樹脂マスターバッチチップを製造する第1様態は、
ジカルボン酸またはそのエステル誘導体と、ジオール成分とを混合し、エステル反応を進行させて予備重合物を製造する段階と、
前記予備重合物に触媒、静電ピニング剤、熱安定剤およびシリカスラリー組成物を添加して重縮合反応を行う段階とを含むことができる。
【0092】
本発明のポリエステル樹脂マスターバッチチップを製造する第2様態は、
ジカルボン酸またはそのエステル誘導体と、ジオール成分とを混合し、エステル反応を進行させて予備重合物を製造する段階と、
前記予備重合物に触媒、静電ピニング剤、熱安定剤およびシリカスラリー組成物を添加して重縮合反応を行う段階と、
固相重合を行う段階とを含むことができる。
【0093】
本発明の一様態において、前記予備重合物は低分子物質(低分子量オリゴマー)、より具体的にはBHET(bis-β-hydroxyethyl terephthalate)であってもよい。
【0094】
前記予備重合物を製造する段階は、限定されないが、170~270℃で行うことが好ましく、760~1500torrの加圧下で、生成される水を反応器外部へ流出させながら行うことが好ましい。反応時間は限定されないが、1~10時間であることが好ましい。
【0095】
本発明の一様態において、前記重縮合反応は、限定されないが、250~290℃で行うことが好ましく、1torr以下の減圧下で行うことが好ましい。反応時間は限定されないが、1~10時間であることが好ましい。
【0096】
本発明の一様態において、製造されたポリエステル樹脂マスターバッチチップは固有粘度が0.6~0.9dL/gであることが好ましく、このような範囲でフィルム製造時の製膜安定性に優れているので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0097】
本発明の一様態において、前記ポリエステル樹脂マスターバッチチップ中に含まれている、平均粒径が10μm以上である凝集粒子は、その個数が、前記共重合体を含まない場合に比べて、より少ないのでありうる。より具体的には、448μm×336μmの面積内における平均粒径が10μm以上の凝集粒子の個数が6個以下でありうるが、これに限定されるものではない。
【0098】
(ポリエステルフィルムおよびその製造方法)
本発明の一様態において、前記シリカ粒子を含むポリエステル樹脂マスターバッチチップを単独で使用するか、または、前記シリカ粒子を含むポリエステル樹脂マスターバッチチップと、無機粒子が添加されていないポリエステル樹脂チップとを混合してフィルムを製造することができる。
【0099】
より具体的には、前記ポリエステル樹脂マスターバッチチップの含有量は、最終フィルム中におけるシリカ粒子の含有量が0.001~3重量%となるように添加することができ、このような範囲にて、透過度に優れ、かつスリップ性および走行性に優れたフィルムを提供することができるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0100】
本発明の一様態において、前記ポリエステルフィルムは通常の方法で製造することができる。より具体的には、前記シリカ粒子を含むポリエステル樹脂マスターバッチチップと、無機粒子が添加されていないポリエステル樹脂チップとを混合して、押出機で溶融押出して未延伸シートを製造し、前記未延伸シートを延伸してフィルムを製造することができる。また、前記延伸後、熱固定および弛緩する段階をさらに含むことができる。
【0101】
本発明の一様態において、前記ポリエステルフィルムは、前記シリカ粒子を含むポリエステル樹脂マスターバッチチップをスキン層とするか、または、前記シリカ粒子を含むポリエステル樹脂マスターバッチチップと、無機粒子が添加されていないポリエステル樹脂チップとを用いてスキン層とし、無機粒子が添加されていないポリエステル樹脂チップをコア層とするようにして、コア層と、前記コア層の一面または両面に位置する少なくとも一層以上のスキン層とが積層されるように共押出して、多層フィルムとして製造することができる。より具体的には、前記共押出して未延伸シートを製造し、前記未延伸シートを延伸してフィルムを製造することができる。また、前記延伸後、熱固定および弛緩する段階をさらに含むことができる。
【0102】
本発明の一様態において、前記延伸は一軸または二軸延伸とすることができ、前記二軸延伸は、機械方向に延伸後、幅方向に延伸する多段延伸であるか、または機械方向および幅方向に同時に延伸を行う同時延伸として行うことができる。前記延伸の比率は限定されないが、機械方向に1.1~10倍、より具体的には2~5倍、幅方向に1.1~10倍、より具体的には4~6倍延伸することが好ましい。前記延伸比にて、高分子構造の熱的寸法安定性がさらに増加して、熱収縮を減らすことができるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0103】
本発明の一様態において、前記ポリエステルフィルムは二軸延伸後、200~250℃にて熱処理され1~10%弛緩されたものでありうる。具体的には熱処理と同時に弛緩を付与できるが、具体的には幅方向に1~10%、より具体的には2~4%弛緩させることが好ましい。このような範囲にて、フィルムが幅方向に緊張した状態を維持し高分子構造の緻密性が高くなるのであり、熱による変形を減らすことができるので望ましいが、これに限定されるものではない。
【0104】
本発明の一様態において、前記ポリエステルフィルムは厚さが10~300μm、より具体的には15~200μmであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0105】
