(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】コンパニオンアニマルにおける水の消費を増加させるための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A23K 20/163 20160101AFI20220728BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20220728BHJP
A23K 50/48 20160101ALI20220728BHJP
【FI】
A23K20/163
A23K10/30
A23K50/48
(21)【出願番号】P 2020566991
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(86)【国際出願番号】 US2019035047
(87)【国際公開番号】W WO2019232474
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-11-30
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンチナ、メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】グロス、キャシー
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-523226(JP,A)
【文献】特表2003-534777(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029351(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 20/163
A23K 10/30
A23K 50/48
JSTPlus(JDreamIII)
JMEDPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコ科動物の水分補給を増加させるための水性組成物であって、
水および
メチルセルロースを含む粘度調整剤を含み、
前記粘度調整剤は、ゲルを形成しない約0.05重量%~約1重量%の量で存在し、
前記組成物は、約25℃の温度で粘度計を使用して水が呈する流れに対する内部抵抗、またはせん断速度に対するせん断応力の比として測定したときに、約5cPを超える粘度を有する、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、約5cP~約500cP、約10cP~約400cP、約15cP~約300cP、または約40cP~約290cPの粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粘度調整剤が
、約0.15重量%~約0.75重量%、または約0.25重量%~約0.5重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記粘度調整剤が、植物粘液、植物ガム、デキストリン、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、アラバノガラクタン、ベータグルカン
、ペクチン、水溶性ヘミセルロース、イヌリン、アルギン酸塩、寒天、カラギーナン、サイリウム、グアーガム、トラガカントガム、カラヤゴム、ガムガッティ、アカシアガム、アラビアガム、その部分的に加水分解された生成物、
またはそれらの二つ以上の組み合わせ
をさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記粘度調整剤が
、デンプン
をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
風味剤をさらに含む、請求項1~
5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記風味剤が、ココナッツ濃縮物、クランベリー濃縮物、緑茶、果実または野菜濃縮物、ビタミンサプリメント、アミノ酸、タンパク質、植物抽出物、ペパーミント油、スピアミント、ローズマリー抽出物、パセリ、悪臭抑制剤、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、粘性水可視化アッセイ(Viscous Water Visualization Assay)において、約5cP未満の粘度を有する組成物と比較して、少なくとも0.05gの保持量の増加を提供する、請求項1~
7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、約5cP未満の粘度を有する組成物に対して、1日当たりの消費を約20%、約50%、約75%、約100%、約125%、または約150%増加させる、請求項1~
8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
機能性成分をさらに含む、請求項1~
9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記機能性成分が、前記
ネコ科動物の口腔または消化管に送達されるように製剤化される、請求項1
0に記載の組成物。
【請求項12】
前記機能性成分が、抗菌剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、口腔ケア活性剤、医薬品、およびそれらの二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1
0または1
1に記載の組成物。
【請求項13】
前記機能性成分が、乳酸、ボスウェリア抽出物、ベータグルカン、ベタイン、緑茶、フェヌグリーク、トゥルシー、アルギニン、リシン、およびその二つ以上の組み合わせから選択される、請求項1
2に記載の組成物。
【請求項14】
前記
ネコ科動物がコンパニオンアニマルである、請求項1~1
3のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
ネコ科動物において、
シュウ酸カルシウムリスク指数(CORI
)スコアを改善させること、
尿中ならびに上部および下部尿路内のストルバイト、シュウ酸塩またはその他の結晶および結石を減少させること、
尿中のカルシウム濃度を低減させること、
尿中の結石形成成分の濃度を低減させること、
カルシウムの排泄率を減少させること、
尿中の炎症性メディエーターの濃度を低減させること、
尿比重を低減させること、
ミネラルの尿飽和度を低減させること、
尿の相対的過飽和度を低減させること、
循環血中尿素窒素(BUN)を減少させること、
循環血中トリグリセリドを減少させること、
循環コレステロールを減少させること、
結石阻害物質の濃度を増加させること、
膀胱保護成分の送達を増加させること、
水分摂取量を増加させること、
尿量を増加させること、または
ヘアボール形成を低減させることのための方法であって、
前記方法が、それを必要とする前記
ネコ科動物に、請求項1~
14のいずれかに記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記組成物の約90g/日超が前記
ネコ科動物によって消費される、請求項1
5に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物の約100g/日超、約110g/日超、約120g/日超、または約130g/日超が前記
ネコ科動物によって消費される、請求項1
5または1
6に記載の方法。
【請求項18】
ヘアボール形成を低減させるための、請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
廃棄物の除去、消化、体温の調節など、多くの身体機能やプロセスにおいて、適切かつ十分な水分補給や水の消費が役立つ。したがって、ヒトおよび動物の総合的な健康は、栄養だけでなく、適切かつ十分な水分補給によっても影響を受けることが広く認識され、認められている。水分補給不足の影響は、コンパニオンアニマル(例えば、イヌおよびネコ)において容易に観察され、しばしば下部尿路疾患(LUTD)(例えば、alluria、細菌性膀胱炎、尿路結石症、特発性閉塞等)に対する感受性の増加を示す。これらの疾患および障害の病因は完全には明らかではないが、コンパニオンアニマルの尿中のミネラル濃度が比較的高いことが、これらの疾患および障害としばしば相関する。
【0002】
前述のことを考慮して、それに応じて尿量を増加させるために水の消費を増加させること、およびそれによってLUTDに関連する尿中のミネラル濃度を低下させることに尽力の焦点が当てられてきた。コンパニオンアニマルの水の消費量の増加が望ましいが、容易には達成できない。例えば、飼い慣らされたネコなどの多くのコンパニオンアニマルは、多くの場合、自身の水の消費を増加させることに関心がない。さらに、機能性成分(例えば、微量栄養素、薬剤など)が、様々な疾患および症状の治療または予防のために水に添加される場合、コンパニオンアニマルは、その機能性成分の嗜好性の低下により、水消費への抵抗を強めることが多い。したがって、機能性成分を覆い隠して、十分な水分補給を促進するために、多くの場合、食味増強剤または風味剤を水に加えることができる。しかし、食味増強剤および風味剤は、コンパニオンアニマル飲ませること、または機能性成分の味を覆い隠すことにおいて、必ずしも成功するとは限らない。
