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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-28
(45)【発行日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20220729BHJP
   A63B 60/54 20150101ALI20220729BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20220729BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B60/54
A63B102:32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019010940
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020116237
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】592113511
【氏名又は名称】株式会社フォーティーン
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-95778(JP,A)
【文献】特開平6-319836(JP,A)
【文献】特開2004-313777(JP,A)
【文献】米国特許第6984180(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0274454(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0020378(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0053704(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 60/54
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップ部、ソール部、トウ部、ヒール部、バック部、及び、打球が成されるフェース部を具備したヘッド本体を有するアイアン型のゴルフクラブヘッドであって、
前記ヘッド本体は、前記フェース部とバック部との間に空隙部を有すると共に、前記空隙部に樹脂が充填されており、
前記フェース部は、トップ側の肉厚よりもソール側の肉厚が厚く、
前記樹脂は、トップ側の肉厚よりもソール側の肉厚が薄くなるように充填されている、
ことを特徴とするアイアン型のゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記フェース部は、トウ側の肉厚よりもヒール側の肉厚が薄く、
前記樹脂は、トウ側の肉厚よりもヒール側の肉厚が厚くなるように充填されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のアイアン型のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記フェース部は、前記ヘッド本体とは別体で、ヘッド本体に止着されて一体化される板状のフェース部材で構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアイアン型のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記フェース部、及び、前記空隙部に充填される樹脂は、トウ・ヒール方向、及び、トップ・ソール方向に向けて、段差なく面一状に肉厚変化している、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアイアン型のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブに関し、詳細には、アイアン型ゴルフクラブに用いられるゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイアン型のゴルフクラブヘッド(以下、ヘッドと称する)には、軟鉄材で一体化したもの、或いは、ヘッド本体とは別体のフェース部(フェース部材)をヘッド本体に対して接着、溶着、カシメなどによって一体化したものが知られている。このようなヘッドにおいて、打撃性能の向上が図れるように、例えば、特許文献1に開示されているように、前記フェース部とヘッド本体を構成するバック部との間に空隙部を形成し、この空隙部におもり(複合セラミックス)を密封したものが知られている。
【0003】
また、例えば、非特許文献1に開示されているように、フェース部とヘッド本体との間に隙間を形成し、この隙間に振動吸収ポリマーを充填することで、フェース部(フェース部材)として高強度材を使用しつつ打感をマイルドにするヘッドも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-94125号
【文献】ブリヂストンスポーツ株式会社のホームページに掲載のアイアンクラブ(TOUR B JGR HF2) https://www.bs-golf.com/bs-products/club/iron/jgr#hf2.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、アイアン型のゴルフクラブのヘッドとして、フェース部の裏面側に空洞を形成し、この部分にセラミックスや樹脂を充填することが知られているが、これらの充填材料は、いずれもソール側の肉厚が厚くなるように充填されている。この場合、打球時の振動を吸収するために、非特許文献1に開示された構成のように、振動吸収ポリマーを充填すると、ソール側では比重の重い金属が減ってしまい、十分な低重心化が実現できない。すなわち、上記した公知のヘッドの構成では、打球感を向上しつつ、低重心化を図ることはできない。
