IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-減圧弁 図1
  • 特許-減圧弁 図2
  • 特許-減圧弁 図3
  • 特許-減圧弁 図4
  • 特許-減圧弁 図5
  • 特許-減圧弁 図6
  • 特許-減圧弁 図7
  • 特許-減圧弁 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】減圧弁
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/10 20060101AFI20220729BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G05D16/10 Z
F16K27/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018078262
(22)【出願日】2018-04-16
(65)【公開番号】P2019185584
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】久保 利賀剛
(72)【発明者】
【氏名】中野 哲
(72)【発明者】
【氏名】木原 侑也
(72)【発明者】
【氏名】堀田 裕
(72)【発明者】
【氏名】山下 顕
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-126268(JP,A)
【文献】特開2016-184258(JP,A)
【文献】特開2017-079026(JP,A)
【文献】特開2009-146855(JP,A)
【文献】特開2002-039422(JP,A)
【文献】特開2010-237862(JP,A)
【文献】特開2010-244362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/10
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポートにおける流体の圧力を減圧して出力ポートに送出する減圧弁であって、
前記入力ポート、前記入力ポートに接続される入力流路、前記入力流路に接続される減圧室、前記減圧室に接続される送出流路、前記送出流路から分岐される出力流路及び第一補助流路、前記第一補助流路から分岐される第二補助流路、前記出力流路に接続される前記出力ポート、前記第一補助流路に接続される第一補助ポート、並びに、前記第二補助流路に接続される第二補助ポートが形成されるハウジングと、
前記減圧室に設けられ、開き量を変更することにより前記送出流路に接続される前記減圧室の圧力を調整する弁機構と、
を備え、
前記送出流路、前記出力流路及び前記第一補助流路は、各中心線が第一平面上に配置され、
前記出力流路、前記第一補助流路及び前記第二補助流路は、各中心線が前記第一平面に直交する第二平面上に配置される、減圧弁。
【請求項2】
前記出力流路及び前記第一補助流路は、中心線が同軸で形成される、請求項1に記載の減圧弁。
【請求項3】
前記第二補助流路は、前記第一補助流路の途中から分岐される、請求項1又は2に記載の減圧弁。
【請求項4】
前記第一補助流路及び前記第二補助流路の一方は、前記弁機構の閉弁時におけるリークチェック用の補助ポートに接続されるリークチェック用流路であり、
前記第一補助流路及び前記第二補助流路の他方は、リリーフバルブ用の補助ポートに接続されるリリーフバルブ用流路である、請求項1~3の何れか1項に記載の減圧弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池車用高圧水素ガス等の圧力調整に用いられる減圧弁(レギュレータ)として、入力ポート(一次ポート)と出力ポート(二次ポート)との間に弁機構を備えたものがある(例えば、特許文献1)。この減圧弁では、入力ポートから弁機構を介して減圧室(二次室)に流入したガスの圧力に基づいて減圧室内のピストンが摺動し、ピストンの摺動が、弁機構の弁の開き量を変更する。
【0003】
これにより、入力ポート側の高圧ガスが減圧されて、弁機構を介し二次室に送出される。そして、減圧されたガスは、二次室から送出流路及び二次流路(出力流路)を介して出力ポートに送出され、その後、燃料電池本体に送出される。
【0004】
