(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-27
(45)【発行日】2022-08-04
(54)【発明の名称】注文分散のための製品および処理
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20220728BHJP
【FI】
G06Q40/04
(21)【出願番号】P 2021067507
(22)【出願日】2021-04-13
(62)【分割の表示】P 2018240922の分割
【原出願日】2009-08-11
【審査請求日】2021-04-13
(32)【優先日】2008-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】309032751
【氏名又は名称】ビージーシー パートナーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ドリスコル,ジェームズ,アール
(72)【発明者】
【氏名】ノヴィエロ,ジョーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,マシュー
【審査官】田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-272324(JP,A)
【文献】特開2008-59292(JP,A)
【文献】特開2005-228029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0019794(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して、互いに通信する複数の取引所及びネットワーク・コンピュータ装置との間で注文の分散を満たすことを容易にする前記ネットワーク・コンピュータ装置のための方法であって、前記ネットワーク・コンピュータ装置は、前記複数の取引所から遠隔にあり、当該方法は、
前記ネットワーク・コンピュータ装置によって、
[A]商品の取引に参加する参加者の第1の要求に関して注文の第1の部分の第1の分散を決定するステップであって、第1の分散は、第1の部分のそれぞれの、前記複数の取引所のうちのそれぞれの合致する注文の取引所に対する割当てを含む、決定するステップと、
[B]第1の分散を決定することに応答して、前記通信ネットワークを介して第1の分散情報を前記複数の取引所に送信することによって、第1の部分の第1の分散に応じて前記複数の取引所を介して前記商品の取引に参加したいという参加者の第1の要求を満たすように試みるステップと、
[C]少なくとも1つの前記合致する注文の取引所で、取引する前記商品の要求量に対する変更が未決状態であることを特定する指標を、前記通信ネットワークを介して前記複数の取引所のうちの少なくとも1つの合致する注文の取引所から受信するステップと、
[D]前記指標を受信することに応答して、前記変更に少なくとも部分的に基づいて、複数の取引所を介した第1の要求に関して前記注文の第1の部分の第1の分散から第2の部分の第2の分散に変更するかどうかを自動的に決定するステップと、
[E]第2の分散への変更の決定に応答して、前記通信ネットワークを介して、第2の部分の第2の分散を表し、且つ第1の要求を満たす試みを示す第2の分散情報を前記複数の取引所に自動的に送信して、第2の部分の第2の分散に応じて、前記複数の取引所を介して前記商品の取引に参加するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
第2の分散は、前記複数の取引所のうちの少なくとも1つの第2の取引所が受信すると予想される第3の要求の予想される量に少なくとも部分的に基づいており、第3の要求は、前記商品、及び第1の要求の側とは反対の前記商品の取引の側を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の分散は、前記複数の取引所のうちの少なくとも1つの第2の取引所の予想される要求満足速度に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2の分散は、前記複数の合致する注文の取引所のうちの少なくとも1つの第2の取引所によって実行される要求を満たす方法に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第2の分散は、前記複数の取引所のうちの少なくとも1つの取引所で未決状態の少なくとも1つの第2の要求が、少なくとも1つの第2の要求に関連する量が少ないため、前記複数の取引所のうちの少なくとも1つの取引所によって受け取られた第3の要求によって満たされないという可能性に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2の分散は、前記複数の取引所のそれぞれを介した予想される要求満足速度を計算し、第2の分散を計算して、前記複数の取引所を使用して予想される要求満足速度全体を増大させることに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の分散は、第1の要求を前記複数の取引所のうちの単一の合致する注文の取引所に提出する際の予想される満足速度と比較して、予想される満足速度が増大する分散を計算することによって決定され、第2の分散は、第1の分散と比較して予想される満足速度が増大する分散を計算することによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記変更を特定する指標は、複数の第2の要求のうちの少なくとも1つの要求の少なくとも一部の充足の指標を含み、複数の第2の要求の各第2の要求は、取引される前記商品のそれぞれの量及び前記商品の取引の同じ側を特定する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
通信ネットワークを介して、互いに通信する複数の取引所及びネットワーク・コンピュータ装置の間で注文の分散を満たすことを容易にするように構成されたネットワーク・コンピュータ装置としての機器であって、前記ネットワーク・コンピュータ装置は、前記複数の取引所から遠隔にあり、当該機器は、少なくとも1つのプロセッサを含み、
該プロセッサは、
商品の取引に参加する参加者の第1の要求に関して注文の第1の部分の第1の分散を決定することであって、第1の分散は、第1の部分のそれぞれの、前記複数の取引所のそれぞれの合致する注文の取引所に対する割当てを含む、決定することと、
第1の分散を決定することに応答して、前記通信ネットワークを介して第1の分散情報を前記複数の取引所に送信することによって、第1の部分の第1の分散に応じて前記複数の取引所を介して前記商品の取引に参加したいという参加者の第1の要求を満たすように試みることと、
少なくとも1つの前記合致する注文の取引所で、取引する前記商品の要求量に対する変更が未決状態であることを特定する指標を、前記通信ネットワークを介して前記複数の取引所のうちの少なくとも1つの合致する注文の取引所から受信することと、
前記指標を受信することに応答して、前記変更に少なくとも部分的に基づいて、複数の合致する注文の取引所を介した第1の要求に関して前記注文の第1の部分の第1の分散から第2の部分の第2の分散に変更するかどうかを自動的に決定することと、
第2の分散への変更の決定に応答して、前記通信ネットワークを介して、第2の部分の第2の分散を表し、且つ第1の要求を満たす試みを示す第2の分散情報を前記複数の取引所に自動的に送信して、第2の部分の第2の分散に応じて、前記複数の取引所を介して前記商品の取引に参加することと、を制御するように構成される、
機器。
【請求項10】
通信ネットワークを介して、互いに通信する複数の取引所及びネットワーク・コンピュータ装置の間で注文の分散を満たすことを容易にするように構成されたネットワーク・コンピュータ装置としての機器であって、前記ネットワーク・コンピュータ装置は、前記複数の取引所から遠隔にあり、当該機器は、少なくとも1つのプロセッサを含み、
該プロセッサは、
前記複数の取引所のうちの少なくとも1つの合致する注文の取引所で、前記通信ネットワークを介して、取引する商品の要求量に対する変更が未決状態であることを特定する指標を受信することと、
前記指標を受信することに応答して、前記変更に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の取引所の間での商品の取引に参加したいという第1の要求に関して注文の第1の部分の第1の分散から、前記複数の取引所を介した第1の要求に関して前記注文の第2の部分の第2の分散に変更するかどうかを決定することであって、第2の分散は、第2の部分のそれぞれの、前記複数の取引所のそれぞれの合致する注文の取引所に対する割当てを含む、決定することと、
第2の分散への変更の決定に応答して、前記通信ネットワークを介して、第2の部分の第2の分散を表し、且つ第1の要求を満たす試みを示す第2の分散情報を前記複数の取引所に自動的に送信して、第2の部分の第2の分散に応じて、前記複数の取引所を介して前記商品の取引に参加することと、を制御するように構成される、
機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「注文分散のための製品および処理」の表題で2008年8月11日に出願された米国特許出願第12/189,266号明細書の優先権を主張するものである。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】金融商品を売買するための例示的システムを示す。
【
図2】いくつかの実施形態で行われ得る例示的方法を示す。
【
図3】分散を決定するための例示的システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0003】
様々な金融商品を売買するために取引所を利用することができる。
【0004】
いくつかの実施形態では、複数の取引所間での注文の分散について説明されている。
【0005】
金融商品の売買について様々な実施形態を説明しているが、いくつかの実施形態が対象とする技術的問題は、かかる用途に限定されるものではなく、むしろ金融商品の売買は、例としてのみ与えられるものである、ということを認識すべきである。いくつかの実施形態は、例えば、処理および/またはリソースの使用を分散させることにより効率を向上させるため、様々な用途で用いることができる。
【0006】
以下のセクションI~Xを、本願を解釈するための案内とする。
【0007】
I.用語
「製品(product)」との用語は、そうでないと明記しない限り、いずれかの機械、製造品、および/または組成物を意味する。
【0008】
「処理(process)」との用語は、そうでないと明記しない限り、いずれかの処理、アルゴリズム、方法などを意味する。
【0009】
各処理(方法、アルゴリズム、その他の呼び方に関わらず)は、本質的に1つ以上のステップを含むものであるため、処理の「ステップ(step)」または「ステップ(steps)」へのすべての参照は、単なる「処理(process)」または類似の用語の記載に本質的な前提根拠を有する。このため、請求項における処理の「ステップ(step)」または「ステップ(steps)」へのいずれの参照も、十分な前提根拠を有する。
【0010】
「発明(invention)」および類似の用語は、そうでないと明記しない限り、「本願において開示されている1つ以上の発明」を意味する。
【0011】
「実施形態(an embodiment)」、「実施形態(embodiment)」、「実施形態(embodiments)」、「実施形態(the embodiment)」、「実施形態(the embodiments)」、「1つ以上の実施形態(one or more embodiments)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「ある実施形態(certain embodiments)」、「一実施形態(one embodiment)」、「別の実施形態(another embodiment)」、および類似の用語は、そうでないと明記しない限り、「開示されている発明の1つ以上の(しかしすべてではない)実施形態」を意味する。
