(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】設計支援装置、設計支援プログラムおよび設計支援方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/392 20200101AFI20220729BHJP
H05K 13/04 20060101ALN20220729BHJP
G06F 115/12 20200101ALN20220729BHJP
【FI】
G06F30/392
H05K13/04 Z
G06F115:12
(21)【出願番号】P 2021128634
(22)【出願日】2021-08-04
【審査請求日】2021-12-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511187214
【氏名又は名称】株式会社FLOSFIA
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将人
(72)【発明者】
【氏名】三竹 雅也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健吾
(72)【発明者】
【氏名】人羅 俊実
(72)【発明者】
【氏名】奥井 富士雄
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-039741(JP,A)
【文献】特許第6745614(JP,B2)
【文献】特開2005-346532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/392
H05K 13/04
G06F 115/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援装置であって、
前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得する部品情報取得部と、前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に少なくとも基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する必要最小面積算出部、とを少なくとも備え
、前記部品内蔵基板の必要最小面積の算出に、前記部品内蔵基板の必要放熱面積がさらに用いられることを特徴とする設計支援装置。
【請求項2】
回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援装置であって、
前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得する部品情報取得部と、前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に少なくとも基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する必要最小面積算出部、と、前記必要最小面積の情報を用いて前記部品内蔵基板の熱シミュレーションを行う熱シミュレーション部を少なくとも備えることを特徴とする設計支援装置。
【請求項3】
前記回路の構成に関する情報を含む回路データベースから、前記回路に含まれる回路部品の情報を取得する回路部品情報取得部と、前記回路部品の中から前記部品内蔵基板に搭載する部品を選択する搭載部品選択部とをさらに備え、前記部品情報取得部は、前記搭載部品選択部で選択された電子部品に関する情報を取得する請求項1
または2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記部品内蔵基板の必要最小面積の算出に、前記部品内蔵基板内に搭載される前記電子部品の面積を合計した部品面積に基づいて導出される必要最小実装面積が用いられる請求項1
~3に記載の設計支援装置。
【請求項5】
前記部品内蔵基板の必要最小面積の算出に、前記部品内蔵基板の表面に搭載される電極パッドの面積に基づいて導出される必要最小パッド面積が用いられる請求項1~
4のいずれかに記載の設計支援装置。
【請求項6】
前記部品内蔵基板が搭載される実装基板の層構造、銅箔厚および基板材質の情報を少なくとも含む形態情報に基づいて前記必要最小パッド面積が導出される、請求項
5記載の設計支援装置。
【請求項7】
前記電子部品が、パワーデバイスである請求項1~
6のいずれかに記載の設計支援装置。
【請求項8】
回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援プログラムであって、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得する処理と、少なくとも前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報
と、前記部品内蔵基板の必要放熱面積とに基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する処理、とをコンピュータに実行させることを特徴とする、設計支援プログラム。
【請求項9】
回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援プログラムであって、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得する処理と、少なくとも前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する処理と、前記必要最小面積の情報に基づいて前記部品内蔵基板の熱シミュレーションを行う処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする、設計支援プログラム。
