(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ニンニク由来加工物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20220729BHJP
C09K 15/34 20060101ALN20220729BHJP
【FI】
A23L19/00 C
C09K15/34
(21)【出願番号】P 2018097414
(22)【出願日】2018-05-21
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】311017692
【氏名又は名称】株式会社食工房のだ屋
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【氏名又は名称】江川 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100189991
【氏名又は名称】古川 通子
(72)【発明者】
【氏名】野田 優子
(72)【発明者】
【氏名】野田 勝
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-048862(JP,A)
【文献】特開昭62-134059(JP,A)
【文献】特開平06-311857(JP,A)
【文献】特開昭59-210864(JP,A)
【文献】特開平07-016072(JP,A)
【文献】特開平08-298955(JP,A)
【文献】特開2000-166498(JP,A)
【文献】特開2014-212750(JP,A)
【文献】特開2008-263871(JP,A)
【文献】特開2012-005471(JP,A)
【文献】特開2013-118855(JP,A)
【文献】特開2014-118499(JP,A)
【文献】特開平03-266955(JP,A)
【文献】ALIF, M. F. et al.,On-line mass spectrometric analysis of sulfur compounds in hydrothermal process of durian and vegetables,Microchemical Journal,2012年03月09日,Vol.103,pp.179-184,DOI: 10.1016/j.microc.2012.03.004
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C09K 15/34
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニク粒またはニンニク皮を準備する工程と、
前記ニンニク粒または前記ニンニク皮にマイクロ波を照射し
て、180℃以上で水熱反応させる工程と、を含むことを特徴とするニンニク由来加工物の製造方法。
【請求項2】
前記ニンニク粒または前記ニンニク皮は水と混合されている請求項1に記載のニンニク由来加工物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニク由来加工物の製造方法及びニンニク由来加工物に関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニクには抗酸化物質であるポリフェノールが多く含まれることが知られている。ニンニクに含まれる抗酸化物質には、体内のフリーラジカルを消失させる活性酸素消去能により、動脈硬化症をはじめとする各種生活習慣病を予防する作用が期待されている。
【0003】
従来、ニンニク自身の酵素の働きにより、生ニンニクの熟成により自己醗酵させて得られる黒色化した熟成ニンニク(黒ニンニクと称されている)が知られている。黒ニンニクは、生のニンニクよりも抗酸化物質を多く含む。しかしながら、黒ニンニクを製造するためには、長い熟成期間が必要であり、また、腐敗等を抑制しながら効率的に熟成させる条件の選択が必要であったために、生産性が低いという問題があった。このような問題を解決するために、ニンニクを加熱処理することにより、ニンニクに含まれる抗酸化物質を増加させる技術も知られている。
【0004】
例えば、下記特許文献1は、ニンニクを水蒸気爆砕処理したニンニク破砕物は、生のニンニクや熟成ニンニクよりも抗酸化物質を多く含むことを開示する。また、下記特許文献2は、房状の皮つきニンニクから可食部であるニンニク粒を取り除いた部分である生ニンニク皮を水蒸気爆砕処理することにより、抗酸化物質を多く含む活性酸素消去剤が得られることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5000782号公報
【文献】特許第6302159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、ニンニク粒またはニンニク皮を水蒸気爆砕処理することにより、ニンニク粒やニンニク皮に含まれる抗酸化物質を増加させる技術は知られていた。本発明は、抗酸化物質を増加させることができる新規なニンニク由来加工物の製造方法、及びニンニク由来加工物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面は、ニンニク粒またはニンニク皮を準備する工程と、ニンニク粒またはニンニク皮にマイクロ波を照射して水熱反応させる工程と、を含むニンニク由来加工物の製造方法である。このような製造方法によれば、ニンニク粒またはニンニク皮の抗酸化作用を著しく増加させたニンニク由来加工物が得られる。マイクロ波を照射して高温高圧の水が共存する条件で処理する水熱反応によれば、短時間で、ニンニク粒またはニンニク皮の細胞壁に水分が浸透し、ニンニク粒またはニンニク皮中の抗酸化物質であるポリフェノール成分が増加する。
