(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】メッシュ構造体に統合された複数の単位磁石を有する磁石構造体
(51)【国際特許分類】
H02K 1/27 20220101AFI20220729BHJP
H02K 15/03 20060101ALI20220729BHJP
H02K 16/04 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
H02K1/27
H02K15/03 Z
H02K16/04
(21)【出願番号】P 2019551635
(86)(22)【出願日】2018-03-20
(86)【国際出願番号】 FR2018000064
(87)【国際公開番号】W WO2018172635
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-10
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514325376
【氏名又は名称】ホワイロット
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】ミハイラ、ヴァジル
(72)【発明者】
【氏名】マイユール、ロイック
(72)【発明者】
【氏名】ティグナ、ヒューゲット
(72)【発明者】
【氏名】ラヴォー、ロマン
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-007937(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106787328(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 15/03
H02K 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位磁石(4)からなる三次元磁石構造体(6)であって、前記磁石構造体(6)は、その最小寸法を構成する厚さを有し、前記磁石構造体(6)は、少なくとも1つのメッシュ構造体(5a)を組み込み、前記メッシュ構造体(5a)は、それぞれが前記単位磁石(4)のハウジング(5)を画定するメッシュ要素を有し、各前記ハウジング(5)は、その内部に1つの前記単位磁石(4)を導入するのに丁度十分な内部寸法を有し、前記メッシュ要素は繊維強化絶縁材料から作ら
れ、
前記ハウジング(5)と前記単位磁石(4)の間に空間が残され、前記空間は、
接着樹脂で満たされ、前記磁石構造体(6)は、前記単位磁石(4)および前記メッシュ構造体(5a)を被覆する非導電性複合材料層を有
し、
前記磁石構造体(6)において、前記接着樹脂は繊維強化樹脂であり、前記複合材料層が、ガラス繊維またはプラスチック繊維などの強化繊維を有し、
前記複合材料層は、前記磁石構造体(6)の全体の輪郭を画定し、前記接着樹脂はそれぞれの前記単位磁石(4)のそれぞれの前記ハウジング(5)の前記内部への接着に寄与し、そして前記複合材料層は、それぞれの前記単位磁石(4)のそれぞれの前記ハウジング(5)の前記内部への接着に寄与することなく前記磁石構造体(6)の機械的強度の増大に寄与する、
ことを特徴とする磁石構造体(6)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記メッシュ構造体(5a)は、六角形断面の前記ハウジング(5)を有するハニカムの形態である、ことを特徴とする請求項1に記載の磁石構造体(6)。
【請求項3】
各前記単位磁石
(4)は、その関連するハウジング(5)を長さ方向に貫通し、そして前記磁石構造体(6)の厚さに沿って伸長する細長いパッド(4)の形態であり、前記細長いパッド(4)は、少なくとも1つの平らな長手面(4b)を持つ円筒形または多面体の形であり、そして少なくとも1つの前記メッシュ構造体(5a)がハニカム形態の場合、それぞれの前記パッド(4)は六角形の前記長手面(4b)を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁石構造体(6)。
【請求項4】
2組の一連の単位磁石(4)の1つの重ね合わせを有し、それぞれの前記一連の単位磁石(4)がそれぞれの前記メッシュ構造体(5a)を有する、ことを特徴とする請求項1-
3のいずれか一項に記載の磁石構造体(6)。
【請求項5】
2つの前記メッシュ構造体(5a)は同じ1つの組立体の一部であり、一方の前記一連の単位磁石のそれぞれの前記単位磁石(4)が、端と端を接して配置される他方の前記一連の単位磁石のそれぞれの前記単位磁石(4)とその長さ方向において整列するように、前記2つのメッシュ構造体(5a)が互いに対して配置される、ことを特徴とする請求項
4に記載の磁石構造体(6)。
【請求項6】
2つの前記メッシュ構造体(5a)は、2つの当該メッシュ構造体(5a)の間に挿入された複合材料の層で分離されている、ことを特徴とする請求項
5に記載の磁石構造体(6)。
【請求項7】
前記複合材料である単層材料または多層材料が、前記ハウジング(5)と前記単位磁石(4)との間の空間に導入される、ことを特徴とする請求項
6に記載の磁石構造体(6)。
【請求項8】
請求項1-
7のいずれか一項に記載の1つの磁石構造体(6)