【0006】
また、アイアン型ゴルフクラブのヘッドのフェース部は、トウ側の上下高さがヒール側の上下高さよりも高い形状となっており、この形状により、トウ・ヒール方向で見ると、ヒール側はトウ側よりも撓み難い構造となっている。このため、充填する樹脂をソール側で肉厚にしただけでは、振動吸収のバランスが偏ってしまい、振動を効果的に緩和することはできない。
【0007】
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、低重心化を図りつつ、打球感の良いゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、トップ部、ソール部、トウ部、ヒール部、バック部、及び、打球が成されるフェース部を具備したヘッド本体を有するアイアン型のゴルフクラブヘッドであって、前記ヘッド本体は、前記フェース部とバック部との間に空隙部を有すると共に、前記空隙部に樹脂が充填されており、前記フェース部は、トップ側の肉厚よりもソール側の肉厚が厚く、前記樹脂は、トップ側の肉厚よりもソール側の肉厚が薄くなるように充填されていることを特徴とする。
【0009】
上記した構成のゴルフクラブヘッドでは、フェース部とバック部との間の空隙部に樹脂が充填されることで、フェース部で打球した際の振動が抑制されて、打球感の向上が図れる。この場合、前記フェース部は、トップ側の肉厚よりもソール側の肉厚が厚く、前記樹脂は、トップ側の肉厚よりもソール側の肉厚が薄くなるように充填されるため、ソール側が軽くなることはなく、振動吸収効果を維持したままヘッドの低重心化が図れる。また、フェース部は、ソール側の肉厚が厚くなっているため、打球時におけるフェース部の振動は、ソール側よりもトップ側が大きくなるが、この部分に配設される樹脂は、ソール側よりも肉厚が厚いことから、振動吸収効果が高くなる。すなわち、フェース面を通じて、振動吸収のバランスが向上し、振動を効果的に緩和することが可能となる。
【0010】
なお、フェース部は、トップ・ソール方向で見た場合、相対的にソール側が厚肉化されており、かつ、空隙部に充填される樹脂についても、トップ・ソール方向で見た場合、相対的にソール側が薄肉化されていれば良く、トップ部からソール部に至る領域は、段階的に肉厚変化しても良いし、連続的に肉厚変化(テーパ状に肉厚変化)していても良い。すなわち、厚肉領域と薄肉領域が段差によって区分けされていても良いし、厚肉領域から薄肉領域に至るまで、次第に肉厚変化するような構成(表面が面一状)であっても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低重心化を図りつつ、打球感の良いゴルフクラブヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のゴルフクラブヘッド(アイアン型のヘッド)の第1の実施形態を示す正面図。
図2図1で示すヘッドの組立状態を示す図。
図3図2のC-C線に沿った断面図。
図4図1のA-A線に沿った断面図。
図5図1のB-B線に沿った断面図。
図6】フェース部材の肉厚分布状況を示す図。
図7】(a)は空隙部に充填される樹脂の肉厚分布状況を示す図、(b)は実際の肉厚の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明に係るゴルフクラブヘッドの実施形態について説明する。
図1から図5は、本発明に係るアイアン型のゴルフクラブに装着されるヘッドの一例を示す図であり、図1は正面図、図2図1で示すヘッドの組立状態を示す図、図3図2のC-C線に沿った断面図、図4図1のA-A線に沿った断面図、そして、図5図1のB-B線に沿った断面図である。
【0014】
本実施形態に係るヘッド1は、アイアンクラブに装着される構成となっており、ヘッドを構成するヘッド本体2は、トップ部2A、ソール部2B、トウ部2C、ヒール部2D、バック部2E、及び、打球が成されるフェース部2Fを具備した構成となっている。ヘッド本体2には、シャフト(図示せず)の先端が挿入されて止着されるホーゼル3がヒール側に形成されており、本実施形態では、ヘッド本体2の前面に、ヘッド本体2とは別体として形成された板状のフェース部材20が止着されることで、前記フェース部2Fを構成している。
【0015】
前記ヘッド本体2およびフェース部材20の構成材料については特に限定されることはないが、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、炭素鋼、タングステン、タングステン合金等の金属材料を用いて鋳造、鍛造などによって一体形成することが可能である。この場合、ヘッド本体2を構成する構成体、具体的には、トップ部2A、ソール部2B、トウ部2C、ヒール部2D、バック部2E、及び、フェース部2Fについては、いずれかの部分を一体的に鋳造又は鍛造によって形成し、それ以外の部分についても、一体的に鋳造又は鍛造によって形成し、両者を一体化したものであっても良い。
【0016】
本実施形態では、トップ部2A、ソール部2B、トウ部2C、ヒール部2D及びバック部2Eを鋳造又は鍛造によって一体形成しており、この一体化された構成体に対して、別体として形成された板状のフェース部材20(フェース部2F)を溶接することでヘッド本体を構成している。すなわち、打球がされる部分については、その構成材料を最適なものにするようにしている。