本発明の一様態において、前記ポリエステルフィルムは、平均粒径が10μm以上の凝集粒子の個数が、前記共重合体を含まない場合に比べて、より少ないのでありうる。具体的には、448μm×336μmの面積内における平均粒径が10μm以上の凝集粒子の個数が45個/10m2以下、より具体的には40個/10m2以下であることが好ましい。
【0106】
以下、本発明を、実施例および比較例に基づいて、より詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本発明をより詳しく説明するための例示に過ぎず、本発明が下記実施例および比較例に限定されるものではない。
【0107】
以下の物性を次の測定方法により測定した。
【0108】
1)スラリー中の凝集粒子の個数
シリカスラリー組成物中の10μm以上の粗大粒子の個数はコールターカウンター(Coulter Counter;Beckman社製、Multisizer 4e)を用いて測定した。3回繰り返し測定し、平均値を計算した。
【0109】
測定条件は、次の通りである。
【0110】
電解質溶液:ISOTON(0.9%NaCl水溶液)
アパチャーチューブ径(Aperture Tube Size):100μm
測定レンジ(Range):2~60μm
電解質内の試料注入量:15μL
測定量/1回:測定量/1回
【0111】
2)マスターバッチチップ中の凝集粒子の個数
ペレットの形態に製造されたポリエステル樹脂マスターバッチチップ(Chip)を、スライドガラス(Slide glass)上に溶融させて、厚さ40μmのサンプルを製造し、DIC(Different Interferance Contrast、微分干渉)顕微鏡を用いて、200倍の倍率で凝集粒子による欠点を観察することで、448μm×336μmの面積内におけるサイズ10μm以上の凝集粒子の個数を測定した。トータルで5枚の顕微鏡写真における欠点の個数を平均して計算した。また、欠点サイズは、顕微鏡スケールバー(Scale Bar)により測定し、欠点の長軸を基準として測定した。
【0112】
3)フィルム中の凝集粒子の個数
製造されたフィルム10m2の面積について、偏光器(新東科学株式会社(Heidon)、歪検査器Type25W)を用いて偏光板を直交となるようにした後、サンプルを置いて観察して、10μm以上の、きらきら輝くものを全て内部欠点としてマークした。前記内部欠点の形態を顕微鏡(Leica DM2700M)で500倍の倍率にて観察して、凝集粒子の形態を有する異物を分類した後、該異物の個数を測定した。
【0113】
4)固有粘度測定法
オルト-クロロフェノール試薬100mlにPETペレット(サンプル)0.4gを入れ、100分間溶解した後、ウベローデ(Ubbelohde)粘度計に移し入れ、30℃の恒温槽にて10分間保持し、粘度計と吸引装置(aspirator)を用いて溶液の落下秒数を求めた。溶媒の落下秒数についても同様の方法で求めた後、下記式によってRV値およびIV値を計算した。
【0114】
RV=試料の落下秒数/溶媒の落下秒数
【0115】
【0116】
5)エチレングリコールとの親和性
下記表1の共重合体1gをエチレングリコール100mlに入れ、10分間攪拌した後、溶液の状態を肉眼で確認した。
【0117】
良好:10分間の攪拌後に溶液が透明で完全に混合された。
普通:10分間の攪拌後に濁り、1時間攪拌後に透明になった。
不良:10分間の攪拌後に混合せず、層分離が発生した。
【0118】
6)けん化価
ASTM D5558-95により測定した。
【0119】
7)粘度
サンプルを25℃で準備した後、ブルックフィールド粘度計(DV1MRVTJO)に64番のスピンドルを装着した後、50rpmで粘度を測定した。
【0120】
8)色(b*)
色差計(Color meter)を用いてフィルムの色相を確認した。測定方法は、Konica Minolta(CM-512m3)装備を用いて、フィルムの色相を示すb*でもってフィルムの色相を比較した。
【0121】
以下、製造例で使用された共重合体の物性は次の通りである。
【0122】
【0123】
上記表1で、EOはオキシエチレンであり、POはオキシプロピレンである。EO/POは、オキシエチレンおよびオキシプロピレンのランダム付加形態である。前記スチレンは2モル%使用した。
【0124】
[実施例1]
1)シリカスラリー組成物の製造
エチレングリコール99.23重量%に平均粒径が1.9μmのシリカ粒子7重量%を添加し、上記表1の共重合体(1)を0.07重量%(粒子の含有量に対して1重量%)となるように添加した後、ホモミキサーを用いて3500rpmで6時間攪拌して、シリカスラリー組成物1を製造した。製造されたスラリー中の凝集粒子の個数を測定して、下記表2に示す。
【0125】
2)ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップの製造
テレフタル酸100重量部に対して、エチレングリコール50重量部をエステル化反応器に投入した後、250℃で4時間、1100torrの圧力に加圧して、水を反応器外へ流出させながらエステル化反応を行い、予備重合物BHET(bis-β-hydroxyethyl terephthalate)を製造した。反応中に発生した水を、蒸留塔を用いて分離し、エステル化反応の終了後に、追加的に発生したエチレングリコールも、蒸留塔を用いて分離した。
【0126】
