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特許7113758アミデート化合物を含有するエポキシ化合物重合触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】アミデート化合物を含有するエポキシ化合物重合触媒
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/44 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
C08G59/44
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018556749
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2017044976
(87)【国際公開番号】W WO2018110670
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2016243037
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000167646
【氏名又は名称】広栄化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川道 赳英
(72)【発明者】
【氏名】宮城 元嘉
(72)【発明者】
【氏名】新田 晋吾
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-174520(JP,A)
【文献】国際公開第2018/025970(WO,A1)
【文献】ANDREAS Schmidt et al.,Imidazol-2-and-4-ylidene by decarboxylation. Studies on the cross-conjugated mesomeric betaine-alkaloid norzooanemonine and its pseudo-cross-conjugated isomer,Organic & Biomolecular Chemistry,2008年,6,287-295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00 - 59/72
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
(式中、Aは置換若しくは無置換の炭化水素基である。nは1以上の整数である。Dは式(2):
【化2】
(式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。また、R、R、R及びRは、一部または全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を示す。aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。)で表される含窒素有機基である。)
で表されるアミデート化合物を含有するエポキシ化合物重合触媒であって、前記式(2)で表される含窒素有機基が、下記式(2-1)、式(2-2)、又は式(2-3)のいずれかで表される含窒素有機基である、エポキシ化合物重合触媒。
式(2-1):
【化2】
(式中、R 、R 、X及びaは前記に同じ、R 及びR は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基である。)
式(2-2):
【化3】
(式中、R 、R 、X及びaは前記に同じ、R 及びR 10 は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基である。)
式(2-3):
【化4】
(式中、R 、R 、X及びaは前記に同じ、R 11 、R 12 、R 13 及びR 14 は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基である。)
【請求項2】
nが1~6の整数である請求項1に記載のエポキシ化合物重合触媒。
【請求項3】
式(1)で表されるアミデート化合物が下記式(1-1)、式(1-2)又は式(1-3)のいずれかで表される化合物である請求項1に記載のエポキシ化合物重合触媒。
式(1-1):
【化5】
(式中、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基、Dは前記に同じである。)
式(1-2):
【化6】
(式中、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基、Dは前記に同じである。)
式(1-3):
【化7】
(式中、mは0~4の整数、Dは前記に同じである。)
【請求項4】
Xが窒素原子である請求項1~のいずれかに記載のエポキシ化合物重合触媒。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載のエポキシ化合物重合触媒の存在下、エポキシ組成物を反応させるエポキシ組成物の重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年12月15日に出願された、日本国特許出願第2016-243037号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、アミデート化合物を含有するエポキシ化合物重合触媒、並びにそれを用いたエポキシ組成物の重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カルベン種と総称される配位不飽和化合物の中でも、複素環式カルベン化合物(NHCs)は、近年その触媒作用が注目されている。複素環式カルベン化合物を触媒として使用した例としては、例えばアルキレンオキシドのようなエポキシ化合物からポリエーテル構造を有する重合体を製造する際の触媒として好適に使用できることが知られている(特許文献1、2)。
【0004】
また特許文献3においては、複素環式カルベン化合物を触媒として製造されるビスフェノールA型エポキシ樹脂硬化物が、電子チップの封止剤として有用であることが報告されている。
【0005】
一般的に複素環式カルベン化合物は、カルベンに隣接する窒素原子上の置換基が小さいほど触媒活性は高いが、その分不安定であり保存安定性が低い。一方で、複素環式カルベン化合物のカルベンに隣接する窒素原子上の置換基をかさ高くすると触媒活性が低くなる。このことから、特許文献1、4及び5に報告されているように、加熱により反応系中でカルベンが発生するカルベン前駆体を、不安定な触媒活性の高い複素環式カルベン化合物の代わりに触媒として使用することが有効である。
【0006】
ポリエーテル構造を有する重合体の製造において触媒として使用できるカルベン前駆体のうち、最も一般的なものは、カルベンの炭酸付加体である(特許文献4、5)。しかし、本発明者らが検討したところ、カルベンの炭酸付加体は、100℃という低温において触媒活性が低かった(後述の比較例参照)。また、カルベンの炭酸付加体はカルベンの発生時にCOガスが発生する。このことから、例えば、エポキシ樹脂硬化物を製造するための硬化触媒として使用した際に、得られるエポキシ樹脂硬化物にボイド等が発生するために硬化物の気密性が低下すること予想される。低温において触媒活性が低いことや、カルベンの発生時にCOガスが発生するといったカルベンの炭酸付加体の特性は、低温での硬化や高気密性が要求される電子部品用エポキシ樹脂封止材等の用途には不適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2009/013344号パンフレット
