IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三栄水栓製作所の特許一覧

<>
  • 特許-給水装置 図1
  • 特許-給水装置 図2
  • 特許-給水装置 図3
  • 特許-給水装置 図4
  • 特許-給水装置 図5a
  • 特許-給水装置 図5b
  • 特許-給水装置 図6
  • 特許-給水装置 図7
  • 特許-給水装置 図8
  • 特許-給水装置 図9
  • 特許-給水装置 図10
  • 特許-給水装置 図11
  • 特許-給水装置 図12
  • 特許-給水装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220729BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220729BHJP
   E03C 1/05 20060101ALI20220729BHJP
   H03K 17/955 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/044 Z
E03C1/05
H03K17/955 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018168413
(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公開番号】P2020042465
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 栄吾
(72)【発明者】
【氏名】山本 大助
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0170570(US,A1)
【文献】特開2014-031932(JP,A)
【文献】特開2004-360186(JP,A)
【文献】特開2007-208682(JP,A)
【文献】特開2012-098828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
E03C 1/05
H03K 17/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水装置であって、
導電性の材料により形成され、使用者の接触による静電容量の変化を検出するための静電検出領域と、
設置状態における前記静電検出領域を含めた静電容量を記憶し、前記記憶した静電容量に基づいて所定閾値を設定する閾値設定部と、
前記静電容量の変化を反映した検出信号を出力する静電検出部と、
前記出力された検出信号に基づいて使用者のタッチ操作の有無を判定する操作判定部と、
を備え、
前記操作判定部は、
前記検出信号が所定継続時間以上継続して前記所定閾値以上であるか否かで前記使用者の接触を判定する接触判定部と、
前記接触判定部において接触判定と判定された後に、前記検出信号が前記所定閾値以下であるか否かで前記使用者の離反を判定する離反判定部と、
を有し、
前記操作判定部は、接触判定から離反判定までの時間が所定時間以下であるか否かを判定し、前記所定時間以下の場合にタッチ操作と判定し、前記所定時間より大きい場合にその他操作と判定する、タッチ操作検出装置と、
吐水流路を開閉する電磁弁と、
前記吐水流路が配置されるスパウト部と、前記スパウト部に着脱自在に支持され、前記吐水流路を介して供給された水を吐出する吐水部と、を有する水栓装置と、
前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記静電検出領域は、前記スパウト部の外表面のみに配置されることを特徴とする、給水装置
【請求項2】
給水装置であって、
導電性の材料により形成され、使用者の接触による静電容量の変化を検出するための静電検出領域であって、前記静電検出領域は、絶縁部により複数のサブ検出領域に分割して構成されており、前記複数のサブ検出領域のうち、前記絶縁部を介して隣り合うサブ検出領域によって容量結合される、静電検出領域と、
設置状態における前記複数のサブ検出領域によって容量結合された静電容量を含めた静電容量を全体の静電容量として記憶し、そして、前記使用者が前記複数のサブ検出領域のそれぞれに接触した際の変化したそれぞれの静電容量をそれぞれの静電検出領域の静電容量として記憶して、前記記憶した全体の静電容量とそれぞれの静電検出領域の静電容量とに基づいて、それぞれの静電検出領域の所定閾値を設定する閾値設定部と、
前記静電容量の変化を反映した検出信号を出力する静電検出部と、
前記出力された検出信号に基づいて使用者のタッチ操作の有無を判定する操作判定部と、
を備え、
前記操作判定部は、
前記検出信号が所定継続時間以上継続して前記それぞれの静電検出領域の所定閾値以上であるか否かで前記使用者の接触を判定する接触判定部と、
前記接触判定部において接触判定と判定された後に、前記検出信号が前記それぞれの静電検出領域の所定閾値以下であるか否かで前記使用者の離反を判定する離反判定部と、
を有し、
前記操作判定部は、接触判定から離反判定までの時間が所定時間以下であるか否かを判定し、前記所定時間以下の場合にタッチ操作と判定し、前記所定時間より大きい場合にその他操作と判定する、タッチ操作検出装置と、
吐水流路を開閉する電磁弁と、
前記吐水流路が配置されるスパウト部と、前記スパウト部に着脱自在に支持され、前記吐水流路を介して供給された水を吐出する吐水部と、を有する水栓装置と、
前記操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記複数のサブ検出領域により構成される静電検出領域は、前記スパウト部の外表面のみに配置されることを特徴とする、給水装置
【請求項3】
前記閾値設定部は、
初期設定として、設置状態における前記静電検出領域を含めた静電容量を第1の静電容量として記憶し、そして、使用者が前記静電検出領域に接触した際の変化した静電容量を第2の静電容量として記憶し、前記第1の静電容量と前記第2の静電容量との範囲内で前記所定閾値が設定されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記閾値設定部において、前記所定閾値は複数の閾値に設定され、前記複数の閾値の間で切り替えるための切替部を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作検出装置およびそれを用いた給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、センサによって人の操作を検出して自動的に吐水や止水を行う水栓装置を用いた給水装置が広く用いられている。
【0003】
このような水栓装置において用いられるセンサとして、たとえば、静電容量式センサが用いられる。この静電容量式センサは、水栓装置に検出電極を設置し、この電極と大地との間の静電容量を検出する回路により、使用者が検出電極に指で触れたとき、又は接近したときの大地間静電容量の変化を検出することで、指先のタッチ操作を判定する。たとえば、このような水栓装置では、水栓装置の検出電極に触れると吐水し、再度触れると止水する制御が行われる。
【0004】
吐水/止水の切替の操作に静電容量式センサを水栓装置に用いた場合、人体以外のたとえば水滴などが検出電極に付着すると、センサに誤動作が生ずるおそれがある。
【0005】
そこで、このような静電容量式センサに対する誤動作を防止するために、たとえば、特許文献1に記載されるような静電容量式操作スイッチが提案されている。特許文献1に記載される静電容量式操作スイッチは、回動操作部の回動に応じて、回動電極と検出電極との対向面積が変化し、シールド電極にシールド電位を印加しているときは、回動操作部への使用者の接触を検出可能であり、シールド電極に接地電位を印加しているときは、回動操作部の回動を検出可能とすることで、回動電極と検出電極との対向面積変化により、操作部の回動操作とタッチ操作を検出することができる水栓装置である。
【0006】
また、静電容量式センサに対する誤動作、すなわち、検出電極に対するタッチ操作が人によるものか、水などによるものかを判断することができるものとして、特許文献2に記載されるタッチスイッチ検出装置およびそれを用いた給水装置が提案されている。特許文献2に記載されるタッチスイッチ検出装置は、使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極と、静電容量の変化を反映した検出出力を出力する検出部と、検出出力に基づいて使用者の操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、操作判定部は、検出出力が所定時間以上継続して所定閾値以上であるか否かで使用者の接触を判定する接触判定部と、前記検出出力の変化率が所定離反値以上であるか否かで使用者の離反を判定する離反判定部と、を有し、操作判定部は、継続時間の長さに応じて操作判断値を設定し、検出出力の変化率が前記操作判断値以上であるか否かで前記使用者の操作の有無を判定することを特徴とするタッチスイッチ検出装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-218785号公報
