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特許7113530単位磁石のメッシュハウジングを有する、径方向磁束電磁モータまたは発電機用のロータ
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  • 特許-単位磁石のメッシュハウジングを有する、径方向磁束電磁モータまたは発電機用のロータ 図1
  • 特許-単位磁石のメッシュハウジングを有する、径方向磁束電磁モータまたは発電機用のロータ 図2
  • 特許-単位磁石のメッシュハウジングを有する、径方向磁束電磁モータまたは発電機用のロータ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】単位磁石のメッシュハウジングを有する、径方向磁束電磁モータまたは発電機用のロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/278 20220101AFI20220729BHJP
【FI】
H02K1/278
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019551634
(86)(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 FR2018000063
(87)【国際公開番号】W WO2018172634
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】1700295
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1700936
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514325376
【氏名又は名称】ホワイロット
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】ラヴォー、ロマン
(72)【発明者】
【氏名】マイユール、ロイック
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01780878(EP,A1)
【文献】特開平09-019093(JP,A)
【文献】特開2000-134840(JP,A)
【文献】特開2015-202514(JP,A)
【文献】特開平02-022804(JP,A)
【文献】特開2011-193580(JP,A)
【文献】特開平10-210691(JP,A)
【文献】特開平08-116634(JP,A)
【文献】特開2016-208724(JP,A)
【文献】特開2016-100912(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10060121(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/278
H02K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁石(4)を収容する少なくとも1つの円筒形支持体(2a)を有する径方向磁束の電磁モータまたは発電機のロータ(1,1a)であって、前記少なくとも1つの円筒形支持体(2a)は、メッシュ要素を持つ円筒メッシュ構造体(5a)を有し、それぞれの前記メッシュ要素はそれぞれの単位磁石(4)のためのハウジング(5)を画定し、それぞれの前記ハウジング(5)は、その内部に前記単位磁石(4)を挿入できるのにちょうど十分な内部寸法を有する、電磁モータまたは発電機のロータ(1,1a)において、
前記ハウジング(5)と前記単位磁石(4)の間に繊維強化樹脂で満たされる空間が残され、前記円筒メッシュ構造体(5a)は繊維強化絶縁材料で作られ、そして前記ロータは前記単位磁石(4)と前記円筒形メッシュ構造体(5a)を被覆する非導電性複合材料層を有する、