【文献】特表2013-526630号公報
【文献】米国特許出願公開2007/0090532号明細書
【文献】特表2015-511659号公報
【文献】国際公開第2014/187782号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、エポキシ化合物重合触媒として使用する際にCOガスが発生せず、また電子部品用エポキシ樹脂封止材等、低温での硬化が必要な製造工程においても十分な触媒活性を示す、エポキシ化合物重合触媒を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、式(1)で表される化合物をエポキシ化合物重合触媒として使用したところ、硬化温度が100℃でも十分な触媒活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]に関するものである。
【0011】
[1]式(1):
【0012】
【化1】
(式中、Aは置換若しくは無置換の炭化水素基である。nは1以上の整数である。Dは式(2):
【0013】
【化2】
(式中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基を示す。また、R、R、R及びRは、一部または全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を示す。aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。)で表される含窒素有機基である。)
で表されるアミデート化合物を含有するエポキシ化合物重合触媒。
【0014】
[2]nが1~6の整数である[1]に記載のエポキシ化合物重合触媒。
【0015】
[3]式(1)で表されるアミデート化合物が下記式(1-1)、式(1-2)又は式(1-3)のいずれかで表される化合物である[1]に記載のエポキシ化合物重合触媒。
式(1-1):
【0016】
【化3】
(式中、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基、Dは前記に同じである。)
式(1-2):
【0017】
【化4】
(式中、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基、Dは前記に同じである。)
式(1-3):
【0018】
【化5】
(式中、mは0~4の整数、Dは前記に同じである。)
【0019】
[4]式(2)で表される含窒素有機基が下記式(2-1)、式(2-2)、又は式(2-3)のいずれかで表される含窒素有機基である[1]~[3]のいずれかに記載のエポキシ化合物重合触媒。
式(2-1):
【0020】
【化6】
(式中、R、R、X及びaは前記に同じ、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基である。)
式(2-2):
【0021】
【化7】
(式中、R、R、X及びaは前記に同じ、R及びR10は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基である。)
式(2-3):
【0022】
【化8】
(式中、R、R、X及びaは前記に同じ、R11、R12、R13及びR14は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基である。)
【0023】
[5]Xが窒素原子である[1]~[4]のいずれかに記載のエポキシ化合物重合触媒。
【0024】
[6][1]~[5]のいずれかに記載のエポキシ化合物重合触媒の存在下、エポキシ組成物を反応させるエポキシ組成物の重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
エポキシ化合物重合触媒として使用する際にCOガスが発生せず、また電子部品用エポキシ樹脂封止材等、低温での硬化が必要な製造工程においても十分な触媒活性を示す、エポキシ化合物重合触媒を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0027】
式(1)中、Aは置換若しくは無置換の炭化水素基である。好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~100の炭化水素基、より好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~50の炭化水素基、特に好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~30の炭化水素基である。
【0028】
Aが置換基を有する炭化水素基である場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基等が挙げられる。また、Aの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。Aの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-NH-、-S-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0029】
上記アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~3、より好ましくは炭素数1又は2である。
【0030】
上記アリールオキシ基のアリール部分としては、例えば、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0031】
置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
【0032】
nは1以上の整数であり、入手性の観点から好ましくは1~6、特に好ましくは1~4である。Dは式(2)で表される含窒素有機基である。
【0033】
本発明において、式(1)で表されるアミデート化合物(以下、アミデート化合物(1)という。)は式(1-1)、式(1-2)又は式(1-3)のいずれかで表されるアミデート化合物であることが好ましい。
【0034】
式(1-1)において、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基であり、好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~12の炭化水素基、より好ましくは置換若しくは無置換の炭素数1~6の炭化水素基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル基、アリル基等が挙げられ、好ましくはブチル基、フェニル基である。
【0035】
が置換基を有する炭素数1~20の炭化水素基である場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基等が挙げられる。また、Rの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。Rの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-NH-、-S-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0036】
上記アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~3、より好ましくは炭素数1又は2である。
