(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】屋根構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 7/00 20060101AFI20220729BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20220729BHJP
E04B 1/82 20060101ALI20220729BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
E04B7/00 Z
E04B1/343 U
E04B1/82 M
E04H6/02 A
(21)【出願番号】P 2018190339
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三池 もも子
(72)【発明者】
【氏名】堀江 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】能島 昌弘
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-110296(JP,A)
【文献】特開平08-170377(JP,A)
【文献】特開平07-197552(JP,A)
【文献】実開平05-038105(JP,U)
【文献】実開昭59-148809(JP,U)
【文献】特開2002-013193(JP,A)
【文献】特開2001-152591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/00
E04B 1/343
E04B 1/62-1/99
E04H 6/02
E04D 1/00-3/40,13/00-15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材と、
前記屋根材の縁部を支持する一対の垂木部材と、
前記一対の垂木部材間に亘って設けられ、前記屋根材の下面を支持する桟部材と、
前記桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材と、
を備えた屋根構造体であって、
前記屋根受け材は、前記桟部材に装着される装着部と、
前記装着部よりも柔軟な材質の発泡材で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、
前記受け部には、その長手方向に沿って延在した中空部が形成され
、
前記桟部材は、その上面の一部を上方に突出させたポケット部を有し、
前記ポケット部は、前記屋根受け材の前記装着部が嵌合される装着溝を有すると共に、該装着溝の底面が前記桟部材の上面よりも上方に配置され、
前記屋根受け材は、前記装着部が前記装着溝に嵌合されることで、前記ポケット部の上面から上方に突出するように設けられていることを特徴とする屋根構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根構造体であって、
前記屋根受け材は、前記受け部の下面の一部のみが前記桟部材の上面に接触した状態で前記桟部材に装着されており、
前記受け部は、前記桟部材の上面から張り出した部分に、該受け部の下面から側面に向かって湾曲した湾曲部を有することを特徴とする屋根構造体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の屋根構造体であって、
前記ポケット部は、前記桟部材の長手方向で前記一対の垂木部材に支持された両端部からそれぞれ所定距離までの範囲を除いた範囲に設けられている
ことを特徴とする屋根構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラス屋根やカーポート等の屋根構造体及び該屋根構造体に用いられる屋根受け材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、テラス屋根やカーポート等の屋根構造体において、垂木部材間に架け渡された母屋(桟部材)の上面に柔軟性を有する屋根葺き材受け(屋根受け材)を装着し、この屋根葺き材受けで屋根材の下面を支持した構成が開示されている。この特許文献1には、屋根材に柔軟な屋根葺き材受けが強固に装着されるため、屋根材が風に煽られることで発生するばたつき音を防止することができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成は、確かに柔軟性を有する屋根受け材を桟部材と屋根材との間に設けているため、屋根材のばたつき音を低減する効果が得られる。ところが、この構成の場合、屋根材に当接する屋根受け材の受け部が屋根材の荷重によっては僅かしか潰れない形状となっている。従って、相当な強風時には、屋根受け材が屋根材の撓みに十分に追従できず、屋根材が屋根受け材の上部で跳ねるため、ばたつき音の低減効果は限定的である。