【0003】
そのため必要とされるのは、コンパニオンアニマルの水の消費を増加または促進し、コンパニオンアニマルに機能性成分を送達するための組成物および方法である。
【発明の概要】
【0004】
この概要は、本開示の一つ以上の実施形態の一部の態様の簡略化された要約を単に紹介することを意図するものである。本発明が適用可能であるさらなる領域は、以下に提供される発明を実施するための形態から明らかになるであろう。本概要は、広範な概要ではなく、本教示の重要な鍵または不可欠な要素を特定することも意図しておらず、また本開示の範囲を説明することも意図されていない。むしろ、その目的は、以下の詳細な説明の前置きとして、一つ以上の概念を簡略化された形式で提示することに過ぎない。
【0005】
本開示で具体化された態様および有用性は、コンパニオンアニマルによる摂取に適した組成物を提供することによって達成されうる。組成物は、有効量の粘度調整剤および水を含んでもよく、組成物は、約5cP超および/または500cP以下の粘度を有する。
【0006】
一実施形態では、組成物は、約5cP~約500cP、約10cP~約400cP、約15cP~約300cP、または約40cP~約290cPの粘度を有する。別の実施形態では、組成物の粘度は350cP以下である。別の実施形態では、組成物の粘度は280cP以下である。
【0007】
別の実施形態では、増粘剤は、メチルセルロースを含みうる。別の実施形態では、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロポキシルメトキシルセルロースを含みうる。
【0008】
少なくとも一実施形態では、粘度調整剤は、約0.05重量%~約1重量%、約0.15重量%~約0.75重量%、または約0.25重量%~約0.5重量%の量で存在しうる。
【0009】
別の実施形態では、組成物は0.05重量%超および1.0重量%以下のメチルセルロースを含みうる。別の実施形態では、組成物は0.25重量%超および1.0重量%以下のメチルセルロースを含みうる。別の実施形態では、組成物は0.75重量%超および1.0重量%以下のメチルセルロースを含みうる。
【0010】
少なくとも一実施形態では、粘度調整剤は、セルロースエーテル、デンプン(例えば、米デンプン)、アミノ酸(例えば、トレオニン、リシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、メチオニン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、タウリン)、ビタミン(例えば、リボフラビン、チアミン、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ピリドキシンビタミンB12およびコリン)、またはその任意の組み合わせの一つまたは複数を含みうる。
【0011】
別の実施形態において、粘度調整剤は、植物粘液、植物ガム、デキストリン、マルトデキストリン、ガラクトマンナン、アラバノガラクタン、ベータグルカン、セルロースエーテル、ペクチン、水溶性ヘミセルロース、イヌリン、アルギン酸塩、寒天、カラギーナン、サイリウム、グアーガム、トラガカントガム、カラヤゴム、ガムガッティ、アカシアガム、アラビアガム、その部分的に加水分解された生成物、またはそれらの任意の組み合わせの一つまたは複数を含みうる。
【0012】
少なくとも一実施形態では、粘度調整剤は、メチルセルロースを含む。
【0013】
少なくとも一実施形態では、組成物は風味剤を含みうる。一例では、風味剤は、ココナッツ濃縮物、クランベリー濃縮物、緑茶、果実濃縮物、野菜濃縮物、ビタミンサプリメント、アミノ酸、タンパク質、植物抽出物、ペパーミント油、スピアミント(例えば、スピアミント油)、ローズマリー抽出物、パセリ、悪臭抑制剤、またはそれらの任意の組み合わせの一つまたは複数を含みうる。
【0014】
少なくとも一実施形態において、組成物は、粘性水可視化アッセイ(Viscous Water Visualization Assay)において、約5cP未満の粘度を有する組成物と比較して、少なくとも0.05g、少なくとも0.1g、少なくとも0.2g、少なくとも0.3g、少なくとも0.4g、少なくとも0.5g、少なくとも0.6g、少なくとも0.7g、少なくとも0.8g、または少なくとも0.9gの保持量の増加を提供し得る。
【0015】
少なくとも一実施形態では、組成物は、約5cP未満の粘度を有する組成物に対して、一日の消費量を約20%、約50%、約75%、約100%、約125%、または約150%増加させる。
【0016】
少なくとも一実施形態では、組成物は機能性成分をさらに含む。少なくとも一実施形態では、機能性成分は、コンパニオンアニマルの口腔および/または消化管に送達されるように製剤化されうる。少なくとも一実施形態において、機能性成分は、抗菌剤、プレバイオティクス、プロバイオティクス、口腔ケア活性剤、医薬品、またはその任意の組み合わせの一つまたは複数を含みうる。少なくとも一実施形態では、機能性成分は、乳酸、ボスウェリア抽出物、ベータグルカン、ベタイン、緑茶、フェヌグリーク、トゥルシー、アルギニン、リシン、またはその任意の組み合わせの一つまたは複数を含みうる。
【0017】
少なくとも一実施形態では、哺乳動物はコンパニオンアニマルでありうる。一例では、コンパニオンアニマルはイヌ科動物またはネコ科動物である。別の例では、コンパニオンアニマルはネコ科動物である。
【0018】
別の実施形態では、組成物は、コンパニオンアニマルの口腔または消化管と長時間接触し続けるように構成された機能性成分をさらに含みうる。別の実施形態では、機能性成分は、コンパニオンアニマルの口腔症状を治療するように構成されてもよく、ポリリン酸塩、抗菌剤、フッ化物、およびその組み合わせを含む群から選択されうる。
【0019】
別の実施形態では、機能性成分は、薬学的に活性な成分を含みうる。別の実施形態では、薬学的に活性な成分は乳酸でありうる。
【0020】
また、本開示で具現化された態様および有用性は、それを必要とするコンパニオンアニマルの口腔症状を改善または治療するための方法を提供することによって達成されうる。方法は、それを必要とするコンパニオンアニマルに、上述の段落のいずれか一つの組成物を与えることを含みうる。
【0021】
また、本開示で具現化された態様および有用性はまた、それを必要とするコンパニオンアニマルの水消費量を増加させるための方法を提供することによって達成されうる。方法は、それを必要とするコンパニオンアニマルに、上述の段落のいずれか一つの組成物を与えることを含みうる。
【0022】
本開示で具体化された態様および有用性はまた、それを必要とするネコにおけるヘアボール形成を低減するための方法を提供することによっても達成されうる。方法は、それを必要とするコンパニオンアニマルに、上述の段落のいずれか一つの組成物を与えることを含みうる。
【0023】
本開示で具体化された態様および有用性はまた、それを必要とするネコにおけるシュウ酸カルシウム結石形成を低減するための方法を提供することによっても達成されうる。方法は、それを必要とするコンパニオンアニマルに、上述の段落のいずれか一つの組成物を与えることを含みうる。
【0024】
本開示に具現化された態様および有用性はまた、コンパニオンアニマルによる摂取に好適な組成物を提供することによっても達成されうる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.25重量%~1.25重量%の量で水および増粘剤を含みうる。組成物は、10cP~300cPの粘度を有しうる。
【0025】
本開示に具現化された態様および有用性はまた、コンパニオンアニマルによる摂取に好適な組成物を提供することによっても達成されうる。組成物は、水、増粘剤、および機能性成分を含みうる。増粘剤は、0.25重量%~1.25重量%の量で提供されうる。組成物の粘度は、10cp~300cpであってもよく、機能性成分は、コンパニオンアニマルの口腔または消化管と長時間接触し続けるように構成されうる。
【0026】
本開示に具現化された態様および有用性はまた、CORIスコアを改善すること、尿中ならびに上部および下部消化管(すなわち、腎臓、膀胱尿道)のストルバイト、シュウ酸塩または他の結晶および結石を減少させること、尿中のカルシウム濃度を減少させること、尿中の結石形成成分の濃度を減少させること、カルシウムの部分排泄を減少させること、尿中の炎症性メディエーターの濃度を減少させること、尿比重を低下させること、ミネラルの尿中飽和を低下させること、尿の相対的過飽和を低減させること、循環血中尿素窒素(BUN)を減少させること、循環血中トリグリセリドを減少させること、循環コレステロールを減少させること、結石阻害物質の濃度を増加させること、膀胱保護成分の送達を増加させることと、水分摂取量を増加させること、尿量を増加させること、またはコンパニオンアニマルのヘアボール形成を低減させることのための方法を提供することによっても達成されうる。方法は、本明細書に開示される組成物のいずれか一つを、それを必要とするコンパニオンアニマルに投与または給餌することを含みうる。