を有する線形または回転電磁アクチュエータであって、
前記磁石構造体(6)が長方形の組立体を構成し、またはその中心の周りで回転するロータ(1、1a)の一部であって、
前記回転電磁アクチュエータの前記磁石構造体(6)はロータ(1、1a)と同心に配置される、ことを特徴とする線形または回転電磁アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1-7のいずれか一項に記載の複数の磁石構造体(6)を有する線形または回転電磁アクチュエータであって、前記磁石構造体(6)が長方形の組立体を構成し、またはその中心の周りで回転するロータ(1、1a)の一部であって、前記回転電磁アクチュエータの前記磁石構造体(6)はロータ(1、1a)と同心に配置される、ことを特徴とする線形または回転電磁アクチュエータ。
【請求項10】
前記アクチュエータが軸方向磁束アクチュエータである場合、前記1つの磁石構造体(6)は、前記アクチュエータ上に延びる単一の磁石を形成する、ことを特徴とする請求項
8または9に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項11】
前記アクチュエータが軸方向磁束アクチュエータである場合、連続する交互の磁極を形成する連続するブロックである複数の磁石構造体(6)が存在し、前記磁石構造体(6)は、それぞれの前記磁石構造体(6)をそれぞれ収容する前記ハウジングを画定する
分離枝部(3、3a)を有する、少なくとも1つの支持体(2、2a)の中に収容される、ことを特徴とする請求項
8または9に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの支持体(2、2a)は、前記ロータ(1)の一部であり、実質的に径方向に延び、または前記ロータ(1)の径方向に傾斜する前記分離枝部(3)を有する部分的に中空の円盤形状であり、前記少なくとも1つの円盤形状の支持体(2)は、少なくとも1つの面が、前記ロータ(1)を固定する軸方向保持手段としてのカバーディスク(8)により覆われる、ことを特徴とする請求項
11に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項13】
前記ロータは、その縁部を形成する外側周囲リング(17)を有し、フレット(9)が前記外側周囲リング(17)の
径方向外周側に導入され、それにより前記磁石構造体(6)を保持することが可能になる、ことを特徴とする請求項
12に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項14】
実質的にリングを形成する少なくとも2つの前記磁石構造体(6)が、前記円盤形状の支持体(2)の中央の壁(19)によって分離される、ことを特徴とする請求項
12または
13に記載の電磁アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッシュ構造体に統合された複数の単位磁石を有する磁石構造体に関する。本発明はまた、1つ以上のそのような磁石構造体を含む電磁アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、本発明による1つ以上の磁石構造体の特定の特性によって得られる、ロータの高速回転で高出力を供給する電磁アクチュエータに有利には使用されるが、それに限定されない。そのような電磁アクチュエータは、例えば、完全な電気自動車またはハイブリッド自動車の電磁モータとして使用できる。
【0003】
有利には、しかしこれに限定されないが、アクチュエータは、2つのステータに挟まれた少なくとも1つのロータを備えた回転アクチュエータであり、これらの要素は、同じシャフト上の少なくとも1つのエアギャップによって分離されることにより互いに対して重ね合わせ可能である。
【0004】
高回転の用途では、最適な性能を得るために電磁アクチュエータの質量とサイズを小さくすることで可能になるコンパクトなシステムだけでなく、システムの信頼性を向上させるために、回転部品の非常に優れた機械的強度も必要である。
【0005】
高回転の用途では、最適な性能を得るために損失を減らす必要がある。自動車用途では、小型化に対する要求が増大している。このためには、アクチュエータの質量とサイズの削減により可能となるコンパクトなシステムだけでなく、システムの信頼性を向上させるために、回転部分の非常に優れた機械的強度を実現することが重要である。
【0006】
本発明の非限定的な例としての軸方向磁束電磁アクチュエータの場合、ロータは、厚さ部分で接続された2つの円形面を備える円盤形状の本体を有し、円盤は外側リングと、回転シャフト用の空洞を画定する内周と、の間で画定される。
【0007】
少なくとも2つの永久磁石が、支持面と呼ばれる、本体の2つの円形面の少なくとも1つの面に取り付けられる。ステータに関連付けられるように設計された単一のエアギャップを有するロータの場合、本体の単一の円形面のみが磁石を保持するが、それぞれのステータと2つのエアギャップがあるロータの場合、2つの面が磁石を保持する。
【0008】
磁石はそれぞれ、保持手段によって面またはそれぞれの面に保持され、同じ面上の少なくとも2つの磁石の間に間隔が残されている。
【0009】