【0037】
上記アリールオキシ基のアリール部分としては、例えば、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0038】
置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
【0039】
式(1-1)中、Dは前記に同じである。
【0040】
式(1-2)において、Rは置換若しくは無置換の炭素数1~20の炭化水素基である。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、オクタデシレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、好ましくはフェニレン基、ブチレン基である。
【0041】
が置換基を有する炭素数1~20の炭化水素基である場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、スルホニル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基、(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基又はイソシアネート基等が挙げられる。また、Rの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていても良い。Rの炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-NH-、-S-等の基を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。
【0042】
上記アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、(アルキルアミノ)カルボニルアミノ基及び(ジアルキルアミノ)カルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~3、より好ましくは炭素数1又は2である。
【0043】
上記アリールオキシ基のアリール部分としては、例えば、炭素数6~10のアリール基が挙げられる。具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0044】
置換基の数は1~5個、好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個とすることができる。
【0045】
式(1-2)中、Dは前記に同じである。
【0046】
式(1-3)において、mは0~4の整数である。Dは前記に同じである。
【0047】
式(2)中、R、R、R及びRは、同一又は異なって、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基である。R、R、R及びRは一部又は全てが相互に結合して環構造を形成していてもよい。例えば、RとRとが、RとRとが、RとRとが、R、R及びRが、又はR,R、R及びRとが、相互に結合して環構造を形成していてもよい。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20の炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アリル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2,4,6-トリメチルフェニル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。Xは窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり、好ましくは窒素原子である。
【0048】
式(2)中、aは0又は1を示す。Xが窒素原子を示す場合は、aは1を示し、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示す。すなわち、式(2)は下記式(2a)、(2b)又は(2c)のいずれかで表される含窒素有機基である。換言すると、Xが酸素原子又は硫黄原子を示す場合、aは0を示し、Rは無い。
【0049】
【化9】
【0050】
(式中、R、R、R及びRは前記に同じである。)
【0051】
本発明において、入手容易性の観点から、式(2)で表される含窒素有機基のR及びRが相互に結合し、環構造を形成していることが好ましい。環を形成している前記含窒素有機基として好ましくは式(2-1)、(2-2)又は(2-3)のいずれかで表される含窒素有機基であり、特に好ましくは式(2-1)で表される含窒素有機基である。
【0052】
式(2-1)において、R、R、X及びaは前記に同じである。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基であり、好ましくは水素原子である。ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0053】
式(2-1)で表される含窒素有機基としては、具体的には1,3-ジメチルイミダゾリウム基、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム基、1-メチル-3-イソプロピルイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-ペンチルイミダゾリウム基、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム基、1-ヘプチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-ノニルイミダゾリウム基、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム基、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム基、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム基、1-(2-メトキシエチル)-3-メチルイミダゾリウム基、1-(2-エトキシエチル)-3-メチルイミダゾリウム基、1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-メチルイミダゾリウム基、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム基、
【0054】
3-メチルオキサゾリウム基、3,5-ジメチルオキサゾリウム基、3,4,5-トリメチルオキサゾリウム基、
【0055】
3-メチルチアゾリウム基、3,4-ジメチルチアゾリウム基、3,5-ジメチルチアゾリウム基、3,4,5-トリメチルチアゾリウム基等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリウム基、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム基、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム基であり、特に好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリウム基である。
【0056】
式(2-2)において、R、R、X及びaは前記に同じである。R及びR10は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基であり、好ましくは水素原子である。ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0057】
