IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 伊東電機株式会社の特許一覧

特許7113564コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
<>
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図1
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図2
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図3
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図4
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図5
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図6
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図7
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図8
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図9
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図10
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図11
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図12
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図13
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図14
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図15
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図16
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図17
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図18
  • 特許-コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】コンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/08 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
B65G43/08 E
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021511505
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020013075
(87)【国際公開番号】W WO2020203477
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2019073018
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100143373
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 一夫
(72)【発明者】
【氏名】橘 俊之
(72)【発明者】
【氏名】的場 東望也
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-67811(JP,A)
【文献】特開2015-24678(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141066(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/080362(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/08
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送する搬送方向に沿って複数のゾーンに分割され、前記ゾーン毎に前記各ゾーンの搬送動作を制御するローカルコントローラを備えたコンベヤ装置と、
前記複数のゾーンのうち少なくとも一つが前記搬送を行わない原因に関連する情報を報知する原因情報報知装置とを備え、
前記原因情報報知装置は、
前記複数のゾーンのうち何れかを選択する選択指示をユーザから受け付ける選択指示受付部と、
前記選択指示によって選択されたゾーンである対象ゾーンの前記ローカルコントローラから、前記対象ゾーンが前記搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、前記取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、前記原因に関連する情報である原因情報を報知する報知処理部とを備えるコンベヤシステム。
【請求項2】
前記複数のゾーンには、互いに種類の異なる複数種類のゾーンが含まれ、
前記各ローカルコントローラは、
自己のゾーンの種類に対応したプログラムを記憶するためのプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって、自己のゾーンの搬送動作を制御する制御部とを含み、
前記報知処理部は、
(a1)前記対象ゾーンの種類と、前記対象ゾーンのプログラム記憶部に記憶されたプログラムを識別するプログラム識別情報とを前記手掛情報として取得し、
(a2)前記取得された対象ゾーンの種類と、前記取得されたプログラム識別情報で識別されるプログラムとの対応関係が整合しないことを前記判定条件として判定し、
(a3)前記(a2)で前記判定条件が満たされたとき、前記対象ゾーンのプログラム記憶部に記憶されたプログラムに関する情報を、前記原因情報として報知する請求項1記載のコンベヤシステム。
【請求項3】
前記各ローカルコントローラは、
自己を識別するためのアドレスが付与されたローカル通信部と、
自己のゾーンに隣接する他のゾーンのローカル通信部に付与されたアドレスを示すローカルアドレス情報を記憶するローカル通信設定記憶部とを含み、
前記ローカル通信部は、前記ローカルアドレス情報で示されるアドレスに基づいて他のゾーンのローカル通信部との間で通信可能であり、
前記原因情報報知装置は、
前記各ゾーンの配置を示す配置情報と、前記各ゾーンに付与されたアドレスとを記憶する構成情報記憶部を含み、
前記報知処理部は、
(b1)前記対象ゾーンの前記ローカル通信設定記憶部に記憶された前記ローカルアドレス情報と、前記構成情報記憶部に記憶された前記配置情報及び前記各ゾーンのアドレスとを前記手掛情報として取得し、
(b2)前記(b1)で得られた前記ローカルアドレス情報と、前記構成情報記憶部に記憶された前記配置情報及び前記各ゾーンのアドレスとが整合していないことを前記判定条件として判定し、
(b3)前記(b2)で前記判定条件が満たされたとき、対象ゾーンの前記ローカルアドレス情報に関する情報を、前記原因情報として報知する請求項1又は2に記載のコンベヤシステム。
【請求項4】
前記原因情報報知装置は、
(b4)前記(b2)で前記判定条件が満たされたとき、前記構成情報記憶部に記憶された前記配置情報及び前記各ゾーンのアドレスとに基づいて前記対象ゾーンのローカルアドレス情報を新たに生成し、当該新たなローカルアドレス情報を前記対象ゾーンの前記ローカル通信設定記憶部に新たなローカルアドレス情報として記憶させる自動修正部を含む請求項3記載のコンベヤシステム。
【請求項5】
前記各ローカルコントローラは、自己のゾーンに隣接する他のゾーンのローカルコントローラとの間で通信可能に構成され、
前記報知処理部は、
(c1)前記対象ゾーンのローカルコントローラが、前記対象ゾーンに隣接する他のゾーンのローカルコントローラとの間で正常に通信が実行されたか否かを示す情報を前記手掛情報として取得し、
(c2)前記(c1)で得られた手掛情報が、前記正常に通信が実行されていないことを示すことを前記判定条件として判定し、
(c3)前記(c2)で前記判定条件が満たされたとき、前記対象ゾーンのローカルコントローラの通信に関する情報を、前記原因情報として報知する請求項1~4のいずれか1項に記載のコンベヤシステム。
【請求項6】
前記各ゾーンには、
自己のゾーンにおいて前記搬送するための駆動力を生じるモータと、
前記モータを接続するための複数のコネクタと、
前記各コネクタに対する前記モータの接続の有無を検出するモータ接続検出部と、
前記各コネクタに対して、前記モータが接続されるべきか否かを示すモータ接続情報を予め記憶するモータ接続情報記憶部とが設けられ、
前記報知処理部は、
(d1)前記対象ゾーンの前記モータ接続検出部による検出結果と、前記対象ゾーンの前記モータ接続情報記憶部に記憶されたモータ接続情報とを前記手掛情報として取得し、
(d2)前記(d1)で得られた前記検出結果が前記モータの接続有を示すコネクタに対して、前記(d1)で得られた前記モータ接続情報が、前記モータが接続されるべきでないことを示すことを前記判定条件として判定し、
(d3)前記(d2)で前記判定条件が満たされたとき、前記対象ゾーンの前記モータ接続情報に関する情報を、前記原因情報として報知する請求項1~5のいずれか1項に記載のコンベヤシステム。
【請求項7】
前記各ローカルコントローラは、
前記搬送の制御に用いるタイマ値を記憶するタイマ値記憶部を含み、
前記原因情報報知装置は、
前記各ローカルコントローラの前記タイマ値記憶部に記憶される前記タイマ値の初期値である初期タイマ値を予め記憶する初期値記憶部を含み、
前記報知処理部は、
(e1)前記対象ゾーンの前記タイマ値記憶部に記憶されたタイマ値と、前記初期値記憶部に記憶された前記初期タイマ値とを前記手掛情報として取得し、
(e2)前記(e1)で得られた前記対象ゾーンの前記タイマ値と、前記初期タイマ値とが一致しないことを前記判定条件として判定し、
(e3)前記(e2)で前記判定条件が満たされたとき、前記対象ゾーンの前記タイマ値に関する情報を、前記原因情報として報知する請求項1~6のいずれか1項に記載のコンベヤシステム。
【請求項8】
前記原因情報報知装置は、
(e4)前記(e2)で前記判定条件が満たされたとき、前記対象ゾーンの前記タイマ値記憶部に、前記初期値記憶部に記憶された前記初期タイマ値を新たなタイマ値として記憶させる自動修正部を含む請求項7記載のコンベヤシステム。
