IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オーエスエムの特許一覧

<>
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図1
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図2
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図3
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図4
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図5
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図6
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図7
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図8
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図9
  • 特許-マグネットスクリーン装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】マグネットスクリーン装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/58 20140101AFI20220729BHJP
【FI】
G03B21/58
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018073878
(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公開番号】P2019184766
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501475550
【氏名又は名称】株式会社オーエスエム
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】奥村 正之
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-168916(JP,A)
【文献】実開平02-068096(JP,U)
【文献】特開平06-336139(JP,A)
【文献】特開平09-092525(JP,A)
【文献】特開2002-357212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側にスクリーン面が形成され、後面側に磁性面が形成され、巻取り及び繰出し可能とされたスクリーンシートと、
巻取られた状態の前記スクリーンシートを収納する長尺の筐体と、
繰出された状態の前記スクリーンシートを前記筐体の内部で巻取る巻取手段と、を備え、
前記筐体の少なくとも一端部には、前記一端部を吸着対象物に支持させる支持機構が設けられ、
前記筐体の他端部には、前記支持機構を中心として前記筐体の角度を調整した後に前記吸着対象物に支持させる調整支持機構が設けられ、
前記筐体における一端部には、前記筐体の一端部を前記吸着対象物に吸着する一端側磁石が前記支持機構として設けられ、
前記筐体における他端部側には、前記筐体の他端部を前記吸着対象物に吸着する他端側磁石と、該他端側磁石による吸着力を低減させる低減部と、が前記調整支持機構として設けられ、
前記低減部は、前記筐体の他端面に収容されるとともに前記筐体の中心軸回りに回動可能とされる円板形状の操作部材と、前記操作部材の回動に伴って前記吸着対象物に対して進退可能とされる突起部と、を備え、
前記低減部は、前記操作部材の一方向への回動操作により、前記突起部を前記吸着対象物に対して延出させて、前記他端側磁石と前記吸着対象物とを隔離することにより、前記他端側磁石による吸着力を低減させ、
前記低減部は、前記操作部材の他方向への回動操作により、前記突起部を前記吸着対象物から退避させて、前記他端側磁石と前記吸着対象物とを近接させることにより、前記他端側磁石による吸着力を増大させる、マグネットスクリーン装置。
【請求項2】
