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特許7113634作業システム及び作業システムによる制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】作業システム及び作業システムによる制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20220729BHJP
   B25J 3/00 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G05D1/00 B
B25J3/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018040206
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019153252
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】山下 佳一
(72)【発明者】
【氏名】麻生 聡
(72)【発明者】
【氏名】有田 雅比古
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健士
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/165873(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/12
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスレーブ装置と、少なくとも1つのマスタ装置と、制御装置とを有する作業システムであって、
前記複数のスレーブ装置のそれぞれは、
前記マスタ装置から受信する把持制御信号に基づいて対象物を把持して所定の位置まで移動させる把持機構と、
前記対象物を把持して所定の位置まで移動させることのできる走行先まで走行可能な走行機構と、
前記走行機構による走行を制御する走行制御部と、
を備え、
前記マスタ装置は、
操作者が行う操作を検出し、検出した操作に応じた前記把持制御信号を前記スレーブ装置へ送信する把持制御部、
を備え、
前記制御装置は、
前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先を、前記走行先までの走行を完了した状態の前記スレーブ装置と決定する通信制御部、
を備える作業システム。
【請求項2】
前記通信制御部は、
前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先を、前記走行先までの走行を完了した前記スレーブ装置の順のスレーブ装置と決定する、
請求項1に記載の作業システム。
【請求項3】
前記通信制御部は、
前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先を、前記対象物の注文が取得され当該注文の取得した順に前記対象物の置かれた走行先へ走行した前記スレーブ装置の順のスレーブ装置と決定する、
請求項1に記載の作業システム。
【請求項4】
前記複数のスレーブ装置のうちの少なくとも1つは、
前記走行先に基づいて、前記スレーブ装置の現在位置から前記走行先まで当該スレーブ装置を走行させる走行制御信号を特定する走行制御信号特定部、
を備え、
当該複数のスレーブ装置のうちの少なくとも1つが備える前記走行制御部は、
前記走行制御信号を前記走行機構に出力する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の作業システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記スレーブ装置の現在位置から前記走行先まで当該スレーブ装置を走行させる経路を特定する経路特定部と、
前記経路を当該スレーブ装置に送信する送信部と、
を備え、
前記走行制御部は、
前記送信部が送信した前記経路に基づいて前記走行機構による走行を制御する、
請求項4に記載の作業システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記対象物についての注文を取得する注文取得部、
を備え、
前記経路特定部は、
前記注文取得部が取得した前記注文に基づいて前記経路を特定する、
請求項5に記載の作業システム。
【請求項7】
前記通信制御部は、
前記スレーブ装置が所定の状態になった場合に、当該スレーブ装置以外の他のスレーブ装置であって、前記走行機構によって前記走行先までの走行を完了した状態のスレーブ装置を特定し、特定した前記スレーブ装置を、前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先のスレーブ装置と決定する、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の作業システム。
【請求項8】
前記複数のスレーブ装置のそれぞれ
工知能に基づく処理によって、前記把持機構に前記対象物を把持させる自律把持制御部、
を備える請求項1から請求項7の何れか一項に記載の作業システム。
【請求項9】
少なくとも1つのマスタ装置と、前記マスタ装置から受信する把持制御信号に基づいて対象物を把持して所定の位置まで移動させる把持機構、及び、前記把持機構によって前記対象物を把持して所定の位置まで移動させることのできる走行先まで走行可能な走行機構を有する複数のスレーブ装置と、制御装置とを有する作業システムによる制御方法であって、
前記複数のスレーブ装置のそれぞれは、前記走行機構による走行を制御し、
前記制御装置は、前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先を前記走行先までの走行を完了した状態の前記スレーブ装置と決定し、
前記マスタ装置は、
操作者が行う操作を検出し、検出した操作に応じた前記把持制御信号を前記スレーブ装置へ送信する、
作業システムによる制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業システム及び作業システムによる制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物を把持するロボットとして自律的に対象物を把持するロボット、遠隔操作に基づいて対象物を把持するロボットなどさまざまなロボットがある。
特許文献1には、関連する技術として、移動ロボットに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5429901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遠隔操作される移動ロボットは、マスタ部とスレーブ部とで構成される。対象物の把持が遠隔操作によって行われる場合、マスタ部とスレーブ部との接続の組み合わせをどのようにするかによって作業システムにおける効率が変化する。
そのため、作業システムにおいて、マスタ部とスレーブ部との間の通信接続を効率よく行うことのできる技術が求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決することのできる作業システム及び作業システムによる制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、作業システムは、複数のスレーブ装置と、少なくとも1つのマスタ装置と、制御装置とを有する作業システムであって、前記複数のスレーブ装置のそれぞれは、前記マスタ装置から受信する把持制御信号に基づいて対象物を把持して所定の位置まで移動させる把持機構と、前記対象物を把持して所定の位置まで移動させることのできる走行先まで走行可能な走行機構と、前記走行機構による走行を制御する走行制御部と、を備え、前記マスタ装置は、操作者が行う操作を検出し、検出した操作に応じた前記把持制御信号を前記スレーブ装置へ送信する把持制御部、を備え、前記制御装置は、前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先を、前記走行先までの走行を完了した状態の前記スレーブ装置と決定する通信制御部、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様における作業システムにおいて、前記通信制御部は、前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先を、前記走行先までの走行を完了した前記スレーブ装置の順のスレーブ装置と決定するものであってもよい。