【請求項9】
前記複数のゾーンには、前記搬送物を直進させる直進ゾーンと、前記搬送物の搬送方向を複数方向に切り替え可能な方向転換ゾーンとを含む複数種類のゾーンが含まれ、
少なくとも前記方向転換ゾーンのローカルコントローラは、自己のゾーンにおける前記搬送物の出入口毎に、搬送を行うか否かを設定する方向設定情報を記憶する方向設定情報記憶部を含み、
前記原因情報報知装置は、前記各ゾーンの配置を示す配置情報を記憶する配置情報記憶部を含み、
前記報知処理部は、
(f1)前記対象ゾーンの前記方向設定情報記憶部に記憶された前記方向設定情報と、前記配置情報記憶部に記憶された前記配置情報とを前記手掛情報として取得し、
(f2)前記(f1)で得られた前記方向設定情報と前記配置情報とが整合しないことを前記判定条件として判定し、
(f3)前記(f2)で前記判定条件が満たされたとき、前記対象ゾーンの前記方向設定情報に関する情報を、前記原因情報として報知する請求項1~8のいずれか1項に記載のコンベヤシステム。
【請求項10】
前記原因情報報知装置は、
(f4)前記(f2)で前記判定条件が満たされたとき、前記配置情報記憶部に記憶された前記配置情報に基づいて前記対象ゾーンの前記方向設定情報を新たに生成し、当該新たな方向設定情報を前記対象ゾーンの前記ローカル通信設定記憶部に新たな方向設定情報として記憶させる自動修正部を含む請求項9記載のコンベヤシステム。
【請求項11】
前記各ゾーンのローカルコントローラは、
自己のゾーンの搬送方向下流側に隣接する他のゾーンから送信された、当該他のゾーンへの前記搬送物の搬入許可の有無を示す許可情報が記憶される状態記憶部を含み、
前記報知処理部は、
(g1)前記対象ゾーンの前記状態記憶部に記憶されている前記許可情報を前記手掛情報として取得し、
(g2)前記(g1)で得られた前記許可情報が前記許可無を示すことを前記判定条件として判定し、
(g3)前記(g2)で前記判定条件が満たされたとき、前記許可情報に関する情報を、前記原因情報として報知する請求項1~10のいずれか1項に記載のコンベヤシステム。
【請求項12】
前記各ゾーンのローカルコントローラは、
自己のゾーンの搬送方向上流側に隣接する他のゾーンから送信された、当該他のゾーンからの前記搬送物の搬出要求の有無を示す要求情報が記憶される状態記憶部を含み、
前記報知処理部は、
(h1)前記対象ゾーンの前記状態記憶部に記憶されている前記要求情報を前記手掛情報として取得し、
(h2)前記(h1)で得られた前記要求情報が前記搬出要求無を示すことを前記判定条件として判定し、
(h3)前記(h2)で前記判定条件が満たされたとき、前記要求情報に関する情報を、前記原因情報として報知する請求項1~11のいずれか1項に記載のコンベヤシステム。
【請求項13】
前記原因情報報知装置は、前記報知処理部によって取得された前記手掛情報と、その手掛情報に基づく前記判定条件の判定結果とを対応付けて、累積的に記憶する解析履歴記憶部をさらに備える請求項1~12のいずれか1項に記載のコンベヤシステム。
【請求項14】
搬送物を搬送する搬送方向に沿って複数のゾーンに分割され、前記ゾーン毎に前記各ゾーンの搬送動作を制御するローカルコントローラを備えたコンベヤ装置における前記複数のゾーンのうち少なくとも一つが前記搬送を行わない原因に関する情報を報知する原因情報報知装置であって、
前記複数のゾーンのうち何れかを選択する選択指示をユーザから受け付ける選択指示受付部と、
前記選択指示によって選択されたゾーンである対象ゾーンの前記ローカルコントローラから、前記対象ゾーンが前記搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、前記取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、前記原因に関連する情報である原因情報を報知する報知処理部とを備える原因情報報知装置。
【請求項15】
搬送物を搬送する搬送方向に沿って複数のゾーンに分割され、前記ゾーン毎に前記各ゾーンの搬送動作を制御するローカルコントローラを備えたコンベヤ装置における前記複数のゾーンのうち少なくとも一つが前記搬送を行わない原因に関する情報を報知する原因情報報知装置用のプログラムであって、
前記複数のゾーンのうち何れかを選択する選択指示をユーザから受け付ける選択指示受付部、
前記選択指示によって選択されたゾーンである対象ゾーンの前記ローカルコントローラから、前記対象ゾーンが前記搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、前記取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、前記原因に関連する情報である原因情報を報知する報知処理部としてコンピュータを機能させる原因情報報知装置用のプログラム。
【請求項16】
搬送物を搬送する搬送方向に沿って複数のゾーンに分割され、前記ゾーン毎に前記各ゾーンの搬送動作を制御するローカルコントローラを備えたコンベヤ装置における前記複数のゾーンのうち少なくとも一つが前記搬送を行わない原因に関する情報を報知する原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記複数のゾーンのうち何れかを選択する選択指示をユーザから受け付ける選択指示受付部、
前記選択指示によって選択されたゾーンである対象ゾーンの前記ローカルコントローラから、前記対象ゾーンが前記搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、前記取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、前記原因に関連する情報である原因情報を報知する報知処理部としてコンピュータを機能させる原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ装置を備えたコンベヤシステム、及びこれに用いられる原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンベヤ装置で発生する異常を検出する異常検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この異常検出装置によれは、コンベヤ装置で発生した異常を自動的に検出し、異常の発生をユーザに知らせることができる。
【0003】
しかしながら、上述の異常発生装置は、あらゆる異常をすべて検出できる訳ではない。そのため、異常が検出されていないにもかかわらず、コンベヤ装置が停止してしまう場合がある。このような場合に対処するため、従来、取扱説明書やヘルプ画面などに、いわゆるトラブルシュートとして、コンベヤ装置が動かない原因のリスト、その調査方法、及びその解消方法が記載されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭55-101505号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、上述の取扱説明書等では、異常が検出されることなくコンベヤ装置が停止した場合、ユーザは、取扱説明書等を参照しなければならず、さらに取扱説明書等に記載されたトラブルシュートに従って、コンベヤ装置が停止した原因を調査しなければならないため手間がかかる。また、停止原因によっては、専門的な知識が無ければその原因を調査することが困難な場合もある。
【0006】
本発明の目的は、コンベヤ装置が停止した場合に、その原因に関連する情報をユーザに知らせることができるコンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【0007】
本発明に係るコンベヤシステムは、搬送物を搬送する搬送方向に沿って複数のゾーンに分割され、前記ゾーン毎に前記各ゾーンの搬送動作を制御するローカルコントローラを備えたコンベヤ装置と、前記複数のゾーンのうち少なくとも一つが前記搬送を行わない原因に関連する情報を報知する原因情報報知装置とを備え、前記原因情報報知装置は、前記複数のゾーンのうち何れかを選択する選択指示をユーザから受け付ける選択指示受付部と、前記選択指示によって選択されたゾーンである対象ゾーンの前記ローカルコントローラから、前記対象ゾーンが前記搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、前記取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、前記原因に関連する情報である原因情報を報知する報知処理部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る原因情報報知装置は、搬送物を搬送する搬送方向に沿って複数のゾーンに分割され、前記ゾーン毎に前記各ゾーンの搬送動作を制御するローカルコントローラを備えたコンベヤ装置における前記複数のゾーンのうち少なくとも一つが前記搬送を行わない原因に関する情報を報知する原因情報報知装置であって、前記複数のゾーンのうち何れかを選択する選択指示をユーザから受け付ける選択指示受付部と、前記選択指示によって選択されたゾーンである対象ゾーンの前記ローカルコントローラから、前記対象ゾーンが前記搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、前記取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、前記原因に関連する情報である原因情報を報知する報知処理部とを備える。
【0009】
また、本発明に係る原因情報報知装置用のプログラムは、搬送物を搬送する搬送方向に沿って複数のゾーンに分割され、前記ゾーン毎に前記各ゾーンの搬送動作を制御するローカルコントローラを備えたコンベヤ装置における前記複数のゾーンのうち少なくとも一つが前記搬送を行わない原因に関する情報を報知する原因情報報知装置用のプログラムであって、前記複数のゾーンのうち何れかを選択する選択指示をユーザから受け付ける選択指示受付部、前記選択指示によって選択されたゾーンである対象ゾーンの前記ローカルコントローラから、前記対象ゾーンが前記搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、前記取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、前記原因に関連する情報である原因情報を報知する報知処理部としてコンピュータを機能させる。
【0010】