径方向磁束電磁機械の場合、ロータは円筒形の本体を有し、その周囲全体に磁石が取り付けられている。
【0010】
ステータまたは各ステータは、巻線を担持する歯からなる巻線要素を担持し、歯はその両側がノッチで囲まれ、それにより良好な導電体である金属線が歯に巻かれて各巻線を形成する。
【0011】
単一のまたは複数の一連の巻線に電力が供給されると、モータの出力軸に固定されたロータは、磁場から生じるトルクを受ける。発生した磁束は、軸方向磁束電磁機械用の軸方向磁束と、径方向磁束機械用の径方向磁束である。
【0012】
高出力モータの場合、ロータは高速で回転する。高速回転モータの主な欠点は、ロータの1つまたは複数の磁石が脱落する可能性が高く、ロータが少なくとも部分的に破損することである。このようなモータのロータは、高速回転に対する耐久性が必要とされる。
【0013】
US-A-2011/0285237(特許文献1)は、軸方向エアギャップモータを開示している。この文書の目的は、ロータの製造工程を簡素化すると同時に、このロータに搭載された永久磁石がロータの組立、インストール、および作動中に移動または緩むのを防ぐことである。磁石は、磁石を囲む成形部品からなる一体化構造に収容される。
【0014】
成形部品には、磁石を分離する溝があり、その中に、ロータ本体のリブが導入され、それにより成形部品の軸方向の動きを防止する。成形部品の径方向の保持は、成形部品の内側および外側の同心要素によって行われる。
【0015】
この従来技術の文書は、成形部品に収容された磁石を主題としており、互いに分離されている磁石に関する教示はない。さらに、リブは、成形部品に作用することによってのみ磁石を保持するため、ロータ内の磁石を直接保持しない。
【0016】
EP-A-1780878(特許文献2)は、複数の単位磁石からなる3次元磁石構造体を開示しており、その磁石構造体は、その最小寸法を構成する厚さ部分を有し、その磁石構造体は少なくとも1つのメッシュ構造体を備え、そのメッシュ構造体はそれぞれの単位磁石のハウジングをそれぞれ画定するメッシュ要素からなり、各ハウジングは、内部に単位磁石を導入するのにちょうど十分な内部寸法を有し、そしてメッシュ構造体は繊維強化絶縁材料から作られる。
【0017】
しかしながら、そのような磁石構造体は、磁石構造体がロータによって担持されるとき、高速回転に耐えることができない。
【0018】
FR-A-2996378(特許文献3)は、単位磁石を含む磁石構造体を開示している。これらの単位磁石は、単位磁石間に保持要素を介在させることなく、樹脂により接着されている。そのような配置は、回転中に磁石を失うことなく高速回転に耐えることができない。
【0019】
本発明の根底にある課題は、支持体内の磁石の最適な保持によって、強力な磁場を提供しながら、高い作動速度に耐えることができる電磁アクチュエータ用の磁石構造体を設計することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】US-A-2011/0285237
【文献】EP-A-1780878
【文献】FR-A-2996378
【発明の概要】
【0021】
この目的のために、本発明は、複数の単位磁石からなる三次元磁石構造体であって、その磁石構造体は、その最小寸法を構成する厚さを有し、磁石構造体は、少なくとも1つのメッシュ構造体を組み込み、メッシュ構造体は、それぞれが単位磁石のハウジングを画定するメッシュ要素を有し、各ハウジングは、その内部に1つの単位磁石を導入するのに丁度十分な内部寸法を有し、メッシュ要素は繊維強化絶縁材料から作られる、磁石構造体において、ハウジングと単位磁石の間に空間が残され、空間は、少なくとも繊維強化樹脂で満たされ、磁石構造体は、単位磁石およびメッシュ構造体を被覆する非導電性複合材料層を有する、ことを特徴とする磁石構造体に関する。
【0022】
本発明の目的は、従来技術によるロータ内の1つ以上の磁石を複数の小さな磁石または微小磁石に分解することである。大きな寸法の磁石は、小さな磁石または微小磁石の等価のものよりも大きな渦電流損失を受ける。したがって、小さな磁石または微小磁石を使用すると、ロータの動作に有害なこれらの損失が減少する。
【0023】
戻りトルクを誘導しないように、磁石構造体では被覆複合材料が鉄より好ましい。さらに、その機械的強度は高く、被覆は特に、何らかの手段によって互いに対して所定の位置に保持された単位磁石の配列に複合材料を注入することにより、簡単に行うことができる。このように被覆で保護された磁石構造体は、高速回転に耐性があり、単位磁石は、メッシュ内の所定の位置にしっかりと保持され、樹脂の層で接着されている。
【0024】
本発明のセル内に配置された磁石を有するロータは、磁石を保持し、軸方向または径方向の力、および非常に高速での遠心力の影響を減少させる固定手段により、ロータの損失を減らすように設計されている。
【0025】
比較的大きな磁石の割れは、しばしば電磁アクチュエータの誤動作の原因である。本発明は、置き換えられる磁石よりも小さい、複数の単位磁石の存在により、この損傷を防止することを意図している。
【0026】
また、ハウジングから単位磁石が脱落するという問題が起こる。これは、本発明により提案される接着の手法により解決される。ハウジングは、適切に単位磁石を保持し、そして単位磁石間に樹脂を注入するのに十分なスペースだけを残すために、出来るだけ小さく設計される。樹脂自体は繊維で強化され、機械的保持特性が強化されている。