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様における作業システムにおいて、前記通信制御部は、前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先を、前記対象物の注文が取得され当該注文の取得した順に前記対象物の置かれた走行先へ走行した前記スレーブ装置の順のスレーブ装置と決定するものであってもよい。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様から第3の態様の何れか1つにおける作業システムにおいて、前記複数のスレーブ装置のうちの少なくとも1つは、前記走行先に基づいて、前記スレーブ装置の現在位置から前記走行先まで当該スレーブ装置を走行させる走行制御信号を特定する走行制御信号特定部、を備え、当該複数のスレーブ装置のうちの少なくとも1つが備える前記走行制御部は、前記走行制御信号を前記走行機構に出力するものであってもよい。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、第4の態様における作業システムにおいて、前記制御装置は、前記スレーブ装置の現在位置から前記走行先まで当該スレーブ装置を走行させる経路を特定する経路特定部と、前記経路を当該スレーブ装置に送信する送信部と、を備え、前記走行制御部は、前記送信部が送信した前記経路に基づいて前記走行機構による走行を制御するものであってもよい。
【0011】
本発明の第6の態様によれば、第5の態様における作業システムにおいて、前記制御装置は、前記対象物についての注文を取得する注文取得部、を備え、前記経路特定部は、前記注文取得部が取得した前記注文に基づいて前記経路を特定するものであってもよい。
【0012】
本発明の第7の態様によれば、第1の態様から第6の態様の何れか1つにおける作業システムにおいて、前記通信制御部は、前記スレーブ装置が所定の状態になった場合に、当該スレーブ装置以外の他のスレーブ装置であって、前記走行機構によって前記走行先までの走行を完了した状態のスレーブ装置を特定し、特定した前記スレーブ装置を、前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先のスレーブ装置と決定するものであってもよい。
【0013】
本発明の第8の態様によれば、第1の態様から第7の態様の何れか1つにおける作業システムにおいて、前記複数のスレーブ装置のそれぞれは、人工知能に基づく処理によって、前記把持機構に前記対象物を把持させる自律把持制御部、を備えるものであってもよい。
【0014】
本発明の第9の態様によれば、作業システムによる制御方法は、少なくとも1つのマスタ装置と、前記マスタ装置から受信する把持制御信号に基づいて対象物を把持して所定の位置まで移動させる把持機構、及び、前記把持機構によって前記対象物を把持して所定の位置まで移動させることのできる走行先まで走行可能な走行機構を有する複数のスレーブ装置と、制御装置とを有する作業システムによる制御方法であって、前記複数のスレーブ装置のそれぞれは、前記走行機構による走行を制御し、前記制御装置は、前記マスタ装置が前記把持制御信号を送信する送信先を前記走行先までの走行を完了した状態の前記スレーブ装置と決定し、前記マスタ装置は、操作者が行う操作を検出し、検出した操作に応じた前記把持制御信号を前記スレーブ装置へ送信する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の態様によれば、遠隔操作可能なマスタ部とスレーブ部とを有する遠隔作業システムにおいて、マスタ部とスレーブ部との間の通信接続を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態による作業システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態によるスレーブ部の構成の一例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態による走行制御信号の特定を説明するための図である。
図4】本発明の第1の実施形態によるマスタ部の構成の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態による管理サーバの構成の一例を示す図である。
図6A】本発明の第1の実施形態による作業システムの処理フローを示す第1の図である。
図6B】本発明の第1の実施形態による作業システムの処理フローを示す第2の図である。
図7】本発明の第2の実施形態によるスレーブ部の一例を示す図である。
図8A】本発明の第3の実施形態における作業システムの処理フローを示す第1の図である。
図8B】本発明の第3の実施形態における作業システムの処理フローを示す第2の図である。
図9】本発明の別の実施形態におけるマスタ部の一例を示す図である。
図10】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
なお、本発明の第1の実施形態では、作業システム1が設けられる作業場に複数の棚が置かれている。各棚には物品が置かれており、スレーブ部が作業場内の目的の棚まで走行して目的の対象物を把持する。対象物とは、注文された物品のことである。スレーブ部による把持は、マスタ部によって遠隔操作される。
(作業システム1の構成)
本発明の第1の実施形態による作業システム1の構成について説明する。
本発明の第1の実施形態による作業システム1は、スレーブ部10とマスタ部20との間の通信接続を対応付けて記憶するシステムである。作業システム1は、図1に示すように、複数のスレーブ部10(スレーブ装置の一例)と、マスタ部20(マスタ装置の一例)と、管理サーバ30(制御装置の一例)と、ネットワークNWと、を備える。
【0018】
(スレーブ部10の構成)
各スレーブ部10は、マスタ部20とは異なる場所(図1に示す例では倉庫A内)に配置されるロボットである。スレーブ部10は、倉庫A内の対象物Iの置かれている位置(例えば、対象物Iの置かれている棚の位置)まで走行する。ここでの対象物Iとは、例えば、通信回線を介して注文された商品である。
対象物Iの置かれている位置までの走行が完了するとスレーブ部10には、管理サーバ30によってネットワークNWを介してマスタ部20が接続される。マスタ部20が接続されたスレーブ部10は、マスタ部20からネットワークNWを介して受信する把持制御信号に従って動作する。ここでの動作とは、対象物Iを所定の位置(例えば、注文された商品を発送するための容器M内)まで移動させる動作である。スレーブ部10がマスタ部20から把持制御信号を受信し、スレーブ部10がその把持制御信号に従って動作する場合、スレーブ部10とマスタ部20とは、マスタ・スレーブ型の遠隔作業システムを構成する。スレーブ部10は、図2に示すように、通信部101と、撮影部102と、把持部103(把持機構の一例)と、走行機構104と、走行制御部105(走行制御信号特定部の一例)と、胴体106と、記憶部107と、を備える。
【0019】
通信部101は、ネットワークNWを介してマスタ部20と通信を行う。通信部101がマスタ部20と通信を行いスレーブ部10とマスタ部20とマスタ・スレーブ型の遠隔作業システムを構成する。
【0020】
撮影部102は、胴体106に設けられ、把持可能な範囲を撮影する。スレーブ部10が対象物Iの置かれた位置まで走行することで、撮影部102は、把持する対象物Iを撮影する。撮影部102が撮影する画像は、物体が立体的に見える立体画像である。例えば、立体画像は、視差を有する2つの画像から成るステレオ画像である。また、例えば、立体画像は、奥行き情報を有する3次元グラフィックからなる画像である。撮影部102は、撮影した画像を通信部101を介してマスタ部20に送信する。
【0021】
把持部103は、胴体106に設けられ、マスタ部20から通信部101を介して受信した把持制御信号に従って動作する。ここでの動作は、例えば、対象物Iを把持し、その対象物Iを所定の位置まで移動させる動作である。把持部103は、例えば、ロボットアームである。
【0022】
走行機構104は、胴体106を支持し、走行可能に構成される。走行機構104は、例えば倉庫A内の対象物Iが置かれた場所(対象物Iを所定の位置まで移動できる状態となる走行先)までスレーブ部10を走行可能とする機構である。走行機構104は、走行制御部105から走行制御信号を受け、受けた走行制御信号に応じた速度と方向で走行する。走行機構104は、例えば、車輪、無限軌道、ホバークラフト(登録商標)などを含む機構である。
