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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】報知装置及び移動システム
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/06 20060101AFI20220729BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B66C15/06
B66C13/40 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020118385
(22)【出願日】2020-07-09
(62)【分割の表示】P 2015011317の分割
【原出願日】2015-01-23
(65)【公開番号】P2020169100
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-07-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】505199739
【氏名又は名称】株式会社五合
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小川 宏二
(72)【発明者】
【氏名】山口 藤起
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】平瀬 知明
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-143613(JP,A)
【文献】特開昭58-11865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 15/06
B66C 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動力により移動体を直線の軌道に沿って移動可能な本体ユニット、及び操作入力に応じて前記モータを制御し、前記モータの回転数が0であるか否かを表す動作情報を出力する制御ユニットを備えるクレーンに用いられる報知装置であって、
前記制御ユニットから前記作情報を取得する動作情報取得ユニットと、
前記モータが回転中である場合は、前記モータが停止中である場合とは異なる態様の報知を行う報知ユニットと、
を備えることを特徴とする報知装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、インバータを用いて前記モータを制御し、前記動作情報取得ユニットは、前記インバータから前記動作情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の報知装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の報知装置と、前記クレーンと、を備えることを特徴とする移動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は報知装置及び移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井クレーン等の3次元移動装置が知られている(特許文献1参照)。3次元移動装置は、3次元空間内で自在に移動可能なフックを備え、そのフックに物品を吊り下げて、物品の移動を行う。3次元移動装置の操作者は、コントローラに対し操作入力を行うことで、3次元移動装置を操作する。操作入力には、停止しているフックをいずれかの方向に移動させる移動開始の操作入力や、移動中のフックを停止させる移動停止の操作入力等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4815627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コントローラに移動停止の操作入力をしても、フックやそれに吊り下げられた物品はすぐには停止しないことがある。このため、移動停止の操作入力後でも、フックや物品が操作者に接触するおそれがある。本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、移動装置に関する安全性を高めることができる報知装置及び移動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の報知装置は、
モータの駆動力により移動体を移動可能な本体ユニット、及び操作入力に応じて前記モータを制御する制御ユニットを備える移動装置に用いられる報知装置であって、前記制御ユニットから前記モータの動作情報を取得する動作情報取得ユニットと、前記モータが動作中である場合は、前記モータが停止中である場合とは異なる態様の報知を行う報知ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0006】
