(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】半田付け装置、および半田付け方法
(51)【国際特許分類】
B23K 31/02 20060101AFI20220729BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20220729BHJP
B23K 3/00 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B23K31/02 310J
H05K3/34 505A
B23K3/00 310B
B23K3/00 310F
(21)【出願番号】P 2018227628
(22)【出願日】2018-12-04
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】397065767
【氏名又は名称】株式会社パラット
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【氏名又は名称】西原 広徳
(72)【発明者】
【氏名】中 眞一郎
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092222(JP,A)
【文献】特開2014-188556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/02
H05K 3/34
B23K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体と第2導体とを溶融半田によって半田付けする半田付け装置であって、
半田片を通過させる半田片供給通路を有するノズルと、
前記第1導体と前記ノズルとの近接離間方向の相対距離を変化させて前記第1導体と前記ノズルを近接または当接させる相対距離変化手段と、
前記半田片を前記ノズルの前記半田片供給通路に供給する半田片供給手段と、
前記ノズルの前記半田片供給通路内の前記半田片を加熱して溶融させる加熱手段と、
前記半田片供給手段を、前記ノズルの前記半田片供給通路へ前記半田片を供給する半田片供給位置と、前記半田片供給通路から離間した退避位置とに移動させる移動手段と、
前記半田片供給手段が前記半田片供給位置から前記退避位置側へ移動すると生じる前記ノズルの前記半田片供給手段側の空間に向かって送風する送風手段とを備え、
前記送風手段は、前記空間に対して、前記半田片供給手段の前記移動手段による移動方向と直交する方向へ送風する構成であ
る
半田付け装置。
【請求項2】
第1導体と第2導体とを溶融半田によって半田付けする半田付け装置であって、
半田片を通過させる半田片供給通路を有するノズルと、
前記第1導体と前記ノズルとの近接離間方向の相対距離を変化させて前記第1導体と前記ノズルを近接または当接させる相対距離変化手段と、
前記半田片を前記ノズルの前記半田片供給通路に供給する半田片供給手段と、
前記ノズルの前記半田片供給通路内の前記半田片を加熱して溶融させる加熱手段と、
前記半田片供給手段を、前記ノズルの前記半田片供給通路へ前記半田片を供給する半田片供給位置と、前記半田片供給通路から離間した退避位置とに移動させる移動手段と、
前記半田片供給手段が前記半田片供給位置から前記退避位置側へ移動すると生じる前記ノズルの前記半田片供給手段側の空間に向かって送風する送風手段とを備え、
前記相対距離変化手段によって移動されるヘッド部と、
前記ヘッド部に固定されて前記半田片供給手段へ前記半田片または切断前の糸半田を送り出す送り出し手段とを備え、
前記ヘッド部は、前記送り出し手段より前記ノズル側に前記送風手段の送風が前記送り出し手段側へ移動しないように仕切る仕切り板を備え、
前記半田片供給手段は、前記仕切り板の前記ノズル側に配置され、
前記ノズルは、前記仕切り板に対して離間して支持される支持手段により支持され、
前記支持手段は、
前記半田片供給位置に位置する半田片供給手段の外側で、かつ、前記送風手段に
より送り出された風が当たる位置に設けられ
た
半田付け装置。
【請求項3】
第1導体と第2導体とを溶融半田によって半田付けする半田付け装置であって、
半田片を通過させる半田片供給通路を有するノズルと、
前記第1導体と前記ノズルとの近接離間方向の相対距離を変化させて前記第1導体と前記ノズルを近接または当接させる相対距離変化手段と、
前記半田片を前記ノズルの前記半田片供給通路に供給する半田片供給手段と、
前記ノズルの前記半田片供給通路内の前記半田片を加熱して溶融させる加熱手段と、
前記半田片供給手段を、前記ノズルの前記半田片供給通路へ前記半田片を供給する半田片供給位置と、前記半田片供給通路から離間した退避位置とに移動させる移動手段と、
前記半田片供給手段が前記半田片供給位置から前記退避位置側へ移動すると生じる前記ノズルの前記半田片供給手段側の空間に向かって送風する送風手段とを備え、
前記半田片供給位置の前記半田片供給手段と前記ノズルの間に、
前記ノズルの熱が前記半田片供給手段へ伝達することを防止する熱伝達防止体を備え
た
半田付け装置。
【請求項4】
半田片を通過させる半田片供給通路を有するノズルと、第1導体と前記ノズルとの近接離間方向の相対距離を変化させて前記第1導体と前記ノズルを近接または当接させる相対距離変化手段と、前記半田片を前記ノズルの前記半田片供給通路に供給する半田片供給手段と、前記ノズルの前記半田片供給通路内の前記半田片を加熱して溶融させる加熱手段とを備え、前記第1導体と第2導体とを溶融半田によって半田付けする半田付け装置により半田付けを行う半田付け方法であって、
前記半田片供給手段を、前記ノズルの前記半田片供給通路へ前記半田片を供給する半田片供給位置と、前記半田片供給通路から離間した退避位置とに移動手段により移動させ、
前記半田片供給手段が前記半田片供給位置から前記退避位置側へ移動すると生じる前記ノズルの前記半田片供給手段側の空間
に対して、前記半田片供給手段の前記移動手段による移動方向と直交する方向へ送風手段により送風する
半田付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、プリント基板やモータ等の適宜の製品における第1導体(端子、ランド、リード線等)と第2導体(端子、ランド、リード線等)を半田付けする半田付け装置、および半田付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に電子部品を機械的に半田付けする半田付け装置が提供されている。この半田付け装置には、半田の液面にプリント基板を接触させて半田付けするフロー半田付け法や、予めパターンに合わせてクリーム半田を基板に印刷しておきクリーム半田に熱を加えて溶かすことで半田付けするリフロー半田付け法等、様々な方式が提案されている。
【0003】
ここで、出願人は、半田ごてとして円筒形のノズルを用い、このノズル内にプリント基板のスルーホールに挿通された電子部品のピンを挿入し、内部で半田を溶かして半田付けする方式の半田付け装置を開発し、提供している(特許文献1参照)。
【0004】
そして、ノズルの温度、ノズルの位置、ノズルの荷重および半田の供給量について、装置の起動時や運用中など所定のタイミングで確認することにより、半田付けの信頼性や確実性の更なる向上を図っている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、ノズルの温度管理が半田付け精度に大きく影響する半田付け装置において、装置の小型化や半田付け速度の高速化または半田片供給の安定化等のさらなる改良を図ろうとすると種々の問題が生じてくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-120869号公報
