(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20220729BHJP
A47L 15/42 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A47L15/46 D
A47L15/46 Z
A47L15/42 B
(21)【出願番号】P 2018231395
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112041(JP,A)
【文献】特表2000-511802(JP,A)
【文献】特開2013-120614(JP,A)
【文献】特開2018-117809(JP,A)
【文献】特開2018-94416(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0123260(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L15/00-15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、側面側又は上面側が開放されてなる開口を有し、食器が収容される洗浄槽と、
前記開口を閉塞及び開放可能な蓋体と、
前記筐体内に設けられ、前記洗浄槽内に洗浄水を噴射するノズルと、
前記筐体内に設けられ、前記ノズルに前記洗浄水を供給するポンプと、
前記筐体内に設けられ、前記ポンプを制御する制御部と、を備え、
前記洗浄槽及び前記蓋体の一方である可動体は、手動操作によって、前記開口が前記蓋体によって閉塞される第1位置と、前記開口が前記蓋体によって開放され、前記食器を出し入れ可能な第2位置との間で移動可能であり、
前記制御部は、前記開口が前記蓋体によって閉塞される状態において前記ポンプを作動させ、前記ノズルから前記洗浄槽内に前記洗浄水を噴射する洗浄動作を実行する食器洗浄機であって、
前記可動体を前記第1位置から前記第2位置に向けて移動させるための第1動作を検知する第1センサと、
前記第1センサが前記第1動作を検知したときにおける前記可動体の位置である第1動作検知位置から、前記第2位置に向けて前記可動体をさらに移動させる第2動作を検知する第2センサと、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1センサが前記第1動作を検知したときに、前記ポンプを停止させて前記洗浄動作を中止するとともに、前記第1センサが前記第1動作を検知してから前記第2センサが前記第2動作を検知するまでの経過時間に基づいて、前記可動体を前記第1位置から前記第2位置に向けて急激に移動させる急操作が行われたことを検知する急操作検知部を含んでいることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
報知を行う報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記急操作検知部が前記急操作を検知したときに、前記報知部を制御して、前記急操作の発生を報知する請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記急操作検知部が前記急操作を検知したときに、前記急操作の発生を前記記憶部に記憶させる請求項1又は2記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記制御部は、前記急操作の検知回数を前記記憶部に記憶させる請求項3記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記制御部は、ネットワークを介して外部情報端末と接続され、前記急操作検知部が前記急操作を検知したときに、前記制御部の認証番号と、前記急操作の発生とを前記外部情報端末に送信する請求項3又は4記載の食器洗浄機。
【請求項6】
前記筐体と前記可動体との間に設けられ、前記手動操作によって、前記第1位置にある前記可動体の移動を禁止するロック状態と、前記第1位置にある前記可動体の移動を許容するアンロック状態と、に切り替わるロック機構をさらに備え、
前記第1センサは、前記ロック機構が前記ロック状態から前記アンロック状態に切り替わったことを検知するロックセンサであり、
前記第2センサは、前記第1動作検知位置よりも前記第2位置側に設定される前記可動体の位置であって前記開口と前記蓋体との間に隙間が生じる前の位置である第2動作検知位置に前記可動体が移動したことを検知する位置センサである請求項1乃至5のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【請求項7】
前記筐体は、前記筐体の側面側を開放し、前記筐体内と外部とを連通させる筐体開口部を有し、
前記可動体は、前記上面側が開放されてなる前記開口を有する前記洗浄槽であり、
前記蓋体は、前記筐体内の上側に配置され、
前記洗浄槽は、前記手動操作によって、前記筐体内に収容されて前記筐体開口部を閉塞するとともに前記開口が閉塞される前記第1位置と、前記筐体内から前記筐体開口部を介して引き出されて前記開口が開放され、前記食器を出し入れ可能な前記第2位置との間で移動可能である請求項1乃至6のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機の一例が開示されている。この食器洗浄機は、筐体、洗浄槽及び蓋体を備えている。筐体は、筐体開口部を有している。筐体開口部は、筐体の側面側を開放し、筐体内と外部とを連通させている。洗浄槽は、筐体内に設けられている。洗浄槽は、上面側が開放されてなる開口を有しており、食器が収容される。蓋体は、筐体内の上側に配置され、洗浄槽の開口を閉塞及び開放可能である。
【0003】
