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特許7113690荷積みプラン作成システム、荷積みプラン作成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】荷積みプラン作成システム、荷積みプラン作成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/03 20060101AFI20220729BHJP
   B65G 57/20 20060101ALI20220729BHJP
   B65G 67/20 20060101ALI20220729BHJP
   G06Q 50/28 20120101ALI20220729BHJP
【FI】
B65G57/03 G
B65G57/20
B65G67/20
G06Q50/28
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018138382
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020015574
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年 3月15日に日本オペレーションズ・リサーチ学会2018年春季研究発表会で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591280197
【氏名又は名称】株式会社構造計画研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】四柳 博之
(72)【発明者】
【氏名】最上 光雄
(72)【発明者】
【氏名】横井 志朗
(72)【発明者】
【氏名】池水 憲治
(72)【発明者】
【氏名】矢野 夏子
(72)【発明者】
【氏名】新谷 玲
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-297146(JP,A)
【文献】特開2003-221122(JP,A)
【文献】特開2002-029631(JP,A)
【文献】特開2018-052691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00-57/32
B65G 67/00-67/56
G06Q 50/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷積み対象の荷物の情報を取得する荷物情報取得部と、
前記荷物情報取得部で情報を取得した荷物をパレットに積み込むプランを作成するパレット積込プラン作成部と、
前記パレット積込プラン作成部で作成した積載パレットをトラックの荷台に積み込むプランを作成するトラック積込プラン作成部と、を備え、
前記荷物情報取得部は、少なくとも荷物のサイズ情報、荷物の回転の許可情報、出荷場所の情報を取得し、
前記パレット積込プラン作成部は、
前記荷物情報取得部で取得した情報に基づいて各パレットに荷物を積む込むプランを作成し、
前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類し、
前記トラック積込プラン作成部は、
前記積載パレットのパレットサイズの種類およびパレット数に応じて、前記トラックの荷台に設置可能な積載パレットのポジションパターンを予め設定し、
前記パレット積込プラン作成部で作成された各パレットサイズの積載パレットを積載できる前記ポジションパターンの中で、前記トラックの荷台の空間に対する前記積載パレットが占める空間の割合である積載率が最大となるポジションパターンを抽出し、
トラックの荷台に積み込む前記積載パレットのポジションパターンを設定する
ことを特徴とする荷積みプラン作成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の荷積みプラン作成システムにおいて、
前記パレット積込プラン作成部は、
前記荷物のサイズ情報および出荷場所の情報に基づき、出荷場所が同じ荷物を、予め定義したサイズグループ単位に分類し、
前記パレットに対し、前記サイズグループ毎の荷物を、前記荷物毎に回転が許可された回転軸の範囲で回転させながら組み合わせを試行し、前記パレットの空間を最大限充足する組み合わせを求める最適解算出処理を実行し、
前記組み合わせの試行過程で前記パレットに積み込むことができない荷物が発生した場合は、次の空パレットを生成し、前記最適解算出処理を繰り返して実行し、
満載とならなかったパレットの荷物は、予め設定したシナリオに沿って他の荷物と組み合わせてパレットへの積み込みを継続し、
前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類する
ことを特徴とする荷積みプラン作成システム。
【請求項3】
請求項2に記載の荷積みプラン作成システムにおいて、
前記シナリオを設定するシナリオ設定部を備え、
前記シナリオ設定部は、前記荷物が生産される生産ラインと、前記荷物が出荷される出荷場所と、出荷場所で満載とならなかったパレットの次の荷合わせを行う場所とを設定可能とされている
ことを特徴とする荷積みプラン作成システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の荷積みプラン作成システムにおいて、
前記パレット積込プラン作成部は、
前記最適解算出処理において、前記荷物の端部を前記パレットの床面の領域からはみ出して配置することは許可し、前記荷物全体が前記パレットの床面の領域からはみ出して配置することは禁止する
ことを特徴とする荷積みプラン作成システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷積みプラン作成システムにおいて、
前記トラック積込プラン作成部は、
