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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】包装具
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20220729BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B65D81/05 500A
B65D77/26 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2016154641
(22)【出願日】2016-08-05
(65)【公開番号】P2018020832
(43)【公開日】2018-02-08
【審査請求日】2019-06-25
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(73)【特許権者】
【識別番号】514037549
【氏名又は名称】大洋紙業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金丸 正明
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】柳本 幸雄
【審判官】井上 茂夫
(56)【参考文献】
【文献】特表平9-501128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0368016(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1149774(EP,A2)
【文献】米国特許第5676245(US,A)
【文献】特開2015-127208(JP,A)
【文献】特開2015-78008(JP,A)
【文献】米国特許第5678695(US,A)
【文献】特開2003-341733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D81/05
B65D77/26
B65D5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装対象物が載置される板状部材と、該板状部材が挿入される筒状であって、少なくとも該板状部材に載置された該包装対象物を覆う可撓性の薄膜部材とを備える包装具であって、
前記板状部材は、表側に前記包装対象物が載置される載置部と、
該載置部の両側に夫々谷折り可能な第1の折曲線を介して連設される起立部と、
該載置部及び該起立部を横切り、該載置部及び該起立部を谷折り可能な第2の折曲線と、
前記起立部のうち該起立部の先端縁から離れた位置に設けられた谷折り可能な第1のヒンジ部と該第1のヒンジ部の両端から前記載置部まで延びる切目線とによって形成され、前記板状部材から一部遊離することで、該第1のヒンジ部を介して該起立部から前記載置部まで突出する舌片と、
前記載置部に設けられ、前記舌片を差し込み可能に開口する差込部とを備え、
該差込部は、前記起立部を第1の折曲線で折り曲げたとき、差し込まれた前記舌片を挟持するように該舌片以下の幅に形成されていることを特徴とする包装具。
【請求項2】
包装対象物が載置される板状部材と、該板状部材が挿入される筒状であって、少なくとも該板状部材に載置された該包装対象物を覆う可撓性の薄膜部材とを備える包装具であって、
前記板状部材は、表側に前記包装対象物が載置される載置部と、
該載置部の両側に夫々谷折り可能な第1の折曲線を介して連設される起立部と、
該載置部及び該起立部を横切り、該載置部及び該起立部を谷折り可能な第2の折曲線と、
前記起立部に設けられた谷折り可能な第1のヒンジ部を介して該起立部から前記載置部まで突出する舌片と、
前記載置部に設けられ、前記舌片を差し込み可能に開口する差込部とを備え、
該差込部は、前記起立部を第1の折曲線で折り曲げたとき、差し込まれた前記舌片を挟持するように該舌片以下の幅に形成され、
前記舌片及び前記差込部は、前記板状部材が前記第1のヒンジ部と該第1のヒンジ部の両端を結んで前記載置部に向けて凸の切目線とに囲まれることで夫々形成されることを特徴とする包装具。
【請求項3】
包装対象物が載置される板状部材と、該板状部材が挿入される筒状であって、少なくとも該板状部材に載置された該包装対象物を覆う可撓性の薄膜部材とを備える包装具であって、
前記板状部材は、表側に前記包装対象物が載置される載置部と、
該載置部の両側に夫々谷折り可能な第1の折曲線を介して連設される起立部と、
該載置部及び該起立部を横切り、該載置部及び該起立部を谷折り可能な第2の折曲線と、
前記起立部に設けられた谷折り可能な第1のヒンジ部を介して該起立部から前記載置部まで突出する舌片と、