また、本発明に係る原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、搬送物を搬送する搬送方向に沿って複数のゾーンに分割され、前記ゾーン毎に前記各ゾーンの搬送動作を制御するローカルコントローラを備えたコンベヤ装置における前記複数のゾーンのうち少なくとも一つが前記搬送を行わない原因に関する情報を報知する原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記複数のゾーンのうち何れかを選択する選択指示をユーザから受け付ける選択指示受付部、前記選択指示によって選択されたゾーンである対象ゾーンの前記ローカルコントローラから、前記対象ゾーンが前記搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、前記取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、前記原因に関連する情報である原因情報を報知する報知処理部としてコンピュータを機能させる原因情報報知装置用のプログラムを記録する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るコンベヤシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】直進ゾーンを構成する直進搬送モジュールの構成の一例を示す斜視図である。
図3図1に示すゾーンZ1~Z3の構成の一例を示す斜視図である。
図4】分岐ゾーンを含む方向転換ゾーンを構成する方向転換モジュールの構成の一例を示す斜視図である。
図5図4に示す方向転換モジュールの分解斜視図である。
図6図1に示すゾーンZ4,Z5,Z6,Z8が連結された状態を示す斜視図である。
図7図1に示す上位コントローラの構成の一例を示すブロック図である。
図8図1に示すゾーンの電気的構成の一例を示すブロック図である。
図9図1に示すゾーンの電気的構成の一例を示すブロック図である。
図10図8図9に示すモータブロックを、模式的に示した説明図である。
図11】本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図15】本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図16】本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図17】本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図18】本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
図19】ゾーンの設定値記憶部に記憶されているローカルアドレス情報の一例を示す表形式の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係るコンベヤシステムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すコンベヤシステム1は、コンベヤ装置2、上位コントローラ3(原因情報報知装置)、及び電源部PS1,PS2を備えている。上位コントローラ3は、原因情報報知装置の一例に相当している。
【0013】
コンベヤ装置2は、その搬送経路が複数のゾーンZ1~Z11に分割されている。以下、ゾーンZ1~Z11を総称してゾーンZと称する。コンベヤ装置2は、パレット、コンテナ、トレイといった概ね一定の大きさの搬送物を搬送することを目的としている。各ゾーンZは、多くの場合、少なくとも一個の搬送物を載置可能な長さを有している。
【0014】
各ゾーンZの種類には、搬送物を直進させる直進ゾーンと、搬送物を直進方向と交差する方向に搬送可能な方向転換ゾーンとが含まれている。直進ゾーンには、後述する駆動ローラ5aを1本備えた第一直進ゾーンと、駆動ローラ5aを二本備えた第二直進ゾーンとが含まれる。方向転換ゾーンには、直進と方向転換とを選択可能であって、搬送方向を分岐させることができる分岐ゾーンが含まれる。
【0015】
図1では、各ゾーンの種類を矢印で示している。直進の矢印は直進ゾーンを示し、直進の矢印1本のゾーンは第一直進ゾーン、直進の矢印2本のゾーンは第二直進ゾーンを示している。方向が曲がっている矢印は方向転換ゾーンを示し、分岐している矢印は方向転換ゾーンのうちの分岐ゾーンを示している。なお、これらはゾーンZの種類の一例であり、他の種類のゾーンを含んでいてもむろんよい。
【0016】
なお、図1に示す各種類のゾーンZの配置は、説明のために便宜的に記載したものであり、必ずしも実際の運用に適したゾーンZの配置を示すものではない。
【0017】
ゾーンZ1~Z11は、それぞれ一台ずつの搬送モジュールM1~M11によって構成されている。以下、搬送モジュールM1~M11を総称して搬送モジュールMと称する。搬送モジュールMの種類には、直進ゾーンを構成する直進搬送モジュールMsと、方向転換ゾーンを構成する方向転換モジュールMtとが含まれる。
【0018】
搬送モジュールM1~M11は、搬送機構と、搬送機構の動作を制御するローカルコントローラZC1~ZC11とを備えている。すなわち、ゾーンZ1~Z11は、それぞれ対応するローカルコントローラZC1~ZC11を備えている。
【0019】
ローカルコントローラZC1~ZC11を総称してローカルコントローラZCと称する。また、各ゾーンZを構成する搬送モジュールMのことを含めて、単にゾーンZと称する。
【0020】
ローカルコントローラZC1~ZC11と上位コントローラ3とは、通信ケーブル4を介してデータ送受信可能に接続されている。各ローカルコントローラZCと上位コントローラ3とは、例えばイーサネット(登録商標)等の通信方式によって通信可能にされていてもよく、通信ケーブル4を介さず無線通信可能にされていてもよく、その通信方式は限定されない。
【0021】
電源部PS1,PS2は、各ゾーンZのモータを駆動するための駆動用電源電圧Vdを出力する電源装置である。例えば、電源部PS1は、電源ケーブルCBL1を介してゾーンZ1~Z5へ駆動用電源電圧Vdを供給し、電源部PS2は、電源ケーブルCBL2を介してゾーンZ6~Z11へ駆動用電源電圧Vdを供給する。駆動用電源電圧Vdは、例えば24Vである。
【0022】
なお、各ローカルコントローラZCを動作させるための動作用電源電圧は、電源部PS1,PS2とは別の図略の電源系統から供給される。
【0023】
図2は、直進ゾーンを構成する直進搬送モジュールMsの構成の一例を示す斜視図である。図2に示す直進搬送モジュールMsは、いわゆるローラコンベヤである。直進搬送モジュールMsは、搬送機構と、ローカルコントローラZCと、在荷センサ8とを備えている。搬送機構は、モータを内蔵する駆動ローラ5aと、駆動ローラ5aと従動回転する複数の従動ローラ5bと、駆動ローラ5a及び従動ローラ5bを所定間隔で軸支する一対のサイドフレーム6,6と、伝動ベルト7とを備えている。以下、駆動ローラ5a及び従動ローラ5bを総称して搬送ローラ5と称する。
【0024】
直進搬送モジュールMs内の隣接する搬送ローラ5同士は伝動ベルト7で巻回されている。これにより、駆動ローラ5aの回転駆動力は伝動ベルト7を介して他の従動ローラ5bへ伝達され、各従動ローラ5bが駆動ローラ5aに対して従動回転する。搬送ローラ5の上面によって、搬送物の搬送路が形成されている。
【0025】
駆動ローラ5aは、ローカルコントローラZCからの制御信号に応じて回転駆動する。これにより、ローカルコントローラZCは、直進搬送モジュールMsすなわちゾーンZにおける搬送物の搬送を制御可能とされている。
【0026】
図2に示す直進搬送モジュールMsは、駆動ローラ5aを1本備えた第一直進ゾーン用の直進搬送モジュールMsである。第二直進ゾーン用の直進搬送モジュールMsは、駆動ローラ5aを二本備えている。以下、第一直進ゾーン用の直進搬送モジュールMsを直進搬送モジュールMs1と称し、第二直進ゾーン用の直進搬送モジュールMsを直進搬送モジュールMs2と称する。
【0027】
なお、図2に示す直進搬送モジュールMsは一例であって、ゾーンZ毎の搬送ローラ5の本数は、任意に増減可能である。また、ゾーンZがローラコンベヤである例を示したが、ゾーンZは、ベルトコンベヤ等の、ローラコンベヤ以外の搬送機構によって構成されていてもよい。
【0028】
在荷センサ8は、例えばサイドフレーム6,6上の下流端近傍に、配設されている。在荷センサ8は、例えば透過型の光電センサであり、サイドフレーム6,6の一方に発光側、他方に受光側が配置されており、発光側と受光側との一対で一つのセンサとして機能する。在荷センサ8は、直進搬送モジュールMsの搬送路上における搬送物の有無を検出し、その検出信号をローカルコントローラZCへ出力する。
【0029】
以下、在荷センサ8及び後述の境界センサ9は、搬送物を検出したときオン、検出しないときオフするものとして説明する。オン、オフの論理は逆であってよい。
【0030】
図3は、図1に示すゾーンZ1~Z3の構成の一例を示す斜視図である。図1に矢印で示すように、ゾーンZ1,Z2は第一直進ゾーン、ゾーンZ3は第二直進ゾーンであるから、ゾーンZ1,Z2は駆動ローラ5aを一本備えた直進搬送モジュールMs1によって構成され、ゾーンZ3は駆動ローラ5aを二本備えた直進搬送モジュールMs2によって構成され、直進搬送モジュールMs1,Ms1,Ms2が連結されて、ゾーンZ1~Z3が構成されている。
【0031】
図4は、分岐ゾーンを含む方向転換ゾーンを構成する方向転換モジュールMtの構成の一例を示す斜視図である。図5は、図4に示す方向転換モジュールMtの分解斜視図である。図6は、図1に示すゾーンZ4,Z5,Z6,Z8が連結された状態を示す斜視図である。図4に示す方向転換モジュールMtは、搬入方向、及び搬出方向を切り替えることにより、搬送物の搬送方向を複数方向に切り替え可能となっている。
【0032】
方向転換モジュールMtは、方向転換機構と、ローカルコントローラZCと、後述する昇降コントローラ21と、図略の在荷センサ8と、複数の境界センサ9とを備えている。方向転換機構は、図5に示す主搬送コンベヤ11、副搬送コンベヤ12、及び昇降装置13によって構成されている。主搬送コンベヤ11は、複数のベルト14と、複数のベルト14が掛け回された駆動ローラ15とを備えている。駆動ローラ15はモータを内蔵し、ローカルコントローラZCからの制御信号に応じて回転駆動する。複数のベルト14の上面が主搬送コンベヤ11の搬送路とされている。主搬送コンベヤ11の搬送方向は、コンベヤ装置2の搬送方向と一致している。
【0033】
副搬送コンベヤ12は、いわゆるローラコンベヤである。副搬送コンベヤ12は、複数のローラ16と、これらのローラ16を連動回転させるベルト17とを備えている。複数のローラ16のうち一本は、例えばモータを内蔵した駆動ローラとされている。駆動ローラは、ローカルコントローラZCからの制御信号に応じて回転駆動する。
【0034】
各ローラ16は、主搬送コンベヤ11のベルト14同士の間に位置するように、配置されている。各ローラ16の上面が副搬送コンベヤ12の搬送路とされている。副搬送コンベヤ12の搬送方向は、主搬送コンベヤ11の搬送方向すなわちコンベヤ装置2の搬送方向と直交する方向とされている。