この報知装置は、モータが動作中である場合は、モータが停止中である場合とは異なる態様の報知を行う。そのため、移動装置の操作者は、例えば、モータの停止を指示する操作入力を行った後でも、モータが動作中(すなわち移動体が移動中)であれば、容易にそのことを知ることができ、操作者の安全性が向上する。
【0007】
本発明の第2の報知装置は、モータの駆動力により移動体を移動可能な本体ユニット、及び操作入力に応じて前記モータを制御する制御ユニットを備える移動装置に用いられる報知装置であって、前記移動体又は前記移動体に取り付けられた物品の動作を検出する動作検出ユニットと、前記移動体又は前記物品が動作中である場合は、前記移動体又は前記物品が停止中である場合とは異なる態様の報知を行う報知ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0008】
この報知装置は、移動体又は前記物品の動作を検出し、移動体又は前記物品が動作中である場合は、移動体又は前記物品が停止中である場合とは異なる態様の報知を行う。そのため、移動装置の操作者は、例えば、モータの停止を指示する操作入力を行った後でも、移動体又は前記物品が動作中であることを容易に知ることができ、操作者の安全性が向上
する。
【0009】
本発明の第3の報知装置は、
モータの駆動力により移動体を移動可能な本体ユニット、及び操作入力に応じて前記モータを制御する制御ユニットを備える移動装置に用いられる報知装置であって、前記操作入力を取得する操作入力取得ユニットと、前記モータの動作開始を指示する操作入力を前記操作入力取得ユニットが取得した場合、所定の報知を行うとともに、前記モータの動作停止を指示する操作入力を前記操作入力取得ユニットが取得した時点から、予め設定された時間が経過するまで、前記所定の報知を継続する報知ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0010】
この報知装置は、モータの動作停止を指示する操作入力を操作入力取得ユニットが取得した時点から、予め設定された時間が経過するまで、所定の報知を継続する。そのことにより、操作者の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】報知装置1、移動装置3、及び表示器4の電気的構成を表すブロック図である。
図2】移動装置3の構成を表す斜視図である。
図3】報知装置1が実行する処理を表すフローチャートである。
図4図4Aは動作中表示を表す説明図であり、図4Bは停止中表示を表す説明図である。
図5】モータの動作と表示との関係の例を表す説明図である。
図6】報知装置101、移動装置3、及び表示器4の電気的構成を表すブロック図である。
図7】報知装置101が実行する処理を表すフローチャートである。
図8】報知装置201、移動装置3、及び表示器4の電気的構成を表すブロック図である。
図9】報知装置201が実行する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
<第1の実施形態>
1.報知装置1、移動装置3、及び表示器4の構成
報知装置1、移動装置3、及び表示器4の構成を図1図2に基づき説明する。報知装置1は、移動装置3の状態に関する報知を行う装置である。報知装置1は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータである。図1に示すように、報知装置1は、機能的に、動作情報取得ユニット5、及び報知ユニット7を備える。各ユニットの機能は後述する。
【0013】
報知装置1は、表示器4を制御し、所定の表示を行わせる。表示器4は液晶ディスプレイを備え、画像を表示可能である。報知装置1が実行する具体的な制御については後述する。
【0014】
移動装置3は天井クレーンである。図2に示すように、移動装置3は、走行レール9A、9B、サドル11A、11B、クレーンガーダ13、巻上機15、支持ワイヤ17、フック19、コントローラ21、及び通信ケーブル23を備える。
【0015】
走行レール9A、9Bは、建物の天井近傍に敷設されている。走行レール9A、9Bの長手方向は互いに平行であり、水平面内に属する。以下では、走行レール9A、9Bの長
手方向をX方向とする。
【0016】
サドル11Aは走行レール9A上に設けられ、X方向に移動可能である。また、サドル11Bは走行レール9B上に設けられ、サドル11Aと連動して、X方向に移動可能である。サドル11A、11Bを移動させるための駆動源は、後述するX軸モータ25である。
【0017】
クレーンガーダ13の一端はサドル11A上に固定され、他端はサドル11B上に固定されている。クレーンガーダ13の長手方向は、水平面内に属する方向であって、X方向とは直交する方向(以下ではY方向とする)である。サドル11A、11B、及びクレーンガーダ13は、それらが一体となって、X方向に移動可能である。
【0018】
巻上機15は、Y方向に沿って移動可能に、クレーンガーダ13に取り付けられている。巻上機15をY方向に沿って移動させるための駆動源は、後述するY軸モータ27である。また、巻上機15は、支持ワイヤ17を巻き上げること、及び引き出すことが可能である。支持ワイヤ17を巻き上げたり引き出したりするための駆動源は、後述するZ軸モータ29である。