【文献】特許第5158492号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の静電容量式操作スイッチでは、回動電極を設けるための空間が必要となるため、水栓装置自体の機構が複雑となり、静電容量式操作スイッチが設けられた水栓装置自体が大きくなるといった課題を有する。
【0009】
また、特許文献2に記載のタッチスイッチ検出装置では、その使用者の接触による静電容量の変化を検出するタッチ検出電極により検出される出力値は、水栓装置が設置されるステンレスシンクや人工大理石シンクなど、設置環境の影響を受けることにより、各々の設置環境で異なる。そのため、固定された閾値であると、設置環境が変わると判定が異なってしまう場合がある。
さらに、使用者の違いにより、静電容量の変化が異なるため、固定された閾値であると、各々の使用者で判定が異なる場合がある。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、水栓装置の設置環境の影響を考慮したうえで、静電容量の検出に基づく水栓装置の操作について、使用者の操作に基づく接触か、その他の操作による接触かを的確に判断しうるタッチ操作検出装置およびそれを用いた給水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明にかかるタッチ操作検出装置は、導電性の材料により形成され、使用者の接触による静電容量の変化を検出するための静電検出領域と、設置状態における静電検出領域を含めた静電容量を記憶し、記憶した静電容量に基づいて所定閾値を設定する閾値設定部と、静電容量の変化を反映した検出信号を出力する静電検出部と、出力された検出信号に基づいて使用者のタッチ操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、操作判定部が、検出信号が所定継続時間以上継続して所定閾値以上であるか否かで使用者の接触を判定する接触判定部と、接触判定部において接触判定と判定された後に、検出信号が所定閾値以下であるか否かで使用者の離反を判定する離反判定部と、を有し、操作判定部が、接触判定から離反判定までの時間が所定時間以下であるか否かを判定し、所定時間以下の場合にタッチ操作と判定し、所定時間より大きい場合にその他操作と判定することを特徴とする、タッチ操作検出装置である。
また、この発明にかかるタッチ操作検出装置は、導電性の材料により形成され、使用者の接触による静電容量の変化を検出するための静電検出領域であって、静電検出領域が、絶縁部により複数のサブ検出領域に分割して構成されており、複数のサブ検出領域のうち、絶縁部を介して隣り合うサブ検出領域によって容量結合される、静電検出領域と、設置状態における複数のサブ検出領域によって容量結合された静電容量を含めた静電容量を全体の静電容量として記憶し、そして、使用者が複数のサブ検出領域のそれぞれに接触した際の変化したそれぞれの静電容量をそれぞれの静電検出領域の静電容量として記憶して、記憶した全体の静電容量とそれぞれの静電検出領域の静電容量とに基づいて、それぞれの静電検出領域の所定閾値を設定する閾値設定部と、静電容量の変化を反映した検出信号を出力する静電検出部と、出力された検出信号に基づいて使用者のタッチ操作の有無を判定する操作判定部と、を備え、操作判定部が、検出信号が所定継続時間以上継続してそれぞれの静電検出領域の所定閾値以上であるか否かで使用者の接触を判定する接触判定部と、接触判定部において接触判定と判定された後に、検出信号がそれぞれの静電検出領域の所定閾値以下であるか否かで使用者の離反を判定する離反判定部と、を有し、操作判定部が、接触判定から離反判定までの時間が所定時間以下であるか否かを判定し、所定時間以下の場合にタッチ操作と判定し、所定時間より大きい場合にその他操作と判定することを特徴とする、タッチ操作検出装置である。
この発明にかかるタッチ操作検出装置は、閾値設定部が、初期設定として、設置状態における静電検出領域を含めた静電容量を第1の静電容量として記憶し、そして、使用者が静電検出領域に接触した際の変化した静電容量を第2の静電容量として記憶し、第1の静電容量と第2の静電容量との範囲内で所定閾値が設定されることが好ましい。
また、この発明にかかるタッチ操作検出装置は、閾値設定部において、所定閾値が複数の閾値に設定され、複数の閾値の間で切り替えるための切替部を備えることが好ましい。
この発明にかかる給水装置は、本発明にかかるタッチ操作検出装置と、吐水流路を開閉する電磁弁と、吐水流路を介して供給された水を吐出する吐水口を有する水栓装置と、操作判定部の判定に基づいて、電磁弁の動作を制御する制御部と、を備え、静電検出領域が、水栓装置の外表面に配置されることを特徴とする給水装置である。
【0012】
この発明にかかるタッチ操作検出装置によれば、設置状態における静電検出領域を含めた静電容量を記憶し、記憶した静電容量に基づいて所定閾値を設定する閾値設定部を備えるので、所定閾値の設定に際して、設置環境の影響による誤検知を抑制することができる。
また、この発明にかかるタッチ操作検出装置によれば、操作判定部が、検出信号が所定継続時間以上継続して所定閾値以上であるか否かで使用者の接触を判定する接触判定部と、接触判定部において接触判定と判定された後に、検出信号が所定閾値以下であるか否かで使用者の離反を判定する離反判定部と、を有し、操作判定部が、接触判定から離反判定までの時間が所定時間以下であるか否かを判定し、所定時間以下の場合にタッチ操作と判定し、所定時間より大きい場合にその他操作と判定するので、誤動作を防ぐことができる。
さらに、この発明にかかるタッチ操作検出装置によれば、初期設定として、設置状態における静電検出領域を含めた静電容量を第1の静電容量として記憶し、そして、使用者が静電検出領域に接触した際の変化した静電容量を第2の静電容量として記憶し、第1の静電容量と第2の静電容量との範囲内で所定閾値を設定する機能を有すると、使用者に応じて、所定閾値の設定をより精度よく設定することができる。
また、さらに、この発明にかかるタッチ操作検出装置によれば、閾値設定部において、所定閾値は複数の閾値に設定され、複数の閾値の間で切り替えるための切替部を備えると、設置環境に応じて、より精度よく設定することがきる。
この発明にかかる給水装置によれば、本発明のタッチ操作検出装置と、吐水流路を開閉する電磁弁と、吐水流路を介して供給された水を吐出する吐水口を有する水栓装置と、操作判定部の判定に基づいて、前記電磁弁の動作を制御する制御部と、を備え、静電検出領域は、水栓装置の外表面に配置されるので、水栓装置に対する吐水操作による誤動作について回避しうる操作をすることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、水栓装置の設置環境の影響を考慮したうえで、静電容量の検出に基づく水栓装置の操作について、使用者の操作に基づく接触か、その他の操作による接触かを的確に判断しうるタッチ操作検出装置およびそれを用いた給水装置を提供することができる。
【0014】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の第1の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の設置状態の一例を示す外観斜視図である。
図2】(a)はこの発明の第1の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の正面図を示し、(b)はこの発明の第1の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の側面図を示す。
図3】この発明の第1の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の断面図を示す。
図4】この発明の第1の実施の形態にかかる給水装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5a】この発明の第1の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置を用いた給水装置の制御基板の構成の一例を示すブロック図である。
図5b図5aに示す操作判定部の構成の一例を示すブロック図である。
図6】この発明の第1の実施の形態にかかる閾値設定部の動作の一例を示すフローチャート図である。
図7】この発明の第1の実施の形態にかかる操作判定部の動作の一例を示すフローチャート図である。
図8】この発明の第1の実施の形態かかる接触判定部の動作の一例を示すフローチャート図である。
図9】この発明の第1の実施の形態にかかる離反判定部の動作の一例を示すフローチャート図である。
図10】この発明の第2の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の構成を示す模式図である。
図11】この発明の第2の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置を用いた給水装置の制御基板の構成の一例を示すブロック図である。
図12】この発明の第3の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の構成を示す模式図である。
