(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ペット飼育具
(51)【国際特許分類】
A01K 1/02 20060101AFI20220729BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A01K1/02 Z
A01K29/00
(21)【出願番号】P 2016157716
(22)【出願日】2016-08-10
【審査請求日】2019-05-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】寺 内 健
(72)【発明者】
【氏名】谷 崎 雅 志
【合議体】
【審判長】森次 顕
【審判官】前川 慎喜
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-123413(JP,A)
【文献】特開2009-247278(JP,A)
【文献】特開昭55-83663(JP,A)
【文献】特開2006-254801(JP,A)
【文献】特開2007-185180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/02 - 1/035
B62B 3/00 - 3/18
B62B 7/00 - 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前脚及び後脚を有するカート本体部と、前記カート本体部に保持されたペット収容部と、を有し、折り畳み可能なカートと、
ペットを収容可能なペットキャリー
であって、前記ペット収容部とは別体として構成されたペットキャリーと、
を備え、
前記ペット収容部は、筒状の側壁部と前記側壁部に接続されて前記側壁部を閉鎖する底部とを有する収容部本体と、前記収容部本体の上方を覆うことが可能な幌と、を有し、 前記ペットキャリーは、ペットを収容した状態で前記収容部本体と前記収容部本体の上方を覆う前記幌との間に配置可能となって
おり、
前記カート本体部は、幅方向に小型化するように折り畳み可能であり、
前記側壁部は、柔軟性を有した材料で形成され、
前記底部は、幅方向に複数に分割された底板を有し、
前記幌は、幌布と弾性材料から構成された幌骨とを有している、
ペット飼育具。
【請求項2】
前記ペットキャリーを車両の座席に取り付け可能な固定具
をさらに備えた請求項1に記載のペット飼育具。
【請求項3】
前記ペットキャリーは、車両のシートベルトを通す部分を有している
請求項1に記載のペット飼育具。
【請求項4】
前記ペット収容部は、上方に開口した収容部本体と、前記収容部本体の上方を覆うことが可能な幌と、を有しており、
前記収容部本体は、メッシュ地からなる第1網状部を有している
請求項1~
3のいずれか一項に記載のペット飼育具。
【請求項5】
前記収容部本体と前記幌とは、スライドファスナーで開閉可能である
請求項
4に記載のペット飼育具。
【請求項6】
前記幌は、前記幌の前後にメッシュ地からなる第2網状部を有している
請求項
4又は
5に記載のペット飼育具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット収容部を有するカートとペットキャリーとを備えたペット飼育具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットとともに外出する機会が増加している。この傾向にともない、例えば特許文献1に開示されているように、ペットを運ぶためのペット用カートが知られている。このようなカートを用いれば、ペットの重さの負担を強いられることなく、ペットと共に楽に公共スペースを移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、階段の昇降時や電車やバスへの乗車時等、ペット用カートよりもペットキャリーを使用する方が好ましい場合がある。このような場合、ペット用カートからペットキャリーにペットを移し替える必要がある。しかし、状況に応じてペットをペット用カートからペットキャリーへ移し替えること、あるいは、ペットキャリーからペット用カートへ移し替えることは、非常に煩雑である。
【0005】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、外出時の種々の状況に対応してペットとともに移動することに役立つペット飼育具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるペット飼育具は、
前脚及び後脚を有するカート本体部と、前記カート本体部に保持されたペット収容部と、を有し、折り畳み可能なカートと、
ペットを収容可能なペットキャリーと、
を備え、
前記ペットキャリーは、ペットを収容した状態で前記ペット収容部内に配置可能となっている。
【0007】
好ましくは、前記ペットキャリーを車両の座席に取り付け可能な固定具を含んでいてもよい。
【0008】
あるいは、前記ペットキャリーは、車両のシートベルトを通す部分を有していてもよい。
【0009】
好ましくは、前記カート本体部は、幅方向に小型化するように折り畳み可能であり、前記ペット収容部は、幅方向に複数に分割された底板と、柔軟性を有した材料で形成された側壁部と、を有している。
【0010】
好ましくは、前記ペット収容部は、上方に開口した収容部本体と、前記収容部本体の上方を覆うことが可能な幌と、を有しており、前記収容部本体は、メッシュ地からなる第1網状部を有している。
【0011】
この場合、好ましくは、前記収容部本体と前記幌とは、スライドファスナーで開閉可能である。
【0012】
また、前記幌は、前記幌の前後にメッシュ地からなる第2網状部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外出時の種々の状況に対応してペットとともに移動することに有用なペット飼育具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態を説明する図であって、ペット飼育具を示す側面図。
【
図5】
図4の状態からさらに幅方向に折り畳んだ状態にあるカート本体の正面図。
【
図8】
図7に示された固定具の使用状態を示す斜視図。
【
図9】
図7に示された固定具の使用状態を示す側面図。
【
図10】
図7に対応する図であって、固定具の一変形例を示す斜視図。
【
図11】
図7に対応する図であって、固定具の更に他の変形例を示す斜視図。
【
図12】
図7に対応する図であって、固定具の更に他の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0016】
図1~
図9は、本発明によるペット飼育具の一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1は、カート10とペットキャリーPCとを有するペット飼育具1の全体構成を示している。
