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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ブロー成形方法及びブロー成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20220729BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20220729BHJP
   B29C 49/70 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/04
B29C49/70
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018160603
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020032610
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 正明
(72)【発明者】
【氏名】木下 悟
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-004273(JP,A)
【文献】実開平07-011326(JP,U)
【文献】特開2010-240892(JP,A)
【文献】特開平10-278100(JP,A)
【文献】特表2010-538873(JP,A)
【文献】特開平09-254238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00 - 49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヘッドからパリソンを押出し、
前記ダイヘッドの下方に位置する金型により前記パリソンを型締めし、その直後又はほぼ同時に前記ダイヘッドのダイスリットを0にすることで前記金型の上面に前記パリソンの上バリを落下させて、
取出し機の取出し機バーで前記上バリをチャックして前記金型から製品を取出す、
ことを特徴とするブロー成形方法。
【請求項2】
前記ダイヘッドは、ダイ内アキュムレーター式により形成されて、発泡剤を分散させた溶融樹脂を用いて前記パリソンを押出すことを特徴とする請求項1に記載のブロー成形方法。
【請求項3】
ダイヘッドから押し出されたパリソンの上バリを取出し機バーでチャックして、金型から製品を取り出す際に前記ダイヘッドのダイ先端に前記上バリを当接させて、該当接後前記パリソンを水平移動させることを特徴とするブロー成形方法。
【請求項4】
パリソンを下方に押出すダイヘッドと、
前記ダイヘッドの下方に位置する金型と、
前記パリソンの上バリをチャック可能に形成される取出し機バーを備える取出し機と、
前記上バリをチャックした前記取出し機バーにより前記上バリを前記ダイヘッドのダイ先端に当接させて、該当接後水平移動させて前記金型から製品を取出すよう前記取出し機を制御する制御装置と、
を有することを特徴とするブロー成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形方法及びブロー成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ダイヘッドで押出して形成したパリソンを、ダイヘッドの下方に配置された金型によりブロー成形するブロー成形方法及びブロー成形装置が開示されている。例えば、特許文献1に開示されるブロー成形は、発泡樹脂材料を用いて、ダイ内アキュムレーター式で形成されたダイヘッドから円筒形に押出されたパリソンが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-240892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のブロー成形においては、例えば、ブロー成形中は、ダイヘッドのダイ下面とパリソンが接続された状態で、ダイ下面と金型上面との間のパリソンが取出し機の取出し機バーでチャックされる。そして、ブロー成形完了後、取出し機の取出し機バーのチャックを解放しつつ、ロボットアームや手動でブロー成形した製品を掴んで型開きして金型から製品を取り出す。
【0005】
ブロー成形された製品が金型から取り出された後、ダイヘッドのダイ先端には、製品取出し後にダイスリットから樹脂がしみ出すことがある。このようにダイスリットからしみ出した樹脂は硬化してダイ先端に残ることがある。又は、取出し機の取出し機バーによるパリソンのチャックの際に取出し機バーの上方の樹脂が盛り上がり、ダイ先端であるダイ下面における樹脂が吐出される開口部周りに樹脂が付着してしまう場合がある。このように、金型からの製品取出し後にダイ下面に付着してしまった樹脂(以下、「樹脂カス」という)をそのままにして次のパリソンを押出してブロー成形を行うと、プリブロー等によりダイヘッドから押し出される次のパリソンに樹脂カスが付着してしまうことがある。すると、溶融した樹脂の中に堅い硬化した樹脂が混じることで、成形不良を生じさせることがある。