【請求項10】
回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援方法であって、
コンピュータが、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得すること、少なくとも前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報
と、前記部品内蔵基板の必要放熱面積の情報とに基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出すること、を少なくとも
実行することを特徴とする、設計支援方法。
【請求項11】
回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援方法であって、コンピュータが、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得すること、少なくとも前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出すること、前記必要最小面積の情報に基づいて前記部品内蔵基板の熱シミュレーションを行うこと、を実行することを特徴とする、設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路および/またはモジュールの設計を支援するための設計支援装置、設計支援プログラムおよび設計支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体モジュールを実装ボード等に実装する場合に、チップの多機能化に伴い、例えば半導体チップを搭載した配線基板上での当該半導体チップと他の半導体チップや抵抗、コンデンサ等の電気部品との接続を行う配線の設計も複雑化している。近年においては、例えば、マルチチップモジュール(MCM)やチップサイズパッケージ(CSP)を用いた実装設計が盛んに行われている。その実装設計は、高密度基板(以下、「子基板」ともいう。)上に部品を実装し、部品が実装された子基板の全体をさらに一つの部品とみなして、親基板に実装する設計技術を用いている。
【0003】
例えば、特許文献1には、部品の形状と大きさを示す部品外形と、当該部品が有する端子の位置を示す端子情報のデータを取得するデータ取得部と、対象部品毎の部品データを用いて対象部品の形状と大きさとに対応する部品矩形を算出する部品矩形算出部と、対象部品毎に部品矩形の周囲に付加領域を付加して、対象部品のために基板に確保させる範囲の大きさを有する占有矩形を算出する占有矩形算出部を備える基板設計装置が開示されている。
【0004】
一方、電子機器に用いられる回路基板モジュールにおいて、小型化および薄型化の観点から、内部にパワー半導体素子等の電子部品が埋設された電子部品内蔵基板が提案されている。電子部品内蔵基板では、内部に埋設された電子部品と、電子部品内蔵基板の表面に形成された配線とが、基板に設けたビア導体等によって接続される。例えば、特許文献3では、パワー半導体素子と、制御素子およびコイルが埋設された電子部品内蔵基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6745614号
【文献】特許第6308725号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上述のような電子部品内蔵基板の技術分野(特にパワー半導体素子を内蔵する場合)においては、例えば、内部に搭載する電子部品のサイズに応じた電子部品内蔵基板表面の必要面積を求める際に、特許文献1に記載されているような端子情報等に基づく付加領域の設定だけでなく、スルーホールの影響や熱的な影響等も考慮する必要がある課題を知見した。すなわち、部品内蔵基板の必要最小面積を求める際に、部品内蔵基板特有の要素を考慮することのできる設計支援装置が求められている。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、部品内蔵基板の必要最小面積導出を含む設計において、部品内蔵基板特有の要素を考慮して効率的に設計することのできる設計支援装置、設計支援プログラムおよび設計支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援装置であって、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得する部品情報取得部と、前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に少なくとも基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する必要最小面積算出部、とを少なくとも備える設計支援装置が、上記した問題を解決できるものであることを知見した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援装置であって、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得する部品情報取得部と、前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に少なくとも基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する必要最小面積算出部、とを少なくとも備えることを特徴とする設計支援装置。