式(2-2)で表される含窒素有機基としては、具体的には1,3-ジメチルイミダゾリニウム基、1-エチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-プロピルイミダゾリニウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-ペンチルイミダゾリニウム基、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-ヘプチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-オクチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-ノニルイミダゾリニウム基、1-デシル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-アリル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-(2-メトキシエチル)-3-メチルイミダゾリニウム基、1-(2-エトキシエチル)-3-メチルイミダゾリニウム基、1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-メチルイミダゾリニウム基、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリニウム基、
【0058】
3-メチルオキサゾリニウム基、3,4-ジメチルオキサゾリニウム基、3,5-ジメチルオキサゾリニウム基、3,4,5-トリメチルオキサゾリニウム基、
【0059】
3-メチルチアゾリニウム基、3,4-ジメチルチアゾリニウム基、3,5-ジメチルチアゾリニウム基、3,4,5-トリメチルチアゾリニウム基等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリニウム基、1-エチル-3-メチルイミダゾリニウム基、1-メチル-3-プロピルイミダゾリニウム基、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム基であり、特に好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリニウム基である。
【0060】
式(2-3)において、R、R、X及びaは前記に同じである。R11、R12、R13及びR14は、同一又は異なって、水素原子又はヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基であり、好ましくは水素原子である。ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1~6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-(ジメチルアミノ)エチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
【0061】
式(2-3)で表される含窒素有機基としては、具体的には1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム基、1-エチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-プロピルベンゾイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-ペンチルベンゾイミダゾリウム基、1-ヘキシル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-ヘプチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-オクチルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-ノニルベンゾイミダゾリウム基、1-デシル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-アリル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-ベンジル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1,3,6-トリメチルベンゾイミダゾリウム基、1-アセチル-3,6-ジメチルベンゾイミダゾリウム基、1,3,6,7-テトラメチルベンゾイミダゾリウム基、1,3-ジベンジル-6,7-ジメチルベンゾイミダゾリウム基、
【0062】
3-メチルベンゾオキサゾリウム基、
【0063】
3-メチルベンゾチアゾリウム基等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム基、1-エチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基、1-メチル-3-プロピルベンゾイミダゾリウム基、1-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム基であり、特に好ましくは、1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム基である。
【0064】
なお、本明細書において、別途の明示が無い限り、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等の記載は、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル等の直鎖状のアルキル基を示す。
【0065】
以下にアミデート化合物(1)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基を示す。
【0066】
【化10】
【0067】
【化11】
【0068】
【化12】
【0069】
【化13】
【0070】
【化14】
(式(1-3-1)中、mは前記に同じ。)
【0071】
アミデート化合物(1)として好ましくは式(1-1-20)、(1-1-40)で表される化合物である。
【0072】
本発明のアミデート化合物(1)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体等の異性体を有する場合には、いずれの異性体であるか明記がない限り、いずれの異性体の混合物も本発明化合物に包含される。例えば、アミデート化合物(1)に光学異性体が存在する場合、ラセミ体から分割されたその光学異性体もアミデート化合物(1)に包含され得る。これらの異性体は、公知の合成手法、分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)によりそれぞれを単一化合物として得ることができる。
【0073】
また、アミデート化合物(1)は共鳴によって異性化すると考えられる。例えば式(1)で表される化合物において、Xが窒素原子であるとき、以下の共鳴構造を取りうると考えられる。
【0074】
【化15】
(式中、A、n、R、R、R及びRは前記に同じ。)
【0075】
本発明のアミデート化合物(1)の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記工程1及び2より製造することが出来る。
【0076】