【0006】
本発明は、ブロー成形の成形不良を低減することができるブロー成形方法及びブロー成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のブロー成形方法は、ダイヘッドからパリソンを押出し、前記ダイヘッドの下方に位置する金型により前記パリソンを型締め後、前記ダイヘッドは前記金型の上面に前記パリソンの上バリを落下させて、取出し機の取出し機バーで前記上バリをチャックして前記金型から製品を取出す、ことを特徴とする。
【0008】
本発明のブロー成形装置は、パリソンを下方に押出すダイヘッドと、前記ダイヘッドの下方に位置する金型と、前記金型の上面に落下した前記パリソンの上バリをチャック可能に形成される取出し機バーと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブロー成形の成形不良を低減することができるブロー成形方法及びブロー成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るブロー成形装置を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るブロー成形装置のダイヘッドを示す断面模式図である。
図3】本発明の実施形態に係るブロー成形方法を示すフロー図である。
図4】本発明の実施形態に係るブロー成形方法のうちダイヘッドからパリソンが押出しされる様子を示すブロー成形装置の模式図である。
図5】本発明の実施形態に係るブロー成形方法のうち上バリが型締めした金型上面に落下した様子を示すブロー成形装置の模式図である。
図6】本発明の実施形態に係るブロー成形方法のうち上バリ及び下バリを、それぞれ第1の取出し機バー及び下ピンチでチャックする様子を示すブロー成形装置の模式図である。
図7】本発明の実施形態に係るブロー成形方法のうちブロー成形後に第2の取出し機バーで製品をチャックする様子を示すブロー成形装置の模式図である。
図8】本発明の実施形態に係るブロー成形方法のうち第1の取出し機バー及び下ピンチによる上下バリのチャックを解放させた様子を示すブロー成形装置の模式図である。
図9】本発明の実施形態に係るブロー成形方法のうちダイ下面掃除処理を示すフロー図である。
図10】本発明の実施形態に係るブロー成形方法のうちダイ下面掃除処理において上バリがダイ下面に当接している様子を示すブロー成形装置の模式図である。
図11】本発明の実施形態に係るブロー成形方法のうち製品を取出して次パリソンが押出しされた様子を示すブロー成形装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図に基づいて、本発明の実施形態を説明する。図1はブロー成形装置1の構成を示す模式図である。ブロー成形装置1では、発泡ブロー形成体として空調ダクトを成形する。発泡ブロー形成体は、発泡剤を混合させた熱可塑性混合樹脂をブロー成形して、独立気泡構造を備えて得られる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、柔軟性に優れるので、発泡ブロー形成体の耐衝撃性が向上する。これらの中でも、熱可塑性樹脂は、プロピレン単位を有するものであることが好ましく、具体的には、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体等が挙げられる。さらに、これらの中でも、長鎖分岐構造を有するプロピレン単独重合体であることが特に好ましい。この場合、溶融張力が高くなるので、発泡しやすくなり、気泡セルもより均一化される。
【0012】
上記熱可塑性樹脂は、ブロー成形される前に、発泡剤を用いて発泡される。かかる発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系発泡剤、又は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系発泡剤が挙げられる。これらの中でも、発泡剤は、空気、炭酸ガス又は窒素ガスを用いることが好ましい。この場合、有体物の混入が防げるので、耐久性等の低下が抑制される。
【0013】
ダイヘッド10は、発泡剤を分散させた溶融樹脂を用いてパリソンを押出す。このダイヘッド10の下方には、ブロー成形用の金型50が配置される。なお、図1においては、金型50は、左右方向に型開きする(図4~8、図10,11も同様)。金型50の上方には、第1の取出し機30の2本の第1の取出し機バー31が配置される。金型50の下方には挟持装置40の2本の下ピンチ41が配置される。第1の取出し機バー31及び下ピンチ41は、それぞれ一対の略棒状体により形成される。第1の取出し機バー31は、図における左右方向に接近・離間及び紙面に対して垂直な方向に移動可能に形成される。下ピンチ41は、図における左右方向に接近・離間可能に形成される。
【0014】