図13】この発明の第3の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置を用いた給水装置の制御基板の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
1.第1の実施の形態
図1は、この発明の第1の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の設置状態の一例を示す外観斜視図である。図2(a)はこの発明の第1の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の正面図を示し、図2(b)はこの発明の第1の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の側面図を示す。図3は、この発明の第1の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の断面図を示す。図4、この発明の第1の実施の形態にかかる給水装置の構成の一例を示すブロック図である。この発明にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Aは、たとえば、台所のシンクの上面側やカウンターなどに設置される。
【0018】
なお、以下において、図1に示すように、給水装置100に用いられる水栓装置200Aが取り付けられる取付板Sからスパウト部226が延びる方向が前方向と定義し、その反対方向が後方向と定義する。また、水が吐出される方向を下方向と定義し、その反対方向を上方向と定義する。また、使用者が水栓装置200Aを正面から見て右側を右方向と定義し、左側を左方向と定義する。
【0019】
水栓装置200Aは、吐水部210と、吐水部210を着脱可能に配置するための水栓本体部220とを備える。
【0020】
吐水部210は、たとえば、シンク(図示せず)に対して離間して対向しており、そのシンクに向かって水を吐出する機能を有する。吐水部210は、スパウト部226に着脱自在に支持される。吐水部210は、その母材211が、たとえば合成樹脂により薄肉厚に形成される。吐水部210の外形は、側面視L字形状に形成される。吐水部210の先端には、吐水口212を備える。吐水部210の母材211は、たとえば、その外表面および内表面の全面に導電性の材料によりめっき処理がなされ、導電性めっき層が形成される。なお、吐水部210に形成された導電性めっき層は、後述する静電検出する機能は有しない。
【0021】
水栓本体部220は、湯水や温度を調整する弁ユニット330を内蔵した筒状部224と、筒状部224の一方端側に弁ユニット330を操作して湯水の流量や温度を調整する操作部222と、筒状部224の側面から外側上方に延びるスパウト部226と、筒状部224の他方端側に配置され、筒状部224を回動自在に支える台座部228とを備える。
【0022】
台座部228の下部には、管ねじ202が突設される。管ねじ202は、水栓装置200Aが取り付けられる取付板Sに設けられた取付孔に挿通されてナット204が螺着される。これにより、水栓装置200Aは、取付板S上に固定される。
【0023】
操作部222は、吐水口212から吐水される水の温度を調整し、さらに吐水口212から吐出される流量を調整するために設けられる。操作部222を操作することにより、後述する弁ユニット330により水と湯との混合される割合を手動で調整しうる。たとえば、操作部222を時計回りT1に回転するにしたがって高温となる湯となるように調整され、反時計回りT2に回転するにしたがって低温となる冷水となるように調整された水を吐出するように温度調整をすることができる。さらに、操作部222を上方に回動させることで止水から吐水への切り替え操作ができる。そして、操作部222を上方に回動させることで流量を増加させることができ、上方に回動させた位置に設定する程、湯水の流量を大きく設定することができる。一方、操作部222を最も下方の位置に回動させた場合は、吐水部210の吐水口212から吐出される湯水を止水状態に設定することができる。
【0024】
筒状部224は、円筒形状に形成されており、その母材が樹脂により形成される。また、筒状部224は、その外表面および内表面の全面に導電性を有する材料によりめっき処理がなされ、導電性めっき層が形成される。筒状部224の内部には、その上部側に弁ユニット330が配置され、また、弁ユニット330に接続される給水管310および給湯管320が配置され、さらに、弁ユニット330から混合された湯水を吐出するための送水管342が配置される。
【0025】
スパウト部226は、筒状部224の側面から外側上方に延びており、筒状部224と共に回動するように、一体に形成されている。また、スパウト部226は、吐水部210を着脱自在に支持するとともに、ホース344を吐水部210の移動に伴って引き出し・挿入を可能とした構成となっている。また、スパウト部226は、その母材227がたとえば合成樹脂により薄肉厚に形成される。スパウト部226の母材227の外表面の全面は、たとえば、導電性の材料によりめっき処理されることで、静電検出領域(導電性めっき層)230が配置される。そして、スパウト部226の母材227の内表面の全面にも、たとえば、導電性の材料によるめっき処理により導電性めっき層231が形成され、外表面に形成された静電検出領域230とは電気的に接続されるように形成される。
【0026】
また、図1および図2に示すように、水栓装置200Aのスパウト部226には絶縁部240が形成される。絶縁部240は、スパウト部226の一方端(先端)側において、吐出方向に所定の幅を設けて形成される。この幅の大きさは、吐水部210に配置されるめっき処理され、その外表面に形成された導電性めっき層とスパウト部226に配置される静電検出領域230とにより容量結合が生じないだけの幅が確保される。すなわち、絶縁部240は、吐水部210のめっき処理された表面とスパウト部226に配置される静電検出領域230とにより容量結合が生じないように設けられる。
したがって、吐水部210が、スパウト部226に嵌め込まれて、保持されている状態においては、図3に示すように、吐水部210のめっき処理された表面とスパウト部226に配置される静電検出領域230とは、電気的に接続されておらず、吐水部210のめっき処理された表面と静電検出領域230との間は、絶縁部240により隔てられており、容量結合されない。
【0027】
台座部228は、筒状部224の他方端側において配置され、取付板Sに水栓装置200Aを固定するとともに、筒状部224を回動可能にする機能を有する。台座部228の外面側における正面において、LED表示部228aが配置される。LED表示部228aは、水栓装置200Aから吐出される湯水の温度に応じて色が変化するように表示され、たとえば、10℃→20℃→30℃→40℃→50℃との温度変化に対して、青→シアン→緑→緑→黄→赤と色が変化するように表示される。
なお、LED表示部228aは、たとえば、吐水時(電磁弁350が弁開時)に点滅させたり、止水時(電磁弁350が弁閉時)に消灯させたり、タッチ操作時に吐水時とは異なる点滅をさせたり、待ち受け時に消灯させたりといったように表示方法や表示させる色を変化させるようにすることもできる。加えて、制御基板600Aに供給する電源(電池)の状態を監視することにより、その監視結果をLED表示部228aにより表示させることもできる。なお、めっき処理され静電検出領域となる筒状部224と取付板Sとは、絶縁材で形成された台座部228の隔たりにより、電気的に接続されないようにし、容量結合されないようにしてもよい。
【0028】
配管部300は、図4に示すように、給水装置100の配管網を構成する。
配管部300は、冷水を供給する給水管310と湯を供給する給湯管320とを含み、給水管310から供給される冷水と給湯管320から供給される湯との混合する割合を調整するとともに、流量を調整するための弁ユニット330を含む。弁ユニット330は、その一部が導電性を有する材料により形成されている。配管部300は、弁ユニット330から水栓装置200Aに対して適宜に温度の調整された水を供給するための吐水流路340を有する。吐水流路340の中間部には、吐水流路340を開閉する機能を有する電磁弁350が設けられる。なお、吐水流路340は、弁ユニット330から電磁弁350へ吐水するための送水管342と電磁弁350から水栓装置200Aの吐水部210へ吐水するためのホース344を含む。送水管342は、導電性を備えた材料により形成されることが好ましい。
【0029】
ホース344は、たとえば、絶縁性を有する網目状の樹脂により形成された管状体の内面に樹脂製部材を固着して形成される。したがって、ホース344は、可撓性を有する。ホース344は、一方を吐水部210の吐水口212に通水可能に取り付けられ、スパウト部226に挿入され、引き出し可能に挿通される。ホース344は、吐水流路340の一部に対応する。
【0030】