【文献】特開2015-115427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑みて、半田付け装置の半田溶融時の熱により生じ得る問題を解決できる半田付け装置と半田付け方法を提供し、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、半田を供給する上部ユニットと、その下方で半田をカットして半田片にするカットユニットと、前記カットユニットの下方にあるノズルと、ノズルを加熱するヒータとを備え、前記カットユニットは、前記ノズルの上部位置とその側方の退避位置に移動可能であり、前記カットユニットが前記退避位置にあるときに前記ノズルの前記上部位置へ送風を行うファンを設け、前記ファンは、前記ノズルの前記上部位置に対して、前記カットユニットの移動方向と直交する方向へ送風する構成である半田付け装置、および送風を行う半田付け方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明により、半田付け装置の半田溶融時の熱により生じ得る問題を解決できる半田付け装置と半田付け方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】ファンの構成及び熱の移動の斜視図による説明図。
【
図5】半田付け装置の駆動系および制御系の構成を示すブロック図。
【
図8】切断した半田片のノズルへの供給動作の説明図。
【
図9】ノズルとヒータの構成の斜視図による説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0012】
図1および
図2は、半田付け装置1の外観構成の説明図であり、
図1は右側面図、
図2は正面図である。
図3は、半田付け装置1のヘッド部3(上部ユニット)周辺の斜視図であり、
図4は、半田付け装置1のヘッド部3周辺の正面図である。
【0013】
図1に示すように、半田付け装置1は、半田付け対象であるプリント基板Pのスルーホールに半田付けを行うノズル60(半田ごて)を下方に配したヘッド部3と、ヘッド部3およびノズル60を半田付け対象に近接/離間させる方向(
図1の上下方向)に移動させる近接離間方向移動ユニット6(相対距離変化手段)と、近接離間方向移動ユニット6およびノズル60をプリント基板Pが搬送される搬送方向(
図1の奥行方向,
図2の左右方向)に移動させる搬送方向移動ユニット7と、搬送方向移動ユニット7およびノズル60を搬送方向移動ユニット7の搬送幅方向(
図1の左右方向,
図2の前後方向)に移動させる搬送幅方向移動ユニット8と、を有している。
【0014】
搬送幅方向移動ユニット8の上面は、プリント基板Pを搬送する搬送路9の上面とほぼ同じ高さに構成されている。
【0015】
ヘッド部3の上部には、リールに巻かれた糸半田2が設けられている。この糸半田2は、φ0.3~φ2.0mmを用いることができ、φ0.6~φ1.6mmのものを用いることが好ましい。
【0016】
ヘッド部3の下方には、ノズル60が設けられ、ノズル60にはヒータ51(加熱手段)が接続されている。このノズル60とヒータ51は、
図3に示すノズルユニット5に設けられている。
【0017】
図3に示すように、半田付け装置1は、半田を供給するヘッド部3と、その下方で半田である糸半田2をカットして半田片2bにする糸半田切断機構部40(カットユニット,半田片供給手段)と、糸半田切断機構部40の下方にあるノズル60と、ノズル60を加熱するヒータ51とを備えている。糸半田切断機構部40は、ノズル60の上部位置とその側方の退避位置に移動可能でありる。半田付け装置1のヘッド部3には、糸半田切断機構部40が少なくとも退避位置にあるときにズル60の上部位置へ送風を行うファン80が設けられている。
【0018】
ヘッド部3の下方側は、支持板90(仕切り板)が設けられている。この支持板90にサスペンションユニット4(支持手段)が下方へ突出するように設けられ、このサスペンションユニット4にノズルユニット5が設けられている。サスペンションユニット4は、ノズルユニット5におけるノズル60および中間体70の周辺領域の上部50aに対角線上に2か所に設けられている。これにより、ノズルユニット5は、サスペンションユニット4によりヘッド部3の下方の支持板90に吊り下げるようにバランスよく安定して装着されており、ヘッド部3のプリント基板Pへの近接離間方向の移動と平行に移動可能に支持されている。上部50aは、垂直離間方向に垂直な板状に形成されている。
【0019】
支持板90は、近接離間方向に垂直な板状であり、糸半田供給ガイド16や糸半田送り出し機構部17(送り出し手段)が設けられているヘッド部3の上方領域と、ノズルユニット5が設けられているヘッド部3の下方領域を仕切る仕切り板としても機能するものでる、この支持板90は、ヘッド部3の平面視全領域のうち少なくともノズルユニット5の上方領域を仕切っており、かつ、ヘッド部3の平面視全領域のうち60%以上を仕切る構成とすることができ、70%以上を仕切ることが好ましく、80%以上を仕切ることがより好ましく、90%以上を仕切ることが好適である。このように仕切ることで、ノズルユニット5のヒータ51(
図1、
図2参照)の熱による加熱気体がヘッド部3の上方領域内に流入することを防止または抑制することができる。また、ノズルユニット60と中間体70の周辺位置で対角線上にサスペンションユニット4を設けることで、糸半田切断機構部40がノズルユニット60および中間体70の上部位置からその側方の退避位置までの移動をサスペンションユニット4が妨げない構成としている。また、このように2つのサスペンションユニット4を対角線上に設けることで、ノズルユニット60の熱がサスペンションユニット4からヘッド部3へ物理的に伝達することを極力防止し、かつ、安定してノズルユニット60が支持されてプリント基板Pに対する近接離間方向への移動をスムーズに行うことができる。
【0020】
サスペンションユニット4は、近接離間(図示上下方向)へのスライド移動を許容するスライド軸とその周囲の筒状体とを有し、スライド軸と筒状体の一方の一端が前記支持板90の下面部に固定され、他方の他端がノズルユニット5の上面部に固定されている。スライド軸と筒状体には、つるまきバネの一端がスライド軸に固定され、当該つるまきバネの他端が筒状体に固定されている。このサスペンションユニット4により、ノズルユニット5は、支持板90に吊り下げるように装着されるとともに、つるまきバネの弾性力(伸縮)によってヘッド部4に対して近接離間方向に移動できるように構成されている。このため、ノズルユニット5のノズル60が下降してプリント基板Pのランドに接触すると、それ以上ヘッド3が下降してもサスペンションユニット4のバネ(つるまきバネ)の弾性力によってショックが吸収され、ノズル60によるプリント基板Pの押圧が軽減される。
【0021】
このサスペンションユニット4により、プリント基板Pに対するノズルユニット5(ノズル60が含まれる)の相対的な重みが軽くなる。この軽くなる程度は、例えば、通常の加重を100%とするとノズルユニット5の加重が10%となるようにするなど、適宜の構成とすることができる。
【0022】
ヘッド部3の背面側の下部(支持板90の後端後方の下方側)には、支持板90の下方領域、特にノズルユニット5の上方領域へ送風するファン80が設けられている。ファン80は、