【0008】
また、ニンニク粒またはニンニク皮は水と混合されていることが、より高温で水熱反応させやすい点から好ましい。
【0009】
また、水熱反応は180℃以上で水熱反応させることが、ポリフェノール成分がより増加する点から好ましい。
【0010】
また、本発明の他の一局面は、ニンニク粒またはニンニク皮の水熱反応物を含むニンニク由来加工物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、熟成工程を経なくても、高い活性酸素消去能を有するニンニク由来加工物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を詳しく説明する。本実施形態のニンニク由来加工物の製造方法は、ニンニク粒またはニンニク皮にマイクロ波を照射して水熱反応させる。
【0013】
本実施形態で用いられるニンニク粒とは房状の皮つきのニンニクの丸ごと、または皮を除去した一般的な可食部であるニンニク粒を意味し、ニンニク皮とは房状の皮つきニンニクから可食部であるニンニク粒を取り除いて残される皮のみを意味するものとする。また、ニンニクは生ニンニクであっても、蒸しニンニクであっても、黒ニンニクであってもよい。
【0014】
本実施形態の製造方法においては、ニンニク粒またはニンニク皮、または、それらに水を加えた分散体にマイクロ波を照射して水熱反応させる。
【0015】
マイクロ波を照射して水熱処理する装置としては、例えば、チャンバー内の温度、気圧をコントロール可能なマイクロ波照射装置であるマイクロ波合成装置が挙げられる。マイクロ波照射装置により照射されるマイクロ波としては、周波数2~4GHz、とくには、2.45GHz付近のマイクロ波が好ましく用いられる。
【0016】
そして、マイクロ波を透過させるガラス容器等の容器にニンニク粒またはニンニク皮、または、それらに水を加えた分散体を入れ、その容器をマイクロ波合成装置のチャンバー内に収容し、チャンバー内を気密にした状態で容器にマイクロ波を照射することにより、ニンニクまたはニンニク皮を構成する物質を内部から自己発熱させて加熱して水熱処理することができる。
【0017】
マイクロ波を均一に照射されるために、ニンニク粒またはニンニク皮は、ミル等の粉砕手段で粉砕されて水に分散された分散体の状態でマイクロ波を照射されることが好ましい。また、分散体に均一にマイクロ波が照射されるように、分散体はマグネチックスターラー等の撹拌手段で撹拌されながら水熱反応されることが好ましい。
【0018】
マイクロ波の照射を行う温度としては、150℃~240℃、さらには180℃~230℃、とくには200℃~220℃であることが、抗酸化物質であるポリフェノール類が増加しやすい点から好ましい。加熱温度が低すぎる場合には、ポリフェノール類の生成が少なくなる傾向がある。また、加熱温度が高すぎる場合には、ポリフェノール類が分解しやすくなる懸念がある。
【0019】
また、マイクロ波の照射による水熱処理での蒸気圧は蒸気温度に対応する飽和水蒸気圧が、0.4~3.5MPa、さらには1~3MPa、とくには1.5~2.5MPa程度であることが好ましい。
【0020】
マイクロ波の照射を行う時間はとくに限定されないが、1~20分間、さらには、1~10分間であることが、生産効率とポリフェノール類の生成の効率性に優れる点から好ましい。
【0021】
また、マイクロ波の照射を行う温度と照射時間を考慮した、水熱反応の処理条件の強度としては、下記式(1)
S=Log[t・exp{(T-100)/14.75}]・・・(1)
(tは処理時間(分)、Tは温度(℃))
から算出される水熱反応の強度因子(Severity factor)が2~5、さらには、3~4であることが、高い活性酸素消去能を有するニンニク由来加工物が得られやすい点から好ましい。強度因子が低すぎる場合には、得られるニンニク由来加工物の活性酸素消去能が低くなる傾向がある。
【0022】
このようにして製造されたニンニク由来加工物は、高い活性酸素消去能を有する。具体的には、例えば、ジュース状のニンニク由来加工物から不溶分を除去した濾液を乾燥させた乾燥物を蒸留水に溶解した溶液の1,1―ジフェニル―2―ピクリルヒドラジル(DPPH)の遊離ラジカル消去能(EC50)を測定した場合、3g/L以下、さらには2g/L以下、とくには、1g/L以下を示すことが好ましい。EC50は、一定量の活性酸素を消去するために消費される活性酸素消去成分の量であり、EC50が低ければ低いほど、活性酸素消去能が高いことを示す。さらに、具体的には、次のようにして評価される。
【0023】