【0027】
有利には、少なくとも1つのメッシュ構造体は、六角形断面のハウジングを有するハニカムの形態である。
【0028】
ハニカムメッシュは、要素(この場合はロータ)の強度を高めることが知られている。単位磁石は六角形のハウジングに挿入され、保持が確実に行われる。ハウジングの壁は電気絶縁体として機能し、そして磁石構造体内のハウジングの密度は大幅に高められうる。ハニカムメッシュは、繊維強化された絶縁複合材料でできていてもよい。
【0029】
有利には、各単位磁石は、関連するハウジングを長さ方向に貫通し、そしてメッシュ構造体の厚さに沿って伸長する、細長いパッドの形態であり、その細長いパッドは、少なくとも1つの平らな長手面を持つ円筒形または多面体の形であり、そして少なくとも1つのメッシュ構造体がハニカム形態の場合、それぞれのパッドは六角形の長手面を有する。
【0030】
磁石構造体の作業面は、回転または線形電気アクチュエータのステータのコイルに対向し、そしてそこから磁場が放出される面である。
【0031】
最も古典的な定義によれば、多面体は、エッジと呼ばれる直線セグメントで交わる多角形の平面を持つ3次元の幾何学的形状であり、たとえば、直角または斜めのプリズム、立方体、角錐などである。本発明の文脈において、六角形の多面体などの、直線および平行なエッジによって接続された、2つの対向する平坦かつ同等の長手方向多角形面を備える、多面体を有することが好ましいが、本発明はこのデザインに限定されず、多面体のもう一方の端に頂点を有する、単一の長手面が存在しうる。
【0032】
この構成により、単位磁石を形成する多数のパッドを備えたロータを持つことが可能になる。このような複数の単位磁石を備えたロータは、高い強度を有しながら高い磁化力を有し、単位磁石を被覆するため好ましくは複合材料層を有することが分かった。そのような磁石構造体は、磁極を形成するか、1つの完全な磁石であり得る。
【0033】
最適な強度の磁場を得るためには、磁石の理想的な体積が、長さが直径に等しい立方体または円柱の体積に近づく必要があることが知られている。それを超えて磁石の長さを増加させても磁場が増加しないことは一般的常識である。しかしながら、本発明のアプローチは、この先入観とは反対の方向に進む。
【0034】
単位磁石の長さは、ロータの機械的強度の必要性に対応するため、その平らな長手面の直径または対角線に対して大幅に長く、これは広く実施されている形態からは提案されていない。
【0035】
本発明によれば、ロータ内の複数の単位磁石は、1つの単位磁石よりも強力であり、ロータによって供給される磁場を驚くほど増加させることが発見された。
【0036】
有利には、複合材料層が、ガラス繊維またはプラスチック繊維などの強化繊維を有する。
【0037】
強化繊維は、磁石構造体の強度、特に曲げ剛性と座屈剛性の向上に貢献する。
【0038】
有利には、磁石構造体は2組の一連の単位磁石の1つの重ね合わせを有し、それぞれの一連の単位磁石がそれぞれのメッシュ構造体を有する。
【0039】
有利には、2つのメッシュ構造体は同じ1つの組立体の一部であり、一方の一連の単位磁石のそれぞれの単位磁石(4)が、端と端を接して配置される他方の一連の単位磁石のそれぞれの単位磁石(4)とその長さ方向において整列するように、2つのメッシュ構造体(5a)が、互いに対して配置される。
【0040】
磁気親和力によって端と端が接合された、異なる一連の単位磁石からの2つの単位磁石の各ペアは、より長い単位磁石のように動作する。
【0041】
有利には、2つのメッシュ構造体は、2つの当該メッシュ構造体の間に挿入された複合材料の層で分離されている。
【0042】
これにより、磁石構造体の両側に作業面を持つ磁石構造体を持つことができ、それによりこの磁石構造体は、電気機械において、2つのステータが側面にある1つのロータに使用できる。
【0043】
有利には、単層材料または多層材料が、メッシュ構造体と単位磁石との間の空間に導入される。この材料は、ニッケル、銅などの単位磁石を被覆するためのプラスチック、複合材料、または金属材料である。材料は、例えば被覆材料であることにより、メッシュへの導入の前に単位磁石上に堆積されていてもよく、または単位磁石とそれを受容するメッシュ要素間で固定を形成する工程を有してもよい。
【0044】
本発明はまた、線形または回転電磁アクチュエータであって、1つの磁石構造体または複数の磁石構造体を有し、磁石構造体が長方形の組立体を構成し、またはその中心の周りで回転するロータの一部であって、磁石構造体はロータと同心に配置される、ことを特徴とする線形または回転電磁アクチュエータに関する。
【0045】
有利には、アクチュエータが軸方向磁束アクチュエータである場合、上記1つの磁石構造体は、アクチュエータ上に延びる単一の磁石を形成する。
【0046】
有利には、アクチュエータが軸方向磁束アクチュエータである場合、連続する交互の磁極を形成する連続するブロックである複数の磁石構造体が存在し、その磁石構造体は、それぞれの磁石構造体をそれぞれ収容するハウジングを画定する分離枝部を有する、少なくとも1つの支持体の中に収容される。
【0047】
