(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】補強部材
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
E04B9/18 K
(21)【出願番号】P 2018060165
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397028360
【氏名又は名称】関包スチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】有馬 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 克典
(72)【発明者】
【氏名】北村 幸則
(72)【発明者】
【氏名】本田 洋介
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-198123(JP,A)
【文献】特開2015-7326(JP,A)
【文献】実開昭49-131716(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00 - 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野縁受けを介在させる一対の板部を有する補強対象物に取り付けられ、前記一対の板部が開くように変形するのを抑制する補強部材であって、
平面視で前記一対の板部の周囲を外側から取り囲むように形成された壁部と、
前記野縁受けに当接することにより前記野縁受けに引っ掛かる引っ掛け部と、
を具備
し、
前記補強対象物は、
前記野縁受けを支持するため吊りボルトに吊設されるハンガーであり、
前記一対の板部の一方から立ち上がるように形成されると共に前記吊りボルトに取り付けられる立ち上がり部を具備し、
前記壁部は、
前記壁部の上端部と下端部との間を亘るように延びて形成され、前記補強部材の取り付け時に前記立ち上がり部が通過可能なスリットを具備する、
補強部材。
【請求項2】
前記スリットは、
上端部又は下端部の少なくともいずれか一方に向かうにつれて前記スリットの横幅が大きくなるようなテーパ部を具備する、
請求項1に記載の補強部材。
【請求項3】
前記壁部は、
前記補強部材の取り付け時に、前記スリットの横幅における最も小さい部分が前記立ち上がり部の横幅よりも大きくなるように弾性変形可能に構成される、
請求項1又は請求項2に記載の補強部材。
【請求項4】
前記壁部は、
平面視で略台形状に形成されると共に、上底又は下底に相当する部分に前記スリットが形成される、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の補強部材。
【請求項5】
野縁受けを介在させる一対の板部を有する補強対象物に取り付けられ、前記一対の板部が開くように変形するのを抑制する補強部材であって、
平面視で前記一対の板部の周囲を外側から取り囲むように形成された壁部と、
前記野縁受けに当接することにより前記野縁受けに引っ掛かる引っ掛け部と、
を具備し、
前記壁部は、
前記補強部材の取り付け時に、前記一対の板部の少なくとも一部を挟むように塑性変形可能な変形部を具備する、
補強部材。
【請求項6】
前記引っ掛け部は、
前記壁部の下端部が開口された凹状に形成され、
前記野縁受けを受け入れると共に、前記引っ掛け部の縁部の少なくとも一部が前記野縁受けに載置される、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の補強部材。
【請求項7】
前記引っ掛け部の縁部の少なくとも一部は、
前記野縁受けの側面に当接される、
請求項6に記載の補強部材。
【請求項8】
前記引っ掛け部は、
下方に向かうにつれて開口幅が小さくなるようなテーパ状に形成される、
請求項6又は請求項7に記載の補強部材。
【請求項9】
前記補強対象物は、
前記野縁受けを支持するため吊りボルトに吊設されるハンガーであり、
前記一対の板部の一方から立ち上がるように形成されると共に前記吊りボルトに取り付けられる立ち上がり部を具備し、
前記壁部は、
前記壁部の上端部と下端部との間を亘るように延びて形成され、前記補強部材の取り付け時に前記立ち上がり部が通過可能なスリットを具備する、
請求項5に記載の補強部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野縁受けを介在させる一対の板部を有する補強対象物に取り付けられ、一対の板部が開くように変形するのを抑制する補強部材の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野縁受けを介在させる一対の板部を有する補強対象物に取り付けられ、一対の板部が開くように変形するのを抑制する補強部材の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の連結補強具(補強部材)は、ハンガー(補強対象物)の第一縦部及び第二縦部(一対の板部)が開くのを抑制するためのものである。前記連結補強具は、第一縦部及び第二縦部を外側から挟むための一対の挟み込み部と、一対の挟み込み部の一端部を接続する固定部と、により構成された平面視略U字状に形成される。前記連結補強具は、ハンガーに対して相対移動不能となるように、ネジを用いてハンガーに固定される(位置決めされる)。