【0012】
発明の「変形(variation)」との用語は、そうでないと明記しない限り、発明の実施形態を意味する。
【0013】
実施形態を説明する際の「別の実施形態(another embodiment)」への参照は、そうでないと明記しない限り、参照されている実施形態が別の実施形態(例えば、参照されている実施形態の前に説明された実施形態)と相互排他的であることを暗示するものではない。
【0014】
「~を含む(including)」、「~を備える(comprising)」との用語およびそれらの変形は、そうでないと明記しない限り、「~を含むがそれに限定されない」を意味する。
【0015】
“a”、“an”、および“the”との用語は、そうでないと明記しない限り、「1つ以上」を意味する。
【0016】
「複数(plurality)」との用語は、そうでないと明記しない限り、「2つ以上」を意味する。
【0017】
「本明細書中(herein)」との用語は、そうでないと明記しない限り、「参照により組み込まれ得るいずれのものも含め、本願において」を意味する。
【0018】
「少なくとも1つの(at least one of)」とのフレーズは、かかるフレーズが複数のもの(列挙されたものなど)を修飾する場合、そうでないと明記しない限り、それらのものの1つ以上のいずれかの組み合わせを意味する。例えば、「少なくとも1つのウィジェット、車、および車輪」とのフレーズは、(i)ウィジェット、(ii)車、(iii)車輪、(iv)ウィジェットおよび車、(v)ウィジェットおよび車輪、(vi)車および車輪、または(vii)ウィジェット、車、および車輪のいずれかを意味する。「少なくとも1つの(at least one of)」とのフレーズは、かかるフレーズが複数のものを修飾する場合、複数のものの「各々の1つ」を意味するものではない。
【0019】
「1つ(one)」、「2つ(two)」などの数値用語は、何かの数量(例えば、1つのウィジェット、2つのウィジェット)を示す基数として用いられる場合、その数値用語により示される数量を意味し、少なくともその数値用語により示される数量を意味するものではない。例えば、「1つのウィジェット」とのフレーズは、「少なくとも1つのウィジェット」を意味するものではないため、「1つのウィジェット」とのフレーズは、例えば2つのウィジェットを包含するものではない。
【0020】
「~に基づいて(based on)」とのフレーズは、そうでないと明記しない限り、「~のみに基づいて」を意味するものではない。換言すれば、「~に基づいて(based on)」とのフレーズは、「~のみに基づいて」と「~に少なくとも基づいて」との両方を意味する。「~に少なくとも基づいて」とのフレーズは、「~に少なくとも部分的に基づいて」とのフレーズと同等である。
【0021】
「~を表す(represent)」および類似の用語は、そうでないと明記しない限り、排他的ではない。例えば、「~を表す(represents)」との用語は、そうでないと明記しない限り、「~のみを表す(represents only)」を意味するものではない。換言すれば、「データはクレジットカード番号を表す」とのフレーズは、「データはクレジットカード番号のみを表す」と「データはクレジットカード番号を表し、データは別の何かも表す」との両方を意味する。
【0022】
「それにより(whereby)」との用語は、本明細書中では、以前に明示的に記載された何かの意図された結果、目的、または結論のみを表現する節または他の単語の組に先行するようにのみ用いられる。従って、「それにより(whereby)」との用語が請求項において用いられる場合、「それにより(whereby)」との用語が修飾する節または他の単語が、請求項に対して具体的なさらなる限定を設定することはなく、その他請求項の意味または範囲を制限することはない。
【0023】
「例えば(e.g.)」および類似の用語は、「例えば(for example)」を意味し、従って、それが説明する用語またはフレーズを限定するものではない。例えば、「コンピュータはインターネットを介してデータ(例えば、指令、データ構造)を送る」との文章において、「例えば(e.g.)」との用語は、「指令」がコンピュータがインターネットを介して送り得る「データ」の例であることを説明し、また、「データ構造」がコンピュータがインターネットを介して送り得る「データ」の例であることを説明している。しかし、「指令」と「データ構造」との両方は「データ」の例にすぎず、「指令」および「データ構造」以外の他のものも「データ」であることが可能である。
【0024】
「それぞれの(respective)」および類似の用語は、「個々に取り上げられた」を意味する。従って、2つ以上のものが「それぞれの(respective)」特性を有する場合、かかるものの各々が自らの特性を有し、これらの特性は、互いに異なることが可能であるが、その必要はない。例えば、「2つの機械の各々は、それぞれの機能を有する」とのフレーズは、第1のかかる機械は機能を有し、第2のかかる機械も機能を有することを意味する。第1の機械の機能は、第2の機械の機能と同じであっても同じでなくてもよい。
【0025】
「すなわち(i.e.)」および類似の用語は、「すなわち(that is)」を意味し、従って、それが説明する用語またはフレーズを限定する。例えば、「コンピュータはインターネットを介してデータ(すなわち、指令)を送る」との文章において、「すなわち(i.e.)」との用語は、「指令」がコンピュータがインターネットを介して送る「データ」であることを説明している。
【0026】
いずれの与えられた数値範囲も、その範囲内の整数および端数を含むものとする。例えば、「1~10」との範囲は、1と10との間の整数(例えば、1、2、3、4、…、9)および非整数(例えば、1.1、1.2、…、1.9)を具体的に含むように解釈されるものとする。
【0027】
2つ以上の用語またはフレーズが同義である(例えば、用語またはフレーズが同義であるとの明示的な記述により)場合、1つのかかる用語/フレーズの用例が、別のかかる用語/フレーズの用例が異なる意味を有さなければならない、ということを意味するものではない。例えば、「~を含む(including)」の意味が「~を含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と同義であるとの記述がある場合、単に「~を含むがそれに限定されない」とのフレーズを用いることにより、「~を含む」との用語が「~を含むがそれに限定されない」以外の何かを意味する、ということを意味することにはならない。
【0028】
II.決定する(determining)
「決定する(determining)」との用語およびその文法的異形(例えば、価格を決定する(to determine)、価値を決定する(determining)、ある基準に合う物体を決定する(determine))は、極めて広い意味で用いられる。「決定する(determining)」との用語は、幅広い作用をもたらすため、「決定する(determining)」は、計算する、演算する、処理する、導出する、調査する、捜す(例えば、表、データベース、または別のデータ構造において捜す)、確認する、などを含むことが可能である。また、「決定する(determining)」は、受信する(例えば、情報を受信する)、アクセスする(例えば、メモリにおけるデータにアクセスする)、などを含むことが可能である。また、「決定する(determining)」は、解決する、選択する、選定する、設定する、などを含むことが可能である。
【0029】
「決定する(determining)」との用語は、確実性または絶対的精度を暗示するものではないため、「決定する(determining)」は、推定する、外挿する、予測する、推測する、などを含むことが可能である。
【0030】
「決定する(determining)」との用語は、数学的処理を行わなければならないことを暗示するものではなく、数値法を用いなければならないことを暗示するものではなく、アルゴリズムまたは処理を用いることを暗示するものではない。
【0031】
「決定する(determining)」との用語は、いずれかの特定の装置を用いなければならないことを暗示するものではない。例えば、コンピュータが必ずしも「決定」を行う必要はない。
【0032】
III.文章の形式
第1の請求項の限定が2つ以上のフィーチャに加え1つのフィーチャをも包含し(例えば、「少なくとも1つのウィジェット」などの限定が2つ以上のウィジェットに加え1つのウィジェットをも包含する)、第1の請求項に従属する第2の請求項において、第2の請求項が定冠詞“the”(「前記」)を用いてその限定に言及する(例えば、「前記ウィジェット(the widget)」)場合、これは、第1の請求項が1つのフィーチャのみを包含することを暗示するものではなく、第2の請求項が1つのフィーチャのみを包含することを暗示するものではない(例えば、「前記ウィジェット」は1つのウィジェットと2つ以上のウィジェットとの両方を包含することが可能である)。
【0033】
序数(「第1の(first)」、「第2の(second)」、「第3の(third)」など)が用語の前で形容詞として用いられる場合、その序数は、(そうでないと明記しない限り)単に特定のフィーチャを示す(その特定のフィーチャを同じ用語または同様の用語により説明される別のフィーチャから区別するなど)ために用いられるものである。例えば、「第1のウィジェット」は、単にそれを例えば「第2のウィジェット」から区別するためにそのように名付けることができる。従って、単に「第1の」および「第2の」との序数を「ウィジェット」との用語の前で用いることにより、2つのウィジェット間の他のいずれの関係も示されることはなく、同様にいずれかまたは両方のウィジェットの他のいずれの特徴も示されることはない。例えば、単に「第1の」および「第2の」との序数を「ウィジェット」との用語の前で用いることにより、(1)順序または場所においていずれかのウィジェットが他のいずれかの前または後に来ることが示されることはなく、(2)時間においていずれかのウィジェットが他のいずれかの前または後に生じるまたは作用することが示されることはなく、(3)重要性または品質などにおいていずれかのウィジェットが他のいずれかの上または下に位置付けられることはない。加えて、単に序数を用いることにより、序数で識別されるフィーチャに対する数値的限定が定義されることはない。例えば、単に「第1の」および「第2の」との序数を「ウィジェット」との用語の前で用いることにより、3つ以上のウィジェットが存在してはならないということが示されることはない。
【0034】
単一の装置、物品、または他の製品が本明細書中で説明されている場合、説明されている単一の装置/物品の代わりに2つ以上の装置/物品(それらが協働するか否かに関わらず)を代替として用いてもよい。このため、装置が有するものとして説明されている機能は、代替として、2つ以上の装置/物品(それらが協働するか否かに関わらず)が有してもよい。
【0035】
同様に、2つ以上の装置、物品、または他の製品(それらが協働するか否かに関わらず)が本明細書中で説明されている場合、説明されている2つ以上の装置または物品の代わりに単一の装置/物品を代替として用いてもよい。例えば、複数のコンピュータベースの装置を単一のコンピュータベースの装置で置換してもよい。このため、2つ以上の装置または物品が有するものとして説明されている様々な機能は、代替として、単一の装置/物品が有してもよい。
【0036】
説明されている単一の装置の機能および/またはフィーチャは、代替として、説明されているがかかる機能/フィーチャを有するものとしては明示的に説明されていない1つ以上の他の装置により具現化してもよい。従って、他の実施形態は、説明されている装置そのものを含む必要はないが、それらの他の実施形態ではかかる機能/フィーチャを有するであろう1つ以上の他の装置を含むことが可能である。
【0037】
IV.開示されている例および用語は限定的ではない
