(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】たも網
(51)【国際特許分類】
A01K 77/00 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
A01K77/00 A
(21)【出願番号】P 2022051811
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2022-04-07
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500429022
【氏名又は名称】山▲崎▼ 千明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 千明
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-253166(JP,A)
【文献】特開2000-270715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K77/00
A01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網が取り付けられた枠の少なくとも一部を筒状の柄の先端開口部から当該柄の内部に収納可能に構成されたたも網であって、
前記枠は、弾性変形可能な一対の棒と、前記各棒の各先端部に両端部が連結されて当該各先端部同士の規定幅以上の離間を規制する紐と、前記各棒の間に配設される嵌め板とを備え、
前記各棒の基部を前記柄の内部に残して当該基部を除く部位を前記先端開口部から引き出した状態で当該先端開口部の上部において当該各棒の間に前記嵌め板を配設して当該各棒の前記各先端部を離間させた状態で使用時の形態を維持可能に構成されると共に、
前記各棒の間から前記嵌め板を取り外して当該各棒を前記先端開口部から挿入することによって収納可能に構成されているたも網。
【請求項2】
前記網を収納可能な網ケースが前記柄に設けられている請求項1記載のたも網。
【請求項3】
前記柄および前記各棒には、前記各棒の規定量以上の引き出しを規制するストッパーが設けられている請求項1または2記載のたも網。
【請求項4】
前記紐は、接続および接続解除が可能な二本の部材で構成されている請求項1から3のいずれかに記載のたも網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網が取り付けられた、枠の一部を柄へ収納できるたも網に関する。
【背景技術】
【0002】
網が取り付けられた環状の枠が柄の先端に設けられたたも網には、持ち運びが便利なように環状の枠を折り畳み可能としたものが市販されている。この市販のたも網はコンパクトに折りたたむことはできるが、折りたたまれた枠が突出するため、持ち運びの時はこれを取り外すなどの手間を要した。
【0003】
さらに、たも網の枠を柄の中に収納できるものも考案されてはいるが、それらはあくまでも環状の枠を追求しているため、ヒンジを設けるなど、複雑な構成を持つ必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
この種のたも網として、下記特許文献1および下記特許文献2に開示されたたも網が知られている。
【文献】特開2007-061043号公報
【文献】特開2000-270715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たも網はその使い道から、十分な強度と、より軽量な枠が求められる。特許文献1に記載されたたも網は、収納された枠を素早く取り出し、環状のたも網を形成できるが、その形は環状であることから、構成は複雑になり、大物用のたも網としては、多重量又は華奢になる問題がある。さらに網が取り付けられた枠を収納する柄には鉤部材およびスライドリングなどが外嵌されているため、これを振り出し式たも網の先端の柄として構成することは困難である。
【0006】
また、特許文献2に記載された柄に収納可能なたも網もヒンジで結合されたばね部材で網の枠を形成している。このため、大物用のたも網としてはやはり枠が華奢あるいは重くなる問題がある。
【0007】