【0023】
走行制御部105は、管理サーバ30から対象物Iが置かれているスレーブ部10の走行先の情報を取得する。走行制御部105は、取得したスレーブ部10の走行先の情報に基づいて、スレーブ部10の現在位置から走行先までスレーブ部10を走行させる走行制御信号を特定する。
具体的には、例えば、走行制御部105は、所定の場所において起動したスレーブ部10の走行履歴に基づいて現在位置を特定する。なお、走行制御部105が走行履歴に基づいてスレーブ部10の現在位置を特定できない場合、例えば、走行経路上の位置を示すマークが設けられている場所まで走行し、そのマークを読み取って現在位置を特定する。スレーブ部10の現在位置から走行先までの走行経路は、例えば、予め記憶部107に書き込まれている。走行制御部105は、記憶部107から走行経路を読み出すことによって、自律走行によって現在位置から走行先までスレーブ部10を走行させる。
【0024】
記憶部107は、スレーブ部10が行う種々の処理に必要な情報を記憶する。記憶部107は、例えば、図3に示すような、スレーブ部10の走行経路上のある位置を示す第1の位置と別の位置を示す第2の位置との組み合わせ(図3に示す例では、第1の位置a1と第2の位置b1との組み合わせ、及び、第1の位置a2と第2の位置b2との組み合わせ)と、その組み合わせが示す第1の位置から第2の位置までの走行経路(図3に示す例では、走行経路c1及びc2)と、スレーブ部10にその走行経路を走行させる走行制御信号(図3に示す例では、走行制御信号sig1及びsig2)とを関連付けて記憶する。
【0025】
(マスタ部20の構成)
マスタ部20は、スレーブ部10とは異なる場所(図1に示す例では操作者Oの勤務先である操作センタB)に配置される。マスタ部20は、スレーブ部10を動作させる制御信号を生成する。マスタ部20は、生成した制御信号をスレーブ部10に送信する。マスタ部20は、図4に示すように、通信部201と、画像再生部202と、操作入力部203と、を備える。
【0026】
通信部201は、ネットワークNWを介してスレーブ部10及び管理サーバ30と通信を行う。
具体的には、通信部201は、管理サーバ30から接続指示信号を受信する。接続指示信号には、マスタ部20の識別子とスレーブ部10の識別子が含まれている。通信部201は、受信した接続指示信号の指示するスレーブ部10と通信を行う。
なお、通信を行うマスタ部20とスレーブ部10との組み合わせが変更される場合、変更された時刻と共にそれぞれの識別子が管理サーバ30に書き込まれる。
【0027】
画像再生部202は、通信部201を介して操作対象のスレーブ部10から立体画像を受信する。画像再生部202は、受信した立体画像を表示する。画像再生部202は、例えば、立体画像を仮想現実(Virtual Reality)、拡張現実(Augmented Reality)、または、複合現実(Mixed Reality)と呼ばれる空間において立体画像を表示する。画像再生部202は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)やスマートグラスなどである。
【0028】
操作入力部203(把持制御部の一例)は、操作者Oが行う把持操作を検出する。操作入力部203は、検出した把持操作に応じた把持制御信号を通信部201を介して把持操作対象のスレーブ部10及び管理サーバ30に送信する。操作者Oが行う把持操作とは、例えば、画像再生部202が表示する立体画像を見ながら対象物Iを把持し、その対象物Iを所定の位置まで移動させる操作である。
【0029】
(管理サーバ30の構成)
管理サーバ30は、図5に示すように、通信部301(送信部の一例)と、記憶部302と、把持操作管理部303(通信制御部の一例)と、走行操作管理部304(通信制御部の一例、注文取得部の一例)と、記憶部302と、を備える。
【0030】
通信部301は、ネットワークNWを介してスレーブ部10及びマスタ部20と通信を行う。
記憶部302は、マスタ部20の識別子と、そのマスタ部20の走行操作の対象であるスレーブ部10の識別子とを関連付けて記憶する。また、記憶部302は、マスタ部20の識別子と、そのマスタ部20の把持操作の対象であるスレーブ部10の識別子とを関連付けて記憶する。なお、マスタ部20とスレーブ部10との組み合わせが変更される場合、記憶部302は、変更された時刻と共にそれぞれの識別子を記憶する。
【0031】
把持操作管理部303は、走行先までの走行が完了したスレーブ部10へ把持を制御する把持制御信号をマスタ部20から送信できるように通信を接続する。例えば、把持操作管理部303は、走行先までの走行を完了した順に、接続先のスレーブ部10の識別子をマスタ部20に通知し、マスタ部20がその識別子のスレーブ部10にアクセスすることによって、マスタ部20がスレーブ部10へ把持制御信号を送信できるようにスレーブ部10と1対1の通信を行う。また、例えば、把持操作管理部303は、対象物Iの注文順に、走行先までの走行を完了したスレーブ部10の識別子をマスタ部20に通知し、マスタ部20がその識別子のスレーブ部10にアクセスすることによって、マスタ部20がスレーブ部10へ把持制御信号を送信できるようにスレーブ部10と1対1の通信を行う。
走行操作管理部304は、購入希望者Pが対象物Iを購入する操作を行ったパーソナルコンピュータPCから注文内容を受け取る。走行操作管理部304は、注文内容に応じたスレーブ部10の走行先を示す情報をスレーブ部10に送信する。
記憶部302は、管理サーバ30が行う種々の処理に必要な情報を記憶する。例えば、記憶部302は、注文内容に含まれる対象物Iの識別子と、その識別子が示す対象物Iが置かれているスレーブ部10の走行先(例えば、商品棚の位置)とを関連付けて記憶する。
【0032】
(作業システム1の処理)
次に、本発明の第1の実施形態による作業システム1の処理について説明する。
ここでは、図6A、6Bに示す本発明の第1の実施形態による作業システム1の処理フローについて説明する。
【0033】
購入希望者Pがショッピングサイトで対象物Iを注文する(購入する)手続きを行ったとする。
走行操作管理部304は、対象物Iを注文する手続きが行われる度に、例えば購入希望者Pが操作するパーソナルコンピュータPCから、注文内容を受け取る(ステップS1)。走行操作管理部304は、受け取った注文内容から対象物Iを特定する(ステップS2)。走行操作管理部304は、記憶部302において、注文内容から特定した対象物Iと同一の対象物Iを特定する(ステップS3)。走行操作管理部304は、記憶部302において特定した対象物Iに関連付けられているスレーブ部10の走行先を特定する(ステップS4)。走行操作管理部304は、特定したスレーブ部10の走行先の情報を、走行中でなく、かつ、把持操作中でないスレーブ部10のうちの何れか1つに送信する(ステップS5)。例えば、走行操作管理部304は、スレーブ部10の走行先の情報とともにスレーブ部10の識別子の情報を、走行中でなく、かつ、把持操作中でないスレーブ部10のうちの何れか1つに送信することによって、特定のスレーブ部10に走行先の情報を送信することが可能となる。なお、走行操作管理部304は、例えば、送信中の把持制御信号を把持操作管理部303に問い合わせることによって、走行中でなく、かつ、把持操作中でないスレーブ部10を知ることができる。
【0034】
走行操作管理部304は、管理サーバ30を、新たな注文内容及び走行先の情報を送信したスレーブ部10の走行完了報知信号を受け取れる状態にする(ステップS6)。具体的には、走行操作管理部304は、走行操作管理部304自身を、新たな注文内容を受け取れる状態にし、把持操作管理部303を、スレーブ部10の走行先までの走行を完了したスレーブ部10から、その走行の完了を示す走行完了報知信号を受信できる状態にする。なお、走行完了報知信号は、走行が完了したスレーブ部10の識別子の情報を含む。
【0035】
管理サーバ30は、所定時間後(例えば、1秒後)に、新たな注文内容を受け取ったか否かを判定する(ステップS7)。具体的には、走行操作管理部304は、所定時間後に、新たな注文内容を受け取ったか否かを判定する。
【0036】
走行操作管理部304は、新たな注文内容を受け取ったと判定した場合(ステップS7においてYES)、ステップS2の処理に戻す。
