IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図1
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図2
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図3
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図4
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図5
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図6
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図7
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図8
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図9
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図10
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図11
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図12
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図13
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図14
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図15
  • 特許-助手席用エアバッグの折り畳み方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】助手席用エアバッグの折り畳み方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/237 20060101AFI20220729BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20220729BHJP
【FI】
B60R21/237
B60R21/205
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019019161
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020125055
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】細江 幸治
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-031160(JP,A)
【文献】特開2017-065395(JP,A)
【文献】特開2018-202951(JP,A)
【文献】特開2017-178066(JP,A)
【文献】特開2004-034989(JP,A)
【文献】特表2000-514752(JP,A)
【文献】特開2013-203258(JP,A)
【文献】特開昭62-139740(JP,A)
【文献】米国特許第09187055(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 - 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の助手席前方に配置されるインストルメントパネルに設けられた収納部位に折り畳まれて収納される助手席用エアバッグの折り畳み方法であって、
該エアバッグが、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体と、該バッグ本体内に配置されて前記バッグ本体の膨張形状を規制する補正テザーと、を備える構成とされ、
前記バッグ本体が、膨張完了時の後面側に配置されて乗員を受け止める乗員側壁部と、該乗員側壁部の外周縁から膨張完了時の前端側にかけて収束するように形成されて前端側を前記収納部位側に取り付けられる車体側壁部と、を有する構成とされて、前記車体側壁部における膨張完了時の前端側に、内部に膨張用ガスを流入可能に開口されて周縁を前記収納部位に取り付けられるガス流入口を、配設させるとともに、前記乗員側壁部を、膨張完了時に、前記ガス流入口の中心を通る前後方向に略沿った線を中心線として、車幅方向の中央側に大きく張り出させるように、膨張完了形状を左右非対称形として、構成され、
前記補正テザーが、膨張完了時の前記エアバッグを上下方向側から見た状態において、一端側を、前記乗員側壁部において、車幅方向の外側の端縁と略左右対称となる位置に、結合されて、膨張完了時の前記乗員側壁部の前記収納部位からの離隔距離を規制するとともに、前後方向に略沿うようにして配置され、
前記エアバッグの前記収納部位への折畳収納時に、
前記乗員側壁部を略平らに展開しつつ、前記乗員側壁部を、前記ガス流入口側に接近させるようにして、前記車体側壁部の部位に折目を付けて折り畳んで、第1予備折りバッグを、形成し、
該第1予備折りバッグにおいて、前記補正テザーよりも車幅方向の中央側の領域からなる突出部を、前記補正テザーの一端を前記乗員側壁部に結合させている結合部位付近で山折りの折目をつけるようにして、前記補正テザーよりも車幅方向の外側の領域から構成されている本体部内に折り込んで、第2予備折りバッグを、形成し、
該第2予備折りバッグを、前記収納部位内に収納可能に左右方向の幅寸法を縮小する左右縮小折り工程と、前後方向側の幅寸法を縮小する前後縮小折り工程と、を経て、折り畳むことを特徴とする助手席用エアバッグの折り畳み方法。
【請求項2】
前記補正テザーが、前後で2分割されて前側部材と後側部材とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグの折り畳み方法。
【請求項3】
前記左右縮小折り工程において、前記第2予備折りバッグは、左右方向側の縁部から前記乗員側壁部側に向かって巻くようなロール折りにより、折り畳まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の助手席用エアバッグの折り畳み方法。
【請求項4】
前記補正テザーを前記乗員側壁部に結合させる結合部位が、前記エアバッグの膨張完了時に、上下方向に略沿うとともに、上下の中間部位を、上下の端末よりも車幅方向の中央側に位置させるように、湾曲して、配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の助手席用エアバッグの折り畳み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の助手席前方に配置されるインストルメントパネルに設けられた収納部位に折り畳まれて収納される助手席用エアバッグの折り畳み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、助手席用エアバッグ装置のエアバッグとしては、膨張完了時の後面側に配置されて乗員を受け止める乗員側壁部と、乗員側壁部の外周縁から膨張完了時の前端側にかけて収束するように形成されて前端側を収納部位側に取り付けられる車体側壁部と、を有するとともに、膨張完了時に乗員側に配置される車幅方向の中央側に向かって大きく突出するように、膨張完了時の外形形状を左右非対称として構成されるものがあった(例えば、特許文献1参照)。