また、特許文献1の減圧弁では、送出流路と二次流路(出力流路)との接続部(分岐部)から、補助流路が補助ポートに向かって分岐されている。特許文献1において、補助ポートは、弁機構における水素ガスのリークの有無をチェックするためのリークチェック用ポートであり、補助流路はリークチェック用流路である。さらに、リークチェック用流路(補助流路)の途中からは、リリーフ弁用の補助流路(リリーフ弁用流路)が分岐されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-204245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、接続部(分岐)で接続される送出流路、出力流路及びリークチェック用流路は、それぞれX軸、Y軸及びZ軸方向に延在し、それぞれ相互に直交して配置されている。また、リリーフ弁用流路も、中心線がリークチェック用流路の中心線と直交して配置されている。これにより、各流路が形成される減圧弁のハウジングは、大型化し、延いては減圧弁が大型化している。また、各流路を加工によって形成する際、各流路の配置が複雑であるため、加工工数が増大し、加工コストが上昇する。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、送出流路、出力流路及び補助流路の配置を簡素なものとして、小型化を図るとともに、各流路の加工工数を低減して低コスト化を図った減圧弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、入力ポートにおける流体の圧力を減圧して出力ポートに送出する減圧弁であって、
前記入力ポート、前記入力ポートに接続される入力流路、前記入力流路に接続される減圧室、前記減圧室に接続される送出流路、前記送出流路から分岐される出力流路及び第一補助流路、前記第一補助流路から分岐される第二補助流路、前記出力流路に接続される前記出力ポート、前記第一補助流路に接続される第一補助ポート、並びに、前記第二補助流路に接続される第二補助ポートが形成されるハウジングと、
前記減圧室に設けられ、開き量を変更することにより前記送出流路に接続される前記減圧室の圧力を調整する弁機構と、
を備え、
前記送出流路、前記出力流路及び前記第一補助流路は、各中心線が第一平面上に配置され
前記出力流路、前記第一補助流路及び前記第二補助流路は、各中心線が前記第一平面に直交する第二平面上に配置される、減圧弁にある
【0009】
本発明の一態様によれば、ハウジングの肉を削減することができるので、ハウジングの体格、延いては、減圧弁の体格を小さくできる。また、送出流路、出力流路、第一補助流路及び第二補助流路を容易に加工できる。これにより、加工工数及びコストが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態に係る減圧弁の全体概要図である。
図2図1におけるII-II矢視断面図である。
図3図1におけるIII-III矢視断面図である。
図4図1におけるIV-IV矢視断面図である。
図5】第一実施形態における各流路の配置を説明する模式図である。
図6】変形例2の減圧弁における各流路の配置を説明する模式図である。
図7】変形例3の減圧弁における各流路の配置を説明する模式図である。
図8】第二実施形態の減圧弁における各流路の配置を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.第一実施形態>
(1-1.減圧弁10の構成)
以下、減圧弁の第一実施形態を図面に従って説明する。図1に示す減圧弁(レギュレータ)10は、燃料電池自動車に搭載される水素タンクと燃料電池とをつなぐ流体回路の途中に設けられ、高圧の水素ガスを減圧して燃料電池側に送出する。
【0013】
また、図1図2に示すように、減圧弁10は、入力ポート21及び出力ポート22が形成されたハウジング20と、ハウジング20内において入力ポート21と出力ポート22との間に設けられた弁機構30と、弁機構30の開き量(開度)を調整する押圧機構40と、リリーフバルブ60とを備える。
【0014】
なお、各図面においては、図面に対する理解を助けるため、方向を示すX軸,Y軸,Z軸の矢印を記載している。そして、本実施形態においては、例えば、Z軸方向が重力方向における上下方向を示し、X軸及びY軸方向が水平面における各方向を示すものとする。ただし、これはあくまで一例であってX軸,Y軸,Z軸の方向は任意に設定すればよい。