未積み込みの積載パレットがある場合に、次のトラックを選択して、前記ポジションパターンを抽出する処理を継続し、
トラック毎に前記積載パレットのポジションパターンを設定する
ことを特徴とする荷積みプラン作成システム。
【請求項6】
荷積み対象の荷物の情報を取得する荷物情報取得工程と、
前記荷物情報取得工程で情報を取得した荷物をパレットに積み込むプランを作成するパレット積込プラン作成工程と、
前記パレット積込プラン作成工程で作成した積載パレットをトラックの荷台に積み込むプランを作成するトラック積込プラン作成工程と、を備え、
前記荷物情報取得工程は、少なくとも荷物のサイズ情報、荷物の回転の許可情報、出荷場所の情報を取得し、
前記パレット積込プラン作成工程は、
前記荷物情報取得工程で取得した情報に基づいて各パレットに荷物を積む込むプランを作成し、
前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類し、
前記トラック積込プラン作成工程は、
前記積載パレットのパレットサイズの種類およびパレット数に応じて、前記トラックの荷台に設置可能な積載パレットのポジションパターンを予め設定し、
前記パレット積込プラン作成工程で作成された各パレットサイズの積載パレットを積載できる前記ポジションパターンの中で、前記トラックの荷台の空間に対する前記積載パレットが占める空間の割合である積載率が最大となるポジションパターンを抽出し、
ラックの荷台に積み込む前記積載パレットのポジションパターンを設定する
ことを特徴とする荷積みプラン作成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の荷積みプラン作成方法において、
前記パレット積込プラン作成工程は、
前記荷物のサイズ情報および出荷場所の情報に基づき、出荷場所が同じ荷物を、予め定義したサイズグループ単位に分類し、
前記パレットに対し、前記サイズグループ毎の荷物を、前記荷物毎に回転が許可された回転軸の範囲で回転させながら組み合わせを試行し、前記パレットの空間を最大限充足する組み合わせを求める最適解算出処理を実行し、
前記組み合わせの試行過程で前記パレットに積み込むことができない荷物が発生した場合は、次の空パレットを生成し、前記最適解算出処理を繰り返して実行し、
満載とならなかったパレットの荷物は、予め設定したシナリオに沿って他の荷物と組み合わせてパレットへの積み込みを継続し、
前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類する
ことを特徴とする荷積みプラン作成方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の荷積みプラン作成方法において、
前記トラック積込プラン作成工程は、
未積み込みの積載パレットがある場合に、次のトラックを選択して、前記ポジションパターンを抽出する処理を継続し、
トラック毎に前記積載パレットのポジションパターンを設定する
ことを特徴とする荷積みプラン作成方法。
【請求項9】
コンピューターを請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の荷積みプラン作成システムとして機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷積みプラン作成システム、荷積みプラン作成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場で生産された商品(荷物)を運送する場合の物流コストを低減するために、トラックの荷室、コンテナ、パレットなどの荷物を積載する立方体又は直方体形状の主空間に、立方体又は直方体形状の複数の荷物を効率的に積載する荷積みプラン作成方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-297146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記荷積みプラン作成方法は、トラックの荷室、コンテナ、パレットに設定される主空間内に納まるサイズの荷物の積載方法であり、適用できる荷物の種類に制約があった。例えば、工場生産された建材製品を運送する場合に、パレットからはみ出してしまう長尺部材をパレットに積み込む必要がある。このような長尺部材が含まれる荷物をパレットに積み込む場合、特許文献1の荷積みプラン作成方法を利用できないという課題がある。
さらに、荷物が積載されたパレットを、トラックの荷台に積み込んで運送する場合、パレット内に荷物が納まっていれば各パレットを順次トラックの荷台に積み込むだけでよい。しかしながら、特許文献1の荷積みプランでは、パレットからはみ出した長尺部材が積載されたパレットを、トラックの荷台に最大限積み込む場面では利用できないという課題もある。
【0005】
本発明の目的は、パレットからはみ出す長尺部材が荷物に含まれている場合でも、パレットへの荷積みプランを作成でき、さらに、これらのパレットをトラックに積み込むプランも作成できる荷積みプラン作成システム、荷積みプラン作成方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の荷積みプラン作成システムは、荷積み対象の荷物の情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷物情報取得部で情報を取得した荷物をパレットに積み込むプランを作成するパレット積込プラン作成部と、前記パレット積込プラン作成部で作成した積載パレットをトラックの荷台に積み込むプランを作成するトラック積込プラン作成部と、を備え、前記荷物情報取得部は、少なくとも荷物のサイズ情報、荷物の回転の許可情報、出荷場所の情報を取得し、前記パレット積込プラン作成部は、前記荷物情報取得部で取得した情報に基づいて各パレットに荷物を積む込むプランを作成し、前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類し、前記トラック積込プラン作成部は、前記積載パレットのパレットサイズの種類およびパレット数に応じて、前記トラックの荷台に設置可能な積載パレットのポジションパターンを予め設定し、前記パレット積込プラン作成部で作成された各パレットサイズの積載パレットを積載できる前記ポジションパターンの中で、前記トラックの荷台の空間に対する前記積載パレットが占める空間の割合である積載率が最大となるポジションパターンを抽出し、トラックの荷台に積み込む前記積載パレットのポジションパターンを設定することを特徴とする。