このエアバッグは、乗員側壁部を略平らに展開しつつ、乗員側壁部を、車体側壁部の前端側に形成されるガス流入口側に接近させるようにして、車体側壁部の部位に折目を付けて折り畳んだ予備折りの状態から、左右方向側の幅寸法を縮めるような左右縮小折りと、前後方向側の幅寸法とを縮めるような前後縮小折りと、を経て、折り畳まれて、収納部位に収納される構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-65395公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のエアバッグでは、乗員側壁部が左右非対称形であることから、乗員側壁部を略平らに展開した状態で折り畳んで形成される予備折り状態においても、左右非対称形として、車幅方向側の中央側の領域の幅寸法が大きい。そのため、膨張初期において、エアバッグが、左右縮小折りによる折りを解消しつつ、展開膨張する際に、左右非対象の状態で膨張することから、左右方向側で揺動が発生する場合があって、エアバッグを左右でバランスよく膨張させ難く、エアバッグを、左右でバランスよく迅速に展開膨張させる点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、膨張完了形状を左右非対称としていても、エアバッグを、展開膨張時に、左右でバランスよく迅速に膨張させることが可能な助手席用エアバッグの折り畳み方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る助手席用エアバッグの折り畳み方法は、車両の助手席前方に配置されるインストルメントパネルに設けられた収納部位に折り畳まれて収納される助手席用エアバッグの折り畳み方法であって、
エアバッグが、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体と、バッグ本体内に配置されてバッグ本体の膨張形状を規制する補正テザーと、を備える構成とされ、
バッグ本体が、膨張完了時の後面側に配置されて乗員を受け止める乗員側壁部と、乗員側壁部の外周縁から膨張完了時の前端側にかけて収束するように形成されて前端側を収納部位側に取り付けられる車体側壁部と、を有する構成とされて、車体側壁部における膨張完了時の前端側に、内部に膨張用ガスを流入可能に開口されて周縁を収納部位に取り付けられるガス流入口を、配設させるとともに、乗員側壁部を、膨張完了時に、ガス流入口の中心を通る前後方向に略沿った線を中心線として、車幅方向の中央側に大きく張り出させるように、膨張完了形状を左右非対称形として、構成され、
補正テザーが、膨張完了時のエアバッグを上下方向側から見た状態において、一端側を、乗員側壁部において、車幅方向の外側の端縁と略左右対称となる位置に、結合されて、膨張完了時の乗員側壁部の収納部位からの離隔距離を規制するとともに、前後方向に略沿うようにして配置され、
エアバッグの収納部位への折畳収納時に、
乗員側壁部を略平らに展開しつつ、乗員側壁部を、ガス流入口側に接近させるようにして、車体側壁部の部位に折目を付けて折り畳んで、第1予備折りバッグを、形成し、
第1予備折りバッグにおいて、補正テザーよりも車幅方向の中央側の領域からなる突出部を、補正テザーの一端を乗員側壁部に結合させている結合部位付近で山折りの折目をつけるようにして、補正テザーよりも車幅方向の外側の領域から構成されている本体部内に折り込んで、第2予備折りバッグを、形成し、
第2予備折りバッグを、収納部位内に収納可能に左右方向の幅寸法を縮小する左右縮小折り工程と、前後方向側の幅寸法を縮小する前後縮小折り工程と、を経て、折り畳むことを特徴とする。
【0007】
本発明の助手席用エアバッグの折り畳み方法では、エアバッグが、左右非対称形に膨張して、乗員側壁部を、膨張完了時に、車幅方向の中央側に大きく張り出させる構成とされるものの、エアバッグは、乗員側壁部を略平らに展開するようにして車体側壁部の部位に折目を付けて折り畳んで、左右非対称形として形成されている第1予備折りバッグを、さらに、略左右対称形となるように折り畳んで第2予備折りバッグを形成し、その後、前後左右の幅寸法を縮められるように折り畳んで収納部位内に収納される構成である。具体的には、第2予備折りバッグでは、第1予備折りバッグにおいて、補正テザーよりも車幅方向の中央側の領域からなる突出部を、補正テザーの一端を乗員側壁部に結合させている結合部位付近で山折りの折目をつけるようにして、補正テザーよりも車幅方向の外側の領域から構成されている本体部内に折り込む構成とされている。すなわち、第2予備折りバッグは、ガス流入口を中心として略左右対称形とされることとなる。そのため、本発明の折り畳み方法で折り畳んで収納部位に収納される助手席用エアバッグは、膨張初期に、まず、収納部位から突出しつつ、前後縮小折りと左右縮小折りとを解消するように、突出部の折り込み状態を維持しつつ、展開膨張することとなり、その後、突出部を、折り込み状態を解消するように本体部から突出させつつ、内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなる。その結果、膨張初期に左右でバランスよく展開させることができて、その後、乗員側壁部における車幅方向の中央側に張り出す部位も、突出部の折り込み状態を解消するようにして、迅速に展開させることができることから、エアバッグ全体を、極力、左右にバランスよく、迅速に膨張させることができる。すなわち、本発明の折り畳み方法では、エアバッグの膨張部位における突出部を除いた本体部が、前後縮小折りと左右縮小折りとを解消しつつ展開膨張し、その膨張完了形態を安定させた状態として、本体部から、突出部を展開膨張させることから、エアバッグ全体を、極力左右にバランスよく展開膨張させることができる。
【0008】
したがって、本発明の助手席用エアバッグの折り畳み方法では、膨張完了形状を左右非対称としていても、エアバッグを、展開膨張時に、左右でバランスよく迅速に膨張させることができる。
【0009】
また、本発明の折り畳み方法によって折り畳まれる助手席用エアバッグは、内部に、膨張完了時の乗員側壁部の収納部位からの離隔距離を規制する補正テザーを配設させており、この補正テザーの一端を、乗員側壁部において、車幅方向の外側の端縁と略左右対称となる位置に、結合させる構成であることから、膨張完了形状を、乗員側壁部を車幅方向の中央側に張り出させるような左右非対称形としても、この張出部位の乗員側への過度の突出を抑制でき、膨張完了時に、乗員側壁部によって、乗員を的確に受け止めることができ、さらに、乗員側壁部の過度の突出を抑制できることから、膨張するエアバッグの左右方向側の揺動も、抑制することができる。
【0010】
さらに、本発明の助手席用エアバッグの折り畳み方法において、補正テザーを、前後で2分割させて前側部材と後側部材とから構成すれば、突出部の折り込み時に、補正テザーも、前側部材と後側部材との結合代を平らにした状態で、円滑に入れ込むことができて、突出部とともに円滑に内側に折り込むことが可能となって、好ましい。
【0011】
さらにまた、上記構成の助手席用エアバッグの折り畳み方法において、第2予備折りバッグを、左右縮小折り工程において、左右方向側の縁部から乗員側壁部側に向かって巻くようなロール折りにより、折り畳む構成とすれば、膨張初期に、乗員側壁部の乗員側への過度の突出を抑制しつつ、左右縮小折りを解消するように、エアバッグを展開させることができ、また、ロール折りの解消まで突出部の折り込み状態を維持することができて、好ましい。
【0012】