洗浄槽は、ユーザの手動操作によって、筐体内に収容されて筐体開口部を閉塞するとともに開口が蓋体によって閉塞される第1位置と、筐体内から筐体開口部を介して引き出されて開口が蓋体によって開放され、食器を出し入れ可能な第2位置との間で移動可能である。
【0004】
また、この食器洗浄機は、筐体内にそれぞれ設けられたノズル、ポンプ及び制御部を備えている。ノズルは、洗浄槽内に洗浄水を噴射する。ポンプは、ノズルに洗浄水を供給する。制御部は、ポンプを制御する。
【0005】
さらに、この食器洗浄機は、ロックセンサを備えている。ロックセンサは、洗浄槽を第1位置から第2位置に向けて移動させるための動作、すなわち、ロックレバーの回動を検知する。
【0006】
このような食器洗浄機において、制御部は、開口が蓋体によって閉塞される状態においてポンプを作動させ、ノズルから洗浄槽内に洗浄水を噴射する洗浄動作を実行する。そして、制御部は、ロックセンサがロックレバーの回動を検知したときに、ポンプを停止させて洗浄動作を中止する。これにより、ノズルから噴射された洗浄水が洗浄槽の開口と蓋体との隙間から筐体内に漏れ出す不具合が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の食器洗浄機では、洗浄槽を第1位置から第2位置に向けて急激に移動させる急操作が行われる場合、ポンプを停止させる直前にノズルから噴射された少量の洗浄水が洗浄槽の開口と蓋体との隙間から筐体内や、筐体外の食器洗浄機外部に滴下することを抑制し難い。このため、この食器洗浄機では、筐体内に滴下した少量の洗浄水を水漏れと誤検知したり、その滴下した洗浄水が付着した筐体内の構成部品に不具合が発生したり、食器洗浄機の設置場所の周囲を汚したりする等のおそれがある。また、ユーザが急操作を認識できない場合には、上記の不具合が再発したり、別の不具合を誘発したりするおそれもある。その結果、この食器洗浄機では、より長期に亘って安定的に使用可能であることが望まれる。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、より長期に亘って安定的に使用可能な食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の食器洗浄機は、筐体と、
前記筐体内に設けられ、側面側又は上面側が開放されてなる開口を有し、食器が収容される洗浄槽と、
前記開口を閉塞及び開放可能な蓋体と、
前記筐体内に設けられ、前記洗浄槽内に洗浄水を噴射するノズルと、
前記筐体内に設けられ、前記ノズルに前記洗浄水を供給するポンプと、
前記筐体内に設けられ、前記ポンプを制御する制御部と、を備え、
前記洗浄槽及び前記蓋体の一方である可動体は、手動操作によって、前記開口が前記蓋体によって閉塞される第1位置と、前記開口が前記蓋体によって開放され、前記食器を出し入れ可能な第2位置との間で移動可能であり、
前記制御部は、前記開口が前記蓋体によって閉塞される状態において前記ポンプを作動させ、前記ノズルから前記洗浄槽内に前記洗浄水を噴射する洗浄動作を実行する食器洗浄機であって、
前記可動体を前記第1位置から前記第2位置に向けて移動させるための第1動作を検知する第1センサと、
前記第1センサが前記第1動作を検知したときにおける前記可動体の位置である第1動作検知位置から、前記第2位置に向けて前記可動体をさらに移動させる第2動作を検知する第2センサと、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1センサが前記第1動作を検知したときに、前記ポンプを停止させて前記洗浄動作を中止するとともに、前記第1センサが前記第1動作を検知してから前記第2センサが前記第2動作を検知するまでの経過時間に基づいて、前記可動体を前記第1位置から前記第2位置に向けて急激に移動させる急操作が行われたことを検知する急操作検知部を含んでいることを特徴とする。
【0011】
本発明の食器洗浄機では、急操作検知部は、第1センサが第1動作を検知してから第2センサが第2動作を検知するまでの経過時間に基づいて、可動体を第1位置から第2位置に向けて急激に移動させる急操作が行われたことを検知する。このため、制御部は、急操作検知部による急操作の検知に基づいて、急操作に対応する各種の処理を適宜行って、不具合の再発、不具合の放置、又は別の不具合の誘発を抑制できる。
【0012】
したがって、本発明の食器洗浄機では、より長期に亘って安定的に使用できる。
【0013】
本発明の食器洗浄機は、報知を行う報知部をさらに備えていることが望ましい。そして、制御部は、急操作検知部が急操作を検知したときに、報知部を制御して、急操作の発生を報知することが望ましい。この場合、制御部が報知部を制御して急操作の発生をユーザに報知することで、急操作の再発を抑制できる。
【0014】
本発明の食器洗浄機は、情報を記憶する記憶部をさらに備えていることが望ましい。そして、制御部は、急操作検知部が急操作を検知したときに、急操作の発生を記憶部に記憶させることが望ましい。この場合、例えば、整備作業時に記憶部に記憶された急操作の発生についての情報を確認することで、筐体内や、筐体外の食器洗浄機外部に滴下した少量の洗浄水の除去や、その滴下した洗浄水が付着した筐体内の構成部品の保守又は交換を行うことができる。また、例えば、整備者からユーザに対して、急操作と不具合との因果関係を知らせることで、急操作の再発を抑制できる。
【0015】
制御部は、急操作の検知回数を記憶部に記憶させることが望ましい。この場合、整備作業時に記憶部に記憶された急操作の検知回数についての情報を確認することで、不具合原因の特定精度を向上させることができる。
【0016】
制御部は、ネットワークを介して外部情報端末と接続され、急操作検知部が急操作を検知したときに、制御部の認証番号と、急操作の発生とを外部情報端末に送信することが望ましい。この場合、例えば、整備者が外部情報端末を経由して急操作の発生を迅速に把握できるので、整備作業の効率化を実現できる。