【0007】
本発明の荷積みプラン作成方法は、荷積み対象の荷物の情報を取得する荷物情報取得工程と、前記荷物情報取得工程で情報を取得した荷物をパレットに積み込むプランを作成するパレット積込プラン作成工程と、前記パレット積込プラン作成工程で作成した積載パレットをトラックの荷台に積み込むプランを作成するトラック積込プラン作成工程と、を備え、
前記荷物情報取得工程は、少なくとも荷物のサイズ情報、荷物の回転の許可情報、出荷場所の情報を取得し、前記パレット積込プラン作成工程は、前記荷物情報取得工程で取得した情報に基づいて各パレットに荷物を積む込むプランを作成し、前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類し、前記トラック積込プラン作成工程は、前記積載パレットのパレットサイズの種類およびパレット数に応じて、前記トラックの荷台に設置可能な積載パレットのポジションパターンを予め設定し、前記パレット積込プラン作成工程で作成された各パレットサイズの積載パレットを積載できる前記ポジションパターンの中で、前記トラックの荷台の空間に対する前記積載パレットが占める空間の割合である積載率が最大となるポジションパターンを抽出し、トラックの荷台に積み込む前記積載パレットのポジションパターンを設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パレットからはみ出す長尺部材が荷物に含まれている場合でも、パレットへの荷積みプランを作成でき、さらに、これらのパレットをトラックに積み込むプランも作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態における荷積みプラン作成システムを示すブロック図。
図2】本発明の実施形態における荷積みプラン作成方法を示すフローチャート。
図3】本実施形態の荷物の一例の種類および回転許可の情報を示す図。
図4】本実施形態のシナリオの一例を示す図。
図5】パレット積込プラン作成方法を示すフローチャート。
図6】パレット積込プラン作成部で作成される積載パレットの種類を示す説明図。
図7】荷物を積み込んだパレットを示す斜視図。
図8】パレットへの荷物の積み込み方法を説明する説明図。
図9】パレットに積み込んだ荷物と、積込禁止領域とを説明する説明図。
図10】トラック積込プラン作成方法を示すフローチャート。
図11】トラック積込プラン出力部から出力されるトラック積込プランの一例を示す図。
図12】トラック積込プラン作成部に予め設定されるポジションパターンの一例を示す図。
図13】トラック積込プラン作成部に予め設定されるポジションパターンの一例を示す図。
図14】パレット積載指示リスト出力部から出力されるパレット積載指示リストの一例を示す図。
図15】パレット積込内容出力部から出力されるパレット積込内容の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の荷積みプラン作成システム1は、工場で生産された製品を出荷する際の荷積みプランを作成するために用いられるシステムである。このシステムは、ディスプレイなどの表示装置、キーボードやマウスなどの入力装置、ハードディスクなどの記憶装置、CPU等の演算装置、プリンターなどの出力装置を備えるシステムで構成され、具体的にはノートパソコンおよびプリンターで構成される。したがって、本発明の荷積みプラン作成方法は、これを実行するコンピュータープログラムをインストールしたコンピューターで実施される。
【0011】
荷積みプラン作成システム1は、図1に示すように、荷物情報取得部2と、シミュレーター実行部3と、プラン出力部4とを備える。
荷物情報取得部2は、出荷予定取得部21と、荷物データ取得部22とを備える。
シミュレーター実行部3は、シナリオ設定部31と、パレット積込プラン作成部32と、トラック積込プラン作成部33とを備える。
プラン出力部4は、パレット積載指示リスト出力部41と、パレット積込内容出力部42と、トラック積込プラン出力部43とを備える。
【0012】
以下、荷積みプラン作成システム1の各構成の機能について、図2のフローチャートを用いて説明する。
出荷予定取得部21は、オペレーター(配車担当者)がキーボードやマウスによって指定した出荷日および対象ルートの入力を受け取ると(S1)、外部の出荷予定システム11から、入力された出荷日および対象ルートに該当する荷物の情報を取得する(S2)。対象ルートは、出荷場所と、配送場所とが組み合われた輸送ルートを特定するものであり、予め設定されたルート一覧から選択して入力する。
荷物データ取得部22は、出荷予定取得部21が読み込んだ荷物の外形寸法情報や回転許可情報等の荷物データを、外部の荷物情報データベース12から取得する(S3)。図3は、荷物情報データベース12に記録された荷物の外形寸法情報と回転許可情報の一例である。なお、出荷用の荷物は、段ボール箱に収納されて包装されるため、荷物の外形寸法は、製品を包装した段ボール箱の外形寸法で設定される。このため、荷物情報データベース12には、例えば、長尺、板状、KD箱(ノックダウン箱)等の荷物の形状パターンと、荷物の外形寸法、具体的には、長さ寸法L、幅寸法W、高さ寸法Hと、回転の許可(OK)、不許可(NG)とが記憶される。回転がNGの荷物は、積載可能な向きで設定されている。例えば、板状の荷物は、平積厳禁とされている。