【0004】
特許文献1に記載の連結補強具は、ネジを用いる必要があるため取り付けに手間がかかってしまう。このため、簡単な構成で取り付けられた状態とすることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、簡単な構成で補強対象物に取り付けられた状態とすることが可能な補強部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、野縁受けを介在させる一対の板部を有する補強対象物に取り付けられ、前記一対の板部が開くように変形するのを抑制する補強部材であって、平面視で前記一対の板部の周囲を外側から取り囲むように形成された壁部と、前記野縁受けに当接することにより前記野縁受けに引っ掛かる引っ掛け部と、を具備し、前記補強対象物は、前記野縁受けを支持するため吊りボルトに吊設されるハンガーであり、前記一対の板部の一方から立ち上がるように形成されると共に前記吊りボルトに取り付けられる立ち上がり部を具備し、前記壁部は、前記壁部の上端部と下端部との間を亘るように延びて形成され、前記補強部材の取り付け時に前記立ち上がり部が通過可能なスリットを具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記スリットは、上端部又は下端部の少なくともいずれか一方に向かうにつれて前記スリットの横幅が大きくなるようなテーパ部を具備するものである。
【0010】
請求項3においては、前記壁部は、前記補強部材の取り付け時に、前記スリットの横幅における最も小さい部分が前記立ち上がり部の横幅よりも大きくなるように弾性変形可能に構成されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記壁部は、平面視で略台形状に形成されると共に、上底又は下底に相当する部分に前記スリットが形成されるものである。
【0012】
請求項5においては、野縁受けを介在させる一対の板部を有する補強対象物に取り付けられ、前記一対の板部が開くように変形するのを抑制する補強部材であって、平面視で前記一対の板部の周囲を外側から取り囲むように形成された壁部と、前記野縁受けに当接することにより前記野縁受けに引っ掛かる引っ掛け部と、を具備し、前記壁部は、前記補強部材の取り付け時に、前記一対の板部の少なくとも一部を挟むように塑性変形可能な変形部を具備するものである。
【0013】
請求項6においては、前記引っ掛け部は、前記壁部の下端部が開口された凹状に形成され、前記野縁受けを受け入れると共に、前記引っ掛け部の縁部の少なくとも一部が前記野縁受けに載置されるものである。
【0014】
請求項7においては、前記引っ掛け部の縁部の少なくとも一部は、前記野縁受けの側面に当接されるものである。
【0015】
請求項8においては、前記引っ掛け部は、下方に向かうにつれて開口幅が小さくなるようなテーパ状に形成されるものである。
【0016】
請求項9においては、前記補強対象物は、前記野縁受けを支持するため吊りボルトに吊設されるハンガーであり、前記一対の板部の一方から立ち上がるように形成されると共に前記吊りボルトに取り付けられる立ち上がり部を具備し、前記壁部は、前記壁部の上端部と下端部との間を亘るように延びて形成され、前記補強部材の取り付け時に前記立ち上がり部が通過可能なスリットを具備するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
本発明においては、簡単な構成で補強対象物に取り付けられた状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図4】(a)野縁受け、クリップ及び野縁を示した正面図。(b)同じく、部分側面断面図。
【
図5】(a)補強部材の前方斜視図。(b)同じく、後方斜視図。
【
図6】(a)補強部材の正面図。(b)同じく、背面図。(c)同じく、側面図。(d)同じく、平面図。
【
図7】補強部材をハンガーに接近させる様子を示した斜視図。
【
図8】補強部材を下方へ移動させる様子を示した斜視図。
【
図9】(a)補強部材をクリップに取り付ける様子を示した側面図。(b)補強部材をクリップに取り付けた状態を示した側面図。
【
図10】(a)変形例に係るクリップを示した正面図。(b)同じく、部分側面断面図。
【
図11】(a)補強部材を変形例に係るクリップに取り付ける様子を示した側面図。(b)補強部材を変形例に係るクリップに取り付けた状態を示した側面図。
【
図12】(a)第一変形例に係る補強部材を示した側面図。(b)第一変形例に係る補強部材をハンガーに取り付けた状態を示した側面図。
【
図13】第二変形例に係る補強部材を示した平面図。
【
図14】第三変形例に係る補強部材の変形部を変形させる前の状態を示した斜視図。
【
図15】第三変形例に係る補強部材の変形部を変形させた後の状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0029】
以下では、本発明の一実施形態に係る補強部材100を具備する天井構造1について説明する。
【0030】