給水装置100は、図4に示すように、スパウト部226に設けられた静電検出領域230において検出された検出信号Sd10を制御基板600Aに伝えるための信号伝達部400を備える。信号伝達部400は、スパウト部226と、筒状部224と、弁ユニット330と、送水管342とにより構成される。具体的に、スパウト部226に設けられた静電検出領域230において検出された検出信号Sd10は、次のとおりに制御基板600Aに伝わる。すなわち、使用者がスパウト部226の外面に設けられた静電検出領域230に触れると、検出信号Sd10は、スパウト部226の内表面の導電性めっき層231に伝わり、そして、筒状部224の内表面の導電性めっき層に伝わり、さらに、弁ユニット330の導電性を有する材料により形成された部分に伝わり、そして、送水管342に伝わり、続いて、送水管342からリード線を介して、後述する制御基板600Aが備える静電検出回路510に伝わる。
【0031】
続いて、この第1の実施の形態にかかる給水装置100の電気的構成について説明する。図5aは、この発明の第1の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置を用いた給水装置の制御基板の構成の一例を示すブロック図である。図5bは、図5aに示す操作判定部の構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
給水装置100にかかる電気的構成は、タッチ操作検出装置500および制御基板600Aにより構成される。
【0033】
まず、タッチ操作検出装置500について、説明する。
タッチ操作検出装置500は、接触判定から離反判定までの時間が所定時間以下であるか否かを判定し、タッチ操作か回動操作かを判別する機能を有する。タッチ操作検出装置500は、スパウト部226の表面に設けられる静電検出領域230と、静電検出領域230からの検出信号Sd10を受信するための静電検出回路510と、閾値を設定するための閾値設定部520と、使用者がタッチ操作をしたか否かを判定するための操作判定部530を含む。
【0034】
静電検出部である静電検出回路510は、設置状態における静電検出領域230を含めた静電容量、および静電検出領域230に人体の一部が触れることによる静電容量の変化を検出するための機能を有する。さらに、検出された静電容量の大きさに応じて、制御マイコン610に対して出力信号So10を出力する機能を有する。また、静電検出回路510で検出された静電容量の大きさに対する出力信号So10は、閾値を設定するために閾値設定部520に出力される。さらに、静電検出回路510で検出された静電容量の大きさに対する出力信号So10は、使用者がタッチ操作をしたか否かを判定するために操作判定部530に出力される。
【0035】
ここで、設置状態における静電検出領域230を含めた静電容量とは、たとえば、スパウト部226に配置される静電検出領域230だけでなく、水栓装置200Aが設置される取付板Sを含めた台所のシンクの静電容量や、カウンターの静電容量などを含めた全体の静電容量を示す。すなわち、このことは、水栓装置200Aが設置される環境が、導電性の材料により形成された領域か、絶縁性の材料により形成された領域か、いずれかに設置されるかにより、設置状態における静電検出領域230を含めた静電容量の大きさが変化することを意味する。
【0036】
閾値設定部520は、設置状態における静電検出領域230を含めた静電容量を記憶し、記憶した静電容量に基づいて所定閾値を設定するための機能を有する。
所定閾値の設定方法として、閾値設定部520は、まず、初期設定として、設置状態における静電検出領域230を含めた静電容量を第1の静電容量として記憶し、そして、使用者が静電検出領域230に接触した際の変化した静電容量を第2の静電容量として記憶し、第1の静電容量と第2の静電容量との範囲内で所定閾値を設定する機能を有することが好ましい。
【0037】
なお、上述した所定閾値の設定方法以外に、所定閾値の設定方法としては、たとえば、以下のような方法により行うことができる。
【0038】
1)電源投入後に設置状態の静電容量を記憶し、判定するために用いられる所定閾値を割合設定とする。たとえば、設置後の状態から70%まで容量が下がった場合に、接触有りと判定するように所定閾値を設定することができる。
【0039】
2)使用者が複数の所定閾値を切り替えることができるような切替部(図示せず)を有することが好ましい(中間、低い、高い等)。閾値設定部520において、あらかじめ複数の所定閾値を設定し、それぞれの切替部に割り当てるようにしてもよい。
【0040】
3)使用者が、スパウト部226に配置される静電検出領域230に対して非接触で手を近づけて静電容量の変化を検出設定することができ、ゴム手袋(絶縁体)を装着した手でタッチしても検出できるように、所定閾値が設定されるようにしてもよい。あるいは、性別、年齢、体型などの反応変化に対応させるようにすることもできる。
【0041】
操作判定部530は、出力された検出信号Sd10に基づいて使用者のタッチ操作の有無を判定する機能を有する。図5bに示すように、操作判定部530は、接触判定部532と離反判定部534とを含む。
接触判定部532は、検出信号Sd10が所定継続時間以上継続して所定閾値以上であるか否かで使用者の接触を判定する機能を有する。また、離反判定部534は、接触判定部532において接触判定と判定された後に、検出信号が所定閾値以下であるか否かで使用者の離反を判定する機能を有する。そして、操作判定部530は、接触判定部532による接触判定から離反判定部534による離反判定までの時間が所定時間以下であるか否かを判定し、所定時間以下の場合にタッチ操作と判定し、所定時間より大きい場合にその他操作と判定する。
【0042】
次に、制御基板600Aについて、説明する。
制御基板600Aは、タッチ操作検出装置500の一部を含むように構成される。すなわち、制御基板600Aは、タッチ操作検出装置500の備える静電検出回路510と、閾値設定部520と、操作判定部530を含む。さらに、制御基板600Aは、静電検出回路510からの出力信号So10に基づき制御するための制御マイコン610を含む。タッチ操作検出装置500から出力された信号に基づいて、使用者の操作の有無を判断し、電磁弁350を操作する。
【0043】
制御部である制御マイコン610は、静電検出回路510から出力される出力信号So10に基づき制御するための機能を有する。そして、出力信号So10を所定の制御条件に基づいて制御するために、電磁弁制御回路620に制御信号Sc10を出力する機能を有する。所定の制御条件は、制御マイコン610に記憶される。なお、この所定の制御条件は、タッチ操作検出装置500の動作とともに後述される。
【0044】
電磁弁制御回路620は、制御マイコン610により出力された制御信号Sc10が入力され、その入力された制御信Sc10に基づいて電磁弁350の弁の開閉を制御するための制御信号Sc20を電磁弁350に対して出力する機能を有する。
【0045】
次に、第1の実施の形態にかかる給水装置の初期設定の動作について説明する。初期設定は、タッチ操作検出装置500の閾値設定部520において行われる。図6は、この発明の第1の実施の形態にかかる閾値設定部の動作の一例を示すフローチャート図である。
【0046】
まず、給水装置100の電源が投入されると(S100)、閾値設定部520は、まず、給水装置100の設置状態における全体、すなわち、水栓装置200A、設置される取付板Sを含めた静電容量を検出し、その検出された静電容量が第1の静電容量として記憶される(S102)。続いて、使用者が、水栓装置200Aのスパウト部226の静電検出領域230にタッチした後に変化した静電容量を検出し、その検出された静電容量が第2の静電容量として記憶される(S104)。そして、S102において記憶された第1の静電容量と、S104において記憶された第2の静電容量とに基づいて、タッチ操作検出装置500における操作判定部530で用いられる所定閾値が設定される(S106)。
【0047】
続いて、第1の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置500の動作について説明する。図7は、この発明の第1の実施の形態にかかる操作判定部の動作の一例を示すフローチャート図である。
第1の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置500は、静電検出領域230に人体の一部が触れる動作により、吐水/止水を切り替えることができる(いわゆるトグル式)。以下、詳細に説明する。
操作判定部530は、接触判定部532の動作により、水栓装置200Aの操作のために静電検出領域230に人体の一部が触れたか否かが判定される(S200)。図8に関して後述する接触判定部532の動作により、水栓装置200Aの操作のために静電検出領域230に人体の一部が触れたと判定されると(S202)、続いて、離反判定部534の動作により、静電検出領域230から人体の一部が離反したか否かが判定される(S204)。そして、静電検出領域230に人体の一部が触れていた時間Tが所定時間T1以下の時間であった場合(S206)、水栓装置200Aにより吐水するための操作のために静電検出領域230を触れるためのタッチ操作と判定される。一方、静電検出領域230に人体の一部が触れていた時間Tが所定時間T1より大きい時間であった場合(S206)、水栓装置200Aにより吐水するための操作以外の操作と判定される(S210)。なお、吐水するための操作以外の操作とは、たとえば、スパウト部226を掴んでスパウト部226を回動させる操作、操作部222によって、温度調整や流量調整をする操作、吐水部210を引き出す操作等の操作である。