ことを特徴とする電磁モータまたは発電機のロータ(1,1a)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記円筒形メッシュ構造体(5a)は、六角形断面の前記ハウジング(5)を有するハニカムの形態である、ことを特徴とする請求項1に記載のロータ(1,1a)。
【請求項3】
各前記単位磁石は、その関連するハウジング(5)を長さ方向に貫通し、そして前記円筒形メッシュ構造体(5a)の厚さに沿って伸長する細長いパッド(4)の形態であり、前記細長いパッド(4)は、少なくとも1つの長手平面(4b)を持つ円筒形または多面体の形であり、そして少なくとも1つの前記円筒形メッシュ構造体(5a)がハニカム形態の場合、それぞれの前記パッド(4)は六角形の前記長手平面(4b)を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のロータ(1,1a)。
【請求項4】
前記パッド(4)の前記長手面(4b)の表面積の、前記円筒形メッシュ構造体(5a)の前記ハウジング(5)が開口する面の表面積に対する比率が2%未満である、ことを特徴とする請求項に記載のロータ(1,1a)。
【請求項5】
前記円筒形メッシュ構造体(5a)は非導電性材料から作られる、ことを特徴とする請求項1-4のいずれか一項に記載のロータ(1,1a)。
【請求項6】
前記円筒形メッシュ構造体(5a)は、前記ロータ(1,1a)の回転軸と一致する長手方向軸を有し、そしてそれぞれの前記パッド(4)は前記円筒形メッシュ構造体(5a)の前記長手方向軸に対して径方向に伸長する、ことを特徴とする請求項-5のいずれか一項に記載のロータ(1,1a)。
【請求項7】
前記非導電性の複合材料層が、ガラス繊維またはプラスチック繊維などの強化繊維を有する、ことを特徴とする請求項6に記載のロータ(1、1a)。
【請求項8】
単層材料または多層材料が、前記円筒形メッシュ構造体(5a)と前記単位磁石(4)との間の空間に導入される、ことを特徴とする請求項7に記載のロータ(1,1a)。
【請求項9】
請求項1-8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのロータ(1、1a)および少なくとも1つのステータを有する、ことを特徴とする径方向磁束の電磁モータまたは発電機。
【請求項10】
2つのステータと1つのロータ(1a)を備え、円筒形の前記ロータ(1a)は、円筒形支持体(2a)の上を軸方向に伸長する分離枝部(3a)を備える円筒形支持体(2a)を有し、そして前記分離枝部(3a)は前記円筒形メッシュ構造体(5a)と前記単位磁石(4)で構成される磁石構造体(6)を軸方向に画定する、ことを特徴とする請求項9に記載の電磁モータまたは発電機。
【請求項11】
金輪(9a)が、前記円筒形支持体(2a)付近の前記ロータ(1a)の端部を覆い、内側カバー円筒(10)が前記円筒形支持体(2a)の内側に挿入され、そして外側カバー円筒(15)が前記円筒形支持体(2a)の外周の上に前記円筒形支持体(2a)の外側に挿入される、ことを特徴とする請求項9または10に記載の電磁モータまたは発電機。
【請求項12】
請求項1-8のいずれか一項に記載のロータ(1、1a)を製造する方法であって:
-各単位磁石(4)を円筒形メッシュ構造体(5a)の関連するそれぞれのハウジング(5)に導入することにより、前記単位磁石(4)を互いに距離を置いて配置し、そして保持するステップと;
-各前記ハウジング(5)内の前記単位磁石(4)の周りに樹脂を導入することにより、各前記単位磁石(4)を接着するステップと;そして
-前記円筒形メッシュ構造体(5a)と前記単位磁石(4)を被覆するため、複合材料層を前記円筒形メッシュ構造体(5a)と前記単位磁石(4)の周りに注入するステップと;
を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、径方向磁束電磁モータまたは発電機用の、ハニカム構造を有するロータに関する。本発明はまた、そのようなロータを備えた径方向磁束電磁モータまたは発電機に関する。
【0002】