【0017】
本発明の食器洗浄機は、筐体と可動体との間に設けられ、手動操作によって、第1位置にある可動体の移動を禁止するロック状態と、第1位置にある可動体の移動を許容するアンロック状態と、に切り替わるロック機構をさらに備えていることが望ましい。そして、第1センサは、ロック機構がロック状態からアンロック状態に切り替わったことを検知するロックセンサであることが望ましい。また、第2センサは、第1動作検知位置よりも第2位置側に設定される可動体の位置であって開口と蓋体との間に隙間が生じる前の位置である第2動作検知位置に可動体が移動したことを検知する位置センサであることが望ましい。この場合、第1センサ及び第2センサによって、開口と蓋体との間に隙間が生じる前に急操作を検知できるので、急操作の検知精度が向上する。ここで、急操作の検知精度が向上する理由をより詳しく説明する。仮に、第2動作検知位置について、開口と蓋体との間に隙間が生じた後の位置に設定された場合、その隙間が生じた直後まで急操作を行い、洗浄水が洗浄槽外に飛び出したとしても、その後、可動体を第2動作検知位置までゆっくり移動させて第2センサの検知タイミングを遅らせることで、急操作を検知できなくなってしまう。この点、上記構成によって蓋体が洗浄槽の開口を開放する前に急操作を検知することで、洗浄水が洗浄槽外に飛び出した場合にも検知しない誤検知(不検知)を防止できる。
【0018】
筐体は、筐体の側面側を開放し、筐体内と外部とを連通させる筐体開口部を有することが望ましい。可動体は、上面側が開放されてなる開口を有する洗浄槽であることが望ましい。蓋体は、筐体内の上側に配置されていることが望ましい。そして、洗浄槽は、手動操作によって、筐体内に収容されて筐体開口部を閉塞するとともに開口が閉塞される第1位置と、筐体内から筐体開口部を介して引き出されて開口が開放され、食器を出し入れ可能な第2位置との間で移動可能であることが望ましい。この場合、住宅のシステムキッチンに設置される食器洗浄機として一般的な構成となる。この食器洗浄機は、多様なユーザの様々な使用によって急操作の頻度が高くなることが想定されるので、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の食器洗浄機によれば、より長期に亘って安定的に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例1の食器洗浄機の模式断面図であって、洗浄槽が第1位置にある状態を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1と同様の模式断面図であって、ロックレバーが操作され、洗浄槽が第1位置から第2位置に向けて僅かに移動した状態を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1と同様の模式断面図であって、洗浄槽がさらに第2位置に向けて移動し、蓋体が上昇した状態を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1と同様の模式断面図であって、洗浄槽が第2位置に移動した状態を示す図である。
【
図5】
図5(a)~(c)は、ロックレバー及び位置センサの検知動作を説明する部分断面図である。
【
図6】
図6は、実施例1の食器洗浄機のブロック図である。
【
図7】
図7は、実施例1の食器洗浄機に係り、洗浄動作中の中断処理プログラムのフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施例1の食器洗浄機に係り、急操作検知プログラムのフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施例2の食器洗浄機の模式断面図である。
【
図10】
図10は、変形例の食器洗浄機に係り、制御部と外部情報端末との接続を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
図1~
図4に示すように、実施例1の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下側に設置された前面引き出し式のものである。
【0023】
<筐体、浄槽及び蓋体>
食器洗浄機1は、筐体9、洗浄槽7及び蓋体8を備えている。本実施例では、略箱状体である筐体9におけるシステムキッチンを利用するユーザと対向する側面側、すなわち
図1~
図4の紙面左側を筐体9の前面側と規定し、
図1~
図4の紙面右側を筐体9の奥側と規定する。
【0024】
筐体9の上面側は、天板CT1に覆われている。筐体9は、筐体開口部9Hを有している。
図4に示すように、筐体開口部9Hは、筐体9の前面側の上端部から下端部までの広い範囲を開放しており、筐体9内と外部とを連通させている。
【0025】
図1に示すように、洗浄槽7は、筐体9内に設けられている。洗浄槽7の底部と、筐体9の底壁との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。
図4に示すように、洗浄槽7は、そのスライドレール機構によって、筐体9内から引き出し可能となっている。洗浄槽7は、本発明の「可動体」の一例である。
【0026】
洗浄槽7は、開口7Hを有している。開口7Hは、洗浄槽7の上面側を開放している。洗浄槽7の前面側の上端部には、取っ手部7Gが設けられている。取っ手部7Gは、ユーザが手動操作で洗浄槽7を出し入れする際に、ユーザによって把持される。
【0027】
図1~
図4に示すように、蓋体8は、筐体9内の上側に配置されており、洗浄槽7の開口7Hを閉塞及び開放可能である。蓋体8は、図示しない連動機構によって、洗浄槽7の出し入れに連動して、
図1及び
図2に示す位置と、
図3及び
図4に示す位置との間で上下動するようになっている。
【0028】
