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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】連結車両およびその走行方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 13/04 20060101AFI20220729BHJP
   B62D 53/00 20060101ALI20220729BHJP
   B62D 7/15 20060101ALI20220729BHJP
   B62D 12/02 20060101ALI20220729BHJP
   B62D 7/02 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B62D13/04
B62D53/00 B
B62D53/00 D
B62D53/00 G
B62D7/15 B
B62D12/02
B62D7/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018120147
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020001452
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】510107622
【氏名又は名称】有限会社タケオカ自動車工芸
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511018321
【氏名又は名称】株式会社ユニロック
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】武岡 学
(72)【発明者】
【氏名】御▲崎▼ 哲一
(72)【発明者】
【氏名】高山 宜久
(72)【発明者】
【氏名】曽我 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】江本 茂夫
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-13875(JP,U)
【文献】特開2015-160454(JP,A)
【文献】特開平6-107168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 9/00-15/02
B62D 53/00
B62D 7/00-7/22
B62D 12/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先後端に配置される牽引車と、
前記牽引車で挟まれて、前記牽引車と連結する付随車と、
を具備する連結車両であって、
連結車両は、いずれかの前記牽引車を先頭にして、両方向に進行可能であり、
前記牽引車の少なくとも後輪側には、ターンテーブル式の操舵装置が設けられ、
前記付随車には、前後輪が連動する四輪操舵のターンテーブル式の操舵装置が設けられ、
前記牽引車は、前記付随車との連結部を有し、前記連結部は、前記牽引車の車体と、前記牽引車の操舵装置とに対して自由に回動可能であり、
前記連結部と前記牽引車の車体または前記連結部と前記牽引車の操舵装置とのいずれかを選択して互いに固定可能な固定構造を有し、
進行方向に対して先頭の前記牽引車の車体と前記連結部とが前記固定構造で固定され、
進行方向に対して最後尾の前記牽引車の操舵装置と前記連結部と前記固定構造で固定されることを特徴とする連結車両。
【請求項2】
前記連結部は、前記牽引車の車体との固定部と、前記牽引車の操舵装置との固定部の間に配置され、
前記固定構造は、前記連結部を貫通するピンであり、
進行方向に対して先頭の前記牽引車の車体と前記連結部とが前記ピンで固定され、
進行方向に対して最後尾の前記牽引車の操舵装置と前記連結部とが前記ピンで固定されることを特徴とする請求項1記載の連結車両。
【請求項3】
先後端に配置される牽引車と、前記牽引車で挟まれて、前記牽引車と連結する付随車と、を具備する連結車両の走行方法であって、
連結車両は、いずれかの前記牽引車を先頭にして、両方向に進行可能であり、
前記牽引車の少なくとも後輪側には、ターンテーブル式の操舵装置が設けられ、
前記付随車には、前後輪が連動する四輪操舵のターンテーブル式の操舵装置が設けられ、
前記牽引車は、前記牽引車の車体に接続される連結部を有し、前記連結部は、前記牽引車の車体と、前記牽引車の操舵装置とに対して自由に回動可能であり、
前記連結部と前記牽引車の車体または前記連結部と前記牽引車の操舵装置とのいずれかを選択して互いに固定可能な固定構造を有し、