工程1 下記式(3)で表される含窒素有機化合物(以下、含窒素有機化合物(3)という。)と式(6)で表されるジアルキルカーボネート(以下、ジアルキルカーボネート(6)という。)を反応させる下記式(4)で表されるカルボキシレート化合物(以下、カルボキシレート化合物(4)という。)の製造工程。
【0077】
式(3):
【0078】
【化16】
(式中、R、R、R、X及びaは前記に同じ。)
【0079】
式(6):
(式中、Rは前記に同じ。)
【0080】
式(4):
【0081】
【化17】
(式中、R、R、R、R、X及びaは前記に同じ。)
工程2 カルボキシレート化合物(4)と下記式(5)で表されるイソシアネート化合物(以下、イソシアネート化合物(5)という。)を反応させる工程。
【0082】
式(5):
【0083】
【化18】
(式中、A及びnは前記に同じ。)
【0084】
まず、工程1について説明する。
【0085】
式(3)中、R、R、R、X及びaは前記に同じである。本発明において、入手容易性の観点から、式(3)においてR及びRが相互に結合し、環構造を形成していることが好ましい。環を形成している含窒素有機基(3)として好ましくは式(3-1)、式(3-2)又は式(3-3)のいずれかで表される含窒素有機基からなる群より選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは式(3-1)で表される含窒素有機化合物である。
【0086】
式(3-1):
【0087】
【化19】
(式中、R、R、R、X及びaは前記に同じ。)
【0088】
式(3-2):
【0089】
【化20】
(式中、R、R、R10、X及びaは前記に同じ。)
【0090】
式(3-3):
【0091】
【化21】
(式中、R、R11、R12、R13、R14、X及びaは前記に同じ。)
【0092】
式(3-1)中、R、R、R、X及びaは前記に同じである。式(3-1)で表される含窒素化合物の具体例としては、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1-プロピルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、1-tert-ブチルイミダゾール、1-ペンチルイミダゾール、1-ヘキシルイミダゾール、1-ヘプチルイミダゾール、1-オクチルイミダゾール、1-ノニルイミダゾール、1-デシルイミダゾール、1-アリルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1-(2-メトキシエチル)イミダゾール、1-(2-エトキシエチル)-イミダゾール、1-(2-ジメチルアミノエチル)イミダゾール、1,4,5-トリメチルイミダゾール
【0093】
オキサゾール、4-メチルオキサゾール、5-メチルオキサゾール、4,5-ジメチルオキサゾール、
【0094】
チアゾール、4-メチルチアゾール、5-メチルチアゾール、4,5-ジメチルチアゾール等が挙げられ、好ましくは、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1プロピルイミダゾール、1-ブチルイミダゾールであり、特に好ましくは、1-メチルイミダゾールである。
【0095】
式(3-2)中、R、R、R10、X及びaは前記に同じである。式(3-2)で表される含窒素化合物の具体例としては、1-メチルイミダゾリン、1-エチルイミダゾリン、1-プロピルイミダゾリン、1-イソプロピルイミダゾリン、1-ブチルイミダゾリン、1-tert-ブチルイミダゾリン、1-ペンチルイミダゾリン、1-ヘキシルイミダゾリン、1-ヘプチルイミダゾリン、1-オクチルイミダゾリン、1-ノニルイミダゾリン、1-デシルイミダゾリン、1-アリルイミダゾリン、1-ベンジルイミダゾリン、1-(2-メトキシエチル)イミダゾリン、1-(2-エトキシエチル)イミダゾリン、1-(2-ジメチルアミノエチル)イミダゾリン、1,4,5-トリメチルイミダゾリン
【0096】
オキサゾリン、5-メチルオキサゾリン、4,5-ジメチルオキサゾリン、
【0097】
チアゾリン、4-メチルチアゾリン、5-メチルチアゾリン、4,5-ジメチルチアゾリン等が挙げられ、好ましくは、1-メチルイミダゾリン、1-エチルイミダゾリン、1-プロピルイミダゾリン、1-ブチルイミダゾリンであり、特に好ましくは、1-メチルイミダゾリンである。
【0098】
式(3-3)中、R、R11、R12、R13、R14、X及びaは前記に同じである。式(3-3)で表される含窒素化合物の具体例としては、1-メチルベンゾイミダゾール、1-エチルベンゾイミダゾール、1-プロピルベンゾイミダゾール、1-ブチルベンゾイミダゾール、1-ペンチルベンゾイミダゾール、1-ヘキシルベンゾイミダゾール、1-ヘプチルベンゾイミダゾール、1-オクチルベンゾイミダゾール、1-ノニルベンゾイミダゾール、1-デシルベンゾイミダゾール、1-アリルベンゾイミダゾール、1-ベンジルベンゾイミダゾール、1,6-ジメチルベンゾイミダゾール、1-アセチル-6-メチルベンゾイミダゾール、1,6,7-トリメチルベンゾイミダゾール、
【0099】
ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられ、好ましくは、1-メチルベンゾイミダゾール、1-エチルルベンゾイミダゾール、1-プロピルベンゾイミダゾール、1-ブチルベンゾイミダゾールであり、特に好ましくは、1-メチルベンゾイミダゾールである。
【0100】
式(4)中、R、R、R、R、X及びaは前記に同じである。本発明において、式(4)で表されるカルボキシレート化合物のR及びRが相互に結合し、環構造を形成していることが好ましい。環を形成しているカルボキシレート化合物(4)として好ましくは式(4-1)、式(4-2)又は式(4-3)のいずれかで表されるカルボキシレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは式(4-1)で表されるカルボキシレート化合物である。
【0101】
式(4-1):
【0102】
【化22】
(式中、R、R、R、R、X及びaは前記に同じ。)
【0103】
式(4-2):
【0104】
【化23】
(式中、R、R、R、R10、X及びaは前記に同じ。)
【0105】
式(4-3):
【0106】
【化24】
(式中、R、R、R11、R12、R13、R14、X及びaは前記に同じ。)
【0107】
式(4-1)中、R、R、R、R、X及びaは前記に同じである。式(4-1)で表されるカルボキシレート化合物の具体例としては、1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-イソプロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-tert-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-ペンチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ヘプチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-ノニルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-アリル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-(2-メトキシエチル)-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-(2-エトキシエチル)-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、