本発明は、本発明によるロータの特定の特性によって得られる、ロータの高速回転で高出力を供給する電磁モータに有利には使用されるが、それに限定されない。そのようなモータまたは発電機は、例えば、完全な電気自動車またはハイブリッド自動車の電磁モータとして使用できる。
【背景技術】
【0003】
有利には、しかし限定されないが、径方向磁束電磁モータまたは発電機は、2つのステータに囲まれる少なくとも1つのロータを備えてもよく、これらの要素は、同じシャフト上の少なくとも1つのギャップによって分離されることによって、互いに対して重ね合わせることができる。
【0004】
高回転の用途では、最適な性能を得るために径方向磁束モータの質量とサイズを小さくすることで可能になるコンパクトなシステムだけでなく、システムの信頼性を向上させるために、回転部品の非常に優れた機械的強度も必要である。
【0005】
高回転の用途では、最適な性能を得るために損失を減らす必要がある。自動車用途では、小型化に対する要求が増大している。このためには、径方向磁束モータの質量とサイズの削減により可能となるコンパクトなシステムだけでなく、システムの信頼性を向上させるために、回転部分の非常に優れた機械的強度を実現することが重要である。
【0006】
径方向磁束電磁機械の場合、ロータは円筒形の本体を有し、その周囲全体に磁石が付いている。
【0007】
そのステータまたは各ステータについて、それらはそれぞれコイルを保持する歯を含む巻線要素を保持し、歯はその両側がノッチで囲まれ、良好な導電体の金属線が歯に巻かれてコイルを形成する。
【0008】
一連のまたは複数の一連の巻線に電力が供給されると、モータの出力軸に固定されたロータは、磁場に起因するトルクを受け、生成された磁束は、径方向磁束機械用の径方向磁束である。
【0009】
高出力モータの場合、ロータは高速で回転する。高速回転モータの主な欠点は、1つまたは複数のマグネットがロータから脱落する可能性が高く、またロータが少なくとも部分的に破損することである。このようなモータのロータは、高い回転速度に耐えることができなければならない。
【0010】
US-A-2011/0285237(特許文献1)は軸方向エアギャップを有するモータを開示しており、この文書の目的は、ロータに搭載された永久磁石がその組立中、導入中、および動作中にずれたり緩んだりするのを防ぎながら、ロータの製造工程を簡素化することである。磁石は、磁石を囲む成形品でできた一体化構造に収容されている。
【0011】
成形部品には、磁石を分離する溝があり、その中に、ロータ本体に備わるリブが挿入され、成形部品の軸方向の動きを防止する。成形部品の径方向の保持は、成形部品の内側および外側の同心要素によって行われる。
【0012】
この従来技術文書は、成形部品に収容された磁石を対象としており、互いに分離している磁石については何も教示していない。さらに、リブは、成形部品に作用することによってのみ磁石を保持するため、ロータ内の磁石を直接保持しない。さらに、この従来技術文書は、別の問題を抱える軸方向磁束の、径方向磁束でない、モータに関する。
【0013】
EP-A-1780878(特許文献2)は、複数の磁石を収容する少なくとも1つの円筒形支持体を有する径方向磁束電磁モータまたは発電機のロータを開示している。その少なくとも1つの支持体は、それぞれの単位磁石用のハウジングを画定するメッシュ要素をそれぞれ有する円筒状メッシュ構造体を備え、各ハウジングは、その内部への単位磁石の導入を可能にするためにちょうど十分な内部寸法を有する。
【0014】
この既存技術文書は、単位磁石をメッシュ要素内に保持する手段も、ロータを固定する手段も開示していない。したがって、そのようなロータは、非常に高い回転速度で回転するようには適合されていない。
【0015】
既存技術文献JP-A-20152025514(特許文献3)は、EP-A-1780878(特許文献2)の開示を実質的に繰り返しており、非常に高速でロータが回転できるようにする特徴を開示または示唆していない。
【0016】