前記筐体には水平器が設けられる、請求項1に記載のマグネットスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校や企業等において黒板に設置するマグネットスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校や企業等において、プロジェクタ等の画像投影機によって画像を投影する際のスクリーンとして、黒板に設置するマグネットスクリーン装置が用いられている。このようなマグネットスクリーン装置は、スクリーンシートと、スクリーンシートを巻き取るための巻取手段と、スクリーンシートを収納するための筐体と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-30970号公報
【文献】特開2016-38475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の特許文献1には、筐体の一端側に取付具を設け、この取付具を黒板の上端辺に係止することにより黒板に設置可能なマグネットクリーン装置が記載されている。このような構成によれば、使用者の身長が低い場合、取付具を黒板の上端辺に係止することができなかった。
【0005】
一方、特許文献2によれば、磁石を用いてマグネットスクリーン装置を黒板に設置する構成が記載されている。このように、磁石を用いてマグネットスクリーン装置を黒板に吸着させた場合、装置本体の落下を防ぐために強い力で吸着する必要がある。このため、一旦マグネットスクリーン装置を黒板に設置した後で、マグネットスクリーン装置の設置角度を微調整することが困難であった。即ち、マグネットスクリーン装置の設置角度が鉛直方向から微妙にずれてしまった場合に、スクリーンを水平方向に繰り出す際にスクリーンが斜めに設置されてしまうことがあった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、設置箇所の自由度が高く、設置角度の微調整が容易となる、マグネットスクリーン装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明に係るマグネットスクリーン装置は、前面側にスクリーン面が形成され、後面側に磁性面が形成され、巻取り及び繰出し可能とされたスクリーンシートと、巻取られた状態の前記スクリーンシートを収納する長尺の筐体と、繰出された状態の前記スクリーンシートを前記筐体の内部で巻取る巻取手段と、を備え、前記筐体の少なくとも一端部には、前記一端部を吸着対象物に支持させる支持機構が設けられ、前記筐体の他端部には、前記支持機構を中心として前記筐体の角度を調整した後に前記吸着対象物に支持させる調整支持機構が設けられ、前記筐体における一端部には、前記筐体の一端部を前記吸着対象物に吸着する一端側磁石が前記支持機構として設けられ、前記筐体における他端部側には、前記筐体の他端部を前記吸着対象物に吸着する他端側磁石と、該他端側磁石による吸着力を低減させる低減部と、が前記調整支持機構として設けられ、前記低減部は、前記筐体の他端面に収容されるとともに前記筐体の中心軸回りに回動可能とされる円板形状の操作部材と、前記操作部材の回動に伴って前記吸着対象物に対して進退可能とされる突起部と、を備え、前記低減部は、前記操作部材の一方向への回動操作により、前記突起部を前記吸着対象物に対して延出させて、前記他端側磁石と前記吸着対象物とを隔離することにより、前記他端側磁石による吸着力を低減させ、前記低減部は、前記操作部材の他方向への回動操作により、前記突起部を前記吸着対象物から退避させて、前記他端側磁石と前記吸着対象物とを近接させることにより、前記他端側磁石による吸着力を増大させる。


【0009】
また、前記筐体には水平器が設けられることがより好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマグネットスクリーン装置によれば、設置箇所の自由度を確保するとともに、マグネットスクリーン装置の設置角度の微調整が容易となる、という効果を奏する。
【0011】
また、低減機構で磁石による吸着力を低減させることにより、マグネットスクリーン装置の設置角度の微調整を容易に行うことが可能となる。
【0012】
また、磁石と吸着対象物を隔離することにより、簡易な構成で磁石による吸着力を低減できる。
【0013】
また、突起部を吸着対象物に対して延出させることにより、簡易な構成で磁石と吸着対象物を隔離することが可能となる。
【0014】
また、調整部材を調整溝に挿入し、搖動部材を支持部材に対して相対的に変位させることにより、マグネットスクリーン装置の設置角度の微調整を容易に行うことが可能となる。
【0015】
また、装置本体の方向を上下逆にしても設置することが可能となる。
【0016】
