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特許7113576ヒータセンサ複合体及び鏝先カートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ヒータセンサ複合体及び鏝先カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/02 20210101AFI20220729BHJP
【FI】
G01K7/02 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022064582
(22)【出願日】2022-04-08
【審査請求日】2022-04-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000234339
【氏名又は名称】白光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 充彦
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/182487(WO,A1)
【文献】特開2019-171469(JP,A)
【文献】特表2021-521589(JP,A)
【文献】特開2018-96759(JP,A)
【文献】特開2017-62957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/02
H05B 3/00
B23K 3/00-3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給を受けて発熱する加熱線と、
前記加熱線と同じ金属で構成されるとともに前記加熱線の基端に接続され、前記加熱線よりも太い径のリード線と、
前記加熱線を構成する金属とは異なる金属で構成される非加熱線と、
前記加熱線を構成する金属及び前記非加熱線を構成する金属とは異なる金属で構成されるセンサヘッドと、を備え、
前記センサヘッドは、前記非加熱線よりも低い熱伝導率を有し、
前記センサヘッドには、前記加熱線の先端が接続されるとともに前記非加熱線の先端が接続され、
前記加熱線及び前記非加熱線が少なくとも前記センサヘッドを介して導通する、ヒータセンサ複合体。
【請求項2】
前記加熱線には、コイル状に形成されたコイル部が含まれ、
前記センサヘッドに対する前記加熱線の前記先端の接続部である第1接続部と、前記センサヘッドに対する前記非加熱線の前記先端の接続部である第2接続部とは何れも、前記コイル部に対して同じ先端側に位置している、請求項1に記載のヒータセンサ複合体。
【請求項3】
前記センサヘッドに対する前記加熱線の前記先端の接続部である第1接続部、及び前記センサヘッドに対する前記非加熱線の前記先端の接続部である第2接続部の少なくとも一方は、前記センサヘッドの外周面に位置している、請求項1に記載のヒータセンサ複合体。
【請求項4】
前記加熱線には、絶縁管の周囲にコイル状に形成されたコイル部が含まれ、
前記非加熱線は、前記絶縁管の内側に挿通され、
前記センサヘッドは、前記絶縁管よりも幅広である、請求項1に記載のヒータセンサ複合体。
【請求項5】
前記加熱線には、コイル状に形成されたコイル部が含まれ、
前記センサヘッドと前記コイル部との間に間隙が形成されており、
前記加熱線は、前記コイル部の端部から前記加熱線の前記先端まで延びる延出部を有する、請求項1に記載のヒータセンサ複合体。
【請求項6】
前記センサヘッドの外周面には、平坦面によって構成され前記加熱線の前記先端または前記非加熱線の前記先端が接続される接続面が形成されている、請求項1に記載のヒータセンサ複合体。
【請求項7】
前記非加熱線は、ニッケルまたはニッケル合金製であり、
前記センサヘッドは、ステンレススチール製又は耐熱鋼製である、請求項1に記載のヒータセンサ複合体。
【請求項8】
鏝先と、
前記鏝先に組み込まれる請求項1~7の何れか1項に記載のヒータセンサ複合体と、
前記ヒータセンサ複合体を収容するように前記鏝先に連結されるハウジングと、を備えている、鏝先カートリッジ。
【請求項9】
鏝先と、
前記鏝先に組み込まれる請求項2に記載のヒータセンサ複合体と、
前記ヒータセンサ複合体を収容するように前記鏝先に連結されるハウジングと、を備え、
前記鏝先は、内孔を規定する筒状のスリーブ部と、前記スリーブ部の前記内孔の一端を塞ぐように前記スリーブ部の先端に形成された鏝先チップと、を有し、
前記コイル部が前記内孔の中に位置しており、
前記第1接続部及び前記第2接続部が、前記コイル部よりも先端側の位置で、前記コイル部の発熱時に同じ温度帯となる領域に配置されている、鏝先カートリッジ。
【請求項10】
鏝先と、
前記鏝先に装着される請求項6に記載のヒータセンサ複合体と、