FR-A-2996378(特許文献4)は、単位磁石を含む磁石構造体を開示している。これらの単位磁石は、単位磁石間に保持要素を介在させることなく、樹脂で接着されている。実際、その接着結合は、JP-A-20152025514(特許文献3)およびEP-A-1780878(特許文献2)に記載されているメッシュを置き換えており、それを補完するものではない。そのような配置は、回転中に磁石を失うことなく高速回転に耐えることができなかった。
【0017】
本発明の根底にある課題は、ロータから磁石が脱落するのを防ぎながら、それが支持する永久磁石を効果的に保持できる、径方向磁束モータまたは発電機用のロータを設計することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】US-A-2011/0285237
【文献】EP-A-1780878
【文献】JP-A-20152025514
【文献】FR-A-2996378
【発明の概要】
【0019】
この目的のために、本発明は、複数の磁石を収容する少なくとも1つの円筒形支持体を有する径方向磁束の電磁モータまたは発電機のロータであって、少なくとも1つの円筒形支持体は、メッシュ要素を持つ円筒メッシュ構造体を有し、それぞれのメッシュ要素はそれぞれの単位磁石のためのハウジングを画定し、それぞれのハウジングは、その内部に単位磁石を挿入できるのにちょうど十分な内部寸法を有する、電磁モータまたは発電機のロータにおいて、ハウジングと単位磁石の間に繊維強化樹脂で満たされる空間が残され、円筒メッシュ構造体は繊維強化絶縁材料で作られ、そしてロータは単位磁石とメッシュ構造体を被覆する非導電性複合材料層を有する、ことを特徴とする電磁モータまたは発電機のロータ、に関する。
【0020】
本発明の目的は、従来技術によるロータ内の1つ以上の磁石を複数の小さな磁石または微小な磁石に分解することである。大きな寸法の磁石は、それと同等な小さな磁石または微小な磁石よりも大きな渦電流損失を受ける。したがって、小さな磁石または微小な磁石を使用することにより、ロータの動作に有害なこれらの損失が減少する。
【0021】
本発明のセルまたはハウジングに配置された磁石を有するロータは、磁石を保持し、軸方向または径方向の力、および非常に高速での遠心力の影響を減少させる固定手段により、ロータの損失を減らすように設計されている。
【0022】
比較的大きな磁石の割れは、しばしば電磁アクチュエータの誤動作の原因である。本発明は、それらが置き換える磁石よりも小さい複数の単位磁石の存在により、この損傷を防止することを意図している。
【0023】
また、ハウジングから単位磁石が脱落するという問題が起こる。これは、本発明により提案される接着の手法により解決される。ハウジングは、適切に単位磁石を保持し、そして単位磁石間に樹脂を注入するのに十分なスペースだけを残すために、出来るだけ小さく設計される。樹脂自体は繊維で強化され、機械的保持特性が強化されている。
【0024】
有利には、少なくとも1つのメッシュ構造体は、六角形断面のハウジングを有するハニカムの形態である。
【0025】
ハニカムメッシュは、要素(この場合はロータ)の強度を高めることが知られている。単位磁石は六角形のハウジングに挿入され、保持が確実に行われる。ハウジングの壁は電気絶縁体として機能し、そして磁石構造体内のハウジングの密度は大幅に高められうる。ハニカムメッシュは、繊維強化された絶縁複合材料でできていてもよい。
【0026】
磁石構造体の複合材料被覆は、戻りトルクを誘導しないように鉄からできていることが好ましい。さらに、その機械的強度は高く、被覆は特に、何らかの手段によって互いに対して所定の位置に保持された、単位磁石の配列に複合材料を注入することにより、簡単に行うことができる。このように被覆によって保護された磁石構造体は高回転速度に耐え、単位磁石は、既にメッシュの内にあり、樹脂層により指定の場所に接着されて保持される。
【0027】
有利には、各単位磁石は、その関連するハウジングを長さ方向に貫通し、そしてメッシュ構造体の厚さに沿って伸長する、細長いパッドの形態であり、その細長いパッドは、少なくとも1つの長手面を持つ円筒形または多面体の形であり、そして少なくとも1つのメッシュ構造体がハニカム形態の場合、それぞれのパッドは六角形の長手面を有する。
【0028】