さらにまた、上記構成の助手席用エアバッグの折り畳み方法において、補正テザーを乗員側壁部に結合させる結合部位を、エアバッグの膨張完了時に、上下方向に略沿うとともに、上下の中間部位を、上下の端末よりも車幅方向の中央側に位置させるように、湾曲して、配設させる構成とすれば、結合部位を単に直線状に形成する場合と比較して、乗員側壁部の上下の中央付近を跨ぐ上下に広い領域を均等に牽引することができ、また、この湾曲形状を、乗員側壁部における車幅方向の外側の端縁と近似させることができる。すなわち、このような構成のエアバッグでは、乗員側壁部において、結合部位と車幅方向の外側の端縁との間の領域が、左右対称的に配置されることとなり、この領域によって、助手席に着座した助手席搭乗者を、安定して受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である助手席用エアバッグを使用した助手席用エアバッグ装置を搭載させる車両の概略部分拡大平面図である。
図2】実施形態の助手席用エアバッグを使用した助手席用エアバッグ装置を車両に搭載させた状態を示す概略縦断面図である。
図3】実施形態のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す平面図である。
図4図3のエアバッグの背面図である。
図5図3のエアバッグの正面図である。
図6図3のエアバッグの概略縦断面図である。
図7図3のエアバッグの概略横断面図である。
図8】実施形態のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。
図9】実施形態のエアバッグを構成する前右パネルの拡大平面図である。
図10】実施形態のエアバッグを構成する後前右パネルの拡大平面図である。
図11】実施形態のエアバッグを予備折りして形成される第1予備折りバッグの底面図である。
図12】第1予備折りバッグと、第1予備折りバッグををさらに折り込んで形成される第2予備折りバッグと、の平面図である。
図13】実施形態のエアバッグを折り畳む折り畳み工程であって、第2予備折りバッグを折り畳む工程を示す概略図である。
図14】実施形態のエアバッグを折り畳む折り畳み工程を示す概略図であり、図13の後の工程を示す。
図15】実施形態の助手席用エアバッグを使用した助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す正面図である。
図16】実施形態の助手席用エアバッグを使用した助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態のエアバッグ15は、図1,15に示すように、運転席DSを右側に配設させるとともに、助手席PSと運転席DSとの間に、センター乗員P2の着座可能なセンター席CSを設けて構成される車両Vにおいて、助手席PSの前方となる位置に搭載される助手席用エアバッグ装置Mに、使用される。この助手席用エアバッグ装置Mは、インストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)1の上面1aの内部に配置されるトップマウントタイプとされている。また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mを搭載する車両Vのインパネ1は、車幅方向の中央付近に、センターパネル2を、部分的に後方に突出させている(図1,2,16参照)。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の方向と一致するものである。
【0015】
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、図2に示すように、折り畳まれたエアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ15及びインフレーター8を収納保持する収納部位としてのケース12と、エアバッグ15及びインフレーター8をケース12に取り付けるためのリテーナ9と、折り畳まれたエアバッグ15を覆うエアバッグカバー6と、を備えて構成されている。
【0016】
エアバッグカバー6は、合成樹脂製のインパネ1と一体的に形成されて、エアバッグ15の展開膨張時に、前後二枚の扉部6a,6bを、エアバッグ15に押されて開くように構成されている。また、エアバッグカバー6における扉部6a,6bの周囲には、ケース12に連結される連結壁部12cが、形成されている。
【0017】
インフレーター8は、図2に示すように、多数のガス吐出口8bを放射状に配設させた略円柱状の本体部8aと、インフレーター8をケース12に取り付けるためのフランジ部8cと、を備えている。実施形態では、インフレーター8は、車両Vの前面衝突の際に作動するように構成されている。
【0018】
収納部位としてのケース12は、上面側に長方形状の開口を有した板金製の略直方体形状に形成されるもので、図2に示すように、インフレーター8を下方から挿入させて取り付ける略長方形板状の底壁部12aと、底壁部12aの外周縁から上方に延びてエアバッグカバー6の連結壁部6cを係止する周壁部12bと、を備えている。実施形態の場合、エアバッグ15とインフレーター8とは、エアバッグ15内に配置させたリテーナ9のボルト9aを取付手段として、エアバッグ15におけるガス流入口23の周縁部位、ケース12の底壁部12a、及び、インフレーター8のフランジ部8cを、貫通させて、ナット10止めすることにより、ケース12の底壁部12aに取り付けられている。実施形態の場合、ケース12は、エアバッグ15とインフレーター8との取付中心(ガス流入口23の中心C)を、左右の略中央に位置させるとともに、助手席搭乗者P1の着座中心(助手席PSの左右の中心)と、左右方向側での位置を略一致させるように、構成されている(図1参照)。また、ケース12の底壁部12aには、車両Vのボディ側に連結される図示しないブラケットが、配設されている。
【0019】
エアバッグ15は、実施形態の場合、図3~7に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体16と、バッグ本体16内に流入する膨張用ガスの流れの向きを規制する整流布38と、バッグ本体16内に配置されてバッグ本体16の膨張完了形状を規制するテザー45,50,62と、を備える構成とされている。
【0020】
バッグ本体16は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされて、膨張完了時に、助手席PSの前方において、図2の二点鎖線及び図16に示すように、インパネ1の上面1aとインパネ1上方のウィンドシールド4との間とを塞ぐように配置される構成である。具体的には、バッグ本体16は、膨張完了形状を、前端側を頂部とした略四角錐形状とされるもので、膨張完了時の後面側に配置されて乗員(助手席搭乗者P1及びセンター乗員P2)を受け止める乗員側壁部32と、乗員側壁部32の外周縁から膨張完了時の前端側にかけて収束するように形成されて前端17a側をケース12側に取り付けられる車体側壁部17と、を備えている。また、バッグ本体16は、膨張完了時に、乗員側壁部32を、後述するガス流入口23の中心C(ケース12の左右方向側での中央)を通る前後方向に沿った線を中心線CLとして、車幅方向の中央側(実施形態の場合、右側)に大きく張り出させるように、膨張完了形状を左右非対称形として、構成されている(図1,3,7参照)。
【0021】
