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特許7113757表示基板、表示基板の製造方法、および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】表示基板、表示基板の製造方法、および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220729BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220729BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220729BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220729BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G09F9/00 338
G09F9/30 365
H05B33/14 A
H05B33/10
H05B33/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018552877
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 CN2018072071
(87)【国際公開番号】W WO2019015270
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】201710584603.4
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ ▲ウェイ▼贇
(72)【発明者】
【氏名】青 ▲海▼▲剛▼
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0020422(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0084257(US,A1)
【文献】特開2000-267595(JP,A)
【文献】特開平06-148683(JP,A)
【文献】特開2014-145857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示電極を含む表示領域と前記表示領域以外のパッド領域とを含む表示基板であって、
前記表示領域は、ソースおよびドレインを有するトランジスタを含み、
前記パッド領域は、少なくとも一つのパッドを含み、
前記パッドは、
前記表示領域の前記ソースおよびドレインと同層に設置されている金属層であって、第1の金属サブ層と、前記第1の金属サブ層の上に積層され、耐腐食性が前記第1の金属サブ層の耐腐食性よりも強い第2の金属サブ層とを含む金属層と、
前記表示領域の前記表示電極と同層に設置され、前記表示領域の前記ソースおよびドレインと同層に設置されている前記金属層の側面を覆い、前記表示領域の前記ソースおよびドレインと同層に設置されている前記金属層の少なくとも一部の上面を覆わない導電材料層と、
を備え、
前記表示電極は、アノードを含み、
前記パッドの前記導電材料層は、前記アノードと同層に設置されており、
記第1の金属サブ層は、アルミニウムを含み、
前記第2の金属サブ層は、チタンを含む、
ことを特徴とする表示基板。
【請求項2】
前記金属層は、第3の金属サブ層をさらに含み、
前記第1の金属サブ層は、前記第3の金属サブ層の上に積層され、
前記第3の金属サブ層の耐腐食性は、前記第1の金属サブ層の耐腐食性よりも強い、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示基板を含む、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
表示電極を含む表示領域と前記表示領域以外のパッド領域とを含む表示基板を製造する方法であって、
前記表示領域は、ソースおよびドレインを有するトランジスタを含み、
パッド領域には、前記表示領域の前記ソースおよびドレインと同時に形成される金属層であって、第1の金属サブ層と、前記第1の金属サブ層の上に積層され、耐腐食性が前記第1の金属サブ層の耐腐食性よりも強い第2の金属サブ層とを含む金属層を形成するステップと、
前記表示領域の前記ソースおよびドレインと同時に形成された前記金属層の側面を覆う導電材料層を形成するステップと、
を含み、
導電材料層を形成するステップは、
少なくとも前記金属層の上面および側面を覆うプリ導電材料層を形成するステップと、
前記プリ導電材料層の上にフォトレジストを塗布するステップと、