【0019】
フック19は支持ワイヤ17の先端に取り付けられている。巻上機15が支持ワイヤ17を巻き上げるとフック19は上方に移動し、巻上機15が支持ワイヤ17を引き出すと、フック19は下方に移動する。すなわち、フック19は上下方向(以下ではZ方向と呼ぶこともある)に沿って移動可能である。フック19は、移動させる物品を吊り下げることができる。
【0020】
コントローラ21は、移動装置3を操作するための操作入力を受け付ける装置である。コントローラ21は複数のスイッチを備えており、特定のスイッチを特定の操作方法で操作することで、操作入力が行われる。
【0021】
操作入力には、X方向移動開始、X方向移動停止、Y方向移動開始、Y方向移動停止、Z方向移動開始、Z方向移動停止等がある。
通信ケーブル23は、コントローラ21が受け付けた操作入力を表す信号を、後述する制御ユニット31に伝達する。
【0022】
以上の構成を有する移動装置3は、フック19を、X方向、Y方向、及びZ方向に沿ってそれぞれ独立に移動させることができる。すなわち、走行レール9A、9B上でサドル11A、11BをX方向に移動させることにより、フック19をX方向に移動させることができる。また、クレーンガーダ13上で巻上機15をY方向に移動させることにより、フック19をY方向に移動させることができる。また、巻上機15が支持ワイヤ17を巻き上げるか、引き出すことにより、フック19をZ方向に移動させることができる。
【0023】
コントローラ21への操作入力と、フック19の移動との関係は以下のようになる。フック19がX方向において停止しているとき、X方向移動開始の操作入力があると、X軸モータ25が始動し、フック19はX方向での移動を開始する。その後、X方向での移動中に、X方向移動停止の操作入力があると、その操作入力から数秒後、X方向での移動は停止する。なお、X方向移動停止の操作入力から、停止までの数秒の時間差は、X軸モータ25が減速し、停止するまでに要する時間に起因する。
【0024】
また、フック19がY方向において停止しているとき、Y方向移動開始の操作入力があると、Y軸モータ27が始動し、フック19はY方向での移動を開始する。その後、Y方向での移動中に、Y方向移動停止の操作入力があると、その操作入力から数秒後、Y方向
での移動は停止する。
【0025】
また、フック19がZ方向において停止しているとき、Z方向移動開始の操作入力があると、Z軸モータ29が始動し、フック19はZ方向での移動を開始する。その後、Z方向での移動中に、Z方向移動停止の操作入力があると、その操作入力から数秒後、Z方向での移動は停止する。
【0026】
図2に示すように、上述した表示器4は、移動装置3の上方に設けられており、画像を表示可能な画面4Aは下を向いている。よって、コントローラ21を操作する操作者は、上を向けば容易に画面4Aを見ることができる。
【0027】
移動装置3の電気的な構成は図1に示すとおりである。移動装置3は、X軸モータ25、Y軸モータ27、Z軸モータ29、制御ユニット31、及び上述したコントローラ21を備える。X軸モータ25はサドル11A、11BをX方向に沿って移動させる駆動源である。Y軸モータ27は巻上機15をY方向に沿って移動させる駆動源である。Z軸モータ29は巻上機15が支持ワイヤ17を巻き上げたり引き出したりするための駆動源である。
【0028】
制御ユニット31は、コントローラ21が受け付けた操作入力に応じてX軸モータ25、Y軸モータ27、及びZ軸モータ29を制御する。制御ユニット31は、X軸用インバータ33、Y軸用インバータ35、Z軸用インバータ37を備える。X軸用インバータ33はX軸モータ25の制御に用いられる。Y軸用インバータ35はY軸モータ27の制御に用いられる。Z軸用インバータ37はZ軸モータ29の制御に用いられる。
【0029】
コントローラ21への操作入力と、各モータの動作との関係は以下のようになる。X軸モータ25が停止しているとき、X方向移動開始の操作入力があると、X軸モータ25は始動する。その後、回転数を徐々に増加し、回転数が予め設定された上限値に達すると、その上限値を維持する。その後、X方向移動停止の操作入力があると、回転数を徐々に減少させ、X方向移動停止の操作入力から数秒後、X軸モータ25は停止する。なお、X方向移動停止の操作入力から、停止までの数秒の時間差は、X軸モータ25の回転数が減少し、停止するまでに要する時間に起因する。
【0030】
また、Y軸モータ27が停止しているとき、Y方向移動開始の操作入力があると、Y軸モータ27は始動する。その後、回転数を徐々に増加し、回転数が予め設定された上限値に達すると、その上限値を維持する。その後、Y方向移動停止の操作入力があると、回転数を徐々に減少させ、Y方向移動停止の操作入力から数秒後、Y軸モータ27は停止する。
【0031】
また、Z軸モータ29が停止しているとき、Z方向移動開始の操作入力があると、Z軸モータ29は始動する。その後、回転数を徐々に増加し、回転数が予め設定された上限値に達すると、その上限値を維持する。その後、Z方向移動停止の操作入力があると、回転数を徐々に減少させ、Z方向移動停止の操作入力から数秒後、Z軸モータ29は停止する。
【0032】