図3及び
図4に示すように、本実施形態ではヘッド部3に固定された態様をなすもので、該略直方体形状をなす筐体81と、この筐体81の内部に回転可能に配されたフィン82とを主な構成要素とする。このファン82は勿論、筐体81、フィン82の他に、フィン82を回転させる駆動源や当該駆動源に電力を供給する機構、更にはフィン82の回転を制御する機構等を有するものであるが、これらの構成、機構は既存の種々の構成を適宜利用できるので、本実施形態では詳細な説明を省略する。
【0023】
また本実施形態では、ヘッド部3からサスペンションユニット4を介してノズルユニット5が設けられている。
ノズルユニット5は、ノズル60と、ノズル60を加熱するヒータ51(
図1参照)と、ノズル60の上方に設けられて仕切りとして機能する中間体70により主に構成されている。ノズル60の両側方に設けられているヒータ51(
図1参照)は、ヒータカバー50(
図4参照)により囲まれている。すなわち、
図1、
図2は、ヒータカバー50を図示省略しており、
図3、
図4ではヒータ51がヒータカバー50に覆われて隠れている。
【0024】
そして本実施形態に係る半田付け装置1は、
図3及び
図4に示すように、ノズル60上方に向かって対流熱Hを招来する。これは、ノズル60の温度を、半田片2bを溶融させるために例えば520℃とするためにヒータ51の温度を一例として550℃程度にまで上昇させることに起因する。またさらに中間体70とヘッド部3との間にスペースを設けるために本実施形態ではサスペンションユニット4を設けているが、このサスペンションユニット4(特にサスペンションユニット4のスライド軸)を介してもノズル60に起因する対流熱Hが糸半田切断機構部40へ伝達されてしまう。
【0025】
そこで、本実施形態ではノズル60の上方のスペース、すなわち、上部50aと支持板90の間のスペースへ向けて送風するファン80を設けた。これにより、例えば室温である風たる冷風Wを、糸半田切断機構部40の動作方向に直交する方向から送り込み、スペースにエアカーテンACを作り出すようにしている。このスペースは、正面視すると、
図4に示すように支持板90とノズルユニット5とサスペンションユニット4,5に囲まれた領域である。この領域へ向かって送風することにより、ノズルユニット5におけるノズル60上方(すなわち中間体70の上方)が送風の中心部により冷却されるとともに、サスペンションユニット4も送風の側方部により冷却される。
【0026】
これにより、糸半田切断機構部40がノズル60上方にない退避位置にあるときにファン80が稼働すると、ノズル60からの520℃の熱は上方に伝熱させ難くなる。その結果、ヒータは550℃まで熱されても冷風WからなるエアカーテンACのみならず、中間体70の上述した作用も相まって、80℃を超えるどころか例えば55℃以下にまで有効に温度上昇が抑えられる。これにより、半田片2bの一部の意図しない溶融が偶発的に始まってしまうこともない。
【0027】
つまり、不要に糸半田切断機構部40に半田片2bが付着し、ひいては半田付け装置1の動作に支障を来してしまう可能性も有効に回避せしめている。そこで本実施形態ではノズル60上方に風、換言すれば層流たる冷風Wが通るようにして、ノズル60上方の温度が55℃を超えないようにし、結果、糸半田切断機構部40の温度が不要に上がり過ぎない。
【0028】
更に詳述すると、本実施形態にて行うような定量半田付け工法において熱引きが大きいデバイスの半田付けには、ノズル60の温度を上述の通り高くする必要がある。その反面、糸半田切断機構部40や他の機構部は許容温度以下にする必要がある。
【0029】
そこで本実施形態では、
図3、
図4に上方への矢印として示す対流熱Hはファン80を設けることで、層流たる冷風WによりエアカーテンACを設け上部に伝熱させない工夫をした。
【0030】
その結果、本実施形態では、中間体70上方のスペースの温度を55℃以下と画期的に温度を抑えることに成功し、高速且つ安定した半田片2bの供給を実現した。これにより、80℃でフラックスの溶融が始まり得る半田付けにおいて、ヒータ51の熱が伝達して溶融箇所(すなわち半田片供給通路63内)以外でフラックスが溶融してしまうことを確実に防止でき、常に安定した半田付けを実現することができる。さらに、上部50aの上方で送風するように気体の流れを制御しているため、ノズル60の温度に対する影響を極力抑制でき、この実施例では2℃~10℃程度の温度低下に抑制できる。そのうえ、ノズル60の半田片供給通路63内で半田片2bが溶融した際に生じるヒュームが熱気により上方へ移動しようとしても、ファン80による送風で拡散されて外部へ放出される。これにより、半田付け装置1の各機構部(特にヘッド部3内の糸半田供給ガイド16、糸半田送り出し機構部17、押し込みロッド18、糸半田切断機構部40等)にヒュームが付着して機能不全が生じることを防止できる。
【0031】
なお、ファン80による送風は、糸半田切断機構部4が退避位置にある間とする、あるいは半田付け動作のためにヒータ51による加熱が行われている間はずっと送風する、もしくは、ノズル60の半田片供給通路63に半田片2bを供給してする時点かその少し手前で送風を停止して半田付け完了すると送風開始することで半田付け時の半田溶融を妨げずにそれ以外はずっと送風するなど、適宜の構成とすることができる。このようにすることで、適切に冷却し、かつ、半田溶融を好適に行うことができる。
【0032】
ヘッド部3の可動範囲は、搬送幅方向移動ユニット8の上方に位置する待機位置(
図1に示すP1の位置)と、プリント基板Pに対して半田付けを行う半田付け領域E1,E2(
図1のE1と
図2のE2で囲まれる領域)とになる。ヘッド部3は、これらの待機位置、及び半田付け領域のどの位置であっても近接離間方向移動ユニット6によって移動される。
【0033】
この構成により、半田付け装置1は、待機時にはノズル60を待機ポジションP1の高さおよび位置に待機しておき、半田付け工程を実行するときは半田付け領域E1,E2内で待機ポジションP1よりも低い(半田付け対象に近い)半田付けポジションP2の高さにて半田付けを行う。
【0034】
図5は、半田付け装置1の駆動系および制御系の構成を示すブロック図である。半田付け装置1は、搬送幅方向移動ユニット8(
図1参照)に固定されて搬送路9(
図1参照)へ向かって真っすぐ伸びるY方向(搬送幅方向,
図2の奥行方向)の搬送ガイド7fと、ステッピングモータ等の駆動機構部7eによりY方向の搬送ガイド7fに沿って移動するX方向(搬送方向,
図2の左右方向)の搬送ガイド7cが設けられている。この駆動機構部7eおよびY方向の搬送ガイド7fは、搬送幅方向移動ユニット8(
図1参照)内に収納されている。X方向の搬送ガイド7cは、搬送路9の搬送方向(X方向)へ向かって真っすぐ伸びている。
【0035】
X方向の搬送ガイド7cの上部には、X方向の搬送ガイド7cに沿ってX方向に移動する移動体7aと、この移動体7aをX方向の搬送ガイド7cに沿ってX方向へ移動させるステッピングモータ等で構成された駆動機構部7bが設けられている。この移動体7a、駆動機構部7b、およびX方向の搬送ガイド7cは、搬送方向移動ユニット7(
図1参照)内に収納されている。この移動体7a、駆動機構部7b、X方向の搬送ガイド7c、駆動機構部7e、およびY方向の搬送ガイド7fは、作業させたい任意の位置へノズル60を移動させるノズル位置移動手段として機能する。
【0036】