前記ヒータセンサ複合体を収容するように前記鏝先に連結されるハウジングと、を備え、
前記鏝先は、内孔を規定する筒状のスリーブ部と、前記スリーブ部の前記内孔の一端を塞ぐように前記スリーブ部の先端に形成された鏝先チップと、を有し、
前記加熱線の前記先端及び前記非加熱線の前記先端の少なくとも一方は、前記平坦面によって構成された前記接続面と前記内孔を規定する前記スリーブ部の内周面との間の隙間に位置している、鏝先カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータセンサ複合体及び鏝先カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、例えば半田鏝の鏝先に用いられるヒータセンサ複合体が知られている。特許文献1に開示されたヒータセンサ複合体は、図13に示すように、加熱線83の先端83aと、非加熱線85の先端85aとを互いに接合した構成である。加熱線83の基端には、加熱線83よりも大径のリード線82が接続されている。加熱線83及びリード線82は鉄クロム合金製であり、非加熱線85はニッケル製またはニッケルクロム合金製である。加熱線83にはコイル部81が設けられており、リード線82及び非加熱線85間に電圧が印加されると、加熱線83が発熱する。このとき加熱線83の先端83aと非加熱線85の先端85aとの接続部が温度の検出端として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-260083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたヒータセンサ複合体が用いられる半田鏝では、鏝先を一定温度に維持するために、リード線82及び非加熱線85間の熱起電力から算出された温度に基づいて調整されたパルス電圧を繰り返しリード線82及び非加熱線85間に与えて温度制御を行うことがある。この温度制御の精度を向上させるべく鋭意研究を行っていると、リード線82及び非加熱線85間にパルス電圧が印可されたときに、ゼーベック効果によってリード線82及び非加熱線85間に生ずる起電力が瞬時的に上昇することが判明した。すなわち、パルス電圧が印加されたときに、加熱線83の先端83aと非加熱線85の先端85aとの接続部の温度が瞬時的に上昇することにより、起電力の瞬時的な上昇を引き起こしていると推測される。このため、パルス電圧制御を行って鏝先を所定温度に調整する場合には、鏝先の温度制御に悪影響を与える虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒータセンサ複合体において、温度制御の精度を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係るヒータセンサ複合体は、電力供給を受けて発熱する加熱線と、前記加熱線と同じ金属で構成されるとともに前記加熱線の基端に接続され、前記加熱線よりも太い径のリード線と、前記加熱線を構成する金属とは異なる金属で構成される非加熱線と、前記加熱線を構成する金属及び前記非加熱線を構成する金属とは異なる金属で構成されるセンサヘッドと、を備える。前記センサヘッドは、前記非加熱線よりも低い熱伝導率を有する。前記センサヘッドには、前記加熱線の先端が接続されるとともに前記非加熱線の先端が接続され、前記加熱線及び前記非加熱線が少なくとも前記センサヘッドを介して導通する。
【0007】
本発明に係るヒータセンサ複合体では、リード線及び非加熱線間に電圧が印加された場合に、少なくともセンサヘッドを介して加熱線及び非加熱線間が通電する。このとき、加熱線が発熱するため、ヒータセンサ複合体がヒータとしての機能を果たす。また、加熱線及び非加熱線が互いに異なる金属で構成される。このため、加熱線が昇温したしたときには、加熱線の先端及び非加熱線の先端と、リード線の基端及び非加熱線の基端と、の間の温度差に応じた熱起電力が、リード線の基端と非加熱線の基端との間に発生する。この熱起電力の大きさに基づいて、加熱線の先端及び非加熱線の先端の温度を導出できる。つまり、加熱線の先端及び非加熱線の先端即ちセンサヘッドが温度の検出端として機能する。このとき、加熱線及び非加熱線が少なくともセンサヘッド(非加熱線を構成する金属よりも低い熱伝導率を有する金属で構成される)を介して導通するため、リード線及び非加熱線間にパルス電圧を印加した場合において、パルス電圧の印加に伴う瞬時的な起電力の上昇(瞬時的な温度の上昇)が緩和される。したがって、センサヘッドの瞬時的な温度上昇も緩和されるため、ヒータセンサ複合体の温度制御の精度を向上できる。
【0008】