そこで本発明の課題は、十分な強度を持ち、より軽量な構成を可能とした、枠の一部を柄の内部に、収納できるたも網を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明に係るたも網は、弾性変形可能な一対の棒と、各棒の各先端部に両端部が連結されて各先端部同士の規定幅以上の離間を規制する紐と、各棒の間に配設される嵌め板とを備えて枠が構成され、各棒の基部を柄の内部に残して基部を除く部位を先端開口部から引き出した状態で先端開口部の上部において各棒の間に嵌め板を配設して各棒の各先端部を離間させた状態で使用時の形態(釣鐘断面型を成した状態)を維持可能に構成されると共に、各棒の間から嵌め板を取り外して各棒を先端開口部から挿入することによって収納可能に構成されている。一対の棒の材料としては弾力性があり、軽くて丈夫なグラス繊維・カーボン繊維などが候補である。すなわち、網の装着されている枠は、紐の両端が一対の棒の先端に結合され、一対の棒を押し広げる嵌め板により構成されたたも網の、嵌め板を取り外すと、一対の棒を柄の中に押し入れることができる。
【0009】
また、本発明に係るたも網は、網を収納可能な網ケースが柄に設けられている。網は先端の紐に集まるが、これを嵌め板と共に柄に設けられた網ケースに収納することでコンパクトな形での持ち運びを可能とした。網ケースは集められた網と嵌め板とそれらに付随する紐を収納できる容量を持つ。
【0010】
また、本発明に係るたも網は、各棒の規定量以上の引き出しを規制するストッパーが柄および一対の棒に設けられている。
【0011】
また、本発明に係るたも網の先端部は、接続および接続解除が可能な二本の部材で紐が構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のたも網は、各棒を柄の先端開口部から引き出して各棒の間に嵌め板を配設し釣鐘断面型を成し、嵌め板を取り外すと、一対の棒は直線状の二本の棒となり、柄の基端側へ押し入れることができる。網は先端の紐部に集まり、枠の主部材である棒をスムーズに収納できる。
【0013】
また、各棒を柄に収納する際には、各棒の先端部同士が近接し、各棒の先端に取り付けられている紐部(つまり、枠の先端)に網を簡単に寄せ集めることができる。
【0014】
また、枠の先端に集められた網は、柄に設けられた網ケースに嵌め板と共に収納することができる。柄を振り出し式とした場合には、最下部の柄の先端部に網ケースを設けることで、柄を最短に縮めたときに集められた網および嵌め板を収納し易い位置に網ケースが位置するため収納効率が良く、またコンパクトで持ち運び易さを向上させることができる。
【0015】
収納されたたも網を使用するときは、網ケースを開け、紐にて柄から一対の棒部を引き出すと同時に網が均一に棒部に広がるので、嵌め板を一対の棒と棒の間に挿む事で釣鐘断面型の枠を形成できる。
【0016】
従って、引き出す範囲がストッパーで限定された先端に紐を取り付けた一対の棒から、嵌め板を取り外しできる手段により安定して枠の棒部を柄へ収納し、収納した枠を柄から容易に取り出し、釣鐘断面型のたも網を形成することができる。
【0017】
枠の先端部に連結される紐を二本の部材で構成し、二重リング等で二本の部材の接続および接続解除を可能とし、網の端部を掛けるスナップを嵌め板に設けることで、網の着脱(交換)が容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)はたも網100の平面図であり、(b)はたも網100の側面図である。
【
図2】二重リング1と紐2及び網3とを接続した拡大斜視図である。
【
図3】棒4の全体が柄8に収納された状態を示すたも網100の断面図である。
【
図4】嵌め板5を取り外した状態を示す柄8の部分のみを断面図としたたも網100の説明図である。
【
図5】( a )は嵌め板5の平面図で、(b)は(a)のイ―ロ線断面図である。
【
図6】( a )は嵌め板5に押さえ具5aを取り付けた説明図であり、( b )はイ―ロ線断面図である。
【
図7】網ケース200を独立させ、柄10の一部と網3を収納した使用図である。
【
図8】網3及び柄10を含め全部を収納ケース203に収納した使用図である。
【
図9】嵌め板5に付随する紐6を布にした場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。たも網100は本発明に係るたも網の一実施例であって、
図1に示すように、網3が取り付けられた枠101、および筒状の柄8,9,10を備えて、枠101の少なくとも一部を柄8の先端開口部から柄8の内部に収納可能に構成されている。
【0020】
枠101は、
図1に示すように、弾性変形可能な一対の棒4と、各棒4の各先端部に両端部が連結されて各棒4の先端部同士の規定幅以上の離間を規制する紐2と、各棒4の間に配設される嵌め板5とを備えている。
【0021】
また、紐2は、
図2に示すように、二重リング1を介して接続および接続解除が可能な二本の部材で構成されている。
【0022】
嵌め板5は、
図5に示すように、台形に形成されると共に側面に溝23を有し、溝23に棒4を嵌めることができるように構成されている。また、嵌め板5は、