図1に示す洗浄槽7の位置は、引き出し距離がゼロの第1位置である。洗浄槽7は、第1位置にある状態で、筐体9内に収容されて筐体開口部9Hを閉塞するとともに、開口7Hが蓋体8によって閉塞される。
【0029】
図2に示す洗浄槽7の位置は、
図1に示す第1位置から短い引き出し距離L1だけ筐体9の前面側に移動している。蓋体8は、洗浄槽7が引き出し距離L1よりも大きく移動するまでは、洗浄槽7の開口7Hを閉塞している。
【0030】
図3に示す洗浄槽7の位置は、
図1に示す第1位置から引き出し距離L1よりも長い引き出し距離L2だけ筐体9の前面側に移動している。蓋体8は、洗浄槽7が引き出し距離L1よりも大きく移動することにより、洗浄槽7と干渉しないように上昇して、洗浄槽7の開口7Hを開放し始める。この際、洗浄槽7の開口7Hと蓋体8との間に隙間G1、G2が生じる。隙間G1は、筐体9の奥側において、開口7Hと蓋体8との間に生じる隙間である。隙間G2は、筐体9の前面側において、開口7Hと蓋体8との間に生じる隙間である。
【0031】
図4に示す洗浄槽7の位置は、
図1に示す第1位置から最大の引き出し距離L3だけ筐体9の前面側に移動した第2位置である。洗浄槽7は、第2位置にある状態で、筐体9内から筐体開口部9Hを介して引き出されて、開口7Hが蓋体8によって開放される。これにより、ユーザは、筐体9の外部に露出する開口7Hを介して、食器TW1を洗浄槽7に収容したり、食器TW1を洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0032】
ユーザの手動操作によって洗浄槽7が
図4に示す位置から
図1に示す位置まで押し込まれるときには、蓋体8は、図示しない連動機構によって、上記とは逆に動作する。
【0033】
図1に示すように、筐体9内には、給水管P1、給水電磁弁69、排水管P2、漏水センサ32等が設けられている。
【0034】
給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7に水を供給する。給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7への水の供給と停止とを切り替える。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。漏水センサ32は、電極センサからなり、洗浄槽7からの漏水等が筐体9の底壁上に溜まることを検知する。
【0035】
洗浄槽7内の底部には、洗浄水を貯める貯水部71が設けられている。また、洗浄槽7内には、食器かご70が配置されている。食器かご70には、食器TW1が載置される。食器TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。
【0036】
洗浄槽7には、ヒータ63、温度センサ33、乾燥ファン68及び水位検知槽30が組み付けられており、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。
【0037】
ヒータ63は、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。温度センサ33は、洗浄槽7の温度を検知する。
【0038】
乾燥ファン68は、ヒータ63を作動させた状態で回転作動することにより、温風を洗浄槽7内に供給して食器TW1を乾燥させる。乾燥ファン68により洗浄槽7内に供給された温風は、洗浄槽7の前面に形成された通気口7Eから食器洗浄機1の外部に排気される。
【0039】
水位検知槽30は、連通管P3を介して洗浄槽7の貯水部71と接続されている。水位検知槽30内には、フロート式の水位センサ31が設けられている。水位センサ31は、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知する。
【0040】
<ノズル及びポンプ>
食器洗浄機1は、ノズル61及びポンプ62をさらに備えている。
【0041】
ノズル61は、洗浄槽7内に配置されている。ノズル61は、複数の吐出孔から洗浄槽7内に洗浄水を噴射する。ノズル61の噴射方向は、洗浄槽7内で重ねられた複数の食器TW1を確実に洗浄したり、洗浄槽7の内壁面や食器かご70を洗浄したりするために、様々な方向に変化するようになっている。
【0042】
ポンプ62は、洗浄槽7の貯水部71の下側に組み付けられており、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。ポンプ62は、正転作動時は洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水をノズル61に供給して噴射させる。その噴射された洗浄水は貯水部71に貯められるので、ポンプ62によって繰り返しノズル61に供給される。また、ポンプ62は、逆転作動時には洗浄槽7内の洗浄水を残菜フィルタ67及び排水管P2を介して食器洗浄機1の外部に排出する。
【0043】
<ロック機構、ロックセンサ及び位置センサ>
図1及び
図5に示すように、食器洗浄機1は、ロック機構5、ロックセンサ10及び位置センサ20をさらに備えている。ロックセンサ10は、本発明の「第1センサ」の一例である。位置センサ20は、本発明の「第2センサ」の一例である。
【0044】
ロック機構5は、係合凸部9T及びロックレバー50を有して構成されている。係合凸部9Tは、筐体9の前面側の上端部に設けられて下向きに突出している。ロックレバー50は、洗浄槽7の前面側における取っ手部7Gの近傍に回動可能に設けられている。つまり、ロック機構5は、筐体9と洗浄槽7との間に設けられている。
【0045】
ロックレバー50は、入力部51、係合爪部52及びセンサ当接部53を有している。ロック機構5は、以下に説明するように、入力部51に対する手動操作によって、ロック状態とアンロック状態とに切り替わるようになっている。
【0046】