図1に示す天井構造1は、建物の天井Bを形成するためのものである。天井構造1は、例えば、店舗及び商業施設等の建物に採用される。天井構造1は、吊りボルト10、ハンガー20、野縁受け30、クリップ40、野縁50、下地材60、仕上げ材70及び補強部材100を具備する。
【0031】
吊りボルト10は、躯体Aから吊り下げられるものである。吊りボルト10は、吊りボルト支持金具(不図示)を用いて鋼材に取り付けられることで躯体Aに固定される。吊りボルト10は、左右方向及び前後方向に間隔をあけて複数設けられる(不図示)。
【0032】
ハンガー20は、後述する野縁受け30を支持するためのものである。
図2及び
図3に示すように、ハンガー20は、金属製の板状部材を適宜折り曲げたような側面視略J字状に形成される。ハンガー20は、底部21、前板部22及び後板部23を具備する。
【0033】
底部21は、野縁受け30が載置される部分である。底部21は、その板面を上下方向に向けた略板状に形成される。
【0034】
前板部22は、底部21の前端部から上方へ突出する部分である。前板部22は、その板面を前後方向に向けた略板状に形成される。
【0035】
後板部23は、底部21の後端部から上方へ突出する部分である。後板部23は、側面視略逆L字状に形成される。後板部23は、前板部22よりもその上下方向幅(高さ)が大きくなるように形成される。後板部23は、第一板部24及び第二板部25を具備する。
【0036】
第一板部24は、その板面を前後方向に向けた略板状に形成される。第一板部24は、対向部24a及び非対向部24bを具備する。
【0037】
対向部24aは、第一板部24の下部である。より詳細には、対向部24aは、第一板部24のうち、前板部22と対向する部分(正面視で重複する部分)である。非対向部24bは、第一板部24の上部(対向部24aを除く部分)である。
【0038】
第二板部25は、その板面を上下方向に向けた略板状に形成される。第二板部25は、第一板部24(非対向部24b)の上端部から後方へ折れ曲がるように形成される。
【0039】
このように構成されるハンガー20は、第二板部25がナット等の締結部材を介して吊りボルト10の下端部に固定される。ハンガー20は、左右方向及び前後方向に間隔をあけて設けられた複数の吊りボルト10(不図示)にそれぞれ固定される。
【0040】
図2及び
図3に示す野縁受け30は、後述する野縁50を支持するためのものである。野縁受け30は、その長手方向を左右方向に向けた長尺状に形成される。野縁受け30は、側面視C字状に形成される。野縁受け30は、ウェブ31、上フランジ32及び下フランジ33を具備する。
【0041】
ウェブ31は、その板面を前後に向けて配置される略板状の部分である。上フランジ32は、ウェブ31の上端部から前方へ突出する略板状の部分である。下フランジ33は、ウェブ31の下端部から前方へ突出する略板状の部分である。
【0042】
このように構成される野縁受け30は、ハンガー20の内側(底部21、前板部22及び後板部23(対向部24a)の間の空間)に配置される。野縁受け30は、ハンガー20の底部21に載置され、複数のハンガー20を跨ぐように配置される。
【0043】
図1及び
図4に示すクリップ40は、野縁50を野縁受け30に固定するための金具である。クリップ40は、金属製の板状部材を適宜折り曲げたような側面視略逆J字状に形成される。クリップ40は、側板部41、上板部42及び係止片43を具備する。なお、以下では、
図1の右側に示すクリップ40を基準として、クリップ40の構成を説明する。
【0044】
側板部41は、その板面を前後方向に向けて配置される略板状の部分である。側板部41は、その下部が野縁50と係合する。上板部42は、側板部41の上端部から後方へ折れ曲がるように形成され、野縁受け30に載置される。係止片43は、側板部41の後端部から下方へ折れ曲がるように形成される。クリップ40は、側板部41及び係止片43によって野縁受け30を挟むように引っ掛けられて野縁受け30に支持される。
【0045】
このように構成されるクリップ40は、前後方向の向きが互い違いとなるように、左右方向に間隔をあけて野縁受け30に複数配置される。
【0046】
野縁50は、後述する下地材60及び仕上げ材70を支持するためのものである。野縁50は、その長手方向を前後方向に向けた長尺状に形成される。野縁50は、その上部が開口する正面視略U字状に形成されると共に、その上端部に左右内側へ突出するリップ部51が形成される。野縁50は、当該リップ部51がクリップ40(側板部41)の下部と係合される。野縁50は、左右方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0047】
下地材60及び仕上げ材70は、その板面を上下方向に向けた略板状の部材である。下地材60及び仕上げ材70は、上下方向に並んで配置され、野縁50に固定される。下地材60及び仕上げ材70には、エアコン等の設備機器(不図示)が適宜設置される。
【0048】