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、屋根材のばたつきによる騒音の発生を抑制することができる屋根構造体及び該屋根構造体に用いられる屋根受け材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る屋根構造体は、屋根材と、前記屋根材の縁部を支持する一対の垂木部材と、前記一対の垂木部材間に亘って設けられ、前記屋根材の下面を支持する桟部材と、前記桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材と、を備えた屋根構造体であって、前記屋根受け材は、前記桟部材に装着される装着部と、前記装着部よりも柔軟な材質の発泡材で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、前記受け部には、その長手方向に沿って延在した中空部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る屋根構造体は、屋根材と、前記屋根材の縁部を支持する一対の垂木部材と、前記一対の垂木部材間に亘って設けられ、前記屋根材の下面を支持する桟部材と、前記桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材と、を備えた屋根構造体であって、前記屋根受け材は、前記桟部材に装着される装着部と、前記装着部よりも柔軟な材質で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、前記装着部には、前記桟部材の上面に当接する底板部が形成され、前記受け部は、前記底板部の両端部から上方に突出するように設けられ、先端に向かって先細りしたテーパ形状を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る屋根受け材は、屋根材の下面を支持する桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材であって、前記桟部材に装着される装着部と、前記装着部よりも柔軟な材質の発泡材で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、前記受け部には、その長手方向に沿って延在した中空部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る屋根受け材は、屋根材の下面を支持する桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材であって、前記桟部材に装着される装着部と、前記装着部よりも柔軟な材質で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、前記装着部には、前記桟部材の上面に当接する底板部が形成され、前記受け部は、前記底板部の両端部から上方に突出するように設けられ、先端に向かって先細りしたテーパ形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、屋根材のばたつきによる騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る屋外構造体を前方斜め下から見上げた斜視図である。
【
図4A】
図3中のIVA-IVA線に沿う要部拡大断面図である。
【
図4B】
図3中のIVB-IVB線に沿う要部拡大断面図である。
【
図5】屋根受け材による屋根材の支持状態を説明するための要部拡大側面断面図である。
【
図6A】別の実施形態に係る屋根受け材についての屋根材の中央部付近での要部拡大側面断面図である。
【
図6B】
図6Aに示す屋根受け材についての屋根材の縁部付近での要部拡大側面断面図である。
【
図7】
図6Aに示す屋根受け材による屋根材の支持状態を説明するための要部拡大側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、屋根構造体についての好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の屋根構造体10は、住宅や店舗等の建物の外壁11から張り出すように設けられる。屋根構造体10は、例えばテラス屋根やカーポート等である。以下、外壁11に対面するように屋根構造体10を見た方向を正面とし、正面から見て屋根構造体10の手前側を前、奥側を後、上方を上、下方を下、左方を左、右方を右、と呼んで説明する。また各図においては、左右方向を矢印Xで示し、前後方向を矢印Yで示し、上下方向を矢印Zで示す。
【0014】
図1~
図3に示すように、屋根構造体10は、屋根12と、屋根12の前角部を支持する一対の支柱14,15とを備える。屋根12は、屋根枠16と、3枚の屋根材18とで構成されている。
【0015】
屋根枠16は、垂木掛け材20と、前枠21と、左右一対の妻垂木(垂木部材)22,23と、2本の垂木(垂木部材)24,25と、3本の中桟(桟部材)26,27,28と、を備える。これら各部材20~28は、アルミニウム等の金属で形成された押出形材であり、それぞれ全長に亘って略一様な断面形状を有する。垂木24,25及び中桟26~28の設置本数は屋根12の形状や大きさ等によって適宜変更される。
【0016】