製造されたジュース状のニンニク由来加工物の不溶分を濾過し、濾液を凍結乾燥することにより、乾燥物を得る。そして、この乾燥物を蒸留水に溶解して試料原液を調製する。そして、試料原液を希釈して複数の異なる濃度の希釈溶液を調製し、各希釈溶液にDPPHを反応させた後、DPPHの517nmの吸光度を測定し、予め測定された既知の濃度のDPPH溶液の吸光度に対する相対値(%)を算出する。そして、複数の希釈溶液の濃度に対する吸光度の相対値をプロットし、各点を通過する直線を引いたグラフを作成し、吸光度の相対値50%に相当する遊離ラジカル消去能50%になる希釈溶液の濃度をEC50(50%効果濃度)として特定できる。
【0024】
本実施形態のマイクロ波の照射による水熱処理により得られたニンニク由来加工物は、生ニンニクや熟成にんにくに比べて、高い活性酸素消去能を示す。また、熟成工程を経て製造される黒ニンニクの製造に比べて、短時間でニンニクまたはニンニク皮の活性酸素消去能を向上させることができる。従って、低コストで、高い活性酸素消去能を有するニンニク由来加工物を製造することができる。
【0025】
このようにして得られたニンニク由来加工物は、ジュース状のまま、またはエキスを取り出して活性酸素消去剤として用いても、ジュース状のニンニク由来加工物を乾燥させて、ペースト状または造粒して活性酸素消去剤として用いてもよい。また、このような活性酸素消去剤は、従来知られたニンニク素材の用途と同様の用途に、特に限定なく用いられる。具体的には、例えば、ニンニクパウダー、ニンニクペースト、ニンニク製剤、ニンニク含有健康食品等の素材として、好ましく用いられうる。
【実施例】
【0026】
次に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例の内容により、何ら限定されるものではない。
【0027】
[実施例1]
青森産の房状の皮付ニンニクをミルで粉砕して粉砕物を得た。そして、20mLのマイクロ波反応用のガラスバイアル瓶に粉砕物0.15gと15mLの蒸留水を入れた。さらに、ガラスバイアル瓶にマグネチックスターラーを入れた。そして、マイクロ波合成装置(バイオタージ・ジャパン製 Initiator)の気密チャンバー内にガラスバイアル瓶を収容し、ガラスバイアル瓶に収容された分散体をマグネチックスターラーで攪拌しながら周波数2.45GHzのマイクロ波を照射し、200℃で5分間反応させて、マイクロ波を照射して水熱反応(MW水熱処理)ニンニク由来加工物を得た。なお、強度因子S=3.64であった。このようにして、皮付ニンニクを水熱処理して得られたジュース状のニンニク由来加工物を得た。ジュース状のニンニク由来加工物を吸引濾過により固液分離し、濾液を凍結乾燥器により乾燥させ、乾燥物を得た。そして、乾燥物の遊離ラジカル消去能、ポリフェノール類含量を次のようにして測定した。
【0028】
(遊離ラジカル消去能)
乾燥物に蒸留水を混合し、マグネチックスターラーで撹拌することにより、乾燥物濃度10g/Lの試料原液を調製した。そして、試料原液を蒸留水で希釈して、1g/L(10倍希釈),0.67g/L(15倍希釈),0.4g/L(25倍希釈),0.2g/L(50倍希釈),0.1g/L(100倍希釈)の試料原液の希釈溶液をそれぞれ調製した。
そして、各希釈溶液2mL,エタノール2mL、0.5mM DPPH/エタノール溶液 1mLを混合した各試料液を調製した。
また、蒸留水2mL,エタノール2mL,0.5mM DPPH/エタノール溶液1mLを混合したコントロール液を調製した。
さらに、希釈溶液2mL,エタノール3mLを混合したブランク液を調製した。
そして、517nmにおける以下の吸光度を測定した。
X:各試料液の30℃の恒温槽で30分間放置した後の吸光度、
X0:コントロール液の調整直後の吸光度、
X30:コントロール液の30℃の恒温槽で30分間放置した後の吸光度
Xa:調整直後のブランク液の吸光度、
そして、上記各吸光度を用いて、各試料液の下記式により、遊離ラジカル消去能を算出した。
遊離ラジカル消去能(%)={X0-(X-Xa)}/X30×100
そして、x軸に各試料液の濃度、y軸に各試料液の遊離ラジカル消去能をプロットして検量線を作成した。そして、その検量線から遊離ラジカル消去能50%を示すときの希釈溶液の濃度であるEC50(50%効果濃度)を求めた。
【0029】
(ポリフェノール類含量)
ポリフェノール類含量をフォーリン・チオカルト法によりカテキン当量として定量した。はじめに、カテキンを蒸留水に溶解して0.5g/Lの溶液を調製した。この溶液を希釈して0.05g/L,0.1g/L,0.25g/Lの希釈溶液をそれぞれ調製した。そして、各希釈溶液200μLに、蒸留水4mL、フォーリン・チオカルト-フェノール試薬1mLを混合し、撹拌した。さらに、10%炭酸ナトリウム水溶液1mLを添加し、撹拌後、1時間静置した。そして分光光度計で760nmの吸光度を測定した。そして、カテキン溶液の検量線を作成した。
そして、乾燥物に蒸留水を混合し、マグネチックスターラーで撹拌することにより、乾燥物濃度1g/Lの試料原液を調製した。そして試料原液200μLに、フォーリン・チオカルト-フェノール試薬を1mL、蒸留水4mLを加えて撹拌した。さらに、10%炭酸ナトリウム水溶液1mLを添加し、撹拌後、1時間静置した。そして分光光度計で760nmの吸光度を測定した。なお、ブランクとして試料原液の代わりに蒸留水を用いた場合の吸光度を測定した。そして、試料原液の吸光度から、カテキン溶液の検量線を用いて試料原液中のカテキン当量を特定し、さらに乾燥物1g中に含まれるポリフェノールのカテキン当量を算出した。
