(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】生理用ナプキン装着具
(51)【国際特許分類】
A61F 13/74 20060101AFI20220729BHJP
A61F 13/76 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A61F13/74 100
A61F13/76
(21)【出願番号】P 2022009762
(22)【出願日】2022-01-25
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2021016193
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月5日,https://naplus.co.jp 令和3年2月5日,https://naplus.co.jp/tukekata.html 令和3年2月5日,https://naplus.co.jp/naplus-hiru21-25cm.html 令和3年2月5日,https://naplus.co.jp/naplus-yoru26-30.html 令和3年2月5日,https://naplus.co.jp/concept.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社AbemaTV,ABEMA的ニュースショー,令和3年11月14日 株式会社神戸新聞社,神戸新聞 令和3年11月10日付朝刊,第22面 株式会社神戸新聞社,令和3年11月10日,https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202111/0014830781.shtml
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521052861
【氏名又は名称】株式会社オフィスアン
(74)【代理人】
【識別番号】100166774
【氏名又は名称】右田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】清水 ゆかり
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-328201(JP,A)
【文献】特開2004-290546(JP,A)
【文献】実開平03-122825(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/74
A61F 13/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下着を着用することなく生理用ナプキンをユーザの股部に装着するための生理用ナプキン装着具であって、
一方向に長い板状をなし、ユーザが内腿で挟み込むことによってユーザの股部に保持される本体部と、
前記本体部の上面に配置され、生理用ナプキンを載置する載置部と、
前記本体部の幅方向の両端のそれぞれから突出し、前記ユーザの内腿に一面が対向するように前記本体部との境界部分において屈曲可能な一対の羽根部と、
前記一対の羽根部が前記本体部に対して屈曲された場合に、前記一対の羽根部の屈曲に対する反発力を生じる一対のバネ部と、
を備え、
前記一対のバネ部のそれぞれは、紙が折り曲げられて構成され、
前記境界部分において屈曲された前記一対の羽根部が前記ユーザの内腿を押圧することにより、前記本体部が前記股部に保持される、
生理用ナプキン装着具。
【請求項2】
前記一対のバネ部のそれぞれは、前記羽根部及び前記本体部の一方に固定された固定部と、前記羽根部が前記本体部に対して屈曲された場合に、前記羽根部及び前記本体部の他方に接触する接触部とを含む、
請求項
1に記載の生理用ナプキン装着具。
【請求項3】
前記固定部は、前記羽根部の下面に固定され、
前記接触部は、前記本体部の下面に接触する、
請求項
2に記載の生理用ナプキン装着具。
【請求項4】
前記一対の羽根部は、前記生理用ナプキンの羽根が接着される接着面を有し、
前記接着面は、凹凸加工されている、
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の生理用ナプキン装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理中にお風呂に入った後、脱衣場でタオルなどを用いて体を拭いている間に経血が床等に落ちてしまうことがある。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、しゃもじ型の内面の外周に粘着剤部分を有する、お風呂用生理ナプキンで、裏面は防水シートになっており、股下にはることによって、お風呂に入ることができる。月経が始まった小学生、中学生のためのお風呂用生理ナプキンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脱衣場にバスマットなどが敷かれている場合には経血でバスマットを汚してしまうことがあり、また、バスマット以外の床等やタオル、内腿等が汚れることも好ましいものではない。