車体側壁部17は、エアバッグ15の膨張完了時に、主に、インパネ1の上面1aとインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置される部位であり、上下方向側で対向して配置される上壁部18,下壁部19と、左右方向側で対向して配置される左壁部20,右壁部21と、を備えている。膨張完了時の前端17a側となる車体側壁部17における下壁部19の前端近傍には、内部に膨張用ガスを流入可能なガス流入口23が、インフレーター8の本体部8aを挿入可能に、略円形に開口して形成されている。下壁部19におけるガス流入口23の周縁には、リテーナ9のボルト9aを挿通させて、ガス流入口23の周縁をケース12の底壁部12aに取り付けるための複数(実施形態の場合、4個)の取付孔24が、形成されている。このガス流入口23は、下壁部19の前端側の領域における左右の略中央となる位置に、形成されるもので、エアバッグ15は、ガス流入口23の中心Cを、ケース12の左右の中央と略一致させるようにして、ケース12に取り付けられる構成である。また、車体側壁部17における左壁部20と右壁部21とには、バッグ本体16内に流入した余剰の膨張用ガスを排気するためのベントホール26が、略円形に開口して形成されている(図5,6参照)。実施形態の場合、右壁部21に形成されるベントホール26は、後述するつまみ部29と前側結合部位56との間の領域に、配設されている(図5,8参照)。
【0022】
また、車体側壁部17における右側(車幅方向の中央側)の領域には、インパネ1に形成されるセンターパネル2を迂回させるように、迂回用凹部28が、形成されている。この迂回用凹部28は、右壁部21の領域を凹ませるように略上下方向に沿って配設されるもので、この迂回用凹部28を有することにより、エアバッグ15の膨張完了時に、右壁部21は、迂回用凹部28より前側の領域である前側部位21aと、迂回用凹部28より後側の領域である後側部位21bと、を略直交させるようにして、配置されることとなる(図3,7参照)。この右壁部21における前側部位21aは、膨張完了時のエアバッグ15を上下方向側から見た状態において、ガス流入口23の中心Cを通る前後方向に略沿った線(中心線CL)を基準として、左壁部20と略左右対称となる位置に、配置される(図7参照)。この迂回用凹部28は、バッグ本体16における車体側壁部17の右半分程度の領域を構成する後述する前右パネル72を、平らに展開した状態から、一部をつまんで、縫合糸を用いて、結合(縫合)させてつまみ部29を形成し、このつまみ部29の近傍部位に後述する補正テザー50の前端50aを連結させることにより、構成されている。つまみ部29は、図7に示すように、バッグ本体16の内方に突出するように形成されるもので、実施形態の場合、つまみ部29を形成するつまみ用結合部位30は、前右パネル72を平らに展開した状態においては、中間部位をガス流入口23側に突出させるように、湾曲して、形成されている(図9の二点鎖線参照)。すなわち、実施形態の場合、つまみ部29は、中間部位の幅寸法を最も大きくし、両端側にかけて収束するように、形成されている。具体的には、つまみ部29は、バッグ本体16における右壁部21の領域の周長を縮めて、補正テザー50とともに迂回用凹部28の起点を構成するもので、迂回用凹部28自体の凹みの湾曲する先端28aは、補正テザー50の前端50aを結合させている後述する前側結合部位56と、つまみ部29と、から構成されている。この前側結合部位56は、膨張完了時のバッグ本体16において、つまみ部29よりも後側となる位置に、形成されている(図5,7,16参照)。また、迂回用凹部28は、バッグ本体16を、上下の略全域にわたって凹ませるように、構成されている。
【0023】
乗員側壁部32は、外形形状を略長方形状として、車幅方向の中央となる右側に向かって大きく張り出すように、構成されている(図4参照)。実施形態の場合、乗員側壁部32は、エアバッグ15の膨張完了時に、ガス流入口23の後方の領域から構成されて助手席搭乗者P1を保護する助手席搭乗者保護部33と、助手席搭乗者保護部33の右側に張り出して配置されてセンター乗員P2を保護するセンター乗員保護部34と、を備える構成とされている。
【0024】
そして、実施形態のバッグ本体16において、迂回用凹部28は、凹みの先端28aを、乗員側壁部32における助手席搭乗者保護部33とセンター乗員保護部34との境界部位35の前方となる位置に配置させるように、構成されている(図7参照)。換言すれば、実施形態のバッグ本体16は、前端側をケース12に取り付けられて後面側を助手席搭乗者保護部33とした本体部16aと、本体部16aと後面を略面一とするようにして本体部16aの後端側から部分的に右方に突出する突出部16bと、を有し、この突出部16bの後面側を、センター乗員保護部34として、構成されている。実施形態の場合、突出部16b(センター乗員保護部34)は、エアバッグ15の膨張完了時に、センター乗員P2の左半分程度の領域の前側を覆うように、配置されることとなる(図1,15参照)。
【0025】
バッグ本体16内に配設される整流布38は、図6,7に示すように、ガス流入口23の上方を覆うように配設されるとともに、ガス流入口23から流入した膨張用ガスGを、左右両側と後側とに整流可能に構成されている。実施形態の場合、整流布38は、左右方向の両端を開口させた略筒形状とするとともに、この筒形状の部位における後側の領域(後側部位40)に、円形に開口した複数(実施形態の場合、3個)のガス流出穴40aを、配設させる構成としている。整流布38は、図8に示すような略鼓形状の整流布用基材42から構成されるもので、この整流布用基材42における前後の中央側の領域が、ガス流入口23の周縁への連結部42aとして、この連結部42aに、ガス流入口23及び取付孔24に対応する開口(図符号省略)を、配設させている。そして、整流布用基材42は、この連結部42aを、ガス流入口23の周縁で、全周にわたって縫着され、連結部42aから前後に延びる本体部42b,42cの領域の周縁相互を、縫合糸を用いて縫着させることにより、左右両端側に開口38a,38bを有した筒状の整流布38を構成している。
【0026】
バッグ本体16内には、実施形態の場合、図6,7に示すように、前後テザー45と、補正テザー50と、縁側テザー62と、が配置されている。
【0027】
前後テザー45は、図6,7に示すように、バッグ本体16内(詳細には、本体部16aの領域内)において、ガス流入口23付近と乗員側壁部32とを連結するように、バッグ本体16の膨張完了時に前後方向に略沿って配置されるもので、ガス流入口23の周縁から延びる前側部位46と、乗員側壁部32側から延びる後側部位47と、を連結させるようにして、構成されている。前側部位46は、実施形態の場合、図8に示す帯状の前側部位用素材48を折って構成されるもので、左右対称形として、バッグ本体16の膨張完了時における外形形状を、前端46a側を左右方向に略沿わせ、後端46b側を上下方向に略沿わせるような略三角錐形状に近似した立体形状とされている。前側部位46における前端46a側には、ガス流入口23及び取付孔24に対応する開口(図符号省略)が、形成され、前端46a側は、ガス流入口23の周縁に、全周にわたって縫着される。後側部位47は、外形形状を、前側部位46に連結される前端47a側にかけて狭幅とした略台形状として、構成されている。実施形態の場合、後側部位47は、後端47bを、後述する後左パネル75,後右パネル76の内縁75b,76b相互の縫着時に、共縫いされて、乗員側壁部32における助手席搭乗者保護部33の上下左右の略中央となる位置に、連結されている。すなわち、後側部位47は、後端47bを、乗員側壁部32と中心線CLとの交点付近(助手席搭乗者保護部33の左右の略中央33a)に、結合させるように構成されている。この前後テザー45は、エアバッグ15の膨張完了時に、中心線CLに略沿うように、前後方向に沿って配設されるもので、エアバッグ15の展開膨張時における乗員側壁部32の後方への過度の突出を抑制し、かつ、エアバッグ15の膨張完了時において乗員側壁部32にける助手席搭乗者保護部33の左右の略中央の、ガス流入口23(収納部位としてのケース12)からの離隔距離を規制するために、配設されている。