図2~
図5は、カート本体部20の全体構成を示している。また、
図6は、ペット収容部60を示す斜視図である。
【0017】
ペットキャリーPCは、犬や猫等のペットを収容可能に構成された収容部材(容器)であり、ペットを露出させることが不適当な環境下で使用される。また、ペットキャリーPCは、ペットを持ち運ぶ際に使用するものであり、ペット収容部60とは別体として構成されている。この結果、例えばペットを伴って公共スペースを移動する際、カート10は使用せず、ペットキャリーPCのみを用いてペットを搬送することが可能である。
【0018】
図1によく示されているように、ペットキャリーPCは、ペットを収容するための収容本体部PC1を有している。収容本体部PC1は、ペット収容部60の底部に置いた時に安定するよう、底部を有していることが好ましい。また、収容本体部PC1内のスペースの換気を行うことができるよう、収容本体部PC1の壁部あるいは天井部の少なくとも一部は、メッシュ地で形成されていてよい。また、収容本体部PC1は、ペットが顔を出すことのできる閉鎖可能な開口を有していてもよい。さらに、ペットキャリーPCは、使用者が収容本体部PC1を運びやすいよう、取手PC2あるいは肩掛けベルトを有していてもよい。
【0019】
一方、カート10は、ペット収容部60内にペットを直接又はペットキャリーPCを介して収納した状態で用いられることを意図された台車であって、ペットの重さに煩わされることなくペットを運ぶことを可能とする。
図1~
図5に示すように、カート10は、折り畳み可能に構成されたカート本体部20と、カート本体部20に保持されたペット収容部60と、を有する。
【0020】
ここで、本明細書中において、カート本体部及びカート、ペット収容部に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、及び「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある、とりわけ折り畳むことが可能な展開状態にあるカートを、ハンドルを把持しながら前進させる状況で判断される「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、及び「上下方向」を意味する。さらに詳しくは、カート本体部及びカート、ペット収容部の「前後方向」とは、
図1における紙面の左右の方向であって、
図2及び
図6における紙面の左下と右上とを結ぶ方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、ハンドルを押す操作者が向く側であり、
図1における紙面の左側並びに
図2及び
図6における紙面の左下側がカート本体部、カート及びペット収容部の前側となる。一方、カート本体部、カート及びペット収容部の「上下方向」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは横方向であって、「前後方向」及び「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0021】
まず、主として
図1~
図5を参照しながら、カート本体部20について説明する。図示されたカート本体部20は、ペット収容部60を支持する支持体50と、ハンドル40と、それぞれ左右に配置された一対の前脚21と、それぞれ左右に配置された一対の後脚23と、それぞれ左右に配置された一対の第1~4リンク材31,32,33,34と、を有している。前脚21の下端には、前輪22が設けられ、後脚23の下端には、後輪24が設けられている。
【0022】
前脚21の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンク材31の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。同様に、後脚23の上端部分が、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンク材31の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。第1リンク材31は、前後方向に延びる上面と、上面から垂下する一対の側面と、を有した下方に開口した中空状の部材として、例えば樹脂によって、構成されている。
【0023】
また、第2リンク材32が、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンク材31の後方部分、とりわけ図示する例では後方部分のうちの後端部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。なお、ここで説明する形態において、第2リンク材32は、ハンドル40の下端に接続されている。ハンドル40は、第2リンク材32から延び出た部分によって構成されている。より具体的には、ハンドル40は、各第2リンク材32の上端部分から延び出た一対の延出部41と、一対の延出部41の間を連結する連結部42と、を有しており、U字状の外形状を持っている。第2リンク材32は、ハンドル40の延出部41と一体的に、例えば金属製のパイプから形成され得る。
【0024】
左側の第3リンク材33は、左側の前脚21と左側の第2リンク材32とを連結し、右側の第3リンク材33は、右側の前脚21と右側の第2リンク材32とを連結している。各第3リンク材33は、その前方部分を前脚21の中間部分に回動可能に接続され、その後方部分を第2リンク材32の下方部分、とりわけ図示する例では下方部分のうちの下端部分に回動可能に接続されている。なお、ここで説明する第3リンク材33は、
図3に示すように、金属製の本体部33aと、本体部33aの後端に設けられた後端カバー部33bと、本体部33aの前端に設けられた前端カバー部33cと、を有している。この第3リンク材33は、後端カバー部33bにおいて第2リンク材32と回動可能に連結され、前端カバー部33cにおいて前脚21と回動可能に連結されている。
【0025】
なお、
図1、
図2及び
図5によく示されているように、第3リンク材33の前端カバー部33cには、フック48及びフック受け49がそれぞれ設けられている。フック48及びフック受け49は、後述するようにカート10を折り畳んだ際に互い係合して、カート10を折り畳んだ状態に維持する。
【0026】
次に、左側の第4リンク材34は、左側の後脚23と左側の第2リンク材32とを連結し、右側の第4リンク材34は、右側の後脚23と右側の第2リンク材32とを連結している。各第4リンク材34は、その一部分において後脚23の中間部分に回動可能(揺動可能)に接続され、他の部分において第2リンク材32の下方部分、とりわけ図示する例では下方部分のうちの下端部分に回動可能に接続されている。第4リンク材34は、樹脂によって形成された板状材として構成され得る。
【0027】