【0015】
(1-1-1.ハウジング20)
図2に示すように、ハウジング20には、入力ポート21及び出力ポート22に連通するとともに、外部に開口した丸穴状の収容穴23が形成される。入力ポート21から延びる入力流路24は、収容穴23の底面23aにおける中央に開口する。また、図3図4に示すように、送出流路25は、収容穴23の底面23aにおける偏心した位置に開口する。送出流路25と出力ポート22との間には、出力流路28が設けられる。図3図4に示すように、出力流路28は、収容穴23の底面23aとは反対側の送出流路25の端部に設けられた分岐部29で分岐される。
【0016】
また、ハウジング20は、図3図4に示すように、分岐部29から分岐されたリークチェック用流路201(補助流路に相当する)及びリークチェック用ポート201a(補助ポートに相当する)を備える。リークチェック用ポート201aは、外部と連通するリークチェック用流路201の開口部分である。リークチェック用ポート201aは、ガスリーク量測定装置の接続ユニットを接続し、後に詳述する弁機構30の閉弁時における水素ガスのリークの有無をリーク量測定装置によってチェックするためのポートである。本実施形態において、リークチェック用流路201の中心線C3は、出力流路28の中心線C2と同軸となるよう配置される。詳細については、後に説明する。
【0017】
さらに、ハウジング20は、図3に示すように、リークチェック用流路201の途中から分岐したリリーフバルブ用流路202及びリリーフバルブ用のポート202aを備える。本実施形態においては、リリーフバルブ用流路202は中心線C4がリークチェック用流路201の中心線C3及び送出流路25の中心線C1とそれぞれ直交して配置される。
【0018】
図2に示すように、入力流路24における収容穴23側の開口部分は、弁機構30を収容するように他の部分よりも大きな内径に設定される。具体的には、入力流路24の開口部分は、入力流路24の上流側(図2中、右側)から順に円筒状の第一収容部26、及び第一収容部26に連続するとともに底面23aに開口する円筒状の第二収容部27を有する。第一及び第二収容部26,27は、内径がこの順で大きくなるとともに、それぞれ収容穴23と同軸上に配置されるように形成される。
【0019】
弁機構30は、減圧室51に設けられ、開き量を変更することにより送出流路25に接続される減圧室51の圧力を調整する。弁機構30は、入力流路24に収容される弁体31と、第一収容部26に収容される弁座32と、第二収容部27に収容されるプラグ33と、プラグ33内に配置されるバルブステム34とを備える。
【0020】
弁体31は、有底略円筒状の本体部35と、本体部35の底部から下流側(図2中、左側)に向かって徐々に外形が小さくなるテーパ部分とされるとともにその先端が外径略一定に形成された当接部36とを有する。弁体31(本体部35)の外径は、入力流路24の内径よりもやや小さく設定されており、入力流路24内で軸方向に摺動可能である。本体部35内には、コイルバネ等の付勢部材37が収容される。弁体31は、付勢部材37が入力流路24の上流側に配置された棒状の支持部材38と弁体31との間で圧縮されることにより下流側に付勢される。
【0021】
弁座32は、弁孔39を有して円環状に形成され、第一収容部26内に圧入される。弁孔39の内径は、当接部36におけるテーパ部分の途中位置での外径と略等しく形成される。なお、弁座32は、ポリイミド樹脂等の弾性変形可能な硬質樹脂により構成されている。
【0022】
プラグ33は、円柱状に形成されており、弁座32を圧縮しつつ第二収容部27の内周に螺着されており、その一部が収容穴23内に突出している。プラグ33の中央には、軸方向に貫通する貫通孔33aが弁孔39と同軸上に形成される。貫通孔33aの上流側部分は他の部分よりも小径とされ、その内径は弁孔39の内径と略等しく設定される。また、プラグ33における収容穴23内に突出した突出部33bには、径方向に延びて貫通孔33aと収容穴23とを連通する流路孔33cが形成される。
【0023】
バルブステム34は、細長の円柱状に形成された円柱部34aと、円柱部34aから下流側に突出する下流端部34bと、円柱部34aから上流側に突出する上流端部34cとを有する。円柱部34aの外径は、貫通孔33aの内径よりもやや小さく設定されており、貫通孔33a内で軸方向に摺動可能である。
【0024】