また、走行操作管理部304が新たな注文内容を受け取っていないと判定した場合(ステップS7においてNO)、把持操作管理部303は、スレーブ部10の何れかから走行完了報知信号を受け取ったか否かを判定する(ステップS8)。
【0037】
把持操作管理部303は、走行完了報知信号を受け取っていないと判定した場合(ステップS8においてNO)、ステップS7の処理に戻す。
また、把持操作管理部303は、走行完了報知信号を受け取ったと判定した場合(ステップS8においてYES)、マスタ部20と走行を完了したスレーブ部10との間の通信を確立させるステップS15の処理に進める。なお、ステップS15のマスタ部20と走行の完了したスレーブ部10との間の通信を確立させる処理についての詳細は、後述する。
【0038】
走行制御部105は、管理サーバ30がステップS5の処理によって送信したスレーブ部10の走行先の情報を取得する(ステップS9)。走行制御部105は、取得したスレーブ部10の走行先の情報に基づいて、現在位置から走行先までスレーブ部10を走行させる走行制御信号を記憶部107において特定する(ステップS10)。例えば、走行制御部105は、スレーブ部10の現在位置が第1の位置a1であり、取得したスレーブ部10の走行先の情報がスレーブ部10の走行先として第2の位置b1を示す場合、記憶部107が記憶する図3に示すような関連を示す情報において走行制御信号sig1を特定する。
走行制御部105は、特定した走行制御信号を走行機構104に出力する(ステップS11)。
【0039】
走行機構104は、走行制御部105から走行制御信号を受ける(ステップS12)。走行機構104は、受けた走行制御信号に応じた速度と方向で、スレーブ部10を現在位置から走行先まで走行させる(ステップS13)。
【0040】
走行制御部105は、スレーブ部10が現在位置から走行先までの走行を終えると、走行先までの走行が完了したことを報知する走行完了報知信号を管理サーバ30に送信する(ステップS14)。
【0041】
ステップS8の処理において、把持操作管理部303は、走行完了報知信号を受け取ったと判定した場合、マスタ部20と走行が完了したスレーブ部10との間の通信を確立させる通信確立指令をマスタ部20に送信する(ステップS15)。例えば、把持操作管理部303は、走行先までの走行を完了した順に、接続先のスレーブ部10の識別子を含む通信確立指令をマスタ部20に通知する。また、例えば、把持操作管理部303は、対象物Iの注文順に、走行先までの走行を完了したスレーブ部10の識別子を含む通信確立指令をマスタ部20に通知する。
【0042】
マスタ部20の通信部201は、管理サーバ30から通信確立指令を受信する(ステップS16)。マスタ部20の通信部201は、通信確立指令に応じて、走行が完了したスレーブ部10へ把持制御信号を送信できるようにスレーブ部10と1対1の通信を行うために、その走行先までの走行が完了したスレーブ部10との間の通信を確立する(ステップS17)。操作者Oは、画像再生部202が表示する立体画像を見ながら対象物Iを把持し、その対象物Iを所定の位置まで移動させる操作を行う。
操作入力部203は、操作者Oが行う把持操作を検出する(ステップS18)。操作入力部203は、検出した把持操作に応じた把持制御信号を通信部201を介して把持操作対象のスレーブ部10及び管理サーバ30に送信する(ステップS19)。把持制御信号は、スレーブ部10の識別子を含む。
【0043】
把持操作管理部303は、マスタ部20から把持制御信号を受信する(ステップS20)。把持操作管理部303は、受信した時刻と把持制御信号に含まれるスレーブ部10の識別子とを関連付けて記憶部302に書き込む(ステップS21)。把持操作管理部303が受信した時刻と把持制御信号に含まれるスレーブ部10の識別子とを関連付けて記憶部302に書き込むことにより、例えば、経営者は、操作者Oの作業内容を把握することができ、操作者Oの賃金や査定などに反映させることができる。
【0044】
また、把持部103は、マスタ部20から通信部101を介して把持制御信号を受信する(ステップS22)。把持部103は、受信した把持制御信号に従って、対象物Iを把持し、その対象物Iを所定の位置まで移動させる(ステップS23)。
【0045】
操作者Oは、対象物Iが所定の位置まで移動し終えると、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信を切断する操作を行う。例えば、操作者Oは、操作入力部203に対して、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信を切断する操作を行う。
操作入力部203は、操作者Oによるマスタ部20とスレーブ部10との間の通信を切断する操作に応じて、通信部201を介してその通信を切断する通信切断指令を管理サーバ30に送信する(ステップS24)。そして、操作入力部203は、ステップS16の処理を行う状態に戻す。
また、把持部103は、操作者Oによるマスタ部20とスレーブ部10との間の通信を切断する操作に応じて、ステップS9の処理に戻す。
【0046】
把持操作管理部303は、マスタ部20から通信切断指令を受信する(ステップS25)。把持操作管理部303は、受信した通信切断指令に応じて、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信を切断する(ステップS26)。そして、把持操作管理部303は、ステップS7の処理へ戻す。
なお、走行中、または、把持操作中のスレーブ部10が存在する場合、上述のステップS8の処理は、複数のスレーブ部10に対して行われることになる。また、走行中、または、把持操作中のスレーブ部10が存在する場合、上述のステップS9~S14、S22~S23の処理は、各スレーブ部10ごとに行われる。
【0047】
以上、本発明の第1の実施形態による作業システム1について説明した。
本発明の第1の実施形態による作業システム1において、走行機構104は、走行制御部105の制御に基づいてスレーブ部10を走行先まで走行させる。把持操作管理部303(通信制御部の一例)は、走行先に到着したスレーブ部10とマスタ部20との間の通信を確立する。操作入力部203は、把持制御信号をスレーブ部10へ送信し、スレーブ部10による対象物Iの移動を制御する。
このようにすれば、スレーブ部10が対象物Iを把持できる位置まで走行して対象物Iを所定の位置まで移動させる際に、スレーブ部10の総数以下のマスタ部20でスレーブ部10の把持操作を制御することができるようになる。すなわち、作業効率がよくなるようにマスタ部20とスレーブ部10とを接続することができる。
【0048】
<第2の実施形態>
(作業システム1の構成)
本発明の第2の実施形態による作業システム1の構成について説明する。
本発明の第2の実施形態による作業システム1は、本発明の第1の実施形態による作業システム1と同様に、複数のスレーブ部10(スレーブ装置の一例)と、マスタ部20(マスタ装置の一例)と、管理サーバ30(制御装置の一例)と、ネットワークNWと、を備える。
【0049】
(スレーブ部10の構成)
本発明の第2の実施形態による複数のスレーブ部10のそれぞれは、図7に示すように、通信部101と、撮影部102と、把持部103(把持機構の一例)と、走行機構104と、走行制御部105と、胴体106と、記憶部107と、自律把持制御部108と、遠隔操作必要検知部109と、を備える。
【0050】
自律把持制御部108は、遠隔操作不要時に、例えば画像情報などの入力情報に応じた人工知能AIに基づく処理によって把持制御信号を生成し、生成した把持制御信号を把持部103に出力する。
【0051】
遠隔操作必要検知部109は、把持部103による対象物Iの所定の位置までの移動が困難であることを検知する。具体的には、遠隔操作必要検知部109は、撮影部102が撮影する画像において、把持部103の位置と、対象物Iの位置とを特定する。そして、遠隔操作必要検知部109は、対象物Iが所定の位置に到達するまでの間、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離が対象物Iを把持していないと判定するしきい値以上の距離となったか否かを判定する。遠隔操作必要検知部109は、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離がしきい値以上の距離となったと判定した場合に、対象物Iの所定の位置までの移動が困難である、すなわち遠隔操作が必要である(遠隔操作必要時である)と判定する。また、遠隔操作必要検知部109は、把持部103の位置と対象物Iとの位置との相対距離がしきい値未満の距離であると判定した場合、遠隔操作不要時であると判定する。