以上の如く構成された吊りボルト10、ハンガー20、野縁受け30、クリップ40、野縁50、下地材60及び仕上げ材70等により、天井Bが形成される。当該天井Bにおいて、野縁受け30は、地震等が発生してハンガー20が揺れた場合に、前板部22及び後板部23を押圧したり前板部22及び後板部23と衝突する等して前板部22及び後板部23に荷重をかけて前板部22及び後板部23を開くように変形させ、当該ハンガー20から脱落する可能性がある。当該脱落により、野縁受け30に支持されているクリップ40、野縁50、下地材60及び仕上げ材70等も脱落してしまう。そこで、本実施形態に係る天井構造1は、このような野縁受け30、クリップ40、野縁50、下地材60及び仕上げ材70等の脱落(以下、「天井Bの脱落」と称する)を抑制するために、補強部材100を設けている。
【0049】
補強部材100は、ハンガー20の前板部22及び後板部23が開くように変形するのを抑制するためのものである。
図5及び
図6に示すように、補強部材100は、その軸方向を上下方向に向けた略筒状に形成される。また、補強部材100は、その後部の一部が開口する平面視略C字状に形成される。補強部材100は、前壁部110、後壁部120、左壁部130及び右壁部140を具備する。
【0050】
前壁部110は、補強部材100の前部であると共に、その板面を前後方向に向けて配置される略板状の部分である。前壁部110は、正面視略矩形状に形成される。前壁部110は、その左右方向幅がハンガー20の左右方向幅よりも大きい幅となるように形成される。また、前壁部110は、その上下方向幅がハンガー20の非対向部24bの上下方向幅よりも小さくなるように形成される。
【0051】
後壁部120は、補強部材100の後部であると共に、その板面を前後方向に向けて配置される略板状の部分である。後壁部120は、その左右方向幅が前壁部110の左右方向幅と略同一の幅となるように形成される。後壁部120は、前壁部110との間にハンガー20の前板部22及び後板部23(対向部24a)を配置可能となるように、前壁部110に対して間隔をあけて配置される。後壁部120は、スリット121を具備する。
【0052】
スリット121は、後壁部120の左右中途部において、後壁部120の上端部から下端部までに亘って形成される。後壁部120は、当該スリット121により左右に分割される。スリット121は、ストレート部121a及びテーパ部121bを具備する。
【0053】
ストレート部121aは、その横幅(左右方向幅)が変化しない部分である。ストレート部121aは、上下方向に延びるように形成される。ストレート部121aは、スリット121の上端部から上下中途部までに亘って形成される。ストレート部121aは、その横幅がハンガー20の左右方向幅よりも小さくなるように形成される。
【0054】
テーパ部121bは、下方に向かうにつれてその横幅(左右方向幅)が大きくなる部分である。テーパ部121bは、スリット121の上下中途部から下端部までに亘って形成される。テーパ部121bは、その上端部がストレート部121aと連続する。よって、テーパ部121bは、その上端部(最も横幅が小さい部分)の横幅が、ストレート部121aの横幅と略同一の幅、すなわちハンガー20の左右方向幅よりも小さい幅となるように形成される。また、テーパ部121bは、その下端部(最も横幅が大きい部分)の横幅が、ハンガー20の左右方向幅よりも大きくなるように形成される。
【0055】
左壁部130は、補強部材100の左部であると共に、その板面を左右方向に向けて配置される略板状の部分である。左壁部130は、前壁部110の左端部と後壁部120の左端部とを接続する。左壁部130は、引っ掛け部131を具備する。
【0056】
引っ掛け部131は、野縁受け30に引っ掛け可能な部分である。引っ掛け部131は、左壁部130の下端部が開口された凹状に形成される。また、引っ掛け部131は、側面視略矩形状に形成される。引っ掛け部131は、その開口幅(前後方向幅)が野縁受け30の前後方向幅と略同一の幅となるように形成される。
【0057】
右壁部140は、補強部材100の右部である。右壁部140は、左壁部130と同一形状となるように形成され、前壁部110の右端部と後壁部120の右端部とを接続する。右壁部140は、左壁部130の引っ掛け部131と同一形状の引っ掛け部141を具備する。
【0058】
次に、
図2、
図3、
図7及び
図8を参照してハンガー20、野縁受け30及び補強部材100の取付手順について説明する。
【0059】
まず、
図7に示すように、ハンガー20の後板部23(第二板部25)を吊りボルト10の下端部に固定する。そして、野縁受け30をハンガー20(底部21)の上方から下方へと移動させ、野縁受け30をハンガー20によって支持する。その後、補強部材100を移動させ、補強部材100をハンガー20に嵌め合わせる。
【0060】
補強部材100を嵌め合わせる手順について詳述すると、まず、ハンガー20の非対向部24bを補強部材100のスリット121に通す。このとき、補強部材100の軸方向を前上方に向けた状態で(斜め向きにして)、当該補強部材100を非対向部24bの前上方から後下方へと移動させる。こうして、スリット121のテーパ部121bを非対向部24bに接近させる。
【0061】