前記製造されたBHETに、樹脂組成物100重量部に対して、静電ピニング剤としての酢酸マグネシウム150ppm、熱安定剤としてのリン酸トリメチル72ppmを混合して投入した後、重合触媒としての三酸化アンチモン200ppmとともに、マスターバッチチップ中の粒子の含有量が7,000ppmとなるようにするシリカスラリー組成物(1)をさらに投入した後、250℃から285℃まで60℃/hrで徐々に昇温するとともに、0.3torrの高真空下で重縮合反応を4時間行い、固有粘度(IV)0.615のポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップ(1)を製造した。
【0127】
製造されたポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップ中の凝集粒子の個数を測定して下記表3に示す。
【0128】
3)ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップ(1)42.5重量%と、粒子が添加されていないポリエチレンテレフタレート樹脂チップ57.5重量%とをブレンドして押出機で溶融押出した後、シートを製造した。製造されたシートを95℃で機械方向に3.4倍、横方向に4.0倍延伸し、230℃で熱処理して、厚さ38μmの二軸延伸フィルムを製造した。
【0129】
製造されたフィルム中の凝集粒子の個数を測定して下記表3に示す。
【0130】
[実施例2]
1)シリカスラリー組成物の製造
前記実施例1で共重合体(1)の代わりに上記表1の共重合体(2)を使用したことを除いては同様の方法で、シリカスラリー組成物(2)を製造した。製造されたスラリー中の凝集粒子の個数を測定して下記表2に示す。
【0131】
2)ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップの製造
前記シリカスラリー組成物(2)を使用したことを除いては実施例1と同様の方法で、ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップ(2)を製造した。
【0132】
製造されたポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップ中の凝集粒子の個数を測定して下記表3に示す。
【0133】
3)ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップ(2)を使用したことを除いては実施例1と同様の方法で、フィルムを製造した。
【0134】
製造されたフィルム中の凝集粒子の個数を測定して下記表3に示す。
【0135】
[実施例3~7]
1)シリカスラリー組成物の製造
下記表2の通り変更したことを除いては実施例1と同様の方法で、シリカスラリー組成物を製造した。製造されたスラリー中の凝集粒子の個数を測定して下記表2に示す。
【0136】
2)ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップの製造
前記実施例1でシリカスラリー組成物(1)の代わりに、下記表3に記載された通りにシリカスラリー組成物を変更して実施したことを除いては実施例1と同様の方法で、ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップを製造した。
【0137】
製造されたポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップ中の凝集粒子の個数を測定して下記表3に示す。
【0138】
3)ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造
実施例1でポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップを各実施例で製造されたものに変更して使用したことを除いては実施例1と同様の方法で、フィルムを製造した。
【0139】
製造されたフィルム中の凝集粒子の個数を測定して下記表3に示す。
【0140】
[比較例1~4]
1)シリカスラリー組成物の製造
下記表2の通り変更したことを除いては実施例1と同様の方法で、シリカスラリー組成物を製造した。製造されたスラリー中の凝集粒子の個数を測定して下記表2に示す。
【0141】
2)ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップの製造
前記実施例1でシリカスラリー組成物(1)の代わりに、下記表2の通りシリカスラリー組成物を変更して実施したことを除いては実施例1と同様の方法で、ポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップを製造した。
【0142】
製造されたポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップ中の凝集粒子の個数を測定して下記表3に示す。
【0143】
3)ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造
実施例1でポリエチレンテレフタレート樹脂マスターバッチチップを各実施例で製造されたものに変更して使用したことを除いては実施例1と同様の方法で、フィルムを製造した。
【0144】
製造されたフィルム中の凝集粒子数を測定して下記表3に示す。
【0145】
【0146】
【0147】
上記表2および3に示されるように、共重合体を投入しないシリカスラリー組成物を使用した比較例1に比べて、実施例1および実施例2における凝集粒子の個数が顕著に減少したことが確認された。また、本発明のスラリーは、高温の重縮合反応時に添加されても粒子の分散性に優れていることを確認した。
【0148】
比較例2および比較例3の場合、エチレングリコールとの親和性および粒子との親和性が低い共重合体を使用することによって、共重合体を使用しない比較例1よりも、むしろ凝集粒子の個数が増加したことが確認された。