移動体7aには、ノズル60がスルーホールに近接/離間する方向に伸びるZ方向(高さ方向)の搬送ガイド5cが設けられている。この搬送ガイド5cには、Z方向に移動するヘッド固定部5a、およびステッピングモータ等で構成される駆動機構部5bが設けられている。ヘッド固定部5a、駆動機構部5b、および搬送ガイド5cは、ノズル60を半田付け対象に近接/離間させる方向へ移動させる近接離間方向移動手段として機能し、近接離間方向移動ユニット6(
図1参照)内に収納されている。
【0037】
このように構成されたY方向の搬送ガイド7fとX方向の搬送ガイド7c、および駆動機構部7b,7eがノズル位置移動手段として機能することにより、ノズル60の位置を半田付けする任意の位置へ移動させることができる。また、Z方向の搬送ガイド5cおよび駆動機構部5bが近接離間方向移動手段として機能することにより、移動させた位置でノズル60を近接方向へ移動させてノズル60の孔(後述の半田片供給通路63)内に半田付けするピンを挿通しノズル60の先端をスルーホールに当接させる等の半田付け位置にて半田付け対象に当接または近接させ、半田付け後に離間させることができる。また、Z方向の搬送ガイド5cおよび駆動機構部5bにより、ノズルステーション(図示省略)で交換用のノズル60またはヒータ51に近接する方向へ移動させ、ノズル60またはヒータ51を交換した後に離間させることができる。
【0038】
ヘッド固定部5aには、ヘッド部3が固定されている。
ヘッド部3は、フローティングユニット15に固定され、糸半田2(
図1参照)を挿通する糸半田供給ガイド16と、糸半田供給ガイド16内の糸半田をローラで挟み込んで送り出す糸半田送り出し機構部17が設けられ、底部に糸半田切断機構部40(半田片供給手段)を備えている。この糸半田切断機構部40は、ステッピングモータ等により構成される回転機構部19(移動手段)によりノズルユニット5の上部位置からその側方の退避位置までの間で半田片の供給方向(近接離間方向)と直交する方向へ移動可能に構成されており、糸半田供給ガイド16に供給されてきた糸半田2(
図1参照)を回転機構部19の制御に従ってカットする。
【0039】
糸半田切断機構部40の下方には、少し離間して中間体70(熱伝達防止体)が設けられ、その中間体70の下方には、少し離間してノズル60が設けられている。このように、糸半田切断機構部40、中間体70、およびノズル60は、半田片2bの供給方向である下方へこの順で並べて配置されており、糸半田切断機構部40により糸半田2がカットされた半田片は、中間体70を通過してノズル60に供給される。
【0040】
また、これらの構成要素を駆動するべく、各要素は制御部21によって制御される。制御部21には、駆動機構部5b、駆動機構部7b、駆動機構部7e、フローティングユニット15、糸半田送り出し機構部17、回転機構部19、ヒータユニット密着確認センサ22、温度センサ23、着脱用エアシリンダ24、カメラ25、及び記憶部26が接続されている。
【0041】
カメラ25は、半田付け対象となるプリント基板のスルーホールおよびピンの位置等を確認して位置決めする際、および、半田付アカメが発生した場合等の半田付け異常を検出する際等に用いられる。
【0042】
記憶部26は、プリント基板等の半田付け対象ワークの画像と、この半田付け対象ワークに使用するツール(ノズル60、若しくはヒータ51)を関連づけた半田付け対象ワーク別ツールデータ、現在装着しているツールの種類、現在装着しているツールの使用回数および使用時間等のデータを記憶している。
【0043】
図6は、糸半田切断機構部40の構成を説明する説明図であり、
図6(A)は糸半田切断機構部40の分解斜視図、
図6(B)は糸半田切断機構部40の縦断面図を示す。
【0044】
糸半田切断機構部40は、下方へ繰り出されてきた糸半田2aを通過させる通路を有する糸半田供給ガイド16と、切断した半田片2bを複数収納する半田片収納体44と、半田片収納体44を移動させる回転機構部19(
図5参照)により構成されている。また、半田片収納体44には、収納された半田片2bの貯留/放出を制御するシャッタ36と、シャッタ36を付勢する付勢体35(付勢手段)とが設けられている。また、半田片収納体44とは分離して、シャッタ36を解放操作するシャッタ操作部49(シャッタ移動規制体)が設けられている。なお、半田片収納体44と、回転機構部19と、シャッタ36と、シャッタ操作部49は、半田片2bをノズル60の孔(後述の半田片供給通路63)に供給する半田片供給手段として機能する。
【0045】
糸半田供給ガイド16は、金属部材によって円筒形に形成されており、内側の孔(通路)に糸半田2aを長手方向へ通過させる。また、糸半田供給ガイド16は、糸半田2aの通過方向と直角の方向(糸半田2aの半径方向)へは移動しないように固定されている。
【0046】
付勢体35は、適宜のバネで構成することができ、本実施形態では金属製の鶴巻ばねにて構成されている。
【0047】
シャッタ36は、L字型に屈曲させた金属板により構成されており、L字の底面部が水平状態(近接離間方向に垂直な状態)の貯留/放出制御板部38であり、L字の鉛直面部が付勢体35に押圧される押圧操作部37である。貯留/放出制御板部38は、一直線に等間隔で複数の解放孔38a(貫通孔または貫通溝)が設けられている。本実施形態では解放孔38aは4つ設けられている。この解放孔38aの隣接部分(解放孔38aと解放孔38aの間部分を含む)は、半田片2bの落下を防止する閉鎖部として機能する。なお、シャッタ36に複数の解放孔38aを設けているが、これに限らず、複数の解放溝を設けて、シャッタ36の貯留/放出制御板部38が平面視櫛状に見える構成としてもよい。この場合も同じ機能を確保できる。
【0048】
半田片収納体44は、横長の立方体形状のブロック部43の下面に当該ブロック部43の短手方向の幅よりも幅広で長手方向に同じ長さのガイド部48が一体形成されている。ガイド部48には、長手方向に貫通するシャッタ挿入孔47が設けられている。このシャッタ挿入孔47は、高さと幅がシャッタ36の貯留/放出制御板部38の高さと幅よりわずかに大きく形成され、シャッタ36がブレなくスムーズに長手方向へスライド移動できるように構成されている。ブロック部43とガイド部48には、上下方向(近接離間方向)に貫通する半田片収納部45が一直線に等間隔で複数設けられている。本実施形態では4つ設けられており、シャッタ36の解放孔38aと同じ大きさで同じ間隔で設けられている。
【0049】
なお、シャッタ36の解放孔38aは、半田片収納部45よりも大きく形成されてもよい。これにより、確実に開放状態のときに半田片2bを落下させることができる。また、半田片収納部45は、孔によって形成されているが、これに限らず、複数部材で周囲を囲まれて半田片2bを囲み内に収容できる囲み形状とするなど、半田片2bを落下可能に収納する適宜の形状とすることができる。
【0050】
半田片収納体44の長手方向の一端上部には、半田片収納体44の長手方向に長いガイド板42の一端が連結されている。ガイド板42の他端には、ネジ止め用の孔41が設けられ、係止板32がネジ31によって孔41にネジ止めされている。
【0051】
係止板32は、上部にネジ41を挿通するネジ孔33が設けられている。係止板32のネジ孔33より下方部分には、シャッタ36の押圧操作部37に対向する押圧対抗面34が設けられている。この押圧対抗面34に付勢体35の一端が当接し、シャッタ36の押圧操作部37に付勢体35の他端が当接することで、押圧対抗面34から押圧操作部37までの距離よりも長く伸びた状態が通常状態である付勢体35は、押圧対抗面34と押圧操作部37が離れる方向へ付勢する。これによって、シャッタ36は、押圧操作部37が半田片収納体44の一端面に当接した状態に維持される。このとき、