前述の如く、テーパ部121bの下端部(最も横幅が大きい部分)の横幅がハンガー20の左右方向幅よりも大きいため、ハンガー20の非対向部24bは、補強部材100の移動によってテーパ部121bに入り込む。また、テーパ部121bは、その上端部(最も横幅が小さい部分)の横幅がハンガー20の左右方向幅よりも小さいため、補強部材100の移動によってハンガー20の非対向部24bと当接する。その後、補強部材100は、後下方へ移動され、テーパ部121bが非対向部24bに押し付けられる。これにより、補強部材100は、スリット121が広がる(横幅が大きくなる)ように弾性変形されながら、後下方へさらに移動される。当該弾性変形により、テーパ部121bの上端部及びストレート部121aは、その横幅がハンガー20の左右方向幅よりも大きくなって、非対向部24bが通過可能となる。こうして、非対向部24bがスリット121に通される。
【0062】
非対向部24bがスリット121に通されると、
図8に示すように、補強部材100は、スリット121と非対向部24bとの当接状態が解除されて元の形状に戻る。これにより、補強部材100は、その内側にハンガー20の非対向部24bを配置した状態で、前板部22及び対向部24aの上方に位置することとなる。
【0063】
当該補強部材100は、その軸方向を上下に向けた状態で、補強部材100を下方へ移動される。これにより、補強部材100の内側にハンガー20の前板部22及び対向部24aが入り込む。また、引っ掛け部131・141は、補強部材100の移動によって、その上端部が野縁受け30の上フランジ32に当接する。こうして、
図2に示すように、引っ掛け部131・141は、その上端部(縁部)が上フランジ32に載置され、野縁受け30に引っ掛けられる。これによって、補強部材100は、下方への移動が規制される。当該補強部材100は、前壁部110、後壁部120、左壁部130及び右壁部140でハンガー20の前板部22及び後板部23の周囲を外側から取り囲む。
【0064】
以上によって、補強部材100がハンガー20に嵌め合わされ、補強部材100の取り付けが完了する。
【0065】
本実施形態に係る補強部材100は、ハンガー20への取り付け時に、引っ掛け部131・141が野縁受け30に引っ掛かることで、ハンガー20に対する上下方向の位置を決めることができる。また、補強部材100は、前壁部110等でハンガー20の前板部22及び後板部23の周囲を外側から取り囲むことで、ハンガー20に対する前後方向及び左右方向の相対的な移動を抑制することができる。以上により、補強部材100は、ハンガー20に嵌め合わせるだけでハンガー20に位置決めすることができる。
【0066】
また、補強部材100によれば、地震等が発生してハンガー20の前板部22及び後板部23に荷重がかかって前板部22及び後板部23が開くように変形しようとした場合に、当該前板部22及び後板部23を前壁部110、後壁部120、左壁部130及び右壁部140で支持することができる。これによって、補強部材100は、地震等が発生した場合に、前板部22及び後板部23が開くように変形するのを抑制することができる。
【0067】
以上のように、補強部材100によれば、ネジやビス等の取付部材を用いることなく(ハンガー20に嵌め合わせるだけの簡単な構成で)、ハンガー20に取り付けて、前板部22及び後板部23が開くように変形するのを抑制することができる。これにより、大きなコストや手間をかけることなく野縁受け30がハンガー20から脱落するのを抑制することができ、ひいては天井Bの脱落を抑制することができる。
【0068】
また、補強部材100は、左壁部130及び右壁部140(2つの壁部)で前壁部110及び後壁部120を接続している。これによれば、補強部材100の強度を向上させることができるため、地震等が発生した場合に、補強部材100が変形したり破損したりするのを抑制できる。このため、補強部材100をハンガー20から脱落し難くすることができる。
【0069】
また、前述の如く、引っ掛け部131・141は、その開口幅(前後方向幅)が野縁受け30(上フランジ32)の前後方向幅と略同一の幅となるように形成される。これにより、引っ掛け部131・141は、野縁受け30に引っ掛けられた状態において、その前端部が上フランジ32の前端部と当接すると共に、その後端部(縁部)がウェブ31の後面(野縁受け30の側面)と当接する。このように構成することで、補強部材100は、野縁受け30に対して前後方向にずれるのを抑制できるため、野縁受け30に対するがたつきの発生を抑制することができる。
【0070】
ここで、
図7に示すように、補強部材100の取り付けにおいては、吊りボルト10やハンガー20の非対向部24b及び第二板部25が邪魔になることが懸念される。そこで、本実施形態に係る補強部材100は、非対向部24b(後板部23)が通過可能なスリット121を形成している。このような構成においては、補強部材100の取り付け時にスリット121に非対向部24bを通すことにより、取り付け時に非対向部24bや第二板部25が邪魔になり難くなる。このため、補強部材100をハンガー20に簡単に取り付けることができる。
【0071】
また、スリット121は、テーパ部121bを具備している。これにより、スリット121にハンガー20の非対向部24bを通すときに、補強部材100が非対向部24bに対して左右方向にずれていた場合でも、テーパ部121bによって補強部材100を案内することができる。これによって、補強部材100の非対向部24bに対する位置を合わせることができるため、スリット121に非対向部24bを通し易くすることができる。このため、補強部材100をハンガー20に簡単に取り付けることができる。