なお、荷物情報データベース12は、包装された状態の荷物の外形寸法を直接記憶してもよいし、製品の寸法と、製品を包装する段ボールの厚さ寸法と、製品別の包装ふかし寸法、すなわち製品と段ボール箱との隙間寸法とを記憶しておき、荷物データ取得部22がこれらの各寸法から、包装された荷物の外形寸法を取得してもよい。
また、荷物データ取得部22は、コンピューターのディスプレイに取得結果を出力してもよい。すなわち、取得した荷物の種類、生産ライン(製造工場)、梱包重量、外形寸法等の一覧を出力してオペレーターが確認できるようにしてもよい。オペレーターは、出力されたデータを確認してチェックし、外形寸法を修正したり、当日追加で出荷が予測される荷物のデータを追加することができる。
【0013】
シミュレーター実行部3のシナリオ設定部31は、各建屋(工場)に設けられた生産ラインで生産された製品をパレットに積み込む過程や、パレットをトラックに積み込む過程をシナリオとして事前に定義する(S4)。シナリオは、実際の作業フロー等に基づいて設定され、生産ライン、出荷建屋、集荷フロー、タイミングを反映したものである。
図4は、シナリオの一例であり、東北地方にある製造工場(以下、東北工場と言う)で製造した製品の荷物を、北陸DC(Distribution Center)を中継して四国DCに納入し、四国DCから顧客に納入する例である。顧客は、各種建材を用いて建物を施工する施工業者等である。
左側に並んでいるのは、東北工場の各建屋であり、アルミA棟はエクステリア製品を製造し、アルミB棟はウィンドウ製品を製造し、アルミC棟はエントランス製品を製造し、窓工場は樹脂窓を製造し、木質棟はインテリア製品を製造する。物流A棟、物流C棟は、他の工場などから運ばれた製品等が保管される場所である。
N、N+1、N+2、N+3、N+4は、受注を締め切った受注締切日(N)からの経過日数を示す。N+1は、受注締切日の1日後(翌日)であり、N+2~N+4は、それぞれ受注締切日の2日後~4日後である。
図4のシナリオでは、アルミA棟、アルミB棟、アルミC棟、窓工場、木質棟では、製品を受注生産しており、受注締切日には生産の手配を行い、翌日(N+1)には生産ラインで受注した製品を生産し、包装した荷物をサイズや出荷先毎に仕分けする。受注締切日の2日後(N+2)では、仕分けされた荷物をパレットに積み込むパレタイズ作業を行い、集荷場(アルミB棟)に各パレットを集める集荷を行う。
また、物流A棟に保管されている製品の標準出荷では、受注締切日に受注した製品(荷物)を、翌日(N+1)に保管倉庫からピッキングし、パレットに積み込むパレタイズ作業を行い、N+2に集荷場に集荷する。
さらに、受注締切日の2日後(N+2)は、受注後、即時に出荷する即納出荷の受注締切日となっており、即納出荷を受注した場合は、物流A棟、C棟において対象の製品(荷物)をピッキングし、物流C棟でピッキングした荷物は、集荷場に集められたパレットに積み込む積み合わせ作業を行う。
集荷場(アルミB棟)では、トラックの荷台にパレットを積込み、さらに、物流A棟において即納出荷の荷物を、トラックに積み合わせ、東北工場から出荷する。トラックは、受注締切日の3日後(N+3)に北陸DCを中継して四国DCに到着して荷下ろしされ、受注締切日の4日後(N+4)に四国DCから顧客に納入される。
シナリオ設定部31では、このようなシナリオを複数設定しておき、出荷対象の荷物とルート(出荷場所から納入場所)とに応じてシナリオを選択するように構成されている。
このシナリオによって、パレット積込プラン作成部32およびトラック積込プラン作成部33では、各生産ラインで製造された製品をどの建屋でパレットに積み込むのか、そのパレットをどの出荷場でトラックに積み込むのかなどの作業フローに応じたプランが作成される。
【0014】
パレット積込プラン作成部32は、前記シナリオにしたがって、生産ラインで製造された製品の荷物をパレットに積み込むパレット積込プランを作成する(S5)。
パレット積込プラン作成部32による処理を、図5のフローチャートを参照して説明する。
パレット積込プラン作成部32は、以下の手順でプランを作成し、製品を包装した荷物を各パレットに積み込む際に積載体積が最大となるような積み込みプランを作成する。
(1)荷物を事前に定義したサイズグループ単位及び建屋毎に分類する(S51)。
(2)分類した荷物をパレットに積み付けるシミュレーションを行う(S52)。なお、本実施形態では、後述するようにBLD法を利用してシミュレーションを実行している。
(3)前記パレットが満載になったか否かを判定する(S53)。
(4)S53で満載になったと判定した場合(S53でYES)は、新たなパレットを生成し(S54)、S52の積み付けシミュレーションを実行する。
(5)S53で満載にならなかったと判定した場合(S53でNO)は、シナリオで事前に指定した方法で荷物の積み付けを継続する(S55)。
事前に指定した方法としては、例えば、(A)パレットへの荷物の積み付けを解除し、未積込荷物として、別のパレットに積み付けを行う方法や、(B)荷物がパレットに積載された状態を固定し、残りの空間に別の未積込荷物を積載する方法が採用される。
(6)未積載荷物が有るか否かを判定し(S56)、有る場合(S56でYES)はS52のシミュレーションを実行する。
(7)未積載荷物が無くなった場合(S56でNO)は、パレット積込プラン作成処理S5を終了する。
【0015】
パレット積込プラン作成部32は、以上の処理を行うことで、図6に示すように、10種類のパレットサイズに分類された積載パレットを作成する。パレットサイズは、荷物が積み込まれるパレット50から荷物がはみ出した外形をパターン化して定義したものである。
