(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20220729BHJP
D06F 39/12 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
D06F58/02 Z
D06F39/12 B
(21)【出願番号】P 2018107768
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恒川 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】本田 民樹
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-248775(JP,A)
【文献】実開昭59-130685(JP,U)
【文献】実開昭48-4770(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体の前板に設けられた開閉ドアと、該開閉ドアにより開閉されて内部に衣類を収容する乾燥室と、衣類乾燥運転に関する操作を行うための操作部とを備え、該操作部が前記筐体の前板に設けられている衣類乾燥機において、
前記筐体は、その前板に前記操作部を取り付ける取付開口部を備え、
前記操作部は、前記筐体の前板の前面に露出する操作パネルと、前記取付開口部に嵌め込まれる枠体部とを備え、
前記枠体部は、前記操作パネルの裏側に設けられた電気部品の上方に張り出す上部枠と、該上部枠の両端の夫々に連続して下方に延びる側部枠とを備え、
前記枠体部の上部枠は、前記取付開口部から入った水を受ける水受け部を備え、
前記枠体部の少なくとも一方の側部枠は、前記上部枠の前記水受け部が受けた水を前記筐体の底部方向に案内する水案内部を備
え、
前記水受け部は、前記上部枠の上面と、該上面から起立する方向に形成されて前記前板の裏面に対向する起立壁とで構成され、
前記水案内部は、前記上部枠の上面に連続する前記側部枠の外側面と、前記起立壁に連続して前記側部枠の外側面から横方向に張り出す張出壁と、前記張出壁の下端で前記側部枠の外側面から横方向に屈曲して前記側部枠より外方へ延びる下面壁とで構成されることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項
1記載の衣類乾燥機において、
前記操作パネルは、その外周縁に沿った裏面が、前記取付開口部に沿った前記前板の前面に当接する形状とされており、
前記枠体部は、前記前板を前記操作パネルに圧接させるべく前記前板にその裏面側から当接する当接部を備えることを特徴とする衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類乾燥機として、筐体の前板の開閉ドアの近傍に操作パネルが設けられているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。筐体内には、衣類を収容して乾燥を行う回転ドラム等の乾燥室が設けられている。開閉ドアは乾燥室の前面を開閉する。
【0003】
開閉ドアによって前面が閉塞された乾燥室には、衣類を乾燥させる乾燥用空気が供給されて乾燥運転が行われる。
【0004】
乾燥運転の操作は、前記操作パネルに設けられているスイッチ類を操作することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の衣類乾燥機は、一般に、屋内に設置することを前提としており、十分な耐候性を有していない。このため、例えばベランダ等の屋外に設置した場合には、操作パネルの周囲から雨水が浸入して操作パネルの裏側に設けられている電気部品を損傷するおそれがある。
【0007】
そこで、筐体の前板と操作パネルとの間に合成ゴム等によるパッキンを設けて操作パネルの周囲の防水性を向上させることが考えられる。
【0008】
しかし、前記パッキンを設けて防水性を向上させる場合には、部品点数が増加すると共に組立工数も増加するため、製造コストが高くなる不都合がある。しかも、前記パッキンに劣化が生じた場合には、防水性が低下するため、前記パッキンの交換等が必要となる不都合がある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、操作パネルの周囲から筐体内部に水が入り込んでも、操作パネルの裏側に設けられている電気部品等の損傷を防止することができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、筐体と、該筐体の前板に設けられた開閉ドアと、該開閉ドアにより開閉されて内部に衣類を収容する乾燥室と、衣類乾燥運転に関する操作を行うための操作部とを備え、該操作部が前記筐体の前板に設けられている衣類乾燥機において、前記筐体は、その前板に前記操作部を取り付ける取付開口部を備え、前記操作部は、前記筐体の前板の前面に露出する操作パネルと、前記取付開口部に嵌め込まれる枠体部とを備え、前記枠体部は、前記操作パネルの裏側に設けられた電気部品の上方に張り出す上部枠と、該上部枠の両端の夫々に連続して下方に延びる側部枠とを備え、前記枠体部の上部枠は、前記取付開口部から入った水を受ける水受け部を備え、前記枠体部の少なくとも一方の側部枠は、前記上部枠の前記水受け部が受けた水を前記筐体の底部方向に案内する水案内部を備え、前記水受け部は、前記上部枠の上面と、該上面から起立する方向に形成されて前記前板の裏面に対向する起立壁とで構成され、前記水案内部は、前記上部枠の上面に連続する前記側部枠の外側面と、前記起立壁に連続して前記側部枠の外側面から横方向に張り出す張出壁と、前記張出壁の下端で前記側部枠の外側面から横方向に屈曲して前記側部枠より外方へ延びる下面壁とで構成されることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、取付開口部から筐体内部に入った水を、上枠部の水受け部により受けた後、水案内部により案内して筐体の底部(底部方向)に流し、筐体外部に排出する。これによれば、上枠部の下方にある電気部品等への水の付着による損傷を防止することができる。