なお、図示された例では、第2リンク材32の両側方に、第3リンク材33及び第4リンク材34が、第2リンク材32に対して回動可能に接続されている。結果として、第3リンク材33と第4リンク材34も、互いに対して回動可能に接続されている。また、図示された例において、前脚21、後脚23、及び、第1~第4リンク材31,32,33,34の互いに対する回動軸線は、互いに平行となっている。また、第2リンク材32と第4リンク材34との回動軸線と、第3リンク材33と第4リンク材34との回動軸線は、一直線上に揃っている。
【0028】
さらに、本実施の形態におけるカート本体部20は、幅方向に延びる構成要素として、一対の前脚21間を連結する第1幅方向連結材36と、一対の第3リンク材33を連結する第2幅方向連結材37と、一対の後脚23間を連結する第3幅方向連結材38と、を有している。
図2及び
図4によく示されているように、第1幅方向連結材36、第2幅方向連結材37及び第3幅方向連結材38は、屈曲可能に構成され、それぞれ、幅方向に沿って離間した一対のヒンジ36a,36b,37a,37b,38a,38b有している(
図2及び
図4参照)。同様に、上述したハンドル40の幅方向に延びる連結部42も、屈曲可能に構成され、幅方向に沿って離間して位置する一対のヒンジ42a,42bを有している。
【0029】
図1によく示されているように、第2リンク材32には、第4リンク材34と係合可能なロック部材28が設けられている。ロック部材28は、第2リンク材32に対して摺動可能となっており、第2リンク材32上において、第2リンク材32と第4リンク材34との回動軸線の側に向けて付勢されている。また、ハンドル40の連結部42には、ロック部材28を遠隔操作可能なロック操作機構27が設けられている。
図1に示すように、ロック部材28は、第2リンク材32上において、第4リンク材34の側へ向けて付勢され、第4リンク材34と係合するようになる。ロック部材28が第4リンク材34と係合すると、第2リンク材32と第4リンク材34との相対回動が規制され、カート本体部20が展開された状態に維持されるようになる。一方、ロック操作機構27を用いてロック部材28を第4リンク材34から引き離すことにより、第2リンク材32と第4リンク材34との相対回動が可能となる。
【0030】
図1に示すように、支持体50は、ペット収容部60を支持する部材であり、平面視において、ペット収容部60の輪郭に沿った輪郭を有している。ただし、図示された形態では、
図2によく示されているように、支持体50は環状に構成されておらず、ペット収容部60の一部分の輪郭に沿った輪郭を有している。
【0031】
支持体50は、ハンドル40や前脚21及び後脚23に対して回動可能に接続され、カート本体部20の折り畳み動作時にハンドル40や前脚21及び後脚23に対して回動する。これにより、カート本体部20は、
図1及び
図2に示された展開状態から
図3及び
図4に示された折り畳み状態へ折り畳むことができ、また、折り畳み状態から展開状態へと展開することができる。
【0032】
図2に示すように、具体的な構成として、支持体50は、一対の側フレーム部材51と、一対の側フレーム部材51を連結する連結フレーム部材54と、を有している。各側フレーム部材51は、その後方部分において、ハンドル40に回動可能に接続されている。
図3に示すように、左側の側フレーム部材51は、ハンドル40の左側の延出部41に接続されており、右側の側フレーム部材51は、ハンドル40の右側の延出部41に接続されている。各側フレーム部材51の延出部41への接続箇所(回動軸線)は、各第1リンク材31の第2リンク材32への接続箇所(回動軸線)よりも上方に位置している。
【0033】
一対の側フレーム部材51に対応して、一対の連結リンク材59が設けられている。左側の連結リンク材59は、左側の側フレーム部材51及び左側の第1リンク材31のそれぞれに対して回動可能に接続されており、右側の連結リンク材59は、右側の側フレーム部材51及び右側の第1リンク材31のそれぞれに対して回動可能に接続されている。カート本体部20が展開されている状態において、連結リンク材59は、第1リンク材31から上方に延び出ている。そして、カート本体部20が展開されている状態において、カート本体部20の側面視において、側フレーム部材51は、概ね、前後方向に延びるようになっている。
【0034】
一方、
図2によく示されているように、連結フレーム部材54は、各側フレーム部材51の前方側の端部に接続されている。
【0035】
連結フレーム部材54は、側フレーム部材51に対して回動可能に接続されている。すなわち、連結フレーム部材54と左側の側フレーム部材51との接続箇所にヒンジ54aが形成され、同様に、連結フレーム部材54と右側の側フレーム部材51との接続箇所にヒンジ54bが形成されている。
【0036】
なお、図示された例において、側フレーム部材51のハンドル40に対する回動軸線、並びに、連結リンク材59の第1リンク材31に対する回動軸線及び連結リンク材59の側フレーム部材51に対する回動軸線は、互いに平行となっており、且つ、前脚21、後脚23、及び、第1~第4リンク材31,32,33,34の互いに対する回動軸線とも平行となっている。さらに、図示された例において、連結リンク材59と第1リンク材31との回動軸線は、前脚21と第1リンク材31との回動軸線と一直線上に揃っている。
【0037】
以上のような構成からなるカート本体部20は、以下のようにして、各構成部材を互いに回動させることにより、折り畳むことができる。
【0038】
まず、ハンドル40に設けられたロック操作機構27を介して、第2リンク材32上のロック部材28を引き上げる。これにより、ロック部材28と第4リンク材34との係合が解除され、第2リンク材32と第4リンク材34が、相対回動可能となる。この状態で、第2リンク材32とともにハンドル40をいったん後上方に引き上げ、その後、下方に押し下げる。これにより、第4リンク材34が、後脚23に対し
図1において時計回り方向に回動する。この操作にともなって、第1リンク材31及び第3リンク材33は、第2リンク材32に対し
図1において時計回り方向に回動する。
【0039】
このような操作により、
図3に示すように、側面視において(側方から観察した場合において)、ハンドル40が前脚21との略平行な関係を保ちながら前脚21に接近するように移動し、前後方向におけるカート本体部20の寸法が小型化される。また
図3及び
図4に示すように、カート本体部20を前後方向へ折り畳むと、ハンドル40と前脚21とが略平行に保たれたまま、ハンドル40の配置位置が下げられるようになる。この結果、カート本体部20の前後方向における寸法だけでなく、カート本体部20の上下方向における寸法も小型化することができる。
【0040】
なお、
図3及び
図4から理解され得るように、このようなカート本体部20の折り畳み動作にともなって、支持体50がハンドル40に対して回動する。具体的には、支持体50の側フレーム部材51が、ハンドル40の延出部41に対して、