マスクを介して前記フォトレジストを露出し現像して、前記プリ導電材料層の一部を暴露するステップであって、前記現像の後、前記金属層の側面の上のプリ導電材料層を覆うフォトレジストが少なくとも保留され、前記金属層の一部の上面の上のプリ導電材料層を覆うフォトレジストが少なくとも除去されるステップと、
前記プリ導電材料層の暴露された部分をエッチングするステップと、
残りのフォトレジストを除去するステップと、
を含み、
前記現像の後、前記表示領域中の前記プリ導電材料層の一部を覆うフォトレジストがさらに保留され、残りのフォトレジストを除去した後、前記表示領域中の前記プリ導電材料層の部分に表示電極を形成し、
前記表示電極は、アノードを含み、
前記パッド領域の前記導電材料層は、前記表示領域の前記アノードと同時に形成される、
とを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本開示については、2017年7月17日に出願された中国特許出願番号201710584603.4である出願を基礎とする優先権を主張し、当該基礎出願の内容をすべて本開示にとりこむものとする。
【0002】
本開示は、有機発光表示の技術分野に関し、具体的には、表示基板、表示基板の製造方法、および表示装置に関している。
【背景技術】
【0003】
表示装置に用いられるパッドは、耐腐食性の弱い金属サブ層を含み、該金属サブ層がパッドの縁に暴露される。表示領域の電極にエッチングプロセスを行なう際に、暴露されている該金属サブ層を傷めて、さらにパッドおよび表示装置を傷める恐れがある。
【0004】
上記問題の発生を防止するために、通常、画素定義層の材料、例えばポリイミド又はアクリルによって、パッドの縁を覆う。しかしながら、一般的には、画素定義層が比較的に厚いので、溶接の品質に影響を及ぼさないように、パッド領域を覆う画素定義層の薄型化が必要である。このような薄型化には、ハーフトーンマスクを介して行なう必要があり、その後、導電材料層の堆積および導電材料層のエッチングを行なうので、コストが高くなり且つプロセスが複雑になってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの形態において、表示領域と前記表示領域以外のパッド領域とを含む表示基板を提供し、前記パッド領域は、少なくとも一つのパッドを含み、前記パッドは、第1の金属サブ層と、前記第1の金属サブ層の上に積層され、耐腐食性が前記第1の金属サブ層の耐腐食性よりも強い第2の金属サブ層とを含む金属層と、前記金属層の側面を覆う導電材料層と、を備える。
【0006】
本開示の他の実施案において、前記表示領域は、表示電極を含み、前記パッドの前記導電材料層は、前記表示領域の前記表示電極と同層に設置されている。
【0007】
本開示の他の実施案において、前記表示電極は、アノードを含み、前記パッドの前記導電材料層は、前記アノードと同層に設置されている。
【0008】
本開示の他の実施案において、前記表示領域は、ソースおよびドレインを有するトランジスタを含み、前記パッドの前記金属層は、前記表示領域の前記ソースおよびドレインと同層に設置されている。
【0009】
本開示の他の実施案において、前記第1の金属サブ層は、アルミニウムを含み、前記第2の金属サブ層は、チタンを含む。
【0010】
本開示の他の実施案において、前記金属層は、第3の金属サブ層をさらに含み、前記第1の金属サブ層は、前記第3の金属サブ層の上に積層され、前記第3の金属サブ層の耐腐食性は、前記第1の金属サブ層の耐腐食性よりも強い。
【0011】
本開示の他の実施案において、前記第1の金属サブ層は、アルミニウムを含み、前記第2の金属サブ層および前記第3の金属サブ層は、いずれもチタンを含む。
【0012】
本開示の他の実施案において、前記導電材料層は、第1の透明導電酸化物層と、金属材料層と、第2の透明導電酸化物層とを含む複数層構造である。
【0013】
本開示の他の実施案において、前記第1又は第2の透明導電酸化物層は、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化インジウムスズと、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群の中のいずれか一つを含む。
【0014】
本開示の他の実施案において、前記金属材料層は、銀を含む。
【0015】
本開示の他の実施案において、前記第1又は第2の透明導電酸化物層は、酸化インジウムスズを含み、前記金属材料層は、銀を含む。
【0016】
本開示の他の実施案において、前記パッドは、金球を含む異方性導電ペーストを有し、前記第2の金属サブ層は、前記金球を含む異方性導電ペーストと接触する。