図7に示すように、パレット5は、デッキボード51と、支柱52と、側板53とを有する。図7のパレット5は、長さ寸法L1は2000mm、幅寸法W1は1015mm、デッキボード51の下面から支柱52の上端までの高さ寸法H1は1160mm、デッキボード51の下面から側板53の上端までの高さ寸法H2は1250mmである。
なお、側板53は、積み込む荷物の種類によっては、設けない場合もある。さらに、パレット5は、上下2段に積み上げることができ、図7のパレット5は、側板53の高さ寸法H2が支柱52の高さ寸法H1よりも大きいため、上段用のパレット50である。下段のパレット5の側板53は、その上端が支柱52よりも低くなるように設定される。
本実施形態では、パレット5の長さ方向には、荷物をはみ出して積み込み可能であり、この荷物のはみ出しの度合いによって、10種類のパレットサイズを設定している。すなわち、図6(A)~(J)に示すように、パレットサイズは、2.2m、2.5m、3m、3.5m、4m、4.5m、5m、5.5m、6m、6.5mの10パターンとしている。
したがって、各パレット5に積み込む荷物は、長さ寸法Lがほぼ揃ったものであることが好ましい。このため、パレット積込プラン作成部32は、S51において、生産ラインや建屋等の出荷場所が同じ、つまり同一のパレット50に積み込むことが可能な荷物を事前に定義したサイズグループ単位に分類する。この予め定義するサイズグループは、前記パレットサイズに合わせて定義してもよいし、より少ないグループ数で設定してもよい。例えば、外形寸法L(長さ寸法L)のサイズが0~3000mmの荷物グループと、外形寸法Lのサイズが3001mm以上の荷物グループと、外形寸法H(高さ寸法H)のサイズが1002mm以上の荷物グループとに分類してもよい。
【0016】
パレット積込プラン作成部32は、S52の積み付けシミュレーションとして、BL法を3次元に拡張したBLD(bottom left depth algorithm)法を建材用の荷物の積み込みように改良したものを利用している。
具体的には、図8に示すように、パレット5のデッキボード51を床面とし、支柱52や側板53の高さ寸法で設定される積込空間5Aに、荷物61を積み付ける。BLD法では、積載対象荷物に順番を設定し、その順に従って、なるべく下(bottom)、同じ高さであればできる限り左(left)、できるだけ手前(depth)に詰め込む。図8(A)において、矢印55側から積込空間5Aを見た場合、点71が左下であり手前の1点となり、積込空間5Aの積載候補点は、最初はこの点71のみである。図8(A)は、この積載候補点71に、1つ目の荷物61の角部を合わせて積載した状態を示す。
1つ目の荷物61を積載した状態では、図8(A)に示すように、次の荷物を積載する4箇所の積載候補点72~75がある。これらのうち、デッキボード51の領域に隣接するオーバーハング領域56にある2つの点74,75は通常のBLD法では積載候補点となるが、本実施形態では積載候補点にせず、パレット5の床面の範囲にある点72,73のみを積載候補点とする。すなわち、荷物61がパレット5の床面を超えてオーバーハング領域56への積み付けは許容するが、パレット5の床面の領域を超えるオーバーハング領域56には積載候補点を設定しない。
さらに、パレット積込プラン作成部32は、荷物61を積載する場合に、回転が許可されている荷物61の場合、回転が許可されている回転軸の範囲で回転させて組合せを試すことで、最適解を探す。また、建材の荷物61の形状は、その特徴から、図3に示すように、長尺、板状、KD箱(ノックダウン箱)など、数種類に分類できる。このため、種類別に積み上げた方が積載率は高くなる。ただし、パレット5の積込空間5Aの容量と荷物61の量に応じて、異なる種類を混載したほうが全体の積載率が高くなることが多い。このため、パレット積込プラン作成部32は、パレット5に積み込む対象の荷物61の荷量をみながら、混載の有無を判断して積み付ける。
さらに、パレット積込プラン作成部32は、パレット5を運ぶ際に安定するように、重量の大きい荷物61や、サイズが大きい荷物61から積み込み、荷物61の崩れが発生しないように、立方体または直方体形状の荷物61を決められた回転軸の範囲で回転させながら組合せを試行し、パレット5の積込空間5Aを最大限充足する解を求める。このような処理を行うことで、パレット積込プラン作成部32は、図8(B)に示すように、パレット5の積込空間5Aに荷物61を積み込むプランを試行することができる。
なお、図8(B)のように、荷物61がパレット5の床面の一方側のみにはみ出していると、パレット5の長さ方向の重量バランスが偏ってしまう。このため、パレット積込プラン作成部32は、図9に示すように、パレット5の床面(デッキボード51)からはみ出す荷物61の両端のはみ出し寸法が等しくなるように設定する。図9の斜線領域5B部分には、前述のとおり、積載候補点は設定されず、荷物61を配置することはできない。
【0017】
パレット積込プラン作成部32は、組み合わせ試行過程で、1つのパレット5の積込空間5Aに、未積込みの荷物61がこれ以上入らないと判断した場合は、S53において、そのパレット5は満載になったと判断し、S54で次の空パレット5を生成し、S52の積み付け処理を行う。
パレット積込プラン作成部32は、最終的に満載とならなかったパレット5は、S55において、シナリオ上の次の荷合わせのところに進み、前述のとおり、事前に指定した方法(A)または(B)に沿って積み付けを継続する。
【0018】
パレット積込プラン作成処理S5が終了すると、図2に示すように、トラック積込プラン作成部33によってトラック積込プラン作成処理S6が実行される。
トラック積込プラン作成部33は、図10に示すように、シナリオ設定部31で設定されたシナリオに基づく出荷場所と、パレット積込プラン作成部32で作成された積載パレット5のパレットサイズ毎の数とを取得する(S61)。