【0108】
3-メチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3,5-ジメチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、3,4,5-トリメチルオキサゾリウム-2-カルボキシレート、
【0109】
3-メチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3,4-ジメチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3,5-ジメチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、3,4,5-トリメチルチアゾリウム-2-カルボキシレート、等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートであり、特に好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリウム-2-カルボキシレートである。
【0110】
式(4-2)中、R、R、R、R10、X及びaは前記に同じである。式(4-2)で表されるカルボキシレート化合物の具体例としては、1,3-ジメチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-ペンチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-ヘプチル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-ノニルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-デシル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-アリル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-(2-メトキシエチル)-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-(2-エトキシエチル)-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-(2-ジメチルアミノエチル)-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、
【0111】
3-メチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3,4-ジメチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3,5-ジメチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、3,4,5-トリメチルオキサゾリニウム-2-カルボキシレート、
【0112】
3-メチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3,4-ジメチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3,5-ジメチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート、3,4,5-トリメチルチアゾリニウム-2-カルボキシレート等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルイミダゾリニウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレートであり、特に好ましくは、1,3-ジメチルイミダゾリニウム-2-カルボキシレートである。
【0113】
式(4-3)中、R、R、R11、R12、R13、R14、X及びaは前記に同じである。式(4-3)で表されるカルボキシレート化合物の具体例としては、1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-ペンチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ヘキシル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ヘプチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-オクチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-ノニルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-デシル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-アリル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ベンジル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3,6-トリメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-アセチル-3,6-ジメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3,6,7-テトラメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1,3-ジベンジル-6,7-ジメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、
【0114】
3-メチルベンゾオキサゾリウム-2-カルボキシレート、
【0115】
3-メチルベンゾチアゾリウム-2-カルボキシレート等が挙げられ、好ましくは、1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-エチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-メチル-3-プロピルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレート、1-ブチル-3-メチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレートであり、特に好ましくは、1,3-ジメチルベンゾイミダゾリウム-2-カルボキシレートである。
【0116】
式(6)中、Rは前記に同じである。ジアルキルカーボネート(6)の具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、炭酸ジペンチル、炭酸ジヘキシル等が挙げられ、好ましくは炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチルであり、特に好ましくは炭酸ジメチルである。
【0117】
ジアルキルカーボネート(6)の使用量は、含窒素有機化合物(3)1モルに対して通常1モル以上、好ましくは1~6モルである。
【0118】
工程1において反応温度は、使用する原料、溶媒等によって最適な温度が異なるが、通常、室温以上であり、好ましくは20~200℃である。
【0119】