進行方向に対して先頭の前記牽引車の車体と前記連結部とを前記固定構造で固定し、進行方向に対して最後尾の前記牽引車の操舵装置と前記連結部とを前記固定構造で固定して、走行することを特徴とする連結車両の走行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道トンネルの中央通路などの狭隘な通路に進入することが可能な連結車両等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、トンネルなどのコンクリート構造体の検査方法としては、検査車両を軌道上に走行させ、検査車両からレーザー、超音波、電磁波等を検査対象の構造体表面に発振するとともに、反射したレーザー、超音波、電磁波等を受振し、検査対象部の欠陥を検出する方法がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-163426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法によれば、非接触で効率よくコンクリート構造体の健全度を測定することができる。
【0005】
しかし、例えば、上下線の一対の軌道に対して、その一方の軌道上に検査車両を走行させると、検査車両と両側のそれぞれの壁との距離が大きく異なることとなる。このため、例えば、一方の壁が近くなりすぎて、計測ができない場合がある。また、軌道上に検査車両を走行させるためには、軌道走行用の専用の車両が必要であるためコストもかかり、軌道上に検査車両を設置するのにも時間を要する。
【0006】
一方、一対の軌道の間であって、トンネルの中央部には、補修作業などのために、人が通行可能な通路が設けられる場合がある。この中央通路を利用して人が徒歩や軽車両などで所望の場所に移動することで、容易に必要な場所に移動して作業を行うことができる。したがって、前述した検査車両を、トンネル内の中央通路を走行させることができれば、検査車両を軌道上に走行させる必要がない。このため、検査車両とトンネルの両側の壁部までの距離が略一定となるため、測定が容易となり、軌道走行用の特殊な車両を用いる必要がない。
【0007】
しかし、通常、トンネル内の通路は狭いため、大型の検査車両は進入することができない。このため、レーザー等を発振する装置や計測を行う装置などを、複数の車両に分けて搭載して、それらの車両を連結させる必要がある。
【0008】
また、トンネル内の中央通路への出入りは、例えば軌道に対して略直交する方向に軌道下に設けられた地下通路から行われる。このため、地下通路から中央通路へ進入する際には、限られた狭隘なスペース内で、車両を略90度旋回させる必要がある。しかし、複数の車両が連結されていると、旋回時の内輪差によって、後方の車両をうまく中央通路に誘導することが困難である。
【0009】
また、検査車両を中央通路に進入させ、所望の位置まで移動して作業を終えた後は、検査車両をバックさせて、進入した地下通路に退避させる必要がある。この際にも、旋回時の内輪差によって、後方の車両をうまく地下通路に退避させることが困難である。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、狭隘なスペースでも、内輪差を抑制して、所望の通路に進入および退避をさせることが可能な連結車両等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、先後端に配置される牽引車と、前記牽引車で挟まれて、前記牽引車と連結する付随車と、を具備する連結車両であって、連結車両は、いずれかの前記牽引車を先頭にして、両方向に進行可能であり、前記牽引車の少なくとも後輪側には、ターンテーブル式の操舵装置が設けられ、前記付随車には、前後輪が連動する四輪操舵のターンテーブル式の操舵装置が設けられ、前記牽引車は、前記付随車との連結部を有し、前記連結部は、前記牽引車の車体と、前記牽引車の操舵装置とに対して自由に回動可能であり、前記連結部と前記牽引車の車体または前記連結部と前記牽引車の操舵装置とのいずれかを選択して互いに固定可能な固定構造を有し、進行方向に対して先頭の前記牽引車の車体と前記連結部とが前記固定構造で固定され、進行方向に対して最後尾の前記牽引車の操舵装置と前記連結部とが前記固定構造で固定されることを特徴とする連結車両である。
【0012】
前記連結部は、前記牽引車の車体との固定部と、前記牽引車の操舵装置との固定部の間に配置され、前記固定構造は、前記連結部を貫通するピンであり、進行方向に対して先頭の前記牽引車の車体と前記連結部とが前記ピンで固定され、進行方向に対して最後尾の前記牽引車の操舵装置と前記連結部とが前記ピンで固定されてもよい。
【0013】
第1の発明によれば、連結車両の先後端に牽引車が配置されるため、進行方向の先頭側の牽引車を操作することで、連結車両の前進および後退の両方向に対して容易に連結車両を走行させることができる。また、この際、牽引車で挟まれる付随車が、ターンテーブル式の四輪操舵の操舵装置を有するため、個々の付随車は、内輪差なく走行することができる。また、牽引車の進行方向に対する後輪側がターンテーブル式の操舵装置であるため、牽引車も小回りが可能である。
【0014】
また、この際、進行方向の後方の牽引車は、連結部と操舵装置とが固定されるため、当該牽引車と付随車とは、操舵装置同士が連結される。このため、前方の付随車の操舵装置の動作と、後方の牽引車の操舵装置の動作とが連動し、前方の牽引車に連結される付随車および後方の牽引車は、前方の牽引車が方向を変えると、直ちに同時にこれに追従するように操舵装置が動作する。この結果、極めて小回りが利き、内輪差を抑制することができる。