表題(本願の最初のページの冒頭に記載)および要約(本願の末尾に記載)のいずれも、開示されている発明の範囲を何ら限定するものと解するべきではなく、いずれの請求項の意味を解釈する際にも用いるべきではなく、いずれの請求項の範囲を限定する際にも用いるべきではない。要約は、単に37C.F.R.§1.72(b)に基づき要約が要求されるため、本願に含まれるものである。
【0038】
本願の表題および本願において設けられているセクションの見出しは、利便性のみのためのものであり、本開示を何ら限定するものと解するべきではない。
【0039】
数々の実施形態が本願において説明され、説明のみを目的として提示されている。説明されている実施形態は、いずれの意味でも限定的ではなく、また、そのように意図していない。本開示による発明は、本開示から容易に明らかになるように、数々の実施形態に幅広く適用可能である。開示されている発明は、構造的、論理的、ソフトウェア的、および電気的な修正などの様々な修正および改変を伴って実施し得ることを、当業者は認識するであろう。開示されている発明の特定のフィーチャは、1つ以上の特定の実施形態および/または図面を参照して説明することができるが、かかるフィーチャは、そうでないと明記しない限り、それらを説明する際に参照されている1つ以上の特定の実施形態または図面における使用法に限定されない、ということを理解すべきである。
【0040】
実施形態は、いくつかのフィーチャを含むものとして開示してもよいが、本発明の他の実施形態は、すべてのかかるフィーチャよりも少ないフィーチャを含んでもよい。従って、例えば、請求項は、開示されている実施形態におけるフィーチャの組の全体よりも少ないフィーチャを対象としてもよく、かかる請求項は、その請求項が明示的に記載しているフィーチャ以外のフィーチャは含まないであろう。
【0041】
本願において説明されている方法のステップまたは製品の要素のいずれの実施形態も、本明細書または請求項のいずれかにそうであると明記されている場合を除き、本明細書中で請求する発明を構成するものではなく、本明細書中で請求する発明に必須のものではなく、本明細書中で請求する発明と同一の広がりを有するものではない。
【0042】
後続の請求項の前文は、請求する発明の目的、恩恵、および可能性のある使用法のみを記載するものであり、請求する発明を限定するものではない。
【0043】
本開示は、本発明のすべての実施形態の逐語的説明ではない。また、本開示は、すべての実施形態に存在しなければならない本発明のフィーチャのリストではない。
【0044】
すべての開示されている実施形態は、請求項(係属中、補正済、発行済、および削除済のすべての請求項をも含む)により包含される必要はない。加えて、実施形態は、いくつかの請求項により包含されてもよい(が必ずしもされなくてもよい)。このため、請求項(係属中、補正済、発行済、または削除済であるかに関わらず)が特定の実施形態を対象とする場合、それは、他の請求項の範囲もその実施形態を包含することはない、ということの証拠にはならない。
【0045】
互いに通信するものとして説明されている装置は、そうでないと明記しない限り、互いに連続的に通信している必要はない。むしろ、かかる装置は、必要または所望に応じて互いに送信すればよく、ほとんどの時間は実際にデータを交換していなくてもよい。例えば、インターネットを介して別の機械と通信する機械は、長時間(例えば、一度に数週間)他方の機械にデータを送信しなくてもよい。加えて、互いに通信する装置は、直接的にまたは1つ以上の仲介者を通じて間接的に通信してもよい。
【0046】
いくつかの構成要素またはフィーチャを有する実施形態の説明は、かかる構成要素/フィーチャのすべてまたはいずれかが要求されることを暗示するものではない。むしろ、種々のオプションの構成要素を説明することで本発明の幅広い可能性のある実施形態を説明している。そうでないと明記しない限り、いずれの構成要素/フィーチャも必須でなく、要求もされない。
【0047】
処理のステップ、アルゴリズムなどは、特定の連続する順序で説明または請求し得るが、かかる処理は、異なる順序で働くように構成してもよい。換言すれば、明示的に説明または請求し得るステップのいずれのシーケンスまたは順序も、それらのステップがその順序で行われるべきであるという要件を必ずしも示すものではない。本明細書中で説明する処理のステップは、いずれの可能な順序で行ってもよい。さらに、いくつかのステップは、同時に生じないように説明または暗示されている(例えば、一方のステップが他方のステップの後に説明されているため)場合であっても、同時に行ってもよい。その上、図面における描写による処理の説明は、説明されている処理がその処理の他の変形および修正を排除することを暗示するものではなく、説明されている処理またはそのいずれのステップも、本発明に必要であることを暗示するものではなく、説明されている処理が好ましいことを暗示するものではない。
【0048】
処理は複数のステップを含むものとして説明し得るが、それは、ステップのすべてまたはいずれかが好ましい、必須である、または要求されることを暗示するものではない。説明されている発明の範囲内の他の様々な実施形態は、説明されているステップのいくつかまたはすべてを省略した他の処理を含む。そうでないと明記しない限り、いずれのステップも必須でなく、要求もされない。
【0049】
処理は単独でまたは他の製品もしくは方法を参照することなく説明し得るが、実施形態では、処理を他の製品または方法と相互作用させてもよい。例えば、かかる相互作用は、1つのビジネスモデルを別のビジネスモデルにリンクさせるステップを含んでもよい。かかる相互作用は、処理の柔軟性または望ましさを高めるために提供することができる。
【0050】
製品は複数の構成要素、態様、品質、特性、および/またはフィーチャを含むものとして説明し得るが、それは、複数のそれらのいずれかまたはすべてが好ましい、必須である、または要求されることを示すものではない。説明されている発明の範囲内の他の様々な実施形態は、説明されている複数のそれらのいくつかまたはすべてを省略した他の製品を含む。
【0051】
項目の列挙されたリスト(番号付けされていてもいなくてもよい)は、そうでないと明記しない限り、項目のいずれかまたはすべてが相互排他的であることを暗示するものではない。同様に、項目の列挙されたリスト(番号付けされていてもいなくてもよい)は、そうでないと明記しない限り、項目のいずれかまたはすべてがいずれかの範疇を網羅することを暗示するものではない。例えば、「コンピュータ、ラップトップ、PDA」との列挙されたリストは、そのリストの3つの項目のいずれかまたはすべてが相互排他的であることを暗示するものではなく、そのリストの3つの項目のいずれかまたはすべてがいずれかの範疇を網羅することを暗示するものではない。
【0052】
項目の列挙されたリスト(番号付けされていてもいなくてもよい)は、項目のいずれかまたはすべてが互いに同等であるか、または互いに容易に置換されることを暗示するものではない。
【0053】
すべての実施形態は説明的なものであり、場合により、本発明またはいずれかの実施形態がなされたかまたは行われたことを暗示するものではない。
【0054】
V.演算
本明細書中で説明する様々な処理は、例えば、適切にプログラムされた汎用コンピュータ、専用コンピュータ、および演算装置により実装することができる、ということが当業者に容易に明らかになろう。典型的には、プロセッサ(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のマイクロコントローラ、1つ以上のデジタル信号プロセッサ)が指令を受信し(例えば、メモリまたは類似の装置から)、それらの指令を実行することにより、それらの指令により定義された1つ以上の処理を行う。指令は、例えば、1つ以上のコンピュータプログラム、1つ以上のスクリプトにおいて具現化してもよい。
【0055】
「プロセッサ」は、アーキテクチャ(例えば、チップレベルのマルチプロセッシング/マルチコア、RISC、CISC、パイプラインステージがインターロックされないマイクロプロセッサ、パイプライン構成、同時マルチスレッディング)に関わらず、1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、演算装置、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、もしくは類似の装置、またはそれらのいずれかの組み合わせを意味する。
【0056】
従って、処理の説明は、同様に、処理を行うための装置の説明となる。処理を行う装置は、例えば、プロセッサならびに処理を行うために適切な入力装置および出力装置を含むことが可能である。
【0057】
さらに、かかる方法を実装するプログラム(他の種類のデータに加え)は、種々の媒体(例えば、コンピュータ可読媒体)を用いていくつかの様式で格納および送信することができる。いくつかの実施形態では、様々な実施形態の処理を実装することが可能なソフトウェア指令のいくつかまたはすべての代わりに、またはそれらと組み合わせて、ハードワイアード回路またはカスタムハードウェアを用いてもよい。従って、ソフトウェアのみを用いる代わりに、ハードウェアおよびソフトウェアの様々な組み合わせを用いてもよい。
【0058】
「コンピュータ可読媒体」との用語は、コンピュータ、プロセッサ、または類似の装置が読むことができるデータ(例えば、指令、データ構造)の提供に携わるいずれかの媒体、複数の媒体、または異なる媒体の組み合わせを言うものである。かかる媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがそれらに限定されない多くの形態を取り得る。不揮発性媒体は、例えば、光学または磁気ディスクおよび他の持続性メモリを含む。揮発性媒体は、典型的にはメインメモリを構成する動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)を含む。伝送媒体は、プロセッサに連結されたシステムバスを備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。伝送媒体は、音波、光波、電磁放射線(無線周波数(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなど)を含むかまたは搬送することができる。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他のいずれかの磁気媒体、CD-ROM、DVD、他のいずれかの光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを他のいずれかの有する物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEEPROM、他のいずれかのメモリチップもしくはカートリッジ、本明細書中以下で説明する搬送波、またはコンピュータが読み取り可能な他のいずれかの媒体を含む。
【0059】
データ(例えば、指令のシーケンス)をプロセッサに搬送する際には、様々な形態のコンピュータ可読媒体を関与させることができる。例えば、データを、(i)RAMからプロセッサに送達し、(ii)無線伝送媒体を介して搬送し、(iii)Ethernet(またはIEEE802.3)、SAP、ATP、Bluetooth(商標)、およびTCP/IP、TDMA、CDMA、および3Gなどの数々のフォーマット、規格、もしくはプロトコルに従いフォーマットおよび/もしくは伝送し、ならびに/または(iv)当該技術において周知の種々のやり方のいずれかでプライバシーを確保もしくは不正を防止するために暗号化することができる。
【0060】
従って、処理の説明は、同様に、処理を行うためのプログラムを格納するコンピュータ可読媒体の説明となる。コンピュータ可読媒体は、方法を行うために適切なプログラム要素を(いずれかの適切なフォーマットで)格納することが可能である。
【0061】
処理における様々なステップの説明が説明されているステップのすべてが要求されることを示さないのとまったく同様に、装置の実施形態は、説明されている処理のいくつか(必ずしもすべてではなく)を行うように動作可能なコンピュータ/演算装置を含む。