図1及び
図5(a)は、洗浄槽7が第1位置にあってユーザが取っ手部7Gを把持していない状態を示している。この状態では、ロックレバー50は、図示しない付勢手段に付勢されて、ロック状態となっている。ロックレバー50は、ロック状態において、係合爪部52を筐体9の係合凸部9Tに係合させることにより、第1位置にある洗浄槽7が引き出される方向に移動することを禁止する。
【0047】
図5(b)は、洗浄槽7が第1位置にあってユーザが取っ手部7Gとともにロックレバー50の入力部51を把持した状態を示している。この状態では、ロックレバー50は、図示しない付勢手段に抗して回動して、アンロック状態となっている。ロックレバー50は、アンロック状態において、係合爪部52を筐体9の係合凸部9Tに対して下方に離間させることにより、第1位置にある洗浄槽7が引き出される方向に移動することを許容する。
【0048】
図2及び
図5(c)は、ユーザが取っ手部7Gとともにロックレバー50の入力部51を把持した状態で洗浄槽7が第1位置から短い引き出し距離L1だけ移動した状態を示している。この状態では、ロックレバー50の係合爪部52の頂点は、筐体9の係合凸部9Tより筐体9の前面側に移動している。このため、ユーザがロックレバー50の入力部51に触れなくなっても、ロックレバー50は、洗浄槽7が引き出される方向に移動することを許容する。
【0049】
図1及び
図5に示すように、ロックセンサ10は、洗浄槽7の前面側におけるロックレバー50の近傍に配置されたマイクロスイッチである。ロックセンサ10は、接触部10Aをロックレバー50のセンサ当接部53に対向させている。
【0050】
図1及び
図5(a)に示すように、ロックセンサ10は、センサ当接部53によって接触部10Aが押し込まれることによりON状態に切り替わって、ロックレバー50がロック状態にあることを検知する。
【0051】
図5(b)に示すように、ロックセンサ10は、センサ当接部53が接触部10Aから離間することによりOFF状態に切り替わって、ロックレバー50がロック状態からアンロック状態に切り替わったことを検知する。
【0052】
つまり、ロックセンサ10は、洗浄槽7を
図1に示す第1位置から
図4に示す第2位置に向けて移動させるためにユーザが手動操作によってロックレバー50をロック状態からアンロック状態に切り替える動作、すなわち第1動作を検知する。
【0053】
ロックセンサ10が第1動作を検知したときにおける洗浄槽7の位置である第1動作検知位置は、
図1に示す第1位置である。なお、ロックレバー50がロック状態からアンロック状態に切り替わるときに、係合凸部9Tと係合爪部52との摺接によって洗浄槽7の位置が僅かにずれるが、誤差範囲である。
【0054】
図1及び
図5に示すように、位置センサ20は、洗浄槽7の前面側の下端部に配置されている。位置センサ20は、センサハウジング21、マイクロスイッチ22及びスライド部材23を有している。
【0055】
センサハウジング21は、洗浄槽7に固定されており、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。マイクロスイッチ22は、センサハウジング21に固定されている。マイクロスイッチ22の接触部22Aは、マイクロスイッチ22の上面から上向きに突出している。
【0056】
スライド部材23は、センサハウジング21にスライド可能に支持されている。スライド部材23のスライド方向は、洗浄槽7が出し入れされる方向と平行である。スライド部材23は、図示しない付勢手段によって、センサハウジング21に対して筐体9の奥側にスライドするように付勢されている。
【0057】
スライド部材23の下部には、突起34が形成されている。突起34は、
図5の紙面手前側に突出する略ブロック形状の突起である。突起34は、筐体9の底壁から上向きに突出する固定片9Uに対して、筐体9の前面側から当接可能な位置に配置されている。
【0058】
スライド部材23の上部には、カム35が形成されている。カム35は、平坦面35A及び傾斜面35Bを有している。平坦面35Aは、下を向いて洗浄槽7が出し入れされる方向と平行に延びている。傾斜面35Bは、平坦面35Aにおける筐体9の前面側の端縁に接続している。傾斜面35Bは、筐体9の前面側に上り傾斜している。
【0059】
図1、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、洗浄槽7が第1位置にある状態では、突起34と固定片9Uとが当接する状態で、スライド部材23が図示しない付勢手段に抗して、センサハウジング21に対して筐体9の前面側にスライドしている。マイクロスイッチ22は、接触部22Aがカム35の平坦面35Aによって押し込まれることによりON状態に切り替わる。
【0060】
図2及び
図5(c)に示すように、洗浄槽7が第1位置から短い引き出し距離L1だけ移動することにより、突起34と固定片9Uとが当接する状態のままで、スライド部材23が図示しない付勢手段に付勢されて、センサハウジング21に対して筐体9の奥側にスライドする。このため、マイクロスイッチ22は、接触部22Aがカム35の傾斜面35Bに接触する状態に移行して上向きに突出することにより、OFF状態に切り替わる。本実施例では、引き出し距離L1は、数mm~十数mm程度に設定されている。
【0061】
洗浄槽7が第1位置から短い引き出し距離L1だけ移動した位置は、第2動作検知位置である。第2動作検知位置は、第1動作検知位置、すなわち第1位置よりも第2位置側に設定される洗浄槽7の位置であって洗浄槽7の開口7Hと蓋体8との間に
図3に示す隙間G1、G2が生じる前の位置である。位置センサ20は、マイクロスイッチ22の接触部22Aがカム35の傾斜面35Bに接触することにより、第2動作検知位置に洗浄槽7が移動したことを検知する。
【0062】