工程1において、溶媒は使用してもしなくてもよい。溶媒を使用する場合、使用する溶媒は反応に影響を与えないものであれば特に制限されない。溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1-メトキシ-2-プロパノール、エトキシエタノール等のアルコール溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオール溶媒、ジプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール溶媒であり、特に好ましくはメタノールである。溶媒の使用量は、含窒素有機化合物(3)1重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
【0120】
工程1において、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0121】
反応終了後は、反応液を濃縮する等の公知の方法によって、溶媒、ジアルキルカーボネート(6)、含窒素有機化合物(3)等を除去してカルボキシレート化合物(4)を単離する。
【0122】
次に、工程2について説明する。
【0123】
式(5)中、A及びnは前記に同じである。イソシアネート化合物(5)として好ましくは式(5-1)、式(5-2)又は式(5-3)のいずれかで表されるイソシアネート化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、より好ましくは式(5-1)で表されるイソシアネート化合物である。
【0124】
式(5-1):
【0125】
【化25】
(式中、Rは前記に同じである。)
【0126】
式(5-2):
【0127】
【化26】
(式中、Rは前記に同じである。)
【0128】
式(5-3):
【0129】
【化27】
(式中、mは前記に同じである。)
【0130】
以下にイソシアネート化合物(5)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基、Prはn-プロピル基、Buはn-ブチル基を示す。
【0131】
【化28】
【0132】
【化29】
【0133】
【化30】
【0134】
【化31】
【0135】
【化32】
(式中、mは前記に同じである。)
【0136】
イソシアネート化合物(5)として好ましくは式(5-1-20)、(5-1-40)で表される化合物である。
【0137】
工程2において、通常、イソシアネート化合物(5)に含まれるイソシアネート基1モルに対して、カルボキシレート化合物(4)を0.8モル以上、好ましくは1~3モルとなる量を反応させる。
【0138】
工程2においては、溶媒を使用してもしなくてもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素などが挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素であり、特に好ましくはトルエンである。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。溶媒の使用量は、カルボキシレート化合物(4)1重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
【0139】
反応温度は、特に制限されないが、溶媒の沸点以下であればよく、通常10℃以上、好ましくは40~140℃、特に好ましくは80~120℃である。
【0140】
反応終了後は、反応液を濃縮して溶媒を留去することにより、アミデート化合物(1)を得ることができる。また、得られたアミデート化合物(1)は、再結晶等の方法により精製することができる。
【0141】
本発明のエポキシ化合物重合触媒は、アミデート化合物(1)を有効成分として含有してなるものであり、単独であってもエポキシ化合物重合触媒として使用することが出来るし、2種以上のアミデート化合物(1)を混合して使用することもできる。また、公知のエポキシ化合物重合触媒と組み合わせて混合し、使用することもできる。
【0142】
公知のエポキシ化合物重合触媒としては、例えば、アミン化合物、ポリアミン、カルボン酸変性ポリアミン、エポキシ変性ポリアミン(エポキシアダクト)、マイケル付加ポリアミン、アミン-マンニッヒ反応物、尿素もしくはチオ尿素とアミンの反応物、ケチミン等の変性ポリアミン、イミダゾール類、三フッ化ホウ素-アミン錯体、トリフェニルホスフィン、ホスホニウム塩、ジシアンジアミド、酸ヒドラジド、ジメチル尿素誘導体、酸無水物、ノボラック等のフェノール類が挙げられる。特にグアナミン類やメラニンのような芳香族のアミン化合物、ジシアンジアミド、酸ヒドラジド、酸無水物、フェノール類等の化合物は、アミデート化合物(1)がこれらの重合触媒に対しての活性化促進剤としても作用するために、結果としてエポキシ組成物の重合反応がより促進されると考えられるため、好ましい。
【0143】
本発明のエポキシ化合物重合触媒の存在下、エポキシ組成物を反応させることで、エポキシ組成物の重合体を製造することが出来る。
【0144】
本発明においてエポキシ組成物とは、少なくとも1種以上のエポキシ化合物を含有するものである。エポキシ化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドのようなアルキレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテルのような単官能グリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、カテコール、レゾルシン等の多価フェノール、又はグリセリンやポリエチレングリコールのような多価アルコールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、あるいは3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートに代表される脂環式エポキシ樹脂、あるいはp-オキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、あるいはフタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸から得られるポリグリシジルエステル、あるいは4,4-ジアミノジフェニルメタンやm-アミノフェノールなどから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、さらにはフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が使用される。これらのエポキシ化合物は単独で使用してもよく、2種以上を適宜混合して併用することもできる。
【0145】
本発明のエポキシ組成物は、必要に応じて無機充填剤、カップリング剤、着色剤等を配合することができる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラスフィラー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ等が挙げられ、カップリング剤としては、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、着色剤としては、例えばカーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
【0146】
さらに、本発明のエポキシ組成物は、必要に応じてチキソトロピー剤を配合することができる。チキソトロピー剤としては、例えば、日本アエロジル株式会社製アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300、アエロジル380、楠本化成株式会社製ディスパロンC-308、ディスパロン4110、ディスパロン4300、ディスパロン6500、ディスパロン6600等が挙げられる。