【0017】
本開示の他の形態において、上記のいずれか一項に記載の表示基板を含む表示装置を提供する。
【0018】
本開示の他の形態において、表示領域と前記表示領域以外のパッド領域とを含む表示基板を製造する方法を提供し、パッド領域には、第1の金属サブ層と、前記第1の金属サブ層の上に積層され、耐腐食性が前記第1の金属サブ層の耐腐食性よりも強い第2の金属サブ層とを含む金属層を形成するステップと、前記金属層の側面を覆う導電材料層を形成するステップと、を含む。
【0019】
本開示の他の実施案において、導電材料層を形成するステップは、少なくとも前記金属層の上面および側面を覆うプリ導電材料層を形成するステップと、前記プリ導電材料層の上にフォトレジストを塗布するステップと、マスクを介して前記フォトレジストを露出し現像して、前記プリ導電材料層の一部を暴露するステップであって、前記現像の後、前記金属層の側面の上のプリ導電材料層を覆うフォトレジストが少なくとも保留され、前記金属層の一部の上面の上のプリ導電材料層を覆うフォトレジストが少なくとも除去されるステップと、前記プリ導電材料層の暴露された部分をエッチングするステップと、残りのフォトレジストを除去するステップと、を含む。
【0020】
本開示の他の実施案において、前記方法は、前記現像の後、前記表示領域中の前記プリ導電材料層の一部を覆うフォトレジストがさらに保留され、残りのフォトレジストを除去した後、前記表示領域中の前記プリ導電材料層の部分に表示電極を形成するステップをさらに含む。
【0021】
本開示の他の実施案において、前記表示電極は、アノードを含み、前記パッド領域の前記導電材料層は、前記表示領域の前記アノードと同時に形成される。
【0022】
本開示の他の実施案において、前記表示領域は、ソースおよびドレインをさらに含み、前記パッド領域の前記金属層は、前記表示領域の前記ソースおよびドレインと同時に形成される。
【0023】
本開示の他の実施案において、前記方法は、前記プリ導電材料層の暴露された部分をエッチングした後、前記第2の金属サブ層の上に金球を含む異方性導電ペーストを形成するステップをさらに含む。
【0024】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の記載に用いられる図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の記載における図面は、単に本開示の例示的実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩性のある作業をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】表示基板のパッドの金属層が保護されない場合にエッチングされた様子を模式的に示す断面図である。
図2】画素定義層の材料例えばポリイミド又はアクリルによってパッドの縁を覆う場合の表示基板を模式的に示す断面図である。
図3A図3A~3Eは、本開示の一つの実施案によって表示基板を製造する方法の各プロセスステップを行った後の表示基板を模式的に示す断面図であり、そのうち、図3Aは、フォトレジストを塗布した後の断面図である。
図3B図3Bは、マスクによってフォトレジストを覆うステップの断面図である。
図3C図3Cは、露出し現像してプリ導電材料層の一部を暴露するステップの断面図である。
図3D図3Dは、プリ導電材料層をエッチングする断面図である。
図3E図3Eは、フォトレジストを除去するステップの断面図である。
図4】本開示の一つの実施案に係わる表示基板を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の具体的な実施例に基づき、本開示の実施例の技術案を明確的且つ完全に記載する。明らかに、記載する実施案及び/又は実施例は、本開示の一部の実施案及び/又は実施例であり、全ての実施案及び/又は実施例ではない。当業者が、本開示の実施案及び/又は実施例に基づいて、進歩性のある作業をせずに得られる全てのほかの実施案及び/又は実施例は、いずれも本開示の保護範囲に含まれる。
【0027】
本開示では、具体的に特定しなければ、層と膜とは互いに置き換えて使ってもよく、パッドを下敷きと呼ぶ場合もある。「第1」、「第2」、「第3」のような用語は、相対的な重要度、示された技術特徴の数を指示または示唆するものと理解すべきではない。このため、「第1」、「第2」、「第3」で限定された技術特徴は、一つ又は複数の該特徴を含むと指示または示唆できる。
【0028】