図1において時計回り方向に回動する。すなわち、支持体50は、カート本体部20の折り畳み動作時に、支持体50の前方部分がハンドル40に接近するように、ハンドル40に対して回動する。
【0041】
言い換えると、支持体50は、カート本体部20の折り畳み動作時に、連結フレーム部材54がハンドル40の連結部42に接近するように、ハンドル40に対して回動する。このようなカート本体部20の折り畳み動作にともなった、支持体50のハンドル40に対する回動によって、カート本体部20(カート10)を前後方向へ折り畳んだ際に、前後方向及び上下方向におけるカート本体部20(カート10)の寸法を小型化することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態によるカート本体部20では、第1幅方向連結材36、第2幅方向連結材37及び第3幅方向連結材38は、それぞれ、幅方向に沿って離間した一対のヒンジ36a,36b,37a,37b,38a,38bを有している(
図2及び
図4参照)。同様に、ハンドル40の連結部42も、幅方向に沿って離間した一対のヒンジ42a,42bを有している。さらに、支持体50も、連結フレーム部材54と側フレーム部材51との接続箇所として、幅方向に沿って離間した一対のヒンジ54a,54bを有している。そして、
図4に示すように、前後方向にカート本体部20を折り畳むことにより、これらの部材36,37,38,42,50の一方のヒンジ36a,37a,38a,42a,54aが概ね第1の軸La上に位置し、他方のヒンジ36b,37b,38b,42b,54bが概ね第2の軸Lb上に位置するようになる。この結果、
図5に示すように、第1の軸La及び第2の軸Lbをそれぞれ中心として、カート本体部20(カート10)を折り畳むことができ、これにより、幅方向の寸法も小型化することができる。
【0043】
また、
図5から理解され得るように、前後方向、上下方向及び幅方向の寸法が小型化されたカート本体部20(カート10)は、双輪タイプの後輪24を用いて自立可能となっている。したがって、保管や折り畳んだ状態での持ち運び等の取り扱い性に優れるといった利点を有する。なお、
図5に示すように、カート本体部20(カート10)は、フック48及びフック受け49を互いに係合させることにより、幅方向にも折り畳まれた状態に維持されるようになる。
【0044】
なお、カート本体部20(カート10)を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の操作を行えばよい。
【0045】
ところで、このようなカート本体部20にペット収容部60が設けられたカート10を用いれば、ペットの重さの負担を強いられることなく、ペットと共に楽に公共スペースを移動することができる。しかしながら、階段の昇降時や電車やバスへの乗車時等、カート10よりもペットキャリーPCを使用する方が好ましい場合がある。このような場合、カート10のペット収容部60からペットキャリーPCにペットを移し替える必要がある。しかし、状況に応じてペットをカート10のペット収容部60からペットキャリーPCへ移し替えること、あるいは、ペットキャリーPCからカート10のペット収容部60へ移し替えることは、非常に煩雑である。
【0046】
そこで、ここで説明するペット飼育具1においては、ペットキャリーPCがペットを収容した状態でペット収容部60内に配置可能となっている。したがって、カート10のペット収容部60からペットキャリーPCへペットを移し替える必要性並びにペットキャリーPCからカート10のペット収容部60へ移し替える必要性を排除している。その一方で、ペットキャリーPCを使用する必要がない場合には、カート10のペット収容部60にペットを直接収容することができる。このとき、ペットは比較的に広いペット収容部60内の空間で快適に過ごすことができる。すなわち、外出時の種々の状況に対応してペットの移動手段を容易に変更可能である。
【0047】
以下、
図1及び
図6を参照して、ペット収容部60について説明する。
図6によく示されているように、ペット収容部60は、上方に開口した収容部本体65と、ペット収容部60をカート本体部20の支持体50に装着するための装着部材67を有している。
【0048】
収容部本体65は、側壁部65wと、側壁部65wに接続されて筒状の側壁部65wを閉鎖する底部65bと、を有している。底部65b及び側壁部65wの寸法は、
図1に示されているようにペットキャリーPCがペットを収容した状態でペット収容部60内に配置可能であるよう、ペットキャリーPCの寸法を考慮して決定されている。したがって、側壁部65wと底部65bとによって、犬や猫などのペット、あるいはペットを収容したペットキャリーPCを収容するスペースが形成される。
【0049】
底部65bは、ある程度の剛性を有した材料から構成された底板66を有しており、底部65bの剛性を高めている。この結果、収容部本体65がカート本体部20の支持体50から吊り下げられた状態において、支持体50から垂下した収容部本体65内に、ペットあるいはペットキャリーPCを収容するためのスペースが確保される。また、ペット収容部60内にペットあるいはペットキャリーPCを安定して保持することができるようになっている。
【0050】
その一方で、底板66は、幅方向に複数に分割されている。すなわち、底板66は、収容部本体65がカート本体部20に装着されている状態において、前後方向に延びる複数の底板部材66pによって構成されている。この結果、収容部本体65がカート本体部20に装着されている状態においてカート本体部20が幅方向に折り畳まれる時、底部65bは、カート本体部20の幅方向の折り畳みに追随して、屈曲することができるようになっている。
図6に示すように、本実施の形態においては、カート本体部20がその幅方向に3つに折り畳み可能であることに対応して、底板66は、幅方向に3つに分割されている。
【0051】
一方、側壁部65wは、布地等の柔軟性を有した材料、すなわち布状材からなっており、収容部本体65がカート本体部20に装着されている状態において、カート本体部20の前後方向及び幅方向の折り畳みに追随して折り畳むことができるようになっている。すなわち、側壁部65wは、カート本体部20の折り畳み動作に伴って変形可能となるよう、柔軟性を有している。
【0052】
また、収容部本体65は、その内部の換気を行うため、その側壁部65wの一部にメッシュ地からなる第1網状部65mを有している。第1網状部65mは、
図1及び
図6に示す例においては、収容部本体65の前方側壁部65wfに設けられているが、これに限られず、後方側壁部65wbや左右の側壁部65wsに設けられていてもよい。さらに、側壁部65wの第1網状部65mと重なる各部分には、開閉可能なフラップ68が設けられている。このフラップ68をめくると、第1網状部65mが現れるようになる。