垂木掛け材20は、左右方向に沿って延在した枠材であり、外壁11に沿って配設され、建物の躯体に固定されている。垂木掛け材20は、妻垂木22,23の後端部間を連結している。前枠21は、左右方向に沿って延在した枠材であり、垂木掛け材20の前方に所定間隔離間した位置に配設されている。前枠21は、支柱14,15の上端部間、及び妻垂木22,23の前端部間を連結している。妻垂木22,23は、前下がりで前後方向に沿って延在した枠材であり、左右方向で互いに対向配置されている。妻垂木22,23は、垂木掛け材20の左右端部と前枠21の左右端部との間を連結している。垂木24,25は、妻垂木22,23と平行するように設けられ、妻垂木22,23間に等間隔で配設されている。垂木24,25は、垂木掛け材20と前枠21との間に連結されている。中桟26~28は、垂木掛け材20及び前枠21と平行するように設けられている。中桟26は、妻垂木22と垂木24との間に架け渡され、中桟27は、垂木24と垂木25との間に架け渡され、中桟28は、垂木25と妻垂木23との間に架け渡されている。
【0017】
屋根枠16は、枠状に連結された垂木掛け材20、前枠21及び左右の妻垂木22,23の枠内部分に、垂木24,25及び中桟26~28を架け渡した構成である。屋根枠16は、後端側の垂木掛け材20が建物の躯体に固定され、前端側の前枠21が支柱14,15で支持された状態で、前方に向かって次第に下方に傾斜した前下がりの姿勢で配設される。
【0018】
各屋根材18は、前後方向に長尺な長方形状の薄板であり、例えばポリカーボネート板や熱線遮断ポリカーボネート板で構成されている。各屋根材18は、その後縁部が垂木掛け材20に支持され、その前縁部が前枠21に支持されている。左端の屋根材18は、その左右縁部が妻垂木22と垂木24とで支持され、中央の屋根材18は、その左右縁部が垂木24と垂木25とで支持され、右端の屋根材18は、その左右縁部が垂木25と妻垂木23とで支持されている。各屋根材18は、前後方向の略中央部が左右方向に延びた中桟26~28でそれぞれ支持されている。屋根材18の設置数は適宜変更可能である。
【0019】
図2及び
図3に示すように、各中桟26~28は、屋根受け材30を介して屋根材18の下面18aを支持している。各中桟26~28の上面31には、その長手方向に沿って延びたポケット部32が設けられている。ポケット部32は、各中桟26~28の上面31から上方に突出して長手方向に延びた矩形状の突起であり、前後方向の幅寸法が上面31よりも幅狭である。ポケット部32は、その上面32aに凹状の装着溝32bが形成されている。ポケット部32は、各中桟26~28の長手方向両端部から所定の距離Lまでの部分を除いた範囲に設けられている(
図3参照)。屋根受け材30は、各中桟26~28のポケット部32の全長に亘って装着されている。つまり屋根受け材30の全長は、各中桟26~28の全長よりも短い。ポケット部32を設けず、中桟26~28の上面31に直接的に装着溝32bを形成してもよい。
【0020】
図2及び
図3に示すように、屋根受け材30は、装着部34と、受け部36とを有する。
【0021】
装着部34は、ポケット部32の装着溝32bに嵌合される部分であり、下向き略T字状の断面形状である。装着部34は、例えばEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)で形成されている。
【0022】
受け部36は、屋根材18の下面18aに当接する部分であり、中央に長手方向に延びた中空部38が形成された角筒形状の断面形状である。受け部36は、発泡材で構成されているため装着部34よりも柔軟な材質であり、例えばEPDMのスポンジである。受け部36は、装着部34と一体成形されている。中空部38は、例えば受け部36と略同一の断面形状を有し、受け部36の全長に亘って貫通している。受け部36は、その下面36aの幅方向(前後方向)で中央部及びその周辺部のみがポケット部32の上面32aに当接している。受け部36は、上面32aから外側(前後方向)に張り出した部分にR形状の湾曲部36bを有する。湾曲部36bは、受け部36の下面36aの角部を丸めたものであり、下面36aからその側面に向かって湾曲している。
【0023】
このように、屋根受け材30は、硬質の装着部34の上に発泡材で形成された軟質の受け部36を設け、この受け部36の軸心部分に中空部38を有する。これにより屋根受け材30は、屋根材18を支持する受け部36が適度な剛性と柔軟性を両立している。このため、屋根受け材30は、屋根材18の左右幅方向の中央部及びその付近では、
図4Aに示すように受け部36がほとんど潰れない状態で屋根材18を上に押し上げつつ支持する。一方、屋根受け材30は、屋根材18の左右両縁部の近傍では、
図4Bに示すように縁部が妻垂木22,23や垂木24,25によって保持された屋根材18からの押し下げ力を受け、受け部36がある程度潰れた状態で屋根材18を支持する。なお、
図5中に破線で示す屋根材18Aは、屋根受け材30を設けていない状態での屋根材18の高さ位置を例示している。
【0024】
従って、