すなわち、加熱線に非加熱線が直接接続されたヒータセンサ複合体の場合には、パルス電圧の印加に伴って接点(加熱線と非加熱線との接続部)において瞬時的な温度(センサ温度)の上昇が発生する。これにより、リード線の基端及び非加熱線の基端間には、瞬時的に上昇した起電力が生ずる。このため、温度制御に際しては、センサ温度の瞬時的な上昇がヒータセンサ複合体の温度制御に悪影響を与えてしまう虞がある。これに対し、本発明のヒータセンサ複合体では、加熱線及び非加熱線が少なくともセンサヘッドを介して導通するため、パルス電圧の印加に伴うセンサ温度の瞬時的な上昇(瞬時的な起電力の上昇)が緩和される。したがって、温度制御を行う場合には、センサ温度の瞬時的な上昇(瞬時的な起電力の上昇)の影響を緩和しつつ温度制御を行うことができる。したがって、ヒータセンサ複合体の温度制御の精度を向上できる。なお、加熱線及び非加熱線がセンサヘッドを介して導通する状態が確保されているのであれば、加熱線及び非加熱線間を流れる電流の一部が、センサヘッドを介することなく、加熱線及び非加熱線間を直接流れてもよい。
【0009】
前記加熱線には、コイル状に形成されたコイル部が含まれていてもよい。この場合、前記センサヘッドに対する前記加熱線の前記先端の接続部である第1接続部と、前記センサヘッドに対する前記非加熱線の前記先端の接続部である第2接続部とは何れも、前記コイル部に対して同じ先端側に位置していてもよい。
【0010】
この態様では、コイル部が発熱している場合に、第1接続部と第2接続部とが同じ温度帯の領域に配置されることになる。したがって、リード線及び非加熱線間に生ずる熱起電力の値から第1接続部及び第2接続部の温度を正確に得ることができる。
【0011】
前記センサヘッドに対する前記加熱線の前記先端の接続部である第1接続部、及び前記センサヘッドに対する前記非加熱線の前記先端の接続部である第2接続部の少なくとも一方は、前記センサヘッドの外周面に位置していてもよい。
【0012】
この態様では、センサヘッドに対する加熱線または非加熱線の接続構造を作りやすくできる。また、第1接続部と第2接続部が接触しないように距離を確保しやすくできる。
【0013】
前記加熱線には、絶縁管の周囲にコイル状に形成されたコイル部が含まれてもよい。この場合、前記非加熱線は、前記絶縁管の内側に挿通されてもよい。前記センサヘッドは、前記絶縁管よりも幅広であってもよい。
【0014】
この態様では、センサヘッドの熱容量を大きくできる。したがって、センサヘッドによってセンサ温度の瞬時的な上昇を緩和させる機能を有効に発揮させることができる。また、絶縁管によってコイル部が非加熱線に対して隔離されるため、加熱線及び非加熱線間の短絡を防止できる。
【0015】
前記加熱線には、コイル状に形成されたコイル部が含まれてもよい。この場合、前記センサヘッドとコイル部との間に間隙が形成されてもよく、また、前記加熱線は、前記コイル部の端部から前記加熱線の前記先端まで延びる延出部を有してもよい。
【0016】
この態様では、コイル部の発熱の影響をセンサヘッドに与え難くできる一方で、センサヘッドに対する加熱線の接続を確保できる。
【0017】
前記センサヘッドの外周面には、平坦面によって構成され前記加熱線の前記先端または前記非加熱線の前記先端が接続される接続面が形成されていてもよい。
【0018】
この態様では、センサヘッドに対する加熱線の先端または非加熱線の先端の接続を確保できる。
【0019】
前記非加熱線は、ニッケルまたはニッケル合金製であってもよい。前記センサヘッドは、ステンレススチール製又は耐熱鋼製であってもよい。
【0020】
本発明に係る鏝先カートリッジは、鏝先と、前記鏝先に組み込まれる前記ヒータセンサ複合体と、前記ヒータセンサ複合体を収容するように前記鏝先に連結されるハウジングと、を備えている。
【0021】
本発明に係る鏝先カートリッジは、前記鏝先に組み込まれる前記ヒータセンサ複合体と、前記ヒータセンサ複合体を収容するように前記鏝先に連結されるハウジングと、を備える。前記鏝先は、内孔を規定する筒状のスリーブ部と、前記スリーブ部の前記内孔の一端を塞ぐように前記スリーブ部の先端に形成された鏝先チップと、を有する。前記コイル部は前記内孔の中に位置している。前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記コイル部よりも先端側の位置で、前記コイル部の発熱時に同じ温度帯となる領域に配置されている。
【0022】
この鏝先カートリッジでは、加熱線のコイル部が鏝先のスリーブ部の内孔に配置され、第1接続部及び第2接続部がそれぞれコイル部よりも先端側に位置しており、さらに、第1接続部及び第2接続部は、コイル部の発熱時に同じ温度帯となる領域に配置されている。したがって、電圧印加時には、第1接続部の温度及び第2接続部の温度が同じ温度帯の温度になるため、温度制御の精度をより向上させることができる。
【0023】