【0072】
また、本実施形態においては、スリット121が広がるように補強部材100を弾性変形させることで、スリット121にハンガー20の非対向部24bを正面から通すようにしている。これによれば、補強部材100を回転させることなくハンガー20に取り付けることができるため、補強部材100をハンガー20に簡単に取り付けることができる。
【0073】
なお、補強部材100は、全てのハンガー20に取り付けられる必要はない。例えば、天井Bのうち、大きな力がかかる部位(例えば、ブレースや重量のある設備機器が設けられる部位)の周囲のハンガー20のみに取り付けられてもよい。また、大きな力がかかる部位であるか否かに関わらず、バランスよく(例えば、数箇所飛ばしで)取り付けられてもよい。このように、補強部材100の取り付けにメリハリをつけることで、費用対効果を向上させることができる。
【0074】
また、補強部材100は、既存の天井Bに設置済みのハンガー20に取り付けることもできる。これにより、既存の天井Bにおいて、天井Bの脱落を抑制することができる。
【0075】
以上の如く、本実施形態に係る補強部材100は、野縁受け30を介在させる前板部22及び対向部24a(一対の板部)を有するハンガー20(補強対象物)に取り付けられ、前記前板部22及び対向部24aが開くように変形するのを抑制する補強部材100であって、平面視で前記前板部22及び対向部24aの周囲を外側から取り囲むように形成された前壁部110、後壁部120、左壁部130及び右壁部140(壁部)と、前記野縁受け30に当接することにより前記野縁受け30に引っ掛かる引っ掛け部131・141と、を具備するものである。
【0076】
このように構成することにより、簡単な構成でハンガー20に取り付けられた状態とすることができる。具体的には、引っ掛け部131・141が野縁受け30に当接することにより、ネジやビス等の取付部材を用いることなく、引っ掛け部131・141が野縁受け30に引っ掛かると共に、前壁部110、後壁部120、左壁部130及び右壁部140によりハンガー20に対する平面視における相対的な移動を抑制することができる。このように、簡単な構成でハンガー20に取り付けられた状態(位置決めされた状態)とすることができる。
【0077】
また、前記引っ掛け部131・141は、前記左壁部130及び右壁部140の下端部が開口された凹状に形成され、前記野縁受け30を受け入れると共に、前記引っ掛け部131・141の縁部の少なくとも一部(上端部)が前記野縁受け30に載置されるものである。
なお、引っ掛け部131・141の縁部は、引っ掛け部131・141の内周縁を成す部位であり、具体的には、上端部、前端部及び後端部である。
【0078】
このように構成することにより、引っ掛け部131・141を野縁受け30に上方から引っ掛けることができるため、簡単な構成でハンガー20に取り付けられた状態とすることができる。
【0079】
また、前記引っ掛け部131・141の縁部の少なくとも一部(後端部)は、前記野縁受け30の側面(ウェブ31の後面)に当接されるものである。
【0080】
このように構成することにより、補強部材100が野縁受け30に対して前後方向にずれ難くすることができるため、野縁受け30に対するがたつきの発生を抑制することができる。
【0081】
また、前記ハンガー20は、前記野縁受け30を支持するため吊りボルト10に吊設されるハンガー20であり、前記前板部22及び対向部24aの一方から立ち上がるように形成されると共に前記吊りボルト10に取り付けられる非対向部24b及び第二板部25(立ち上がり部)を具備し、前記後壁部120は、前記後壁部120の上端部と下端部との間を亘るように延びて形成され、前記補強部材100の取り付け時に前記非対向部24b及び第二板部25が通過可能なスリット121を具備するものである。
【0082】
このように構成することにより、補強部材100の取り付け時に非対向部24bをスリット121に通すことができる。これによって、補強部材100の取り付け時に吊りボルト10、非対向部24b及び第二板部25が邪魔になり難くなるため、補強部材100をハンガー20に簡単に取り付けることができる。
【0083】
また、前記スリット121は、上端部又は下端部の少なくともいずれか一方に向かうにつれて前記スリット121の横幅が大きくなるようなテーパ部121bを具備するものである。
【0084】
このように構成することにより、スリット121に非対向部24bを通し易くすることができるため、補強部材100をハンガー20に簡単に取り付けることができる。
【0085】
また、前記前壁部110、後壁部120、左壁部130及び右壁部140は、前記補強部材100の取り付け時に、前記スリット121の横幅における最も小さい部分が前記非対向部24b及び第二板部25の横幅よりも大きくなるように弾性変形可能に構成されるものである。
【0086】