円柱部34aには、軸方向に延びる複数の流路孔34dがその中心軸周りに等角度間隔で形成されている。下流端部34bの外径は、円柱部34aよりも小径の円柱状に形成される。上流端部34cの外径は弁体31の当接部36における先端部分の外径と略等しく設定されており、上流端部34c及び当接部36は、弁孔39及び貫通孔33a内に挿通されて互いに当接している。
【0025】
押圧機構40は、収容穴23に固定されるシリンダ41と、シリンダ41内に摺動可能に収容されるピストン42と、シリンダ41とピストン42との間に圧縮状態で配置されるコイルバネ43とを備えている。
【0026】
シリンダ41は、有底円筒状に形成されている。シリンダ41は、円筒部41aの外周部分が収容穴23の内周に螺着されるとともに、底部41bの外周部分にロックナット44が螺着されることによりハウジング20に固定される。なお、円筒部41aの開口部外周には、Oリング等のシール部材45が装着されており、収容穴23と外部との間の気密を確保している。シリンダ41の内周面には、バネ設置穴41cが形成される。
【0027】
ピストン42は有底円筒状に形成されるとともに、ピストン42の外径はシリンダ41の円筒部41aの内径と略等しく設定されている。ピストン42は、円筒部41a内に軸方向に摺動可能に収容されて円筒部41a内を減圧室51(二次室)と圧力調整室52とに区画する。なお、ピストン42の外周には、ウェアリングやリップシール等のリング部材53が装着されており、減圧室51と圧力調整室52との間の気密を確保する。また、圧力調整室52は大気開放とされる。
【0028】
ピストン42における内周面には、バネ設置穴54が形成される。そして、ピストン42は、バルブステム34の下流端部34bに当接している。これにより、バルブステム34及び弁体31は、ピストン42の摺動に応じて一体で移動する。
【0029】
コイルバネ43は、シリンダ41及びピストン42内のバネ設置穴41c,54内に圧縮された状態で収容されている。具体的には、コイルバネ43の一方の端面43aがバネ設置穴41cの底面である座面41dに当接するとともに、他方の端面43bがバネ設置穴54の底面である座面54aに当接した状態で圧縮配置される。そして、コイルバネ43は、弁体31が弁座32から離座する、すなわち弁機構30の開き量(開度)が大きくなるようにピストン42を付勢している。
【0030】
このように構成された減圧弁10では、減圧室51と圧力調整室52の差圧、付勢部材37及びコイルバネ43の付勢力に応じてピストン42が円筒部41a内を摺動する。そして、ピストン42の軸方向位置に応じて弁機構30の開き量を調整することで、出力ポート22の圧力(減圧室51内の圧力)が所定圧を超えないようにしている。
【0031】
しかし、上記において、出力ポート22の圧力、即ち、出力ポート22と接続されるリリーフバルブ用のポート202aの圧力が所定圧を超えた場合には、リリーフバルブ60が弁を開弁し出力ポート22(リリーフバルブ用のポート202a)の圧力を開放する。
【0032】
図3に示すように、リリーフバルブ60は、ハウジング61と、ピストン62と、放出ポート64と、バネ65と、ガス透過膜66と、を備える。ガス透過膜66は、放出ポート64側から異物がハウジング61の中空部612内に侵入するのを抑制する。リリーフバルブ用のポート202aにおける圧力が所定圧を超えると、超えた圧力によってピストン62の弁体621が、開弁方向に付勢される。そして、ピストン62が開弁方向に移動し弁体621が弁座611から離座する。
【0033】
これにより、水素ガスが、弁座611と弁体621との間、及びハウジング61内を通過し放出ポート64から外部に放出される。従って、リリーフバルブ用のポート202a側の圧力が低下し、減圧弁10の各部及び燃料電池本体が良好に保護される。このように、リリーフバルブ60は、公知のリリーフ機能を有する通常のリリーフ弁である。よって、リリーフバルブ60についての、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0034】
(1-1-2.各流路の詳細説明)