[2] 前記回路の構成に関する情報を含む回路データベースから、前記回路に含まれる回路部品の情報を取得する回路部品情報取得部と、前記回路部品の中から前記部品内蔵基板に搭載する部品を選択する搭載部品選択部とをさらに備え、前記部品情報取得部は、前記搭載部品選択部で選択された電子部品に関する情報を取得する前記[1]記載の設計支援装置。
[3] 前記部品内蔵基板の必要最小面積の算出に、前記部品内蔵基板内に搭載される前記電子部品の面積を合計した部品面積に基づいて導出される必要最小実装面積が用いられる前記[1]または[2]に記載の設計支援装置。
[4] 前記部品内蔵基板の必要最小面積の算出に、前記部品内蔵基板の表面に搭載される電極パッドの面積に基づいて導出される必要最小パッド面積が用いられる前記[1]~[3]のいずれかに記載の設計支援装置。
[5] 前記部品内蔵基板が搭載される実装基板の層構造、銅箔厚および基板材質の情報を少なくとも含む形態情報に基づいて前記必要最小パッド面積が導出される、前記[4]記載の設計支援装置。
[6] 前記電子部品が、パワーデバイスである前記[1]~[5]のいずれかに記載の設計支援装置。
[7] 前記部品内蔵基板の必要最小面積の算出に、前記部品内蔵基板の必要放熱面積がさらに用いられる前記[1]~[6]にいずれかに記載の設計支援装置。
[8] 前記必要最小面積の情報を用いて前記部品内蔵基板の熱シミュレーションを行う熱シミュレーション部をさらに有する前記[1]~[7]のいずれかに記載の設計支援装置。
[9] 回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援プログラムであって、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得する処理と、少なくとも前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する処理、とをコンピュータに実行させることを特徴とする、設計支援プログラム。
[10] 回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援方法であって、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得すること、少なくとも前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出すること、を少なくとも含むことを特徴とする、設計支援方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の設計支援装置、設計支援プログラムおよび設計支援方法によれば、部品内蔵基板の必要最小面積導出を含む設計において、部品内蔵基板特有の要素を考慮して効率的に設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る設計支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る設計支援方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施態様における回路図の一態様を模式的に示す図である。
【
図4】回路データベースおよび部品データベースを説明する模式的な図面である。
【
図5】第1の実施形態に係る設計支援方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る必要最小パッド面積算出の処理手順を具体的に説明するフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態に係る設計支援方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係るジャンクションケース間熱抵抗算出時の簡易モデルを模式的に示す図である。
【
図9】第3の実施形態に係る設計支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】第3の実施形態に係る設計支援方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】部品内蔵基板表面の電極パッド配置状態を模式的に示す上面図である。
【
図12】部品内蔵基板の必要最小実装面積を説明するための模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
回路の少なくとも一部を構成する電子部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援装置であって、前記部品内蔵基板内に搭載する前記電子部品に関する部品情報を取得する部品情報取得部と、前記部品情報に含まれる前記電子部品のサイズに関する情報に少なくとも基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する必要最小面積算出部、とを少なくとも備えることを特長とする。
【0013】
以下、本発明の設計支援装置の実施形態を、図面を用いて説明するが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