したがって細長いパッドは、少なくとも部分的にロータを横切り、有利には貫通し、ロータの少なくとも内周または外周を超えて突出するか、または突出せず、その内周または外周は回転電気アクチュエータ用のステータのコイルに面し、その内周または外周から磁場が放出される。
【0029】
最も古典的な定義によれば、多面体は、エッジと呼ばれる直線セグメントで交わる多角形の平面を持つ3次元の幾何学的形状であり、たとえば、直角または斜めのプリズム、立方体、角錐などである。本発明の文脈において、六角形の多面体などの、直線および平行なエッジによって接続された、2つの対向する平坦かつ同等の長手方向多角形面を備える、多面体を有することが好ましいが、本発明はこのデザインに限定されず、多面体のもう一方の端に頂点を有する、単一の長手面が存在しうる。
【0030】
この構成により、単位磁石を形成する多数のパッドを備えたロータを持つことが可能になる。このような複数の単位磁石を備えたロータは、高い強度を有しながら高い磁化力を有し、単位磁石を被覆するため好ましくは複合材料層を有することが分かった。
【0031】
最適な強度の磁場を得るためには、磁石の理想的な体積が、長さが直径に等しい立方体または円柱に近づく必要があることが知られている。それを超えて磁石の長さを増加させても磁場が増加しないことは一般的常識である。しかしながら、本発明のアプローチは、この先入観とは反対の方向に進む。
【0032】
単位磁石の長さは、ロータの機械的強度の必要性に対応するため、その平らな長手面の直径または対角線に対して大幅に長く、これは広く実施されている形態からは提案されていない。
【0033】
本発明によれば、ロータ内の複数の単位磁石は、1つの単位磁石よりも強力であり、ロータによって供給される磁場を驚くほど増加させることが発見された。
【0034】
有利には、パッドの長手面の表面積の、メッシュ構造体のハウジングが開口する面の表面積に対する比率は2%未満である。
【0035】
これにより、ロータの片側に非常に多くのパッドを配置することができ、ロータの作業面で単位磁石の形の1つのパッドが占める面積は非常に小さい。
【0036】
有利には、メッシュ構造体は非導電性材料から作られる。
【0037】
戻りトルクを誘導しないために、非導電性材料が鉄よりも好ましい。その機械的強度が高く、メッシュの製造が特に複合材料の注入によって簡単に行うことができるため、複合材料が好ましい。メッシュ内の強化繊維は、ロータの強度、特に曲げや座屈に対する剛性を高めるのに役立つ。
【0038】
有利には、メッシュ構造体は、ロータの回転軸と一致する長手方向軸を有し、そしてそれぞれのパッドはメッシュ構造体の長手方向軸に対して径方向に伸長する。
【0039】
有利には、複合材料層が、ガラス繊維またはプラスチック繊維などの強化繊維を有する。
【0040】
有利には、単層材料または多層材料が、メッシュ構造体と単位磁石との間の空間に導入される。この材料は、ニッケル、銅などの単位磁石を被覆するためのプラスチック、複合材料、または金属材料である。材料は、例えば被覆材料であることにより、メッシュへの導入の前に単位磁石上に堆積されていてもよく、または単位磁石とそれを受容するメッシュ要素間で固定を形成する工程を有してもよい。
【0041】
本発明はまた、少なくとも1つのこのようなロータおよび少なくとも1つのステータを有する、ことを特徴とする径方向磁束電磁モータまたは発電機に関する。
【0042】
有利には、電磁モータまたは発電機は2つのステータに関係する少なくとも1つのロータを有する。
【0043】
最後に、本発明は、ロータを製造する方法であって:
-各単位磁石を円筒形メッシュ構造体の関連するそれぞれのハウジングに導入することにより、単位磁石を互いに距離を置いて配置し、そして保持するステップと;
-各ハウジング内の単位磁石の周りに樹脂を導入することにより、各単位磁石を接着するステップと;そして
-メッシュ構造体と単位磁石を被覆するため、複合材料層をメッシュ構造体と単位磁石(4)の周りに注入するステップと;
を有することを特徴とする方法、に関する。
【0044】