金型50の側方には、第2の取出し機100が配置される。第2の取出し機100は、多関節ロボットとされる。金型50でブロー成形された製品は、取出し機(第1の取出し機30又は第2の取出し機100)により金型50から取り出すことができる。また、ブロー成形装置1における各種機器(ダイヘッド10、金型50、第1の取出し機30、第2の取出し機100等)は、図示しない制御装置により制御される。
【0015】
図2にダイヘッド10の断面模式図を示す。ダイヘッド10は、ダイ内アキュムレーター式とされる。ダイヘッド10の上部には、油圧シリンダー12が配置される。油圧シリンダー12のピストンロッド12aの先端は、円盤状の接続板12bの上面と接続される。接続板12bの下面は、接続板12bの下面から下方に延びる複数である棒状の接続ロッド12cと接続される。複数の接続ロッド12cは、環状に配置される。
【0016】
油圧シリンダー12の下方には、ダイヘッド本体15が配置される。ダイヘッド本体15は、円筒状のダイ外筒15bを上ダイヘッドプレート15a及び下ダイヘッドプレート15cで上下を挟むようにして形成される。環状に形成される上ダイヘッドプレート15aの上方からは、下方に延びるマンドレル13が設けられる。マンドレル13の先端部13aは先窄まり状に形成される。一方、マンドレル13の上端部分は、上ダイヘッドプレート15aの上面から突出している。上ダイヘッドプレート15aの上面におけるマンドレル13の上端部分には、アクチュエータ14が設けられる。マンドレル13はアクチュエータ14により上下方向に微小に移動可能とされる。本実施形態では、アクチュエータ14は、サーボモータ14aの駆動軸にウォームギヤ(不図示)が設けられ、マンドレル13の上端部分に設けられるウォームホイール14bと歯合する。ウォームホイール14bは、ウォームホイール14bの内周面とマンドレル13の上端部外周面が螺子構造とされ、歯合される。従って、サーボモータ14aが駆動すると、ウォームホイール14bが回転して、マンドレル13を上方又は下方に移動させることができる。一方、マンドレル13の中央には、押出したパリソンに対してプリブローを行うプリブローエア流通路13cが形成される。
【0017】
ダイヘッド本体15の下方には、下ダイヘッドプレート15cから突出するダイ16が設けられる。ダイ16には、ダイ16の下面(ダイ下面160)の中央に開口部16aが形成されて、この開口部16aから上方に向かって拡開するすり鉢状に第1傾斜部16bが形成される。第1傾斜部16bと先窄まりのマンドレル13の先端部13aは略同角度でテーパ加工される。マンドレル13の先端部13aとダイ16の第1傾斜部16bとの隙間はダイスリットSとされる。ダイスリットSは、ブロー成形する製品に合わせて所定の隙間に設定される。
【0018】
ダイ16の第1傾斜部16bから上方へは、第1傾斜部16bから連続して第1傾斜部16bよりも更に拡開するすり鉢状に第2傾斜部16cが形成される。ダイ16は、上端に環状のフランジ16dが形成される。ダイ16のフランジ16dは、ダイ外筒15bと下ダイヘッドプレート15cとにより挟持される。ダイ外筒15bの内周面は、ダイ16の第2傾斜部16cとの接続部分で環状に突出する環状突起15b1が形成される。環状突起15b1の内周面は、ダイ16の第2傾斜部16cと連続して略同角度で傾斜するすり鉢状の内周面とされる。
【0019】
ダイ外筒15bの内周面とマンドレル13の外周面との間には、環状のピストン17が設けられる。ピストン17の上面は、油圧シリンダー12の複数の接続ロッド12cと上ダイヘッドプレート15aを介して接続される。ピストン17は、下方に向けて先窄まり状に傾斜して形成される。ピストン17は、油圧シリンダー12により上下動可能に形成される。一方、ダイ外筒15bの外周面は、溶融した樹脂を吐出する押出し機18と接続される。押出し機18の吐出口18aは、ダイ外筒15bの内周面に開口している。押出し機18から吐出された溶融樹脂は、ダイ外筒15bとマンドレル13との間の空間に充填される。ダイ外筒15bとマンドレル13との間の空間に充填される溶融樹脂は、ピストン17により圧力を掛けながら充填させて、樹脂に混入される発泡剤がダイヘッド10内で発泡することを抑制することができる。
【0020】
ダイヘッド10のダイ外筒15b内に充填された樹脂は、ピストン17を下方に押し下げることによりダイスリットSを介して開口部16aから押し出される。このようにして、アキュムレーターとして機能するダイ外筒15bとマンドレル13との間の空間から樹脂材料が押し出されて、ダイヘッド10によりパリソンが形成される。ここで、前述の通り、ダイスリットSは、マンドレル13の上下方向の移動により間隔が調整される。ダイスリットSの間隔が大きいとパリソンの肉厚が厚くなり、ダイスリットSの間隔が小さくなるとパリソンの肉厚が薄くなる。ダイスリットSの間隔を0とすると、押し出されてダイ16のダイ下面160に接続されるパリソンを切り離すことができる。
【0021】