本発明に係る鏝先カートリッジは、鏝先と、前記鏝先に装着される前記ヒータセンサ複合体と、前記ヒータセンサ複合体を収容するように前記鏝先に連結されるハウジングと、を備える。前記鏝先は、内孔を規定する筒状のスリーブ部と、前記スリーブ部の前記内孔の一端を塞ぐように前記スリーブ部の先端に形成された鏝先チップと、を有する。前記加熱線の前記先端及び前記非加熱線の前記先端の少なくとも一方は、前記平坦面によって構成された前記接続面と前記内孔を規定する前記スリーブ部の内周面との間の隙間に位置している。
【0024】
この鏝先カートリッジでは、センサヘッドの大きさを確保しつつ、加熱線の先端または非加熱線の先端が配置されるスペースを確保できる。しかも、スリーブ部が大きくなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、ヒータセンサ複合体において、温度制御の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係るヒータセンサ複合体を示す図である。
図2】実施形態に係るヒータセンサ複合体におけるセンサヘッドと非加熱線との接合関係を示す図である。
図3】その他の実施形態におけるセンサヘッドと加熱線と非加熱線との接合関係を示す図である
図4】その他の実施形態におけるセンサヘッドと加熱線と非加熱線との接合関係を示す図である
図5】実施形態におけるセンサヘッドの構成を説明するための図である。
図6】(a)(b)実施形態に係るヒータセンサ複合体が適用されたスタンダードタイプの鏝先カートリッジの図である。
図7】センサヘッドとスリーブ部の内周面との間の隙間を説明するための図である。
図8】(a)(b)実施形態に係るヒータセンサ複合体が適用された高容量タイプの鏝先カートリッジの図である。
図9】比較例におけるセンサ温度の上昇の一例を示す図である。
図10】実施形態におけるセンサ温度の緩和された上昇の一例を示す図である。
図11】比較例におけるセンサ温度及び出力パルスの変動の一例を示す図である。
図12】実施形態におけるセンサ温度及び出力パルスの抑えられた変動の一例を示す図である。
図13】従来のヒータセンサ複合体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係るヒータセンサ複合体10は、加熱線12と、リード線14と、非加熱線16と、センサヘッド18と、絶縁管20と、を備えている。センサヘッド18には、加熱線12の先端と非加熱線16の先端とが接続されている。加熱線12を構成する金属と、非加熱線16を構成する金属と、センサヘッド18を構成する金属とは、互いに異なる金属である。このため、加熱線12及び非加熱線16間には、ゼーベック効果により、加熱線12の先端の温度及び非加熱線16の先端の温度(センサヘッド18の温度)と、リード線14の基端及び非加熱線16の基端の温度と、の温度差に応じた起電力が生ずる。つまり、加熱線12の先端及び非加熱線16の先端すなわちセンサヘッド18は、ヒータセンサ複合体10における温度検知端(センサ部)として機能する。
【0029】
加熱線12を構成する金属とリード線14を構成する金属は同じ金属である。加熱線12及びリード線14は、鉄-クロム合金製の線材によって構成されている。例えば、加熱線12は、スウェーデンのサンドビックマテリアルテクノロジから入手可能な「カンタル」ブランドのワイヤによって構成されている。加熱線12は、好ましくは、0.1mm以上0.5mm以下の直径を有する。なお、加熱線12は、鉄-クロム合金以外の他のクロム合金(たとえば、ニッケル-クロム合金)によって構成されていてもよい。
【0030】
非加熱線16は、好ましくは、0.2mm~0.8mmの直径、より好ましくは0.7mmの直径を有するニッケル材料から形成されるが、より大きな直径のワイヤを使用することもできる。すなわち、非加熱線16は加熱線12よりも太い。非加熱線16は、ニッケル製又はニッケル合金製の線材によって構成される。
【0031】
センサヘッド18は、ステンレススチール(SUS)製である。すなわち、センサヘッド18は、加熱線12を構成する金属及び非加熱線16を構成する金属とは異なる金属で構成されている。また、センサヘッド18は、非加熱線16を構成する金属よりも低い熱伝導率を有する金属で構成されている。センサヘッド18は、発熱の瞬時的な影響を緩和させるため、銅などの熱伝導率の高い金属よりも熱の伝わりが遅い金属すなわち、低い熱伝導率の金属によって構成されているのがよい。また、センサヘッド18は、加熱線12よりも低い電気抵抗率を有する金属で構成され、加えて、センサヘッド18は、加熱線12及び非加熱線16よりも大きな断面積を有するため、加熱線12が発熱する通電量では発熱しにくい。なお、センサヘッド18は、耐熱鋼(SUH)製であってもよい。
【0032】
非加熱線16の熱伝導率は、例えば70~90W/m・Kが好ましい。これに対し、センサヘッド18の熱伝導率は、10~50W/m・Kが好ましく、10~20W/m・Kがより好ましい。すなわち、センサヘッド18の熱伝導率は、非加熱線16の熱伝導率よりも低い。