【0048】
図8は、この発明の第1の実施の形態かかる接触判定部の動作の一例を示すフローチャート図である。
接触判定部532は、静電検出回路510において検出された検出信号Sd10が読み込まれる(S300)。続いて、読み込まれた検出信号Sd10が所定閾値以上か否かの判定が行われる(S302)。所定閾値以下と判定された場合は、引き続き検出信号Sd10の読み込みが行われる(S300)。一方、所定閾値より大きいと判定された場合(S302)、タイマTのカウントが開始される(S304)。そして、カウントされた結果、タイマTの時間が所定継続時間T0より大きくなった場合は、静電検出領域230に人体の一部が接触されていた(接触判定)と判定される(S308)。一方、タイマTの時間が所定継続時間T0以下であった場合は、人体の一部が接触されなかった(非接触判定)と判定される(S310)。そして、接触判定部532の動作が終了する。
【0049】
図9は、この発明の第1の実施の形態にかかる離反判定部の動作の一例を示すフローチャート図である。
離反判定部534は、静電検出回路510において検出された検出信号Sd10が読み込まれる(S400)。続いて、読み込まれた検出信号Sd10が所定閾値以上か否かの判定が行われる(S402)。所定閾値より大きいと判定された場合は、引き続き検出信号Sd10の読み込みが行われる(S400)。一方、所定閾値以下と判定された場合(S402)、タイマTのカウントが終了される(S404)。そして、離反判定部534の動作が終了する。
【0050】
続いて、第1の実施の形態にかかる給水装置100の動作・制御条件について説明する。
第1の実施の形態にかかる給水装置100は、スパウト部226に配置される静電検出領域230に人体の一部を触れる動作により、吐水/止水を切り替えることができる(いわゆるトグル式)。以下、詳細に説明する。
【0051】
まず、吐水部210が、スパウト部226に嵌め込まれて、保持されている状態では、静電検出回路510は検出可能である。
すなわち、スパウト部226の静電検出領域230に人体の一部が触れ、タッチ操作と判断されると、検出信号Sd10が静電検出回路510に入力される。これにより、静電検出回路510が信号伝達部400を介して静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10を出力する。そうすると、制御マイコン610は、出力信号So10に基づき、電磁弁制御回路620に対して制御信号Sc10を出力し、電磁弁制御回路620には制御信号Sc10が入力される。続いて、電磁弁制御回路620は、電磁弁350に対し、弁を開くように制御信号Sc20を出力することで、電磁弁350は弁を開き、吐水流路340(ホース344)を介して吐水される。
【0052】
また、吐水状態において、吐水部210がスパウト部226に嵌め込まれて、保持している場合、制御マイコン610は、スパウト部226の静電検出領域230に人体の一部が触れることで、止水することができるように制御する。
すなわち、スパウト部226の静電検出領域230に人体の一部が触れると、静電検出回路510が信号伝達部400を介して静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10を出力する。そうすると、制御マイコン610は、電磁弁制御回路620に対して制御信号Sc10を出力し、電磁弁制御回路620には制御信号Sc10が入力される。続いて、電磁弁制御回路620は、電磁弁350に対し、弁を閉じるように制御信号Sc20を出力することで、電磁弁350は弁を閉じ、止水される。
【0053】
一方、吐水部210がスパウト部226から引き出された状態で止水されている場合、スパウト部226の静電検出領域230に人体の一部が触れることで、吐水することができる。
【0054】
また、吐水部210がスパウト部226から引き出された状態で吐水部210から吐水されている場合、スパウト部226の静電検出領域230に人体の一部が触れることで、止水することができる。
【0055】
なお、制御マイコン610が、規定時間(たとえば、1分間)の間、吐水状態であると判定した場合は、電磁弁制御回路620に対して制御信号Sc10を出力し、電磁弁制御回路620は、電動弁350に対し、弁を閉じるように制御信号Sc20を出力することで、電磁弁350は弁を閉じ、止水される。
【0056】
第1の実施の形態にかかる給水装置100が備える水栓装置200Aに用いられるタッチ操作検出装置500によれば、接触判定から離反判定までの時間が所定時間以下であるか否かを判定し、タッチ操作か回動操作かを判別する機能を有し、さらに、タッチ操作検出装置500は、スパウト部226の表面に設けられる静電検出領域230と、静電検出領域230からの検出信号Sd10を受信するための静電検出回路510と、閾値を設定するための閾値設定部520と、使用者がタッチ操作をしたか否かを判定するための操作判定部530を含むので、接触判定時に操作判断される場合、タッチ操作以外の動作、たとえば、回動操作等をする際、接触判定と判断される、という誤動作を防ぐことができる。
【0057】
また、第1の実施の形態にかかる給水装置100が備える水栓装置200Aに用いられるタッチ操作検出装置500によれば、設置状態における静電検出領域230を含めた静電容量を記憶し、記憶した静電容量に基づいて所定閾値を設定するための機能を有する閾値設定部520を備えるので、所定閾値の設定に際して、設置環境の影響による誤検知を抑制しうる。
【0058】
さらに、第1の実施の形態にかかる給水装置100が備える水栓装置200Aに用いられるタッチ操作検出装置500によれば、初期設定として、設置状態における静電検出領域230を含めた静電容量を第1の静電容量として記憶し、そして、使用者が静電検出領域230に接触した際の変化した静電容量を第2の静電容量として記憶し、第1の静電容量と第2の静電容量との範囲内で所定閾値を設定する機能を有すると、使用者に応じて、所定閾値の設定をより精度よく設定することができる。
【0059】
また、第1の実施の形態にかかる給水装置100が備える水栓装置200Aに用いられるタッチ操作検出装置500によれば、使用者が複数の所定閾値を切り替えることができるような切替部(図示せず)を有し、閾値設定部520において、あらかじめ複数の所定閾値を設定し、それぞれのスイッチに割り当てるようにしていると、設置環境に応じて、より精度よく設定することがきる。
【0060】
さらに、第1の実施の形態にかかる給水装置100が備える水栓装置200Aに用いられるタッチ操作検出装置500によれば、信号伝達部400により、静電検出領域230から制御基板600Aへの導通が形成されており、給水装置100を構成する筒状部224、スパウト部226、弁ユニット330および送水管342による水栓金具自体が信号伝達部400として配線を代替するため、給水装置100の内部に複雑な配線を必要としない。
【0061】
また、第1の実施の形態にかかる給水装置100が備える水栓装置200Aによれば、スパウト部226の外表面の全面に導通性を備える材料により従来のめっき処理を実施することで、静電検出領域230を配置させているので、改めて、水栓装置に対して、別途、静電検出領域230を形成するための工程や電極を設けるための空間等を設ける必要がないので、水栓装置のデザインや水栓装置の配置場所の自由度を高くすることができる。
【0062】
さらに、第1の実施の形態にかかる給水装置100の水栓装置200Aによれば、スパウト部226の外表面の全面に導通性を備える材料により従来のめっき処理を実施することで、静電検出領域230を配置させているので、スパウト部226に対して水滴など付着しても、それにより静電容量変化が生じにくいため、誤反応の影響を受け難い。
加えて、第1の実施の形態にかかる給水装置100の水栓装置200Aによれば、スパウト部226が、筒状部224に対して、外側上方に延びた構造であるので、仮に、水滴がスパウト部226の外表面に配置される静電検出領域230に付着しても下に流れ落ちていくことから、水滴による誤反応の影響を受け難い。
【0063】
2.第2の実施の形態
次に、第2の実施の形態にかかる給水装置100について説明する。図10は、この発明の第2の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の構成を示す模式図である。図11は、この発明の第2の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置を用いた給水装置の制御基板の構成の一例を示すブロック図である。
【0064】
なお、この第2の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Bは、吐水部210とスパウト部226との間に絶縁部242が形成されているが、吐水部210の外表面に静電検出領域232が設けられ、さらに、第1の電磁弁350aおよび第2の電磁弁350bを備えていることを除いて、図4に示す水栓装置200Aと同様の構成を有する。したがって、図1ないし図3に示した水栓装置200Aならびに図5aに示したタッチ操作検出装置500および制御基板600Aと同一部分には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