【0027】
少なくとも一実施形態では、コンパニオンアニマルは、組成物の約90g/日超、約100g/日超、約110g/日超、約120g/日超、または約130g/日超を消費しうる。
【0028】
少なくとも一実施形態では、コンパニオンアニマルはイヌ科動物またはネコ科動物でありうる。少なくとも一実施形態では、コンパニオンアニマルはネコ科動物でありうる。
【0029】
少なくとも一実施形態では、本明細書で開示される組成物のいずれか一つをコンパニオンアニマルに投与または給餌することにより、ヘアボール形成が低減されうる。
【0030】
本開示に具現化された態様および有用性はまた、哺乳動物に水分補給効果を提供する組成物を特定する方法を提供することによっても達成されうる。本方法は、第一のプローブを約5cP未満の粘度を有する対照組成物を含有する容器に挿入すること、第一のプローブ上に保持される対照組成物の量を決定すること、第二のプローブを試験組成物を含有する容器に挿入すること、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量を決定すること、第一のプローブ上に保持される対照組成物の量と、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量とを比較することを含み、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量と第一のプローブ上に保持される対照組成物の量との間の差が、0.05gよりも大きいとき、0.1gより大きいとき、0.15gより大きいとき、0.2gより大きいとき、または0.25gより大きいとき、組成物は、哺乳動物に水分補給効果を提供するものとして識別される。少なくとも一実施形態では、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量と第一のプローブ上に保持される対照組成物の量との間の差は、約0.3グラム、約0.35グラム、約0.4グラム、または約0.45グラムより大きくてもよい。少なくとも一実施形態では、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量と第一のプローブ上に保持される対照組成物の量との間の差は、約0.05グラムでありうる。少なくとも一実施形態では、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量と第一のプローブ上に保持される対照組成物の量との間の差は、約0.48グラムである。少なくとも一実施形態では、水分補給効果は、CORIスコアの改善、尿中ならびに上部および下部尿路(すなわち、腎、膀胱尿道)の両方におけるストルバイト、シュウ酸塩または他の結晶および結石の減少、尿中カルシウム濃度の低減、尿中の結石形成成分の濃度の低減、カルシウムの部分排泄の減少、尿中の炎症性メディエーター濃度の低減、尿比重の減少、ミネラルの尿中飽和の低下、尿の相対的飽和の低下、結石阻害物質の濃度増加、膀胱保護成分の送達の増加、水分摂取量の増加、尿量の増加の一つまたは複数を含みうる。
【0031】
少なくとも一実施形態では、哺乳動物に水分補給効果を提供する組成物を特定する方法は、試験組成物によってコンパニオンアニマルに提供される水分補給効果を決定する(例えば、定量化する)ことを含みうる。コンパニオンアニマルに提供される水分補給効果は、以下の式に従って決定されうる:水分補給効果=((試験組成物のプローブ上の重量)-(対照組成物のプローブ上の重量))*2.7グラム。
【0032】
少なくとも一実施形態では、哺乳動物に水分補給効果を提供する組成物を特定する方法は、生理活性物質を膀胱または尿路に送達する試験組成物の能力を決定することを含みうる。
【0033】
少なくとも一実施形態では、哺乳動物に水分補給効果を提供する組成物を特定する方法は、追加の血管、追加のプローブ、および追加の試験組成物を利用することを含みうる。例えば、方法は、約2~約100個の容器、約2~約100個のプローブ、および約2~約100個の試験組成物を利用することを含みうる。少なくとも一実施形態では、プローブの各々は、テクスチャ加工された表面を有する基体を含みうる。少なくとも一実施形態では、プローブの各々は、コンパニオンアニマルの舌の解剖学的構造を模倣する基体を含みうる。少なくとも一実施形態では、プローブの各々は、複数の突起部を含む基体を含みうる。少なくとも一実施形態では、突起部の各々は、約1nm~約1cmの寸法を有する。少なくとも一実施形態では、プローブの各々は、エメリーボードであるか、またはエメリーボードを含みうる。少なくとも一実施形態では、哺乳動物はコンパニオンアニマルでありうる。少なくとも一実施形態では、コンパニオンアニマルはイヌ科動物またはネコ科動物でありうる。少なくとも一実施形態では、コンパニオンアニマルはネコ科動物である。
【0034】
本発明が適用可能であるさらなる領域は、以下に提供される発明を実施するための形態から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、一部の好ましい発明の態様を示すが、例示の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していないと理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
様々な好適な態様の以下の説明は、性質において単に例示的であり、かつ、いかなる点においても本発明、その用途、または使用を制限することは意図されていない。
【0036】
全体を通して使用されている通り、範囲は、その範囲内にある各値および全ての値を示すための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択しうる。さらに、本明細書内で引用される参照文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0037】
特に断らない限り、本明細書内および本明細書の他の箇所で表現される割合および量はすべて、重量パーセントを指すものと理解されるべきである。与えられている量は材料の活性重量に基づく。
【0038】
さらに、数値は、示された値の「約」または「およそ」であり、当業者によって予想される実験誤差および変形を考慮に入れる。本明細書に開示されているすべての数値および範囲は、「約」がそれと併せて使用されるかどうかおおよその値および範囲であることを理解されるべきである。また当然のことながら、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、数字と併せて、その数字の+/-1%(境界値含む)、その数字の+/-2%(境界値含む)、その数字の+/-3%(境界値含む)、その数字の+/-5%(境界値含む)、その数字の+/-10%(境界値含む)、またはその数字の+/-15%(境界値含む)であり得る値を指す。さらに当然のことながら、数値範囲が本明細書に開示される場合、範囲内に入る任意の数値も具体的に開示される。
【0039】
驚くべきこと、かつ意外なことに、水と増粘剤とを混合した組成物が、増粘剤含まない水より、コンパニオンアニマルの水の消費を促進することが見出された。コンパニオンアニマルの水の消費が増加すると、尿比重が低下し、それによって尿路の健康が促進されうる。また、驚くべきこと、かつ意外なことに、水および増粘剤を含む組成物が、機能性成分の送達を促進するのに好適なビヒクルを産生または形成することも見出された。例えば、組成物は、口腔の表面と比較的長く、または長期間(例えば、滞留時間)接触を維持するように適合または構成されてもよく、それによって、口腔の表面(例えば、粘膜)を介した機能性成分の送達を増加させる。したがって、本明細書に開示された組成物は、水、増粘剤、および機能性成分を含みうる。さらに驚くべき、かつ意外なことに、メチルセルロースなどの増粘剤を含む組成物が、ネコのヘアボールの発生および/または形成を減少させることが見出された。
【0040】
増粘剤または濃厚剤
本明細書に開示される組成物は、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ/イヌ科動物、ネコ/ネコ科動物など)が許容可能な増粘剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「増粘剤」という用語は、それと組み合わせた時に水の粘度を増加させる任意の一つまたは複数の化学化合物、物質、または材料を指しうる。粘度は、流体(例えば、水)が呈する流れに対する内部抵抗、またはせん断速度に対するせん断応力の比を指してもよく、ポアズまたはセンチポアズ(cP)で測定されうる。本明細書に記載される様々な組成物の粘度は、約25℃の温度で粘度計を使用して決定されてもよい。例えば、例えばNo.3スピンドルなどの小さな試料アダプタを備えた、Brookfield粘度計、モデルDV-III+は、約75RPMで使用されうる。小さな試料アダプタは、スピンドルを囲む試料の温度を約25℃の温度に維持するために、チャンバジャケットによって試料を冷却または加熱することを可能にしうる。
【0041】