表示装置に用いられるパッドは、通常、金属層を含む。金属層は、通常、第1の金属サブ層と、前記第1の金属サブ層の上に積層される第2の金属サブ層とを含み、前記第1の金属サブ層の耐腐食性が前記第2の金属サブ層の耐腐食性よりも弱い。例えば、金属層は、耐腐食性が比較的に弱い第1の導電金属サブ層と、第1の導電金属サブ層の上において腐食性に抵抗するための耐腐食性が比較的に強い第2の金属サブ層と、第1の導電金属サブ層の下において基板への結合性を強めるための耐腐食性が比較的に強い第3の金属サブ層と、を含む複数層構造である。例えば、チタン層、アルミニウム層およびチタン層の複数層構造である。表示領域の電極にエッチングプロセスを行なう際に、パッド領域におけるパッドにおいて、耐腐食性が比較的に弱い第1の導電金属サブ層例えばアルミニウム層は、アンダーカットが発生し、この複数層構造がとても不安定になる。例えば、耐腐食性が比較的に強い第2の金属サブ層例えばチタン層は、その後のプロセスにおいて崩れて、移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生することになる。
【0029】
関連技術における一つ又は複数の問題に鑑みて、本開示は、耐腐食性が比較的に弱い第1の導電金属サブ層例えばアルミニウム層にアンダーカットの発生を防止することで、耐腐食性が比較的に強い第2の金属サブ層例えばチタン層がその後のプロセスに崩れて移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生するという問題を防止することができる表示基板、表示基板の製造方法、および表示装置を提供する。幾つの実施例では、本開示の表示基板の製造方法は、プロセスステップ及びコストを増加させない。
【0030】
本開示の一つの形態において、表示基板を提供してもよい。前記表示基板は、表示領域と前記表示領域以外のパッド領域とを含む。前記パッド領域は、少なくとも一つのパッドを含む。前記パッドは、金属層と導電材料層とを備える。前記金属層は、第1の金属サブ層と、前記第1の金属サブ層の上に積層される第2の金属サブ層とを含む。前記第2の金属サブ層の耐腐食性は、前記第1の金属サブ層の耐腐食性よりも強い。前記導電材料層は、前記金属層の側面を覆う。
【0031】
本開示の一つの実施案において、前記表示領域は、表示電極を含んでもよい。前記パッドの前記導電材料層は、前記表示領域の前記表示電極と同層に設置されている。
【0032】
本開示の他の実施案において、前記表示電極は、アノードを含み、前記パッドの前記導電材料層は、前記アノードと同層に設置されている。
【0033】
本開示の他の実施案において、前記表示領域は、ソースおよびドレインを含み、前記パッドの前記金属層は、前記表示領域の前記ソースおよびドレインと同層に設置されている。
【0034】
以下、例を挙げて本開示を説明するために、以下の状況を例として、明細書の図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限られない。金属層は、表示基板におけるトランジスタのソースおよびドレインと同層に設置される層であり、かつ、チタン層、アルミニウム層およびチタン層を含む3層構造である;表示電極は、アノードである;導電材料層は、アノードと同層に設置され且つ同じパターニングプロセスによって形成されたアノード材料層である;導電材料層およびアノードは、ITO層、銀層およびITO層を含む3層構造である。トランジスタは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。変形の実施例では、金属層は、アルミニウム層と、アルミニウム層を覆うチタン層とを含む2層構造であってもよい。変形の実施例では、表示電極は、カソードであってもよく、導電材料層は、カソードと同じ材料を選択して同層に設置され、且つ同じパターニングプロセスによって形成されてもよい。
【0035】
このため、以下の記載では、金属層をソースおよびドレイン金属層と呼ぶ場合もあり、導電材料層をアノード材料層と呼ぶ場合もあり、表示電極をアノードと呼ぶ場合もある。
【0036】
表示基板の一般的な製造過程では、表示領域の電極にエッチングプロセスを行なう際に、パッド領域に形成されている金属層の腐食に耐えられない部分は、腐食されることになる。図1は、表示基板のパッド100の金属層が保護されない場合、表示領域におけるアノードにエッチングプロセスを行なった様子を模式的に示す断面図である。
【0037】