【0006】
特許文献1に開示されたお風呂用生理ナプキンを用いれば、お風呂上がりにおいてバスマット、床、タオル、内脚等の汚れを防止することができる。その一方、多種多様な生理用ナプキンが市販されており、ユーザは吸水量、肌触り、サイズ等、自分の好みの製品を選択することができる。しかしながら、特許文献1に開示されたお風呂用生理ナプキンを使用すると、市販品の生理用ナプキンを用いることはできない。
【0007】
本発明の目的は、お風呂上がりにおいて、下着を着用する前に市販品の生理用ナプキンをユーザの股部に装着することができる生理用ナプキン装着具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る生理用ナプキン装着具は、下着を着用することなく生理用ナプキンをユーザの股部に装着するための生理用ナプキン装着具であって、一方向に長い板状をなし、ユーザが内腿で挟み込むことによってユーザの股部に保持される本体部と、前記本体部の上面に配置され、生理用ナプキンを載置する載置部と、前記本体部の幅方向の両端のそれぞれから突出し、前記ユーザの内腿に一面が対向するように前記本体部との境界部分において屈曲可能な一対の羽根部と、を備え、前記境界部分において屈曲された前記一対の羽根部が前記ユーザの内腿を押圧することにより、前記本体部が前記股部に保持される。これにより、ユーザは市販品の生理用ナプキンを生理用ナプキン装着具の載置部に載置し、生理用ナプキン装着具の本体部を内腿で挟み込むことによって、下着(パンティ、ショーツ)を着用する前に生理用ナプキンを股部に装着することができる。
【0009】
前記生理用ナプキン装着具は、前記一対の羽根部が前記本体部に対して屈曲された場合に、前記一対の羽根部の屈曲に対する反発力を生じる一対のバネ部をさらに備えてもよい。これにより、バネ部による反発力によって、それぞれの羽根部の面が内腿に押し付けられるため、ユーザは下着を着用することなく、生理用ナプキン装着具を確りと股部に保持することができる。
【0010】
前記一対のバネ部のそれぞれは、前記羽根部及び前記本体部の一方に固定された固定部と、前記羽根部が前記本体部に対して屈曲された場合に、前記羽根部及び前記本体部の他方に接触する接触部とを含んでもよい。これにより、羽根部が本体部に対して屈曲され、接触部が羽根部及び本体部の他方に接触することにより、羽根部の屈曲に対する反発力を発生させることができる。
【0011】
前記固定部は、前記羽根部の下面に固定され、前記接触部は、前記本体部の下面に接触してもよい。これにより、羽根部が本体部に対して屈曲され、接触部が本体部の下面に接触することにより、羽根部の屈曲に対する反発力を発生させることができる。
【0012】
前記一対のバネ部のそれぞれは、紙が折り曲げられて構成されていてもよい。これにより、紙によってバネ部を形成することができる。
【0013】
前記一対の羽根部は、前記生理用ナプキンの羽根が接着される接着面を有し、前記接着面は、凹凸加工されていてもよい。これにより、生理用ナプキンの羽根が生理用ナプキン装着具の羽根に接着されても、凹凸加工された接着面から生理用ナプキンの羽根を容易に剥がすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、お風呂上がりにおいて、下着を着用する前に市販品の生理用ナプキンを装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具を示す図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具の平面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具の底面図である。
【
図4】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具に生理用ナプキンを載置している様子を示す図である。
【
図5】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具を使用する手順を示すフローチャートである。
【
図6】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具の試作品において、生理用ナプキンを装着する前の様子を示す図である。
【
図7】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具の試作品において、本体部に生理用ナプキンを載置している様子を示す図である。
【
図8】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具の試作品において、生理用ナプキンが載置された生理用ナプキン装着具を内腿で挟持させるために装着している様子を示す図である。
【
図9】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具の試作品において、ショーツを穿いている様子を示す図である。
【