【0015】
一方、先頭の牽引車は、連結部と車体とが固定されるため、当該牽引車の車体と、その後方の付随車の操舵装置とが連結される。すなわち、前方の牽引車の操舵装置は、後方の付随車の操舵装置とは連結されない。このため、先頭の牽引車の操舵装置は、他の操舵装置の動作の影響を受けることがなく、容易に独立して操作することができる。
【0016】
また、連結部と車体の固定と、連結部と操舵装置との固定を、ピンで行うことで、ピンの位置を変えるのみで、連結部と固定される対象を変更可能である。このため、変更作業が容易である。
【0017】
第2の発明は、先後端に配置される牽引車と、前記牽引車で挟まれて、前記牽引車と連結する付随車と、を具備する連結車両の走行方法であって、連結車両は、いずれかの前記牽引車を先頭にして、両方向に進行可能であり、前記牽引車の少なくとも後輪側には、ターンテーブル式の操舵装置が設けられ、前記付随車には、前後輪が連動する四輪操舵のターンテーブル式の操舵装置が設けられ、前記牽引車は、前記牽引車の車体に接続される連結部を有し、前記連結部は、前記牽引車の車体と、前記牽引車の操舵装置とに対して自由に回動可能であり、前記連結部と前記牽引車の車体または前記連結部と前記牽引車の操舵装置とのいずれかを選択して互いに固定可能な固定構造を有し、進行方向に対して先頭の前記牽引車の車体と前記連結部とを前記固定構造で固定し、進行方向に対して最後尾の前記牽引車の操舵装置と前記連結部とを前記固定構造で固定して、走行することを特徴とする連結車両の走行方法である。
【0018】
第2の発明によれば、進行方向を反転して走行可能な連結車両において、いずれが先頭になっても、内輪差を抑制して容易に操舵可能な走行方法を提供することができる。
【0019】
例えば、鉄道の軌道や軌道間の通路などに連結車両を進入させる際には、狭隘なスペースでの走行となるため、内輪差を抑制し、かつ操舵性にも優れた連結車両の走行が要求される。本発明の連結車両によれば、いずれの方向にも走行が可能であり、この際、進行方向に適した連結状態に変更が可能であるため、容易に通路や軌道への進入および退避を行うことができる。特に、鉄道では、列車運転時間帯で作業ができず、限られた保守時間帯で作業をする必要がある。したがって、本発明の連結車両を検査車両等に適用することで、検査車両の線路内外への進入、退避に際し時間短縮に繋がるため、コストや安全面等で鉄道では大きなメリットとなりうる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、狭隘なスペースでも、内輪差を抑制して、通路に進入および退避をさせることが可能な連結車両等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】連結車両1の概略図。
図2】(a)、(b)は、牽引車3aの概略底面図。
図3】(a)、(b)は、付随車5の概略底面図。
図4】(a)、(b)は、牽引車3aと付随車5との連結状態を示す図。
図5】(a)、(b)は、牽引車3aと付随車5との連結状態を示す底面図。
図6】連結車両1の底面図。
図7】付随車5の走行軌跡を示す図。
図8】付随車5の概略底面図。
図9】連結車両1の底面図。
図10】(a)、(b)は、一部の付随車5のリンク21の破損時の連結車両1の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、連結車両1の概略図である。連結車両1は、複数の車両よりなる。より具体的には、先後端に配置される牽引車3a、3bと、牽引車3a、3bとの間に連結される付随車5とからなる。なお、付随車5の台数は、図示した例には限られず、少なくとも1台あれば良く、複数台であってもよい。
【0023】
牽引車3aと牽引車3bには、駆動源が搭載される。例えば、牽引車3aと牽引車3bには、モータが搭載され、運転者の操作で走行させることができる。すなわち、牽引車3aが先頭となる方向(図中矢印A方向)に進行する際に、運転者は牽引車3aを操作し、後方の付随車5および牽引車3bを牽引する。また、牽引車3bが先頭となる方向(図中矢印B方向)に進行する際に、運転者は牽引車3bを操作し、後方の付随車5および牽引車3aを牽引する。したがって、連結車両1は、牽引車3a、3bのいずれかを先頭として、両方向に進行可能である。
【0024】
なお、牽引車3a、3bは、それぞれが先頭となる際の進行方向に対して、前方の車輪を前輪7aとし、後方の車輪を後輪7bとする。また、付随車5においては、前輪と後輪の区別はないが、説明のため、一方を車輪9aとし、他方を車輪9bとする。なお、以下の説明では、牽引車3a側の車輪を車輪9aとし、牽引車3b側の車輪を車輪9bとする。
【0025】
図2(a)、図2(b)は、牽引車3aの概略底面図である。なお、牽引車3bも同様の構成であるため、説明を省略する。牽引車3aの前輪7aは、車体11に対して向きがまっすぐに固定される。一方、牽引車3aの後輪7bは、操舵装置13と連結される。操舵装置13は、図示を省略した牽引車3aの運転席のステアリング等によって操作可能である。