図1に示すように、表示基板は、パッド領域1000と、前記パッド領域1000以外の表示領域2000とを含んでもよい。パッド領域1000は、少なくとも一つのパッド100を含んでもよい。パッド100は、下地基板10と、下地基板10の上に形成された絶縁層20と、絶縁層20の上の金属層30(3サブ層構造であり、下記の表示領域2000におけるソースおよびドレイン金属層94、96に対応してもよく、同じサブ層について同じ図の例で示す)とを備えてもよい。表示領域2000は、絶縁層20の上の薄膜トランジスタ(TFT)90と、表示電極80例えばアノード80とを含んでもよい。表示電極は、例えば画素電極であってもよい。TFT90は、ゲート91と、層間誘電体層92と、能動層93と、ソース94と、ドレイン96とを含んでもよい。ソース94又はドレイン96は、表示電極80例えばアノード80に接続される。ドレイン96は、アノード80に接続される。金属層30は、耐腐食性が比較的に強い第3の金属サブ層32と、耐腐食性が比較的に弱い第1の金属サブ層34と、耐腐食性が比較的に強い第2の金属サブ層36と、を含む複数層構造であってもよい。例えば、第1のチタン層32、アルミニウム層34および第2のチタン層36の複数層構造である。第1の金属サブ層34は、第3の金属サブ層32と第2の金属サブ層36との間に位置される。パッド100は、表示装置のアノードにエッチングプロセスを行なった後、中間の第1の金属サブ層34例えばアルミニウム層34にアンダーカットが発生し、この複数層構造がとても不安定になる。例えば、上層の第2の金属サブ層36例えば第2のチタン層36は、その後のプロセスにおいて崩れて、移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生することになる。
【0038】
図2は、画素定義層の材料例えばポリイミド又はアクリルによってパッド100の縁を覆う場合の表示基板を模式的に示す断面図である。図1と同じ部材については、同じ符号で示すとともに、その詳しい説明を省略する。
【0039】
上記の図1を参照して述べた問題の発生を防止するために、画素定義層の材料、例えばポリイミド又はアクリルによって、パッド100の縁を覆う。しかしながら、一般的には、画素定義層70が比較的に厚いので、溶接の品質に影響を及ぼさないように、薄くした画素定義層75を形成するために、パッド領域1000を覆う画素定義層の薄型化が必要である。このような薄型化には、例えばハーフトーンマスクを介して行なう必要があるので、コストが高くなり且つプロセスが複雑になってしまう。図における150、65、60は、それぞれ、他の回路基板例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)のパッド、金球および異方性導電ペーストを示す。
【0040】
図3A~3Eは、本開示の一つの実施案によって表示基板を製造する方法の各プロセスステップを行った後の表示基板を模式的に示す断面図であり、そのうち、図3Aは、フォトレジスト50を塗布した後の断面図であり、図3Bは、マスクによってフォトレジストを覆うステップの断面図であり、図3Cは、露出し現像してプリ導電材料層の一部を暴露するステップの断面図であり、図3Dは、プリ導電材料層をエッチングする断面図であり、図3Eは、フォトレジスト50を除去するステップの断面図である。図1および図2と同じ部材については、同じ符号で示すとともに、その詳しい説明を省略する。
【0041】
先ず、図3A~3Eの左側のパッド領域1000に基づいて、本開示の方法の一つの実施案を説明する。
【0042】
図3Aに示すように、本開示における表示基板を製造する方法は、
パッド領域1000には、第1の金属サブ層34と、第1の金属サブ層34の上に積層され、耐腐食性が第1の金属サブ層34の耐腐食性よりも強い第2の金属サブ層36とを含む金属層30を形成するステップと、
第2の金属サブ層36の上にプリ導電材料層40を形成するステップと、
プリ導電材料層40の上にフォトレジスト50を塗布するステップと、
を含む。
【0043】
図3Bに示すように、次に、マスクMによって前記フォトレジスト50を覆う。覆われた箇所は、エッチングされたくないプリ導電材料層の部分であり、図において金属層30の側面の上方である。即ち、金属層30の側面上のプリ導電材料層40が保留されたいものである。
【0044】
図3Cに示すように、次に、露出し現像して、前記プリ導電材料層40の一部を暴露する。そのうち、前記現像の後、前記金属層30の側面の上のプリ導電材料層40を覆うフォトレジスト50が少なくとも保留され、前記金属層の一部の上面の上のプリ導電材料層を覆うフォトレジストが少なくとも除去される。
【0045】
図3Dに示すように、次に、プリ導電材料層40をエッチングする。フォトレジスト50に覆われた部分の導電材料は保留され、他の部分はエッチングされて除去される。
【0046】
図3Eに示すように、次に、残りのフォトレジスト50を除去する。
【0047】
本開示の方法は、表示基板の他の部材の製造プロセスと組み合わせてもよい。図3A~3Eは、他の部材の製造プロセスを含む一つの実施案も模式的に示している。