前記載置部に設けられ、前記舌片を差し込み可能に開口する差込部とを備え、
該差込部は、前記起立部を第1の折曲線で折り曲げたとき、差し込まれた前記舌片を挟持するように該舌片以下の幅に形成され、
前記舌片は、
先端において、前記載置部に設けられた山折り可能な第2のヒンジ部を介して該載置部と連設され、
該先端と基端との間に谷折り可能な第3の折曲線を有し、
前記第1の折曲線で前記起立部を起立させたとき、前記載置部の裏側において、前記第3の折曲線を頂点としてV字状に屈曲し、
前記舌片及び前記差込部は、前記板状部材が前記第1のヒンジ部と前記第2のヒンジ部と該第1のヒンジ部及び該第2のヒンジ部の各両端を結ぶ一対の切目線とに囲まれることで夫々形成されることを特徴とする包装具。
【請求項4】
請求項記載の包装具において、
前記切目線は、前記第1のヒンジ部の両端から夫々前記載置部に向かって、前記舌片の幅が次第に小となるように、傾斜して延びる傾斜部が設けられていることを特徴とする包装具。
【請求項5】
請求項記載の包装具において、
前記切目線は、前記第1のヒンジ部から延びる第1切目線と、前記第2のヒンジ部から延びる第2切目線と、前記第1切目線の先端から前記第2切目線の先端に前記舌片の幅が小となるように該第3の折曲線の延長線上に沿って延びる第3切目線とによって形成され、
前記差込部は、前記第3切目線によって段差部が設けられ、前記第1の折曲線で前記起立部を起立させたとき、該段差部に前記舌片が当接されることを特徴とする包装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装対象物を包装する包装具に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットショッピングなどの通信販売の普及により、宅配便を利用した商品の搬送が多用されている。これらの商品の搬送においては、形状や大きさの異なる様々な包装対象物を安定した状態で搬送できる包装具が求められている。
【0003】
この種の包装具として、従来、板状部材及び該板状部材が収容された筒状の伸縮可能な可撓性フィルム部材とからなる包装具と、該包装具を収容する外箱とを備える包装箱が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この包装具では、板状部材は、包装対象物が載置される載置部と、該載置部の両側に配された起立部とを有し、該載置部と起立部との境界に該起立部を該載置部の上方に谷折り可能な第1の折曲線が設けられるとともに、該第1の折曲線と直交し該載置部及び該折返部を谷折り可能な第2の折曲線を有している。
【0005】
かかる包装具によって包装対象物を包装するときには、板状部材を第2の折曲線で谷折りすることで、板状部材と可撓性フィルム部材との間に隙間を作って包装対象物を挿入する。そして、第1の折曲線から各起立部を上方に折り曲げると、先に折り曲げられていた第2の折曲線は、折り曲げられていない元の状態に復元され、これにより可撓性フィルム部材が緊張する。
【0006】
この結果、包装対象物は、可撓性フィルム部材によって載置部に圧着して支持される。この包装具は、包装対象物を包んだ状態で段ボールなどの外箱に収容されて包装箱として搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表平9-501128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、包装対象物を包んだ状態の包装具は、緊張した可撓性フィルム部材が包装対象物を介して載置部を押圧している。そのため、板状部材は、各起立部が上方に折り曲げた状態から折り曲げられていない元の状態に復元されて、第2の折曲線で再度谷折りされてしまうことがあるという不都合がある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、包装対象物を包んだ状態で維持することができる包装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明の包装具は、包装対象物が載置される板状部材と、該板状部材が挿入される筒状であって、少なくとも該板状部材に載置された該包装対象物を覆う可撓性の薄膜部材とを備える包装具であって、前記板状部材は、表側に前記包装対象物が載置される載置部と、該載置部の両側に夫々谷折り可能な第1の折曲線を介して連設される起立部と、該載置部及び該起立部を横切り、該載置部及び該起立部を谷折り可能な第2の折曲線と、前記起立部に設けられた谷折り可能な第1のヒンジ部を介して該起立部から前記載置部まで突出する舌片と、前記載置部に設けられ、前記舌片を差し込み可能に開口する差込部とを備え、該差込部は、前記起立部を第1の折曲線で折り曲げたとき、差し込まれた前記舌片を挟持するように該舌片以下の幅に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の包装具は、筒状の薄膜部材に対し、載置部に載置された包装対象物が覆われるように板状部材が挿入されているので、該板状部材の載置部と該薄膜部材との隙間に包装対象物を挟むことができる。このとき、第2の折曲線により載置部及び両起立部を谷折りしておくことにより、該隙間が大きくなるため、包装対象物を挿入しやすくすることができる。