【0062】
同様に、処理における様々なステップの説明が説明されているステップのすべてが要求されることを示さないのとまったく同様に、プログラムまたはデータ構造を格納するコンピュータ可読媒体の実施形態は、実行されるとプロセッサに説明されている処理のいくつか(必ずしもすべてではなく)を行わせることが可能なプログラムを格納するコンピュータ可読媒体を含む。
【0063】
データベースについて説明されている場合、(i)説明されているものに対して代替のデータベース構造を容易に用いることができ、(ii)データベース以外に他のメモリ構造を容易に用いることができる、ということが当業者には理解されよう。本明細書中で提示されているいずれのサンプルデータベースのいずれの説明または記載も、格納されている情報の代表的なものについての説明的編成である。例えば、図中またはその他の表により示唆されているもの以外に、いずれの数の他の編成を用いてもよい。同様に、データベースのいずれの説明されているエントリも、例示的情報を表すのみであり、エントリの数および内容は、本明細書中で説明されているものとは異なり得る、ということが当業者には理解されよう。さらに、データベースが表として描写されている場合であっても、他のフォーマット(関係データベース、オブジェクトベースモデル、および/または分散データベースを含む)を用いて本明細書中で説明されているデータ種類を格納および操作することも可能である。同様に、オブジェクト法またはデータベースの挙動を用いて、本明細書中で説明されているものなどの様々な処理を実装することが可能である。加えて、データベースは、既知の様式で、かかるデータベースにおけるデータにアクセスする装置に対してローカルまたはリモートで格納することができる。
【0064】
様々な実施形態を、1つ以上の装置と通信する(例えば、通信ネットワークを介して)コンピュータを含むネットワーク環境で働くように構成することが可能である。コンピュータは、直接、またはいずれかの有線もしくは無線媒体(例えば、インターネット、LAN、WAN、またはEthernet、Token Ring、電話回線、ケーブル回線、無線チャネル、光通信回線、商用オンラインサービスプロバイダ、電子掲示板システム、衛星通信リンク、上記のいずれかの組み合わせ)を介して間接的に、装置と通信することができる。装置の各々は、それら自体、コンピュータと通信するように適合された、Intel(登録商標)Pentium(登録商標)またはCentrino(商標)プロセッサをベースとするものなどの、コンピュータまたは他の演算装置を備えてもよい。いずれの数および種類の装置がコンピュータと通信してもよい。
【0065】
実施例では、サーバコンピュータまたは中央監督者が必要ではなく、望ましくないかもしれない。例えば、本発明は、実施形態において、中央監督者が存在しない状態で1つ以上の装置上で実施することができる。かかる実施形態では、本明細書中でサーバコンピュータにより行われるものと説明されているいずれの機能またはサーバコンピュータ上に格納されるものと説明されているいずれのデータも、代わりに、1つ以上のかかる装置により行われるか、またはそれらの装置上に格納することができる。
【0066】
処理について説明されている場合、実施形態では、ユーザが何ら介入することなく処理を動作させることができる。別の実施形態では、処理は、何らかの人間の介入(例えば、ステップが人間によりまたは人間の補助を伴って行われる)を含む。
【0067】
VI.継続出願
本開示は、いくつかの実施形態および/または発明の実施可能な説明を当業者に提供するものである。これらの実施形態および/または発明のいくつかは、本願において請求していないかもしれないが、本願の優先権を主張する1つ以上の継続出願において請求するかもしれない。
【0068】
出願人は、本願において開示し実施可能にしたが請求していない主題についての特許を求める追加の出願を行うことを意図する。
【0069】
VII.35U.S.C.§112第6項
請求項において、「~するための手段(means for)」とのフレーズまたは「~するためのステップ(step for)」とのフレーズを含む請求項の限定は、35U.S.C.§112第6項がその限定に適用されることを意味する。
【0070】
請求項において、「~するための手段(means for)」とのフレーズまたは「~するためのステップ(step for)」とのフレーズを含まない請求項の限定は、その限定がある機能を行うための構造、材料、または作用の記載を伴わずにその機能を記載しているかに関わらず、35U.S.C.§112第6項がその限定に適用されないことを意味する。例えば、請求項において、その請求項または別の請求項の1つ以上のステップに言及する際に「~するステップ(step of)」とのフレーズまたは「~するステップ(steps of)」とのフレーズを用いるだけでは、35U.S.C.§112第6項がそのステップに適用されることを意味しない。
【0071】
35U.S.C.§112第6項に従う特定された機能を行うための手段またはステップについては、本明細書において説明されている対応する構造、材料、または作用、およびそれらの同等物が、特定された機能に加え追加の機能を行ってもよい。
【0072】
コンピュータ、プロセッサ、演算装置、および類似の製品は、幅広い機能を行うことが可能な構造である。かかる製品は、その製品のメモリ装置またはその製品がアクセスするメモリ装置に格納されたプログラムなどの、1つ以上のプログラムを実行することにより特定された機能を行うように動作可能である。そうでないと明記しない限り、かかるプログラムは、本願において開示されるかもしれないいずれかの特定のアルゴリズムなどの、いずれかの特定のアルゴリズムに基づく必要はない。特定された機能を異なるアルゴリズムを介して実装することができ、いくつかの異なるアルゴリズムのいずれも特定された機能を行うための設計上の選択にすぎない、ということが当業者には周知である。
【0073】
そのため、35U.S.C.§112第6項に従う特定された機能を行うための手段またはステップについては、特定された機能に対応する構造は、特定された機能を行うようにプログラムされたいずれの製品も含む。かかる構造は、ある製品が(i)ある機能を行うための開示されたアルゴリズム、(ii)開示されたアルゴリズムと同様のアルゴリズム、または(iii)その機能を行うための異なるアルゴリズムのいずれでプログラムされているかに関わらず、その機能を行うプログラムされたかかる製品を含む。
【0074】
方法である機能を行うための手段について記載されている場合、この方法を行うための1つの構造は、その機能を行うようにプログラムされた、および/または、適切なハードウェアで構成された演算装置(例えば、汎用コンピュータ)を含む。
【0075】
また、当業者により理解されるであろうように、他のアルゴリズムを介してその機能を行うようにプログラムされた、および/または、適切なハードウェアで構成された演算装置(例えば、汎用コンピュータ)も含まれる。
【0076】
VIII.免責事項
特定の実施形態への数々の参照は、追加の異なる実施形態の放棄または否認を示すものではなく、同様に、すべてが特定のフィーチャを含む実施形態の説明への参照は、その特定のフィーチャを含まない実施形態の放棄または否認を示すものではない。本願における明瞭な放棄または否認は、「~を含まない(does not include)」とのフレーズまたは「~を行うことができない(cannot perform)」とのフレーズにより導入されるものとする。
【0077】
IX.参照による引用
本明細書中で言及されているいずれの特許、特許出願、または他の文書も、本開示の一部として、しかし35U.S.C.§112第1項に従う記載要件および実施可能要件の目的のみのために、参照により本願に組み込まれ、かかる参照による引用がなければいずれの通常の意味も当業者が確認不可能でない限り、本願のいずれかの用語を限定、定義、またはその他解釈するために何ら用いるべきではない。かかる当業者は、参照において提供されているいずれの実施形態によっても何ら限定される必要はない。
【0078】
いずれの参照による引用も、それ自体において、およびそれ自体で、本願においてそうでないと明記しない限り、いずれの引用されている特許、特許出願、または他の文書に含まれるいずれの記述、見解、意見、または特徴も何ら是認するか、追認するか、黙認することを暗示するものではない。
【0079】
X.出願経過
本願(請求項を含む)を解釈する際、本願に関係すると考えられる他の特許出願が存在するかに関わらず、本願と優先権主張を共有する他の特許出願が存在するかに関わらず、当業者は、他のいずれかの特許または特許出願の出願経過ではなく、本願の出願経過を参照するものとする。
【0080】
XI.実施形態
様々な実施形態は、1種類以上の金融商品(例えば、債券、債券先物取引、金利スワップ、他の証券、ストックオプション、商品、株式、通貨、上記のいずれかの派生商品等)の売買のためのシステムおよび/または方法に関する。2008年1月14日に出願され、参照により本明細書に組み込まれるLutnickによる米国特許出願第12/014027号明細書では、かかる売買に関するいくつかの例示的システムおよび方法が検討されている。Chicago Mercantile Exchangeは、かかる金融商品の売買を容易化するように操業している取引所の例である。
【0081】
図1は、例示的売買システムを示す。金融商品の売買には、典型的には、2つの側(すなわち、買主101および売主103)と少なくとも1つの仲介者(例えば、Chicago Mercantile Exchangeなどの取引所105、ブローカ107、等)とが関与する。
図1の例では、第1の金融商品の買主101は、第1の金融商品を買いたいという所望をブローカ107に表明することができる。ブローカ107は、第1の金融商品の買い注文を取引所105に送信することができる。
【0082】
取引所105は、金融商品の売買を容易化するように構成された1つ以上のコンピュータシステムを含んでもよい。いくつかの実装では、取引所は、注文の指示を受信し、指示された注文のいずれかが合致するかを決定し、合致する注文の少なくともいくつかの実行を容易化するように構成された1つ以上のコンピュータシステムを含んでもよい。取引所105は、買い注文に関する情報を格納してもよく、その情報を検証してもよく、買主101を認証してもよく、ブローカ107を認証してもよく、買い注文についての情報を公表してもよく、および/または他のいずれかの所望される作用を行ってもよい。取引所105は、同じ金融商品についての合致する売り注文が取引所105に提出されたかを決定してもよい。注文は、同じ金融商品についての売買の反対の側についてのものであれば合致させてもよいし、同様の金融商品についての売買の反対側当事者からのものであれば合致させてもよいし、同じ価格のものであれば合致させてもよいし、重なる価格帯のものであれば合致させてもよいし、同じ価格設定方法を用いるものであれば合致させてもよいし、同様の数量のものであれば合致させてもよいし、同じ数量のものであれば合致させてもよいし、重なる数量範囲のものであれば合致させてもよいし、および/または様々な実装において注文が合致するかを他のいずれかの情報を用いて決定してもよい。
【0083】
かかる合致する注文が提出されていなければ、取引所は、合致する売り注文が将来受信される場合のために買い注文を識別する情報を格納してもよい。本例では、売主103は、いつか将来の時点で金融商品についての売り注文を提出するかもしれない。取引所105は、そのときに、買い注文および売り注文の各々の少なくとも一部分を満足させる売買の実行を容易化することができる。ブローカ107の使用および売買の両方の側は例としてのみ与えられるものであり、他の実施形態では他の編成を含んでもよい、ということを認識すべきである。
【0084】