また、筐体に水平器を設けることにより、使用者が目視でマグネットスクリーン装置の設置角度の微調整を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施形態に係るマグネットスクリーン装置の使用状態を示す斜視図。
図2】(a)及び(b)は同じくマグネットスクリーン装置の収納状態を示す前方斜視図及び後方斜視図。
図3】低減部の構成を示す後方下側斜視図。
図4図2におけるX-X線断面図。
図5】(a)及び(b)は低減部における突起部の退避時及び延出時を示す後方下側斜視図。
図6】(a)及び(b)は突起部の延出時及び退避時におけるマグネットスクリーン装置の右側面図。
図7】第二実施形態に係るマグネットスクリーン装置の使用状態を示す斜視図。
図8】第三実施形態に係るマグネットスクリーン装置の構成を示す斜視図。
図9】(a)は同じくマグネットスクリーン装置の使用状態を示す右側面図、(b)は搖動部材と支持部材との関係を示す正面図。
図10】搖動部材と支持部材との固定状態を示す側方断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では図1から図6を用いて、第一実施形態に係るマグネットスクリーン装置(以下、単に「スクリーン装置」と記載する)1について説明する。各図に示す矢印は、スクリーン装置1の使用状態における方向を示している。
【0019】
本実施形態に係るスクリーン装置1は、前面側にスクリーン面2aが形成され、後面側に磁性面2bが形成されたスクリーンシート2を備える。スクリーンシート2は図1に示す如く繰出された状態(以下、この状態をスクリーン装置1の「使用状態」と記載する)と、図2に示す如く巻取られた状態(以下、この状態をスクリーン装置1の「収納状態」と記載する)とを遷移可能とされる。
【0020】
スクリーンシート2の先端部(図1における右側端部)には、スクリーンシート2の右端辺を支持する樹脂製の先端支持部材2cが固定されている。先端支持部材2cの上下方向略中央部には、使用者が先端支持部材2cを把持するための先端取手2dが形成されている。また、図2(b)に示す如く、先端支持部材2cの後面には先端磁石2eが固定されている。
【0021】
スクリーン装置1は、巻取られた状態のスクリーンシート2を収納する樹脂製の長尺部材である筐体3を備える。筐体3は、側面の一部分が開口された中空の筒状部材である本体部3aと、本体部3aの上側開口部を閉塞する上底部3bと、本体部3aの下側開口部を閉塞する下底部3cと、で構成される。図2及び図3に示す如く、上底部3b及び下底部3cはねじS1で本体部3aに固定される。
【0022】
本体部3aの左側面における上下方向略中央部には、使用者がスクリーン装置1を把持するための筐体取手3dが形成されている。図2(b)に示す如く、筐体3における後面の上部には一端側磁石として第一磁石5が固定されている。また、筐体3における後面の下部には他端側磁石として第二磁石6が固定されている。また、筐体3の前面における上下方向略中央部には水平器8が設けられている。
【0023】
スクリーン装置1は、繰出された状態のスクリーンシート2を筐体3の内部で巻取る巻取手段である軸部材4を備える。スクリーンシート2の基端部(図1における左側端部)は、軸部材4に固定されてている。軸部材4は上下の両端部が筐体3の上底部3b及び下底部3cに回動可能に支持されるとともに、図示しない渦巻きばねにより平面視で反時計回りに付勢されている。
【0024】
軸部材4が渦巻きばねの付勢力により反時計回りに回動することにより、スクリーンシート2は筐体3の内部に巻取られる。本実施形態において、スクリーンシート2の繰出し及び巻取りに際して、スクリーンシート2の操作によって渦巻きばねの付勢力の解除が可能とされている。なお、巻取手段を電動式にすることにより、スクリーンシート2の繰出し及び巻取りを自動で行う構成とすることも可能である。
【0025】
スクリーン装置1は図1及び図6に示すように、スクリーン装置1の後面を吸着対象物である黒板Bに吸着させて、スクリーンシート2のスクリーン面2aをプロジェクタ等の画像投影機におけるスクリーンとして使用される。具体的には、筐体3の後面に固定された第一磁石5及び第二磁石6、スクリーンシート2の磁性面2b、及び、先端支持部材2cの後面に固定された先端磁石2eを黒板Bに吸着させることにより、スクリーン装置1を黒板Bに設置するのである。なお、スクリーン装置1の用途は画像投影機のスクリーンに限定されるものではなく、例えば電子黒板やホワイトボードとしても使用することも可能である。
【0026】