【0012】
また、該載置部の両側には、第1の折曲線を介して起立部が連設されているところ、該第1の折曲線と前記第2の折り曲げ線とは交差しているため、両起立部を第1の折曲線で載置部の上方に折り曲げると、先に折り曲げられていた第2の折曲線は、折り曲げられていない元の状態に復元され、可撓性の薄膜部材が緊張して包装対象物を載置部に押し付けて支持する。
【0013】
このとき、起立部に設けられた舌片は、第1のヒンジ部によって谷折りされ載置部に設けられた差込部に差し込まれ挟持される。これにより、起立部は、舌片を介して載置部に起立姿勢で支持される。
【0014】
したがって、本発明の包装具では、起立部が起立された状態から元の状態に復元されて、板状部材が第2の折曲線で再度谷折りされてしまうことがないため、包装対象物を包んだ状態で維持することができる。
【0015】
また、本発明の包装具において、前記舌片及び前記差込部は、前記板状部材が前記第1のヒンジ部と該第1のヒンジ部の両端を結んで前記載置部に向けて凸の切目線とに囲まれることで夫々形成されることが好ましい。
【0016】
これによれば、一枚の板状部材から前記舌片及び前記差込部を形成することができるので、製造工程におけるゴミの増加も防止することができる。
【0017】
また、本発明の包装具において、前記切目線は、前記第1のヒンジ部の両端から夫々前記載置部に向かって、前記舌片の幅が次第に小となるように、傾斜して延びる傾斜部が設けられていることが好ましい。
【0018】
これによれば、載置部側の傾斜部を本発明の差込部とできる。また、舌片は、傾斜部によって起立部側の幅が次第に大となるので、前記差込部に差し込みやすくすることができる。
【0019】
また、本発明の包装具において、前記舌片は、先端において、前記載置部に設けられた山折り可能な第2のヒンジ部を介して該載置部と連設されるとともに、前記第1のヒンジ部と前記第2のヒンジ部と該第1のヒンジ部及び該第2のヒンジ部の各両端を結ぶ一対の切目線とによって形成され、該先端と基端との間に谷折り可能な第3の折曲線を有し、第1の折曲線で前記起立部を起立させたとき、前記載置部の裏側において、前記第3の折曲線を頂点としてV字状に屈曲することが好ましい。
【0020】
これによれば、起立部を起立させていくと、舌片は、前記第1のヒンジ部及び前記第2のヒンジ部によって、第3折目線を頂点としてV字状に屈曲しながら載置部の裏側に突出していく。さらに起立部を起立させていくと、舌片の該頂点が第2のヒンジ部を軸にした回動によって載置部側に移動していき、舌片が差込部に差し込まれる。このため、かかる構成を備える包装具によれば、起立部を起立させるだけで、舌片を差込部に差し込むことができる。
【0021】
特に、第3折目線を備える包装具において、前記切目線は、前記第1のヒンジ部から延びる第1切目線と、前記第2のヒンジ部から延びる第2切目線と、第1切目線の先端から第2切目線の先端に前記舌片の幅が小となるように該第3の折曲線の延長線上に沿って延びる第3切目線とによって形成され、前記差込部は、前記第3切目線によって段差部が設けられ、第1の折曲線で前記起立部を起立させたとき、該段差部に前記舌片が当接されることが好ましい。
【0022】
これによれば、起立部に設けられた舌片は、段差部に当接された状態で挟持されるので、より確実に起立部を起立した状態で支持して、包装対象物を包んだ状態で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の包装具の一実施形態を示す斜視図。
図2図1の包装具の板状部材の展開図。
図3図2の板状部材の一部拡大図。
図4A図1の包装具の包装工程を示す第1の斜視図。
図4B図1の包装具の包装工程を示す第2の斜視図。
図4C図1の包装具の包装工程を示す第3の斜視図。
図4D図1の包装具の包装工程を示す第4の斜視図。
図5図1の板状部材の変形過程を側面から示した説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施形態の物品運送用包装具1(以下、包装具1という)は、図1に示すように、板状部材2と、可撓性フィルム(薄膜部材)3とを有する。包装具1は、板状部材2と、可撓性フィルム3と間に包装対象物Kを保持して、これを外箱4内に収容されるものである。この外箱4は、そのまま包装箱としてもよく、さらに大きな包装箱内に2箱以上を収容されるものであってもよい。