図10に示すように、吐水部210の母材211の外表面の全面は、たとえば、導電性の材料によりめっき処理されることで、静電検出領域(導電性めっき層)232が配置されている。そして、吐水部210の母材211の内表面の全面にも、たとえば、めっき処理により導電性の材料によりめっき処理されることで、導電性めっき層233が配置されている。
また、水栓装置200Bのスパウト部226の他方端側には絶縁部242がスパウト部226側から吐水部210側に向かって所定の幅を設けて形成される。この幅の大きさは、吐水部210に配置される静電検出領域232とスパウト部226に配置される静電検出領域230とにより容量結合が生じうる幅が確保される。すなわち、絶縁部242は、吐水部210に配置される静電検出領域232とスパウト部226に配置される静電検出領域230とにより容量結合が生じうるように設けられる。
したがって、吐水部210が、スパウト部226に嵌め込まれて、保持されている状態においては、吐水部210に配置される静電検出領域232とスパウト部226に配置される静電検出領域230とは、電気的に接続されておらず、静電検出領域232と静電検出領域230との間は、絶縁部242により容量結合される。
【0066】
また、図11に示すように、制御基板600Bは、制御基板600Aとは異なり、第1の電磁弁制御回路620aと第2の電磁弁制御回路620bとが設けられる。
なお、静電検出回路510は、スパウト部226に配置される静電検出領域230とのみ信号伝達部400を介して電気的に接続されている。
また、第1の電磁弁350aは小流量用電磁弁である。また、第2の電磁弁350bは第1の電磁弁350aよりも流量の多い大流量用電磁弁である。
【0067】
また、水栓装置200Bでは、静電検出領域230と静電検出領域232との間が容量結合されているので、スパウト部226に配置される静電検出領域230に人体の一部が触れた場合と、吐水部210に配置される静電検出領域232に人体の一部が触れた場合とで、静電容量の変化に違いが生ずる。したがって、閾値設定部520においては、吐水部210に触れた場合の所定閾値と、スパウト部226に触れた場合の所定閾値の2種類の所定閾値が設定される。
【0068】
次に、第2の実施の形態にかかる給水装置100の動作・制御条件について説明する。
吐水のために給水装置100の水栓装置200Bに用いられるタッチ操作検出装置500によるタッチされたか否かの判定は、第1の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置500の動作と共通であるので、その説明は省略する。
【0069】
第2の実施の形態にかかる給水装置100は、スパウト部226に配置される静電検出領域230に人体の一部を触れる動作、あるいは吐水部210に配置される静電検出領域232に人体の一部を触れる動作により、吐水/止水を切り替えることができる(いわゆるトグル式)。以下、詳細に説明する。
【0070】
吐水部210がスパウト部226に嵌め込まれて保持されている状態では、静電検出回路510は検出可能である。
すなわち、吐水部210に配置される静電検出領域232に人体の一部が触れ、タッチ操作と判断されると、検出信号Sd10’が静電検出回路510に入力される。これにより、静電検出回路510が信号伝達部400を介して吐水部210に触れた場合の所定閾値により静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10’を出力する。そうすると、制御マイコン610は、出力信号So10’に基づき、第1の電磁弁制御回路620aに対して制御信号Sc10を出力し、第1の電磁弁制御回路620aには制御信号Sc10が入力される。続いて、第1の電磁弁制御回路620aは、第1の電磁弁350aに対し、弁を開くように制御信号Sc20を出力することで、第1の電磁弁350aは弁を開き、吐水流路340(ホース344)を介して吐水される。
【0071】
一方、スパウト部226に配置される静電検出領域230に人体の一部が触れ、タッチ操作と判断されると、検出信号Sd10’が静電検出回路510に入力される。これにより、静電検出回路510が信号伝達部400を介してスパウト部226に触れた場合の所定閾値により静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10’を出力する。そうすると、制御マイコン610は、出力信号So10’に基づき、第2の電磁弁制御回路620bに対して制御信号Sc12を出力し、第2の電磁弁制御回路620bには制御信号Sc12が入力される。続いて、第2の電磁弁制御回路620bは、第2の電磁弁350bに対し、弁を開くように制御信号Sc22を出力することで、第2の電磁弁350bは弁を開き、吐水流路340(ホース344)を介して吐水される。
【0072】
また、吐水状態において、吐水部210がスパウト部226に嵌め込まれて、保持している場合、制御マイコン610は、吐水部210の静電検出領域232あるいはスパウト部226の静電検出領域230のいずれかに人体の一部が触れることで、止水することができるように制御される。
すなわち、スパウト部226の静電検出領域230に人体の一部が触れると、静電検出回路510が信号伝達部400を介して静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10’を出力する。そうすると、制御マイコン610は、第2の電磁弁制御回路620bに対して制御信号Sc12を出力し、第2の電磁弁制御回路620bには制御信号Sc12が入力される。続いて、第2の電磁弁制御回路620bは、第2の電磁弁350bに対し、弁を閉じるように制御信号Sc22を出力することで、第2の電磁弁350bは弁を閉じ、止水される。
あるいは、吐水部210の静電検出領域232に人体の一部が触れると、静電検出回路510が信号伝達部400を介して静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10’を出力する。そうすると、制御マイコン610は、第1の電磁弁制御回路620aに対して制御信号Sc10を出力し、第1の電磁弁制御回路620aには制御信号Sc10が入力される。続いて、第1の電磁弁制御回路620aは、第1の電磁弁350aに対し、弁を閉じるように制御信号Sc20を出力することで、第1の電磁弁350aは弁を閉じ、止水される。
【0073】
吐水部210がスパウト部226から引き出された状態では、吐水部210に配置される静電検出領域232とスパウト部226に配置される静電検出領域230との容量結合が解除されるため、静電検出回路510により検出されるスパウト部226に配置される静電検出領域230の静電容量が変化する。静電検出回路510は、この変化を検出し、その変化されたことを出力信号So10’として制御マイコン610に出力することで、制御マイコン610は、吐水部210が引き出されたと判定する。
【0074】
一方、吐水部210がスパウト部226から引き出された状態で止水されている場合、スパウト部226の静電検出領域230に人体の一部が触れることで、吐水することができる。
【0075】
また、吐水部210がスパウト部226から引き出された状態で吐水部210から吐水されている場合、スパウト部226の静電検出領域230に人体の一部が触れることで、止水することができる。
【0076】
また、吐水部210がスパウト部226に再度嵌め込まれた場合、吐水部210に配置される静電検出領域232とスパウト部226に配置される静電検出領域230とが容量結合されるので、静電検出回路510により検出されるスパウト部226の静電検出領域230の静電容量が変化する。静電検出回路510は、この変化を検出し、その変化されたことを出力信号Sd10’として制御マイコン610に出力することで、制御マイコン610は、吐水部210がスパウト部226に嵌め込まれたことを認識する。そうすると、制御マイコン610は、吐水部210の静電検出領域232あるいはスパウト部226の静電検出領域230のいずれかに人体の一部が触れることで、止水することができるように制御する。
【0077】
なお、制御マイコン610が、規定時間(たとえば、1分間)の間、吐水状態であると判定した場合は、第1の電磁弁制御回路620aに対して制御信号Sc10を出力し、第1の電磁弁制御回路620aは、第1の電磁弁350aに対し、弁を閉じるように制御信号Sc20を出力することで、第1の電磁弁350aは弁を閉じ、止水されるか、あるいは、第2の電磁弁制御回路620bに対して制御信号Sc12を出力し、第2の電磁弁制御回路620bは、第2の電磁弁350bに対し、弁を閉じるように制御信号Sc22を出力することで、第2の電磁弁350bは弁を閉じて、止水される。
【0078】
第2の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置500およびそれを用いた給水装置100が備える水栓装置200Bでは、第1の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置500およびそれを用いた給水装置100と同様の効果を奏するとともに、次の効果も奏する。