図1に戻り、金型50の上方に配置される第1の取出し機バー31は、第1の取出し機30に片持ち支持されて紙面に垂直な方向に長尺状に形成される。第1の取出し機バー31は、2本のバーが対向して対称に配置される。第1の取出し機バー31は、断面視四角形のパイプ材により形成されるバー本体31aを備える。バー本体31aの下面には、断面L字状に形成されて、平坦な背面が対向するようにバー本体31aの下面に取付けられるL字部材31bが設けられる。バー本体31a同士が対向する面と、該バー本体31aの下面に取付けられるL字部材31bの背面は連続した平坦面である挟持面31cとされる。なお、第1の取出し機30は、以後の図において省略のため二点鎖線で示す。
【0022】
また、金型50の下方に配置される挟持装置40の下ピンチ41も同様に、紙面に垂直な方向に長尺状に形成される。下ピンチ41は、断面四角形のパイプ材により形成される。なお、挟持装置40は、以後の図において省略のため二点鎖線で示す。
【0023】
多関節ロボットである第2の取出し機100は、ロボットアーム101の先端に第2の取出し機バー110が設けられる。第2の取出し機バー110は、製品上部を把持する上第2の取出し機バー111と、製品下部を把持する下第2の取出し機バー112を備える。上第2の取出し機バー111及び下第2の取出し機バー112は、例えば、空圧機器にて一対のフィンガーを開閉可能に構成する等して把持対象物を把持可能に形成される。
【0024】
次に、図3図9のフローチャート及び図4図8図10図11に基づいて、本実施形態に係るブロー成形方法を説明する。
ステップS101;図4に示すように、ダイヘッド10によりパリソンPが押出される。本実施形態では、発泡樹脂材料が使用されるので、ダイヘッド10により押出しされるパリソンPは発泡パリソンとされる。押出しされたパリソンPは、上端部分及び下端部分は金型50の外側に位置して、中央部分が金型50内に配置される。このとき、第1の取出し機バー31及び下ピンチ41は開限まで開いている。
【0025】
ステップS102;パリソンPが配置された金型50を閉じ、型締めする。その直後(又はほぼ同時)にダイヘッド10のダイスリットS(図2参照)を0とする。すると、図5に示すように、ダイヘッド10のダイ16のダイ下面160(図2参照)とパリソンPが切り離されて、パリソンPの一部が上バリB1として金型50の上面に溜まる。このようにパリソンPがダイ16から切り離されるとき、ダイ16からダイスリットSや開口部16a等のダイ16内の発泡樹脂が下方に引っ張られて落下することにより、ダイスリットSを0としつつもダイスリットSに残存する発泡樹脂が抜け落ちる。従って、ダイスリットSからしみ出して硬化する「樹脂カス」の発生を低減することができる。なお、金型50の下方には、下バリB2が形成されている。
【0026】
ステップS103;図6に示すように、第1の取出し機バー31でパリソンPの上バリB1をチャックする。このとき、第1の取出し機バー31のL字部材31bの下端が金型50の上面と近接又は接触するようにして第1の取出し機バー31の対向する挟持面31cにより上バリB1がチャックされることにより、金型50の上面に溜まった上バリB1は第1の取出し機バー31ですくいあげる様にしてチャックされる。またこのとき、上バリB1の上端はダイ16とは離間している。従って、上バリB1の樹脂がダイ16のダイ下面160に付着してしまうことがない。一方、下ピンチ41は、下バリB2をチャックする。
【0027】
ステップS104;パリソンPに対して金型50によりブロー成形を行う。このとき、金型50内に流れる冷却水やブロー成形に用いられるエアにより上バリB1及び下バリB2を冷却する。
ステップS105;ブロー成形完了後、金型50を開く。
【0028】
ステップS105で金型を開いた後、挟持装置40の下ピンチ41のチャックを解放し、第1の取出し機30の第1の取出し機バー31を例えば紙面に対して垂直手前方向に移動させて、待機する作業員が手動で第1の取出し機バー31から製品を回収することもできる。本実施形態では、製品取出しの際にダイヘッド10のダイ16先端(ダイ下面160)の掃除処理を行うため、多関節ロボットとされる第2の取出し機100により製品を取出す。従って、第1の取出し機30から第2の取出し機100へ成形した製品の受け渡しを行う。
【0029】
ステップS106;図7に示すように、第2の取出し機100に取付けられた第2の取出し機バー110により、成形した製品P1をチャックする。具体的には、第2の取出し機100のロボットアーム101を図7の紙面に対して垂直手前方向から金型50の正面側に回り込ませ、第2の取出し機バー110の上第2の取出し機バー111で第1の取出し機バー31の上方の上バリB1をチャックする。同様に、下第2の取出し機バー112で下ピンチ41の下方の下バリB2をチャックする。ここで、製品P1は半製品であり、製品P1は、後処理により完成品となるダクト部P11と、その周囲のバリ部P12を備える。
【0030】
ステップS107;図8に示すように、第1の取出し機バー31による上バリB1のチャックを解放する。同様に、下ピンチ41による下バリB2のチャックを解放する。