いくつかの実施形態では、ある数量の金融商品が関与する売買は、ある価格で容易化することができる。いくつかの実施形態では、買主および/または売主により提出された情報が、買主および/または売主が売買を行う意志を有する価格および/または価格帯を識別するかもしれない。価格が同じであるか価格帯が重なっていれば、売買を容易化することができる。売買は、識別された価格で、および/または、何らかの価格設定方法に従い行うことができる。いくつかの実施形態では、かかる価格設定方法は、中間価格設定、出来高加重平均価格設定、取引所における直近の売買価格に基づく価格設定などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、価格および/または価格設定方法は、買主と売主との間の交渉を通じて決定してもよいし、および/または、取引の容易化が行われる取引所が設定してもよい。他のいずれかの方法を用いて価格を決定してもよい。
【0085】
取引することができる金融商品の数量は、買主および/または売主により提出された情報により識別することができる。いくつかの例では、数量は、買主と売主との両方により提出された情報について同じであるかもしれない。数量が同じ場合、いくつかの実装では、ある価格で取引される数量は、買主と売主との両方により識別された数量を含んでもよい。他の実装では、識別された数量が買主および売主の各々について異なるかもしれない。数量が異なる場合、ある価格で取引される数量は、2つの数量の一方であってもよいし、および/または、他の何らかの数量であってもよい。例えば、一実装では、数量は、2つの数量の少ない方であってもよい。いくつかの実装では、買主と売主との間で交渉を行って数量を決定してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、売買の容易化は、売買を実行する助けとなる1つ以上の作用を含んでもよい。売買の容易化は、注文の実行の容易化および同様の用語で呼んでもよい。実行の容易化は、例えば、複数の注文を複数の取引所の1つに配置するステップを含んでもよい。かかる配置は、以下で説明する分散に従い行ってもよい。売買の実行は、金融商品を何か他のもの(例えば、金銭、別の金融商品、クレジット等)と交換するステップを含んでもよい。売買の容易化のいくつかの例には、売買についての情報を手形交換所に転送するステップ、売買の実行を行うステップ、金融商品をある人から別の人に譲渡するステップなどを含んでもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、売買の当事者は、売買に関する1つ以上の条件について交渉してもよい。例えば、当事者は、売買の価格、売買対象金融商品の数量、売買を実行する時間、売買を実行する方法、売買の実行に関するサービスの提供者などについて交渉してもよい。交渉は、電子的に(例えば、インスタントメッセージインタフェース、電子メールインタフェースなどのコンピュータインタフェースを通じて)、直接会って、電話などにより行ってもよい。
【0088】
所望される売買についての受信された情報は、注文と呼ぶことができる。注文は、例えば、1つ以上の金融商品の売買についての所望を識別するいずれかの情報を含んでもよい。注文は、売買仲介者により所望される具体的な形式(例えば、XML形式の電子メッセージ、FIXメッセージ等)に従いフォーマットされていてもよい。注文は、買い注文、売り注文、ショート注文、スワップ注文、成行注文、および/または他のいずれかの種類の注文を含んでもよい。注文は、有効期間(例えば、ある日の売買の終了まで、1時間、即時充足されなければキャンセル等)を識別してもよい。注文は、価格、価格設定方法、および/または数量を識別してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、1つ以上のインタフェースを用いて売買仲介者と相互作用(例えば、買主および/または売主が注文についての情報を提出)してもよい。例えば、一実施形態では、インタフェースにより、ある人が金融商品を売買したいという所望についての情報を入力し、その情報を取引所に提出することが可能になる。かかる提出された情報についての情報は、インタフェースを通じてその人に表示してもよい。いくつかの実施形態では、人々が売買情報を提出してもよく(例えば、電話で、コンピュータに、等)、および/または、コンピュータ(例えば、アルゴリズム売買システム、注文管理システム、売買インタフェース等)がかかる情報を提出してもよい、ということを理解すべきである。
【0090】
上記説明は、単一の売主と買主とが仲介者を通じて相互作用するいくつかの実施形態の売買例について説明したものである、ということを認識すべきである。他の実施形態は、そのように限定されるものではなく、以下で説明するように、様々な実施形態では、いずれの数の売買仲介者、いずれの数の買主、いずれの数の売主、ならびに/またはいずれの数の作用および/もしくは装置を含んでもよい、ということを認識すべきである。
【0091】
いくつかの実施形態では、例えば、取引所は、売りよりも多い数量の金融商品を買う指示(またはその反対)を受信するかもしれない。例えば、金融商品の買主は、合計で10,000株を買う要請となる注文を取引所に提出するかもしれない。いずれの売主も、その金融商品を売る注文を同じ取引所に提出しないかもしれない。他の実施形態では、売主の注文が提出されるかもしれないが、買主の注文とは合致しない価格に関連するものかもしれない。第1の売主が買い注文に合致する売り注文を提出すれば、取引所は、何らかの分散方法を用いて売主の注文による金融商品の数量を買主の注文の間で分散させることができる。売り注文に関連する数量が買い注文の総和の数量以上であれば、すべての買い注文を満足させることができる。そうでなければ、何らかの分散方法を用いていずれの注文を満足させるかを決定することができる。
【0092】
様々な実施形態では、取引所は、いずれの分散アルゴリズムを用いてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、FIFO(先入れ先出し)アルゴリズムを用いてもよい。FIFOアルゴリズムでは、最初に提出された注文を次に入ってくる合致する注文と合致させる。そのため、例えば、上記例における売り注文は、取引所に最初に提出された買い注文と最初に合致させる。売り注文がその最初の買い注文よりも大きい数量を有するのであれば、2番目に提出された買い注文にも合致させ、売り注文が完全に満足されるまで同様に合致させることができる。
【0093】
別の例示的アルゴリズムは、比例アルゴリズムを含む。比例アルゴリズムでは、売買の当事者の多数の未決注文を、各々、合致する注文が提出されたときに部分的に満足させることができる。注文は、等しい量についての注文に関連する金融商品の量に比例して、および/または、他のいずれかのやり方で合致させることができる。例えば、単純な均等充足比例アルゴリズムでは、買い注文の各々に、買い注文が満足されるまで売り注文から等しい数の金融商品を与えてもよい。これにより、買い注文のいずれの1つも完全に満足させることはできないかもしれないが、それらのすべてを部分的に満足させることができる。
【0094】
いくつかの実装では、少なくとも部分的に比例法を用いる取引所を含んでもよい。かかる方法は、ビジネスロジック要素を伴う比例法、混成比例/FIFO法、および/または比例要素を用いる他のいずれかの方法を含んでもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、分散方法にビジネスロジック要素を含んでもよい。ビジネスロジック要素によれば、どのように未決注文を充足させるかを決定する際に注文、トレーダ、および/または状況の様々な特性を考慮することにより、取引所の運営者または取引所の顧客の好みに添うように方法を働かせることができる。かかるビジネスロジック要素は、FIFOまたは比例法の一部であってもよく、それにより、方法を純粋なFIFOまたは比例アルゴリズムから混成法に調整することができる。例えば、いくつかの実施形態では、閾値未満の量の注文が比例法を用いて満足されていなければ、ビジネスロジック要素により、その注文が満足されるとともにその他の注文がさほど満足されないように比例充足法を調整してもよい。別の例として、FIFOアルゴリズムにおける注文が大きければ、その注文をより小さくより早く提出された注文よりも優先させる、などとしてもよい。いくつかの例示的ビジネスロジック要素は、例えば、大きい注文を優先する、注文の小部分を充足させて注文を完成させる、より大きい注文が未決であれば小さい注文を無視する、ある顧客を他の顧客よりも(例えば、大口顧客を小口顧客よりも)ひいきにする、しばらくの間未決であった注文を他の注文よりも優先的に充足させる、などを含む。
【0096】
一例では、取引所は、注文をそれらの注文に関連する数量に比例するように満足させ、1つの金融商品についての注文を未決のまま残さない比例法を用いる。かかる取引所では、ある金融商品についての2つの買い注文が未決であり、第1の注文が100単位、第2の注文が200単位についての注文であるかもしれない。同じ金融商品の297単位についての売り注文が到着すると、取引所は、次のように売買を開始することができる。100単位についての注文を99まで充足させ、200単位についての注文を197まで充足させることができる。さらなる1単位の売りは100単位の注文に与えることができ、それにより、1単位の商品についての部分的に満足された注文が未決でなくなり、3単位の金融商品についての買い注文のみが取引所において未決となる。
【0097】
いずれの満足法をいずれの実施形態で用いてもよく、いくつかの実施形態は比例アルゴリズムに焦点を置いているかもしれないが、それらの実施形態は非限定的な例としてのみ与えられるものである、ということを認識すべきである。
【0098】
いくつかの実施形態では、単一の金融商品についての注文の配置に多数の取引所が利用可能であり得る、ということが認識される。例えば、CMTおよびELX取引所が、ともに先物取引、オプション取引、および/または他のいずれかの種類の金融商品の売買を可能にするかもしれない。各取引所は、同じまたは異なる注文を満足させるための方法を有し得る。いくつかの実施形態では、予想注文満足速度および/または確率を増加させ得るやり方で注文を多数の取引所に提出することができる、ということが認識される。かかる注文の提出は、注文を満足させるための方法を考慮してもよく、注文を満足させるための方法を推定してもよく、注文充足履歴を考慮してもよく、注文提出履歴を考慮してもよく、および/または、他のいずれかの情報を考慮してもよい。いくつかの実施形態では、かかる注文の提出を、市場仲介者(例えば、ブローカ、FIXメッセージプロトコルを用いて、等)を通じて行うことができる。いくつかの実装では、かかる市場仲介者は、それを通じて注文を提出することができるコンピュータシステムを含んでもよい。かかる市場仲介者は、1つ以上の取引所へのアクセスを有してもよく、注文全体を多数の取引所のいずれか1つに提出する場合に比べて予想注文満足速度および/または確率を増加させ得るやり方で、注文の部分を1つ以上の取引所に提出することができる。
【0099】
図2は、いくつかの実施形態において注文を多数の取引所に提出するために行われ得る例示的方法200を示す。方法200は、例えば、ブローカ、多数の取引所に連結されたコンピュータシステムなどの市場仲介者により行われ得る。方法200は、ヘッジファンドなどの売買組織により用いられる売買コンピュータにより行われ得る。方法200は例としてのみ与えられるものであり、他の実施形態では異なる方法、異なる作用、追加の作用、代替の作用などを含んでもよい、ということを認識すべきである。
【0100】
ブロック201に示すように、方法200は、注文の指示を受信するステップを含み得る。注文は、1つ以上の金融商品を買うおよび/または売る注文であってもよい。指示は、人、コンピュータシステム、市場仲介者、ブローカ、売買の主体、および/または他のいずれの存在から受信してもよい。指示は、通信ネットワークを介して、電話を介して、電子ネットワークを介して1つ以上のパケットとして、FIXメッセージとして、および/または他のいずれかのやり方で受信してもよい。指示は、金融商品についての売買の当事者の識別を含んでもよい。指示は、売買についての数量および/または数量範囲を含んでもよい。指示は、価格、価格帯、価格設定方法、および/または売買価格についての他のいずれかの情報を含んでもよい。