単位磁石は、3次元タイル、特に、必要とされるタイルの幅と長さに事前にカットされうる。単位磁石は、磁気タイルの同等の部分の特性よりも優れた磁気特性を有することがわかっている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明を読み、非限定的な例として与えられた添付の図面を参照することにより明らかになるであろう:
図1】本発明による径方向磁束ロータを形成するメッシュの斜視概略図であり、メッシュに挿入された複数の単位磁石が示される。
図2図1のAで識別される円で囲まれた部分の拡大概略図である。メッシュに完全に挿入された、挿入の途中の、そして挿入されていない、単位磁石がさらに示される。
図3】本発明の一実施形態における径方向磁束電磁モータの分解概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面は例として与えられ、本発明を限定するものではない。それらは、本発明の理解を容易にすることを意図した原理の概略図を構成し、必ずしも実際の用途における寸法ではない。特に、異なる部分の寸法は、実際を示すものではない。
【0047】
本発明の目的は、大きなサイズの1つまたは複数の磁石を複数の小さな単位磁石4に置き換えることである。したがって、多数の、ロータあたり少なくとも20、場合によって100を超える数の小さな単位磁石4によって磁束が生成される。
【0048】
従来技術のロータは1~5個の磁石を含むことができ、一方本発明はより多くの小さな単位磁石を提供する。本発明による単位磁石4は、ロボットによって各セルに挿入することができる。中型のロータの場合、本発明の文脈における小さな磁石4は4mmの寸法を有し得る。
【0049】
すべての図面を参照して、本発明は、複数の磁石を収容する少なくとも1つの円筒形支持体を有する径方向磁束電磁モータまたは発電機のロータに関する。
【0050】
本発明によれば、少なくとも1つの支持体2aは、それぞれの単位磁石4のハウジング5を画定するメッシュ要素をそれぞれ有する円筒状メッシュ構造体5aを含む。各ハウジング5は、その内部に単位磁石4を導入するのにちょうど十分な内部寸法を有し、一方で、繊維強化樹脂で満たされたハウジングと単位磁石4との間の空間を残し、メッシュ構造体5a、特にメッシュ要素は繊維強化断熱材で作られる。
【0051】
強固な組立体を形成するために、ロータ1、1aは、単位磁石4とメッシュ構造体5aを被覆する非導電性複合材料の層を有する。複合材料層は、ガラス繊維またはプラスチック繊維、例えばケブラーまたはポリアミドなどの強化繊維、または組立体の機械的強度を高める任意のプラスチック材料を含んでもよい。
【0052】
これにより、ロータ1、1aの高速運動、例えば、高速回転時であっても、単位磁石4のそれぞれのハウジング5内の保持を確実にすることが可能になる。
【0053】
メッシュ構造体5aは、六角形断面のハウジング5を有するハニカムの形態であってもよい。この場合、各単位磁石は、メッシュ構造体5aの厚さに従って伸長する、関連するハウジング5内でその長さを貫通する細長いパッド4の形態であってもよい。
【0054】
図1および図2では、メッシュ構造体5aのハウジング5に挿入された少数の単位磁石4のみが示されているが、本発明の文脈では、各メッシュはそれぞれの単位磁石4を受容するためのハウジング5を画定する。
【0055】
図2では、単位磁石4がそれぞれ挿入および挿入途中の状態で示されており、メッシュ構造体5aにより間隔をあけられている。単一の単位磁石の長手面が参照番号4bで示されているが、この参照番号の付いた長手面について記載されることは、単位磁石4のすべての長手面に対して当てはまる。
【0056】
本発明の好ましい特徴によれば、各単位磁石4は、特に図1および図2で示される細長いパッド4の形態であり、円筒形のメッシュ構造体5aを径方向に横切る長さを有する。細長いパッド4は、電磁モータのステータの巻線に面する面である、ロータの作用面に面する少なくとも1つの平坦な長手面を有する、円筒形または多面体の形状であり得る。
【0057】