増粘剤は、固体(例えば、乾燥粉末)または水の粘度を増加させる流体(例えば、液体)でありうる。例示的な増粘剤は、限定するものではないが、一つまたは複数の多糖類、ゼラチン、カラギーナン、寒天、アルギン酸塩、ペクチン、キサンタン、グアー、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、タラガム、ゲランガム、プルラン、ガードラン、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル、メチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルメトキシルセルロース、キトサン、ガムガッティ、およびイナゴマメ、こんにゃく粉、デンプンなど、ならびにその組み合わせを含みうる。少なくとも一実施形態では、増粘剤は、ヒドロキシプロポキシル置換基およびメトキシル置換基を有する。例えば、増粘剤は、ヒドロキシプロポキシル置換基およびメトキシル置換基を有するセルロースエーテルでありうる。別の例では、増粘剤は、ヒドロキシプロポキシル置換基およびメトキシル置換基を有するメチルセルロースでありうる。さらに別の例では、増粘剤は、ヒドロキシプロポキシル置換基およびメトキシル置換基を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースでありうる。増粘剤は、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyから市販されているMETHOCEL(商標)E4Mであってもよく、約28重量%~約30重量%のメチオキシル置換基、および約7重量%~約12重量%のヒドロキシプロポキシル置換基を含みうる。好ましい実施形態では、組成物はペクチンおよび/またはアルギン酸塩を含まないか、または実質的に含まない。例えば、増粘剤は、ペクチンまたはアルギン酸塩を含まない。
【0042】
組成物に含まれる増粘剤の量は、大きく変化しうる。例えば、組成物中の増粘剤の量は、約0.05重量%、約0.10重量%、約0.15重量%、約0.20重量%、約0.25重量%、約0.30重量%、約0.35重量%、約0.40重量%、約0.45重量%、約0.50重量%、約0.55重量%、約0.60重量%、約0.70重量%、約0.75重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、または約5.0重量%からである。別の例では、組成物中の増粘剤の量は、約0.1重量%~約2.6重量%、約0.2重量%~約2.4重量%、約0.30重量%~約2.2重量%、約0.40重量%~約2.0重量%、約0.50重量%~約1.8重量%、約0.60重量%~約1.6重量%、約0.70重量%~約1.4重量%、約0.80重量%~約1.2重量%、または約0.90重量%~約1.1重量%でありうる。別の例では、組成物中の増粘剤の量は、約0.1重量%~約5.0重量%、約0.2重量%~約4.9重量%、約0.30重量%~約4.8重量%、約0.40重量%~約4.7重量%、約0.50重量%~約4.6重量%、約0.60重量%~約4.5重量%、約0.70重量%~約4.4重量%、約0.80重量%~約4.3重量%、約0.90重量%~約4.2重量%、約1.0重量%~約4.0重量%でありうる。好ましい実施形態では、組成物中の増粘剤の量は、5.0重量%以下、0.0重量%超でありうる。別の好ましい実施形態では、組成物は5.0重量%を超える濃度で増粘剤を含まないが、そのような濃度は、結果としてゲルの形成をもたらし、コンパニオンアニマルによる消費の減少をもたらす。本明細書で使用される場合、「ゲル」は、固体のゼリー様物質、または定常状態にあるとき、実質的に流れを呈さない物質を指しうる。例えば、「ゲル」は、280cP、300cP、350cP、400cP、450cP、または500cP以上の粘度を有する材料または物質でありうる。「ゲル」はまた、ゾルよりも固体形態のコロイドを指してもよく、これはコンパニオンアニマルによる消費に好適でありうる。本明細書で使用される場合、「ゾル」は、流体コロイド系、または定常状態で流れを呈する材料または物質でありうる。例えば、「ゾル」は、280cP、300cP、350cP、400cP、450cP、または500cP以下の粘度を有する材料または物質でありうる。
【0043】
少なくとも一実施形態では、組成物に含まれる増粘剤の量は、組成物の標的粘度または標的粘度範囲によって少なくとも部分的に決定されうる。例えば、増粘剤は、組成物に少なくとも5cPの粘度、随意に少なくとも50cPの粘度、さらに随意に少なくとも275cPの粘度を提供するのに十分な量で含まれうる。
【0044】
一部の実施形態では、組成物は、約5cP、約10cP、約15cP、約20cP、約25cP、約30cP、約35cP、約40cP、約45cP、約50cP、約55cP、約60cP、約65cP、約70cP、約75cP、約80cP、約85cP、約90cP、約95cP、約100cP、約105cP、約110cP、約115cP、約120cP、約125cP、約130cP、約135cP、約140cP、約145cP、約150cP、約155cP、約160cP、約165cP、約170cP、約175cP、約180cP、約185cP、約190cP、約195cP、約200cP、約205cP、約210cP、約215cP、約220cP、約225cP、約230cP、約235cP、約240cP、約245cP、約250cP、約255cP、約260cP、約265cP、約270cP、約275cP、約280cP、約285cP、約290cP、約295cP、約300cP、約305cP、約310cP、約315cP、約320cP、約325cP、約330cP、約335cP、約340cP、約345cP、約350cP、約355cP、約360cP、約365cP、約370cP、約375cP、約380cP、約385cP、約390cP、約395cP、約400cP、約405cP、約410cP、約415cP、約420cP、約425cP、約430cP、約435cP、約440cP、約445cP、約450cP、約455cP、約460cP、約465cP、約470cP、約475cP、約480cP、約485cP、約490cP、約495cP、または約500cPからの粘度を有しうる。
【0045】
一部の実施形態では、組成物は、約5cP~約500cP、または約7.5cP~約300cP、約10cP~約275cP、約20cP~約250cP、約50cP~約225cP、約100cP~約200cP、または約150cP~約175cPなど、約5cP超の粘度を有し得る。一部の実施形態では、増粘剤は、約200cP~約300cPの粘度を組成物に提供するのに十分な量で含みうる。
【0046】
組成物に含まれる水の量は、大きく変化しうる。少なくとも一実施形態では、組成物中の水の量は、少なくとも約95重量%でありうる。例えば、組成物に含まれる水の量は、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、またはそれ以上でありうる。例示的な実施形態では、組成物に含まれる水の量は、約97重量%~約99重量%、約98重量%~約99重量%、または約98.5重量%~約99重量%である。別の実施形態では、組成物中の水の量は、少なくとも約80重量%の量で存在しうる。
【0047】
少なくとも一実施形態では、組成物は、風味剤または食味増強剤を含まないか、または実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「風味剤」または「食味増強剤」という用語は、組成物にコンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコなど)を引き付けるために組成物に加えられる、または組成物を消費するようにコンパニオンアニマルを誘引する、増粘剤ではない任意の物質を指しうる。本明細書で使用される場合、材料を「含まない」または「実質的に含まない」という用語は、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、0.005重量%未満、または0.0001重量%未満の材料を含む組成物を指しうる。例示的な風味剤は、限定するものでないが、一つまたは複数の動物の消化物、動物の加水分解物、動物の内臓(例えば、肝臓、心臓、肺、など)、肉(例えば、牛肉、ラム肉、豚肉、鶏肉、七面鳥、など)、魚介類(例えば、魚、カニ、エビ、など)、乳製品(例えば、乳、チーズ、など)、酵母、ペプチド、アミノ酸、ヌクレオチド、脂肪、オイル、人工肉および/または魚介類風味剤、メイラード反応物、砂糖、植物抽出物、猫や犬にとって魅力的なその他の天然および/または人工のアロマなど、ならびにその組み合わせを含みうる。
【0048】
組成物は、中性pH、アルカリ性pH、または酸性pHを有しうる。例えば、組成物は、約7、約8、約9、または約10~約11、約12、または約13のpHを有しうる。別の例では、中和された組成物または乳化剤は、約8~約13、約8~約12、約8~約11.5、約8~約11、約9~約12、または約10~約11のpHを有しうる。一部の実施形態では、組成物は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、または約6.5のpHを有しうる。一部の実施形態では、組成物のpHは、わずかに酸性であり、例えば、約6.75である。別の例では、組成物のpHは、使用される水によって決定される。例えば、組成物のpHは、中性またはわずかにアルカリ性(例えば、水道水)でありうる。