【0101】
ブロック203に示すように、方法200は、複数の取引所のうちの1つ以上の取引所がどのように注文を満足させるかについての情報を受信するステップを含み得る。1つの取引所は、例えば、比例法に従い注文を満足させてもよく、別の取引所は、例えば、FIFO法に従い注文を満足させてもよい、などである。1つ以上の取引所は、いずれかの組み合わせで注文を満足させるためのいずれかの方法を用いてもよい。情報は、例えば、取引所から(例えば、取引所がどのように注文を満足させるかを説明する取引所からの電子メッセージとしてなど)、規制当局から(例えば、SEC、FINRA、取引所がどのように注文を満足させるかについての説明としてなど)、取引所についての公表から(例えば、ウェブサイト、法的公表、広告等)、過去において売買がどのように満足されてきたかの履歴解析から、売買情報履歴のソースなどから受信してもよい。いくつかの実施形態では、かかる履歴解析を、方法の一部として行ってもよい(例えば、過去に行われた満足された売買についての公に開示されている情報を解析してそれらの注文がどのように満足されたかを決定してもよい)。情報は、注文満足方法を十分に識別してもしなくてもよい、ということを認識すべきである。例えば、情報は、注文がどのように満足されるかを決定するために用いられるビジネスロジックのすべてではなくいくつかを識別してもよく、注文がどのように満足されるかについてのビジネスロジックのすべてを識別してもよく、注文がどのように満足されるかのビジネスロジックのいずれも識別しなくてもよい、などである。情報は、その情報から注文満足方法のいくつかまたはすべてを決定することができるいずれかの情報(例えば、方法、注文満足履歴についての説明など)を含んでもよい。取引所は、時折、注文満足方法のいくつかまたはすべてを変更してもよく、いくつかの実施形態はで更新された情報を受信してもよいが(例えば、時折、連続的に、変更後ある期間後など)、他の実施形態では受信しなくてもよい、ということも認識すべきである。
【0102】
ブロック205に示すように、方法200は、複数の取引所のうちの1つ以上の取引所における注文満足速度についての情報を受信するステップを含み得る。情報は、例えば、注文満足履歴(例えば、過去において注文が満足された速度、同様の状況において注文が満足された速度等)を含んでもよい。かかる履歴情報から予想注文満足速度を決定してもよい。第三者が予想注文満足速度を識別してもよい。注文満足速度は、注文の反対の側を有する次の注文が到着するまでの予想される時間、期間当たりの予想される到着注文量、および/または、入ってくる注文の速度に関するもしくはかかる情報を導出することが可能な他のいずれかの情報を識別してもよい。
【0103】
ブロック207に示すように、方法200は、複数の取引所のうちの1つ以上における未決注文についての情報を受信するステップを含み得る。未決注文は、金融商品についての売買の同じ側についての注文および/または金融商品についての売買の反対の側についての注文についての情報を含んでもよい。かかる情報は、例えば、取引所により提供された公表された情報(例えば、利用可能な売買についての冊子)、第三者情報提供者から受信するか、履歴情報に基づいて推定するか、および/または他のいずれかのソースから受信するか、および/または他のいずれかのやり方で決定してもよい。
【0104】
ブロック209に示すように、方法200は、注文(すなわち、ブロック201からの)を満足させるように複数の取引所についての注文の分散を決定するステップを含み得る。いくつかの実装では、注文をすべて複数の取引所のうちの1つに提出した場合よりも予想注文満足速度が高くなるように、および/または、注文をすべて複数の取引所の1つに提出した場合よりもある期間における注文満足確率が高くなるように、注文の分散を決定してもよい。いくつかの実施形態では、分散を、複数の取引所のいくつかまたはすべてについての注文満足方法、複数の取引所のいくつかまたはすべてにおいて未決の注文、複数の取引所の1つまたはすべてについての注文満足速度、および/または他のいずれかの情報に基づかせてもよい。
【0105】
一例示的実施形態では、2つの取引所が比例法で注文を満足させてもよく、注文の分散を受信した注文について一度決定してもよい。後述するように、いくつかの実施形態では、取引所の変化する条件に基づいて新たな分散を決定してもよいが、すべての実施形態においてかかる新たな分散を決定しなくてもよい。
【0106】
本例示的実施形態では、第1の取引所がV1に等しい予測注文満足速度を有し、第2の取引所がV2の予想注文満足速度を有してもよい。第1の取引所は、注文と同じ売買の側にX1に等しい商品の数量についての未決注文を有し、反対の側にY1に等しい商品の数量についての注文を有してもよい。第2の取引所は、注文と同じ側にX2に等しい商品の数量についての未決注文を有し、売買の反対の側にY2に等しい商品の数量についての未決注文を有してもよい。
【0107】
一実装では、未決注文に基づいて分散させる第1の量を決定することにより分散を決定してもよい。例えば、(X-Y)/Vの値がより小さい取引所を決定してもよい。その値がより小さい取引所については、Oに等しい注文の一部分を割り当てることで、取引所にOを加算した未決注文を満足させる予想を等しくしてもよい。取引所1がより小さい値を有するものと仮定すると、Oは次式により決定することができる。
【数1】
【0108】
いくつかの実装では、Oの値が注文の規模よりも大きければ、注文の全体をその取引所に配置してもよい。いくつかの実装では、Oの値が注文の量未満であれば、注文の残りの部分を各取引所における予想注文満足速度に従い取引所間で分散させてもよい。例えば、次式に従う量を各取引所に配置してもよい。
【数2】
式中、Tは注文の規模、PXは取引所Xにおける部分、およびVXは取引所Xにおける注文満足速度である。以下で説明するように、いくつかの実装では、この結果端数が生じ得るため、いくつかの実施形態では、注文のいくつかの取引所への送信を容易化するために整数および/または整ったロットに丸め処理を行うステップを含んでもよい。
【0109】
上記の例示的決定は非限定的な例示的実装にすぎない、ということを認識すべきである。他の実施形態では、他のいずれかの分散決定方法を含んでもよい。他の実施形態は、分散を決定する要素のすべてを含まなくてもよい(例えば、丸め処理を行っても行わなくてもよい、未決注文に基づいて当初の決定を行っても行わなくてもよい、など)。
【0110】
上述のように、および以下で説明するように、方法200のいくつかの実施形態では、取引所において未決の注文の量が変化したときに、および/または、1つ以上の取引所に関する他の状況が変化したときに、新たな分散を決定してもよい。いくつかの実施形態では、上記と同じまたは異なるアルゴリズムを用いて分散を決定してもよい。
【0111】
分散を決定する第2の例については、2つの取引所が比例注文満足法を用いてもよい。第1の取引所における予想売買高はV1であってもよく、第2の取引所における予想売買高はV2であってもよい。このため、次の売買が第1の取引所で生じる予想確率はV1/(V1+V2)であってもよく、次の売買が第2の取引所で生じる予想確率は、V2/(V1+V2)であってもよい。一実装では、第1の取引所は、注文と同じ側に合計規模がX1の未決注文を有し、第2の取引所は、注文と同じ側に合計規模がX2の未決注文を有する。本例では、いずれの側も、注文の反対の側に未決注文を有さない。いくつかの実施形態では、次の売買により満足される注文の予想される量が、注文がすべて1つ取引所のみに配置された場合よりも大きくなるように、分散を決定してもよい。
【0112】
一実装では、注文がTに等しい合計規模を有してもよい。いずれかの取引所における次の売買の合計規模がNであれば、第1の取引所について満足されることが予想される部分は、N≦(X1+P1)であればN*[P1/(X1+P1)]、N>(X1+P1)であればP1であってもよい。式中、P1は第1の取引所に分散される注文の部分である。
【0113】
他の実装では、X1+P1に対するNの規模を決定してもよく、比較結果によって分散を決定するための異なるストラテジを用いてもよい。いくつかの実装では、N≦X1+P1であるとの仮定で分散を決定してもよい。いくつかの実装では、次の売買の規模が不明であるかもしれない。規模がNである次の売買から割り当てられることが予想される合計量は、N≦X1+P1である場合、{[V1/(V1+V2)]*N*[P1/(X1+P1)]}+{[V2/(V1+V2)]*N*[P2/(X2+P2)]}により決定してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの取引所により受信されることが予想される注文の予想される規模(すなわち、N)に少なくとも部分的に基づいて、分散を決定してもよい。
【0114】
いくつかの実装では、次の売買についての予想される分散を最大化することにより分散を決定してもよい。例えば、上記の実装では、最大の予想される割り当てをN/(V1+V2)*MAX(P1){[V1*P1/(S1+P1)]+V2*[(T-P1)/(S2+T-P1)]により決定してもよい。いくつかの実装では、この式を最大化するP1の選択をNと独立させることができる(いくつかの実装では、この選択がN≦X1+P1との仮定で行われる)。この値を最大化する様々な方法は、当該技術において容易に理解されよう。例えば、様々な数理計画法、関数、および/または推定値を用いてP1の最大値を決定してもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、Nが大きい(例えば、X1+P1よりも大きい)と予想される場合、Nが小さいと予想される場合とは異なるように分散を決定してもよい。Nの規模を決定するため、1つ以上の取引所における売買規模の分散を解析してもよい。かかる情報は、例えば、ブロック205において得てもよい。例えば、取引所における売買の平均規模を用いて次の売買の規模Nを推定してもよい。売買の規模が大きいと予想されれば、例えば、大きい売買を受けることが予想される取引所に分散させる量を増加させてもよい。
【0116】
上述のように、分散の決定は、いくつかの取引所には許容されないかもしれない(例えば、いくつかの取引所は整数の注文および/または10、100などの倍数の注文しか許容しないかもしれない)端数または半端なロットを含むかもしれない。このため、いくつかの実装では、決定された分散における注文の部分をかかる取引所に許容されるように丸め処理を行ってもよい。かかる丸め処理は、満足の速度または確率の増加を維持するために行ってもよい。例えば、1.1の数量を有する部分が第1の取引所に配置されるべきであり、2.9の数量を有する部分が第2の取引所に配置されるべきであると分散が決定し、両方の取引所が整数値の注文のみを許容するのであれば、1:3の比で注文が配置された場合の予想速度が2:2の比で注文が配置された場合よりも速いか遅いかを決定し、2つのうちの速い方を分散として選択してもよい。丸め処理された注文の値を決定するいずれの方法を用いてもよく、与えられた例は非限定的な例示的実装にすぎない、ということを認識すべきである。
【0117】
上記例は比例満足法を用いる2つの取引所を含み、他の実施形態では、ビジネスロジック要素を有するまたは有しないFIFO法と比例法との混合セットを含む、注文を満足させるためのいずれかの方法を用いるいずれかの数の取引所を含んでもよい、ということを認識すべきである。
【0118】