このように構成することにより、スリット121を広げながら非対向部24bを当該スリット121に通すことができる。これによって、補強部材100を正面から(スリット121の平面視における向きを変えることなく)取り付けることができるため、補強部材100をハンガー20に簡単に取り付けることができる。
【0087】
なお、本実施形態に係る前板部22及び対向部24aは、本発明に係る一対の板部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るハンガー20は、本発明に係る補強対象物の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前壁部110、後壁部120、左壁部130及び右壁部140は、本発明に係る壁部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る非対向部24b及び第二板部25は、本発明に係る立ち上がり部の実施の一形態である。
【0088】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0089】
例えば、スリット121のテーパ部121bは、必ずしもスリット121の下部に形成される必要はなく、例えば、スリット121の上部に形成されていてもよい。また、テーパ部121bは、スリット121の下部及び上部にそれぞれ形成されていてもよい。
【0090】
また、スリット121は、必ずしもテーパ部121bを具備していなくてもよい。すなわち、スリット121は、その上端部から下端部までに亘ってその横幅が変化しないものであってもよい。
【0091】
また、補強部材100は、ハンガー20への取り付け時に、スリット121に非対向部24bを通すものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第二板部25(吊りボルト10が取り付けられる部分よりも前方)をスリット121に通してもよい。
【0092】
また、補強部材100は、ハンガー20に正面から取り付けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、ハンガー20に横(左方や右方)から取り付けられるものであってもよい。この場合、スリット121は、例えば、横(左方や右方)に向けられる。補強部材100は、横(左方や右方)に移動されることで、当該スリット121に非対向部24bを通す。その後、補強部材100は、回転されてスリット121が後方に向けられて、
図8に示すような状態となる。当該補強部材100は、下方に移動されてハンガー20に嵌め合わされる。こうして、補強部材100は、ハンガー20に横から取り付けられる。
【0093】
また、補強部材100が補強する対象は、野縁受け30を介在させる一対の板部を具備していれば、ハンガー20に限定されるものではない。具体的には、補強部材100が補強する対象は、例えば、クリップ40であってもよい。クリップ40を補強する場合、
図9(a)に示すように、補強部材100をクリップ40の上方から下方へと移動させ、補強部材100をクリップ40に嵌め合わせる。これによって、
図9(b)に示すように、補強部材100は、側板部41及び係止片43を支持して、側板部41及び係止片43が開くように変形するのを抑制することができる。
【0094】
また、クリップ40は、野縁50を野縁受け30に固定可能であれば、その構成は本実施形態に限定されるものではない。クリップ40は、例えば、
図10に示すような変形例に係るクリップ80であってもよい。変形例に係るクリップ80は、野縁50に対してその前部及び後部の2箇所が係合する点で、本実施形態に係るクリップ40と相違する。クリップ80は、側面視略逆U字状に形成され、頂部81及び前後一対の板部82を具備する。頂部81は、野縁受け30の上方に配置される。前後一対の板部82は、その板面を前後方向に向けた略板状に形成され、頂部81の前端部及び後端部から下方へ突出する。前後一対の板部82は、野縁受け30を前後から挟むと共にその下部が野縁50のリップ部51と係合する。
【0095】
また、変形例に係るクリップ80に補強部材100を取り付ける場合、
図11(a)に示すように、補強部材100をクリップ80の上方から下方へと移動させ、補強部材100をクリップ80に嵌め合わせる。これにより、
図11(b)に示すように、補強部材100は、前後一対の板部82を支持して、前後一対の板部82が開くように変形するのを抑制することができる。
【0096】
なお、クリップ40・80には、吊りボルト10やハンガー20の非対向部24b及び第二板部25のような、補強部材100の取り付け時に邪魔になるものが存在しない。このため、補強部材100は、クリップ40・80に取り付けられる場合、必ずしもスリット121を具備していなくてもよい。
【0097】
また、引っ掛け部131・141は、
図12(a)に示す第一変形例に係る補強部材200の引っ掛け部241のように、テーパ部241aを具備していてもよい。テーパ部241aは、引っ掛け部241の前部に形成される。テーパ部241aは、後下方へ延びるように形成される。引っ掛け部241は、当該テーパ部241aにより、下方に向かうにつれてその開口幅(前後方向幅)が小さくなるように形成される。引っ掛け部241は、補強部材200がハンガー20に取り付けられるときに野縁受け30によって広がるように(開口幅が大きくなるように)弾性変形される。そして、