スクリーン装置1を吸着対象物である黒板Bに設置する際に、使用者は、収納状態のスクリーン装置1における筐体取手3dを把持し、筐体3の軸心方向を上下方向に向けた状態で第一磁石5及び第二磁石6を黒板Bに吸着させる。次に、先端支持部材2cの先端取手2dを掴み、スクリーンシート2を右側方に引き出す。スクリーンシート2を所望の領域まで広げた後に、先端支持部材2cの先端磁石2eを黒板Bに吸着させる。同時に、スクリーンシート2の磁性面2bも黒板Bに吸着させて、スクリーン装置1を使用状態とするのである。
【0027】
上記の如く、本実施形態に係るスクリーン装置1によれば、スクリーン装置1の後面を吸着対象物である黒板Bに吸着させて設置する構成としている。このため、取付具等を黒板Bの上端辺に係止する必要がないため、スクリーン装置1の設置箇所の自由度を向上させることが可能となる。
【0028】
なお、上記の手順とは逆に、先に先端支持部材2cを黒板Bに吸着させた後にスクリーンシート2を黒板Bに押し当てながら広げ、最後に筐体3を黒板Bに吸着させることも可能である。また、筐体3の軸心方向を水平方向に向けた状態(スクリーンシート2を上方又は下方に広げる態様)でスクリーン装置1を使用しても差し支えない。
【0029】
スクリーン装置1においては、装置本体の落下を防ぐために、第一磁石5及び第二磁石6を強い磁力で黒板Bに吸着させる必要がある。このため、本実施形態に係るスクリーン装置1においては、筐体3を黒板Bに完全に吸着させて固定する前に、スクリーン装置1の設置角度を微調整することを可能としている。
【0030】
具体的には、スクリーン装置1の筐体3における上端部には、筐体3の上端部を黒板Bに吸着する第一磁石5が支持機構として設けられている。そして、筐体3における下端部側には、筐体3の下端部を黒板Bに吸着する第二磁石6と、第二磁石6による吸着力を低減させる低減部7とが、調整支持機構として設けられているのである。
【0031】
低減部7は、図3及び図4に示す如く、ケース部材71、操作部材72、ピニオンギヤ73、スライド部材74、ガイド部材75等を備える。ケース部材71は上側に底面を有し、底面の中央部分に図示しない貫通孔が形成された円筒状部材である。ケース部材71の外周面には二個の固定孔71aが開口されている。固定孔71aに、下底部3cの上面に形成された固定柱31が挿通される。固定柱31の外周面には雄ねじ部が形成されている。そして、ナットNを固定柱31の雄ねじ部に螺合することにより、ケース部材71が下底部3cの上面に固定される。図4に示す如く、ケース部材71の底面における下側には略1/4円弧状の規制溝71bが形成されている。
【0032】
ケース部材71の内側には操作部材72が収容される。操作部材72は回動軸72a、操作部72b、及び、規制突起72c(図4を参照)を備える。操作部材72は、ケース部材71に形成された貫通孔を貫通する回動軸72aを中心として回動可能に筐体3に組付けられる。使用者は操作部72bを回動することにより操作部材72を回動する。図4に示す如く、規制突起72cはケース部材71の規制溝71bの領域内で変位する。このため、操作部材72は回動角度が約90度に規制される。回動軸72aの中途部にはピニオンギヤ73が相対変位不能に固定されている。
【0033】
筐体3の内部には、ガイド部材75が収容されている。ガイド部材75にはケース部材71の内周側からねじS2が螺入されることにより、ケース部材71に対して相対変位不能に固定される。ガイド部材75には、ガイド部材75の内側でスライド可能にスライド部材74が収容される。スライド部材74にはピニオンギヤ73と歯合するラックギヤ74aが形成される。スライド部材74の先端部には突起部74bが形成されている。図4及び図5に示す如く、スライド部材74は、筐体3の本体部3aに形成された開口部3eから突起部74bを後方に延出可能に設けられている。
【0034】
上記の如く構成された低減部7において、使用者が操作部材72の操作部72bを図5(a)中の矢印Rの方向(平面視における時計回り方向)に回動すると、回動軸72aに固定されたピニオンギヤ73が図4における時計回りに回動する。これにより、ラックギヤ74aが後方に変位するため、突起部74bが図5(a)中の矢印Pに示す如く開口部3eから後方に延出される。逆に、使用者が操作部材72の操作部72bを矢印Rと反対の方向(平面視における反時計回り方向)に回動すると、突起部74bは図4及び図5(a)に示す如く筐体3の内部に退避する。
【0035】