【0026】
操舵装置13は、ターンテーブル式の操舵装置である。なお、前輪7aも同様の操舵装置としてもよい。すなわち、牽引車3aの少なくとも後輪7bが、ターンテーブル式の操舵装置であればよい。ターンテーブル式の操舵装置は、後輪7bの車軸自体が回転軸14を中心として回転するものである。すなわち、操舵装置13を操作して回転させることで、後輪7bの向きを変えることができる。
【0027】
例えば、図2(a)に示すように、操舵装置13をまっすぐにした状態では、牽引車3aはまっすぐに走行する(図中矢印C)。一方、図2(b)に示すように、操舵装置13を動作させて、回転させると(図中矢印D)、後輪7bは、車軸ごと回転して向きを変える。このため、牽引車3aは後輪7bの回転方向とは逆側に向きを変えて(図中矢印E)走行する。このように後輪7bを操舵することで、内輪差を抑制し、最小回転半径を小さくすることができる。
【0028】
なお、駆動輪は前輪7aまたは後輪7bの一方のみでも良いが、前輪7a、後輪7bの両方を駆動してもよい。四輪を駆動させることで、例えば凹凸のある場所などにおいても、より安定して牽引車3aを走行させることができる。
【0029】
牽引車3aの後方には、連結部15、車体側固定部16、操舵装置側固定部18が設けられる。連結部15は、後方に連結される付随車5との連結部である。連結部15は、回転軸14を中心として回動可能である(図2(a)の矢印S)。なお、連結部15は、牽引車3aの車体11に対して自由に回動可能であるとともに、牽引車3aの操舵装置13に対しても自由に回動可能である。すなわち、連結部15は、車体側固定部16及び操舵装置側固定部18と固定されていない状態では、車体11および操舵装置13の向きによらず、任意の方向に向くことが可能である。
【0030】
車体側固定部16は、牽引車3aの車体11に接続される。したがって、図2(b)に示すように、操舵装置13の操作によらず、車体11に対して常に同一の方向に向けて配置される。一方、操舵装置側固定部18は、牽引車3aの後輪7bの操舵装置13の回転部に接続される。したがって、図2(b)に示すように、操舵装置13を操作すると、操舵装置13の向きに応じて、操舵装置側固定部18は、車体11に対して向きが変化する。
【0031】
車体側固定部16には、孔16aが設けられる。また、操舵装置側固定部18には、孔18aが設けられる。車体側固定部16と操舵装置側固定部18とが同一方向に向いた状態において(図2(a))、孔16aと孔18aは、異なる位置に形成される。
【0032】
また、連結部15には、孔15a、15bが形成される。連結部15を車体側固定部16および操舵装置側固定部18と同一方向に向いた状態とすると、孔15aは車体側固定部16の孔16aと同一の位置に形成され、孔15bは操舵装置側固定部18の孔18aと同一の位置に形成される。なお、車体側固定部16は一部が切り欠かれた枠状である。連結部15を車体側固定部16および操舵装置側固定部18と同一方向に向いた状態とした際において、車体側固定部16の切欠き部は、孔18と孔15bの上方の延長線上に位置する。このため、孔18と孔15bの上方が車体側固定部16によって塞がれることがない。また、連結部15は、車体側固定部16と操舵装置側固定部18よりも長く、先端部には、ヒッチボール29が設けられる。なお、牽引車3aと付随車5との連結方法については詳細を後述する。
【0033】
図3(a)、図3(b)は、付随車5の概略底面図である。付随車5は、車輪9a、9bともにターンテーブル式の操舵装置17が設けられる。なお、付随車5には運転席などはないため、操舵装置17を直接運転者が操作することはできない。したがって、先頭の牽引車3a、3bの向きに応じて、車輪9a、9bの向きが追従するように、操舵装置17が動作する。
【0034】
車輪9a、9bのそれぞれの操舵装置17同士は、リンク21によって連結される。リンク21は、ロッド状の部材であり、一対のリンク21がクロスするように配置され、それぞれのリンク21の端部が、それぞれの操舵装置17の回転部に連結される。
【0035】
車輪9a、9bのいずれかに回転方向の力が付与されると、リンク21によって、他方の車輪9a、9bが逆方向に回転する。例えば、図3(b)に示すように、車輪9aの操舵装置17が一方の方向(図中矢印H)に回転すると、リンク21によって、車輪9bの操舵装置17が逆方向(図中矢印G)に回転する。
【0036】
図3(a)に示すように、操舵装置17をまっすぐにした状態では、付随車5はまっすぐに走行する(図中矢印F)。一方、図3(b)に示すように、車輪9aの操舵装置17が一方の方向(図中矢印H)に回転し、車輪9bの操舵装置17が逆方向(図中矢印G)に回転するすると、付随車5は進行方向前方の車輪9aの向きに(図中矢印I)走行する。このように、付随車5は、前後輪が連動する四輪操舵のターンテーブル式の操舵装置17を具備する。
【0037】