図1の設計支援装置100は、プロセッサ901、メモリ902、補助記憶装置903、入力装置904、出力装置905を含むハードウェアを備えるコンピュータである。プロセッサ901は、信号線を介して他のハードウェアと接続されている。
【0015】
プロセッサ901は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)であり、他のハードウェアを制御する。具体的には、プロセッサ901は、CPU(Central Pcocessing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)またはGPU(Graphics Processing Unit)である。メモリ902は揮発性の記憶装置である。メモリ902は、主記憶装置またはメインメモリとも呼ばれる。具体的には、メモリ902はRAM(Random Access Memory)である。
補助記憶装置903は不揮発性の記憶装置である。具体的には、補助記憶装置903は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)である。入力装置904は、入力を受け付ける装置である。入力装置904は、より具体的には、キーボード、マウス、テンキーまたはタッチパネル等である。本発明の実施態様においては、前記入力装置904は、外部の顧客端末等とネットワークを介して接続されたものであって、受付部192によって外部設計者(顧客)が入力した情報を受け付けるものであってもよい。前記入力装置904に入力される情報は、ネットワーク等を介したデジタル情報として入力されてもよい。より具体的には、例えば、顧客側端末にて入力された情報(デジタル情報)がネットワークを介して入力される情報であってよい。
出力装置905は、出力を行う装置である。前記出力装置905は、より具体的には、例えば、表示を行うモニタまたは印刷を行うプリンタである。本発明の実施態様においては、前記出力装置は、外部の顧客端末等とネットワークを介して接続されたものであって、出力193を介して外部設計者(顧客)側の端末のディスプレイなどに出力情報を表示できるように構成されたものであってもよい。前記出力装置905によって出力される情報は、ネットワーク等を介したデジタル情報として出力されてもよい。より具体的には、例えば、出力装置905によって出力される情報は、ネットワークを介して顧客端末や製造業者等のディスプレイに表示されてもよい。
【0016】
設計支援装置100は、回路部品情報取得部101、搭載部品選択部102、部品情報取得部103、パッド情報取得部104、面積情報取得部105等の「部」を機能構成の要素として備える。「部」の機能はソフトウェアで実現される。「部」の機能については後述する。
【0017】
補助記憶装置903には、「部」の機能を実現するプログラムが記憶されている。「部」の機能を実現するプログラムは、メモリ902にロードされて、プロセッサ901によって実行される。さらに、補助記憶装置903にはOS(Operating System)が記憶されている。OSの少なくとも一部は、メモリ902にロードされて、プロセッサ901によって実行される。すなわち、プロセッサ901は、OSを実行しながら、「部」の機能を実現するプログラムを実行する。
「部」の機能を実現するプログラムを実行して得られるデータは、メモリ902、補助記憶装置903、プロセッサ901内のレジスタまたはプロセッサ901内のキャッシュメモリといった記憶装置に記憶される。なお設計支援装置100が複数のプロセッサ901を備えて、複数のプロセッサ901が「部」の機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0018】
メモリ902はデータを記憶する記憶部191として機能する。但し、メモリ902以外の記憶装置が記憶部191として機能してもよい。入力装置904は入力を受け付ける受付部192として機能する。出力装置904は出力を行う出力部196として機能する。
【0019】
「部」は「処理」または「工程」に読み替えてもよい。「部」の機能はファームウェアで実現してもよい。「部」の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、光ディスクまたはフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体に記憶することができる。
【0020】
設計支援装置100の動作は設計支援方法に相当する。また、設計支援方法の手順は設計支援プログラムの手順に相当する。
【0021】
図2に基づいて、設計支援装置100の動作(設計支援方法)を説明する。
【0022】
ステップS1において、設計者は、入力装置904を操作して、回路情報を入力し、受付部192が入力された回路情報を受け付ける。本発明の実施態様においては、設計者(顧客)は、外部端末を操作して回路情報を入力し、該回路情報を入力装置904が受付部192を介して取得(受付)してもよい。前記回路情報は、具体的には、例えば、回路種類名および回路図である。回路種類名としては、例えば、ハーフブリッジ、フルブリッジ、昇圧チョッパ―、降圧チョッパ―回路が挙げられる。前記回路種類名は、少なくとも部品内蔵基板内に搭載される電子部品が含まれる基本的な回路構成が分かるものであれば、上記例に限定されない。また、回路図としては、例えば
図3に示すような回路図が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の実施態様においては、予め記憶部191に記憶されている複数の回路種類名や回路図を出力装置905を用いて表示し、顧客(設計者)がその中から使用する回路種類名や回路図を選択するのが好ましい。