つまり、位置センサ20は、ユーザが手動操作によって、洗浄槽7を第1動作検知位置、すなわち第1位置から第2位置に向けてさらに移動させる第2動作を検知する。
【0063】
洗浄槽7が
図2に示す第2動作検知位置から、
図3及び
図4に示すように引き出される場合、突起34と固定片9Uとが離間し、スライド部材23が
図5(c)の位置にスライドした状態が維持される。
【0064】
<制御部、記憶部、操作部、表示部、報知部>
図1及び
図6に示すように、食器洗浄機1は、制御部C1、記憶部C12、操作部40、表示部41及び報知部42をさらに備えている。
【0065】
制御部C1は、洗浄槽7の前面側における取っ手部7Gによりも下方に配置されている。制御部C1は、図示しないCPU、メモリ、インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットである。記憶部C12は、制御部C1を構成するメモリであり、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されている。
【0066】
記憶部C12は、食器洗浄機1を動作させるために制御部C1が実行する洗浄動作実行プログラム等の各種プログラムを記憶している。また、記憶部C12は、
図7に示す洗浄動作中の中断処理プログラムや、
図8に示す急操作検知プログラムを記憶している。さらに、記憶部C12は、食器洗浄機1の設定情報、使用履歴情報、不具合検知情報等の各種情報を随時記憶する。
【0067】
図6に示すように、制御部C1には、水位センサ31、漏水センサ32、温度センサ33、ロックセンサ10及び位置センサ20のマイクロスイッチ22のそれぞれの検知信号が入力される。そして、制御部C1は、駆動回路60を介して制御信号を出力することにより、ヒータ63、ポンプ62、給水電磁弁69及び乾燥ファン68の作動を制御する。
【0068】
また、後で詳しく説明するように、制御部C1が
図8に示す急操作検知プログラムを実行することにより、制御部C1の一部が急操作検知部C11として機能する。
【0069】
図1に簡略して示すように、操作部40及び表示部41はユニット化された状態で、洗浄槽7の前面側の上端部に配置されている。操作部40は、図示しない複数のボタン等を有している。表示部41は、数字や文字等を表示可能な表示素子やランプ等を有している。
【0070】
図6に示すように、操作部40は、ユーザの入力操作を制御部C1に伝達する。表示部41は、制御部C1から伝達された情報を表示する。
【0071】
洗浄槽7が
図1に示す第1位置から
図2に示す第2動作検知位置までの範囲にある状態では、操作部40及び表示部41の全体が、システムキッチンの天板CT1によって隠蔽されている。このため、ユーザは、操作部40を操作及び視認できず、また、表示部41を視認できないようになっている。
【0072】
その一方、洗浄槽7が
図2に示す第2動作検知位置から、
図3及び
図4に示すように引き出されることにより、操作部40及び表示部41の全体がシステムキッチンの天板CT1よりも前方に移動する。このため、ユーザは、操作部40を操作及び視認できるようになり、また、表示部41を視認できるようになる。
【0073】
操作部40及び表示部41が上記のように配置されていることから、食器洗浄機1では、以下の手順で、洗浄動作が実行される。すなわち、洗浄槽7が
図3及び
図4に示すように引き出された状態で、ユーザが操作部40を操作して洗浄動作の開始を指示した後に、洗浄槽7を
図1に示す第1位置まで押し込む。これにより、制御部C1は、ロックセンサ10及び位置センサ20が共にONすることを条件として、ポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内に洗浄水を噴射する洗浄動作を実行する。つまり、制御部C1は、洗浄槽7の開口7Hが蓋体8によって閉塞される状態を確認した上で、ポンプ62を作動させて洗浄動作を実行する。
【0074】
なお、洗浄動作には、洗浄槽7に収容された食器TW1の洗浄を行う動作だけでなく、洗浄槽7に食器TW1が収容されていない状態で洗浄槽7及び食器かご70の洗浄を行う動作が含まれる。
【0075】
図1に簡略して示すように、報知部42は、洗浄槽7の前面側における取っ手部7Gによりも下方に配置されている。報知部42は、例えば、警告音を発生するブザー、警告メッセージを発生するスピーカ、又は警告発光を行うランプ等である。
図6に示すように、報知部42は、制御部C1に接続されている。制御部C1は、各種の不具合が発生した場合等において、報知部42を制御して、ユーザに警告等の報知を行う。
【0076】
<洗浄動作中の中断処理>
食器洗浄機1では、洗浄動作中において、食器TW1の追加や取り出し等の様々な理由により、ユーザが洗浄動作を中断して洗浄槽7を引き出す場合がある。ここで、操作部40等が上記のように配置されていることから、洗浄動作中において、操作部40を操作して洗浄動作を中断することができず、ユーザが手動操作でロックレバー50をロック状態からアンロック状態に切り替えることによって洗浄動作を中断した後、洗浄槽7を引き出す必要がある。
【0077】
このため、食器洗浄機1では、制御部C1が洗浄動作の開始から終了までの間、
図7に示す洗浄動作中の中断処理プログラムをバックグラウンドで実行するようになっている。
【0078】
図7に示す洗浄動作中の中断処理プログラムが開始されると、制御部C1は、ステップS101において、ロックセンサ10がOFFになったか否かを判断する。
【0079】
ロックレバー50がロック状態からアンロック状態に切り替わると、ロックセンサ10がONからOFFに切り替わるので、ステップS101で「Yes」となり、ステップS102に移行する。その一方、ロックレバー50がロック状態のままであれば、ロックセンサ10がONになっているので、ステップS101で「No」となり、ステップS101を繰り返す。