【0026】
板状部材2は、図2に示すように、載置部21と、載置部21の両側に配された起立部22,22とに区画された略方形の板である。板状部材2は、例えば、厚紙、段ボール板紙によって作られる。
【0027】
載置部21は、板状部材2の中央領域に確保された包装物品を載置する部分である。起立部22は、載置部21の左右端縁に第1折目線aを介して連設されて、上向きに折り返される部分である。なお、第1折目線aは、本発明の第1の折曲線に相当する。
【0028】
第1折目線aは、板状部材2の左右端縁と平行な谷折り可能な折目線である。また、第1折目線a及び後述する他の各折目線は、例えば裏面(図示せず)に対して、折り曲げ溝が断続的に設けられることでミシン目状に形成される。また、折目線は、例えば表面に通常罫線、半切り、曲線等を設けることにより、形成してもよい。
【0029】
これによって起立部22は、載置部21に対して概ね垂直上方に向く位置まで折り曲げ可能とされる。
【0030】
板状部材2には、載置部21及び起立部22,22を通過し、第1折目線a,aと交差する第2折目線bが形成されている。第2折目線bは、板状部材2の上下端縁と平行な谷折り可能な折目線である。なお、第2折目線bが、本発明の第2の折り曲げ線に相当する。
【0031】
また、板状部材2には、載置部21及び起立部22に亘って、略矩形状の舌片23が左右両側に夫々3つずつ形成されている。なお、本発明において、舌片の個数及び配置はこれに限られるものではない。
【0032】
図2及び図3に示すとおり、舌片23は、略台形状の本体部231と略矩形状の連結部232とを備える。
【0033】
本体部231は、左端縁において、第3折目線cを介して起立部22に連設されている。第3折目線cは、板状部材2の左右端縁と平行な谷折り可能な折目線である。なお、第3折目線cは、本発明の第1のヒンジ部に相当する。
【0034】
これにより本体部231は、第3折目線cを軸として起立部22に対し回動可能である。
【0035】
連結部232は、右端縁において、第4折目線dを介して載置部21に連設されている。第4折目線dは、板状部材2の左右端縁と平行な山折り可能な折目線である。なお、第4折目線dは、本発明の第2のヒンジ部に相当する。
【0036】
これにより連結部232は、第4折目線dを軸として載置部21に対し回動可能である。
【0037】
また、本体部231と連結部232とは、該本体部231の右端縁と該連結部232の左端縁とにおいて、第5折目線eを介して連設されている。第5折目線eは、板状部材2の左右端縁と平行な谷折り可能な折目線である。なお、第5折目線eは、本発明における第3の折曲線に相当する。
【0038】
ところで、舌片23上には前記第1折目線aが形成されないため、起立部22を第1折目線aで起立させていくと、その応力が第5折目線eに集中する。これにより、舌片23は第5折目線eを頂点として折れ曲がり、板状部材2の裏面側に突出していく。
【0039】
以上説明した舌片23は、図3に示すように、板状部材2に対して一対の切目線24を設けることにより形成される。切目線24は、第3折目線cの両端から第4折目線dの両端に向かって段差を有して直線状に夫々延びている。
【0040】
図3における上側の切目線24を用いて説明すると、切目線24は、第3折目線cの上端から右下がりに延びる直線状の第1切目線241と、第4折目線dの上端から左側に向かって板状部材2の上下端縁と平行に延びる第2切目線242と、第1切目線241及び第2切目線242を結び、第5折目線eの延長線上に沿って延びる第3切目線243とからなる。
【0041】
上下一対の第1切目線241が左側に向かって離間していくため、舌片23は、左側に行くにしたがって、上下方向の幅が広くなっている。なお、第1切目線241が本発明の傾斜部に相当する。
【0042】
次に、板状部材2のうちで切目線24に隔てられ、一部遊離された舌片23と対向する側、すなわち板状部材2のうち、舌片23が切り取られて開口した領域として差込部25が形成される。
【0043】
差込部25は、第3切目線243によって形成される当接部251と、第3切目線243の両端及び該両端から第1切目線241に沿って所定の領域に形成される挟持部252とを有する。なお、当接部251が本発明の段差部に相当する。
【0044】
図1に示した可撓性フィルム3は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルなどの合成樹脂フィルムからなる可撓性フィルムによって形成される。また、可撓性フィルム3は、筒状であり、一方の開口から、板状部材2が第2折目線bに沿った方向に挿入される。
【0045】