【0023】
ステップS2においては、回路部品情報取得部101が、入力装置が取得した回路情報に基づいて、回路情報データベースから、当該回路構成に必要な部品情報(回路部品情報)、すなわち、前記回路に含まれる回路部品の情報を取得する。前記回路部品情報は、具体的には、例えば、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ、コイル等の部品種類名である。なお、本発明の実施態様においては、前記回路部品情報が、各回路部品間の接続関係を含むネットリストを含んでいてもよい。前記ネットリストの情報は、例えば、前記部品内蔵基板内部の配線設計または実装基板上における前記部品内蔵基板およびその他部品との間の配線設計に用いられる。なお、本発明の実施態様においては、設計者(顧客)が入力する回路情報は、回路の動作条件に関する情報(以下、「動作情報」ともいう。)を含むのが好ましい。前記動作情報は、より具体的には、例えば、耐圧や電流値、動作周波数等の、該当回路の動作条件を含む。前記動作情報は、後述する部品情報取得時に用いられる。また、本発明の実施態様においては、
図2のステップS2において、前記回路情報に加えて、部品内蔵基板に要求する熱抵抗値の値や、絶縁構造(例えば、絶縁:上面放熱、絶縁:下面放熱、非絶縁:上面放熱、非絶縁:下面放熱)等の情報が入力されてもよい。
【0024】
ステップS3においては、搭載部品選択部102が、前記回路部品情報取得部101によって取得した回路部品(前記回路の構成部品)の中から、部品内蔵基板内に搭載する部品を選択する。本発明の実施態様においては、例えば、前記回路の構成部品のうち、能動部品を搭載部品として選択する。より具体的には、例えば、前記回路構成が降圧チョッパ回路であり、回路図が
図3に示す回路図である場合、能動部品であるスイッチング素子T1およびT2を部品内蔵基板内に搭載する部品として選択する。かかる選択は、上述のような基準(能動部品であるか否か)に基づいて行われてもよいし、他の選択基準に基づいて行われれてもよい。すなわち、本発明の実施態様においては、前記部品内蔵基板内に搭載する部品として能動部品だけでなく受動部品が選択される場合があってもよい。なお、前記選択基準は、予め記憶部191に記憶されるのが好ましい。また、本発明の実施態様においては、前記搭載部品選択部102は、入力装置904または外部設計者(顧客)側の外部端末から設計者(顧客)が選択し入力した搭載部品情報を取得してもよい。なお、本明細書においては、プロセッサを操作する側の設計者を「内部設計者」、設計支援装置とネットワーク等を介して接続された外部端末を操作する設計者を「外部設計者」といい、両者をまとめて設計者ともいう。
【0025】
ステップS4においては、部品情報取得部103が、記憶部191に記憶された部品データベースから、搭載部品選択部にて選択された部品に対応する部品指定情報を取得する。ここで、部品情報取得部103は、上記で設計者が入力した回路情報に含まれる動作情報に適合する部品指定情報を取得し、取得した部品指定情報に対応する部品を搭載部品として選択する。なお、前記動作情報に適合する部品指定情報が複数ある場合には、前記複数の部品指定情報をその他部品に関する情報(価格、製造メーカ名、スペック)とともに出力装置905を介して出力し、設計者が使用する部品を選択してもよい。部品指定情報は、搭載部品を指定する情報である。前記部品指定情報は、具体的には、例えば、部品毎の部品識別子(例えば、部品の名称等)である。
【0026】
ここで、回路データベースおよび部品データベースを
図4を用いて説明する。
図4(a)に示す回路データベース210は、回路データ211の集合であり、記憶部191に予め記憶される。回路データ211は、回路種類名、回路図および構成部品の種類・数等の回路に関する情報を含む。また、
図4(b)に示す部品データベース220は、部品データ221の集合であり、記憶部191に予め記憶される。部品データ221は、部品識別子、部品外形、部品の電気特性等、部品の一般的なデータベースに記載されている、部品に関する情報を含む。部品指定識別子は、例えば部品の名称等の各部品を識別できる情報を示す。部品外形は、部品の形状とサイズ(大きさ)を示す。本発明の実施態様においては、前記部品外形が、ベアチップとしての部品の形状とサイズに関する情報を含むのが好ましい。このような情報が含まれることにより部品内蔵基板内へ搭載する際の設計をよりスムーズに行うことができる。また、部品の電気特性は、例えば、部品がIGBTである場合、コレクタ・エミッタ電圧、ゲート耐圧、コレクタ電流、接合温度等のデバイスデータシートに記載されている情報や各種性能グラフに関する情報である。また、本発明の実施態様においては、前記部品がダイオードまたはトランジスタ等の能動部品である場合、前記部品データ221が、半導体部品特性情報を含むのも好ましい。半導体部品がトランジスタである場合の半導体部品特性情報の一例としては、Vce(コレクタエミッタ間飽和電圧)等のトランジスタの飽和電圧、Eon(ターンオン損失)、Eoff(ターンオフ損失)、Tr(立ち上がり時間)、Tf(立ち下がり時間)が挙げられる。また、半導体部品がダイオードである場合の半導体部品特性情報の一例としては、Vf(順電圧)、Err(逆回復損失)が挙げられる。このような半導体部品特性情報は、例えば、後述する損失の算出時に好適に用いられる。
【0027】