有利には、少なくとも1つの支持体は、ロータの一部であり、実質的に径方向に延び、またはロータの径方向に傾斜する分離枝部を有する部分的に中空の円盤形状であり、その少なくとも1つの円盤形状の支持体は、少なくとも1つの面が、ロータを固定する軸方向保持手段としてのカバーディスクにより覆われる。
【0048】
フレットは磁石構造体の径方向保持手段を表し、分離枝部はロータの平面内の接線方向保持手段を表し、カバーディスクは磁石構造体の軸方向保持手段を表す。
【0049】
従来技術によれば、カバーディスクは磁石から放出される熱に耐えられないため、磁石を軸方向に保持する手段を提供する必要があった。これは、発熱量が少なく、カバーディスクの使用を可能にする複数の単位磁石で構成される磁石構造体によって可能になった。
【0050】
有利には、ロータは、その縁部を形成する外側周囲リングを有し、フレットが外側周囲リングの上に導入され、それにより磁石構造体を保持することが可能になる。
【0051】
有利には、実質的にリングを形成する少なくとも2つの磁石構造体が、円盤形状の支持体の中央の壁によって分離される。
【0052】
本発明は、磁石構造体を製造する方法であって:
-3次元を構成する、長さ、幅および厚さを有する磁化された1つのタイルから、その1つのタイルの3次元に沿って複数の単位磁石を切断するステップと;
-各単位磁石をメッシュ構造体に関連するそれぞれのハウジングに導入することにより、単位磁石を互いに距離を置いて配置および保持するステップと;
-各ハウジングの単位磁石の周りに樹脂を導入することにより、各単位磁石を接着結合するステップと;および
-メッシュ構造体および単位磁石の周囲に被覆用の複合材料層を注入するステップと;
を有する、ことを特徴とする磁石構造体を製造する方法に関する。
【0053】
有利には、磁石構造体が2つの積み重ねられた一連の単位磁石を含む場合、方法は、2つのメッシュ構造体の間に複合材料層を注入するため、2つの一連のメッシュ構造体を互いに離間して保持するステップを有し、またはメッシュ構造体はそれぞれ基部を有し、一方のメッシュ構造体の基部は他方のメッシュ構造体の基部に対して適用され、2つの基部は一方の一連の単位磁石を他方の一連の単位磁石から離間させるのに十分な厚みを有する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明を読み、非限定的な例として与えられた添付の図面を参照することにより明らかになるであろう:
【
図1a-1c】
図1aは、本発明の第1の実施形態による軸方向磁束電磁アクチュエータ用のロータの1つの面の概略図である。
図1bは、
図1aのAで参照される円で囲まれた部分の拡大概略図である。
図1cは、メッシュおよび単位磁石から構成される磁石構造体の拡大概略図である。
【
図2a】本発明の第1の実施形態による軸方向磁束電磁アクチュエータ用のロータの分解概略図である。
【
図2b】本発明の第2の実施形態による軸方向磁束電磁アクチュエータ用のロータの分解概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による径方向磁束電磁アクチュエータの分解概略図である。
【
図4】本発明による磁石構造体において単位磁石として作用するパッドの斜視概略図である。
【
図5a-5b】単位磁石を形成する磁石構造体のそれぞれ上面図および一部拡大図である。
【
図6a】本発明による磁石構造体において単位磁石を形成するパッドを囲むメッシュ構造体として機能できるハニカムの斜視概略図である。
【
図6b】本発明による磁石構造体において単位磁石を形成するパッドを囲むメッシュ構造体として機能できるハニカムの側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図面は例として与えられており、本発明を限定するものではない。それらは、本発明の理解を容易にすることを意図した原理の概略図を構成し、必ずしも実際の用途の規模ではない。特に、異なる部分の寸法は、実際を表さない。
【0056】
すべての図、特に
図4、5a、5b、6a、および6bを参照し、さらにこれらの図面で欠落している参照番号のために他の図も参照して、本発明は3次元磁石構造体6に関する。磁石構造体6は、幅、長さおよび厚さを有するブロックの形態であり得、厚さは、磁石構造体6の最小寸法を形成する。
【0057】
本発明によれば、磁石構造体6は、少なくとも1つのメッシュ構造体5aを統合し、メッシュ構造体5aは、それぞれの単位磁石4のハウジング5またはセルをそれぞれ画定するメッシュ要素を有する。各ハウジング5は、その内部に単位磁石4を導入するのにちょうど十分な内部寸法を有し、一方でハウジング5と単位磁石4との間に繊維強化樹脂で満たされた空間を残し、メッシュは繊維強化断熱材料でできており、この空間は、各単位磁石のより良い囲い込みのため可能な限り小さく作られている。
【0058】
これにより、例えばロータ1、1aの一部を形成する1つ以上の磁石構造体6の高速回転などの高速変位でも、それぞれのハウジング5内の単位磁石4の保持を確保することが可能になる。ただし本発明はこの構成に限定されない。
【0059】
メッシュ構造体5aは、六角形断面のハウジング5を有するハニカムの形態であってもよい。この場合、各単位磁石4は、磁石構造体6の厚さに沿って延在する、関連するハウジング5の長さを貫通する細長いパッド4の形態であってもよい。