図1に示すように、同長の二本の紐6によって柄8の先端部に連結される。
【0023】
枠101を構成する一対の棒4は、
図1に示すように、筒状の柄8の先端に基部が挿入され、嵌め板5にて押し広げられることで、釣鐘断面型の枠101を構成することが可能となっている。従って、
図3に示すように、嵌め板5を取り外すと一対の棒4は直線状に戻るため、棒4を柄8の内部に押入することができ、この際に棒4の先端部に取り付けられている紐2に網3が集められる。振り出されていた柄8,9,10を最小の長さにすると最下部の柄10に設けられた網ケース11に網3、嵌め板5とそれらに付随する紐2等を収納する事が出来る(
図3参照)。
【0024】
コンパクトに収納されたたも網100を使用可能の状態とするには、網ケース11を開放し、網3および嵌め板5を網ケース11から引き出す。次いで、
図4に示すように、紐2の中央部を持って枠101(棒4)を柄8から引き出す。各棒4棒の基部にはストッパー7が設けられ、柄8の先端部の内側にはストッパー7を係止するストッパー12が設けられている。このため、枠101を柄8から引き出す際に、これらのストッパー7,12の作用で棒4の長さの半分以上が露出した状態で引き出しを止めることができる。網3は、嵌め板5に設けられたスナップ21aに基部が係止されており、嵌め板5は、紐6によって柄8に係止されている。このため、網3は各棒4に沿って均一に広がり、嵌め板5を各棒4の間に挿む事で枠101が釣鐘断面型をなすたも網100を形成できる(
図1参照)。
【0025】
また、各棒4を柄8から引き出す際に、ストッパー7,12が作用する手前で引き出しを止め、その状態で各棒4の間に嵌め板5を挿む事で、小さな釣鐘断面型を形成することができる。嵌め板5を挿むことで棒4と柄8の接点(接触面)は強力に圧着されて棒4はその位置で柄8に固定されるため、小さな釣鐘断面型を維持した状態で使用することができる。従って、使用場所、使用形態に応じて任意の大きさの枠101を形成できる利点がある。
【0026】
なお、上述のたも網100は本発明の一実施例であって、適宜変更することができる。例えば、上述した実施形態では嵌め板5を台形としたが、一対の棒4に安定して挿める形であれば形を選ばない。一例としは、嵌め板5を円形にした場合は、紐6を一本にすることもできる。
また、
図6に示すように各棒4の間に嵌め板5を挿んだ後、押さえ具5aを止めネジ5bにて取り付け、溝23に嵌められた一対の棒4の外れ防止とすることができる。
また、同長の二本の紐6は巾のある帯状体で構成することも可能で、さらにシート体24で構成することも可能である。(
図9参照)
【0027】
また、網ケース11は最下部の柄10の先端に取り付けられるものであれば形状は限定されない。また、最下部の柄10を他の柄より長くして、先端の内部を網収納部とすることも可能である。また、網ケース11は、柄10に固定することなく独立させることも可能で、独立させた場合は、柄の一部と共に収納できるのでよりコンパクトになる。さらに、柄全体を収納するケースとすることも可能である。(
図7,
図8参照)
【0028】
また、上述した実施形態では柄8,9,10を三本の振り出し竿としたが、一本以上、何本でも良い。また、上述した実施例では、二重リング1を介して接続および接続解除が可能な二本の部材で紐2が構成されているが、一本の部材で構成した紐2を用いることもできる。
【符号の説明】
【0029】
1 二重リング
2 紐
2a 紐端の輪
2b 紐端の輪
3 網
4 棒
5 嵌め板
5a 押さえ具
5b 留めネジ
6 紐
7 ストッパー
8 柄
9 柄
10 柄
11 網ケース
12 ストッパー
21 孔
21a スナップ
22 孔
23 溝
24 シート体
100 たも網
101 枠
200 網ケース
201 閉じ紐
202 閉じ紐
203 収納ケース
【要約】
【課題】網と枠を簡単でスムーズに柄及び網ケースへ収納できるたも網を提供することである。
【解決手段】網3が取り付けられた枠101の少なくとも一部を筒状の柄8の先端開口部から柄8の内部に収納可能に構成され、枠101は、弾性変形可能な一対の棒4と、各棒4の各先端部に両端部が連結されて各先端部同士の規定幅以上の離間を規制する紐2と、各棒4の間に配設される嵌め板5とを備え、各棒4の基部を柄8の内部に残して基部を除く部位を柄8の先端開口部から引き出した状態で先端開口部の上部において各棒4の間に嵌め板5を配設して各棒4の各先端部を離間させた状態で使用時の形態を維持可能に構成されると共に、各棒4の間から嵌め板5を取り外して各棒4を柄8の先端開口部から挿入することによって収納可能に構成されている。
【選択図】
図1