付随車5の前方及び後方には、それぞれ連結部19a、19bが設けられる。なお、付随車5においては、前方及び後方の区別はないが、説明のため、一方を連結部19aとし、他方を連結部19bとする。なお、以下の説明では、車輪9a側の連結部を連結部19aとし、車輪9b側の連結部を連結部19bとする。なお、図示した例では、連結部19aの先端にはヒッチカプラー27が設けられ、牽引車3aの連結部15と連結される例を示し、連結部19bは、他の付随車5と例えばピンで連結される例を示す。
【0038】
次に、牽引車3aと付随車5との連結構造の詳細について説明する。前述したように、牽引車3aは、連結部15、車体側固定部16、操舵装置側固定部18を具備する。牽引車3aを、牽引車3aと隣り合う付随車5を連結する際には、付随車5の連結部19aは、牽引車3aの連結部15と連結される。例えば、図4(a)、図4(b)に示したように、連結部15のヒッチボール29と連結部19aのヒッチカプラー27とが接続される。なお、連結部15と連結部19aとの連結は、ヒッチボール29およびヒッチカプラー27による接続の他、ピン接合等他の構造であってもよい。
【0039】
連結部15は、牽引車3aの車体側固定部16と、牽引車3aの操舵装置側固定部18の間に配置される。前述したように、連結部15を車体側固定部16および操舵装置側固定部18と同一方向に向いた状態とすると、孔15aと孔16aとが同一の位置に配置され、孔15bと孔18aとが同一の位置に配置される。
【0040】
ここで、牽引車3aは、連結部15と車体11または連結部15と操舵装置13とのいずれかを選択して互いに固定可能な固定構造を有する。より詳細には、固定構造は、連結部15を貫通するピン23であり、孔15aと孔16aとの位置を合わせてピン23を挿入すると、連結部15は車体側固定部16(車体11)と固定され(図4(a))、孔15bと孔18aとの位置を合わせてピン23を挿入すると、連結部15は操舵装置側固定部18(操舵装置13)と固定される(図4(b))。
【0041】
なお、図4(a)は、牽引車3aが、進行方向(図中矢印A)に対して先頭車両である場合の連結構造を示す図である。牽引車3aが先頭車両の場合、牽引車3aは運転者によって操作される。この場合、進行方向に対して先頭の牽引車3aの連結部15と牽引車3aの車体側固定部16とがピン23で固定され、付随車5の連結部19aと、牽引車3aの連結部15とが連結される。すなわち、付随車5の連結部19aは、牽引車3aの車体11と連結される。
【0042】
図5(a)は、図4(a)の連結状態における連結車両1の概略底面図である。前述したように、付随車5の連結部19aは、牽引車3aの車体11と連結する。したがって、牽引車3aの操舵装置13を運転席で操作したとしても、操舵装置13が独立して回転する(図中矢印D)。したがって、牽引車3aの進行方向を変えて走行することができる(図中矢印E)。なお、ヒッチボール29とヒッチカプラー27とは互いに回動可能であるため、牽引車3aと付随車5の向きは互いに回転可能である。
【0043】
このように、牽引車3aの後輪7bは、付随車5の車輪9aと連動することがない。このため、牽引車3aの運転者は、運転席のステアリング等を操作することで、操舵装置13のみを独立して操作することができ、後輪7bの方向を容易に操作することができる。
【0044】
なお、この場合、牽引車3aの進行方向に追随するように付随車5が走行する。したがって、付随車5は、牽引車3aの方向に向きを変えようとする方向に力を受ける。この結果、車輪9aが牽引車3aの向きに向く方向に力を受ける。この際、車輪9aの操舵装置17と車輪9bの操舵装置17とはリンク21で連結されているため、車輪9a、9bは連動して回転しようとする。
【0045】
さらに、付随車5同士は、互いの操舵装置17に接続された連結部19b(19a)で連結するため、隣り合う付随車5の操舵装置17同士も連動する。したがって、進行方向の先頭側の付随車5が、牽引車3aの方向に曲がろうとすると、その後方に連結された他の車両は全て連動して操舵装置17が回転しようとして、曲がろうとする。したがって、牽引車3aの進行が進むにつれて、徐々に後方の付随車全体が同時に曲がる方向に姿勢が変化するため、小さな回転半径で曲がることができる。また、この際、内輪差を抑制することができる。
【0046】
これに対し、図4(b)は、進行方向(図中矢印B)に対して、牽引車3aが最後尾である場合の連結構造を示す図である。牽引車3aが最後尾の場合、牽引車3aは運転者によって運転されず、付随車5に牽引される。この場合、進行方向に対して最後尾の牽引車3aの連結部15と牽引車3aの操舵装置側固定部18とがピン23で固定され、付随車5の連結部19aと、牽引車3aの連結部15とが連結される。すなわち、付随車5の操舵装置17は、牽引車3aの操舵装置13と連結される。
【0047】