【0048】
現在、図の右側の表示領域2000に基づいて説明する。
【0049】
表示領域2000は、表示電極80を含んでもよい。パッド領域1000の導電材料層40は、表示領域2000の表示電極80と同時に形成でき、即ち同層に形成し、且つ同じパターニングプロセスによって形成される。図3Aに示すように、プリ導電材料層40は、表示領域2000における表示電極80を形成したい部分までに延びる。ここで、パッド領域1000が表示領域2000におけるプリ導電材料層と連続されると示したが、連続されなくてもよい。それらは、一つのステップ例えば堆積ステップに同層に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。図3Bに示すように、表示電極の部分にも、フォトレジスト50の上方にマスクを設置する。図3Cに示すように、露出し現像して、金属層30の側面の上のフォトレジスト及び表示電極80におけるフォトレジストを保留する。図3Dに示すように、エッチングによって余計のプリ導電材料層を除去して、金属層30の側面のプリ導電材料層40及び表示電極80における導電材料を保留する。図3Eに示すように、残りのフォトレジスト50を除去して、金属層30の側面を覆う導電材料層40を形成するとともに、表示電極80を形成する。
【0050】
表示電極はアノード80を含んでもよい。パッド領域1000の導電材料層40は、表示領域2000のアノード80と同時に形成でき、即ち同層に形成し、且つ同じパターニングプロセスによって形成される。図3Aに示すように、プリ導電材料層40は、表示領域2000におけるアノード80を形成したい部分までに延びる。ここで、パッド領域1000が表示領域2000におけるプリ導電材料層と連続されると示したが、連続されなくてもよい。それらは、一つのステップ例えば堆積ステップに同層に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。図3Bに示すように、アノード80の部分にも、フォトレジスト50の上方にマスクを設置する。図3Cに示すように、露出し現像して、金属層30の側面の上のフォトレジスト及びアノード80におけるフォトレジストを保留する。図3Dに示すように、エッチングによって余計のプリ導電材料層を除去して、金属層30の側面のプリ導電材料層40及びアノード80における導電材料を保留する。図3Eに示すように、残りのフォトレジスト50を除去して、金属層30の側面を覆う導電材料層40を形成するとともに、アノード80を形成する。
【0051】
この前に、パッド領域1000の金属層30は、表示領域2000のトランジスタにおけるソースおよびドレインと同時に形成でき、即ち同層に形成し、且つ同じパターニングプロセスによって形成される。
【0052】
これによって、アノードに対してエッチングプロセスを行なう際に、第1の金属サブ層例えばアルミニウム層34におけるアンダーカットの発生を防止することができる。これにより、第2の金属サブ層例えば第2のチタン層36は、その後のプロセスに崩れて移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生するという問題を防止することができる。なお、金属層30の側面を覆う導電材料層40も導電接触領域に属し、金属層30の導電性をさらに向上させることができる。
【0053】
図4は、本開示の一つの実施案に係わる表示基板を模式的に示す断面図である。
【0054】
図4に示すように、本開示の表示基板は、パッド領域1000と、前記パッド領域1000以外の表示領域2000とを含んでもよい。パッド領域1000は、少なくとも一つのパッド100を含んでもよい。パッド100は、下地基板10と、下地基板10の上に形成された絶縁層20と、絶縁層20の上の金属層30とを備えてもよい。任意に選択できることとして、表示領域2000は、絶縁層20の上のTFT90と、表示電極80例えばアノード80とを含んでもよい。TFT90は、ゲート91と、層間誘電体層92と、能動層93と、ソース94と、ドレイン96とを含んでもよい。ソース94又はドレイン96は、表示電極80例えばアノード80に接続される。ドレイン96は、アノード80に接続される。金属層30は、耐腐食性が比較的に強い第3の金属サブ層32と、耐腐食性が比較的に弱い第1の金属サブ層34と、耐腐食性が比較的に強い第2の金属サブ層36と、を含む複数層構造であってもよい。例えば、第1のチタン層32、アルミニウム層34および第2のチタン層36の複数層構造である。第1の金属サブ層34は、第3の金属サブ層32と第2の金属サブ層36との間に位置される。
【0055】