メッシュ構造体5aがハニカムの形状である場合、各パッド4は六角形の長手面4bを有することができる。正方形の面も可能である。図1および図2に示されているのは、この非限定的な、特別に好ましくはない形状である。
【0058】
例えば、限定するものではないが、単位磁石4は、ネオジム鉄ホウ素磁石またはサマリウムコバルト磁石または他の任意のタイプの磁石であってもよい。ネオジム磁石は衝撃やねじれの影響を受けやすく、簡単に発火する。本発明は、分割して寸法を小さくすることにより、これらのすべてのリスク、特に磁石の破損のリスクを回避することを可能にする。磁石のセルまたはハウジング5内での保持は、また磁石を保護する。
【0059】
パッド4の長手面4bの1つの表面積の、メッシュ構造体5aのハウジング5が開口する面の表面積に対する比率は、2%未満であり得る。これは、1つの単位磁石4がメッシュ構造体5aの全作業面上に非常に小さなスペースしか占めていないことを示している。これにより、メッシュ構造体5a上に非常に多数のパッド4を配置できる。
【0060】
メッシュ構造体5aは、非導電性材料でできていてもよく、これにより戻しトルクが減少する。メッシュ構造体5aは、ノーメックス(登録商標)高性能合成繊維メタアラミド、樹脂または他のプラスチック繊維であってもよい。
【0061】
メッシュ構造体5aは、ロータ1、1aの回転軸と一致する長手方向軸を有し、各パッド4は、メッシュ5の長手方向軸まで径方向に延びている。
【0062】
したがって、本発明の好ましい実施形態の文脈において、複合材料被覆層、単位磁石4を囲むメッシュ構造体5a、およびメッシュ構造体5aのハウジング5内の磁石の接着結合手段の3つはすべて繊維で強化されてもよい。このようにして得られたロータ1,1aは、非常に高い破壊強度の機械的特性を有する。
【0063】
本発明はまた、径方向の磁束を有する電磁モータまたは発電機に関する。このモータまたは発電機は、前述の少なくとも1つのロータと少なくとも1つのステータを備える。
【0064】
好ましい実施形態では、電磁モータまたは発電機は、2つのステータと1つのロータを備え、円筒形ロータは、軸方向に延びる分離枝部をその上に備える円筒形支持体を有し、分離枝部は、メッシュ要素と単位磁石で構成される磁石構造体を軸方向に画定する。
【0065】
有利には、金輪が円筒形支持体の近くのロータの端部を覆い、内側カバー円筒が円筒形支持体の内側に挿入され、外側カバー円筒が円筒形支持体の外周上に円筒形支持体の外側端部に挿入される。
【0066】
有利には、第1のステータは、ロータの内側に配置され、そしてコイルを備える内部磁気回路を有し、内側カバーが内部磁気回路を覆い、そして第2のステータが、ロータの外にロータの周りに配置され、その内側にコイル組み込む外部磁気回路を有し、外側カバーがコイルと外部磁気回路の間に配置される。
【0067】
最後に、本発明は、上記のロータの製造方法に関する。製造プロセスの最初のステップは、各単位磁石を円筒状メッシュ構造体5aのそれぞれの関連するハウジング5に導入することにより、互いに離れた位置に単位磁石4を配置し保持するステップである。
【0068】
2番目のステップは、各ハウジング5の単位磁石4の周りに樹脂を導入することによる、各単位磁石4を結合するステップである。3番目のステップは、メッシュ5と単位磁石4の周りに複合材料層を注入しそれらを被覆するステップである。
【0069】
2つのステータと1つのロータ1aを備えた径方向磁束電磁アクチュエータを示す図3に示す実施形態では、円筒形の径方向磁束ロータ1aは円筒形支持体2aを有し、分離枝部3aが円筒形支持体2a上で軸方向に延びる。しかし本発明は上記の構成に限定されない。
【0070】
分離枝部3aは、メッシュ構造体5aおよび単位磁石4からなる磁石構造体6を軸方向に画定する。メッシュ構造体5aに収容される磁石4を受け入れるために、円筒形支持体2aを分離枝部3aの間で中空にすることが可能である。それによりハウジング5および単位磁石4を有するハニカムメッシュ構造体5aからなる磁石構造体6を形成する。
【0071】
金輪9aは、ロータ1aの円筒形支持体2aの近くの一端を覆う。円筒形支持体2aの内側には内側カバー円筒10が挿入され、円筒形支持体2aの外周の円筒形支持体2aの外側には外側カバー円筒15が延在する。