【0060】
本発明の好ましい特徴によれば、各単位磁石4は、特に
図4で見ることができる細長いパッド4の形態であってもよく、その磁石構造体6の厚さに沿って延在する長さ4aを有する。細長いパッド4は、円筒形または多面体の形態であり、少なくとも1つの平らな長手方向面4bが、回転または線形電磁アクチュエータの巻線に面する表面である、磁石構造体6の作業面に向けられる。
【0061】
例えば、限定するものではないが、単位磁石4は、ネオジム鉄ホウ素磁石またはサマリウムコバルト磁石または他の任意のタイプの磁石であってよい。ネオジム磁石は衝撃やねじれに敏感であり、簡単に発火する。分割して寸法を小さくすることにより、本発明は、これらのすべてのリスク、特に磁石の破損のリスクを回避することを可能にする。単位磁石がセル内に保持される事実も単位磁石を保護する。
【0062】
メッシュ構造体5aがハニカム形状である場合、各パッド4は六角形の長手面4bを有する。
【0063】
磁石構造体6は、単位磁石4およびメッシュ構造体5aを被覆する非導電性複合材料の層を備えてもよい。したがって、単位磁石4の保持は、各単位磁石とそれを収容するメッシュ要素との間に繊維強化樹脂を介在させたメッシュ構造体5aにより、次いで、組立体を被覆する複合材料の層により確保され、それは磁石構造体6に最適な機械的強度を与える。磁石構造体6の輪郭全体は、この複合層によって画定されてもよい。
【0064】
単位磁石4は、単層または多層の材料で被覆され、それら材料は、単位磁石を収容するメッシュ要素の内部への単位磁石の接着に寄与してもしなくてもよい。
【0065】
複合材料は好適には、戻りトルクまたは追加の損失を誘導しないように、鉄を含まない。
【0066】
複合材料層は、ガラス繊維またはプラスチック繊維などの強化繊維を含んでもよい。複合材料層は、ガラス繊維またはプラスチック繊維、例えばケブラーまたはポリアミドなどの強化繊維、または組立体の機械的強度を高める任意のプラスチック材料を含んでもよい。
【0067】
有利には、磁石構造体6は、それぞれのメッシュ構造体5aをそれぞれ有する2つの一連の単位磁石4の積み重ねを含む。
【0068】
磁石構造体6から単独で分離された1つのメッシュ構造体5aが
図6aおよび
図6bに示されている。ハウジング5またはセルは、関連するパッド4をその長さ全体に亘っては取り囲まない。
【0069】
したがって、本発明の好ましい実施形態の文脈では、複合材料被覆層、単位磁石4を囲むメッシュ構造体5a、およびメッシュ構造体5aのハウジング5内の磁石接着結合手段、の3つはすべて繊維強化されていてもよい。このようにして得られた磁石構造体6は、非常に高い破壊強度の機械的特性を有する。
【0070】
図示されていない第1の好ましい実施形態では、磁石構造体6は、2つの一連の単位磁石4の1つの積み重ねを有することができ、一方の一連の単位磁石のそれぞれの単位磁石4は、他方の一連の単位磁石のそれぞれの単位磁石4と、その長さ方向に整列され、端と端を接して配置される。磁気親和力によって端と端が接合された、異なる一連の単位磁石からの2つの単位磁石4のペアのそれぞれは、より長い単位磁石として動作する。
【0071】
好適には2つのメッシュ構造体5aが同じ組立体の一部であり、メッシュ構造体5aは、一方の一連の単位磁石の各単位磁石4が、端と端を接して配置される他方の一連の単位磁石の各単位磁石4とその長さ方向に整列するように、互いに対して配置される。
【0072】
図示されない第2の好ましい実施形態では、磁石構造体6は、複数の単位磁石4からなる2つの一連の単位磁石の1つの積み重ねを有することができ、2つの一連の単位磁石は互いに積み重ねられ、複合材料層が2つの積み重ねられた一連の単位磁石の間に挿入される。したがって、2つの積み重ねられた一連の単位磁石は、互いに電気的に絶縁されている。
【0073】
これにより、磁石構造体6の2つの反対側の面の上に作用面を有する磁石構造体6を有することが可能になり、それによりこの磁石構造体6は、例えば、回転電磁アクチュエータにおいて、2つのステータに囲まれる1つのロータ用に使用することが出来る。
【0074】
例えば、
図2bでは、それぞれの磁石構造体6の2組の一連の単位磁石4は、この図ではそのうちの1つだけが参照番号6で示されているが、2組の一連の単位磁石が同じ複合材料層で被覆され、一方の一連の単位磁石は他方の一連の単位磁石と電気的に絶縁されている、磁石構造体6を形成することが出来る。
【0075】
本発明は、線形または回転電磁アクチュエータにも関する。アクチュエータは、前述のような、1つの個々の磁石構造体6または複数の磁石構造体6を含む。後者の場合、磁石構造体6は分離枝部3によって互いに分離されている。回転電磁アクチュエータのみが
図1a、2aに示されているが、本発明はまた、線形または回転電磁アクチュエータに関する。このアクチュエータは、径方向磁束、軸方向磁束、または両方の組み合わせを有することができる。
【0076】
磁石構造体6は、線形アクチュエータ用の長方形の組立体を形成することができ、磁石構造体6は次々に整列して配置される。磁石構造体6は、回転アクチュエータ用にその中心の周りを回転するロータ1,1aの一部であり得、磁石構造体6は、ロータ1、1aと同心に配置される。
【0077】