次に、トラック積込プラン作成部33は、S61で取得した積載パレット5のパレットサイズおよび数の条件(出荷する積載パレット5の条件)から、トラック荷台上での積載パレット5の組み合わせパターンを求める(S62)。この際、パレットサイズが10パターンあり、かつ、各パレットサイズの積載パレット5の数も関係するため、組み合わせパターンを計算によってシミュレーションして求めるのは時間が掛かる。このため、本実施形態のトラック積込プラン作成部33は、トラックの荷台に積載する積載パレットの組み合わせパターンを予め登録しており、S62では、予め登録された組み合わせパターンから、出荷する積載パレットの条件(パレットサイズ毎の積載パレット数)に基づいて、該当する組み合わせパターンを抽出し、複数の組み合わせパターンが抽出された場合は、積載率(荷台空間に対する積載パレットが占める空間の割合)が最大の組み合わせを抽出する。
このため、トラック積込プラン作成部33は、図11に示すように、トラック80の荷台81上での各積載パレット5の組み合わせパターンを図示略の記憶装置などに予め登録している。例えば、図11に示すパターンは、2.2mの積載パレット5が7個、3mの積載パレット5が2個、4mの積載パレット5が2個、6.5mの積載パレット5が1個の場合である。また、図12に示すパターンは、2.2mの積載パレット5が20個の場合であり、図13に示すパターンは、2.2mの積載パレットが6個、3mの積載パレットが4個、6mの積載パレットが2個の場合である。
次に、トラック積込プラン作成部33は、未積込みの積載パレット5が有るか否かを判定する(S63)。つまり1台目のトラック80に積み込むことができなかった積載パレット5がある場合は、S63でYESと判定し、次の空のトラック80を設定する(S64)。なお、次のトラック80を設定する場合、手配可能なトラックの情報と、残っている積載パレット5の数などに基づいて、トラック80のサイズ(積載量や荷台寸法)を設定すればよい。
S64でトラック80を設定した後、トラック積込プラン作成部33は、S62、S63の処理を繰り返して行う。そして、最終的に未積込の積載パレット5が無くなり、S63でNOと判定した場合は、トラック積込プラン作成部33は、トラック積込プラン作成処理S6の処理を終了する。
【0019】
トラック積込プラン作成処理S6が終了すると、図2に示すように、プラン出力部4のパレット積載指示リスト出力部41は、パレット積載指示リストをディスプレイやプリンターによって出力する(S7)。
図14に示すように、パレット積載指示リスト91は、各パレット50への荷物61の積載情報をリスト表示したものである。パレット積載指示リスト91は、集約出荷場、パレット長、パレット高さの各キー順で昇順に並べたものである。また、パレット積載指示リスト91、直行パレットであるか否かで、行の塗り分けを行っている。直行パレットは、建屋単体で順次積載したときに、パレット5への積付がそれ以上できなくなり、次のパレット5が生成された状態であり、例えばリスト部分を黄色に着色している。一方、他の建屋の荷物との積み合わせが必要なパレット5は、例えばリスト部分を白色としている。
【0020】
次に、プラン出力部4のパレット積込内容出力部42は、パレット積込内容をディスプレイやプリンターによって出力する(S8)。図15に示すように、パレット積込内容92は、パレット5内における荷物61の積み込み状態を示すものであり、パレット5を特定するコンテナナンバー(図15ではContainer 4)と、パレット5の間口面積に対する製品の占める面積の割合を示す断面積載率(図15では93.17%)と、集約集荷場(図15では出荷場1-1.アルミA棟)と、製品発生建屋(図15では建屋-1.アルミA棟)と、パレット5の内寸法(図15ではY=888mm)と、パレット5からはみ出した部分を含む積載パレット5の長さ(図15ではX=2200mm)と、荷物の積み込み状態を示す図とが表示されている。
【0021】
次に、プラン出力部4のトラック積込プラン出力部43は、トラック積込プランをディスプレイやプリンターによって出力する(S9)。トラック積込プランは、図11に示すようなトラック80の荷台81上に積載パレット5を積み込んだ状態を表示したものである。なお、荷台81上の各積載パレット5の部分には、パレット番号、パレット側面積載率、パレット空間長さ(L寸法)等を表示してもよい。
【0022】
パレット5に荷物61を積み込む作業者は、パレット積載指示リスト91やパレット積込内容92に基づいて作業する。パレット5を工場内で集荷場に運搬する作業者は、パレット積載指示リスト91に基づいてパレット50の運搬作業を行う。積載パレット5をトラック80の荷台81に積み込む作業者は、図11に示すようなトラック積込プランに基づいて積載パレット5をトラック80に積み込む。
【0023】
このような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
荷積みプラン作成システム1は、荷物情報取得部2、シミュレーター実行部3、プラン出力部4を備え、シミュレーター実行部3は、シナリオ設定部31、パレット積込プラン作成部32、トラック積込プラン作成部33を備えているので、パレット5からはみ出す長尺部材や、荷積み方向に制約がある部材が荷物61に含まれている場合でも、パレット5への荷積みプランを作成でき、さらに、これらの荷物61が積まれた積載パレット5をトラック80に積み込む荷積みプランも作成できる。
荷物情報取得部2は、荷物のサイズ情報、出荷場所の情報に加えて回転許可情報を取得しているので、パレット積込プラン作成部32は、平積み禁止の荷物なども適切な向きで積み込むことができ、パレット5に積み込むプランとして、各荷物61の制約を考慮した最適なプランを作成できる。
シミュレーター実行部3は、シナリオ設定部31を備えるので、実作業のフローに沿ったプランを作成でき、作業効率化を図ることができる。