【0035】
昇降装置13は、一対の直動カム18と、昇降コントローラ21からの制御信号に応じて回転駆動する昇降モータ19と、昇降モータ19の駆動力により一対の直動カム18をスライド移動させるラックアンドピニオン機構20とを備える。直動カム18のスライド位置に応じて、主搬送コンベヤ11及び副搬送コンベヤ12が昇降する。
【0036】
昇降モータ19は、図略のギヤ機構を介してラックアンドピニオン機構20を駆動して直動カム18を位置変更させることによって、主搬送コンベヤ11を副搬送コンベヤ12よりも上に突出させる直進姿勢と、副搬送コンベヤ12を主搬送コンベヤ11よりも上に突出させる方向転換姿勢とを切り替え可能とされている。
【0037】
ローカルコントローラZCの後述する駆動制御部51bは、直進方向又は交差方向の搬送方向を示す方向指示信号を昇降コントローラ21へ出力することによって、昇降コントローラ21に姿勢変更を指示する。
【0038】
ローカルコントローラZC(駆動制御部51b)は、昇降コントローラ21によって方向転換モジュールMtを直進姿勢にさせた状態で、主搬送コンベヤ11を駆動させることによって、搬送物を直進させる。また、ローカルコントローラZC(駆動制御部51b)は、昇降コントローラ21によって方向転換モジュールMtを方向転換姿勢にさせた状態で、副搬送コンベヤ12を駆動させることによって、搬送物を直進方向と交差する方向に搬送させる。これにより、方向転換モジュールMtは、搬送物の搬送方向を切り替え可能とされている。
【0039】
なお、方向転換モジュールMtは、搬送物の搬送方向を切り替えることができればよく、必ずしも主搬送コンベヤ11と副搬送コンベヤ12との昇降制御によって、搬送方向を切り換える例に限らない。
【0040】
以下、図2図4に示すように、各搬送モジュールMの、搬送方向上流側の方向をD1、搬送方向下流側の方向をD2、搬送方向右側の方向をD3、搬送方向左側の方向をD4の各符号で示す。
【0041】
図6に示すゾーンZ5の搬送方向上流側(方向D1)にはゾーンZ4、ゾーンZ5の搬送方向下流側(方向D2)にはゾーンZ6、ゾーンZ5の搬送方向右側(方向D3)にはゾーンZ8が連結されている。ゾーンZ5は方向転換モジュールMt、ゾーンZ4,Z6,Z8は直進搬送モジュールMs1である。
【0042】
境界センサ9は、例えば在荷センサ8と同様の光電センサであり、発光側と受光側との一対で一つのセンサとして機能する。なお、在荷センサ8及び境界センサ9は、透過型光電センサに限られず、反射型光電センサ等であってもよい。
【0043】
境界センサ9は、ゾーンZ5と隣接する他のゾーンZとの境界において、搬送物Wを検出し、その検出信号をゾーンZ5(方向転換モジュールMt)のローカルコントローラZCへ出力する。境界センサ9は、ゾーンZ5の方向転換モジュールMtの一部であるが、他のゾーンZとの境界で搬送物Wを検出することができればよく、例えば図6に示すように、ゾーンZ5と隣接する他のゾーンZ側に境界センサ9が配設されていてもよい。
【0044】
図6では、ゾーンZ5の搬送方向左側(方向D4)には他のゾーンZが連結されていない例を示したが、方向D4にも他のゾーンZを連結してもよい。また、ゾーンZ7の搬送モジュールM7として、ゾーンZ5と同じ方向転換モジュールMtを用いることができる。
【0045】
図7は、図1に示す上位コントローラ3の構成の一例を示すブロック図である。図7に示す上位コントローラ3は、演算部30、ディスプレイ34、キーボード35(選択指示受付部)、マウス36(選択指示受付部)、通信IF部37、レイアウト情報記憶部38(構成情報記憶部、配置情報記憶部)、初期値記憶部39、及び解析履歴記憶部40を備えている。
【0046】
上位コントローラ3は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成されている。ディスプレイ34は、例えば液晶表示装置や有機EL(Electro-Luminescence)パネル等を用いた表示装置である。
【0047】
通信IF部37は、例えばイーサネット(登録商標)等の通信インターフェイス回路である。通信IF部37は、通信ケーブル4を介して各ローカルコントローラZCとデータ送受信可能に構成されている。
【0048】
レイアウト情報記憶部38には、各ゾーンZの配置を示す配置情報が予め記憶されている。また、レイアウト情報記憶部38には、各ゾーンZに対応付けて、各ゾーンZに付与されたアドレス(通信アドレス)、各ゾーンZのゾーン種別情報、及びモータ情報が予め記憶されている。また、レイアウト情報記憶部38には、各電源部PS1,PS2から、どのゾーンZに対して駆動用電源電圧Vdが供給されているかを示す電源系統情報が予め記憶されている。
【0049】
配置情報は、例えば図1に示すコンベヤ装置2であれば、ゾーンZ1~Z7が直列に連結され、ゾーンZ5の方向D3(搬送方向右側)にゾーンZ8が連結され、ゾーンZ8の方向D2(搬送方向下流側)にゾーンZ9が連結され、ゾーンZ7の方向D3にゾーンZ10が連結され、ゾーンZ10の方向D2にゾーンZ11が連結されていることを表す情報である。
【0050】
各ローカルコントローラZCのローカル通信部57(後述)には、自己を識別するためのアドレスが付与されている。ローカル通信部57に付与されたアドレスは、そのローカル通信部57を備えるローカルコントローラZC及びゾーンZのアドレスでもある。レイアウト情報記憶部38には、各ゾーンZのアドレスが予め記憶されている。
【0051】
図1に示す例では、各ゾーンZの符号の添え字がアドレスを表しているものとする。例えば、ゾーンZ1のアドレスは1、ゾーンZ9のアドレスは9である。
【0052】
配置情報及び各ゾーンZのアドレスを記憶するレイアウト情報記憶部38は、構成情報記憶部及び配置情報記憶部の一例に相当している。
【0053】
ゾーン種別情報は、各ゾーンZの種類を示す情報である。各ゾーンZの種類には、直進ゾーン(第一直進ゾーン、第二直進ゾーン)、及び方向転換ゾーン等がある。図1に示す例では、ゾーンZ1,Z2,Z4,Z6,Z8~Z11は第一直進ゾーン、ゾーンZ3は第二直進ゾーン、ゾーンZ5,Z7は方向転換ゾーンである。
【0054】
モータ情報は、各ゾーンZにおけるモータ61の接続の態様を示す情報である。具体的には、各ゾーンZには、モータ61を接続するためのコネクタCN1が複数設けられており、モータ情報は、各コネクタCN1にモータ61を接続すべきか否かを示している。
【0055】
初期値記憶部39には、各ローカルコントローラZCの後述する設定値記憶部58(タイマ値記憶部)に記憶させるタイマ値の初期値である初期タイマ値が、予め記憶されている。
【0056】
解析履歴記憶部40には、後述する報知処理部302によって取得された手掛情報と、その手掛情報に基づく判定条件の判定結果とを対応付けた情報が、解析履歴として累積的に記憶される。
【0057】
演算部30は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置、タイマ回路、及びこれらの周辺回路等を用いて構成されている。
【0058】
上述の記憶装置には、例えば本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラム等が記憶されている。この記憶装置は、レイアウト情報記憶部38、初期値記憶部39、及び解析履歴記憶部40としても用いられる。演算部30は、上述の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって、搬送制御部301、報知処理部302、自動修正部303、及び解析履歴記録処理部304として機能する。
【0059】
搬送制御部301は、通信IF部37を介して各ローカルコントローラZCへ指示又はデータ等を送信し、各ローカルコントローラZCから通信IF部37を介してデータ等を受信することにより、コンベヤ装置2の動作を制御する。以下、演算部30(搬送制御部301、報知処理部302、自動修正部303、解析履歴記録処理部304)が、通信IF部37を介してゾーンZと通信することを、単に演算部30(報知処理部302等)が通信する、取得する、アクセスする、等と記載する。
【0060】
また、演算部30(報知処理部302等)が、各ゾーンZのローカルコントローラZCに要求して、各ゾーンZにおける、状態記憶部54、方向設定情報記憶部55、設定値記憶部58、プログラム記憶部59の情報や、ホール素子H1~H3、在荷センサ8、境界センサ9等の検出値等を、ローカルコントローラZCから送信させて取得することを、単に、演算部30(報知処理部302等)が、各ゾーンZの状態記憶部54等の構成要素にアクセスして取得する、というように記載する。
【0061】
報知処理部302は、ユーザによって選択されたゾーンZである対象ゾーンのローカルコントローラZCから、対象ゾーンが搬送物を搬送しない原因となり得る事象に関する情報を手掛情報として取得し、その取得された手掛情報が、予め設定された判定条件を満たすとき、その手掛情報に基づいて、その搬送しない原因に関連する情報である原因情報を報知する。
【0062】
自動修正部303は、報知処理部302によって得られた解析結果に基づいて、搬送されない原因を解消するべく設定値記憶部58等に記憶されている情報を修正する。
【0063】
解析履歴記録処理部304は、報知処理部302によって取得された手掛情報と、その手掛情報に基づく判定条件の判定結果とを対応付けて、解析履歴として解析履歴記憶部40に累積的に記憶させる。
【0064】
図8図9は、図1に示すゾーンZの電気的構成の一例を示すブロック図である。図8は直進ゾーンに用いられる直進搬送モジュールMsの構成を示し、図9は方向転換ゾーンに用いられる方向転換モジュールMtの構成を示している。
【0065】
搬送モジュールM(直進搬送モジュールMs、方向転換モジュールMt)は、ローカルコントローラZC、モータブロック60、及び在荷センサ8を備える。ローカルコントローラZCは、制御部50、ローカル通信部57、状態記憶部54、設定値記憶部58(ローカル通信設定記憶部、モータ接続情報記憶部、タイマ値記憶部)、及びプログラム記憶部59を備える。モータブロック60は、モータ61、モータ駆動回路62、及びホール素子H1,H2,H3を備える。
【0066】
図9を参照して、方向転換モジュールMtは、さらに、境界センサ9、昇降モータ19、及び昇降コントローラ21(切替応答信号出力部)を備える。方向転換モジュールMtのローカルコントローラZCは、方向設定情報記憶部55をさらに備える。
【0067】
ローカル通信部57は、上位コントローラ3の通信IF部37と同じ通信方式の通信インターフェイス回路である。ローカル通信部57は、通信ケーブル4を介して他のローカルコントローラZC及び上位コントローラ3とデータ送受信可能に構成されている。ローカル通信部57には、自己のアドレスが設定されている。
【0068】