回転電磁アクチュエータ用のロータ1、1aまたは線形アクチュエータ用の並進支持体も、繊維強化複合材料で作ることができる。
【0078】
有利には、単一の磁石構造体が存在する場合、その磁石構造体6は、アクチュエータ上に延在する単位磁石を形成することが出来る。これを
図5aに示す。複数の磁石構造体が存在する場合、それら磁石構造体6は連続した交互の磁極を形成する連続したブロックである。これは、特に
図2aに示される。
【0079】
本発明は、上述の磁石構造体6を製造する方法に関する。この製造方法は、磁化されたタイルの3次元を構成する、長さ、幅および厚さを切断する、第1の切断ステップを含む。切断により、複数の単位磁石4が磁化タイルの3次元の中で得られる。
【0080】
第2のステップは、各単位磁石4を、円筒形のメッシュ構造体5aの関連付するそれぞれのハウジング5に導入することにより、単位磁石4を互いからある距離離れた位置に配置しそして保持するステップに関する。
【0081】
第3のステップは、各ハウジング5内の単位磁石4の周囲に樹脂を導入することにより各単位磁石4を接着結合するステップに関する。
【0082】
4番目のステップは、メッシュ構造体5aと単位磁石4の周りに複合材料層を注入してそれらを被覆するステップに関する。
【0083】
有利には、磁石構造体6が2つの積み重ねられた一連の単位磁石4を含む場合、この方法は、2つの一連のメッシュ構造体5aを互いにある距離離れて保持し、2つのメッシュ構造体5aの間に複合材料層を注入し、一方の一連の単位磁石の単位磁石を他方の一連の単位磁石の単位磁石から絶縁するステップを有する。
【0084】
代替的に、メッシュ構造体5aはそれぞれ基部を有し、それにより1つのメッシュ構造体5aの基部が他のメッシュ構造体5aの基部に対して適用され、2つの基部は、一方の一連の単位磁石の中の単位磁石を他方の一連の単位磁石の中の単位磁石から分離するのに十分な厚さを有する。
【0085】
図1a-1c、2a、2bおよび3を参照すると、複数の単位磁石4を収容する少なくとも1つの支持体2、2aを有する、電磁アクチュエータのロータ1、1aが示されている。例えば、ロータが軸方向磁束であるか径方向磁束であるかに応じて、ロータの各側またはロータ内部の支持体2、2aとすることができる。
【0086】
この少なくとも1つの支持体2、2aは、分離枝部3、3aを有し、分離枝部はそれらの間に空洞を画定し、それぞれの空洞はメッシュ構造体5aから構成され得るそれぞれの磁石構造体6を保持し、メッシュ構造体5aはハウジングまたはセル5および単位磁石4を有し、それぞれの単位磁石4はそれぞれのハウジングまたはセル5に挿入され、磁石構造体6は磁極または磁石全体を形成する。
図1cは、このタイプの磁石構造体6の
図1aの拡大図である。
【0087】
本発明の目的は、大きなサイズの1つ以上の磁石を複数の小さな単位磁石4で置き換えることである。そのため、磁束は多数の小さな単位磁石4により生成され、その数は磁石構造体6ごとに少なくとも20、100以上、さらにずっと大きな数とすることができる。
【0088】
従来技術のロータは、1~5個の磁石を含むことができ、一方本発明は、多くの小さな単位磁石4を提供する。本発明による小さな単位磁石4は、ロボットによってそれぞれのハウジングまたはセル5に挿入することができる。中型のロータの場合、本発明の文脈における小さな単位磁石4は、4mmの寸法を有し得る。
【0089】
本発明の第1の好ましい実施形態では、ロータは径方向磁束であり、したがって、径方向磁束モータまたは発電機用である。この実施形態では、上記の少なくとも1つの支持体2aは、分離枝部3aを有する円筒形状である。
【0090】
2つのステータと1つのロータ1aを備える径方向磁束電磁アクチュエータの
図3に示す実施形態では、径方向磁束円筒形状ロータ1は、分離枝部3aを有する円筒状支持体2aを有し、分離枝部3aは、円筒状支持体2aに亘って軸方向に延在することができる。分離枝部3aは、メッシュ構造体5aおよび単位磁石4からなる磁石構造体6を軸方向に画定する。円筒状支持体2aは、分離枝部3aの間で中空にされ、メッシュ構造体5aおよび単位磁石4からなる磁石構造体6を保持する。
【0091】
フレット9aは、円筒形支持体2aの近くのロータ1aの端部を覆う。円筒形支持体2aの内側には内側カバー円筒10が挿入され、円筒形支持体2aの外周の円筒形支持体2aの外側には外側カバー円筒15が延在する。
【0092】
第1のステータは、ロータ1aの内側に配置され、コイル11を担持する内側磁気回路12を有する。内側カバー円筒10は、内側磁気回路12を覆う。
【0093】
第2のステータは、ロータ1aの外側にそれを囲んで配置され、その内側にコイル13を組み込む外側磁気回路14を有する。外側カバー円筒15は、コイル13と外側磁気回路14の間に配置される。ケーシング16は、ロータ1a全体と2つのステータを覆っている。
【0094】
図3に示されていない別の実施形態では、分離枝部は、円筒形支持体の軸方向に間隔を空けたリングの形態であり得る。連続する分離枝部は、上記少なくとも1つの支持体の周辺で径方向に突出してもよい。上記少なくとも1つの円筒形支持体が中空であって、セル構造と磁石からなるユニットを収容するためのハウジングを2つの連続する分離枝部の間に設けることができる。
【0095】