図5(b)は、図4(b)の連結状態における連結車両1の概略底面図である。前述したように、付随車5の連結部19aは、牽引車3aの操舵装置13と連結する。また、ヒッチボール29とヒッチカプラー27とは互いに回動可能であるため、牽引車3aと付随車5の向きは互いに回転可能である。したがって、前述したように、進行方向の先頭側の付随車5が曲がろうとし(図中矢印I)、付随車5の操舵装置17の車輪9a、9bがそれぞれ連動して回転しようとすると(図中矢印G、図中矢印H)、これに連動して、牽引車3aの操舵装置13もこれに対応して回転しようとする(図中矢印D)。
【0048】
このように、牽引車3aの後輪7bは、付随車5の車輪9aと連動するため、最後尾の牽引車3aも、他の付随車5と同様に、小さな回転半径で、先頭側の車両に牽引されて走行することができる。
【0049】
なお、孔15aと孔16aとにピン23を挿入して、連結部15と車体側固定部16とを固定するとともに、孔15bと孔18aとにも同時にピン23を挿入して、連結部15と操舵装置側固定部18とを固定することで、牽引車3aと付随車5とをまっすぐに固定することができる。例えば、直線状の軌道に沿って走行する際には、両者にピン23をそれぞれ挿入して固定することで、牽引車3aと付随車5とをまっすぐに固定して直進することもできる。
【0050】
次に、連結車両1の連結部等の位置関係について詳細に説明する。図6は、連結車両1の概略底面図である。なお、図示した例は、左側の牽引車3a(図示省略)を先頭車両として走行する(図中矢印A)場合における、その後方に連結される付随車5および牽引車3bを示す。すなわち、付随車5同士および後方の付随車5と牽引車3bとの連結は、互いに操舵装置13、17同士が連結して、連動して動作する。
【0051】
前述したように、牽引車3a、3bの間に複数の付随車5が連結される場合には、それぞれの付随車5の操舵装置17(連結部19a、19b)同士が連結される。なお、付随車5同士の連結部19a、19bの連結には、例えばピンが用いられる。この際、付随車5のホイルベースの長さ(図中Jであって、操舵装置17の回転中心同士の距離)と、連結される付随車5のそれぞれの操舵装置17同士の連結長さ(図中Kであって、操舵装置17の回転中心同士の距離)は略同一であることが望ましい。
【0052】
また、同様に、後方の付随車5と最後尾の牽引車3bは、それぞれの付随車5の操舵装置17(連結部19b)と操舵装置13(連結部15)が連結される。この際、付随車5のホイルベースの長さ(図中J)と、連結される付随車5と牽引車3bのそれぞれの操舵装置17と操舵装置13との連結長さ(図中Lであって、操舵装置17と操舵装置13の回転中心同士の距離)は略同一であることが望ましい。
【0053】
また、付随車5同士の連結部において、付随車5の操舵装置17の回転中心から、付随車5同士の連結部19a、19bの回転支点(例えばピンなど)の長さ(図中M)は、連結される付随車5のそれぞれの操舵装置17同士の連結長さ(図中K)の略1/2であることが望ましい。
【0054】
同様に、付随車5と最後尾の牽引車3bとの連結部において、付随車5の操舵装置17の回転中心から、付随車5の連結部19bと牽引車3bの連結部15の回転支点(ヒッチボール29)の長さ(図中N)は、連結される付随車5と牽引車3bのそれぞれの操舵装置17と操舵装置13との連結長さ(図中L)の略1/2であることが望ましい。すなわち、付随車5の操舵装置17の回転中心から、付随車5同士の連結部19a、19bの回転支点の長さ(図中M)と、付随車5の操舵装置17の回転中心から、付随車5の連結部19bと牽引車3bの連結部15の回転支点の長さ(図中N)は、等しいことが望ましい。
【0055】
図7は、旋回時における車両の走行軌跡を示す概念図である。前述したような連結部の位置関係とすることで、全ての車両の車輪の回転量が一致するとともに、車輪同士の間隔が同一となるため、同一の円弧上(図中O)を走行することができる。すなわち、内輪差を極小化し、各車両の内輪側の走行線が同一円弧(図中P)から、内側にはみ出すことを抑制することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態による連結車両1及びその走行方法によれば、先後端に牽引車3a、3bが連結され、牽引車3a、3bの間に、付随車5が連結されるため、先頭側の牽引車3aまたは牽引車3bを運転することで、いずれの方向に対しても走行することができる。また、付随車5は、前後輪が連動した四輪操舵の操舵装置であるため、内輪差が小さく、小さな回転半径で曲がることができる。
【0057】
また、進行方向に対して先頭の牽引車3aまたは牽引車3bの連結部15(車体11)と、付随車5の連結部19a(操舵装置17)が連結されるため、先頭の牽引車3aまたは牽引車3bの運転操作には影響がない。
【0058】
一方、付随車5同士は、連結部19a、19bで連結され、互いに操舵装置17が連動する。また、最後尾の牽引車3aまたは牽引車3bの連結部15(操舵装置13)と、付随車5の連結部19a(操舵装置17)が連結されるため、付随車5の曲りと連動して最後尾の牽引車3aまたは牽引車3bの操舵装置13を動作させることができる。このため、付随車5および最後尾の牽引車3aまたは牽引車3bを同時に連動して旋回させる方向に操舵装置が動作し、小さな回転半径で曲がることができるとともに、内輪差を極めて小さくすることができる。この結果、狭隘なスペースで、進行方向を変えながら狭い通路等にも容易に進入することができる。