以下、制御部50(駆動制御部51a,51b、モータ接続検出部53)が、ローカル通信部57を介して他のゾーンZ及び上位コントローラ3と通信することを、単に制御部50(駆動制御部51a,51b等)が通信する、取得する、アクセスする、等と記載する。
【0069】
状態記憶部54は、データを一時的に記憶する作業領域として用いられる記憶領域である。状態記憶部54には、例えば自己の下流側に隣接する他のゾーンZへの搬送物の搬入の許可の有無を示す許可情報、自己の上流側に隣接する当該他のゾーンからの搬送物の搬出要求の有無を示す要求情報等が記憶される。
【0070】
設定値記憶部58には、搬入タイマ値tin、搬出タイマ値tout、ジャム判定時間tj、切替監視時間tlm、モータ接続情報、及びローカルアドレス情報が記憶されている。設定値記憶部58は、タイマ値記憶部、モータ接続情報記憶部、及びローカル通信設定記憶部の一例に相当している。搬入タイマ値tin、搬出タイマ値tout、ジャム判定時間tj、及び切替監視時間tlmは、タイマ値の一例に相当している。
【0071】
設定値記憶部58に記憶されている情報は、上位コントローラ3からの指示に応じて上位コントローラ3へ送信可能とされ、上位コントローラ3からの指示に応じて変更可能とされている。
【0072】
搬入タイマ値tinは、上流のゾーンZから搬出されてきた搬送物を、自己のゾーンZの所定位置に搬送するまでモータ61の駆動を継続させるためにその継続時間を計時するタイマのタイマ値である。
【0073】
搬出タイマ値toutは、自己のゾーンZの搬送物を下流のゾーンZに搬出する際に、自己のゾーンZから搬送物を完全に送り出すまでモータ61の駆動を継続させるためにその継続時間を計時するタイマのタイマ値である。
【0074】
ジャム判定時間tjは、在荷センサ8が搬送物を検出している時間に基づきジャムエラー(荷詰まり)を判定するための判定時間である。切替監視時間tlmは、方向転換モジュールMtにおける方向切り替えの異常を判定するための判定時間である。
【0075】
モータ接続情報は、自己のゾーンZが備える一又は複数のモータブロック60において、それぞれのコネクタCN1に対して、モータ61が接続されるべきか否かを示す情報である。便宜上、例えば各コネクタCN1にポート番号1,2・・・が付与されているとすると、ポート番号1に対応してモータ61を接続すべき、ポート番号2に対応してモータ61の接続無し、のようにコネクタCN1に対して、モータ61が接続されるべきか否かを示している。
【0076】
ローカルアドレス情報は、自己のゾーンに隣接する他のゾーンZに付与されたアドレスを示す情報である。
【0077】
方向設定情報記憶部55には、自己のゾーンの出入口方向毎に、搬送を行うか否かを設定する方向設定情報が予め記憶されている。具体的には、方向転換モジュールMtは、構造上、方向D1,D2,D3,D4の四方向の出入口へ、搬送方向を切り替え可能とされている。
【0078】
例えば図1に示すゾーンZ5であれば、搬送物を逆送しないのであれば方向D1は搬送を行わない設定とする。ゾーンZ6,Z8が連結されている方向D2,D3は搬送を行なう設定とし、他のゾーンZが連結されていない方向D4は搬送を行わない設定とする。
【0079】
同様に、図1に示すゾーンZ7であれば、搬送物を逆送しないのであれば方向D1は搬送を行わない設定とする。ゾーンZ10が連結されている方向D3は搬送を行なう設定とし、他のゾーンZが連結されていない方向D2,D4は搬送を行わない設定とする。このような設定が方向設定情報として予め方向転換モジュールMtの方向設定情報記憶部55に記憶されている。
【0080】
なお、上記搬送を行なう設定は、搬入する、搬出する、というように、搬入、搬出の方向を含めて搬送を行う設定であってもよい。この場合、ゾーンZ7であれば、方向D1は搬入を行なう設定であってもよい。
【0081】
また、方向設定情報記憶部55を、直進搬送モジュールMsのローカルコントローラZCにも備えていてもよい。直進搬送モジュールMsのローカルコントローラZCが方向設定情報記憶部55を備える場合、例えばゾーンZ2であれば、ゾーンZ2のローカルコントローラZCの方向設定情報記憶部55には、方向D1は搬入を行なう設定、方向D2は搬出を行なう設定が記憶されていてもよい。
【0082】
プログラム記憶部59には、制御部50が実行するためのプログラムと、プログラム記憶部59に記憶されているプログラムが第一プログラムP1なのか第二プログラムP2なのか、そのプログラムを識別するプログラム識別情報とが予め記憶されている。
【0083】
直進搬送モジュールMsのプログラム記憶部59には、第一プログラムP1と、第一プログラムP1を示すプログラム識別情報とが記憶される。後述する方向転換モジュールMtのプログラム記憶部59には、第二プログラムP2と、第二プログラムP2を示すプログラム識別情報とが記憶される。プログラム識別情報は、例えばプログラムの名前であってもよく、コード番号や記号であってもよい。
【0084】
直進搬送モジュールMsのローカルコントローラZCと、方向転換モジュールMtのローカルコントローラZCとは、同じハードウェアを用いている。ローカルコントローラZCは、プログラム記憶部59に第一プログラムP1を記憶させることで、直進搬送モジュールMs用のローカルコントローラZCとして機能し、プログラム記憶部59に第二プログラムP2を記憶させることで、方向転換モジュールMt用のローカルコントローラZCとして機能するようになっている。
【0085】
制御部50は、例えば所定の演算処理を実行するCPU、データを一時的に記憶するRAM、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子、タイマ回路、及びこれらの周辺回路等を用いて構成されている。上述のRAM等によって状態記憶部54が構成され、不揮発性の記憶素子等によって設定値記憶部58、方向設定情報記憶部55、及びプログラム記憶部59が構成されている。方向転換モジュールMtの不揮発性の記憶素子等は、方向設定情報記憶部55としても用いられる。
【0086】
そして、制御部50は、第一プログラムP1を実行することによって駆動制御部51a、及びモータ接続検出部53として機能し、第二プログラムP2を実行することによって駆動制御部51b、及びモータ接続検出部53として機能する。以下、駆動制御部51a,51bを総称して駆動制御部51と称する。
【0087】
駆動制御部51は、モータ駆動回路62を介してモータ61の駆動を制御することによって、自己のゾーンZによる搬送物の搬送を制御する。以下、駆動制御部51がモータ駆動回路62を介してモータ61を駆動させることを、単に、駆動制御部51がモータ61を駆動すると記載する。
【0088】
また、駆動制御部51は、自己のゾーンの搬送方向下流側に隣接する他のゾーンから、搬送物の搬入を許可する旨の搬入許可信号を受信したとき、状態記憶部54へ、搬入許可有を示す許可情報を記憶する。搬入許可信号が受信されなければ状態記憶部54には、搬入許可無を示す許可情報が記憶されている。
【0089】
駆動制御部51は、自己のゾーンの搬送方向上流側に隣接する他のゾーンからの搬送物の搬出を要求する旨の搬出要求信号を受信したとき、状態記憶部54へ、搬出要求有を示す要求情報を記憶する。搬出要求信号が受信されなければ状態記憶部54には、搬出要求無を示す要求情報が記憶されている。
【0090】
駆動制御部51は、自己のゾーンZの在荷センサ8がオフし、かつ搬出要求が有のとき、モータ61を駆動して、上流から搬出されてきた搬送物を自己のゾーンZに搬入する。
【0091】
駆動制御部51は、自己のゾーンZの在荷センサ8がオンし、かつ搬入許可が有のとき、モータ61を駆動して、自己のゾーンZの搬送物を下流側のゾーンZに搬出する。このとき、搬出要求も有であった場合には、自己のゾーンZの搬送物を下流側のゾーンZに搬出しつつ、上流から搬出されてきた搬送物を自己のゾーンZに搬入することになる。
【0092】
駆動制御部51bは、さらに、主搬送コンベヤ11の駆動ローラ15、副搬送コンベヤ12のローラ16、及び昇降コントローラ21を制御することによって、各方向への搬送を制御する。
【0093】
駆動制御部51は、上記の搬送制御を、設定値記憶部58に記憶された搬入タイマ値tin及び搬出タイマ値toutに基づいて実行する。また、駆動制御部51は、設定値記憶部58に記憶されたジャム判定時間tjに基づきジャムエラーを判定し、ジャムエラーが発生した場合、モータ61を停止させて搬送物の搬送を停止する。
【0094】
駆動制御部51bは、切替監視時間tlmに基づいて、方向転換モジュールMtにおける方向切り替えの異常を判定し、方向切り替え動作で異常が発生した場合、モータ61を停止させて搬送物の搬送を停止する。
【0095】
搬入タイマ値tin、搬出タイマ値tout、ジャム判定時間tj、及び切替監視時間tlmの値が不適切な場合、駆動制御部51は、適切な搬送制御を実行することができず、搬送物の搬送が停止してしまうおそれがある。
【0096】
上位コントローラ3の初期値記憶部39には、搬入タイマ値tin、搬出タイマ値tout、ジャム判定時間tj、及び切替監視時間tlmの適切な値が、初期搬入タイマ値tin0、初期搬出タイマ値tout0、初期ジャム判定時間tj0、及び初期切替監視時間tlm0として予め記憶されている。初期搬入タイマ値tin0、初期搬出タイマ値tout0、初期ジャム判定時間tj0、及び初期切替監視時間tlm0は、初期タイマ値の一例に相当している。
【0097】
直進搬送モジュールMs(図8)では、モータ61は、駆動ローラ5aを駆動する(駆動ローラ5aに内蔵される)モータである。図8ではモータブロック60を一つ記載しているが、モータブロック60は搬送駆動用のモータ61の数だけ設けられ、駆動ローラ5aを二つ備える第二直進ゾーンではモータブロック60は二つ設けられる。
【0098】
なお、第一直進ゾーンであっても、モータブロック60におけるモータ61以外の部分は予め複数備えておき、必要に応じてモータ61のみ増減する構成としてもよい。これにより、使用されるモータ61の数が異なるゾーンZに対しても、モータブロック60のモータ61以外の部分の共用化率が向上する。
【0099】
方向転換モジュールMt(図9)は、モータブロック60を二つ備えている。一方のモータブロック60のモータ61は主搬送コンベヤ11の駆動ローラ15を駆動するモータであり、他方のモータブロック60のモータ61は副搬送コンベヤ12のローラ16を駆動するモータである。
【0100】
モータ駆動回路62は、いわゆるモータドライバ回路である。モータ駆動回路62は、制御部50からの制御信号に応じてモータ61を駆動する。
【0101】
図10は、図8図9に示すモータブロック60を、模式的に示した説明図である。モータ61の一方の端子はコネクタCN1の端子T1を介してモータ駆動回路62と接続され、モータ61の他方の端子はコネクタCN1の端子T2を介してモータ駆動回路62と接続されている。