【0030】
結果を表1に示す。
【0031】
【0032】
[実施例2~4]
表1に示すように、MW水熱処理の温度及び時間を変更した以外は実施例1と同様にして皮付ニンニクを水熱処理して得られたニンニク由来加工物を得、また、その乾燥物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0033】
[実施例5~8]
房状の皮付ニンニクを丸ごとミルで粉砕した粉砕物を用いた代わりに、ガラスバイアル瓶に、房状の皮つきニンニクから可食部であるニンニク粒を取り除いて残されたニンニク皮のみをミルで粉砕した粉砕物0.5gと20mLの蒸留水を入れた以外は、実施例1~4と同様にしてニンニク皮のみを水熱処理して得られたニンニク由来加工物を得、また、その乾燥物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0034】
[比較例1]
房状の皮付ニンニク50gを丸ごと、水蒸気発生器、耐圧容器、水蒸気導入管、生成物受器、凝集器等を備えた水蒸気爆砕装置を用いて水蒸気爆砕処理(SE)した。なお、水蒸気爆砕処理条件は、温度212℃、水蒸気圧2.0MPa、処理時間5分間、強度因子S=4.00で行った。このようにして、水蒸気爆砕処理して得られたニンニク由来加工物を得た。そして、得られたニンニク由来加工物を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0035】
[比較例2]
温度212℃、水蒸気圧2.0MPa、処理時間5分間、強度因子S=4.00で水蒸気爆砕処理を行った代わりに、温度200℃、水蒸気圧1.5MPa、処理時間5分間、強度因子S=3.64で水蒸気爆砕処理を行った以外は、比較例1と同様にして房状の皮付ニンニクを丸ごと水蒸気爆砕処理してニンニク由来加工物を得た。そして、得られたニンニク由来加工物を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0036】
[比較例3]
房状の皮付ニンニクを丸ごと、オートクレーブを用いて0.2MPa(121℃)、10分間蒸煮して、ミルを用いて粉砕して、オートクレーブ処理(HA)したニンニク由来加工物を得た。得られたニンニク由来加工物を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0037】
[比較例4]
房状の皮つきニンニクから可食部であるニンニク粒を取り除いて残されたニンニク皮50gをミルで粉砕した粉砕物を比較例1と同様にして水蒸気爆砕処理することにより、ニンニク由来加工物を得た。そして、得られたニンニク由来加工物を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0038】
[比較例5]
房状の皮つきニンニクから可食部であるニンニク粒を取り除いて残されたニンニク皮50gをミルで粉砕した粉砕物を比較例2と同様にして水蒸気爆砕処理することにより、ニンニク由来加工物を得た。そして、得られたニンニク由来加工物を実施例1と同様にして評価した。なお、100倍希釈においても相対値50%に達しなかったため、EC50は算出しなかった。以上の結果を表1に示す。
【0039】
[比較例6]
房状の皮付ニンニクを丸ごと、粉砕した粉砕物の乾燥物を試料として、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0040】
[比較例7]
房状の皮つきニンニクから可食部であるニンニク粒を取り除いて残されたニンニク皮50gをミルで粉砕した粉砕物を試料として、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0041】
[比較例8]
房状の皮付ニンニクを丸ごと、30日間かけて熟成させた黒ニンニクを粉砕した粉砕した粉砕物の乾燥物を試料として、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0042】
表1を参照すれば、未処理のニンニク丸ごとを評価した場合、比較例6に示すようにEC50は算出できず、また、カテキン当量は2.6mg/gであったのに対し、ニンニク丸ごとにマイクロ波を照射して水熱反応させて製造された実施例1~4のニンニク由来加工物の場合、何れもEC50は3g/L以下を示し、高い抗酸化作用を示した。また、カテキン当量も28~87mg/gのように、極めて多くポリフェノールが生成されたことが分かる。同様に未処理のニンニクの皮を評価した場合、比較例5に示すようにEC50は22.82g/Lであり、カテキン当量は1.6mg/gであったのに対し、ニンニクの皮をマイクロ波を照射して水熱反応させて製造された実施例5~8のニンニク由来加工物の場合、EC50は0.26~1.04g/Lと著しく低く、高い抗酸化作用を示した。また、カテキン当量も21~40mg/gのように、極めて多くポリフェノールが生成されたことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の製造方法により得られたニンニク由来抗酸化物質は、例えば、ニンニクパウダー、ニンニクペースト、ニンニク製剤、ニンニク含有健康食品等のニンニク製品に配合されるニンニク素材として好ましく用いられうる。