本実施形態に係るスクリーン装置1においては、第一磁石5と第二磁石6とが黒板Bに吸着した状態で、使用者が上記の如く操作部72bを回動操作すると、図6(a)に示す如く突起部74bが延出して第二磁石6と黒板Bとが隔離される(このとき、第一磁石5は黒板Bに吸着しているため、スクリーン装置1が落下することはない)。これにより、第二磁石6が黒板Bを吸着する力が低減されるため、使用者は一旦スクリーン装置1を黒板Bに設置した後に、筐体3の設置角度を微調整し、筐体3の軸心方向を鉛直方向に配置しなおすことが可能となる。このとき、使用者は水平器8を目視しながら筐体3の角度を調整することができる。その後、操作部72bを逆方向に回動操作することにより、図6(b)に示す如く突起部74bが退避して第二磁石6と黒板Bとが吸着されるのである。
【0036】
このように、本実施形態においては、筐体3の上端部に、筐体3の上端部を黒板Bに支持させる支持機構として第一磁石5が設けられ、筐体3の他端部には、支持機構を中心として筐体3の角度を調整した後に黒板Bに支持させる調整支持機構として、第二磁石6及び低減部7が設けられている。これにより、スクリーンシート2を水平方向に繰り出す際に、スクリーン装置1の設置角度を鉛直方向に合わせることができるため、スクリーンシート2が斜めに設置されてしまうことを防止できるのである。
【0037】
上記の如く、スクリーン装置1における低減部7は、黒板Bに対して進退可能な突起部74bを黒板Bに対して延出させることにより、第二磁石6と黒板Bとを隔離する構成としている。これにより、簡易な構成で第二磁石6と黒板Bとを隔離することを可能としている。
【0038】
なお、第二磁石6が黒板Bを吸着する力を低減させる低減部を、本実施形態と異なる他の構成とすることも可能である。例えば、第二磁石6を黒板Bから離れる方向(前方)に向かって退避させることにより、第二磁石6と黒板Bとを隔離する構成とすることも可能である。他に、第二磁石6と黒板Bとの間に他の物を挿入する構成とすることも可能である。これらの構成によっても、第二磁石6が黒板Bを吸着する力が低減されるため、使用者は一旦スクリーン装置1を黒板Bに設置した後に、筐体3の設置角度を微調整し、筐体3の軸心方向を鉛直方向に設置しなおすことが可能となる。
【0039】
また、先に先端支持部材2cを黒板Bに吸着させた後にスクリーンシート2を広げ、最後に筐体3を黒板Bに吸着させる場合であっても、上記の如く筐体3の設置角度を微調整してから先端支持部材2cを黒板Bに吸着させることができる。即ち、このような設置態様においても、スクリーンシート2を水平方向に繰り出す際に、先端支持部材2cの角度を鉛直方向に合わせることができるため、スクリーンシート2が斜めに設置されてしまうことを防止できる。
【0040】
次に、図7を用いて、第二実施形態に係るスクリーン装置101について説明する。本実施形態以降においては、第一実施形態に係るスクリーン装置1と同様の構成については詳細な説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0041】
本実施形態に係るスクリーン装置101は、前記実施形態に係るスクリーン装置1の構成に加えて、筐体3の上端に連結コード103を介して落下防止磁石102が連結されている。落下防止磁石102には使用者が落下防止磁石102を黒板Bから取り外す際に把持するための突起物102aが形成されている。スクリーン装置101においては、落下防止磁石102を黒板Bに吸着させておくことにより、筐体3が黒板Bから外れた場合でも、スクリーン装置101が床面に落下することを防止できる。
【0042】
次に、図8を用いて、第三実施形態に係るスクリーン装置201について説明する。本実施形態に係るスクリーン装置201は、前記実施形態に係るスクリーン装置1に対して、黒板Bに設置する構成が異なる。具体的には図8から図10に示す如く、スクリーン装置201は、スクリーン装置1における第一磁石5、第二磁石6、及び、低減部7に替えて、支持部材202、磁石203、搖動部材204、及び、固定部材である板状の雌ねじ部材205等を備えている。
【0043】
支持部材202は長尺の板状部材であり、裏面に面状の磁石203が固定される。磁石203が吸着対象物である黒板Bに吸着することにより、支持部材202は黒板Bに設置される。支持部材202の上端部及び下端部には、前方に突出する係止ボルト202a・202aが設けられている。
【0044】
搖動部材204は中央部分が前方に膨出した長尺の板状部材であり、支持部材202に対して搖動可能に支持される。具体的には、搖動部材204の上端部及び下端部に、左右方向に沿って調整溝204aが開口されている。また、調整溝204aの中央部分における上下方向外側には、調整溝204aをさらに切り欠いた被係止部204bが形成されている。詳細には、それぞれの調整溝204aは、反対側に形成された被係止部204b(上側の調整溝204aに対する下側の被係止部204b)を中心とする円弧状に形成されている。搖動部材204は、上側の調整溝204aに上側の係止ボルト202aが挿通され、被係止部204bが係止ボルト202aに係止されることにより、支持部材202に搖動可能に支持されるのである。