すなわち、第1の実施の形態にかかる給水装置100とは異なり、この実施の形態にかかる給水装置100は、制御基板600Bにおいて、スパウト部226に配置される静電検出領域230にタッチ操作された場合の静電容量の変化を検出するための所定閾値と、吐水部210に配置される静電検出領域232の静電容量を検出するための所定閾値とが設定されているので、スパウト部226に配置される静電検出領域230に触れた場合であっても、吐水部210に配置される静電検出領域232に触れた場合であっても、確実にそれぞれに触れたことを判定することができる。
【0079】
3.第3の実施の形態
次に、第3の実施の形態にかかる給水装置100について説明する。図12は、この発明の第3の実施の形態にかかる給水装置に用いられる水栓装置の構成を示す模式図である。図13は、この発明の第3の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置を用いた給水装置の制御基板の構成の一例を示すブロック図である。
【0080】
なお、この第3の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Cは、第1の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Aと比較して、以下に記載されるような違いを有する。
すなわち、この第3の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Cは、第1の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Aと比較して、スパウト部226が、第1のスパウト部226aおよび第2のスパウト部226bとに絶縁部244を介して分割され、第1のスパウト部226aにサブ検出領域230aが配置され、第2のスパウト部226bにサブ検出領域230bが配置されるとともに、吐水部210の外表面に静電検出領域232が設けられ、また、吐水部210と第2のスパウト部226bとの間に絶縁部242が設けられる。
さらに、この第3の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Cは、電磁弁350の代わりに電動弁352を備える。
【0081】
一方、この第3の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Cは、第1の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Aと比較して、操作部222、筒状部224、弁ユニット330および送水管342を備えていない。
【0082】
したがって、上述した構成上の違いを除き、この第3の実施の形態にかかる給水装置100に用いられる水栓装置200Cと図1ないし図3に示した水栓装置200Aならびに図5aに示したタッチ操作検出装置500および制御基板600Aと同一部分には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
図12に示すように、スパウト部226は、絶縁部244を介して台座部228と接続される側に配置される第1のスパウト部226aと吐水部210と接続される側に配置される第2のスパウト部226bとにより構成される。第1のスパウト部226aの一方側は、台座部228と接続され、他方側には絶縁部244が第2のスパウト部226b側に向かって所定の幅を設けて形成される。この幅の大きさは、第1のスパウト部226aに配置されるサブ検出領域230aと第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bとにより容量結合が生じうる幅が確保される。すなわち、絶縁部244は、第1のスパウト部226aに配置されるサブ検出領域230aと第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bとは、電気的に接続されておらず、サブ検出領域230aとサブ検出領域230bとの間は、絶縁部244により容量結合される。そして、第2のスパウト部226bの一方側には絶縁部224が配置される。
【0084】
また、図12に示すように、吐水部210の外表面の全面は、たとえば、導電性の材料によりめっき処理されることで、静電検出領域232が配置されている。そして、水栓装置200Cの第2のスパウト部226bの他方端側には絶縁部242が第2のスパウト部226b側から吐水部210側に向かって所定の幅を設けて形成される。この幅の大きさは、吐水部210に配置される静電検出領域232と第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bとにより容量結合が生じうる幅が確保される。すなわち、絶縁部242は、吐水部210に配置される静電検出領域232と第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bとにより容量結合が生じうるように設けられる。
したがって、吐水部210が、第2のスパウト部226bに嵌め込まれて、保持されている状態においては、吐水部210に配置される静電検出領域232と第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bとは、電気的に接続されておらず、静電検出領域232とサブ検出領域230bとの間は、絶縁部242により容量結合される。
【0085】
電動弁352は、電動弁制御回路622からの制御信号により、湯と水の混合比を変化させて温度調整を行いうるとともに、流量調整を行いうる機能を有する。
【0086】
また、図13に示すように、制御基板600Cは、制御基板600Aとは異なり、電磁弁制御回路620の代わりに電動弁制御回路622が設けられる。
なお、静電検出回路510は、第1のスパウト部226aに配置されるサブ検出領域230aとのみ電気的に接続されている。
【0087】
また、水栓装置200Cでは、サブ検出領域230aとサブ検出領域230bとの間が容量結合され、さらに、サブ検出領域230bと静電検出領域232との間が容量結合されているので、第1のスパウト部226aに配置されるサブ検出領域230aに人体の一部が触れた場合と、第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bに人体の一部が触れた場合と、吐水部210に配置される静電検出領域232に人体の一部が触れた場合とで、静電容量の変化に違いが生ずる。したがって、閾値設定部520においては、吐水部210に触れた場合の所定閾値と、第1のスパウト部226aに触れた場合の所定閾値と、第2のスパウト部226bに触れた場合の所定閾値の3種類の所定閾値が設定される。
【0088】
なお、第3の実施の形態にかかる給水装置100では、信号伝達部400を備えておらず、第1のスパウト部226aと制御基板600Cとがケーブルにより接続される。
【0089】
次に、第3の実施の形態にかかる給水装置100の動作・制御条件について説明する。
吐水のために給水装置100の水栓装置200Cに用いられるタッチ操作検出装置500によるタッチされたか否かの判定は、第1の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置500の動作と共通であるので、その説明は省略する。
【0090】
吐水部210が第2のスパウト部226bに嵌め込まれて保持されている状態では、静電検出回路510は検出可能である。
すなわち、吐水部210に配置される静電検出領域232に人体の一部が触れ、タッチ操作と判断されると、検出信号Sd10’’が静電検出回路510に入力される。これにより、静電検出回路510が吐水部210に触れた場合の所定閾値により静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10’’を出力する。
そうすると、制御マイコン610は、出力信号So10’’に基づき、電動弁制御回路622に対して制御信号Sc10’’を出力し、電動弁制御回路622には制御信号Sc10が入力される。続いて、電動弁制御回路622は、電動弁352に対し、弁を開くように制御信号Sc20を出力することで、電動弁352は弁を開き、吐水流路340(ホース344)を介して吐水される。このとき、電動弁352は、制御信号Sc20に基づき、たとえば、40℃の温度に調整された湯が大流量として吐出するように制御される。
【0091】
また、第1のスパウト部226aに配置されるサブ検出領域230aに人体の一部が触れ、タッチ操作と判断されると、検出信号Sd10’’が静電検出回路510に入力される。これにより、静電検出回路510が第1のスパウト部226aに触れた場合の所定閾値により静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10’’を出力する。そうすると、制御マイコン610は、出力信号So10’’に基づき、電動弁制御回路622に対して制御信号Sc10を出力し、電動弁制御回路622には制御信号Sc10が入力される。続いて、電動弁制御回路622は、電動弁352に対し、弁を開くように制御信号Sc20を出力することで、電動弁352は弁を開き、吐水流路340(ホース344)を介して吐水される。このとき、電動弁352は、吐出部210に配置される静電検出領域232にタッチ操作された場合に比べ、温度が低く、かつ、少量の水が吐出するように制御される。