【0033】
加熱線12は、コイル部23と、コイル部23に対して先端側(図1の左側、センサヘッド18側)に位置する延出部24と、コイル部23に対して基端側(図1の右側)に位置する基端側延出部25と、を一体的に含む。
【0034】
コイル部23は、加熱線12において絶縁管20の周囲にコイル状に巻かれた部分であり、電力が供給されたときに発熱する。コイル部23の一端(基端)は、絶縁管20の軸方向において、絶縁管20の略中央の位置に配置されている。コイル部23の他端(先端)は、絶縁管20の軸方向における端部(先端部)の近傍に位置している。
【0035】
延出部24は、コイル部23の他端(先端)から絶縁管20の軸方向に沿う方向に延びている。延出部24は、絶縁管20の端部よりも先端側に位置するとともにセンサヘッド18に接続された部位を含む。この部位は加熱線12の先端を構成する。すなわち、センサヘッド18とコイル部23との間に間隙が形成されるように、センサヘッド18はコイル部23から離間している。このため、加熱線12は、コイル部23から延出された延出部24を有しており、この延出部24を介してセンサヘッド18に接続されている。
【0036】
加熱線12の先端は、扁平ブロック状に形成されたセンサヘッド18の外周面18aに溶接されている。すなわち、センサヘッド18は、絶縁管20側を向く第1端面18bと、第1端面18bとは反対側を向く第2端面18cと、第1端面18bの周縁と第2端面18cの周縁とを接続する外周面18aと、を含み、加熱線12の先端は、センサヘッド18の外周面18aに接続されている。センサヘッド18に対する加熱線12の接続部を以下、第1接続部27と称する。第1端面18b及び第2端面18cは、絶縁管20の幅よりも広い幅を有する。つまり、絶縁管20の軸方向に直交する方向における第1端面(及び第2端面)の幅は、絶縁管20の幅よりも大きい。
【0037】
基端側延出部25は、絶縁管20の外周面に沿うように配置されるとともに、コイル部23の一端(基端)から絶縁管20の軸方向に沿って延びている。基端側延出部25の基端には、リード線14が接続されている。
【0038】
リード線14は加熱線12の基端に接続されている。リード線14は、加熱線12における基端側延出部25に接続されており、絶縁管20の外周面に沿って絶縁管20の軸方向に延びるとともに、絶縁管20の基端からさらに基端側(図1における右側)に延びている。リード線14は、好ましくは、0.7mm以上2.0mm以下の直径、又は、加熱線12の直径の2倍以上4倍以下の直径を有する。つまり、リード線14は加熱線12よりも大径である。この構成により、図外の電源から電力が印加された場合に加熱線12の少なくともコイル部23が発熱する一方で、リード線14においては発熱しない。
【0039】
非加熱線16は、絶縁管20の内側に挿通されるとともに、絶縁管20の基端(図1における右端)からさらに基端側(図1の右側)に向けて延び出ている。なお、絶縁管20の先端(図1における左端)は、センサヘッド18の第1端面18bに当接していてもよい。
【0040】
図2に示すように、非加熱線16の先端はセンサヘッド18の第1端面18bに接続されている。センサヘッド18に対する非加熱線16の接続部を以下、第2接続部28と称する。非加熱線16の先端は、センサヘッド18に溶接されることによってセンサヘッド18に固定されている。
【0041】
つまり、センサヘッド18に対する加熱線12の接続部である第1接続部27と、センサヘッド18に対する非加熱線16の接続部である第2接続部28とは、互いに離間している。したがって、加熱線12及び非加熱線16間に電圧が印加された場合には、加熱線12及び非加熱線16が少なくともセンサヘッド18を介して導通する。なお、加熱線12及び非加熱線16がセンサヘッド18を介して導通する状態が確保されているのであれば、加熱線12及び非加熱線16が一部直接接触し、流れる電流の一部が、センサヘッド18を介することなく、加熱線12及び非加熱線16間を直接流れてもよい。
【0042】
非加熱線16は、センサヘッド18の第1端面18bに固定される構成に限られるものではなく、図3に示すように、非加熱線16の先端は、加熱線12の先端が接続される第1接続部27とは反対側でセンサヘッド18の外周面18aに接続されていてもよい。非加熱線16がセンサヘッド18の外周面18aに接続される場合、加熱線12はセンサヘッド18における外周面18aと異なる面に接続されてもよい。また、図4に示すように、センサヘッド18が、第1端面18bを貫通する貫通孔18dを有し、非加熱線16が、貫通孔18dに挿入された状態でセンサヘッド18に接続されてもよい。この貫通孔18dは、センサヘッド18自体を貫通する構成でもよく、図4に示すように、第1端面18bのみを貫通するが第2端面18cまでは届かない有底の穴によって構成されていてもよい。