【0080】
ステップS101からステップS102に移行すると、制御部C1は、直ちにポンプ62を停止させて洗浄動作を中止する。その結果、ノズル61から洗浄水が噴射されなくなる。
【0081】
次に、制御部C1は、ステップS103に移行して、ポンプ62以外の構成部品についても洗浄動作の中断処理を実行する。
【0082】
次に、制御部C1は、ステップS104に移行して、ロックセンサ10がONになり、かつ位置センサ20のマイクロスイッチ22がONになったか否かを判断する。
【0083】
ステップS104で「Yes」の場合、制御部C1は、洗浄動作を再開する。その一方、ステップS104で「No」の場合、ステップS104を繰り返す。そして、制御部C1は、洗浄動作を終了するときに、このプログラムも終了する。
【0084】
<急操作検知部による急操作の検知処理>
食器洗浄機1では、ユーザが手動操作で洗浄動作を中断するときに、洗浄槽7を
図1に示す第1位置から
図4に示す第2位置に向けて急激に移動させる急操作が行われる場合がある。この場合、ポンプ62を停止させる直前にノズル61から噴射された少量の洗浄水が
図3に示すように洗浄槽7の開口7Hと蓋体8との間に生じた隙間G1、G2から筐体9内や、筐体9外の食器洗浄機1外部に滴下するおそれがある。
【0085】
このため、制御部C1が
図8に示す急操作検知プログラムを実行することにより、制御部C1の一部が急操作検知部C11として機能する。制御部C1は、食器洗浄機1の電源が投入されている間、バックグラウンドで
図8に示す急操作検知プログラムを実行するようになっている。
【0086】
図8に示す急操作検知プログラムが開始されると、急操作検知部C11は、ステップS201において、洗浄動作中であるか否かを判断する。ステップS201で「Yes」の場合、ステップS202に移行する。その一方、ステップS201で「No」の場合、ステップS201を繰り返す。
【0087】
ステップS201からステップS202に移行すると、急操作検知部C11は、ロックセンサ10がOFFになったか否かを判断する。
【0088】
ロックレバー50がロック状態からアンロック状態に切り替わると、ロックセンサ10がONからOFFに切り替わる。すなわち、ロックセンサ10が第1動作を検知する。このため、ステップS202で「Yes」となり、ステップS203に移行する。その一方、ロックレバー50がロック状態のままであれば、ロックセンサ10がONになっているので、ステップS202で「No」となり、ステップS202を繰り返す。
【0089】
ステップS202からステップS203に移行すると、急操作検知部C11は、ロックセンサ10が第1動作を検知してから位置センサ20が第2動作を検知するまでの経過時間の計測を開始する。
【0090】
次に、急操作検知部C11は、ステップS204に移行して、位置センサ20のマイクロスイッチ22がOFFになったか否かを判断する。
【0091】
洗浄槽7が第1動作検知位置、すなわち第1位置から第2動作検知位置に移動すると、位置センサ20のマイクロスイッチ22がOFFになる。すなわち、位置センサ20が第2動作を検知する。このため、ステップS204で「Yes」となり、ステップS205に移行する。その一方、洗浄槽7が第2動作検知位置に移動していなければ、位置センサ20のマイクロスイッチ22がONになっているので、ステップS204で「No」となり、ステップS204を繰り返す。
【0092】
ステップS204からステップS205に移行すると、急操作検知部C11は、経過時間の計測を終了する。
【0093】
次に、急操作検知部C11は、ステップS206に移行して、経過時間が予め設定された閾値よりも短いか否かを判断する。
【0094】
ステップS206で「Yes」の場合、急操作検知部C11は、洗浄槽7を第1位置から第2位置に向けて急激に移動させる急操作が行われたことを検知する。そして、ステップS207に移行する。
【0095】
その一方、ステップS206で「No」の場合、急操作検知部C11は、急操作が行われなかったと判断し、このプログラムを終了する。そして、急操作検知部C11は、食器洗浄機1の電源が投入されている間、このプログラムを繰り返し実行する。
【0096】
ステップS206からステップS207に移行すると、急操作検知部C11は、報知部42を制御して、例えば、警告音、警告メッセージ、又は警告発光等によって、急操作の発生を報知する。
【0097】
次に、急操作検知部C11は、ステップS208に移行して、急操作の発生を記憶部C12に記憶させる。
【0098】
次に、急操作検知部C11は、ステップS209に移行して、急操作の検知回数を記憶部C12に記憶させた後、このプログラムを終了する。そして、急操作検知部C11は、食器洗浄機1の電源が投入されている間、このプログラムを繰り返し実行する。
【0099】
<作用効果>
実施例1の食器洗浄機1では、急操作検知部C11は、
図8に示すように、ロックセンサ10が第1動作を検知してから位置センサ20が第2動作を検知するまでの経過時間に基づいて、洗浄槽7を第1位置から第2位置に向けて急激に移動させる急操作が行われたことを検知する。このため、制御部C1は、急操作検知部C11による急操作の検知に基づいて、急操作に対応する各種の処理を適宜行って、不具合の再発、不具合の放置、又は別の不具合の誘発を抑制できる。
【0100】
具体的には、制御部C1が報知部42を制御して、急操作の発生をユーザに報知することで、急操作の再発を抑制できる。また、制御部C1が記憶部C12を制御して、急操作の発生と、急操作の検知回数とを記録させることで、整備作業時にその記録を確認して、筐体9内や、筐体9外の食器洗浄機1外部に滴下した少量の洗浄水の除去や、その滴下した洗浄水が付着した筐体9内の構成部品の保守又は交換を行うことができる。また、整備者からユーザに対して、急操作と不具合との因果関係を知らせることで、急操作の再発を抑制できる。さらに、整備作業時に記憶部C12に記憶された急操作の検知回数についての情報を確認することで、不具合原因の特定精度を向上させることができる。