遠隔操作必要検知部109は、遠隔操作必要時であると判定した場合、通信部101を介して遠隔操作が必要となったスレーブ部10の識別子を管理サーバ30に送信する。
【0052】
(マスタ部20の構成)
本発明の第2の実施形態によるマスタ部20のそれぞれは、本発明の第1の実施形態によるマスタ部20と同様に、通信部201と、画像再生部202と、操作入力部203と、を備える。
【0053】
(管理サーバ30の構成)
本発明の第2の実施形態による管理サーバ30は、本発明の第1の実施形態による管理サーバ30と同様に、通信部301と、記憶部302と、把持操作管理部303と、走行操作管理部304と、を備える。
【0054】
(作業システム1の処理)
次に、本発明の第2の実施形態による作業システム1の処理について説明する。
本発明の第2の実施形態による作業システム1では、スレーブ部10は走行先まで走行し終えると、自律把持制御部108が、遠隔操作不要時に、例えば画像情報などの入力情報に応じた人工知能AIに基づく処理によって把持制御信号を生成し、生成した把持制御信号を把持部103に出力する。把持部103は、把持制御信号に応じて対象物Iを把持する。
そして、自律把持制御部108は、対象物Iを所定の位置まで移動させることが困難であると判断した場合に、困難である旨を把持操作管理部303に報知する。
把持操作管理部303は、困難である旨をスレーブ部10から報知されると、報知された自律把持制御部108とマスタ部20との通信を確立し、操作者Oがマスタ部20を介してスレーブ部10の把持操作を制御する。
つまり、本発明の第1の実施形態による作業システム1は、スレーブ部10とマスタ部20との間の通信を確立し、操作者Oがマスタ部20を介してスレーブ部10の把持操作を制御するものである。それに対して、本発明の第2の実施形態による作業システム1は、走行先まで走行し終えたスレーブ部10が自律制御による対象物Iの所定の位置までの移動が困難であると判断した場合に、そのスレーブ部10とマスタ部20との間の通信を確立し、操作者Oがマスタ部20を介してスレーブ部10の把持操作を制御するものである。
【0055】
以上、本発明の第2の実施形態による作業システム1について説明した。
本発明の第2の実施形態による作業システム1において、スレーブ部10は走行先まで走行し終えると、自律把持制御部108が、遠隔操作不要時に、例えば画像情報などの入力情報に応じた人工知能AIに基づく処理によって把持制御信号を生成し、生成した把持制御信号を把持部103に出力する。把持部103は、把持制御信号に応じて対象物Iを把持する。自律把持制御部108は、対象物Iの所定の位置までの移動が困難であると判断した場合に、困難である旨を把持操作管理部303に報知する。把持操作管理部303は、困難である旨をスレーブ部10から報知されると、報知された自律把持制御部108とマスタ部20との通信を確立し、操作者Oがマスタ部20を介してスレーブ部10の把持操作を制御する。
このようにすれば、スレーブ部10が対象物Iを把持できる位置まで走行して対象物Iを所定の位置まで移動させる際に、自律制御による把持操作が困難な場合にのみ、そのスレーブ部10とマスタ部20との間の通信を確立し、操作者Oがマスタ部20を介してスレーブ部10の把持操作を制御する。その結果、本発明の第2の実施形態による作業システム1は、本発明の第1の実施形態による作業システム1に比べて、より効率的にマスタ部20とスレーブ部10とを接続することができる。
【0056】
<第3の実施形態>
(作業システム1の構成)
本発明の第3の実施形態による作業システム1の構成について説明する。
本発明の第1~2の実施形態において、作業システム1は、1つのマスタ部20を備えるものとして説明した。しかしながら、本発明の第3の実施形態では、作業システム1は、複数のマスタ部20を備え、管理サーバ30がマスタ部20とスレーブ部10との間の通信の切り替えを行うことにより、複数のマスタ部20のそれぞれが、本発明の第1の実施形態における1つのマスタ部20と同様に動作するものである。具体的には、本発明の第3の実施形態による作業システム1では、管理サーバ30は、スレーブ部10が所定の状態になった場合に、当該スレーブ部10以外の他のスレーブ部10であって、走行機構104によって走行先までの走行を完了した状態のスレーブ部10を特定し、マスタ部20が把持制御信号を送信する送信先を特定したスレーブ部10と決定するものである。
【0057】
本発明の第3の実施形態による作業システム1は、複数のスレーブ部10a、10b(スレーブ装置の一例)、複数のマスタ部20a、20b(マスタ装置の一例)、管理サーバ30(制御装置の一例)、ネットワークNWを備える。複数のスレーブ部10a、10bを総称して、スレーブ部10と呼ぶ。複数のマスタ部20a、20bを総称して、マスタ部20と呼ぶ。
【0058】
(スレーブ部10の構成)
本発明の第3の実施形態によるスレーブ部10のそれぞれは、図に示した本発明の第1の実施形態によるスレーブ部10と同様に、通信部101と、撮影部102と、把持部103(把持機構の一例)と、走行機構104と、走行制御部105と、胴体106と、記憶部107と、を備える。
【0059】
(マスタ部20の構成)
本発明の第3の実施形態によるマスタ部20のそれぞれは、図4に示した本発明の第1の実施形態によるマスタ部20と同様に、通信部201と、画像再生部202と、操作入力部203と、を備える。
【0060】
(管理サーバ30の構成)
本発明の第3の実施形態による管理サーバ30は、本発明の第1の実施形態による管理サーバ30と同様に、通信部301と、記憶部302と、把持操作管理部303と、走行操作管理部304と、を備える。
【0061】
(作業システム1の処理)
次に、本発明の第3の実施形態による作業システム1の処理について説明する。
ここでは、図8に示す本発明の第3の実施形態による作業システム1の処理フローを参照して、作業システム1において、管理サーバ30が1度の注文において複数の異なる対象物I(ここでは、3つの対象物Ia、Ib、Ic)についての注文を受け、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信を切り替える処理について説明する。
なお、ここでは、購入希望者P1が対象物IaとIbを注文し、購入希望者P2が対象物Icを注文した場合の作業システム1の処理について説明する。作業システム1の処理としては、複数のマスタ部20と複数のスレーブ部10との間の通信の切り替えの例を示すために、通信の切り替えに注目して説明する。ただし、特に説明しない場合であっても、本発明の第3の実施形態による作業システム1におけるマスタ部20とスレーブ部10は、本発明の第1の実施形態におけるマスタ部20とスレーブ部10との間の通信と同様に、さまざまな情報を送受信しており、それらの情報に応じて動作している。
【0062】
購入希望者P1がショッピングサイトで対象物Ia、Ibを注文する手続きを行う。
走行操作管理部304は、対象物Ia、Ibを注文する手続きが行われると、例えば購入希望者P1が操作するパーソナルコンピュータPCから、注文内容を受け取る(ステップS31)。例えば、走行操作管理部304は、対象物Ia、Ibの注文内容を受け取る。走行操作管理部304は、受け取った注文内容から対象物のそれぞれを特定する(ステップS32)。走行操作管理部304は、記憶部302において、注文内容から特定した対象物と同一の対象物を特定する(ステップS33)。走行操作管理部304は、記憶部302において特定した対象物に関連付けられている対象物が置かれている位置のすべて(すなわち、スレーブ部10の走行先)を特定する(ステップS34)。例えば、走行操作管理部304は、対象物Iaが置かれている位置Paと対象物Ibが置かれている位置Pbとを特定する。走行操作管理部304は、送信中の把持制御信号を把持操作管理部303に問い合わせることによって、走行中でなく、かつ、把持操作中でないスレーブ部10のうちの1つ(例えば、スレーブ部10a)を知る。走行操作管理部304は、特定したスレーブ部10の走行先の情報を、そのスレーブ部10に送信する(ステップS35)。
【0063】