【0031】
ステップS108;ダイ16のダイ下面160の掃除処理を行う。ステップS102によりダイ16からパリソンPを切り離す処理を行っても、種々の成形条件やダイヘッド10の経時的な変化によりダイ16のダイ下面160の開口部16aに樹脂カスが発生する可能性も考えられる。この場合の樹脂カスは、ダイヘッド10の組み付け状態や環境温度等のパリソンPの押出し条件に応じて、ブロー成形毎に、ダイ下面160の開口部16aにおける特定箇所(後述のターゲット位置)に発生する。このような場合には、ダイ下面掃除処理とされる本ステップの実行が好適である。
【0032】
ダイ下面掃除処理は、図9に示すフロー図に従って行われる。
ステップS201;第2の取出し機100の第2の取出し機バー110で製品P1の上バリB1の端部を、ダイ16のダイ下面160における樹脂カスが発生する位置であるターゲット位置(例えば、図2で示す、開口部16aの一部であるターゲット位置T)まで移動させ、図10に示すように、上バリB1の端部をダイ下面160のターゲット位置に当接させる。具体的には、例えば、第2の取出し機バー110でチャックされる製品P1の上バリB1をダイ下面160におけるターゲット位置の直下近傍まで移動(水平方向及び上方向への移動)させた後、製品P1を垂直に上昇させて、ダイ下面160に上バリB1の端部を当接(押し当て)させる。樹脂カスに対して上バリB1を斜めに押し当てると、樹脂カスを引きちぎってダイ下面160に樹脂カスが残存してしまうことがあるので、樹脂カスに対しては垂直に上バリB1を当接させると好適である。
ステップS202;上バリB1をダイ下面160に当接させた後、製品P1を水平移動させる。すると、上バリB1の端部に樹脂カスが付着して、ダイ下面160を拭き取るようにして掃除することができる。
ステップS203;図11に示すように製品P1を金型50から離間させて、製品P1を取出す。製品P1の取出し後、次の成形のためのパリソンPをダイヘッド10から押し出して、順次ブロー成形を行うことができる。
【0033】
ダイ下面160の掃除処理では、上バリB1の端部が半固化状態であると好適である。すなわち、ステップS104において、上バリB1の冷却は、第1の取出し機バー31でしっかりと上バリB1をチャックできる程度まで固化させておけばよく、上バリB1の冷却が足りない場合には上バリB1の端部をダイ下面160に当接させたときに溶融樹脂がダイ下面160に付着してしまい樹脂カスが発生してしまうが、上バリB1の端部を半固化状態としておけば、上バリB1端部からダイ下面160への樹脂の付着を防ぎつつ、ダイ16先端(ダイ下面160)のターゲット位置に発生する樹脂カスを確実に上バリB1の端部に付着させることができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態により限定されることは無く、種々の変更を加えて実施することができる。例えば、第1の取出し機バー31は、バー本体31aとL字部材31bとにより形成したが、一体のバーとして形成しても良い。また、第1の取出し機バー31の上面にブラシ等を設けて、該ブラシをダイ下面160に当接させることによりダイ16先端(ダイ下面160)の掃除処理を行うようにしても良い。
【0035】
また、本実施形態に係るブロー成形方法は、上記手順に関わらず、例えば、型締めした金型50の上面にパリソンPの上バリB1を落下させてブロー成形を行った後に上バリB1を取出し機バー(第1の取出し機バー31又は第2の取出し機バー110)でチャックする等、手順を入れ替えて実施することもできる。すなわち、ブロー成形が開始・完了のタイミングに関わらず、型締めした金型50の上面にパリソンPの上バリB1が落下されて、この上バリB1をチャックした取出し機バー(第1の取出し機バー31又は第2の取出し機バー110)により製品P1が取り出されればよい。
【符号の説明】
【0036】
1 ブロー成形装置 10 ダイヘッド
12 油圧シリンダー 12a ピストンロッド
12b 接続板 12c 接続ロッド
13 マンドレル 13a 先端部
13c プリブローエア流通路 14 アクチュエータ
14a サーボモータ 14b ウォームホイール
15 ダイヘッド本体 15a 上ダイヘッドプレート
15b ダイ外筒 15b1 環状突起
15c 下ダイヘッドプレート 16 ダイ
16a 開口部 16b 第1傾斜部
16c 第2傾斜部 16d フランジ
17 ピストン 18 押出し機
18a 吐出口 30 第1の取出し機
31 第1の取出し機バー 31a バー本体
31b L字部材 31c 挟持面
40 挟持装置 41 下ピンチ
50 金型
100 第2の取出し機 101 ロボットアーム
110 第2の取出し機バー 111 上第2の取出し機バー
112 下第2の取出し機バー 160 ダイ下面
B1 上バリ B2 下バリ
P パリソン P1 製品
P11 ダクト部 P12 バリ部
S ダイスリット T ターゲット位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11