【0028】
補正テザー50は、実施形態の場合、バッグ本体16内において、乗員側壁部32と迂回用凹部28付近とを連結するように、前後方向に略沿うようにして、配設されている。補正テザー50は、図7に示すように、エアバッグ15を上下方向側から見た状態において、後端50bを、乗員側壁部32において、車幅方向の外側の端縁(助手席搭乗者保護部33の左縁33b)と略左右対称となる位置に、結合されている。すなわち、補正テザー50の後端50bは、乗員側壁部32において、助手席搭乗者保護部33とセンター乗員保護部34との境界部位35に、結合されている。補正テザー50の前端50aは、車体側壁部17の右壁部21の領域において、迂回用凹部28の凹みの先端28a近傍となる位置に、結合されている。実施形態の場合、補正テザー50は、図7に示すように、迂回用凹部28の凹みの先端28a側から延びる前側部位51(前側部材)と、乗員側壁部32側から延びる後側部位54(後側部材)と、を、連結させるようにして、構成されている。
【0029】
前側部位51は、図8に示すように、上下に幅広として、後端側の端縁51bにかけて狭幅となる扁平な略台形状とされるとともに、前端側の端縁51aを、中央側を突出させるように湾曲させて構成されている。さらに、前側部位51における前端側の端縁51aには、中央付近を凹ませるような凹部52が、形成されている。この凹部52は、凹み形状を略四角形状とされるもので、端縁51aを車体側壁部17(右壁部21)に結合させた際に、車体側壁部17(右壁部21)との間に隙間を生じさせることとなり、この隙間が、縁側テザー62を貫通可能な貫通穴部58を、構成することとなる(図7参照)。凹部52は、開口幅寸法を、縁側テザー62の後述する後側部位64の幅寸法よりも大きく設定されている。また、この前側部位51は、右方に向かって突出するようにして配置させた状態の端縁51aを、車体側壁部17に、縫合糸を用いて縫着(結合)させる構成であり(図7参照)、前端側の端縁51aを結合させる前側結合部位56は、凹部52の領域を除いて、端縁51aの略全長にわたって、連続的に形成される。すなわち、前側部位51の前端(補正テザー50の前端50a)を車体側壁部17に結合させる前側結合部位56は、エアバッグ15の膨張完了時に、中間部位を分断させつつ、この中間部位を、上下の端末よりも車幅方向の中央側(右側)に位置させるように、湾曲して、配設される構成である(図5参照)。この前側結合部位56は、長さ寸法L1(前側部位51における端縁51a側の幅寸法)を、迂回用凹部28を構成するつまみ部29のつまみ用結合部位30の長さ寸法L2よりも大きく設定される構成であり(図9参照)、実施形態の場合、前側部位51を結合させる前右パネル72を平らに展開した状態において、中央を、前右パネル72の前後の中央よりやや後側に位置させるように、形成されることとなる(図8,9参照)。また、前側結合部位56の長さ寸法L1(前側部位51における前端側の端縁51aの幅寸法)は、平らに展開した状態の前右パネル72における前側結合部位56の配設部位の上下方向側の幅寸法L3の3/5程度に、設定されている(図9参照)。さらに、前側部位51の後端側の端縁51bは、長さ寸法を、この端縁51bと連結される後側部位54の前端側の端縁54aの長さ寸法と、略同一に設定されている。
【0030】
後側部位54は、図8に示すように、上下に幅広な略平行四辺形状とされるとともに、後端側の端縁54bを、中央側を突出させるように湾曲させて構成されている。詳細には、後側部位54は、前端側の端縁54aを後端側の端縁54bに対して下方に位置させるような略平行四辺形状とされている。また、実際には、後側部位54の前端側の端縁54aと後端側の端縁54bとは、平行ではなく、上側にかけて相互の離隔距離を僅かに縮めるような形状とされている。この後側部位54は、端縁54bを、右方に向けるようにして、後端を、乗員側壁部32に、縫合糸を用いて縫着(結合)される構成であり(図7参照)、端縁54bを結合させる後側結合部位57は、エアバッグ15の膨張完了時に上下方向に略沿って形成されるとともに、この後側部位54の後端側の端縁54bの略全長にわたって、連続的に形成される(図4,8,15参照)。すなわち、後側部位54の後端側(補正テザー50の後端50b側)を乗員側壁部32に結合させる後側結合部位57は、エアバッグ15の膨張完了時に、上下方向に略沿うとともに、上下の中間部位を、上下の端末よりも車幅方向の中央側(右側)に位置させるように、湾曲して、配設される。この後側結合部位57は、上述したごとく、乗員側壁部32において、助手席搭乗者保護部33とセンター乗員保護部34との境界部位35に、配設されるものであり、エアバッグ15の膨張完了時に、上下の中央を、乗員側壁部32の上下の略中央と略一致させるように、配設されている。
【0031】
この後側結合部位57は、長さ寸法L4(後側部位54における端縁54b側の上下方向側の幅寸法)を、前後テザー45における後側部位47の後端47bの幅寸法と略同一とされるとともに、膨張完了時のエアバッグ15の乗員側壁部32における後側結合部位57の配設部位の上下方向側の幅寸法L5の1/2程度に、設定されている(図10参照)。また、実施形態の場合、後側結合部位57は、上下方向側の幅寸法(長さ寸法)L4を、前側結合部位56の上下方向側の幅寸法(長さ寸法)L1よりも、若干小さく設定されている。さらに詳細には、後側結合部位57は、乗員側壁部32における右側の領域を構成する後右パネル76を、左側の領域を構成する後左パネル75と、内縁75b,76b相互を一致させるように重ねた状態で、後左パネル75における外縁75aに略一致した位置において、外縁75aに略沿うようにして、形成されることとなる(図10の二点鎖線参照)。換言すれば、後側結合部位57は、乗員側壁部32における左縁33bに湾曲形状を近似させ、膨張完了時のエアバッグ15を後方側から見た状態で、この左縁44bと略左右対称形として、構成されている(図4,15参照)。
【0032】
実施形態では、膨張完了時のエアバッグ15を左右方向側から見た状態において、補正テザー50の後側部位54は、後側結合部位57(すなわち、乗員側壁部32)から前斜め下方に向かって延びるように配置されることとなり、前側部位51は、後側部位54の前端側の端縁54aから上下に拡開されるようにして、前端側の端縁51aを、上下の略全域にわたって、車体側壁部17に結合されることとなる(図16参照)。また、この補正テザー50は、膨張完了時のエアバッグ15を上下方向側から見た状態において、前端50a側を右方に向けるように、前後方向に対して僅かに傾斜して配置される構成である(図7参照)。そして、この補正テザー50は、乗員側壁部32の上下の略中央を前方に向かって牽引して、エアバッグ15の膨張完了時における乗員側壁部32のケース12からの離隔距離を規制し、かつ、車体側壁部17における上下(前後)の中央よりもやや下方(後方)となる位置を後上方に向かって牽引して、膨張完了時のエアバッグ15におけるインパネ1と近接する領域を前後(上下)で広く牽引し、迂回用凹部28の凹み形状を安定させるために、配設されている。この補正テザー50の前後方向側の長さ寸法は、乗員側壁部32における助手席搭乗者保護部33とセンター乗員保護部34との境界部位35付近の領域とケース12との前後方向側での離隔距離を、助手席搭乗者保護部33における左右方向の中央33a付近の領域とケース12との前後方向側での離隔距離と略同一として、乗員側壁部32を、左右の略全域にわたって略面一となるように配置可能として、かつ、迂回用凹部28を安定して凹ませて、膨張完了時にインパネ1におけるセンターパネル2との干渉を極力抑制可能な寸法に、設定されている。