【0053】
収容部本体65は、側壁部65wの上側縁部65eの外周の各箇所に設けられた公知の装着部材67によって、カート本体部20の支持体50に吊り下げられる。
図6に示す例においては、装着部材67は、一方の長辺が側壁部65wの上側縁部65eに沿って縫着された帯状部材67aと、複数組のスナップボタン67bであって、各組が当該帯状部材67aと側壁部65wに対向して配置されたスナップボタン67bである。このような装着部材67によれば、側壁部65wを支持体50の内側に配置し、帯状部材67aを支持体50に被せて各組のスナップボタン67bを留めることにより、収容部本体65を支持体50に装着することが可能である。あるいは、装着部材67は、両端部が側壁部65wの上側縁部65eに縫着されてループを形成する紐状部材67cであってもよい。このような装着部材67によれば、紐状部材67cのループ内に支持体50を挿通することにより、収容部本体65を支持体50に吊り下げることが可能である。
【0054】
図1によく示されているように、ペット収容部60には、収容部本体65の上方を覆うことが可能な幌90がさらに設けられている。幌90は、幌布91と複数のU字状の幌骨92とを有している。図示された例において、各幌骨92は、幌布91に縫いつけられることによって、保持されている。幌90が開いた
図1の状態において、幌骨92は、その剛性により、幌布91を張った状態に維持し、幌90と収容部本体65との間に、ペットを収容するスペースを安定して確保することができる。
【0055】
なお、幌骨92は、弾性材料から構成されている。この結果、ペット収容部60がカート本体部20に装着された状態においてカート本体部20が折り畳まれる際、幌骨92が、カート本体部20の幅方向の折り畳みに追随して屈曲することができるようになっている。
【0056】
図6に示す例においては、幌布91は、前方縁部911及び後方縁部912を有している。後方縁部912は、収容部本体65の上側縁部65eの後部領域に縫着されている。一方、前方縁部911は、側面視において、後方縁部912に対し、後方縁部912に接近した位置(
図6参照)と、後方縁部912から離間した位置(
図1参照)と、の間を揺動動作することができる。
図6に示すように、前方縁部911が、後方縁部912に接近すると、複数の幌骨92が互いに接近する。このとき、幌90は閉じた状態となり、収容部本体65を上方に開放する。一方、
図1に示すように、前方縁部911が、後方縁部912から離間すると、複数の幌骨92が互いから離間する。このとき、幌90は開いた状態となり、収容部本体65は幌90によって上方から覆われる。なお、幌90の開閉を妨げることのないよう、複数の幌骨92は、側面視において、前方縁部911の揺動中心(前方縁部911の側面視における後端)を中心とした放射方向に延びている。この結果、複数の幌骨92は、前方縁部911と同様の揺動動作を行うことができる。
【0057】
幌布91の前方縁部911には、
図6に示すように、スライドファスナー80の一対のファスナーストリンガー81a,81bのうち一方のファスナーストリンガー81aが設けられている。他方のファスナーストリンガー81bは、収容部本体65の上側縁部65eの前方領域に、ファスナーストリンガー81aに対応して設けられている。スライドファスナー80は、さらに、一対のファスナーストリンガー81a,81bの各エレメント列を係合させるスライダー82を有しており、スライダー82を移動させることにより、スライドファスナー80を閉じることができるようになっている。この結果、収容部本体65と幌90とは、スライドファスナー80で開閉可能である。また、スライドファスナー80を閉じることによって、幌90と収容部本体65との間のスペースに、ペットを外部から隙間なく遮断して収容することが容易である。
【0058】
また、幌90は、収容部本体65と幌90との間のスペースの換気を行うため、幌90の前後にメッシュ地からなる第2網状部90mを有している。また、第2網状部90mと重なる各部分には、開閉可能なフラップ86が設けられている。このフラップ86をめくると第2網状部90mが現れるようになる。このような構成により、たとえ収容部本体65の上方を幌90で覆ったとしても、第1網状部65m及び/または第2網状部90mを通して、幌90と収容部本体65との間に形成されたペットを収納するためのスペースの換気を行うことができる。
【0059】
なお、幌90の寸法は、
図1に示されているようにペットキャリーPCがペットを収容した状態でペット収容部60内に配置可能であるよう、ペットキャリーPCの寸法を考慮して決定されている。
【0060】
ところで、ペットとともに外出する機会が増加していることに伴い、ペットと共に車両で移動する機会も増加している。この場合、車両の急減速時、例えば車両の衝突時等に、車両内でペットが人にぶつかってしまうことや、ペットが車両のいずれかの部位にぶつかってしまう虞がある。このような状況は、ペット及び同乗者の双方にとって危険である。
【0061】
以上のことを考慮して、本実施の形態のペット飼育具1は、ペットキャリーPCを車両Vの座席Sに取り付けるための固定具500をさらに含む。以下、
図7乃至
図9を参照して、本発明による固定具500の一実施の形態について説明する。
図7は、固定具500を示す斜視図である。
図8及び
図9は、固定具500の使用状態、すなわち、固定具500を用いてペットキャリーPCを車両Vの座席Sに固定した状態を示している。
【0062】
固定具500は、ペットキャリーPCを車両Vの座席S上に固定するために使用される装置である。ペットが収容されたペットキャリーPCを固定具500を用いて車両Vの座席Sに固定しておくことで、車両Vの急減速時、例えば車両Vの衝突時に、車両V内でペットが人とぶつかってしまうことや、ペットが車両Vのいずれかの部位にぶつかってしまうことを効果的に防止することができる。
【0063】
以下、固定具500をなす各構成要素について順に説明していく。
【0064】
まず、図示された固定具500は、車両Vに設けられたアンカーを利用してペットキャリーPCを座席Sに固定するものである。アンカーは、具体的には、チャイルドシートや幼児用シートを車両Vの座席Sに安定して且つ容易に取り付けることを目的として車両Vに設けられたアンカーであり、例えばISOFIX方式対応のラッチである。ISOFIX方式対応のラッチは共通の規格として全世界で広く普及しつつある。
【0065】
例えば、第1アンカーA1及び第2アンカーA2が、座席Sの座部Saの後方、座席Sの背部Sbの下方、又は座部Saと背部Sbとの間に、互いから横方向にずれて位置している。また、第3アンカーA3が、例えば、車両座席Sの背部Sbの裏側に設けられている。
【0066】