可撓性フィルム3は、軸線方向において、少なくとも、包装対象物Kを覆うように形成される必要があり、本実施形態では載置部21が覆われるように形成されている。
【0046】
可撓性フィルム3の周方向の長さは、板状部材2を収納できるように、板状部材2の短手方向の外周と同程度か、それより若干大きく設計されている。なお、可撓性フィルム3は可撓性を有し伸縮可能であり、また、板状部材2は第2折目線bで折り曲げ可能であるため、板状部材2の短手方向の外周より可撓性フィルム3を若干小さく設計することもできる。すなわち、可撓性フィルム3の周方向の長さは、収納する包装対象物Kの大きさによって、適宜選択することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、板状部材2は可撓性フィルム3に挿入されているだけであり固定されていないが、本発明はこれに限られるものではなく、包装対象物Kを挿入しない一方側の板状部材2及び可撓性フィルム3を接着剤・熱溶着で固定することもできる。
【0048】
次に、図4A乃至図4Dを参照して、包装具1を用いて包装対象物Kを包装する手順について説明する。
【0049】
まず、図4Aに示すように、板状部材2を第2折目線bに沿って谷折りに折り曲げる。次いで、包装対象物Kを、板状部材2の載置部21と可撓性フィルム3との間に挿入する。このとき、上記のとおり、予め板状部材2を折り曲げておくことで可撓性フィルム3が弛むため、包装対象物Kを挿入しやすくなる。
【0050】
次に、図4Bに示すように、第2折目線bに沿って折り曲げられた板状部材2を、可撓性フィルム3の張力に抗して平板状に復元させる。これにより、可撓性フィルム3は、載置部21の両端縁側に引っ張られて緊張し、包装対象物Kを載置部21に押し付ける。これによって、包装対象物Kは所定の位置に固定される。
【0051】
さらに、図4Bに示すように、起立部22,22を第1折目線a,aで載置部21の表面側に折り曲げる(図4Bの矢印方向)。
【0052】
これにより、図4Cに示すように、起立部22が徐々に起立していき、図4Dに示すように載置部の上方に起立する。このとき、舌片23は差込部25に差し込まれて係止されるので、起立されている起立部22が、段ボール等の復元力により復元することを防止することができる。また、起立部22が、この位置を越えて過度に載置部21の上面側に折れ曲がることが防止される。
【0053】
以上により、包装具1を用いた包装対象物Kの包装が完了する。
【0054】
なお、上記説明では、図4Bにおいて、第2折目線bに沿って折り曲げた板状部材を折り曲げられていない元の状態に戻してから、起立部22,22を第1折目線a,aで載置部21の表面側に折り曲げると説明した。しかしながら、該第2折目線bと該第1折目線aとは交差しているため、両折目線を同時に折り曲げることはできないので、第1折目線aで強制的に折り曲げると、先に折り曲げられていた第2折目線bは、折り曲げられていない元の状態に自動的に復元される。
【0055】
すなわち、図4Aに示すように、包装対象物Kを、板状部材2の載置部21と可撓性フィルム3との間に挿入した状態において、起立部22,22を載置部21の表面側に折り曲げることで、図4Bの状態を省略して、図4Cを介して図4Dに示した包装が完了した状態にすることもできる。
【0056】
次に、図5A乃至図5Cを参照して、舌片23が差込部に差し込まれるときの動作について説明する。
【0057】
図5Aの状態から起立部22を第1折目線aで谷折りしていくと、図5Bに示すように、第5折目線eを頂点として本体部231と連結部232とが徐々に屈曲される。
【0058】
さらに起立部22を起立させていくと、第3折目線cは右方向(左右方向において載置部に近づく方向)に弧を描きながら移動する。これにより、第3折目線cに支持されている本体部231も右方向に移動され、当接部251に当接する。
【0059】
さらに、起立部22を起立させていくと、本体部231は、当接した当接部251の先端によって案内されて板状部材2の裏面にさらに突出していく。このとき、連結部232は第4折目線dを軸に回動されるので、本体部231の先端(第5折目線e)を、弧を描きながら右方向に案内する。
【0060】
ところで、本体部231は略台形状であり、第5折目線eから第3折目線cに向けてテーパー状に形成されている。そのため、起立部22を起立させていくと、差込部25の挟持部252に対して、舌片23のうち幅が広い領域が徐々に挿入されていく。
【0061】
そして、起立部22を、載置部21に対して概ね垂直上方に向く位置まで約90°折り曲げると、図5Cに示すように、本体部231と連結部232とは、第5折目線eを頂点として、V字状(約90°)に屈曲される。また、本体部231は、差込部25の当接部251に強く押し付けられて当接するとともに、挟持部252によって挟持される。このとき、板状部材2は、段ボール板紙によって形成されているので、本体部231と、当接部251及び挟持部252とは、相互に変形しながら無理嵌めされる。