【0033】
縁側テザー62は、バッグ本体16内において、乗員側壁部32における車幅方向の中央側の端縁(右縁)と、バッグ本体16の膨張完了時の前端側と、を連結するもので、実施形態の場合、乗員側壁部32におけるセンター乗員保護部34の右縁34aと、ガス流入口23の周縁と、を連結するように、配設されている(図7参照)。この縁側テザー62は、ガス流入口23の周縁から延びる前側部位63と、センター乗員保護部34の右縁34aから延びる後側部位64と、を連結させて、構成されている。前側部位63は、ガス流入口23の周縁に連結される連結部63aと、連結部63aから右方に延びる本体部63bと、を備えている。連結部63aは、ガス流入口23及び取付孔24に対応する開口(図符号省略)を有して、ガス流入口23の周縁に、全周にわたって縫着されている。本体部63bは、外形形状を略帯状とされている。実施形態の場合、前側部位63は、図8に示すような前側部位用素材65から構成されるもので、本体部63bは、前側部位用素材65における本体部構成部65aを、二つ折りして構成されている。後側部位64は、帯状のシート体から構成されて、端部64b側を、センター乗員保護部34の右縁34aにおいて、最も右方に配置されている領域(上下の中央付近)に連結され、端部64a側を、前側部位63における本体部63bの先端63cと連結される構成である。実施形態の場合、後側部位64の端部64bは、後右パネル76の外縁76aと前右パネル72の後縁72eとの縫着時に、共縫いされて、センター乗員保護部34の右縁34aに、連結されている(図7参照)。また、後側部位64は、詳細には、端部64a側にかけて僅かに狭幅となるように、構成されている。この縁側テザー62は、展開膨張時のバッグ本体16の車幅方向側での揺動を抑制し、かつ、膨張完了時のエアバッグ15において、乗員側壁部32の右縁(センター乗員保護部34の右縁34a)の過度の突出を抑制するために、配設されている。
【0034】
バッグ本体16は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に構成されるもので、実施形態の場合、図8に示すように、前側において主に車体側壁部17の部位を構成する前左パネル70,前右パネル72と、後側において主に乗員側壁部32の部位を構成する後左パネル75,後右パネル76と、を備えている。
【0035】
車体側壁部17を構成する前左パネル70と前右パネル72とは、車体側壁部17を左右で2分割するように構成されている。前左パネル70は、バッグ本体16における車体側壁部17の左半分程度の領域を構成するもので、左壁部20と、上壁部18における左半分程度の領域と、下壁部19における左半分程度の領域と、を構成している。この前左パネル70は、前端側に、ガス流入口23とその周縁とを構成する突出部70aを、配設させている。前右パネル72は、バッグ本体16における車体側壁部17の右半分程度の領域を構成するもので、右壁部21と、上壁部18における右半分程度の領域と、下壁部19における右半分程度の領域と、を構成している。前右パネル72も、前端側に、ガス流入口23とその周縁とを構成する突出部72aを、配設させている。この前左パネル70と前右パネル72とは、後縁側の部位の外形形状を異ならせる以外は、対称形として構成されている。前右パネル72は、後縁72e側に、突出部16bを構成する突出部構成部73を有し、後縁72e側の部位を、乗員側壁部32を構成する後右パネル76の外形形状に合わせて、後方に大きく突出させるように、構成されている。
【0036】
乗員側壁部32を構成する後左パネル75と後右パネル76とは、乗員側壁部32を左右で2分割するように構成されるもので、後左パネル75は、乗員側壁部32において、助手席搭乗者保護部33の左半分程度の領域を構成し、後右パネル76は、乗員側壁部32において、助手席搭乗者保護部33の右半分程度とセンター乗員保護部34との領域を構成している。後左パネル75は、外形形状を略台形状とし、後右パネル76は、外形形状を、左右方向側の幅寸法を後左パネル75より大きくして(左右方向側への突出量を大きくして)形成される略三角形状とされている。すなわち、後右パネル76は、外縁76a側に、突出部16bを構成する突出部構成部77を、配設させている。後左パネル75及び後右パネル76は、平らに展開した状態の外縁75a,76aを、それぞれ、前左パネル70,前右パネル72の後縁70e,72eの湾曲形状に、略沿わせるように、構成されている。
【0037】
実施形態では、バッグ本体16を構成する前左パネル70,前右パネル72,後左パネル75,後右パネル76、前後テザー45を構成する前側部位用素材48及び後側部位47、補正テザー50を構成する前側部位51,後側部位54、縁側テザー62を構成する前側部位用素材65及び後側部位64、及び、整流布38を構成する整流布用基材42は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。
【0038】
次に、実施形態のエアバッグ15の製造について説明をする。予め後左パネル75と後右パネル76とを、平らに展開した状態で内縁75b,76b相互を一致させるように重ね、内縁75b,76b相互を、縫合糸を用いて縫着させておく。このとき、前後テザー45の後側部位47の後端47bも、共縫いにより、縫着させておく。また、前右パネル72の一部をつまんで、つまみ用結合部位30を形成するように、縫合糸を用いて縫着させ、前右パネル72に、つまみ部29を形成しておく。前右パネル72に、前側結合部位56を形成するように、補正テザー50の前側部位51の端縁51aを結合させ、後右パネル76に、後側結合部位57を形成するように、補正テザー50の後側部位54の端縁54bを結合させておく。
【0039】
そして、平らに展開した状態の前左パネル70と前右パネル72とを、上縁70b,72b相互、下縁70c,72c相互を、それぞれ一致させるように重ね、下縁70c,72c相互を、縫合糸を用いて縫着させる。次いで、突出部70a,72a相互を重ねるように、前左パネル70と前右パネル72とを開く。その後、突出部70a,72a上に、前後テザー45の前側部位用素材48の前端側と、縁側テザー62の前側部位用素材65の連結部63aと、整流布用基材42の連結部42aと、を、順に重ね、ガス流入口23の周縁となる部位で、縫合糸を用いて縫着させ、その後、孔開け加工により、ガス流入口23と取付孔24とを形成する。そして、前左パネル70と前右パネル72との上縁70b,72b相互を、縫合糸を用いて縫着させる。次いで、前左パネル70と前右パネル72とを、後縁70e,72e相互を離すように開き、外縁75a,76a相互を離すように広げた後左パネル75,後右パネル76を重ねて、前左パネル70の後縁70eと後左パネル75の外縁75aとを縫合糸を用いて縫着させ、同様に、前右パネル72の後縁72eと後右パネル76の外縁76aとを縫合糸を用いて縫着させる。この前右パネル72の後縁72eと後右パネル76の外縁76aとの縫着時に、共縫いにより、縁側テザー62の後側部位64の端部64bを縫着させる。その後、整流布用基材42の本体部42b,42cの外周縁相互を縫着させて、整流布38を形成する。また、前側部位51の後端側の端縁51bと後側部位54の前端側の端縁54aとを縫着させて、補正テザー50を形成する。このとき、端縁51b,54aは、相互の端末を一致させつつ膨張完了時に結合代53を左側に向けるようにして、縫着されることとなる(図7参照)。同様に、前側部位46の後端46bと後側部位47の前端47aとを縫着させて、前後テザー45を形成し、前側部位63における本体部63bの先端63cと後側部位64の端部64aとを縫着させて、縁側テザー62を形成する。その後、前左パネル70,前右パネル72において未縫合部分である前縁70d,72d側の部位の開口を利用して、縁部の縫代を外部に露出させないように、バッグ本体16を、反転させる。次いで、前左パネル70,前右パネル72の前縁70d,72dを、それぞれ、二つ折りするようにして重ね、縫合糸を用いて縫着させれば、エアバッグ15を製造することができる。