図6(B)に示すように、半田片収納体44の半田片収納部45とシャッタ36の解放孔38aは位置がずれており、半田片収納体44の半田片収納部45がシャッタ36の貯留/放出制御板部38で閉じられた状態となっている。従って、半田片収納部45に存在する半田片2bは、シャッタ36の貯留/放出制御板部38によって下方へ落下しないように貯留されている。
【0052】
半田片収納体44のガイド板42と反対側には、半田片収納体44から離間した位置に半田片収納体44とは独立してシャッタ操作部49が設けられている。このシャッタ操作部49は、シャッタ36の貯留/放出制御板部38の押圧操作部37とは逆側の端面に対向して配置されている。従って、回転機構部19(
図5参照)の回転駆動によって半田片収納体44がシャッタ36と共にシャッタ操作部49側へ移動されていくと、シャッタ36の端面がシャッタ操作部49に当接する。そして、回転機構部19(
図5参照)の回転駆動によって半田片収納体44がさらに移動されると、シャッタ操作部49によってシャッタ36がそれ以上移動しないために半田片収納体44とシャッタ36の相対位置が変化していき、半田片収納体44の半田片収納部45とシャッタ36の解放孔38aの位置が同じ位置になって解放状態となり、半田片2bが下方へ落下する。
【0053】
半田片収納体44と糸半田供給ガイド16は、互いの対向面が当接して配置され、供給される糸半田2aの半径方向へ相対的に移動できるように構成されている。この実施では、糸半田供給ガイド16が固定され、半田片収納体44が糸半田2aの半径方向へスライド移動できる。従って、糸半田供給ガイド16から繰り出された糸半田2aの一部が半田片収納体44の半田片収納部45に供給されている状態で、半田片収納体44を糸半田2aの半径方向に移動させると、糸半田2aは、半田片収納体44と糸半田供給ガイド16の相対移動によって半田片収納体44と糸半田供給ガイド16の互いの当接面で切断される。従って、半田片収納体44と糸半田供給ガイド16が半田片2bを切断する半田片切断手段となる。切断された半田片2bは、半田片収納体44の半田片収納部45に収納される。
【0054】
また、半田片収納体44の上面と糸半田供給ガイド16の下面、シャッタ36の貯留/放出制御板部38は、全て半田片収納体44の移動方向と平行(特に本実施形態では水平方向)に構成されている。また、半田片収納部45の長手方向(半田片通過方向)とノズル60の半田片供給通路63(半田片供給通路,
図8参照)の長手方向(半田片通過方向)は、全て半田片収納体44の移動方向と垂直(特に本実施形態では鉛直方向)に構成されている。
【0055】
図7および
図8は、半田片収納体44によって糸半田2を切断して半田片2bを複数貯留し、その後にシャッタ36を開状態にして複数の半田片2bを落下させて中間体70を通過してノズル60に供給する動作を断面図により説明する説明図である。この動作は、制御部21(
図5参照)が糸半田送り出し機構部17および回転機構部19の駆動を制御して実行される。
【0056】
図7(A)の断面図に示すように、回転機構部19(
図5参照)の回転駆動によって、半田片収納体44は、シャッタ操作部49に最も近い半田片収納部45が糸半田供給ガイド16の下方位置で一直線に連通する状態で停止する。この状態で、巻かれていた糸半田2(
図1参照)の先端側から引き出されて棒状となっている糸半田2aが糸半田送り出し機構部17(
図5参照)によって送り出され、
図7(B)に示すように糸半田2aの先端が半田片収納部45内に収納される。そして、半田片収納体44と糸半田供給ガイド16の対向面部(接触面部)から糸半田2aの先端までの長さが必要な半田片2bの長さとなる状態まで糸半田2aを繰り出すと、糸半田送り出し機構部17(
図5参照)は糸半田2aの供給(繰り出し)を停止する。
【0057】
この状態で回転機構部19(
図5参照)の回転駆動によって、半田片収納体44をスライド移動させると、半田片収納体44と糸半田供給ガイド16の対向面部(接触面部)によって糸半田2aが切断されて半田片2bとなり、
図7(C)に示すように半田片2bが半田片収納部45に収納(貯留)される。
図7(C)は、この切断を半田片収納部45の数だけ(必要な数だけ)繰り返して切断完了した状態を示している。このときの半田片収納体44をスライド移動させる距離は、隣接する半田片収納部45の互いの中心間の距離と同一である。したがって、糸半田供給ガイド16の直下には、その前に対応していた半田片収納部45の隣の半田片収納部45が位置することとなる。
【0058】
回転機構部19(
図5参照)の回転駆動によって半田片収納体44をスライド移動させると、
図8に示すようにシャッタ36の先端がシャッタ操作部49に当接して押圧され、付勢体35が縮み、半田片収納体44の半田片収納部45とシャッタ36の解放孔38aが全て連通して複数の半田片2bが一斉に落下して下方の中間体70の貫通孔73を通過し、さらに下方のノズル60の半田片供給通路63へ供給される。なお、半田片2bを落下させる際に、押し込みロッド18(
図3参照)を全ての半田片収納部45に上方から下方へ挿入し、半田片2bを下方へ押し出して、強制的に半田片2bを下方のノズル60(
図5参照)に供給する構成としてもよい。
【0059】
中間体70は、
図8の縦断面図に示すように、糸半田切断機構部40の半田片収納体44とノズル60の間に、糸半田切断機構部40と半田片収納体44のどちらに対しても少し離間して配置されている。
【0060】
この中間体70は、アルミニウムにより一体成型されている。なお、中間体70の素材は、これに限らず、ステンレスや断熱セラミック等、他の素材とすることもできる。
【0061】
中間体70は、半田片2bが通過する複数の貫通孔73が、ノズル60の半田片供給通路63と同じ数だけ同じ間隔でそれぞれ半田片供給通路63に対向させて形成されている。この複数の貫通孔73は、半田片収納体44に対しても、半田片収納部45と同じ数だけ同じ間隔でそれぞれ半田片収納部45に対抗して配置されている。
【0062】
貫通孔73を半田片2bが通過する方向と直交する面方向の中間体70の大きさは、糸半田切断機構部40の半田片収納体44の対向面(図示下面)と、ノズル60の対向面(図示上面)のうち、いずれか小さい方の面積と同じかそれ以上の大きさで、かつ、当該小さい方の対向面全体をほぼ覆う形状若しくは完全に覆う形状に形成されている。好ましくは、糸半田切断機構部40の半田片収納体44の対向面(図示下面)と、ノズル60の対向面(図示上面)のうち、いずれか大きい方の面積と同じかそれ以上の大きさであることが好ましく。半田片収納体44の対向面(図示下面)と、ノズル60の対向面(図示上面)の両方をほぼ覆う構成であることがこのましく、この両方を完全に覆う構成であることがより好ましい。
【0063】
貫通孔73は、ノズル60側の開口の最短長さが、ノズル60の半田片供給通路63における中間体70側の開口の最短長さと同じになるように構成されている。この例では、正方形である半田片供給通路63の開口の最短長さである1辺の長さと、円形である貫通孔73の開口の最短長さである直径が同一の長さとなっている。なお、貫通孔73におけるノズル60側の開口の最短長さは、半田片供給通路63における中間体70側の開口の最短長さより短いことが好ましい。これにより、半田片2bが中間体70からノズル60へ移動する際に、離間している隙間S1にひっかかることをより確実に防止できる。