パレット積込プラン作成部32は、パレット5に積み込む荷物61を、出荷場所およびサイズグループ単位に分類したので、荷物61をパレット5に積み込むプランを実作業フローに沿って作成できる。さらに、荷物61をサイズグループ単位に分類したので、パレット5の長さ方向に沿った荷物61の長さをある程度揃えることができ、トラック80の荷台に積み込む際の積載率を向上できる。また、パレット5からはみ出す長尺部材も積み込むプランを作成できるため、特に長尺な部材が多い建材製品の荷物61の輸送に適したプランを作成できる。
トラック積込プラン作成部33は、予めパレットサイズの種類およびパレット数に応じた積載パレット5のポジションパターンを設定しているので、短時間で適切なポジションパターンを抽出でき、プラン作成時間も短縮できる。このため、荷物61を輸送する際にトラック80の積載効率を向上でき、トラック80の台数も少なくでき、トラック80の手配台数を検討する時間も削減できる。
【0024】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、パレット積込プラン作成部32は、BLD法を利用してパレット5への荷物61の最適な積み込みを試行していたが、他の方法を用いてもよい。
プラン出力部4で出力される情報は、前記実施形態のものに限定されない。例えば、パレット5への荷物61の積み込みや、トラック80への積載パレット5の積み込みを、ロボットなどを用いて自動化した場合には、ロボット制御データとして出力してもよい。
【0025】
(まとめ)
荷積みプラン作成システムは、荷積み対象の荷物の情報を取得する荷物情報取得部と、前記荷物情報取得部で情報を取得した荷物をパレットに積み込むプランを作成するパレット積込プラン作成部と、前記パレット積込プラン作成部で作成した積載パレットをトラックの荷台に積み込むプランを作成するトラック積込プラン作成部と、を備え、前記荷物情報取得部は、少なくとも荷物のサイズ情報、荷物の回転の許可情報、出荷場所の情報を取得し、前記パレット積込プラン作成部は、前記荷物情報取得部で取得した情報に基づいて各パレットに荷物を積む込むプランを作成し、前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類し、前記トラック積込プラン作成部は、前記積載パレットのパレットサイズの種類およびパレット数に応じて、前記トラックの荷台に設置可能な積載パレットのポジションパターンを予め設定し、前記パレット積込プラン作成部で作成された各パレットサイズの積載パレットを積載できる前記ポジションパターンの中で、前記トラックの荷台の空間に対する前記積載パレットが占める空間の割合である積載率が最大となるポジションパターンを抽出し、トラックの荷台に積み込む前記積載パレットのポジションパターンを設定することを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、パレット積込プラン作成部は、荷物情報取得部で取得した荷物のサイズ情報、回転許可情報、出荷場所の情報に基づき、パレットの空間に荷物を積む込む際に、前記空間を最大限充足する組み合わせを算出できる。
この際、荷物の回転許可情報を用いて、回転が許可された荷物は許可された回転軸の範囲で回転させ、回転が許可されていない荷物は積載可能な向きで組み合わせを試行できるので、各荷物の制約を考慮した上で、最適な組み合わせを算出できる。
さらに、トラック積込プラン作成部は、予めパレットサイズの種類およびパレット数に応じて、トラックの荷台に設置可能な積載パレットのポジションパターンを設定しているので、パレット積込プラン作成部で作成された各パレットサイズの積載パレットを積載でき、積載率が最大となるポジションパターンを抽出できる。このため、各サイズの積載パレットの配置を試行しながら最適化する場合に比べて、短時間で適切なポジションパターンを抽出でき、プラン作成時間も短縮できる。このため、荷物を輸送する際にトラックの積載効率を向上でき、トラック台数も少なくでき、トラックの手配台数を検討する時間も削減できる。このため、製品の受注から出荷までの時間も短くでき、輸送費も低減できる。
【0027】
前記荷積みプラン作成システムにおいて、前記パレット積込プラン作成部は、前記荷物のサイズ情報および出荷場所の情報に基づき、出荷場所が同じ荷物を、予め定義したサイズグループ単位に分類し、前記パレットに対し、前記サイズグループ毎の荷物を、前記荷物毎に回転が許可された回転軸の範囲で回転させながら組み合わせを試行し、前記パレットの空間を最大限充足する組み合わせを求める最適解算出処理を実行し、前記組み合わせの試行過程で前記パレットに積み込むことができない荷物が発生した場合は、次の空パレットを生成し、前記最適解算出処理を繰り返して実行し、満載とならなかったパレットの荷物は、予め設定したシナリオに沿って他の荷物と組み合わせてパレットへの積み込みを継続し、前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類してもよい。
パレットに積み込む荷物を、出荷場所およびサイズグループ単位に分類したので、各出荷場所でパレットを満載にするプランを作成でき、実際に荷物をパレットに積み込む作業を効率的に行うことできる。さらに、荷物をサイズグループ単位に分類したので、特に、パレットの長さ方向に沿った荷物の長さをある程度揃えることができ、トラックの荷台に積み込む際の積載率を向上できる。すなわち、パレットに積み込んだ荷物の大半が長さ寸法2.2m以下であっても、1つの荷物のみが5mの長さの場合、この積載パレットをトラックの荷台に積み込む場合には、5mの長さのスペースが必要となり、積載率が低下する。これに対し、本発明では、荷物をサイズグループ単位に分類しているので、パレットに積載した荷物の長さ寸法をある程度揃えることも可能となり、トラックの積載率を向上できる。さらに、パレットからはみ出す長尺部材もパレットに積み込んで設定できるため、特に長尺な部材が多い建材製品の荷物の輸送に適した構成にできる。その上、満載とならなかったパレットの荷物は、予め設定したシナリオに沿って他の荷物と組み合わせてパレットに積み込むため、実際の積み込む作業に合わせて各荷物をパレットに積み込むことができ、作業効率化および積載率の向上を図ることができる。