【0040】
センター席CSの右側の運転席DSの前方に配置されるステアリングホイール80には、図1,15に示すように、ステアリングホイール用エアバッグ装置83が、搭載されている。ステアリングホイール用エアバッグ装置83は、ステアリングホイール80の中央のボス部81に折り畳まれて収納されるステアリングホイール用エアバッグ(以下「エアバッグ」と省略する)84と、エアバッグ84に膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、を備えている。エアバッグ84は、可撓性を有したシート体から形成される袋状として、図示しないインフレーターの作動時に、インフレーターからの膨張用ガスを内部に流入させて、ステアリングホイール80の上面(後面)を全面にわたって覆うように、膨張する構成である(図15参照)。なお、ステアリングホイール用エアバッグ装置83の図示しないインフレーターも、助手席用エアバッグ装置Mのインフレーター8と同様に、車両Vの前面衝突時に、作動するように構成されている。
【0041】
次に、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明する。まず、エアバッグ15を、ボルト9aを取付孔24から突出させるようにして、内部にリテーナ9を収納させた状態から、ケース12内に収納可能に、折り畳む。実施形態では、エアバッグ15は、予備折り後に、前後左右の幅寸法を縮めるように、折り畳んで、ケース12内に収納されることとなる。具体的には、まず、乗員側壁部32を略平らに展開しつつ、乗員側壁部32を、ガス流入口23側に接近させるようにして、車体側壁部17の部位に谷折りの折目を付けて折り畳み、第1予備折りバッグ90を、形成する(図11,12のA参照)。この第1予備折りバッグ90は、補正テザー50よりも車幅方向の中央側(右側)の領域(バッグ本体16における突出部16bの領域であって、乗員側壁部32における後側結合部位57より右側の領域)からなる突出部90bを、本体部16aを折り畳んで形成される本体部折畳部位90aから、部分的に右方に突出させるような構成とされている。すなわち、第1予備折りバッグ90は、右方に大きく張り出すように、左右非対称形とされている(図11,12のA参照)。そして、第1予備折りバッグ90において、突出部90bを、補正テザー50の後端50bを乗員側壁部32に結合させている後側結合部位57付近で、山折りの折目MC,MCをつけるようにして、補正テザー50よりも車幅方向の外側の領域から構成されている本体部折畳部位90a内に折り込んで、折込部93を形成し、第2予備折りバッグ92を、形成する(図12のB参照)。このとき、補正テザー50も、折込部93の形成に伴って、前側部位51,後側部位54の端縁51b,54a相互を結合させている結合代53(縫合代)を左方に向けるようにして、折込部93とともに、本体部折畳部位90a内に折り込まれることとなる。この第2予備折りバッグ92は、左側部位94の左右方向側の幅寸法を、若干、右側部位95の幅寸法よりも大きくされるものの、中心線CLを基準として略左右対称形とされる(図12のB参照)。
【0042】
次いで、この第2予備折りバッグ92を、ケース12内に収納可能に左右方向の幅寸法を縮小する左右縮小折りにより、折り畳む。具体的には、図13のAに示すように、第2予備折りバッグ92において、ガス流入口23の左側となる左側部位94を、左縁94aをガス流入口23に接近させつつ、乗員側壁部32側に向かって巻くようなロール折りにより折り畳み、同様に、ガス流入口23の右側となる右側部位95も、右縁95aをガス流入口23に接近させつつ、乗員側壁部32側に向かって巻くようなロール折りにより折り畳み、ロール折り部位96a,96bを形成すれば、図13のBに示すように、左右縮小折りバッグ96を形成することができる。その後、左右縮小折りバッグ96を、前後方向側の幅寸法を縮小する前後縮小折り工程により、折り畳む。具体的には、図14のAに示すように、左右縮小折りバッグ96におけるガス流入口23より後方側となる後側部位97を、ガス流入口23の後縁近傍となる部位で折り返し、この折り返した部位を、後端97a側をガス流入口23側に向けるように二つ折りして、折り返し部位100を形成する。さらに、この折り返し部位100を、図14のBに示すように、蛇腹折りして、蛇腹折り部位101を形成する。その後、左右縮小折りバッグ96において、ガス流入口23より前方側となる前側部位98を、端部側を蛇腹折り部位101の上側に載せるように折り返せば、図14のCに示すように、エアバッグ15を、ケース12内に収納可能に前後左右の幅寸法を縮められた状態で、折り畳むことができる。
【0043】
このように折り畳んだエアバッグ15は、周囲を、折り崩れしないように、破断可能な図示しないラッピングシートによりくるむ。次いで、折り畳んだエアバッグ15を、ケース12の底壁部12aに載置させる。インフレーター8の本体部8aを、底壁部12aの下方からケース12内に挿入させるとともに、底壁部12aから下方に突出している各ボルト9aを、インフレーター8のフランジ部8cに挿通させる。その後、インフレーター8のフランジ部8cから突出した各ボルト9aにナット10を締結させれば、ケース12に折り畳んだエアバッグ15とインフレーター8とを取り付けることができる。
【0044】
そして、車両Vに搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー6の連結壁部6cに、ケース12の周壁部12bを係止させ、ケース12の図示しないブラケットを、車両Vのボディ側に固定させれば、助手席用エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
【0045】
助手席用エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後、車両Vの前面衝突時、インフレーター8のガス吐出口8bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開いて形成される開口を経て、ケース12から上方へ突出するとともに、車両後方側に向かって突出しつつ展開膨張して、図15,16に示すように、インパネ1の上面1aとインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように、膨張を完了させることとなる。また、このとき、ステアリングホイール用のエアバッグ84も、内部に膨張用ガスを流入させて、ステアリングホイール80の上面(後面)を覆うように、膨張を完了させることとなる(図15参照)。
【0046】