【0013】
更に、水受け部を、上枠部の上面と起立壁とで構成することにより、取付開口部から入って上枠部の上面に流れた水は起立壁により堰き止められる。これによって、上枠部の上面の水が起立壁よりも後方に流れ込むことがない。更に、水案内路を、側枠部の外側面と張出壁とで構成することにより、起立壁により堰き止められた上枠部の上面の水は、側枠部の外側面を伝って下方に流れ落ちる。このとき、側枠部の外側面を伝って流れる水は、張出壁に当接して下方に案内されるので、張出壁よりも後方に入り込むことがない。このように、水受け部及び水案内路を比較的構造簡単に形成して、取付開口部から筐体内部に入った水を枠体部の側方から下方に円滑に流すことができる。
【0014】
また、本発明において、前記操作パネルは、その外周縁に沿った裏面が、前記取付開口部に沿った前記前板の前面に当接する形状とされており、前記枠体部は、前記前板を前記操作パネルに圧接させるべく前記前板にその裏面側から当接する当接部を備えることを特徴とする。
【0015】
枠体部が備える当接部は、前板に裏面側から当接することにより前板の前面を操作パネルの裏面に圧接させる(相対的には、操作パネルの裏面を前板の前面に圧接させる)。これにより、前板の前面と操作パネルの裏面とをガタツキなく密着させることができ、取付開口部から筐体内部への水の入り込みを確実に防止することができる。よって、パッキン等を用いることなく取付開口部と枠体部との間に防水性を付与することができ、パッキン等の劣化もないので、長期に亘り防水性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の衣類乾燥機の外観を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の衣類乾燥機1は、筐体2の前板3に開閉ドア4と操作部5とを備えている。開閉ドア4は、筐体2の内部に収容されている図示しない乾燥室の前端を開閉する。乾燥室は、例えば回転ドラムによって構成され、その内部に脱水処理を行った洗濯物を収容する。乾燥室は、乾燥空気を供給して洗濯物の乾燥運転を行う。このとき、使用者は、操作部5を介して乾燥運転時の各設定や作動指示等を行う。
【0018】
筐体2の前板3には、
図2に示すように、操作部5を取り付けるための取付開口部6が形成されている。操作部5は、
図2及び
図3に示すように、操作パネル7と枠体部8とを備えている。操作パネル7は、複数の操作スイッチ7aや表示部7bを備え、
図1に示すように、筐体2の前板3の前面に露出した状態で設けられる。操作パネル5の裏側には、
図3に示すように、各操作スイッチ7aや表示部7bに電気的に接続された回路基板9(電気部品)が支持されている。枠体部8は、回路基板9の外周を包囲する形状に形成されている。
【0019】
枠体部8は、操作パネル7と一体に形成されており、
図3に示すように、上枠部8aと、側枠部8bと、下枠部8cとで構成されている。上枠部8aは、回路基板9の上方に張り出して回路基板9の上方を覆う。
【0020】
また、上枠部8aの上面には、
図4に示すように、筐体2の前板3にその裏面側から当接する(即ち、取付開口部6の内周縁にその後方から当接する)当接突起10(当接部)が間隔を存して複数形成されている。当接突起10により、操作パネル7の裏面に筐体2の前板3を密着させることができ、操作パネル7と筐体2の前板3との間に防水性を付与することができる。
【0021】
また、上枠部8aは、水受け部11を備えている。上枠部8aは、その後端縁から起立して前板3の裏面に対向する起立壁12を備えている。水受け部11は、上枠部8aの上面と、起立壁12とによって構成される。水が操作パネル7と筐体2の前板3との間から入り込んで、上枠部8aの上面から筐体2の内部方向に流れようとするとき、この水は、起立壁12によって堰き止められるので、回路基板9への水の付着を防止することができる。
【0022】
側枠部8bは、
図3に示すように、上枠部8aの長手方向の両端の夫々に連続して下方に延び、回路基板9の側方を覆う。側枠部8bは、
図3及び
図5に示すように、その外側面に形成された凹状の水案内部13を備え、この水案内部13の凹入形状により、側枠部8bの後端縁から横方に張り出す張出壁14が形成されている。
【0023】
図6に矢印によって水の流れを模式的に示すように、上枠部8aの上面の水受け部11から側枠部8bに向かって流れる水は、凹状の水案内部13に入って側枠部8bに沿って流下し、水案内部13の下面壁13aによって外方に案内された後、筐体2の底部に流れ落ちる。このように、水案内部14が水を回路基板9から離れる方向に案内するので、回路基板9への水の付着を防止することができる。
【0024】
以上のように、本実施形態の衣類乾燥機1は、操作部5の枠体部8の上枠部8aに設けた当接突起10によって、パッキン等を用いることなく操作部5と筐体2の前板3との間の防水性が長期に亘って維持できる。そして、万一、操作部5と取付開口部6との間から筐体2の内部へ水が入り込んでも、枠体部8が備える水受け部11及び水案内部13によって、回路基板9への水の付着が防止される。
【0025】
よって、本実施形態の衣類乾燥機1は、ベランダ等の屋外に設置した場合に、操作部5の裏側にある回路基板9(電気部品等)への雨水の付着による損傷を防止することができる。
【0026】
なお、本実施形態においては、操作部5が開閉ドア4の下方に位置するものを示したが、操作部の位置は、これに限るものではなく、例えば、開閉ドアの上方や横方に位置していてもよい。そして、図示しないが、開閉ドアの上方や横方に操作部を配置した場合には、操作部の枠体部に設ける水案内部は、水受け部が受けた水を、筐体の側壁内面等を迂回して底部方向に流すように構成すればよい。
【符号の説明】
【0027】
1…衣類乾燥機、2…筐体、3…前板、4…開閉ドア、5…操作部、6…取付開口部、7…操作パネル、8…枠体部、8a…上部枠、8b…側部枠、9…回路基板(電気部品)、10…当接部、11…水受け部、12…起立壁、13…水案内部、13a…下面壁、14…張出壁。