【0064】
また、貫通孔73は、半田片収納体44側の開口の最短長さが、半田片収納体44の半田片収納部45における中間体70側の開口の最短長さと同じになるように構成されている。この例では、円形である半田片収納部45の開口の最短長さである直径と、円形である貫通孔73の開口の最短長さである直径が同一の長さとなっている。なお、貫通孔73における半田片収納体44側の開口の最短長さは、半田片収納部45における中間体70側の開口の最短長さより長いことが好ましい。これにより、半田片2bが半田片収納体44から中間体70へ移動する際に、離間している隙間S2にひっかかることをより確実に防止できる。
【0065】
中間体70とノズル60の隙間S1は、半田片2bの長さよりも短く形成され、より好ましくは半田片2bの長さの半分以下に形成され、さらに好ましくは半田片2bの長さの3分の1以下に形成されている。これにより、隙間S1にて半田片2bが貫通孔73から半田片供給通路63へ受け渡されずにノズル60の外へ飛び出すことを防止できる。さらに、本実施形態における隙間S1は、半田片供給通路63の開口の最短長さおよび中間体70の貫通孔73の開口の最短長さよりも短く形成されている。これにより、隙間S1にて半田片2bがひっかかることをより確実に防止している。
【0066】
なお、この隙間S1は、対向している半田片供給通路63の開口と貫通孔73の開口との大きさと距離と半田片2bの長さと太さの関係で、半田片2bがひっかからない範囲の隙間とすることが望ましい。熱が伝わることを防止するには隙間S1が広い方が良いが、このようにすることで、安定した半田片2bの供給を実現でき、かつ、熱の放出は他の手段(ヒートシンクや冷却用空気)で補強することができる。
【0067】
半田片収納体44と中間体70の隙間S2は、半田片2bの長さよりも短く形成され、より好ましくは半田片2bの長さの半分以下に形成され、さらに好ましくは半田片2bの長さの3分の1以下に形成されている。これにより、隙間S2にて半田片2bが半田片収納部45から貫通孔73へ受け渡されずに中間体70の外へ飛び出すことを防止できる。さらに、本実施形態における隙間S2は、半田片収納部45の開口の最短長さおよび中間体70の貫通孔73の開口の最短長さよりも短く形成されている。これにより、隙間S2にて半田片2bがひっかかることをより確実に防止している。
【0068】
なお、この隙間S2は、対向している半田片収納部45の開口と貫通孔73の開口との大きさと距離と半田片2bの長さと太さの関係で、半田片2bがひっかからない範囲の隙間とすることが望ましい。熱が伝わることを防止するには隙間S2が広い方が良いが、このようにすることで、安定した半田片2bの供給を実現でき、かつ、熱の放出は他の手段(ヒートシンクや冷却用空気)で補強することができる。
【0069】
図9および
図10は、ノズル60とヒータ51の構成を説明する説明図であり、
図9(A)は分解斜視図、
図9(B)は斜視図、
図10は縦断面図を示す。
図11は、ノズル60とヒータ51の横断面図を示す。
【0070】
ノズル60は、第1部材61と第2部材65の2つの部材を重ね合わせて(当接させて)形成されている。第1部材61と第2部材65は、いずれもセラミックにより形成されている。
【0071】
第1部材61は、一部材として一体形成された直方体形状の一面に鉛直方向(近接離間方向)に一直線の半田片誘導溝63a(溝)が複数平行に形成されている。また、第1部材61は、半田片誘導溝63aが設けられた面の隣となる側面に、固定溝62が設けられている。
【0072】
第2部材65は、外形が第1部材61と対称となる形状で同じ大きさの直方体に形成されている。すなわち、第2部材65は、第1部材61との対向面65aが、半田片誘導溝63aのない平面であり、第1部材61と当接する面の大きさおよび形状が同じようになるように形成されている。また、第2部材65は、第1部材61との対向面の隣となる側面に、固定溝66が設けられている。この固定溝66の位置および深さは。第1部材61の固定溝62と同一に形成されている。
【0073】
第2部材65は、第1部材61との対向面に近い位置で、複数の半田片誘導溝63aが並べられた並び方向に貫通するヒータ用貫通孔67が設けられている。このヒータ用貫通孔67には、ヒータ51の加熱部52が挿入される。図示の例では、ヒータ用貫通孔67の両端の開口から2つのヒータ51の各加熱部52がそれぞれ挿入されている。2つの加熱部52は、全ての半田片供給通路63(
図11参照)に対応させて、半田片供給通路63の配列方向(
図11の左右方向)に一直線で、かつ、全ての半田片供給通路63からの距離が等距離となるように配置されている。これにより、全ての半田片供給通路63に対してほぼ同一の加熱を行うことができ、半田片供給通路63毎に半田片供給通路63の壁面温度や半田片2bの溶融速度に差が出ないようにしている。
【0074】
また、第2部材65は、第1部材61との対向面と反対側の面の中央に孔68が設けられ、この孔68に熱電対57が挿入されている。熱電対57は、温度センサ23(
図5参照)として機能し、ノズル60の温度を測定する。
【0075】
これらがすべて組み合わせされると、
図9(B)に示すように、第1部材61と第2部材65の対向面同士が隙間なく当接され、第1部材61の半田片誘導溝63a(
図9(A)参照)と、第2部材65の対向面65aのうち半田片誘導溝63aと対向している対向部分65b(対向部,
図11参照)とで半田片2bを端子Tに当接させる位置まで誘導する半田片供給通路63が形成される。この半田片供給通路63は、鉛直方向(近接離間方向)に一直線で、かつ、複数(本実施形態では4つ)が平行で等間隔に配置されている。また、本実施形態では、半田片供給通路63が断面正方形となるように形成されている。なお、半田片供給通路63は、断面正方形に限らず、断面多角形、断面楕円形、断面円形など、適宜の形状とすることができ、断面円形とすることが好適である。
【0076】
各半田片供給通路63(および半田片誘導溝63a)は、半田片収納体44(
図8参照)の半田片収納部45と同じ大きさで同じ間隔に形成されている。
【0077】
従って、
図8に示したように一斉に(ほぼ同時に)落下する半田片2bは、その下方位置にて半田片収納部45と貫通孔73と半田片供給通路63が一直線に連通するように配置された状態で、中間体70の貫通孔73を通過して、ノズル60の半田片供給通路63に、
図10に示すように一斉に(ほぼ同時に)供給される。
【0078】
半田付けをするとき、ノズル60は、下端がプリント基板PのランドRに接触する位置まで下げられており、この位置にて上述した半田片2bの供給を受ける。このとき、半田片2bは、プリント基板Pの電子部品Cの端子Tの先端(若しくは半田片供給通路63の半田片誘導方向(
図10の下方)に対して最も凸となる端部(
図10の上端))に接触して停止する。図示の例では端子Tの上に半田片2bが乗った状態で停止する。
【0079】
そして、ノズル60の半田片供給通路63に供給された半田片2bは、ヒータ51の加熱部52からの熱をうけて溶融する。このとき、加熱部52の熱が半田片2bから端子Tに伝達され、この伝達熱によって端子Tも徐々に加熱されていく。また、ランドRについては、ノズル60から直接熱を受け、端子Tよりも先に加熱されている。
【0080】