図10】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具の試作品において、一対の羽根部を切断している様子を示す図である。
【
図11】本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具の試作品において、ショーツから生理用ナプキン装着具を取り出している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10を示す図である。
図2は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10の平面図である。
図3は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10の底面図である。
図4は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10に生理用ナプキン6を載置している様子を示す図である。
【0018】
図5は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10を使用する手順を示すフローチャートである。
図6は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10の試作品において、生理用ナプキン6を装着する前の様子を示す図である。
【0019】
図7は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10の試作品において、生理用ナプキン6を載置している様子を示す図である。
図8は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10の試作品において、生理用ナプキン6が載置された生理用ナプキン装着具10を内腿で挟持させるために装着している様子を示す図である。
【0020】
図9は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10の試作品において、ショーツを穿いている様子を示す図である。
図10は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10の試作品において、一対の羽根部14を切断している様子を示す図である。
【0021】
図11は、本発明に係る実施形態の生理用ナプキン装着具10の試作品において、ショーツから生理用ナプキン装着具10を取り出している様子を示す図である。
【0022】
生理用ナプキン装着具10は、ユーザが生理中にお風呂に入った後、脱衣場等でタオル等を用いて体を拭いている間に経血が床等に落ちることを防ぐ器具である。さらに具体的には、生理用ナプキン装着具10は、ユーザがショーツを着用することなく、生理用ナプキン6をユーザの股部に装着するための器具である。生理用ナプキン装着具10は、本体部12と、一対の羽根部14と、載置部16と、バネ部18とを備える。
【0023】
図1、
図2、及び
図3に示すように、本体部12は、前後方向に長い板状をなす。ユーザが本体部12を内腿で挟み込むことによって、本体部12はユーザの股部に保持される。すなわち、ユーザは、本体部12を内腿に挟み込むことで、ショーツを着用することなく、生理用ナプキン装着具を股部に保持することができる。ショーツとは、一般的に丈の短いズボンを意味するが、ここでは、女性が穿く下着(パンティ)を意味するものとする。
【0024】
ユーザは、生理用ナプキン装着具を股部に挟み込んだ状態で、ショーツを着用することができる。本体部12は、ショーツのクロッチ部に沿うように湾曲可能な板状形状を有し、クロッチ部に設置される。
【0025】
クロッチ部とは、女性の股部に対応する部位であり、補強目的で生地が二重に縫製した部分である。クロッチ部以外の呼称もあり、例えば、シック部と呼ばれることもある。
【0026】
本体部12は、前側の先端部12Fが若干膨らみを有しつつ、後ろ側に向けて徐々に狭くなるように幅が設定された基端部12Bを有する板状の部材である。例えば、本体部12は、狭い部分は約4cmに設定され、広い部分は約5cmとなるように設定され、先端部12Fの最も広い部分は約7cmに設定されている。
【0027】
本体部12は、例えば、両面が白く、表面に白色の塗工が施されて、裏面は多少のざらつきがある板紙のコートガードを用いるものとして説明するが、もちろん、その他の材質を用いてもよい。コードガード紙は、350g/m2(厚紙約0.425mm)を使用している。コートガード紙は、特殊白板紙とも言われており、化粧品、健康食品パッケージに等に使用される。
【0028】
一対の羽根部14は、本体部12の長手方向の中央部において本体部12の幅方向の両端部から外側に向けて突出する。ここで、本体部12の長手方向は、本体部12の先端部12Fから基端部12Bに向かう、または、基端部12Bから先端部12Fに向かう方向である。また、本体部12の幅方向は、長手方向に垂直に交わる方向である。本実施形態では、本体部12の長手方向は、前後方向である。
【0029】