図4では、第1のチタン層32、アルミニウム層34および第2のチタン層36の3層構造を示したが、当業者であれば理解できるように、金属層30は、耐腐食性が比較的に弱い第1の金属サブ層34と、耐腐食性が比較的に強い第2の金属サブ層36との両方のみを含む2層構造であってもよい。第2の金属サブ層36は、第1の金属サブ層34を覆う。例えば、金属層30は、アルミニウム層34およびチタン層36の2層構造であってもよい。チタン層36は、アルミニウム層34を覆う。
【0056】
図4に示すように、金属層30の側面は、アノード材料層40に覆われている。このように、アノードに対してエッチングプロセスを行なう際に、第1の金属サブ層例えばアルミニウム層34におけるアンダーカットの発生を防止することができる。これにより、第2の金属サブ層例えば第2のチタン層36は、その後のプロセスに崩れて移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生するという問題を防止することができる。なお、金属層30の側面を覆う導電材料層40も導電接触領域に属し、金属層30の導電性をさらに向上させることができる。
【0057】
本開示の一つの実施案において、金属層30は、第1のチタン層32、アルミニウム層34および第2のチタン層36を含む複数層構造であってもよい。アルミニウム層34は、第1のチタン層32と第2のチタン層36との間に位置される。第1のチタン層32の厚さは、400~1000Åであってもよい。アルミニウム層34の厚さは、4000~8000Åであってもよい。第2のチタン層の厚さは、400~1000Åであってもよい。第1のチタン層32の厚さと第2のチタン層36の厚さとは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0058】
本開示の一つの実施案において、金属層30がアルミニウム層34およびチタン層36の2層構造である場合、チタン層36の厚さは、400~1000Åであってもよく、アルミニウム層34の厚さは、4000~8000Åであってもよい。
【0059】
本開示の他の実施案において、アノード材料層40は、第1の透明導電酸化物層と、金属材料層と、第2の透明導電酸化物層とを含む複数層構造であってもよい。金属材料層は、第1の透明導電酸化物層と第2の透明導電酸化物層との間に位置される。第1の透明導電酸化物層の厚さは、50~100Åであってもよい。金属材料層の厚さは、800~2000Åであってもよい。第2の透明導電酸化物層の厚さは、50~100Åであってもよい。第1の透明導電酸化物層の厚さと第2の透明導電酸化物層の厚さとは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0060】
本開示の他の実施案において、第1又は第2の透明導電酸化物層における透明導電酸化物は、同じであってもよいし、異なってもよい。そして、第1又は第2の透明導電酸化物層は、酸化インジウムと、酸化スズと、酸化インジウムスズと、これらのうちの2種以上の混合物とからなる群の中のいずれか一つを含んでもよい。
【0061】
本開示の他の実施案において、金属材料層は、銀を含んでもよく、例えば銀である。例えば、アノード材料層は、第1の酸化インジウムスズ(ITO)層、銀層および第2の酸化インジウムスズ(ITO)層を含んでもよい。銀層は、第1のITO層と第2のITO層との間に位置される。
【0062】
本開示の他の実施案において、表示基板は、アクティブマトリックス発光基板又はパッシブマトリックス発光基板であってもよい。
【0063】
本開示の他の実施案において、パッド100は、第2の金属サブ層36の上の金球65を含む異方性導電ペースト60によって、他の回路基板のパッド150と粘着されてもよい。第2の金属サブ層36は、金球65を含む異方性導電ペースト60と接触する。
【0064】
本開示のパッドは、集積回路基板またはフレキシブルプリント配線板に接続するために用いられてもよく、例えば、集積回路基板又はフレキシブルプリント配線板のパッド150に電気的に接続する。
【0065】
本開示の他の実施案において、表示領域は、表示電極80を含んでもよい。パッド100の導電材料層40は、表示領域の表示電極80と同層に形成され且つ同じパターニングプロセスによって形成される。これによって、プロセスステップ及びコストを増加させることなく、パッド100の導電材料層40を形成することができる。
【0066】
本開示の他の実施案において、表示電極はアノード80を含んでもよい。パッドのアノード材料層40は、アノード80と同層に形成され且つ同じパターニングプロセスによって形成される。これによって、プロセスステップ及びコストを増加させることなく、パッド100のアノード材料層40を形成することができる。