図3に示すように、受け部36は、左右両端部から中央部に向かって次第に上に膨らんだ湾曲形状に変形する。つまり、屋根受け材30で支持された屋根材18は、妻垂木22,23や垂木24,25に支持された両縁部から中央部に向かって次第に上方に膨らんだ略ドーム形状に保持される。これにより屋根材18は、適度なテンションを受けた張りのある状態で設置される。このため、当該屋根構造体10は、相当な強風時であっても、略ドーム形状に安定支持された屋根材18がばたつくことが防止され、ばたつきによる騒音の発生を抑制できる。屋根受け材30は、軟質の受け部36がポケット部32の上面32aに接触しているため、騒音の発生を一層低減できる。
【0025】
しかも受け部36は、ある程度の剛性を有するため、適度な潰れ量で屋根材18を支持することができる。このため、受け部36が過剰に潰れて屋根材18と中桟26~28とが直接的に衝突するような事態も防止できる。この際、屋根受け材30は、中桟26~28の上面31の一部を上方に突出させた幅狭なポケット部32の上面32aに装着されている。このため、中桟26~28の上面31と屋根材18の下面18aとの間の距離を十分に確保できる。その結果、受け部36がある程度潰れたとしても屋根材18と中桟26~28とが直接的に衝突する事態の発生をより確実に防止できる。
【0026】
当該屋根構造体10では、強風によって屋根材18が受け部36から離れて上方に浮き上がろうとしても、受け部36が柔軟に変形して屋根材18の浮き上がりに追従する。このため、屋根材18の実質的な浮き上がり量を低減でき、騒音の発生を一層抑制できる。そして、万一、屋根材18が受け部36から離れて浮き上がった場合であっても、
図5中に2点鎖線で示す屋根材18Bのようにその浮き上がり量は僅かとなる。
【0027】
当該屋根受け材30の受け部36は、その下面36aがポケット部32の上面32aから外側に張り出しており、この張り出した部分に湾曲部36bを有する。このため、受け部36は、潰された際、
図4Bに示すように空中に浮いた状態にある湾曲部36bがポケット部32の上面32aを逃げるように潰れる。その結果、屋根材18からの衝撃を一層確実に吸収でき、騒音を一層低減できる。受け部36は、上面32aに接触せず、屋根材18からの負荷を受けない部分に湾曲部36bを設けているため、この部分に角部を設けた構成と比べ、材料使用量を低減し、コストを低減できる。
【0028】
図6A、
図6B及び
図7に示すように、当該屋根構造体10では、上記した屋根受け材30とは構成の異なる屋根受け材40を用いてもよい。屋根受け材40は、装着部42と、受け部44とを有する。
【0029】
装着部42は、装着溝32bに嵌合される嵌合部42aと、ポケット部32の上面32aに当接配置される底板部42bとを有し、横向き略H字状の断面形状である。装着部42は、例えば硬質のTPE(熱可塑性エラストマー)で形成されている。底板部42bは、受け部44の土台となる部分であり、幅方向(前後方向)の両端部に上方に起立した起立部42cを有する。起立部42cは省略してもよい。
【0030】
受け部44は、屋根材18の下面18aに当接する部分であり、底板部42bの両端部から上方に突出し、上方に向かって先細りした略三角柱状のテーパ形状を有する。本実施形態の底板部42bは、両端部に起立部42cを有し、受け部44は各起立部42cから内向きに突出している。具体的には、受け部44は、起立部42cに近い部分は垂直に近い角度で上方へと立ち上がっており、頂部に近い部分は起立部42cに近い部分よりも小さい傾斜角度に寝かされた状態で頂部に向かって延びている。受け部44の幅方向寸法は、装着部42の底板部42bの幅方向寸法内に収まっている。受け部44は、装着部42よりも柔軟な材質であり、例えば軟質のTPEである。受け部44は、装着部42と一体成形されている。
【0031】
このように、屋根受け材40は、硬質の装着部42がポケット部32の上面32aに当接する底板部42bを有し、受け部44は底板部42bの両端部から上方へと突出した先細りのテーパ形状を有する。これにより屋根受け材40は、屋根材18を支持する受け部44が適度な剛性と柔軟性を両立している。このため、当該屋根受け材40についても、上記した屋根受け材30と同様な効果が得られる。すなわち、当該屋根受け材40を用いた屋根構造体10は、屋根材18の左右幅方向の中央部及びその付近では、
図6Aに示すように受け部44がほとんど潰れず、屋根材18の左右両縁部の近傍では、
図6Bに示すように受け部44がある程度潰れた状態で屋根材18が支持される。つまり受け部44は、屋根材18や積雪時の荷重によって潰れる際、そのテーパ形状が内向きに湾曲して潰れるため、潰れ量が適度に制御される(
図6B参照)。すなわち、受け部44は前後方向に広がって潰れることがないため、屋根材18を確実に支持できる。なお、
図7中に破線で示す屋根材18Aは、屋根受け材40を設けていない状態での屋根材18の高さ位置を例示している。
【0032】
従って、当該屋根受け材40についても、屋根材18を左右両縁部から中央部に向かって次第に上方に膨らんだ略ドーム形状に保持することができ、屋根材18のばたつきによる騒音の発生を抑制できる。また、受け部44は、ある程度の剛性を有するため、過剰に潰れて屋根材18と中桟26~28とが直接的に衝突するような事態も防止できる。さらに、万一、屋根材18が受け部44から離れて浮き上がった場合であっても、