【0043】
図5に示すように、センサヘッド18の外周面18aには、平坦面によって構成された接続面18eが形成されており、加熱線12の先端はこの接続面18eに固定されている。加熱線12の先端が固着された接続面18eとは反対側にも平坦面によって構成された接続面18eが形成されているため、非加熱線16の先端がこのもう一方の接続面18eに固定されてもよい。センサヘッド18の外周面18aは、接続面18e以外の部位が湾曲面によって構成されている。なお、図5では、一対の接続面18eが形成されたセンサヘッド18が示されているが、一方の接続面18eが省略されてもよい。また平坦面からなる接続面18e自体が省略され、加熱線12の先端が、湾曲面からなる外周面18aに接続されてもよい。
【0044】
図6(a)(b)に示すように、ヒータセンサ複合体10は、はんだ鏝の鏝先カートリッジ40に用いられてもよい。鏝先カートリッジ40は、はんだ鏝のハンドル(図示省略)に装着して使用するものである。ハンドル内には、サーミスタが収納されており、リード線14及び非加熱線16間に生ずる熱起電力から得られる温度を、サーミスタによる検知温度で補正する(基準接点補償)ことができる。ハンドルは図外の制御器に電気的に接続され、この制御器によって、鏝先カートリッジ40に印加するパルス電圧が制御される。
【0045】
鏝先カートリッジ40は、鏝先42と、鏝先42に組み込まれるヒータセンサ複合体10と、ヒータセンサ複合体10を収容するように鏝先42に連結されるハウジング44と、を備えている。
【0046】
鏝先42は、銅、鉄又は鉄合金等の高熱伝導率を有する金属材料によって形成されている。鏝先42は、内孔42bを規定する筒状のスリーブ部42aと、スリーブ部42a内の内孔42bの一端を塞ぐようにスリーブ部42aの先端に形成され、はんだを溶融させるための部位である鏝先チップ42cと、を有する。
【0047】
スリーブ部42aには、コイル部23がスリーブ部42aの内孔42bに収まるようにヒータセンサ複合体10が収容されている。すなわち、スリーブ部42aの内孔42bの中にコイル部23が位置している。コイル部23を含む加熱線12とスリーブ部42aの間は絶縁されている。加熱線12が電力の供給を受けてコイル部23が発熱すると、スリーブ部42aを有する鏝先42は、加熱されてはんだを溶融可能な温度まで昇温する。
【0048】
センサヘッド18は、スリーブ部42aの内孔42bの中において、コイル部23よりも奥側(先端側)に位置している。つまり、センサヘッド18に対する加熱線12の第1接続部27及びセンサヘッド18に対する非加熱線16の第2接続部28は、何れもコイル部23よりも奥側(先端側)に位置している。したがって、コイル部23の発熱時には、第1接続部27及び第2接続部28は同じ温度帯の領域に属する。よって、センサヘッド18に対する加熱線12の接続部である第1接続部27と、センサヘッド18に対する非加熱線16の接続部である第2接続部28とを1つの熱電対として機能させることができる。
【0049】
図7に示すように、内孔42bを規定するスリーブ部42aは円環状であり、センサヘッド18は円板状の部材の一部を切り欠いた形状である。したがって、内孔42bを形成するスリーブ部42aの内周面とセンサヘッド18の接続面18eとの間に隙間51が形成されている。この隙間51に加熱線12の先端(延出部24の先端)が配置されている。すなわち、センサヘッド18の外周面18aの一部に平坦面からなる接続面18eが形成されることにより、加熱線12を配置するためのスペースを確保しつつセンサヘッド18の熱容量を確保できる。また、センサヘッド18の湾曲面の直径がスリーブ部42aの内孔42bの内径よりわずかに小さく、湾曲面がスリーブ部42aの内周面に沿う。これにより、センサヘッド18をスリーブ部42a内にまっすぐ配置できる。また、センサヘッド18をスリーブ部42aの内周面に接触しやすくできる。なお、加熱線12の先端が隙間51に配置される構成に代え、非加熱線16の先端が隙間51に配置されてもよい。また、加熱線12の先端が隙間51に配置されるとともに、非加熱線16の先端が隙間51に配置されてもよい。この場合は、加熱線12の先端と非加熱線16の先端とは、対向する隙間51に別々に配置される。
【0050】
ハウジング44は、好ましくは、ステンレススチールなどの低熱伝導性を有する剛性金属材料によって構成されている。ハウジング44は、スリーブ部42aの基端側部に外嵌されるようにして鏝先42に結合される。ハウジング44には、リード線14に接続された第1端子部45と、非加熱線16に接続された第2端子部46と、を有するコネクタ部47が設けられている。
【0051】