なお、前記バック部2Eは、トップ部2A、ソール部2B、トウ部2C、ヒール部2Dで囲まれた部分の後方側で、フェース側に開口する凹所(空隙部)5を有するように形成されている。この凹所5は、止着されるフェース部材20を圧入させる大きさに形成されており、凹所5の内部の周囲には、フェース部材20の裏側周縁部を載置する段部(フェース部材を受ける受け部)5aが形成されている。この段部5aは、フェース部材20の肉厚と略同じ深さとなっており、その段部5aの周囲には、段部に沿うようにリブ6が形成されている。
【0017】
前記リブ6は、フェース部材20を凹所5内に圧入し、その周縁部が段部5aに載置された状態で溶接によって溶融される部分であり、これによりフェース部材20は、ヘッド本体を構成するトップ部2A、ソール部2B、トウ部2C、ヒール部2Dの前面と面一状に止着される。フェース部材20がヘッド本体に止着されると、図3に示すように、前記バック部2Eとフェース部材20(フェース部2F)との間には空隙部Sが形成される。
【0018】
前記一体形成されるヘッド本体のバック部2Eには、開口2aが形成されており、フェース部材20が止着された状態で、開口2aを介して振動吸収材10が充填可能となっている。この振動吸収材10は、打球時にフェース部材20に伝わる振動を吸収するものであれば良く、例えば、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ウレタン、合成ゴム等のポリマー系の樹脂によって構成される。振動吸収材(以下、樹脂と称する)10は、前記開口2aを介して空隙部S内に隙間なく充填され、充填された後は、バック部2Eに銘板等の封孔部材を止着することで開口2aは閉塞される。また、開口2aは、1つ以上形成されていれば良く、複数個所形成することで空隙部Sに隙間なく樹脂を充填することが容易に行なえる。
【0019】
本実施形態の前記バック部2Eには、後面側に凹所2bが形成されており、ヘッドとして、いわゆるキャビティ構造となっているが、このような凹所を形成することなく、バック部はフラット状に形成されていても良い。
【0020】
前記トップ部2A、ソール部2B、トウ部2C及びヒール部2Dは、それぞれフェース・バック方向に向けて所定の肉厚を有しており、ソール部2Bについては、他の部位よりもフェース・バック方向の厚さを厚肉化して低重心化を図っている。前記トップ部2A、ソール部2B、トウ部2C及びヒール部2Dの前面側は、水平面に対して所定角度傾斜するように形成されており、フェース部材20を番手に応じて所定のロフト角で止着するように構成されている。なお、ソール部2Bの部分については、低重心化が図れるように、他の構成体よりも高比重の材料によって形成しても良いし、別途、重量体を止着しても良い。
【0021】
上記したように構成されるヘッド本体2のフェース部2F(フェース部材20)、及び、空隙部Sに充填される樹脂10の構成について、図4及び図5に加え、図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は、フェース部材20の肉厚分布状況を示す図であり、図7(a)は空隙部Sに充填される樹脂の肉厚分布状況を示す図、図7(b)は充填される樹脂の実際の肉厚の一例を示す図である。
【0022】
アイアンクラブのヘッドのフェース部は、トップ・ソール方向の高さに関し、トウ側が高くヒール側が低い形状となっており、ヒール側が撓み難い形状となっている。このため、フェース部の撓みバランスを考慮した場合、フェース部2Fの肉厚については、図6に示すように、トウ・ヒール方向で見た場合、トウ側を厚くヒール側を薄くして、良好な撓みバランスとなるように形成している。
【0023】
肉厚の変化の仕方については、トウ・ヒール方向で見た場合、トウ側が厚く、ヒール側が薄くなっていれば良く(図5に示すようにトウ側の肉厚T1>ヒール側の肉厚T2)、その肉厚の変化の仕方については、段階的に変化させても良いし、テーパ状(面一状)に変化させても良い。ただし、フェース部内における振動の伝搬を考慮すると、肉厚変化の仕方については、肉厚の急激な変化によって振動の伝搬に変曲部が生じないように、テーパ状に変化させることが好ましい。また、肉厚については、フェース部の中心点をトップ・ソール方向に通る中心線を考慮した場合、相対的にトウ側が厚く、ヒール側が薄くなっていれば良く、極所的に偏肉部が存在していても良い。
【0024】
一方、フェース形状をトップ・ソール方向で見ると、トップ側の横幅と、ソール側の横幅は略等しいことから、撓みバランスよりも低重心化が図れるように、フェース部2Fの肉厚については、図6に示すように、トップ・ソール方向で見た場合、トップ側を薄くソール側を厚くしている。
【0025】
肉厚の変化の仕方については、トップ・ソール方向で見た場合、トップ側が薄く、ソール側が厚くなっていれば良く(図4に示すようにトップ側の肉厚T3<ソール側の肉厚T4)、その肉厚の変化の仕方については、段階的に変化させても良いしテーパ状(面一状)に変化させても良い。ただし、上記したトウ・ヒール方向と同様、フェース部内における振動の伝搬を考慮すると、肉厚変化の仕方については、肉厚の急激な変化によって振動の伝搬に変曲部が生じないように、テーパ状に変化させることが好ましい。また、肉厚については、フェース部の中心点をトウ・ヒール方向に通る中心線を考慮した場合、相対的にソール側が厚く、トップ側が薄くなっていれば良く、極所的に偏肉部が存在していても良い。