一対の羽根部14は、本体部12と同様に、面が白く、表面に白色の塗工が施されて、裏面は多少のざらつきがある板紙のコートガードを用いるものとして説明するが、もちろん、その他の材質で構成してもよい。
【0030】
一対の羽根部14のそれぞれは、本体部12との境界部分において屈曲可能である。ユーザは、一対の羽根部14のそれぞれを本体部12との境界部分において屈曲させ、本体部12を内腿に挟み込む。これにより、一対の羽根部14の一面がユーザの内腿に対向する。生理用ナプキンを載置部16に載置する際、ユーザは、生理用ナプキンの羽根部を生理用ナプキン装着具10の羽根部14に沿うように載置する。後述するように、羽根部14において生理用ナプキンの羽根部が載置される面は、接着面141である。つまり、生理用ナプキン装着具10がユーザの股部に保持された状態では、羽根部14の接着面141がユーザの内腿に対向する。羽根部14は、生理用ナプキンの羽根部を介してユーザの内腿に間接的に押し当てられ、ユーザの内腿を押圧する。このように、一対の羽根部14のそれぞれがユーザの内腿を押圧するため、生理用ナプキン装着具10がユーザの股部において確りと保持される。
【0031】
一対の羽根部14は、本体部12の面に略垂直となってユーザの内腿で挟持可能なように折り曲げ可能であり、本体部12から切り離すための切断部14aを有する。切断部14aは、ここでは、ミシン目であるものとして説明するが、もちろん、その他の切断線であってもよい。
【0032】
図3に示すように、バネ部18は、羽根部14の下面に設けられている。一対のバネ部18は、一対の羽根部14が本体部12に対して屈曲された場合に、一対の羽根部14の屈曲に対する反発力を生じる。すなわち、羽根部14が本体部12に対して屈曲された場合、バネ部18によって羽根部14は外側へ付勢される。
【0033】
一対のバネ部18のそれぞれは、固定部181と、接触部182とを含む。固定部181は、羽根部14の下面に固定されている。接触部182は、羽根部14が本体部12に対して屈曲された場合に、本体部12の下面に接触する。固定部181が羽根部14の下面に固定されているため、羽根部14の本体部12に対する屈曲角度が大きくなる程、すなわち、羽根部14と本体部12とのなす角度が小さくなる程、接触部182が本体部12の下面に強く押し付けられる。このため、羽根部14と本体部12とのなす角度が小さくなる程、バネ部18による反発力が大きくなり、羽根部14が屈曲されにくくなる。
【0034】
バネ部18の反発力により、本体部12と羽根部14とのなす角度は、90度以上で維持され、本体部12と羽根部14とのなす角度が90度未満となることは抑制される。ユーザが生理用ナプキン装着具10を内腿で挟むと、一対の羽根部14がユーザの内腿を押圧する。バネ部18の反発力によって羽根部14の屈曲が妨げられるため、羽根部14と本体部12とのなす角度は、90度以上180度未満で維持される。このため、羽根部14はユーザの内腿に押しつけられ、生理用ナプキン装着具10がユーザの股部において確りと保持される。
【0035】
一対のバネ部18のそれぞれは、紙が折り曲げられて構成されている。さらに具体的には、バネ部18は、羽根部14と一体的に構成されている。例えば、羽根部14は紙によって構成されており、羽根部14の一部が延長されている。羽根部14の延長部分が折り曲げられて、バネ部18が形成される。
図3は、バネ部18の一例を示している。
図3の例では、羽根部14の本体部12側の前端から、前方へ延びた延長部分が設けられている。延長部分は、基端において下側に折り返される。延長部分は、途中から90度曲がり、本体部12側へ延びる。本体側に延びた先端部分(図中破線で示す部分)が、上側に折り返される。以下、羽根部14から折り返された基端部分を、「第1部分18a」といい、上側に折り返された先端部分を、「第2部分18b」という。第2部分18bは、第1部分18aと羽根部14の下面との間に配置される。第2部分18bの先端部は、羽根部14の下面に接着剤で固定される。
【0036】
羽根部14の下面に固定された第2部分18bの先端部が、固定部181である。第1部分18aと第2部分18bとの境界部分は、第2部分18bが第1部分18aに対して屈曲された部分である。この屈曲部が、接触部182である。第1部分18aは、羽根部14から羽根部14と本体部12との境界部分(切断部14a)を超え、本体部12側へ延びている。したがって、接触部182は、本体部12の下方に位置する。
【0037】
なお、上述した例では羽根部14の延長部分を折り曲げることによってバネ部18が形成されたが、これに限定されない。羽根部14とは別の部材を羽根部14の下面に固定し、当該部材を本体部12の下面の下側まで延ばすことによって、バネ部18を構成してもよい。この部材は、紙であってもよいし、紙とは異なる素材、例えば板状のプラスチックであってもよい。さらに、固定部181が羽根部14の下面に固定され、接触部182が本体部12の下面に接触する構成に限られない。固定部181が本体部12の下面に固定され、接触部182が羽根部14の下面に接触してもよい。
【0038】