例えば、取引所が非常に小さい注文よりも非常に大きい注文を優先するビジネスロジック要素を用いる実装では、非常に大きい未決注文が取引所に既に存在していれば、非常に小さい注文を取引所に配置することを回避するように分散を決定してもよい。別の例として、多くの小さい未決注文が取引所に存在していれば、小さい注文の前に満足されるであろう非常に大きい注文を取引所に配置するように分散を決定してもよい。かかる決定は、例えば、非常に小さい注文のみが未決であれば、X1および/またはX2を0に設定した状態で上記のように決定を行うことによりなしてもよい。計算の結果、十分に大きい部分が取引所に配置されることにより、取引所のビジネスロジックが非常に小さい注文の前に注文を充足させるのであれば、そのより大きい部分を含むように分散を決定してもよい。かかるやり方で決定された部分が十分に大きくなければ、X1およびX2をそれらの実際の値に設定した状態で分散を計算してもよい。いくつかの実装では、取引所のうちの1つにおいて未決の注文が、その注文に関連する数量が小さいため、合致する注文により満足されない確率に少なくとも部分的に基づいて、分散を決定してもよい。他のビジネスロジック要素は、分散に対して他の影響を有し得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、取引所のうちの1つ以上がFIFO満足法を用いてもよい。かかる方法では、注文が変更されれば、その注文についての優先度が低下し得るため、いくつかの状況では、当初の注文が配置された後に分散を変更することにより満足速度が低下し得る。このため、かかる実装では、FIFO法の取引所への当初の分散が決定されると、かかる分散は、変更できなくてもよく、または比例法の取引所間での分散ほどの頻度で変更できなくてもよい。例えば、3つの取引所のうちの2つが比例満足法を用い1つがFIFO満足法を用いる実装では、3つの取引所について当初の分散を決定してもよく、2つの比例法の取引所について更新された分散を決定してもよい。FIFO法の取引所に配置されるように決定された部分は変更できなくてもよい。その部分は、閾値時間が経過しない限り、注文があるレベルの優先度に達しない限り、注文の後に他のいくつかの注文がFIFO法の取引所に配置されない限り、比例法の取引所における注文が閾値レベルまで満足されない限り、および/または、他の何らかの状況が生じない限り、変更できないてもよい。FIFO法の取引所は多くのやり方で扱ってもよく、前述の実装は非限定的な例としてのみ与えられるものである、ということを認識すべきである。
【0120】
いくつかの実装では、取引所が比例法とFIFO法との混成を用いて操業してもよい。いくつかの実装では、上記例の1つ以上に従い、または取引所により行われ得る様々な混成法を構成する他のいずれかのやり方に従い、分散を決定してもよい。
【0121】
ブロック209に示すように、方法200は、決定された分散に基づいて複数の取引所のうちの少なくとも1つに売買についての注文を送信するステップを含み得る。かかる情報を送信するステップは、通信ネットワークを介して注文(すなわち、ブロック201からの)の決定された部分を満足させる注文に関する情報を複数の取引所のうちの1つ以上に送信するステップを含んでもよい。かかる送信は、例えば、FIXプロトコルを用いて行ってもよい。かかる送信は、取引所に向けて直接および/または1つ以上の仲介者に向けて行ってもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、
図2に実線で示すように、方法200をブロック211で終了させてもよい。他の実施形態では、破線で示すように、方法200をブロック205にループさせてもよい。ブロック205では、複数の取引所のうちに1つ以上において未決の注文についての情報を受信してもよい。いくつかの実装では、例えば、複数の取引所のうちの少なくとも1つの取引所において未決の注文に関連する数量の総和の変更の指示が受信されてもよい。受信された指示は、例えば、1つ以上の注文のいくつかまたはすべてが満足されたこと、他の注文が満足されたこと、新たな注文が配置されたこと、注文が取消されたことなどを示してもよい。次いで、方法200は再びブロック207に進み、新たな分散を決定してもよい。方法はブロック209に進み、その新たな分散に従い新たな注文のセットを配置してもよい。方法200は、例えば、注文が満足された状態、注文のわずかな量のみが満足されずに残った状態(例えば、何らかのパーセンテージ、何らかの絶対数、金融商品の流動性に対する何らかの量など)などになるまで、かかるようにループさせ続けてもよい。いくつかの実施形態では、方法200は、その上またはその代わりに、注文を満足させるために取引所が用いる方法の変更、注文満足速度の変更、および/または他のいずれかの状況の変更についての情報を受信してもよい。かかる情報を用いて新たな分散を決定してもよい。
【0123】
方法200は例としてのみ与えられるものであり、他の実施形態では異なる方法を含んでもよい、ということを認識すべきである。本願は請求項の範囲を限定しないいくつかの例示的実施形態を開示し、本明細書中で説明されていない他の実施形態も予期されている、ということを認識すべきである。
【0124】
図3は、方法200と同様の方法を行うことができるシステム301の例を示す。システム301は、1つ以上のコンピュータシステム、プロセッサ、ブレード、および/または他のいずれかの装置を含んでもよい。システム301は、1つ以上のコンピュータシステムを含んでもよい複数の取引所303に連結することができる。システム301は、例えば、ブローカ、コンピュータシステム、トレーダまたは他の人、電話、および/または他のいずれかの注文情報ソースを含んでもよい複数の注文ソース305に連結することができる。システム301は、1つ以上の通信ネットワーク307を通じて複数の注文ソース305に連結することができる。システム301は、1つ以上の通信ネットワーク309を通じて取引所303に連結することができる。通信ネットワーク307および309は、同じまたは異なる通信ネットワーク(例えば、プライベートネットワーク、インターネット等)であってもよい。
【0125】
図3は例示的構成のみを示すものであり、他の実施形態では他のいずれの構成を含んでもよい、ということを認識すべきである。
【0126】
一例示的実装では、仲介者を3つの取引所に接続してもよい。仲介者は、第1の取引所が、1時間よりも長い間未決であった注文をその期間は未決でない注文よりも優先するが、1時間以内の注文は比例法で満足させる混成比例/FIFO満足法を用い、第2の取引所が10単位未満の注文よりも10単位を超える注文をひいきにする比例満足法を用い、第3の取引所がFIFO満足法を用いることを識別する情報を受信してもよい。
【0127】
本例では、仲介者は、100株の株式を買う注文の指示を受信するかもしれない。仲介者は、第1の取引所において2つの注文が未決であり、1つの注文は10株についてのもので5分間未決であり、1つの注文は20株についてのもので2時間未決であるという指示を受信するかもしれない。仲介者は、第2の取引所において2つの注文が未決であり、1つの注文は20株についてのものであり、1つの注文は5株についてのものであるという指示を受信するかもしれない。仲介者は、第3の取引所において10株についての1つの注文が未決であるという指示を受信するかもしれない。
【0128】
本例では、仲介者は、第1の取引所の予想満足速度が期間当たり10株であり、第2の取引所の予想満足速度も期間当たり10株であり、第3の取引所の予想満足速度が期間当たり20株であるという指示を受信するかもしれない。また、仲介者は、取引所に入ってくることが予想される注文の規模が、現在のところ未決で100株についての注文に関して取引所に配置されることが予想される取引所における注文の規模と比較して、相対的に小さいことが予想されるという指示を受信するかもしれない。
【0129】
仲介者は、予想満足速度を向上させるように、未決注文、市場満足ストラテジ、および/または注文満足速度を考慮して取引所間での注文の当初の分散を決定してもよい。
【0130】
当初の分散を決定する際、次に取引所1に入ってくると予想される注文が20株よりも大きくない限り、取引所1はいずれの部分も受け取らないように決定してもよい、というのも、そうでなければ注文のいずれの部分も注文を満足させるために用いられないためである。取引所2については、予想される次の注文が10単位よりも大きくない限り、注文のいずれの部分も取引所2に配置されなくてもよい、というのも、そうでなければ注文のいずれの部分も充足されないためである。
【0131】
一例では、予想される次の注文が、取引所1については25単位、取引所2については25単位、取引所3については50単位である。一実装では、当初の決定された分散が、例えば、10株についての注文が第1の取引所に配置されるべきであり、20株についての注文が第2の取引所に配置されるべきであり、70株についての注文が第3の取引所に配置されるべきであると示すかもしれない。かかる決定は、例えば、1時間を超える間未決であった20株についての注文が満足されるまでは第1の取引所においていずれの注文も満足されなくてもよく、同様に10単位についての未決注文が満足されるまでは第3の取引所においていずれの注文も満足されなくてもよいが、5株のみについての注文の前に10株よりも大きい注文が配置されれば第2の取引所において注文が満足されてもよいということを考慮してもよい。計算例は次の通りである。X1/V1=X3+O3/V3;X1=30、V1=10、X3=10、V3=20;故にO3=50;X1/V1=X2+O2/V2;X2=20(取引所2に割り当てられる部分が10であると予想される場合)または25(その部分が10未満であると予想される場合);V2=10;故にO2=10となり、その部分が少なくとも10に等しいという要件が満たされる。P1は(100-O2-O3)*[V1/(V1+V2+V3)]=10に等しく、P2は(100-O2-O3)*[V2/(V1+V2+V3)]+O2=20に等しく、P3は(100-O2-O3)*[V3/(V1+V2+V3)]+O3=70に等しくなる。
【0132】
1つ以上の取引所の未決注文に変更が生じた場合、分散を調整してもよい。例えば、第1の取引所において未決の20単位についての注文が満足され、いずれの新たな注文も第3の取引所に配置されなければ、第1の取引所に20単位、第2の取引所に15単位、第3の取引所に60単位となるように分散を調整してもよい。しかし、第3の取引所において注文が配置されることにより第3の取引所における未決注文が変更され、その結果、第3の取引所における優先度が喪失されるのであれば、いくつかの実装では、第3の取引所には変更を生じさせないがその他の2つの取引所に変更がなされ、その結果、20、10、70の分散となるように、分散が変更される。いくつかの実装では、第3の取引所に変更をなすかについての決定は、第3の取引所における新たな注文の規模、第3の取引所における分散の変更の規模、第3の取引所に次に配置される注文の規模の予想、および/または第3の取引所における注文満足速度に影響し得る他のいずれかの基準に基づいてなしてもよい。
【0133】
本具体例は非限定的な説明としてのみ与えられている、ということを認識すべきである。他の実施形態では、いずれの満足法を用いるいずれの数の取引所を含んでもよく、分散を決定するいずれの方法を含んでもよく、いずれの規模の注文を含んでもよく、いずれの仮定も行っても行わなくてもよく、ならびに/または他のいずれの要素および/もしくは作用を含んでもよい。
【0134】
XII.他の実施形態
以下は、請求項としてではなく実施形態として考慮すべきものである。
A
第1の注文の指示を受信するステップであって、第1の注文は、売買対象商品、売買対象商品の数量、および商品についての売買の側を含む、ステップと、
金融商品についての売買の側についての注文が複数の取引所のうちの少なくとも1つの第1の取引所により満足されることが予想される速度の指示を受信するステップと、
少なくとも1つの数量の指示を受信するステップであって、少なくとも1つの数量のうちの各数量は、複数の取引所のうちの少なくとも1つの第2の取引所において未決の第2の注文に関連する数量の総和を含み、第2の注文は、商品および商品についての売買の側を含む、ステップと、
複数の取引所のうちの少なくとも1つの第3の取引所により取引所により受信された注文を合致させるときに取引所において未決の注文を満足させるために用いられる方法の指示を受信するステップと、
速度、少なくとも1つの数量、および方法に少なくとも部分的に基づいて、複数の取引所間での第1の注文についての分散を決定するステップと、
分散に従い複数の取引所における注文の実行を容易化するステップと、
を含む、方法。
【0135】
A.1.