【0092】
さらに、第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bに人体の一部が触れ、タッチ操作と判断されると、検出信号Sd10’’が静電検出回路510に入力される。これにより、静電検出回路510が第2のスパウト部226bに触れた場合の所定閾値により静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10’’を出力する。
そうすると、制御マイコン610は、出力信号So10’’に基づき、電動弁制御回路622に対して制御信号Sc10を出力し、電動弁制御回路622には制御信号Sc10が入力される。続いて、電動弁制御回路622は、電動弁352に対し、弁を開くように制御信号Sc20を出力することで、電動弁352は弁を開き、吐水流路340(ホース344)を介して吐水される。電動弁352は、吐出部210に配置される静電検出領域232にタッチ操作された場合と同等の温度(たとえば、40℃)で、かつ、少量の水が吐出するように制御される。
【0093】
また、吐水状態において、吐水部210が第2のスパウト部226bに嵌め込まれて、保持している場合、制御マイコン610は、吐水部210の静電検出領域232、第1のスパウト部226aのサブ検出領域230aあるいは第2のスパウト部226bのサブ検出領域230bのいずれかに人体の一部が触れることで、止水することができるように制御される。
すなわち、第1のスパウト部226aのサブ検出領域230aあるいは第2のスパウト部226bのサブ検出領域230bに人体の一部が触れると、静電検出回路510が静電容量の変化を検出することで、静電検出回路510は、制御マイコン610に対して出力信号So10’’を出力する。そうすると、制御マイコン610は、電動弁制御回路622に対して制御信号Sc10を出力し、電動弁制御回路622には制御信号Sc10が入力される。続いて、電動弁制御回路622は、電動弁352に対し、弁を閉じるように制御信号Sc20を出力することで、電動弁352は弁を閉じ、止水される。
【0094】
吐水部210が第2のスパウト部226bから引き出された状態では、吐水部210に配置される静電検出領域232と第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bとの容量結合が解除されるため、静電検出回路510により検出される第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bの静電容量が変化する。静電検出回路510は、この変化を検出し、その変化されたことを出力信号So10’’として制御マイコン610に出力することで、制御マイコン610は、吐水部210が引き出されたことを判定する。
【0095】
一方、吐水部210が第2のスパウト部226bから引き出された状態で止水されている場合、第1のスパウト部226aのサブ検出領域230aあるいは第2のスパウト部226bのサブ検出領域230bに人体の一部が触れることで、吐水することができる。
【0096】
また、吐水部210が第2のスパウト部226bから引き出された状態で吐水部210から吐水されている場合、第1のスパウト部226aのサブ検出領域230aあるいは第2のスパウト部226bのサブ検出領域230bに人体の一部が触れることで、止水することができる。
【0097】
また、吐水部210が第2のスパウト部226bに再度嵌め込まれた場合、吐水部210に配置される静電検出領域232と第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bとが容量結合されるので、静電検出回路510により検出される第2のスパウト部226bのサブ検出領域230bの静電容量が変化する。静電検出回路510は、この変化を検出し、その変化されたことを出力信号So10として制御マイコン610に出力することで、制御マイコン610は、吐水部210が第2のスパウト部226bに嵌め込まれたことを認識する。そうすると、制御マイコン610は、吐水部210の静電検出領域232、第1のスパウト部226aのサブ検出領域230aあるいは第2のスパウト部226bのサブ検出領域230bのいずれかに人体の一部が触れることで、止水することができるように制御する。
【0098】
なお、制御マイコン610が、規定時間(たとえば、1分間)の間、吐水状態であると判定した場合は、電動弁制御回路622に対して制御信号Sc10を出力し、電動弁制御回路622は、電動弁352に対し、弁を閉じるように制御信号Sc20を出力することで、電動弁352は弁を閉じ、止水される。
【0099】
第3の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置500およびそれを用いた給水装置100が備える水栓装置200Cでは、第1の実施の形態にかかるタッチ操作検出装置500およびそれを用いた給水装置100と同様の効果を奏するとともに、次の効果も奏する。
すなわち、第1の実施の形態にかかる給水装置100とは異なり、この実施の形態にかかる給水装置100は、制御基板600Cにおいて、第1のスパウト部226aに配置されるサブ検出領域230aにタッチ操作された場合の静電容量の変化を検出するための所定閾値と、第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bにタッチ操作された場合の静電容量の変化を検出するための所定閾値と、吐水部210に配置される静電検出領域232の静電容量を検出するための所定閾値とが設定され、それぞれの検出信号により電動弁352が、それぞれの所定閾値に対して予め設定された流量調整および温度調整に基づいて吐水されるので、第1のスパウト部226aに配置されるサブ検出領域230aに触れた場合による吐水状態や、第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bに触れた場合による吐水状態や、吐水部210に配置される静電検出領域232に触れた場合による吐水状態を、タッチする場所に応じてそれぞれ変化させることができる。
【0100】
以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0101】
たとえば、本実施の形態にかかる水栓装置200A、200B、200Cは、スパウト部226は台座部228に対して回動可能に設けられているが、これに限るものではなく、スパウト部226は取付板S等に対して固定して設置されていてもよい。
【0102】
また、本実施の形態にかかる水栓装置200A、200B、200Cは、吐水部210は、スパウト部226に対して引出可能に設けられているが、吐水部210はスパウト部226と一体に形成されていてもよい。
【0103】
さらに、本実施の形態にかかる水栓装置200A、200B、200Cにおいて、スパウト部226に配置される静電検出領域230、吐水部210に配置される静電検出領域232、第1のスパウト部226aに配置されるサブ検出領域230aあるいは第2のスパウト部226bに配置されるサブ検出領域230bは、導電性を有する材料によるめっき処理を実施することにより形成されるが、これに限るものではない。
【0104】
また、本実施の形態にかかる給水装置100は、静電検出領域230と制御基板600A、あるいは、サブ検出領域230aと制御基板600Bとは信号伝達部400を介して接続されているが、これに限るものではなく、別途、ケーブルを介して接続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
この発明に係るタッチ操作検出装置およびそれを用いた給水装置は、たとえば、台所のシンクやカウンター等に配置される給水装置において、それぞれ異なる設置環境の影響を考慮したうえで、水栓装置に対するタッチ操作の誤検知を防止することで、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0106】
100 給水装置
200A、200B、200C 水栓装置
210 吐水部
211 母材
220 水栓本体部
222 操作部
224 筒状部
226 スパウト部
226a 第1のスパウト部
226b 第2のスパウト部
227 母材
228 台座部
228a LED表示部
230、232 静電検出領域
230a、230b サブ検出領域
300 配管部
310 給水管
320 給湯管
330 弁ユニット
340 吐水流路
342 送水管
344 ホース
350 電磁弁
350a 第1の電磁弁
350b 第2の電磁弁
352 電動弁
400 信号伝達部
500 タッチ操作検出装置
510 静電検出回路
520 閾値設定部
530 操作判定部
532 接触判定部
534 離反判定部
600A、600B、600C 制御基板
610 制御マイコン
620 電磁弁制御回路
620a 第1の電磁弁制御回路
620b 第2の電磁弁制御回路
622 電動弁制御回路
S 取付板
1、T2 操作レバーの回転方向
d10、Sd10’、Sd10’’ 検出信号
o10、So10’、So10’’ 出力信号
c10、Sc12、Sc20、Sc22 制御信号
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13