【0026】
そして、上記したようなフェース部2Fの肉厚分布構造では、打球時の衝撃によって、薄肉化されている部分は振動し易く、厚肉化されている部分は振動し難いことから、空洞部Sに充填される樹脂10については、その肉厚関係が、図7(a)に示すように、フェース部2Fの肉厚とは逆の関係となるように構成されている。すなわち、空隙部Sに充填される樹脂10については、トウ・ヒール方向で見た場合、トウ側が薄く、ヒール側が厚くなっており、トップ・ソール方向で見た場合、トップ側が厚く、ソール側が薄くなっている。
【0027】
したがって、上記したように肉厚変化するフェース部材20の形状に加え、ヘッド本体の凹所5の底面5bの表面形状についても、充填される樹脂10が、図7(a)に示すような肉厚変化状況となるように形成されている。
【0028】
なお、本実施形態における空隙部Sに充填される樹脂10は、一例として図7(b)に示すような厚さで肉厚変化させている。図7(b)では、トウ側のトップ・ソール方向で4箇所、中央のトップ・ソール方向で4箇所、ヒール側のトップ・ソール方向で3箇所の肉厚状況を示している。この場合、充填される樹脂10は、トップ・ソール方向で見て、トップ側領域10A、中央領域10B、ソール側領域10Cの3つの領域の偏肉構造(3つの領域間で段差が生じて肉厚が大きく変化する偏肉構造)を備えており、実際に対応する領域のそれぞれの肉厚については、図7(b)の数値で示すように、トップ・ソール方向で見ると、トップ側よりもソール側が薄く(トップ側領域10Aよりもソール側領域10Cの方の肉厚が薄い)、トウ・ヒール方向で見て、トウ側よりもヒール側が厚くなるように充填されている。また、これに伴い、フェース部2Fの肉厚については、逆に、トップ・ソール方向で見て、トップ側よりもソール側が厚く、トウ・ヒール方向で見て、トウ側よりもヒール側が薄くなるように形成されている。
【0029】
上記した構成のゴルフクラブヘッドでは、フェース部2Fとバック部2Eとの間に空隙部Sを設け、この部分に樹脂10が充填されることで、フェース部2Fで打球した際の振動が抑制されて、打球感の向上が図れるようになる。そして、前記フェース部2Fは、トップ側の肉厚よりもソール側の肉厚が厚く、充填される樹脂10は、トップ側の肉厚よりもソール側の肉厚が薄くなるように充填されるため、ソール側が軽くなることはなく、振動吸収効果を維持したままヘッドの低重心化を図ることが可能となる。また、フェース部2Fは、ソール側の肉厚が厚く、トップ側が薄くなっているため、打球時の衝撃による撓みは、トップ側が大きくなって、フェース部の振動はソール側よりもトップ側が大きくなるが、トップ側に配設される樹脂10は、ソール側よりも肉厚が厚いことから、振動吸収効果が高くなる。
【0030】
この場合、本実施形態では、フェース部2Fの撓みバランスを向上するように、トウ・ヒール方向においても、フェース部2Fは、トウ側の肉厚よりもヒール側の肉厚を薄く形成し、充填される樹脂10は、トウ側の肉厚よりもヒール側の肉厚が厚くなるようにしている。すなわち、トウ・ヒール方向を考慮した場合、フェース部2Fは、薄肉厚となったヒール側で振動が高くなる傾向となるが、この部分に充填される樹脂の肉厚を、トウ側よりも厚くしたことで、振動吸収効果が高くなる。
【0031】
すなわち、本実施形態の構成によれば、フェース部2F及び充填される樹脂10について、トップ・ソール方向、及び、トウ・ヒール方向について、上記したような肉厚変化をさせたことで、フェース部全体を通じて、振動吸収のバランスが向上し(フェース部全体で平準化される)、振動を効果的に緩和することが可能となる。
【0032】
なお、フェース部の肉厚、及び、充填される樹脂の肉厚は、トップ・ソール方向のみで変化させる構成であっても良い。このような構成であっても、低重心化が図れると共に、振動の抑制効果及び振動バランスの向上が図れる。また、バック部2Eに関し、フェース部2Fと同じように肉厚変化させても良い。このように構成することで、効果的に低重心化が図れるようなる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々、変形することが可能である。トップ・ソール方向の肉厚、及び、トウ・ヒール方向の肉厚については、両側での肉厚が相対的に変化した状態にあれば良く、その中間領域において、部分的に厚肉化されていたり、薄肉厚化されていても良い。例えば、フェース部の裏面の中央領域にリブや凹所を形成して極所的に厚さ変化させる構成であっても良く、このような構成では、フェース部の肉厚がリブの部分で厚く(薄く)なり、それに応じてその位置の樹脂が部分的に薄く(厚く)なるような構造であっても良い。
また、本発明は、ヘッドの形状や各構成体(トップ部、ソール部、トウ部、ヒール部、バック部、フェース部)同士の止着位置や止着方法については限定されることはない。例えば、トップ部、ソール部、トウ部、ヒール部、フェース部を一体成形しておき、その裏面側に、空隙部を設けてバック部を止着するような構造であっても良い。また、空隙部に対して樹脂を注入する位置についても適宜変形することが可能である。さらに、フェース部材については、板状以外にも、L字形にしたり、カップ状に形成する等、適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 ヘッド
2 ヘッド本体
2A トップ部
2B ソール部
2C トウ部
2D ヒール部
2E バック部
2F フェース部
5 凹所
10 樹脂
20 フェース部材
S 空隙部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7