【0102】
モータ駆動回路62は、コネクタCN2の端子T6,T7と、電源ケーブルCBL1又は電源ケーブルCBL2とを介して電源部PS1又は電源部PS2と接続されている。モータ駆動回路62は、電源部PS1又は電源部PS2から供給された駆動用電源電圧Vdを、制御部50からの制御信号に応じてスイッチング等してモータ61へ供給する。
【0103】
図10では、モータ61を軸方向と垂直に切断し、モータ61の回転子61aの外周面側の極性を、N,Sで示している。ホール素子H1,H3は、回転子61aの同じ極性の磁石と対向し、ホール素子H2は、ホール素子H1,H3とは異なる極性の磁石と対向するように配置されている。ホール素子H1,H2,H3は、コネクタCN1の端子T3,T4,T5を介して制御部50と接続されている。
【0104】
これにより、例えばホール素子H1,H2,H3が、N極を検知した場合にHレベルを出力する場合、図10の状態では、ホール素子H1,H2,H3の出力信号は(H,L,H)となる。モータ61が回転すると、ホール素子H1,H2,H3の出力信号は、(L,H,L)、(H,L,H)、(L,H,L)、(H,L,H)・・・のように、(H,L,H)の信号パターンと、(L,H,L)の信号パターンとを交互に繰り返すことになる。なお、ホール素子H1,H2,H3は、S極を検知した場合にHレベルを出力するものであってもむろんよい。
【0105】
モータ接続検出部53は、ホール素子H1,H2,H3がすべて同じ信号であった場合、すなわち信号パターンが(L,L,L)又は(H,H,H)であった場合、コネクタCN1が接続されていないと判定する。すなわち、コネクタCN1が接続され、ホール素子H1,H2,H3の出力信号が制御部50へ出力された場合、ホール素子H1,H2,H3の出力信号は、(H,L,H)又は(L,H,L)のいずれかになるはずである。従って、ホール素子H1,H2,H3の出力信号がすべて同じ信号であった場合、モータ接続検出部53は、モータ61のコネクタCN1が接続されていないと判定することができる。
【0106】
なお、モータ61のコネクタCN1が接続されていない場合には、コネクタCN1の接触不良も含まれる。
【0107】
方向転換モジュールMtの昇降コントローラ21は、いわゆるマイクロコンピュータを用いて構成されている。昇降コントローラ21は、制御部50からの搬送方向の指示を示す方向指示信号に応じて昇降モータ19を駆動することにより、方向転換モジュールMtを、直進姿勢と方向転換姿勢との間で姿勢変更させる。昇降コントローラ21は、姿勢変更が完了した後、搬送方向の切り替えが行われたことを示す切替応答信号を制御部50へ出力する。
【0108】
昇降コントローラ21は、切替応答信号出力部の一例に相当している。切替応答信号は、変更後の搬送方向、すなわち主搬送コンベヤ11と副搬送コンベヤ12のうちどちらが上になっているかの姿勢を示す信号を兼ねていてもよい。
【0109】
駆動制御部51bは、方向指示信号が出力された後、切替監視時間tlmが経過するまでに切替応答信号が受信されなかった場合、ジャムエラーとして搬送を停止する。
【0110】
次に、上述のように構成されたコンベヤシステム1の動作について説明する。図11図18は、本発明の一実施形態に係る原因情報報知装置用のプログラムを用いたコンベヤシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0111】
まず、例えばコンベヤ装置2に積載された搬送物が、搬送されずに止まっていた場合、ユーザは、その原因を調査するべく搬送物が止まっているゾーンZを、キーボード35又はマウス36等を操作して選択する(ステップS1でYES)。
【0112】
次に、上位コントローラ3の報知処理部302は、ステップS1で選択された対象ゾーンの種類をレイアウト情報記憶部38に記憶されたゾーン種別情報を参照して特定し、対象ゾーンの種類と、対象ゾーンのプログラム記憶部59に記憶されたプログラム識別情報とを手掛情報として取得する(ステップS2:(a1))。
【0113】
なお、報知処理部302は、必ずしもレイアウト情報記憶部38に記憶されたゾーン種別情報を参照する例に限られず、直接対象ゾーンのローカルコントローラZCをアクセスして、対象ゾーンの種類を取得してもよい。
【0114】
次に、報知処理部302は、ステップS2で得られた対象ゾーンの種類と、プログラム識別情報で識別されるプログラムとの対応関係が整合しないことを判定条件として判定する(ステップS3:(a2))。
【0115】
そして、ステップS3の判定条件が満たされたとき、すなわち対象ゾーンの種類と、プログラム識別情報で識別されるプログラムとの対応関係が整合しなかったとき(ステップS4でYES)、報知処理部302は、対象ゾーンのプログラム記憶部59に記憶されたプログラムに関する情報を、原因情報として報知する(ステップS5(a3))。
【0116】
報知処理部302による報知は、例えばディスプレイ34に表示したり、通信により外部に送信したり等、種々の報知方法によって行うことができる。以下の報知においても同様である。
【0117】
対象ゾーンのプログラム記憶部59に記憶されたプログラムに関する情報としては、例えば第一プログラムP1、第二プログラムP2というような、対象ゾーンのプログラム記憶部59に記憶されたプログラムの名称、対象ゾーンのプログラム記憶部59に記憶されたプログラムが不適切である旨のメッセージ、対象ゾーンのプログラム記憶部59へ正しいプログラムを記憶させるようにユーザに対応を案内するメッセージ等、種々の情報を原因情報として報知することができる。
【0118】
上述したように、プログラム記憶部59には、そのゾーンの種類に対応したプログラムが記憶される必要がある。例えば直進ゾーンに対応して第一プログラムP1、方向転換ゾーンに対応して第二プログラムP2が、プログラム記憶部59に記憶される必要がある。この対応関係が誤っていた場合、ローカルコントローラZCは正常に機能せず、従ってそのゾーンZでは搬送物を搬送することができずに停止してしまうおそれがある。
【0119】
従って、対象ゾーンの種類と、プログラム識別情報で識別されるプログラムとの対応関係が整合しなかったとき(ステップS4でYES)、対象ゾーンのプログラム記憶部59に記憶されたプログラムに関する情報を原因情報として報知する(ステップS5(a3))ことによって、コンベヤ装置2が停止した場合に、ユーザに対して、その原因に関連する情報を知らせることができる。その結果、ユーザがコンベヤ停止の原因を解消することが容易となる。
【0120】
一方、ステップS4において、判定条件が満たされなかったとき、すなわち対象ゾーンの種類と、プログラム識別情報で識別されるプログラムとの対応関係が整合したとき(ステップS4でNO)、報知処理部302は、他の原因を調べるべくステップS11へ処理を移行する。
【0121】
ステップS11において、報知処理部302は、対象ゾーンの設定値記憶部58に記憶されたローカルアドレス情報と、レイアウト情報記憶部38に記憶された配置情報及び各ゾーンのアドレスとを手掛情報として取得する(ステップS11:(b1))。
【0122】
まず、各ゾーンZの設定値記憶部58に記憶されているローカルアドレス情報について説明する。図19は、ゾーンZ5の設定値記憶部58に記憶されているローカルアドレス情報A5の一例を示す表形式の説明図である。
【0123】
ゾーンZ5は、図1に示すように、方向D1側にゾーンZ4が隣接し、方向D2側にゾーンZ6が隣接し、方向D3側にゾーンZ8が隣接している。ローカルアドレス情報A5は、このようなゾーンZの配置に対応して、隣接方向D1とアドレス4、隣接方向D2とアドレス6、隣接方向D3とアドレス8とを対応付けている。他のゾーンZのローカルアドレス情報も、ローカルアドレス情報A5と同様、自ノードに対する隣接方向と、隣接する他のゾーンZのアドレスとを対応付ける。
【0124】
なお、図19では、送信用と受信用とを分けずに表しているが、ローカルアドレス情報は、送信用のデータテーブルと受信用のデータテーブルとから構成されていてもよい。
【0125】
次に、報知処理部302は、ローカルアドレス情報と、配置情報及び各ゾーンのアドレスとが整合していないことを判定条件として判定する(ステップS12:(b2))。
【0126】
レイアウト情報記憶部38には、図1に示すような、ゾーンZ1~Z11の配置を示す配置情報と、ゾーンZ1~Z11のアドレス1~11を示すアドレス情報とが記憶されている。従って、報知処理部302は、例えば対象ゾーンがゾーンZ5であった場合、図19に示すローカルアドレス情報A5と、図1に示すような配置情報及びアドレス情報とを照合することによって、整合性を判定することができる。
【0127】
そして、判定条件が満たされたとき、すなわちローカルアドレス情報と、配置情報及び各ゾーンのアドレスとが整合しないとき(ステップS13でYES)、対象ゾーンのローカルアドレス情報に関する情報を、報知処理部302は、原因情報として報知する(ステップS14:(b3))。
【0128】
対象ゾーンのローカルアドレス情報に関する情報は、例えば対象ゾーンの設定値記憶部58に記憶されているローカルアドレス情報そのものであってもよく、対象ゾーンのローカルアドレス情報が不適切である旨のメッセージであってもよく、対象ゾーンのローカルアドレス情報の修正をユーザに案内するメッセージであってもよく、種々の情報を原因情報として報知することができる。
【0129】
各ゾーンZのローカル通信部57は、自己のゾーンの設定値記憶部58を参照し、設定値記憶部58に記憶されているローカルアドレス情報に基づいて、他のゾーンZと通信を行う。そのため、自己のゾーンのローカルアドレス情報が不適切であると、ローカル通信部57は、他のゾーンZとの間の通信で、タイムアウトが発生したり、誤ったレスポンスが返信されるなどして正常に通信を行うことができない。
【0130】
ローカル通信部57は、他のゾーンZと通信を行った結果、正常に通信できたか否かを示す通信ステータス情報を駆動制御部51へ送信し、駆動制御部51は、その通信ステータス情報を状態記憶部54に記憶させる。
【0131】
駆動制御部51は、他のゾーンZと通信を行うことができないと、上流ゾーンからの搬出要求や、下流ゾーンからの搬入許可等を受信することができず、従って搬送が停止してしまう。
【0132】
従って、ローカルアドレス情報と、配置情報及び各ゾーンのアドレスとが整合しないとき(ステップS13でYES)、対象ゾーンのローカルアドレス情報に関する情報を、原因情報として報知する(ステップS14:(b3))ことによって、コンベヤ装置2が停止した場合に、ユーザに対して、その原因に関連する情報を知らせることができる。その結果、ユーザがコンベヤ停止の原因を解消することが容易となる。
【0133】