【0059】
このように、牽引車3a、3bの連結部15を、車体側固定部16(車体11)と操舵装置側固定部18(操舵装置13)とを選択して固定して、連結部15を付随車5と連結させることで、いずれの方向に走行する場合でも、上述する効果を得ることができる。この際、連結部15の固定対象の変更には、ピン23の移動のみでよいため、例えば、連結部15と連結部19aとの連結を外したり再度連結したりする作業が不要である。
【0060】
なお、ピン23の挿抜は、作業者が手で行ってもよいが、アクチュエータ等を用いて行ってもよい。例えば、牽引車3a、3bの操作部において、ピン23の挿抜を行ってもよい。このようにすることで、作業者は牽引車3a、3bに乗車した状態で、進行方向の変更と、これに伴う牽引車と付随車の連結状態の変更を行うことができる。
【0061】
また、複数の付随車5が連結される場合において、付随車5のホイルベースの長さと、付随車5のそれぞれの操舵装置17同士の連結長さを略同一とすることで、連結車両1のそれぞれの車両を略同一の走行軌跡で走行させることができる。
【0062】
次に、第2実施形態について説明する。図8は、付随車5の概略底面図である。なお、以下の実施の形態において、前述した第1の実施形態と同様の機能を奏する構成については、図1図7と同様の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態では、付随車5の前後の操舵装置17同士を連結するリンク21に、ダンパ31が配置される。ダンパ31は、例えばオイルダンパなどであり、リンク21のそれぞれの軸方向の衝撃を吸収する。
【0063】
付随車5が走行時において、例えば、両側の車輪9aの内、一方の側の車輪のみに大きな力が加わる場合がある。例えば、一方の車輪のみが段差等に乗り上げる場合には、段差側の車輪は後方に押し込まれ、これに応じて他方の車輪が前方に押し出される。すなわち、操舵装置17に急激な回転力が付与される。
【0064】
このような場合、前後の操舵装置17がリンク21で連結されているため、一方の操舵装置17に急激な回転力が付与されると、その力はリンク21によって他方の操舵装置17に伝達される。この際、一対のリンク21の一方には引張力が付与され、他方には圧縮力が付与される。したがって、急激な圧縮力を受けたリンク21が座屈や折損するおそれがある。
【0065】
ダンパ31は、このような急激な衝撃を受けた際に、リンク21へ付与される圧縮力や引張力を吸収する。したがって、前述したような状況においても、リンク21への急激な圧縮力等を抑制することができる。
【0066】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、リンク21にダンパ31が設けられるため、付随車5が段差等に乗り上げる場合などにおいて、リンク21の損傷を抑制することができる。
【0067】
次に、第3実施形態について説明する。図9は、連結車両1の概略底面図である。前述したように、牽引車3a、3bは、先頭車両となった際には、運転者によって操作される。したがって、それぞれの車両には、ブレーキ33a、33bが搭載される。例えば、上り斜面を走行する場合なであれば、先頭の牽引車3a、3bを減速させると、後方の車両もそれに応じて減速させることができる。
【0068】
しかし、連結車両1が下り斜面を走行する際、例えば、先頭の牽引車3aのみにブレーキをかけても、後方の付随車5および牽引車3bにブレーキが利かないと、車両の重量によって、それぞれの車両が下り勾配を下ろうとして、連結車両1の前方側に押し出される。この際、それぞれの車両の連結部は、水平方向にも鉛直方向にもそれぞれ所定の範囲で回転可能であるため、後方の車両が前方に押し込まれると、各連結部を屈曲させて、連結車両1の隊列を維持することができない。
【0069】
そこで、本実施形態では、運転者によって運転操作が行われる牽引車3a、3bによって操作されたブレーキ33a、33bの効果が、全ての付随車5にも連動する。すなわち、牽引車3aが先頭車両の場合には、先頭の牽引車3aに搭載されるブレーキ33aは、全ての付随車5および最後尾の牽引車3bに対して連動して機能する。同様に、牽引車3bが先頭車両の場合には、先頭の牽引車3bに搭載されるブレーキ33bは、全ての付随車5および最後尾の牽引車3aに対して連動して機能する。
【0070】
このようにすることで、先頭車両の減速に応じて、全ての後方の車両も減速させることができる。このため、下り勾配等を走行する際にも、減速時に後方の車両が前方に押し出されることがなく、連結車両1の隊列が乱れることがない。
【0071】
なお、前述したように、付随車5には、各計測機器等が搭載される。したがって、牽引車3a、3bおよびそれぞれの付随車5は、それぞれ重量が異なる場合がある。このような場合には、各車両の重量に応じて、各車両のブレーキの制動力を調整してもよい。例えば、重量の重い車両は、他の車両よりもブレーキによる制動力を相対的に強くし、重量の軽い車両は、他の車両よりも相対的に制動力を弱くしてもよい。