一対の羽根部14は、生理用ナプキン6の羽根6bに沿った形状であることが好ましいが、生理用ナプキン6の羽根6bを配置可能な面積を有することが好適である。一対の羽根部14は、
図1、
図2、及び
図3に示されるように、本体部12の先端部12Fに向けて突出する突起部が形成されている。
【0039】
一対の羽根部14は、生理用ナプキン6の羽根6bが接着される接着面141を有し、この接着面141は、
図1に示されるように凹凸加工が施されている。凹凸を形成する加工として、例えば、エンボス加工などを適用することができるが、形成された凹凸により、生理用ナプキン6の羽根6bを粘着させた後であっても簡単に剥がすことができる。
【0040】
載置部16は、本体部12の上面に配置される。載置部16は、生理用ナプキン6を載置するための部位である。載置部16の上面は、剥離加工された剥離面161である。市販品の生理用ナプキン6の裏面(吸水面の反対面)には、生理用ナプキン6をショーツの股下部分に貼り付けるための粘着面が設けられている。載置部16の上面には、生理用ナプキン6の粘着面が接触する。載置部16の上面が剥離面161であるため、載置部16の上面に接触した生理用ナプキン6の粘着面が容易に剥離され、生理用ナプキン6から生理用ナプキン装着具10を容易に取り外すことができる。
【0041】
ユーザは、お風呂上がりに生理用ナプキン装着具10を股部に保持した状態で、濡れた体をタオルで拭く。ユーザは、体をタオルで拭いた後、生理用ナプキン装着具10を股部に保持したまま、ショーツを穿くことができる。ユーザはショーツを穿いた後、生理用ナプキン6を股部に残したまま、生理用ナプキン装着具10のみを股部から取り外すことができる。
【0042】
載置部16は、前後方向に長い形状を有し、前端において本体部12に接続され、後端において開放されている。ユーザは、生理用ナプキン装着具10を股部で保持した状態でショーツを着用し、生理用ナプキン装着具10を、前方へ引き抜くようにして股部から取り外すことができる。このとき、載置部16の剥離面161が、生理用ナプキン6の粘着面から捲れるように分離するため、生理用ナプキン6が股部からずれることなく、生理用ナプキン装着具10のみが股部から取り外される。
【0043】
換言すれば、載置部16は、本体部12の基端部12B側に一方側端部が固定され、本体部12に沿うように設けられて他方側端部が開放され、生理用ナプキン6の吸収体部6aを載置可能な剥離紙である。
【0044】
載置部16は、前側である先端側から後ろ側に向けて徐々に狭くなるように幅が設定されている。例えば、載置部16は、狭い部分は約4cmに設定され、広い部分は約5cmとなるように設定される。載置部16の長さは、本体部12よりも若干短く、
図1に示されるように、本体部12に載置部16を重ねた状態で先端部12Fが露出した状態となっている。
【0045】
剥離紙は基材となる紙と、糊に接する剥離層から構成されている。一般的には基材と剥離層の間に目止め層が存在し剥離層の薬品が基材に染込む事を防止している。基材は用途により半晒、上質紙、グラシン紙など様々なものが用いられる。
【0046】
目止め層にはポリエチレンが多く用いられ、厚みは数~数十μmである。グラシン紙など基材の浸透性が低いものについては目止め層が存在しないものもある。また、一般の紙基材を使用しているもので「再生可能」の表示がある剥離紙の場合、再生紙としてリサイクルする際に混合しても問題ないように目止め層がクレーコート層やPVA(ポリビニルアルコール)層などで構成されている。
【0047】
剥離層にはシリコーン樹脂が使用される事が多い。シリコーン樹脂は溶剤型と無溶剤型、エマルジョン型に分けられる。いずれもシリコーン樹脂塗工後に乾燥炉で熱をかけてシリコーン樹脂を硬化させる。
【0048】
載置部16は、剥離加工が施された剥離紙であるため、生理用ナプキン6を載置した場合にも、生理用ナプキン6をショーツに移し替えるときにも簡単に載置部16から剥がすことができる。
【0049】
続いて、上記生理用ナプキン装着具10を使用する方法及び作用効果について説明する。従来、生理中にお風呂に入った後、脱衣場等でタオル等を用いて体を拭いている間に経血が床等に落ちてしまうことがある。このような場合において、生理用ナプキン装着具10は顕著な効果を発揮する。
【0050】
最初に、
図6に示されるように、ユーザは生理用ナプキン装着具10と生理用ナプキン6を準備し、
図7に示されるように、生理用ナプキン6を載置部16に載置する(S1)。具体的には、ユーザは生理用ナプキン6を広げ、吸収体部6aを載置部16に載置するとともに、一対の羽根6bを一対の羽根部14に接着する。
【0051】
このとき、生理用ナプキン6の裏面の粘着面が、載置部16の剥離面161に接触する。
【0052】
S1の工程の後、ユーザは一対の羽根部14を曲げ、ユーザの内腿で挟持する(S2)。具体的には、
図4に示されるように、ユーザは、一対の羽根部14を本体部12との境界部分において下方に屈曲させる。さらにユーザは、
図8に示されるように、ユーザの股部に生理用ナプキン6の吸収体部6aを接触させて、ユーザの内腿で生理用ナプキン装着具10を挟持する。すなわち、ユーザは本体部12を内腿で挟み込むことによって、ユーザの股部に本体部12を保持する。このとき、本体部12の先端部12Fがユーザの股部の前側に位置するように設置する。