【0101】
したがって、実施例1の食器洗浄機1では、より長期に亘って安定的に使用できる。
【0102】
また、この食器洗浄機1では、第1センサとしてのロックセンサ10と、第2センサとして位置センサ20とによって、洗浄槽7の開口7Hと蓋体8との間に
図3に示す隙間G1、G2が生じる前に急操作を検知できるので、急操作の検知精度が向上する。ここで、急操作の検知精度が向上する理由をより詳しく説明する。仮に、第2動作検知位置について、開口7Hと蓋体8との間に隙間G1、G2が生じた後の位置に設定された場合、その隙間G1、G2が生じた直後まで急操作を行い、洗浄水が洗浄槽7外に飛び出したとしても、その後、洗浄槽7を第2動作検知位置までゆっくり移動させて位置センサ20の検知タイミングを遅らせることで、急操作を検知できなくなってしまう。この点、上記構成によって蓋体8が洗浄槽7の開口7Hを開放する前に急操作を検知することで、洗浄水が洗浄槽7外に飛び出した場合にも検知しない誤検知(不検知)を防止できる。
【0103】
さらに、この食器洗浄機1では、可動体としての洗浄槽7が手動操作によって、筐体9内に収容されて筐体開口部9Hを閉塞するとともに開口7Hが蓋体8によって閉塞される第1位置と、筐体9内から筐体開口部9Hを介して引き出されて開口7Hが蓋体8によって開放され、食器TW1を出し入れ可能な第2位置との間で移動可能である。つまり、食器洗浄機1は、住宅のシステムキッチンに設置される一般的な構成であって、多様なユーザの様々な使用によって急操作の頻度が高くなることが想定されるので、本発明の作用効果を確実に享受できる。
【0104】
(実施例2)
図9に示すように、実施例2の食器洗浄機2は、筐体209と、筐体209内に収容されて動かない洗浄槽207と、筐体209の前面側に回動可能に支持された蓋体208とを備えている。蓋体208は、本発明の「可動体」の一例である。食器洗浄機2は、システムキッチンの天板等の下側、又は上側に設置可能である。
【0105】
洗浄槽207は、その前面側が開放されてなる開口207Hを有している。蓋体208は、手動操作によって、
図9に実線で示す第1位置と、
図9に二点鎖線で示す第2位置との間で回動可能である。蓋体208は、
図9に実線で示す第1位置にある状態で、洗浄槽207の開口207Hを閉塞する。その一方、蓋体208は、
図9に二点鎖線で示す第2位置にある状態で、開口207Hを開放し、食器を出し入れ可能とする。
【0106】
食器洗浄機2は、第1センサとしてのロックセンサ210と、第2センサとしての位置センサ220とを備えている。
【0107】
ロックセンサ210は、筐体209の前面側の上端部に配置されている。ロックセンサ210は、蓋体208を第1位置から第2位置に向けて移動させるための第1動作、すなわちロックレバー250がロック状態からアンロック状態に切り替わったことを検知する。
【0108】
位置センサ220は、筐体209の前面側の下端部に配置されている。位置センサ220は、ロックセンサ210が第1動作を検知したときにおける蓋体208の位置である第1動作検知位置、すなわち第1位置から、第2位置に向けて蓋体208をさらに移動させる第2動作を検知する。
【0109】
実施例2の食器洗浄機2は、実施例1の食器洗浄機1に係る制御部C1及び急操作検知部C11と同様の制御部及び急操作検知部を備えている。そして、それらの制御部及び急操作検知部がロックセンサ210及び位置センサ220の検知結果に基づいて急操作を検知する。これにより、食器洗浄機2は、急操作に対応する各種の処理を適宜行って、不具合の再発、不具合の放置、又は別の不具合の誘発を抑制できる。例えば、食器洗浄機2は、筐体209外の食器洗浄機2外部に滴下した少量の洗浄水の除去を行って、食器洗浄機2の設置場所の周囲が汚れることを抑制できる。
【0110】
(変形例)
図10に示すように、実施例1の食器洗浄機1に係る制御部C1がネットワーク接続インターフェースC13を有していてもよい。この場合において、制御部C1は、ネットワークN1を介して外部情報端末PC1と接続される。そして、制御部C1は、急操作検知部C11が急操作を検知したときに、制御部C1の認証番号と、急操作の発生とを一つにまとめたデータ信号を外部情報端末PC1に送信する。外部情報端末PC1は、整備会社が保有するホストコンピュータ等である。
【0111】
この変形例では、整備会社が外部情報端末PC1を経由して、食器洗浄機1における急操作の発生を迅速に把握できるので、整備作業の効率化を実現できる。
【0112】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0113】
例えば、実施例1では第1センサがロックセンサ10であり、実施例2では第1センサがロックセンサ210であるがこの構成には限定されない。第1センサは、可動体が第1位置から移動したことを第2センサよりも先に検知する位置センサであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は食器洗浄機又は厨房設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1、2…食器洗浄機
9、209…筐体
7H、207H…開口
TW1…食器
7、207…洗浄槽(7…可動体)
8、208…蓋体(208…可動体)
61…ノズル
62…ポンプ
C1…制御部
10、210…第1センサ(ロックセンサ)
20、220…第2センサ(位置センサ)
C11…急操作検知部
42…報知部
C12…記憶部
N1…ネットワーク
PC1…外部情報端末
5…ロック機構
G1、G2…開口と蓋体との隙間
9H…筐体開口部