なお、図6(a)(b)は、ヒータセンサ複合体10がスタンダードタイプの鏝先カートリッジ40に適用された例を示すが、この構成に限られるものではない。ヒータセンサ複合体10は、スタンダードタイプの鏝先カートリッジ40よりも高容量の鏝先カートリッジ40に適用されてもよい。
【0052】
高容量タイプの鏝先カートリッジ40は、図8(a)(b)に示すように、鏝先42のスリーブ部42aが、鏝先チップ42cの基端部位と同径の第1部位42dと、第1部位42dの基端に繋がり第1部位42dよりも小径の第2部位42eとを含む。すなわち、鏝先チップ42cは、その基端部位がスタンダードタイプの鏝先カートリッジ40における鏝先チップ42cの基端部位よりも大径に構成され、また、第1部位42dは、スタンダードタイプの鏝先カートリッジ40におけるスリーブ部42aよりも大径に構成されている。
【0053】
鏝先チップ42cには、スリーブ部42aの内孔42bから先端側に凹むように凹部が形成されている。凹部42fは、内孔42bよりも小径であり、この凹部42f内にセンサヘッド18が配置されている。絶縁管20も、その先端が凹部42f内に入り込んでいる。一方で、加熱線12のコイル部23は、凹部42f内には入り込まない状態で内孔42b内に収まっている。
【0054】
リード線14には、リード線14よりも抵抗率の低いコネクタ線49が接続されており、このコネクタ線49に第1端子部45が接続されている。
【0055】
これ以外の構成は、スタンダードタイプの鏝先カートリッジ40と同様である。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のヒータセンサ複合体10では、リード線14及び非加熱線16間に電圧が印加された場合に、少なくともセンサヘッド18を介して加熱線12及び非加熱線16間に通電する。このとき、加熱線12が発熱するため、ヒータセンサ複合体10がヒータとしての機能を果たす。また、加熱線12及び非加熱線16が互いに異なる金属で構成されるため、加熱線12が昇温したときには、加熱線12の先端及び非加熱線16の先端と、リード線14の基端及び非加熱線16の基端と、の間の温度差に応じた熱起電力が、リード線14の基端と非加熱線16の基端との間に発生する。この熱起電力の大きさから、加熱線12の先端及び非加熱線16の先端の温度を導出できる。つまり、加熱線12の先端及び非加熱線16の先端すなわちセンサヘッド18が温度の検出端として機能する。このとき、加熱線12及び非加熱線16が少なくともセンサヘッド18(非加熱線16を構成する金属よりも低い熱伝導率を有する金属で構成される)を介して導通する。このため、リード線14及び非加熱線16間にパルス電圧を印加した場合において、パルス電圧の印加に伴う加熱線12からの直接熱による瞬時的な起電力の上昇(瞬時的な温度の上昇)が緩和される。したがって、センサヘッド18の瞬時的な温度上昇も緩和されるため、ヒータセンサ複合体10の温度制御の精度を向上できる。
【0057】
すなわち、加熱線12に非加熱線16が直接接続された比較例としてのヒータセンサ複合体(図示省略)の場合には、パルス電圧の印加に伴って接点(加熱線12と非加熱線16との接続部)において加熱線12からの直接熱による瞬時的な温度の上昇が発生する。これにより、リード線14の基端及び非加熱線16の基端間には、瞬時的に上昇した起電力が生ずる。例えば、図9には、加熱線12に非加熱線16が直接接続された構成のヒータセンサ複合体がはんだ鏝の鏝先カートリッジに用いられた場合のセンサ温度の上昇及び鏝先チップ42cの温度変化の一例を示している。この温度変化はパルス電圧を約1秒間印加した場合の結果の一例である。センサ温度は、リード線14の基端と非加熱線16の基端との間で計測される熱起電力から得られる温度である。図9では、パルス電圧が印加されると、それに伴い、時間T1において、リード線14及び非加熱線16間の瞬時的な起電力の上昇(センサ温度の瞬時的な上昇)が生ずる。この影響により、センサ温度が鏝先温度よりも高くなってしまう。なお、図9において、鏝先温度は、鏝先チップ42cの温度を外部の温度計で測定したときの温度である。図10においても同様である。
【0058】
これに対し、本実施形態のヒータセンサ複合体10では、加熱線12及び非加熱線16が少なくともセンサヘッド18を介して導通するため、パルス電圧の印加に伴う瞬時的な起電力の上昇(センサ温度の瞬時的な上昇)が緩和される。図10には、本実施形態のヒータセンサ複合体10の場合におけるパルス電圧の印加時に生ずるセンサ温度の変化の一例を示している。図10も、ヒータセンサ複合体10がはんだ鏝の鏝先カートリッジに用いられた場合の結果の一例である。センサ温度は、ヒータセンサ複合体10による起電力から得られる温度である。本実施形態のヒータセンサ複合体10では、図9に示す比較例に比べ、センサ温度の瞬時的な上昇(瞬時的な起電力の上昇)が抑えられており、その後も加熱線12の発熱量の影響が緩和され、センサ温度が鏝先温度により近い値となっている。したがって、本実施例のヒータセンサ複合体10にて温度制御を行う場合には、センサ温度の瞬時的な上昇の影響を緩和し、鏝先の温度変化に沿った動きになることで、より高い精度で温度制御を行うことができる。