ステップS5では、パッド情報取得部104が、前記部品情報取得部103において取得された前記部品指定情報に基づいて部品種類名と数とを導出し、パッド情報を取得する。パッド情報は、部品内蔵基板表面上に配置する電極パッドの種類および数に関する情報を少なくとも含む。パッド情報は、通常、前記部品内蔵基板に搭載する部品種類名と個数によって一意に決まるものであり、前記部品種類名・個数と前記パッドの種類・数の組合わせについては、記憶部191に予め記憶されているのが好ましい。前記部品種類名・個数と前記パッド情報の組合せの一例を表1に示す。
【0028】
【0029】
ステップS6においては、面積情報取得部105が、部品内蔵基板の表面の必要最小面積(面積情報)を、必要最小実装面積および必要最小パッド面積に基づいて、導出する。なお、前記部品内蔵基板表面の電極パッド配置状態の例を
図11に示す。
図11の部品内蔵基板40は、表面に電源パッド41ならびに42、グランドパッド43、および信号パッド44a~44dを有する。ここで、必要最小面積とは、
図11における部品内蔵基板40の外周で囲まれる矩形領域の必要最小面積をいう。面積情報取得部108による面積情報の取得の処理手順について、
図5を用いてより詳細に説明する。
図5のステップS1においては、
図4(b)に示す部品データベースより部品内蔵基板に搭載される各電子部品のサイズに関する情報(面積データ)が取得される。次に、
図5のステップS2において、取得された各電子部品の面積データに基づいて、部品内蔵基板の必要最小実装面積を算出する。前記必要最小実装面積は、上記で取得された各電子部品の面積データの合計に実装係数を積算することにより算出される。ここで、実装係数は、部品内蔵基板を作製する際のスルーホール形成領域や各部品間の離隔距離等を考慮して実装面積を設定するための係数である。実装係数は、例えば、内蔵部品数と実装係数との対応関係を表すテーブルとして、予め記憶部191に記憶される。
図12を用いて、前記必要最小実装面積の導出に用いられる実装係数の考え方についてより詳細に説明する。
図12は、前記部品内蔵基板の積層方向と垂直な任意の断面における断面図である。
図12に示す部品内蔵基板40は、第1の半導体部品(電子部品)23、第2の半導体部品(電子部品)24およびスルーホール29を少なくとも有している。前記必要最小実装面積を求める際に用いられる実装係数は、例えば第1の半導体部品23と第2の半導体部品24との離隔距離d1や、第1の半導体部品23および/または第2の半導体部品24とスルーホール29との離隔距離d2、およびスルーホール29の形成領域を考慮して予め設定されているのが好ましい。
【0030】
なお、本実施形態においては、
図2のステップS4において、前記部品内蔵基板の形態情報を取得しておくのが好ましい。前記部品内蔵基板の形態情報は、例えば、部品内蔵基板の層数、導電層材料、絶縁層材料、放熱板仕様等の情報をいう。前記部品内蔵基板の形態情報は、搭載される部品の種類および数等に対応して、予めデータベース化されているのが好ましい。前記形態情報は、後述する電極パッドの温度上昇を抽出する際に用いられる。
【0031】
次に、
図5のステップS3において、必要最小パッド面積が導出される。必要最小パッド面積は、各パッド(電源パッド、グランドパッドおよび信号パッド)それぞれの必要最小面積を足し合わせることによって導出される。
図1のパッド情報取得部104で取得されたパッド情報(パッドの種類および数を含む)、
図1の部品情報取得部103で取得された部品情報(部品の最大電流値を含む)等に基づき、公知の算出手段を用いて導出される。必要パッド最小面積の導出手順の一例を
図6を用いて説明するが、
図6の手順は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
図6のステップS1において、まず、電極パッドの材料特性情報を、記憶部191に記憶された電極パッドデータベースから取得する。電極パッドの材料特性情報は、少なくとも電極パッドのシート抵抗R
se、シート熱抵抗R
stを含む。なお、前記シート熱抵抗R
stの値は、例えば、実装形態ごとに予め設定された電極パッドのシート熱抵抗のリスト、および設計者(顧客)が入力する実装形態の情報に基づいて導出される。設計者(顧客)が入力する実装形態の情報の一例を表2に示す。前記電極パッドデータベースは、予め記憶部191に記憶されているのが好ましい。
【0033】
【0034】
次に、
図6のステップS2において、記憶部191の部品データベースから部品情報を取得する。取得する部品情報は、少なくとも回路の対応電子部品の最大電流値I
Fの値を含む。
図6のステップS3において、電源パッド(Vinパッド・Voutパッド)およびグランドパッドの面積を算出する。ステップS3の詳細を以下に説明する。
【0035】
図6のステップS3においては、まず、電極パッドの温度上昇の許容値を抽出する。電極パッドの温度上昇の許容値は、設計者が入力装置904にて入力した値を用いてもよいし、予め部品内蔵基板の形態によって決まるものであり、記憶部191に前記部品内蔵基板の形態と対応させる形で予め記憶部191に記憶されているものを参照して抽出するのが好ましい。次に、
図6のステップS1およびステップS2にて取得した電極パッドの材料特性情報(シート抵抗、シート熱抵抗)、部品情報(通電最大電流)および上記にて取得した電極パッドの温度上昇の許容値に基づいて、下記式(1)および下記式(2)を用いて電極パッド(電源パッドおよびグランドパッド)の必要最小面積を算出する。本実施形態においては、電源パッド(Vinパッド、Voutパッド)およびグランドパッドの面積がそれぞれ同じものであると仮定するため、下記式(1)および下記式(2)で求めた面積に、各パッドの個数を積算することにより、電源パッドおよびグランドパッドの必要最小面積を求める。