【0067】
本開示の他の実施案において、表示領域は、さらにトランジスタ例えばTFTを含み、トランジスタは、ソース94/ドレイン96を含む。パッド100の金属層30は、表示領域のソース94/ドレイン96と同層に形成され且つ同じパターニングプロセスによって形成される。これによって、プロセスステップ及びコストを増加させることなく、パッド100の金属層30を形成することができる。
【0068】
本開示の他の実施案において、表示基板を製造する方法は、金属層30の側面の上のフォトレジストを除去した後、第2の金属サブ層36の上に金球65を含む異方性導電ペースト60を形成することをさらに含んでもよい。
【0069】
本開示のパッド100は、異方性導電ペースト60を介して集積回路基板またはフレキシブルプリント配線板に接続されてもよく、例えば、集積回路基板又はフレキシブルプリント配線板のパッド150に電気的に接続する。
【0070】
本開示の表示装置は、本開示の表示基板を含んでもよい。
【0071】
本開示の表示基板は、アクティブマトリックス発光基板又はパッシブマトリックス発光基板を含んでもよい。本開示の表示装置は、アクティブマトリックス発光表示装置およびパッシブマトリックス発光表示装置を含んでもよい。
【0072】
本開示の表示基板、表示基板の製造方法、および表示装置によれば、プロセスステップ及びコストを増加させることなく、中間の第1の金属サブ層例えばアルミニウム層34におけるアンダーカットの発生を防止することができる。これにより、上層の第2の金属サブ層例えば第2のチタン層36は、その後のプロセスに崩れて移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生するという問題を防止することができる。
【0073】
金属層30は、第1のチタン層32、アルミニウム層34および第2のチタン層36を含む複数層構造である場合、本開示の表示基板、表示基板の製造方法、および表示装置によれば、中間のアルミニウム層34におけるアンダーカットの発生を防止することができる。これにより、第2のチタン層36は、その後のプロセスに崩れて移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生するという問題を防止することができる。
【0074】
なお、金属層30の側面を覆う導電材料層40例えばアノード導電材料40も導電接触領域に属し、金属層30の導電性をさらに向上させることができる。
【0075】
本開示の表示基板、表示基板の製造方法、および表示装置によれば、耐腐食性が比較的に弱い第1の金属サブ層例えばアルミニウム層におけるアンダーカットの発生を防止することができ、これにより、耐腐食性が比較的に強い第2の金属サブ層例えばチタン層は、その後のプロセスに崩れて移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生するという問題を防止することができる。幾つの実施例では、本開示の表示基板の製造方法は、プロセスステップ及びコストを増加させない。
【0076】
前記金属層がチタン層、アルミニウム層およびチタン層を含む複数層構造である場合、本開示の表示基板、表示基板の製造方法、および表示装置によれば、中間のアルミニウム層におけるアンダーカットの発生を防止することができ、これにより、上層のチタン層は、その後のプロセスに崩れて移動の導電粒子になり、異なる信号線間に短絡が発生するという問題を防止することができる。
【0077】
なお、前記金属層の前記側面を覆う導電材料層も導電接触領域に属し、前記金属層の導電性をさらに向上させることができる。
【0078】
明らかに、当業者は、本開示の精神と範囲を逸脱することなく、本開示の実施例に対して様々な変更や変形をすることができる。このように、本開示のこれらの変更や変形が本開示の請求項及びその同等の技術の範囲内に含まれるものであれば、本開示は、これらの変更と変形を含むことを意図とする。
【符号の説明】
【0079】
10 下地基板
20 絶縁層
30 金属層
32 第3の金属サブ層
34 第1の金属サブ層
36 第2の金属サブ層
40 プリ導電材料層
50 フォトレジスト
60 異方性導電ペースト
65 金球
70 画素定義層
75 画素定義層
80 表示電極
90 薄膜トランジスタ(TFT)
91 ゲート
92 層間誘電体層
93 能動層
94 ソース金属層
96 ドレイン金属層
100 パッド
150 パッド
1000 パッド領域
2000 表示領域
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4