走行操作管理部304は、管理サーバ30を、新たな注文内容及び走行先の情報を送信したスレーブ部10の走行完了報知信号を受け取れる状態にする(ステップS36)。具体的には、走行操作管理部304は、走行操作管理部304自身を、新たな注文内容を受け取れる状態にし、把持操作管理部303を、走行先までの走行を完了したスレーブ部10から、その走行の完了を示す走行完了報知信号を受信できる状態にする。
【0064】
走行操作管理部304は、所定時間後(例えば、1秒後)に、新たな注文内容を受け取ったか否かを判定する(ステップS37)。
【0065】
走行操作管理部304は、新たな注文内容を受け取ったと判定した場合(ステップS37においてYES)、ステップS32の処理に戻す。
また、走行操作管理部304が新たな注文内容を受け取っていないと判定した場合(ステップS37においてNO)、把持操作管理部303は、スレーブ部10の何れかから走行完了報知信号を受け取ったか否かを判定する(ステップS38)。
【0066】
把持操作管理部303は、走行完了報知信号を受け取っていないと判定した場合(ステップS38においてNO)、ステップS37の処理に戻す。
また、把持操作管理部303は、走行完了報知信号を受け取ったと判定した場合(ステップS38においてYES)、操作が行われていないマスタ部20と、受け取った走行完了報知信号のスレーブ部10との間の通信を確立させるために、マスタ部20と走行が完了したスレーブ部10との間の通信を確立させる通信確立指令を、操作が行われていないマスタ部20(例えば、マスタ部20a)に送信する(ステップS39)。
【0067】
管理サーバ30がステップS35の処理によって送信したスレーブ部10の走行制御部105は、スレーブ部10の走行先の情報を取得する(ステップS40)。ここでは、ステップS40の処理によって走行先の情報を取得したスレーブ部10をスレーブ部10aとして説明する。スレーブ部10aの走行制御部105は、取得したスレーブ部10aの走行先の情報に基づいて、現在位置から走行先までスレーブ部10aを走行させる走行制御信号をスレーブ部10aの記憶部107において特定する(ステップS41)。スレーブ部10aの走行制御部105は、特定した走行制御信号をスレーブ部10aの走行機構104に出力する(ステップS42)。
【0068】
スレーブ部10aの走行機構104は、スレーブ部10aの走行制御部105から走行制御信号を受ける(ステップS43)。スレーブ部10aの走行機構104は、受けた走行制御信号に応じた速度と方向で、スレーブ部10aを現在位置から走行先である位置Paまで走行させる(ステップS44)。
【0069】
スレーブ部10aの走行制御部105は、スレーブ部10aが現在位置から走行先までの走行を終えると、走行先までの走行が完了したことを報知する走行完了報知信号を管理サーバ30に送信する(ステップS45)。
また、このタイミングで管理サーバ30が新たな注文内容(対象物Ic)を受けたとする。
【0070】
走行操作管理部304は、ステップS37の処理により、新たな注文内容(対象物Ic)を受け取る。そして、対象物IcについてステップS32~S34の処理が行われ、走行中でなく、かつ、把持操作中でないスレーブ部10のうちの1つ(例えば、スレーブ部10b)が特定される。そして、対象物IcについてのステップS35の処理において、走行操作管理部304は、特定したスレーブ部10の走行先の情報(対象物Icが置かれている位置Pcの情報)を、その特定したスレーブ部10に送信する。
【0071】
管理サーバ30が対象物IcについてのステップS35の処理によって送信したスレーブ部10の走行制御部105は、スレーブ部10の走行先の情報を取得する(ステップS46)。ここでは、ステップS46の処理によって走行先の情報を取得したスレーブ部10をスレーブ部10bとして説明する。スレーブ部10bの走行制御部105は、取得したスレーブ部10bの走行先の情報に基づいて、現在位置から走行先までスレーブ部10bを走行させる走行制御信号をスレーブ部10bの記憶部107において特定する(ステップS47)。スレーブ部10bの走行制御部105は、特定した走行制御信号をスレーブ部10bの走行機構104に出力する(ステップS48)。
【0072】
スレーブ部10bの走行機構104は、スレーブ部10bの走行制御部105から走行制御信号を受ける(ステップS49)。スレーブ部10bの走行機構104は、受けた走行制御信号に応じた速度と方向で、スレーブ部10bを現在位置から走行先まで走行させる(ステップS50)。
【0073】
把持操作管理部303は、ステップS45の処理によって送信された走行完了報知信号をスレーブ部10aから受け取る。把持操作管理部303は、ステップS38の処理において、走行完了報知信号を受け取ったと判定する。把持操作管理部303は、ステップS39の処理において、操作が行われていないマスタ部20のうちの1つ(例えば、マスタ部20a)と、走行が完了したスレーブ部10aとの間の通信を確立させるスレーブ部10aの識別子を含む通信確立指令を、マスタ部20に送信する。ここでは、操作が行われていないマスタ部20のうちの1つをマスタ部20aとして説明する。
【0074】
マスタ部20aの通信部201は、管理サーバ30から通信確立指令を受信する(ステップS51)。マスタ部20aの通信部201は、通信確立指令に応じて、走行が完了したスレーブ部10aへ把持制御信号を送信できるようにスレーブ部10aと1対1の通信を行うために、その走行先までの走行が完了したスレーブ部10aとの間の通信を確立する(ステップS52)。操作者Oは、マスタ部20aの画像再生部202が表示する立体画像を見ながら対象物Iaを把持し、その対象物Iaを所定の位置まで移動させる操作を行う。
マスタ部20aの操作入力部203は、操作者Oが行う把持操作を検出する(ステップS53)。マスタ部20aの操作入力部203は、検出した把持操作に応じた把持制御信号をマスタ部20aの通信部201を介して把持操作対象のスレーブ部10a及び管理サーバ30に送信する(ステップS54)。把持制御信号は、スレーブ部10aの識別子を含む。
【0075】
把持操作管理部303は、マスタ部20aから把持制御信号を受信する(ステップS55)。把持操作管理部303は、受信した時刻と把持制御信号に含まれるスレーブ部10aの識別子とを関連付けて記憶部302に書き込む(ステップS56)。
【0076】
また、スレーブ部10aの把持部103は、マスタ部20aからスレーブ部10aの通信部101を介して把持制御信号を受信する(ステップS57)。スレーブ部10aの把持部103は、受信した把持制御信号に従って、対象物Iaを把持し、その対象物Iaを所定の位置まで移動させる(ステップS58)。
【0077】
操作者Oは、対象物Iaが所定の位置まで移動し終えると、マスタ部20aとスレーブ部10aとの間の通信を切断する操作を行う。例えば、操作者Oは、マスタ部20aの操作入力部203に対して、マスタ部20aとスレーブ部10aとの間の通信を切断する操作を行う。
マスタ部20aの操作入力部203は、操作者Oによるマスタ部20aとスレーブ部10aとの間の通信を切断する操作に応じて、マスタ部20aの通信部201を介してその通信を切断する通信切断指令を管理サーバ30に送信する(ステップS59)。そして、マスタ部20aの操作入力部203は、ステップS51の処理を行う状態に戻す。
【0078】
把持操作管理部303は、マスタ部20aから通信切断指令を受信する(ステップS60)。把持操作管理部303は、受信した通信切断指令に応じて、マスタ部20aとスレーブ部10aとの間の通信を切断する(ステップS61)。そして、把持操作管理部303は、ステップS37の処理へ戻す。
【0079】
また、スレーブ部10aの走行制御部105は、操作者Oによるマスタ部20aとスレーブ部10aとの間の通信を切断する操作に応じて、走行制御信号をスレーブ部10aの走行機構104に出力する(ステップS62)。
スレーブ部10aの走行機構104は、スレーブ部10aの走行制御部105から走行制御信号を受ける(ステップS63)。スレーブ部10aの走行機構104は、受けた走行制御信号に応じた速度と方向で、スレーブ部10aを現在位置から走行先である位置Pbまで走行させる(ステップS64)。
また、このタイミングでスレーブ部10bが現在位置から走行先までの走行を終えるとする。
【0080】
スレーブ部10bの走行制御部105は、スレーブ部10bが現在位置から走行先までの走行を終えると、走行先までの走行が完了したことを報知する走行完了報知信号を管理サーバ30に送信する(ステップS65)。
【0081】