図7に示すように、図示された固定具500は、分岐位置bpから分岐するようにして互いに接続した第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530を有している。第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530は、いずれも細長いベルト状の部材である。各ベルト部材510,520,530は、ペットキャリーPCに接触してペットキャリーPCのずれを防止するベルト滑り止めを有していてもよい。ベルト滑り止めは、例えば樹脂やゴム等から形成され得る。
【0067】
図8に示すように、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520、第3ベルト部材530は、それぞれ、その一端に、車両Vの座席Sに設けられたアンカーA1,A2,A3に締結可能な第1コネクタ514、第2コネクタ524、第3コネクタ534を有している。第1コネクタ514、第2コネクタ524、第3コネクタ534としては、アンカーA1,A2,A3と締結可能な種々の部材や部品等を用いることができる。
【0068】
第1ベルト部材510、第2ベルト部材520、第3ベルト部材530の他端は、接続部505において、Y字を形成するように接続している。すなわち、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520、第3ベルト部材530の他端が接続する位置に分岐位置bpが形成され、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530は、この分岐位置bpから分岐するように、延び出している。なお、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530は、接続部505において、取り外し可能に接続している。このような例として、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520、第3ベルト部材530の他端が、バックルおよびバックルから取り外し可能なトングによって構成され得る。
【0069】
また、
図8に示すように、固定具500は、第1ベルト部材510及び/または第2ベルト部材520と、第3ベルト部材530と、の間を連結する補助ベルト部材540を、さらに有している。図示された補助ベルト部材540は、連結ベルト材541、主ベルト部材542及びガイド部材543を有している。連結ベルト材541は、第1ベルト部材510及び第2ベルト部材520を連結している。連結ベルト材541の両端は、輪状に形成されている。この輪状部分に、第1ベルト部材510または第2ベルト部材520が、連結ベルト材541に対して相対移動可能に挿通している。
【0070】
主ベルト部材542は、その一端において、連結ベルト材541の中央部分に接続している。主ベルト部材542は、連結ベルト材541に対して、例えば縫着されている。主ベルト部材542は、連結ベルト材541への接続位置から離間した位置にて、ガイド部材543を保持している。ガイド部材543は、例えば、樹脂による射出成型品として形成され得る。
【0071】
図7に示すように、ガイド部材543は、第3ベルト部材530が挿通するための誘導穴(誘導空間)543aを形成されている。誘導穴543aは、第3ベルト部材530の断面形状に対応した細長い外輪郭の穴となっている。誘導穴543aに第3ベルト部材530が挿通されることにより、補助ベルト部材540は、第3ベルト部材530の長手方向に沿って第3ベルト部材530に対して相対移動可能に、第3ベルト部材530に接続することになる。
【0072】
なお、ガイド部材543には、誘導穴543aに通じるスリット543bがさらに形成されている。スリット543bの隙間(幅)は第3ベルト部材530の厚みよりも広くなっている。したがって、第3ベルト部材530を、誘導穴543a内で湾曲させながら又は折り曲げながら、スリット543bを通過させることにより、誘導穴543a内に第3ベルト部材530を挿入すること及び誘導穴543a内から第3ベルト部材530を取り外すことが可能となる。
【0073】
また、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520、第3ベルト部材530及び主ベルト部材542は、公知の方法によってその長さを調節することができるようになっている。
【0074】
また、図示された固定具500は、さらに収容袋550を有している。収容袋550は、例えば布から形成された袋である。この収容袋550は、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520、第3ベルト部材530及び補助ベルト部材540を収容可能な容積を有している。したがって、固定具500の不使用時に、これらのベルト部材510,520,530,540を収容袋550に収容して保管することができる。これにより、固定具500の不使用時に、ベルト部材510,520,530,540が広がってしまうことや、ベルト部材510,520,530,540を紛失してしまうことを効果的に防止することができる。
【0075】
とりわけ図示された例において、収容袋550は、ベルト部材510,520,530が挿通可能な開口を有している。そして、図示された使用例において、接続部505が収容袋550に収容された状態で、ベルト部材510,520,530が収容袋550から延び出している。つまり、
図8及び
図9に示すように、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530は、分岐位置bpにおいて、収容袋550内に位置するようになる。その一方で、固定具500を使用しない場合、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520、第3ベルト部材530及び補助ベルト部材540を、収容袋550内に収容することが可能となる。
【0076】
また、収容袋550の表面には、ペットキャリーPCに接触してペットキャリーPCのずれを防止する袋滑り止めが設けられていてもよい。袋滑り止めは、例えば樹脂やゴム等から形成され得る。
【0077】
次に、以上のようなペット飼育具1を使用する際の作用について説明する。
【0078】
まず、カート10において、ペット収容部60は、カート本体部20の支持体50によって側方から支持されている。このとき、ペット収容部60の収容部本体65の底板66によって、底部65bの剛性が高められている。これにより、持体50から垂下した収容部本体65内に、ペットあるいはペットキャリーPCを収容するためのスペースが確保される。幌90は、スライドファスナー80を開放して幌骨92を後方に揺動させることにより、後方に折り畳まれる。この結果、収容部本体65は上方に開口し、ペットキャリーPCを収容部本体65内にスムースに配置することができる。このとき、収容部本体65が底板66を有することにより、ペットキャリーPCを安定して保持することができる。
【0079】