【0147】
エポキシ組成物として、エポキシ化合物を2種以上混合して併用する場合や、無機充填剤、カップリング剤、着色剤等やチキソトロピー剤を配合する場合、エポキシ組成物の調製方法として、一般的な撹拌混合装置と混合条件が適用される。使用される装置としては、ミキシングロール、ディゾルバ、プラネタリミキサ、ニーダ、押出機等である。混合条件としてはエポキシ樹脂等を溶解及び/又は低粘度化し、撹拌混合効率を向上させるために加熱してもよい。また、摩擦発熱、反応発熱等を除去するために必要に応じて冷却してもよい。撹拌混合の時問は必要により定めればよく、特に制約されることはない。
【0148】
本発明のエポキシ化合物重合触媒の使用量としては、エポキシ組成物中に含まれるエポキシ化合物100重量部に対して、アミデート化合物(1)が、通常0.1~20重量部となる量である。1種類もしくは2種類以上のアミデート化合物(1)のみをエポキシ化合物重合触媒として使用する場合、エポキシ組成物中に含まれるエポキシ化合物100重量部に対してアミデート化合物(1)を3~10重量部とすることが好ましい。また、アミデート化合物(1)と他の公知のエポキシ化合物重合触媒とを組み合わせてエポキシ化合物重合触媒として使用場合、エポキシ組成物中に含まれるエポキシ化合物100重量部に対してアミデート化合物(1)が0.5~5重量部となる量が好ましい。
【0149】
本発明においてエポキシ組成物の重合体を製造する際の手順としては、通常、エポキシ化合物重合触媒とエポキシ組成物を混合し、得られた混合物を加熱することで重合を行う。エポキシ化合物重合触媒とエポキシ組成物との混合方法としては、一般的な撹拌混合装置と混合条件が適用される。使用される装置としては、ミキシングロール、ディゾルバ、プラネタリミキサ、ニーダ、押出機等である。混合条件としてはエポキシ樹脂等を溶解及び/又は低粘度化し、撹拌混合効率を向上させるために加熱してもよい。また、摩擦発熱、反応発熱等を除去するために必要に応じて冷却してもよい。撹拌混合の時問は必要により定めればよく、特に制約されることはない。
【0150】
エポキシ組成物として、エポキシ化合物を2種以上混合して併用する場合や、無機充填剤、カップリング剤、着色剤等やチキソトロピー剤を配合する場合は、エポキシ化合物重合触媒と所望のエポキシ化合物、必要に応じて無機充填剤、カップリング剤、着色剤等やチキソトロピー剤を撹拌混合装置へ入れて撹拌することで、エポキシ組成物の調製操作とエポキシ化合物重合触媒とエポキシ組成物との混合操作を同時に行うこともできる。
【0151】
本発明のエポキシ化合物重合触媒として使用されるアミデート化合物(1)は常温では比較的安定であり、加熱により機能する熱潜在性触媒であることから、エポキシ組成物の重合体の製造方法に係る反応は、80℃~180℃の範囲で反応を実施することが好ましい。より好ましくは、100℃~140℃である。
【0152】
上述の方法によって、エポキシ組成物の重合体を得ることができる。本発明の方法によって得られるエポキシ組成物の重合体は塗料、接着剤、封止材等に使用することができる。
【実施例
【0153】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、H-NMRはブルカー株式会社製AV400を使用し、400MHzで測定した。
【0154】
[合成例1]DMIm-COの合成
窒素置換した500mLのオートクレーブに1-メチルイミダゾール82.1g(1.0mol)、炭酸ジメチル119.8g(1.0mol)、メタノール83.1gを仕込み、得られた混合物を内温120℃で22時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却し、減圧濃縮を行い、白色固体を得た。得られた白色固体をトルエンで洗浄後、減圧乾燥を行い、上記式で表される化合物(DMIm-CO)を47.8g得た(収率34%)。DMIm-COH-NMR分析結果を以下に示す。
【0155】
H-NMR(CDOD)δ(ppm)=7.46(s,2H)、4.08(s,6H)
【0156】
[合成例2]DMIm-PIの合成
窒素置換した3つ口フラスコに合成例1で得られたDMIm-COを3.0g(21mmol)、トルエン100mL、フェニルイソシアネート2.5g(21mmol)を仕込み、得られた混合物を内温110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、減圧濃縮し、上記式で表される化合物(DMIm-PI)を5.3g(純分4.9g)得た(収率97%)。DMIm-PIのH-NMR分析結果を以下に示す。
【0157】
H-NMR(CDOD)δ(ppm)=7.45(m,2H)、7.35-7.27(m,4H)、7.00(m,1H)、3.98(s,6H)
【0158】
[合成例3]DMIm-pClPIの合成
窒素置換した3つ口フラスコに合成例1で得られたDMIm-COを3.0g(21mmol)、トルエン100mL、p-クロロフェニルイソシアネート3.3g(21mmol)を仕込み、得られた混合物を内温110℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を25℃に冷却後、濾過を行い、得られた黄色固体を減圧乾燥し、上記式で表される化合物(DMIm-pClPI)を4.6g得た(収率88%)。DMIm-pClPIのH-NMR分析結果を以下に示す。
【0159】
H-NMR(CDOD)δ(ppm)=7.47(s,2H)、7.39(m,2H)、7.25(m,2H)、3.99(s,6H)
【0160】
実施例1、2及び比較例1 [各温度での硬化性評価]
表1に示すように、各種エポキシ化合物重合触媒存在下でのエポキシ組成物の100℃、120℃、140℃での硬化度を示差走査熱量分析計(株式会社日立ハイテクサイエンス製DSC-7020)で評価した。
・発熱量A(J/g)の測定
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(AER-260、旭化成株式会社製)を1g取り、そこに表1に示すエポキシ化合物重合触媒を5重量部もしくは10重量部加え、均一に攪拌した。得られた混合物を5mg程度量り取り、示差走査熱量分析計にて、-30℃から300℃まで10℃/分の昇温速度で加熱し、総発熱量を測定した。得られた総発熱量から単位重量あたりの発熱量(表1中、発熱量Aと表記する。)を算出した。
・発熱量B(J/g)の測定
発熱量Aの測定と同様に調整した混合物5mg程度を、示差走査熱量分析計にて、-30℃から、100℃、120℃、140℃の各温度まで10℃/分の昇温速度で加熱し、所定温度到達後、同温度で1時間保持した。温度保持中の総発熱量から単位重量あたりの発熱量を算出し、各温度で1時間硬化を行った際の単位重量あたりの発熱量(表1中、発熱量Bと表記する。)とした。
また、各温度での硬化度をB/A×100(%)とした。結果を表1に示す。
【0161】
【表1】
【0162】
表1に示す様に、DMIm-PI、DMIm-pClPIをエポキシ化合物重合触媒として使用した場合は、100℃において、いずれも高い硬化度を示した。一方、DMIm-COをエポキシ化合物重合触媒として使用した場合、100℃での硬化性が低く、低温では十分に硬化できないことが分かった。また、DMIm-PI、DMIm-pClPIをエポキシ化合物重合触媒として使用した場合、120℃、140℃においても高い硬化度を示した。