X軸用インバータ33は、X軸モータ25の動作情報を、報知装置1の動作情報取得ユニット5に出力する。ここで、動作情報とは、モータが動作中である(回転数が0ではない)か停止中であるかを表す情報である。また、Y軸用インバータ35は、Y軸モータ27の動作情報を動作情報取得ユニット5に出力する。また、Z軸用インバータ37は、Z軸モータ29の動作情報を動作情報取得ユニット5に出力する。
【0033】
なお、フック19は移動体の一例である。また、走行レール9A、9B、サドル11A、11B、クレーンガーダ13、巻上機15、支持ワイヤ17、フック19、X軸モータ25、Y軸モータ27、及びZ軸モータ29は本体ユニットの一例である。また、報知装置1と移動装置3との組み合わせは、移動システムの一例である。
【0034】
なお、図2では、移動装置3の電気的構成(制御ユニット31、X軸用インバータ33、Y軸用インバータ35、Z軸用インバータ37、X軸モータ25、Y軸モータ27、Z軸モータ29)の記載を便宜上省略している。これらの電気的構成は、図2において、適宜選択した場所に配置することができる。
【0035】
2.報知装置1が実行する処理
報知装置1が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を図3図4に基づき説明する。図3のステップ1において、動作情報取得ユニット5は、X軸用インバータ33からX軸モータ25の動作情報を取得し、Y軸用インバータ35からY軸モータ27の動作情報を取得し、Z軸用インバータ37からZ軸モータ29の動作情報を取得する。
【0036】
ステップ2において、報知ユニット7は、前記ステップ1で取得した動作情報の中に、モータが動作中であることを表す動作情報が1つでもあるか否かを判断する。モータが動作中であることを表す動作情報が1つでもある場合はステップ3に進み、それ以外の場合はステップ4に進む。
【0037】
ステップ3では、報知ユニット7は、表示器4に動作中表示を行う。動作中表示とは、図4Aに示すように、その時点でフック19が移動している方向を示す矢印の表示である。
【0038】
ステップ4では、報知ユニット7は、表示器4に停止中表示を行う。停止中表示とは、図4Bに示すように、何の事物も現れていない表示である。停止中表示と、上述した動作中表示とは、異なる態様の表示である。
【0039】
3.報知装置1が奏する効果
(1A)報知装置1は、X方向移動停止の操作入力があった後でも、X軸モータ25の動作中(フック19がX方向に移動している間)は動作中表示を行う。そのため、移動装置3の操作者は、X方向移動停止の操作入力があった後でも、フック19がX方向に移動中であることを容易に知ることができ、操作者の安全性が向上する。
【0040】
このことを図5に示す事例において説明する。この事例では、時刻t以前は、X軸モータ25は停止していた。時刻tにX方向移動開始の操作入力があった。時刻t以降、X軸モータ25の回転数は徐々に増加し、時刻tにおいて上限値に達し、それ以降は上限値を維持した。その後、時刻tにX方向移動停止の操作入力があった。時刻t以降、X軸モータ25の回転数は徐々に減少し、時刻tにおいて0になった。時刻t以降、X軸モータ25は停止していた。
【0041】
上記の事例において、報知装置1は、時刻tから時刻tまで、動作中表示を行う。動作中表示を行う期間には、X方向移動停止の操作入力があった時刻t以降も含まれる。よって、移動装置3の操作者は、時刻t以降も、表示器4に表示された動作中表示により、フック19がX方向に移動していることを知ることができる。その結果、操作者の安全性が向上する。
【0042】
また、報知装置1は、Y方向移動停止の操作入力があった後でも、Y軸モータ27の動作中(フック19がY方向に移動している間)は動作中表示を行う。そのため、操作者の
安全性が向上する。
【0043】
また、報知装置1は、Z方向移動停止の操作入力があった後でも、Z軸モータ29の動作中(フック19がZ方向に移動している間)は動作中表示を行う。そのため、操作者の安全性が向上する。
【0044】
(1B)報知装置1は、X軸用インバータ33、Y軸用インバータ35、及びZ軸用インバータ37から動作情報を取得する。そのことにより、動作情報を容易に取得することができる。
【0045】
(1C)報知装置1は、動作中表示及び停止中表示の画像を表示器4に表示する。そのことにより、操作者は表示の内容を容易に理解することができる。
<第2の実施形態>
1.報知装置101、移動装置3、及び表示器4の構成
報知装置101、移動装置3、及び表示器4の構成を図6に基づき説明する。移動装置3、及び表示器4の構成は前記第1の実施形態と同様である。
【0046】
報知装置101の構成は基本的には前記第1の実施形態の報知装置1と同様であるが、一部において相違する。以下では、その相違点を中心に説明する。報知装置101は、機能的に、動作検出ユニット39、及び報知ユニット7を備える。動作検出ユニット39は、センサ41から検出結果を取得する。センサ41は、フック19の動作を検出するセンサである。センサ41で検出するフック19の動作は、一定の方向への移動であってもよいし、振り子運動であってもよいし、ランダムな運動であってもよい。また、センサ41で検出するフック19の動作は、X方向の動き、Y方向の動き、Z方向の動き、いずれかの2次元平面内での動き、3次元空間内の動きのいずれであってもよい。また、センサ41で検出するフック19の動作は、各モータが停止した後の支持ワイヤ17の揺れによる動作であってもよいし、いずれかのモータが未だ停止していないときの動作であってもよい。