【0028】
前記荷積みプラン作成システムにおいて、前記シナリオを設定するシナリオ設定部を備え、前記シナリオ作成部は、前記荷物が生産される生産ラインと、前記荷物が出荷される出荷場所と、出荷場所で満載とならなかったパレットの次の荷合わせを行う場所とを設定可能とされていてもよい。
このような構成によれば、荷物となる製品が生産される生産ラインや出荷場所、満載とならなかったパレットを、他の生産ラインで生産された荷物などと混載するための荷合わせ場所等をシナリオで指定できる。このため、実作業のフローに沿ったプランを作成でき、作業者が混乱することもなく、効率的に荷物のパレットへの積み込みや、積載パレットのトラックへの積み込みを行うことができる。
【0029】
前記荷積みプラン作成システムにおいて、前記パレット積込プラン作成部は、前記最適解算出処理において、前記荷物の端部を前記パレットの床面の領域からはみ出して配置することは許可し、前記荷物全体が前記パレットの床面の領域からはみ出して配置することは禁止してもよい。
このような構成によれば、荷物の一部は必ずパレットの床面領域に配置されるため、荷物がパレットからはみ出す寸法を小さくでき、重量バランスも向上できる。このため、トラックの荷台に積載した際に、各積載パレットを安定して積み込むことができる。
【0030】
前記荷積みプラン作成システムにおいて、前記トラック積込プラン作成部は、未積み込みの積載パレットがある場合に、次のトラックを選択して、前記ポジションパターンを抽出する処理を継続し、トラック毎に前記積載パレットのポジションパターンを設定してもよい。
このような構成によれば、1台のトラックではすべての荷物を積み込むことができない場合に、2台以上のトラックに対して積載率を向上できる積載パレットのポジションパターンで積載パレットを積む込むプランを作成できる。このため、複数台のトラックが必要な場合も、各トラック毎に効率的に積載パレットを積み込むことができる。
【0031】
荷積みプラン作成方法は、荷積み対象の荷物の情報を取得する荷物情報取得工程と、前記荷物情報取得工程で情報を取得した荷物をパレットに積み込むプランを作成するパレット積込プラン作成工程と、前記パレット積込プラン作成工程で作成した積載パレットをトラックの荷台に積み込むプランを作成するトラック積込プラン作成工程と、を備え、前記荷物情報取得工程は、少なくとも荷物のサイズ情報、荷物の回転の許可情報、出荷場所の情報を取得し、前記パレット積込プラン作成工程は、前記荷物情報取得工程で取得した情報に基づいて各パレットに荷物を積む込むプランを作成し、前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類し、前記トラック積込プラン作成工程は、前記積載パレットのパレットサイズの種類およびパレット数に応じて、前記トラックの荷台に設置可能な積載パレットのポジションパターンを予め設定し、前記パレット積込プラン作成工程で作成された各パレットサイズの積載パレットを積載できる前記ポジションパターンの中で、前記トラックの荷台の空間に対する前記積載パレットが占める空間の割合である積載率が最大となるポジションパターンを抽出し、トラックの荷台に積み込む前記積載パレットのポジションパターンを設定することを特徴とする。
前記荷積みプラン作成方法において、前記パレット積込プラン作成工程は、前記荷物のサイズ情報および出荷場所の情報に基づき、出荷場所が同じ荷物を、予め定義したサイズグループ単位に分類し、前記パレットに対し、前記サイズグループ毎の荷物を、前記荷物毎に回転が許可された回転軸の範囲で回転させながら組み合わせを試行し、前記パレットの空間を最大限充足する組み合わせを求める最適解算出処理を実行し、前記組み合わせの試行過程で前記パレットに積み込むことができない荷物が発生した場合は、次の空パレットを生成し、前記最適解算出処理を繰り返して実行し、満載とならなかったパレットの荷物は、予め設定したシナリオに沿って他の荷物と組み合わせてパレットへの積み込みを継続し、前記荷物を積み込んだパレットを、積み込まれた荷物の最大長さ寸法に基づいて、予め設定された複数のパレットサイズの積載パレットとして分類してもよい。
前記荷積みプラン作成方法において、前記トラック積込プラン作成工程は、未積み込みの積載パレットがある場合に、次のトラックを選択して、前記ポジションパターンを抽出する処理を継続し、トラック毎に前記積載パレットのポジションパターンを設定してもよい。
【0032】
本発明のプログラムは、コンピューターを前記荷積みプラン作成システムとして機能させることを特徴とする。
これらの荷積みプラン作成方法およびプログラムによっても、前記荷積みプラン作成システムと同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…荷積みプラン作成システム、2…荷物情報取得部、3…シミュレーター実行部、4…プラン出力部、5…積載パレット、50…パレット、A…積込空間、11…出荷予定システム、12…荷物情報データベース、21…出荷予定取得部、22…荷物データ取得部、31…シナリオ設定部、32…パレット積込プラン作成部、33…トラック積込プラン作成部、41…パレット積載指示リスト出力部、42…パレット積込内容出力部、43…トラック積込プラン出力部、61…荷物、80…トラック、81…荷台、91…パレット積載指示リスト、92…パレット積込内容。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
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