そうして、半田片2bが溶融温度に達すると、半田片2bが溶融するが、まだ端子Tの上に略球状となって載った状態となる。この間も端子Tを伝達熱で加熱する。そして、さらに端子Tの加熱が進むと、半田片2bが溶融した複数(4つ)の溶融半田が端子Tに沿って流れ出し、複数(4つ)の端子T(第2導体)とランドR(第1導体)を一斉に(同時に)半付けして電気的に接続する。その後、ノズル60を上方へ移動させて離間させ、溶融半田が冷えて固化することで、複数箇所の半田付けが一斉に(同時に)完了する。
【0081】
図12および
図13は、中間体70の構成を示す説明図である。
図12(A)は、中間体70を上方左正面から見た斜視図であり、
図12(B)は、中間体70を下方左正面から見た斜視図であり、
図13(A)は中間体70の底面図であり、
図13(B)は中間体70の正面図である。
【0082】
中間体70は、
図12(A)に示すように、全体が横長で上下に平たい略直方体形状であり、長手方向に向かって左右に貫通する通気孔71が設けられている。この通気孔71は、中間体70の短手方向(図示奥行き方向)の中央より手前側に中心線と平行に一直線に形成されている。
【0083】
中間体70は、厚み方向(上下方向、半田片通過方向)に一直線に貫通する貫通孔73が複数均等間隔で配置されている。
【0084】
各貫通孔73は、糸半田切断機構部40(
図8参照)が存在する上方の開口に近い内側から通気孔71に向かって斜めに一直線に形成された接続孔76がそれぞれ設けられている。この接続孔76により、各貫通孔73は、通気孔71に連通され、通気孔71から供給される空気(冷媒)が接続孔76を通じて貫通孔73に流れ込む。なお、冷媒は空気やガス等の気体に限らず冷却水等の液体としてもよい。
【0085】
通気孔71は、貫通孔73と逆側である手前側に向かって真っすぐ貫通する複数の排気孔72が、各貫通孔73に対向させて同じ間隔で配置されている。この排気孔72は、通気孔71と直角に配置されて連通しており、通気孔71から供給された空気を排気する。
【0086】
これらの通気孔71、排気孔72、および貫通孔73により、通気孔入口側71aから供給される冷却用の流入空気a1は、通気孔出口側71bから排出空気a4として排出されるだけでなく、接続孔76を通じて貫通孔73に流れ込み上下から排出空気a2として排出され、かつ、複数の排気孔7から排出空気a3として排出される。
【0087】
中間体70の下面側には、通気孔71や貫通孔73や排気孔72が存在しない部分に前後方向に切削または型抜き等によって形成された溝74が複数設けられている。この溝74が設けられていないリブ状の部分がヒートシンク75を形成する。これにより、ノズル60から受け取る熱をヒートシンク75で効率よく放熱することができる。
【0088】
このように、中間体70は、ノズル60から受けた熱を、通気孔71、排気孔72、および貫通孔73にて通過する冷却空気によって放熱するとともに、ヒートシンク75によって放熱する。したがって、ノズル60からの熱を受けても効率よく放熱して糸半田切断機構部40に熱が伝わらないようにすることができる。
【0089】
次に、半田付けの動作について詳細に説明する。
<半田付けの動作>
図10の断面図に示すように、半田付けの母材として、ランドRが形成されたプリント基板Pに、当該プリント基板Pのスルーホールにプリント基板Pの表面側から裏面側(
図10では下面側から上面側)に向けて電子部品Cの端子Tが挿入されたものが準備されている。
【0090】
<位置合わせ工程>
制御部21は、Y方向の搬送ガイド7fとX方向の搬送ガイド7c、および駆動機構部7b,7eにより、ノズル60の複数の半田片供給通路63の位置をXY平面上で移動させて半田付けする複数のランドRに対向させる。このときの位置は、プリント基板Pの裏面側のランドRの中心と半田片供給通路63の中心がほぼ一致する位置とする、または、端子Tの先端中心と半田片供給通路63の中心がほぼ一致する位置とする。
【0091】
<半田片切断収納工程>
制御部21は、糸半田送り出し機構部17によって半田片収納体44内の1つの半田片収納部45に糸半田2aを必要長さまで供給し、回転機構部19を駆動させて半田片収納体44を糸半田2aの半径方向(太さ方向)へ移動させ、糸半田切断機構部40(糸半田切断手段)により糸半田2をカットして半田片2bを得て半田片収納部45に収納する。このとき、シャッタ36は閉鎖状態となっているため、半田片収納部45から半田片2bが落下することは無い。この動作を繰り返すことで、全ての半田片収納部45に1つずつ必要長さの半田片2bを収納する。なお、この半田片切断収納工程は、前記ノズル近接工程よりも前に実行する、あるいは、ノズル近接工程と並行して実行するなど、適宜のタイミングとすることができる。
【0092】
<ノズル近接工程>
制御部21は、駆動機構部5bにより搬送ガイド5cに沿ってフローティング状態のヘッド部3をランドRとの近接方向へ移動させて、ノズル60の先端面(図示下端面)をプリント基板Pの裏面側のランドRの表面に当接させる。これにより、ノズル60の半田片供給通路63の内側に端子Tの先端が挿入された状態となる。
【0093】
このとき、端子Tはノズル60の半田片供給通路63の内壁から等距離だけ離れており、端子Tとノズル60が非接触で離間した状態が保たれている。これにより、ノズル60から端子Tに直接熱が伝達されることを防止しており、端子Tは、輻射熱伝達および対流熱伝達により徐々に加熱される。一方で、プリント基板PのランドRは、接触するノズル60からの直接の熱伝導と、対流熱伝達による伝熱で急速に加熱される。
【0094】
<半田片供給工程>
制御部21は、回転機構部19を駆動させて半田片収納体44をさらに移動させ、シャッタ36がシャッタ操作部49に当接して押圧されるまで移動させる。これにより、シャッタ36の複数の解放孔38aが複数の半田片収納部45とそれぞれ連通し、複数の半田片2bが一斉に落下し、中間体70の貫通孔73を通過し、さらに、ノズル60の複数の半田片供給通路63に1つずつ供給される。このとき、シャッタ36を開いた半田片収納体44は、支持板90と、ノズル60及び中間体70の間のスペースをほぼ埋める状態となる。またこのとき、押し込みロッド18(
図3参照)により半田片2bを上方から押し込むことで、仮に自由落下しない半田片2bが存在しても半田片2bが端子Tの先端に当接するまで確実に下降する。上方から落下するように供給された半田片2bは、半田片供給通路63を通過中に予熱され、端部が端子Tに当接して当接位置で停止し、位置および落下が規制される。このとき、半田片供給通路63の内壁は、半田片2bが端子Tの先端の上で垂直または斜めに立っている状態から落下しないように規制する落下規制部として機能する。
【0095】
<溶融工程>
当接位置に案内された溶融前の半田片2bは、その位置から落下することなく、端子Tと反対側の端部などの少なくとも一部が、ヒータ51の加熱部52の近くに位置して半田片供給通路63の内壁に当接する。このため、当接位置にある溶融前の複数の半田片2bは、半田片供給通路63の内壁に当接した半田片2bの一端部、両端部、又は側部を介した熱伝導により一斉に溶融される。なお、この半田片2bの溶融のとき、ノズル60と接触しての直接熱伝導に加えて、ノズル60からの輻射熱伝達、および、ノズル60内を対流する熱風による対流熱伝達などの間接熱伝導も行われる。
【0096】
複数の半田片2bは、溶融すると表面張力によりそれぞれ丸まって略球状になろうとするが、ノズル60の半田片供給通路63の内壁と端子Tの先端に規制されるため真球になれず、端子Tの先端に接触している状態(端子Tの上に載っている状態)で太く短い形状に変形する。この形状は、短い円柱の両端が球面になった形状となっている。