【0047】
センサ41としては、例えば、レーザ距離計、フォトセンサ、加速度センサ、モーションセンサ等を用いることができる。レーザ距離計、フォトセンサの場合は、フック19以外の部材であって、固定された部材に取り付けることができる。また、加速度センサ、モーションセンサの場合は、フック19に取り付けることができる。各ユニットの具体的な機能は後述する。
【0048】
2.報知装置101が実行する処理
報知装置101が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を図7に基づき説明する。図7のステップ11では、動作検出ユニット39が、センサ41の検出結果を取得する。センサ41の検出結果は、フック19の動作を表す情報である。
【0049】
ステップ12では、報知ユニット7が、前記ステップ11で取得したセンサ41の検出結果から、フック19が動作中であるか否かを判断する。フック19が動作中である場合はステップ13に進み、停止中である場合はステップ14に進む。
【0050】
ステップ13では、報知ユニット7は、表示器4に動作中表示を行う。動作中表示の内容は前記第1の実施形態と同様である。
ステップ14では、報知ユニット7は、表示器4に停止中表示を行う。停止中表示の内容は前記第1の実施形態と同様である。
【0051】
3.報知装置101が奏する効果
報知装置101は、前記第1の実施形態の効果(1C)に加え、さらに以下の効果も奏する。
【0052】
(2A)報知装置101は、センサ41を用いてフック19の動作を検出し、フック19が動作中である場合は、動作中表示を行う。そのため、報知装置101は、X方向移動停止、Y方向移動停止、Z方向移動停止の操作入力があった後でも、フック19が動作中であれば、動作中表示を行う。その結果、移動装置3の操作者は、フック19が動作中であることを容易に知ることができ、操作者の安全性が向上する。
<第3の実施形態>
1.報知装置201、移動装置3、及び表示器4の構成
報知装置201、移動装置3、及び表示器4の構成を図8に基づき説明する。移動装置3、及び表示器4の構成は前記第1の実施形態と同様である。
【0053】
報知装置201の構成は基本的には前記第1の実施形態の報知装置1と同様であるが、一部において相違する。以下では、その相違点を中心に説明する。報知装置201は、機能的に、操作入力取得ユニット43、及び報知ユニット7を備える。操作入力取得ユニット43は、コントローラ21から操作入力を取得する。また、操作入力取得ユニット43は、X軸用インバータ33からX軸モータ25の動作情報を取得し、Y軸用インバータ35からY軸モータ27の動作情報を取得し、Z軸用インバータ37からZ軸モータ29の動作情報を取得する。
【0054】
2.報知装置201が実行する処理
報知装置201が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を図9に基づき説明する。図9のステップ21では、操作入力取得ユニット43が、コントローラ21から操作入力を取得する。
【0055】
ステップ22では、X方向、Y方向、Z方向のうち少なくともいずれかの方向において、オンの状態であるか否かを報知ユニット7が判断する。ここで、X方向においてオンの状態とは、既にX方向移動開始の操作入力があり、その後、X方向移動停止の操作入力は未だない状態(フック19がX方向に移動している状態)を意味する。また、Y方向においてオンの状態とは、既にY方向移動開始の操作入力があり、その後、Y方向移動停止の操作入力は未だない状態(フック19がY方向に移動している状態)を意味する。また、Z方向においてオンの状態とは、既にZ方向移動開始の操作入力があり、その後、Z方向移動停止の操作入力は未だない状態(フック19がZ方向に移動している状態)を意味する。
【0056】
いずれかの方向においてオンの状態である場合はステップ24に進み、それ以外の場合はステップ23に進む。
ステップ23では、報知ユニット7が、X方向、Y方向、Z方向のうち少なくともいずれかの方向において、以下の条件が成立するか否かを判断する。
【0057】
条件:“移動停止の操作入力があった時点から、予め設定された時間は未だ経過していない。”
なお、上記の予め設定された時間は、移動停止の操作入力があった時点から、モータが停止するまでに要する時間Tと同じか、それよりも長くすることが好ましい。時間Tが状況により変化する場合は、上記の予め設定された時間も、時間Tに応じて変化させることができる。
【0058】
X方向、Y方向、Z方向のうち少なくともいずれかの方向において上記の条件が成立する場合はステップ24に進み、それ以外の場合はステップ25に進む。
ステップ24では、報知ユニット7は、表示器4に動作中表示を行う。動作中表示の内容は前記第1の実施形態と同様である。