【0045】
搖動部材204には、スクリーン装置201においてスクリーンシート2及び軸部材4を収容する筐体3がねじS3で固定されている。このため、支持部材202が黒板Bに設置された状態で、搖動部材204が支持部材202に支持されることにより、筐体3が黒板Bに設置される。即ち、支持部材202における上側の係止ボルト202aと、搖動部材204における上側の被係止部204bとにより、筐体3の上端部を黒板Bに支持させる支持機構が構成されているのである。
【0046】
図9(b)に示す如く、上側の被係止部204bが支持部材202の係止ボルト202aに係止された際には、搖動部材204における下側の調整溝204aに係止ボルト202aが挿通される。この際、下側の係止ボルト202aは調整溝204aの内部に位置するため、搖動部材204は図9(b)中の矢印Hに示す如く、左右に搖動可能となる。係止ボルト202aには雌ねじ部材205が螺合されており、雌ねじ部材205を締め付けることにより、支持部材202に対する搖動部材204の位置を固定することができる。
【0047】
本実施形態において、使用者は一旦スクリーン装置201を黒板Bに設置した後に、搖動部材204を支持部材202に対して搖動させ、筐体3の軸心方向が鉛直方向となるように筐体3の設置角度を微調整することが可能となる。その後、雄ねじ部材205を締め付けることにより、支持部材202に対する搖動部材204の相対位置を固定する。即ち、本実施形態においては、下側の調整溝204aと、調整部材である係止ボルト202aと、雌ねじ部材205とにより、支持機構を中心として筐体3の角度を調整した後に黒板Bに支持させる調整支持機構を構成しているのである。
【0048】
本実施形態においては上記の如く、調整溝204aに調整部材である係止ボルト202aを挿入し、搖動部材204を支持部材202に対して相対的に変位可能としている。これにより、筐体3の軸心方向が鉛直方向となるように筐体3の設置角度を容易に微調整することが可能となるのである。
【0049】
なお、本実施形態と逆に、支持部材202に調整溝及び被係止部を形成し、搖動部材204に係止ボルトを形成する構成とすることも可能である。即ち、支持部材202の調整溝に調整部材である係止ボルトを挿入し、搖動部材204を支持部材202に対して相対的に変位可能とすることもできる。このような構成においても、筐体3の軸心方向が鉛直方向となるように筐体3の設置角度を容易に微調整することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態に係る支持機構と調整支持機構とは、それぞれが筐体3の一端部と他端部との両方に設けられている。具体的には、上側の係止ボルト202aと上側の被係止部204bとで支持機構を構成し、下側の係止ボルト202a、調整溝204a、及び、雌ねじ部材205とで調整支持機構を構成している。これらの構成は図9及び図10に示す如く、スクリーン装置201において上下端部の両方に形成されているため、スクリーン装置201の上下を反転させた場合でも、同様に機能するのである。即ち、本実施形態に係るスクリーン装置201においては、スクリーンシート2を左右のどちらに繰出す場合でも、筐体3の軸心方向が鉛直方向となるように筐体3の設置角度を微調整することを可能としているのである。
【符号の説明】
【0051】
1 スクリーン装置 2 スクリーンシート
2a スクリーン面 2b 磁性面
2c 先端支持部材 2d 先端取手
2e 先端磁石 3 筐体
3a 本体部 3b 上底部
3c 下底部 3d 筐体取手
3e 開口部 4 軸部材
5 第一磁石 6 第二磁石
7 低減部 8 水平器
31 固定柱 71 ケース部材
71a 固定孔 71b 規制溝
72 操作部材 72a 回動軸
72b 操作部 72c 規制突起
73 ピニオンギヤ 74 スライド部材
74a ラックギヤ 74b 突起部
75 ガイド部材 101 スクリーン装置
102 落下防止磁石 102a 突起物
103 連結コード 201 スクリーン装置
202 支持部材 202a 係止ボルト
203 磁石 204 搖動部材
204a 調整溝 204b 被係止部
205 雌ねじ部材 B 黒板
H 矢印 N ナット
P 矢印 R 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10