【0059】
また、センサ温度のフィードバックによって出力パルス数を調整することにより温度制御を行う場合には、比較例としてのヒータセンサ複合体の場合、図11に示すように、温度安定時のヒータ通電熱の影響によるセンサ温度の変動(図11中の「A」)が見られ、また、はんだ付け動作時においては、センサ温度の変動が激しいため(図11中の「C」)、センサ温度によって決まる出力パルス数の変動も大きく、出力は安定しない(図11中の「B」)。これに対し、本実施形態のヒータセンサ複合体10の場合には、図12に示すように、温度安定時の熱起電力から算出されるセンサ温度の変動が抑えられており(図12中の「D」)、また、はんだ付け動作時においては、センサ温度の変動が抑えられることにより(図12中の「F」)、出力パルス数の変動が抑えられ(図12中の「E」)、制御が安定する。なお、図11及び図12は、ヒータセンサ複合体が用いられた鏝先カートリッジをはんだ鏝のハンドルに取り付け、図11のB,C、および図12のE、Fの時に負荷を与えて温度制御した場合の結果の一例である。
【0060】
本実施形態のヒータセンサ複合体10では、第1接続部27及び第2接続部28が何れもコイル部23に対して、同じ先端側に位置している。このため、コイル部23が発熱している場合に、第1接続部27と第2接続部28とが同じ温度帯の領域に配置されることになる。したがって、リード線14及び非加熱線16間に生ずる熱起電力の値からセンサヘッド18の温度を正確に得ることができる。
【0061】
また本実施形態のヒータセンサ複合体10では、第1接続部27及び第2接続部28の少なくとも一方は、センサヘッド18の外周面18aに位置している。したがって、センサヘッド18に対する加熱線12または非加熱線16の接続構造を作りやすくできる。また、第1接続部27と第2接続部28の間の距離を確保しやすくできる。
【0062】
また本実施形態のヒータセンサ複合体10では、センサヘッド18が絶縁管20よりも幅広であるため、センサヘッド18の熱容量を大きくできる。したがって、センサヘッド18としての機能を有効に発揮させることができる。また、絶縁管20によって加熱線12が非加熱線16に対して隔離されるため、加熱線12及び非加熱線16間の短絡を防止できる。
【0063】
また本実施形態のヒータセンサ複合体10では、センサヘッド18がコイル部23から離れており、加熱線12がコイル部23からセンサヘッド18まで延びる延出部24を有する。このため、コイル部23の発熱の影響をセンサヘッド18に与え難くできる一方で、センサヘッド18に対する加熱線12の接続を確保できる。
【0064】
また本実施形態のヒータセンサ複合体10では、センサヘッド18の外周面18aに、平坦面によって構成された接続面18eが形成されているため、センサヘッド18に対する加熱線12の先端または非加熱線16の先端の接続を確保できる。
【0065】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、センサヘッド18が絶縁管20の幅よりも大きな幅を有する大きさに形成されているが、これに限られない。センサヘッド18の幅は絶縁管20の幅よりも小さくてもよい。この場合、センサヘッド18をより厚く(絶縁管20の軸方向における厚み)することにより、センサヘッド18の熱容量をより大きくできる。
【符号の説明】
【0066】
10 :ヒータセンサ複合体
12 :加熱線
16 :非加熱線
18 :センサヘッド
18a :外周面
18e :接続面
20 :絶縁管
23 :コイル部
24 :延出部
27 :第1接続部
28 :第2接続部
40 :鏝先カートリッジ
42 :鏝先
44 :ハウジング
【要約】
【課題】ヒータセンサ複合体において、温度制御の精度を向上する。
【解決手段】ヒータセンサ複合体10は、電力供給を受けて発熱する加熱線12と、加熱線12と同じ金属で構成されるとともに加熱線12の基端に接続され、加熱線12よりも太い径のリード線14と、加熱線12を構成する金属とは異なる金属で構成される非加熱線16と、加熱線12を構成する金属及び非加熱線16を構成する金属とは異なる金属で構成されるセンサヘッド18と、を備える。センサヘッド18は、非加熱線16よりも低い熱伝導率を有する。センサヘッド18には、加熱線12の先端が接続されるとともに非加熱線16の先端が接続される。加熱線12及び非加熱線16が少なくともセンサヘッド18を介して導通する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13