【0049】
機能性成分
少なくとも一実施形態では、水と増粘剤とを組み合わせることは、一つまたは複数の機能性成分の送達の向上ためのビヒクルを形成するか、または提供しうる。例えば、水を含む組成物および増粘剤は、比較的より長い期間(例えば、滞留時間)、口腔の表面と接触を維持してもよく、それによって粘膜を介したコンパニオンアニマルへの機能性成分送達の有効性を高めうる。別の例では、組成物は、歯の表面上での滞留時間の延長を呈し、それによって、機能性成分(例えば、ホワイトナー、クリーナー、抗菌剤など)をその中に送達する有効性が向上しうる。また別の例では、本明細書にさらに記載されるように、組成物は、コンパニオンアニマルの食道および/または消化管における滞留時間の延長を呈し、それによって、コンパニオンアニマル、食道、および/またはその消化管に機能性成分を送達する有効性を向上させうる。したがって、本明細書に開示された組成物は、水、増粘剤、および一つまたは複数の機能性成分を含みうる。
【0050】
コンパニオンアニマルの口腔、食道、および/または消化管の表面での組成物の滞留時間は、水のみの滞留時間より長くなりうる。例えば、組成物の滞留時間は、水単独の滞留時間よりも、少なくとも1%以上、少なくとも2%以上、少なくとも5%以上、少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも45%以上、少なくとも60%以上、少なくとも75%以上、少なくとも90%以上、または少なくとも95%以上高くなりうる。別の例では、組成物の滞留時間は、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.8倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.2倍以上であり得る。
【0051】
組成物に含まれる機能性成分の任意の一つまたは複数の量は、大きく異なりうる。例えば、組成物中の機能性成分の任意の一つまたは複数の量は、約0.01重量%、約0.02重量%、0.02重量%、約0.03重量%、0.03重量%、約0.04重量%、0.04重量%、約0.05重量%、0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.10重量%、約0.11重量%、約0.12重量%、約0.13重量%、約0.14重量%、約0.15重量%、約0.16重量%、約0.17重量%、約0.18重量%、または約0.19重量%、約0.21重量%、約0.22重量%、約0.23重量%、約0.24重量%、約0.25重量%、約0.26重量%、約0.27重量%、約0.28重量%、約0.29重量%、約0.30重量%、約0.31重量%、約0.32重量%、またはそれ以上ありうる。別の例では、組成物中の機能性成分の任意の一つまたは複数の量は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、またはそれ以上ありうる。さらに別の例では、組成物中の機能性成分の任意の一つまたは複数の量は、約1.0重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2.0重量%、約2.2重量%、約2.4重量%、約2.6重量%、約2.8重量%、約3.0重量%、約3.2重量%、約3.4重量%、約3.6重量%、約3.8重量%、約4.0重量%、約4.2重量%、約4.4重量%、約4.6重量%、約4.8重量%、または約5.0重量%~約5.2重量%、約5.4重量%、約5.6重量%、約5.8重量%、約6.0重量%、約6.2重量%、約6.4重量%、約6.6重量%、約6.8重量%、約7.0重量%、約7.2重量%、約7.4重量%、約7.6重量%、約7.8重量%、約8.0重量%、約8.2重量%、約8.4重量%、約8.6重量%、約8.8重量%、約9.0重量%、約9.2重量%、約9.4重量%、約9.6重量%、約9.8重量%、または約10.0重量%からでありうる。
【0052】
機能性成分は、コンパニオンアニマルに有益な任意の一つまたは複数の化合物、物質、または材料であるか、またはそれを含みうる。例えば、機能性成分は、コンパニオンアニマルの相対的口腔衛生を改善または促進する化合物、物質、または材料であるか、またはそれを含みうる。本明細書で使用される場合、「口腔衛生」とは、口腔の硬組織および/または軟組織(例えば、歯、歯茎など)が関与するあらゆる口腔症状を指しうる。したがって、機能性成分は、歯茎、組織、および/または歯を取り囲むおよび支持する構造に関連する一つまたは複数の口腔症状を軽減、防止、または治療する一つまたは複数の材料であるか、またはそれを含みうる。例示的な口腔症状には、限定するものではないが、歯肉炎、歯周炎などが含まれうる。コンパニオンアニマルの相対的口腔衛生を改善または促進する例示的な機能性成分は、限定するものではないが、歯石および/またはプラークの阻害のためのポリリン酸塩、プラーク、歯石、および/または口腔悪臭を阻害するための抗菌剤および微生物阻害剤、キャリー用のフッ化物、バイオフィルム形成を減弱するための付着防止物質、歯肉炎および/または組織喪失の阻害のための抗炎症剤など、ならびにその組み合わせを含みうる。例えば、コンパニオンアニマルの相対的口腔衛生を改善または促進する機能性成分は、限定するものではないが、ヘキサメタリン酸塩、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、エッセンシャルオイル、亜鉛、乳酸、植物、植物抽出物(例えば、茶からのEGCG)、他の成分の沈着および保持を助けるためのポリマー、プレバイオティクス、プロバイオティクス、酵素、機能性風味(例えば、オイゲノール)、抗菌ペプチド、ミネラルなど、およびその組み合わせを含みうる。
【0053】
別の実施例では、機能性成分は、それを必要とするコンパニオンアニマルの胃腸の健康を強化するための一つまたは複数の化合物、物質、または材料であるか、またはそれを含みうる。例えば、機能性成分は、胃腸の健康不良に関連する症状を患っている、またはそれに罹りやすいと診断されたコンパニオンアニマルに投与されうる。例示的な症状は、限定するものではないが、下痢、過敏性腸疾患、栄養吸収不良など、およびその組み合わせを含みうる。胃腸の健康を強化するための例示的な機能性成分は、限定するものではないが、乳酸、プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス、微生物菌体外多糖類、およびその組み合わせを含みうる。増粘剤の添加からもたらされる組成物の粘度の増加は、食道および消化管における組成物の滞留時間を延長させうることが理解されるべきである。したがって、食道および/または消化管における組成物の滞留時間の延長は、胃腸の健康増強剤がコンパニオンアニマルの胃腸の健康を強化しうる時間を延長させうる。少なくとも一実施形態では、組成物に含まれる機能性成分は、少なくとも一つの属(例えば、エンテロコッカス(Enterococcus)、デスルフォビブリオ(Desulfovibrio)、ヘリコバクター(Helicobacter)など)または種(例えば、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ディフィシル菌(Clostridium difficile)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、セレウス菌(Bacillus cereus)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、カンピロバクター菌(Campylobacter jejuni)、および大腸菌(Escherichia coli)など)の有害菌のレベルを低減させうる。
【0054】
別の例では、機能性成分は、一つまたは複数の抗菌剤であるか、またはそれを含みうる。例示的な抗菌剤は、限定するものではないが、乳酸、亜鉛植物、抗生物質など、およびその組み合わせを含みうる。好ましい実施形態では、抗生物質および乳酸は、組成物の増粘剤と組み合わされる。例示的な抗生物質は、限定するものではないが、ストレプトマイシン、アンピシリン、シプロフロキサシン、セファロスポリン、クリンダマイシン、ネオマイシン、メトロニダゾール、テイコプラニン、テイコプラチン(Teicoplatin)、エリスロマイシン、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、オーグメンチン、セファレキシン、ペニシリン、カナマイシン、リファマイシン、リファキシミン、メトロニダゾール、チニダゾール、コトリモキサゾール、セファマンドール、ケトコナゾール、ラタモキセフ、セフォペラゾン、アモキシシリン、セフメノキシム、フラゾリドン、バンコマイシンなど、およびその組み合わせを含みうる。
【0055】