【0053】
羽根部14と本体部12との間に設けられたバネ部18によって羽根部14は外側へ付勢される。このため、本体部12と羽根部14とのなす角度は、90度以上で維持される。つまり、本体部12と羽根部14とのなす角度が90度未満となることは抑制される。上述したようにユーザが生理用ナプキン6が載置された生理用ナプキン装着具10を内腿で挟むと、一対の羽根部14が生理用ナプキン6の羽根部を介してユーザの内腿に間接的に押し当てられる。バネ部18によって羽根部14が付勢されるため、羽根部14はユーザの内腿に押しつけられる。このため、生理用ナプキン装着具10がユーザの股部において確りと保持される。
【0054】
以上のように、ユーザは、ショーツを着用することなく生理用ナプキン6をユーザの股部に装着することができる。したがって、ユーザは、経血が落ちてしまうことを防ぎながら、バスタオルなどで体を拭くことが出来る。身体が濡れた状態でショーツを穿く必要がないため、ショーツが濡れてしまうことを防止できる。
【0055】
S2の工程の後は、ユーザはショーツを穿く(S3)。具体的には、
図9に示されるように、ショーツのクロッチ部に本体部12が接触するようユーザがショーツを穿く。これより、本体部12及び載置部16は、ショーツの内部に収納されるが、一対の羽根部14は、ショーツからはみ出している状態となる。
【0056】
S3の工程の後は、ユーザは一対の羽根部14を切り離す(S4)。具体的には、
図10に示されるように、ユーザは、一対の羽根部14の切断部14aにおいて一対の羽根部14を夫々本体部12から切り離す。生理用ナプキン装着具10の構成要素は、本体部12及び載置部16となり、これらはすべてショーツ内に収納されることになる。
【0057】
S4の工程の後は、ユーザは、一対の羽根部14が切断された生理用ナプキン装着具10を取り出す(S5)。具体的には、
図11に示されるように、ユーザは、本体部12の先端部12Fを引っ張ってショーツ内から本体部12に連結される載置部16を取り出すことにより、載置部16から吸収体部6aを剥離してショーツのクロッチ部に吸収体部6aを載置させて移し替える。
【0058】
S5において、ユーザは、生理用ナプキン装着具10を、前方へ引き抜くようにして股部から取り外す。このとき、載置部16の剥離面161が、生理用ナプキン6の粘着面から捲れるように分離する。載置部16の剥離面161は生理用ナプキン6の粘着面に粘着されないため、生理用ナプキン装着具10をユーザが前方へ引っ張っても、生理用ナプキン6は生理用ナプキン装着具10と共に前方へ引っ張られない。したがって、生理用ナプキン6が股部からずれることなく、生理用ナプキン装着具10のみが股部から取り外される。
【0059】
以上のように、生理用ナプキン装着具10を用いることで、ショーツを穿く前の体が濡れた状態でもユーザの股部に装着することができ、また、内腿で生理用ナプキン装着具10を挟持することができるため、体をタオルで拭いていても落ちてしまうこともない。そして、生理用ナプキン装着具10を用いることで、生理用ナプキン6を本体部12に簡単に載置することができ、位置ずれした場合も簡単に付け直すことができる。
【0060】
その後、生理用ナプキン装着具10を挟持したままショーツを穿くことができるため、生理中のお風呂上りに経血により脱衣場などを汚すことなく着替えをすることができるという顕著な効果を奏する。
【0061】
また、生理用ナプキン装着具10に載置する生理用ナプキン6についてユーザが普段から使用しているものを使うことができるため、ユーザの股部に接触させても被れてしまったりするなど肌のトラブルも生じない。
【0062】
さらに、生理用ナプキン装着具10によれば、ショーツを穿いたまま一対の羽根部14を切断することができる。これにより、一対の羽根部14が外された生理用ナプキン装着具10をショーツから簡単に取り出すことが出来る。
【符号の説明】
【0063】
6 生理用ナプキン
6a 吸収体部
6b 羽根
10 生理用ナプキン装着具
12 本体部
12B 基端部
12F 先端部
14 羽根部
14a 切断部
141 接着面
16 載置部
161 剥離面
18 バネ部
18a 第1部分
18b 第2部分
181 固定部
182 接触部
【要約】
【課題】お風呂上がりにおいて、下着を着用する前に市販品の生理用ナプキンをユーザの股部に装着する。
【解決手段】
下着を着用することなく生理用ナプキンをユーザの股部に装着するための生理用ナプキン装着具であって、一方向に長い板状をなし、ユーザが内腿で挟み込むことによってユーザの股部に保持される本体部と、前記本体部の上面に配置され、生理用ナプキンを載置する載置部と、前記本体部の幅方向の両端のそれぞれから突出し、前記ユーザの内腿に一面が対向するように前記本体部との境界部分において屈曲可能な一対の羽根部と、を備え、前記境界部分において屈曲された前記一対の羽根部が前記ユーザの内腿を押圧することにより、前記本体部が前記股部に保持される。
【選択図】
図3