【0072】
第1のステータは、ロータ1aの内側に配置され、コイル11を担持する内部磁気回路12を有する。内側カバー円筒10は、内部磁気回路12を覆う。
【0073】
第2のステータは、ロータ1aの外側に配置され、その内側にコイル13を組み込む外部磁気回路14を有する。外側カバー円筒15は、コイル13と外部磁気回路14の間に配置される。ケーシング16は、ロータ1a全体と2つのステータを覆っている。
【0074】
図3に示されていない別の実施形態では、枝部は、円筒形支持体の軸方向に間隔を空けたリングの形態であり得る。連続する枝部は、上記少なくとも1つの支持体の周辺で径方向に突出してもよい。上記少なくとも1つの円筒形支持体が中空であって、セル構造と磁石からなるユニットを収容するためのハウジングを2つの連続する枝部の間に設けることができる。
【0075】
円筒形支持体に使用される、メッシュ構造体5aと単位磁石4から構成される磁石構造6は、それぞれ、互いに離れて配置された閉じたリングまたはタイルの形態であってもよい。そうでなければ、この、他の実施形態による径方向磁束アクチュエータにおける、ステータと選択肢としてのカバー円筒または金輪の配置は、図3に示すものと同様であり得る。この、他の実施形態は好ましくはない。径方向磁束アクチュエータは径方向磁束モータまたは発電機とも呼ばれる。
【0076】
以下は、本発明の2つの好ましい実施形態について適用されうる。
【0077】
メッシュ構造体5aおよび単位磁石4からそれぞれ構成される磁石構造体6は、鉄材料、合成材料または複合材料に基づく締結手段によって上記少なくとも1つの支持体2aに固定されてもよい。
【0078】
固定手段は、ロータの一体部品であっても、および/またはロータの一体インサートであってもよい。インサートは、ロータ1、1aに溶接、ネジ止め、リベット留め、またはスナップ留めすることができる。各単位磁石4とそれを収容するハウジングまたはセル5との間に固定手段を設けることが可能であり、これは、隣接するハウジングまたはセル5に対して境界を定める隔壁19のハウジングまたはセル5の内面にある。
【0079】
セルのメッシュ構造体5aと単位磁石4から構成される各マグネット構造6では、ハウジングまたはセル5は隔壁19によって画定され、各単位磁石4は、それぞれのハウジングまたはセル5に樹脂、接着剤または溶接により永久に収容される。
【0080】
単位磁石4およびそれらのそれぞれのハウジングまたはセル5は、それらの極が平行または発散方向に向けられた可変形状であり得る。例えば、ハウジングまたはセル5の寸法は、ハウジングまたはセル5ごとに異なっていてもよい。ハウジングまたはセル5は必ずしも六角形である必要はないが、六角形が好ましい。
【0081】
電磁モータまたは発電機は、少なくとも1つの巻線を備える1つのステータを備え、少なくとも1つのロータと、1つまたは複数のステータの内、巻線を備える少なくとも1つのステータと、の間に1つまたは複数の空隙を含む。
【0082】
各ステータは、巻線に関連する磁気回路を備えてもよい。ステータには、開いた又は閉じた歯またはノッチがある。ケーシングは、アクチュエータが電磁モータまたは発電機として使用される場合にそれらを保護する。ステータは直列または並列に接続できる。1つのステータと他のステータとの間のある角度のオフセットは、ノッチの形状および単位磁石4の形状と組み合わされて、トルク変動および戻りトルクを低減する。
【0083】
アクチュエータはモータでも、電磁発電機でも、速度マルチプライヤの有無にかかわらず、非常に高速で動作できる。モータまたは発電機は、直列または並列に接続された少なくとも2つのステータ、または少なくとも2つのロータを備えてもよい。
【0084】
ロータは、2つのステータを通ってロータ1、1aの円形面に垂直に延びる回転軸を備えてもよい。ロータ1、1aは、少なくとも2つの軸受によって担持されてもよく、軸受は、ステータに対する回転を可能にするためにそれぞれのステータに関連付けられている。
図1
図2
図3