そして、実施形態のエアバッグ15の折り畳み方法では、エアバッグ15が、左右非対称形に膨張して、乗員側壁部32を、膨張完了時に、車幅方向の中央側(右側)に大きく張り出させる構成とされるものの、エアバッグ15は、乗員側壁部43を略平らに展開するようにして車体側壁部27の部位に折目を付けて折り畳んで、左右非対称形として形成されている第1予備折りバッグ90を、さらに、略左右対称形となるように折り畳んで第2予備折りバッグ92を形成し、その後、前後左右の幅寸法を縮められるように折り畳んで収納部位としてのケース12内に収納される構成である。具体的には、第2予備折りバッグ92では、第1予備折りバッグ90において、補正テザー50(後側結合部位57)よりも車幅方向の中央側(右側)の領域からなる突出部90bを、補正テザー50の後端50bを乗員側壁部32に結合させている後側結合部位57付近で山折りの折目MC,MCをつけるようにして、補正テザー50よりも車幅方向の外側(左側)の領域から構成されている本体部折畳部位90a(本体部)内に折り込む構成とされている。すなわち、第2予備折りバッグ92は、ガス流入口23を中心として略左右対称形とされることとなる。そのため、実施形態の折り畳み方法で折り畳んでケース12に収納されるエアバッグ15は、膨張初期に、まず、ケース12から突出しつつ、前後縮小折りと左右縮小折りとを解消するように、突出部90bの折り込み状態を維持しつつ、展開膨張することとなり、その後、突出部90bを、折り込み状態を解消するように本体部16aから突出させつつ、内部に膨張用ガスを流入させて膨張することとなる。その結果、膨張初期に左右でバランスよく展開させることができて、その後、乗員側壁部32における車幅方向の中央側に張り出す部位(センター乗員保護部34)も、突出部90bの折り込み状態を解消するようにして、迅速に展開させることができることから、エアバッグ15全体を、極力、左右にバランスよく、迅速に膨張させることができる。すなわち、実施形態の折り畳み方法では、エアバッグ15の膨張部位における突出部16bを除いた本体部16aが、前後縮小折りと左右縮小折りとを解消しつつ展開膨張し、その膨張完了形態を安定させた状態として、本体部16aから、突出部16bを展開膨張させることから、エアバッグ15全体を、極力左右にバランスよく展開膨張させることができる。
【0047】
したがって、実施形態のエアバッグ15の折り畳み方法では、膨張完了形状を左右非対称としていても、エアバッグ15を、展開膨張時に、左右でバランスよく迅速に膨張させることができる。
【0048】
また、実施形態のエアバッグ15は、内部に、膨張完了時の乗員側壁部32のケース12からの離隔距離を規制する補正テザー50を配設させており、この補正テザー50の後端50bを、乗員側壁部32において、車幅方向の外側の端縁(助手席搭乗者保護部33の左縁33b)と略左右対称となる位置に、結合させる構成であることから、膨張完了形状を、乗員側壁部32を車幅方向の中央側に張り出させるような左右非対称形としても、この張出部位(センター乗員保護部34)の乗員P1,P2側への過度の突出を抑制でき、膨張完了時に、乗員側壁部32によって、乗員P1,P2を的確に受け止めることができ、さらに、乗員側壁部32の過度の突出を抑制できることから、膨張するエアバッグ15の左右方向側の揺動も、抑制することができる。
【0049】
特に、実施形態のエアバッグ15は、センター席CSを有した車両Vに搭載するもので、乗員側壁部32によって、助手席PSに着座した助手席搭乗者P1と、センター席CSに着座したセンター乗員P2と、を保護する構成である。しかしながら、実施形態のエアバッグ15は、上記方法で折り畳み、かつ、内部に、助手席搭乗者保護部33とセンター乗員保護部34との境界部位35付近に連結される補正テザー50を配設させることに加えて、助手席搭乗者保護部33の左右の中央のケース12からの離隔距離を規制する前後テザー45も、配設させる構成である。そのため、乗員側壁部32を、左右の広い範囲にわたって略面一として、安定して配置させることができることから、助手席搭乗者P1もセンター乗員P2も、乗員側壁部32によって、安定して受け止めることができる。
【0050】
さらに、実施形態のエアバッグ15では、補正テザー50を、前後で2分割されて前側部位51(前側部材)と後側部位54(後側部材)とから構成していることから、突出部90bの折り込み時に、補正テザー50も、前側部材(前側部位51)と後側部材(後側部位54)との端縁51b,54a相互を結合させている結合代53を平らにした状態で(実施形態の場合、結合代53の左方に突出した状態を維持しつつ)、円滑に入れ込むことができて、折込部93(突出部90b)とともに、円滑に内側に折り込むことができる(図12のB参照)。また、前後で2分割することにより、補正テザー50のバッグ本体16への連結作業も容易である。なお、このような点を考慮しなければ、補正テザーを、1つの部材から、構成してもよい。
【0051】
さらにまた、実施形態のエアバッグ15の折り畳み方法では、第2予備折りバッグ92は、左右縮小折り工程において、左縁94a側と右縁95a側とから、それぞれ、乗員側壁部32側に向かって巻くようなロール折りにより、折り畳まれる構成であることから、膨張初期に、乗員側壁部32の乗員側への過度の突出を抑制しつつ、左右縮小折りを解消するように、エアバッグ15を展開させることができ、また、ロール折りの解消まで突出部90bの折り込み状態を維持することができる。なお、このような点を考慮しなければ、左右縮小り工程において、蛇腹折りにより左右方向側の幅寸法を縮めるように折り畳む構成としてもよい。
【0052】
さらにまた、実施形態のエアバッグ15では、補正テザー50を乗員側壁部32に結合させる後側結合部位57が、エアバッグ15の膨張完了時に、上下方向に略沿うとともに、上下の中間部位を、上下の端末よりも車幅方向の中央側(右側)に位置させるように、湾曲して、配設されていることから、結合部位を単に直線状に形成する場合と比較して、乗員側壁部32の上下の中央付近を跨ぐ上下に広い領域を牽引することができ、また、この湾曲形状を、乗員側壁部32における車幅方向の外側の端縁(左縁33b)と近似させることができる。すなわち、このような構成のエアバッグ15では、乗員側壁部32において、後側結合部位57と車幅方向の外側の端縁(左縁33b)との間の領域(実施形態の場合、助手席搭乗者保護部33の領域)が、左右対称的に配置されることとなり(図15参照)、この領域によって、助手席PSに着座した助手席搭乗者P1を、安定して受け止めることができる。また、実施形態の場合、センター席CSに着座したセンター乗員P2は、後側結合部位57と車幅方向の中央側の端縁(右縁34a)との間の領域(実施形態の場合、センター乗員保護部34の領域)によって、安定して、受け止めることができる。なお、実施形態のエアバッグ15では、補正テザー50の前端50aは、実施形態のエアバッグ15では、車体側壁部17における右壁部21の領域に結合されて、迂回用凹部28を形成しているが、補正テザーの前端側の結合位置は、実施形態に限られるものではなく、例えば、ガス流入口の周縁に結合させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…インストルメントパネル(インパネ)、12…ケース(収納部位)、15…エアバッグ、16…バッグ本体、16a…本体部、16b…突出部、17…車体側壁部、17a…前端、23…ガス流入口、32…乗員側壁部、33…助手席搭乗者保護部、33b…左縁、34…センター乗員保護部、34a…右縁、50…補正テザー、50a…前端、50b…後端、51…前側部位(前側部材)、54…後側部位(後側部材)、56…前側結合部位、57…後側結合部位、90…第1予備折りバッグ、90a…本体部折畳部位、90b…突出部、92…第2予備折りバッグ、93…折込部、P1…助手席搭乗者、P2…センター乗員、PS…助手席、CS…センター席、V…車両、M…助手席用エアバッグ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16