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて自動修正の指示を入力すると(ステップS15でYES)、自動修正部303は、レイアウト情報記憶部38に記憶された配置情報及び各ゾーンのアドレスとに基づいて対象ゾーンのローカルアドレス情報を新たに生成する(ステップS16:(b4))。
【0134】
図1に示すような配置情報及びアドレス情報によれば、例えば対象ゾーンがゾーンZ5の場合、方向D1側にアドレス4のゾーンZ4が隣接し、方向D2側にアドレス6のゾーンZ6が隣接し、方向D3側にアドレス8のゾーンZ8が隣接していることが判る。従って、自動修正部303は、図19に示す正しいローカルアドレス情報A5を、レイアウト情報記憶部38に記憶された配置情報及び各ゾーンのアドレスとに基づいて生成することができる。
【0135】
次に、自動修正部303は、ステップS16で生成された新たなローカルアドレス情報を対象ゾーンの設定値記憶部58に新たなローカルアドレス情報として記憶させる(ステップS17:(b4))。
【0136】
ステップS16,S17によれば、コンベヤ停止の発生原因を自動的に解消することができる。
【0137】
一方、ステップS13において、判定条件が満たされなかったとき、すなわちローカルアドレス情報と、配置情報及び各ゾーンのアドレスとが整合したとき(ステップS13でNO)、報知処理部302は、他の原因を調べるべくステップS21へ処理を移行する。
【0138】
ステップS21において、報知処理部302は、例えば対象ゾーンの状態記憶部54をアクセスし、状態記憶部54に記憶された通信ステータス情報を参照することによって、対象ゾーンのローカルコントローラZCが、対象ゾーンに隣接する他のゾーンのローカルコントローラZCとの間で正常に通信が実行されたか否かを示す情報を手掛情報として取得する(ステップS21:(c1))。
【0139】
次に、報知処理部302は、ステップS21で得られた手掛情報が、正常に通信が実行されていないことを示すことを判定条件として判定する(ステップS22:(c2))。
【0140】
そして、判定条件が満たされたとき、すなわち正常に通信が実行されていないとき(ステップS23でYES)、報知処理部302は、対象ゾーンのローカルコントローラZCの通信に関する情報を、原因情報として報知する(ステップS24:(c3))。
【0141】
対象ゾーンのローカルコントローラZCの通信に関する情報は、例えばローカルコントローラZCのローカル通信部57が不良である旨のメッセージであってもよく、通信ケーブル4の不良である旨のメッセージであってもよく、対象ゾーンのローカルコントローラZCの通信に関する種々の情報を原因情報として報知することができる。
【0142】
これにより、コンベヤ装置2が停止した場合に、ユーザに対して、その原因に関連する情報を知らせることができる。その結果、ユーザがコンベヤ停止の原因を解消することが容易となる。
【0143】
一方、ステップS23において、判定条件が満たされなかったとき、すなわち通信が正常に実行されていたとき(ステップS23でNO)、報知処理部302は、他の原因を調べるべくステップS31へ処理を移行する。
【0144】
ステップS31において、報知処理部302は、対象ゾーンのローカルコントローラZCをアクセスし、対象ゾーンのモータ接続検出部53による検出結果と、対象ゾーンの設定値記憶部58に記憶されたモータ接続情報とを手掛情報として取得する(ステップS31:(d1))。
【0145】
次に、報知処理部302は、モータ接続検出部53によってモータが接続されていることが検出されたコネクタCN1に対して、モータ接続情報が、モータが接続されるべきでないことを示すことを判定条件として判定する(ステップS32:(d2))。
【0146】
そして、判定条件が満たされたとき、すなわちモータ61の接続有とされているコネクタCN1に対して、モータが接続されるべきでない設定がされているとき(ステップS33でYES)、報知処理部302は、対象ゾーンのモータ接続情報に関する情報を、原因情報として報知する(ステップS34:(d3))。
【0147】
対象ゾーンのモータ接続情報に関する情報は、例えば、対象ゾーンの設定値記憶部58に記憶されたモータ接続情報そのものであってもよく、対象ゾーンの設定値記憶部58に記憶されたモータ接続情報が不適切である旨のメッセージであってもよく、対象ゾーンのモータ接続情報に関する種々の情報を原因情報として報知することができる。
【0148】
駆動制御部51は、モータ61の駆動制御を行う際に、設定値記憶部58に記憶されたモータ接続情報を参照し、モータ61が接続されるべき設定がされているポート(コネクタCN1)のモータ61のみを制御対象とし、モータ61が接続されるべき設定がされていポート(コネクタCN1)のモータ61は制御しない。そのため、モータ61の接続有とされているコネクタCN1に対して、モータが接続されるべきでない設定がされている場合(ステップS33でYES)、そのコネクタCN1に接続されているモータ61は駆動制御部51によって駆動されず、従ってそのモータ61による搬送は行われない。
【0149】
従って、モータ61の接続有とされているコネクタCN1に対して、モータが接続されるべきでない設定がされている場合(ステップS33でYES)、対象ゾーンのモータ接続情報に関する情報を、原因情報として報知する(ステップS34:(d3))ことによって、ユーザに対して、コンベヤ装置2が停止している原因に関連する情報を知らせることができる。その結果、ユーザがコンベヤ停止の原因を解消することが容易となる。
【0150】
一方、ステップS33において、判定条件が満たされなかったとき、すなわちモータ61の接続有とされているコネクタCN1に対して、モータが接続されるべき設定がされている場合(ステップS33でNO)、報知処理部302は、他の原因を調べるべくステップS41へ処理を移行する。
【0151】
ステップS41において、報知処理部302は、対象ゾーンの設定値記憶部58にアクセスし、その設定値記憶部58に記憶されたタイマ値と、上位コントローラ3の初期値記憶部39に記憶された初期タイマ値とを手掛情報として取得する(ステップS41:(e1))。
【0152】
次に、報知処理部302は、ステップS41で得られた対象ゾーンのタイマ値と、初期タイマ値とが一致しないことを判定条件として判定する(ステップS42:(e2))。
【0153】
そして、判定条件が満たされたとき、すなわち対象ゾーンのタイマ値と、初期タイマ値とが一致しないとき(ステップS43でYES)、対象ゾーンのタイマ値に関する情報を、原因情報として報知する(ステップS44:(e3))。
【0154】
対象ゾーンのタイマ値に関する情報は、対象ゾーンの設定値記憶部58に記憶されているタイマ値(搬入タイマ値tin、搬出タイマ値tout、ジャム判定時間tj、切替監視時間tlm)そのものであってもよく、タイマ値のうちいずれかが不適切である旨のメッセージであってもよく、対象ゾーンのタイマ値に関する種々の情報を原因情報として報知することができる。
【0155】
上述したように、タイマ値の値が不適切な場合、駆動制御部51は、適切な搬送制御を実行することができず、搬送物の搬送が停止してしまうおそれがある。
【0156】
従って、対象ゾーンのタイマ値と、初期タイマ値とが一致しないとき(ステップS43でYES)は、対象ゾーンのタイマ値が不適切である可能性があることから、対象ゾーンのタイマ値に関する情報を、原因情報として報知する(ステップS44:(e3))ことによって、コンベヤ装置2が停止した場合に、ユーザに対して、その原因に関連する情報を知らせることができる。その結果、ユーザがコンベヤ停止の原因を解消することが容易となる。
【0157】
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて自動修正の指示を入力すると(ステップS45でYES)、自動修正部303は、対象ゾーンの設定値記憶部58に、初期値記憶部39に記憶された初期タイマ値を新たなタイマ値として記憶させる(ステップS46:(e4))。これにより、コンベヤ停止の発生原因を自動的に解消することができる。
【0158】
一方、ステップS43において、判定条件が満たされなかったとき、すなわち対象ゾーンのタイマ値と、初期タイマ値とが一致するとき(ステップS43でNO)、報知処理部302は、他の原因を調べるべくステップS50へ処理を移行する。
【0159】
ステップS50において、報知処理部302は、対象ゾーンの種類をレイアウト情報記憶部38に記憶されたゾーン種別情報を参照して特定し、対象ゾーンが方向転換ゾーンか否かを確認する(ステップS50)。なお、報知処理部302は、必ずしもレイアウト情報記憶部38に記憶されたゾーン種別情報を参照する例に限られず、直接対象ゾーンのローカルコントローラZCをアクセスして、対象ゾーンの種類を取得してもよい。
【0160】
対象ゾーンが方向転換ゾーンでなかった場合(ステップS50でNO)、報知処理部302は、他の原因を調べるべくステップS61へ処理を移行する。
【0161】
一方、対象ゾーンが方向転換ゾーンであった場合(ステップS50でYES)、報知処理部302は、対象ゾーンの方向設定情報記憶部55に記憶された方向設定情報と、レイアウト情報記憶部38に記憶された配置情報とを手掛情報として取得する(ステップS51:(f1))。
【0162】
次に、報知処理部302は、対象ゾーンの方向設定情報と配置情報とが整合しないことを判定条件として判定する(ステップS52:(f2))。図1に示すゾーン配置を示す配置情報であれば、例えばゾーンZ5には、方向D2,D3にゾーンZ6,Z8が連結され、方向D4には他のゾーンZが連結されていないから、ゾーンZ5の方向設定情報は、方向D2,D3に搬送を行なう設定がされ、方向D4に行なわない設定がされている必要がある。
【0163】
従って、ゾーンZ5の方向設定情報が、方向D2,D3に搬送を行なう設定がされ、方向D4に行なわない設定がされている場合、方向設定情報と配置情報とが整合し、このような設定がされていない場合、方向設定情報と配置情報とが整合しないことになる。方向設定情報で、例えば方向D2に搬送を行なう設定がされていない場合、ゾーンZ5では方向D2への搬送が行われないために搬送が停止することになる。
【0164】
そして、判定条件が満たされたとき、すなわち対象ゾーンの方向設定情報と配置情報とが整合しないとき(ステップS53でYES)、報知処理部302は、対象ゾーンの方向設定情報に関する情報を、原因情報として報知する(ステップS54:(f3))。
【0165】
対象ゾーンの方向設定情報に関する情報は、例えば対象ゾーンの方向設定情報そのものであってもよく、対象ゾーンの方向設定情報が不適切である旨のメッセージであってもよく、対象ゾーンの方向設定情報の修正をユーザに案内するメッセージであってもよく、種々の情報を原因情報として報知することができる。
【0166】
これにより、ユーザに対して、その原因に関連する情報を知らせることができる。その結果、ユーザがコンベヤ停止の原因を解消することが容易となる。