【0036】
【数1】
[式中、ΔTは電極パッドの温度上昇許容値、R
seはシート抵抗、Sは電極パッド面積、I
fは通電最大電流、R
stはシート熱抵抗をそれぞれ表す。]
【0037】
【数2】
[式中、ΔTは電極パッドの温度上昇許容値、R
seは電極パッドのシート抵抗、Sは電極パッド面積、I
fは通電最大電流、R
stは電極パッドのシート熱抵抗をそれぞれ表す。]
【0038】
次に、
図6のステップS4において、信号パッドの面積を取得する。本発明の実施態様においては、信号パッドの面積は製造条件によって決まるものと仮定し、予め信号パッド1つ当たりの面積を記憶部191に記憶しておくのが好ましい。そのため、
図6のステップS4においては、信号パッド一つ当たりの面積に信号パッドの数を積算することにより、信号パッドの面積を算出する。
【0039】
最後に、
図6のステップS5において、
図6のステップS3にて算出した電源パッドおよびグランドパッドの面積と
図6のステップS4にて算出した信号パッドの面積を足し合わせて、必要最小パッド面積を導出する。なお、必要最小パッド面積を導出する際には、電極パッド同士の離隔距離を考慮した係数をさらにかけ合わせる。前記係数は、予め記憶部191に記憶される。
【0040】
図5の処理手順の説明に戻る。
図6を用いて説明したとおり、必要最小パッド面積を算出した後、
図5のステップS4において、必要最小実装面積と必要最小パッド面積の比較を行い、大きい方の面積を部品内蔵基板の必要最小面積として導出する。導出された必要最小面積は、出力部193を用いて出力される。本発明の実施態様においては、得られた必要最小面積の情報が、出力部193からネットワーク等を介して顧客側の外部端末のディスプレイ等に表示されるのが好ましい。また、本発明の実施態様においては、前記必要最小面積の情報が、前記部品情報とともに表示されるのが好ましい。このような好ましい構成とすることにより、設計者(顧客)が、前記部品情報も考慮しつつ効率的に設計を進めることができる。なお、図示しないが、得られた必要最小面積の値が設計者の要求を満たさない場合、例えば
図2におけるステップS3の搭載部品選択やステップS4の部品情報取得に戻り再度設計を行ってもよい。
【0041】
本実施形態における各ステップの内容および順番はあくまで一例であり、本発明は上記した例に限定されるものではない。以下に示す実施形態においても同様である。特に、本実施形態においては、
図2のステップS5および
図5のステップS3ならびにS4は省略してもよく、
図5のステップS2における必要最小実装面積を部品内蔵基板の必要最小面積としてそのまま採用してもよい。
【0042】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、部品内蔵基板特有の要素を考慮したうえで最適な寸法設計を行うことができる。
【0043】
(第2の実施形態)
第2の実施形態において、設計支援装置100の構成は、第1の実施形態(
図1)と同様である。
【0044】
以下、
図7を用いて本発明の第2の実施形態にかかる設計支援装置の動作(設計支援方法)を説明する。本実施形態に係る設計支援方法の処理の流れは、
図7のステップS4において必要最小放熱面積導出を行う点、
図7のステップS5およびS6において、ステップS2~S4にて導出した必要最小実装面積、必要最小パッド面積および必要最小放熱面積のうち最大の面積を、必要最小面積として採用する点で、第1の実施形態と異なる。本実施形態においては、上述のとおり、部品内蔵基板の必要最小面積の導出に、必要最小放熱面積をさらに用いるため、早い段階で放熱の観点を考慮した設計をすることができ、部品内蔵基板の設計をより効率化することができる。以下に、必要最小放熱面積の導出の手順を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、公知の熱計算方法を用いた他の方法を用いてもよい。必要最小放熱面積の導出は、例えば、下記式(3)を用いて行うことができる。なお、下記式(3)および下記式(4)は必要放熱面積導出処理の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。ジャンクションケース間熱抵抗の算出は、
図17に示す簡易モデルを用いて、下記式(3)に基づいて行う。なお、ダイボンディング材52の熱抵抗Rdは材料データシートより既知の値とする。また、放熱板53の熱抵抗Rhは、放熱板の熱抵抗率、放熱板の厚みおよび放熱板の面積から求めることができる。ここで、放熱板の厚みは、部品内蔵基板の仕様で予め決まったものを使用するものと仮定し、その数値は予め記憶部191に記憶されているものとるする。また、放熱板の面積は、
図5のステップS2にて求めた必要最小実装面積と同じものと仮定する。
【0045】
【数3】
[式中、R
jcはジャンクションケース間熱抵抗、R
dはダイボンディング材熱抵抗、Rhは放熱板熱抵抗をそれぞれ表す。]
【0046】
【数4】
[式中、T
jmaxは最大ジャンクション温度、T
cは電極パッド温度、Qは損失、R
jcはジャンクションケース間熱抵抗をそれぞれ表す。]
【0047】
損失Qは、前記部品内蔵基板内に搭載される電子部品(半導体部品)による損失の合計値である。本発明の実施態様においては、例えば、前記電子部品(半導体部品)がトランジスタおよびダイオードを含む場合、トランジスタの損失およびダイオードの損失を、上述の半導体部品特性情報および公知の損失算出方法を用いて算出し、その合計を損失Qとして導出する。