別の例では、機能性成分は、コンパニオンアニマルに栄養補助を提供し得るビタミン、ミネラル、および微量栄養素などの一つまたは複数のサプリメントであるか、またはそれを含みうる。例示的なサプリメントは、限定するものではないが、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、その塩、およびその組み合わせを含みうる。例示的なサプリメントはまた、限定するものではないが、ビタミンA、D、E、C、チアミン、リボフラビン、パントテン酸、ナイアシン、ピリドキシン、葉酸、ビタミンB12、コリン、一つまたは複数のアミノ酸など、およびその組み合わせを含みうる。例示的なアミノ酸は、限定するものではないが、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、システイン、システイン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、トリプトファン、バリンなど、およびその組み合わせを含みうる。例示的なサプリメントは、ボスウェリア、バレリアンオフィシナリス、トコトリエノール、ラベージ、シナモン、緑茶および/またはその抽出物、ザクロおよび/またはその抽出物など、ならびにその組み合わせなどの一つまたは複数の植物成分をさらに含みうる。例示的なサプリメントはまた、酵母、天然由来の微量栄養素など、およびその組み合わせを含みうる。
【0056】
別の例では、機能性成分は、一つまたは複数の抗炎症剤であるか、またはそれを含みうる。例示的な抗炎症剤は、限定するものではないが、ボスウェリア、バレリアンオフィシナリス、トコトリエノール、ラベージ、シナモン、緑茶および/またはその抽出物、ザクロおよび/またはその抽出物など、ならびにその組み合わせなどの一つまたは複数の植物成分を含みうる。
【0057】
別の例では、機能性成分は、一つまたは複数の駆虫剤および/または一つまたは複数の抗菌剤であるか、またはそれを含みうる。例示的な駆虫剤および/または一つまたは複数の抗菌剤は、限定するものではないが、シナモン、緑茶、抗菌剤、駆虫薬、ならびにその組み合わせを含みうる。
【0058】
別の例では、機能性成分は、一つまたは複数の酸化防止剤であるか、またはそれを含みうる。例示的な酸化防止剤は、限定するものではないが、リポイン酸、フェノール類、プロアントロシアニジン、および緑茶などの植物抽出物、ならびにネコ専用のタウリン、アミノ酸およびプロバイオティクス(腸内細菌叢の改善を助ける生きた微生物)を含みうる。例示的な酸化防止剤はまた、限定するものではないが、トコフェロール、トコトリエノール、一つまたは複数の植物成分、およびその組み合わせを含みうる。
【0059】
別の例では、機能性成分は、一つまたは複数の薬学的に活性な成分であるか、またはそれを含みうる。例示的な薬学的に活性な成分は、限定するものではないが、乳酸、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、およびその組み合わせを含みうる。少なくとも一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、栄養チューブを介してコンパニオンアニマルに与えられうる。例えば、本明細書に開示される組成物の粘度の増加は、それを必要とするコンパニオンアニマルへの水および/または一つまたは複数の薬学的に活性な成分または任意の他の機能性成分の送達を促進および/または補助しうる。
【0060】
少なくとも一実施形態において、組成物は、本明細書に開示される機能性成分のうちのいずれか一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、「含まない」または「実質的に含まない」という用語は、1重量%未満、0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、0.01重量%未満、0.005重量%未満、または0.0001重量%未満を含む組成物を指しうる。例えば、組成物は、ポリリン酸塩、抗菌剤および微生物阻害剤、フッ化物、付着防止物質、および抗炎症剤の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。別の例では、組成物は、ヘキサメタリン酸塩、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、エッセンシャルオイル、亜鉛、乳酸、植物、植物抽出物、植物成分(例えば、茶からのEGCG)、他の成分の沈着および保持を助けるためのポリマー、プレバイオティクス、プロバイオティクス、酵素、機能性風味(例えば、オイゲノール)、抗菌ペプチド、ミネラルの任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。
【0061】
少なくとも一実施形態では、組成物は、それを必要とするコンパニオンアニマルの胃腸の健康を強化するための化合物、物質、または材料の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。例えば、組成物は、下痢、過敏性腸疾患、栄養吸収不良など、およびそれらの組み合わせなどの、胃腸の健康不良に関連する症状の治療に使用される化合物、物質、または材料の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。例えば、組成物は、乳酸、プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス、および微生物菌体外多糖類の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。
【0062】
少なくとも一実施形態では、組成物は、ストレプトマイシン、アンピシリン、シプロフロキサシン、セファロスポリン、クリンダマイシン、ネオマイシン、メトロニダゾール、テイコプラニン、テイコプラチン(Teicoplatin)、エリスロマイシン、ドキシサイクリン、テトラサイクリン、オーグメンチン、セファレキシン、ペニシリン、カナマイシン、リファマイシン、リファキシミン、メトロニダゾール、チニダゾール、コトリモキサゾール、セファマンドール、ケトコナゾール、ラタモキセフ、セフォペラゾン、アモキシシリン、セフメノキシム、フラゾリドン、バンコマイシンなど、およびその組み合わせの一つまたは複数などの抗菌剤の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。
【0063】
少なくとも一実施形態では、組成物は、本明細書に開示されるサプリメントの任意一つまたは複数の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。組成物はまた、本明細書に開示される抗炎症剤の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。組成物はまた、本明細書に開示される駆虫剤および/または抗菌剤の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。組成物はまた、本明細書に開示される酸化防止剤の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。組成物はまた、本明細書に開示される薬学的に活性な成分の任意の一つまたは複数を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。
【0064】
少なくとも一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、密閉容器などの容器内に配置または包装されてもよい。例示的な容器は、限定するものではないが、レトルトパウチ、サシェ、TETRA PAK(登録商標)、ボトル、トレイ、金属缶(例えば、スズ缶)など、およびそれらの組み合わせを含みうる。好ましい実施形態では、組成物は、ポータブルおよび/または使い捨て式レトルトパウチまたはサシェ内に配置される。容器の各々は、組成物の任意の数のサービングを含みうることを理解されたい。例えば、各容器は、1食分または複数食分を含みうる。
【0065】
少なくとも一実施形態では、組成物の一部分は容器内に包装されうる。例えば、水を除く組成物のすべての成分は、容器に包装されてもよく、容器の内容物は、本明細書で開示される組成物を形成するために水と混合されうる。この実施形態における容器の内容物は、粉末、ゲル、または液体でありうる。これにより、使用前、より容易に保管または輸送することができる、より小さな容器が許容されうる。別の実施形態では、組成物のすべての成分は容器内に包装される。例えば、水、増粘剤、および随意に、一つまたは複数の機能性成分が容器内に配置されうる。
【0066】
方法
一つまたは複数の実施形態では、本開示は、それを必要とするコンパニオンアニマルにおける下部尿路疾患を治療するための方法を提供する。それを必要とするコンパニオンアニマルは、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクを有する、またはそのリスクの高いネコであるか、またはそのようなネコを含みうる。本開示はまた、コンパニオンアニマルの水の消費を増加させるための方法を提供しうる。本開示はさらに、それを必要とするネコにおけるヘアボールの形成またはヘアボールの発生を低減するための方法を提供しうる。方法は、コンパニオンアニマル(例えば、ネコ)に、水および増粘剤を含む組成物を有効量で給餌または提供して、コンパニオンアニマルの水の消費を増加させること、それを必要とするコンパニオンアニマルの下部尿路疾患を治療すること、および/またはヘアボール形成またはヘアボール発生を低減することを含みうる。