【0167】
なお、直進搬送モジュールMsのローカルコントローラZCが方向設定情報記憶部55を備える場合、ステップS50を実行せず、ステップS43でNOのときステップS51へ処理を移行してもよい。これにより、対象ゾーンが直進ゾーンの場合にも、方向設定情報が適切に設定されているか否かを確認することができる。
【0168】
そして、例えばユーザがキーボード35又はマウス36を用いて自動修正の指示を入力すると(ステップS55でYES)、自動修正部303は、レイアウト情報記憶部38に記憶された配置情報に基づいて対象ゾーンの方向設定情報を新たに生成する(ステップS56:(f4))。
【0169】
図1に示すような配置情報によれば、例えば対象ゾーンがゾーンZ5の場合、方向D1側には逆走せず、方向D2側にアドレス6のゾーンZ6が隣接し、方向D3側にアドレス8のゾーンZ8が隣接していることが判る。従って、報知処理部302は、ゾーンZ5について、方向D2,D3は搬送を行なう設定とし、方向D1,D4は搬送を行なわない設定の方向設定情報を新たに生成することができる。
【0170】
次に、自動修正部303は、ステップS56で生成された新たな方向設定情報を対象ゾーンの設定値記憶部58に新たな方向設定情報として記憶させる(ステップS57:(f4))。
【0171】
ステップS56,S57によれば、コンベヤ停止の発生原因を自動的に解消することができる。
【0172】
一方、ステップS53において、判定条件が満たされなかったとき、すなわち対象ゾーンの方向設定情報と配置情報とが整合するとき(ステップS53でNO)、報知処理部302は、他の原因を調べるべくステップS61へ処理を移行する。
【0173】
ステップS61において、報知処理部302は、対象ゾーンの状態記憶部54に記憶されている許可情報を手掛情報として取得する(ステップS61:(g1))。
【0174】
次に、報知処理部302は、ステップS61で得られた許可情報が許可無を示すことを判定条件として判定する(ステップS62:(g2))。
【0175】
そして、判定条件が満たされたとき、すなわち対象ゾーンの許可情報が許可無を示すとき(ステップS63でYES)、報知処理部302は、対象ゾーンの許可情報に関する情報を、原因情報として報知する(ステップS64:(g3))。
【0176】
対象ゾーンの許可情報に関する情報は、例えば、対象ゾーンの状態記憶部54に記憶されている許可情報そのものであってもよく、対象ゾーンの下流ゾーンから搬入許可が得られていない旨のメッセージであってもよく、対象ゾーンの許可情報に関する種々の情報を原因情報として報知することができる。
【0177】
駆動制御部51は、上述のように、自己のゾーンZの在荷センサ8がオンし、かつ搬入許可が有のとき、モータ61を駆動して自己のゾーンZの搬送物を下流側のゾーンZに搬出するから、許可情報が搬入許可無を示すとき(ステップS63でYES)、自己のゾーンZの在荷センサ8がオンしていても、搬送物が搬出されない。
【0178】
従って、許可情報が搬入許可無を示すとき(ステップS63でYES)、対象ゾーンの許可情報に関する情報を原因情報として報知する(ステップS64:(g3))ことによって、ユーザに対して、コンベヤ装置2が停止している原因に関連する情報を知らせることができる。その結果、ユーザがコンベヤ停止の原因を解消することが容易となる。
【0179】
一方、ステップS63において、判定条件が満たされなかったとき、すなわち対象ゾーンの許可情報が搬入許可有を示すとき(ステップS63でNO)、報知処理部302は、他の原因を調べるべくステップS71へ処理を移行する。
【0180】
ステップS71において、報知処理部302は、対象ゾーンの状態記憶部54に記憶されている要求情報を手掛情報として取得する(ステップS71:(h1))。
【0181】
次に、報知処理部302は、ステップS71で得られた要求情報が搬出要求無を示すことを判定条件として判定する(ステップS72:(h2))。
【0182】
そして、判定条件が満たされたとき、すなわち対象ゾーンの要求情報が搬出要求無を示すとき(ステップS73でYES)、報知処理部302は、対象ゾーンの要求情報に関する情報を、原因情報として報知し(ステップS74:(h3))、処理を終了する。
【0183】
対象ゾーンの要求情報に関する情報は、例えば、対象ゾーンの状態記憶部54に記憶されている要求情報そのものであってもよく、対象ゾーンの上流ゾーンから搬出要求が得られていない旨のメッセージであってもよく、対象ゾーンの要求情報に関する種々の情報を原因情報として報知することができる。
【0184】
駆動制御部51は、上述のように、自己のゾーンZの在荷センサ8がオフし、かつ搬出要求が有のとき、モータ61を駆動して、上流から搬出されてきた搬送物を自己のゾーンZに搬入するから、要求情報が搬出要求無を示すとき(ステップS73でYES)、自己のゾーンZの在荷センサ8がオフしていても、搬送物が搬入されない。
【0185】
従って、対象ゾーンの要求情報が搬出要求無を示すとき(ステップS73でYES)、対象ゾーンの要求情報に関する情報を原因情報として報知する(ステップS74:(h3))ことによって、ユーザに対して、コンベヤ装置2が停止している原因に関連する情報を知らせることができる。その結果、ユーザがコンベヤ停止の原因を解消することが容易となる。
【0186】
ステップS1~S74によれば、搬送物が搬送されない原因のうち、設定値記憶部58、プログラム記憶部59、及び方向設定情報記憶部55に記憶されている設定値やプログラム等の情報が不適切であったり、通信できなかったりというような、コンベヤシステム1自体に何らかの問題がある事象に関する判定が、ステップS1~S57で先に優先的に判断される。その後、ステップS61~S71で、異常の有無に関わらず、駆動制御部51が搬送を実行するための条件が成立しているか否かが判断されるので、コンベヤ装置2が停止している原因に関連する情報を、効率よく、ユーザに報知することができる。
【0187】
なお、ステップS11~S74を実行しなくてもよく、ステップS1でYESの後ステップS11~S17を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS11~S14を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS21~S24を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS31~S34を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS41~S46を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS41~S44を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS50~S57を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS50~S54を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS61~S64を実行してもよく、ステップS1でYESの後ステップS71~S74を実行してもよく、これらの実行順序を入れ替えてもよい。
【0188】
解析履歴記録処理部304は、ステップS2,S11,S21,S31,S41,S51,S61,S71で得られた手掛情報と、ステップS3~S4,S12~S13,S22~S23,S32~S33,S42~S43,S52~S53,S62~S63,S72~S73で得られた判定条件の判定結果とを対応付けて、解析履歴記憶部40に解析履歴として累積的に記憶させる。
【0189】
このようにして解析履歴記憶部40に記憶された解析履歴は、搬送物が搬送されない原因の解析に用いることができ、コンベヤシステム1の改善に役立てることが容易である。
【0190】
このような構成のコンベヤシステム、原因情報報知装置、原因情報報知装置用のプログラム、及び原因情報報知装置用のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、コンベヤ装置が停止した場合に、その原因に関連する情報をユーザに知らせることが容易である。
【0191】
この出願は、2019年4月5日に出願された日本国特許出願特願2019-073018を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、本発明は、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではない。
【符号の説明】
【0192】
1 コンベヤシステム
2 コンベヤ装置
3 上位コントローラ(原因情報報知装置)
4 通信ケーブル
5 搬送ローラ
5a 駆動ローラ
5b 従動ローラ
6,6 サイドフレーム
7 伝動ベルト
8 在荷センサ
9 境界センサ
11 主搬送コンベヤ
12 副搬送コンベヤ
13 昇降装置
14 ベルト
15 駆動ローラ
16 ローラ
17 ベルト
18 直動カム
19 昇降モータ
20 ラックアンドピニオン機構
21 昇降コントローラ
30 演算部
34 ディスプレイ
35 キーボード(選択指示受付部)
36 マウス(選択指示受付部)
37 通信IF部
38 レイアウト情報記憶部(構成情報記憶部、配置情報記憶部)
39 初期値記憶部
40 解析履歴記憶部
50 制御部
51,51a,51b 駆動制御部
53 モータ接続検出部
54 状態記憶部
55 方向設定情報記憶部
57 ローカル通信部
58 設定値記憶部(ローカル通信設定記憶部、モータ接続情報記憶部、タイマ値記憶部)
59 プログラム記憶部
60 モータブロック
61 モータ
61a 回転子
62 モータ駆動回路
301 搬送制御部
302 報知処理部
303 自動修正部
304 解析履歴記録処理部
CBL1,CBL2 電源ケーブル
CN1,CN2 コネクタ
D1,D2,D3,D4 方向
H1,H2,H3 ホール素子
M,M1~M11 搬送モジュール
Ms,Ms1,Ms2 直進搬送モジュール
Mt 方向転換モジュール
P1 第一プログラム
P2 第二プログラム
PS1,PS2 電源部
T1~T7 端子
tin 搬入タイマ値(タイマ値)
tin0 初期搬入タイマ値(初期タイマ値)
tj ジャム判定時間(タイマ値)
tj0 初期ジャム判定時間(初期タイマ値)
tlm 切替監視時間(タイマ値)
tlm0 初期切替監視時間(初期タイマ値)
tout 搬出タイマ値(タイマ値)
tout0 初期搬出タイマ値(初期タイマ値)
Vd 駆動用電源電圧
W 搬送物
Z,Z1~Z11 ゾーン
ZC,ZC1~ZC11 ローカルコントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19