その後、必要に応じて、幌骨92を前方に揺動させ、幌90によって収容部本体65の上方を覆う。この場合、スライドファスナー80を閉鎖することによって、収容部本体65と幌90との間のスペースを隙間無く閉鎖することが容易である。また、フラップ68を開放することにより、第1網状部65mを通して、収容部本体65と幌90との間のスペースの換気を行うことができる。さらに、フラップ86を開放することによって、第1網状部65m及び第2網状部90mの組み合わせにより、収容部本体65と幌90との間のスペースの換気をより効率的に行うことができる。
【0080】
また、カート10を押すことにより、ペットの重さの負担を強いられることなく、ペットと共に楽に移動することができる。
【0081】
一方、カート10を使用しないペットの搬送方法に切り替える際には、上述した手順と逆の手順を行う。すなわち、スライドファスナー80を開放して幌90を後方に折り畳み、収容部本体65を上方に開口する。これにより、ペットが収容されたペットキャリーPCを、収容部本体65内からスムースに取り出すことができる。すなわち、ペットをカートのペット収容部からペットキャリーへ移し替えることなく、迅速にペットの搬送手段を変更可能である。
【0082】
収容部本体65が空になったカート10は、収容部本体65の側壁部65wが布状材で構成されていること、及び、収容部本体65の底部65bの底板66が幅方向に分割されていること、により、ペット収容部60を装着したまま前後方向及び幅方向に折り畳むことが可能である。特に、底板66が幅方向に分割されていることにより、底部65bの幅に制約されることなく、カート10を幅方向に折り畳むことが可能である。さらに、幌90の幌骨92が弾性材料で構成されていることにより、幌骨92によってカート10の幅方向の折り畳みが阻害されることがない。この結果、カート10は、カート10を抱えての移動や保管等に適した大きさになることができる。
【0083】
次に、ペットと共に車両で移動する際のペット飼育具1の作用について説明する。
【0084】
まず、ペットキャリーPCを車両Vに持ち込む前に、固定具500の第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530を車両Vに取り付ける。具体的には、第1コネクタ514、第2コネクタ524及び第3コネクタ534を、それぞれ、第1アンカーA1、第2アンカーA2及び第3アンカーA3に締結することで、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530を車両Vに取り付ける。なお、三つのベルト部材510,520,530の取り付けに先立ち、ベルト部材510,520,530,540の大まかな長さ調節を行っておくことが好ましい。
【0085】
次に、補助ベルト部材540の長さを調節した後、補助ベルト部材540のガイド部材543の誘導穴543a内に、第3ベルト部材530を入れる(
図7参照)。
【0086】
その後、ペットキャリーPCを車両V内に持ち込む。次に、ペットキャリーPCを、連結ベルト材541上、且つ、第1及び第2ベルト部材510,520と主ベルト部材542との間、に配置する。その後、ベルト部材510,520,530,540の長さ及び配置を調節し、ペットキャリーPCを座席S上に固定する。
【0087】
以上の結果、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530と、車両Vの座席Sとの間に、ペットキャリーPCを固定することができる。このとき、第1ベルト部材510及び第2ベルト部材520、第3ベルト部材530が、ペットキャリーPC上においてY字状に配置される。この結果、ペットキャリーPCを安定して、車両Vの座席S上に配置することができる。これにより、車両Vの急減速時、例えば車両Vの衝突時等に、車両V内でペットが人とぶつかってしまうことや、ペットが車両Vのいずれかの部位にぶつかってしまうことを効果的に防止することができる。
【0088】
また、ペットキャリーPCは、座席S上において、第1ベルト部材510及び第2ベルト部材520と、第3ベルト部材530と、補助ベルト部材540と、の間に保持される。したがって、座席S上でのペットキャリーPCの移動を効果的に防止することができる。
【0089】
ペットキャリーPCを車両Vから取り出すときは、ペットキャリーPCを車両Vに固定する際と、概ね逆の手順を踏むことになる。まず、ベルト部材510,520,530,540を引き伸ばすことにより、ペットキャリーPCを車両Vの座席S上から取り出すことができる。
【0090】
その後、第1コネクタ514と第1アンカーA1との締結を解除し、第2コネクタ524と第2アンカーA2との締結を解除し、さらに、第3コネクタ534と第3アンカーA3との締結を解除して、ベルト部材510,520,530,540を車両Vから取り外す。次に、補助ベルト部材540のガイド部材543から、第3ベルト部材530を取り外す。これにより、ベルト部材510,520,530,540を、収容袋550内に収納することができるようになる。ベルト部材510,520,530,540を収容袋550内に収納するにより、不使用状態となった固定具500を、収容袋550に纏めることができ、部品の紛失等を効果的に回避しながら固定具500を保管することができる。
【0091】
なお、固定具500を用いたペットキャリーPCの座席Sへの取り付けは、ペットキャリーPCの特別な構成を必要としない。
【0092】
以上のような本実施の形態によれば、ペット飼育具1は、前脚21及び後脚23を有するカート本体部20と、カート本体部20に保持されたペット収容部60と、を有し、折り畳み可能なカート10と、ペットを収容可能なペットキャリーPCと、を有し、ペットキャリーPCは、ペットを収容した状態でペット収容部60内に配置可能となっている。このようなペット飼育具1では、ペットを伴って公共スペースを移動する際、ペットをペットキャリーPCに収容した状態でカート10のペット収容部60に収容し、カート10で搬送することが可能である。これにより、カート10の使用が適した状況においては、ペットの重さの負担を強いられることなく、ペットと共に楽に移動することができる。その一方で、カート10の使用が不適切な状況においては、ペット収容部60からペットキャリーPCごとペットを取り出すだけで、カート10を使用しないペットの搬送方法に切り替えることが容易である。すなわち、ペットをカート10のペット収容部60からペットキャリーPCへ移し替えることなく、迅速にペットの搬送手段を変更可能である。また、カート10の不使用時には、カート10を折り畳むことが可能であり、カート10を抱えての移動や保管等に適した大きさにすることができる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、カート本体部20は、幅方向に小型化するように折り畳み可能であり、ペット収容部60は、幅方向に複数に分割された底板66と、柔軟性を有した材料で形成された側壁部65wと、を有している。この構成によれば、カート10の不使用時に、カート本体部20をペット収容部60の底部65bの幅に制約されることなく、搬送や保管等に適した小さな寸法へと折り畳むことができる。その一方で、カート10の使用時、すなわちカート10の展開時には、底板66がペット収容部60の底部65bの剛性を高め、ペット収容部60内にペットを安定して保持することができる。