【0067】
本開示はまた、コンパニオンアニマルに機能性成分を送達するための方法を提供しうる。例えば、本開示は、コンパニオンアニマルの口腔の表面に機能性成分を送達するための方法を提供しうる。機能性成分は、それを必要とするコンパニオンアニマルの口腔疾患または症状を治療するため、口腔内健康を改善するため、および/または胃腸の健康を強化させるため、有効量で提供されうる。方法は、水、増粘剤、および機能性成分を含む組成物をコンパニオンアニマルに給餌または提供することを含みうる。
【0068】
本発明の一部の実施形態は、コンパニオンアニマルにおいて、CORIスコアを改善すること、尿中ならびに上部および下部消化管(すなわち、腎臓、膀胱尿道)のストルバイト、シュウ酸塩または他の結晶および結石を減少させること、尿中のカルシウム濃度を減少させること、尿中の結石形成成分の濃度を減少させること、カルシウムの部分排泄を減少させること、尿中の炎症性メディエーターの濃度を減少させること、尿比重を低下させること、ミネラルの尿中飽和を低下させること、尿の相対的過飽和を低減させること、結石阻害物質の濃度を増加させること、膀胱保護成分の送達を増加させることと、水分摂取量を増加させること、尿量を増加させること、またはヘアボール形成を低減させることのための方法であって、それを必要とするコンパニオンアニマルに本明細書に記載の組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0069】
一部の実施形態では、組成物の約90g/日超がコンパニオンアニマルによって消費される。他の実施形態では、組成物の約100g/日超がコンパニオンアニマルによって消費される。特定の実施形態では、組成物の約110g/日超がコンパニオンアニマルによって消費される。一部の実施形態では、組成物の約120g/日超がコンパニオンアニマルによって消費される。他の実施形態では、組成物の約130g/日超がコンパニオンアニマルによって消費される。
【0070】
またさらなる実施形態は、哺乳動物に水分補給効果を提供する組成物を特定する方法、または哺乳動物、例えばネコなどの哺乳動物による水分摂取を予測する方法を提供する。本方法は、第一のプローブを約5cP未満(すなわち、約2cP未満)の粘度を有する対照組成物を含有する容器に挿入すること、第一のプローブ上に保持される対照組成物の量を計算すること、第二のプローブを試験組成物を含有する容器に挿入すること、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量を計算すること、第一のプローブ上に保持される対照組成物の量と、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量とを比較することを含み、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量と第一のプローブ上に保持される対照組成物の量との間の差が、0.025グラムよりも大きいとき、組成物は、哺乳動物に水分補給効果を提供しているとして識別される。一部の実施形態はさらに、追加の血管、追加のプローブ、および/または追加の試験組成物を含む。他の実施形態は、約2~約100個の容器、約2~約100個のそれぞれのプローブ、および約2~約100個のそれぞれの試験組成物を含む。当然のことながら、第一および第二のプローブなどのプローブの各々は、同一、または実質的に同一でありうる。例えば、試験の合間に洗浄した後、同じプローブを使用してもよく、または同じ、または実質的に同じ特徴を有する異なるプローブを使用してもよい。
【0071】
本開示は、本明細書に開示される組成物の任意の一つまたは複数、または他の任意の飲用組成物などの、水を有する組成物の消費を介して哺乳動物による水の消費量を決定または予測する方法を提供しうる。方法は、プローブの少なくとも一部分または所定の部分を水を有する組成物に接触させること、または別の方法で浸漬することを含みうる。方法はまた、組成物に浸漬前後のプローブを秤量すること、およびプローブ上に保持される組成物の量を決定することを含みうる。浸漬と秤量の間の時間は大きく異なりうる。少なくとも一例では、プローブは、プローブを組成物から取り除いた直後に秤量されうる。他の例では、プローブを組成物から取り除き、プローブを秤量する前に、約1秒、約5秒、約10秒、約15秒、約20秒、約1分、約2分、約3分、またはそれ以上の時間の間「滴下」させうる。方法はさらに、統計的方法(例えば、線形モデル分析)を、消費された組成物の量およびプローブ上に保持される組成物の量に適用し、それらの間の関係を決定することを含みうる。統計的方法は、高さ、幅、長さなどのプローブの寸法、プローブの表面積、プローブの粗さ、プローブの重量、プローブが作製される材料、プローブを浸漬する時間の長さ、組成物からプローブを除去した後、プローブを「滴下」させる時間の長さ、組成物の密度、コンパニオンアニマルによって消費される組成物の量、浸漬前のプローブの初期重量、浸漬後のプローブの最終重量、組成物中に含まれる水の量など、またはそれらの任意の組み合わせの一つまたは複数によって少なくとも部分的に決定されうる。当然のことながら、プローブは、ネコまたはネコ科動物の舌などのコンパニオンアニマルの舌を模倣しうる。したがって、プローブ上の組成物の保持量の増加は、水の摂取量の増加を示す、または予測しうる。プローブ上の組成物の保持量と摂取された水の量との間の関係は、線形関係、二次関係、指数関係などに従いうる。
【0072】
一部の実施形態では、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量と第一のプローブ上に保持される対照組成物の量との間の差は、約0.025グラム、約0.03グラム、約0.35グラム、約0.04グラム、または約0.045グラム超である。他の実施形態では、第二のプローブ上に保持される試験組成物の量と第一のプローブ上に保持される対照組成物の量との間の差は、約0.05グラム、約0.1グラム、約0.15グラム、約0.20グラム、約0.25グラム、約0.30グラム、約0.35グラム、約0.40グラム、約0.45グラム、約0.5グラム、約0.55グラム、約0.60グラム、約0.65グラム、約0.70グラム、約0.75グラム、約0.80グラム、約0.85グラム、約0.90グラム、または約0.90グラムである。
【0073】
一部の実施形態では、水分補給効果は以下から選択される:CORIスコアの改善、尿中ならびに上部および下部尿路(すなわち、腎、膀胱尿道)の両方におけるストルバイト、シュウ酸塩または他の結晶および結石の減少、尿中カルシウム濃度の低減、尿中の結石形成成分の濃度の低減、カルシウムの部分排泄の減少、尿中の炎症性メディエーター濃度の低減、尿比重の減少、ミネラルの尿中飽和の低下、尿の相対的飽和の低下、循環血中尿素窒素(BUN)の低減、循環血中トリグリセリドの低減、循環コレステロールの低減、結石阻害物質の濃度増加、膀胱保護成分の送達の増加、水分摂取量の増加、および尿量の増加。
【0074】
他の実施形態は、試験組成物によってコンパニオンアニマルに提供される水分補給効果を決定する(例えば、定量化する)ステップをさらに含む方法を提供する。一部の実施形態では、コンパニオンアニマルに提供される水分補給効果は、以下の式を使用して決定される:
水分補給効果=((試験組成物のプローブ上の重量)-(対照組成物のプローブ上の重量))*2.7グラム
【0075】
さらに他の実施形態は、生理活性物質を膀胱または尿路に送達する試験組成物の能力を決定するステップをさらに含む方法を提供する。
【0076】
少なくとも一つの実施では、プローブは、哺乳動物の舌または舌の表面を模倣するか、または少なくとも部分的に模倣しうる。例えば、当然のことながら、ネコの舌の表面は、粗いものであってもよく、または複数の突起部を含むか、または結節(nodules)を全く含まず、それによってテクスチャ加工された表面を提供する。従って、一部の実施形態では、プローブは、テクスチャ加工された表面を有する基体を含みうる。一部の実施形態では、プローブは、コンパニオンアニマルの舌の解剖学的構造を模倣する基体を含む。他の実施形態では、プローブは、複数の突起部を含む基体を含む。特定の実施形態では、突起部は、約1nm~約1cmの寸法を有する。さらなる実施形態では、プローブはエメリーボードを備える。
【0077】
一部の実施形態では、プローブは、約4~約6インチの第一の寸法、および約8インチ~約2インチの第二の寸法を有する。他の実施形態では、プローブは、約4インチ~約5インチの第一の寸法、および約0.5インチ~約1インチの第二の寸法を有する。さらなる実施形態では、プローブは、約4インチ~約5インチの第一の寸法、および約0.5インチ~約1インチの第二の寸法を有する。一部の実施形態では、プローブは、約4.5インチ~約5インチの第一の寸法、および約0.5インチ~約3/4インチの第二の寸法を有する。さらなる実施形態では、プローブは、4および11/16インチの第一の寸法、および約9/16インチの第二の寸法を有する。
【0078】
本発明について、以下の実施例でさらに説明する。実施例は例示にすぎず、記載および請求される本発明の範囲を決して限定するものではない。
【実施例】
【0079】
実施例1