【0048】
上述のとおり、本実施形態によれば、部品内蔵基板の必要最小面積導出を含む設計において、物理的な観点だけでなく、熱的な観点も考慮して設計を行うことができる。
【0049】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と重複する説明は省略または簡略する。
【0050】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る設計支援装置の構成を示すブロック図である。第1の実施形態と同じものについては、同じ符号を付す。また、第1の実施形態と同様に機能するものについては説明を省略する。
図9に示す設計支援装置は、熱シミュレーション部をさらに有する点で、
図1の設計支援装置と異なる。
【0051】
以下、
図10を用いて本発明の第2の実施形態に係る設計支援装置200の動作(設計支援方法)を説明する。本実施形態に係る設計支援方法の処理の流れは、
図9のステップS7およびS8を除いて、第1の実施形態と同様である。
図9のステップS8においては、ステップS6で得られた部品内蔵基板の必要最小面積の情報を含む部品内蔵基板の設計情報に基づき、公知の熱解析方法を用いて、熱シミュレーションを行い、Tjを算出する。公知の熱解析方法は、例えば、特許第6745614号に記載されている方法等の公知の方法であってもよいし、市販の熱解析シミュレーションソフトを用いる方法であってよい。熱シミュレーションを行うにあたって追加で必要な設計情報(例えば、部品内蔵基板内の基板層数、材料物性等)は、設計者(顧客)側が入力装置904または顧客側の外部端末を用いて入力してもよいし、例えば部品内蔵基板内に搭載する部品の数および端子数と基板層数との組合せに関する情報を含むテーブル等の形式で記憶部191に予め記憶されているものを用いてもよい。なお、本実施形態においては、熱シミュレーションを用いてTjを算出し、TjおよびTjmaxの値の比較を判断基準としたが、本発明はこれに限定されることなく、他の熱的な特性値を熱シミュレーションによって算出してもよいし、他の判断基準を用いてもよい。
【0052】
図10のステップS8においては、ステップS7で算出されたT
jの値と対応する部品のT
jmaxの値とを比較し、T
j≧T
jmaxを満たす場合には、設計完了とする。一方、T
j≧T
jmaxを満たさない場合には、ステップS3の搭載部品の選択から再度処理が行われる。なお、T
jmaxの値は、部品データベースから取得された値をそのまま用いてもよいし、例えば0.9等の安全係数をかけた値をステップS8で用いてもよい。
【0053】
上述のとおり、本実施形態によれば、設計支援装置で算出した部品内蔵基板の必要最小面積の情報をさらに熱シミュレーションに利用し、設計さらにより向上させることができる。
【0054】
実施の形態において、設計支援装置100または200の機能はハードウェアで実現してもよい。すなわち、前記設計支援装置100または200が1または2以上の処理回路を備え、前記処理回路が「部」の機能を実現してもよい。また、前記設計支援装置100、200または300は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現してもよい。すなわち、「部」の一部をソフトウェアで実現し、「部」の残りをハードウェアで実現してもよい。
【0055】
なお、上述した本発明に係る複数の実施形態の一部または全部を組合わせたり、一部の構成要素を他の実施形態に適用することももちろん可能であり、そのようなものも本発明の実施形態に属する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の設計支援装置、設計支援方法、設計支援プログラムおよび設計支援装置は、半導体(例えば化合物半導体電子デバイス等)、電子部品・電気機器部品、光学・電子写真関連装置、工業部材などあらゆる分野に用いることができるが、とりわけ、パワーデバイスを内蔵する電子部品内蔵基板に有用である。
【符号の説明】
【0057】
23 第1の半導体部品(電子部品)
24 第2の半導体部品(電子部品)
29 スルーホール
40 部品内蔵基板
41 電源パッド(入力パッド)
42 電源パッド(出力パッド)
43 グランドパッド
44a 信号パッド
44b 信号パッド
44c 信号パッド
44d 信号パッド
50 部品内蔵基板
51 チップ
52 ダイボンディング材
53 放熱板
101 回路部品情報取得部
102 搭載部品選択部
103 部品情報取得部
104 パッド情報取得部
105 面積情報取得部
191 記憶部
192 受付部
193 出力部
200 設計支援装置
210 回路データベース
211 回路データ
220 部品データベース
221 部品データ
901 プロセッサ
902 メモリ
903 補助記憶装置
904 入力装置
905 出力装置
【要約】
【課題】部品内蔵基板の必要最小面積導出を含む設計において、部品内蔵基板特有の要素を考慮して設計を行うことができる設計支援装置、設計支援プログラムおよび設計支援方法を提供する。
【解決手段】 回路の少なくとも一部を構成する半導体部品が内蔵されている部品内蔵基板の設計支援装置であって、前記部品内蔵基板内に搭載する電子部品に関する部品情報を取得する部品情報取得部と、前記部品情報に含まれる前記電子部品の形状情報および前記回路および/または前記電子部品の電気特性情報に基づいて、前記部品内蔵基板表面の必要最小面積を算出する必要最小面積算出部、とを少なくとも備える設計支援装置。
【選択図】
図1