【0059】
ステップ25では、報知ユニット7は、表示器4に停止中表示を行う。停止中表示の内容は前記第1の実施形態と同様である。
3.報知装置201が奏する効果
報知装置201は、前記第1の実施形態の効果(1C)に加え、さらに以下の効果も奏する。
【0060】
(3A)移動停止の操作入力があった後、しばらくはモータが動作を続け、フック19の移動が継続することがある。また、移動停止の操作入力があった後、巻上機15が停止したとしても、フック19や、それに吊り下げられた物体が揺れている場合がある。
【0061】
報知装置201は、X方向、Y方向、Z方向のうち少なくともいずれかの方向において、“移動停止の操作入力があった時点から、予め設定された時間は未だ経過していない。”という条件が成立する場合は、動作中表示を行う。すなわち、報知装置201は、移動停止の操作入力を操作入力取得ユニット43が取得した時点から、予め設定された時間が経過するまで、動作中表示を継続する。
【0062】
そのことにより、移動停止の操作入力があった後でも、フック19や、それに吊り下げられた物体が揺れている可能性がある期間に動作中表示を行うことができる。その結果、操作者の安全性が向上する。
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
【0063】
(1)前記第1の実施形態において、動作情報取得ユニット5は、3つのモータのうち一部(例えば、X軸モータ25、Y軸モータ27、又はその両方)の動作情報を取得してもよい。そして、その一部のモータの全てが動作中であれば、前記ステップ2で肯定判断し、それ以外の場合は否定判断してもよい。
【0064】
(2)前記第2の実施形態において、センサ41、及び動作検出ユニット39は、フック19ではなく、フック19に取り付けられた物品の動作を検出してもよい。そして、その物品が動作中であれば前記ステップ12で肯定判断し、それ以外の場合は否定判断してもよい。
【0065】
(3)前記第3の実施形態の前記ステップ22において、オンの状態であるか否かを判断するのは、X方向、Y方向、Z方向の動きのうち、一部であってもよい。そして、その一部がオンであれば肯定判断し、それ以外の場合は否定判断してもよい。
【0066】
(4)前記第1~第3の実施形態において、制御ユニット31は、インバータ以外の構成(例えばマグネットコンタクタ等)によりモータを制御してもよい。
(5)前記第1~第3の実施形態において、動作中表示、停止中表示は適宜設定することができる。例えば、動作中表示は、「動作中」、「移動中」、「危険」、「注意」のような文字を表示するものであってもよいし、光が点滅するものであってもよいし、特定の色を表示するものであってもよい。また、停止中表示の態様は、動作中表示と異なる態様である限り、適宜設定できる。停止中表示と動作中表示との態様の違いとして、例えば、文字や矢印等の有無、色の違い、輝度の違い、動画と静止画の違い等が挙げられる。
【0067】
また、表示器4は、画像表示に代えて、あるいは画像表示に加えて、音声や振動による
報知を行うものであってもよい。
(6)前記第1~第3の実施形態において、移動装置3の形式は適宜選択できる。移動装置3は、例えば、ホイスト式天井クレーン、トロリ式天井クレーン、旋回マントリル式天井クレーン、すべり出し式天井クレーン、旋回式天井クレーン、製鉄用天井クレーン等とすることができる。
【0068】
(7)前記第1~第3の実施形態において、フック19以外の移動体を用いてもよい。例えば、磁力により物品を吸着する移動体、真空チャックにより物品を吸着する移動体、万力のように物品を挟んで固定する移動体等を用いることができる。
【0069】
(8)各実施形態の構成の全部又は一部を適宜選択して組み合わせてもよい。
(9)上述した報知装置1、101、201、及び移動システムの他、当該移動システムを構成要素とするシステム(例えば、移動システムと表示器4とを備えるクレーン作業システム)、当該報知装置1、101、201としてコンピュータを機能させるためのプログラム、移動装置3の制御ユニット31としてコンピュータを機能させるためのプログラム、これらのプログラムを記録した媒体、報知装置1、101、201の使用方法、移動装置3の使用方法、移動システムの使用方法、クレーン作業システムの使用方法、物品の移動方法等、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1、101、201…報知装置、3…移動装置、4…表示器、4A…画面、5…動作情報取得ユニット、7…報知ユニット、9A、9B…走行レール、11A、11B…サドル、13…クレーンガーダ、15…巻上機、17…支持ワイヤ、19…フック、21…コントローラ、23…通信ケーブル、25…X軸モータ、27…Y軸モータ、29…Z軸モータ、31…制御ユニット、33…X軸用インバータ、35…Y軸用インバータ、37…Z軸用インバータ、39…動作検出ユニット、41…センサ、43…操作入力取得ユニット
図1
図2
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図9