次に、本発明に係る各流路について、図2図5に基づき詳細に説明する。上述したとおり、ハウジング20は、図2図4に示すように、水素ガスの流路として、入力ポート21及び入力ポート21に接続される入力流路24を備える。また、ハウジング20は、水素ガスの流路として、入力流路24に接続される減圧室51、減圧室51に接続される送出流路25、送出流路25から分岐部29で分岐される出力流路28及びリークチェック用流路201(補助流路に相当する)を備える。また、ハウジング20は、出力流路28の開口部である出力ポート22と、リークチェック用流路201の開口部であるリークチェック用ポート201a(補助ポートに相当する)を備える。
【0035】
さらに、図3に示すように、ハウジング20は、上述したとおり、リークチェック用流路201の途中から分岐したリリーフバルブ用流路202及びリリーフバルブ用のポート202aを備える。本実施形態においては、リリーフバルブ用流路202は、中心線C4がリークチェック用流路201の中心線C3及び送出流路25の中心線C1とそれぞれ直交して配置される。そして、上記の各流路を模式図に記載すると図5に示すようになる。
【0036】
図5に示すように、第一実施形態においては、送出流路25、出力流路28及びリークチェック用流路201(補助流路)の各中心線C1,C2,C3が、同一のX-Y平面上に配置されるとともに、出力流路28及びリークチェック用流路201の中心線C2,C3は同軸で形成されている。なお、上述したように、X-Y平面は、例えば水平面であるものとする。また、リリーフバルブ用流路202の中心線C4が、X-Y平面と直交するY-Z平面上に配置されている。このとき、例えば、Y-Z平面は、重力方向において垂直な面(鉛直面)であるものとする。
【0037】
各流路25,28,201,202を上記のように配置することにより、ハウジング20では、Z軸方向において、リリーフバルブ用流路202を形成するための肉を一部分、必要とするが、リリーフバルブ用流路202以外の部分では大きな肉厚を必要としない。つまり、Z軸方向においては、薄肉があれば、送出流路25,出力流路28(出力ポート22)及びリークチェック用流路201(リークチェック用ポート201a)が形成できる。
【0038】
このため、ハウジング20の小型化、及び軽量化が図られる。また、出力流路28及びリークチェック用流路201が同軸で配置される。これにより、出力流路28及びリークチェック用流路201の加工が同時にできる。また、出力流路28及びリークチェック用流路201は、貫通孔で形成されるので、切粉の排出も容易である。また、送出流路25との分岐部29が出力ポート22及びリークチェック用ポート201aから目視で確認できるとともに、バリの発生があった場合に除去もしやすい。
【0039】
(1-2.第一実施形態による効果)
上記、第一実施形態によれば、入力ポート21、入力ポート21に接続される入力流路24、入力流路24に接続される減圧室51、減圧室51に接続される送出流路25、送出流路25から分岐される出力流路28及び補助流路(リークチェック用流路201)、出力流路28に接続される出力ポート22、並びに、補助流路(リークチェック用流路201)に接続される補助ポート(201a)が形成されるハウジング20と、減圧室51に設けられ、開き量を変更することにより送出流路25に接続される減圧室51の圧力を調整する弁機構30と、を備える。そして、送出流路25、出力流路28及び補助流路(リークチェック用流路201)は、各中心線(C1,C2,C3)が同一平面上に配置される。
【0040】
このため、従来技術のように、三つの流路が、それぞれ直交して配置される際に必要となるハウジングの肉の量が大幅に削減できる。従って、ハウジング20においては、直交する三方向のうちの一方向の厚みを薄くすることができるので、ハウジング20の体格、延いては、減圧弁10の体格を小型化できる。また、送出流路25、出力流路28及び補助流路(リークチェック用流路201)が、同一平面上に配置されるので、各流路(25,28,201)を加工する際、加工機のテーブルを回転させるだけで、これらの流路の加工ができる。これにより、加工工数及びコストが低減できる。
【0041】
また、上記第一実施形態によれば、出力流路28及び補助流路(リークチェック用流路201)は中心線C2,C3が同軸で形成される。このため、出力流路28から補助流路(リークチェック用流路201)まで貫通孔となるため、加工時において、加工がし易い。また、切粉の排出も容易である。さらに、送出流路25との分岐部29が出力ポート22及びリークチェック用ポート201aから目視で確認しやすい。
【0042】