【0062】
以上説明した包装具1によれば、折り曲げられた起立部22が、段ボールの復元力により復元しようとしても、起立部22に支持された舌片23が、載置部21に形成された差込部25に係止されるので、前記復元を防止することができる。
【0063】
また、このとき、差込部25の挟持部252に対して、テーパー状の舌片23が可能な限り挿入されているので、起立部22が約90°を越えて過度に載置部21の上面側に折れ曲がることが防止される。
【0064】
最後に、図1に示すように、この包装具1を外箱4に収納する。
【0065】
このとき、包装具1は、上記復元が防止されているため、包装対象物Kを包んだ状態で維持されるので、容易に収容することができる。
【0066】
また、包装具1は、外箱として、ラップアラウンド式のケースを採用したときに、以下の特有の作用効果をさらに有する。
【0067】
まず、ラップアラウンド式のケースは、筒状の本体部と、本体部の左右を閉塞する閉鎖部を備え、各閉塞部は、本体部の左右縁端に折目線を介して連設される一対の内フラップと、上下縁端に折目線を介して連設される一対の外フラップとからなるものである。
【0068】
この閉塞部を閉塞する際には、内フラップを折目線で折り曲げてから該内フラップ表面に接着剤等を塗布し、外フラップを折目線で折り曲げて接着する。
【0069】
この接着を行う際には、外フラップを外部から押す際に、内フラップが箱の内部方向に折れ曲がりすぎないように内部方向から支持することが好ましい。
【0070】
しかしながら、一方の閉塞部を閉塞して商品を内包した状態で、内フラップを内側から支持することはできないという不都合があった。
【0071】
これに対し、本発明の包装具1によれば、起立部22が閉塞部に対向するように収納すれば、内フラップを起立部22により支持することができるため、閉塞部の接着を容易に行うことができる。
【0072】
以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0073】
上記説明では、舌片23が、連結部232を介して載置部21と接続されている実施形態を説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、舌片が、舌片の横幅よりも幅狭な差込部(挟持部)に無理嵌めされれば足りるため、連結部は省略してもよい。さらに、切目線24で切り取られた内側を舌片23とし、舌片23を除くことによって形成される開口を差込部25としたが、本発明はこれに限られない。すなわち、舌片より載置部の左右方向中央寄りに、舌片が差し込まれる溝部を別途形成してもよい。
【0074】
また、上記説明では、切目線24が階段状に形成されることにより、当接部が形成されている実施形態を説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、舌片が、舌片の横幅よりも幅狭な差込部(挟持部)に無理嵌めされれば足りるため、当接部は省略してもよい。
【0075】
また、上記説明では、第3折目線cの上端から右下がりに延びる直線状の第1切目線241が本発明の傾斜部として説明したが、本発明の傾斜部はこれに限られない。すなわち、傾斜部は、舌片を差込部に挿入容易にできればよいため、ラッパ形状などの曲線状や、階段形状であってもよく、本体部の一部に形成されてもよい。
【0076】
また、上記説明では、可撓性フィルム3は、軸線方向において包装対象物Kを覆う程度に形成されている実施形態を説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、可撓性フィルム3は、第5折目線eよりも起立部22側までおおわれていることが好ましい。これによれば、舌片23は、第5折目線eを頂点として、板状部材2の裏面に突出するため、舌片23により可撓性フィルム3を下方に引っ張ることで、包装対象物Aへの支持力をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0077】
1…包装具、2…板状部材、21…載置部21…起立部、23…舌片、24…切目線、241…第1切目線(傾斜部)、242…第2切目線、243…第3切目線、25…差込部、251…当接部(段差部)、3…可撓性フィルム(薄膜部材)、a…第1折目線(第1の折曲線)、b…第2折目線(第2の折曲線)、c…第3折目線(第1のヒンジ部)、d…第4折目線(第2のヒンジ部)、e…第5折目線(第3の折曲線)、K…包装対象物。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5