【0072】
また、図示は省略するが、ブレーキだけではなく、運転者によって運転操作が行われる先頭の牽引車3a、3bに搭載されるアクセルの効果が、全ての付随車5および最後尾の牽引車3a、3bに対して連動して機能するようにしてもよい。すなわち、牽引車3aが先頭車両の場合には、先頭の牽引車3aに搭載される駆動部は、全ての付随車5および最後尾の牽引車3bに対して連動して機能する。同様に、牽引車3bが先頭車両の場合には、先頭の牽引車3bに搭載される駆動部は、全ての付随車5および最後尾の牽引車3aに対して連動して機能する。
【0073】
このようにすることで、不陸な場所の走行や、上り勾配の走行などにおいて、より確実に各車両を安定して走行させることができる。なお、この場合にも、車両ごとの重量に応じて、各車両の駆動力を調整してもよい。
【0074】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、運転される牽引車3aまたは牽引車3bのブレーキ操作またはアクセル操作を、後方の他の車両にも連動して機能させることで、連結車両1をより安定して走行させることができる。
【0075】
次に、第4実施形態について説明する。図10(a)は、連結車両1の概略底面図である。前述したように、付随車5の前後の操舵装置17はリンク21で連結されている。したがって、車輪9aの操舵装置17と車輪9bの操舵装置17とが連動して動作するため、付随車5は安定して旋回することができる。
【0076】
一方、図示したように、一部の付随車5のリンク21が破損すると、当該付随車5の車輪9a、9bが連動せず、それぞれ自由に動作可能となる。例えば、車輪9a、9bの操舵装置17が連動して互いに逆方向に回転することで、内輪差がなく小さな回転半径で回転可能であるが、それぞれの操舵装置17が同一方向に回転すると、大きな内輪差が生じ、望ましくない。
【0077】
そこで、リンク21が破損した際には、当該付随車5の一方の操舵装置17を固定する。例えば、図10(b)に示すように、牽引車3aが先頭車両となる場合(図中Cが進行方向となる場合)には、進行方向に対して後方にあたる車輪9bの操舵装置17をストッパ35により固定する。したがって、車輪9bは常に直進方向に向いた状態となる。
【0078】
このようにすることで、当該付随車5については、前輪側の車輪9aのみが操舵されるため、多少の内輪差は生じるが、少なくとも、前後の車輪9a、9bが同一方向に向くことや、前後輪が自由に動くことで、当該付随車が蛇行するようなことを抑制することができる。
【0079】
第4の実施形態によれば、万が一、リンク21が破損した際にも、少なくとも中央通路から地下通路に脱出するまでの間で、最低限の安定性を確保して走行させることができる。
【0080】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0081】
例えば、前述した各実施形態は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
【0082】
また、各車両の形状は図示した例には限られない。例えば、図示した例では、平面視(底面視)において、牽引車3a、3bの後方の両側と、付随車5の前後の両側は、それぞれ略90度の角部となっているが、これに限られない。連結車両1を旋回させた際に、各車両同士の干渉を避けるため、例えば、各車両の角部を斜めに切り欠いた形状としてもよい。
【0083】
また、各車両の両側に、側方に向けて緩衝部材を突出させてもよい。例えば、各車両の側面に、それぞれ一対の緩衝部材を配置し、走行中の車両の両側の壁部と車両との接触時の衝撃等を抑制してもよい。例えば、地下通路から中央通路へ進入した直後は、連結車両1が完全にまっすぐとなる姿勢に安定しておらず、各車両が左右に振れるおそれがある。この際、各車両の両側の壁部に接触可能な緩衝部材を突出させておくことで、車体が直接壁部に接触することを防ぎ、また、車体に衝撃が加わることを抑制することができる。
【0084】
この場合、緩衝部材としては、各車両の車体に対して多少のクッション性を有すれば材質は問わないが、走行時に壁部に沿って回転可能なタイヤであることが望ましい。このようにすることで、タイヤが壁部に接触した状態で走行しても、緩衝部材の破損が抑制され、走行抵抗が大きくなることがない。
【符号の説明】
【0085】
1………連結車両
3a、3b………牽引車
5………付随車
7a………前輪
7b………後輪
9a、9b………車輪
11………車体
13………操舵装置
14………回転軸
15………連結部
15a、15b、16a、18a………孔
16………車体側固定部
17………操舵装置
18………操舵装置側固定部
19a、19b………連結部
21………リンク
23………ピン
27………ヒッチカプラー
29………ヒッチボール
31………ダンパ
33a、33b………ブレーキ
35………ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10