把持操作管理部303は、走行完了報知信号をスレーブ部10bから受け取る。把持操作管理部303は、ステップS38の処理において、走行完了報知信号を受け取ったと判定する。把持操作管理部303は、ステップS39の処理において、操作が行われていないマスタ部20のうちの1つ(例えば、マスタ部20a)と、走行が完了したスレーブ部10bとの間の通信を確立させるスレーブ部10bの識別子を含む通信確立指令を、マスタ部20に送信する。ここでは、操作が行われていないマスタ部20のうちの1つをマスタ部20aとして説明する。
【0082】
ステップS51の処理において、マスタ部20aの通信部201は、管理サーバ30から通信確立指令を受信する。ステップS52の処理において、マスタ部20aの通信部201は、通信確立指令に応じて、走行が完了したスレーブ部10bへ把持制御信号を送信できるようにスレーブ部10bと1対1の通信を行うために、その走行先までの走行が完了したスレーブ部10bとの間の通信を確立する。操作者Oは、マスタ部20aの画像再生部202が表示する立体画像を見ながら対象物Icを把持し、その対象物Icを所定の位置まで移動させる操作を行う。
ステップS53の処理において、マスタ部20aの操作入力部203は、操作者Oが行う把持操作を検出する。ステップS54の処理において、マスタ部20aの操作入力部203は、検出した把持操作に応じた把持制御信号をマスタ部20aの通信部201を介して把持操作対象のスレーブ部10b及び管理サーバ30に送信する。把持制御信号は、スレーブ部10bの識別子を含む。
【0083】
ステップS55の処理において、把持操作管理部303は、マスタ部20aから把持制御信号を受信し、ステップS56の処理において、受信した時刻と把持制御信号に含まれるスレーブ部10bの識別子とを関連付けて記憶部302に書き込む。
【0084】
また、スレーブ部10bの把持部103は、マスタ部20aからスレーブ部10bの通信部101を介して把持制御信号を受信する(ステップS66)。スレーブ部10bの把持部103は、受信した把持制御信号に従って、対象物Icを把持し、その対象物Icを所定の位置まで移動させる(ステップS67)。
【0085】
操作者Oは、対象物Icが所定の位置まで移動し終えると、マスタ部20aとスレーブ部10bとの間の通信を切断する操作を行う。例えば、操作者Oは、マスタ部20aの操作入力部203に対して、マスタ部20aとスレーブ部10bとの間の通信を切断する操作を行う。
マスタ部20aの操作入力部203は、ステップS59の処理において、操作者Oによるマスタ部20aとスレーブ部10bとの間の通信を切断する操作に応じて、マスタ部20aの通信部201を介してその通信を切断する通信切断指令を管理サーバ30に送信する。そして、マスタ部20aの操作入力部203は、ステップS51の処理を行う状態に戻す。
【0086】
ステップS60の処理において、把持操作管理部303は、マスタ部20aから通信切断指令を受信する。ステップS61の処理において、把持操作管理部303は、受信した通信切断指令に応じて、マスタ部20aとスレーブ部10bとの間の通信を切断する。そして、把持操作管理部303は、ステップS37の処理へ戻す。
スレーブ部10bの走行制御部105は、操作者Oによるマスタ部20aとスレーブ部10bとの間の通信を切断する操作に応じて、ステップS46の処理に戻す。
また、このタイミングでスレーブ部10aが現在位置から走行先(位置Pb)までの走行を終えるとする。
【0087】
スレーブ部10aの走行制御部105は、スレーブ部10aが現在位置から走行先までの走行を終えると、走行先までの走行が完了したことを報知する走行完了報知信号を管理サーバ30に送信する(ステップS71)。
【0088】
把持操作管理部303は、走行完了報知信号をスレーブ部10aから受け取る。把持操作管理部303は、ステップS38の処理において、走行完了報知信号を受け取ったと判定する。把持操作管理部303は、ステップS39の処理において、操作が行われていないマスタ部20のうちの1つ(例えば、マスタ部20b)と、走行が完了したスレーブ部10aとの間の通信を確立させるスレーブ部10aの識別子を含む通信確立指令を、マスタ部20に送信する。ここでは、操作が行われていないマスタ部20のうちの1つをマスタ部20bとして説明する。
【0089】
マスタ部20bの通信部201は、管理サーバ30から通信確立指令を受信する(ステップS72)。マスタ部20bの通信部201は、通信確立指令に応じて、走行が完了したスレーブ部10aへ把持制御信号を送信できるようにスレーブ部10aと1対1の通信を行うために、その走行先までの走行が完了したスレーブ部10aとの間の通信を確立する(ステップS73)。操作者Oは、マスタ部20bの画像再生部202が表示する立体画像を見ながら対象物Ibを把持し、その対象物Ibを所定の位置まで移動させる操作を行う。
マスタ部20bの操作入力部203は、操作者Oが行う把持操作を検出する(ステップS74)。マスタ部20bの操作入力部203は、検出した把持操作に応じた把持制御信号をマスタ部20bの通信部201を介して把持操作対象のスレーブ部10a及び管理サーバ30に送信する(ステップS75)。把持制御信号は、スレーブ部10aの識別子を含む。
【0090】
ステップS55の処理において、把持操作管理部303は、マスタ部20bから把持制御信号を受信し、ステップS56の処理において、受信した時刻と把持制御信号に含まれるスレーブ部10aの識別子とを関連付けて記憶部302に書き込む。
【0091】
また、スレーブ部10aの把持部103は、マスタ部20bからスレーブ部10aの通信部101を介して把持制御信号を受信する(ステップS76)。スレーブ部10aの把持部103は、受信した把持制御信号に従って、対象物Ibを把持し、その対象物Ibを所定の位置まで移動させる(ステップS77)。
【0092】
操作者Oは、対象物Ibが所定の位置まで移動し終えると、マスタ部20bとスレーブ部10aとの間の通信を切断する操作を行う。例えば、操作者Oは、マスタ部20bの操作入力部203に対して、マスタ部20bとスレーブ部10aとの間の通信を切断する操作を行う。
マスタ部20bの操作入力部203は、操作者Oによるマスタ部20bとスレーブ部10aとの間の通信を切断する操作に応じて、マスタ部20bの通信部201を介してその通信を切断する通信切断指令を管理サーバ30に送信する(ステップS78)。そして、マスタ部20bの操作入力部203は、ステップS72の処理を行う状態に戻す。
【0093】
ステップS60の処理において、把持操作管理部303は、マスタ部20bから通信切断指令を受信する。ステップS61の処理において、把持操作管理部303は、受信した通信切断指令に応じて、マスタ部20bとスレーブ部10aとの間の通信を切断する。そして、把持操作管理部303は、ステップS37の処理へ戻す。
スレーブ部10aの走行制御部105は、操作者Oによるマスタ部20bとスレーブ部10aとの間の通信を切断する操作に応じて、ステップS40の処理に戻す。
【0094】
以上、本発明の第3の実施形態による作業システム1について説明した。
本発明の第3の実施形態による作業システム1において、管理サーバ30は、スレーブ部10が所定の状態、すなわち、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信が切断された場合に、当該スレーブ部10以外の他のスレーブ部10であって、走行機構104によって走行先までの走行を完了した状態のスレーブ部10を特定し、マスタ部20が把持制御信号を送信する送信先を特定したスレーブ部10と決定する。そして、管理サーバ30は、特定したスレーブ部10と、マスタ部20との間の通信を確立する。
このようにすれば、マスタ部20は、スレーブ部10の移動中に、他のスレーブ部10を操作することができる。すなわち、作業効率がよくなるようにマスタ部20とスレーブ部10とを接続することができる。
【0095】
なお、本発明の第1~3の実施形態において、スレーブ部10は、自律走行するものとして説明した。
本発明の別の実施形態では、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いて倉庫A内をマッピングし、各対象物Iとマッピングした倉庫Aの位置を関連付けたデータテーブルを作成する。注文内容から対象物Iを特定し、倉庫A内の対象物Iを把持できる位置、すなわちスレーブ部10の走行先を特定する。そして、スレーブ部10が距離画像センサや音響センサなどを用いてスレーブ部10の現在位置から走行先まで走行するものであってもよい。