図12(b)に示すように、引っ掛け部241は、補強部材200がハンガー20に取り付けられると、元の形状に戻ってテーパ部241aが野縁受け30の内側に入り込む。引っ掛け部241によれば、野縁受け30が補強部材200に対して上下に揺動した場合に、テーパ部241aを野縁受け30に当接させて野縁受け30から外れるのを抑制することができる。これによって、引っ掛け部241は、野縁受け30に引っ掛かった状態を維持し易くすることができるため、補強部材200がハンガー20から脱落するのを抑制することができる。
【0098】
以上の如く、第一変形例に係る補強部材200において、前記引っ掛け部241は、下方に向かうにつれて開口幅が小さくなるようなテーパ状に形成されるものである。
【0099】
このように構成することにより、ハンガー20からの脱落を抑制することができる。
【0100】
なお、テーパ部241aが形成される壁部は、左壁部130又は右壁部240の少なくともいずれか一方であればよい。また、テーパ部241aの引っ掛け部241における形成箇所は、前部に限定されるものではなく、引っ掛け部241の前部又は後部の少なくともいずれか一方であればよい。
【0101】
また、補強部材200は、引っ掛け部241が弾性変形されることなく野縁受け30に引っ掛けられるものであってもよい。この場合、例えば、引っ掛け部241は、野縁受け30に斜めから引っ掛けられる。より詳細には、補強部材200は、その軸方向を前上方(後下方)に向けた状態で、野縁受け30の前上方から後下方へ移動される。これにより、テーパ部241aは、野縁受け30の内側に入り込む。その後、引っ掛け部241は、その上端部が野縁受け30に当接し、野縁受け30に引っ掛けられる。
【0102】
また、左壁部130及び右壁部140は、
図13に示す第二変形例に係る補強部材300の左壁部330及び右壁部340のように、後方に向かうにつれて互いに接近していてもよい。当該補強部材300は、後壁部120(スリット121が形成される壁部)及び前壁部110が上底及び下底に相当する平面視略台形状に形成される。このように構成される補強部材300は、ハンガー20に取り付けられるときに、左壁部330及び右壁部340の後部がハンガー20の後板部23(非対向部24b)と当接する。当該補強部材300は、後板部23によって左壁部330及び右壁部340の後部が左右方向外側へ広がるように弾性変形された状態でハンガー20に取り付けられる。これにより、補強部材300は、左壁部330及び右壁部340の元に戻ろうとする力を利用して、ハンガー20を左右方向内側へ押圧することができる。これによって、補強部材300は、左壁部330及び右壁部340でハンガー20を保持することができるため、ハンガー20に対するがたつきを抑制することができる。
【0103】
以上の如く、第二変形例に係る補強部材300において、前記左壁部330及び右壁部340は、平面視で略台形状に形成されると共に、上底又は下底に相当する部分に前記スリット121が形成されるものである。
【0104】
このように構成することにより、ハンガー20に対するがたつきの発生を抑制することができる。
【0105】
なお、左壁部330及び右壁部340は、前方に向かうにつれて互いに接近していてもよい。
【0106】
また、補強部材100は、
図14に示す第三変形例に係る補強部材400のように、変形部442を具備していてもよい。変形部442は、右壁部440の前下部に切り込みを入れることで形成される。変形部442は、補強部材400がハンガー20に嵌め合わされた後で、補強部材400の左右方向内側へ折り曲げられる。これにより、
図15に示すように変形部442は、前板部22を挟むように塑性変形される。このような変形部442によれば、補強部材400のハンガー20に対するがたつきを効果的に抑制できる。
【0107】
以上の如く、第三変形例に係る補強部材400において、前記右壁部440は、前記補強部材400の取り付け時に、前記前板部22及び対向部24aの少なくとも一部を挟むように塑性変形可能な変形部442を具備するものである。
【0108】
このように構成することにより、補強部材400のハンガー20に対するがたつきの発生を抑制することができる。
【0109】
なお、変形部442が挟む部分は、前板部22に限定されるものではなく、例えば、後板部23(対向部24a及び非対向部24b)であってもよい。後板部23の対向部24aを挟む場合、右壁部440の後下部に変形部442を形成すればよい。また、後板部23の非対向部24bを挟む場合、右壁部440の後上部に変形部442を形成すればよい。
【0110】
また、変形部442は、前板部22及び後板部23を挟むことが可能であれば、右壁部440以外の壁部(前壁部110、後壁部120及び左壁部130)に形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0111】
20 ハンガー(補強対象物)
22 前板部(一対の板部)
24a 対向部(一対の板部)
30 野縁受け
100 補強部材
110 前壁部(壁部)
120 後壁部(壁部)
130 左壁部(壁部)
131 引っ掛け部
140 右壁部(壁部)
141 引っ掛け部