【0097】
こうして溶融すると、ノズル60から複数の半田片2bに熱が伝わり、さらに、複数の半田片2bから複数の端子Tにそれぞれ熱が伝わることで、複数の端子Tは以前にも増して急速に加熱される。この加熱中、溶融した半田片2bは端子Tに接触した状態、すなわち端子Tの上に載った状態で半田片供給方向(下方向)へ移動せずに停止している。尚、半田片2bが溶融するのは、217℃以上である。
【0098】
溶融した半田片2bを介して適正温度にまで端子Tが加熱されると、溶融した複数の半田片2bは、ぬれ始め、端子Tの先端から端子Tの側面を伝って一斉に流れ出す。ここで、溶融しはじめてから流れ出す前の半田片2bは、位置が停止したままで熱の影響等によって形状が変化し続けていても良い。そして、端子Tの側面を伝って流れ出した溶融した半田片2bは、裏面側のランドRに広がり、さらに、毛細管現象により、端子Tの側面とスルーホールに面するランドRとの隙間にも流入する。そして、表面側のランドRにも広がっていく。
【0099】
このとき、溶融半田から出てくるヒュームは、半田片供給通路63を通過して中間体70の貫通孔73に流れ込み、通気孔71や排気孔72や貫通孔73から排出される。したがって、中間体70は、ヒューム排出機能を兼ねることができる。
【0100】
<ノズル離間工程>
その後、制御部21は、駆動機構部5bにより搬送ガイド5cに沿ってフローティング状態のヘッド部3をランドRとの離間する方向へ移動させ、ノズル60の先端面をプリント基板Pの裏面側のランドRの表面から離隔する。これにより、ランドR、端子T、及び溶融した半田片2bは急速に冷却され、溶融した半田片2bが固化して半田付け動作は終了する。
【0101】
溶融した半田片2bのこのような動きにより、複数の端子Tは複数のランドRにそれぞれ確実に半田付けされる。こうして一斉に(ほぼ同時に)半田付けされた複数箇所の半田の仕上がり外観は美しく、バックフィレット形状も綺麗に形成される。
【0102】
また、このようにノズル60を離間させた後、通気孔71に冷却用空気を流し込み排気孔72や貫通孔73から排出することで、ノズル60に近接していて加熱された中間体70が効率よく冷却される。これにより、糸半田切断機構部40にまで熱が伝わって糸半田切断機構部40の下部が熱くなって半田片収納部45に収納されシャッタ36の上に載っている半田片2bが熱で溶融してしまうことを防止できる。
【0103】
なお、半田片誘導溝63aは、複数とすることが好ましいが、1つとしてもよい。この場合、糸半田切断機構部40の半田片収納部45も1つとし、中間体70の貫通孔73も1つとすることが好ましい。このように構成した場合には、1か所ずつ半田づけできるノズル60を形成することができる。
【0104】
以上の構成及び動作により、半田付け装置1の半田溶融時の熱により生じ得る問題を解決できる。すなわち、ノズル60の熱が糸半田切断機構部40に伝達されて半田片収納部45に収納されシャッタ36の上に載っている半田片2bが熱すなわち対流熱Hで溶融してしまうことを防止できる。
【0105】
特に本実施形態では、ノズル60の熱が半田片供給手段たる糸半田切断機構部40へ伝達することを防止することが、半田付け装置の小型化、高速化、および半田片2bの供給の安定化に更に貢献している。したがって、半田片2bが途中で溶融して適切にノズル60の半田片供給通路63に供給されないといったことをより有効に防止せしめている。
【0106】
詳述すると、例えば、半田付け装置1の小型化や軽量化を図る上で、糸半田切断機構部40からノズル60までの半田片2bの供給路を短くすることが考えられる。この場合、できるだけ糸半田切断機構部40をノズル60に近づけることが好ましいが、近づければ近づけるほど、半田付けのために高温に加熱されているノズル60の熱が糸半田切断機構部40に伝わることとなる。そうすると、糸半田切断機構部40内で半田片2bやフラックスが一部溶融してしまうことが生じ得る。このようなことが生じると、半田片2bが落下しない、半田片2bの一部が残存してしまうため残りの落下する半田片2bが量不足になる、次の半田片2bが詰まるなど、様々な不具合が生じ得る。このようなことを、中間体70のみならず、ファン80を動作させることによって防止することができる。
【0107】
また、半田付け装置1の高速化を図る際にも、糸半田切断機構部40からノズル60までの半田片2bの供給時間を短縮するため、糸半田切断機構部40をできるだけノズル60に近接させるといったことが考えられる。この場合も、同様に半田片2bが半田切断機構部40内で溶融することを、仕切りとして機能する中間体70を更に設けることによって防止でき、このような溶融による上述の不具合を防止することができる。
【0108】
加えて中間体70は、通気孔71、排気孔72、貫通孔73、および接続孔76を備えているため、冷却用の空気を通過させて効率よく冷却できる。これにより、半田付け装置1を長時間連続運転する場合でも、中間体70に徐々に熱が蓄積されることを防止でき、糸半田切断機構部40に徐々に熱が蓄積されることも防止できる。
【0109】
また、ファン80が冷風Wを送り出す方向は、糸半田切断機構部40の動作方向に直交する方向となるようにしているので、糸半田切断機構部40が退避姿勢にあるときに効率よく冷風Wを送り込み、エアカーテンACを好適に作り出すことができる。また、支持板90によって、ファン80によって移動する気体がヘッド部3の上方の機構、すなわち糸半田供給ガイド16、糸半田送り出し機構部17、および押し込みロッド18の存在する領域には流入しない。このため、冷風Wがヒータ51やノズル60で加熱されて熱い気体になったとしても、この加熱された気体が糸半田供給ガイド16、糸半田送り出し機構部17、および押し込みロッド18といった各機構を加熱することを防止できる。
【0110】
なお、この発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、様々な実施形態とすることができる。
【0111】
例えば、上記実施形態ではファンを一台のみ取り付けた態様としたが勿論、複数のファンを用いて複数方向から送風を行う構成とすることも可能である。また、上記実施形態の如くヘッド部にファンを固定する態様の代わりにヘッド部とは別体にファンを位置づけたり、風を送り込むのではなくノズル上部の空気を除去する作用を奏するファンを適用したりするなど、本発明の趣旨に反しない限り種々の変形を行うことができる。
【0112】
また、半田付け対象である第1導体と第2導体は、プリント基板Pの端子TとランドRに限らず、例えば、モータの端子とリード線とする、プリント基板の配線上に寝かした状態で置いた端子と当該配線とする、など、適宜の半田付け対象とすることができる。これらの場合も同様にノズルを第1導体に近接または当接させた状態で第1導体と第2導体を半田付けして電気的に接続することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
この発明は、生産設備で半田付けを実行するような産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1…半田付け装置
2b…半田片
3…上部ユニット(ヘッド部)
4…サスペンションユニット
5…ノズルユニット
17…糸半田送り出し機構部
40…カットユニット(糸半田切断機構部)
51…ヒータ
52…加熱部
60…ノズル
70…中間体
80…ファン
H…対流熱
W…風(冷風)
AC…エアカーテン