また、本発明の別の実施形態では、スレーブ部10を走行させる走行専門の担当者が遠隔操作によりスレーブ部10の現在位置から走行先まで走行させるものであってもよい。 例えば、マスタ部20は、図9に示すように、走行情報入力部204を備える。走行情報入力部204は、操作者Oが行う走行操作を検出する。走行情報入力部204は、検出した走行操作に応じた速度と走行方向とを含む走行制御信号を通信部201を介して走行操作対象のスレーブ部10及び管理サーバ30に送信する。マスタ部20が図9に示すような走行情報入力部204を備え、操作者Oなどの人物がスレーブ部10の走行を制御する場合、スレーブ部10は、走行方向を示す矢印や対象物Iの位置を示すランプなどが示されることによって、走行がアシストされてもよい。
【0096】
なお、本発明の第3の実施形態による作業システム1おいて、スレーブ部10のそれぞれは、本発明の第1の実施形態によるスレーブ部10と同様に、通信部101と、撮影部102と、把持部103(把持機構の一例)と、走行機構104と、走行制御部105と、胴体106と、記憶部107と、を備えるものとして説明した。しかしながら、本発明の別の実施形態による作業システム1では、スレーブ部10のそれぞれは、本発明の第2の実施形態によるスレーブ部10と同様に、通信部101と、撮影部102と、把持部103(把持機構の一例)と、走行機構104と、走行制御部105と、胴体106と、記憶部107と、自律把持制御部108と、遠隔操作必要検知部109と、を備え、本発明の第3の実施形態による作業システム1と同様に、複数のマスタ部20と複数のスレーブ部10との間の通信接続を切り替えるものであってもよい。
【0097】
また、本発明の第3の実施形態では、所定の状態の一例として、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信が切断された状態を例示したが、所定の状態は、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信が切断された状態に限定するものではない。例えば、上記のように、スレーブ部10のそれぞれが、本発明の第2の実施形態によるスレーブ部10と同様の構成であり、複数のマスタ部20と複数のスレーブ部10との間の通信接続を切り替える場合、マスタ部20による操作は、対象物Iを把持するのみで、その後の対象物の移動をスレーブ部10が自律して行う場合がある。その場合には、マスタ部20により対象物Iを把持した状態が所定の状態である。また、スレーブ部10のそれぞれが、本発明の第2の実施形態によるスレーブ部10と同様の構成であり、複数のマスタ部20と複数のスレーブ部10との間の通信接続を切り替える場合、マスタ部20による操作は、対象物Iを把持し、ある位置まで移動させた時点で、その後の対象物の移動をスレーブ部10が自律して行う場合がある。その場合には、マスタ部20により対象物Iをある位置まで移動させた状態が所定の状態である。
【0098】
なお、本発明の第1~3の実施形態では、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信の確立は、スレーブ部10の走行先までの走行の完了した順に行うものとして説明した。しかしながら、本発明の別の実施形態では、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信の確立は、スレーブ部10の走行先までの走行の完了した順に行うものに限定しない。例えば、マスタ部20とスレーブ部10との間の通信の確立は、管理サーバ30が注文を受けた順に、その注文の対象物Iの置かれた走行先まで走行したスレーブ部10について行う(すなわち、把持操作管理部303は、マスタ部20が把持制御信号を送信する送信先を、対象物Iの注文を受け当該対象物Iの置かれた走行先へ走行した順のスレーブ部10と決定する)ものであってもよい。
【0099】
なお、本発明の別の実施形態では、管理サーバ30がスレーブ部10の現在位置から移動先までスレーブ部10を走行させる経路を特定する経路特定部と、経路特定部が特定した経路を当該スレーブ部10に送信部とを備え、走行制御部105が、通信部101が送信した経路に基づいて走行機構104による走行を制御するものであってもよい。
【0100】
なお、本発明の各実施形態による作業システム1が行う対象物Iを把持する作業として、倉庫において対象物Iを把持する例を挙げて説明した。しかしながら、本発明の各実施形態による作業システム1が行う対象物Iを把持する作業、倉庫において対象物Iを把持する作業に限定するものではない。本発明の他の実施形態による作業システム1が行う対象物Iを把持する作業は、倉庫内に限らずオフィス、スーパー、病院、図書館、実験室等における対象物Iを把持する作業であってもよく、たねまき、仕分け、開梱や梱包、検品、組立などの他の遠隔作業を行うものであってもよい。
【0101】
なお、本発明の各実施形態によるスレーブ部10のそれぞれは、2つ以上の異なる場所(例えば、倉庫Aと倉庫D)のそれぞれに配置されてもよい。
また、本発明の各実施形態によるマスタ部20のそれぞれは、2つ以上の異なる場所(例えば、操作センタBと操作センタE)のそれぞれに配置されてもよい。
【0102】
なお、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態における作業システム1の処理について、スレーブ部10が対象物Iを把持できる位置まで倉庫A内を走行するものとして説明した。しかしながら、対象物Iの置かれている棚がスレーブ部10の方向へ移動するものであってもよい。
【0103】
なお、本発明の各実施形態における記憶部302、その他の記憶部は、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部302、その他の記憶部は、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0104】
なお、本発明の第2の実施形態では、自律把持制御における遠隔操作必要時は、対象物Iの所定の位置までの移動が困難であると判断したときのこととして説明した。しかしながら、本発明の別の実施形態では、自律把持制御における遠隔操作必要時は、例えば、現在操作を制御している自律把持制御部108よりも習熟度が高い(例えば、スコアが高い)操作者Oへ操作を切り替える場合、現在操作している操作者Oが操作している場所から離れた地域で操作可能な操作者O、または、稼働時間帯の異なる操作者Oに切り替える場合などを含んでもよい。
【0105】
なお、本発明の実施形態における処理フローは、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0106】
本発明の実施形態における記憶部や記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部や記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0107】
本発明の実施形態について説明したが、上述のスレーブ部10、マスタ部20、管理サーバ30、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、図10に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述のスレーブ部10、マスタ部20、管理サーバ30、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0108】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0109】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0111】
1・・・作業システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・スレーブ部
20・・・マスタ部
30・・・管理サーバ
101、201、301・・・通信部
102・・・撮影部
103・・・把持部
104・・・走行機構
105・・・走行制御部
106・・・胴体
107、302・・・記憶部
108・・・自律把持制御部
109・・・遠隔操作必要検知部
202・・・画像再生部
203・・・操作入力部
204・・・走行情報入力部
303・・・把持操作管理部
304・・・走行操作管理部
I・・・対象物
M・・・容器
NW・・・ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10