図7中に2点鎖線で示す屋根材18Bのようにその浮き上がり量は僅かとなるため、屋根材18が中桟26~28に衝突して発生する騒音を抑制できる。また、屋根受け材40は、装着部42の底板部42bの両端に起立部42cを設け、この起立部42cから受け部44を立ち上げている。このため、受け部44は、屋根材18からの荷重を受けた際、起立部42cの方向付け作用下に確実に内向きに潰れるため、過剰な潰れを生じることがない。
【0033】
本発明に係る屋根構造体は、屋根材と、前記屋根材の縁部を支持する一対の垂木部材と、前記一対の垂木部材間に亘って設けられ、前記屋根材の下面を支持する桟部材と、前記桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材と、を備えた屋根構造体であって、前記屋根受け材は、前記桟部材に装着される装着部と、前記装着部よりも柔軟な材質の発泡材で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、前記受け部には、その長手方向に沿って延在した中空部が形成されていることを特徴とする。
【0034】
また、本発明に係る屋根受け材は、屋根材の下面を支持する桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材であって、前記桟部材に装着される装着部と、前記装着部よりも柔軟な材質の発泡材で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、前記受け部には、その長手方向に沿って延在した中空部が形成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明に係る屋根構造体は、屋根材と、前記屋根材の縁部を支持する一対の垂木部材と、前記一対の垂木部材間に亘って設けられ、前記屋根材の下面を支持する桟部材と、前記桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材と、を備えた屋根構造体であって、前記屋根受け材は、前記桟部材に装着される装着部と、前記装着部よりも柔軟な材質で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、前記装着部には、前記桟部材の上面に当接する底板部が形成され、前記受け部は、前記底板部の両端部から上方に突出するように設けられ、先端に向かって先細りしたテーパ形状を有することを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係る屋根受け材は、屋根材の下面を支持する桟部材から上方に突出するように設けられ、前記屋根材の下面に当接する屋根受け材であって、前記桟部材に装着される装着部と、前記装着部よりも柔軟な材質で形成され、前記屋根材の下面に当接する受け部と、を有し、前記装着部には、前記桟部材の上面に当接する底板部が形成され、前記受け部は、前記底板部の両端部から上方に突出するように設けられ、先端に向かって先細りしたテーパ形状を有することを特徴とする。
【0037】
このような構成によれば、屋根受け材の受け部が左右両端部から中央部に向かって次第に上に膨らんだ湾曲形状に変形するため、屋根材が両縁部から中央部に向かって次第に上方に膨らんだ略ドーム形状に保持される。このため、相当な強風時であっても、略ドーム形状に安定支持された屋根材がばたつくことが防止され、ばたつきによる騒音の発生を抑制できる。
【0038】
前記屋根受け材は、前記受け部の下面の一部のみが前記桟部材の上面に接触した状態で前記桟部材に装着されており、前記受け部は、前記桟部材の上面から張り出した部分に、該受け部の下面から側面に向かって湾曲した湾曲部を有する構成としてもよい。そうすると、受け部は、屋根材によって潰された際、湾曲部が桟部材を逃げるように潰れるため、屋根材からの衝撃を一層確実に吸収でき、騒音を一層低減できる。
【0039】
前記底板部の両端部には上方に起立した起立部が設けられており、前記受け部は、前記起立部から上方に突出するように設けられた構成としてもよい。そうすると、受け部は、屋根材からの荷重を受けた際、その根元が起立部で支持された状態で確実に内向きに潰れるため、過剰な潰れを生じることがない。
【0040】
前記桟部材は、その上面の一部を上方に突出させたポケット部を有し、前記屋根受け材は、前記ポケット部の上面から上方に突出するように設けられた構成としてもよい。そうすると、桟部材と屋根材との間の距離をポケット部の高さ分だけ余計に確保できるため、屋根受け材の受け部がある程度潰れたとしても屋根材と桟部材とが直接的に衝突する事態の発生を防止できる。
【0041】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
10 屋根構造体、12 屋根、16 屋根枠、18,18A,18B 屋根材、18a,36a 下面、22,23 妻垂木、24,25 垂木、26~28 中桟、30,40 屋根受け材、31,32a 上面、32 ポケット部、34,42 装着部、36,44 受け部、36b 湾曲部、38 中空部、42b 底板部、42c 起立部