円筒形支持体に使用される、メッシュ構造体5aと単位磁石4から構成される磁石構造体6は、それぞれ、互いに離れて配置された閉じたリングまたはタイルの形態であってもよい。そうでなければ、この、他の実施形態による径方向磁束アクチュエータにおける、ステータと選択肢としてのカバー円筒またはフレットの配置は、
図3に示すものと同様であり得る。この、他の実施形態は好ましくはない。
【0096】
本発明の第2の好ましい実施形態では、ロータは軸方向磁束であり、したがって軸方向磁束モータまたは発電機用である。この実施形態では、少なくとも1つの支持体2、2aは円盤状であり、部分的に中空であり、分離枝部3、3aは、ロータ1の回転シャフト用の通路を内部に画定する内周18と、支持体2の外側リングを形成する支持体2の外側リング17と、の間で実質的に径方向に延在するかまたは径方向に傾斜する。これは、
図1a、1b、2aおよび2bに示されている。
【0097】
分離枝部3、3aは、プロペラブレードのようにロータの回転軸に対して傾斜していてもよく、支持中心から遠ざかるにつれて広がる幅を有してもよい。
【0098】
外周は支持体2の内側に向かって径方向に湾曲した縁を有し、セル状のメッシュ構造体5aと単位磁石4とからなる磁石構造体6の端部に対し、外周17に導入された軸方向ストップを形成する。
【0099】
この第2の実施形態では、少なくとも1つの円盤状支持体2aは、ロータを軸方向に保持し、一体化する手段としてのカバーディスク8によって少なくとも1つの面が覆われうる。これは、それぞれのカバーディスク8によって2つの反対側の面において遂行されうる。このようなカバーディスク8は、複合材料でできていて、単位磁石4を軸方向に保持する手段として機能する。
【0100】
この第2の実施形態では、ロータ1、1aは、その縁部を形成する周辺外側リングを有し、フレット9は、遠心力に抗して単位磁石4を保持するために周辺外側リング17上に導入される。
【0101】
この第2の実施形態では、メッシュ構造体5aおよび単位磁石4から構成される各磁石構造体6は、円盤状支持体2aの各面を貫通するかまたは貫通しないハウジングまたはセル5を備えてもよい。したがって、それぞれのハウジングまたはセル5に収容された各単位磁石4は、円盤状支持体2aの両面から突出することができる。
【0102】
図2aには、2つの隣接するユニットの分離枝部3が示されている。
【0103】
図2bに見られるように、メッシュ構造体5aおよび実質的にリングを形成する単位磁石4から構成される少なくとも2つの磁石構造体6は、円盤状支持体2の中央の壁19によって分離され得る。磁石構造体6は、一体化円盤であっても、分離枝部3aによって分離されていてもよい。
【0104】
以下のことは、本発明の2つの好ましい実施形態に有効であり得る。
【0105】
メッシュ構造体5aおよび単位磁石4からそれぞれ構成される磁石構造体6は、鉄材料、合成材料または複合材料に基づく締結手段によって上記少なくとも1つの支持体2、2aに固定されてもよい。
【0106】
固定手段は、ロータの一体部品であっても、および/またはロータの一体インサートであってもよい。インサートは、ロータ1、1aに溶接、ネジ止め、リベット留め、またはスナップ留めすることができる。各単位磁石4とそれを収容するハウジングまたはセル5との間に固定手段を設けることが可能であり、これは、隣接するハウジングまたはセル5に対して境界を定める隔壁19のハウジングまたはセル5の内面にある。
【0107】
セルのメッシュ構造体5aと単位磁石4から構成される各磁石構造体6では、ハウジングまたはセル5は隔壁19によって画定され、各単位磁石4は、それぞれのハウジングまたはセル5に樹脂、接着剤または溶接により永久に収容される。
【0108】
単位磁石4およびそれらのそれぞれのハウジングまたはセル5は、それらの極が平行または発散方向に向けられた可変形状であり得る。例えば、ハウジングまたはセル5の寸法は、ハウジングまたはセル5ごとに異なっていてもよい。ハウジングまたはセル5は必ずしも六角形である必要はないが、六角形が好ましい。
【0109】
電磁アクチュエータは、少なくとも1つの巻線を備える1つのステータを備え、少なくとも1つのロータと、1つまたは複数のステータの内、巻線を備える少なくとも1つのステータとの間に1つまたは複数の空隙を含む。
【0110】
各ステータは、巻線に関連する磁気回路を備えてもよい。ステータには、開いた又は閉じた歯またはノッチがある。ケーシングは、アクチュエータが電磁モータまたは発電機として使用される場合にそれらを保護する。ステータは直列または並列に接続できる。1つのステータと他のステータとの間のある角度のオフセットは、ノッチの形状および単位磁石4の形状と組み合わされて、トルク変動および戻りトルクを低減する。
【0111】
アクチュエータは電磁モータでも、発電機でも、速度マルチプライヤの有無にかかわらず、非常に高速で動作できる。モータまたは発電機は、直列または並列に接続された少なくとも2つのステータ、または少なくとも2つのロータを備えてもよい。
【0112】
ロータは、2つのステータを通ってロータ1、1aの円形面に垂直に延びる回転軸を備えてもよい。ロータ1、1aは、少なくとも2つの軸受によって担持されてもよく、軸受は、ステータに対する回転を可能にするためにそれぞれのステータに関連付けられている。