また、上記第一実施形態によれば、補助流路は、弁機構30の閉弁時におけるリークチェック用の補助ポート201aに接続されるリークチェック用流路201である。これにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0043】
(1-3.変形例1)
次に、第一実施形態の変形例1について説明する。第一実施形態の減圧弁10では、送出流路25,出力流路28及びリークチェック用流路201(補助流路)の三つの流路が、同一平面(X-Y平面)上に配置されるとともに、出力流路28及びリークチェック用流路201が同軸となるよう配置された。しかし、この態様には限らず、変形例1(図略)として、送出流路25、出力流路28及びリークチェック用流路201(補助流路)の三つの流路が同一平面(X-Y平面)上に配置されるのみであって、出力流路28及びリークチェック用流路201は同軸に配置されなくてもよい。これによっても、上述した同軸による効果以外の効果は十分得られる。
【0044】
(1-4.変形例2)
また、第一実施形態の変形例2(図6参照)として、「補助流路」が、リークチェック用流路201ではなく、リリーフバルブ用流路202でもよい。ただし、この場合、リリーフバルブ60の放出ポート64が重力方向下方に向けて水素ガスを放出するよう配置されることが好ましい。これにより、第一実施形態に対し、Z軸方向とY軸方向とを入れ替える。
【0045】
このため、変形例2のハウジング20では、Y軸方向において、リークチェック用流路201を形成するための肉を一部分、必要とするが、リークチェック用流路201以外の部分では大きな肉厚を必要としない。つまり、Y軸方向においては、薄肉があれば、送出流路25,出力流路28(出力ポート22)及びリリーフバルブ用流路202(リリーフバルブ用ポート202a)が形成できる。これによっても、第一実施形態と同様の効果が期待できる。
【0046】
(1-5.変形例3)
また、第一実施形態の変形例3として、リークチェック用流路201を「第一の補助流路」とし、リリーフバルブ用流路202を「第二の補助流路」としてもよい。つまり、図7の模式図に示すように、送出流路25、出力流路28、リークチェック用流路201(第一の補助流路)及びリリーフバルブ用流路202(第二の補助流路)の四つの流路を同一平面(図7においてY-Z平面)上に配置するようにしてもよい。これによって、小型化及び軽量化に対する効果は最も大きくなる。
【0047】
<2.第二実施形態>
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態の減圧弁では、図8の模式図に示すように、補助流路が、弁機構30の閉弁時におけるリークチェック用の補助ポート301aに接続されるリークチェック用流路301、及びリリーフバルブ用の補助ポート302aに接続されるリリーフバルブ用流路302であっても良い。
【0048】
このとき、出力ポート122へ延びる出力流路128は、例えば、分岐部129に接続する送出流路125と直交するとともに分岐部129で分岐されるリークチェック用流路301、及びリリーフバルブ用流路302とも直交するよう配置される。つまり、送出流路125、リークチェック用流路301及びリリーフバルブ用流路302は、各中心線C1,C3,C4が同一平面(X-Z平面)上に配置される。このような配置によっても、第一実施形態と同様、減圧弁の小型化が図られる。
【0049】
また、上記第二実施形態において、リークチェック用流路301及びリリーフバルブ用流路302は、各中心線C3,C4は同軸となるよう配置される。これにより、第一実施形態における同軸による効果と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0050】
10;減圧弁、 20;ハウジング、 21;入力ポート、 22,122;出力ポート、 24;入力流路、 25,125;送出流路、 28,128;出力流路、 29,129;分岐部、 30;弁機構、 31;弁体、 32;弁座、 42;ピストン、 51;減圧室、 60;リリーフバルブ、 201,301;補助流路(リークチェック用流路)、 201a,301a;補助ポート(リークチェック用ポート)、 202,302;補助流路(リリーフバルブ用流路)、 202a,302a;補助ポート(リリーフバルブ用ポート)、 C1,C2,C3;中心線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8