増粘剤、すなわちメチルセルロース型増粘剤であるMETHOCEL(商標)E4Mの様々な濃度を有する七つの組成物(1)~(7)を、従来の方法によって調製した。第一または対照組成物(1)は水を含有し、METHOCEL(商標)E4Mを含有しなかった。残りの組成物または試験組成物(2)~(7)は、様々な濃度のMETHOCEL(商標)E4M(表1では「MC」と略される)を含有し、これは表1に示される。試験組成物(2)~(7)のそれぞれを、METHOCEL(商標)E4Mを、随意の加熱とともに、容器中で水と組み合わせ、攪拌することによって調製した。各組成物(1)~(7)の粘度を表1に要約する。対照組成物(1)および試験組成物(2)~(7)をネコに給餌し、消費量を観察した。対照組成物(1)および試験組成物(2)~(7)の消費を表1に要約する。
【表1】
【0080】
表1から明らかであるように、ネコは、水のみを含有する対照組成物(1)よりも約10cP以上の粘度を有する試験組成物(2)~(7)の選好性において、予想外の増加を示した。結果はすべて統計学的に有意であった(p=0.02)。
【0081】
他の増粘剤に対するメチルセルロースのコンパニオンアニマルの嗜好性も評価した。他の増粘剤に対する、METHOCEL(商標)などのメチルセルロース型増粘剤へのネコの選好性を評価するために、それぞれ異なる増粘剤を含有する二つの試験組成物(8)および(9)を調製し、ネコに提示した。特に、試験組成物(8)は1.05%ペクチン(表1では「PT」と略す)で調製され、試験組成物(9)は1.00%アルギン酸塩(表1では「AG」と略す)で調製された。試験の結果を、さらに表1で要約する。表1から明らかであるように、ネコは、約260cPの同等の粘度を呈する試験組成物(6)と比較して、1.05%ペクチンを含有し、178cPの粘度を有する試験組成物(8)と、1.00%アルギン酸塩を含有し、198cPの粘度を有する試験組成物(9)の両方を消費する欲求が低下した。
【0082】
実施例2
実施例1の対照組成物(1)および試験組成物(7)を、各ネコに56日間、対照組成物(1)または試験組成物(7)のいずれかを提示し、56日後に、対照組成物(1)を給餌したネコに試験組成物(7)を給餌し、試験組成物(7)を給餌したネコに対照組成物(1)を給餌するクロスオーバー試験でさらに試験した。試験結果を表2に要約する。
【表2】
【0083】
表2から明らかなように、ネコは、約5cPの粘度を有する対照組成物(1)と比較して、約282cPの粘度を有する試験組成物(7)を約21%多く消費した。結果はさらに、約282cPの比較的高い粘度を有する試験組成物(7)に対するネコの選好性を実証した。56日間の試験後、対照組成物(1)を給餌した三匹のネコはシュウ酸カルシウム結石形成を示したが、試験組成物(7)を給餌したネコはいずれもシュウ酸カルシウム結石形成を示さなかったことに留意されたい。シュウ酸カルシウム結石形成の減少は、実施例3で以下にさらに概説するように、試験組成物(7)を給餌したネコにおける水消費量の増加に起因する。
【0084】
実施例3
対照組成物(1)および実施例1の試験組成物(7)を給餌したネコの尿路の健康状態に関する試験を実施した。具体的には、対照組成物(1)および試験組成物(7)を給餌したネコの尿について、シュウ酸カルシウムリスク指数(CORI)を実施した。CORIは、シュウ酸カルシウム結石を発症するペットのリスクを決定するために使用される。また、CORIは、将来の結石形成のリスクを軽減するための増粘剤を含む組成物の能力を決定するために使用される。これは、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクを低減させるための組成物の有効性を決定するためにさらに使用されうる。CORI試験は、ネコの尿中のあらゆる阻害剤およびプロモーターを考慮に入れているが、これはあまり知られていない可能性がある。CORI試験を実施するため、シュウ酸カルシウムが析出するまでシュウ酸ナトリウムで全尿または未処置尿を滴定し、尿中のカルシウム濃度を添加したシュウ酸ナトリウム量で除する。本試験では、12匹のネコのパネルを使用した。ネコの尿路の健康状態に関する試験結果を、表3および表4に要約する。
【表3】
【表4】
【0085】
表3および表4から明らかなように、試験組成物(7)をネコに給餌することにより、シュウ酸カルシウムリスク指数(CORI)を低減させ、したがってシュウ酸カルシウム結晶の形成を減少させた。CORIの低減は、対応してカルシウムの排泄率の低下をもたらした。また、表5に要約したように、試験組成物(7)の消費は、循環血中クレアチニンレベルの低下をもたらし、試験組成物(7)の腎臓への効果を示唆することが観察された。クレアチニン試験の結果は統計学的に有意であった(p<0.05)。
【表5】
【0086】
実施例4
対照組成物(1)および試験組成物(7)の両方を与えられた13匹のネコの活動および相互作用(例えば、耳を掻く、体を擦り付ける、登る、ジャンプするなど)を観察するために試験を実施した。三つの異なる期間、それぞれ二日間について評価した。各期間は30分とし、三名の評価者が活動を評価/観察した。試験結果を表6に要約する。
【表6】
【0087】
表6から明らかであるように、試験組成物(7)を給餌したネコは、対照組成物(水)を給餌したネコに対して水飲み挙動で観察された有意差(69対4)として、水ボウルとの相互作用の増加を示した。
【0088】
実施例5
また、対照組成物(1)および試験組成物(7)を給餌したネコのヘアボールの減少を観察するための試験も実施した。本試験では、12匹のネコに対照組成物(1)または試験組成物(7)のいずれかを56日間与えた。これはクロスオーバー設計の試験であった。したがって、56日後、対照組成物(1)を給餌したネコには試験組成物(7)を給餌し、試験組成物(7)を給餌したネコには対照組成物(1)を給餌した。試験組成物(7)を給餌した四匹のネコがヘアボールを発生し、対照組成物(1)を給餌した七匹のネコがヘアボールを発生したことが観察された。三匹のネコは両方の組成物でヘアボールを発生した。一つの組成物でのみヘアボールを発生したネコのうち、四匹は対照組成物(1)でヘアボールを発生し、一匹が試験組成物(7)でヘアボールを発生した。試験結果もまた有意であった(p=0.05777)。
【0089】
実施例6
表7(以下)は、特許請求される本発明の特定の実施形態に従って実施される水可視化アッセイの結果を示す。特に、プローブ(すなわち、エメリーボード)を流動性組成物を含有する容器に挿入し、プローブ上に保持される組成物の量(例えば、グラム)を計算した。組成物によって覆われたプローブの部分およびプローブ上の保持時間に関連する視覚的観察もまた記録された。
【表7】
【0090】
表7に記載のデータは、エメリーボード(すなわち、15mm×60mm)上に保持される組成物の量とコンパニオンアニマルによって消費される量との関係を示す。当然のことながら、プローブ上に保持される組成物の量(g)に対する標準的な統計解析(SAS9.4統計的パッケージを使用した一般線形モデル分析)を組成物の消費に適用することにより、約0.98のR2値をもたらされ、それによって、組成物の消費を介して哺乳動物(例えば、ネコ)によって消費される水量を決定または予測する方法の有効性が実証される。消費された組成物の予測量と消費された組成物の実際の量の関係は、以下の式で表された:
Y=9.0+685.6×X-1343.9×X2+799.0×X3
式中、Yは、組成物の予測摂取量であり、Xは、プローブ上に保持される組成物の量である。本明細書で考察するように、しかしながら、哺乳動物によって消費される水の実際の量と予想される量の水に関連する統計モデルまたは方程式は、異なる場合があり、例えばプローブの寸法(例:高さ、幅、長さ、円周、等)プローブの表面積プローブの粗さ、プローブの重量、プローブが作製される材料、プローブを浸漬する時間の長さ、組成物からプローブを除去した後、プローブが「滴下」できる時間の長さ、組成物の密度、コンパニオンアニマルによって消費される組成物の量、浸漬前のプローブの初期重量、浸漬後のプローブの最終重量、組成物中に含まれる水の量など、またはそれらの任意の組み合わせを含む、変動要因によって少なくとも部分的に決定されうる。
【0091】
実施例8
実施例2で上述したように、ネコは、約5cPの粘度を有する対照組成物(1)と比較して、約282cPの粘度を有する試験組成物(7)を約21%多く消費した。循環血中尿素窒素(BUN)、循環コレステロール、および循環トリグリセリドについての試験中、同じネコを評価した。結果を以下の表8~10に要約する。
【表8】
【表9】
【表10】
【0092】
表8~10に示されるように、試験組成物(7)を給餌したネコは、対照組成物(1)を給餌したネコと比較して、比較的低い量の循環血中尿窒素、コレステロール、およびトリグリセリドを示した。したがって、約5cPの粘度を有する対照組成物(1)よりも、約282cPの比較的高い粘度を有する試験組成物(7)に対するネコの嗜好性の増加は、健康、すなわち循環BUN、コレステロール、およびトリグリセリドのマーカーの改善をもたらした。理論に拘束されるものではないが、試験組成物(7)を給餌したネコにおける健康のためのマーカーの改善は、水の消費量の増加に少なくとも部分的に起因したと考えられる。