【0094】
また、本実施の形態によれば、ペット収容部60は、上方に開口した収容部本体65と、収容部本体65の上方を覆うことが可能な幌90と、を有しており、収容部本体65は、メッシュ地からなる第1網状部65mを有している。このような構成によれば、収容部本体65と幌90との間のスペースに、ペットを外部から遮断して収容することが可能である。また、第1網状部65mを通して、当該スペースの換気を行うことができる。
【0095】
また、本実施の形態によれば、収容部本体65と幌90とは、スライドファスナー80で開閉可能である。このような構成によれば、収容部本体65と幌90との間のスペースを隙間無く閉鎖することが容易である。
【0096】
また、本実施の形態によれば、幌90は、幌90の前後にメッシュ地からなる第2網状部90mを有している。このような構成によれば、第1網状部65m及び第2網状部90mの組み合わせにより、収容部本体65と幌90との間のスペースの換気をより効率的に行うことができる。
【0097】
さらに、本実施の形態によれば、ペット飼育具1は、ペットキャリーPCを車両Vの座席Sに取り付け可能な固定具500をさらに有している。このような固定具500により、ペットと共に車両Vで移動する際、ペットをペットキャリーPCに収容したまま車両Vの座席Sに保持することができる。これにより、ペット及び同乗者の安全性を確保しながら、ペットと共に車両Vで移動することが可能である。すなわち、車両Vの急減速時、例えば車両Vの衝突時等に、車両V内でペットが人とぶつかってしまうことや、ペットが車両Vのいずれかの部位にぶつかってしまうことを効果的に防止することができる。
【0098】
以上、本発明を図示する一実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこの一実施の形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した一実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の一実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0099】
例えば、上述した一実施の形態において、カート本体部10及びペット収容部60の具体的な構成を説明したが、上述した構成は例示に過ぎない。カート本体10は、ペット収容部60を支持することができる種々の構成を採用することができ、ペット収容部60は、ペットキャリーPCを収容することができる種々の構成を採用することができる。
【0100】
また、上述した一実施の形態において、固定具500の一具体例を示したが、固定具500について種々の変更が可能である。第3ベルト部材530が、車両Vの第3アンカーA3と締結する例を示したが、この例に限られない。
図10に示すように、第3ベルト材1530が、分岐位置bpから離間した接続位置において、第1ベルト部材510及び第2ベルト部材520の少なくとも一方のベルト部材と接続するようにしてもよい。この例において、第3ベルト材1530は、上述した一実施の形態における補助ベルト部材540の連結ベルト材541と同様に構成された連結ベルト材1531の中央に縫着されている。固定具500は、車両Vの第1アンカーA1及び第2アンカーA2を利用し、第3アンカーA3を利用することなく、ペットキャリーPCを座席Sに固定している。
【0101】
図10に示された変形例において、ペットを収容するペットキャリーPCを車両Vの座席Sに固定するための固定具500は、上述した一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0102】
また、別の変形例として、補助ベルト部材540や第3ベルト材1530が、第1ベルト部材10又は第2ベルト部材20に接続する位置は、第1ベルト部材510及び第2ベルト部材520でなくても良い。例えば、
図11に示すように、第3ベルト材1530が、第1コネクタ514や第2コネクタ524に接続するようにしてもよい。
【0103】
また、別の変形例として、
図12に示すように、固定具500が、第1ベルト部材510、第2ベルト部材520及び第3ベルト部材530の少なくとも一つ以上のベルト部材によって支持されたカバー部材560を、さらに有するようにしてもよい。カバー部材560は、ペットキャリーPCを覆う布材または網状材を含んでいる。固定具500が、ベルト部材510,520,530だけでなく、柔軟性を有したシート状のカバー部材560によって面でペットキャリーPCを覆うことで、ペットキャリーPCを車両V内により安定して固定することが可能となる。カバー部材560を有する固定具500によれば、カバー部材560によって、ペットキャリーPCをより安定して保持することができる。これにより、ペットキャリーPCが固定具500に対して相対移動することを効果的に防止し、ペットキャリーPCをより安定して車両Vの座席Sに固定することができる。
【0104】
また、さらに別の変形例として、
図13に示すように、ペット飼育具1は、固定具500を有する代わりに、ペットキャリーPCが車両Vのシートベルト2510を通す部分2500を有していても良い。
図13に示す例においては、シートベルト2510が通過する部分2500は、ペットキャリーPCの外面にベルト状部材2520がその両端部において縫着されることによって構成される。すなわち、ベルト状部材2520の中央部とペットキャリーPCの外面との間にシートベルト2510を通すことができるようになっている。
【0105】
このようなペットキャリーPCによっても、ペットと共に車両で移動する際、ペットをペットキャリーPCに収容したまま車両Vの座席Sに保持することが可能である。これにより、ペット及び同乗者の安全性を確保しながら、ペットと共に車両Vで移動することが可能である。すなわち、車両Vの急減速時、例えば車両Vの衝突時等に、車両V内でペットが人とぶつかってしまうことや、ペットが車両Vのいずれかの部位にぶつかってしまうことを効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 ペット飼育具
10 カート
20 カート本体部
21 前脚
23 後脚
60 ペット収容部
65 収容部本体
65b 底部
66 底板
80 スライドファスナー
90 幌
500 固定具
2500 シートベルトを通す部分
PC ペットキャリー