第1の取引所、第2の取引所、および第3の取引所は同じ取引所である、請求項Aに記載の方法。
【0136】
A.2.
実行を容易化するステップは、複数の注文を配置するステップであって、複数の注文の各々が、第2の分散に従い複数の取引所のうちの1つにおいて配置される、ステップを含む、請求項Aに記載の方法。
【0137】
A.3.
複数の取引所のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に比例法で注文を満足させる、請求項Aに記載の方法。
【0138】
A.3.1.
複数の取引所のうちの少なくとも1つは、混成比例/FIFO法で注文を満足させる、請求項A.3に記載の方法。
【0139】
A.3.2.
複数の取引所のうちの少なくとも他の1つは、FIFO法で注文を満足させる、請求項A.3に記載の方法。
【0140】
A.3.3.
複数の取引所のうちの少なくとも1つは、ビジネスロジック要素を含む比例法で注文を満足させる、請求項A.3に記載の方法。
【0141】
A.4.
分散を決定するステップは、複数の取引所のうちの少なくとも1つにより受信されることが予想される第3の注文の予想規模に少なくとも部分的に基づいて、分散を決定するステップであって、第3の注文は、商品および商品についての売買の反対の側を含む、ステップを含む、請求項Aに記載の方法。
【0142】
A.5.
注文満足方法の指示は、少なくとも1つの取引所において満足された注文の履歴の指示と注文満足方法の説明との少なくとも一方を含む、請求項Aに記載の方法。
【0143】
A.6.
速度の指示は、少なくとも1つの取引所において満足された注文の履歴を含む、請求項Aに記載の方法。
【0144】
A.7.
分散を決定するステップは、複数の取引所のうちの少なくとも1つにおいて未決の少なくとも1つの第2の注文が、少なくとも1つの第2の注文に関連する数量が小さいため、複数の取引所のうちの少なくとも1つにより受信される第3の注文により満足されない確率に少なくとも部分的に基づいて、分散を決定するステップを含む、請求項Aに記載の方法。
【0145】
A.8.
複数の取引所のうちの少なくとも1つは、注文の指示を受信し、指示された注文のいずれかが合致するかを決定し、合致する注文の少なくともいくつかの実行を容易化するように構成されたコンピュータシステムを含む、請求項Aに記載の方法。
【0146】
A.9.
分散は、複数の取引所の各々に注文として配置される第1の注文に関連する数量の部分の決定を含む、請求項Aに記載の方法。
【0147】
A.10.
プロセッサに請求項Aに記載の方法を行わせるように構成された複数の指示を格納した少なくとも1つの機械可読媒体。
【0148】
A.11.
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のプロセッサにより実行されると1つ以上のプロセッサに請求項Aに記載の方法を行わせる複数の指示を格納した1つ以上の機械可読媒体と、
を備える、装置。
【0149】
A.12.
請求項A.11に記載の装置に注文を提出するステップを含む、方法。
B.
複数の取引所間での第1の注文についての第1の分散を決定するステップであって、第1の注文は、売買対象商品、売買対象商品の数量、および商品についての売買の側を含む、ステップと、
複数の取引所のうちの少なくとも1つの取引所において未決の第2の注文に関連する数量の総和の変更の指示を受信するステップであって、第2の注文は、商品および商品についての売買の側を含む、ステップと、
指示に少なくとも部分的に基づいて、複数の取引所間での第1の注文についての第2の分散を決定するステップと、
第2の分散に基づいて複数の取引所のうちの少なくとも1つを通じて注文の実行を容易化するステップと、
を含む、方法。
【0150】
B.1.
第2の注文に関連する数量の総和の変更の指示は、第2の注文のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を満足させる売買の実行の指示を含む、請求項Bに記載の方法。
【0151】
B.1.1.
変更の指示は、第1の注文の少なくとも一部分を満足させる売買の実行の指示を含む、請求項B.1に記載の方法。
【0152】
B.2.
実行を容易化するステップは、複数の注文を配置するステップであって、複数の注文の各々が、第2の分散に従い複数の取引所のうちの1つにおいて配置される、ステップを含む、請求項Bに記載の方法。
【0153】
B.3.
複数の取引所のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に比例法で注文を満足させる、請求項Bに記載の方法。
【0154】
B.3.1.
複数の取引所のうちの少なくとも1つは、混成比例/FIFO法で注文を満足させる、請求項B.3に記載の方法。
【0155】
B.3.2.
複数の取引所のうちの少なくとも他の1つは、FIFO法で注文を満足させる、請求項B.3に記載の方法。
【0156】
B.3.3.
複数の取引所のうちの少なくとも1つは、ビジネスロジック要素を含む比例法で注文を満足させる、請求項B.3に記載の方法。
【0157】
B.4.
第2の分散を決定するステップは、複数の取引所のうちの少なくとも1つにより受信されることが予想される第3の注文の予想規模に少なくとも部分的に基づいて、第2の分散を決定するステップであって、第3の注文は、商品および商品についての売買の反対の側を含む、ステップを含む、請求項Bに記載の方法。
【0158】
B.5.
第2の分散を決定するステップは、複数の取引所のうちの少なくとも1つの予想注文満足速度に基づいて第2の分散を決定するステップを含む、請求項Bに記載の方法。
【0159】
B.5.1.
少なくとも1つの速度の指示を受信するステップをさらに含む、請求項B.5に記載の方法。
【0160】
B.5.1.1.
少なくとも1つの速度の変更の指示を受信するステップと、
少なくとも1つの速度の変更に少なくとも部分的に基づいて、複数の取引所間での第1の注文についての第3の分散を決定するステップと、
第3の分散に基づいて複数の取引所のうちの少なくとも1つを通じて注文の実行を容易化するステップと、
をさらに含む、請求項B.5.1に記載の方法。
【0161】
B.6.
第2の分散を決定するステップは、複数の取引所のうちの少なくとも1つにより行われる注文満足方法に基づいて第2の分散を決定するステップを含む、請求項Bに記載の方法。
【0162】
B.6.1.
注文満足方法の指示を受信するステップをさらに含む、請求項B.6に記載の方法。
【0163】
B.6.1.1.
注文満足方法の指示は、少なくとも1つの取引所において満足された注文の履歴の指示と注文満足方法の説明との少なくとも一方を含む、請求項B.6.1に記載の方法。
【0164】
B.7.
第2の分散を決定するステップは、複数の取引所のうちの少なくとも1つにおいて未決の少なくとも1つの第2の注文が、少なくとも1つの第2の注文に関連する数量が小さいため、複数の取引所のうちの少なくとも1つにより受信される第3の注文により満足されない確率に少なくとも部分的に基づいて、第2の分散を決定するステップを含む、請求項Bに記載の方法。
【0165】
B.8.
複数の取引所のうちの少なくとも1つは、注文の指示を受信し、指示された注文のいずれかが合致するかを決定し、合致する注文の少なくともいくつかの実行を容易化するように構成されたコンピュータシステムを含む、請求項Bに記載の方法。
【0166】
B.9.
分散は、複数の取引所の各々に注文として配置される第1の注文に関連する数量の部分の決定を含む、請求項Bに記載の方法。
【0167】
B.10.
プロセッサに請求項Bに記載の方法を行わせるように構成された複数の指示を格納した少なくとも1つの機械可読媒体。
【0168】
B.11.
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のプロセッサにより実行されると1つ以上のプロセッサに請求項Bに記載の方法を行わせる複数の指示を格納した1つ以上の機械可読媒体と、
を備える、装置。
【0169】
B.12.
請求項B.11に記載の装置に注文を提出するステップを含む、方法。
【符号の説明】
【0170】
101 買主
103 売主
105 取引所
107 ブローカ